【実施例】
【0019】
図1に示すように、作業機10は、例えば、作業者が連れ歩く歩行型除雪機であり、機体11と、この機体11の左右に配置される左右のクローラ12L、12R(Lは左を示す添え字、Rは右を示す添え字である。以下同じ)と、機体11の中央に配置される駆動源13と、機体11の前部に配置され路上の雪を中央に集めるオーガー14と、このオーガー14を覆うオーガーハウジング15と、このオーガーハウジング15から機体11へ延びてブロアー(
図2、符号34)を収納するブロアーハウジング16と、このブロアーハウジング16から延びて投雪方向を規定するシュータ17と、機体11の後部左右のから後方へ延びる左右のハンドル18L、18Rを備えている。
【0020】
図2に示すように、左のハンドル18Lは、左の操作レバー21L(このレバー21Lはハンドル18Lのほぼ下にあるが、この図では理解を促すために横向きに示した。右の操作レバー21Rも同様。)と、この操作レバー21Lの操作角(握り角)を検出する左の操作角センサー22Lとを備え、右のハンドル18Rは、右の操作レバー21Rと、この操作レバー21Rの操作角を検出する右の操作角センサー22Rとを備えている。左右の操作角センター22L、22Rからの操作角情報は、ハーネス(信号線)23L、23Rを介して制御部24へ送られる。
【0021】
機体11の後部左右に、左の遊転輪26Lと右の遊転輪26Rが回転自在に軸支されている。
機体11の前部左右に、左の駆動輪27Lと右の駆動輪27Rが設けられている。
左の駆動輪27Lと左の遊転輪26Lとの間に左のクローラ12Lが巻回され、右の駆動輪27Rと右の遊転輪26Rとの間に右のクローラ12Rが巻回される。
【0022】
機体11の前部中央に、ミッション40が搭載される。このミッション40の構造は、
図3で詳しく説明するが、1本の入力軸41と、左右の出力軸42L、42Rを有し、左の出力軸42Lは左の伝動軸28Lを介して左の駆動輪27Lに機械的に連結され、右の出力軸42Rは右の伝動軸28Rを介して右の駆動輪27Rに機械的に連結される。
【0023】
機体11に設けられる駆動源13は、ガソリンエンジンであるが、電動機であってもよく、種類は限定しない。
駆動源13で、第1駆動プーリ31と第2駆動プーリ32が駆動される。第1駆動プーリ31は、第1従動プーリ33を介してブロアー34及びオーガー14を駆動する。第2駆動プーリ32は、走行クラッチ36及び第2従動プーリ3
5を介してミッション40の入力軸41に連結される。
【0024】
走行クラッチ36は、デットマンレバーがオン状態のときに、接続状態となり、入力軸41が回され、ミッション40を介して、左右の駆動輪27L、27Rの両方又は片方が回される。前記デットマンレバーは、作業者が作業状態にあるときにオン、作業者が非作業状態にあるときにオフとなる作業者検出機構の総称であり、その形態、構造は任意である。
【0025】
走行クラッチ36は、デットマンレバーがオフ状態のとき、又は、左右の操作レバー21L、21Rが共に握られたときに、断状態となり、駆動源13が駆動状態にあっても、左右の駆動輪27L、27Rは停止状態となる。
【0026】
ミッション40は、制御のための電動モータ43を備えている。この電動モータ43のためのモータドライバ37は、制御部24で制御される。
【0027】
図3に示すように、ミッション40は、左右のサイドクラッチ44L、44Rと、これらのサイドクラッチ44L、44Rを収納するミッションケース45と、このミッションケース45から一端が突出し左右のサイドクラッチ44L、44Rの各々を接続状態から断状態に切り換える左右のクラッチ切換軸46L、46Rと、これらのクラッチ切換軸46L、46Rの一端に設けた左右のアーム47L、47Rとを備えている。
【0028】
左のサイドクラッチ44Lは、機体幅方向に延びる中継軸48にスプライン51Lを介して移動可能に取付けられる摺動クラッチ板52Lと、左の出力軸42Lに固定される左の従動クラッチ板53Lと、摺動クラッチ板52Lを従動クラッチ板53Lへ付勢するスプリング55Lと、左のクラッチ切換軸46Lから延びて摺動クラッチ板52Lの周溝に嵌合する左のフォーク54Lとからなる。
【0029】
同様に、右のサイドクラッチ44Rは、機体幅方向に延びる中継軸48にスプライン51Rを介して移動可能に取付けられる摺動クラッチ板52Rと、右の出力軸42Rに固定される右の従動クラッチ板53Rと、摺動クラッチ板52Rを従動クラッチ板53Rへ付勢するスプリング55Rと、右のクラッチ切換軸46Rから延びて摺動クラッチ板52Rの周溝に嵌合する右のフォーク54Rとからなる。
【0030】
入力軸41と中継軸48とはベベルギヤ56、57で機械的に連結され、入力軸41が回転すると、中継軸48は一緒に回転する。
