特許第6556600号(P6556600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556600
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】リング装着装置
(51)【国際特許分類】
   B25B 27/20 20060101AFI20190729BHJP
   B23P 19/02 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   B25B27/20 B
   B23P19/02 D
【請求項の数】13
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2015-220795(P2015-220795)
(22)【出願日】2015年11月10日
(65)【公開番号】特開2016-193483(P2016-193483A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2018年10月3日
(31)【優先権主張番号】特願2015-74153(P2015-74153)
(32)【優先日】2015年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006932
【氏名又は名称】リコーエレメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 篤司
(72)【発明者】
【氏名】仲野 将成
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭48−014696(JP,U)
【文献】 実開昭60−167680(JP,U)
【文献】 実開平01−074077(JP,U)
【文献】 実開平03−107191(JP,U)
【文献】 特開平08−257931(JP,A)
【文献】 特開昭60−238278(JP,A)
【文献】 特開平11−090855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B27/20
B23P19/02
B25C5/00−5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弧状に延びる弧状部を有するとともに当該弧状部の周方向の両端部が互いに面した隙間が設けられたリングを、棒状部材の外周に沿って設けられた溝に装着するリング装着装置であって、
前記棒状部材を支持する第1の支持部と、
前記第1の支持部と相対的に移動可能に設けられ、前記棒状部材が前記隙間を通るように前記リングを前記棒状部材の軸方向との交差方向に押す押部を有する第1の可動部と、
前記棒状部材の前記第1の可動部とは反対側で前記第1の支持部と相対的に移動可能に設けられ、前記押部によって押された前記リングの前記両端部のうち少なくとも一方が近接して前記棒状部材が前記隙間に入る前に接触するとともに前記両端部のうち少なくとも一方を支持する第2の支持部と、前記溝内に挿入され前記棒状部材を支持する第3の支持部と、を有し、前記第1の可動部が前記棒状部材に近付くのに伴って前記棒状部材から前記軸方向との交差方向に離れるよう構成された第2の可動部と、
を備えた、リング装着装置。
【請求項2】
前記第2の可動部を前記第1の支持部に向かって押す付勢部と、
前記第2の可動部に接触することにより前記付勢部に押された前記第2の可動部の移動を制限するよう構成された受け部と、
をさらに備え、
前記第2の可動部は、前記リングを介して、当該リングを前記棒状部材の前記軸方向との交差方向に押す前記第1の可動部の前記押部によって押されることで、前記棒状部材及び前記受け部から前記軸方向との交差方向に離れるよう構成され、
前記第3の支持部は、前記第2の可動部が、前記リングを介して、当該リングを前記棒状部材の前記軸方向との交差方向に押す前記第1の可動部の前記押部によって押されることで、前記溝の外に移動させられるよう構成された、
請求項1に記載のリング装着装置。
【請求項3】
前記受け部は、前記第1の支持部に設けられた、請求項2に記載のリング装着装置。
【請求項4】
前記第1の可動部は第1の回転中心回りに回転可能に設けられ、
前記第2の可動部は第2の回転中心回りに回転可能に設けられ、
前記第2の回転中心から前記第2の支持部までの半径は、前記第1の回転中心から前記押部までの半径よりも小さい、請求項3に記載のリング装着装置。
【請求項5】
前記第1の可動部と前記第2の可動部とを機械的に連動可能な連動機構を備え、
前記第1の可動部の経路において、前記第1の可動部と前記第2の可動部とが切り離された第1の区間と、前記第1の区間の後に前記連動機構によって前記第1の可動部と前記第2の可動部とが機械的に連動して動く第2の区間と、が設けられた、請求項1に記載のリング装着装置。
【請求項6】
前記第1の支持部と相対的に移動可能に設けられた操作部を備え、
前記操作部は、前記第1の区間では前記第1の可動部と連動するとともに前記第2の可動部とは切り離され、前記第2の区間では前記第1の可動部および前記第2の可動部と連動する、請求項5に記載のリング装着装置。
【請求項7】
前記第1の可動部は第1の回転中心回りに回転可能に設けられ、
前記第2の可動部は第2の回転中心回りに回転可能に設けられ、
前記第2の回転中心から前記第2の支持部までの半径の、前記第2の回転中心から前記第2の可動部を動かす力の入力位置までの半径に対する第2のてこ比は、前記第1の回転中心から前記押部までの半径の、前記第1の回転中心から前記第1の可動部を動かす力の入力位置までの半径に対する第1のてこ比よりも大きい、請求項6に記載のリング装着装置。
【請求項8】
前記第1の可動部の経路において、前記第1の可動部と前記第2の可動部とが前記リングを介して連動する第3の区間が設けられた、請求項5〜7のうちいずれか一つに記載のリング装着装置。
【請求項9】
前記押部は、前記リングを前記弧状部の周方向にスライド可能に支持する、請求項1、5〜8のうちいずれか一つに記載のリング装着装置。
【請求項10】
前記第1の支持部は、前記棒状部材が少なくとも前記棒状部材の径方向に移動するのを抑制するよう、前記棒状部材を支持する、請求項1、5〜9のうちいずれか一つに記載のリング装着装置。
【請求項11】
前記第1の支持部は、前記棒状部材に近付いた位置にある前記第2の可動部と前記棒状部材の軸方向に隣接して設けられた、請求項1、5〜10のうちいずれか一つに記載のリング装着装置。
【請求項12】
前記第2の可動部は、前記棒状部材の軸方向との交差方向に広がる板状部を有し、
前記第2の支持部は、前記板状部の端部に設けられ、前記第3の支持部は、前記端部に開口された凹部に設けられた、請求項1、5〜11のうちいずれか一つに記載のリング装着装置。
【請求項13】
板状部は、前記凹部が拡大あるいは縮小可能となるよう、変形可能に構成された、請求項12に記載のリング装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リング装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状部材に設けられた溝にリングを装着するリング装着装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2984576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のリング装着装置では、例えば、リングをより確実に装着できたり、リングをより容易に装着できたりするなど、より不都合の少ない新規な構成のリング装着装置が得られれば、有意義である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のリング装着装置は、例えば、弧状に延びる弧状部を有するとともに当該弧状部の周方向の両端部が互いに面した隙間が設けられたリングを、棒状部材の外周に沿って設けられた溝に装着するリング装着装置であって、第1の支持部と、第1の可動部と、第2の可動部と、を備える。前記第1の支持部は前記棒状部材を支持する。前記第1の可動部は、前記第1の支持部と相対的に移動可能に設けられ、前記棒状部材が前記隙間を通るように前記リングを前記棒状部材の軸方向との交差方向に押す押部を有する。前記第2の可動部は、前記棒状部材の前記第1の可動部とは反対側で前記第1の支持部と相対的に移動可能に設けられ、前記押部によって押された前記リングの前記両端部のうち少なくとも一方が近接して前記棒状部材が前記隙間に入る前に接触するとともに前記両端部のうち少なくとも一方を支持する第2の支持部と、前記溝内に挿入され前記棒状部材を支持する第3の支持部と、を有し、前記第1の可動部が前記棒状部材に近付くのに伴って前記棒状部材から前記軸方向との交差方向に離れるよう構成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、より不都合の少ない新規な構成のリング装着装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係るリング装着装置を示す例示的な斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態のリング装着装置と、棒状部材と、リングとを示す例示的な斜視図である。
図3図3は、第1の実施形態のリング装着装置と、棒状部材と、リングを示す例示的な断面図である。
図4図4は、第1の実施形態のスタック部及びプッシャを示す例示的な斜視図である。
図5図5は、第1の実施形態のスタック部及びプッシャを、スタッカを除いて示す例示的な斜視図である。
図6図6は、第1の実施形態のプッシャを示す例示的な斜視図である。
図7図7は、第1の実施形態の棒状部材を概略的に示す例示的な斜視図である。
図8図8は、第1の実施形態のリングを概略的に示す例示的な正面図である。
図9図9は、第1の実施形態のリング装着装置と、棒状部材と、リングとを拡大して示す例示的な断面図である。
図10図10は、第1の実施形態のリング装着装置と、保持された棒状部材と、リングとを示す例示的な斜視図である。
図11図11は、第1の実施形態のリング装着装置と、保持された棒状部材と、リングとを示す例示的な正面図である。
図12図12は、第1の実施形態のリング装着装置と、保持された棒状部材と、リングとを示す例示的な断面図である。
図13図13は、第1の実施形態のリング装着装置と、棒状部材と、移動させられたリングとを示す例示的な正面図である。
図14図14は、第1の実施形態のリング装着装置と、棒状部材と、傾きを矯正されたリングとを示す例示的な正面図である。
図15図15は、第1の実施形態のリング装着装置と、棒状部材と、挿入途中のリングとを示す例示的な正面図である。
図16図16は、第1の実施形態のリング装着装置と、棒状部材と、挿入途中のリングとを示す例示的な断面図である。
図17図17は、第1の実施形態のリング装着装置と、棒状部材と、装着されたリングとを示す例示的な正面図である。
図18図18は、第1の実施形態のリング装着装置と、棒状部材と、装着されたリングとを示す例示的な断面図である。
図19図19は、第1の実施形態のリング装着装置と、棒状部材と、位置がずれたリングとを示す例示的な斜視図である。
図20図20は、第1の実施形態のリング装着装置と、棒状部材と、位置がずれたリングとを示す例示的な断面図である。
