特許第6556508号(P6556508)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 和同産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6556508-作業機 図000002
  • 特許6556508-作業機 図000003
  • 特許6556508-作業機 図000004
  • 特許6556508-作業機 図000005
  • 特許6556508-作業機 図000006
  • 特許6556508-作業機 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556508
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B62D 11/08 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   B62D11/08 B
   B62D11/08 V
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-116914(P2015-116914)
(22)【出願日】2015年6月9日
(65)【公開番号】特開2017-1508(P2017-1508A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】592226729
【氏名又は名称】和同産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(72)【発明者】
【氏名】千葉 充
(72)【発明者】
【氏名】幅野 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】菊池 博樹
【審査官】 田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−096176(JP,A)
【文献】 特開2012−232636(JP,A)
【文献】 実開平06−032269(JP,U)
【文献】 特開2006−123785(JP,A)
【文献】 実公昭41−016650(JP,Y1)
【文献】 特開2010−208536(JP,A)
【文献】 特開2009−143325(JP,A)
【文献】 米国特許第04645022(US,A)
【文献】 特開2002−104236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に設けられる左右の駆動輪と、これらの駆動輪から前記機体の中央へ延びる左右の伝動軸と、左右のサイドクラッチを内蔵し左右の出力軸が前記左右の伝動軸に連結されるミッションと、このミッションの入力軸を駆動する駆動源とを備え、
左右のサイドクラッチが接続状態にあるときには直進し、左のサイドクラッチが断状態にあるときに左に旋回し、右のサイドクラッチが断状態にあるときに右に旋回する作業機であって、
前記ミッションは、前記左右のサイドクラッチを内蔵するミッションケースと、このミッションケースから一端が突出し前記左右のサイドクラッチの各々を接続状態から断状態に切り換える左右のクラッチ切換軸と、これらのクラッチ切換軸の一端に設けた左右のアームと、前記左のクラッチ切換軸と前記右のクラッチ切換軸の中間位置に支点を有し前記支点を中心に回転するシーソー部材と、このシーソー部材を左又は右へ回転させる電動モータとを備えており、
前記電動モータのモータ軸にウオームを取付け、このウオームでホイールを回し、このホイールでピニオンギヤを一緒に回すようにし、このピニオンギヤで扇ギヤを回すようにし、この扇ギヤを前記シーソー部材に固定することにより、前記電動モータにより前記シーソー部材を回転させるようにし、
前記ホイールと前記ピニオンギヤと前記扇ギヤと前記シーソー部材は、水平軸回りに回転するように全てが縦向きに配置され、前記モータ軸が下へ延びるように前記電動モータは縦向きに配置されていることを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記機体から後方へ延びる左右のハンドルに、左右の操作レバーを備え、これらの操作レバーの各々に操作角を検出する左右の操作角センサーを備え、これらの操作角センサーで検出した操作角に基づいて前記電動モータの回転方向及び回転角度を制御する制御部を備えていることを特徴とする請求項1記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行系にサイドクラッチを有する作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
