特許第6556586号(P6556586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556586スペクトル断片を介するセキュア・データ送信を提供するシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556586
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】スペクトル断片を介するセキュア・データ送信を提供するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04K 1/00 20060101AFI20190729BHJP
   H04B 7/155 20060101ALI20190729BHJP
   H04L 9/14 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   H04K1/00 A
   H04B7/155
   H04L9/00 641
【請求項の数】10
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2015-205603(P2015-205603)
(22)【出願日】2015年10月19日
(62)【分割の表示】特願2014-511473(P2014-511473)の分割
【原出願日】2012年5月16日
(65)【公開番号】特開2016-42713(P2016-42713A)
(43)【公開日】2016年3月31日
【審査請求日】2015年11月17日
【審判番号】不服2017-12273(P2017-12273/J1)
【審判請求日】2017年8月18日
(31)【優先権主張番号】13/449,170
(32)【優先日】2012年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/486,489
(32)【優先日】2011年5月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/471,504
(32)【優先日】2012年5月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/486,597
(32)【優先日】2011年5月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/523,678
(32)【優先日】2011年8月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】プロヒット,ビナイ,デー.
【合議体】
【審判長】 辻本 泰隆
【審判官】 仲間 晃
【審判官】 須田 勝巳
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−505009(JP,A)
【文献】 特開2000−124893(JP,A)
【文献】 特開平7−312593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04K 1/00
H04B 7/155
H04L 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ化されたデバイスに実行させる方法であって、
データ・ストリームを複数の出力サブストリームに分割するステップであって、前記出力サブストリームのそれぞれは、第1の搬送波信号のそれぞれのスペクトル断片に関連付けられ、かつ前記それぞれのスペクトル断片の帯域幅と互換のデータ・レートを有し、前記それぞれのスペクトル断片は、前記出力サブストリームと関連して使用されるように適合された複数のスペクトル断片のうちの1つであり、
前記複数のスペクトル断片の前記それぞれのスペクトル断片は、前記複数のスペクトル断片に関して不連続なスペクトル・ブロックであり、前記複数のスペクトル断片に含まれない帯域幅が割り振られた少なくとも1つのスペクトル断片を挿入することによって、前記複数のスペクトル断片に含まれる他の全てのスペクトル断片から分離される、ステップと、
前記出力サブストリームのうちの少なくともいくつかを暗号化するステップと、
前記第1の搬送波信号の前記それぞれのスペクトル断片を介する送信に適合されたそれぞれの変調された信号を提供するために各出力サブストリームを変調するステップと
を含む方法。
【請求項2】
各暗号化された出力サブストリームは、それぞれの暗号化鍵に関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記暗号化された出力サブストリームのうちの少なくともいくつかは、共通の暗号化鍵に関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
出力サブストリームを暗号化するのに使用される前記暗号化鍵は、セッションごとに変更される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
暗号化する前記ステップは、擬似乱数ジェネレータを介して生成される生成されたインデックス値に従って暗号化鍵のテーブルから暗号化鍵を選択するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
暗号鍵の前記テーブルは、周期的に更新される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
事前定義の時間期間の満了、しきい回数の暗号化鍵使用の発生、および事前定義のイベントの発生のうちの少なくとも1つに応答して、出力サブストリーム・スペクトル断片関連付けを調整するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
選択的に前記データ・ストリームを複数の更なる出力サブストリームに分割するステップであって、
前記更なる出力サブストリームのうちの少なくとも2つは、第2の搬送波信号のそれぞれのスペクトル断片を介する送信に適合された、対応する変調された信号を提供するために変調され、前記対応する変調された信号は、前記第2の搬送波信号の前記それぞれのスペクトル断片上にアップコンバートされ、前記出力サブストリームおよび前記更なる出力サブストリームのうちの少なくともいくつかは、前記第1および第2の搬送波信号のそれぞれの、それぞれのスペクトル断片を介する送信に適合された、対応する変調された信号を提供するために変調され、前記第1および第2の搬送波信号は、異なるポイントツーポイント・リンクを使用して伝えられる、ステップと、
通信システム内の各チャネルを介して前記搬送波信号を送信するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
コンピュータ化されたデバイスに、
データ・ストリームを複数の出力サブストリームに分割するステップであって、前記出力サブストリームのそれぞれは、第1の搬送波信号のそれぞれのスペクトル断片に関連付けられ、かつ前記それぞれのスペクトル断片の帯域幅と互換のデータ・レートを有し、前記それぞれのスペクトル断片は、前記出力サブストリームと関連して使用されるように適合された複数のスペクトル断片のうちの1つであり、
前記複数のスペクトル断片の前記それぞれのスペクトル断片は、前記複数のスペクトル断片に関して不連続なスペクトル・ブロックであり、前記複数のスペクトル断片に含まれない帯域幅が割り振られた少なくとも1つのスペクトル断片を挿入することによって、前記複数のスペクトル断片に含まれる他の全てのスペクトル断片から分離される、ステップと、
前記出力サブストリームのうちの少なくともいくつかを暗号化するステップと、
前記第1の搬送波信号の前記それぞれのスペクトル断片を介する送信に適合されたそれぞれの変調された信号を提供するために前記複数の前記出力サブストリームの各出力サブストリームを変調するステップと
を含む方法を実行させるためのコンピュータ可読命令を格納したコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
データ・ストリームを複数の出力サブストリームに分割するスプリッタであって、前記出力サブストリームのそれぞれは、第1の搬送波信号のそれぞれのスペクトル断片に関連付けられ、かつ前記それぞれのスペクトル断片の帯域幅と互換のデータ・レートを有し、前記それぞれのスペクトル断片は、前記出力サブストリームと関連して使用されるように適合された複数のスペクトル断片のうちの1つであり、
前記複数のスペクトル断片の前記それぞれのスペクトル断片は、前記複数のスペクトル断片に関して不連続なスペクトル・ブロックであり、前記複数のスペクトル断片に含まれない帯域幅が割り振られた少なくとも1つのスペクトル断片を挿入することによって、前記複数のスペクトル断片に含まれる他の全てのスペクトル断片から分離される、スプリッタと、
複数の変調器であって、各変調器は、前記第1の搬送波信号の前記それぞれのスペクトル断片を介する送信のために適合された変調された信号を提供するためにそれぞれの出力サブストリームを変調するように構成され、前記変調器のうちの少なくともいくつかは、それぞれの出力サブストリームを暗号化するように構成される、複数の変調器と、
前記変調された信号を前記第1の搬送波信号のそれぞれのスペクトル断片にアップコンバートする少なくとも1つのアップコンバータとを含み、
前記アップコンバートされた変調された信号内に含まれる前記出力サブストリームは、前記データ・ストリームを回復するために受信器で復調され、組み合わされるように適合される装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれている、2011年3月4日に出願した米国特許出願第13/040,458号(弁理士整理番号第809125号)、名称「VIRTUAL AGGREGATION OF FRAGMENTED WIRELESS SPECTRUM」の一部継続出願である。本願は、いずれもが参照によってその全体が本明細書に組み込まれている、2011年3月4日に出願した米国特許出願第13/040,458号(弁理士整理番号第809125号)、名称「VIRTUAL AGGREGATION OF FRAGMENTED WIRELESS SPECTRUM」の一部継続出願である、2012年4月17日に出願した米国特許出願第13/449,170号(弁理士整理番号第809615号)、名称「SYSTEM AND METHOD PROVIDING RESILIENT DATA TRANSMISSION VIA SPECTRAL FRAGMENTS」の一部継続出願でもある。
【0002】
本願は、いずれもが参照によってその全体が本明細書に組み込まれている、2011年5月16日に出願した米国特許仮出願第61/486,489号(弁理士整理番号第809662L号)、名称「ENHANCED SECURITY USING AGGREGATION OF WIRELESS SIGNALS」、2011年5月16日に出願した米国特許仮出願第61/486,597号(弁理士整理番号第809663L号)、名称「EFFICIENT FAILOVER SUPPORT USING AGGREGATION OF WIRELESS SIGNALS」、および2011年8月15日に出願した米国特許仮出願第61/523,678号(弁理士整理番号第810305L号)、名称「DISJOINT REPLICATED SPREAD SPECTRUM」の利益を主張するものである。
【0003】
本発明は、全般的には通信ネットワークに関し、排他的にではないがより詳細には、ポイントツーポイントおよびポイントツーマルチポイントの通信ネットワークおよびバックホール・リンクに関する。
【背景技術】
【0004】
伝統的な無線システムは、送信されるデータの量に比例する帯域幅を有するスペクトルの連続ブロックの可用性を仮定する。したがって、伝送システムは、しばしば、ワーストケース帯域幅要件について設計され、通常のまたは平均的なユースケースは、いくつかの場合に、はるかに少ない帯域幅(すなわち、スペクトル)を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
衛星通信システムおよび他のポイントツーポイント通信システムの文脈では、顧客に割り振られる使用可能スペクトルが、経時的に断片化される可能性があり、この断片化は、スペクトルの割り振られたブロックの間の未使用ブロックをもたらす。未使用スペクトルのブロックが小さすぎる時には、顧客の間でスペクトルを再割振りするか、顧客を既存のスペクトル割振りから新しいスペクトル割振りに「移動」し、その結果、スペクトルの未使用ブロックを単一のスペクトル領域に合体できるようにすることが必要である。残念ながら、そのような再割振りは、非常に破壊的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来技術のさまざまな不足は、データ伝送システムにおいてセキュリティ、干渉に対する弾力性、および帯域幅利用を改善するシステム、方法、および装置の本発明によって対処される。具体的には、さまざまな実施形態は、データ・ストリームを複数のサブストリームに分割するステップと、各サブストリームをそれぞれのスペクトル断片に関連付けるステップと、サブストリームのうちの少なくともいくつかを暗号化するステップと、それぞれのスペクトル断片を介する送信に適合されたそれぞれの変調された信号を提供するために各サブストリームを変調するステップとによってデータ・ストリームをセキュアに送信するシステム、方法、および/または装置を提供する。
【0007】
