特許第6556476号(P6556476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556476
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】ジフルオロメチル亜鉛化合物
(51)【国際特許分類】
   C07F 3/06 20060101AFI20190729BHJP
   C07C 205/11 20060101ALI20190729BHJP
   C07C 201/12 20060101ALI20190729BHJP
   C07C 22/08 20060101ALI20190729BHJP
   C07C 17/266 20060101ALI20190729BHJP
   C07C 17/275 20060101ALI20190729BHJP
   C07C 41/30 20060101ALI20190729BHJP
   C07C 43/225 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   C07F3/06CSP
   C07C205/11
   C07C201/12
   C07C22/08
   C07C17/266
   C07C17/275
   C07C41/30
   C07C43/225 A
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-59500(P2015-59500)
(22)【出願日】2015年3月23日
(65)【公開番号】特開2016-179945(P2016-179945A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2018年2月13日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度、独立行政法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業、先導的物質変換領域(ACT−C)、「エン反応と関連技術の展開、炭素−フッ素結合の活性化による(触媒的)不斉CCFの開発、および炭素−水素結合の活性化による触媒的(不斉)フルオロメチル化反応の開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(73)【特許権者】
【識別番号】301005614
【氏名又は名称】東ソー・ファインケム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】三上 幸一
(72)【発明者】
【氏名】石井 洸毅
(72)【発明者】
【氏名】相川 光介
【審査官】 高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−162732(JP,A)
【文献】 Chem. Eur. J.,2014年11月13日,21,96−100
【文献】 日本化学会講演予稿集,2015年 3月11日,95th, No.4,1204
【文献】 フッ素化学討論会 講演要旨集,2013年10月 3日,36th,26−27
【文献】 Journal of Organometallic Chemistry,1996年,519,7−20
【文献】 J. Am. Chem. Soc.,1991年,113,5606−5618
【文献】 Org. Lett.,2015年10月 2日,17,4996−4999
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 3/06
C07C 17/266
C07C 17/275
C07C 22/08
C07C 41/30
C07C 43/225
C07C 201/12
C07C 205/11
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表わされるビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物。
(CHFZn・TALED (1)
(式(1)中、TALEDはテトラアルキルエチレンジアミンを示す。)
【請求項2】
式(2)で表されるビス(トリフルオロメチル)亜鉛・DMPU錯体を水素化ホウ素ナトリウムと反応させ、ついでテトラメチルエチレンジアミンと錯体を形成させる、請求項1に記載のビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物の製造方法。
(CFZn・(DMPU) (2)
(式(2)中、DMPUはN,N’−ジメチルプロピレンウレアを示す。)
【請求項3】
ビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物を用いてジフルオロメチル化反応を行う工程を有するジフルオロメチル基含有芳香族化合物の製造方法。
【請求項4】
ビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物(1)と下記一般式(3)
【化1】
(式(3)中、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアシルオキシ基、シアノ基、アミノ基、モノ置換(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基、ジ置換(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基またはフェニル基を示し、隣接するRとRまたはRとRは、一体となってベンゼン環を形成してもよく、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。)で表される芳香族ハライドを反応させて、下記一般式(4)
【化2】
(式(4)中、R、R、R、RおよびRは前記式(3)と同じ。)で表されるジフルオロメチル基含有芳香族化合物を得る、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
ビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物(1)と下記一般式(5)
【化3】
(式(5)中、R、R、R、RおよびRは前記式(3)と同じであり、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示し、aは0≦a≦7の整数である。)で表される芳香族ハライドを反応させて、下記一般式(6)
【化4】
(式(6)中、R、R、R、R、R、R、aおよびXは前記式(5)と同じである。)および下記一般式(7)
【化5】
(式(7)中、R、R、R、R、R、R、aおよびXは前記式(5)と同じである。)で表されるジフルオロメチル基含有芳香族化合物を得る、請求項3に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリフルオロメチル亜鉛より調製されるジフルオロメチル亜鉛化合物の製造方法および当該ジフルオロメチル亜鉛化合物を用いるジフルオロメチル化反応に関する。ジフルオロメチル基含有化合物類は医農薬及び電子材料の合成中間体として極めて有用な化合物として注目されている。
【背景技術】
【0002】
有機化合物にジフルオロメチル基を導入するジフルオロメチル化反応は、従来技術として、例えばトリフルオロメチルトリメチルシランを用いる方法(例えば、非特許文献1〜4参照。)、トリフルオロメチルトリメチルシランを還元して得られるジフルオロメチルシランを用いる方法(例えば、非特許文献5〜6参照。)、クロロジフルオロメチルトリメチルシランを用いる方法(例えば、非特許文献7参照。)、ハロジフルオロ酢酸エステルを用いる方法(例えば、非特許文献8〜9参照。)、ジブロモジフルオロメタンを用いる方法(例えば、非特許文献10〜11参照。)等がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】ワン エフ(Wang F)ら、Angew. Chem.,Int.Ed. 2011, 50, 7153。
【非特許文献2】プラカシュ ジー.ケー.エス.(Prakash,G.K.S)ら、Org.Lett.2014,16,54。
【非特許文献3】フ エム(Hu M)ら、J.Am.Chem.Soc.2013,135,17302。
【非特許文献4】ハシモト アール(Hashimoto,R)ら、Chem.Eur.J.2014,20,2750。
【非特許文献5】ジョン エフ. ハトウィッヒ(John F. Hatwig)ら、J.Am.Chem.Soc.2012,134,5524。
【非特許文献6】ジンボ フ(Jinbo Hu)ら、Org.Lett.2011,13,5342。
【非特許文献7】ワン エフ(Wang F)ら、Chemical Comunications.2011,47,2411。
【非特許文献8】クロボシ エム(Kuroboshi,M)ら、Bull.Chem.Soc.Jpn.1990,63,428。
【非特許文献9】フクダ エイチ(Hukuda,H)ら、J.Fluorine Chem.1995,74,171。
【非特許文献10】パーリントン エス ティー(Purrington S. T.)ら、J.Org.Chem.1984,49,3702。
【非特許文献11】ドルビアー ジュニア(Dolbier, Jr.)らTetrahedron 1997,53,9857。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来より知られている非特許文献1〜7等に記載の方法は、高価なシラン化合物を用いるという課題があり、又、非特許文献8〜9に記載の方法は、ジフルオロ酢酸ユニットを導入後に脱炭酸反応工程を必要とするという課題がある。さらに、非特許文献10〜11に記載の方法は、使用するジブロモジフルオロメタンの沸点が22.8℃と低く、液体として取り扱いが困難という課題がある。
