【実施例】
【0039】
<表面改質剤の作製>
(1)原材料
[A1成分]ポリプロピレン系樹脂
A1−1:プライムポリプロJ−105G(商品名;プライムポリマー社製、ホモPP、MI=9)
A1−2:プライムポリプロF−327(商品名;プライムポリマー製、ランダムPP、MI=6)
A1−3:ウィンテックWFX4T(商品名;日本ポリプロ社製、メタロセン系ランダムPP、MI=7)
[A2成分]ポリプロピレンワックス
A2:ビスコール330−P(商品名;三洋化成工業社製、ポリプロピレンワックス、分子量15,000)
[B成分]1分子中に少なくとも1個のケイ素原子結合ラジカル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサン
B:1分子中に少なくとも1個のケイ素原子結合ラジカル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサンB−1:XF40A−1987(商品名;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、動粘度1500mm
2/s)
[C成分]有機過酸化物
C:ルペロックス101(商品名;アルケマ吉富社製、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン)
[D成分]非ラジカル重合性のポリオルガノシロキサン
D:TSF451−50(商品名;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、動粘度50mm
2/s)
【0040】
(2)表面改質剤の配合
上記原材料を用いて作製した表面改質剤の配合量を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
(3)表面改質剤の作製
[表面改質剤1〜4]
表1に示す配合の5倍量の原材料を、二軸同方向回転噛み合わせ型押出機(型式:型式:MFU15TW−45MG−NH;テクノベル社製、スクリュー直径=15mm、L/D=45)を用いて下記方法で表面改質剤(1〜4)を作製した。
すなわち、バレル(C1〜C6、H/D)温度を80〜200℃(C1=80℃、C2=160℃、C3〜C6=200℃、H/D=200℃)、スクリュー回転数600rpmに設定した二軸同方向回転噛み合わせ型押出機の原料投入口からA成分、C成分を添加し、B成分は液添装置を用いてC2バレルから添加し、表面改質剤(1〜4)を作製した。
【0043】
[表面改質剤5、6]
上記表面改質剤の作製と同じ方法で得た表面改質剤3又は4と、表1に記載のD成分の5倍量を下記方法で加熱混練りして表面改質剤5又は6を作製した。
すなわち、バレル(C1〜C6、H/D)温度を180〜200℃(C1=180℃、C2〜C6=200℃、H/D=200℃)、スクリュー回転数300rpmに設定した二軸同方向回転噛み合わせ型押出機の原料投入口から表面改質剤3又は4を添加し、D成分は液添装置を用いてC2バレルから添加し、表面改質剤5又は6を作製した。
【0044】
[グラフト化率の測定]
ここで、表面改質剤に添加したB成分がA成分に化学的に結合(グラフト化)した度合い(グラフト化率)を下記方法で測定した。
得られた表面改質剤約1gをキシレン100mLで熱溶解した後、ヘキサン50mL、メタノール50mLを加えて、B成分と化学的結合をした、又は化学的結合していないA成分を沈殿させ、A成分と化学的結合をしていないB成分をろ過して除き、沈殿物を分離した後に乾燥した。
乾燥した沈殿物及び表面改質剤をそれぞれATR(型式:Smart Orbit;サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を備えたFT−IR(型式:NICOLET380;サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)で赤外スペクトルを測定し、B成分由来の吸収ピーク(1256cm
−1)とA成分由来の吸収ピーク(1376cm
−1)の吸光度比[B成分由来の吸光度/A成分由来の吸光度〕を求め、下記式にてグラフト化率を算出した。グラフト化率を表4に示す。但し、表面改質剤5又は6のB成分のグラフト化率は、表面改質剤3又は4と同じであることより、表面改質剤3又は4のグラフト化率を採用して示した。
グラフト化率(%)=(乾燥した沈殿物の吸光度比/表面改質剤の吸光度比)×100
【0045】
[融点の測定]