図21図21は、第1の実施形態のリング装着装置の変形例を示す例示的な正面図である。
図22図22は、第2の実施形態のリング装着装置の例示的な側面図である。
図23図23は、第2の実施形態のストッパが外されたリング装着装置の例示的な側面図である。
図24図24は、第2の実施形態の下フレームがスタック部から離間したリング装着装置の例示的な側面図である。
図25図25は、第2の実施形態の上フレームがスタック部から離間したリング装着装置の例示的な側面図である。
図26図26は、第3の実施形態のリング装着装置の例示的な斜視図である。
図27図27は、第3の実施形態の棒状部材の例示的な斜視図である。
図28図28は、第3の実施形態のリングの例示的な正面図である。
図29図29は、第3の実施形態のリング装着装置の長手方向に沿う断面を含む例示的な斜視図であって、リングが装着される前の状態を示す図である。
図30図30は、第3の実施形態のリング装着装置の例示的な断面図であって、リングが装着される前の状態を示す図である。
図31図31は、第3の実施形態のリング装着装置の長手方向に沿う断面を含む例示的な斜視図であって、リングが装着された状態を示す図である。
図32図32は、第3の実施形態のリング装着装置の例示的な断面図であって、リングが装着された状態を示す図である。
図33図33は、第3の実施形態のリング装着装置の連動機構を示す例示的な斜視図であって、リングが装着される前の状態を示す図である。
図34図34は、第3の実施形態のリング装着装置の連動機構を示す例示的な斜視図であって、上側可動部と下側可動部との連動が開始された状態を示す図である。
図35図35は、第3の実施形態のリング装着装置の連動機構を示す例示的な斜視図であって、リングが装着された状態を示す図である。
図36図36は、第3の実施形態のリング装着装置から操作部が取り外された状態を示す例示的な側面図である。
図37図37は、第3の実施形態のリング装着装置の例示的な正面図である。
図38図38は、第3の実施形態のリング装着装置の例示的な正面図であって、上側可動部が図12よりも棒状部材に近付いた状態を示す図である。
図39図39は、第3の実施形態のリング装着装置の例示的な正面図であって、上側可動部が図13よりも棒状部材に近付いた状態を示す図である。
図40図40は、第3の実施形態のリング装着装置の例示的な正面図であって、リングが棒状部材に装着された状態を示す図である。
図41図41は、第3の実施形態のリング装着装置の下側可動部によって棒状部材が支持された状態を示す例示的な正面図である。
図42図42は、第3の実施形態のリング装着装置の下側可動部によって棒状部材が支持された状態を示す例示的な正面図であって、棒状部材の姿勢が図16とは異なる図である。
図43図43は、第3の実施形態のリング装着装置の下側可動部によって棒状部材が支持された状態を示す例示的な正面図であって、棒状部材の姿勢が図16,17とは異なる図である。
図44図44は、第3の実施形態の一つの変形例のリング装着装置の例示的な斜視図である。
図45図45は、第3の実施形態の他の変形例のリング装着装置の例示的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、第1の実施の形態について、図1乃至図21を参照して説明する。なお、実施形態に係る構成要素や、当該要素の説明について、複数の表現を併記することがある。当該構成要素及び説明について、記載されていない他の表現がされることは妨げられない。さらに、複数の表現が記載されない構成要素及び説明について、他の表現がされることは妨げられない。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係るリング装着装置10を示す例示的な斜視図である。図2は、第1の実施形態のリング装着装置10の一部と、棒状部材11の一部と、リング12とを示す例示的な斜視図である。図2は、リング12を示すため、リング装着装置10の一部を省略して示す。他の幾つかの図面においても、同じ理由でリング装着装置10の一部が省略される。
【0010】
リング装着装置10は、例えば、リング12を棒状部材11に装着するために用いられる。棒状部材11は、軸体とも称され得る。リング12は、いわゆるEリング(E型止め輪)である。リング12は、例えば、棒状部材11が軸方向に移動することを制限するために、棒状部材11に装着される。なお、棒状部材11及びリング12はこれに限定されるものではない。
【0011】
図1に示すように、リング装着装置10は、下フレーム14と、可動部材15と、上フレーム16と、スタック部17と、プッシャ18と、レバー19とを有する。下フレーム14は、第1の支持部の一例である。可動部材15は、第2の可動部の一例である。上フレーム16は、第1の可動部の一例である。
【0012】
本実施形態におけるリング装着装置10は、一方向に細長い形状に形成される。各図面に示されるように、本明細書において、説明の便宜上、リング装着装置10が延ばされる方向に沿ってX軸が規定される。詳しく述べると、下フレーム14、可動部材15、上フレーム16、スタック部17、及びレバー19のうち、最も長い部品であるスタック部17が延ばされる方向に沿ってX軸が規定される。さらに、本明細書において、Y軸及びZ軸が規定される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。Y軸は、スタック部17の幅に沿って規定される。Z軸は、スタック部17の厚さに沿って規定される。
【0013】
本明細書において、説明の便宜上、図1におけるZ軸に沿った正方向(Z軸の矢印が向く方向)が、下方向と説明される。同じく、図1におけるZ軸に沿った負方向(Z軸の矢印の反対方向)が、上方向と説明される。しかし、「上」及び「下」は各部分について限定するものではない。各部分の上下方向における位置は、例えばリング装着装置10が回転させられることで変わり得る。
【0014】
さらに、図1におけるX軸に沿った正方向(X軸の矢印が向く方向)が、前方向と説明される。同じく、図1におけるX軸に沿った負方向(X軸の矢印の反対方向)が、後方向と説明される。しかし、「前」及び「後」は各部分について限定するものではない。各部分の水平方向における位置は、例えばリング装着装置10が回転させられることで変わり得る。
【0015】
図3は、第1の実施形態のリング装着装置10の一部と、棒状部材11の一部と、リング12とを示す例示的な断面図である。図3に示すように、下フレーム14は、底壁21と、二つの内側壁22と、支持壁23と、突起24と、ネジ25とを有する。なお、図3は、二つの内側壁22のうち一つのみを示す。ネジ25は、受け部の一例である。
【0016】
図3に示す状態において、底壁21は、おおよそX−Y平面に広がる略矩形の板状に形成される。底壁21は、大よそX軸に沿う方向に延びる。なお、底壁21が延びる方向は、下フレーム14が回転することによって変わり得る。
【0017】
二つの内側壁22は、底壁21の短手方向(Y軸に沿う方向)の両端部から、底壁21と交差する(例えば直交する)方向に立ち上がる。支持壁23は、底壁21の長手方向の一方の端部(図3における右側の端部)から、底壁21と交差する方向に立ち上がる。
【0018】
二つの内側壁22と支持壁23とはそれぞれ、底壁21から、大よそ上方向に立ち上がる。このような底壁21、二つの内側壁22、及び支持壁23を有する下フレーム14は、大よそ上方向に開放された形状を有する。
【0019】
図1に示すように、支持壁23の先端部に、凹面23aが設けられる。支持壁23の先端部は、支持壁23の、底壁21の反対側に位置する端部である。本実施形態において、凹面23aは、支持壁23の先端部から凹んで設けられた円弧状の曲面である。なお、凹面23aは他の形状に形成されても良い。
【0020】
図3に示すように、突起24は、底壁21から突出する。突起24は、底壁21の短手方向において、二つの内側壁22の間に位置する。突起24は、内側壁22及び支持壁23と同じく、大よそ上方向に突出する。
【0021】
ネジ25は、底壁21に取り付けられる。ネジ25は、底壁21から下方向に突出する。ネジ25が底壁21から突出させられる長さは、ネジ25を締め又は緩めることにより変化し得る。
【0022】
図1に示すように、可動部材15は、回転壁31と、二つの取付壁32と、前壁33と、二つのアーム34とを有する。なお、図1は、二つの取付壁32のうち一つのみを示す。
【0023】
回転壁31は、下フレーム14の底壁21の下方向に位置する。言い換えると、回転壁31は、下フレーム14の二つの内側壁22、支持壁23、及び突起24に対して底壁21の反対側に位置する。
【0024】
図1に示す状態において、回転壁31は、おおよそX−Y平面に広がる略矩形の板状に形成される。回転壁31は、底壁21に沿って、大よそX軸に沿う方向に延びる。なお、回転壁31が延びる方向は、可動部材15が回転することによって変わり得る。回転壁31の長手方向(X軸に沿う方向)の寸法は、底壁21の長手方向の寸法よりも短い。
【0025】
二つの取付壁32は、回転壁31の短手方向(Y軸に沿う方向)の両端部から、回転壁31と交差する方向に立ち上がる。二つの取付壁32は、回転壁31から、大よそ上方向に立ち上がる。Y軸に沿う方向において、二つの取付壁32の間に、下フレーム14の二つの内側壁22が位置する。回転壁31の長手方向の一方の端部(後方向の端部)は、取付壁32を介して、内側壁22に取り付けられる。取付壁32の後方向の端部は、回転壁31の後方向の端部よりも後方向に位置する。
【0026】
リング装着装置10に、第1の軸35が設けられる。第1の軸35は、可動部材15の取付壁32を、下フレーム14の内側壁22に取り付ける。第1の軸35は、Y軸に沿う方向に延びる。
【0027】
第1の軸35は、第1の回転中心Ax1回りに回転可能に、可動部材15を下フレーム14に取り付ける。本実施形態における第1の回転中心Ax1は、第2の回転中心の一例である。第1の回転中心Ax1は、第1の軸35の中心軸である。すなわち、可動部材15は、下フレーム14と相対的に移動可能に設けられる。なお、可動部材15は、例えば、底壁21と回転壁31とを接続するヒンジによって、下フレーム14に回転可能に取り付けられても良い。
【0028】
前壁33は、回転壁31の長手方向の他方の端部(前方向の端部)から、回転壁31と交差する方向に立ち上がる。前壁33は、回転壁31から、大よそ上方向に立ち上がる。図1に示す状態において、前壁33は、おおよそY−Z平面に広がる略矩形の板状に形成される。前壁33は、支持壁23に沿って、大よそZ軸に沿う方向に延びる。なお、前壁33が延びる方向は、可動部材15が回転することによって変わり得る。
【0029】
前壁33は、端面33aを有する。端面33aは、第2の支持部の一例である。端面33aは、前壁33の、回転壁31の反対側に位置する。図1に示す状態において、端面33aは、Y軸に沿う方向に延びる。図1の状態において、前壁33の端面33aは、下フレーム14の支持壁23の先端部と大よそ同一の高さに位置する。
【0030】
