特許第6556429号(P6556429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556429ベアリング固定工具、ベアリング固定方法、および回転機器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556429
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】ベアリング固定工具、ベアリング固定方法、および回転機器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 35/067 20060101AFI20190729BHJP
   F16C 35/06 20060101ALI20190729BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20190729BHJP
   B21D 39/00 20060101ALI20190729BHJP
   B23P 19/04 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   F16C35/067
   F16C35/06 Z
   F04B39/00 103J
   B21D39/00 C
   B21D39/00 D
   B23P19/04 A
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-90320(P2014-90320)
(22)【出願日】2014年4月24日
(65)【公開番号】特開2015-209865(P2015-209865A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】太田 将弘
(72)【発明者】
【氏名】石井 建
(72)【発明者】
【氏名】毛路 智久
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 和英
【審査官】 星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−275027(JP,A)
【文献】 特開2010−242855(JP,A)
【文献】 特開2003−194079(JP,A)
【文献】 特開平05−164215(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/004866(WO,A1)
【文献】 特公昭47−012561(JP,B1)
【文献】 特開2013−024393(JP,A)
【文献】 特開2006−153053(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/015334(WO,A1)
【文献】 特開2010−075980(JP,A)
【文献】 特開2002−070892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 35/00−39/06
F16C 43/00−43/08
F16C 19/00−19/56
F16C 33/30−33/66
F04B 39/00−39/16
F04B 35/00
B21D 39/00
B23P 19/00−21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のハウジングの先端部に形成されているベアリング保持穴に挿入されたベアリングの抜脱を防止するベアリング固定工具であって、
前記ベアリング保持穴の開口部周囲に押し付けられることにより、該ベアリング保持穴の内周部を径方向内側に塑性変形させて前記ベアリングの外輪の上に掛かる塑性変形部を形成する刃状部と、
前記刃状部に対して一体に形成され、前記刃状部によって前記塑性変形部が形成される際に、前記刃状部に付与される押付力を前記ハウジングの径方向外側から内側への押圧力に変換して前記ハウジングの先端部外周を径方向内側に押圧する斜面状の押圧部と、
を具備し
前記ベアリング保持穴の開口部周囲に沿う環状に形成され、その内周側に前記刃状部、外周側に前記押圧部が、それぞれ同心状に設けられており、前記押圧部が前記ハウジングの先端部外周に当接するとき、前記刃状部が位置決めされるベアリング固定工具。
【請求項2】
前記刃状部は、周方向に沿って不連続的且つ略等間隔で複数個所に形成されており、これら複数の刃状部の間に間欠部が形成されている請求項に記載のベアリング固定工具。
【請求項3】
前記刃状部と前記押圧部は、前記ベアリング保持穴の開口部周囲に沿って転動する転動体を構成し、
前記ベアリング保持穴の径方向に正対する2つの前記転動体と、
前記ベアリング保持穴の径方向に延在して前記2つの転動体が軸支される支持軸と、
