(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光コネクタ内に水分等の液体や異物が侵入した場合には、当該液体や異物により、光通信の信頼性に問題を及ぼす虞がある。
特に、特許文献1に記載の光コネクタは、被検体を検査する内視鏡装置に用いられている。このような内視鏡装置は、被検体の検査前に、所謂オートクレーブによる滅菌処理や、消毒液等による消毒処理が施されるため、光コネクタ内に水分や消毒液等の液体が侵入し易いものである。
このため、液体や異物の侵入を抑制し、光通信の信頼性を確保することができる技術が要望されている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、液体や異物の侵入を抑制し、光通信の信頼性を確保することができ
る医療機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る医療機器は、光信号を伝送する光伝送線の一部が内部に配設される光コネクタと、前記光コネクタと機械的及び光学的に接続する相手方コネクタとを備え、前記光コネクタは、内部に前記光伝送線が挿通され、前記光伝送線における前記光信号の出射端を覆う筒状の第1外郭と、出射端に対向する第1板面と当該第1板面と表裏をなす第2板面とを有し、前記第1外郭における前記相手方コネクタと接続する先端側を封止し、前記光信号に対して透光性を有するカバー部材とを備え、前記第1板面
及び前記第2板面は、平坦状に
それぞれ形成され、前記光伝送線の中心軸に直交する仮想平面に対して
それぞれ傾斜しており、前記カバー部材は、サファイアの単結晶で構成され、前記相手方コネクタは、前記光コネクタと接続する入射端を封止し、前記光信号に対して透光性を有する相手側カバー部材を備え、前記カバー部材に対向する前記相手側カバー部材の端面は、平坦状に形成され、前記光伝送線の中心軸に直交してい
ることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る
医療機器は、上記発明において
、前記出射端と前記カバー部材との間には、コリメータレンズが配設されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る
医療機器は、上記発明において、前記カバー部材は、前記
第1板面に反射防止膜を備えていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る
医療機器は、上記発明において、前記カバー部材は、前
記第1板面と、前記第1板面に平行な
前記第2板面とを有する板体で構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る
医療機器は、上記発明において、前記
第1板面は、前記仮想平面に対して1度以上45度以下の角度で傾斜していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る
医療機器は、上記発明において、前記カバー部材は、前記第1外郭の先端から前記第1外郭内にずれた位置に配設されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る
医療機器は、上記発明において、前記カバー部材は、半田、ロウ付、接着、またはガラス封止により前記第1外郭に接合されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る
医療機器は、上記発明において、前記第1外郭内における前記光伝送線の周囲は、封止材により封止されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る
医療機器は、上記発明において、前記第1外郭が嵌合されるとともに、内部に前記光伝送線が挿通される筒状の第2外郭と、前記第2外郭内に配設されるプリント基板と、前記相手方コネクタと電気的に接続するとともに、前記相手方コネクタ及び前記プリント基板を電気的に接続する電気接点とを備え、前記第2外郭内における前記光伝送線及び前記プリント基板の周囲は、封止材により封止されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る医療機器は、上記発明において、被検体内部を撮像して当該撮像信号に基づく光信号を出力する内視鏡と、第1伝送ケーブル及び第2伝送ケーブルを介して前記光信号を入力するとともに前記内視鏡の動作を制御する制御装置とを備え、前記第1伝送ケーブル及び前記第2伝送ケーブルは、前記光コネクタと、