前壁33に、端面33aから窪む切欠き33bが設けられる。切欠き33bは、端面33aからZ軸に沿う正方向に直線状に延びる部分(直線部分)と、当該直線状に延びる部分に接続された半円状の部分(半円部分)とを含む形状に形成される(後述の図17参照)。言い換えると、切欠き33bは、Z軸に沿う方向に延びた半長円形に形成される。なお、切欠き33bは、単なる半円状のような他の形状に形成されても良い。切欠き33bは、両端部がそれぞれ端面33aに接続される前壁33の縁33cによって形成される。縁33cは、第5の支持部の一例である。縁33cは、端面33aからZ軸に沿う正方向に平行に延びる二つの部分と、当該二つの部分を接続する円弧状の部分と、を有する。切欠き33bの半円部分の半径は、下フレーム14の支持壁23の凹面23aの半径よりも小さい。さらに、切欠き33bの直線部分のY軸に沿う方向における長さは、下フレーム14の支持壁23の凹面23aの直径よりも小さい。
【0031】
二つのアーム34は、例えば、回転壁31から、回転壁31の短手方向(Y軸に沿う方向)に突出する。なお、アーム34は、例えば前壁33から突出しても良い。アーム34は、回転壁31の前方向の端部に位置する。言い換えると、アーム34は、第1の軸35から離間した位置に設けられる。
【0032】
上フレーム16は、上壁41と、二つの外側壁42と、押板43と、二つのアーム44とを有する。なお、図1は、二つのアーム44のうち一つのみを示す。
【0033】
図3に示す状態において、上壁41は、おおよそX−Y平面に広がる略矩形の板状に形成される。上壁41は、大よそX軸に沿う方向に延びる。なお、上壁41が延びる方向は、上フレーム16が回転することによって変わり得る。
【0034】
二つの外側壁42は、上壁41の短手方向(Y軸に沿う方向)の両端部から、上壁41と交差する方向であって、下フレーム14に向かう側に立ち上がる。言い換えると、外側壁42は、大よそ下方向に立ち上がる。Y軸に沿う方向において、二つの外側壁42の間に、下フレーム14の二つの内側壁22が位置する。
【0035】
押板43は、略L字状に形成され、取付部43aと、押部43bとを有する。取付部43aは、上壁41の下方向に位置する。言い換えると、取付部43aは、上壁41の外側壁42が設けられた側に位置する。取付部43aは、上壁41に沿って、大よそX軸に沿う方向に延ばされる。取付部43aは、上壁41の長手方向の一方の端部(前方向の端部)に、例えばネジによって取り付けられる。
【0036】
押部43bは、取付部43aの長手方向の一方の端部(前方向の端部)から、取付部43aと交差する方向であって、下フレーム14に向かう側に立ち上がる。言い換えると、押部43bは、大よそ下方向に立ち上がる。このような上壁41、二つの外側壁42、及び押板43の押部43bを有する上フレーム16は、大よそ下方向に開放された形状を有する。
【0037】
図2に示すように、押部43bの先端部に、凹部43cが設けられる。押部43bの先端部は、押部43bの、取付部43aの反対側に位置する端部である。本実施形態において、凹部43cは、円弧状の窪みである。なお、凹部43cは他の形状に形成されても良い。
【0038】
二つのアーム44は、例えば、外側壁42の先端部から、上壁41の短手方向(Y軸に沿う方向)に突出する。外壁部42の先端部は、外壁部42の、上壁41の反対側に位置する端部である。なお、アーム44は、例えば、上壁41又は押板43から突出しても良い。アーム44は、上フレーム16の長手方向における中央付近に設けられる。なお、アーム44は他の位置に設けられても良い。
【0039】
図1に示すように、リング装着装置10に、第2の軸47が設けられる。第2の軸47は、上フレーム16の外側壁42の後方向の端部を、下フレーム14の内側壁22の後方向の端部に取り付ける。言い換えると、第2の軸47は、押板43の反対側で、上フレーム16を下フレーム14に取り付ける。
【0040】
第2の軸47は、Y軸に沿う方向に延びる。第2の軸47は、第2の回転中心Ax2回りに回転可能に、上フレーム16を下フレーム14に取り付ける。本実施形態における第2の回転中心Ax2は、第1の回転中心の一例である。第2の回転中心Ax2は、第2の軸47の中心軸である。すなわち、上フレーム16は、下フレーム14と相対的に移動可能に設けられる。図3に示すように、第1の回転中心Ax1から前壁33の端面33aまでの半径Rsは、第2の回転中心Ax2から押板43の押部43bまでの半径Rpよりも小さい。
【0041】
図4は、第1の実施形態のスタック部17及びプッシャ18を示す例示的な斜視図である。図4に示すように、スタック部17は、第1のレール51と、第2のレール52と、スタッカ53とを有する。図2のような幾つかの図面において、スタッカ53は、リング12を示すために省略される。
【0042】
図5は、第1の実施形態のスタック部17及びプッシャ18を、スタッカ53を除いて示す例示的な斜視図である。図5に示すように、スタック部17は、複数のリング12を収容する。複数のリング12は、スタック部17の内部において、X軸に沿う方向に重ねられる。図5において、重ねられた複数のリング12は、一纏めに示される。
【0043】
第1のレール51は、X軸に沿う方向に延ばされる。第1のレール51は、第1の保持壁61と、第1のガイド62と、第1の側壁63とを有する。
【0044】
第1の保持壁61は、X−Y平面に広がる略矩形の板状に形成される。第1の保持壁61は、大よそX軸に沿う方向に延びる。第1の保持壁61は、スタック部17に収容されたリング12の一部を、下方向から覆う。
【0045】
第1のガイド62は、第1の保持壁61の短手方向(Y軸に沿う方向)の一方の端部から、第1の保持壁61と交差する方向に立ち上がる。第1の側壁63は、第1の保持壁61の短手方向の他方の端部から、第1の保持壁61と交差する方向に立ち上がる。第1のガイド62及び第1の側壁63はそれぞれ、上方向に立ち上がる。
【0046】
第2のレール52は、X軸に沿う方向に延ばされる。すなわち、第1のレール51と第2のレール52とは、平行に延ばされる。第2のレール52は、Y軸に沿う方向において、隙間を介して第1のレール51に隣接する。第2のレール52は、第2の保持壁65と、第2のガイド66と、第2の側壁67とを有する。
【0047】
第2の保持壁65は、X−Y平面に広がる略矩形の板状に形成される。第2の保持壁65は、大よそX軸に沿う方向に延びる。第2の保持壁65は、スタック部17に収容されたリング12の一部を、下方向から覆う。第1の保持壁61と第2の保持壁65とは、Z軸に沿う方向において、ほぼ同一位置に配置される。
【0048】
第2のガイド66は、第2の保持壁65の短手方向(Y軸に沿う方向)の一方の端部から、第2の保持壁65と交差する方向に立ち上がる。第2の側壁67は、第2の保持壁65の短手方向の他方の端部から、第2の保持壁65と交差する方向に立ち上がる。第2のガイド66及び第2の側壁67は、上方向に立ち上がる。
【0049】
第2のガイド66は、第1のガイド62と隙間を介して隣接する。Y軸に沿う方向において、第1の側壁63と第2の側壁67との間に、第1のガイド62及び第2のガイド66が位置する。
【0050】
図4に示すように、スタッカ53は、第1のレール51と第2のレール52とに取り付けられる。これにより、スタッカ53は、第1のレール51と第2のレール52とを、互いに隙間を介して隣接する位置に保持する。スタッカ53は、X軸に沿う方向に延ばされる。スタッカ53は、二つの留め壁71と、接続壁72と、二つの受け壁73とを有する。
【0051】
二つの留め壁71はそれぞれ、X−Z平面に広がる略矩形の板状に形成される。留め壁71は、大よそX軸に沿う方向に延びる。すなわち、二つの留め壁71は平行に延び、互いに向かい合う。
【0052】
二つの留め壁71はそれぞれ、第1のレール51の第1の側壁63と、第2のレール52の第2の側壁67とに沿って延びる。二つの留め壁71の間に、第1の側壁63及び第2の側壁67が位置する。接続壁72は、二つの留め壁71のそれぞれの上方向の端部を接続する。接続壁72は、スタック部17に収容された複数のリング12のうち幾つかを上方向から覆う。
【0053】
二つの受け壁73はそれぞれ、Y−Z平面に広がる略矩形の板状に形成される。二つの受け壁73はそれぞれ、対応する留め壁71の前方向の端部から、当該留め壁71と交差する方向に立ち上がる。二つの留め壁71は、互いに近づく方向に延ばされる。
【0054】
図3に示すように、受け壁73は、第1及び第2のレール51,52の前方向の端部から離間する。第1及び第2のレール51,52の前方向の端部と、受け壁73との間に、開口74が設けられる。言い換えると、開口74は、受け壁73に隣接する。
【0055】
開口74は、Y軸に沿う方向に延びる。Y軸に沿う方向において、開口74の寸法(長手方向の幅)は、一つのリング12の直径よりも大きい。X軸に沿う方向において、開口74の寸法(短手方向の幅)は、一つのリング12の厚さよりも僅かに大きい。すなわち、一つのリング12は、開口74を通過可能である。
【0056】
図5に示すように、第1のレール51の第1の側壁63及び第2のレール52の第2の側壁67にそれぞれ、スリット75が設けられる。なお、図5は、二つのスリット75のうち一つのみを示す。
【0057】
図4に示すように、スタッカ53の二つの留め壁71にそれぞれ、スリット76が設けられる。なお、図4は、二つのスリット76のうち一つのみを示す。スリット75,76はそれぞれ、X軸に沿う方向に延びる。対応する二つのスリット75,76は互いに重ねられ、スタック部17に収容された複数のリング12を視認可能にする。
【0058】
スタッカ53の二つの留め壁71にそれぞれ、留め孔78が設けられる。図4は、二つの留め孔78のうち一方のみを示す。他方の留め孔78は、例えば図1に示される。留め孔78は、留め壁71の後方向の端部に設けられる。二つの留め孔78は、X軸に沿う方向においてほぼ同一位置に設けられるが、異なる位置に設けられても良い。
【0059】
図6は、第1の実施形態のプッシャ18を示す例示的な斜視図である。図6に示すように、プッシャ18は、留め部材81と、ロッド82と、ブロック83と、押バネ84とを有する。
【0060】
留め部材81は、基部86と、第1の可撓部87と、第2の可撓部88とを有する。基部86は、X軸に沿う方向に延びる。基部86に、ロッド82の後方向の端部が取り付けられる。第1の可撓部87の前方向の端部は、基部86の前方向の端部に接続される。第2の可撓部88の前方向の端部は、基部86の前方向の端部に接続される。Y軸に沿う方向において、第1の可撓部87と第2の可撓部88との間に、基部86が位置する。第1の可撓部87と第2の可撓部88とは、後方向に向かうに従って互いに離間するように、X軸と斜めに交差する方向に延びる。
【0061】
第1の可撓部87は、基部86に近づくように弾性変形可能である。第2の可撓部88は、基部86に近づくように弾性変形可能である。すなわち、第1の可撓部87と第2の可撓部88とは、互いに近づくように弾性変形可能である。
【0062】
上述のように、基部86、第1の可撓部87、及び第2の可撓部88を有する留め部材81は、略W字状に形成される。なお、留め部材81はこれに限らず、例えば、第1及び第2の可撓部87,88が互いに遠ざかるように延びる略V字状又は略U字状に形成されても良い。
【0063】
ロッド82は、X軸に沿う方向に延びる。ブロック83は、ロッド82に、X軸に沿う方向に移動可能に取り付けられる。ロッド82の前方向の端部に、抜け止め82aが設けられる。抜け止め82aは、例えば、Y軸に沿う方向に延びる棒材である。
【0064】
押バネ84の一方の端部は、留め部材81に支持される。すなわち、基部86、第1の可撓部87、及び第2の可撓部88は、押バネ84を支持する。押バネ84の他方の端部は、ブロック83に支持される。押バネ84は、ブロック83を、留め部材81から遠ざかる方向(前方向)に押す。ロッド82の抜け止め82aは、押バネ84に押されたブロック83が、ロッド82から脱落することを抑制する。