【0005】
本発明の目的は、ビス(トリフルオロメチル)亜鉛・DMPU錯体化合物(DMPUはN,N’−ジメチルプロピレンウレアを示す。)から誘導されるジフルオロメチル亜鉛化合物を用いる新たなジフルオロメチル基含有芳香族化合物類の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決する方法について鋭意検討した結果、2分子のDMPUと錯体を形成したビス(トリフルオロメチル)亜鉛を水素化ホウ素ナトリウムで還元し、テトラメチルエチレンジアミン等のテトラアルキルエチレンジアミン(以下、「TALED」と略すことがある。)と反応することにより、TALEDと錯体を形成した熱安定性の高い固体としてビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物を取り出すことができることを見出した。更に、該化合物はジフルオロメチル基含有芳香族化合物類の製造原料として使用可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち本発明は、下記式(1)
(CHFZn・TALED (1)
(式(1)中、TALEDはテトラアルキルエチレンジアミンを示す。)
で表わされるビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物に係るものである。
さらに本発明は、下記式(2)
(CFZn・(DMPU) (2)
(式(2)中、DMPUはN,N’−ジメチルプロピレンウレアを示す。)
で表されるビス(トリフルオロメチル)亜鉛・DMPU錯体化合物を水素化ホウ素ナトリウムと反応させた後にTALEDと錯体を形成させることを特徴とするビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物(1)の製造方法を提供するものである。
【0008】
さらに本発明は、ビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物を用いてジフルオロメチル化反応を行う工程を有するジフルオロメチル基含有芳香族化合物の製造方法を提供するものである。
さらに本発明は、ビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物(1)と下記一般式(3)
【0009】
【化1】
【0010】
(式(3)中、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアシルオキシ基、シアノ基、アミノ基、モノ置換(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基、ジ置換(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基またはフェニル基を示し、隣接するRとRまたはRとRは、一体となってベンゼン環を形成してもよく、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。)で表される芳香族ハライドを反応させて下記一般式(4)
【0011】
【化2】
【0012】
(式(4)中、R、R、R、RおよびRは前記式(3)と同じ。)で表されるジフルオロメチル基含有芳香族化合物を得る製造方法を提供するものである。
さらに本発明は、ビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物(1)と下記一般式(5)
【0013】
【化3】
【0014】
(式(5)中、R、R、R、RおよびRは前記式(3)と同じであり、Rは水素または、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示し、aは0≦a≦7の整数である。)で表される芳香族ハライドを反応させることを特徴とする下記一般式(6)
【0015】
【化4】
【0016】
(式(6)中、R、R、R、R、R、R、aおよびXは前記式(5)と同じである。)および下記一般式(7)
【0017】
【化5】
【0018】
(式(7)中、R、R、R、R、R、R、aおよびXは前記式(5)と同じである。)で表されるジフルオロメチル基含有芳香族化合物を得る製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、次の効果を奏する。
1)ジフルオロメチル亜鉛を効率的かつ安定に製造でき、工業的に利用可能となる。
2)安定化されたジフルオロメチル亜鉛を用いて、ジフルオロメチル基含有芳香族化合物類の工業的製造が容易となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の式(1)で表されるビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物は、(CFZn・(DMPU)錯体化合物と水素化ホウ素ナトリウムを、有機溶剤中で所定時間反応を行なった後、TALEDを加えて室温で撹拌した後、反応液に水を加え、ジエチルエーテル等で抽出し、得られた有機相から有機溶剤を減圧下に留去することによって、粗製の固体として得ることができる。
