特許第6556435号(P6556435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556435
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
   G11C 13/00 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   G11C13/00 480J
   G11C13/00 270G
   G11C13/00 215
【請求項の数】17
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-188715(P2014-188715)
(22)【出願日】2014年9月17日
(65)【公開番号】特開2016-62626(P2016-62626A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】東芝メモリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】彭 海洋
(72)【発明者】
【氏名】財津 光一郎
(72)【発明者】
【氏名】安田 心一
【審査官】 酒井 恭信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−066438(JP,A)
【文献】 特開2010−225750(JP,A)
【文献】 特開2014−165345(JP,A)
【文献】 特開2012−074118(JP,A)
【文献】 特開2000−030463(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/046128(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0237985(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の電極と、前記第1及び第2の電極間に接続され、第1及び第2の抵抗状態間を可逆的に変化可能な抵抗変化膜と、前記第1及び第2の電極間の電位差を制御する制御回路と、を具備し、
前記第1の抵抗状態は、前記第2の抵抗状態よりも抵抗値が大きく、
前記制御回路は、
前記第1の電極に第1の電位を印加し、前記第2の電極に前記第1の電位よりも小さい第2の電位を印加することにより、前記抵抗変化膜を前記第1の抵抗状態に可逆的に変化させ、
前記第1の電極に第3の電位を印加し、前記第2の電極に前記第3の電位よりも小さい第4の電位を印加することにより、前記抵抗変化膜を前記第2の抵抗状態に可逆的に変化させ、
前記第1の電極に第5の電位を印加し、前記第2の電極に前記第5の電位よりも大きい第6の電位を印加することにより、前記抵抗変化膜を前記第1の抵抗状態に不可逆的に固定させる、
半導体集積回路。
【請求項2】
第1及び第2の電極と、前記第1及び第2の電極間に接続され、第1及び第2の抵抗状態間を可逆的に変化可能な抵抗変化膜と、前記第1及び第2の電極間の電位差を制御する制御回路と、を具備し、
前記第1の抵抗状態は、前記第2の抵抗状態よりも抵抗値が大きく、
前記制御回路は、
前記第1の電極に第1の電位を印加し、前記第2の電極に前記第1の電位よりも小さい第2の電位を印加することにより、前記抵抗変化膜を前記第1の抵抗状態に可逆的に変化させ、
前記第1の電極に第3の電位を印加し、前記第2の電極に前記第3の電位よりも小さい第4の電位を印加することにより、前記抵抗変化膜を前記第2の抵抗状態に可逆的に変化させ、
前記第1の電極に第5の電位を印加し、前記第2の電極に前記第5の電位よりも小さい第6の電位を印加することにより、前記抵抗変化膜を前記第2の抵抗状態に不可逆的に固定させ、
前記第1の電極に第7の電位を印加し、前記第2の電極に前記第7の電位よりも大きい第8の電位を印加することにより、前記抵抗変化膜を前記第1の抵抗状態に不可逆的に固定させる、
半導体集積回路。
【請求項3】
前記第3及び第4の電位の電位差は、前記第1及び第2の電位の電位差よりも大きい、請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記第5及び第6の電位の電位差の絶対値は、前記第1及び第2の電位の電位差の絶対値よりも大きい、請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記第5及び第6の電位の電位差の絶対値は、前記第3及び第4の電位の電位差の絶対値よりも大きい、請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項6】
前記第1の電極は、ニッケルであり、前記第2の電極は、窒化チタンであり、前記抵抗変化膜は、酸化ハフニウムである、請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項7】
前記第1の電極は、窒化チタンであり、前記第2の電極は、チタンであり、前記抵抗変化膜は、酸化シリコンである、請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項8】
第1の方向に延びる複数のワード線と、前記第1の方向に交差する第2の方向に延びる複数のビット線と、前記複数のワード線及び前記複数のビット線間にそれぞれ接続される複数のメモリセルと、前記複数のワード線を駆動する第1のドライバと、前記複数のビット線を駆動する第2のドライバと、をさらに具備し、
前記複数のメモリセルの各々は、前記第1の電極、前記抵抗変化膜、及び、前記第2の電極を備え、
前記複数のメモリセルの各々の抵抗状態を変えるとき、前記制御回路は、前記第1及び第2のドライバを介して、前記複数のメモリセルの各々内の前記第1及び第2の電極間の電位差を制御する、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項9】
第1、第2、第3、及び、第4のノードと、前記第1及び第2のノード間に接続される第1のメモリセルと、前記第1及び第3のノード間に接続される第2のメモリセルと、第1の制御端子を有し、前記第1及び第4のノード間の接続/非接続を決める第1のスイッチ素子と、前記第1のノードに接続される第2の制御端子を有する第2のスイッチ素子と、前記第1の制御端子に接続される第1のドライバと、前記第2第3及び第4のノードに接続される第2のドライバと、をさらに具備し、
前記第1及び第2のメモリセルの各々は、前記第1の電極、前記抵抗変化膜、及び、前記第2の電極を備え、
前記第1及び第2のメモリセルの各々の抵抗状態を変えるとき、前記制御回路は、前記第1及び第2のドライバを介して、前記第1及び第2のメモリセルの各々内の前記第1及び第2の電極間の電位差を制御する、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項10】