さまざまな実施形態では、各暗号化されたサブストリームは、それぞれの暗号化鍵に関連付けられる。さまざまな実施形態では、暗号化されたサブストリームのうちの少なくともいくつかは、共通の暗号化鍵に関連付けられる。さまざまな実施形態では、サブストリームを暗号化するのに使用される暗号化鍵は、セッションごとに変更される。さまざまな実施形態では、暗号化するステップは、生成されたインデックス値に従って暗号化鍵のテーブルから暗号化鍵を選択するステップを含む。
【0008】
本発明の教示は、添付図面に関連する次の詳細な説明を検討することによって、たやすく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による通信システムを示すブロック図である。
図2】本実施形態を理解するのに有用なスペクトル割振りを示すグラフ図である。
図3】さまざまな実施形態での使用に適する汎用コンピューティング・デバイスを示す高水準ブロック図である。
図4】さまざまな実施形態による方法を示す流れ図である。
図5】さまざまな実施形態による方法を示す流れ図である。
図6】さまざまな実施形態による方法を示す流れ図である。
図7A】さまざまな実施形態による通信システムを示すブロック図である。
図7B】さまざまな実施形態による通信システムを示すブロック図である。
図8A】さまざまな実施形態による通信システムを示すブロック図である。
図8B】さまざまな実施形態による通信システムを示すブロック図である。
図9A】さまざまな実施形態による通信システムを示すブロック図である。
図9B】さまざまな実施形態による通信システムを示すブロック図である。
図10】さまざまな実施形態での使用に適するスライサ/デマルチプレクサを示す高水準ブロック図である。
図11】一実施形態による方法を示す流れ図である。
図12】さまざまな実施形態から利益を得るシステムを示す高水準ブロック図である。
図13】一実施形態による方法を示す流れ図である。
図14A】さまざまな実施形態を理解するのに有用なスペクトル割振りを示すグラフ図である。
図14B】さまざまな実施形態を理解するのに有用なスペクトル割振りを示すグラフ図である。
図15】一実施形態による方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図面に共通する同一の要素を指定するのに、同一の符号を使用した。
【0011】
本発明を、主に衛星通信システムの文脈で説明する。しかし、本明細書の教示によって情報を与えられた当業者は、本発明が、マイクロ波通信システム、無線通信システム、および類似物など、柔軟なスペクトル割振りから利益を得るすべてのシステムにも適用可能であることを認めるであろう。
【0012】
一実施形態は、累積帯域幅が構成ブロックの帯域幅の合計とほぼ等しくなるように、無線スペクトルの複数の断片化されたブロックを1つの連続する仮想ブロックにアグリゲートする効率的で汎用の技法を提供する。断片化されたブロックは、オプションで、ガード・ブロック、他の当事者によって所有されるブロック、地域または国の無線スペクトルの規制当局によって禁止されるブロック、その他などのスペクトルのブロックによってお互いから分離される。
【0013】
図1に、さまざまな実施形態から利益を得る通信システムのブロック図を示す。図1の通信システム100は、仮想スペクトル・アグリゲータ送信器110、電力増幅器120、衛星アップリンク130、衛星140、衛星ダウンリンク150、仮想スペクトル・アグリゲータ受信器160、およびオプションで制御モジュール170を含むポイントツーポイント・リンクを含む。ポイントツーポイント・リンクを介して送信されるデータは、188バイトトランスポート・ストリーム(TS)パケット、64〜1500バイト・イーサネット・パケット、その他などのデータ・パケットのストリームDとして提供される。特定のパケット構造、パケット構造内で伝えられるデータ、その他は、本明細書で説明されるさまざまな実施形態にたやすく適合される。
【0014】
入力データ・ストリームDは、仮想スペクトル・アグリゲータ送信器110によって受信され、ここで、スライサ/デマルチプレクサ111によって処理されて、N個のサブストリーム(D…DN−1)を提供し、ここで、Nは、S、SなどからSN−1までと表されるスペクトル断片の数に対応する。
【0015】
図1に示されているように、スライサ/デマルチプレクサ111が、入力データ・ストリームDを、D、D、およびDと表される3つのサブストリームに(図示の通り)スライスし、多重化し、かつ/または分割するように、N=3である。
【0016】
サブストリームD、D、およびDのそれぞれは、それぞれの変調器112(すなわち、変調器112、112、および112)に結合される。変調器112、112、および112のそれぞれは、そのそれぞれのサブストリームD、D、およびDを変調して、それぞれのスペクトル断片S、S、およびSによって搬送される対応する変調された信号を供給する。
【0017】
変調器112は、波形タイプ、コンステレーション・マップ、順方向誤り訂正(FEC)セッティング、その他の特性など、同一の特性または異なる特性を有する変調器を含むことができる。各変調器を、トラフィックの特定のタイプ(たとえば、ストリーミング・メディア、非ストリーミング・データ、および類似物)、対応するスペクトル断片Sに関連する特定のチャネル条件、および/または他の判断基準に従って最適化することができる。
【0018】
一般的に言って、任意のサブストリームDにスライサ/デマルチプレクサ111によって割り振られるデータの量は、対応するスペクトル断片Sのデータ搬送容量に比例する。さまざまな実施形態では、サブストリームDのそれぞれは、同一の量のデータを含むが、他の実施形態では、さまざまなサブストリームDが、異なる量のデータを含むことができる。
【0019】
図1に示されているように、第1変調器112は、第1スペクトル断片Sに関連する6MHz信号を供給し、第2変調器112は、第2スペクトル断片Sに関連する1MHz信号を供給し、第3変調器112は、第3スペクトル断片Sに関連する1MHz信号を供給する。
【0020】
周波数マルチプレクサ(すなわち、信号コンバイナ)113は、変調された信号を組み合わせて組み合わされた変調された信号Sを作るように動作し、この組み合わされた変調された信号Sは、変調された搬送波信号Cを提供するためにアップコンバータ114によって搬送波信号上に変調される。複数の周波数マルチプレクサ/信号コンバイナ113を使用して、共通のトランスポンダ、マイクロ波リンク、無線チャネル、および類似物を介してトランスポートされる変調された信号のそれぞれのグループを多重化できることに留意されたい。
【0021】
図1の実施形態では、変調された搬送波信号Cに関連するスペクトルは、変調されたデータ・サブストリームを伝えるのに使用される複数のスペクトル断片に、論理的にまたは仮想的に分割される。スペクトル断片割振りテーブルまたは他のデータ構造を使用して、どのスペクトル断片が定義済みであり、どのスペクトル断片が(およびどのデータ・サブストリームによって)使用中であり、およびどのスペクトル断片が使用可能であるのかを記憶することができる。一般的に言って、各トランスポンダ/伝送チャネルを、複数のスペクトル断片または領域に分割することができる。これらのスペクトル断片または領域のそれぞれを、特定のデータ・サブストリームに割り当てることができる。データ・サブストリームのそれぞれを、独自のまたは共通の変調技法に従って変調することができる。
【0022】
図1に示されているように、単一の衛星トランスポンダが使用され、したがって、変調された信号のすべてを、アップコンバージョンおよび単一の衛星チャネルを介する伝送の前に、周波数マルチプレクサ113によって組み合わせることができる。さまざまな実施形態では、1つまたは複数の衛星内の複数のトランスポンダを使用することができる。これらの実施形態では、ある衛星内の共通のトランスポンダを介して伝送される変調された信号だけが、組み合わされ、その後、一緒に変換される。さまざまな実施形態では、変調波形は、独立に伝送される。
【0023】
アップコンバータ114によって作られた変調された搬送波信号Cは、電力増幅器120によって増幅され、衛星アップリンク130を介して衛星140に送信される。衛星140は、変調されたサブストリームD、D、およびDを含む変調された搬送波信号を衛星ダウンリンク150に送信し、衛星ダウンリンク150は、この信号を仮想スペクトル・アグリゲータ受信器160に伝搬させる。
【0024】
仮想スペクトル・アグリゲータ受信器160は、受信された搬送波信号C’から組み合わされたスペクトル断片信号S’をダウンコンバートするダウンコンバータ(165)と、組み合わされたスペクトル断片信号S’からスペクトル断片S’、S’、およびS’を分離するように動作する周波数デマルチプレクサ(164)とを含む。
【0025】
スペクトル断片S’、S’、およびS’のそれぞれは、別々の復調器(すなわち、復調器162、162、および162)に結合される。復調器162、162、および162のそれぞれは、そのそれぞれのスペクトル断片S’、S’、およびS’を復調して、対応する復調されたサブストリームD’、D’、およびD’を提供する。
【0026】
復調されたサブストリームD’、D’、およびD’は、コンバイナ161によって処理されて、仮想スペクトル・アグリゲータ送信器110によって当初に処理された入力データ・ストリームDを表す出力データ・ストリームD’を作る。復調器162のそれぞれが、それに対応する変調器112と互換の形で動作することに留意されたい。
【0027】
オプションで、仮想スペクトル・アグリゲータ受信器160は、さまざまなサブストリームに関連する異なる伝搬遅延によって誘導される調整誤差を、サブストリームを組み合わせる前に回避できるように、さまざまな復調されたサブストリームの弾力的なバッファリング機能を提供するバッファ166、166、および166を含む。166内のバッファは、復調器(162)とコンバイナ161との間に配置された機能要素として図示されている。さまざまな実施形態では、バッファ166またはその機能的同等物が、コンバイナ161内に含まれる。たとえば、コンバイナ161は、復調器(162)のすべてからデータを受け取り、その後、そのデータを出力データ・ストリームD’として再配置する、単一のバッファを含むことができる。パケットIDおよび/またはサブストリーム内の他の情報を、この目的で使用することができる。
【0028】
オプションの制御モジュール170は、Element Management System(EMS)、Network Management System(NMS)、および/または図1に関して本明細書で説明される機能を実施するネットワーク要素の管理における使用に適する他の管理システムもしくは制御システムと相互作用する。制御モジュール170を使用して、さまざまな変調器、復調器、および/または図1に関して本明細書で説明される要素内の他の回路網を構成することができる。さらに、制御モジュール170は、それによって制御される要素に関してリモートに配置され、送信回路網に近接して配置され、受信器回路網に近接して配置されるなどとすることができる。制御モジュール170を、本明細書で説明されるものなどの特定の制御機能を実行するようにプログラムされた汎用コンピュータとして実施することができる。一実施形態では、制御モジュール170は、それぞれ第1制御信号TXCONFおよび第2制御信号RXCONFを介して仮想スペクトル・アグリゲータ送信器110および仮想スペクトル・アグリゲータ受信器160の構成および/または動作を適合させる。この実施形態では、複数の送信器および受信器の場合に、複数の制御信号を提供することができる。
【0029】
図2に、本実施形態を理解するのに有用なスペクトル割振りのグラフ図を示す。具体的には、図2は、第1顧客がスペクトルの第1部分210、実例として単一の10MHzブロックを割り振られ、第2顧客がスペクトルの第2部分220、実例として単一の10MHzブロックを割り振られ、第3顧客がスペクトルの第3部分230、実例として単一の10MHzブロックを割り振られ、第4顧客がスペクトルの第4部分240、実例として第1の1MHzブロック240、第2の1MHzブロック240、および6MHzブロック240を含む3つの不連続スペクトル・ブロックを割り振られる、36MHzスペクトル割振りを絵図的に示す。
【0030】
本明細書で議論されるさまざまな実施形態の文脈で、第4顧客に関連するデータ・ストリームは、単一の6MHzスペクトル断片と2つの異なる1MHzスペクトル断片に分割され、これらのスペクトル断片のそれぞれは、図1に関して上で説明したものと実質的に同一の形で処理される。
【0031】
図3に、本明細書で説明されるさまざまな実施形態での使用に適する汎用コンピューティング・デバイス300の高水準ブロック図を示す。たとえば、図3に示されたコンピューティング・デバイス300を使用して、本明細書で説明されるさまざまな送信器処理機能、受信器処理機能、および/または管理処理機能を実施するのに適するプログラムを実行することができる。
【0032】
図3に示されているように、コンピューティング・デバイス300は、入出力(I/O)回路網310、プロセッサ320、およびメモリ330を含む。プロセッサ320は、I/O回路網310およびメモリ330のそれぞれに結合される。
【0033】
メモリ330は、バッファ332、送信器(TX)プログラム334、受信器(RX)プログラム336、および/または管理プログラム338を含むものとして図示されている。メモリ330に格納される特定のプログラムは、コンピューティング・デバイス300を使用して実施される機能に依存する。
【0034】
