特許第6556474号(P6556474)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556474
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】締結ユニットと締結構造とその検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/24 20060101AFI20190729BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20190729BHJP
   F16B 31/02 20060101ALI20190729BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   G01L5/24
   G08C17/00 B
   F16B31/02 Z
   G01L5/00 103D
   G01L5/00 103B
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-51536(P2015-51536)
(22)【出願日】2015年3月15日
(65)【公開番号】特開2016-29358(P2016-29358A)
(43)【公開日】2016年3月3日
【審査請求日】2017年12月9日
(31)【優先権主張番号】特願2014-149318(P2014-149318)
(32)【優先日】2014年7月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】596021665
【氏名又は名称】株式会社平安製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】503164487
【氏名又は名称】池田 順治
(74)【代理人】
【識別番号】100183575
【弁理士】
【氏名又は名称】老田 政憲
(72)【発明者】
【氏名】荒木 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】田邉 晃
(72)【発明者】
【氏名】内田 聡裕
(72)【発明者】
【氏名】中司 雄大
【審査官】 細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0186951(US,A1)
【文献】 特開平09−159558(JP,A)
【文献】 特表平04−503707(JP,A)
【文献】 特開平07−072025(JP,A)
【文献】 特開2004−286551(JP,A)
【文献】 特開2010−216804(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0129158(US,A1)
【文献】 特表2013−518320(JP,A)
【文献】 特開平08−278116(JP,A)
【文献】 特開2013−188858(JP,A)
【文献】 特開2015−169467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/24
F16B 31/02
G01L 5/00
G08C 17/00
G01B 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部を有する締結具と、受信器と、を含む締結ユニットであり、前記締結具は、送信手段とセンサを有するセンサユニットを保持し、前記送信手段と前記受信器との間でデータの移動がある締結ユニットであり、
前記センサは、異なる種類の物理量を測定する第1センサと第2センサとを含み、
前記センサの1つは、地磁気を感知する締結ユニット。
【請求項2】
頭部を有する締結具と、受信器と、を含む締結ユニットであり、前記締結具は、送信手段とセンサを有するセンサユニットを保持し、前記送信手段と前記受信器との間でデータの移動がある締結ユニットであり、
前記センサは、1センサと2センサを有し、前記第1センサと前記第2センサは同じ種類の物理量を測定するセンサであり、前記第1センサは、前記第2センサより測定精度が悪い締結ユニット。
【請求項3】
さらに、前記締結ユニットの外部に、外部センサがあり、前記外部センサは、カメラ、振動センサ、レーザのいずれか1つである請求項1または2に記載の締結ユニット。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の締結ユニットと、前記締結ユニットで締結される工作物と、を含む締結構造。
【請求項5】