【0065】
図4に示すように、プッシャ18は、スタッカ53の二つの留め壁71の間に位置する。第1の可撓部87に爪が設けられる。第1の可撓部87の爪は、一方の留め壁71の留め孔78に嵌め込まれる。これにより、第1の可撓部87が一方の留め壁71の留め孔78に留められる。第2の可撓部88に爪が設けられる。第2の可撓部88の爪は、他方の留め壁71の留め孔78に嵌め込まれる。これにより、第2の可撓部88が他方の留め壁71の留め孔78に留められる。第1及び第2の可撓部87,88がそれぞれ留め孔78に留められることで、プッシャ18がスタック部17に取り外し可能に取り付けられる。
【0066】
ブロック83は、スタック部17に収容された複数のリング12のうち、最も後方向に位置するリング12に接触する。押バネ84は、ブロック83を介して、複数のリング12を前方向に押す。押バネ84は、複数のリング12を受け壁73に押し付ける。すなわち、押バネ84は、複数のリング12を受け壁73に向かって押す。
【0067】
スタック部17に収容された複数のリング12のうち、最も前方向に位置するリング12は、受け壁73に接触する。当該リング12の下方向に、開口74が位置する。言い換えると、受け壁73に接触するリング12は、開口74に面する。
【0068】
図1に示すように、スタック部17は、下フレーム14と上フレーム16との間に位置する。スタック部17の第1の側壁63、第2の側壁67、及び二つの留め壁71は、第2の軸47によって、下フレーム14の内側壁22と上フレーム16の外側壁42とに取り付けられる。
【0069】
第2の軸47は、第2の回転中心Ax2回りに回転可能に、スタック部17を、上フレーム16及び下フレーム14に取り付ける。すなわち、スタック部17は、上フレーム16及び下フレーム14と相対的に移動可能に設けられる。このように、下フレーム14、上フレーム16、及びスタック部17は、同一の第2の回転中心Ax2回りに回転可能に設けられる。なお、下フレーム14、上フレーム16、及びスタック部17の少なくとも一つが、他と異なる回転中心回りに回動可能であっても良い。
【0070】
図3に示すように、上フレーム16の押板43の押部43bの一部は、スタック部17に入り込む。押部43bは、スタック部17のスタッカ53の受け壁73に対し、後方向に隣接するよう配置される。このため、X軸に沿う方向において、押部43bと、スタック部17に設けられた開口74とが、大よそ同一位置に配置される。
【0071】
X軸に沿う方向において、押部43bの寸法(厚さ)は、開口74の寸法よりも僅かに小さい。さらに、Y軸に沿う方向においても、押部43bの寸法(横幅)は、開口74の寸法よりも小さい。このため、例えば上フレーム16がスタック部17に近づくように回転することにより、押部43bは、開口74を通過可能である。
【0072】
図1に示すように、レバー19は、操作部91と、第3の軸92と、二つのアーム93とを有する。なお、図1は、二つのアーム93のうち一つのみを示す。第3の軸92は、Y軸に沿う方向に延びる。第3の軸92は、第3の回転中心Ax3回りに回転可能に、操作部91を下フレーム14の内側壁22に取り付ける。第3の回転中心Ax3は、第3の軸92の中心軸である。すなわち、レバー19は、下フレーム14と相対的に移動可能に設けられる。アーム93は、第3の回転中心Ax3を挟んで操作部91の大よそ反対側に配置される。アーム93は、上方向から上フレーム16のアーム44に接触させられる。
【0073】
図3に示すように、下フレーム14の底壁21と、スタック部17の第1及び第2のレール51,52との間に、第1の離間バネ95が設けられる。第1の離間バネ95は、コイルバネであり、下フレーム14を、スタック部17から離間する方向に押す。言い換えると、第1の離間バネ95は、第2の回転中心Ax2回りに、図3における時計回り方向に下フレーム14を付勢する。第1の離間バネ95は、突起24によって支持される。
【0074】
上フレーム16の上壁41と、スタック部17のスタッカ53との間に、第2の離間バネ96が設けられる。第2の離間バネ96は、コイルバネであり、上フレーム16を、スタック部17から離間する方向に押す。言い換えると、第2の離間バネ96は、第2の回転中心Ax2回りに、図3における反時計回りに上フレーム16を押す。
【0075】
スタック部17のスタッカ53の接続壁72に、突起72aが設けられる。突起72aは、上方向に突出する。一方、上フレーム16の上壁41に、窪み41aが設けられる。窪み41aは、上方向に窪む。第2の離間バネ96は、突起72aに支持されるとともに、窪み41aに収容される。
【0076】
下フレーム14と、第1の離間バネ95と、スタック部17と、第2の離間バネ96と、上フレーム16とは、直列に接続される。第2の離間バネ96は、第1の離間バネ95よりもバネ定数が高い。さらに、第2の回転中心Ax2から第1の離間バネ95までの半径Rsp1は、第2の回転中心Ax2から第2の離間バネ96までの半径Rsp2よりも長い。
【0077】
図1に示すように、リング装着装置10は、捩りバネ97をさらに有する。捩りバネ97は、付勢部の一例である。捩りバネ97は、螺旋状に巻かれた巻部97aと、巻部97aからそれぞれ延びた第1の延部97b及び第2の延部97cとを有する。第1の延部97bと第2の延部97cとは、互いに異なる方向に延びる。
【0078】
巻部97aは、例えば、第1の軸35に取り付けられる。第1の延部97bは、例えば、上フレーム16のアーム44に下方向から接触する。言い換えると、第1の延部97bは、上フレーム16のアーム44に支持される。第2の延部97cは、可動部材15のアーム34に下方向から接触する。言い換えると、第2の延部97cは、可動部材15のアーム34に支持される。
【0079】
捩りバネ97は、第1の延部97bで上フレーム16のアーム44に支持されるとともに、第2の延部97cで可動部材15のアーム34を押す。これにより、捩りバネ97は、可動部材15を下フレーム14に向かって押す。捩りバネ97は、可動部材15の回転壁31が下フレーム14の底壁21に近づくように、可動部材15を押す。言い換えると、捩りバネ97は、第1の回転中心Ax1回りに、図3における反時計回り方向に可動部材15を押す。
【0080】
以上述べたリング装着装置10は、連動機構Mによって開閉する。連動機構Mは、例えば、レバー19のアーム93、上フレーム16のアーム44、可動部材15のアーム34、第1の離間バネ95、第2の離間バネ96、及び捩りバネ97を含む。連動機構Mは、リング装着装置10が操作されていない状態において、以下のようにリング装着装置10を開かれた状態に保つ。
【0081】
第1の離間バネ95は、下フレーム14をスタック部17から離間させる。さらに、第2の離間バネ96は、上フレーム16をスタック部17から離間させる。しかし、図1に示すように、下フレーム14に取り付けられたレバー19のアーム93が、上フレーム16のアーム44を上方向から支持する。このため、下フレーム14がスタック部17から所定の距離より大きく離れることが抑制されるとともに、上フレーム16がスタック部17から所定の距離より大きく離れることが抑制される。このように、レバー19のアーム93は、下フレーム14がスタック部17から離れることを制限するとともに、上フレーム16がスタック部17から離れることを制限する。
【0082】
第1の離間バネ95によって下フレーム14がスタック部17から離間させられるため、下フレーム14の支持壁23は、スタック部17から離間した位置に配置される。Z軸に沿う方向における支持壁23とスタック部17との間の距離は、棒状部材11の直径よりも長い。同じく、下フレーム14に取り付けられた可動部材15の前壁33は、スタック部17から離間した位置に配置される。Z軸に沿う方向における前壁33とスタック部17との間の距離は、棒状部材11の直径よりも長い。
【0083】
第2の離間バネ96によって上フレーム16がスタック部17から離間させられるため、上フレーム16の押板43の押部43bは、スタック部17の開口74から上方向に離間した位置に配置される。押部43bは、スタック部17に収容されるとともに受け壁73に接触するリング12から、僅かに上方向に離間した位置に配置される。なお、押部43bは、受け壁73に接触するリング12に接触しても良い。
【0084】
一方、直列に接続された第1の離間バネ95及び第2の離間バネ96によって、上フレーム16は上方向に押される。このため、上フレーム16のアーム44は、レバー19のアーム93を上方向に押し、レバー19を回転させようとする。レバー19は、上フレーム16のアーム44によって、第3の回転中心Ax3回りに、図3における反時計回り方向に回転させられる。
【0085】
レバー19の操作部91は、基端部91aと、先端部91bとを有する。基端部91aは、先端部91bよりも第3の軸92に近い、操作部91の端部である。例えば基端部91aが下フレーム14に接触することにより、レバー19が下フレーム14に対して所定の角度より大きく回転することが抑制される。基端部91aが下フレーム14に接触する状態において、先端部91bは、下フレーム14から離間した位置に配置される。Z軸に沿う方向における先端部91bと上フレーム16との間の距離(リング装着装置10の縦幅)は、リング装着装置10のユーザが把持可能な長さに保たれる。
【0086】
捩りバネ97は、可動部材15を下フレーム14に向かって押す。図3に示すように、可動部材15の回転壁31に、窪み31aが設けられる。窪み31aは、ネジ25に対応する位置で、下方向に窪む。図3に示す状態において、ネジ25は、窪み31aにおいて、可動部材15の回転壁31に接触する。ネジ25は、回転壁31に接触することにより、捩りバネ97に押された可動部材15の移動を制限する。なお、例えば、底壁21が、回転壁31に接触することにより、捩りバネ97に押された可動部材15の移動を制限しても良い。
【0087】
回転壁31がネジ25に接触すると、可動部材15の前壁33は、下フレーム14の支持壁23に隣接する。前壁33は、支持壁23に前方向から接触する。なお、前壁33は、支持壁23から僅かに離間しても良い。
【0088】
以上のように、スタック部17から、下フレーム14、上フレーム16及び、レバー19の操作部91の先端部91bが離間し、可動部材15が下フレーム14に接触する状態における、リング装着装置10の各部分の位置を、初期位置P1と定義する。例えば、ユーザがリング装着装置10を操作しない場合、リング装着装置10の各部分は初期位置P1に位置する。
【0089】
図7は、第1の実施形態の棒状部材11を概略的に示す例示的な斜視図である。リング装着装置10は、図7に例示されるような棒状部材11に、リング12を装着する。棒状部材11は、円柱形の棒状に形成されたいわゆる丸棒部材である。
【0090】
棒状部材11は、円筒状の周面101を有する。周面101には、棒状部材11の中心軸C1の周方向に沿って延びる溝102が設けられる。リング12は、溝102に挿入された状態で棒状部材11を周方向に囲うように、棒状部材11に装着される。溝102の断面は、四角形状である。
【0091】
溝102の位置、棒状部材11の断面形状、直径、及び長さ等は、図7に示されたものに限定されない。例えば、溝102は、図7に示される溝102よりも棒状部材11の端面103からより遠い位置に設けられても良い。端面103は、棒状部材11の軸方向における端面である。
