(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1に記載された一体型の表示装置においては、固定表示部とマルチディスプレイ部を備えているので、画面サイズを大きくする必要があり、表示装置を一体化したことによる運転席の省スペース化等を十分に達成できない。表示画面のサイズを小さくして省スペース化を図ると、マルチディスプレイ部の表示領域も狭くなり、例えば、後方監視カメラの画像を表示する場合等においては画面サイズが小さくなり過ぎて視認性が悪いなどの弊害が生じる。
【0007】
さらに、マルチディスプレイ部においては、設定画面、カメラ画面等の各種の表示モードに切り換え、各表示モードにおいて、各種の入力設定や、特許文献2に記載されているような内部記憶装置の記憶情報の表示等を行うために、多数種類のスイッチを配置する必要がある。このため、小型化に限界があり、またスイッチ等の操作性も低下しやすい。
【0008】
一方、モーメントリミッタには、一般に、その機能を無効にする解除スイッチが配置されている。解除スイッチは、モーメントリミッタの故障時、クレーンの荷重試験を行う場合に限って使用されるものである。しかしながら、場合によっては、解除スイッチを操作してモーメントリミッタが機能しない状態でクレーン作業が行われてしまい、転倒などの事故が発生するおそれがある。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、エンジンモニタ装置およびモーメントリミッタのモニタ装置を一体化して、単一のモニタ画面に、安全性、視認性、および操作性を損なうことなくクレーン作業状態およびカメラ画像を表示できるようにした走行式クレーン
を提供することにある。
【0010】
また、本発明の課題は、上記に加えて、モーメントリミッタを解除したままクレーン作業が行われてしまうことをいち早く検出して通報できるようにした走行式クレーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、モーメントリミッタ、周囲監視用の監視カメラ、および、運転室内に配置されたモニタ装置を備えた走行式クレーンにおいて、
前記モニタ装置は、制御部、および、モニタ画面の側方に複数の操作スイッチが配列された操作部を有し、
前記制御部は、前記モニタ画面の画面モードを、トップモードおよびカメラモードに切り換える画面モード切換制御部、および、前記画面モードに応じて、前記操作スイッチのそれぞれに予め設定されているスイッチ機能を割り振るスイッチ機能切換制御部を備えており、
前記トップモードの前記モニタ画面には、燃料計表示部、水準器表示部、警告アイコン表示部、モーメントリミッタステータス表示部および走行式クレーンの姿図表示部が含まれ、
前記カメラモードの前記モニタ画面には、少なくとも、カメラ画像表示部が含まれ、
前記モーメントリミッタステータス表示部には、モーメントリミッタ負荷率表示部、実荷重表示/定格総荷重表示部、ブーム角度表示部、実作業半径表示/定格作業半径表示部、ブーム長表示部、揚程表示部、ワイヤ掛数非表示部、ブーム角度下限表示部、ブーム角度上
限表示部、作業半径上
限表示部、および、揚程上
限表示部が含まれ、
前記トップモードにおいては、前記操作スイッチの一つが、前記画面モードを前記トップモードから前記カメラモードに切り換えるカメラ切換スイッチに設定され、前記カメラモードにおいては、前記カメラ切換スイッチが前記画面モードを前記
カメラモードから前記
トップモードに切り換えるホームスイッチに設定されることを特徴としている。
【0012】
本発明のモニタ装置は、エンジンモニタ装置とモーメントリミッタモニタ装置を一体化した構成となっており、その単一のモニタ画面の画面モードを切り換えることで、エンジンの動作状態およびクレーン作業状態を表すことができると共に、カメラ画像を表示することができる。したがって、小型で省スペース化に適したモニタ装置を実現できる。また、モニタ画面の両側に配置されている操作スイッチは画面モードに応じて機能を割り当てられる。したがって、操作しやすい位置に所定の機能を備えた操作スイッチを画面モードに応じて配置でき、操作性に優れたコンパクトなモニタ装置を実現できる。
【0013】
本発明において、カメラ画面表示時に安全項目も表示することが望ましい。すなわち、前記カメラモードの前記モニタ画面に、前記カメラ画像に重ねて、安全項目表示を行うようにする。前記安全項目表示には、一般に、水準器表示、モーメントリミッタ負荷表示、実荷重表示、定格総荷重表示、実作業半径表示、定格作業半径表示、ブーム角度表示、および、警告アイコン表示が含まれている。