除雪機や農作業機は作業機と呼ばれる。作業機としての除雪機や農作業機は、クローラで走行する形式のものが普及している。クローラであれば、軟らかい雪面や耕土に沈むことを防止できるからである。
クローラ車両は、左右一方のクローラを止め、左右他方のクローラを前進させることで、左右に旋回する。
左右のサイドクラッチを備え、これらのサイドクラッチを断接することで、左右一方のクローラを止める構造が普及している(例えば、特許文献1(図5)参照)。
【0003】
特許文献1の農作業機は、特許文献1の図5に示されるように、左右のサイドクラッチ(20L、20R)(括弧付き数字は、特許文献1に記載された符号を示す。以下同様)を備え、これらのサイドクラッチ(20L、20R)を作動させる走行切り換え弁(V1)を備える。この走行切り換え弁(V1)は油圧バルブであり、サイドクラッチ(20L、20R)は油圧により制御される。
【0004】
特許文献1は、油圧ポンプ及び油圧管路が必須である。油圧管路は、油が漏れないように適宜保守をする必要がある。油圧ポンプは高価である。
特許文献1の技術は、大型作業機に適しているものの、小型作業機に不向きである。
そこで、油圧を用いない作業機が提案されてきた(例えば、特許文献2(図3図4)参照)。
【0005】
特許文献2の除雪機は、特許文献2の図4に示されように、旋回レバー(303)(括弧付き数字は、特許文献2に記載された符号を示す。以下同様)を備える。この旋回レバー(303)で、ワイヤ(305L)又はワイヤ(305R)を引く。
【0006】
特許文献2の図3に示されるように、ワイヤ(305R)が引かれることで、爪部(212a)が爪部(206a)から外れる。右のサイドクラッチが断状態にある。左のサイドクラッチは接続状態のままである。結果、雪上車は右に旋回する。
【0007】
特許文献2は、油圧を使用しないため、小型作業機に適している。しかし、旋回レバー(303)を操作するには、ある程度の力が必要となる。近年は、非力な年長者や婦女子が作業に従事する。このため、操作力の低減が強く求められる。
【0008】
又、特許文献2では、ワイヤ(305L、305R)が必須であるが、ワイヤ(305L、305R)は、使用時間に応じて伸びるため、ワイヤを切り詰めるなどの調整が必要となる。年長者や婦女子が作業に従事することを考えると、ワイヤに代わる構造が求められる。
【0009】
ワイヤに代わる構造の一例として、特許文献2の図3を改善した構造を、図6に示す。
図6の構造であれば、油圧を使用せず、操作力が低減でき、ワイヤを用いない作業機が提供される。
すなわち、左のサイドクラッチアーム(314L)に左の減速機付き電動モータ(400L)を連結し、右のサイドクラッチアーム(314R)に右の減速機付き電動モータ(400R)を連結する。左の減速機付き電動モータ(400L)で左のサイドクラッチアーム(314L)を揺動させることで、左のサイドクラッチを断状態にすることができる。右の減速機付き電動モータ(400R)で右のサイドクラッチアーム(314R)を揺動させることで、左のサイドクラッチを断状態にすることができる。
その他は特許文献2と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0010】
図6の構造であれば、油圧が不要で、ワイヤも不要であり、電力でサイドクラッチを移動させることができる。
反面、高価な減速機付き電動モータ(400L、400R)を使用するため、作業機の製造費が高騰する。作業機の普及を考えると、製造費の抑制が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−104236号公報
【特許文献2】特開2009−143325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、油圧やワイヤを用いることなく操作力が軽減され、且つ製造費を抑えることができる作業機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る発明は、機体に設けられる左右の駆動輪と、これらの駆動輪から前記機体の中央へ延びる左右の伝動軸と、左右のサイドクラッチを内蔵し左右の出力軸が前記左右の伝動軸に連結されるミッションと、このミッションの入力軸を駆動する駆動源とを備え、