一実施形態では、上で図1に関して説明したスライサ/デマルチプレクサ111は、図3のコンピューティング・デバイス300などのコンピューティング・デバイスを使用して実施される。具体的には、プロセッサ320は、上でスライサ/デマルチプレクサ111に関して説明したさまざまな機能を実行する。この実施形態では、I/O回路網310は、データ・ソース(図示せず)から入力データ・ストリームDを受け取り、N個のサブストリーム(D…DN−1)を変調器112に供給する。
【0035】
一実施形態では、上で図1に関して説明したコンバイナ161は、図3のコンピューティング・デバイス300などのコンピューティング・デバイスを使用して実施される。具体的には、プロセッサ320は、上でコンバイナ161に関して説明したさまざまな機能を実行する。この実施形態では、I/O回路網310は、復調器162から(オプションでバッファ166を介して)復調されたサブストリームD’、D’、およびD’を受け取り、仮想スペクトル・アグリゲータ送信器110によって当初に処理された入力データ・ストリームDを表す出力データ・ストリームD’を供給する。
【0036】
一実施形態では、上で図1に関して説明したオプションの制御モジュール170は、図3のコンピューティング・デバイス300などのコンピューティング・デバイスを使用して実施される。
【0037】
主に特定のタイプおよび配置のコンポーネントを有するものとして図示され、説明されるが、任意の他の適切なタイプおよび/または配置のコンポーネントをコンピューティング・デバイス300に使用できることを了解されたい。コンピューティング・デバイス300を、本明細書で説明されるさまざまな機能を実施するのに適する任意の形で実施することができる。
【0038】
図3に示されたコンピュータ300が、本明細書で説明される機能要素および/または本明細書で説明される機能要素の諸部分を実施するのに適する全般的なアーキテクチャおよび機能性を提供することを了解されたい。図示され本明細書で説明される機能を、ソフトウェアおよび/またはハードウェアで、たとえば、汎用コンピュータ、1つもしく複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、および/または任意の他のハードウェア同等物を使用して、実施することができる。
【0039】
ソフトウェア方法として本明細書で議論されるステップのいくつかを、ハードウェア内で、たとえば、さまざまな方法ステップを実行するためにプロセッサと協力する回路網として実施できることが、企図されている。本明細書で説明される機能/要素の諸部分を、コンピュータ・プログラム製品として実施することができ、ここで、コンピュータ命令は、コンピュータによって処理される時に、本明細書で説明される方法および/または技法が呼び出されるか他の形で提供されるようにコンピュータの動作を適合させる。発明的方法を呼び出す命令を、固定媒体もしくは取り外し可能媒体内に格納し、放送媒体もしくは他の信号担持媒体内のデータ・ストリームを介して伝送し、有形の媒体を介して伝送し、かつ/または命令に従って動作するコンピューティング・デバイス内のメモリ内に格納することができる。
【0040】
図4に、一実施形態による方法の流れ図を示す。具体的には、図4の方法400は、上で図1に関して説明したものなど、伝送のためにデータ・ストリームDを処理するのに適する。
【0041】
ステップ410では、1つまたは複数の顧客からのデータを含むデータ・ストリームを、仮想スペクトル・アグリゲータ送信器110によるなど、受信する。
【0042】
ステップ420では、受信されたデータ・ストリームをN個のサブストリームにスライスし、ここで、各サブストリームは、それぞれのスペクトル断片に関連する。箱425を参照すると、サブストリームへのデータ・ストリームのスライスは、顧客ごと、断片ごと、データ・タイプごとに、固定サイズ、可変サイズ、さまざまなスライス方法の組合せ、および/または他の判断基準のいずれかを、単独でまたは任意の組合せで使用して実行することができる。
【0043】
ステップ430では、サブストリームのそれぞれを、それぞれの変調器を使用して変調する。箱435を参照すると、変調器は、データ・タイプに関して最適化され、チャネル条件に関して最適化されるものとすることができ、共通の特性を共有し、さまざまな/異なる特性を有するなどである。
【0044】
オプションのステップ440では、1つまたは複数の変調されたサブストリームが、同一のトランスポンダまたは伝送チャネルを使用して伝送される場合に、これらの変調されたサブストリームを組み合わせる。
【0045】
ステップ450では、変調されたサブストリームを、アップコンバートし、送信する。箱455を参照すると、アップコンバージョン/送信プロセスを、衛星通信システム、マイクロ波通信システム、無線通信システム/チャネル、または他の媒体の文脈に含まれるものとすることができる。
【0046】
図5に、一実施形態による方法の流れ図を示す。具体的には、図5の方法500は、上で図1に関して説明したものなど、1つまたは複数の受信されたサブストリームを処理するのに適する。
【0047】
ステップ510では、1つまたは複数の変調されたサブストリームを、受信し、ダウンコンバートする。箱515を参照すると、1つまたは複数の変調されたサブストリームを、衛星通信システム、無線通信システム、無線通信システム/チャネル、または他の媒体を介して受信することができる。
【0048】
ステップ520では、送信器で以前に組み合わされたすべてのサブストリームを分離して、個々のサブストリームを提供し、ステップ530では、個々のサブストリームのそれぞれを、それぞれの適当な復調器を使用して復調する。
【0049】
ステップ540では、復調されたサブストリームのうちの1つまたは複数を選択的に遅延させ、その結果、結果の復調されたデータ・ストリームを時間的に整列できるようにする。
【0050】
ステップ550では、仮想スペクトル・アグリゲータ送信器によって当初に処理された入力データ・ストリームDを表すデータ・ストリームD’などの結果のデータ・ストリームを提供するために、復調され選択的に遅延されたサブストリームを組み合わせる。
【0051】
図6に、一実施形態による方法の流れ図を示す。具体的には、図6の方法600は、さまざまな実施形態に従ってさまざまな送信器パラメータおよび受信器パラメータを構成するのに適する。
【0052】
ステップ610では、顧客データの送信に関する要求を受信する。箱615を参照すると、要求は、指定される帯域幅、指定されるデータ・レート、指定されデータ・タイプ、指定される変調タイプ、ならびに/または顧客データ送信要求に関連する帯域幅および/もしくはサービス要件を記述する他の情報を提供することができる。
【0053】
ステップ620では、顧客データ送信要求を満足するのに適するスペクトル割振りに関する判定を行う。
【0054】
ステップ630では、任意の指定されたスペクトル関連判断基準が、顧客データ送信要求を満足するのに適するかどうかに関するオプションの判定を行う。箱635を参照すると、そのようなスペクトル関連判断基準は、最小帯域幅ブロック・サイズ、連続する帯域幅ブロックの要件、および/または他の判断基準を含むことができる。
【0055】
ステップ640では、使用可能なスペクトル断片を識別する。箱645を参照すると、使用可能なスペクトル断片の識別は、割振りテーブル、管理システム、および/またはそのような情報の他のソースに関して行うことができる。一実施形態では、割振りテーブルは、衛星通信システムによってサービスされる各顧客に関連するスペクトル割振りすなわち、各顧客の帯域幅割振り、帯域幅をサポートするトランスポンダ(1つまたは複数)、トランスポンダ(1つまたは複数)をサポートする衛星(1つまたは複数)などを定義する。さらに、使用可能なスペクトル断片は、各衛星の各トランスポンダのサイズおよびスペクトル領域に関して定義される。
【0056】
ステップ650では、使用可能なスペクトル断片を、顧客データ送信要求を満たすために割り振る。箱655を参照すると、使用可能なスペクトル断片を、使用可能として、顧客に関して最適化して、搬送波に関して最適化して、スペクトル断片カウントを減らすために最適化して、弾力性または冗長性を提供するために最適化して、および/または他の判断基準に基づいて最適化して、割り振ることができる。
【0057】
ステップ660では、顧客データ送信要求をサポートし、要求する顧客および/または他の顧客に関するスペクトル断片割振りに対するすべての変更に適合するために、送信器/受信器システムを、正しい個数およびタイプの変調器/復調器を提供するように構成する。すなわち、最適化および/または他の判断基準に基づいて、特定の顧客、サービス・プロバイダ、および類似物を優先して最適化するために複数の顧客のスペクトル断片割振りを変更することが適当である場合がある。
【0058】
ステップ670では、請求データ、サービス契約、および類似物を、適宜更新する。ステップ680では、システム構成、プロビジョニング、および/または他の管理データを更新する。
【0059】
さまざまな実施形態では、異なる衛星トランスポンダおよび/または異なる衛星上で使用可能なスペクトル断片は、仮想連続ブロックを形成するためにアグリゲートされる。他の実施形態では、複数のトランスポンダの帯域幅全体を使用して、衛星リンクを介する高データ・レート・パイプ(たとえば、OC−3/12c)をサポートすることができる。
【0060】
図7〜9に、さまざまな実施形態による通信システムのブロック図を示す。図7〜9に示された通信システム内のさまざまなコンポーネントのそれぞれは、図1の通信システム内の対応するコンポーネントに関して上で説明したものと実質的に同一の形で動作する。たとえば、図7〜9の実施形態のそれぞれで、入力データ・ストリームDは、仮想スペクトル・アグリゲータ送信器110によって受け取られ、そこで、スライサ/デマルチプレクサx11によって処理されて、N個のサブストリーム(D…DN−1)を提供し、ここで、N個のサブストリームのそれぞれは、それぞれの変調器x12によって変調される。さまざまな図の他の相違および類似を、これからより詳細に説明する。
【0061】
図7に、単一のトランスポンダが、ストリームA、B、C、およびDとして表された複数のデータ・ストリームのそれぞれをトランスポートするのに使用される、単一トランスポンダ実施形態を示す。図7Aは、このシステムのアップリンク部分を示し、図7Bは、このシステムのダウンリンク部分を示す。
【0062】
図7Aを参照すると、データ・ストリームA、B、およびCは、それぞれの変調器712によって変調されて、組み合わされた変調された信号ABCを提供するために第1信号コンバイナ713によって組み合わされるそれぞれの変調されたストリームを作る。
【0063】
データ・ストリームDは、スライサ/デマルチプレクサ711によって処理されて、N個のサブストリーム(D…DN−1)を作り、このN個のサブストリーム(D…DN−1)は、それぞれの変調器712(すなわち、変調器712、712、および712)によって変調されて、それぞれのスペクトル断片S、S、およびSによって搬送される対応する変調された信号を提供する。対応する変調された信号は、第2信号コンバイナ713によって組み合わされて、第3信号コンバイナ713によって変調された信号ABCと組み合わされる、組み合わされた変調された信号DDDを提供する。結果の組み合わされた変調された信号は、アップコンバータ714によって変換されて、搬送波信号Cを作り、この搬送波信号Cは、電力増幅器720によって増幅され、衛星アップリンク730を介して衛星740に向かって送信される。
【0064】
図7Bを参照すると、衛星740は、変調されたストリームAからDを含む変調された搬送波信号を衛星ダウンリンク750に送信し、衛星ダウンリンク750は、この信号をダウンコンバータ765に伝搬させる。ダウンコンバートされた信号は、周波数デマルチプレクサ164によって処理され、周波数デマルチプレクサ164は、信号をABC信号成分およびDDD信号成分に分離するように動作する。
【0065】
ABC信号成分は、変調された信号を回復するために第2周波数デマルチプレクサ764によって分離され、変調された信号は、それぞれの復調器762によって復調される。
【0066】
DDD信号成分は、変調された信号を回復するために第3周波数デマルチプレクサ764によって分離され、変調された信号は、それぞれの復調器762によって復調される。
【0067】
復調されたサブストリームD’、D’、およびD’は、入力データ・ストリームDを表す出力データ・ストリームD’を作るために、コンバイナ761によって処理される。復調器762のそれぞれが、それに対応する変調器712と互換の形で動作することに留意されたい。
【0068】
図8に、第1トランスポンダが、ストリームA、B、およびCと表される複数のデータ・ストリームならびにデータ・ストリームDに関連する3つのサブストリームのうちの2つのそれぞれをトランスポートするのに使用され、第2トランスポンダが、EおよびFと表される複数のデータ・ストリームならびにデータ・ストリームDに関連する第3のサブストリームのそれぞれをトランスポートするのに使用される、二重トランスポンダ実施形態を示す。図8Aは、システムのアップリンク部分を示し、図8Bは、システムのダウンリンク部分を示す。
【0069】
図8Aを参照すると、データ・ストリームA、B、C、E、およびFは、それぞれの変調されたストリームを作るために、それぞれの変調器812によって変調される。
【0070】
データ・ストリームEおよびFは、それぞれの変調されたストリームを作るために、それぞれの変調器812によって変調される。
【0071】
データ・ストリームDは、N個のサブストリーム(D…DN−1)を作るためにスライサ/デマルチプレクサ811)によって処理され、サブストリーム(D…DN−1)は、その後、それぞれのスペクトル断片S、S、およびSによって搬送される対応する変調された信号を提供するためにそれぞれの変調器812(すなわち、変調器812、812、および812)によって変調される。