【0014】
このように、画面モードがカメラモードにおいても、カメラ画像の表示と共に、常に監視が必要とされる安全項目の表示も併せて行われる。よって、安全性、クレーン作業の監視機能を阻害することなく、単一のモニタ画面にカメラ画像を切り換え表示することができる。
【0015】
ここで、前記警告アイコン表示部には、一般的に、次のアイコンが含まれる。
異常発生時に表示される異常表示アイコン
エンジン油圧異常時に表示される油圧異常アイコン
エンジン水温異常時に表示される水温異常アイコン
作動油温度の異常時に表示される作動油温異常アイコン
燃料が所定以下になると表示される燃料異常アイコン
搭載バッテリの充電量が所定以下になると表示される充電量表示アイコン
メンテナンス時期になると表示されるメンテナンスアイコン
【0016】
次に、本発明の走行式クレーンにおいて、クレーン作業状態を記録するクレーン記録装置を有し、前記制御部は、前記トップモードの前記モニタ画面に表示される各項目を時系列に、前記クレーン記録装置に記録するデータ記録制御部を備えていることが望ましい。この場合、前記モニタ画面の画面モードには、前記クレーン記録装置に記録されているデータを表示可能な作業履歴画面が含まれており、前記制御部は、前記操作スイッチを介して前記画面モードを前記作業履歴画面に切り換える指令を受けると、前記画面モードを前記作業履歴画面に切り換える。
【0017】
一般的には、データは、一般ユーザーではなく、ディーラー等のサービス業者の側において確認される。このため、前記モニタ装置の前記画面モードには、通常、ユーザーモードおよびサービスモードが含まれ、前記トップモードにおける前記操作スイッチには、前記画面モードを前記ユーザーモードに切り換えるユーザーモードスイッチが含まれている。そして、前記制御部は、前記トップモードにおいて、前記ユーザーモードスイッチが操作されると前記画面モードを前記ユーザーモードに切り換え、前記操作スイッチを介して予め定められた認証用の入力があると前記画面モードを前記サービスモードに切り換える。また、前記サービスモードにおいては、前記操作スイッチの一つが作業履歴画面切換スイッチに設定され、前記作業履歴画面切換スイッチが操作されると、前記サービスモードにおける前記モニタ画面が、前記クレーン記録装置に記録されている作業履歴データを前記モニタ画面に表示する作業履歴画面に切り換わる。
【0018】
走行式クレーンがクレーン記録装置を備えている場合には、記録されているデータを、管理センサ等に送信して、管理センタにおいて各走行式クレーンの作業状態等を一括管理できるようにすることが望ましい。
【0019】
このために、本発明の走行式クレーンは、予め定めた通信先との間で通信を行う通信機を有し、前記制御部は、予め定めた事象が発生すると、あるいは、前記通信先からの要求に応じて、前記クレーン記録装置に記録されているデータを、前記通信機を介して前記通信先に送信する。
【0020】
例えば、前記モーメントリミッタは前記運転室内に配置された解除スイッチを備えているので、前記制御部は、前記解除スイッチが操作されて前記モーメントリミッタの動作が解除されると、解除された旨を、前記通信機を介して前記通信先に送信し、解除状態において前記クレーン記録装置に記録されるデータを、前記通信機を介して前記通信先に送信することが望ましい。
【0021】
このようにすれば、転倒等の危険状態に陥る可能性のあるクレーン作業が行われることを管理センタ等の側においていち早く検出して、例えば、警告を、走行クレーンの側に返信することができる。また、このようなクレーン作業時におけるデータを受信することにより、クレーン作業を管理センタ等の側において監視することができる。
【0022】
なお、通信先において、走行クレーンを認識でき、また、その位置を認識できるように、前記通信機としてGPS付通信機を使用して、前記通信先へのデータ送信時に、予め付与されている走行式クレーン識別情報およびGPS位置情報を送信すればよい。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して本発明を適用したモニタ装置を備えた走行式クレーンの実施の形態を説明する。
【0025】
図1(a)は、本実施の形態に係るクローラクレーンを前側から見た場合の斜視図であり、