【0021】
本反応に適用可能な有機溶媒に関しては、反応に不活性なものであれば特に限定はされないが、具体的には例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類等の芳香族炭化水素類が挙げられ、反応に具する(CFZn・(DMPU)錯体化合物に対して10重量〜500重量倍量使用するとよい。
【0022】
本発明によるビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物の製造において、反応に用いられる水素化ホウ素ナトリウムの量は、反応に具する(CFZn・(DMPU)錯体化合物に対して、好ましくは0.2モル量〜10.0モル量、さらに好ましくは1.0モル量〜5.0モル量である。
本発明によるビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物の製造において、反応に用いられる(CFZn・(DMPU)錯体化合物に水素化ホウ素ナトリウムを加える順序は特に制限されるものではなく、いずれを先に加えても、または同時に加えてもよく、また、反応温度及び時間は室温〜70℃の温度範囲で、0.10時間〜1時間の反応時間とするとよい。
【0023】
本発明によるビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物を形成するために使用するTALEDは、ジフルオロメチル亜鉛に対して、好ましくは1.1モル量〜5.0モル量、さらに好ましくは1.5モル量〜4.0モル量である。
本発明によるビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物の製造の後処理方法としては、過剰の水素化ホウ素ナトリウムを水で分解除去(クエンチ)した後、1重量〜20重量倍量のエーテルで抽出、乾燥し、有機溶剤を濃縮する方法が一般的であり、この方法によって本発明のビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物を得ることができる。
【0024】
本発明においては、上記のビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物を用いてジフルオロメチル化反応を行う工程を有するジフルオロメチル基含有芳香族化合物の製造方法を提供できる。
具体的には、式(1)のビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物と一般式(3)の芳香族ハライドとを反応させて一般式(4)のジフルオロメチル基含有芳香族化合物を、または式(1)のビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物と一般式(5)の芳香族ハライドとを反応させて一般式(6)および(7)のジフルオロメチル基含有芳香族化合物を得る製造方法である。
【0025】
本発明において、一般式(3)における芳香族ハライドは、芳香環上の置換基に特に制限は無く、他の官能基を含んでいてもよい直鎖型または分岐型アルキル基、置換または無置換のフェニル基を含む化合物が挙げられる。
さらに、一般式(3)中、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアシルオキシ基、シアノ基、アミノ基、モノ置換(炭素数1〜4のアルキル)、ジ置換(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基またはフェニル基を示す化合物を例示できる。ここで、一般式(3)中、隣接するRとRまたはRとRは、縮合多環ナフタレンのように一体となってベンゼン環を形成してもよい。ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニル基とは、ハロゲン原子で置換された炭素数2〜4のアルケニル基、またはハロゲン原子で置換されていない炭素数2〜4のアルケニル基を意味する。(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基とはカルボン酸エステルのエステル部分の炭素数が1〜4であることを意味する。また、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。
【0026】