前記相手方コネクタとにより互いに接続されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る医療機器は、上記発明において、前記光コネクタは、前記第1伝送ケーブル及び前記第2伝送ケーブルのうち、前記内視鏡に接続する前記第1伝送ケーブルに取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る光コネクタでは、第1外郭における相手方コネクタと接続する先端側は、透光性を有するカバー部材にて封止されている。
すなわち、カバー部材が透光性を有するため、当該カバー部材を介した光通信を可能とする。また、第1外郭の先端側をカバー部材にて封止することで、第1外郭内への液体や異物の侵入を抑制し、光通信の信頼性を確保することができる。
【0021】
本発明に係る医療機器は、上述した光コネクタを備えているため、上述した光コネクタと同様の効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0024】
〔内視鏡装置の概略構成〕
図1は、本発明の実施の形態に係る内視鏡装置1の概略構成を示す図である。
内視鏡装置1は、医療分野において用いられ、人等の観察対象物の内部(生体内)を観察する装置である。すなわち、内視鏡装置1は、本発明に係る医療機器に相当する。この内視鏡装置1は、
図1に示すように、内視鏡2と、第1,第2伝送ケーブル3A,3Bと、プラグ4と、レセプタクル5と、表示装置6と、制御装置7とを備える。
なお、本実施の形態では、内視鏡装置1として、内視鏡2に硬性鏡(挿入部21(
図1))を用いた内視鏡装置を説明するが、これに限られず、内視鏡2に軟性鏡(図示略)を用いた内視鏡装置としても構わない。また、本実施の形態では、内視鏡2として、カメラヘッド24(
図1)を用いるとともに当該カメラヘッド24と挿入部21とを別体に構成した内視鏡を説明するが、これに限られず、挿入部21とカメラヘッド24とを一体に構成した内視鏡としても構わない。また、内視鏡2を超音波検査のプローブで構成した内視鏡装置(超音波内視鏡)としても構わない。
【0025】
内視鏡2は、生体内(被検体内部)を撮像して当該撮像信号を出力する。この内視鏡2は、
図1に示すように、挿入部21と、光源装置22と、ライトガイド23と、カメラヘッド24とを備える。
挿入部21は、硬質で細長形状を有し、生体内に挿入される。この挿入部21内には、1または複数のレンズを用いて構成され、被写体像を集光する光学系が設けられている。
【0026】
光源装置22は、ライトガイド23の一端が接続され、当該ライトガイド23の一端に生体内を照明するための光を供給する。
ライトガイド23は、一端が光源装置22に着脱自在に接続されるとともに、他端が挿入部21に着脱自在に接続される。そして、ライトガイド23は、光源装置22から供給された光を一端から他端に伝達し、挿入部21に供給する。挿入部21に供給された光は、当該挿入部21の先端から出射され、生体内に照射される。そして、生体内に照射された光(被写体像)は、挿入部21内の光学系により集光される。
【0027】
カメラヘッド24は、挿入部21の基端に着脱自在に接続される。このカメラヘッド24は、被写体像を撮像して撮像信号(電気信号)を出力する撮像素子(図示略)と、撮像素子から出力された撮像信号(電気信号)を光信号に光電変換する光電変換素子(図示略)とを備える。そして、カメラヘッド24は、制御装置7による制御の下、挿入部21にて集光された被写体像を撮像し、当該撮像による撮像信号(電気信号)を光信号に光電変換して出力する。
【0028】
第1伝送ケーブル3Aは、最外層である外被(図示略)の内側に、カメラヘッド24から出力される光信号(撮像信号)を伝送する光伝送線である光ファイバ3A1(
図4参照)と、複数の電気信号ケーブル3A2(
図4参照)とを有する複合ケーブルである。そして、第1伝送ケーブル3Aの一端は、カメラヘッド24に接続される。
第2伝送ケーブル3Bは、第1伝送ケーブル3Aと同様に、光ファイバ3B1(
図2,
図4参照)及び複数の電気信号ケーブル3B2(
図4参照)を有する複合ケーブルである。そして、第2伝送ケーブル3Bの一端は、制御装置7に接続される。
