(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような問題に鑑みて創案されたものである。本発明の目的は、長尺のワークの側面に門型ドリルセンタで穴あけ加工を行う際に、ワークの直径を変更しても当該ワークの軸心の位置を一定に維持することが容易であるワーク支持台を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも一部分が円筒状のワークを当該円筒状の部分において回転可能に支持するワーク支持台であって、本体ベースと、前記本体ベースに固定された一対の軸部材案内体と、前記一対の軸部材案内体のそれぞれに対して軸線方向に相対移動可能に支持された一対の軸部材と、前記一対の軸部材の先端部にそれぞれ回転可能に設けられ、前記ワークに対して転がり可能な一対のローラ部材と、前記一対の軸部材の内部にそれぞれ軸線方向に沿って設けられた雌ねじ部と、前記一対の軸部材案内体のそれぞれに対して回転可能に支持された一対の回転操作部と、前記一対の回転操作部にそれぞれ接続され、断面形状が台形のねじ山が設けられ前記雌ねじ部に螺合する一対の雄ねじ部と、を備え、前記一対の軸部材は、それぞれ、少なくとも一部分の断面が非円形となっており、前記一対の軸部材案内体は、それぞれ、対応する軸部材の前記断面が非円形の部分に係合して当該軸部材案内体に対する前記軸部材の軸線方向への相対移動を案内するガイド部を有していることを特徴とするワーク支持台である。
【0007】
本発明によれば、一対の軸部材が、それぞれ、各軸部材案内体に対して軸線方向に相対移動されるため、ワークの直径を変更した場合であっても当該ワークの軸心の位置を一定に維持することが容易である。更に、本発明によれば、断面形状が台形のねじ山を有する雄ねじ部が高い剛性を有しているため、ワークの重量が大きい場合でも確実に当該ワークを支持することができる。また、一対の軸部材は、それぞれ、少なくとも一部分の断面が非円形となっており、一対の軸部材案内体は、それぞれ、対応する軸部材の断面が非円形の部分に係合して当該軸部材案内体に対する軸部材の軸線方向への相対移動を案内するガイド部を有しているため、一対の軸部材案内体のそれぞれに対する各軸部材の軸線周りの回転(軸部材と雄ねじ部との連れ回り)を確実に防止することができる。
【0008】
具体的には、例えば、前記断面が非円形の部分は、前記一対の軸部材のそれぞれの外周面に形成されたフランジ部であり、前記ガイド部は、前記一対の軸部材案内体のそれぞれの内周面の少なくとも一部において軸線方向に形成された凹条である。
【0009】
また、前記一対の軸部材案内体には、それぞれ、当該一対の軸部材案内体に対する各軸部材の軸線方向の相対移動を規制する移動規制機構が設けられていることが好ましい。この場合、一対の軸部材案内体のそれぞれに対する各軸部材の軸線方向への不所望の相対移動を、確実に防止することができる。
【0010】
また、前記一対の軸部材の軸線方向が前記ワークの前記円筒状の部分の中心において互いに交差する、という位置関係で前記一対の軸部材が配置されていることが好ましい。
【0011】
この場合、ワークの重量を一対の軸部材に効果的に分散させることができるため、ワークの重量が大きい場合でも安定的に当該ワークを支持することができる。
【0012】
好ましくは、前記一対の軸部材の軸線方向は70°〜90°の間のいずれかの角度で互いに交差する、という位置関係で前記一対の軸部材が配置されている。
【0013】
あるいは、本発明は、ワークを支持するワーク支持台であって、本体ベースと、前記本体ベースに固定された一対の軸部材案内体と、前記一対の軸部材案内体のそれぞれに対して軸線方向に相対移動可能に支持された一対の軸部材と、前記一対の軸部材の先端部にそれぞれ設けられ、前記ワークに対して当接される一対のパッドと、前記一対の軸部材案内体のそれぞれに支持され、各軸部材案内体に対して各軸部材を軸線方向に相対移動させる一対の駆動部と、 前記一対の軸部材の外周面の少なくとも一部にそれぞれ設けられ、先端側から基端側に向かって先細りとなるように傾斜されたテーパ面と、前記一対の軸部材案内体のそれぞれに固定された一対のくさび軸案内体と、前記一対のくさび軸案内体のそれぞれに対して軸線方向に相対移動可能に支持された一対のくさび軸と、前記一対のくさび軸の先端部にそれぞれ設けられ、対応する軸部材の前記テーパ面に対して当接される一対の押圧面と、前記一対のくさび軸案内体のそれぞれに支持され、各くさび軸案内体に対して各くさび軸を軸線方向に相対移動させる一対のくさび軸駆動部と、を備えたことを特徴とするワーク支持台である。