具体的には例えば、4−ニトロヨードベンゼン、4−ベンジルオキシヨードベンゼン、1−ハロ−2−メトキシベンゼン、1−ハロ−3−メトキシベンゼン、1−ハロ−4−メトキシベンゼン、1−ハロ−2−エトキシベンゼン、1−ハロ−3−エトキシベンゼン、1−ハロ−4−エトキシベンゼン、1−ハロ−2−tert−ブチルオキシベンゼン、1−ハロ−3−tert−ブチルオキシベンゼン、1−ハロ−4−tert−ブチルオキシベンゼン、1−ハロ−2−アセチルベンゼン、1−ハロ−3−アセチルベンゼン、1−ハロ−4−アセチルベンゼン、1−ハロ−2−ピバロイルベンゼン、1−ハロ−3−ピバロイルベンゼン、1−ハロ−4−ピバロイルベンゼン、1−ハロ−2−(メトキシカルボニル)ベンゼン、1−ハロ−3−(メトキシカルボニル)ベンゼン、1−ハロ−4−(メトキシカルボニル)ベンゼン、1−ハロ−2−(tert−ブチルオキシカルボニル)ベンゼン、1−ハロ−3−(tert−ブチルオキシカルボニル)ベンゼン、1−ハロ−4−(tert−ブチルオキシカルボニル)ベンゼン、1−ハロ−2−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ハロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ハロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ハロ−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ハロ−2−クロロベンゼン、1−ハロ−3−クロロベンゼン、1−ハロ−4−クロロベンゼン、1−ハロ−2−フルオロベンゼン、1−ハロ−3−フルオロベンゼン、1−ハロ−4−フルオロベンゼン、1−ハロ−3,5−ジフルオロベンゼン、1−ハロ−3,4,5−トリフルオロベンゼン、1−ハロ−2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼン、1−ハロ−2−シアノベンゼン、1−ハロ−3−シアノベンゼン、1−ハロ−4−シアノベンゼン、1−ハロ−2−ニトロベンゼン、1−ハロ−3−ニトロベンゼン、1−ハロ−4−ニトロベンゼン、1−ハロ−2−シアノ−3−メトキシベンゼン、1−ハロ−3−シアノ−4−(メトキシカルボニル)ベンゼン、1−ハロ−3−シアノ−5−ニトロベンゼン、1−ハロ−2−クロロ−3−シアノベンゼン、1−ハロ−4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1−ハロ−2−アセチル−5−シアノベンゼン、1−ハロ−2−アセチル−4−(トリフルオロメチル)−6−(メトキシカルボニル)ベンゼン、1−ハロ−3−アセチル−4−メトキシ−5−クロロベンゼン、1−ハロ−3−アセチル−2−クロロ−4−シアノ−6−メトキシ−5−(メトキシカルボニル)ベンゼン等が例示できる。
【0027】
一般式(4)中、R、R、R、RおよびRは、上記の一般式(3)と同じである。一般式(4)で表されるジフルオロメチル基含有芳香族化合物としては、4−ジフルオロニトロベンゼン、4−ベンジルオキシジフルオロメチルベンゼン、1-ジフルオロメチル-2−メトキシベンゼン、1-ジフルオロメチル-3−メトキシベンゼン、1-ジフルオロメチル-4−メトキシベンゼン、1-ジフルオロメチル-2−エトキシベンゼン、1-ジフルオロメチル-3−エトキシベンゼン、1-ジフルオロメチル-4−エトキシベンゼン、1-ジフルオロメチル-2−tert−ブチルオキシベンゼン、1-ジフルオロメチル-3−tert−ブチルオキシベンゼン、1-ジフルオロメチル-4−tert−ブチルオキシベンゼン、1-ジフルオロメチル-2−アセチルベンゼン、1-ジフルオロメチル-3−アセチルベンゼン、1-ジフルオロメチル-4−アセチルベンゼン、1-ジフルオロメチル-2−ピバロイルベンゼン、1-ジフルオロメチル-3−ピバロイルベンゼン、1-ジフルオロメチル-4−ピバロイルベンゼン、1-ジフルオロメチル-2−(メトキシカルボニル)ベンゼン、1-ジフルオロメチル-3−(メトキシカルボニル)ベンゼン、1-ジフルオロメチル-4−(メトキシカルボニル)ベンゼン、1-ジフルオロメチル-2−(tert−ブチルオキシカルボニル)ベンゼン、1-ジフルオロメチル-3−(tert−ブチルオキシカルボニル)ベンゼン、1-ジフルオロメチル-4−(tert−ブチルオキシカルボニル)ベンゼン、1-ジフルオロメチル-2−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1-ジフルオロメチル-3−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1-ジフルオロメチル-4−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1-ジフルオロメチル-3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1-ジフルオロメチル-2−クロロベンゼン、1-ジフルオロメチル-3−クロロベンゼン、1-ジフルオロメチル-4−クロロベンゼン、1-ジフルオロメチル-2−フルオロベンゼン、1-ジフルオロメチル-3−フルオロベンゼン、1-ジフルオロメチル-4−フルオロベンゼン、1-ジフルオロメチル-3,5−ジフルオロベンゼン、1-ジフルオロメチル-3,4,5−トリフルオロベンゼン、1-ジフルオロメチル-2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼン、1-ジフルオロメチル-2−シアノベンゼン、1-ジフルオロメチル-3−シアノベンゼン、1-ジフルオロメチル-4−シアノベンゼン、1-ジフルオロメチル-2−ニトロベンゼン、1-ジフルオロメチル-3−ニトロベンゼン、1-ジフルオロメチル-4−ニトロベンゼン、1-ジフルオロメチル-2−シアノ−3−メトキシベンゼン、1-ジフルオロメチル-3−シアノ−4−(メトキシカルボニル)ベンゼン、1-ジフルオロメチル-3−シアノ−5−ニトロベンゼン、1-ジフルオロメチル-2−クロロ−3−シアノベンゼン、1-ジフルオロメチル-4−シアノ−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1-ジフルオロメチル-2−アセチル−5−シアノベンゼン、1-ジフルオロメチル-2−アセチル−4−(トリフルオロメチル)−6−(メトキシカルボニル)ベンゼン、1-ジフルオロメチル-3−アセチル−4−メトキシ−5−クロロベンゼン、1-ジフルオロメチル-3−アセチル−2−クロロ−4−シアノ−6−メトキシ−5−(メトキシカルボニル)ベンゼン等が例示できる。
【0028】
本発明の一般式(4)で表されるジフルオロメチル基含有芳香族化合物の製造方法において、式(1)で表されるビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物の使用量としては、原料基質として使用する一般式(3)で表わされる芳香族ハライドに対して、1.0モル量〜4.0モル量の範囲が好ましい。
本発明の一般式(4)で表されるジフルオロメチル基含有芳香族化合物の製造方法において、使用可能な溶剤は、反応に不活性なものであれば特に規定はないが、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられ、反応に使用する一般式(3)で表される芳香族ハライド化合物類に対して、1重量〜50重量倍量使用することが好ましい。
【0029】
本発明の一般式(4)で表されるジフルオロメチル基含有芳香族化合物の製造方法において、反応効率向上のために、チオフェン−2−カルボン酸銅(I)などの有機金属類を加えることもでき、その量としては芳香族ハライド化合物類に対して、1.0モル量〜4.0モル量の範囲が好ましい。
本発明の一般式(4)で表されるジフルオロメチル基含有芳香族化合物の製造の反応温度及び時間は、通常0℃〜50℃の温度範囲で、1時間〜12時間の反応時間であるとよい。
【0030】
本発明の一般式(4)で表されるジフルオロメチル基含有芳香族化合物の製造の後処理方法としては、周知の方法で実施可能であり、例えば、5%塩酸を添加、エーテルで抽出、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、濃縮することにより、粗製の一般式(4)で表されるジフルオロメチル基含有芳香族化合物類を得、さらに必要に応じて、蒸留精製、シリカゲルカラムクロマトグラフィーでの精製等を行っても良い。
【0031】
本発明において、一般式(5)における芳香族ハライドは、芳香環上の置換基に特に制限は無く、他の官能基を含んでいても良い直鎖型または分岐型アルキル基、置換または無置換のフェニル基を含む化合物が挙げられる。
具体的には、一般式(5)中、R、R、R、RおよびRは、上記の一般式(3)と同じであり、Rは水素または、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基を示す。また、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示し、aは0≦a≦7の整数である。例えば、臭化シンナミルなどが挙げられる。
【0032】
一般式(6)および一般式(7)中、R、R、R、R、R、R、aおよびXは前記式(5)と同じである。従って、一般式(6)および一般式(7)で表されるビス(ジフルオロメチル)基含有芳香族化合物において、ジフルオロメチル基は、末端のα−位、γ−位に導入できる。一般式(6)および一般式(7)で表されるジフルオロメチル基含有芳香族化合物としては、臭化シンナミルのα−位がジフルオロメチル化された化合物およびγ−位がジフルオロメチル化された化合物などが挙げられる。
【0033】
本発明の一般式(6)および一般式(7)で表されるビス(ジフルオロアルキル)基含有芳香族化合物の製造方法において、式(1)で表されるビス(ジフルオロメチル)亜鉛・TALED錯体化合物の使用量としては、原料基質として使用する一般式(5)で表わされる芳香族ハライドに対して、1.0モル量〜4.0モル量の範囲が好ましい。
本発明の一般式(6)および一般式(7)で表されるビス(ジフルオロアルキル)基含有芳香族化合物の製造方法において、使用可能な溶剤は、反応に不活性なものであれば特に規定はないが、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられ、反応に使用する一般式(5)で表される芳香族ハライド化合物類に対して、1〜50重量倍量使用することが好ましい。