【0029】
プラグ4は、雄型コネクタであり、本発明に係る光コネクタに相当する。そして、プラグ4は、第1伝送ケーブル3Aの他端に取り付けられる。
レセプタクル5は、雌型コネクタである。そして、レセプタクル5は、第2伝送ケーブル3Bの他端に取り付けられる。
以上のプラグ4及びレセプタクル5が互いに接続することで、第1,第2伝送ケーブル3A,3B間は、電気的及び光学的に接続し、電気信号及び光信号を伝送可能とする。
ここで、レセプタクル5を制御装置7の筐体7A(
図1で破線で図示)に設けると、レセプタクル5が制御装置7の筐体7Aに固定されるため、プラグ4とレセプタクル5との脱着が容易となる。しかし、必ずしもレセプタクル5を制御装置7の筐体7Aに設ける必要はなく、レセプタクル5を筐体7Aの外部に設けても構わない。
なお、プラグ4及びレセプタクル5の詳細な構造については、後述する。
【0030】
表示装置6は、制御装置7による制御の下、画像を表示する。
制御装置7は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等を用いて構成され、カメラヘッド24及び表示装置6の動作を統括的に制御する。
具体的に、制御装置7は、第1,第2伝送ケーブル3A,3B(光ファイバ)を介してカメラヘッド24から出力された光信号(撮像信号)を取得し、当該光信号を電気信号に光電変換する。そして、制御装置7は、光電変換した電気信号に対して種々の画像処理を施すことで、カメラヘッド24で撮像された画像を表示装置6に表示させる。また、制御装置7は、第1,第2伝送ケーブル3A,3B(電気信号ケーブル)を介して、カメラヘッド24に対して制御信号等を出力する。
【0031】
〔プラグ及びレセプタクルの構成〕
次に、プラグ4及びレセプタクル5の構成について説明する。
図2は、プラグ4及びレセプタクル5を当該プラグ4の基端側(カメラヘッド24側)から見た分解斜視図である。
図3は、プラグ4を先端側(レセプタクル5に接続する側)から見た斜視図である。
図4は、プラグ4及びレセプタクル5の中心軸を通る平面で切断した断面図である。
以下、プラグ4の構成、及びレセプタクル5の構成の順に説明する。
【0032】
〔プラグの構成〕
プラグ4は、
図2ないし
図4に示すように、プラグ側第1外郭41と、プラグ側カバー部材42(
図3,
図4)と、プラグ側コリメータ43(
図4)と、プラグ側第2外郭44と、コネクタ部45(
図4)と、プラグ側プリント基板46(
図4)と、弾性部材47とを備える。
プラグ側第1外郭41は、本発明に係る第1外郭に相当する部材であり、
図2ないし
図4に示すように、略円筒形状を有する。なお、プラグ側第1外郭41は、筒状であれば、円筒形状に限られず、楕円、四角、多角形等の断面形状を有する筒体で構成しても構わない。そして、プラグ側第1外郭41は、当該プラグ側第1外郭41の中心軸に沿って第1伝送ケーブル3Aを構成する光ファイバ3A1が挿通され、光ファイバ3A1における光信号の出射端を覆う。
【0033】
図5は、
図4に示したプラグ側第1外郭41の先端部分を拡大した図である。
このプラグ側第1外郭41において、先端の内周縁には、
図5に示すように、プラグ側カバー部材42を取り付けるための取付部41Aが形成されている。
具体的に、取付部41Aは、
図5に示すように、プラグ4内に挿通された光ファイバ3A1の中心軸(光軸)AxAに対して角度θだけ傾斜した方向A1に窪む凹部である。この取付部41Aにおける底部分は、平坦状に形成されている。そして、当該底部分の法線方向は、中心軸AxAに対して角度θだけ傾斜した方向となる。
【0034】
プラグ側カバー部材42は、本発明に係るカバー部材に相当する部材であり、方向A1から見た取付部41Aの平面形状と略同一の平面形状に形成されるとともに、互いに平行する第1,第2板面42A,42B(
図5)を有する板体で構成されている。そして、プラグ側カバー部材42は、取付部41Aの底部分にあてがわれ、半田、ロウ付、接着、またはガラス封止により、プラグ側第1外郭41(取付部41A)に対して気密に接合されている。
上述したように接合されることで、第1板面42Aは、光ファイバ3A1における光信号の出射端に対向し、プラグ側第1外郭41内に面する。また、プラグ側カバー部材42は、第1,第2板面42A,42Bが中心軸AxAに直交する仮想平面に対して角度θだけ傾斜した姿勢(第1,第2板面42A,42Bの法線が中心軸AxAに対して角度θだけ傾斜した姿勢)となる。さらに、プラグ側カバー部材42は、プラグ側第1外郭41の先端から当該プラグ側第1外郭41内にずれた位置(当該先端から奥まった位置)に位置付けられる。