左右のサイドクラッチが接続状態にあるときには直進し、左のサイドクラッチが断状態にあるときに左に旋回し、右のサイドクラッチが断状態にあるときに右に旋回する作業機であって、
前記ミッションは、前記左右のサイドクラッチを内蔵するミッションケースと、このミッションケースから一端が突出し前記左右のサイドクラッチの各々を接続状態から断状態に切り換える左右のクラッチ切換軸と、これらのクラッチ切換軸の一端に設けた左右のアームと、前記左のクラッチ切換軸と前記右のクラッチ切換軸の中間位置に支点を有し前記支点を中心に回転するシーソー部材と、このシーソー部材を左又は右へ回転させる電動モータとを備えており、
前記電動モータのモータ軸にウオームを取付け、このウオームでホイールを回し、このホイールでピニオンギヤを一緒に回すようにし、このピニオンギヤで扇ギヤを回すようにし、この扇ギヤを前記シーソー部材に固定することにより、前記電動モータにより前記シーソー部材を回転させるようにし、
前記ホイールと前記ピニオンギヤと前記扇ギヤと前記シーソー部材は、水平軸回りに回転するように全てが縦向きに配置され、前記モータ軸が下へ延びるように前記電動モータは縦向きに配置されていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に係る発明は、機体から後方へ延びる左右のハンドルに、左右の操作レバーを備え、これらの操作レバーの各々に操作角を検出する左右の操作角センサーを備え、これらの操作角センサーで検出した操作角に基づいて電動モータの回転方向及び回転角度を制御する制御部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、電動モータで左右のサイドクラッチを断接制御するため、操作力が軽減されると共に油圧やワイヤは不要である。
また、シーソー部材を採用することで電動モータは1個で済ませることができ、作業機の製造コストを低減することができる。
よって、本発明によれば、油圧やワイヤを用いることなく操作力が軽減され、且つ製造費を抑えることができる作業機が提供される。
【0016】
請求項2に係る発明は、機体側のハンドルに左右の操作レバーを備え、これらの操作レバーの各々に操作角を検出する左右の操作角センサーを備え、これらの操作角センサーで検出した操作角に基づいて電動モータの回転方向及び回転角度を制御する制御部を備えている。
制御部で電動モータの回転方向を制御し、左又は右のサイドクラッチを断接するため、1個のみの電動モータで左右のサイドクラッチの断接制御が容易に実現できる。
制御部で電動モータの回転角度を制御するため、左又は右のサイドクラッチを半クラッチ状態にすることができ、作機の方向転換に係る操作性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る作機の平面図である。
図2】作業機の駆動系統図である。
図3】ミッションの原理図である。
図4図3の4矢視図である。
図5】シーソー部材の作用図である。
図6】従来の技術の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0019】
図1に示すように、作業機10は、例えば、作業者が連れ歩く歩行型除雪機であり、機体11と、この機体11の左右に配置される左右のクローラ12L、12R(Lは左を示す添え字、Rは右を示す添え字である。以下同じ)と、機体11の中央に配置される駆動源13と、機体11の前部に配置され路上の雪を中央に集めるオーガー14と、このオーガー14を覆うオーガーハウジング15と、このオーガーハウジング15から機体11へ延びてブロアー(図2、符号34)を収納するブロアーハウジング16と、このブロアーハウジング16から延びて投雪方向を規定するシュータ17と、機体11の後部左右のから後方へ延びる左右のハンドル18L、18Rを備えている。
【0020】
図2に示すように、左のハンドル18Lは、左の操作レバー21L(このレバー21Lはハンドル18Lのほぼ下にあるが、この図では理解を促すために横向きに示した。右の操作レバー21Rも同様。)と、この操作レバー21Lの操作角(握り角)を検出する左の操作角センサー22Lとを備え、右のハンドル18Rは、右の操作レバー21Rと、この操作レバー21Rの操作角を検出する右の操作角センサー22Rとを備えている。左右の操作角センター22L、22Rからの操作角情報は、ハーネス(信号線)23L、23Rを介して制御部24へ送られる。