【0072】
データ・ストリームA、B、およびCに関連する変調された信号は、組み合わされた変調された信号ABCを提供するために、第1信号コンバイナ813によって組み合わされる。
【0073】
サブストリームDおよびDに関連する変調された信号は、組み合わされた変調された信号D01を提供するために、第2信号コンバイナ813によって組み合わされる。
【0074】
第1信号コンバイナ813および第2信号コンバイナ813によって作られた組み合わされた変調された信号は、その後、第3信号コンバイナ813によって組み合わされ、第1アップコンバータ814によって変換されて、第1搬送波信号C1を作る。
【0075】
サブストリームDならびにストリームEおよびFに関連する変調された信号は、第4信号コンバイナ813によって組み合わされ、第2アップコンバータ814によって変換されて、第2搬送波信号C2を作る。
【0076】
C1およびC2搬送波信号は、第4信号コンバイナ813によって組み合わされ、電力増幅器820によって増幅され、衛星アップリンク830のそれぞれのトランスポンダ(AおよびB)を介して衛星840に送信される。
【0077】
図8Bを参照すると、衛星840は、それぞれのトランスポンダ(AおよびB)を介して衛星ダウンリンク850に、変調されたストリームAからFを含む2つの変調された搬送波信号を送信し、衛星ダウンリンク850は、この信号をダウンコンバータ864に伝搬させる。ダウンコンバートされた信号は、周波数デマルチプレクサ864によってその2つの搬送波信号に分離される。2つの搬送波信号は、864のさまざまなデマルチプレクサ、862の復調器、およびコンバイナ861を使用して処理されて、入力データ・ストリームAからFを表すさまざまな出力データ・ストリームA’からF’を作る。
【0078】
図9に、ある衛星(940)が、ストリームA、B、およびCと表される複数のデータ・ストリームならびにデータ・ストリームDに関連する3つのサブストリームのうちの2つをトランスポートするのに使用される二重衛星実施形態を示す。第2の衛星(940)は、EおよびFと表される複数のデータ・ストリームならびにデータ・ストリームDに関連する第3のサブストリームをトランスポートするのに使用される。図9Aは、このシステムのアップリンク部分を示し、図9Bは、このシステムのダウンリンク部分を示す。
【0079】
図9Aを参照すると、データ・ストリームA、B、C、E、およびFは、2つの搬送波信号が単一の衛星のそれぞれのトランスポンダを介するトランスポートのために組み合わせるのではないことを除いて、上で図8Aに関して説明したものと実質的に同一の形で処理される。そうではなく、図9は、2つの搬送波信号が、別々の電力増幅器(920および920)によって増幅され、それぞれアップリンク930および930を使用して衛星940および940に送信される。
【0080】
図9Bを参照すると、2つの衛星940は、それぞれのダウンリンク950を介して変調されたストリームAからFを含むそれぞれの変調された搬送波信号を送信し、この信号は、その後、それぞれのダウンコンバータ965に供給される。2つのダウンコンバートされた搬送波信号は、デマルチプレクサ(964)、復調器(962)、およびコンバイナ(961)を使用して処理されて、入力データ・ストリームAからFを表す出力データ・ストリームA’からF’を作る。
【0081】
図10に、本明細書で説明されるさまざまな実施形態での使用に適するスライサ/デマルチプレクサの高水準ブロック図を示す。具体的には、図10のスライサ/デマルチプレクサ1000は、パケット・エンカプスレータ1010、バッファ・メモリ1022を含むマスタ・スケジューラ1020、およびバッファ・メモリ1032を含む複数のスレーブ・スケジューラ1030を含む。
【0082】
パケット・エンカプスレータ1010は、データ・ストリームDから受け取られたパケットを、事前に定義されたフォーマットまたは正規化されたフォーマットを有するパケット構造にカプセル化するように動作する。さまざまなカプセル化するパケット・フォーマットを使用することができるが、システムのダウンリンク側のコンバイナが、システムのアップリンク側のスライサ/デマルチプレクサによって使用されるカプセル化するフォーマットに従ってパケットを組み合わせるように構成されることが重要である。
【0083】
一実施形態では、カプセル化するパケットは、185バイトのペイロード・セクションおよび3バイトのヘッダ・セクションを有する188バイト・パケットを含む。パケット・エンカプスレータ1010は、オリジナル・データ・ストリームDから185バイト部分のシーケンスを抽出し、各抽出された部分をカプセル化して、カプセル化するパケット(EP)を形成する。各カプセル化するパケットのヘッダ部分は、データ・ストリームの185バイト部分のシーケンスをさまざまな図面に関して上で説明したものなどのコンバイナによって再構成できるように、ペイロード・データに関連するユーザ・シーケンス番号を格納する。
【0084】
一実施形態では、ユーザ・シーケンス番号は、連続して増分され、パケット・エンカプスレータ1010によって提供されるカプセル化されたパケットにスタンプするのに使用される、14ビット数を含む。一実施形態では、パケット・エンカプスレータ1010によって提供されるパケットのヘッダ部分は、16進数47(すなわち47h)を格納する1バイト、それに続く2つの0ビット、それに続くユーザ・シーケンス番号に関連する14ビットを含む。
【0085】
トランスポートされるアグリゲート・データ・レートがより高い時には、より大きいシーケンス番号フィールド(たとえば、24ビットまたは32ビット)を使用することができる。シーケンス番号フィールドのサイズは、上でさまざまな図面で説明した受信するコンバイナ要素で行われるバッファリングの量に関係付けられる。バッファのサイズは、最小のサブストリーム帯域幅に対する最大のサブストリーム帯域幅の比に関係付けられる。したがって、さまざまな実施形態は、総アグリゲート帯域幅および/または最小帯域幅サブストリームに対する最大帯域幅サブストリームの比に基づいて、シーケンス番号フィールド・サイズ(および結果のオーバーヘッド)を調整することができる。
【0086】
さまざまな実施形態では、188個より多数またはより少数のバイトを使用して、カプセル化するパケットを構成する。さまざまな実施形態では、3個より多数またはより少数のバイトを使用して、カプセル化するパケットのヘッダを構成する。たとえば、ユーザ・シーケンス番号に追加のヘッダ・ビットを割り振ることによって、より大きいユーザ・シーケンス番号を使用することができる。この場合に、受信器で同一のシーケンスを有する2つのカプセル化するパケットを処理する尤度が下げられる。
【0087】
本明細書で説明される実施形態では、188バイトの固定されたパケット・サイズが、カプセル化するパケットに使用される。しかし、さまざまな代替実施形態では、パケット・サイズが、サブストリームについて使用されるそれぞれの復調器の入力インターフェースと互換である限り、異なる固定サイズのパケットおよび/または異なる可変サイズのパケットを、異なるサブストリームについて使用することができる。
【0088】
マスタ・スケジューラ1020は、カプセル化されたパケットをさまざまなスレーブ・スケジューラ1030にルーティングする。スレーブ・スケジューラ1030は、そのパケットをスライサ/デマルチプレクサのそれぞれの出力ポートにルーティングし、これによって、実例として変調器または他のコンポーネントへそれぞれのサブストリームを供給する。
【0089】
一般的に言うと、各スレーブ・スケジューラ1030は、そのスケジューラに割り当てられたスペクトル断片の帯域幅に従ってパケットを受け入れる。したがって、1MHzスペクトル断片チャネルのために働くスレーブ・スケジューラは、10MHzスペクトル断片または領域のために働くスレーブ・スケジューラの約1/10のデータ・レートでパケットを受け入れる。
【0090】
マスタ・スケジューラ1020は、スレーブ・スケジューラ1030と通信して、どのスレーブ・スケジューラ1030が、次のカプセル化されたパケットを受け取ることができる(またはできなければならない)のかを識別する。オプションで、マスタ・スケジューラ1020は、スレーブ・スケジューラ1030から状況情報および他の管理情報を受け取り、この状況情報の一部は、さまざまな管理エンティティ(図示せず)に伝搬され得る。
【0091】
一実施形態では、スレーブ・スケジューラ1030は、パケットを受け入れる能力を示す制御信号をマスタ・スケジューラ1020に供給する。一実施形態では、マスタ・スケジューラ1020は、ラウンド・ロビンの形でパケットをスレーブ・スケジューラ1030に割り振る。一実施形態では、ある種の伝送チャネルまたはスペクトル領域が、顧客要件および/またはサービス・プロバイダ要件に基づいて好ましい場合に、マスタ・スケジューラ1020によるカプセル化されたパケットの割振りは、好ましい伝送チャネルのために働くスレーブ・スケジューラ1030により多くのカプセル化されたパケットを供給することを優先して重みを付けられる。
【0092】
一実施形態では、スレーブ・スケジューラのそれぞれは、対応するスペクトル断片に関連する事前定義の帯域幅またはチャネル容量の他のインジケータに関連する。この実施形態では、マスタ・スケジューラ1020は、各スレーブ・スケジューラ1030の重み付け割当に従ってパケットをルーティングする。
【0093】
一般的に言って、マスタ・スケジューラは、ランダム・ルーティング・アルゴリズム、ラウンド・ロビン・ルーティング・アルゴリズム、顧客プリファレンス・アルゴリズム、およびサービス・プロバイダ・プリファレンス・アルゴリズムのうちの1つまたは複数に従ってパケットをルーティングする。そのようなルーティングには、各変調器、スペクトル断片、通信チャネル(たとえば、トランスポンダ、マイクロ波リンク、無線チャネルなど)などに重み付け係数を関連付けることによって対処することができる。たとえば、好ましいスペクトル断片は、最小または最大のサイズを有する断片、相対的に誤りの少ないチャネルまたは相対的に誤りの多いチャネルに関連する断片、好ましい通信タイプ(たとえば、衛星、マイクロ波リンク、無線ネットワークなど)に関連する断片、好ましい顧客に関連する断片などを含むことができる。チャネル、通信システム、スペクトル領域などに重みを付ける他の手段を、さまざまな実施形態の文脈において使用することもできる。
【0094】
図11に、一実施形態による方法の流れ図を示す。ステップ1110では、データ・ストリームDからパケットを受け取る。ステップ1120では、受け取られたパケットをカプセル化する。箱1125を参照すると、パケットは、185バイト・ペイロードおよび3バイト・ヘッダのパケットを含むことができる。異なるシーケンス番号フィールド・サイズおよび/または追加の制御情報を有する他のヘッダ・フォーマットを、この実施形態の文脈において使用することができる。
【0095】
ステップ1130では、カプセル化されたパケットを、実例としてマスタ・スケジューラ1020、パケット・エンカプスレータ1010内の別々のバッファ(図示せず)などによってバッファリングする。
【0096】
ステップ1140では、カプセル化されたパケットを、マスタ・スケジューラ1020によってスレーブ・スケジューラ1030に転送する(または転送させる)。
【0097】
本明細書で説明されるさまざまな実施形態では、各カプセル化されたパケットは、それぞれのサブストリームの一部としてそれぞれの変調器に結合される。しかし、高められたデータ弾力性および/またはバックアップを提供するように適合された実施形態では、カプセル化されたパケットを、複数のそれぞれのサブストリームの一部として複数の変調器に結合することができる。これらの実施形態では、カプセル化されたパケットに関連するシーケンス番号は、同一のままになる。
【0098】
これらの実施形態では、受信器は、適当なシーケンス番号を有する最初のカプセル化されたパケット(または誤りのないカプセル化されたパケット)を処理し、同一のシーケンス番号を有する他のパケットを無視する。すなわち、カプセル化されたパケットを受信器で並べ替える時には、最近に順序付けられたカプセル化されたパケットのシーケンス番号と一致するシーケンス番号を有するカプセル化されたパケットは、破棄される。シーケンス番号は、循環的であり、繰り返される(たとえば、14ビット・シーケンス番号の場合に、16384個のカプセル化されたパケットおきに)ので、数千パケット前に処理されたカプセル化するパケットと同一のシーケンス番号を有するカプセル化するパケットは、その以前に処理されたカプセル化するパケットの複製である可能性が低く、したがって、冗長としてドロップされまたは破棄されなければならない。
【0099】
本明細書で説明されるさまざまな実施形態は、顧客帯域幅要件が変化する時にスペクトルを既存のスペクトル割振りに追加しまたはこれから減らすことができるように、スペクトルの互いに素なブロックの動的スペクトル・アグリゲーションを提供する。さらに、小さいまたは孤立したスペクトル・ブロック(すなわち、一般に有用になるには小さすぎるスペクトル・ブロック)を、仮想的に組み合わせて、帯域幅のより大きいブロックを形成することができる。
【0100】
上で説明される実施形態は、どの1つのスペクトル断片の消失であってもサービスの完全な消失を引き起こす可能性が低いので改善されたシステム弾力性を含む複数の利益を提供する。さらに、スペクトル断片が複数のトランスポンダにまたがってマッピングされる時に、どの1つのトランスポンダの消失であっても、サービスの完全な消失をもたらすのではなく、サービスのグレースフル・デグラデーションが提供される。連続スペクトルを使用するより古い/既存の方式は、1つのトランスポンダだけを使用することができ、このトランスポンダが、潜在的な単一故障点になる。