ここで、上述した角度θは、1度以上45度以下の角度であることが好ましく、より好ましくは5度以上、20度以下である。角度θが1度以上傾いていれば、プラグ側コリメータ43への反射光を低減できるという効果を有する。角度θが45度より大きい場合は、光伝送を行うためにはプラグ側カバー部材42の面積を広く必要とし、当該プラグ側カバー部材42の大型化だけではなく、傾きが緩い場合よりも高い加工精度と組立精度が必要となる。このため、角度θは、45度以下であることが好ましい。プラグ側コリメータ43への反射光、窓部材の大きさ、加工精度、組立精度が最もバランスの良い角度θは、5度以上、20度以下であり、この角度領域が最も好ましい。
【0035】
本実施の形態では、プラグ側カバー部材42は、熱や薬品に対する耐性のあるサファイアの単結晶で構成されているが、これに限られず、光信号に対して透光性を有する部材であれば、ガラス等、その他の材料で構成しても構わない。カバー部材は、プラグ4側(プラグ側カバー部材42)、レセプタクル5側(レセプタクル側カバー部材52(
図4))に関わらず、光通信が成り立つ透過率を有していればよく、さらに、反射防止膜を設けると当該カバー部材表面での反射が低減し、効率良く光を伝送することが可能となる。プラグ側カバー部材42は、反射防止膜を両面に備えることが望ましい。反射防止膜を備えている場合は、必ずしも角度θが傾きを持つ必要はなく0度の場合も効果を有するが、角度θが上述の角度を持つとさらに効果を有する。
プラグ4は、カメラヘッド24に接続されている第1伝送ケーブル3Aに設けられている。このため、反射防止膜をプラグ4の外側(第2板面42B)に設けた場合には、オートクレーブ処理や薬液処理により劣化してしまう虞がある。したがって、少なくともプラグ4の内側(第1板面42A)に反射防止膜を設けると、プラグ4の内側は密閉されているため、温度や薬剤の影響を受けることが少なく、反射防止膜は有効に機能するためより好ましい。
以上のことから、本実施の形態では、
図5に示すように、プラグ側カバー部材42の第1板面42Aに反射防止膜421を設けている。
【0036】
プラグ側コリメータ43は、本発明に係るコリメータレンズに相当する部材であり、
図4に示すように、プラグ側第1外郭41内において、光ファイバ3A1の出射端に接合された状態で配設されている。すなわち、プラグ側コリメータ43は、プラグ側カバー部材42と光ファイバ3A1の出射端との間に配設されている。そして、プラグ側コリメータ43は、光ファイバ3A1の出射端から出射された光(光信号)を平行光とする。
【0037】
以上説明したプラグ側第1外郭41内において、当該プラグ側第1外郭41の基端側(プラグ側コリメータ43の一部の周囲、光ファイバ3A1の出射端側の周囲)は、
図4または
図5に示すように、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の粘着性の封止材R1により封止されている。なお、当該封止については、上述した樹脂等の封止材R1に限られず、その他、ガラス封止等を採用しても構わない。
【0038】
プラグ側第2外郭44は、本発明に係る第2外郭に相当する部材であり、
図2ないし
図4に示すように、先端側外郭441と、基端側外郭442とを備え、全体略円筒形状を有する。なお、プラグ側第2外郭44は、筒状であれば、円筒形状に限られず、楕円、四角、多角形等の断面形状を有する筒体で構成しても構わない。
先端側外郭441は、
図2ないし
図4に示すように、円筒状の大外径部441Aと、大外径部441Aの外径寸法よりも小さい外径寸法を有し、かつ大外径部441Aの内径寸法と同一の内径寸法を有する円筒状の小外径部441Bとが同軸上に一体形成された全体略円筒形状を有する。そして、プラグ側第1外郭41は、先端部分が突出するように、基端部分が先端側外郭441に嵌合する。
ここで、先端側外郭441とプラグ側第1外郭41との間は、Oリングや、シリコーン樹脂またはエポキシ樹脂等の粘着性の封止材により封止されている。
【0039】
この先端側外郭441には、
図2ないし
図4に示すように、導電性材料から構成された複数のプラグ側電気接点441Cが設けられている。
プラグ側電気接点441Cは、
