特許第6556578号(P6556578)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6556578-麺紐送り出し装置 図000002
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  • 特許6556578-麺紐送り出し装置 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556578
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】麺紐送り出し装置
(51)【国際特許分類】
   A21C 9/08 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   A21C9/08 E
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-188355(P2015-188355)
(22)【出願日】2015年9月25日
(65)【公開番号】特開2017-60438(P2017-60438A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2018年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】503067683
【氏名又は名称】コスモ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083172
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 豊明
(72)【発明者】
【氏名】中岡 文男
【審査官】 黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−248479(JP,A)
【文献】 特開2009−011185(JP,A)
【文献】 特開昭57−058842(JP,A)
【文献】 特開2007−312608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 1/00−15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の箸に対して、麺紐を多数回8字状に巻回する麺掛機に対して、麺紐を巻き取った容器から麺紐を送り出す麺紐送り出し装置において、
容器に麺紐を収容した状態で、麺紐が掛箸機に引き上げて前記麺紐の巻き解くときに、当該麺紐に掛かる力に応じて回転するとともに、モータによって強制的に回転もできる容器台と、
前記麺紐の引き上げにともなって麺紐が所定位置になるまで解けて、当該麺紐と接したときに接触信号を出力する接触センサと、
前記接触信号を受けて回転する容器台の回転時間を制御し、一周以内で所定時間回転したときに停止指示信号を出すタイマと、
前記接触センサからの接触信号を受けてモータをONして回転させ、前記停止信号を受けてモータをOFFするスイッチ制御手段と、
を備えたことを特徴とする麺紐送り出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺紐の送り出し装置に関し、特に掛箸機への麺紐送り出し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
素麺等の麺類は、原料の小麦粉を練った後、一旦帯状に長く伸ばし、更に当該麺帯を5mm前後の紐状の麺紐にして、盥様の容器に渦巻き状に巻いて収納する。その後、当該麺紐を掛箸(かけば)と称する間隔をおいた2本の棒に8の字状に掛けて熟成する。その後、前記2本の掛箸の一方を引っ張って適当な長さに加工する。うどんの場合は2〜3mmの太さで止められるが、素麺の場合は更に、室で蒸らして熟成させ、更に細く引き伸ばすようになっている。
【0003】
上記容器に渦巻き状に巻き取った状態から掛箸に8字状に巻き取る作業には専用の掛箸機を用いる。すなわち、特開平10−248479等に開示するように掛箸機の方から処理速度に応じて麺紐を引き上げる構造になっている。
【0004】
ところで近年、うどんであっても素麺であって、径方向に2色あるいはそれ以上の色を持った麺が開発されようとしている。この場合の製造方法も基本的には上記の方法と変わりはなく、当然の作業として、上記掛箸作業も行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−248479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記、複数色を持つ麺類を製造するについて、麺の縦方向に同じ色が連続していることが好ましい。すなわち麺が捩れて縦方向に色が変わっていくのは好ましくない。
【0007】
ところが、従来の麺紐送り出し装置での容器から掛箸機への移行では、掛箸機が麺紐を引き上げるに従って容器内の麺紐の渦巻きが解れるのであるが、容器が固定されているので、前記解渦にともなって麺紐に捩れが生じる。従って出来上がった麺を縦方向に観察すると、途中に表面の色が反転する部分が発生することになる。
【0008】
本発明は上記従来の事情に鑑みて提案されたものであって、掛箸機に取り込まれるときに麺紐に捩れが発生しない麺紐送り出し装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、2本の箸に対して、麺紐を多数回8字状に巻回する麺掛機に対して、麺紐を巻き取った容器から麺紐を送り出す麺紐送り出し装置において、下記の容器台と、接触センサと、タイマと、スイッチ制御手段と、を備える。
【0010】