請求項に記載の前記締結構造からの前記データを受信し、前記締結構造の検査をする、締結構造の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結具とその締結具の検査方法に関する。特に、非接触で締結具が検査できる締結具とその検査方法である。
【背景技術】
【0002】
締結具、たとえば、ボルト、ナットは、橋や建物、乗り物、トンネルなど多くの場所で使用されている。このような場所で使用されている締結具を、検査するには、非常に手間がかかっている。繰り返し検査もできない。しかし、検査しないと非常に大きな事故につながることがある。これを簡易的に検査する方法として、センサを締結具に設置し、締結具の緩みを検査する方法があった。
【0003】
特許文献1の方法では、RFID(radio frequency identifier)の回路を使用する。締結具がしっかりしまっていれば(オン)、回路がつながり、RFIDからの信号が外部で受信できる。締結具が緩むと、回路が途切れ(オフ)、RFIDからの信号が外部で受信できない。このことで、締結具の緩みを非接触で検査できる。
【0004】
特許文献2の方法では、歪センサを使用する。締結具の締り具合で、歪センサから、歪の度合いに応じた数字が、無線で出力される。出力値を一定基準で判断し、締結具の緩みを非接触で検査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−64111号公報
【特許文献2】特開2004−286551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1記載の方法では、回路のオン、オフのポイントの設定が困難である。締結具ごとのばらつきがある。
また、特許文献2記載の方法では、歪センサからの出力値を一定基準で判断するが、一定基準の決定が困難である。どこまで緩めば、緩んだとするか難しい。締結具ごとのばらつきもある。
この発明では、締結具の緩みの判断を、明確にできる締結具と、締結具の検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、頭部を有する締結具と、受信器と、を含む締結ユニットであり、前記締結具は、送信手段とセンサを有するセンサユニットを保持し、前記送信手段と前記受信器との間でデータの移動がある締結ユニットを用いる。
また、上記締結ユニットと、締結ユニットを有する前記工作物と、を含む締結構造を用いる。
また、上記締結構造からの前記データを受信し、前記締結構造の検査をする、締結構造の検査方法を用いる。
【0008】
上記課題を解決するために、締結すべき部材の貫通穴に挿入される挿入部品と、挿入部品の貫通穴を通過した先端部分が、挿入される受け部品と、挿入部品と前記受け部品との間に配置された第1センサと、挿入部品と受け部品との間に配置された第2センサと、挿入部品と受け部品との間に配置された通信部品と、を有する締結構造を用いる。
【0009】
また、締結すべき部材の貫通穴に挿入される挿入部品と、挿入部品の貫通穴を通過した先端部分が、挿入される受け部品と、挿入部品と受け部品の外部に配置された第1センサと、挿入部品と受け部品との間に配置された第2センサと、挿入部品と受け部品との間に配置され、外部とのデータのやり取りをする回路部材と、を有する締結構造を用いる。
【0010】
また、上記いずれかの締結構造からのデータを受信し、締結構造の検査をする、締結構造の検査方法を用いる。
【発明の効果】
【0011】
本願発明の締結構造では、 本発明によれば、締結具の締結状態を好適に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る締結具検査システムにおける締結具を示す斜視図と、受信装置を示す正面図
図2】(a)〜(b)は、締結具を断面状態にて示す平面図及び側面図、(c)集積回路の構成を示す模式図
図3】受信装置の構成を示す模式図
図4】(a)工作物に締結された練勧農の締結状態を測定している様子を一部断面状態にて示す模式図、(b)受信装置のモニターに表示された初期締結状態を示す模式図
図5】(a)〜(b)受信装置のモニターに表示された締結状態を示す模式国
図6】(a)実施形態2に係る締結具検査システムを示す斜視図、(b)集積回路の構成を示す模式図
図7】(a)工作物の構築の際に締結された締結具を示す平面図、(b)受信装置のモニターに表示された初期締結状態を示す模式図
図8】(a)〜(b)受信装置のモニターに表示された締結状態を示す模式図
図9】(a)〜(b)実施の形態3の締結具と工作物の断面図
図10】(a)〜(b)実施の形態5の締結具と工作物の断面図
図11】(a)実施の形態5のセンサの平面図である、(b)実施の形態6のセンサの断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
<締結具検査システム1>
