特許第6556447号(P6556447)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556447
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】磨砕機
(51)【国際特許分類】
   B02C 17/18 20060101AFI20190729BHJP
   B02C 17/16 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   B02C17/18 Z
   B02C17/16 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-255082(P2014-255082)
(22)【出願日】2014年12月17日
(65)【公開番号】特開2016-112527(P2016-112527A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】横谷 建一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮田 真吾
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−131762(JP,A)
【文献】 特開平10−066890(JP,A)
【文献】 特開平09−225331(JP,A)
【文献】 実開昭62−114635(JP,U)
【文献】 特開2003−190756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 17/18
B02C 17/16
B02C 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングの上方に設置された原料供給装置のシュートからケーシングの上部に設けられた供給口へ原料を供給し、前記ケーシングを横方向に貫通するロータを回転させることにより、前記ケーシング内の原料の整粒、研磨を行う磨砕機において、前記原料供給装置のシュートの下端部を前記ロータの軸方向に沿って移動可能としたことを特徴とする磨砕機。
【請求項2】
前記原料供給装置のシュートを上シュート部材と下シュート部材とに分割し、前記下シュート部材を、前記ロータの軸方向と平行な鉛直面内で、前記上シュート部材と下シュート部材の接続位置の近傍に設けた支軸のまわりに回動可能としたことを特徴とする請求項1に記載の磨砕機。
【請求項3】
記ロータがその外周面に複数の突起を有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の磨砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砕石等の原料の整粒、研磨を行う磨砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、砕石プラントでは、原石山から採取された原石をジョークラッシャーやコーンクラッシャー等の破砕機で破砕して、ほぼ製品サイズの砕石とした後、その砕石を整粒、研磨して骨材等の製品としている。その整粒、研磨(砕石の角を取って丸みを帯びたものとする)工程では、砕石をケーシングに投入し、このケーシングを横方向(略水平方向)に貫通するロータを回転させることにより、砕石を互いに摩擦させて整粒、研磨する一軸回転式の磨砕機が用いられることがある。
【0003】
上記のような一軸回転式の磨砕機では、通常、ケーシングの上部に砕石等の原料の供給口が設けられており、その上方に供給口へ原料を供給するシュートを備えた磨砕機用原料供給装置(以下、単に「原料供給装置」とも称する。)が設置されている。そして、原料供給装置のシュートから磨砕機のロータの一端側に供給された原料が、ロータの回転により整粒、研磨されながらロータの他端へ向かって移動していき、ロータの他端側でケーシングの下部に設けられた排出口から外部へ製品として排出されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−71317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したように原料供給装置から原料を供給される磨砕機では、ロータの原料供給位置付近の部位が他の部位よりも早く摩耗するため、その原料供給位置付近の部位の摩耗の進行に伴う処理能力の低下によってロータのメンテナンスが必要となることが多い。
【0006】