【0101】
<干渉軽減および改善された弾力性>
次の議論において、伝送機構が、4つの搬送波S0…S3を利用すると仮定する(異なる個数の搬送波を使用することができるが)。さらに、搬送波は、任意の信号干渉が潜在的にスライスのサブセットだけ(すべてではなく)に影響するように、周波数領域で分離される(隣接しない)と仮定する。最後に、受信器が信号の状況に関するフィードバックを送信器に提供するために、制御チャネルが使用可能である(帯域内または帯域外のいずれか)と仮定する。これらの仮定は、さまざまな図面に関して本明細書で議論されるさまざまな他の実施形態に帰するものとすることもできる。
【0102】
あるスライスSi(0<=i<=3)が干渉によって影響される時に、受信するサイトは、そのスライスのC/N(搬送波対雑音)の劣化に気付く。受信するサイトは、制御チャネルを使用して、劣化に関して送信側に知らせる。送信器は、FECレートを下げ(たとえば、レート3/4からレート2/3に変更することによってFECをより強くし)て、受信器が追加の雑音と戦うことを可能にする。この方式は、Adaptive Coding and Modulation(ACM)と呼ばれる。
【0103】
本明細書で議論されるさまざまな実施形態を使用して、特定のスライスのみまたはデータ・ストリームの一部のみのFECレートを変更する能力を提供することによって(搬送波全体またはデータ・ストリーム全体のFECレートを変更するという伝統的手法とは異なって)ACMの有効性を強化することができる。この形で、伝統的技法に対して、より高いスループットが、さまざまな実施形態で維持される。
【0104】
本明細書で議論されるさまざまな実施形態は、干渉側(interferer)が、すべての使用可能なFECレートがその効果を軽減するのに強すぎる場合に、受信器が、その搬送波(たとえば、搬送波S2)へのロックを失い、その消失に関して送信器に知らせることをもたらす。送信器は、搬送波S1、S3、およびS4上でデータを再ルーティングする。効果的に、これは、スペクトル・スライスS2を「バイパスし」、より低いスループットにおいてではあるがサービスを維持する。これを、強い干渉側がその搬送波を完全に損ない、サービスの完全な消失を引き起こしたはずの伝統的な単一搬送波方式と比較されたい。
【0105】
本明細書で議論されるさまざまな実施形態は、以前に既知のものとは異なる搬送波配置を提供する。具体的には、信号がお互いに隣接する多数の副搬送波からなる伝統的なOFDMシステムとは異なって、さまざまな実施形態は、分離され、スペクトル的に互いに素な搬送波を提供する。この形で、強い干渉側のフロント・エンド飽和または通過帯域の影響が、さまざまなスライス内で大幅に減衰される。
【0106】
本明細書で議論されるさまざまな実施形態は、干渉と戦うためにスライスをスペクトルの異なる部分に移植しまたは再ルーティングすることを可能にし、スループットのわずかな劣化を伴うサービスの完全な回復をもたらす。
【0107】
本明細書で議論されるさまざまな実施形態は、強い干渉の存在下で、ヒットレス配信(hitless delivery)を可能にする。たとえば、いくつかの実施形態は、S0およびS1などの搬送波のサブセットを、両方同時ではなくS0またはS1のいずれかの損傷がデータの消失をもたららないように、保護グループとして構成する。そのシナリオの下で、S2およびS3は、どの保護グループのメンバにもならずに、独立搬送波として動作し続けることができる。代替案では、S2およびS3を、お互いを保護するために第2の保護グループにグループ化することができる。第3の代替案として、3つ以上の搬送波、たとえばS0…S2が、保護グループを形成することができ、S3は独立のままになる。極端までゆけば、4つすべての搬送波を、広がった干渉と戦うなどのために1つの保護グループの一部とすることなどができる。柔軟性の度合は、膨大であり、構成は、特定のタイプの干渉を最も効率的に扱うために微調整され得る。
【0108】
本明細書で議論されるさまざまな実施形態は、機器障害および/または干渉によって引き起こされるものなど、弾力性をさらに改善するために、動的に搬送波の追加および削除を可能にする。たとえば、システムは、独立に働く(すなわち、保護グループを構成しない)2つの搬送波S0およびS1を使用することができ、第3の搬送波S2は、S1またはS1のいずれかが損なわれる場合に、使用可能なスペクトルの領域にその後に追加され得る。一実施形態では、第3のまたは予備の搬送波(たとえば、S2)を、代用搬送波(substitute carrier)、一時的保護グループの一部、または動的に形成される保護グループの一部として構成することができる。
【0109】
代用搬送波として、予備搬送波(たとえば、S2)を、S0またはS1の「代用」搬送波として働き、したがって、損なわれた搬送波の目的を効果的に引き受けるように構成することができる。
【0110】
一時的保護グループの一部として、予備搬送波(たとえば、S2)を、損なわれた搬送波と連合してまたはこれに関連して一時的保護グループを形成するように構成することができる。たとえば、S1が損なわれる場合に、S1とS2との間の保護グループを形成することができる。S0は、独立のままになる。損傷の原因が、S1を回復することによって対処された時に、S2を除去することができる。
【0111】
動的に形成される保護グループの一部として、予備搬送波(たとえば、S2)を、既存搬送波の中の保護グループの動的形成の一部として構成することができ、この動的形成は、パケット消失および他の損傷を引き起こすのに十分に長いが、上で説明したトラフィックの完全な再ルーティングを義務づけるのに十分には長くない持続時間にわたって複数の搬送波に影響する過渡的干渉と戦うのに有効である。たとえば、S0…S3が、4搬送波送信システムを構成し、S2およびS3が、搬送波ごとのACMと再ルーティングとの両方が効果的には対処できない過渡的干渉を経験すると仮定する。この実施形態では、S2およびS3は、DSS保護グループを構成するために一時的に対にされ、S0およびS1は、独立のままになる。正味の結果は、スループットの一時的減少を伴って干渉を扱う頑健な形である。S2およびS3に影響する損傷の根本原因が対処された後に、S2およびS3を、独立に動作するように再構成することができる。
【0112】
ディスジョイント複製スペクトル拡散(Disjoint Replicated Spread Spectrum、DRSS)
本明細書で説明されるさまざまな技法および実施形態を、無線通信チャネル内の強いラジオ周波数(RF)干渉の存在下でペイロード・データの「ヒットレス」配信を提供するディスジョイント複製スペクトル拡散(DRSS)実施形態を提供するように適合させることができる。たとえば、無線通信の伝統的な技法は、通信チャネルの搬送波対雑音(C/N)比を考慮して、Quasi Error Free(QEF)データを配信するように設計された誤り保護符号レートを有する単一搬送波RF信号の使用を伴う。増やされた干渉の存在下では、誤り保護符号レートは、受信器で信号の劣化の影響を打ち消すのを助けるために、下げられる(より強くされる)。この手法に関する問題は、受信される信号の帯域内であり、QEFしきい値未満のC/N比をもたらす、十分に強い干渉が、符号レートがどれほど強いのかにかかわりなく、データの完全な消失をもたらし得ることである。これは、(他の理由の中でも)LNA、ミキサ、およびアナログ−ディジタル変換器(ADC)を使用するサンプリング回路などのコンポーネントを含む受信器のフロント・エンドRFダウンコンバージョン回路網の完全な飽和に起因する可能性がある。したがって、単一搬送波システムに基づく最良の誤り符号化技法であっても、帯域内の、QEF C/Nしきい値だけ搬送波電力より強い干渉と戦うことはできない。
【0113】
DRSSは、複数のスペクトル的に互いに素な搬送波を利用する。DRSS技法では、オリジナル・ペイロード(P)は、一般的な場合にそれぞれのチャネル条件に適切な異なる物理層方式を用いてそれぞれ符号化され、変調される、N(N>=2)個の搬送波を介して送信される。単純な実施形態では、すべての搬送波は、同一の物理層パラメータを使用して構成されるが、お互いに互いに素な(分離された)スペクトル・ブロック内で送信される。搬送波は、一般に、同一のスペクトル帯域幅を有する必要がない。しかし、各搬送波の情報搬送容量(シンボル・レート、符号レート、コンステレーション・マップ、ロール・オフ、および他の関連する変調パラメータによって決定される)は、要求されるペイロードを搬送するのに十分であることを要求される。
【0114】
送信端では、ペイロード(P)は、まず、上で説明された仮想スペクトル・アグリゲーション(VSA)技法を使用して、前処理され、固定サイズのパケット(p、i=0,1,2,…)のシーケンスに分解される。各パケットpは、VSAプリプロセッサの出力で、N回複製され、各コピーが、N個すべての搬送波を介して送信される。
【0115】
受信端では、受信器は、各搬送波からのデータを復調する。すべての搬送波がよいC/Nを有する時には、受信器は、各パケットpのN個の誤りのないコピーを回復する。N−1個のコピーは、破棄され、1つのコピーが、iごとにパケットpのために保持される。すべての選択されたコピーが、受信端のVSAプロセッサに供給され、このVSAプロセッサで、オリジナル・ペイロードPが、再構成され、上で説明したように、その所期の受信側にもう一度配信される。
【0116】
強い干渉の存在下では、N個の搬送波のサブセットが、データの完全な消失を経験する場合がある。しかし、少なくとも1つの搬送波が、任意の所与の時にそのQEFしきい値を超えるC/Nを有する限り、受信器は、各パケットpの少なくとも1つのよいコピー(送信されたN個のコピーのうちの)へのアクセスを有する。これは、受信器のVSAプロセッサが、ペイロードを誤りなしで再構成することを可能にする。
【0117】
上の方式では、複数のスペクトル的に互いに素の搬送波は、干渉する信号がたまたは極端に広帯域である場合を除いて、同一の干渉する信号によって同時に影響される可能性がより低い。強い干渉は、N−1個までの搬送波におけるデータの完全な消失をもたらす可能性があるが、パケットpごとに、そのパケットを誤りなしで配信することができる少なくとも1つの搬送波がある限り、所望のペイロードの完全な回復が、それでも可能である。スペクトル領域ですばやく移動する干渉について、これは、パケットpを配信した搬送波がその後に干渉を経験する可能性があり、パケットpi+1を配信する最も適切な搬送波であることができなくなる可能性に起因して、連続するパケットが異なる搬送波から導出されることを暗示する可能性がある。
【0118】
図1〜11に関して説明されたVSA技法の使用およびそれに関連する説明は、複数の互いに素なスペクトル・スライスのアグリゲーションを可能にする。DRSSが、スペクトル・アグリゲーションに関連して使用される時に、強力な新しい能力が、使用可能にされる。たとえば、DRSSの選択的使用は、スペクトルのうちで干渉を受ける傾向がある可能性がある部分(免許不要帯域など)への搬送波のマッピングを可能にする。言い替えると、DRSSの使用は、サービス・プロバイダが、それでも高い度合の弾力性を伴って一貫したペイロードを配信しながら、アグリゲートされる搬送波のセット全体またはサブセットのいずれかを潜在的に雑音の多い帯域へマッピングすることによって、雑音の多い帯域または免許不要帯域を使用し始めることを可能にする。
【0119】
図12に、さまざまな実施形態から利益を得るシステムの高水準ブロック図を示す。具体的には、図12は、実例として、スペクトル・スライスS2およびS3を介して通信される冗長ペイロードを含む4つのスペクトル・スライスS1〜S4をアグリゲートするのに上で説明されたVSA技法を使用するシステム1200の高水準ブロック図である。例示的なシステム1200は、搬送波S0、S1、S2、およびS3を使用してペイロードPをトランスポートする、ハイブリッドVSA/DRSSシステムである。例示的なシステム1200は、衛星通信リンク1260を利用するものとして図示されているが、他のタイプおよび追加のタイプの通信リンクを使用することができる。
【0120】
システム1200は、一般に、VSAプリプロセッサ、変調器/送信器、通信リンク、復調器/受信器、およびVSAポストプロセッサを企図するものである。
【0121】
VSAプリプロセッサ1210は、本明細書で議論される、さまざまなスライサ機能1212、パリティ符号機能1214、制御ヘッダ挿入機能1216、およびスケジューラ機能1218を実行する。VSAプリプロセッサ1210は、入力信号またはストリーム・ペイロードPを、実例としてP’からP’と表される4つのストリーム部分またはセグメントに処理しまたはスライスするように適合される。前に注記したように、4つのストリーム部分またはセグメントのそれぞれは、通信リンクを介して送信されるなど、搬送波信号のそれぞれのスペクトル・スライスに従う形で変調される。
【0122】
変調器/送信器は、実例として、変調された信号SからSを作るためにペイロード・ストリーム部分またはセグメントをP’からP’としてそれぞれ変調するように適合された4つの変調器1220−1から1220−4を含み、変調された信号は、単一のコンバイナ/マルチプレクサ1230によって組み合わされる。結果の組み合わされた信号は、実例として通信リンク1260を介する送信に適する信号を提供するために、アップコンバータ1240および増幅器1250によって処理される。
【0123】
通信リンク1260は、衛星1260−Sを介して受信器1260−Rに送信信号を送信する送信器1260−Tを含む衛星通信リンクとして図示されている。