【0014】
本発明によれば、一対の軸部材が、それぞれ、各軸部材案内体に対して軸線方向に相対移動されるため、ワークの直径を変更した場合であっても当該ワークの軸心の位置を一定に維持することが容易である。また、一対のくさび軸の先端部に設けられた一対の押圧面が、対応する軸部材の外周面に形成されたテーパ面に対して当接されることにより、各軸部材案内体に対する各軸部材の不所望の相対移動を確実に回避することができる。
【0015】
また、前記一対の軸部材の内部には、軸線方向に延びる中空穴が形成されており、前記中空穴内にコイルバネが伸縮可能に設けられており、前記中空穴の底部に前記コイルバネの一端が固定されており、前記一対の駆動部は、前記コイルバネの他端に固定され当該コイルバネの他端を前記軸線方向に移動させるロッド部材を有していることが好ましい。
【0016】
この場合、各軸部材の先端部に設けられたパッドがワークWに対して過大な力で押圧されることを回避することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、一対の軸部材が、それぞれ、各軸部材案内体に対して軸線方向に相対移動されるため、ワークの直径を変更した場合であっても当該ワークの軸心の位置を一定に維持することが容易である。更に、本発明によれば、断面形状が台形のねじ山を有する雄ねじ部が高い剛性を有しているため、ワークの重量が大きい場合でも確実に当該ワークを支持することができる。また、一対の軸部材は、それぞれ、少なくとも一部分の断面が非円形となっており、一対の軸部材案内体は、それぞれ、対応する軸部材の断面が非円形の部分に係合して当該軸部材案内体に対する軸部材の軸線方向への相対移動を案内するガイド部を有しているため、一対の軸部材案内体のそれぞれに対する各軸部材の軸線周りの回転(軸部材と雄ねじ部との連れ回り)を確実に防止することができる。
【0018】
あるいは、本発明によれば、一対の軸部材が、それぞれ、各軸部材案内体に対して軸線方向に相対移動されるため、ワークの直径を変更した場合であっても当該ワークの軸心の位置を一定に維持することが容易である。また、一対のくさび軸の先端部に設けられた押圧面が、対応する軸部材のテーパ面に対して当接されることにより、各軸部材案内体に対する各軸部材の不所望の相対移動を確実に回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、添付の図面を参照して本発明の一実施の形態を詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施の形態のワーク支持台100の概略正面図であり、
図2は、
図1のワーク支持台100の概略的な右側面図であり、
図3は、
図1のワーク支持台100の軸部材案内体20の概略的な縦断面図である。本実施の形態のワーク支持台100は、少なくとも一部分が円筒状のワークWを当該円筒状の部分において回転可能に支持するものであり、
図1乃至
図3に示すように、本体ベース10と、本体ベース10に固定された一対の軸部材案内体20、20と、一対の軸部材案内体20、20のそれぞれに対して軸線方向に相対移動可能に支持された一対の軸部材30、30と、を備えている。
【0022】
本実施の形態の本体ベース10は、
図1及び
図2に示すように、直方体状の台座11と、台座11上に互いに対向して取り付けられた2枚のプレート12、13と、を有している。
図1に示すように、各プレート12、13の上部領域には、ワークWとの干渉を回避するための湾曲状の窪みが形成されている。
【0023】
また、
図1及び
図2に示すように、一方のプレート12における、他方のプレート13とは反対側(
図1における前面側、
図2における左側)の表面上に、一対の軸部材案内体20、20が、正面から見て左右対称に固定されている。各軸部材案内体20の内部には、長手方向に沿って、例えば直径95mmの円筒状の空間が形成されており、各軸部材30は、当該円筒状の空間内に収容されて支持されている。
【0024】
本実施の形態の各軸部材30は、例えば、長さ590mm、直径95mmの円筒形状であり、それぞれの先端部には、ワークWに対して転がり可能なローラ40が回転可能に設けられている。
【0025】
また、
図1乃至
図3に示すように、本実施の形態の一対の軸部材案内体20、20のそれぞれの下端部には、回転操作部50が回転可能に支持されている。各回転操作部50には、断面形状が台形のねじ山が設けられた雄ねじ部60が接続されている。具体的には、雄ねじ部60は、例えば、長さ450mmであり、台形のねじ山のピッチが6mmである。