例えば、ロータの外周面に処理能力を向上させるためのハンマ(突起)を多数取り付けたものでは、ロータの原料供給位置付近のハンマの摩耗が大きくなると、原料が供給位置付近で過剰に滞留して処理能力が著しく低下することがある。このため、通常は、処理能力が低下してくると、磨砕機の運転を停止し、ロータのハンマを、供給位置付近以外の摩耗が小さいものも含めて新品に交換するメンテナンスを行っており、このことがハンマの使用寿命を短くし、メンテナンス周期の延長を阻む一因となっている。
【0007】
そこで、本発明は、磨砕機のケーシングを横方向に貫通するロータの原料供給位置付近での早期摩耗を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、ケーシングの上方に設置された原料供給装置のシュートからケーシングの上部に設けられた供給口へ原料を供給し、前記ケーシングを横方向に貫通するロータを回転させることにより、前記ケーシング内の原料の整粒、研磨を行う磨砕機において、前記原料供給装置のシュートの下端部を前記ロータの軸方向に沿って移動可能としたものである。
【0009】
すなわち、上記構成により、磨砕機の原料供給位置をロータの軸方向に分散させて、ロータの原料供給位置付近での早期摩耗を防止できるようにしたのである。
【0010】
ここで、上記構成においては、前記原料供給装置のシュートを上シュート部材と下シュート部材とに分割し、前記下シュート部材を、前記ロータの軸方向と平行な鉛直面内で、前記上シュート部材と下シュート部材の接続位置の近傍に設けた支軸のまわりに回動可能とすることにより、シュートの下端部をロータ軸方向に沿って移動可能とすることができる。
【0011】
また、本発明は、前記ロータがその外周面に複数の突起を有するものである場合に、特に有効に適用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の磨砕機は、上述したように、その原料供給装置のシュートの下端部を磨砕機のロータの軸方向に沿って移動可能としたものであるから、磨砕機の原料供給位置をロータの軸方向に分散させて、ロータの原料供給位置付近での早期摩耗を確実に防止することができる。したがって、ケーシング内での原料の過剰な滞留による処理能力の低下が生じにくくなり、ロータのメンテナンス周期の延長を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の磨砕機を示す正面断面図
図2図1の左側面図
図3図1のIII−III線に沿った断面図
図4】a、bは、それぞれ図1の原料供給装置の動作の説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図3、原料供給装置1を上方に設置した実施形態の磨砕機11を示す。その磨砕機11は、架台12上に設置したケーシング13を横方向に貫通するロータ14を回転させることにより、ケーシング13内に投入された砕石(原料)の整粒、研磨を行うものである。
【0015】
前記架台12は、床面に設置される基枠部15と、基枠部15の上方に配される上枠部16と、基枠部15の上面に固定され、上枠部16の長手方向両端部を支持する支柱17、18とを備えている。そして、架台12の一端側(図1の右側)の左右一対の支柱17は高さ方向の途中で屈曲可能な構造となっており、他端側(図1の左側)の左右一対の支柱18は上枠部16と接続されておらず、一端側の支柱17よりも短く形成されている。また、上枠部16の両端の上面には、ロータ14用の軸受19を設置する軸受台20が固定されており、架台12の他端側の軸受台20がシリンダ21で基枠部15と連結されている。これにより、磨砕機11の運転時には、図1に示した状態(上枠部16がほぼ水平で他端側の支柱18と離れた状態)から、シリンダ21を縮めて架台12の一端側の支柱17を屈曲させることにより、上枠部16を他端側の支柱18に支持されるようになるまで傾斜させて、磨砕機11の一端側から他端側へ砕石がスムーズに移動する状態にできるようになっている。
【0016】
前記ケーシング13は、外形が断面矩形状に形成されており、左右両側の下部に設けられた脚22で架台12の上枠部16に固定されている。そして、その長手方向一端側の上面に砕石の供給口13aが、他端側の下面に排出口13bが、排出口13bよりも一端側の下面にメンテナンス用の二つの開口13cがそれぞれ設けられている。
【0017】