【0124】
変調器/受信器は、実例として、受信された衛星信号から変調された信号SからSを抽出する信号セパレータ/デマルチプレクサ1270と、変調された信号SからSを復調し、これからペイロード・ストリーム部分またはセグメントP’からP’を取り出すように適合された4つの復調器1280−1から1280−4とを含む。
【0125】
VSAポストプロセッサ1290は、本明細書で議論される、バッファ管理機能1291、バッファ機能1292、無パケット検出機能1293、パリティ符号プロセッサ機能1294、再同期およびアライメント機能1295、制御ヘッダ除去機能1296、およびコンバイナ機能1297を実行する。VSAポストプロセッサ1290は、実例として、入力信号またはストリーム・ペイロードPを再組立するためにP’からP’と表される4つのストリーム部分またはセグメントを処理するように適合される。
【0126】
さまざまな実施形態では、独立搬送波であるスペクトル・スライスS0およびS1は、DRSSを使用しない。これらの搬送波は、強い干渉が通常は問題ではなく、標準的な符号レート(たとえば、リード・ソロモンまたはBCHなどのブロック符号と一緒のLDPC 3/4、5/6、および類似物など)が各搬送波に十分である、「クリーンな」スペクトルにマッピングされると仮定される。
【0127】
さまざまな実施形態では、スペクトル・スライスS2およびS3は、DRSSを使用する。言い替えると、S2で搬送されるペイロードは、搬送波S3上で複製され、これを介して送信される。S2とS3との両方が、標準的な符号化技法(たとえば、BCHまたはリード・ソロモンなどのブロック符号と一緒のLDPC 3/4、5/6、その他など)を使用する。この例は、搬送波S2およびS3が、S2またはS3のいずれかでのデータ消失を引き起こすことができる強い干渉側(たとえば、悪意のあるまたは意図的ではない)を有する可能性があるスペクトルにマッピングされると仮定する。S2とS3との間のスペクトル・ギャップを保証することによって、干渉がS2およびS3に同時に影響する確率が、最小にされる。したがって、S2とS3との両方がしきい値を超える干渉によって影響されない限り、アグリゲートされた信号を回復することができる。
【0128】
さまざまな実施形態では、このシステムは、S0、S1、およびS2のアグリゲート容量が、ペイロードPをトランスポートするのに十分になるように構成される。類似する仮定が、S0、S1、およびS3のアグリゲート容量に関して行われる。
【0129】
ペイロードPは、小さい固定サイズ・パケットにスライスされ、制御ヘッダが、上で説明したVSA技法に従って各パケットの始めに挿入される。追加のパリティ符号が、受信器がヘッダ完全性に関してチェックすることを可能にするために、付加される。3つの別々のスケジューラ(S0およびS1のためのそれぞれの1つと、S2およびS3の組み合わされたセットのための1つ)が、パケットをP’、P’、およびP20’と表される3つの別々のストリームに割り振るのに使用される。P21’は、P20’の複製である。スケジューラは、各搬送波に割り振られるデータの量が、その情報担持容量を超えないことを保証する。
【0130】
さまざまな実施形態では、P’、P’、P20’、およびP21’は、搬送波S0、S1、S2、およびS3を生成するために、別々の変調器(それぞれ、変調器0、変調器1、変調器2、および変調器3)に供給される。さまざまな他の実施形態では、コンポジット変調器が使用される。
【0131】
4つの搬送波は、標準的なRFコンバイナを使用して組み合わされ、所望の周波数帯にアップコンバートされ、電力増幅器(PA)を使用して増幅され、その後、アンテナを使用して放射される。ベントパイプ衛星(bent−pipe satellite)が、この信号を潜在的に複数の受信サイトに送信する。
【0132】
受信器側では、4つの搬送波が、4つの別々の復調器によって復調される。復調器からのパケットは、別々のバッファ(復調器ごとに1つ)内でキューイングされる。これが必要であるのは、4つの搬送波の伝搬遅延が非常に異なる可能性があり、経時的に変化する可能性があるからである。ナル・パケット(たとえば、物理層標準規格としてDVB−SまたはDVB−S2を使用する場合に変調器によって導入される)は、除去され、パリティ符号は、4つのパケット・ストリームの正しい処理に致命的な制御ヘッダ情報を検出し、訂正するために、検査される。不正なパリティ符号を有するパケットは、ドロップされる。再同期化およびアライメント・ブロックは、すべての使用可能なストリームからのパケットが、正しくシーケンス化され、搬送波S2またはS3を介して受信された重複するパケット(たとえば、両方の信号がよいC/Nを有する時に発生するはずである)がドロップされることを保証する。制御ヘッダは、はぎ取られ、パケットのペイロード・セクションは、最終的なペイロードPを生成するためにマージされる。
【0133】
S2およびS3での干渉は、特定の受信サイトに局所化される可能性があり、あるいは、送信側に存在する場合には、すべての受信サイトで信号に影響するはずである。局所化された干渉の場合に、ある種のサイトは、たとえばS2での、データの部分的消失または完全な消失を経験する可能性がある。これらの場合に、S3を介して受信されるパケットが、選択される。他の受信器サイトでは、S3が損なわれる可能性があり、その場合には、S2を介して受信されたパケットが選択される。干渉が、S2およびS3に交互に影響する可能性があるスイーパ(sweeper)タイプである場合には、受信器は、パケットごとのこの2つの搬送波の間の切替えに頼ることができる。
【0134】
システム1200は、ベントパイプ衛星通信リンク1260を使用するものとして図示されている。しかし、さまざまな他の実施形態では、ポイントツーマルチポイント地上ブロードキャスト・システムまたはセルラ・バックホール用のポイントツーポイント・マイクロ波システムなどの他のタイプの無線ネットワークを使用することができる。より一般的に、このシステムを、無線チャネルを介して任意のデータ・ペイロードのトランスポート(同期式であれパケット化されたものであれ)に効果的に適用することができる。
【0135】
さらに他の実施形態では、変調された信号のうちの1つまたは複数が、光ネットワーク、IPネットワーク、または他の有線ネットワークなどの代替ネットワーク1265を介して伝えられる。
【0136】
諸実施形態のさまざまな利益は、大幅により高いスペクトル使用効率ならびに他の形で使用するには小さすぎる孤立したスペクトル断片を使用する能力を含む。さまざまな実施形態は、衛星応用例、ベントパイプ・サットコム応用で使用されるものなどのポイントツーポイント無線リンク、マイクロ波塔を使用して提供されるものなどの無線バックホール・インフラストラクチャなどに適用可能である。
【0137】
さまざまな実施形態は、帯域幅を、既に使用中の帯域幅ブロックに帯域幅の追加ブロックを「付加する」ことによって割り当てることができ、これによって、サービス・プロバイダおよび消費者のための「Pay−as−You−Grow」ビジネス・モデルを容易にする機構を提供する。
【0138】
さまざまな実施形態では、衛星システム内の単一のトランスポンダが、複数の変調されたサブストリームを含む搬送波信号を伝搬させるのに使用され、各変調されたサブストリームは、そのそれぞれのスペクトル断片領域を占める。他の実施形態では、複数の搬送波信号が、それぞれのトランスポンダを介して伝搬される。
【0139】
さまざまな実施形態では、マイクロ波通信システム内の単一のマイクロ波リンクが、複数の変調されたサブストリームを含む搬送波信号を伝搬させるのに使用され、各変調されたサブストリームは、そのそれぞれのスペクトル断片領域を占める。他の実施形態では、複数の搬送波信号が、それぞれのマイクロ波リンクを介して伝搬される。
【0140】
さまざまな実施形態では、無線通信システム内の単一の無線チャネルが、複数の変調されたサブストリームを含む搬送波信号を伝搬させるのに使用され、各変調されたサブストリームは、そのそれぞれのスペクトル断片領域を占める。他の実施形態では、複数の搬送波信号が、それぞれの無線チャネルを介して伝搬される。
【0141】
<保護グループを使用する効率的なフェールオーバ・サポート>
ストリームを複数のストリーム・セグメントにセグメント化し、これらのストリーム・セグメントをそれぞれのスペクトル部分を介して送信することによって、悪意のあるスイーパ、漏れのある機器、および類似物などからの干渉側に対する弾力性を改善することができる。
【0142】
さまざまな実施形態は、さらに、ストリーム・セグメントを複製し、複製されたストリーム・セグメントを異なるスペクトル領域を介し、オプションで異なる変調技法を使用して変調/送信することによって、弾力性を改善する。いくつかの実施形態では、オリジナルのまたは複製されたストリーム・セグメントを、上で議論したように、有線通信リンクによって伝えることができる。
【0143】
さまざまな実施形態は、さらに、第1スペクトル領域内のチャネル損傷がしきいレベルを超えることに応答して、第1スペクトル領域内で変調/送信されるストリーム・セグメントがバックアップ・スペクトル領域内で変調/送信される、セグメントレベルの保護グループを提供することによって、弾力性を改善する。さまざまな実施形態では、バックアップ・スペクトル領域は、より低い優先順位のデータ・ストリーム・セグメントに関連するスペクトル領域を含む。さまざまな実施形態では、優先順位は、データのタイプ、顧客、サービス・レベル契約(SLA)プロファイル、および/または他の判断基準に従って割り当てられる。
【0144】
さまざまな実施形態では、アクティブ・スペクトルのブロックおよび未使用のままになるバックアップ・スペクトルの別の等しい大きさのブロックを割り振るのではなく、スペクトルの複数のより小さいブロックが利用される。スペクトル・ブロックを、同一の衛星または異なる衛星(または他の無線通信機構)に、同一のトランスポンダまたは異なるトランスポンダに、その他に割り振ることができる。例示のために、より小さいスペクトル・ブロックのそれぞれの帯域幅容量が、同一であると仮定するが、これは、さまざまな実施形態の要件ではない。バックアップ・スペクトル・ブロックまたはバックアップ・スペクトル領域の文脈において、バックアップ・スペクトル・ブロックまたはバックアップ・スペクトル領域は、少なくとも、最大のスペクトル・ブロックまたは最大のスペクトル領域と同じ大きさでなければならない。スペクトル・ブロックまたはスペクトル領域が、類似するサイズを有する場合に、バックアップ・スペクトル・ブロックまたはバックアップ・スペクトル領域も、類似するサイズを有する。
【0145】
さまざまな実施形態では、チャネル状況フィードバックなどの情報が、送信器で受信される。図12を参照すると、オプションの状況フィードバック(SF)が、代替ネットワーク1265または任意の他の機構を介して受信される可能性がある。たとえば、通常の衛星システムでは、送信品質、誤り率、バッファ・バック・プレッシャ、受信器状況などを示す情報を送信器に伝えるのに受信器によって使用されるバック・チャネルが存在する。本明細書で議論されるさまざまな実施形態では、フィードバックまたは状況情報を受信器から送信器に供給する既知の技法のいずれをも使用することができる。
【0146】
図13に、一実施形態による流れ図を示す。具体的には、図13は、さまざまな実施形態による、オプションの優先順位付けを伴う機能強化されたチャネル弾力性を提供する機構の流れ図を示す。図13に関して本明細書で議論される方法論を、上で議論されたものなどの1つまたは複数のVSA送信器で提供することができる。
【0147】
ステップ1310では、1つまたは複数のデータ・ストリームを1つまたは複数の顧客から受信する。箱1315を参照すると、1つまたは複数のデータ・ストリームを、衛星リンク、マイクロ波リンク、無線チャネル、有線チャネル、および/または他の手段を介して受信することができる。
【0148】
ステップ1320では、データ・ストリームのそれぞれを、複数のストリーム・セグメントおよび/またはサブストリームにスライスし、ストリーム・セグメントおよび/またはサブストリームのそれぞれは、さまざまな実施形態に関して上で議論したようにそれぞれのスペクトル断片に関連する。箱1325を参照すると、ストリーム・セグメントおよび/またはサブストリームを、顧客、固定サイズまたは可変サイズの使用可能なスペクトル断片、データ・タイプ、信号タイプ、および/または他のパラメータに従って定義することができる。
【0149】
ステップ1330では、さまざまな変調パラメータ、帯域幅割振り、優先順位レベル、および/または他のパラメータを、ストリーム・セグメントおよび/またはサブストリームならびにそのそれぞれのスペクトル断片について選択する。さまざまなストリーム・セグメントおよび/またはサブストリームを、それに従って変調し、そのそれぞれのスペクトル断片内で送信する。
【0150】
ステップ1340では、スペクトル断片に関連するさまざまなチャネルを監視して、チャネル干渉、チャネル損傷、および類似物など、最適以下のチャネル挙動を識別する。箱1345を参照すると、そのような監視は、所定のインターバルで、各関連する加入者イベントの後に、所定の個数の加入者イベントの後に、またはある他のスケジュールに従って、行うことができる。たとえば、さまざまな実施形態では、順方向誤り訂正(FEC)パラメータを適合させることによって訂正可能な1つまたは複数のレベル、FEC訂正能力を超えるレベル、チャネル障害を示すレベル、その他など、1つまたは複数のしきい値レベルを超えてチャネルが損なわれる時に受信器がそれぞれの送信器に情報を伝えるのみである、割込み駆動の監視が提供される。
【0151】