【0026】
そして、
図3に示すように、各軸部材30は、内部に、基端部(
図3の左下の端部)から先端部(
図3の右上の端部)に向かって延びており、雄ねじ部60を内部に収容可能な、円筒状の穴部31を有している。具体的には、穴部31は、直径40mm、深さ400mmの円筒形状となっている。但し、基端側の領域は、他の領域よりも大きい内径を有する大径部31aとなっている。そして、
図3に示すように、この大径部31a内に、内周面に軸線方向に沿って設けられた雌ねじ部34を有し、基端部に穴部31の径方向外側に張り出したフランジ部35を有するナット33が、固定されている。具体的には、フランジ部35は、周方向に等間隔に設けられた例えば4箇所の開口部36を有しており、当該開口部36を介して軸部材30の基端部にボルト37によって固定されている。この状態で、ナット33の雌ねじ部34は、回転操作部50に接続された雄ねじ部60と螺合している。
【0027】
また、
図3に示すように、本実施の形態の一対の軸部材30、30のそれぞれの外周面には、突出部32が設けられている(当該突出部32が設けられた部分において、各軸部材30の断面が非円形となっている)。これに対して、本実施の形態の一対の軸部材案内体20、20のそれぞれの内周面には、突出部32に係合して軸部材案内体20に対する軸部材30の軸線方向への相対移動を案内するガイド部として、凹条21が軸線方向に形成されている。
【0028】
以上の構成により、回転操作部50が回転操作されて雄ねじ部60が回転される際に、雄ねじ部60と軸部材30との連れ回りが確実に防止されて、各軸部材30が各軸部材案内体20に対して軸線方向に相対移動されるようになっている。
【0029】
本実施の形態の一対の軸部材30、30は、それぞれ、各軸部材案内体20に対して375mmの軸線方向の相対移動(ストローク)が可能である。これにより、直径が250mm〜950mmの範囲のワークWを支持可能となっている。更に、本実施の形態では、軸部材案内体20に対する軸部材30の軸線方向の相対移動量の調整を容易にするべく、一対の軸部材30、30の外周面に目盛りが設けられている。
【0030】
また、本実施の形態では、各軸部材30は、正面視で(
図1の正面から見て)、軸線方向が鉛直線に対してそれぞれ略40°の角度を成しており、一対の軸部材30、30の軸線方向がワークWの円筒状の部分の中心において略80°で互いに交差する、という位置関係で当該一対の軸部材30、30が配置されている。
【0031】
また、
図1及び
図2に示すように、一対の軸部材案内体20、20には、それぞれ、各軸部材案内体20に対する各軸部材30の軸線方向の相対移動を規制する移動規制機構22が設けられている。本実施の形態の移動規制機構22は、一対の軸部材案内体20、20のそれぞれの側面に設けられたレバー23の回動操作(
図2参照)によって操作可能となっている。
【0032】
更に、
図1及び
図2に示すように、本実施の形態のワーク支持台100には、穴あけ加工時におけるワークWの位置ずれを回避するために、一対のクランプ機構70、70が設けられている。具体的には、当該一対のクランプ機構70、70は、長手方向の中央部が本体ベース100に揺動可能に支持された一対のクランプアーム71、71と、一対のクランプアーム71、71のそれぞれの先端に取り付けられた一対のクランプパッド72、72と、一対のクランプアーム72、72のそれぞれの基端に連結された一対のクランプアーム駆動機構と、を有している。
【0033】
本実施の形態では、一対のクランプアーム駆動機構として、一対の油圧シリンダ73、73が採用されている。また、本実施の形態の一対のクランプアーム71、71の長手方向の中央部は、
図1及び
図2に示すように、本体ベース10の2枚のプレート12、13の湾曲部の左右両端において、当該2枚のプレート12、13間に架け渡された一対のピン部材14、14を支点として、揺動可能に支持されている。このような構成により、各クランプアーム71は、各油圧シリンダ73の駆動に基づいて、ワークWをクランプするクランプ位置(
図1において二点鎖線で示されている)と、ワークWから離れた退避位置(
図1において実線で示されている)と、の間を揺動可能となっている。
【0034】
前述の通り、本実施の形態のワーク支持台100は、直径が250mm〜950mmの範囲のワークWを支持可能である。このため、ワークWの直径に応じて最適なクランプを実現するべく、本実施の形態の各クランプパッド72は、取外可能に各クランプアーム71に装着されており、ワークWの直径が変更された際には、その直径に応じて最適なクランプパッドに交換され得るようになっている。