【0021】
機体11の後部左右に、左の遊転輪26Lと右の遊転輪26Rが回転自在に軸支されている。
機体11の前部左右に、左の駆動輪27Lと右の駆動輪27Rが設けられている。
左の駆動輪27Lと左の遊転輪26Lとの間に左のクローラ12Lが巻回され、右の駆動輪27Rと右の遊転輪26Rとの間に右のクローラ12Rが巻回される。
【0022】
機体11の前部中央に、ミッション40が搭載される。このミッション40の構造は、図3で詳しく説明するが、1本の入力軸41と、左右の出力軸42L、42Rを有し、左の出力軸42Lは左の伝動軸28Lを介して左の駆動輪27Lに機械的に連結され、右の出力軸42Rは右の伝動軸28Rを介して右の駆動輪27Rに機械的に連結される。
【0023】
機体11に設けられる駆動源13は、ガソリンエンジンであるが、電動機であってもよく、種類は限定しない。
駆動源13で、第1駆動プーリ31と第2駆動プーリ32が駆動される。第1駆動プーリ31は、第1従動プーリ33を介してブロアー34及びオーガー14を駆動する。第2駆動プーリ32は、走行クラッチ36及び第2従動プーリ35を介してミッション40の入力軸41に連結される。
【0024】
走行クラッチ36は、デットマンレバーがオン状態のときに、接続状態となり、入力軸41が回され、ミッション40を介して、左右の駆動輪27L、27Rの両方又は片方が回される。前記デットマンレバーは、作業者が作業状態にあるときにオン、作業者が非作業状態にあるときにオフとなる作業者検出機構の総称であり、その形態、構造は任意である。
【0025】
走行クラッチ36は、デットマンレバーがオフ状態のとき、又は、左右の操作レバー21L、21Rが共に握られたときに、断状態となり、駆動源13が駆動状態にあっても、左右の駆動輪27L、27Rは停止状態となる。
【0026】
ミッション40は、制御のための電動モータ43を備えている。この電動モータ43のためのモータドライバ37は、制御部24で制御される。
【0027】
図3に示すように、ミッション40は、左右のサイドクラッチ44L、44Rと、これらのサイドクラッチ44L、44Rを収納するミッションケース45と、このミッションケース45から一端が突出し左右のサイドクラッチ44L、44Rの各々を接続状態から断状態に切り換える左右のクラッチ切換軸46L、46Rと、これらのクラッチ切換軸46L、46Rの一端に設けた左右のアーム47L、47Rとを備えている。
【0028】
左のサイドクラッチ44Lは、機体幅方向に延びる中継軸48にスプライン51Lを介して移動可能に取付けられる摺動クラッチ板52Lと、左の出力軸42Lに固定される左の従動クラッチ板53Lと、摺動クラッチ板52Lを従動クラッチ板53Lへ付勢するスプリング55Lと、左のクラッチ切換軸46Lから延びて摺動クラッチ板52Lの周溝に嵌合する左のフォーク54Lとからなる。
【0029】
同様に、右のサイドクラッチ44Rは、機体幅方向に延びる中継軸48にスプライン51Rを介して移動可能に取付けられる摺動クラッチ板52Rと、右の出力軸42Rに固定される右の従動クラッチ板53Rと、摺動クラッチ板52Rを従動クラッチ板53Rへ付勢するスプリング55Rと、右のクラッチ切換軸46Rから延びて摺動クラッチ板52Rの周溝に嵌合する右のフォーク54Rとからなる。
【0030】
入力軸41と中継軸48とはベベルギヤ56、57で機械的に連結され、入力軸41が回転すると、中継軸48は一緒に回転する。
図の状態では、中継軸48により、左右の出力軸42L、42Rが同速で回される。
この状態から、左のフォーク54Lで摺動クラッチ板52Lを従動クラッチ板53Lから分離すると、左の出力軸42Lは止まり、右の出力軸42Rは回転する。同様に、右のフォーク54Rで摺動クラッチ板52Rを従動クラッチ板53Rから分離すると、右の出力軸42Rは止まり、左の出力軸42Lは回転する。
【0031】
図4に示すように、ミッション40は、さらに、左のクラッチ切換軸46Lと右のクラッチ切換軸46Rの中間位置に支点67を有し支点67を中心に回転するシーソー部材58と、このシーソー部材58の左右に各々設けられる左右の長穴59L、59Rに一端が左右のピン61L、61Rにて移動可能に止められ他端が左右のアーム47L、47Rに止められる左右のリンク62L、62Rと、シーソー部材58を左又は右へ回転させる電動モータ43とを備えている。