【0092】
また、棒状部材11に、部分的に、径方向と直交するフラット部が設けられても良い。当該フラット部が設けられた部分では、棒状部材11の断面形状は、略D字状である。よって、当該フラット部は、Dカット部とも称され得る。また、溝102は、Dカット部が設けられた位置の周面101に設けられてもよい。
【0093】
図8は、第1の実施形態のリング12を概略的に示す例示的な正面図である。リング12は、円弧状に延びる弧状部111を有する。弧状部111は、中心C2の周方向に延びる。弧状部111の周方向の二つの端部112,112は互いに面しており、これら端部112,112の間に隙間113が設けられる。弧状部111及び端部112に、径方向の内側に向けて突出する突起114が設けられる。弧状部111は、鉄系材料等の弾性変形可能な金属材料によって構成されている。
【0094】
リング12の二つの端部112,112に棒状部材11の溝102の底面が押し当てられると、弧状部111は、端部112,112間の隙間113が広がるように弾性変形する。この状態で、棒状部材11が隙間113を通って弧状部111の内側に挿入される。棒状部材11が隙間113を通過すると、互いに離れていた二つの端部112,112間は元の位置に戻る。このようにして、リング12の突起114が溝102内に挿入され、棒状部材11を囲う状態が得られる。
【0095】
以下、リング装着装置10によって棒状部材11にリング12を装着する方法の少なくとも一部について例示する。なお、リング12の装着方法は以下の方法に限らず、他の方法を用いても良い。
【0096】
まず、図5に示すように、スタック部17に複数のリング12が収容される。プッシャ18がスタック部17から取り外された状態で、複数のリング12が、スタック部17の後方向の端部から、スタック部17の内部に挿入される。複数のリング12のそれぞれの隙間113に、第1のレール51の第1のガイド62と、第2のレール52の第2のガイド66とが挿入される。これにより、複数のリング12の隙間113が、下方向に向くように揃えられる。
【0097】
スタック部17にプッシャ18が取り付けられると、押バネ84が、ブロック83を介して、複数のリング12を受け壁73に向かって押す。最も前方向に位置するリング12は、第1及び第2のガイド62,66から外れ、受け壁73に接触するとともに、当該受け壁73に隣接する開口74に面する。このように、第1及び第2のガイド62,66は、開口74に面するリング12を除く複数のリング12の隙間113に挿入される。
【0098】
図9は、第1の実施形態のリング装着装置10の一部と、棒状部材11の一部と、リング12とを拡大して示す例示的な断面図である。図9に示すように、まず、リング装着装置10は、環状の溝102の径方向の外側にリング12が位置するよう、棒状部材11とリング12とを支持する。本実施形態において、リング12は、溝102の上方向に位置する。
【0099】
リング装着装置10が棒状部材11を支持すると、棒状部材11の中心軸C1とリング12の中心C2とが大よそ平行となるとともに、中心軸C1及び中心C2と、リング装着装置10の長手方向(X軸に沿う方向)とが大よそ平行となる。さらに、リング12の端部112が棒状部材11の周面101に面する。
【0100】
詳しく述べると、棒状部材11は、リング装着装置10の下フレーム14と可動部材15とによって支持される。下フレーム14の支持壁23の凹面23aによって、棒状部材11の周面101が支持される。凹面23aは、棒状部材11を径方向に支持する。凹面23aは、棒状部材11が径方向(下方向)に移動することを制限し、棒状部材11を径方向に位置決めする。
【0101】
さらに、可動部材15の前壁33の縁33cが、棒状部材11の溝102内に挿入され、棒状部材11を支持する。前壁33の縁33cは、棒状部材11が軸方向に移動することを制限し、棒状部材11を軸方向に位置決めする。なお、縁33cは、棒状部材11が径方向に移動することを抑制し、棒状部材11を径方向に位置決めしても良い。
【0102】
棒状部材11の軸方向(大よそX軸に沿う方向)において、支持壁23は、前壁33に隣接して設けられる。このため、溝102から端面103までの距離が短い場合にあっても、支持壁23は、棒状部材11の周面101を支持することができる。
【0103】
図10は、第1の実施形態のリング装着装置10の一部と、保持された棒状部材11の一部と、リング12とを示す例示的な斜視図である。図11は、第1の実施形態のリング装着装置10の一部と、保持された棒状部材11の一部と、リング12とを示す例示的な正面図である。図12は、第1の実施形態のリング装着装置10の一部と、保持された棒状部材11の一部と、リング12とを示す例示的な断面図である。
【0104】
例えばユーザによってレバー19が操作されると、レバー19は、第3の回転中心Ax3回りに、図3における時計回り方向に回転させられる。言い換えると、レバー19の操作部91の先端部91bが、下フレーム14に近づけられる。
【0105】
図1に示すレバー19のアーム93と、上フレーム16のアーム44とはそれぞれ、X−Z平面に沿って移動する。さらに、レバー19のアーム93の移動経路は、上フレーム16のアーム44の移動経路と重なって設けられている。このため、レバー19の移動(回転)に伴って、レバー19のアーム93が、上フレーム16のアーム44を下方向に押す。言い換えると、レバー19のアーム93が、上フレーム16のアーム44を、第2の回転中心Ax2回りに、図3における時計回り方向に押す。
【0106】
アーム44が押されることにより、下フレーム14、上フレーム16、及びスタック部17に、互いに近づける力が作用する。すなわち、下フレーム14は、スタック部17に近づくように、第2の回転中心Ax2回りに、図3における反時計回り方向に押される。上フレーム16は、スタック部17に近づくように、第2の回転中心Ax2回りに、図3における時計回り方向に押される。
【0107】
図3に示す第2の離間バネ96は、第1の離間バネ95よりもバネ定数が高い。さらに、第2の回転中心Ax2から第1の離間バネ95までの半径Rsp1は、第2の回転中心Ax2から第2の離間バネ96までの半径Rsp2よりも長い。このため、第1の離間バネ95が先に縮み、下フレーム14がスタック部17に近づけられるが、上フレーム16とスタック部17との相対的な位置はほぼ変わらず保たれる。
【0108】
図10に示すように、下フレーム14がスタック部17に近づくことで、スタック部17の第1のレール51及び第2のレール52が、棒状部材11の周面101に接触する。すなわち、棒状部材11の下フレーム14とは反対側に設けられたスタック部17の第1のレール51及び第2のレール52が、棒状部材11を支持する。第1及び第2のレール51,52が棒状部材11に接触した状態において、棒状部材11の中心軸C1と、リング12の中心C2と、スタック部17の長手方向(X軸)とは、ほぼ平行に配置される。
【0109】
図11に示すように、第1のレール51の第1の保持壁61と第1のガイド62との角部分が、棒状部材11に接触する。棒状部材11の中心軸C1とスタック部17の長手方向とが平行に配置されるため、第1のレール51は棒状部材11の周面101に線接触、又は面接触する。なお、第1のレール51は、棒状部材11の周面101に点接触しても良い。
【0110】
同じく、第2のレール52の第2の保持壁65と第2のガイド66との角部分が、棒状部材11に接触する。第2のレール52は棒状部材11の周面101に線接触、又は面接触する。なお、第2のレール52は、棒状部材11の周面101に点接触しても良い。
【0111】
第1及び第2のレール51,52は、棒状部材11を径方向に支持する。第1及び第2のレール51,52は、棒状部材11が径方向(上方向)に移動することを制限し、棒状部材11を径方向に位置決めする。
【0112】
第2のレール52は、棒状部材11の周方向に隙間を介して、第1のレール51に隣接する。このため、スタック部17は、互いに離間した二つの部分(第1及び第2のレール51,52)によって、大よそ上方向から棒状部材11を支持する。さらに、図12に示すように、下フレーム14の支持壁23の凹面23aが、下方向から棒状部材11を支持する。このように、棒状部材11は、周方向において三つの部分(支持壁23の凹面23aと第1及び第2のレール51,52)で支持される。これにより、棒状部材11は、第1及び第2のレール51,52に支持された状態において、下フレーム14とスタック部17との間に保持され、径方向(上方向及び下方向に限らない)に移動することを制限され、径方向に位置決めされる。別の表現をすれば、棒状部材11は、下フレーム14とスタック部17とによって、互いに反対方向から支持され、挟持される。
【0113】
棒状部材11が下フレーム14の支持壁23と、スタック部17の第1及び第2のレール51,52とに保持されると、スタック部17の開口74が、棒状部材11の溝102に面する。さらに、スタック部17に収容され開口74に面するリング12の隙間113が、開口74を通じて棒状部材11の溝102に面する。言い換えると、棒状部材11の軸方向において、リング12、開口74、及び棒状部材11の溝102が、略同一位置に配置される。
【0114】
第1及び第2のレール51,52が棒状部材11に接触することにより、下フレーム14がさらにスタック部17に向かって移動することが制限される。なお、下フレーム14又はスタック部17に、下フレーム14がさらにスタック部17に向かって移動することを制限するストッパが設けられても良い。
【0115】
以上のように、上フレーム16がスタック部17から離間し、互いに近づけられた下フレーム14及びスタック部17が棒状部材11を支持し、可動部材15が下フレーム14に接触する状態における、リング装着装置10の各部分の位置を、保持位置P2と定義する。上フレーム16に対するスタック部17の位置と、下フレーム14に対する可動部材15の位置とは、初期位置P1及び保持位置P2とで共通である。
【0116】
図13は、第1の実施形態のリング装着装置10の一部と、棒状部材11の一部と、移動させられたリング12とを示す例示的な正面図である。レバー19がさらに図3における時計回り方向に回転させられると、第2の離間バネ96が縮み、上フレーム16がスタック部17に近づけられる。言い換えると、上フレーム16は、第2の回転中心Ax2回りに、図3における時計回り方向に回転させられる。
【0117】
図13に示すように、上フレーム16がスタック部17に近づくことで、スタック部17の受け壁73に接触するリング12は、弧状部111が押板43の凹部43c内に収容された状態で、押部43bに支持される。上フレーム16の押板43の押部43bが、当該リング12を下方向に押す。下方向は、棒状部材11の軸方向との交差方向の一例であり、棒状部材11の中心軸C1とほぼ直交する。凹部43cは、リング12が径方向に移動することを抑制し、リング12を径方向に位置決めする。
【0118】