図4に示すように、一端が大外径部441Aの外周面に露出するとともに、当該外周面から小外径部441Bにおける基端側の端面まで延び、他端が当該基端側の端面から突出するように設けられている。そして、複数のプラグ側電気接点441Cは、先端側外郭441における周方向に沿って所定の間隔で配設されている。
【0040】
基端側外郭442は、
図2ないし
図4に示すように、先端側外郭441に対して基端側に配設され、略円筒形状を有する。そして、基端側外郭442は、内部に第1伝送ケーブル3Aが挿通された状態で、先端部分が小外径部441Bに嵌合する。
ここで、基端側外郭442と小外径部441Bとの間は、Oリングや、シリコーン樹脂またはエポキシ樹脂等の粘着性の封止材により封止されている。
【0041】
コネクタ部45は、
図4に示すように、基端側外郭442内に配設され、複数のプラグ側電気接点441Cとプラグ側プリント基板46とを中継(電気的に接続)する。このコネクタ部45は、光ファイバ3A1が挿入される孔451Aを有する平板状のインシュレータ451と、導電性材料から構成され、当該インシュレータ451の表裏を貫通する複数のコンタクト(図示略)とを備える。また、コネクタ部45は、インシュレータ451が中心軸AxAに直交する姿勢で基端側外郭442内に配設される。そして、複数のコンタクトは、小外径部441Bにおける基端側の端面から突出した複数のプラグ側電気接点441Cとそれぞれ電気的に接続するとともに、電気配線48を介してプラグ側プリント基板46に電気的に接続する。
【0042】
プラグ側プリント基板46は、
図4に示すように、中心軸AxAを含む平面に沿って配設され、コネクタ部45を介して、複数のプラグ側電気接点441Cと、第1伝送ケーブル3Aを構成する複数の電気信号ケーブル3A2とを中継する。
【0043】
以上説明した基端側外郭442内において、当該基端側外郭442の基端側(第1伝送ケーブル3Aの一部の周囲、プラグ側プリント基板46の周囲)は、
図4に示すように、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の粘着性の封止材R2により封止されている。なお、当該封止については、上述した樹脂等の封止材R2に限られず、その他、ガラス封止等を採用しても構わない。
【0044】
弾性部材47は、第1伝送ケーブル3Aが基端側外郭442における基端部分の内周縁を中心として折れ曲がってしまうことを抑制する部材であり、ゴム等の弾性材料から構成された略円筒形状を有する。そして、弾性部材47は、内部に第1伝送ケーブル3Aが挿通された状態で、先端部分が基端側外郭442の基端部分に嵌合する。
ここで、弾性部材47と基端側外郭442との間は、Oリングや、シリコーン樹脂またはエポキシ樹脂等の粘着性の封止材により封止されている。
【0045】
〔レセプタクルの構成〕
レセプタクル5は、
図2または
図4に示すように、レセプタクル側第1外郭51と、レセプタクル側カバー部材52(
図4)と、レセプタクル側コリメータ53と、レセプタクル側第2外郭54と、レセプタクル側プリント基板55とを備える。
レセプタクル側第1外郭51は、
図2または
図4に示すように、先端側(プラグ4に接続する側)に位置する円筒状の大内径部511と、基端側に位置するとともに、大内径部511の内径寸法よりも小さい内径寸法を有し、かつ大内径部511の外径寸法と同一の外径寸法を有する円筒状の小内径部512とが同軸上に一体形成された全体略円筒形状を有する。なお、レセプタクル側第1外郭51は、筒状であれば、円筒形状に限られず、楕円、四角、多角形等の断面形状を有する筒体で構成しても構わない。
大内径部511は、内径寸法がプラグ側第1外郭41の外径寸法よりも若干大きくなるように形成されている。また、大内径部511は、長さ寸法(円筒の高さ方向の寸法)がプラグ側第1外郭41におけるプラグ側第2外郭44(先端側外郭441)からの突出寸法よりも若干大きくなるように形成されている。
【0046】
レセプタクル側カバー部材52は、透光性を有する板体で構成され、大内径部511及び小内径部512の段差部分にあてがわれ、レセプタクル側第1外郭51に対して接合されている。すなわち、レセプタクル側カバー部材52は、上述したプラグ側カバー部材42とは異なり、光ファイバ3B1の中心軸(光軸)AxB(