前記第1のメモリセル内の前記第1の電極、及び、前記第2のメモリセル内の前記第1の電極は、共に、前記第1のノードに接続され、前記第1のメモリセル内の前記第2の電極は、前記第2のノードに接続され、前記第2のメモリセル内の前記第2の電極は、前記第3のノードに接続される、
請求項に記載の半導体集積回路。
【請求項11】
前記第1のメモリセル内の前記第2の電極、及び、前記第2のメモリセル内の前記第2の電極は、共に、前記第1のノードに接続され、前記第1のメモリセル内の前記第1の電極は、前記第2のノードに接続され、前記第2のメモリセル内の前記第1の電極は、前記第3のノードに接続される、
請求項に記載の半導体集積回路。
【請求項12】
前記第1のメモリセル内の前記抵抗変化膜は、前記第2のメモリセル内の前記抵抗変化膜の抵抗状態とは異なる抵抗状態を有する、
請求項乃至11のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項13】
前記第1のメモリセル内の前記抵抗変化膜の抵抗状態が不可逆的に固定されるとき、前記第2のメモリセル内の前記抵抗変化膜の抵抗状態も不可逆的に固定される、
請求項12に記載の半導体集積回路。
【請求項14】
第1のメモリセルを有し、不良アドレスデータを記憶する記憶部と、前記記憶部に接続されるドライバと、第2のメモリセルを有する第1のメモリセルアレイと、入力アドレスデータが前記不良アドレスデータに一致しないとき、前記入力アドレスデータに基づいて、前記第2のメモリセルを選択する第1のデコーダと、第3のメモリセルを有する第2のメモリセルアレイと、前記入力アドレスデータが前記不良アドレスデータに一致するとき、前記入力アドレスデータに基づいて、前記第3のメモリセルを選択する第2のデコーダと、をさらに具備し、
前記第1、第2、及び、第3のメモリセルの各々は、前記第1の電極、前記抵抗変化膜、及び、前記第2の電極を備え、
前記第1のメモリセルの抵抗状態を変えるとき、前記制御回路は、前記ドライバを介して、前記第1のメモリセル内の前記第1及び第2の電極間の電位差を制御する、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項15】
前記不良アドレスデータは、前記第1のメモリセル内の前記抵抗変化膜の抵抗状態を不可逆的に固定することにより、前記記憶部内に記憶される、
請求項14に記載の半導体集積回路。
【請求項16】
第1の方向に延びる複数のワード線と、前記第1の方向に交差する第2の方向に延びる複数のビット線と、前記複数のワード線及び前記複数のビット線間にそれぞれ接続される複数のメモリセルと、前記複数のワード線を駆動する第1のドライバと、前記複数のビット線を駆動する第2のドライバと、前記複数のワード線及び前記第1のドライバ間にそれぞれ接続される複数のリダンダンシイセルと、前記複数のワード線と前記複数のリダンダンシイセルとの接続点に接続される第3のドライバと、をさらに具備し、
前記複数のメモリセル及び前記複数のリダンダンシイセルの各々は、前記第1の電極、前記抵抗変化膜、及び、前記第2の電極を備え、
前記複数のリダンダンシイセルの各々の抵抗状態を変えるとき、前記制御回路は、前記第1及び第3のドライバを介して、前記複数のリダンダンシイセルの各々内の前記第1及び第2の電極間の電位差を制御する、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項17】
第1の方向に延びる複数のワード線と、前記第1の方向に交差する第2の方向に延びる複数のビット線と、前記複数のワード線及び前記複数のビット線間にそれぞれ接続される複数のメモリセルと、前記複数のワード線を駆動する第1のドライバと、前記複数のビット線を駆動する第2のドライバと、前記複数のビット線及び前記第2のドライバ間にそれぞれ接続される複数のリダンダンシイセルと、前記複数のビット線と前記複数のリダンダンシイセルとの接続点に接続される第3のドライバと、をさらに具備し、
前記複数のメモリセル及び前記複数のリダンダンシイセルの各々は、前記第1の電極、前記抵抗変化膜、及び、前記第2の電極を備え、
前記複数のリダンダンシイセルの各々の抵抗状態を変えるとき、前記制御回路は、前記第2及び第3のドライバを介して、前記複数のリダンダンシイセルの各々内の前記第1及び第2の電極間の電位差を制御する、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代の不揮発性半導体メモリとして、抵抗変化膜をメモリセルとして使用する抵抗変化メモリが注目されている。抵抗変化メモリは、NANDフラッシュメモリよりも動作速度が速く、かつ、三次元による大容量化が可能であることから、小型携帯機器などの低消費電力が望まれるシステムのワークメモリとしての適用が検討されている。
【0003】
抵抗変化メモリは、一般的には、書き換え可能メモリ(Rewritable memory)として使用されるため、抵抗変化メモリのメモリセルとしての抵抗変化膜は、低抵抗状態と高抵抗状態との間を可逆的に変化可能であることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/140296号
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0103132号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/0199028号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0134910号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2007/0146012号明細書
【特許文献6】特開2010−182404号公報
【特許文献7】特開2008−181633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態は、抵抗変化膜をワンタイムプログラムメモリ(ヒューズ又はアンチヒューズ)として使用可能な技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、半導体集積回路は、第1及び第2の電極と、前記第1及び第2の電極間に接続され、第1及び第2の抵抗状態間を可逆的に変化可能な抵抗変化膜と、前記第1及び第2の電極間の電位差を制御する制御回路と、を備え、前記第1の抵抗状態は、前記第2の抵抗状態よりも抵抗値が大きく、前記制御回路は、前記第1の電極に第1の電位を印加し、前記第2の電極に前記第1の電位よりも小さい第2の電位を印加することにより、前記抵抗変化膜を前記第1の抵抗状態に可逆的に変化させ、前記第1の電極に第3の電位を印加し、前記第2の電極に前記第3の電位よりも小さい第4の電位を印加することにより、前記抵抗変化膜を前記第2の抵抗状態に可逆的に変化させ、前記第1の電極に第5の電位を印加し、前記第2の電極に前記第5の電位よりも大きい第6の電位を印加することにより、前記抵抗変化膜を前記第1の抵抗状態に不可逆的に固定させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】抵抗変化膜を含む半導体集積回路の例を示す図。