上フレーム16の押部43bがリング12を押すと、リング12がスタック部17の開口74を通り、棒状部材11の溝102に向かって移動させられる。押部43bに押されたリング12の弧状部111の両端部112,112のうち少なくとも一方が、可動部材15の前壁33の端面33aに近接して接触する。すなわち、リング12は、棒状部材11の溝102内に装着される前に、前壁33の端面33aに接触する。さらに詳しく述べると、リング12は、棒状部材11が、リング12の隙間113に挿入され弧状部111が弾性変形する前に、前壁33の端面33aに接触する。言い換えると、押部43bによって押されたリング12の両端部112,112のうち少なくとも一方が前壁33の端面33aに近接して、棒状部材11が隙間113に入る前に前壁33の端面33aに接触する。
【0119】
受け壁73に接触するリング12は、第1及び第2のレール51,52の第1及び第2のガイド62,66から外れ、受け壁73と他のリング12とによって挟持される。このため、図13に示すように、受け壁73に接触するリング12は傾くことがある。リング12が傾く場合、押部43bに押されたリング12の弧状部111の一方の端部112が、可動部材15の前壁33の端面33aに近接して接触する。なお、両端部112,112が、可動部材15の前壁33の端面33aに近接して接触しても良い。
【0120】
図14は、第1の実施形態のリング装着装置10の一部と、棒状部材11の一部と、傾きを矯正されたリング12とを示す例示的な正面図である。レバー19がさらに図3における時計回り方向に回転させられると、上フレーム16の押部43bが、リング12をさらに押す。
【0121】
リング12は、受け壁73及び他のリング12による摩擦力で保持されるため、押板43の凹部43c内で、中心C2回りに周方向にスライド可能である。さらに、押部43bに設けられた凹部43cがリング12に接触するため、リング12は中心C2回りに周方向にスライドしやすい。このため、一方の端部112が前壁33の端面33aに接触するリング12は、押部43bにさらに押されることで回転し、他方の端部112を前壁33の端面33aに接触させる。このように、一方の端部112が前壁33の端面33aに接触した状態で押部43bがリング12を押すことで、図14に示すように、リング12の傾きが矯正される。すなわち、リング12の隙間113が、棒状部材11の溝102に向けられる。
【0122】
図1の捩りバネ97は、可動部材15の回転壁31を、下フレーム14に向かって押す。言い換えると、捩りバネ97は、可動部材15の回転壁31及び前壁33を上方向に押す。このため、リング12の一方の端部112が前壁33に接触した状態で押部43bがリング12を下方向に押したときに、可動部材15の前壁33が下方向に移動することが抑制される。このため、前壁33が図13の位置に保たれた状態で、押部43bが当該前壁33に近づき、リング12を押してその傾きを矯正する。
【0123】
以上のように、上フレーム16がスタック部17に近づけられ、互いに近づけられた下フレーム14及びスタック部17が棒状部材11を支持し、可動部材15が下フレーム14に接触し、リング12の両端部112,112が可動部材15に支持される状態における、リング装着装置10の各部分の位置を、リング支持位置P3と定義する。下フレーム14に対するスタック部17の位置と、下フレーム14に対する可動部材15の位置とは、保持位置P2及びリング支持位置P3とで共通である。
【0124】
図15は、第1の実施形態のリング装着装置10の一部と、棒状部材11の一部と、挿入途中のリング12とを示す例示的な正面図である。図16は、第1の実施形態のリング装着装置10の一部と、棒状部材11の一部と、挿入途中のリング12とを示す例示的な断面図である。図15に示すように、前壁33の端面33aがリング12の両端部112,112を支持した状態で、上フレーム16の押部43bが、リング12をさらに押す。
【0125】
押部43bは、棒状部材11が隙間113を通るように、リング12を下方向に押す。押されるリング12の二つの端部112,112に棒状部材11の溝102の底面が押し当てられ、弧状部111は、端部112,112間の隙間113が広がるように弾性変形する。
【0126】
上記のように、前壁33の端面33aが、リング12の両端部112,112を支持する。このため、可動部材15の前壁33は、リング12を介して、当該リング12を下方向に押す上フレーム16の押部43bに押される。これにより、前壁33は、第1の回転中心Ax1回りに、図16の時計回り方向に回転させられる。別の表現をすれば、棒状部材11の上フレーム16とは反対側に設けられた可動部材15が、リング12を介して上フレーム16の押部43bに押し下げられる。
【0127】
前壁33が回転させられることで、回転壁31が、下フレーム14のネジ25から下方向に離れる。さらに、図15に示すように、前壁33の縁33cが、棒状部材11から下方向に離れる。このように、上フレーム16の押部43bが棒状部材11に近づくのに伴って、可動部材15は、棒状部材11から下方向に離れるように、第1の回転中心Ax1回りに回転させられる。なお、図15に示す状態において、前壁33の縁33cの一部は、棒状部材11の溝102内に位置し、棒状部材11が軸方向に移動することを制限する。
【0128】
図17は、第1の実施形態のリング装着装置10の一部と、棒状部材11の一部と、装着されたリング12とを示す例示的な正面図である。図18は、第1の実施形態のリング装着装置10の一部と、棒状部材11の一部と、装着されたリング12とを示す例示的な断面図である。
【0129】
図17に示すように、上フレーム16の押部43bがリング12をさらに押すとことで、棒状部材11が隙間113を通って、弾性変形する弧状部111の内側に挿入される。棒状部材11が隙間113を通過すると、互いに離れていた二つの端部112,112間は元の位置に戻り、リング12の突起114が溝102内に挿入される。
【0130】
棒状部材11が隙間113を通過する間、可動部材15の前壁33は、リング12を介して、当該リング12を下方向に押す上フレーム16の押部43bにさらに押される。その結果、リング12が溝102内に装着された状態で、前壁33の縁33cは、溝102の外に移動させられる。このため、前壁33による、棒状部材11が軸方向に移動することの制限が解除される。
【0131】
上述のように、前壁33の縁33cは、端面33aからZ軸に沿う正方向に平行に延びる二つの部分と、当該二つの部分を接続する円弧状の部分と、を有する。このため、縁33cの円弧状の部分が溝102の外に出たとしても、溝33cの平行に延びる二つの部分が溝102の中にある場合、前壁33は、棒状部材11が軸方向に移動することを制限する。言い換えると、前壁33は、縁33cの円弧状の部分が溝102の外に出た位置から、さらに所定の距離移動することで、棒状部材11が軸方向に移動することの制限を解除する。
【0132】
以上のように、上フレーム16がスタック部17に近づけられ、互いに近づけられた下フレーム14及びスタック部17が棒状部材11を支持し、可動部材15の前壁33の縁33cが棒状部材11の溝102の外に位置し、リング12の両端部112,112が可動部材15に支持される状態における、リング装着装置10の各部分の位置を、装着位置P4と定義する。下フレーム14に対するスタック部17の位置は、リング支持位置P3及び装着位置P4とで共通である。
【0133】
図3に示す第1の回転中心Ax1から前壁33の端面33aまでの半径Rsは、第2の回転中心Ax2から押板43の押部43bまでの半径Rpよりも小さい。このため、リング支持位置P3から装着位置P4までの区間における、第1の回転中心Ax1回りの可動部材15の回転角度は、第2の回転中心Ax2回りの上フレーム16の回転角度よりも大きい。このため、可動部材15の前壁33の縁33cは、速やかに棒状部材11の溝102から外される。
【0134】
図19は、第1の実施形態のリング装着装置10の一部と、棒状部材11の一部と、位置がずれたリング12とを示す例示的な正面図である。図20は、第1の実施形態のリング装着装置10の一部と、棒状部材11の一部と、位置がずれたリング12とを示す例示的な断面図である。
【0135】
リング装着装置10は、人間であるユーザによって保持される。さらに、棒状部材11は、同じくユーザによって保持され得る。このため、ユーザがリング装着装置10を操作する際に、当該ユーザの手に、例えば力みによってブレ(震え)が生じ得る。当該震えにより、リング装着装置10と棒状部材11とが、棒状部材11の軸方向において相対的に僅かに移動し得る。装着位置P4において前壁33の縁33cが溝102の外に位置するため、リング装着装置10と棒状部材11とは、棒状部材11の軸方向において相対的に移動可能となっている。
【0136】
棒状部材11の軸方向において、可動部材15の前壁33の後方向に、下フレーム14の支持壁23が隣接する。リング12が当該支持壁23に接触するため、リング12が装着された棒状部材11が後方向に移動することは制限される。一方、リング12が装着された棒状部材11は、前方向に移動可能である。
【0137】
図20に示すように、棒状部材11が軸方向(前方向)に移動すると、当該軸方向において、棒状部材11に装着されたリング12の位置と、当該リング12を支持する前壁33の端面33aの位置とがずれる。すなわち、捩りバネ97によって、第1の回転中心Ax1回りに、図20の反時計回り方向に押される可動部材15を支持するリング12が、当該可動部材15から外される。このため、可動部材15は、捩りバネ97によって図20の反時計回り方向に回転させられる。言い換えると、可動部材15の回転壁31が、下フレーム14に向かって移動させられる。
【0138】
捩りバネ97によって回転させられる可動部材15の回転壁31は、下フレーム14のネジ25に衝突し、音を鳴らす。当該音により、ユーザは、溝102へのリング12の装着が完了した状態であることを知ることができる。なお、例えば、回転壁31が下フレーム14の底壁21に衝突することにより、又は前壁33が棒状部材11の周面101に衝突することにより、音が鳴っても良い。
【0139】
溝102へのリング12の装着が完了した状態であることを知ったユーザは、棒状部材11を、下フレーム14とスタック部17との間から引き抜き得る。ユーザがレバー19の操作を解除すれば、第1及び第2の離間バネ95,96により、リング装着装置10の各部分は初期位置P1に戻される。初期位置P1において、下フレーム14はスタック部17から離間する。このため、ユーザは、リング装着装置10から、リング12が装着された棒状部材11を容易に取り外すことができる。
【0140】
以上のように動作する連動機構Mは、アーム34,44,93の位置と、回転中心Ax1〜Ax3の位置と、第1の離間バネ95、第2の離間バネ96、及び捩りバネ97の位置及びバネ定数と、の設定によって、下フレーム14、可動部材15、上フレーム16、及びスタック部17の動く範囲や、動くタイミング、動く速さ等を適宜設定され得る。例えば、本実施形態では、リング12の両端部112,112が、前壁33の端面33aと接触した時点以降に、可動部材15が装着位置P4への移動を開始するよう、各部分のスペックが調整される。
【0141】
図1に示すように、上フレーム16の二つの外側壁42にそれぞれ、ガイド溝121が設けられる。ガイド溝121は、Z軸に沿う方向に延びる孔である。さらに、スタック部17に、ガイド軸122が取り付けられる。ガイド軸122は、Y軸に沿う方向に延び、ガイド溝121に通される。上フレーム16がスタック部17に対して、第2の回転中心Ax2回りに、図3における時計回り方向に回転すると、ガイド軸122はガイド溝121の中を移動する。このようなガイド溝121及びガイド軸122は、上フレーム16とスタック部17との回転をガイドする。