図1は、実施形態1に係る締結具検査システム1を示す。締結具検査システム1は、締結具2と、受信装置4と、を有する。
【0015】
締結具2は、ボルト(挿入部品)であり、六角柱状の頭部21と、雄ネジが刻まれた軸部22と、を有する。頭部21の一側面に設けられた凹溝に対し、センサユニット3が埋め込まれた状態で取り付けられている。ボルトの先端部は、締結対象物の貫通穴をとおって、ナット(受け部材)に入り込む。頭部21とナットとで、締結対象物を締め付ける。
【0016】
図2(a)、図2(b)に示すように、センサユニット3は、締結具2に取り付けられた際に、露出面となる面が臨む方向(以下、「主方向31」と称する。)に沿って地磁気を感知する第一磁気センサ素子と、締結具2の軸芯方向(以下。「垂直方向32と称する。)に沿って地磁気を感知する第二磁気センサ素子と、主方向31及び垂直方向32の双方に対して垂直な方向(以下、「水平方向33」と称する。)に沿って地磁気を感知する第三磁気センサ素子と、を具備する三軸型の磁気センサ30を備える。
【0017】
又、図2(c)に示すように、センサユニット3は、演算手段34と、送信手段35と、起電手段36と、を含む。
【0018】
演算手段34は、磁気センサ30によって感知された地磁気に基づき、磁気センサ30の測定方向が臨む方向を算出する素子である。本実施形態においては、主方向31に沿う方向が磁気センサ30に定められた測定方向とされており、演算手段34は、北方向を原点(0°)として、磁気センサ30に定められた測定方向が臨む方位角、及び、仰俯角を算出する。
【0019】
送信手段35は、演算手段34によって算出された結果を、無線送信する素子である。
起電手段36は、光エネルギーを受けて起電する素子(光電池)である。磁気センサ30、演算手段34、及び送信手段35は、起電手段36において発生した電力の供給を受けて作動する仕組みとなっている。光電池の代わりに電池でもよい。
【0020】
一方、受信装置4は、センサユニット3から送信された信号を受信するための装置である。
更に詳しく説明すると、図3に示すように、受信装置4は、起電エネルギー発生手段40と、受信手段41と、モニター42と、記録手段43と、を具備する。
【0021】
本実施形態において、起電エネルギー発生手段40は、光エネルギーを発生させる光源である。起電手段36に光を照射することによって、センサユニット3を作動させこる電力を発生させる役割を担う。
受信手段41は、送信手段35から無線送信された信号を受信する役割を担う。
【0022】
モニター42は、受信手段41が受信した信号に基づく情報を表示する役割を担う。
記録手段43は、受信手段41が受信した信号に基づく情報を記録する役割を坦う。
<実施の形態の方法の実行>
以下、締結具検査システム1を用いた本実施の形態の方法の実行を図4(a)、図4(b)を用いて説明する。本実施の形態の方法を実行するにあたっては、まず、工作物10に対し、締結具2を締結する。本実施形態においては、図4(a)に示すように、ナットNを用いて締結具2を工作物10に対して締結した。なお、本実施の形態において、工作物10とは、道路、高速道路、高層ビル、電波塔、鉄塔、風力発電用風車などの、建設・設置した後に移動させることを前提としていない土地に定着された構造物を意味する。
【0023】
十分な締結力にて締結具2を締結した後、起電エネルギー発生手段40から光エネルギーを起電手段36に与え、送信手段35から無線送信される信号を受信装置4にて受信する。本実施形態において、この信号は、締結具2の締結初期における磁気センサ30の測定方向が臨む方位角、及び仰俯角についての情報を受信装置4に与えるものであり、与えられた情報は、図4(b)に示すようにモニター42に表示される。又、この情報は、記録手段43に記録される。
【0024】
その後、所定期間経過後の点検時において、起電エネルギー発生手段40から光エネルギーを起電手段36に与え、センサユニット3の送信手段35から無線送信される信号を受信装置4にて再度受信すれば、締結後所定期間経過した際の、締結具2における磁気センサ30の測定方向が臨む方位角、及び仰俯角についての情報が受信装置4に与えられる。与えられた情報は、図5(a)に示すようにモニター42に表示される。
【0025】
図5(a)に示すように、一回目の点検時においては、締結具2における磁気センサ30の測定方向が臨む方位角、及び仰俯角につき、締結初期の値と変化がなかったため、締結具2において緩みが無かったものと評価する。
このようにして。本実施の形態においては。点検の都度、センサユニット3の送信手段35から無線送信される信号を受信装置4にて受信する。そして、図5(b)に示すように、何回目かの点検の際、締結具2における磁気センサ30の測定方向が臨む方位角、及び仰俯角につき、締結初期の値と変化が生じた場合、締結具2において緩みが生じたものと判断し、締結具2を締め直す作業を実行する。