図2】可逆的セットの例を示す図。
図3】可逆的セットの電圧−電流曲線を示す図。
図4】可逆的リセットの例を示す図。
図5】可逆的リセットの電圧−電流曲線を示す図。
図6】不可逆的セットの例を示す図。
図7】不可逆的セットの電圧−電流曲線を示す図。
図8】不可逆的リセットの例を示す図。
図9】不可逆的リセットの電圧−電流曲線を示す図。
図10】クロスポイント型抵抗変化メモリへの適用例を示す図。
図11】メモリセルが抵抗変化膜のみを備える例を示す図。
図12】メモリセルが抵抗変化膜とダイオードを備える例を示す図。
図13】メモリセルアレイのデバイス構造の例を示す図。
図14】メモリセルの例を示す図。
図15】メモリセルの例を示す図。
図16】書き込み動作の第1の例を示す図。
図17】書き込み動作の第2の例を示す図。
図18】書き込み動作の第3の例を示す図。
図19】プログラマブルスイッチへの適用例を示す図。
図20】2つの抵抗変化膜の向きの第1の例を示す図。
図21】2つの抵抗変化膜の向きの第2の例を示す図。
図22A】書き込み動作の例を示す図。
図22B】書き込み動作の例を示す図。
図22C】書き込み動作の例を示す図。
図23】読み出し動作の例を示す図。
図24】リダンダンシイ回路への適用例を示す図。
図25】ワード線側のリダンダンシイ回路の例を示す図。
図26】書き込み動作の例を示す図。
図27】ビット線側のリダンダンシイ回路の例を示す図。
図28】書き込み動作の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。
1. 第1の実施例
図1は、第1の実施例に係わる半導体集積回路を示している。
【0009】
この半導体集積回路は、第1の電極11と、第2の電極12と、第1及び第2の電極11,12間に接続され、第1及び第2の抵抗状態間を可逆的に変化可能な抵抗変化膜REと、第1及び第2の電極11,12間に電位差を印加するためのドライバ13と、第1及び第2の電極11,12間の電位差を制御する制御回路14と、を備える。
【0010】
この実施例では、第1及び第2の電極11,12の上下関係は、特に限定されない。例えば、第2の電極12が第1の電極11の上部に存在していてもよいし、第1の電極11が第2の電極12の上部に存在していてもよい。
【0011】
また、第1及び第2の電極11,12、及び、抵抗変化膜REは、それぞれ、単層構造であってもよいし、複数層を備える多層構造であってもよい。
【0012】
さらに、第1及び第2の電極11,12、及び、抵抗変化膜REを備える抵抗変化素子に、ダイオードを直列接続してもよい。
【0013】
第1及び第2の電極11,12は、Ni, Pt, Au, Ag, Ru, Ir, Co, Ti, Al, Rh, Nb, Wなどの金属、不純物がドープされたポリシリコンなどの導電性半導体、又は、これら金属と導電性半導体のシリサイドを備える。また、第1及び第2の電極11,12は、TiAlN, SrRuO3, RuN, TiN, TaN, LaNiOx, PtIrOx, PtRhOx, TaAlN, InSnOxなどの化合物を備えていてもよい。
【0014】
抵抗変化膜REは、HfOx, SiOx, TaOx, ZnO, TiO2, NiO, WOxなどの金属酸化物を備える。抵抗変化膜REは、少なくとも2つの抵抗状態を可逆的に変化可能である。但し、以下では、説明を簡略化するため、抵抗変化膜REは、2つの抵抗状態を可逆的に変化可能であるものと仮定する。
【0015】
ここで、抵抗変化膜REの2つの抵抗状態のうちの1つを、低抵抗状態(Low Resistive State: LRS)と称し、他の1つを、高抵抗状態(High Resistive State: HRS)と称する。また、高抵抗状態をリセット状態とし、低抵抗状態をセット状態とする。抵抗変化膜REは、初期状態として、リセット状態を有しているものとする。
【0016】
制御回路14は、セット/リセット時(書き込み/消去時)に、ドライバ13を介して、第1及び第2の電極11,12間に印加する電位差を制御する。
【0017】
セットとは、抵抗変化膜REを、高抵抗状態(リセット状態)から低抵抗状態(セット状態)に変化させる動作のことである。リセットとは、抵抗変化膜REを、低抵抗状態(セット状態)から高抵抗状態(リセット状態)に変化させる動作のことである。セット電圧は、抵抗変化膜REをセット状態にするために必要な電位差のことであり、リセット電圧は、抵抗変化膜REをリセット状態にするために必要な電位差のことである。
【0018】
本実施例は、セット/リセット電圧は、同一極性であることを前提とする。このようなセット/リセット電圧を用いたセット/リセット動作は、モノポーラ動作と称される。
【0019】
制御回路14は、セット/リセット時に、以下の4つの動作を制御する。
【0020】
・ 可逆的セット(“0”−書き込み)
例えば、抵抗変化膜REの低抵抗状態を“0”状態と仮定したとき、可逆的セットは、“0”−書き込みを意味する。ここでの可逆的とは、セット動作を行った後に、再び、抵抗変化膜REをリセット状態に戻すことができることを意味する。
【0021】
図2は、可逆的セットの抵抗変化膜REの状態を示している。図3は、可逆的セットの電圧−電流曲線を示している。
【0022】
可逆的セットでは、制御回路14は、第1の電極11に電位V1を印加し、第2の電極12に電位V1よりも小さい電位V2を印加する。2つの電位V1,V2の電位差の最大値は、Vset(=V1−V2)である。
【0023】
抵抗変化膜REに電位差Vsetを与える前において、抵抗変化膜REは、高抵抗状態HRSを有している。このため、抵抗変化膜REに電位差を与え始めた時点では、抵抗変化膜REに流れる電流は、小さい。しかし、この後、抵抗変化膜REに電位差Vsetを与えると、抵抗変化膜REは、低抵抗状態LRSに変化する。
【0024】
従って、抵抗変化膜REに電位差Vsetを与えた後においては、抵抗変化膜REに流れる電流は、抵抗変化膜REに電位差Vsetを与える前よりも大きくなる。
【0025】
・ 可逆的リセット(“1”−書き込み)
例えば、抵抗変化膜REの高抵抗状態を“1”状態と仮定したとき、可逆的リセットは、“1”−書き込みを意味する。ここでの可逆的とは、リセット動作を行った後に、再び、抵抗変化膜REをセット状態に戻すことができることを意味する。
【0026】
図4は、可逆的リセットの抵抗変化膜REの状態を示している。図5は、可逆的リセットの電圧−電流曲線を示している。
【0027】
可逆的リセットでは、制御回路14は、第1の電極11に電位V1を印加し、第2の電極12に電位V1よりも小さい電位V2を印加する。2つの電位V1,V2の電位差の最大値は、Vreset(=V1−V2)である。Vresetは、例えば、上述のVsetよりも小さい。
【0028】