作製した表面改質剤の融点をそれぞれDSC(型式:NICOLET380;サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)で測定した。測定は10℃/分の速度で−20℃から200℃まで昇温し、次に−20℃まで冷却し、再度200℃まで昇温した時の吸熱ピークを読み取ることで融点を測定した。結果を表4に示す。
【0046】
<塩化ビニル系樹脂組成物及びその成形品の作製>
[表面改質剤を含まない塩化ビニル系樹脂組成物の作製]
(1)原材料
[塩化ビニル系樹脂]
塩化ビニル系樹脂(商品名:ZEST1000H;新第一塩ビ社製)
[各種添加剤]
ステアリン酸カルシウム(商品名:カルシウムステアレートG;日油社製)
ステアリン酸亜鉛(商品名:ジンクステアレートG;日油社製)
炭酸カルシウム(商品名:ホワイトン SB;白石カルシウム社製)
ハイドロタルサイト(商品名:アルカマイザー1;協和化学工業社製)
ゼオライト(商品名:GSL−1000;東ソー社製)
ステアロイルベンゾイルメタン(商品名:Rhodiastub 55P;Rhodia社製)
ジペンタエリスリトール(商品名:ジペンタリット;広栄化学社製)
ジペンタエリスリトールフルステアレート(商品名:リケマールSL−02;理研ビタミン社製)
【0047】
(2)表面改質剤を含まない塩化ビニル系樹脂組成物の配合
上記原材料を用いて作製した表面改質剤を含まない塩化ビニル系樹脂組成物の配合組成を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
(3)表面改質剤を含まない塩化ビニル系樹脂組成物の作製方法
表2に示す配合の50倍量の原材料を、ヘンシェルミキサー(型式:SMG−100;カワタ社製)に投入し、内容物温度が110℃になるまで混合しながら加熱した後、55℃まで冷却して粉末状の表面改質剤を含まない塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
【0050】
[塩化ビニル系樹脂組成物及びその成形品の作製]
(1)原材料
表面改質剤を含まない塩化ビニル系樹脂組成(上記方法で得られたもの)
表面改質剤1〜6(「<表面改質剤の作製>」で得られたもの)
A1成分(A1−1):プライムポリプロJ−105G(商品名;プライムポリマー社製)
A2成分(A2):ビスコール330−P(商品名;三洋化成工業社製)
B成分(B):XF40A−1987(商品名;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
D成分(D):TSF451−50(商品名;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
【0051】
(2)塩化ビニル系樹脂組成物の配合
上記原材料を用いて作製した塩化ビニル系樹脂組成物の配合組成を表3に示す。
【0052】
【表3】
【0053】
(3)塩化ビニル系樹脂組成物(実施例品1〜8、比較例品1〜5、対象品1)及びその成形品(1〜14)の作製
表3に示す配合量の30倍量の原材料を、ロッキングミキサー(型式:RM−10−2;愛知電機社製)で5分間混合して塩化ビニル系樹脂組成物(実施例品1〜8、比較例品1〜5)を作製した。
次いで、該塩化ビニル系樹脂組成物を異方向2軸押出機(型式:TP−20T;サーモプラスチック工業社製)を用いて、バレル温度170〜190℃(C1=170℃、C2=180℃、C3=190℃)、金型温度200℃、スクリュー回転数70rpm、押出量2.0kg/hの条件にて押出してプレート状(縦×横×厚さ=100mm×30mm×5mm)の塩化ビニル系樹脂組成物成形品(試作品1〜13)を作製した。
尚、比較例品1〜5で用いたA、B、D成分は、化学的に結合(グラフト化)していないため、グラフト化率は0%とした。
また、対象品として表面改質剤を添加しない以外は同様の操作を行い、プレート状の塩化ビニル系樹脂組成物成形品(試作品14)を作製した。
【0054】
<プレート状の塩化ビニル系樹脂組成物成形品の評価>
[継続的な撥水性の評価]
撥水性は、得られたプレート状の塩化ビニル系樹脂組成物成形品(試作品1〜14)の表面の接触角を、接触角計(型式:CA−X;協和界面科学社製)を用いて測定した。ここで、撥水性は、接触角の数値が大きいほど撥水性が良いことを示している。
また、継続的な撥水性については、洗浄操作前と洗浄操作後の接触角を測定し、その数値を対比して評価した。ここで、継続的な撥水性は、洗浄操作前と洗浄操作後の接触角に差がない時又は差が極めて小さい時に継続的な撥水性を有することを示している。