図1(b)は後側から見た場合の部分斜視図である。これらの図に示すように、クローラクレーン1は、走行モータ2によって駆動されるクローラ式の走行体3と、この上に搭載されている旋回体4と、旋回体4に起伏可能な状態で搭載されている多段ブーム5と、旋回体4における多段ブーム5の側方に搭載された運転室6とを備えている。
【0026】
多段ブーム5は、ブーム起伏シリンダ7によって起伏動作が行われる。また、多段ブーム5の先端にはワイヤ8によってフックブロック9が吊り下げられ、ワイヤ8は、旋回体4に搭載されたウインチ10によって巻取り、巻出しが行われる。各部を駆動するための作動油を供給する油圧ポンプはディーゼルエンジンによって駆動される。これら油圧ポンプ、ディーゼルエンジン、燃料タンク等は旋回体4のカバー4aに覆われており、図示を省略してある。
【0027】
クローラクレーン1における運転室6の背面側には、
図1(b)に示すように、後方監視カメラ11が搭載されている。クローラクレーン1の左右を監視するために側方監視カメラを搭載することも可能である。
【0028】
図2は運転室6の内部を示す説明図である。運転室6の内部には各種の操作部が配置されている。例えば、運転席12の前方には左右一対の走行レバー13が配置され、その右側にはアクセルペダル14が配置されている。運転席12の左右の前方には左作業機操作レバー(ノブ部ウインチ2速切換スイッチ)15および右作業機レバー(ノブ部ホーンスイッチ)16が配置されている。右作業機レバー16の前方には、モニタ装置17が配置されている。また、左作業機操作レバー15の後側には、モーメントリミッタ解除スイッチ18が配置されている。
【0029】
図3はクローラクレーン1の制御系を示す概略ブロック図である。クローラクレーン1の制御系20は、エンジンコントローラ21、モーメントリミッタ・機体コントローラ22を中心に構成されている。これらの各部はコンピュータを中心に構成されている。運転室6に配置されている各種の操作部材(
図2参照)の操作に応じて、エンジンコントローラ21は、不図示のディーゼルエンジンの駆動を制御する。モーメントリミッタ・機体コントローラ22は操作部材の操作に応じてブーム起伏シリンダ7、ウインチ10、不図示の旋回体旋回機構等を駆動して、多段ブーム5の起伏動作、伸縮動作、旋回動作等を制御する。また、クレーン作業における転倒等の危険が生じる過負荷状態を回避できるように、各部の駆動を制限する。
【0030】
エンジンコントローラ21は、モーメントリミッタ・機体コントローラ22から供給されるディーゼルエンジンの動作状態を検出する検出部24による検出情報等に基づき、ディーゼルエンジンの駆動制御を行う。検出部24には、燃料計、エンジン油圧計、エンジン水温計、作動油温度計、バッテリ充電量の計測計等が含まれている。
【0031】
モーメントリミッタ(過負荷防止装置)は、モーメントリミッタ・機体コントローラ22と、各部の状態を検出する検出部25と、警告表示部26と、運転室6内に配置されたモニタ装置17、モーメントリミッタ解除スイッチ18から構成される。例えば、検出部25からの検出情報に基づき多段ブーム5の負荷率を算出し、負荷率に応じて警告表示部26を駆動制御する。
【0032】
検出部25には、ブーム左側面に取り付けられたブーム長さ計31、ブーム左側面に取り付けられたブーム角度計32、ブーム起伏シリンダ7の部分に取り付けられた2個の圧力センサ33、ブーム先端側面部に取り付けられた巻き過ぎ警報検出器34などが含まれている。警告表示部26は、本例では
図1(b)に示すように、三色回転灯である。三色回転灯は、負荷率100%以上の場合の警告灯である赤色回転灯26aと、負荷率が90〜100%の場合の警告灯である黄色回転灯26bと、負荷率が90%未満の場合の作動灯である緑色回転灯26cを備えている。
【0033】
次に、モニタ装置17は、長方形の操作面に配置されたモニタ画面41を備えた液晶表示器43と、コンピュータを中心に構成される制御部44と、クレーン記録装置45とを備えている。液晶表示器43の操作面には複数の操作スイッチが配列さており、例えば、左右に5個ずつの操作スイッチ42(1)〜42(10)が上下方向に配列されている(
図5参照)。
【0034】
制御部44は、モニタ画面41の画面モードの切り換え制御を行う画面モード切換制御部44a、画面モードに応じて操作スイッチ42(1)〜42(10)のそれぞれに予め設定されているスイッチ機能を割り振るスイッチ機能切換制御部44b、クレーン記録装置45に対するデータ書き込み・書き出し制御を行うデータ記録制御部44cなどとして機能する。また、クローラクレーン1の走行体3に取り付けられている水準器(図示せず)による走行体3の傾斜状態をモニタ画面41に表示させる。