抵抗変化膜REに電位差Vresetを与える前において、抵抗変化膜REは、低抵抗状態LRSを有している。このため、抵抗変化膜REに電位差を与え始めた時点では、抵抗変化膜REに流れる電流は、大きい。しかし、この後、抵抗変化膜REに電位差Vresetを与えると、抵抗変化膜REは、高抵抗状態HRSに変化する。
【0029】
従って、抵抗変化膜REに電位差Vresetを与えた後においては、抵抗変化膜REに流れる電流は、抵抗変化膜REに電位差Vresetを与える前よりも小さくなる。
【0030】
・ 不可逆的セット(“0”−固定)
例えば、抵抗変化膜REの低抵抗状態を“0”状態と仮定したとき、不可逆的セットは、“0”−固定(ワンタイムプログラム)を意味する。ここでの不可逆的とは、セット動作を行った後に、再び、抵抗変化膜REをリセット状態に戻すことができないことを意味する。
【0031】
図6は、不可逆的セットの抵抗変化膜REの状態を示している。図7は、不可逆的セットの電圧−電流曲線を示している。
【0032】
不可逆的セットでは、制御回路14は、第1の電極11に電位V1を印加し、第2の電極12に電位V1よりも小さい電位V2を印加する。2つの電位V1,V2の電位差の最大値は、Vantifuse(=V1−V2)である。Vantifuseは、例えば、上述のVset及びVresetのいずれよりも大きい。
【0033】
抵抗変化膜REに電位差Vantifuseを与える前において、抵抗変化膜REは、高抵抗状態HRS又は低抵抗状態LRSを有している。ここでは、抵抗変化膜REに電位差Vantifuseを与える前において、抵抗変化膜REが低抵抗状態LRSを有している場合について説明する。
【0034】
この場合、抵抗変化膜REに電位差を与え始めた時点では、抵抗変化膜REに流れる電流は、大きい。しかし、この後、抵抗変化膜REに与える電位差がVresetになると、抵抗変化膜REは、高抵抗状態HRSに変化する。このため、抵抗変化膜REに流れる電流は、小さくなる。
【0035】
さらに、この後、抵抗変化膜REに与える電位差がVantifuseになると、抵抗変化膜REは、低抵抗状態LRSに固定される。このため、抵抗変化膜REに電位差Vantifuseを与えた後においては、抵抗変化膜REに流れる電流は、抵抗変化膜REに電位差Vantifuseを与える前よりも大きくなる。
【0036】
・ 不可逆的リセット(“1”−固定)
例えば、抵抗変化膜REの高抵抗状態を“1”状態と仮定したとき、不可逆的リセットは、“1”−固定(ワンタイムプログラム)を意味する。ここでの不可逆的とは、リセット動作を行った後に、再び、抵抗変化膜REをセット状態に戻すことができないことを意味する。
【0037】
図8は、不可逆的リセットの抵抗変化膜REの状態を示している。図9は、不可逆的リセットの電圧−電流曲線を示している。
【0038】
不可逆的リセットでは、制御回路14は、第1の電極11に電位V1を印加し、第2の電極12に電位V1よりも大きい電位V2を印加する。2つの電位V1,V2の電位差の最大値は、Vfuse(=V2−V1)である。ここで、Vfuseの極性は、Vset、Vreset、及び、Vantifuseの極性とは異なる。
【0039】
また、Vfuseの絶対値|Vfuse|は、例えば、上述のVset及びVresetの絶対値|Vset|及び|Vreset|のいずれよりも大きい。
【0040】
抵抗変化膜REに電位差Vfuseを与える前において、抵抗変化膜REは、高抵抗状態HRS又は低抵抗状態LRSを有している。ここでは、抵抗変化膜REに電位差Vfuseを与える前において、抵抗変化膜REが低抵抗状態LRSを有している場合について説明する。
【0041】
この場合、抵抗変化膜REに電位差を与え始めた時点では、抵抗変化膜REに流れる電流は、大きい。しかし、この後、抵抗変化膜REに与える電位差がVfuseになると、抵抗変化膜REは、高抵抗状態HRSに変化する。このため、抵抗変化膜REに電位差Vfuseを与えた後においては、抵抗変化膜REに流れる電流は、抵抗変化膜REに電位差Vfuseを与える前よりも小さくなる。
【0042】
ところで、上述の4つの動作を行うに当たっては、抵抗変化膜REが酸化ハフニウムであるときは、第1の電極11は、ニッケルであり、第2の電極12は、窒化チタンであるのが望ましい。また、抵抗変化膜REが酸化シリコンであるときは、第1の電極11は、窒化チタンであり、第2の電極12は、チタンであるのが望ましい。
【0043】
2. 第2の実施例
図10は、第2の実施例に係わる半導体集積回路を示している。
【0044】
この半導体集積回路は、いわゆるクロスポイント型抵抗変化メモリ、例えば、ReRAMに関する。
【0045】
この半導体集積回路は、第1の方向に延びる複数のワード線WL0〜WL3と、第1の方向に交差する第2の方向に延びる複数のビット線BL0〜BL3と、複数のワード線WL0〜WL3及び複数のビット線BL0〜BL3間にそれぞれ接続される複数のメモリセルMCと、複数のワード線WL0〜WL3を駆動する第1のドライバ13Aと、複数のビット線BL0〜BL3を駆動する第2のドライバ13Bと、を備える。
【0046】
メモリセルアレイ20内の複数のメモリセルMCの各々は、少なくとも、上述の第1の実施例(図1を参照)で説明した、第1の電極11、抵抗変化膜RE、及び、第2の電極12を備える。但し、第1の電極11を、ワード線WLi及びビット線BLjのうちの一方とし、第2の電極12を、ワード線WLi及びビット線BLjのうちの他方としてもよい。但し、i及びjは、0,1,2,3,…である。
【0047】
そして、メモリセルアレイ20内の複数のメモリセルMCの各々の抵抗状態を変えるとき、制御回路14は、第1及び第2のドライバ13A,13Bを介して、複数のメモリセルMCの各々内の第1及び第2の電極11,12(図1を参照)間の電位差を制御する。
【0048】
これにより、メモリセルアレイ20内の複数のメモリセルMCの各々の抵抗状態を、上述の第1の実施例で説明した、4通り(可逆的セット、可逆的リセット、不可逆的セット、及び、不可逆的リセット)のうちの1つに変化させることができる。
【0049】
図11及び図12は、図10の複数のメモリセルMCの例を示している。
【0050】
図11の例は、複数のメモリセルMCの各々が、抵抗変化素子のみを備える例である。この例では、後述するように、上述の第1の実施例で説明した、4通り(可逆的セット、可逆的リセット、不可逆的セット、及び、不可逆的リセット)の全てを実行することができる。
【0051】
図12の例は、複数のメモリセルMCの各々が、直列接続される抵抗変化素子とダイオードを備える例である。この例では、後述するように、上述の第1の実施例で説明した、4通り(可逆的セット、可逆的リセット、不可逆的セット、及び、不可逆的リセット)のうち、同一極性の電位差で行うことができる3つ(可逆的セット、可逆的リセット、及び、不可逆的セット)を実行することができる。
【0052】
図13は、図10のメモリセルアレイ20のデバイス構造の例を示している。
【0053】