【0032】
好ましくは、電動モータ43のモータ軸43aにウオーム63を取付け、このウオーム63でホイール64を回し、このホイール64でピニオンギヤ65を一緒に回すようにし、このピニオンギヤ65で扇ギヤ66を回すようにする。
このような扇ギヤ66などを想像線の位置に配置し、シーソー部材58に固定する。結果、シーソー部材58は、電動モータ43により支点67を中心に左又は右へ回転する。
【0033】
図4は、シーソー部材58は、中立位置にあり、左のアーム47Lは、左のクラッチ切換軸46Lより、下方にあり、図3に示すように、左のサイドクラッチ44Lは、接続状態にある。同様に、右のアーム47Rは、右のクラッチ切換軸46Rより、下方にあり、図3に示すように、右のサイドクラッチ44Rは、接続状態にある。結果、中立位置では、左右の出力軸42L、42Rは、同速で回転する。
【0034】
図4にて、電動モータ43により、シーソー部材58を、図反時計方向に回転させると、図5(a)に示すように、左のピン61Lは静止したままで、左の長穴(円弧溝)59Lが下がる。一方、右のピン61Rは右の長穴(円弧溝)59Rの下端で引き上げられ、右のアーム47Rは反時計方向に回り、例えば略水平になる。
【0035】
右のクラッチ切換軸46Rは反時計方向に回されるため、クラッチ切換軸46Rが回される。すると、図3にて、右のフォーク54Rが右の摺動クラッチ板52Rを、図左へ移動する。右のサイドクラッチ44Rは、断状態に代わる。結果、図5(a)では、右の出力軸42Rは停止し、左の出力軸42Lが回転を続け、作業機は右に旋回する。
【0036】
図4にて、電動モータ43を逆回転させて、シーソー部材58を図時計方向へ回す。すると、図5(b)となり、作業機は左に旋回する。
【0037】
なお、図4にて、長穴59L、59Rは、縦長の直線溝で差し支えないが、好ましくは、支点67を円弧中心とする円弧溝が好ましい。その理由は、図4から図5(a)にかけて、左のピン61Lは、上下左右に移動しない。結果、左のリンク62Lが、左右に振れることがない。左のリンク62Lの上下のピンに摩耗が発生しにくくなる。
【0038】
同様、図4から図5(b)にかけて、右のピン61Rは、上下左右に移動しない。結果、右のリンク62Rが、左右に振れることがない。右のリンク62Rの上下のピンに摩耗が発生しにくくなる。よって、直線溝よりも円弧溝が推奨される。
【0039】
図2にて、従来であれば、操作レバー21L、21Rとアーム(図3、符号47L、47R)とが、各々ワイヤで結ばれ、作業者の握力で操作レバー21L、21Rの一方又は両方を握ることで、アームの一方又は両方を回転させるようにしていた。これでは、握力が小さな年長者や婦女子では、作業機の操作が難しくある。
この点、本発明では、図2にて、操作レバー21L、21Rは、操作角センサー22L、22Rを作動させるだけであり、大きな握力は不要であり、操作力を多いに軽減できる。
【0040】
また、操作レバー21L又は21Rの握りを加減すると、制御部24はそのことを検知し、サイドクラッチを、いわゆる半クラッチ状態にする。結果、旋回性(旋回速度など)を制御することができ、操作性が拡張できる。
【0041】
尚、実施例では、作業機10は、走行系にクローラを有したが、クローラを有することなく駆動輪が直接地面(路面、耕土)に接する車両であっても良い。すなわち、作業機10は、走行系にサイドクラッチを有する歩行型除雪機の他、走行系にサイドクラッチを有する耕耘機等の農作業機であってもよい。
【0042】
また、実施例では、シーソー部材58とアーム47L、47Rの間に、リンク62L、62Rを介在させたが、リンク62L、62Rを省いて、シーソー部材58にアーム47L、47Rを直接連結しても良い。
【符号の説明】
【0043】
10…作業機(除雪機)、11…機体、12L、12R…クローラ、13…駆動源、18L、18R…ハンドル、21L、21R…操作レバー、22L、22R…操作角センサー、27L、27R…駆動輪、28L、28R…伝動軸、40…ミッション、41…入力軸、42L、42R…出力軸、43…電動モータ、43a…モータ軸、44L、44R…サイドクラッチ、45…ミッションケース、46L、46R…クラッチ切換軸、47L、47R…アーム、58…シーソー部材、59L、59R…長穴(円弧溝)、61L、61R…ピン、63…ウオーム、64…ホイール、65…ピニオンギヤ、66…扇ギヤ、67…支点。
図1
図2
図3
図4
図5
図6