【0034】
本発明の一般式(6)および一般式(7)で表されるビス(ジフルオロアルキル)基含有芳香族化合物の製造方法において、反応温度及び時間は、通常0℃〜50℃の温度範囲で、1時間〜12時間の反応時間であるとよい。
本発明の一般式(6)および一般式(7)で表されるビス(ジフルオロアルキル)基含有芳香族化合物の製造の後処理方法としては、周知の方法で実施可能であり、例えば、5%塩酸を添加、エーテルで抽出、硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、濃縮することにより、粗製の一般式(6)および一般式(7)で表されるビス(ジフルオロアルキル)基含有芳香族化合物類を得、さらに必要に応じて、蒸留精製、シリカゲルカラムクロマトグラフィーでの精製等を行っても良い。
【実施例】
【0035】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、分析に当たっては下記機器を使用した。
H−NMR,19F−NMR:日本電子(株)製GSX−400スペクトロメーター(JEOL GSX−400 spectrometer)。
【0036】
参考例1 ビス(トリフルオロメチル)亜鉛・(ジメチルプロピレンウレア)錯体の調製
撹拌子を備えた50mlの丸底二口フラスコに、アルゴン雰囲気下、ヘキサン(15ml)及びジメチルプロピレンウレア(2.41ml、20mmol、以下DMPUと略す)を入れ、撹拌しながら−60℃に冷却した。次いでこれに、トリフルオロメチルヨージド(9.8g、50mmol)をバブリングして供給した後、ジエチル亜鉛(1.0M−ヘキサン溶液、10ml、10mmol)を滴下した。同温度で20分撹拌の後、−20℃で72時間反応を行った。
【0037】
反応終了後、余剰のトリフルオロメチルヨージド及び未反応のジエチル亜鉛を減圧下、留去することにより粗製のビス(トリフルオロメチル)亜鉛・(DMPU)錯体を白色固体として得、次いでジエチルエーテル(15ml×3回)で洗浄、減圧乾燥することによりビス(トリフルオロメチル)亜鉛・(DMPU)錯体を白色固体として得た(4.15g、収率90%)。
H−NMR(300MHz,DMF−d)δ3.25(t,8H)、2.84(s,12H)、1.94(quin,4H)。
19F−NMR(282MHz,DMF−d)δ−42.8(s,3F)。
【0038】
実施例1 ビス(ジフルオロメチル)亜鉛・テトラメチルエチレンジアミン錯体の調製
撹拌子を備えた試験管に、アルゴン雰囲気下、(CFZn・(DMPU)(92mg,0.2mmol)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)(26mg,0.7mmol)、及びジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)(0.4mL)を入れ、70℃で15分反応を行った。反応液を室温まで冷まし、これにテトラメチルエチレンジアミン(60μL,0.4mmol)を入れ、10分撹拌した。反応液にジエチルエーテル(15mL)と水(10mL)を加え、有機層を分離した後、水層をジエチルエーテル(10mL)で2回抽出した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去することによって粗製の(CHFZn・テトラメチルエチレンジアミン種を得た。これをごく少量の塩化メチレンに溶かし、多量のヘキサン中へ滴下することで白色沈殿が得られ、デカンテーションによって上澄み液を取り除いた後、減圧下で乾燥させることで(CHFZn・テトラメチルエチレンジアミン錯体を得た。
19F−NMR(282MHz,CDCl)δ−128.6(d,JFH=42.1Hz,2F)。
【0039】
実施例2 ビス(ジフルオロメチル)亜鉛・N,N−ビス(2,4−ジメチトキシベンジル)エタン−1,2−ジアミン錯体の調製
撹拌子を備えた試験管に、アルゴン雰囲気下、Zn(CF・(DMPU)(138mg,0.3mmol)、NaBH(68mg,1.8mmol)、及びジグライム(0.6mL)を入れ、70℃で15分反応を行った。反応液を室温まで冷まし、これにN,N−ビス(2,4−ジメチトキシベンジル)エタン−1,2−ジアミン(N1,N2-bis(2,4-dimethoxybenzyl)ethane-1,2-diamine、以下単に「1,2−ジアミン」という。)(72mg,0.2mmol)を入れ、30分撹拌した。反応液にジエチルエーテル(20mL)と水(30mL)を加え、有機層を分離した後、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去することによってビス(ジフルオロメチル)亜鉛・1,2−ジアミン錯体((CHFZn・N1,N2-bis(2,4-dimethoxybenzyl)ethane-1,2-diamine)(0.1mmol)を得た。