このケーシング13の供給口13aは、ケーシング13の一側(図2および図3の左側)寄りの位置で長手方向の一端の近傍から中央部付近まで延び、上方に大きく突出するように形成され、排出口13bは、ケーシング13の幅方向中央から下方へ突出するように形成されている。また、各メンテナンス用開口13cは、通常は蓋23で塞がれており、メンテナンス等を行う際に蓋23を開くことにより(図3の一点鎖線)、ケーシング13内に残存している砕石を排出できるようになっている。
【0018】
前記ロータ14は、ケーシング13から突出する両端部が、それぞれ架台12の上枠部16に固定された軸受台20上の軸受19に回転自在に支持されている。そして、その一端部の軸受19よりも軸方向外側の部位の外周にプーリ24が嵌合固定されており、このプーリ24とモータ側のプーリとにベルトが巻き掛けられて(図示省略)、前記モータから駆動力を受けるようになっている。
【0019】
また、このロータ14には、排出口13b上方を除くケーシング13内の部分に、その外周面から放射状に突出するハンマ(突起)25が、周方向に等間隔で、かつ軸方向には周方向位置が異なるものが交互に並ぶように設けられている。このハンマ25は、ロータ14の回転に伴って砕石を掻き上げて撹拌し、砕石どうしの摩擦による整粒、研磨作用を促進するものである。
【0020】
この磨砕機11は、上記の構成であり、前記モータでロータ14を回転させると、ケーシング13の供給口13aから原料として供給された砕石が、ケーシング13内でロータ14外周のハンマ25に撹拌されて整粒、研磨された後、ケーシング13の排出口13bから外部へ製品として排出される。
【0021】
ここで、原料となる砕石を供給する原料供給装置1は、ケーシング13の上方に設置され、上シュート部材2aと下シュート部材2bとからなる断面矩形のシュート2を備えている。そのシュート2は、上シュート部材2aの下端部を下シュート部材2bの上端部に挿入して、内外で重なった部分に支軸3を貫通させることによって両シュート部材2a、2bが接続されており、上シュート部材2aの上端部が図示省略した破砕機の排出口に接続され、下シュート部材2bの下端部が磨砕機11のケーシング13上部の供給口13aに差し込まれている。
【0022】
前記支軸3は、水平面内で磨砕機11のロータ14の軸方向と直交する方向に延びるように配されている。また、図4(a)にも示すように、前記下シュート部材2bの両側面には、支軸3を通す位置に一端部を有する略L字状の連結片4が設けられており、各連結片4の他端部にロータ14の軸方向に沿って延びるシリンダ5のロッド5aが回動自在に連結されている。そして、各シリンダ5のロッド5aと反対側の端部が、上シュート部材2aに固定されたブラケット6に回動自在に取り付けられている。これにより、下シュート部材2bが、ロータ14の軸方向と平行な鉛直面内で支軸3のまわりに回動可能となっている。
【0023】
したがって、図4(a)の状態から、各シリンダ5のロッド5aを延ばすことにより、図4(b)に示すように、下シュート部材2bを回動させてその下端部をロータ14の軸方向に沿って移動させ、磨砕機11の原料供給位置を変更することができる。ここで、下シュート部材2bは、ロータ14の一端側から他端側へ徐々に(間欠的に)回動させて、原料供給位置をロータ14の各ハンマ25の摩耗状態に応じて変えるようにしてもよいし、磨砕機11の運転中にも原料供給位置が常時変化するように往復回動(揺動)させてもよい。
【0024】
の原料供給装置1は、上述したように、磨砕機11の原料供給位置をロータ14の軸方向に分散させることができるので、原料供給位置付近のロータ14の各ハンマ25の早期摩耗を防止することができる。その結果、磨砕機11は、従来のような砕石の過剰滞留による処理能力低下が生じにくくなり、ロータ14のメンテナンス周期の延長を図ることができる。
【0025】
なお、上述した実施形態では、シュート2の下シュート部材2bを回動させることにより磨砕機11の原料供給位置を変更するようにしたが、シュートはその下端部がロータの軸方向に沿って移動するようになっておればよく、例えばシュート全体がロータ軸方向に平行移動するようにしてもよい。
【0026】
また、本発明は、実施形態のように外周面に複数の突起を有するロータを組み込んでいる磨砕機に、特に有効に適用できるが、外周面に突起のないロータを組み込んだ磨砕機に対しても、もちろん効果的に使用することができる。
【符号の説明】
【0027】
料供給装置
2 シュート
2a 上シュート部材
2b 下シュート部材
3 支軸
4 連結片
5 シリンダ
6 ブラケット
11 磨砕機
12 架台
13 ケーシング
13a 供給口
13b 排出口
14 ロータ
25 ハンマ(突起)
図1
図2
図3
図4