【0035】
次に、本実施の形態のワーク支持台100の作用について説明する。
【0036】
まず、ワーク支持台100が、門型ドリルセンタの移動方向に沿って、当該門型ドリルセンタとNCインデックス装置との間に設置される。この時、ワーク支持台100は、NCインデックス装置から所定の距離を隔てて設置される。通常、当該所定の距離は、加工対象のワークWの一端部をNCインデックス装置が、当該ワークWの他端部近傍をワーク支持台100が、それぞれ支持するように、ワークWの長さに応じて決定される。そして、加工対象のワークWの支持に先立ち、ユーザにより、当該ワークWの直径に応じて一対のクランプアーム71、71のそれぞれの先端部に最適なクランプパッド72が装着される。
【0037】
そして、ワークWの軸線がNCインデックス装置の回転軸に一致するように、当該ワークWの直径に応じて、一対の軸部材30、30が、それぞれ、各軸部材案内体20に対して軸線方向に相対移動される。具体的には、一対の回転操作部50、50が回転操作されることにより、各回転操作部50に接続された各雄ねじ部60がそれぞれ軸線回りに回転され、これに伴って、各雄ねじ部60に螺合された各ナット33の雌ねじ部34が、各雄ネジ部60に対して軸線方向に相対移動される。すなわち、各軸部材30が、各軸部材案内体20に対して軸線方向に相対移動される。(この時、各軸部材30の外周面に形成された突出部32が、各軸部材案内体20の内周面に軸線方向に形成された凹条21と係合して当該方向に案内されることにより、軸部材案内体20に対する軸部材30の軸線回りの相対的な回転、すなわち、雄ねじ部60と軸部材30との連れ回り、が防止される。)
【0038】
そして、各軸部材30の外周面に設けられた目盛りが参照されて、各軸部材案内体20に対して各軸部材30が位置決めされる。そして、各レバー23が回動操作され、移動規制機構22によって、一対の軸部材案内体20、20のそれぞれに対する各軸部材30の軸線方向の相対移動が、規制される。すなわち、ワークWの重量等に起因する、各軸部材案内体20に対する各軸部材30の不所望の相対移動が、禁止される。
【0039】
そして、加工対象のワークWが例えばクレーンにより略水平に支持されて運ばれ、当該ワークWの一端部がNCインデックス装置の回転テーブルにチャックを介して支持されると共に、当該ワークWの他端部近傍がワーク支持台100上に載置される。この状態で、クレーンによる支持が解除される。
【0040】
そして、ワークWの加工対象の位置が上面に位置するまで、NCインデックス装置によってワークWが軸線回りに回転される。この時、ワークWに対して一対のローラ40、40が転がるため、当該ワークWは容易に回転され得る。ワークWの回転が完了すると、当該ワークWは、一対のクランプ機構70、70によってクランプされる。具体的には、一対の油圧シリンダ73、73によって、各クランプアーム71が各ピン部材14を支点として退避位置(
図1において実線で示されている)からクランプ位置(
図1において二点鎖線で示されている)まで揺動(回動)され、各クランプパッド72がワークWに押し当てられる。これにより、一対のクランプパッド72、72と一対のローラ40、40とによって、ワークWが保持される。
【0041】
この状態で、門型ドリルセンタがワークWの軸線方向に沿って所定の位置まで移動され、加工工具(ドリル)によってワークWの加工対象の位置に所望の穴あけ加工が行われる。
【0042】
穴あけ加工が完了すると、門型ドリルセンタは、ワークWの軸線方向に沿って初期位置まで移動される。そして、各クランプ機構70の油圧シリンダ73によって各クランプアーム71が退避位置まで揺動(回動)され、各クランプパッド72がワークWから離される。
【0043】
そして、ワークWが例えばクレーンにより再び支持されると共に、当該ワークWの一端部がNCインデックス装置の回転テーブルから解放され、ワークWがワーク支持台100から取り除かれる。
【0044】
その後、異なる直径のワークを加工する場合には、各レバー23が回動操作されることにより、移動規制機構22によって禁止されていた各軸部材案内体20に対する各軸部材30の軸線方向の相対移動が、再び許容される。そして、各回転操作部50が回転操作されて、各軸部材30が一対の軸部材案内体20、20のそれぞれに対して軸線方向に相対移動される。
【0045】
