(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接合リング体は、介在リング部と挿入側に係合リング部とを一体に設け、前記収納筒体に前記蓋筒体を接合したときに、前記介在リング部が前記収納筒体の開口端と前記蓋筒体との間に露出状態で介在した請求項1又は2に記載の逆止弁の取付構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、逆止弁ホルダーと固定具とがいわゆるバヨネット結合するものであり、逆止弁ホルダーに設けられる第一係止鍔の構造は、互いに長さの異なる複数個の半円弧状のもの、あるいは基部の周側面から傾斜して複数個を突設したものなど、複雑な構造となっており、これら第一係止鍔部の複雑な構造に応じて、第二係止鍔部の構造も複雑化している。また、同文献の取付構造の着脱動作は、工具は不要であるものの、特定角度の範囲内で逆止弁ホルダーを固定具に挿入させる動作や、特定方向への逆止弁ホルダーの回動動作を含む複数動作から成るものであるから、手間のかかる面倒で複雑な着脱動作となることが避けられず、作業性が大きく損なわれている。
【0007】
特許文献2では、固定リングの拡縮によりキャップ部材と固定部材とが着脱するものであるから、工具を使用しないでキャップ部材を取り外すことはできるが、固定リングを装着するキャップ部材の内周溝部などの構造が複雑なものとなると共に、取付けの際は固定リングの縮径を維持させたままキャップ部材を挿入しなければならないことから、着脱作業の簡易性が未だ不十分である。
【0008】
その他、取付け部材のカートリッジ嵌合部に逆止カートリッジ本体を嵌め、この状態の取付け部材をケースの貫通孔に挿入して回動させることで、取付け部材の筒状部外周側面の雄ねじが、ケースの筒状部内周側面のめねじとネジ結合することにより、取付け部材とケースとが着脱自在に取り付けられる逆止弁の取付構造も提案されている。しかしながら、取付け部材とケースとを単にネジ結合する場合は、たとえ水道メータの接続には工具が不要な場合であっても、取付け部材の着脱には工具が必須となるので、工具を用いた所定の正確性が要求される手間のかかる着脱作業となることが避けられない。
【0009】
そこで、本発明は上記問題を解決するために開発されたものであり、その目的とするところは、簡素な構造で、着脱の動作も工具が不要な極めて簡易な手作業で済ませることができると共に、取付状態を外部から容易に確認することができ、しかも、所要期間必要とされるシール性を維持してみだりに脱落するおそれのない確実で安定した取り付け及び容易な取り外しを可能とした逆止弁の取付構造とこれを用いた水道用メータユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、収納筒体に逆止弁カートリッジを装着した蓋筒体を着脱自在に取付ける逆止弁の取付構造であって、
前記蓋筒体の外周に形成した外周溝に装着した拡縮自在な略C形状の接合リング体と、この接合リング体の挿入側に設けた係合リング部と、この係合リング部の挿入側先端に形成したテーパ状のガイド部とを備えると共に、前記収納筒体の挿入側内周面には、環状係止溝が形成され、前記収納筒体に前記蓋筒体を挿入する際に、前記ガイド部が案内されながら前記接合リング体が縮径した状態で前記環状係止溝に挿入され、かつ前記接合リング体が前記環状係止溝内で拡径
させて前記収納筒体と前記蓋筒体とを接合固定し、前記収納筒体から前記蓋筒体を離脱する際は、前記接合リング体を縮径した状態で前記蓋筒体を取り外すようにした逆止弁の取付構造である。
【0011】
請求項2に係る発明は、収納筒体の開口挿入端の内周面に接合リング体の挿入時に案内する案内テーパ面を形成した逆止弁の取付構造である。
【0012】
請求項
3に係る発明は、接合リング体は、介在リング部と挿入側に係合リング部とを一体に設け、収納筒体に蓋筒体を接合したときに、介在リング部が収納筒体の開口端と蓋筒体との間に露出状態で介在した逆止弁の取付構造である。
【0014】
請求項
4に係る発明は、介在リング部の自由端部に接合リング体を縮径するための摘み操作部を設けた逆止弁の取付構造である。
【0015】
請求項
5に係る発明は、介在リング部の自由端部に接合リング体の拡径状態をロックするためのロック部材を設けた逆止弁の取付構造である。
【0016】
請求項