【0142】
第1の実施の形態に係るリング装着装置10において、スタック部17は、棒状部材11の下フレーム14とは反対側に設けられる。スタック部17は、棒状部材11を支持することで、下フレーム14との間に棒状部材11を保持する。すなわち、下フレーム14と、スタック部17とは、二方向(本実施形態においては上方向及び下方向)から棒状部材11を保持する。当該スタック部17は、リング12を押す上フレーム16とは別に下フレーム14と相対的に移動可能に設けられる。これにより、上フレーム16の押部43bがリング12を押す際に、下フレーム14と、スタック部17とによって棒状部材11を保持することができる。従って、リング12が溝102に装着される間に棒状部材11の位置がずれることが抑制され、棒状部材11の位置ずれによるリング12を押すための力の増大やリング12の変形が抑制される。
【0143】
スタック部17の第1のレール51と第2のレール52とは、棒状部材11の周方向に隙間を介して隣接し、棒状部材11を支持する。スタック部17は、第1及び第2のレール51,52によって棒状部材11を支持することで、下フレーム14との間に棒状部材11を保持する。すなわち、下フレーム14の支持壁23の凹面23aと、スタック部17の第1及び第2のレール51,52とは、三点で棒状部材11を保持する。当該スタック部17は、リング12を押す上フレーム16とは別に下フレーム14と相対的に移動可能に設けられる。これにより、上フレーム16の押部43bがリング12を押す際に、下フレーム14と、スタック部17の第1及び第2のレール51,52とによって棒状部材11を保持することができる。従って、リング12が溝102に装着される間に棒状部材11の位置がずれることが抑制され、棒状部材11の位置ずれによるリング12を押すための力の増大やリング12の変形が抑制される。さらに、三点で棒状部材11が支持されるため、保持される棒状部材11が径方向に移動することが抑制される。
【0144】
第1の離間バネ95が下フレーム14をスタック部17から離間する方向に押し、第2の離間バネ96が上フレーム16をスタック部17から離間する方向に押す。すなわち、下フレーム14、第1の離間バネ95、スタック部17、第2の離間バネ96、及び上フレーム16が直列に接続される。第2の離間バネ96は、第1の離間バネ95よりもバネ定数が高い。これにより、例えば、下フレーム14、スタック部17、及び上フレーム16が互いに近づくようにユーザによってリング装着装置10が操作された場合、まずスタック部17と下フレーム14とが互いに近づき、次に上フレーム16とスタック部17とが互いに近づけられ、当該上フレーム16の押部43bがリング12を押す。すなわち、下フレーム14の支持壁23の凹面23aと、スタック部17の第1及び第2のレール51,52とが棒状部材11を保持した後に、上フレーム16の押部43bがリング12を溝102に装着する。従って、リング12が溝102に装着される前及びリング12が溝102に装着される間に棒状部材11の位置がずれることが抑制され、棒状部材11の位置ずれによるリング12を押すための力の増大やリング12の変形が抑制される。
【0145】
下フレーム14と、上フレーム16と、スタック部17とは、同一の第2の回転中心Ax2回りに回転する。これにより、複数の回転軸を設ける必要がなくなり、リング装着装置10の部品点数の増加が抑制される。
【0146】
第2の回転中心Ax2から第1の離間バネ95までの半径Rsp1は、第2の回転中心Ax2から第2の離間バネ96までの半径Rsp2よりも長い。このため、直列に接続された下フレーム14、第1の離間バネ95、スタック部17、第2の離間バネ96、及び上フレーム16に互いに近づくような力が入力された場合、第1の離間バネ95に作用する力は、第2の離間バネ96に作用する力よりも大きくなる。このため、より確実に、下フレーム14とスタック部17の第1及び第2のレール51,52とが棒状部材11を先に保持し、その後に上フレーム16の押部43bがリング12を溝102に装着する。従って、リング12が溝102に装着される間に棒状部材11の位置がずれることが抑制され、棒状部材11の位置ずれによるリング12を押すための力の増大やリング12の変形が抑制される。
【0147】
第1及び第2のレール51,52を有するスタック部17が、リング12を収容する。このため、下フレーム14と、スタック部17の第1及び第2のレール51,52とが棒状部材11を保持したとき、スタック部17に収容されたリング12が、棒状部材11に対して所定の位置(本実施形態において、溝102に面する位置)に配置される。押部43bは、当該位置に配置されたリング12を押すことで、溝102にリング12を装着する。これにより、押部43bに押されるリング12の移動距離が増大することが抑制され、押部43bに押される途中にリング12の位置がずれることが抑制される。
【0148】
第1のレール51と第2のレール52とは平行に延ばされる。これにより、第1及び第2のレール51,52が互いに交差するように延びる場合に比べ、棒状部材11が軸方向にずれたとしても、下フレーム14と、スタック部17の第1及び第2のレール51,52とが棒状部材11を三点で安定的に保持できる。さらに、棒状部材11が支持壁23の凹面23aと第1及び第2のレール51,52とに保持されることで、第1及び第2のレール51,52が延ばされた方向は棒状部材11の軸方向と実質的に平行になる。これにより、第1及び第2のレール51,52はそれぞれ棒状部材11と線接触又は面接触し、第1及び第2のレール51,52が棒状部材11をより安定的に保持できる。
【0149】
第1のレール51の一部と第2のレール52の一部とはそれぞれ、開口74に面するリング12を除く複数のリング12の隙間113に挿入される。すなわち、当該第1及び第2のレール51,52は、複数のリング12のそれぞれの隙間113の向きを揃えるガイドとして用いられる。このような第1及び第2のレール51,52が棒状部材11を保持することで、別途ガイドを設ける必要がなくなり、リング装着装置10の大型化が抑制される。
【0150】
可動部材15の前壁33の縁33cが溝102内に挿入される。これにより、支持壁23の凹面23aと第1及び第2のレール51,52とによって棒状部材11が径方向に移動することが抑制されるとともに、前壁33の縁33cによって棒状部材11が軸方向に移動することが抑制される。
【0151】
複数のリング12を受け壁73に向かって押す押バネ84を支持する第1及び第2の可撓部87,88は、互いに近づくよう弾性変形可能である。従って、第1及び第2の可撓部87,88を互いに近づくように弾性変形した状態で二つの留め壁71の間に配置することで、第1及び第2の可撓部87,88が弾性的に二つの留め孔78に簡単に留められる。
【0152】
捩りバネ97は、可動部材15を下フレーム14に向かって押す。ネジ25は、可動部材15に接触することにより捩りバネ97に押された可動部材15の移動を制限する。当該可動部材15は、リング12を介して、当該リング12を棒状部材11の軸方向との交差方向(下方向)に押す上フレーム16の押部43bによって押されることで、棒状部材11及びネジ25から軸方向との交差方向に離れる。このため、可動部材15は、押部43b及びリング12によってネジ25から離された状態で、捩りバネ97によって下フレーム14に向かって押される。
【0153】
前壁33の縁33cは、可動部材15が、リング12を介して、当該リング12を棒状部材11の軸方向との交差方向に押す上フレーム16の押部43bによって押されることで、溝102の外に移動させられる。すなわち、棒状部材11の軸方向の移動を制限する前壁33の縁33cが溝102から抜かれるため、棒状部材11は軸方向に移動可能となる。溝102にリング12が装着された棒状部材11が軸方向に移動させられることに伴い、可動部材15を押すリング12が軸方向にずれる。可動部材15を支持するリング12が取り除かれるため、捩りバネ97によって押される可動部材15がネジ25に衝突することにより、音が鳴る。なお、可動部材15が棒状部材11に衝突することにより音が鳴っても良い。
【0154】
人間であるユーザがリング装着装置10を扱う場合、リング装着装置10及び棒状部材11を保持する当該ユーザの手にブレ(震え)が生じ得る。当該震えは、棒状部材11の軸方向への僅かな移動を生じさせる。このため、ユーザが意識的に棒状部材11を軸方向へ移動させずとも、リング12が溝102に装着されてから僅かなタイムラグを経て、可動部材15がネジ25に衝突することにより音が鳴り得る。
【0155】
以上のように、可動部材15がネジ25に衝突することにより発生する音によって、リング装着装置10のユーザは、溝102へのリング12の装着が完了した状態であることを知ることができる。上記のように、リング12が溝102に装着されてから音が鳴るまでの間には僅かなタイムラグしか存在しないため、ユーザは、溝102へのリング12の装着が完了したことを知ることができる、と言える。
【0156】
ところで、可動部材15は、リング12を介して押部43bに押されることで、棒状部材11から軸方向との交差方向に離れる。リング12が溝102へ装着されていない場合、可動部材15の前壁33の縁33cの一部は、溝102内に挿入されたまま棒状部材11の軸方向への移動を制限し得る。すなわち、溝102へのリング12の装着が完了していない場合、例えば溝102へ挿入途中のリング12が軸方向にずれることが抑制され、リング12が溝102へ挿入途中の状態で音が鳴ることが抑制される。
【0157】
ネジ25は、下フレーム14に設けられる。これにより、下フレーム14と別の部材によってネジ25を形成する必要がなく、リング装着装置10の大型化が抑制される。
【0158】
第1の回転中心Ax1から可動部材15の前壁33の端面33aまでの半径Rsは、第2の回転中心Ax2から押部43bまでの半径Rpよりも小さい。このため、溝102へのリング12の装着時における、リング12を介して押部43bに押される可動部材15の前壁33が回転させられる角度は、上フレーム16の押部43bが回転させられる角度よりも大きい。従って、リング12を介して押部43bによって押された可動部材15は、ネジ25から十分離れる(回転する)ことができ、ネジ25に衝突したときにユーザに十分認識可能な音を鳴らすことができる。
【0159】
本実施形態において、下フレーム14の支持壁23と、可動部材15の前壁33とは、例えば、合成ゴムのような、弾性変形可能な材料によって作られても良い。このような支持壁23によれば、円弧状の凹面23aの半径が拡大可能である。さらに、このような前壁33によれば、円弧状の縁33cの半径が拡大可能である。このため、支持壁23及び前壁33は、半径の異なる複数種類の棒状部材11を支持することができる。
【0160】
また、下フレーム14の支持壁23は、円弧状の凹面23aの半径が異なる他の支持壁23と交換可能であっても良い。さらに、可動部材15の前壁33は、円弧状の縁33cの半径が異なる他の前壁33と交換可能であっても良い。このため、支持壁23及び前壁33は、半径の異なる複数種類の棒状部材11を支持することができる。
【0161】
図21は、第1の実施形態のリング装着装置10の変形例を示す例示的な正面図である。図21に示すように、前壁33の切欠き33bは、例えば、端面33aからZ軸に沿う正方向に延びる四角形状に形成されても良い。この変形例における縁33cは、端面33aからZ軸に沿う正方向に平行に延びる二つの部分と、Y軸に沿う方向に延びて当該二つの部分を接続する部分と、を有する。切欠き33bのY軸に沿う方向における長さは、下フレーム14の支持壁23の凹面23aの直径よりも小さい。