ステップ1350では、最適以下のチャネルを、チャネル性能および/またはチャネル・データの優先順位レベルに従って処理する。箱1355を参照すると、順方向誤り訂正(FEC)および/またはチャネルに関連する他のパラメータを適合させることができる。そのような適合は、インターフェースしきい値、1つまたは複数の損傷しきい値、その他のうちの1つまたは複数など、さまざまなしきい値に基づくことができる。優先順位レベル処理(チャネルが効果的に機能しつつあるのではない場合など)の文脈において、チャネルに関連するストリーム・セグメントおよび/またはサブストリームを、変調し、バックアップ・チャネル(1つまたは複数)またはより低い優先順位のデータに関連するチャネル(1つまたは複数)を介して送信することができる。したがって、スケジューラは、より低い優先順位のセグメントおよび/またはサブストリームより優先的に優先順位セグメントおよび/またはサブストリームに対処するためにさまざまなスケジュールを適合させることができる。
【0152】
ステップ1360では、セグメントおよび/またはサブストリームを、オプションで、それらが複数の通信チャネルを介してトランスポートされるように複数のスペクトル断片にわたってアグリゲートする。さらに、複数の通信チャネルを、異なる通信ネットワークまたはリンクを介してサポートすることができる。箱1365を参照すると、さまざまなリンクは、衛星リンクまたはマイクロ波リンクなどのポイントツーポイント・リンク、さまざまな無線チャネル、有線チャネル、および/または他の機構によって提供されるものなどのポイントツーマルチポイント・リンクのうちの1つまたは複数を含む。
【0153】
上で説明したステップは、チャネル品質劣化または障害に応答して、データの優先順位に基づいてFECおよび/または他のパラメータならびにチャネル割振りを適合させるためのチャネルの個々の処理の一方または両方を企図するものである。これらのステップは、サービス・レベル契約(SLA)、プロファイル・データ、デフォルト・キャリア・プリファレンス、および/または他の判断基準に応答して、実質的に自動的な形で実施される。一般的に言うと、このシステムは、優先されるデータチャネルができる限り効率的に使用されることを保証するために、実質的に自動化された形で動作する。異なるデータ・ストリームを、異なる優先順位レベルに関連付けることができる。異なる顧客を異なる優先順位レベルに関連付けることができる。
【0154】
さまざまな実施形態は、1つまたは複数の障害を発生したスペクトル・ブロックをバイパスするために、使用可能なスペクトル・ブロックを介するVSA送信器によるデータの自動的な再ルーティングを提供するように動作する。さまざまな実施形態は、負荷平衡化機能を提供しまたは使用可能なスペクトル・ブロックをできる限り効率的に利用するために、VSA送信器によるデータの自動的な再ルーティングを提供するように動作する。
【0155】
前に議論したように、さまざまな優先順位付け技法を使用して、低優先順位トラフィックが、より高い優先順位のトラフィックまたは日和見主義的に挿入されるデータのために働くことから残された予備帯域を使用して配信されるのと同時に、高優先順位トラフィックが配信を保証されることを保証することができる。
【0156】
さまざまな実施形態は、さまざまなトラフィック・クラスへの割振りにウェイテッド・フェア・キューイング(WFQ)スケジューラを使用することによるなど、複数の優先順位付けレベルをサポートする。
【0157】
さまざまな実施形態は、スペクトル・アグリゲーションを使用する干渉軽減を提供する。すなわち、干渉側(性質においてCWであれ複雑であれ)が特定のチャネルを劣化させる時に、その特定のチャネルのFECレートだけが、この劣化について補償するために適合される。干渉側が、よりよいFEC符号レートだけを用いて克服するには強すぎる(または、適合されたFEC符号レートが許容できないほど低いレベルまでスループットを下落させる可能性があるほどに強い)場合には、チャネルを、異なるスペクトル断片に再割振りしなければならない。具体的には、さまざまな実施形態は、干渉軽減スライスごとのFECレート調整(各スライスのFECレートは、各スライスに固有の干渉の度合に依存して調整される)およびスペクトル・スライス再割振り(特定のスライス内の干渉が強すぎ、より高いFECレートを用いて軽減することができない場合には、スライスのセット全体ではなくそのスライスが、他のスライスに全く影響せずにトランスポンダの別の領域または別のトランスポンダに再配置される)を提供する。
【0158】
さまざまな実施形態は、データ・ストリームに関連するデータ・セグメントの一部またはすべての暗号化を介して改善されたセキュリティを提供するように適合される。すなわち、さまざまな実施形態では、チャネル変調回路網は、暗号化機能性を含むように適合され、チャネル復調回路網は、暗号化解除機能性を含むように適合される。そのような暗号化/暗号化解除機能性は、大きい暗号化鍵の使用、頻繁に変更される暗号鍵、またはそのある組合せに基づくものとすることができる。AESなどの技法を、さまざまな実施形態の文脈において利用することもできる。本明細書で説明されるVSA技法の使用は、暗号化を用いなくともセキュリティの追加の層を提供する。暗号化を用いると、セキュリティは、極端に頑健になる。
【0159】
一実施形態では、各データ・セグメントおよび/またはチャネルは、共通の暗号化鍵または暗号化技法を用いて暗号化される。他の実施形態では、各データ・セグメントおよび/またはチャネルは、それぞれの暗号化鍵または暗号化技法を用いて暗号化される。
【0160】
さまざまな実施形態は、データ・ストリームを複数のサブストリームに分割することと、それぞれのスペクトル断片またはブロックを介する送信に適合されたそれぞれの変調された信号を提供するために各サブストリームを変調することと、劣化したチャネルを識別するためにスペクトル断片のそれぞれのチャネル性能を示すデータを監視することと、劣化したチャネルごとに、それぞれの識別されたチャネル劣化について補償するために1つまたは複数のそれぞれの変調パラメータを適合させることとなど、本明細書で議論されるさまざまなステップおよび機能を実行するように動作可能なシステム、方法、装置、コンピューティング・デバイス、および類似物を企図するものである。
【0161】
さまざまな実施形態では、1つまたは複数の変調パラメータは、劣化のしきいレベルまで、識別されたチャネル劣化について補償するために適合される。FECレートおよび/または他のパラメータを調整して、これを達成することができる。スペクトル・ギャップを、さまざまなスペクトル断片またはブロックの間で維持することができる。
【0162】
識別されたチャネルの劣化がしきいレベルを超える(たとえば、訂正するには多すぎる誤り、訂正し、十分な帯域幅を有するには多すぎる誤りなど)か、チャネルが単純に傷害を発生している場合には、さまざまな実施形態は、識別された劣化したチャネルに関連する変調された信号による使用のためにバックアップ・スペクトル断片を選択するように動作する。サブストリームは、新たに選択されたスペクトル断片またはブロックについて、再変調されまたは異なる形で変調される必要がある場合がある。データ・ストリームおよび/またはサブストリームの間の優先順位付けを、制限された個数のスペクトル断片またはブロックの場合に提供することができる。
【0163】
さまざまな実施形態は、それぞれの組み合わされたサブストリームを形成するために複数の変調されたサブストリームを組み合わせることによる(組み合わされたサブストリームのそれぞれは、組み合わされたサブストリームの総有効データ・レートと互換の帯域幅を有するスペクトル断片を介する送信のために適合された変調された信号に変調される)など、スペクトル断片またはブロックのうちの少なくともいくつかの中の組み合わされたまたは複数のサブストリームを企図するものである。
【0164】
さまざまな実施形態は、通信システム内でそれぞれのチャネルを介して搬送波信号を送信することを企図するものである。たとえば、1つまたは複数の搬送波信号のそれぞれを、衛星通信システム内のそれぞれのトランスポンダ、マイクロ波通信システム内のそれぞれのマイクロ波リンク、および/または無線通信システム内のそれぞれの無線チャネルによってサポートすることができる。
【0165】
さまざまな実施形態は、データ・ストリームのシーケンシャル部分をそれぞれのカプセル化するパケットのペイロード部分にカプセル化することであって、データ・ストリームのシーケンシャル部分のそれぞれは、それぞれのカプセル化するパケットのヘッダ部分内に含まれるそれぞれのシーケンス番号に関連付けられる、カプセル化することと、各カプセル化するパケットをそれぞれのサブストリーム内に含めることとによって、データ・ストリームを複数のサブストリームに分割することを企図するものである。代替案では、各カプセル化するパケットを、サブストリームのうちの1つまたは複数に含めることができる。シーケンス番号を、少なくとも14ビットを有するフィールドによって表すことができる。カプセル化するパケット・ヘッダは、第1バイトに16進数47を含むことができる。
【0166】
さまざまな実施形態は、それぞれのスペクトル断片を介して変調されたサブストリームのそれぞれを受信し、変調されたサブストリームのそれぞれを復調し、データ・ストリームを回復するために複数の復調されたサブストリームを組み合わせる受信器を企図するものである。データ・ストリームを回復するために復調されたサブストリームを組み合わせることは、そのそれぞれのシーケンス番号に従って1つまたは複数のサブストリームを介して受信されたカプセル化するパケットを順序付けることと、これによってデータ・ストリームを回復するために順序付けられたカプセル化するパケットからデータ・ストリームのシーケンシャル部分を抽出することとを介して提供することができる。最近受信されたカプセル化するパケットのシーケンス番号と一致するシーケンスア番号を有するカプセル化するパケットの破棄をも提供することができる。
【0167】
<暗号化および保護された通信>
上で説明される仮想スペクトル・アグリゲーション(VSA)技法の使用は、それぞれを潜在的に周波数領域で散在させることのできる複数の搬送波を介してペイロードを送信することを可能にする。各搬送波を、異なる鍵を用いて暗号化することができ、各搬送波に関連する帯域幅を、構成搬送波のアグリゲート帯域幅がペイロードのトランスポートに必要な所望の帯域幅と等しくなるように、ランダムに割り当てることもできる。
【0168】
さまざまな実施形態は、別々の暗号化鍵を用いて暗号化され、帯域幅をランダムに割り当てられ、周波数領域で散在された複数の搬送波の使用が、盗聴者に関して問題を大幅により複雑にすることを企図するものである。鍵を、受信器が送信器と同期化されたままであるのに必要な最小のオーバーヘッドのみを伴って、スペクトル・スライスごとに継続的に変更することができる。これらの実施形態は、全体的なセキュリティ強度を数桁高める。通信チャネルのセキュリティは、(N power M)の倍率で高められ、ここで、Nは、送信器および受信器によって維持されるルックアップ・テーブル内の鍵の個数であり、Mは、仮想アグリゲーションに使用されるスペクトル・スライスの個数である。たとえば、4つの搬送波および1搬送波あたり128個の鍵の使用は、128すなわち約2億6800万の倍率だけ計算の複雑さを増やす。
【0169】
さまざまな実施形態は、累積帯域幅が構成ブロックの帯域幅の合計とほぼ等しくなるように、無線スペクトルの複数の断片化されたブロックを1つの連続する仮想ブロックにアグリゲートする、効率的で汎用の技法を提供する。さまざまな実施形態は、断片化されたブロックまたはスペクトル・スライスが、高められたセキュリティのために動的に連続的に再配置されることを提供する。
【0170】
さまざまな実施形態は、複数のサブストリームのそれぞれが、セッションごとに異なる暗号化鍵を使用して暗号化されることを提供する。一実施形態では、暗号化鍵は、さまざまなスペクトル断片と一緒に周期的に再配置される。他の実施形態では、暗号化鍵またはさまざまなスペクトル断片のいずれかが再配置される。
【0171】
一般的に言うと、上でさまざまな図面に関して議論された各トランスポンダ/送信チャネルを、複数のスペクトル断片または領域に分割することができる。これらのスペクトル断片または領域のそれぞれを、特定のデータ・サブストリームに割り当てることができる。データ・サブストリームのそれぞれを、独自のまたは共通の変調技法に従って変調することができる。さまざまな実施形態では、1つまたは複数の衛星内の複数のトランスポンダを使用することができる。これらの実施形態では、ある衛星内の共通のトランスポンダを介して送信される変調された信号だけが、組み合わされ、その後、一緒に変換される。さまざまな実施形態では、第1トランスポンダが、データ・ストリームDに関連する複数のデータ・ストリームの第1部分をトランスポートするのに使用され、第2トランスポンダが、データ・ストリームDに関連する複数のデータ・ストリームの第2部分をトランスポートするのに使用される、二重トランスポンダ配置(たとえば、システムのアップリンク部分およびシステムのダウンリンク部分)が提供される。本明細書では二重トランスポンダ実施形態として説明されるが、例示的通信システムが、任意の適切な個数および/または組合せのアップリンク/ダウンリンク・トランスポンダを含むことができることを了解されたい。
【0172】
もう1つの配置では、二重トランスポンダ配置の一方のトランスポンダは、VSA受信器を構成するために、変化するパラメータ、たとえばアグリゲート帯域幅を通信するための別々の帯域外セキュア・チャネルとして使用される。さまざまな実施形態では、変調された波形は、独立に送信される。
【0173】