以上のような本実施の形態によれば、一対の軸部材30、30が、それぞれ、各軸部材案内体20に対して軸線方向に相対移動されるため、ワークWの直径を変更した場合であっても当該ワークWの軸心の位置を一定に維持することが容易である。更に、本実施の形態によれば、断面形状が台形のねじ山を有する雄ねじ部60が高い剛性を有しているため、ワークWの重量が大きい場合でも確実に当該ワークWを支持することができる。
【0046】
また、一対の軸部材30、30のそれぞれの外周面には、断面が非円形の部分としての突出部32が形成されており、一対の軸部材案内体20、20のぞれぞれの内周面の少なくとも一部には、突出部32に係合して軸部材案内体20に対する軸部材30の軸線方向への相対移動を案内するガイド部としての凹条21が、軸線方向に形成されている。このことにより、一対の軸部材案内体20、20のそれぞれに対する各軸部材30の軸線周りの回転(軸部材30と雄ねじ部60との連れ回り)を確実に防止することができる。
【0047】
また、一対の軸部材案内体20、20には、それぞれ、各軸部材案内体20に対する各軸部材30の軸線方向の相対移動を規制する移動規制機構22が設けられているため、一対の軸部材案内体20、20のそれぞれに対する各軸部材30の軸線方向への不所望の相対移動を、確実に防止することができる。
【0048】
また、一対の軸部材30、30の軸線方向が、円筒状のワークWの中心において略80°で互いに交差する、という位置関係で当該一対の軸部材30、30が配置されていることにより、ワークWの重量を一対の軸部材30、30に効果的に分散させることができるため、ワークWを安定的に支持することができる。
【0049】
次に、
図4乃至
図6を参照して、本発明の第2の実施の形態のワーク支持台200について説明する。
【0050】
図4は、本発明の第2の実施の形態のワーク支持台200の概略正面図であり、
図5は、
図4のワーク支持台200の概略的な右側面図であり、
図6は、
図4のワーク支持台200の軸部材案内体220の概略的な縦断面図である。
【0051】
図4乃至
図6に示すように、本実施の形態のワーク支持台200は、第1の実施の形態のワーク支持台100と同様に、本体ベース210と、本体ベース210に固定された一対の軸部材案内体220、220と、一対の軸部材案内体220、220のそれぞれに対して軸線方向に相対移動可能に支持された一対の軸部材230、230と、を備えている。本実施の形態における本体ベース210は、第1の実施の形態の本体ベース10と同様の構成であるため、
図4及び
図5の本体ベース210において、第1の実施の形態の本体ベース10と同様の構成部分には略同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0052】
また、
図4及び
図5に示すように、一方のプレート212における、他方のプレート213とは反対側(
図4における前面側)の表面上に、一対の軸部材案内体220、220が、正面から見て左右対称に固定されている。各軸部材案内体220の内部には、長手方向に沿って、例えば、直径85mmの円筒状の空間が形成されており、各軸部材230は、当該円筒状の空間内に収容されて支持されている。
【0053】
本実施の形態の各軸部材230は、例えば、長さ288mm、直径85mmの円筒形状であり、それぞれの先端部には、ワークWに対して当接されるパッド240が、パッド支持部材241を介して取り付けられている。
【0054】
また、
図4乃至
図6に示すように、本実施の形態の一対の軸部材案内体220、220のそれぞれの下端部には、一対の軸部材230、230を各軸部材案内体220に対して軸線方向に相対移動させる一対の駆動部として、一対の油圧シリンダ250、250が支持されている。
【0055】
本実施の形態の一対の軸部材230、230は、それぞれ基端部(
図6の左下側の端部)が開放したスリーブ状となっており、内部には、例えば、軸方向に延びる深さ290mm、直径40mmの円筒状の中空穴が形成されている。本実施の形態では、各中空穴にコイルバネ231が伸縮可能に設けられており、当該コイルバネ231は、一端が中空穴の底部に固定されていると共に、他端が各油圧シリンダ250のロッド251の先端部に固定されている。すなわち、各油圧シリンダ250によって発生される軸線方向の力が、コイルバネ231を介して各軸部材230に伝達されるようになっている。
【0056】