前記支持軸を前記ベアリング保持穴の中心線軸回りに回転させると同時に、前記2つの転動体が前記ベアリング保持穴の開口部周囲に押し付けられるように該支持軸を押圧する駆動部と、
を具備してなる請求項1に記載のベアリング固定工具。
【請求項4】
前記刃状部が前記ベアリング保持穴の開口部周囲に当接するのと同時か、それよりも先に前記押圧部が前記ハウジングの先端部外周に当接するように、前記刃状部と前記押圧部との相対高さ関係が設定されている請求項1からのいずれかに記載のベアリング固定工具。
【請求項5】
円筒状のハウジングの先端部に形成されているベアリング保持穴に挿入されたベアリングの抜脱を防止するベアリング固定方法であって、
前記ベアリング保持穴の開口部周囲に沿う環状に形成され、その内周側に刃状部、外周側に押圧部が、それぞれ同心状に設けられており、前記押圧部が前記ハウジングの先端部外周に当接するとき、前記刃状部が位置決めされ、
前記ベアリング保持穴の開口部周囲に前記刃状部を押し付けることにより、該ベアリング保持穴の内周部を径方向内側に塑性変形させて前記ベアリングの外輪の上に掛かる塑性変形部を形成すると同時に、
前記刃状部に対して一体に形成された斜面状の前記押圧部により、前記刃状部に付与される押付力を、前記ハウジングの径方向外側から内側への押圧力に変換して前記ハウジングの先端部外周を径方向内側に押圧することを特徴とするベアリング固定方法。
【請求項6】
ハウジングにベアリング保持穴が形成され、該ベアリング保持穴にベアリングが挿入され、該ベアリングに回転軸が軸支される構成を有する回転機器の製造方法であって、
前記ベアリング保持穴に挿入された前記ベアリングを、請求項5に記載のベアリング固定方法によって固定することを特徴とする回転機器の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベアリング固定工具、ベアリング固定方法、および回転機器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜3には、ケーシングから回転軸が突出する部分に圧入されるベアリングや、プーリー等の回転物に圧入されるベアリングの固定方法として、ベアリングを保持するベアリング保持穴にベアリングを挿入した後、ベアリング保持穴の開口部周囲に刃状工具(固定工具)を押し当てて該ベアリング保持穴の内周部を径方向内側(ベアリング側)に塑性変形させる(カシメる)ことにより、ベアリングの外輪の上に掛かる塑性変形部を形成してベアリングの抜脱を防止するようにした方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−194079号公報
【特許文献2】特開2009−287539号公報
【特許文献3】特開平5−164215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図10(a)は、例えばアルミニウム合金のような比較的軟質な材料によって形成された薄肉な円筒状のハウジング3の先端部にベアリング保持穴14が形成され、このベアリング保持穴14にベアリング4が挿入される構造を示している。
前述のようにベアリング保持穴14の開口部周囲に刃状工具21が押し当てられると、図10(b)に示すように、ベアリング保持穴14の内周部に、径方向内側にせり出す塑性変形部14aが形成され、この塑性変形部14aがベアリング4の外輪4aの上に掛かることによってベアリング4の抜脱が防止される。しかし、これと同時に、ハウジング3の形状が、符号3aで示すように外側に膨出するように変形してしまう虞がある。
【0005】
特に、ハウジング3に、他のベアリング等の位置決めを行うサークリップ等の溝15が形成されていると、上記の変形が顕著になる。このような変形は、僅かであってもベアリング4(回転軸)の中心軸線を傾斜もしくは芯ずれさせ、回転軸の振動や偏摩耗等の原因となり得るため好ましくない。
【0006】
このため、上記のような円筒状のハウジング3にベアリング保持穴14が設けられる場合には、例えば下記の3つの手法によってベアリング4の抜け止めを行うことが考えられる。
(1)ハウジング3の肉厚を増大させて変形に対する剛性を充分に確保した上で、ベアリング保持穴14の開口部周囲に刃状工具21を押し当てて塑性変形部14aを形成し、ベアリング4の抜け止めとする。
(2)ベアリング保持穴14の深さをベアリング4の厚みよりも深くし、ベアリング保持穴14の内周部に内周溝を刻設してサークリップ(Cリング)を環装し、ベアリング4の抜け止めとする。
(3)ハウジング3の外周側を治工具等で保持することによってハウジング3の変形を防止しながらベアリング保持穴14の開口部周囲に刃状工具21を押し当てて塑性変形部14aを形成し、ベアリング4の抜け止めとする。
【0007】