洗浄操作は、プレート状の塩化ビニル系樹脂組成物成形品(試作品1〜14)の表面を中性洗剤の20倍希釈水溶液に浸した脱脂綿で15回拭く操作を行った。結果を表4に示す。
【0055】
[外観の評価]
得られたプレート状の塩化ビニル系樹脂組成物成形品(試作品1〜14)の表面状態を目視観察し、該成形品の外観を下記評価基準で評価した。結果を表4に示す。
◎:成形品の表面に相溶不良物(溶け残ったもの)がなく、外観が非常にきれいな状態。
○
+:成形品の表面に相溶不良物(溶け残ったもの)がほとんどなく、外観がきれいな状態。
○
−:成形品の表面に相溶不良物(溶け残ったもの)がやや見られ、外観がやや汚いが許容できる状態。
×:成形品の表面に明確な相溶不良物(溶け残ったもの)が見られ、外観が汚く許容できない状態。
【0056】
【表4】
【0057】
結果より、実施例品の塩化ビニル系樹脂組成物を成形した試作品1〜8は、継続的撥水性を有している。一方、比較例品の塩化ビニル系樹脂組成物を成形した試作品9〜13は、撥水性を有していない、又は継続的撥水性を有していない。
また、実施例品の塩化ビニル系樹脂組成物を用いた試作品の中でも、添加した表面改質剤の融点が150℃以下である場合、外観が良い評価であり(試作品2〜8)、更に添加した表面改質剤の融点が130℃以下である場合、外観が非常に良い評価であった(試作品3、5、7、8)。
また更に、実施例品の塩化ビニル系樹脂組成物を用いた試作品の中でも、添加した表面改質剤にD成分を含んでいる実施例品5、6は、高い撥水性及び継続的撥水性を有していた。
【0058】
<パイプ状の塩化ビニル系樹脂組成物成形品の作製>
表3の実施例品3、7、比較例品1〜5及び対象品1(表面改質剤無添加)に示す塩化ビニル系樹脂組成物のそれぞれを用いてパイプ状の塩化ビニル系樹脂組成物成形品を以下の方法で作製した。
表3に示す各原材料の30倍量をロッキングミキサー(型式:RM−10−2;愛知電機社製)で5分間混合して塩化ビニル系樹脂組成物を作製した。次いで得られた塩化ビニル系樹脂組成物を、パイプ用ダイスを取り付けた異方向2軸押出機(型式:TP−20T;サーモプラスチック工業社製)に投入し、バレル温度170〜190℃(C1=170℃、C2=180℃、C3=190℃)、ダイス温度200℃、スクリュー回転数70rpm、押出量2.0kg/hの条件で押出して、内径18mm、外径22mmのパイプ状の塩化ビニル系樹脂組成物成形品(試作品15〜22)を作製した。
【0059】
<パイプ状の塩化ビニル系樹脂組成物成形品の評価>
[継続的な撥水性の評価]
得られたパイプ状の塩化ビニル系樹脂組成物成形品(試作品15〜22)を洗浄操作を行う前(そのままの状態)、および洗浄操作を行った後、塩基性染料(商品名:ローダミン6G;和光純薬工業社製)を水で希釈した0.1%染料水溶液に10秒間浸した。次いでパイプを引き上げ、水を張った水槽中で10秒間浸漬した後、パイプの撥水性(パイプへの染料の付着度合い:防汚性)を目視にて下記評価基準で評価した。継続的な撥水性については、洗浄操作前と洗浄操作後の撥水性(パイプへの染料の付着度合い:防汚性)に差がない時又は差が極めて小さい時に継続的な撥水性(経時的な防汚性)を有することを示している。
洗浄操作はパイプ状の塩化ビニル系樹脂組成物成形品(試作品15〜22)の表面を中性洗剤の20倍希釈水溶液に浸した脱脂綿で15回拭く操作を行った。結果を表5に示す。
【0060】
[撥水性(パイプへの染料の付着度合い:防汚性)の評価基準]
◎:撥水性が非常に良く染料(汚れ)が流れ、パイプ表面にほとんど付着していない状態。
○:撥水性が良く染料(汚れ)の一部が流れるが、パイプ表面の1/3程度に付着している状態。
△:撥水性がやや悪く染料(汚れ)の一部が流れるが、パイプ表面の2/3程度に付着している状態。
×:撥水性が悪く染料(汚れ)が流れず、パイプ表面のほぼ全体に付着している状態。
【0061】
【表5】
結果より、実施例品である塩化ビニル系樹脂組成物を用いたパイプ状の塩化ビニル系樹脂成形物成形品(試作品15、16)は、経時的撥水性を有し、洗浄前および洗浄後に染料(汚れ)が付着しづらく経時的防汚性に優れていた。
一方、比較例品である塩化ビニル系樹脂組成物を用いたパイプ状の塩化ビニル系樹脂成形品(試作品17〜21)は、撥水性を有していない又は経時的撥水性を有せず、洗浄後に染料(汚れ)が付着し防汚性又は経時的防汚性がなかった。
また、対象品1(表面改質剤無添加)である塩化ビニル系樹脂組成物を用いたパイプ状の塩化ビニル系樹脂組成物成形品(た試作品22)は、撥水性を有せず、染料(汚れ)が付着し防汚性がなかった。