【0026】
即ち、本実施の形態を実行すれば、締結具2の締結状態につき、磁気センサ30の測定方向が臨む方向を経時的に追跡することによって評価することができる。又、本実施の形態によれば。締結具2に生じた僅かな緩みについても、磁気センサ30の測定方向が臨む方向の変化によって把握することができる。
【0027】
<なお書き>
なお、本実施形態においては、締結具2につき六角ボルトを用い、ナットNにて締結具2を締結しているが。締結具2としては、雄ネジ又は雌ネジを具備してなり、ネジ山の螺合によって工作物10に対して締希されるものであれば特に限定されるものではない。締結具2としては、例えば、雄ネジを具備するボルトやネジ、雌ネジを 具備するナット等を挙げることができる。
【0028】
又、本実施形態においては、センサユニット3につき、締結具2の頭部21のー側面に設けられた凹溝に対して填め込まれた状態で取り付けられているが、センサユニット3の取り付け位置としては、特に限定されるものではなく、例えば、締結具2の頭部21の頂面等に対して取り付けても良い。但し、締結具2がナットの場合により、側面に取り付けることが好ましい。
【0029】
更に、本実施形態においては、磁気センサ30として三軸型のものを用い、磁気センサ30に定められた測定方向が臨む方位角、及び、仰俯角を測定しているが、磁気センサ30として、二軸型のものを用い、磁気センサ30に定められた測定方向が臨む方位角、又は、仰俯角のいずれか一方を測定するようにしても良い。
【0030】
加えて、本実施形態においては、磁気センサ30の測定方向を主方向31に沿う方向としているが、磁気センサ30の測定方向はいずれの方向に設定しても良い。
要は、設定された測定方向が、いずれの方向に向いているかを基にして、締結具2の締結状態の経時的な変位を監視することができれば良い。
【0031】
又、本実施形態においては、起電手段36として光電池を用い、センサユニット3に電力を供給しているが、センサユニット3に電力を供給する手段は、特に限定されるものではない。センサユニット3に電力を供給するための手段としては、例えば、畜電池であってもよい。又、騰電コイル等による起電力によって。センサユニット3に電力を供給するようにしても良い。
【0032】
(実施の形態2)
図6に、実施の形態2に係る締結具検査システム1を示す。締結具検査システム1は、複数の締結具2と、受信装置4と、を具備する。
本実施形態に係る締結具検査システム1が、実施形態1に係る締結具検査システム1と異なる点は、締結具2が複数個用いられている点と、図6(b)に示すように、締結具2に取り付けられたセンサユニット3が、記憶手段37を更に具備する点と、起電手段36が蓄電池となされたことによって、受信装置4において起電エネルギー発生手段40が除かれた点である。
【0033】
なお、本実施形態において、記憶手段37は、演算手段34によって算出された磁気センサ30に定められた測定方向が臨む方向に関する情報を記録する素子であり、特に締結具2を工作物10に対して締結した直後において算出された情報(締結値)を記憶する役割を担う。
【0034】
又、記憶手段37には、n個の締結具2を認識し得る識別符号が予め記憶されている。
<実施の形態の実行>
締結具検査システム1を用いた本実施の形態の実行を説明する。本実施形態においては、図7(a)に示すように、工作物10としての線路に対し、締結具2を複数本締結した。
【0035】
十分な締結力にて各々の締結具2を締結した後、各々の締結具2それぞれに対して備えられたセンサユニット3の送信手段35から無線送信される信号を受信装置4にて受信する。
本実施形態において、この信号は、各締結具2の締結初期における磁気センサ30の測定方向が臨む方位角、及び仰俯角についての情報に加えて、各締結具2の識別符号を受信装置4に与えるものであり、与えられた情報は、図7(b)に示すようにモニター42に表示される。又、締結初期の情報は、記憶手段に記億される。
【0036】
その後、所定期間経過後の点検時において、各締結具2それぞれから無線送信される信号を受信装置4にて受信すれば、締結後所定期間経過した際の、各締結具2における磁気センサ30の測定方向が臨む方位角、及び仰俯角についての情報、及び識別符号が受信装置4にて受信すれば、同時に、締結初期の情報も再度受信装置4に与えられる。同時に締結初期の情報も再度受信装置4に与えられる。与えられた情報は、図8(a)に示すようにモニター42に表示される。
【0037】
図8(a)に示すように一回目の点検時においては、各締結具2のいずれにおいても磁気センサ30の測定方向が臨む方位角、及び仰俯角につき、締結初期の値と変化がなかったため、この場合、全ての締結具2において緩みが無かったものと評価する。