ところが、(1)の方法によればハウジング3の重量および製作コストが増大してしまい、(2)の方法によればハウジング3の長さが伸びてケーシング等の軸方向寸法が大きくなるとともに部品点数および組立工数が増大してしまい、(3)の方法によれば治工具等を装備することによって製造ラインの設備が複雑化してしまうという問題がある。
また、(1)および(3)の方法では、ハウジング3に対して刃状工具21のセンターを正確に位置決め(芯出し)してから加工しないと上手く塑性変形部14aを形成できないため、位置決めのための設備が別途必要になり、この点でも製造ラインの設備が複雑化してしまうという課題があった。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、簡素で安価な構造と設備により、薄肉で低剛性な円筒状のハウジングにベアリングを軽量、コンパクト、且つ高精度に保持させることが可能なベアリング固定工具、ベアリング固定方法、および回転機器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第一態様に係るベアリング固定工具は、円筒状のハウジングの先端部に形成されているベアリング保持穴に挿入されたベアリングの抜脱を防止するものであって、前記ベアリング保持穴の開口部周囲に押し付けられることにより、該ベアリング保持穴の内周部を径方向内側に塑性変形させて前記ベアリングの外輪の上に掛かる塑性変形部を形成する刃状部と、前記刃状部に対して一体に形成され、前記刃状部によって前記塑性変形部が形成される際に、前記刃状部に付与される押付力を前記ハウジングの径方向外側から内側への押圧力に変換して前記ハウジングの先端部外周を径方向内側に押圧する斜面状の押圧部と、を具備し、前記ベアリング保持穴の開口部周囲に沿う環状に形成され、その内周側に前記刃状部、外周側に前記押圧部が、それぞれ同心状に設けられており、前記押圧部が前記ハウジングの先端部外周に当接するとき、前記刃状部が位置決めされることを特徴とする。
【0010】
上記構成のベアリング固定工具によれば、ハウジングのベアリング保持穴にベアリングが挿入された後、ベアリング固定工具の刃状部がベアリング保持穴の開口部周囲に押し付けられることにより、ベアリング保持穴の内周部が径方向内側に塑性変形させられ、ベアリングの外輪の上に掛かる塑性変形部が形成される。このため、ベアリング保持穴からのベアリングの抜脱が防止される。
【0011】
ベアリング固定工具の刃状部によって塑性変形部が形成される際には、刃状部に対して一体に形成された押圧部が、その斜面状の形状により、刃状部に付与される押付力をハウジングの径方向外側から内側への押圧力に変換してハウジングの先端部外周を径方向内側に押圧する。
【0012】
このように、刃状部によって塑性変形部が形成される際に、刃状部と一体に設けられた押圧部によってハウジングの先端部外周が径方向内側に押圧されるため、ハウジングの先端部が外側に膨出するように変形してしまうことが防止される。このため、ハウジングの外周側を治工具等で保持するような必要がなく、製造ラインの設備が複雑化することがない。また、ベアリング固定工具は簡素な形状にすることができる。
【0013】
したがって、簡素で安価な構造と設備により、薄肉で低剛性な円筒状のハウジングにベアリングを軽量且つコンパクトに保持させることができ、ハウジングに対するベアリングおよび回転軸の中心軸線の傾斜もしくは芯ずれを防止することができる。
【0014】
上記のベアリング固定工具を、前記ベアリング保持穴の開口部周囲に沿う環状に形成し、その内周側に前記刃状部、外周側に前記押圧部を、それぞれ同心状に設けてもよい。
【0015】
ベアリング固定工具をこのような環状に形成し、且つ、刃状部と押圧部とを同心状にすることにより、押圧部がハウジングの先端部外周に冠着されると同時に刃状部がベアリング保持穴の開口部に対して同心的に位置決めされる。このため、位置決めのための設備や治具等が不要であり、これによって製造ラインの設備を簡素に保つことができる。しかも、ベアリング固定工具の押圧時にベアリング固定工具がハウジングの先端部外周に対してずれることがないため、作業性が良い。
【0016】
上記のベアリング固定工具において、前記刃状部を、周方向に沿って不連続的且つ略等間隔で複数個所に形成し、これら複数の刃状部の間に間欠部を形成してもよい。
【0017】
こうすることにより、間欠的に形成された刃状部がベアリング保持穴の開口部周囲に小さな面積で当接して深く食い込むため、塑性変形部を確実に形成してベアリングの抜脱を防止することができる。また、刃状部の押付力を小さくして作業性を高めることができる。
【0018】
上記のベアリング固定工具は、次のように構成してもよい。