6に係る発明は、ベース体の長手方向に水道メータを圧着するための1次側取付部材と2次側取付部材とを配設し、2次側取付部材側に逆止弁の取付構造を設けた水道用メータユニットである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によると、逆止弁カートリッジを装着した蓋筒体を収納筒体に挿入する動作のみで、収納筒体内に蓋筒体を確実に装着することができ、従来方式のように特殊な工具を用いたり、複雑な動作を全く必要としない。一方、蓋筒体を取り外す場合も、接合リング体を縮径する動作のみで、そのまま蓋筒体を引き出すことが可能となり、もって逆止弁の取付け動作が確実に実施できるばかりでなく、極めて簡便な作業となる
と共に、収納筒体に蓋筒体を挿入する際に、接合リング体を円滑に縮径することができワンタッチで確実に逆止弁を装着した蓋筒体を収納筒体に取り付け可能となる。
【0018】
請求項2に記載の発明によると、蓋筒体を収納筒体に挿入するのみで、接合リング体が自動的に縮径するので、極めて簡便かつ確実に蓋筒体を取付けることができる。
【0019】
請求項
3に記載の発明によると、接合リング体の介在リング部を外部から視認できるので、逆止弁の取付状態を確認することが可能となり、取付リング部材が内部に収納され外部から視認できない場合に比して安全な取り扱いが可能となる。
【0021】
請求項
4に記載の発明によると、外部に露出した摘み操作部で縮径動作を可能とするため簡易にかつ確実に蓋筒体を挿入することが可能となる。
【0022】
請求項
5に記載の発明によると、使用中にみだりに接合リング体が縮径したり拡径することがなく極めて安全である。
【0023】
請求項
6に記載の発明によると、簡素な構造で、着脱の動作も工具が不要な極めて簡易な手作業で済ませることができると共に、取付状態を外部から容易に確認することができ、しかも、所要期間必要とされるシール性を維持してみだりに脱落するおそれのない確実で安定した取り付け及び容易な取り外しを可能とした逆止弁の取付構造とこれを用いた水道用メータユニットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の逆止弁の取付構造とこれを用いた水道用メータユニットの実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の水道用メータユニットの一例において、2次側取付部材を示した部分拡大断面図である。本実施形態の2次側取付部材1は、収納筒体2と、メータ受け部材3とを有しており、同図は蓋筒体4が収納筒体2に接合固定された状態を示している。
【0027】
収納筒体2は、本実施形態では、底部の基部5と、内部の収納部6と、収納部6と連通して図示しない外部流路と接続可能な貫通孔7とを有しているが、逆止弁カートリッジを内部に収納し逆流防止機能を発揮して流路を媒介する部材であれば特に制限されない。基部5は、鋳造などにより成形され、ボルト8の螺着によりベース体9と保持帯10と共に一体化されている。ベース体9は鋼材等の金属製板材からプレス絞り成型加工により長尺状に形成され、保持帯10はABS樹脂、ポリアセタール等の弾性を有する樹脂によりベース体9の長手方向に長尺状に所定の構造で形成されている。
【0028】
蓋筒体4は、本実施形態では、鍔部11と筒状部12とを有しており、筒状部12内周面の装着部13に逆止弁カートリッジ15が装着された状態で筒状部12を収納部6へ収納して、後述する接合リング体16を用いた本発明の逆止弁の取付構造により収納筒体2に接合固定されているが、逆止弁カートリッジ15を着脱自在に装着して収納筒体2に逆止弁カートリッジ15を交換可能に取り付け及び取り外し可能な部材であれば特に制限されない。鍔部11には、水道用メータの2次側が圧着する圧着面17(水道メータとシールするパッキン)が設けられている。蓋筒体4は、後述するように収納部6にネジ結合する構造ではないことから、その鍔部11の外形は、工具で把持するような六角面部とする必要がなく、本実施形態では、収納筒体2の円筒状外径部2aと略同径の円板状に形成している。
【0029】
メータ受け部材3は、所定の取付構造にて保持帯10上に着脱自在に取付けられており、その上部には、図示しない水道用メータの2次側を支受可能な支受部18が設けられ、この支受部18には略円弧状の載置面19が形成されている。また
図1に一点鎖線で示したように、メータ受け部材3は、蓋筒体4を収納筒体2から取り外す場合などのために、ベース体9の長手方向に沿ってスライド可能となっている。