【0035】
ここで、本例の走行式クレーン1は、GPS付通信機46も備わっている。GPS付通信機46は、アンテナを備えた通信部47と、通信部47を介して予め定めた通信先、例えば、管理サーバー49との間で通信を行わせる通信制御を行う制御部48とを備えている。
【0036】
図4は、制御部44を中心に行われるモニタ装置17のモニタ画面41の画面モードの切り換わりの流れを示す概略フローチャートである。運転室6に配置されているスタータ
スイッチ19(
図2参照)をオンにすると(ステップST1)、モニタ装置17のモニタ画面41は始動画面に切り換わり、始動画面からトップモードによるトップ画面に切り換わる(ステップST2:
図5参照)。トップ画面から所定のスイッチ操作により、画面モードがカメラモード(ステップST3:
図6参照)、ユーザーモード(ステップST4:
図7A、
図7B参照)、サービスモード(ステップST5:
図8A、8B参照)、およびメーカモード(ステップST6:
図9参照)等に切り換わる。
【0037】
図5はトップモードにおけるモニタ装置17の操作面40とモニタ画面41の表示形態とを示す説明図である。まず、
図5(a)に示すように、トップモードにおいてモニタ画面41はトップ画面50の状態となる。トップ画面50においては、燃料計表示部51、水準器表示部52、警告アイコン表示部53、作業パラメータ表示部54、制御部44の内蔵時計機能による時刻表示部55、モーメントリミッタステータス表示部56、および、モーメントリミッタ負荷率表示部57が表示される。また、左右の操作スイッチ42(1)〜42(10)に割り当てたスイッチ機能を示すアイコン60(1)〜60(10)が、各操作スイッチ42(1)〜42(10)の内側に表示される。
【0038】
警告アイコン表示部53には、次のアイコンが含まれている。正常なクレーン作業状態においては
図5(b)に示すような画面表示形態となり、異常発生時には、
図5(c)に示すように、警告アイコン表示部53に各アイコンが画面右上に2列状態で表示されると共に、異常発生箇所に対応するアイコンが強調表示される。
【0039】
異常発生を表示する異常表示アイコン53a
エンジン油圧異常を表示する油圧異常アイコン53b
エンジン水温異常を表示する水温異常アイコン53c
作動油温度の異常を表示する作動油温異常アイコン53d
燃料が所定以下になったことを表示する燃料異常アイコン53e
搭載バッテリの充電量が所定以下になったこと表示する充電量表示アイコン53f
メンテナンス時期が迫ったことを表示するメンテナンスアイコン53g
【0040】
モーメントリミッタステータス表示部56には次の表示部56a〜56jが含まれており、各表示部には計測値、定格値等が表示される。これらの表示部56a〜56jは、走行式クレーン1の側面姿図表示部56kに表示された側面姿図に対応付けして分かり易く表示される。これらの表示部56a〜56kと、モーメントリミッタ負荷率表示部57とにより表示される内容がモーメントリミッタステータスである。
【0041】
実荷重表示/定格総荷重表示部56a
ブーム角度表示部56b
実作業半径表示/定格作業半径表示部56c
ブーム長表示部56d
揚程表示部56e
ワイヤ掛数表示部56f
ブーム角度下限表示部56g
ブーム角度上
限表示部56h
作業半径上
限表示部56i
揚程上
限表示部56j
【0042】
このトップモードにおいては、操作スイッチ42(1)〜42(10)には次のスイッチ機能が割り振られる。
操作スイッチ42(1):後方カメラ切換スイッチ
操作スイッチ42(2):ユーザーモードスイッチ
操作スイッチ42(3):フック格納スイッチ
操作スイッチ42(4):走行モード切換スイッチ
操作スイッチ42(5):走行1速/2速切換スイッチ
操作スイッチ42(6):揚程上
限スイッチ
操作スイッチ42(7):ブーム角度上限/下限スイッチ
操作スイッチ42(8):作業半径上限スイッチ
操作スイッチ42(9):(割り当て無し)
操作スイッチ42(10):設定解除スイッチ
【0043】
このように、トップ画面50は、ディーゼルエンジン関連の各部の状態のエンジンモニタと、モーメントリミッタステータスを表示するモーメントリミッタモニタとが一体化された単一のモニタ画面として機能する。また、トップ画面50における左右の縁に沿って、各操作スイッチ42(1)〜42(10)の隣接位置には、割り当てたスイッチ機能を示すアイコン60(1)〜60(10)が表示される。したがって、同一画面上において視認性良く各部分の状態を表示でき、また、複数の操作スイッチの機能も分かり易く表示されるので操作性も良い。