即ち、前記刃状部と前記押圧部は、前記ベアリング保持穴の開口部周囲に沿って転動する転動体を構成し、前記ベアリング保持穴の径方向に正対する2つの前記転動体と、前記ベアリング保持穴の径方向に延在して前記2つの転動体が軸支される支持軸と、前記支持軸を前記ベアリング保持穴の中心線軸回りに回転させると同時に、前記2つの転動体が前記ベアリング保持穴の開口部周囲に押し付けられるように該支持軸を押圧する駆動部と、を具備した構成としてもよい。
【0019】
上記構成とすることにより、駆動部が支持軸をベアリング保持穴の中心線軸回りに回転させると同時に、2つの転動体がベアリング保持穴の開口部周囲に押し付けられるように支持軸を押圧する。このため、2つの転動体がベアリング保持穴の開口部周囲に押し付けられながら開口部の周方向に沿って転動する。
【0020】
転動体が開口部の周方向に沿って転動すると、転動体に設けられた刃状部により、ベアリング保持穴の内周部が径方向内側に塑性変形させられてベアリングの外輪の上に掛かる塑性変形部が形成され、これによってベアリングの抜脱が防止される。
【0021】
同時に、転動体に設けられた押圧部により、刃状部に付与される押付力がハウジングの径方向外側から内側への押圧力に変換され、この押圧力によりハウジングの先端部外周が径方向内側に押圧されて該先端部の変形が防止される。
【0022】
本構成によれば、転動体をベアリング保持穴の開口部周囲に沿って複数回周回させることにより、塑性変形部を徐々に形成していくことが可能である。このため、押圧や打撃等によって塑性変形部を一気に形成するよりも小さな力で塑性変形部を形成することができ、ハウジングの変形をより効果的に防止することができる。また、塑性変形部を形成する工程を自動化して製品の品質を高めることができる。
【0023】
上記のベアリング固定工具においては、前記刃状部が前記ベアリング保持穴の開口部周囲に当接するのと同時か、それよりも先に前記押圧部が前記ハウジングの先端部外周に当接するように、前記刃状部と前記押圧部との相対高さ関係が設定されていることが好ましい。
【0024】
このようにすることにより、ベアリング固定工具がハウジングの先端部に近付けられると、押圧部の斜面形状がハウジングの先端部外周に当接し、ベアリング保持穴に対するベアリング固定工具の位置決め(芯出し)が行われ、これと同時、あるいはその直後に刃状部がベアリング保持穴の開口部に押し付けられる。
このため、刃状部によって形成される塑性変形部をベアリング保持穴に対して同心状に精度良く形成することができる。
【0025】
また、本発明の第二態様に係るベアリング固定方法は、円筒状のハウジングの先端部に形成されているベアリング保持穴に挿入されたベアリングの抜脱を防止する方法であって、前記ベアリング保持穴の開口部周囲に沿う環状に形成され、その内周側に刃状部、外周側に押圧部が、それぞれ同心状に設けられており、前記押圧部が前記ハウジングの先端部外周に当接するとき、前記刃状部が位置決めされ、前記ベアリング保持穴の開口部周囲に前記刃状部を押し付けることにより、該ベアリング保持穴の内周部を径方向内側に塑性変形させて前記ベアリングの外輪の上に掛かる塑性変形部を形成すると同時に、前記刃状部に対して一体に形成された斜面状の前記押圧部により、前記刃状部に付与される押付力を、前記ハウジングの径方向外側から内側への押圧力に変換して前記ハウジングの先端部外周を径方向内側に押圧することを特徴とする。
【0026】
上記構成のベアリング固定方法によれば、本発明の第一態様に係るベアリング固定工具と同様な作用・効果を得ることができる。
即ち、簡素で安価な構造と設備により、薄肉で低剛性な円筒状のハウジングの先端部外周が径方向外側に変形することを防止しながら、ベアリング保持穴の内周部を径方向内側に塑性変形させてベアリングの外輪の上に掛かる塑性変形部を形成し、ベアリングの抜脱を防止するとともに、ハウジングに対するベアリングおよび回転軸の中心軸線の傾斜もしくは芯ずれを防止することができる。
【0027】
また、本発明の第三態様に係る回転機器の製造方法は、ハウジングにベアリング保持穴が形成され、該ベアリング保持穴にベアリングが挿入され、該ベアリングに回転軸が軸支される構成を有する回転機器の製造方法であって、前記ベアリング保持穴に挿入された前記ベアリングを、本発明の第二態様に係るベアリング固定方法によって固定することを特徴とする。
【0028】
上記構成の回転機器の製造方法によれば、軽量でコンパクトな構造により、ハウジングにベアリングを高精度に保持させることができ、製造性と信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明に係るベアリング固定工具、ベアリング固定方法、および回転機器の製造方法によれば、簡素で安価な構造と設備により、薄肉で低剛性な円筒状のハウジングにベアリングを軽量、コンパクト、且つ高精度に保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明を適用可能な車載用冷媒コンプレッサの部分縦断面図である。