【0030】
逆止弁カートリッジ15は、本実施形態では、
図3に示すように、本体15aと、コイルスプリング15bによって弁座21へ向けて弾発付勢された略傘形状の弁体20と、弁座21側に設けられた保持部材22とを有した略筒状を呈したカートリッジであり、Oリング23を介して保持部材22の外周が蓋筒体4の装着部13に着脱自在に嵌合しているが、カートリッジ式の逆止弁であれば特に制限されない。流路孔(図示せず)を有する本体15aは、ゴム製の弁座21を挟んだ状態で保持部材22に係合固定されている。
【0031】
図2は、本発明の水道用メータユニットの全体を示した斜視図である。本発明の水道用メータユニットは、ベース体9の長手方向に水道メータを圧着するための1次側取付部材24と2次側取付部材1とを配設し、2次側取付部材1側に本発明の逆止弁の取付構造を設けている。
【0032】
1次側取付部材24は、2次側取付部材1と共に水道用メータを圧着固定可能に設けられており、基部25と、配管26と、ハンドル27と、圧着部材28と、第1支持部材29とを有している。基部25は、基部5と同様に、ボルトの螺着によりベース体9と保持帯10と共に一体化されている。配管26はエルボよりなり、エルボ26は基部25の1次側から挿入されて接合されている。また、ハンドル27の回転操作による回転力を圧着部材28に伝達して圧着部材28が基部25に対して進退することで、水道用メータの1次側と2次側とを圧着又は圧着を解除させて水道用メータを着脱できるようになっている。第1支持部材29は、水道用メータ受けとしての機能と、圧着部材28の進出量を制限する機能とを有している。
【0033】
次いで、本発明の逆止弁の取付構造を説明する。本発明における逆止弁の取付構造は、収納筒体2に逆止弁カートリッジ15を装着した蓋筒体4を着脱自在に取り付ける逆止弁の取付構造である。
図3は、
図1の要部拡大断面図であり、逆止弁カートリッジ15を装着した蓋筒体4が収納筒体2の収納部6に挿入された後、接合リング体16が環状係止溝30内で拡径して収納筒体2と蓋筒体4とを接合固定した状態を示している。
【0034】
蓋筒体4は、円環状の鍔部11と挿入側(
図1、3における右側)の円筒状の筒状部12とが一体に形成された筒状部材であり、蓋筒体4の外周である筒状部12外周の鍔部11の付根部には、適切な深さと幅(軸方向長さ)を有する外周溝31が環状に形成されている(
図9に示す31aは、外周溝31の右側面部である。)。この外周溝31には、後述する接合リング体16が径方向に遊嵌可能な状態で装着されている。外周溝31より挿入側にはテーパ部32が形成され、その更に挿入側に形成した装着溝33aにはOリング33が設けられている。また、筒状部12内周面の低側面部には、逆止弁カートリッジ15の保持部材22の外周を嵌めて着脱自在に装着することができる装着部13が形成されている。外周溝31の深さ(内径寸法)は、蓋筒体4を収納筒体2に挿入する際に、係合リング部37が案内テーパ面48を超えて挿入することができるよう、係合リング部37の外径が案内テーパ面48の内径と略同じかやや小径となるまで接合リング体16を縮径した状態において、接合リング体16の内径部40と干渉しない深さに設けている。
【0035】
収納筒体2の収納部6には、逆止弁カートリッジ15を装着した蓋筒体4を収納できる。収納時は、1次側取付部材24と2次側取付部材1との間に圧着固定された水道用メータの2次側流路の軸心と同心状に、蓋筒体4の軸心を取付けると共に、この蓋筒体4と収納筒体2との間を液密にシールすることができる。収納部6内周面は、蓋筒体4外周面の形状に適合して嵌合させることができる形状に形成されており、本実施形態では、筒状部12のテーパ部32と適合するテーパ部6aが形成されているので、接合リング体16を円滑に縮径することができる。また、筒状部12外周面を確実に嵌合固着させることができるので、蓋筒体4の軸ずれが防止できる。また、収納部6内周面は、開口端34を介して挿入側方向(
図1、3における左方向)へ向けて外部に開口している。
【0036】
筒状部12のテーパ部32と収納部6のテーパ部6aとは当接させる必要はなく、また筒状部12の先端部と収納部6の底部36とは当接させる必要はない。
【0037】
収納筒体2の収納部6の挿入側内周面には、開口端34から適切な位置に環状係止溝30が形成されている(