さまざまな実施形態では、上でさまざまな図面に関して説明されたものなどのスライサ/デマルチプレクサは、暗号化機能をさらに含むように変更される。さまざまな実施形態では、上でさまざまな図面に関して説明されたものなどの変調器は、暗号化機能をさらに含むように変更される。これらの実施形態のいずれにおいても、さまざまな機能を、図3のコンピューティング・デバイス300などのコンピューティング・デバイスを使用して実施することができ、ここで、メモリおよび入出力回路網と協力するプロセッサは、本明細書で説明されるさまざまな機能を実施するように適合されたソフトウェアを実行する。
【0174】
さまざまな実施形態で、上でさまざまな実施形態に関して説明されたものなどのスライサ/デマルチプレクサ、VSAプリプロセッサ、および/または復調器機能は、暗号化機能をさらに含むように変更される。これらの実施形態のいずれにおいても、さまざまな機能を、図3のコンピューティング・デバイスなどのコンピューティング・デバイスを使用して実施することができ、ここで、メモリおよび入出力回路網と協力するプロセッサは、本明細書で説明されるさまざまな機能を実施するように適合されたソフトウェアを実行する。
【0175】
さまざまな実施形態で、上でさまざまな実施形態に関して説明されたものなどの復調器、コンバイナ、および/またはVSAポストプロセッサ機能は、暗号化解除機能をさらに含むように変更される。これらの実施形態のいずれにおいても、さまざまな機能を、図3のコンピューティング・デバイスなどのコンピューティング・デバイスを使用して実施することができ、ここで、メモリおよび入出力回路網と協力するプロセッサは、本明細書で説明されるさまざまな機能を実施するように適合されたソフトウェアを実行する。
【0176】
図14A〜14Bに、さまざまな実施形態を理解するのに有用なスペクトル割振りのグラフ図を示す。具体的には、図14Aは、4つの搬送波、実例として第1の3MHzブロック1405、第2の3MHzブロック1410、第3の2MHzブロック1415、および4MHzブロック1420を含む4つの不連続スペクトル・ブロックにスライスされる12MHz搬送波を絵図的に示す。各スペクトル・スライスを、異なる鍵を用いて暗号化することができる。追加のセキュリティは、次の特徴によって得られる。すなわち、(1)通信セッションの始めに、各スライスは、総合計が所望のアグリゲート帯域幅と等しくなるようにランダムに選択されたスペクトル帯域を割り当てられる。潜在的な盗聴者は、オリジナル信号を再構成するために、各スライスのスペクトル帯域幅の知識を獲得するという追加の重荷に直面するはずである。および(2)N個のスライスの使用は、盗聴するタスクをはるかにより計算集中型にする。たとえば、Nが、N個のスライスについて使用される鍵のセットと一緒に、セッションごとに変更される場合に、セキュリティのレベルは、大幅に高められる。
【0177】
図14Bに、4つのアクティブ・スペクトル・スライスおよび1つの未使用スペクトル・ブロックの使用の経時的な例の進行を絵図的に示す。実例として、時刻T0に、第1の3MHzブロック1425(鍵=K1)、第2の3MHzブロック1426(鍵=K2)、第3の3MHzブロック1427(鍵=K3)、第4の未使用の3MHzブロック1428(鍵=未使用)、および3MHzブロック1429(鍵=K4)を含む5つの不連続スペクトル・ブロックがある。時刻T1には、ブロック1426の搬送波がブロック1428に再配置され、ブロック1426を未使用にする。時刻T2には、ブロック1427の搬送波がブロック1426に再配置され、ブロック1427を未使用にする。時刻T2に、ブロック1425の搬送波によって使用される鍵が、K1からK1’に変更されることに留意されたい。鍵変更は、タイム・スロットT3およびT4にも行われ、ここで、ある搬送波によるスライス遷移に、同一のまたは別の搬送波での鍵変更が付随する。時刻T3には、ブロック1429の搬送波がブロック1427に再配置され、ブロック1429を未使用にする。ブロック1427の搬送波の鍵3は、K4’に置換される。時刻T4には、ブロック1425の搬送波がブロック1429に再配置され、ブロック1425を未使用にする。搬送波1429の鍵4は、鍵K1’に置換され、搬送波1426の鍵3は、K3’に置換される。
【0178】
本明細書で議論されるさまざまな実施形態の文脈において、上で説明されたVSA方式は、複数の搬送波を利用し、多数の未使用スペクトル・ブロックを必要とする伝統的な周波数ホッピング方式とは異なって、本VSA方式は、少数(たとえば、上の例では1つ)の余分なスペクトル・ブロックだけを必要とする。
【0179】
図15に、一実施形態による流れ図を示す。具体的には、図15は、さまざまな実施形態に従って機能強化されたチャネル弾力性およびセキュリティをオプションの優先順位付けと共に提供する機構の流れ図を示す。図15に関して本明細書で議論される方法論は、上でさまざまな図面に関して議論されたものなどの1つまたは複数のVSA送信器、ならびに/または衛星リンク、マイクロ波リンク、無線チャネル、有線チャネル、および/もしくは他の手段などの他の通信チャネルまたは通信リンクの送信器で提供することができる。具体的には、さまざまな実施形態で、上でさまざまな図面に関して説明されたものなどの変調器機能および復調器機能をサポートする機能要素は、暗号化機能および暗号化解除機能をさらに含むように変更される。さらに、暗号化機能性を、VSA前処理機能要素の文脈において提供することができ、暗号化解除機能性を、VSA後処理機能要素の文脈において提供することができる。
【0180】
ステップ1510では、1つまたは複数のデータ・ストリームを、1つまたは複数の顧客から受信する。箱1515を参照すると、1つまたは複数のデータ・ストリームを、衛星リンク、マイクロ波リンク、無線チャネル、有線チャネル、および/または他の手段を介して受信することができる。
【0181】
ステップ1520では、データ・ストリームのそれぞれを、複数のストリーム・セグメントおよび/またはサブストリーム(実例としてN個)にスライスし、ストリーム・セグメントおよび/またはサブストリームのそれぞれは、上でさまざまな実施形態に関して議論されるようにそれぞれのスペクトル断片および/またはリンクに関連する。箱1525を参照すると、ストリーム・セグメントおよび/またはサブストリームは、顧客、固定サイズまたは可変サイズの使用可能なスペクトル断片、データ・タイプもしくは信号タイプ、断片もしくはリンクの容量、断片もしくはリンクのパラメータ、および/または他のパラメータもしくは判断基準に従って定義され得る。
【0182】
ステップ1530では、さまざまな変調パラメータ、帯域幅割振り、優先順位レベル、および/または他のパラメータを、ストリーム・セグメントおよび/またはサブストリームならびにそのそれぞれのスペクトル断片またはリンクについて選択する。さまざまなストリーム・セグメントおよび/またはサブストリームは、そのそれぞれのスペクトル断片またはリンク内で、それ相応に変調され、送信される。
【0183】
さらに、ステップ1530では、スライスのうちの少なくともいくつが、暗号化もされる。箱1535を参照すると、同一の暗号化鍵をすべての暗号化されるスライスについて使用することができ、それぞれの暗号化鍵を暗号化されるスライスごとに使用することができ、暗号スライスの一部が同一の暗号化鍵を使用できると同時に他の暗号スライスが1つまたは複数の他の暗号化鍵を使用することができるなどである。さらに、いくつかの実施形態では、特定のスライスに使用される暗号化鍵は、鍵テーブルから選択される。他の実施形態では、特定のスライスに使用される暗号化鍵は、そのスライスに関する暗号化時に生成される。それぞれのおよび/または共有される暗号化鍵のさまざまな他の組合せが、暗号化鍵を生成するさまざまな他の機構と同様に、企図されている。
【0184】
ステップ1540では、暗号化され/変調されたスライスならびにすべての暗号化されていない/変調されたスライスを、そのそれぞれのスペクトル断片またはリンクを介して1つまたは複数の受信器に送信する。さらに、暗号化解除鍵情報をも、必要に応じて送信する。箱1545を参照すると、暗号化解除鍵情報を、帯域内伝送チャネル、帯域外伝送チャネル、および類似物を介して送信することができる。暗号化解除鍵情報は、特定の暗号化解除鍵、暗号化/暗号化解除鍵に関連する更新されたテーブルなどを含むことができる。
【0185】
ステップ1550では、サブストリーム伝送チャネル関連付け、チャネル帯域幅割振り、暗号化鍵テーブル・エントリ、暗号化鍵伝送手段、および/または他のパラメータに対して、オプションの適合を行う。箱1555を参照すると、これらの調整は、事前定義の時間の満了、しきい回数の特定の鍵の使用の発生、特定のイベントに対する応答、または他の要因に応答して行うことができる。
【0186】
具体的には、上でステップ1550に関して議論されたさまざまな適合は、チャネル・ホッピングと、暗号化されたデータ・スライスのうちの1つまたは複数からコヒーレント・データを抽出するのに必要なリソースの量を増やすことによってセキュリティを高めるように適合された他の機構との使用を可能にする。
【0187】
上で説明されたステップは、ストリームを複数のセグメントにスライスし、これらのセグメントの一部またはすべてを暗号化し、さまざまなセグメントを変調し、セグメントをそれぞれの伝送チャネルを介して送信することによってデータ・ストリームのセキュアで弾力的な送信を提供するように適合されたさまざまな方法論を企図するものである。上で図15に関して説明されたさまざまな暗号化技法を、本明細書で説明される他の図面のいずれかに関して説明される技法の文脈において使用することもできる。
【0188】
一実施形態では、送信器と受信器の両方が、複数の暗号化鍵を含むルックアップ・テーブルを維持し、擬似乱数ジェネレータが、テーブルへインデクシングし、そこからデータ・スライス・セグメントの暗号化または暗号化解除に使用すべき特定の暗号化鍵を抽出するのに使用される。暗号化されたスライスは、受信器がそのスライスを成功して暗号化解除することを可能にするために、テーブルの暗号化されていないインデックスと共に付加される。したがって、一実施形態では、管理プログラムまたはさまざまな実施形態での使用に適切なコンピューティング・デバイス内の他のプログラムは、必要に応じて暗号化鍵ルックアップ・テーブル、暗号化鍵ルックアップ・テーブルに対する更新を確立し、擬似乱数ジェネレータもしくは他の手段を介してテーブル・インデックス・データを生成し、関心を持たれているデータ・スライスを暗号化し、かつ/または暗号化解除するためにそれからインデクシングされた暗号化鍵を利用するのに必要な機能性を提供するのに使用される。
【0189】
本明細書で説明されるさまざまな実施形態は、各断片が別々の鍵を使用して暗号化され、帯域幅をランダムに割り振られるように、入力ストリームの動的スペクトル断片を提供する。
【0190】
上で説明した実施形態は、(1)潜在的盗聴者が、オリジナル信号を再構成するために各スライスのスペクトル帯域幅の知識を獲得するという追加された重荷に直面し、(2)N個のスライスの使用が、盗聴するタスクをはるかにより計算集中型にするので、高められたセキュリティを含む複数の利益を提供する。さらに、スペクトル・スライスは、故意に周囲的に新しい中心周波数に再配置され、潜在的な盗聴者が構成搬送波を追跡し、復号することをより困難にする。
【0191】
諸実施形態のさまざまな利益は、大幅により高いスペクトル使用効率ならびに高められたセキュリティを含む。さまざまな実施形態は、衛星応用、ベントパイプ・サットコム応用で使用されるものなどのポイントツーポイント無線リンク、マイクロ波塔を使用して提供されるものなどの無線バックホール・インフラストラクチャなどに適用可能である。
【0192】
さまざまな実施形態では、衛星システム内の単一のトランスポンダが、複数の変調されたサブストリームを含む複数の搬送波信号を伝搬させるのに使用され、変調されたサブストリームのそれぞれは、それぞれのスペクトル断片領域を占める。他の実施形態では、複数の搬送波信号が、二重トランスポンダ配置または二重衛星配置でそれぞれのトランスポンダを介して伝搬される。
【0193】
さまざまな実施形態では、マイクロ波通信システム内の単一のマイクロ波リンクが、複数の変調されたサブストリームを含む複数の搬送波信号を伝搬させるのに使用され、各変調されたサブストリームは、それぞれのスペクトル断片領域を占める。他の実施形態では、複数の搬送波信号が、それぞれのマイクロ波リンクを介して伝搬される。
【0194】
さまざまな実施形態では、無線通信システム内の単一の無線チャネルが、複数の変調されたサブストリームを含む複数の搬送波信号を伝搬させるのに使用され、各変調されたサブストリームは、それぞれのスペクトル断片領域を占める。他の実施形態では、複数の搬送波信号が、それぞれの無線チャネルを介して伝搬される。
【0195】
さまざまな実施形態に関連する方法論または技法を、その上にコンピュータ可読命令が格納された非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含むコンピュータ・プログラム製品を使用して実施することができ、コンピュータ可読命令は、コンピュータ化されたデバイスに方法論または技法を実行させるためにコンピュータ化されたデバイスによって実行可能である。
【0196】
前述は、本発明のさまざまな実施形態を対象とするが、本発明の他の実施形態およびさらなる実施形態を、本発明の基本的な範囲から逸脱せずに考案することができ、当業者は、これらの教示をやはり組み込む多数の他の変更された実施形態をたやすく考案することができる。したがって、本発明の適当な範囲は、次の特許請求の範囲に従って決定されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15