複数のワード線WL0〜WL3は、ライン&スペースパターンを有し、半導体基板15の上面に平行な第1の方向に延びる。複数のビット線BL0〜BL3は、ライン&スペースパターンを有し、半導体基板15の上面に平行な第2の方向に延びる。第1及び第2の方向は、互いに交差する方向である。
【0054】
この例では、複数のワード線WL0〜WL3が、複数のビット線BL0〜BL3上に配置されるが、これに代えて、複数のビット線BL0〜BL3が、複数のワード線WL0〜WL3上に配置されてもよい。
【0055】
図14及び図15は、図13の複数のメモリセルMCの例を示している。
【0056】
図14の例は、図11の例に対応する。
即ち、複数のメモリセルMCの各々は、抵抗変化膜REのみを備える。
【0057】
この例では、同図(a)に示すように、ビット線BLj(j=0,1,2,3,…)を、図1の第1及び第2の電極11,12のうちの一方とし、ワード線WLi(i=0,1,2,3,…)を、図1の第1及び第2の電極11,12のうちの他方としてもよい。
【0058】
また、同図(b)に示すように、抵抗変化膜REとビット線BLj(j=0,1,2,3,…)との間に、図1の第1及び第2の電極11,12のうちの一方を設け、抵抗変化膜REとワード線WLi(i=0,1,2,3,…)との間に、図1の第1及び第2の電極11,12のうちの他方を設けてもよい。
【0059】
図15の例は、図12の例に対応する。
即ち、複数のメモリセルMCの各々は、抵抗変化素子及びダイオードを備える。この例では、抵抗変化素子がダイオード上に配置されるが、これに代えて、ダイオードが抵抗変化素子上に配置されてもよい。
【0060】
ダイオードは、P型シリコンとN型シリコンの積層、大きな仕事関数を持つ金属とN型シリコンの積層、小さな仕事関数を持つ金属とP型シリコンの積層、絶縁体を2つの金属で挟み込んだ構造など、を採用することができる。
【0061】
この例では、ダイオードは、絶縁膜Dとそれを挟む2つの電極E1,E2で構成される。電極E1は、ビット線BLj(j=0,1,2,3,…)側に設けられる。また、抵抗変化膜REと電極E2との間に、図1の第1及び第2の電極11,12のうちの一方を設け、抵抗変化膜REとワード線WLi(i=0,1,2,3,…)との間に、図1の第1及び第2の電極11,12のうちの他方を設ける。但し、この構成は、一例である。
【0062】
図16は、図11のメモリセルアレイを用いたときのセット/リセット動作の例を示している。
【0063】
ここでのセット/リセット動作とは、可逆的セット/リセット動作、及び、不可逆的セット/リセット動作の4種類を意味する。
【0064】
選択されたメモリセルMC-selが、ワード線WL2及びビット線BL2間に接続されるとき、制御回路14は、第1のドライバ13Aを用いて、ワード線WL2を、Vselに設定し、それ以外のワード線WL0,WL1,WL3を、Vsel/2に設定する。また、制御回路14は、第2のドライバ13Bを用いて、ビット線BL2を、0V(接地電位)に設定し、それ以外のビット線BL0,BL1,BL3を、Vsel/2に設定する。
【0065】
この時、選択されたメモリセルMC-selには、電位差Vselが印加される。従って、選択されたメモリセルMC-selの抵抗状態は、セット状態(低抵抗状態LRS)、又は、リセット状態(高抵抗状態HRS)に変化する。
【0066】
また、選択されたメモリセルMC-sel以外の複数の非選択のメモリセルのうち、ワード線WL2又はビット線BL2に接続される複数の非選択のメモリセルには、電位差Vsel/2が印加される。従って、これらの複数の非選択のメモリセルの抵抗状態は、変化しない。但し、Vsel/2は、セット電圧Vset及びリセット電圧Vresetよりも小さいことが必要である。
【0067】
また、選択されたメモリセルMC-sel以外の複数の非選択のメモリセルのうち、ワード線WL0,WL1,WL3及びビット線BL0,BL1,BL3間に接続される複数の非選択のメモリセルには、電位差が印加されない。従って、これらの複数の非選択のメモリセルの抵抗状態も、変化しない。
【0068】
Vselは、セット/リセット動作を、可逆的に行うか、又は、不可逆的に行うか、によって異なる。可逆的にセット/リセット動作を行うときは、Vselは、Vset又はVresetに設定される。また、不可逆的にセット/リセット動作を行うときは、Vselは、Vantifuse又はVfuseに設定される。
【0069】
本例では、Vset、Vreset、及び、Vantifuseは、同一極性の電位(例えば、正電位)であるのに対し、Vfuseは、Vset、Vreset、及び、Vantifuseとは逆極性の電位(例えば、負電位)である。
【0070】
但し、負電位としてのVfuseを生成したくないときは、図17に示すような電位関係にすることも可能である。
【0071】
図17の例では、ビット線BL2が、Vsel(=Vfuse)に設定され、ワード線WL2が、0V(接地電位)に設定される。それ以外については、図16の例と同じである。この場合、Vfuseを正電位にしても、選択されたメモリセルMC-selには、可逆的セット/リセット動作、及び、不可逆的セット動作とは、逆極性の電位差を印加することができる。
【0072】
図18は、図12のメモリセルアレイを用いたときのセット/リセット動作の例を示している。
【0073】
ここでのセット/リセット動作とは、可逆的セット/リセット動作、及び、不可逆的セット動作の3種類を意味する。
【0074】
選択されたメモリセルMC-selが、ワード線WL2及びビット線BL2間に接続されるとき、制御回路14は、第1のドライバ13Aを用いて、ワード線WL2を、Vselに設定し、それ以外のワード線WL0,WL1,WL3を、Vsel/2に設定する。また、制御回路14は、第2のドライバ13Bを用いて、ビット線BL2を、0V(接地電位)に設定し、それ以外のビット線BL0,BL1,BL3を、Vsel/2に設定する。
【0075】
この時、選択されたメモリセルMC-selには、電位差Vselが印加される。従って、選択されたメモリセルMC-selの抵抗状態は、セット状態(低抵抗状態LRS)、又は、リセット状態(高抵抗状態HRS)に変化する。
【0076】
また、選択されたメモリセルMC-sel以外の複数の非選択のメモリセルのうち、ワード線WL2又はビット線BL2に接続される複数の非選択のメモリセルには、電位差Vsel/2が印加される。従って、これらの複数の非選択のメモリセルの抵抗状態は、変化しない。但し、Vsel/2は、セット電圧Vset及びリセット電圧Vresetよりも小さいことが必要である。
【0077】
また、選択されたメモリセルMC-sel以外の複数の非選択のメモリセルのうち、ワード線WL0,WL1,WL3及びビット線BL0,BL1,BL3間に接続される複数の非選択のメモリセルには、電位差が印加されない。従って、これらの複数の非選択のメモリセルの抵抗状態も、変化しない。
【0078】