図2図1に示すハウジングおよびベアリングを拡大して示す縦断面図である。
図3】ハウジング、ベアリング保持穴およびベアリング固定工具を拡大して示す縦断面図である。
図4】ベアリング固定工具の下面図である。
図5】(a)はベアリング固定工具の押圧部がハウジングの先端部外周に当接した状態を示す縦断面図、(b)は刃状部がベアリング保持穴の開口部周囲に押し付けられた状態を示す縦断面図、(c)は刃状部の押付力と押圧部の押圧力とをベクトルで示す概念図である。
図6】本発明の第1実施形態を示す、ベアリング固定工具、ハウジング先端部、ベアリング保持穴、ベアリング、塑性変形部等の縦断面図である。
図7】ハウジング先端部、ベアリング保持穴、ベアリング、塑性変形部等の縦断面図である。
図8】本発明の第2実施形態を示すベアリング固定工具の下面図である。
図9】本発明の第3実施形態を示すベアリング固定工具、ハウジング先端部、ベアリング保持穴、ベアリング、塑性変形部等の縦断面図である。
図10】(a)は従来の技術において刃状工具がベアリング保持穴の開口部周囲に当接した状態を示す縦断面図、(b)は刃状工具が押し付けられて塑性変形部が形成された状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
【0032】
図1は、本発明を適用可能な車載用冷媒コンプレッサ1の部分縦断面図である。
この車載用冷媒コンプレッサ1の外殻をなすケーシング2は、例えばアルミ合金製であり、その先端部に細い円筒状のハウジング3が形成されている。ハウジング3の先端部にはベアリング4が設けられ、このベアリング4に回転軸5の先端付近が軸支されている。回転軸5の他端はケーシング2内に設けられた図示しないベアリングに軸支されている。
【0033】
また、ハウジング3の外周にはベアリング7を介してドリブンプーリー8が軸支されており、このドリブンプーリー8の外側に重なっている円板状のクラッチ板9が撓み板10を介して回転軸5の先端部に連結されている。ドリブンプーリー8の内部には電磁石11が設置されており、この電磁石11はハウジング3側に固定されている。
【0034】
ドリブンプーリー8は図示しないベルトを介して自動車のエンジンに回転駆動される。自動車のエアコン使用時には電磁石11がONになり、電磁石11の磁力によりクラッチ板9が撓み板10を撓らせてドリブンプーリー8側に引き付けられて摩擦係合し、クラッチ板9がドリブンプーリー8と共に回転する。したがって、クラッチ板9に一体である回転軸5が回転駆動され、ケーシング2の内部に収容された図示しない圧縮機構が駆動されて冷媒ガスが圧縮される。
【0035】
図2は、図1に示すハウジング3およびベアリング4を拡大して示す縦断面図である。ハウジング3の先端部内周にはベアリング保持穴14が形成されており、このベアリング保持穴14にベアリング4が密に挿入、もしくは圧入される。このベアリング4がベアリング保持穴14から抜脱することを防止するべく、図7に示すように、ベアリング保持穴14の上端部に、ベアリング4の外輪4a上に掛かる塑性変形部14aが形成される。
【0036】
円筒状のハウジング3は薄肉である上に、その先端部付近の外周部に溝15が刻設されているため、比較的低剛性なものである。溝15は、図1中に示すドリブンプーリー8軸支用のベアリング7の抜け止めを行うサークリップ16を係止させる溝である。このように剛性の低いハウジング3を変形させることなく、その先端部に塑性変形部14aを形成するために、図3および図4に示すベアリング固定工具20が用いられる。
【0037】
[第1実施形態]
図3図7は、ベアリング固定工具20の第1実施形態を示している。
ベアリング固定工具20は、炭素工具鋼(SK材)等の金属材料により、ベアリング保持穴14の開口部周囲に沿う環状に形成され、その内周側に刃状部21、外周側に押圧部22が、それぞれ同心状に設けられている。刃状部21と押圧部22との間は平坦な連結部23を介して連続している。
【0038】
刃状部21は、ベアリング固定工具20がハウジング3上に載置(冠着)された時に、ハウジング3の頂面に向かって延びる円筒状の刃であり、図5(c)に示すように、外周側をなす鉛直な刃面21aと、内周側をなす円錐状の刃面21bとを備えている。刃面21bは、ハウジング3の基端側から先端側に向かって内径が小さくなる斜面となっており、その傾斜角度は、水平面に対し、例えば45度〜60度程度に設定されている。
【0039】
刃状部21の刃面21aと刃面21bとが交わる先端部の径d1(図5(c)参照)は、ベアリング保持穴14の内径d2よりも僅かに大きく設定されている。例えば、d2が25ミリであるとすれば、径d1は26ミリ程度に設定される。
【0040】