容器台は、容器に麺紐を収容した状態で、麺紐が掛箸機に引き上げて前記麺紐の巻き解くときに、当該麺紐に掛かる力に応じて回転するとともに、モータによって強制的に回転もできる。接触センサは、前記麺紐の引き上げにともなって麺紐が所定位置になるまで解けて、当該麺紐と接したときに接触信号を出力する。タイマは、前記接触信号を受けて回転する容器台の回転時間を制御し、一周以内で所定時間回転したときに停止指示信号を出す。スイッチ制御手段は、前記接触センサからの接触信号を受けてモータをONして回転させ、前記停止信号を受けてモータをOFFする。
【発明の効果】
【0011】
上記構成によって、麺紐を収納した容器(容器台)は、まず麺紐の引っ張り力によって麺紐の巻き解きによって生じる力の方向に回転する。これによって、麺紐の引き上げ位置(容器上の立ち上がり位置)も、渦を解く方向に移動する。この移動をモータにより強制的に麺紐の巻き解き方向と逆方向に回転させる。これによって麺紐は捩れることなく掛箸機に送り込まれることになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明の使用状態を示す斜視図である。
図3】本発明の駆動部を示す図である。
図4】本発明の制御部を示すブロック図である。
図5】本発明の動作手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の実施の形態を示す斜視図であり、図2は、使用状態の斜視図である。図3は本発明の駆動部を示す図である。
【0014】
容器台11は、基台13に固定されたモータ15に直結され、モータ15が作動しないときは、水平方向に回転自在となる。モータ15は変則ギアー19aと19bを介してタイマ16(後述)に連結され、当該タイマ16はモータ15の回転時間を監視して、以下に記述するように容器台11が一周以上回転しないようになっている。
【0015】
基台13には前記モータ15とともに、当該モータを駆動する電源装置21、前記タイマ16、モータのスイッチ23を制御するスイッチ制御手段22も取り付けられている。
【0016】
前記基台13からは、前記容器台11の回転を妨げないように一旦、水平方向に延設され、上方向に立ち上がったアーム17が設けられ、当該アーム17の上端付近から、容器台11の中心に向かって、細い棒状の接触センサ25が突出されている。
【0017】
図4は本発明のスイッチ制御部のブロック図を示すものであり、図5は、動作手順を示す概念図である。
【0018】
以下、当該スイッチ制御部について本発明の動作とともに、説明する。
【0019】
まず、容器10に麺紐mが充填されている状態であるとする。すなわち図2に示すように麺紐mは容器10の中心部から渦巻き状に径の大きい方に一層目が巻き取られ、容器10の壁にまで達すると、次いで、逆方向(径の小さい方向)に一層目に重ねて二層目が巻き取られることを繰り返している。
【0020】
このように麺紐mが巻き取られた容器10を当該送り出し装置の容器台11上に載置して、麺紐mの先端を掛箸機30(全体は図示せず)に引き込む。このとき、掛箸機30による麺紐mの引き込み口31は、容器台11の上方(より詳しくは接触センサ25の上辺り)に位置しているので、麺紐mは当該引き込み口31に向かって上方向に延びることになる。
【0021】
また、初期的には容器台11は、前記タイマ16が所定の時間モータ15を作動させてスイッチ23がOFFになっている状態であるとする。このとき当該麺紐mの容器上の位置は、図5(a)に示すように、前記接触センサ25からみて、最大の回転角(例えば180度より大きく360度より小さい角度)の隔たりがある。
【0022】
前記のようにモータ15のスイッチ23はOFFであり、容器台11は自由に回転するので、麺紐mは掛箸機30が麺紐mを引く速度に応じて引き上げられ、これとともに、渦が解ける方向(図5(a)の破線矢印)に容器10を回転しながら、麺紐mが引き上げられる。このとき、図5(b)に示す状態から、麺紐mはやがて、接触センサ25の位置に達する。これ以上麺紐の渦が巻き解かれると麺紐mは捩れを起こすことになるが、ここで麺紐mは、図5(c)に示すように接触センサ25に接することになる。
【0023】
接触センサ25に麺紐が触れると、当該接触センサ25は「接触」信号をスイッチ制御手段22に送り、これを受けたスイッチ制御手段22はモータ15のスイッチ23をONにする。また、前記これによって、モータ15が前記巻き解き方向と逆の方向(図5の破線矢印と逆の方向)に容器台11を回転させる。また、前記「接触」信号はタイマ16にも送られ、これによってタイマ16が起動し、モータ15の回転時間を監視する。前記したようにタイマ16には容器台11が1周以内(180度より大きく360度より小さい角度:例えば図5(a)の位置まで)回転する時間が設定されており、前記設定時間が経過すると、それを受けて前記スイッチ制御手段22はモータのスイッチ23をOFFにしてモータ15を停止する。これによって麺紐が捩れを起こす直前で容器台11が半周から1周近く巻き戻されることになり、捩れの発生はなかったことになる。
【0024】
上記のような動作を繰り返して、麺紐mは捩れることなく、掛箸機に送り込まれ、麺紐mが、径方向に複数の色が持っている場合であっても、長さ方向に色の変化が発生することはなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上説明したように、本発明は麺紐を捩れなく掛箸機に送り込むことができるので、径方向に複数の色を有する麺紐が、長さ方向に色が変ることが無いので、出来上がった麺が見た目に需要者に快く受け止められることになる。
【符号の説明】
【0026】
11・・容器台
13・・基台
15・・モータ
16・・タイマ
17・・アーム
21・・電源装置
22・・スイッチ制御手段
23・・スイッチ
25・・接触センサ
図1
図2
図3
図4
図5