【0044】
モニタ装置17がトップモードの状態において、後方監視カメラ11のカメラ画像をモニタ画面41上に表示する場合には、後方カメラ切換スイッチとして機能する操作スイッチ42(1)を操作する。スイッチ操作により、モニタ装置17はカメラモードに切り換わる(
図4のステップST2→ST3)。
【0045】
図6はカメラモードにおけるモニタ装置17の操作面40およびモニタ画面41を示す説明図である。カメラモードにおけるモニタ装置17は
図6(a)に示すように、モニタ画面41が後方カメラ画面70に切り換わり、後方監視カメラ11のカメラ画像70aが表示される。後方カメラ画面70においては、カメラ画像70aに重ねて、安全項目表示が行われる。また、
【0046】
安全項目表示のための表示部には、水準器表示部71、モーメントリミッタ負荷表示部72、実荷重表示部73、定格総荷重表示部74、実作業半径表示部75、定格作業半径表示部76、ブーム角度表示部77、および、警告アイコン表示部53が含まれている。これらのうち、モーメントリミッタステータス関係の項目は、画面の上辺に沿って横一列に配置され、警告アイコン表示部53は、画面の下辺の右側に横一列に配列される。
【0047】
正常なクレーン作業状態においては、
図6(b)に示すように、カメラ画像70aと共に、モーメントリミッタステータス関係の安全項目(符号71〜77の表示部)のみが表示される。異常発生時には、警告アイコン表示部53が表示され、異常発生箇所に対応するアイコンが強調表示される。
【0048】
カメラモードにおいても、左右の操作スイッチ42(1)〜42(10)に割り当てたスイッチ機能を示すアイコン60(1)〜60(10)が表示される。カメラモードにおいては、操作スイッチ42(1)〜42(10)には次のようにスイッチ機能が割り振られる。操作スイッチ42(1)が画面モードをトップモードに戻すためのホームスイッチとなり、操作スイッチ42(2)〜42(5)はトップモードの場合と同一の機能のままであり、操作スイッチ42(6)〜42(10)へのスイッチ機能の割り当ては行われない。
【0049】
操作スイッチ42(1):ホームスイッチ
操作スイッチ42(2):ユーザーモードスイッチ
操作スイッチ42(3):フック格納スイッチ
操作スイッチ42(4):走行モード切換スイッチ
操作スイッチ42(5):走行1速/2速切換スイッチ
操作スイッチ42(6):(割り当て無し)
操作スイッチ42(7):(割り当て無し)
操作スイッチ42(8):(割り当て無し)
操作スイッチ42(9):(割り当て無し)
操作スイッチ42(10):(割り当て無し)
【0050】
カメラモードにおける後方カメラ画面70においては、カメラ画像70aと共に、クレーン作業の安全確認に必要な安全項目が表示されるので、画面表示内容を確認しながら安全にクレーン作業を行うことができる。
【0051】
モニタ装置17がカメラモードの状態においてホームスイッチとして機能する操作スイッチ42(1)を操作すると、画面モードがトップモードに戻り、
図5に示す画面表示形態になる。また、トップモードあるいはカメラモードにおいて、ユーザーモードスイッチとして機能する操作スイッチ42(2)が操作されると、画面モードがユーザーモードに切り換わる。
【0052】
図7Aおよび
図7Bは、ユーザーモードにおけるモニタ装置17の操作面およびモニタ画面を示す説明図である。ユーザーモードにおいては、
図7A(a)に示すように、モニタ画面41がメニュー画面の第1ページに切り換わる。
図7A(b)には、メニュー画面の第1ページの表示例を示してある。ユーザーモードにおいては、操作スイッチ42(1)〜42(10)には次のようにスイッチ機能が割り当てられ、各スイッチ機能に対応したアイコン60(1)、60(3)〜60(5)、60(6)、60(7)〜60(10)が表示される。また、モーメントリミッタステータス関連の安全項目の表示部である水準器表示部71、モーメントリミッタ負荷表示部72、実荷重表示部73、定格総荷重表示部74、実作業半径表示部75、定格作業半径表示部76、ブーム角度表示部77も表示される。各操作スイッチ42(1)〜42(1)のスイッチ機能は次の通りである。
【0053】
操作スイッチ42(1):ホームスイッチ
操作スイッチ42(2):(割り当て無し)
操作スイッチ42(3):オートデセルON/OFF切換スイッチ
操作スイッチ42(4):作業モード切換スイッチ