刃面21bが、ハウジング3の基端側から先端側に向かって内径が小さくなる斜面となっているため、刃状部21がベアリング保持穴14の開口部周囲に押し付けられると、刃状部21の先端部が食い込んだ部分よりも径方向内側の領域におけるハウジング3の肉が径方向内側に押されて塑性変形し、図6図7に示す塑性変形部14aが形成される。
【0041】
一方、押圧部22は、ハウジング3の先端部を囲む短い円筒状であり、その軸方向の長さL(図5(a)参照)は、ベアリング固定工具20がハウジング3上に載置された時に、押圧部22の先端がハウジング3先端よりも長く延びるように設定されている。
【0042】
また、押圧部22の内面22aは、ハウジング3の先端側から基端側に向かって内径が大きくなる円錐面となっており、ベアリング固定工具20がハウジング3上に載置された時には、この内面22aがハウジング3の先端部外周に当接する。内面22aの傾斜角度θは、鉛直線に対し、例えば5度〜10度程度に設定するのが好ましい。
【0043】
刃状部21によってベアリング保持穴14の開口部周囲に塑性変形部14aが形成される際には、図5(b),(c)に示すように、押圧部22の斜面状の内面22aによって、刃状部21に付与される押付力F1がハウジング3の径方向外側から内側への押圧力F2に変換される。つまり、内面22aの傾斜角θにより、刃状部21に付与される押付力F1のベクトル成分から押圧力F2のベクトル成分が生成される。この押圧力F2は、ハウジング3の全周に亘って作用し、その大きさは、押付力F1の値をtanθで除することによって求めることができる。
【0044】
また、図5(a)に示すように、刃状部21がベアリング保持穴14の開口部周囲に当接するのと同時か、それよりも先に押圧部22の内面22aがハウジング3の先端部外周に当接するように、刃状部21の先端と押圧部22(内面22a)との相対高さ関係が設定されている。具体的には、押圧部22(内面22a)がハウジング3の先端部外周に当接した時に、刃状部21の先端がベアリング保持穴14の開口部周囲からSだけ浮き上がった状態となるように設定されている。この浮き上がり量Sの実寸法としては、例えば0ミリ〜0.3ミリ程度を例示することができる。
【0045】
以上のように構成されたベアリング固定工具20によってベアリング保持穴14に挿入されたベアリングの抜け止めを行う時には、まず、図3および図5(a)に示すように、ベアリング固定工具20をハウジング3の先端部外周に載置(冠着)する。これにより、押圧部22の内面22aがハウジング3の先端部外周に当接し、刃状部21の先端がベアリング保持穴14の開口部周囲からSだけ浮き上がった状態となる。この時には、ハウジング3の先端部外周に当接する押圧部22の内面22aにより、刃状部21がベアリング保持穴14の開口部に対して同心的に位置決めされる。
【0046】
次に、図5(b)に示すように、図示しないプレス装置や打撃手段等により、ベアリング固定工具20を押付力F1でベアリング保持穴14の開口部周囲に押し付ける。これにより、前述の如く円錐面状の押圧部22の内面22aによって押付力F1がハウジング3の径方向外側から内側への押圧力F2に変換され、ハウジング3の先端部外周が全周に亘って径方向内側に押圧される。このため、刃状部21の押付力F1を受けるハウジング3の先端部が、図10(b)に示すように外側に膨出するように変形してしまうことが防止される。
【0047】
そして、押付力F1とともに所定のストローク(例えば0.4ミリ)でベアリング固定工具20をハウジング3側に押し付けることにより、図6に示すように、刃状部21によって塑性変形部14aが形成される。図7は、ベアリング固定工具20がハウジング3から除去された状態を示している。このような塑性変形部14aが形成されることにより、ベアリング保持穴14からベアリングが抜脱することが防止される。
【0048】
以上のように、このベアリング固定工具20は、刃状部21と押圧部22とを具備してなり、刃状部21は、ベアリング保持穴14の開口部周囲に押し付けられることにより、ベアリング保持穴14の内周部を径方向内側に塑性変形させてベアリングの外輪4aの上に掛かる塑性変形部14aを形成する。
一方、押圧部22は、刃状部21に対して一体に形成され、その円錐面状に形成された内面22aによって刃状部21に付与される押付力F1をハウジング3の径方向外側から内側への押圧力F2に変換し、刃状部21によって塑性変形部14aが形成される際に、ハウジング3の先端部外周を径方向内側に押圧してハウジング3の変形を防止する。
【0049】
このように、刃状部21によって塑性変形部14aが形成される際に、刃状部21と一体に設けられた押圧部22(内面22a)によってハウジング3の先端部外周が径方向内側に押圧されるため、ハウジング3の先端部が外側に膨出するように変形してしまうことが防止される。このため、ハウジング3の外周側を治工具等で保持するような必要がなく、製造ラインの設備が複雑化することがない。また、ベアリング固定工具20は簡素な形状にすることができる。