そして、図8(b)に示すように、何回目かの点検の際、各締結具2のいずれかにおいて磁気センサ30の測定方向が臨む方位角、及び仰俯角につき、締結初期の値と変化が生じた場合、締結具2において緩みが生じたものと判断し、締結具2を締め直す作案を実行する。
【0038】
締結具2を締め直す作業は、緩みが生じていると判断された締結具2(この場合、識別符号0003を付された締結具2)のみに対して行えば良いことから、係る作業に要する人的コストを低減することができる。
なお、実施お形態は、その精神、又は、主要な特微から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本実施の形態の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘粛されない。さらに。特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0039】
(実施の形態3)
図9(a)、図9(b)を用いて、実施の形態3の締結具2の検査方法を説明する。図9(a)、図9(b)は、頭部21と工作物10との断面図である。記載しない事項は実施の形態1,2と同様である。
【0040】
実施の形態では、上記実施の形態の磁気センサ30の代わりに、センサ51を使用する。このセンサ51は、頭部21に位置し、工作物10の表面の抵抗値を測定する。図9(a)の状態から図9(b)の状態へ変わると、対応部分52が変わり、抵抗値が変化する。結果、締結具2がゆるみ、頭部21の位置が変化すると抵抗値の変化でわかる。
【0041】
また、頭部21と工作物10との間の圧が変われば、抵抗値が変化する。これで、上記同様、締結具2の緩みがわかる。
(実施の形態4:抵抗センサ)
図10(a)、図10(b)を用いて、実施の形態4の締結具2の頭部21と工作物10との断面図を示す。記載しない事項は実施の形態1,2、3と同様である。
【0042】
実施の形態4では、上記実施の形態のセンサの代わりに、センサ51を使用する。このセンサ51は、頭部21に位置し、圧を感知する。上電極61と下電極62とがあり、接触すると電気的に繋がる。図10(b)の状態は、締結具2が工作物10にしっかりと固定されている状態である。締結具2が緩むと図10(a)となる。図10(a)の状態は、上電極61と下電極62と離れ、電気的に繋がってない。
【0043】
この電気的な接続、非接続で、締結具2の緩みを判断できる。
(実施の形態5:圧力センサ)
図11(a)は別の例である。図11(a)は、圧力型のセンサ53の平面図である。センサ53は、金属の配線である。この配線に圧力が加われば、配線の抵抗値が変わり、圧縮の程度がわかる。図10の場合と同様に、頭部21と工作物10との間に、センサ53が位置させればよい。センサ53の抵抗値を測定すれば、締結具2の緩みがわかる。
【0044】
(実施の形態6:圧力センサ)
図11(b)は別の例である。図11(a)は、圧力型のセンサ54の平面図である。センサ54は、上電極61と下電極62との間に誘電体63を配置している。センサ54はキャパシタとなっている。このセンサ54に圧力が加われば、電気容量が変化する。電気容量により、締結具2の緩みを検出できる。図10の場合と同様に、頭部21と工作物10との間に、センサ54が位置させればよい。センサ54の電気容量を測定すれば、締結具2の緩みがわかる。
【0045】
(実施の形態7:複数種類のセンサ)
実施の形態7では、センサを複数種類(第1センサ、第2センサ)用いる。その他は、上記実施の形態と同様である。
第1センサは位置の変化、第2センサは圧の変化を感知する。結果、両方が不合格となった場合に、不合格とすることで、不合格の基準が明確である。両方が不合格となる場合には、非常に締結具100が緩み、または、破損している可能性高く、実際にその締結具2の所へ行き、チェックする必要がある。
【0046】
位置が不合格で、圧が合格の場合、地震などの振動や、建物のゆがみ、による可能性がある。
位置が合格、圧が不合格の場合、締結具2自体に問題がある可能性ある。締結具2の一部が破損、錆びて弱っているなど推定できる。
【0047】
両方が不合格となった場合、上記両方の現象が生じていることが考えられ、直接、締結具2の確認をすべきである。
1つのセンサの合否だけでは、直接、締結具2のところまで行き確認するかどうかの判断が、しにくい。特に、作業がしにくい、橋、高層ビルなどでは、直接確認するための準備が必要である。そのため、より信頼度の高い判断が必要で、この方法はよい。
【0048】
また、個々の締結具2ごとのばらつきに対しても、2つのセンサ(種類の異なる2つのセンサ)であるので、より正確に判断できる。