操作スイッチ42(5):フック掛け数切換スイッチ
操作スイッチ42(6):表示ページ切換スイッチ
操作スイッチ42(7):(割り当て無し)
操作スイッチ42(8):アワーメータ/時計表示切換スイッチ
操作スイッチ42(9):モニタ輝度調整スイッチ
操作スイッチ42(10):時刻設定画面スイッチ
【0054】
第1ページの画面において、表示ページ切換スイッチとして機能する操作スイッチ42(6)を操作すると、画面が
図7B(a)に示すメニュー画面の第2ページに切り換わる。
図7B(b)には画面表示形態の一例を示してある。この画面においては、各操作スイッチ42(1)〜42(10)は次のように機能する。
【0055】
操作スイッチ42(1):ホームスイッチ
操作スイッチ42(2):(割り当て無し)
操作スイッチ42(3):言語設定スイッチ
操作スイッチ42(4):故障履歴表示スイッチ
操作スイッチ42(5):ソフトバージョン確認スイッチ
操作スイッチ42(6):表示ページ切換スイッチ
操作スイッチ42(7):(割り当て無し)
操作スイッチ42(8):消耗品表示スイッチ
操作スイッチ42(9):スイッチ操作音ON/OFF切換スイッチ
操作スイッチ42(10):(割り当て無し)
【0056】
次に、モニタ装置17は、操作スイッチ42(1)〜42(1)を用いた特定の操作入力などによって、サービスモードおよびメーカーモードに切り換え可能である。これらのモードは、予め権限の付与された者のみがアクセス可能となっている。
【0057】
図8A、8Bはサービスモードに切り換わった場合のモニタ画面の表示形態を示す説明図であり、
図9はメーカーモードに切り替わった場合のメニュー画面の表示形態を示す説明図である。
【0058】
例えば、サービスモードに切り換わると、
図8A(a)に示すメニュー画面が表示される。操作スイッチ42(1)〜42(10)は表示されている各メニューに画面を切り換えるためのスイッチ機能が割り当てられる。モニタリングメニューを選択するために操作スイッチ42(1)(図示せず)を操作すると、
図8A(b)に示すように画面がモニタリング画面に切り換わる。
【0059】
また、作業履歴メニューを選択すると
図8B(a)に示す作業履歴画面に切り換わり、作業履歴を確認できる。作業履歴を表すデータは、クレーン記録装置45に記憶保持されているデータである。さらに、エラー履歴メニューを選択すると、
図8B(b)に示すようにエラー履歴画面に切り換わり、クレーン記録装置45に記憶保持されているエラー履歴データを確認できる。なお、クレーン記録装置45に記憶保持されているデータのうちの一部のデータを、ユーザーモードにおいて画面に表示して確認できるようにすることも可能である。
【0060】
次に、モニタ装置17にはGPS付通信機46が接続されており(
図3参照)、予め設定されている通信先の管理サーバーとの間でデータ通信が可能である。モニタ装置17は、例えば、予め定めた事象が発生すると、クレーン記録装置45に記録されている発生事象に関連するデータを、GPS付通信機46を介して、通信先に送信することができる。また、通信先からの要求に応じて、クレーン記録装置45に記録されているデータを通信先に送信することができる。
【0061】
データ送信のトリガーとなる事象としては、例えば、モーメントリミッタ解除スイッチ18の操作を挙げることができる。この場合には、モニタ装置17の制御部44は、モーメントリミッタ解除スイッチ18が操作されてモーメントリミッタの動作が解除されると、解除された旨を、GPS付通信機46を介して、通信先に送信し、解除状態においてクレーン記録装置45に記録されるクレーン作業状態を表すデータを通信先に送信する動作を開始する。データ送信動作は、例えば、モーメントリミッタ解除スイッチ18がオフされるまで行うことができる。
【0062】
また、通信先へのデータ送信時には、通信先においてクレーンを同定できるように、クローラクレーン1に予め付与されているクレーン識別情報も送信される。さらに、GPS位置情報も併せて送信することにより、通信先においてクローラクレーン1の位置も確認することができる。
【0063】
モニタ装置17が、特定事象の発生時、あるいは、定期的に、クレーン記録装置45に記録されたデータあるいは記録されるデータを、GPS付通信機46を介して、通信先に
送信することにより、通信先の管理サーバーにおいては、異なる場所における多数台のクレーンの状態を集中して管理でき、また、クレーン作業状態等に関するデータを収集して分析することが可能になる。