【0050】
したがって、簡素で安価な構造と設備により、薄肉で低剛性な円筒状のハウジング3にベアリング4を軽量且つコンパクトに保持させることができ、ハウジング3に対するベアリング4および回転軸5の中心軸線の傾斜もしくは芯ずれを防止することができる。
【0051】
しかも、このベアリング固定工具20は、ベアリング保持穴14の開口部周囲に沿う環状に形成されており、その内周側に刃状部21、外周側に押圧部22が、それぞれ同心状に設けられているため、押圧部22がハウジング3の先端部外周に冠着されると同時に刃状部21がベアリング保持穴14の開口部に対して同心的に精度良く位置決めされる。このため、位置決めのための設備や治具等が不要であり、これによって製造ラインの設備を簡素に保つことができる。しかも、ベアリング固定工具20の押圧時にベアリング固定工具20がハウジング3の先端部外周に対してずれることがないため、非常に作業性が良い。
【0052】
さらに、このベアリング固定工具20は、刃状部21の先端がベアリング保持穴14の開口部周囲に当接するのと同時か、それよりも先に、押圧部22がハウジング3の先端部外周に当接するようになっているため、この点でも刃状部21によって形成される塑性変形部14aをベアリング保持穴14に対して同心状に精度良く形成することができる。
【0053】
そして、このように、軽量でコンパクト、且つ安価な構造によってハウジング3にベアリングを高精度に保持させることができるため、車載用冷媒コンプレッサ1の製造性と信頼性を高めることができる。
【0054】
[第2実施形態]
図8は、ベアリング固定工具の第2実施形態を示している。
このベアリング固定工具30は、第1実施形態におけるベアリング固定工具20と同様に、炭素工具鋼(SK材)等の金属材料により、ベアリング保持穴14の開口部周囲に沿う環状に形成され、その内周側に刃状部21、外周側に押圧部22が、それぞれ連結部23を介して同心状に設けられている。押圧部22の内面22aは、第1実施形態におけるベアリング固定工具20と同様に、例えば5度〜10度程度の傾斜角度を持つ円錐面となっている。
【0055】
刃状部21は、ベアリング固定工具30の周方向に沿って不連続的且つ等間隔で形成されており、これら複数の刃状部21の間に間欠部24が形成されている。本実施形態では、例えば4つの刃状部21と、4つの間欠部24とが交互に形成されており、刃状部21の中心角αが40度、間欠部24の中心角βが50度に設定されている。しかし、これらの設定は異なるものであっても構わない。また、刃状部21の間隔は不等間隔でもよい。
なお、本実施形態では、刃状部21が不連続的に形成され、押圧部22が連続的に形成されているが、押圧部も不連続的に形成することが考えられる。この場合、ハウジングの変形を抑える効果は減少するが、位置決め(芯出し)の効果は第1実施形態の場合と同等の効果を得ることができる。
【0056】
このように、刃状部21を不連続的(間欠的)に形成することにより、複数の刃状部21がベアリング保持穴14の開口部周囲にそれぞれ小さな面積で当接して深く食い込む。このため、図7に示す塑性変形部14aを確実に形成してベアリングの抜脱を防止することができる。また、刃状部21の押付力F1(図5(b)参照)を小さくして作業性を高め、且つハウジング3の変形を防止することができる。
【0057】
[第3実施形態]
図9は、ベアリング固定工具の第3実施形態を示している。
このベアリング固定工具40は、ベアリング保持穴14の開口部周囲に沿って転動する2つの転動体41と、これら2つの転動体41が両端に軸支される1本の支持軸42と、この支持軸42をベアリング保持穴14の中心軸線C回りに回転させると同時に上下に移動させる駆動部43とを備えて構成されている。なお、2本の支持軸42を十字状にし、その各々の両端に転動体41を軸支して転動体41の総数を4つにする等、支持軸42の本数および転動体41の数量は適宜設定することができる。
【0058】
転動体41は、刃状部21と押圧部22とから構成されている。刃状部21および押圧部22の断面形状は、第1実施形態におけるベアリング固定工具20の刃状部21および押圧部22のものと同様であるが、それぞれが回転輪状に形成されているため、これら各々はベアリング保持穴14の開口部周囲およびハウジング3の先端部外周に対して点状に接触することになる。押圧部22の内面22aは、支持軸42の軸心線を中心とする円錐面状になっている。
【0059】
2つの転動体41はベアリング保持穴14の径方向に正対するように配置され、ベアリング保持穴14の径方向に延在するように配置された支持軸42の両端部に回転自在に軸支されている。なお、支持軸42には、転動体41が支持軸42の軸方向に移動することを阻止するストッパー44が設けられている。