図4)に直交する姿勢で配設されている。なお、当該接合方法については、プラグ側第1外郭41に対するプラグ側カバー部材42の接合方法と同一の接合方法を採用してもよく、あるいは、異なる接合方法を採用しても構わない。また、レセプタクル側カバー52としては、プラグ側カバー部材42と同一の材料で構成してもよく、あるいは、異なる材料で構成しても構わない。
【0047】
レセプタクル側コリメータ53は、
図4に示すように、光ファイバ3B1の入射端に接合された状態で、小内径部512に挿通される。そして、レセプタクル側コリメータ53は、プラグ側コリメータ43から出射された光(光信号)を光ファイバ3B1の入射端に導く。
【0048】
レセプタクル側第2外郭54は、
図2または
図4に示すように、内径寸法がプラグ側第2外郭44(基端側外郭442)の外径寸法よりも若干大きい全体略円筒形状を有する。そして、レセプタクル側第1外郭51は、基端部分が突出するように、先端部分がレセプタクル側第2外郭54内に挿通される。
【0049】
レセプタクル側プリント基板55は、
図2または
図4に示すように、基板本体551と、複数のレセプタクル側電気接点552とを備える。
基板本体551は、
図4に示すように、略中心部分に、表裏を貫通する孔551Aを有する。そして、孔551Aには、レセプタクル側第1外郭51が嵌合する。
複数のレセプタクル側電気接点552は、導電性材料から構成されて基板本体551に電気的に接続するとともに、レセプタクル側第2外郭54内部に向けて突出する。このレセプタクル側電気接点552は、レセプタクル側第1外郭51における周方向に沿って所定の間隔で配設されている。また、このレセプタクル側電気接点552は、プラグ側電気接点441Cと同一の数だけ、設けられている。
そして、基板本体551は、複数のレセプタクル側電気接点552と、第2伝送ケーブル3Bを構成する複数の電気信号ケーブル3B2(
図4)とを中継する。
【0050】
上述したプラグ4及びレセプタクル5同士が機械的に接続した状態では、プラグ側第1外郭41がレセプタクル側第2外郭51(大内径部511)内に挿通される。そして、この状態では、光ファイバ3A1,3B1の各中心軸AxA,AxBが一致し、プラグ側コリメータ43(光ファイバ3A1の出射端)及びレセプタクル側コリメータ53(光ファイバ3B1の入射端)が互いに対向する。すなわち、カメラヘッド24から出力され第1伝送ケーブル3A(光ファイバ3A1)を介した光信号(撮像信号)を、プラグ4及びレセプタクル5を介して、第2伝送ケーブル3B(制御装置7)に伝送可能な状態(光通信可能な状態)となる。
また、プラグ4及びレセプタクル5同士が機械的に接続した状態では、プラグ側第2外郭44がレセプタクル側第2外郭54内に挿通され、複数のプラグ側電気接点441Cと複数のレセプタクル側電気接点552とがそれぞれ電気的に接続する。そして、この状態では、制御装置7から出力され第2伝送ケーブル3B(複数の電気信号ケーブル3B2)を介した制御信号等を、プラグ4及びレセプタクル5を介して、第1伝送ケーブル3A(カメラヘッド24)に伝送可能な状態となる。
【0051】
以上説明した本実施の形態に係るプラグ4では、プラグ側第1外郭41の先端側は、透光性を有するプラグ側カバー部材42にて封止されている。
すなわち、プラグ側カバー部材42が透光性を有するため、当該プラグ側カバー部材42を介した光通信を可能とする。また、プラグ側第1外郭41の先端側をプラグ側カバー部材42にて封止することで、プラグ側第1外郭41内への液体や異物の侵入を抑制し、光通信の信頼性を確保することができる。
【0052】
また、本実施の形態に係るプラグ4では、光ファイバ3A1の出射端とプラグ側カバー部材42との間にプラグ側コリメータ43が配設されている。同様に、本実施の形態に係るレセプタクル5にも、レセプタクル側コリメータ53が配設されている。
このため、プラグ側コリメータ43やレセプタクル側コリメータ53を省略した構成と比較して、プラグ4及びレセプタクル5間の機械的な接続にそれほど高い精度が要求されず、プラグ4及びレセプタクル5の製造を容易に行うことができる。
【0053】
ところで、挿入部21、ライトガイド23、カメラヘッド24、及び第1伝送ケーブル3Aについては、所謂オートクレーブによる滅菌処理や、消毒液等による消毒処理を行う必要のある部材である。