本実施の形態の一対の軸部材230、230は、各軸部材案内体220に対する軸線方向の最大の相対移動量が共に75mmである。加工対象のワークWの直径に応じて最適なパッド支持部材241の長さを選択する(交換する)ことにより、結果的に、各パッド240は各軸部材案内体220に対して375mmの軸線方向の相対移動が可能である。すなわち、本実施の形態のワーク支持台200も、直径が250mm〜950mmの範囲のワークWを支持可能である。
【0057】
また、
図6に示すように、本実施の形態の一対の軸部材230、230の外周面には、各軸部材230が先端側(
図6の右上側)から基端側(
図6の左下側)に向かって先細りとなる、軸線方向に対して5°の傾きを有するテーパ面232が形成されている。
【0058】
また、一対の軸部材案内体220、220には、それぞれ、一対のくさび軸案内体260が固定されている。各くさび軸案内体260の内部には、長手方向に沿って円筒状の空間が形成されている。各円筒状の空間内には、それぞれ、対応するくさび軸案内体260に対して軸線方向に相対移動可能なくさび軸261が支持されている。本実施の形態の各くさび軸は略円柱状であり、それぞれの先端部には、対応する軸部材230のテーパ面232に対して当接される押圧面262が設けられている。また、各くさび軸案内体260の内部には、当該くさび軸案内体260に対して、各くさび軸261を軸線方向に相対移動させるくさび軸駆動部が支持されている。本実施の形態では、くさび軸駆動部として、油圧シリンダ263が採用されている。
【0059】
本実施の形態では、各くさび軸261に設けられている各押圧面262は、当該くさび軸261の軸線方向に直交する平面に対して5°の傾きを有しており、各押圧面262を対応する軸部材230の軸線方向に対して直交する方向において当該軸部材230のテーパ面232に対して当接させる(押し当てる)ことによって、各軸部材230の各軸部材案内体220に対する軸線方向の相対移動を規制するようになっている。
【0060】
更に、
図4及び
図5に示すように、本実施の形態のワーク支持台200には、一対のクランプ機構270、270が設けられている。各クランプ機構270は、本発明の第1の実施の形態のクランプ機構70と同様の構成であるため、
図4及び
図5において、第1の実施の形態のクランプ機構70と同様の構成部分には略同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0061】
次に、
図7を用いて、本実施の形態のワーク支持台200の作用について説明する。
【0062】
図7は、門型ドリルセンタ1によりワークWの側面に穴あけ加工を行う際の、
図1のワーク支持台100及び
図4のワーク支持台200の設置例を示す図である。
【0063】
まず、
図7に示すように、ワーク支持台200が、門型ドリルセンタ1の移動方向(
図7のX方向)に沿って、当該門型ドリルセンタ1とNCインデックス装置2との間に設置される。本実施の形態のワーク支持台200は、第1の実施の形態のワーク支持台100と共に使用されることが好ましい。この場合、ワーク支持台200は、NCインデックス装置2とワーク支持台100との間に配置されることが好ましい。このような配置の一例が
図7に示されており、ここでは、2台のワーク支持台200、200が、NCインデックス装置2とワーク支持台100との間に、それらの間の距離を3等分するように配置されている。
【0064】
そして、加工対象のワークWの支持に先立ち、ユーザにより、加工対象のワークWの直径に応じて一対のクランプアーム271、271のそれぞれの先端に最適なクランプパッド272が装着される。
【0065】
そして、第1の実施の形態において詳述したようにして、ワーク支持台100とNCインデックス装置2とによって加工対象のワークWが支持される。この状態で、一対の各軸部材230、230が、それぞれ、各軸部材案内体220に対して軸線方向に相対移動される。具体的には、一対の油圧シリンダ250、250により、各ロッド251がそれぞれ押し出され、当該ロッド251に固定されたコイルバネ231を介して、各軸部材230が押圧される。これにより、各軸部材案内体220に対して各軸部材230が軸線方向に相対移動される。そして、各軸部材230の先端に設けられたパッド240がワークWに当接されると、各油圧シリンダ250は停止される。
【0066】