図3、9に示した30aは、環状係止溝30の開口側段部面を、30bは、環状係止溝30の奥側段部面を、30cは、環状係止溝30の内周面それぞれ示している。)。また、環状係止溝30と開口端34との間の開口挿入端35内周面は、開口端34と同心状に収納部6奥側へ向かって縮径して接合リング体16の挿入時に案内する案内テーパ面48が形成されている。
【0038】
蓋筒体4の収納筒体2に対する軸方向位置は、接合リング体16が蓋筒体4の外周溝31に装着されて、係合リング部37が収納筒体2の環状係止溝30に係合することで定まる。具体的には、接合リング体16が、軸方向への移動を規制された状態で外周溝31内に装着され、この接合リング体16の係合リング部37の、少なくとも介在リング部38側の側面37aが、収納筒体2の環状係止溝30の開口側段部面30aと係合することにより、蓋筒体4が外れる方向(
図1、3における左方向)への移動が規制され、蓋筒体4の収納筒体2への装着が完了した状態となる。
【0039】
また、蓋部材4は水道メータが圧着されることにより、収納筒体2に挿入される方向(
図3における右方向)へ押され、接合リング体16の介在リング部38を介して収納筒体2に押圧固定される。
【0040】
図3に示す接合固定状態では、筒状部12外周面が収納部6内周面とOリング33を介して液密に嵌合し、筒状部12の先端面と底部36とが対向している。また、接合リング体16の拡径により、係合リング部37が環状係止溝30内に拡がって係合していると共に、介在リング部37は、両側が鍔部11及び開口端34にそれぞれ対向している。
【0041】
また、
図2に示すように、この接合固定状態では、介在リング部38が収納筒体2の開口端34と蓋筒体4の鍔部11との間に露出状態で介在しており、接合リング体16の状態を外部から視認可能となっていると共に、介在リング部38の介在によって接合リング部37は、軸心方向に確実にかつ安定状態で接合固定される。
【0042】
上記のように、本発明の逆止弁の取付構造は、蓋筒体4の外周溝31と、この外周溝31に装着された所定構造の接合リング体16と、収納筒体2の環状係止溝30とを有する簡素な構造であり、とくにネジ部が皆無であることから、回転装着が不要となり組立工程が簡略化され製造にあたってはコストダウンを図ることができる。
【0043】
しかも、蓋筒体4の軸心回り方向の回転角度と無関係に、係合リング部37と環状係止溝30との係止によって接合固定されるから、蓋筒体4に不意な回動力が作用しても収納筒体2からみだりに脱落するおそれがなく、安定確実な接合固定である。
【0044】
また、接合固定状態の接合リング体16の状態を外部から視認可能であるから、例えば使用中の接合リング体16の拡径の復元性などの状態を簡単に把握することができるので、逆止弁カートリッジ15を取り外す際の作業の安全性を高めることができる。さらに、接合リング体16には蓋筒体4と収納筒体2とのシール機能が要求されないから、接合リング体16を樹脂製とすることも可能であり、もって接合リング体16を安価に実現することができる。
【0045】
続いて、本発明の接合リング体16の構造を説明する。
図4はロック部材39が取り付けられていない接合リング体16の斜視図を示し、
図5はロック部材39が取り付けられた接合リング体16の正面図を示し、
図6はロック部材39をロックした状態の接合リング体16の正面図を示し、
図7は
図5に示した接合リング体16の左側面半裁断面図である。
【0046】
図4、5に示すように、接合リング体16は、略C字形状を呈しており、この形状は円形部材の1箇所を径方向に切断して切断面間を所定距離押し広げて円形部材を弾性変形させたような形状となっている。本実施形態の接合リング体16は、同図に示す略C字形状が、非弾性変形状態の自然形状であり、径方向へ拡縮させると、この自然形状に復元するように弾発する弾性部材である。
【0047】
自然形状の径の大きさは、前述の蓋筒体4の外周溝31に遊嵌状に装着され、かつ、その内径部40が外周溝31内に係止される程度の径を適宜選択すれば好適である。
【0048】
図4の自由端部41や、
図1、3、7、8の断面に示されるように、接合リング体16は断面略C字形状であり、相対的に大きい厚みと径を有する介在リング部38と、幅方向円筒状の内径部40を介して、この介在リング部38に平行で接合リング体16の挿入側の係合リング部37とが、一体に設けられている。また、係合リング部37の挿入側先端には、テーパ状のガイド部42が設けられている。内径部40の幅は、前述の蓋筒体4の外周溝31の幅と同程度か、僅かに狭い程度の幅を適宜選択すれば好適である。また、