Vselは、セット/リセット動作を、可逆的に行うか、又は、不可逆的に行うか、によって異なる。可逆的にセット/リセット動作を行うときは、Vselは、Vset又はVresetに設定される。また、不可逆的にセット動作を行うときは、Vselは、Vantifuseに設定される。
【0079】
本例では、不可逆的にリセット動作を行うことができない。
【0080】
なぜなら、不可逆的にリセット動作を行うためには、選択されたメモリセルMC-selに、可逆的セット/リセット動作、及び、不可逆的セット動作とは、逆極性の電位差を印加する必要があるからである。しかし、本例では、クロスポイント型に特有のいわゆる回り込み電流(sneak current)を防止するために、メモリセルダイオードを付加している。即ち、選択されたメモリセルMC-selに流れる電流の向きが一方向に限定される。
【0081】
従って、上述のように、本例では、不可逆的にリセット動作を行うことができない。
【0082】
3. 第3の実施例
図19は、第3の実施例に係わる半導体集積回路を示している。
【0083】
この半導体集積回路は、プログラマブルスイッチに関する。
【0084】
プログラマブルスイッチは、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array: FPGA)に代表される再構成可能な論理回路(Reconfigurable logic circuit)に使用される。また、プログラマブルスイッチは、例えば、コンフィギュレーションメモリ(Configuration memory)に記憶されたデータに基づき、パストランジスタのオン/オフを決定する。
【0085】
この半導体集積回路は、第1、第2、第3、及び、第4のノードN1,N2,N3,N4と、第1及び第2のノードN1,N2間に接続される第1のメモリセルMC−Lと、第1及び第3のノードN1,N3間に接続される第2のメモリセルMC−Rと、第1の制御端子(ゲート)を有し、第1及び第4のノードN1,N4間の接続/非接続を決める第1のスイッチ素子WTと、第1のノードN1に接続される第2の制御端子(ゲート)を有する第2のスイッチ素子PTと、第1の制御端子に接続される第1のドライバ13Aと、第2、第3、及び、第4のノードN2,N3,N4に接続される第2のドライバ13Bと、を備える。なお、第4のノードN4は、第2のドライバ13Bではなく、第1のドライバ13Aに接続されていてもよい。
【0086】
コンフィグレーションメモリとしての第1及び第2のメモリセルMC−L,MC−Rの各々は、上述の第1の実施例(図1を参照)で説明した、第1の電極11、抵抗変化膜RE、及び、第2の電極12を備える。第1及び第2のメモリセルMC−L,MC−Rの向きは、特に限定されないが、後述するセット/リセット動作を簡易に行うことを考慮すると、第1及び第2のメモリセルMC−L,MC−Rは、互いに対称的に配置されるのが望ましい。
【0087】
例えば、図20に示すように、第1のメモリセルMC−L内の第の電極1、及び、第2のメモリセルMC−R内の第の電極1は、共に、第1のノードN1に接続され、第1のメモリセルMC−L内の第の電極1は、第2のノードN2に接続され、第2のメモリセルMC−R内の第の電極1は、第3のノードN3に接続される、のが望まし
い。
【0088】
また、例えば、図21に示すように、第1のメモリセルMC−L内の第の電極1、及び、第2のメモリセルMC−R内の第の電極1は、共に、第1のノードN1に接続され、第1のメモリセルMC−L内の第の電極1は、第2のノードN2に接続され、第2のメモリセルMC−R内の第の電極1は、第3のノードN3に接続される、のが望ましい。
【0089】
第1のスイッチ素子WTは、例えば、Nチャネル型FETであり、書き込みトランジスタとして機能する。第1のスイッチ素子WTの第1の制御端子(ゲート)は、ワード線WLを介して、第1のドライバ13Aに接続される。第2のスイッチ素子PTは、例えば、Nチャネル型FETであり、コンフィグレーションデータに応じて、オン/オフが決定されるパストランジスタとして機能する。
【0090】
そして、コンフィグレーションデータは、第1及び第2のメモリセルMC−L,MC−Rの各々の抵抗状態を、上述の第1の実施例で説明した、4通り(可逆的セット、可逆的リセット、不可逆的セット、及び、不可逆的リセット)のうちの1つに変化させることにより、第1及び第2のメモリセルMC−L,MC−R内に記憶される。
【0091】
コンフィグレーションメモリでは、第1及び第2のメモリセルMC−L,MC−Rにはコンフィグレーションデータとしての相補データが記憶される。即ち、第1のメモリセルMC−Lの内の抵抗変化膜REは、第2のメモリセルMC−Rの内の抵抗変化膜REの抵抗状態とは異なる抵抗状態を有する。
【0092】
図22Aは、図19乃至図21のプログラマブルスイッチのセット/リセット動作の例を示している。
【0093】
ここでのセット/リセット動作とは、可逆的セット/リセット動作、及び、不可逆的セット/リセット動作の4種類を意味する。
【0094】
コンフィグレーションメモリに、例えば、“0”を記憶させるときは、可逆的セット/リセット動作、又は、不可逆的セット/リセット動作により、第1のメモリセルRE−L内の抵抗変化膜REをセット状態(低抵抗状態)にし、第2のメモリセルRE−R内の抵抗変化膜REをリセット状態(高抵抗状態)にする。
【0095】
第1及び第2のメモリセルMC−L,MC−Rに対するセット/リセット動作は、可逆的、又は、不可逆的のいずれでも行うことができる。
【0096】
第1及び第2のメモリセルMC−L,MC−Rに対するセット/リセット動作は、同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。後者の場合、例えば、まず、図22Bに示すように、第1のメモリセルMC−Lのセット/リセット動作を行う。この後、図22Cに示すように、第2のメモリセルMC−Rのセット/リセット動作を行う。
【0097】
なお、第1のメモリセルMC−L内の抵抗変化膜REの抵抗状態を不可逆的に固定するときは、第2のメモリセルMC−Rの抵抗変化膜REの抵抗状態も不可逆的に固定するのが望ましい。
【0098】
そして、例えば、コンフィグレーションメモリに“0”を記憶させるときは、制御回路14は、第1及び第2のドライバ13A,13Bを介して、第1及び第2のメモリセルMC−L,MC−Rの各々内の第1及び第2の電極11,12間の電位差を制御する。
【0099】
例えば、ワード線WLは、Vonに設定される。Vonは、書き込みトランジスタとしての第1のスイッチ素子WTをオンにする電位である。
【0100】
また、ビット線BL1は、0V(接地電位)に設定され、ビット線BL2は、Vsel(=Vset又はVantifuse)に設定され、ビット線BL3は、Vsel(=Vreset又はVfuse)に設定される。
【0101】
この時、第1のメモリセルMC−L内の抵抗変化膜REには、電位差Vsel(=Vset又はVantifuse)が印加される。従って、第1のメモリセルMC−L内の抵抗変化膜REの抵抗状態は、セット状態(低抵抗状態)に変化する。