【0060】
駆動部43は、図示しない駆動源の力によって、支持軸42をベアリング保持穴14の中心線軸回りに回転させると同時に、2つの転動体41がベアリング保持穴14の開口部周囲に押し付けられるように支持軸42を押圧力F3で押圧する。
【0061】
なお、刃状部21の先端と押圧部22との相対高さ関係は、第1実施形態のベアリング固定工具20と同じく、押圧部22がハウジング3の先端部外周に当接した時に、刃状部21の先端がベアリング保持穴14の開口部周囲からSだけ浮き上がった状態となるように設定されている。この浮き上がり量Sの実寸法としては、例えば0ミリ〜0.3ミリ程度を例示することができる。
【0062】
以上のように構成されたベアリング固定工具40によってベアリング保持穴14に挿入されたベアリングの抜け止めを行う時には、まず、図9の左半分に示すように、駆動部43の駆動力により、転動体41がハウジング3の先端部外周に当接するように支持軸42を降下させながら、支持軸42をベアリング保持穴14の中心軸線C回りに回転させる。これにより、押圧部22の内面22aがハウジング3の先端部外周に当接し、刃状部21の先端がベアリング保持穴14の開口部周囲からSだけ浮き上がった状態となる。この時には、押圧部22(内面22a)の円錐面状がハウジング3の先端部外周に当接していることによって2つの刃状部21がベアリング保持穴14の開口部に対して対称な位置に位置決めされる。
【0063】
次に、図9の右半分に示すように、転動体41の刃状部21がベアリング保持穴14の開口部周囲に押し付けられるように所定の押付力F3を掛けながら、所定のストローク(例えば0.4ミリ)だけ支持軸42をさらに降下させ、引き続き支持軸42をベアリング保持穴14の中心軸線C回りに回転させる。これにより、2つの転動体41がベアリング保持穴14の開口部周囲に押し付けられながら開口部の周方向に沿って転動する。支持軸42の回転は、塑性変形部14aの大きさが規定値になるまで続けられる。こうして、転動体41の刃状部21によりベアリング保持穴14の内周部が径方向内側に塑性変形させられてベアリングの外輪4aの上に掛かる塑性変形部14aが形成される。
【0064】
このように塑性変形部14aが形成される時には、押圧部22の円錐面状の内面22aにより、刃状部21に付与される押付力F3がハウジング3の径方向外側から内側への押圧力F4に変換され、この押圧力F4により、ハウジング3の先端部が対向方向から径方向内側に押圧される。このため、刃状部21の押付力F3を受けるハウジング3の先端部が図10(b)に示すように外側に膨出するように変形してしまうことが防止される。
【0065】
このように構成されたベアリング固定工具40によれば、転動体41をベアリング保持穴14の開口部周囲に沿って複数回周回させることにより、塑性変形部14aを徐々に形成することが可能である。このため、押圧や打撃等によって塑性変形部14aを一気に形成するよりも小さな力で塑性変形部14aを形成することができ、ハウジング3の変形をより効果的に防止することができる。また、塑性変形部14aを形成する工程を自動化して製品の品質を高めることができる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係るベアリング固定工具20,30,40、およびベアリング固定方法によれば、簡素で安価な構造と設備により、薄肉で低剛性な円筒状のハウジング3にベアリング4を、軽量、コンパクト、且つ高精度に保持させて抜脱を防止することができる。
また、このベアリング固定方法を用いて製造された車載用冷媒コンプレッサ1によれば、軽量でコンパクトな構造により、ハウジング3にベアリングを高精度に保持させて製造性と信頼性を高めることができる。
【0067】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更を加えることができる。例えば、車載用冷媒コンプレッサ1に限らず、他の種の、回転軸を有する機器類にも本発明を幅広く応用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 車載用冷媒コンプレッサ
3 ハウジング
4 ベアリング
4a ベアリングの外輪
5 回転軸
14 ベアリング保持穴
14a 塑性変形部
15 溝
20,30,40 ベアリング固定工具
21 刃状部
22 押圧部
22a 押圧部の内面
24 間欠部
41 動体
42 支持軸
43 駆動部
C ベアリング保持穴の中心線軸
F1,F3 刃状部の押付力
F2,F4 ハウジングの径方向外側から内側への押圧力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10