19F−NMR(282MHz,CDCl)δ−128.7(br,2F)。
【0040】
実施例3 ビス(ジフルオロメチル)亜鉛・1,2−ジアミン錯体を用いた4−ジフルオロニトロベンゼンの調製
撹拌子を備えた試験管に、アルゴン雰囲気下、ビス(ジフルオロメチル)亜鉛・1,2−ジアミン錯体((CHFZn・N1,N2-bis(2,4-dimethoxybenzyl)ethane-1,2-diamine)(0.1mmol)、4−ニトロヨードベンゼン(25mg,0.1mmol)、チオフェン−2−カルボン酸銅(I)(10mg,0.1mmol)及びDMPU(1mL)を入れ、室温で48時間反応を行った後、1M塩酸(5mL)を加えて反応を停止した。ここにジエチルエーテル(15mL)を加え、有機層を分離した後、水層をジエチルエーテル(10mL)で2回抽出した。その後、全ての有機層を混合し、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。ここで得られた混合物に、は内部標準物質としてベンゾトリフルオリド(BTF)を加えた後19FNMRで分析し、目的物の収率が8%であることを確認した。得られた混合物から4−ジフルオロニトロベンゼンをカラムクロマトグラフィーによって分離、精製し、HNMR及び19FNMRで同定を行った。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ8.35(d,JHH=7.8Hz 2H)、7.72(d,JHH=7.8Hz 2H)、6.73(t,JFH=55.8Hz 1H)。
19F−NMR(282MHz,CDCl)δ−113.2(d,JFH=55.8Hz 2F)。
【0041】
実施例4
撹拌子を備えた試験管に、アルゴン雰囲気下、(CHFZn・テトラメチルエチレンジアミン錯体(0.1mmol)、下記式(8)で表される臭化シンナミル(8)(15μl,0.1mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド(0.5mL)を入れ、80℃で24時間反応を行った。
【0042】
【化6】
【0043】
その後、1M塩酸(5mL)を加えて反応を停止した。ここにジエチルエーテル(15mL)を加え、有機層を分離した後、水層をジエチルエーテル(10mL)で2回抽出した。全ての有機層を混合し、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。ここで得られた混合物に、内部標準物質としてBTFを加えた後19FNMRで分析し、下記式(9)で表されるα−位がジフルオロメチル化された化合物および下記式(10)で表されるγ−位がジフルオロメチル化された化合物を観測、同定するとともに、これらの目的物の収率が3%であることを確認した。
【0044】
【化7】
【0045】
【化8】
【0046】
19F−NMR(α−CFH)(282MHz,CDCl)δ−116.0(dt,JFH=55.6Hz,JFH=17.2Hz 2F)。
19F−NMR(γ−CFH)(282MHz,CDCl)δ−120.3(ddd,JFF=283.0Hz,JFH=55.4Hz,JFH=15.5Hz 2F)。
【0047】
実施例5
撹拌子を備えた試験管に、アルゴン雰囲気下、(CHFZn・テトラメチルエチレンジアミン(0.1mmol)、下記式(11)で表される4−ベンジルオキシヨードベンゼン(11)(15.5mg、0.05mmol)、Pd(dba)(1.4mg、0.0015mmol)、1,1‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(3.3mg、0.006mmol)、(SIPr)AgCl(4,5-bis(2,6-diisopropylphenyl)-4,5-dihydroimidazol-2-ylideneAgCl)(26.7mg、0.05mmol)及び1,4−ジオキサン(1 mL)を入れ、50℃で24時間反応を行った。
【0048】
【化9】
【0049】
その後、水(5 mL)を加えて反応を停止した。この反応液をセライト濾過した後に、水(5mL)とジエチルエーテル(10 mL)を加え、有機層を分離した後、水層をジエチルエーテル(10 mL)で2回抽出した。その後、全ての有機層を混合し、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下留去した。ここで得られた混合物に、内部標準物質としてBTFを加えた後19F−NMRで分析し、下記式(12)で表される目的物の収率が38%であることを確認した。
【0050】
【化10】
【0051】
19F−NMR(282MHz,CDCl)δ―108.7(d,2JFH=57.6Hz 2F)
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明により、室温下において安定に取扱い可能なビス(ジフルオロメチル)亜鉛・テトラメチルエチレンジアミン錯体を用いて種々のジフルオロメチル基含有有機化合物類の製造が可能となった。