ただし、位置変化、または、圧変化のいずれかが、まったく異常な値の場合(数値でモニターしている場合で)には、片方のセンサのみの結果から判断し、直接、締結具2の確認をすることがよい。なお、位置の変化には、締結具2の角度の変化も含む。
【0049】
<効果>
位置のセンサと圧のセンサで検査するので確実に検査できる。2つの異なる物性で検査するので、現象を多方面から検査ができ、検査の信頼性が高い。2つのセンサの合否で、実際にその場に行き、検査すべきか明確となる。
【0050】
なお、第1センサ、第2センサの位置は、締結具2の圧のかかる部位間にあればよい。第1センサ、第2センサは同じところに設置しなくともよい。
なお、第1センサは、位置、または、角度に関するセンサであり、第2センサは、圧に関するセンサでもよい。
なた、第1センサは、磁気センサ、スイッチ、光センサのいずれか1つであり、第2センサは、圧力センサ、静電容量のいずれか1つであってもよい。
(実施の形態8:外部センサ)
実施の形態7では、第1センサは、内部の位置または角度の変化を検出するものであった。第2センサは、内部の圧の変化を検出するものであった。実施の形態7では、別のセンサとして、外部から検出する外部センサを設ける。第1センサ、第2センサは、上記のものでよい。記載しない事項は、上記実施の形態と同様である。
【0051】
外部センサは、締結具2の外部に配置される。外部センサは、締結具2の近傍に設置してもよいし、締結具2ごとに、移動させてもよい。
<外部センサとして>
カメラ撮影は、デジタルカメラなどで締結具2を外部から観察する。前回の測定結果との比較から、位置の変化がないか検査する。
【0052】
レーザによる位置測定は、レーザを用い、外部から締結具100に照射し、レーザの反射、レーザのさえぎりなどで、締結具2の位置の変化を検査するものである。
振動特性測定のセンサは、外部から締結具100に振動を与え、締結具100からの振動を検出し、検査する。振動により位置の変化がないか検査する。
【0053】
上記実施の形態にさらに、外部センサがあるので、締結具2の検査、交換する前に、確認できる。
なお、外部センサは、カメラ、振動センサ、レーザのいずれか1つであってもよい。
(実施の形態9:同種の複数センサ)
実施の形態7,8では、第1センサ、第2センサは、異なる種類のセンサであった。実施の形態8では、第1センサと第2センサは、同種のセンサで、精度が異なるセンサである。記載しない事項は、上記実施の形態と同様である。
【0054】
例えば、第1センサ、第2センサとも、圧力センサである。しかし、第1センサは、第2センサより、測定精度が高い圧力センサとする。精度の悪い第2センサが不合格となった場合のみ、精度のよい第1センサによる検査を確認する。
【0055】
たとえば、第1センサは、100Nまでを、0.1N単位で測定できる。第2センサは、100Nまでを、1N単位で測定できる。第2センサの基準値を50Nとする。50Nより下がった場合、例えば、49Nで異常とする。この時、第1センサの値を検査する。その値が、50.0Nより低いと異常とし、対策をする。
【0056】
測定精度が悪い、第2センサは、ばらつきも大きい。そのため、第2センサが、49Nであったとしても、第1センサが、50N以上である可能性は十分ある。
通常は、2つのセンサをモニターせず、測定精度が悪い、第2センサの値のみモニターするだけでよい。
【0057】
こうすることで、1つのセンサによる検査では、判断がしにくい場合でも、判断がしやすい。さらに、締結具2ごとのばらつき、位置によるバラツキ、センサごとのバラツキに対してもより対応できる。
(なお書き)
各実施の形態は組み合わせできる。締結具2、ボルト、ナットなどのタイプ以外でもよく、複数の部材15を保持固定する各種構造へ適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本願発明の締結構造、締結具の検査方法は、建物、橋、設備、乗り物などで使用される締結具に使用される。また、その締結具の検査に利用できる。
【符号の説明】
【0059】
N…ナット、1…範囲,締結具検査システム、2,100…締結具、3…センサユニット、4…受信装置、10…工作物、15…部材、21…頭部、22…軸部、30…磁気センサ、31…主方向、32…垂直方向、34…演算手段、35…送信手段、36…起電手段,電手段、37…記憶手段、40…起電エネルギー発生手段、41…受信手段、42…モニター、43…記録手段、51,53,54…センサ、52…対応部分、61…上電極、62…下電極、63…誘電体、131…第1センサ、132…第2センサ。

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