そして、ワークWの加工対象の位置が上面に位置するまで、NCインデックス装置2によってワークWが軸線回りに回転される。この時、各パッド240は、各軸部材230の内部に設けられたコイルバネ231の弾発力によってワークWに押し当てられているため、各油圧シリンダ250による大きな押圧力が直接的に各パッド240に伝えられることが無い。すなわち、NCインデックス装置2によってワークWを回転させる際に各パッド240とワークWとの間に生じる摩擦力はそれほど大きくなく、ワークWは、容易に回転され得る。
【0067】
ワークWの回転が完了すると、一対の軸部材案内体220、220に設けられた一対の油圧シリンダ263、263が起動され、くさび軸261の押圧面262が、対応する軸部材230の外周面に設けられたテーパ面232に押し当てられる。これにより、各軸部材案内体220に対する各軸部材230の軸線方向の相対移動が規制される。すなわち、ワークWの重量等に起因する、各軸部材案内体220に対する各軸部材230の不所望の移動が、禁止される。
【0068】
そして、ワークWは、ワーク支持台200の一対のクランプ機構270、270によってクランプされる。すなわち、一対の油圧シリンダ273、273によって各クランプアーム271が、各ピン部材214を支点として退避位置(
図4において実線で示されている)からクランプ位置(
図4において二点鎖線で示されている)まで揺動(回動)され、各クランプパッド272がワークWに押し当てられる。これにより、一対のクランプパッド272、272と一対のパッド240、240とによってワークWが保持される。この時、前述の通り、ワーク支持台100においても、一対のクランプパッド72、72と一対のローラ40、40とによって、ワークWが保持される。
【0069】
この状態で、門型ドリルセンタ1がワークWの軸線方向(
図7のX方向)に沿って所定の位置まで移動され、ワークWの加工対象の位置に加工工具(ドリル)によって所望の穴あけ加工が行われる。
【0070】
穴あけ加工が完了すると、門型ドリルセンタ1がワークWの軸線方向に沿って初期位置まで移動される。そして、ワーク支持台200の一対のクランプ機構270、270の一対の油圧シリンダ273、273によって、各クランプアーム271が退避位置まで揺動(回動)され、各クランプパッド272がワークWから離される。この時、前述の通り、ワーク支持台100においても、各クランプパッド72がワークWから離される。
【0071】
そして、ワークWが例えばクレーンにより再び支持される。この状態で当該ワークWの一端部がNCインデックス装置2の回転テーブルから解放され、ワークWが各ワーク支持台100、200、200から取り除かれる。
【0072】
その後、異なる直径のワークを加工する場合には、一対の油圧シリンダ263、263が起動され、一対のくさび軸261、261が再び各くさび軸案内体260内に格納されると共に、各くさび軸261の押圧面262が対応する軸部材230のテーパ面232から離間される。そして、一対の油圧シリンダ250、250が起動され、各軸部材230が、一対の軸部材案内体220、220のそれぞれに対して軸線方向に相対移動される。この時、前述の通り、ワーク支持台100においても、各軸部材30が一対の軸部材案内体20、20のそれぞれに対して軸線方向に相対移動される。
【0073】
以上のような本実施の形態によれば、一対の軸部材230、230が、それぞれ、各軸部材案内体220、220に対して軸線方向に相対移動されるため、ワークWの直径を変更した場合であっても当該ワークWの軸心の位置を一定に維持することが容易である。また、一対のくさび軸261、261の先端部に設けられた一対の押圧面262、262が、対応する軸部材230の外周面に形成されたテーパ面232に対して当接される(押し当てられる)ことにより、各軸部材案内体220に対する各軸部材230の不所望の相対移動を確実に回避することができる。
【0074】
また、一対の軸部材230、230の内部には、軸線方向に延びる中空穴が形成されており、中空穴内にコイルバネ231が伸縮可能に設けられており、中空穴の底部にコイルバネ231の一端が固定されており、一対の油圧シリンダ250、250は、それぞれ、各コイルバネ231の他端に固定され当該コイルバネ231の他端を軸線方向に移動させるロッド251を有している。このことにより、各軸部材230の先端部に設けられたパッド240がワークWに対して過大な力で押圧されることを回避することができる。
【0075】
なお、各実施の形態のワーク支持台100、200は、直径が250mm〜950mmの範囲のワークWを支持可能であるが、いずれのワーク支持台100、200においても、構成部材を適宜に設計することにより、例えば直径950mm〜1300mmなど、より大きな直径のワークWを支持することも可能である。