図の状態では、中継軸48により、左右の出力軸42L、42Rが同速で回される。
この状態から、左のフォーク54Lで摺動クラッチ板52Lを従動クラッチ板53Lから分離すると、左の出力軸42Lは止まり、右の出力軸42Rは回転する。同様に、右のフォーク54Rで摺動クラッチ板52Rを従動クラッチ板53Rから分離すると、右の出力軸42Rは止まり、左の出力軸42Lは回転する。
【0031】
図4に示すように、ミッション40は、さらに、左のクラッチ切換軸46Lと右のクラッチ切換軸46Rの中間位置に支点67を有し支点67を中心に回転するシーソー部材58と、このシーソー部材58の左右に各々設けられる左右の長穴59L、59Rに一端が左右のピン61L、61Rにて移動可能に止められ他端が左右のアーム47L、47Rに止められる左右のリンク62L、62Rと、シーソー部材58を左又は右へ回転させる電動モータ43とを備えている。
【0032】
好ましくは、電動モータ43のモータ軸43aにウオーム63を取付け、このウオーム63でホイール64を回し、このホイール64でピニオンギヤ65を一緒に回すようにし、このピニオンギヤ65で扇ギヤ66を回すようにする。
このような扇ギヤ66などを想像線の位置に配置し、シーソー部材58に固定する。結果、シーソー部材58は、電動モータ43により支点67を中心に左又は右へ回転す
る。
【0033】
図4は、シーソー部材58は、中立位置にあり、左のアーム47Lは、左のクラッチ切換軸46Lより、下方にあり、
図3に示すように、左のサイドクラッチ44Lは、接続状態にある。同様に、右のアーム47Rは、右のクラッチ切換軸46Rより、下方にあり、
図3に示すように、右のサイドクラッチ44Rは、接続状態にある。結果、中立位置では、左右の出力軸42L、42Rは、同速で回転する。
【0034】
図4にて、電動モータ43により、シーソー部材58を、図反時計方向に回転させると、
図5(a)に示すように、左のピン61Lは静止したままで、左の長穴(円弧溝)59Lが下がる。一方、右のピン61Rは右の長穴(円弧溝)59Rの下端で引き上げられ、右のアーム47Rは反時計方向に回り、例えば略水平になる。
【0035】
右のクラッチ切換軸46Rは反時計方向に回されるため、クラッチ切換軸46Rが回される。すると、
図3にて、右のフォーク54Rが右の摺動クラッチ板52Rを、図左へ移動する。右のサイドクラッチ44Rは、断状態に代わる。結果、
図5(a)では、右の出力軸42Rは停止し、左の出力軸42Lが回転を続け、作業機は右に旋回する。
【0036】
図4にて、電動モータ43を逆回転させて、シーソー部材58を図時計方向へ回す。すると、
図5(b)となり、作業機は左に旋回する。
【0037】
なお、
図4にて、長穴59L、59Rは、縦長の直線溝で差し支えないが、好ましくは、支点67を円弧中心とする円弧溝が好ましい。その理由は、
図4から
図5(a)にかけて、左のピン61Lは、上下左右に移動しない。結果、左のリンク62Lが、左右に振れることがない。左のリンク62Lの上下のピンに摩耗が発生しにくくなる。
【0038】
同様、
図4から
図5(b)にかけて、右のピン61Rは、上下左右に移動しない。結果、右のリンク62Rが、左右に振れることがない。右のリンク62Rの上下のピンに摩耗が発生しにくくなる。よって、直線溝よりも円弧溝が推奨される。
【0039】
図2にて、従来であれば、操作レバー21L、21Rとアーム(
図3、符号47L、47R)とが、各々ワイヤで結ばれ、作業者の握力で操作レバー21L、21Rの一方又は両方を握ることで、アームの一方又は両方を回転させるようにしていた。これでは、握力が小さな年長者や婦女子では、作業機の操作が難しくある。
この点、本発明では、
図2にて、操作レバー21L、21Rは、操作角センサー22L、22Rを作動させるだけであり、大きな握力は不要であり、操作力を多いに軽減できる。
【0040】
また、操作レバー21L又は21Rの握りを加減すると、制御部24はそのことを検知し、サイドクラッチを、いわゆる半クラッチ状態にする。結果、旋回性(旋回速度など)を制御することができ、操作性が拡張できる。
【0041】
尚、実施例では、作業機10は、走行系にクローラを有したが、クローラを有することなく駆動輪が直接地面(路面、耕土)に接する車両であっても良い。すなわち、作業機10は、走行系にサイドクラッチを有する歩行型除雪機の他、走行系にサイドクラッチを有する耕耘機等の農作業機であってもよい。
【0042】
また、実施例では、シーソー部材58とアーム47L、47Rの間に、リンク62L、62Rを介在させたが、リンク62L、62Rを省いて、シーソー部材58にアーム47L、47Rを直接連結しても良い。