【0102】
また、第2のメモリセルMC−R内の抵抗変化膜REには、電位差Vsel(=Vreset又はVfuse)が印加される。従って、第2のメモリセルMC−L内の抵抗変化膜REの抵抗状態は、リセット状態(高抵抗状態)に変化する。
【0103】
一方、コンフィグレーションメモリに、例えば、“1”を記憶させるときも、上述の“0”を記憶させるときと同様に、可逆的セット/リセット動作、又は、不可逆的セット/リセット動作を行い、第1のメモリセルRE−L内の抵抗変化膜REをリセット状態(高抵抗状態)にし、第2のメモリセルRE−R内の抵抗変化膜REをセット状態(低抵抗状態)にする。
【0104】
例えば、ワード線WLは、Vonに設定され、ビット線BL1は、0V(接地電位)に設定され、ビット線BL2は、Vsel(=Vreset又はVfuse)に設定され、ビット線BL3は、Vsel(=Vset又はVantifuse)に設定される。
【0105】
この時、第1のメモリセルMC−L内の抵抗変化膜REには、電位差Vsel(=Vreset又はVfuse)が印加される。従って、第1のメモリセルMC−L内の抵抗変化膜REの抵抗状態は、リセット状態(高抵抗状態)に変化する。
【0106】
また、第2のメモリセルMC−R内の抵抗変化膜REには、電位差Vsel(=Vset又はVantifuse)が印加される。従って、第2のメモリセルMC−L内の抵抗変化膜REの抵抗状態は、セット状態(低抵抗状態)に変化する。
【0107】
本例では、Vset、Vreset、及び、Vantifuseは、同一極性の電位(例えば、正電位)であるのに対し、Vfuseは、Vset、Vreset、及び、Vantifuseとは逆極性の電位(例えば、負電位)である。
【0108】
なお、上述のセット/リセット動作では、ノードN1、即ち、パストランジスタとしての第2のスイッチ素子PTの第2の制御端子(ゲート)に、0V(接地電位)が印加される。これは、コンフィグレーションデータの書き込み時に、第2のスイッチ素子PTに高電圧が印加されることを防止する効果がある。即ち、第2のスイッチ素子PTの破壊が防止できるため、高信頼性のプログラマブルスイッチを実現できる。
【0109】
図23は、図19乃至図21のプログラマブルスイッチのデータ読み出し動作の例を示している。
【0110】
ここでのデータ読み出し動作とは、コンフィグレーションメモリとしての第1及び第2のメモリセルMC−L,MC−Rに記憶されたデータを読み出し、そのデータに基づいて第2のスイッチ素子PTをオン/オフさせることを意味する。
【0111】
コンフィグレーションデータの読み出し時には、制御回路14は、第1及び第2のドライバ13A,13Bを介して、例えば、ワード線WLを、Voffに設定する。Voffは、書き込みトランジスタとしての第1のスイッチ素子WTをオフにする電位である。また、制御回路14は、ビット線BL1をフローティング状態に設定し、ビット線BL2を低電位(例えば、接地電位)Vssに設定し、ビット線BL3を高電位(例えば、電源電位)Vddに設定する。
【0112】
そして、例えば、コンフィグレーションメモリに“0”が記憶されているときは、第1のメモリセルMC−L内の抵抗変化膜REの抵抗状態は、セット状態(低抵抗状態)であり、第2のメモリセルMC−R内の抵抗変化膜REの抵抗状態は、リセット状態(高抵抗状態)である。
【0113】
従って、ノードN1、即ち、パストランジスタとしての第2のスイッチ素子PTの第2の制御端子(ゲート)には、ビット線BL2の電位、即ち、低電位Vssが読み出される。これが、“0”−読み出しである。この時、第2のスイッチ素子(Nチャネル型FET)PTは、オフ状態になる。
【0114】
一方、例えば、コンフィグレーションメモリに“1”が記憶されているときは、第1のメモリセルMC−L内の抵抗変化膜REの抵抗状態は、リセット状態(高抵抗状態)であり、第2のメモリセルMC−R内の抵抗変化膜REの抵抗状態は、セット状態(低抵抗状態)である。
【0115】
従って、ノードN1、即ち、パストランジスタとしての第2のスイッチ素子PTの第2の制御端子(ゲート)には、ビット線BL3の電位、即ち、高電位Vddが読み出される。これが、“1”−読み出しである。この時、第2のスイッチ素子(Nチャネル型FET)PTは、オン状態になる。
【0116】
4. 第4の実施例
図24は、第4の実施例に係わる半導体集積回路を示している。
【0117】
この半導体集積回路は、抵抗変化メモリ、例えば、ReRAMの冗長回路(リダンダンシイ回路)に関する。
【0118】
抵抗変化メモリは、それ以外のストレージメモリと同様に、大容量化に伴い、メモリセルアレイ内に不良ビットが発生し易くなる、という問題を抱えている。この問題を解決する手段として、冗長回路が知られている。不良ビットは、例えば、ロウ単位又はカラム単位で、良ビットに置き換えられる。このため、不良ロウ又は不良カラムは、不良アドレスデータとしてROM(ヒューズ又はアンチヒューズ)に記憶される。
【0119】
本実施例は、このROMとして、不可逆的にセット/リセット可能な抵抗変化膜を使用する点に特徴を有する。
【0120】
この半導体集積回路は、不良アドレスデータを記憶するROM(記憶部)40と、ROM40に接続されるドライバ13と、メモリセルアレイ20と、入力アドレスデータが不良アドレスデータに一致しないとき、入力アドレスデータに基づいて、メモリセルアレイ20内のメモリセルを選択するメインデコーダ(ドライバを含む)21と、冗長メモリセルアレイ30と、入力アドレスデータが不良アドレスデータに一致するとき、入力アドレスデータに基づいて、冗長メモリセルアレイ30内のメモリセルを選択するサブデコーダ(ドライバを含む)31と、を備える。
【0121】
メモリセルアレイ20及び冗長メモリセルアレイ30は、例えば、上述の第2の実施例(図10図15を参照)で説明した、メモリセルアレイ20を備える。また、メモリセルアレイ20、冗長メモリセルアレイ30、及び、ROM40内の複数のメモリセルの各々は、少なくとも、上述の第1の実施例(図1を参照)で説明した、第1の電極11、抵抗変化膜RE、及び、第2の電極12を備える。
【0122】
但し、メモリセルアレイ20及び冗長メモリセルアレイ30内の複数のメモリセルの各々については、第1の電極11を、ワード線WLi及びビット線BLjのうちの一方とし、第2の電極12を、ワード線WLi及びビット線BLjのうちの他方としてもよい。但し、i及びjは、0,1,2,3,…である(図10図15を参照)。
【0123】
そして、メモリセルアレイ20、冗長メモリセルアレイ30、及び、ROM40内の複数のメモリセルの各々の抵抗状態を変えるとき、制御回路14は、メインデコーダ21、サブデコーダ31、及び、ドライバ13を介して、複数のメモリセルの各々内の第1及び第2の電極11,12(図1を参照)間の電位差を制御する。
【0124】