図3、7、9に示した37aは、係合リング部37の左側面部を、37bは、係合リング部37の右側面部を、それぞれ示している。
【0049】
図4、5に示すように、自由端部41には、接合リング体16を径方向に押圧して縮径するための摘み操作部43が設けられている。また、摘み操作部43には、
図5に示すように、接合リング体16が自然形状のときに互いに略平行となるような2本の突起部44、45が設けられている。
【0050】
図5、6、7に示すように、突起部44に接合リング体16の拡径状態をロックできるロック部材39が設けられている。
図6に示すように、本実施形態では、ロック部材39は貫通孔状の軸着部46と円弧状に切り欠かれた係合部47とを有しており、軸着部46が一方の突起部44に軸支されてロック部材39が軸着部46まわりを回動可能となり、係合部47が他方の突起部45に係合可能となっている。同図の一点鎖線は回動して係合が解除されたロック部材39を示しており、係合部47が突起部45に係合した状態では、ロック部材39が突起部44、45を固定して自由端部41間の径方向距離変化が固定されるから、接合リング体16の拡縮が固定される。
【0051】
このため、
図1、3に示した接合固定状態においては、ロック部材39の大きさ(軸着部46と係合部47との距離)を適宜選択することで、係合部47を突起部45にロックした際、接合リング体16の径を、係合リング部37が適切な径に拡径して環状係止溝30に強固に係止させることができる径とすることができ、接合固定を安定確実なものとすることができる。なお、本発明のロック部材は接合リング体の拡径状態をロックできるように構成されていれば特に制限されないものであり、ロック部材39は、軸着部46を突起部45に軸支させたり、上下反転させて回動方向を逆向きに軸支させてもよく、実施に応じて適宜選択できる。
【0052】
続いて、本発明の逆止弁の取付構造の作用を説明する。
図8は、蓋筒体4を収納筒体2へ取り付けて接合固定する(又は取り外して接合固定状態を解除する)途中の状態を示した要部拡大断面図であり、
図9は、
図3、8において蓋筒体4を収納筒体2から取り外した状態を示した要部拡大断面図である。
【0053】
本発明では、収納筒体2に蓋筒体4を挿入する際、接合リング体16が縮径した状態で環状係止溝30に挿入され、かつ接合リング体16が環状係止溝30内で拡径して収納筒体2と蓋筒体4とを接合固定するようにしている。
【0054】
本実施形態における逆止弁カートリッジ15の取付けの際は、先ず、外周溝31に接合リング体16を装着した蓋筒体4の装着部13に、逆止弁カートリッジ15の弁座21側を嵌めて装着する。
図9に示す蓋筒体4は、この状態を示しており、外周溝31に接合リング体16を、装着部13に逆止弁カートリッジ15を、それぞれ装着している。
【0055】
次いで、この蓋筒体4の挿入側(筒状部12側)を、収納筒体2の収納部6へ挿入する。この際、
図8に示すように、係合リング部37のガイド部42が収納筒体2の案内テーパ面48に当接しつつテーパに沿うようにスライドするから、接合リング体16(係合リング部37)に作用する挿入方向の力が効果的に縮径方向の力に変換され、接合リング体16が縮径される。
【0056】
また、この挿入の際、装着溝33aが形成された筒状部12の挿入側部位は、テーパ部32を段部として縮径加工されているので、Oリング33と摺動する収納部6内周面の摺動箇所は、テーパ部6aより奥側(
図1、3、8、9における右側)の領域となる。このため、Oリングが収納部6の開口部分に掛かることなく、また、摺動距離が少なく抑えられ、Oリング33の摩耗・損傷が低減される。
【0057】
挿入を進めて、係合リング部37が案内テーパ面48を超えると同時に、接合リング体16が弾性復元力により自然形状に向かって拡径弾発し、係合リング部37が環状係止溝30内に自動的に係止される。そして、係合リング部37が環状係止溝30に確実に係止して、逆止弁カートリッジ15の取り付けが完了する。
図3は、このように取り付けが完了した接合固定状態を示している。
【0058】
係合リング部37が環状係止溝30に係合した接合固定状態においては、