そして、本実施の形態に係るプラグ4は、第1,第2伝送ケーブル3A,3Bのうち、カメラヘッド24に接続する第1伝送ケーブル3Aに取り付けられている。また、プラグ側カバー部材42は、熱や薬品に対する耐性のあるサファイアガラスで構成されている。さらに、プラグ側カバー部材42は、半田、ロウ付、接着、またはガラス封止によりプラグ側第1外郭41に気密に接合されている。また、プラグ側第1外郭41内やプラグ側第2外郭44(基端側外郭442)内は封止材R1,R2で封止されている。
このため、上述したようなプラグ4を第1伝送ケーブル3Aに取り付けておけば、上述した滅菌処理や消毒処理が行われても、水分や消毒液等の液体がプラグ側第1外郭41内に侵入することを十分に抑制することができる。
【0054】
ところで、プラグ側カバー部材42を反射率の高いサファイアガラスで構成した場合には、プラグ側コリメータ43から出射された光の一部がプラグ側カバー部材42にて反射し、迷光となって、光通信の信頼性を損なう虞がある。
これに対して、本実施の形態に係るプラグ4では、プラグ側カバー部材42は、第1,第2板面42A,42Bが中心軸AxAに直交する仮想平面に対して角度θで傾斜した姿勢で配設されている。
このため、プラグ側コリメータ43から出射された光の一部がプラグ側カバー部材42にて反射した場合であっても、当該反射光は、プラグ側コリメータ43を避ける方向に進行することとなる。したがって、当該反射光が迷光となることがなく、光通信の信頼性を十分に確保することができる。
【0055】
また、本実施の形態に係るプラグ4では、プラグ側カバー部材42は、プラグ側第1外郭41の先端から当該プラグ側第1外郭41内にずれた位置(プラグ側第1外郭41内に奥まった位置)に位置付けられる。
このため、プラグ側カバー部材42を手で触れにくい構造となり、プラグ側カバー部材42に異物が付着することを抑制することができる。すなわち、当該異物により、光通信の信頼性が損なわれることがない。
【0056】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。
図6は、本発明の実施の形態の変形例を示す図である。具体的に、
図6は、
図5に対応した図であり、プラグ側第1外郭41の先端部分を拡大した図である。
上述した実施の形態では、プラグ側カバー部材42に反射防止膜421を設けていたが、これに限られず、
図6に示すように、反射防止膜421を省略した構成としても構わない。このような構成とした場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を奏する。
【0057】
図7は、本発明の実施の形態の変形例を示す図である。具体的に、
図7は、
図5に対応した図であり、プラグ側第1外郭41の先端部分を拡大した図である。
上述した実施の形態では、プラグ側カバー部材42は、プラグ側第1外郭41に対して、角度θで傾斜して接合されていたが、これに限られず、
図7に示すように、角度θが0度で接合された構成としても構わない。このような構成とした場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を奏する。
【0058】
上述した実施の形態では、本発明に係る光コネクタを雄型コネクタであるプラグ4で構成し、相手方コネクタを雌型コネクタであるレセプタクル5で構成していたが、これに限られず、本発明に係る光コネクタをレセプタクルで構成し、相手方コネクタをプラグで構成しても構わない。
【0059】
上述した実施の形態では、プラグ側カバー部材42は、第1板面42Aが平坦状に形成されていたが、これに限られず、曲面状に形成しても構わない。このように第1板面を曲面状に形成した場合であっても、プラグ側コリメータ43から出射され当該第1板面で反射された光がプラグ側コリメータ43を避ける方向に進行するように設定することが好ましい。
【0060】
上述した実施の形態では、光通信を1つのチャンネル(通信路)で行う場合について説明したが、これに限られず、複数のチャンネルとしても構わない。このように複数のチャンネルで光通信を行う場合には、各チャンネル毎にカバー部材を設けてもよく、複数のチャンネルをいくつかに纏め、チャンネル数よりも少ない数のカバー部材を設けることも可能である。
【0061】
上述した実施の形態では、本発明に係る光コネクタを内視鏡装置1に用いていたが、これに限られず、光信号を伝送する他の医療機器や、工業分野において用いられ、機械構造物等の観察対象物の内部を観察する内視鏡装置等の他の電子機器に用いても構わない。