これにより、メモリセルアレイ20、冗長メモリセルアレイ30、及び、ROM40内の複数のメモリセルの各々の抵抗状態を、上述の第1の実施例で説明した、4通り(可逆的セット、可逆的リセット、不可逆的セット、及び、不可逆的リセット)のうちの1つに変化させることができる。
【0125】
但し、ROM40内の複数のメモリセルの各々の抵抗状態を変化させるときは、上述の第1の実施例で説明した、4通り(可逆的セット、可逆的リセット、不可逆的セット、及び、不可逆的リセット)のうち、不可逆的セット/リセットにより、その抵抗状態を固定するのが望ましい。
【0126】
図25は、不良ロウを切断する回路例を示している。
【0127】
この半導体集積回路は、図11の半導体集積回路を、図24のメモリセルアレイ20及びメインデコーダ21に適用したものである。
【0128】
同図において、図11及び図24と同じ要素には、同じ符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0129】
本回路例は、図11の半導体集積回路に、さらに、複数のワード線WL0〜WL3及び第1のドライバ21(13A)間に接続される複数のリダンダンシイセル50と、複数のワード線WL0〜WL3と複数のリダンダンシイセル50との接続点に接続される第3のドライバ13Cと、が付加される。
【0130】
複数のリダンダンシイセル50の各々は、少なくとも、上述の第1の実施例(図1を参照)で説明した、第1の電極11、抵抗変化膜RE、及び、第2の電極12を備える。
【0131】
そして、複数のリダンダンシイセル50の各々の抵抗状態を変えるとき、制御回路14は、第1及び第3のドライバ21(13A),13Cを介して、複数のリダンダンシイセル50の各々内の第1及び第2の電極11,12(図1を参照)間の電位差を制御する。
【0132】
例えば、図26に示すように、ワード線WL2に不良セルが接続され、ワード線WL2に対応するロウを不良ロウとする場合、制御回路14は、第3のドライバ13Cにより、複数のリダンダンシイセル50のワード線WL0〜WL3側の一端をVselに設定する。
【0133】
また、制御回路14は、第1のドライバ21(13A)により、ワード線WL0,WL1,WL3に接続される複数のリダンダンシイセル50の第1のドライバ21(13A)側の一端をVsel又はVsel/2に設定する。また、抵抗変化膜REの破壊を防止するため、制御回路14は、第2のドライバ21(13B)により、ビット線BL0〜BL3をVsel又はVsel/2に設定する。
【0134】
さらに、制御回路14は、第1のドライバ21(13A)により、ワード線WL2に接続される1つのリダンダンシイセル(Xで示す)50の第1のドライバ21(13A)側の一端を0V(接地電位)に設定する。
【0135】
この時、例えば、ワード線WL2に接続される1つのリダンダンシイセル(Xで示す)50のみが不可逆的にリセットされ、リセット状態(高抵抗状態)、即ち、オフ状態に固定される。それ以外のワード線WL0,WL1,WL3に接続される複数のリダンダンシイセル50については、初期状態、例えば、セット状態(低抵抗状態)、即ち、オン状態が維持される。
【0136】
なお、不可逆的セットにより、ワード線WL0,WL1,WL3に接続される複数のリダンダンシイセル50を、セット状態(低抵抗状態)、即ち、オン状態に固定してもよい。
【0137】
図27は、不良カラムを切断する回路例を示している。
【0138】
この半導体集積回路も、図11の半導体集積回路を、図24のメモリセルアレイ20及びメインデコーダ21に適用したものである。
【0139】
同図において、図11及び図24と同じ要素には、同じ符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0140】
本回路例は、図11の半導体集積回路に、さらに、複数のビット線BL0〜BL3及び第2のドライバ21(13B)間に接続される複数のリダンダンシイセル50と、複数のビット線BL0〜BL3と複数のリダンダンシイセル50との接続点に接続される第3のドライバ13Cと、が付加される。
【0141】
複数のリダンダンシイセル50の各々は、少なくとも、上述の第1の実施例(図1を参照)で説明した、第1の電極11、抵抗変化膜RE、及び、第2の電極12を備える。
【0142】
そして、複数のリダンダンシイセル50の各々の抵抗状態を変えるとき、制御回路14は、第2及び第3のドライバ21(13B),13Cを介して、複数のリダンダンシイセル50の各々内の第1及び第2の電極11,12(図1を参照)間の電位差を制御する。
【0143】
例えば、図28に示すように、ビット線BL2に不良セルが接続され、ビット線BL2に対応するカラムを不良カラムとする場合、制御回路14は、第3のドライバ13Cにより、複数のリダンダンシイセル50のビット線BL0〜BL3側の一端をVselに設定する。
【0144】
また、制御回路14は、第2のドライバ21(13B)により、ビット線BL0,BL1,BL3に接続される複数のリダンダンシイセル50の第2のドライバ21(13B)側の一端をVsel又はVsel/2に設定する。また、抵抗変化膜REの破壊を防止するため、制御回路14は、第1のドライバ21(13A)により、ワード線WL0〜WL3をVsel又はVsel/2に設定する。
【0145】
さらに、制御回路14は、第2のドライバ21(13B)により、ビット線BL2に接続される1つのリダンダンシイセル(Xで示す)50の第2のドライバ21(13B)側の一端を0V(接地電位)に設定する。
【0146】
この時、例えば、ビット線BL2に接続される1つのリダンダンシイセル(Xで示す)50のみが不可逆的にリセットされ、リセット状態(高抵抗状態)、即ち、オフ状態に固定される。それ以外のビット線BL0,BL1,BL3に接続される複数のリダンダンシイセル50については、初期状態、例えば、セット状態(低抵抗状態)、即ち、オン状態が維持される。
【0147】
なお、不可逆的セットにより、ビット線BL0,BL1,BL3に接続される複数のリダンダンシイセル50を、セット状態(低抵抗状態)、即ち、オン状態に固定してもよい。
【0148】
(むすび)
以上、実施形態によれば、抵抗変化膜をワンタイムプログラムメモリ(ヒューズ又はアンチヒューズ)として使用することが可能となる。
【0149】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0150】
11: 第1の電極、 12: 第2の電極、 13: ドライバ、 13A: 第1のドライバ、 13B: 第2のドライバ、 13C: 第3のドライバ、 14: 制御回路、 15: 半導体基板、 20: メモリセルアレイ、 21: メインデコーダ、 30: リダンダンシイセルアレイ、 31: サブデコーダ、 40: ROM、 RE: 抵抗変化膜、 D: ダイオードの絶縁膜、 MC: メモリセル、 WT: 書き込みトランジスタ、 PT: パストランジスタ
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