図3に示すように、拡径弾発により接合リング体16は、環状係止溝30の開口側段部面30aの内周縁部に突き当たることにより、拡径が完了する。そして、係合リング部37の左側面部37aが環状係止溝30の開口側段部面30aと当接することにより、接合リング体16が位置決めされ、蓋筒体4が収納筒体2に確実に装着される。この状態では接合リング体16(あるいは蓋筒体4)は、軸方向移動規制が確実なものとなっており、具体的には、蓋筒体4の右側(挿入側)への移動(蓋筒体4を収納筒体2へ向けて押し込もうとした場合)は、まず鍔部11の右側面部が、対向する介在リング部38の左側面部に押し当たり、介在リング部38の右側面部が、対向する開口端34に突き当たることで規制される。また、同図における蓋筒体4の左側への移動(蓋筒体4を収納筒体2から引き抜こうとした場合)は、まず外周溝31の右側面部31aが、対向する係合リング部37の右側面部37bに押し当たり、次いで係合リング部37の左側面部37aが、対向する環状係止溝30の開口側段部面30aに突き当たることで規制される。このため、接合固定状態の蓋筒体4は、軸ずれ及び軸方向移動が確実に規制された状態となる。なお、拡径弾発により係合リング部37の外径部が内周面30cに突き当たるようにしても良い。また、係合リング部37の右側面部37bも環状係止溝30の奥側段部面30bに当接係合するようにしても良い。環状係止溝30の開口側段部面30aの内周縁部は、エッジ状とならないよう、R形状やフラット部などが採用される。
【0059】
上記のように、本発明による逆止弁の取付けの際は、蓋筒体4の姿勢や角度、あるいは締め付けやトルク管理などに一切配慮を要さず、ただ蓋筒体4を収納筒体2の収納部6へ挿入するだけのワンタッチ操作で取り付けが可能であると共に、打撃音や感触で取付の完了を把握し易いので、極めて簡易かつ安全に逆止弁の取付けができる。とくに係合リング部37のガイド部42や、収納筒体2の案内テーパ面48など、取付けの挿入の際に接合リング体16の縮径を促進するような構造が設けられていれば、ワンタッチの取付け操作がしやすくなる。また、取付け後にロック部材39をロックすることで、接合リング体16の縮径を固定して蓋筒体4の収納筒体2への接合固定をさらに強化できるので、蓋筒体4への不意な外力の作用や水道水圧などによる脱落の防止が万全なものとなる。
【0060】
本発明では、収納筒体2から蓋筒体4を離脱する際は、接合リング体16を縮径した状態で蓋筒体4を取り外すようにしている。
【0061】
図3に示すような接合固定状態から、逆止弁カートリッジ15を取り外す際は、先ず、
図6(あるいは
図2)に示すようなロック部材39の係合部47が突起部45に係合した状態から、
図6に一点鎖線で示したようにロック部材39を回転させて係合を解除し、接合リング体16を拡縮自在にする。次いで、接合リング体16を縮径させる。この際、収納筒体2の外部に突出している摘み操作部43を径方向に押圧することで、簡単に接合リング体16を自由端部41間において縮径ができる。この縮径により、係合リング部37の環状係止溝30への係止を解除する。
【0062】
次いで、上記の接合リング体16の縮径状態を維持したまま、蓋筒体4を収納筒体2の外方向(挿入方向の逆方向)へ向けて、
図8に示すように、係合リング部37が案内テーパ面48に乗り上げるように僅かに移動させる。係合リング部37が案内テーパ面48に乗り上げる位置となれば、係合リング部37は環状係止溝30に係止することができなくなるので、この後は、接合リング体16の拡縮に依らず、蓋筒体4を収納筒体2から引き抜くことができるようになり、
図9に示すように、逆止弁カートリッジ15の取り外しが完了する。
【0063】
上記のように、本発明による逆止弁の取り外しの際は、接合リング体16を縮径させた状態で僅かに流路軸線方向へ蓋筒体4を移動させるのみで取り外せるから、極めて簡易に逆止弁の取り外しができる。この際、2か所の摘み操作部43を指先で摘まむだけで簡単に係合リング部37の係止を解除し、接合リング体16の縮径を維持できる。また、接合リング体16がロック部材39でロックされている場合、逆止弁の取り外し動作は、ロック部材の係合解除と接合リング体16の縮径(係合リング部37の係止解除)という動作が必要となる。このため、最初から接合リング体16を縮径動作のみで蓋筒体4を取り外す場合と比較して、慎重で余裕のある取り外し動作となりやすいため、誤操作による漏水が生じにくく安全な取外しが可能となる。
【0064】
更に、本発明は、前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。