【0162】
以下に、第2の実施の形態について、図22乃至図25を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0163】
図22は、第2の実施形態のリング装着装置10の例示的な側面図である。図22に示すように、第2の実施形態において、ガイド軸122は、ネジ留めによってスタック部17に取り外し可能に取り付けられる。具体的に例示すると、ガイド軸122は、ガイド溝121を通る軸と、軸の一方の端部に設けられたネジ頭と、軸の他方の端部にネジ留めされたナットとを有する。当該ナットが軸から取り外されることで、ガイド軸122は、スタック部17から取り外し可能となる。このようなガイド軸122は、容易にスタック部17及びガイド溝121から取り外されることができる。
【0164】
第2の実施形態において、捩りバネ97は、下フレーム14の二つの内側壁22の間に配置される。例えば、捩りバネ97の巻部97aが第1の軸35に取り付けられ、第1の延部97bが下フレーム14の底壁21に上方向から接触する。捩りバネ97の第2の延部97cは、可動部材15のアーム34に下方向から接触する。なお、図22及び図23は、説明のため、アーム34から外れた状態の捩りバネ97を示す。捩りバネ97は、可動部材15のアーム34を上方向に押すことで、可動部材15を下フレーム14に向かって押す。なお、捩りバネ97は、可動部材15を下フレーム14に向かって押せば、他の場所に設けられても良い。
【0165】
下フレーム14の底壁21に、ストッパ132が取り付けられる。ストッパ132は、底壁21から、Z軸に沿う正方向に突出する。ストッパ132は、例えばネジ留めによって、底壁21に取り外し可能に取り付けられる。本実施形態におけるストッパ132は、円柱状のネジ頭を有するネジであるが、他の形状に形成されても良い。
【0166】
操作部91の基端部91aがストッパ132に接触することにより、レバー19が下フレーム14に対して所定の角度より大きく回転することが抑制される。基端部91aがストッパ132に接触する状態において、先端部91bは、下フレーム14から離間した位置に配置される。
【0167】
図23は、第2の実施形態のストッパ132が外されたリング装着装置10の例示的な側面図である。例えばリング装着装置10のメンテナンスのため、下フレーム14及び上フレーム16は、以下のように初期位置P1よりもスタック部17から離間させられる。まず、図23に示すように、ストッパ132が下フレーム14の底壁21から外される。底壁21にネジ留めされたストッパ132は、底壁21から容易に取り外される。
【0168】
ストッパ132が底壁21から取り外されると、レバー19は、第3の回転中心Ax3回りに、図23における反時計回り方向に回転させられることが可能となる。レバー19が図23における反時計回り方向に回転させられると、レバー19のアーム93が、上フレーム14のアーム44から離間させられる。
【0169】
レバー19が回転させられることで、例えば、操作部91の基端部91aが下フレーム14の底壁21に接触する。この状態において、レバー19のアーム93は、上フレーム16のアーム44の移動経路から外れる。
【0170】
レバー19のアーム93が上フレーム16のアーム44の移動経路から外れると、レバー19のアーム93による上フレーム16のアーム44の支持が解除される。このため、上フレーム16は、スタック部17から初期位置P1よりも大きく離れることが可能となる。さらに、下フレーム14は、スタック部17から初期位置P1よりも大きく離れることが可能となる。
【0171】
図24は、第2の実施形態の下フレーム14がスタック部17から離間したリング装着装置10の例示的な側面図である。下フレーム14は、第2の回転中心Ax2回りに、図24における時計回り方向に回転させられる。これにより、下フレーム14とスタック部17との間の距離は、初期位置P1よりも大きく開く。
【0172】
一方、上フレーム16がスタック部17から離れようとすると、ガイド軸122が、ガイド溝121を形成する上フレーム16の縁に接触する。このように、ガイド軸122は、上フレーム16がスタック部17から所定の距離より大きく離れることを制限する。
【0173】
図25は、第2の実施形態の上フレーム16がスタック部17から離間したリング装着装置10の例示的な側面図である。図25に示すように、ガイド軸122がスタック部17から外される。ネジ留めによってスタック部17に取り付けられたガイド軸122は、スタック部17から容易に取り外される。
【0174】
ガイド軸122がスタック部17から取り外されると、ガイド溝122による上フレーム16とスタック部17との移動の制限が解除される。上フレーム16は、スタック部17から所定の距離より大きく離れることが可能となる。上フレーム16は、第2の回転中心Ax2回りに、図25における反時計回り方向に回転させられる。これにより、上フレーム16とスタック部17との間の距離は、初期位置P1よりも大きく開く。
【0175】
第2の実施形態において、レバー19は、下フレーム14に移動可能に取り付けられ、上フレーム16を支持することで下フレーム14と上フレーム16とスタック部17とが互いに離間することを制限し、上フレーム16を押すことで下フレーム14と上フレーム16とスタック部17とを互いに近付けることが可能である。そして、ストッパ132は、下フレーム14の底壁21に取り外し可能に取り付けられ、レバー19に接触することで、レバー19が上フレーム16を支持する位置から外れることを制限する。ストッパ132が底壁21から容易に取り外されるため、例えばリング装着装置10のメンテナンス時に、下フレーム14をスタック部17から離間させることができる。
【0176】
ガイド軸122は、ガイド溝121を形成する上フレーム16の縁に接触することで、上フレーム16がスタック部17から離れることを制限する。ガイド軸122は、スタック部17に取り外し可能に取り付けられる。ガイド軸122がスタック部17から容易に取り外されるため、例えばリング装着装置10のメンテナンス時に、上フレーム16をスタック部17から離間させることができる。
【0177】
以下、本発明の例示的な第3の実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成や制御、ならびに当該構成や制御によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成や制御以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成や制御によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)を得ることが可能である。
【0178】
図26に示すように、リング装着装置200は、一方向に細長い外観を呈している。以下では、便宜上、リング装着装置200の長手方向をX方向とする。
【0179】
リング装着装置200は、ベース部210や、上側可動部220、下側可動部230、操作レバー240等を備えている。上側可動部220、下側可動部230、および操作レバー240は、それぞれ、ベース部210に、X方向と直交する方向に延びる回転中心Ax11,Ax12,Ax13回りに回転可能に支持されている。以下では、便宜上、回転中心Ax11,Ax12,Ax13が延びる方向をY方向とし、X方向およびY方向と直交する方向のうち上側可動部220の移動する前方側を、Z方向とする。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交している。上側可動部220は、第1の可動部の一例であり、下側可動部230は、第2の可動部の一例であり、操作レバー240は、操作部の一例である。
【0180】
また、図26に示すように、本実施形態のリング装着装置200では、ベース部210は、図26の上方に向けて開放された形状を有しており、当該開放された部分が、図26の下方に向けて開放された形状の上側可動部220によって覆われている。すなわち、ベース部210および上側可動部220は、リング装着装置200のケースの一部を構成している。また、リング装着装置200は、レール201、プッシュロッド202、およびプッシャフレーム203を備えている。複数のリング260がプッシャフレーム203に収容され、レール201に沿ってX方向に案内されながらプッシュロッド202によってX方向の先端側(図26の右下側)に送られる。レール201、プッシュロッド202、およびプッシャフレーム203は、ベース部210に一体で着脱可能に構成されている。
【0181】
リング装着装置200は、図27に例示されるような棒状部材270に、図28に例示されるような装着用の隙間263が設けられたリング260を装着する。棒状部材270は、円柱状かつ棒状の所謂丸棒部材であり、円筒状の側面271を有している。側面271には、棒状部材270の中心軸C11の周方向に沿って延びる溝272が設けられている。リング260は、溝272に挿入された状態で、棒状部材270を周方向に囲うように装着される。なお、溝272の断面は、四角形状である。また、溝272の位置や、棒状部材270の断面形状、直径、長さ等は、図27には、限定されない。すなわち、溝272は、図27よりも棒状部材270の端面274からより遠い位置に設けられてもよい。また、棒状部材270には、図示されないが、部分的に、径方向と直交するフラット部が設けられてもよい。フラット部が設けられた部分では、棒状部材270の断面形状は、D字状である。よって、当該部分は、Dカット部とも称されうる。また、溝272は、Dカット部が設けられた位置の側面271に設けられてもよい。
【0182】
リング260は、円弧状に延びる弧状部261を有する。弧状部261は、中心C12の周方向に延びている。弧状部261の周方向の二つの端部262,262は互いに面しており、これら端部262,262の間に隙間263が設けられている。また、弧状部261および端部262には、径方向の内側に向けて突出する突起264が設けられている。弧状部261は、鉄系材料等の弾性変形可能な金属材料によって構成されている。
【0183】
リング260の二つの端部262,262に棒状部材270の溝272の底面が押し当てられると、弧状部261は、端部262,262間の隙間263が広がるように弾性変形する。この状態で、棒状部材270が隙間263を通って弧状部261の内側に挿入される。棒状部材270が隙間263を通過すると、互いに離れていた二つの端部262,262間は元の位置に戻る。このようにして、リング260の突起264が溝272内に挿入され、棒状部材270を囲う状態が得られる。
【0184】
リング装着装置200は、棒状部材270の溝272に、リング260を装着する。具体的には、図29,30に示すように、リング装着装置200は、まず、環状の溝272の径方向の外側(図29,30では上方)にリング260が位置するよう、棒状部材270とリング260とを支持する。この際、リング装着装置200は、棒状部材270の中心軸C11とリング260の中心C12とが略平行となり、かつリング260の端部262が棒状部材270の側面271と面した姿勢で、棒状部材270とリング260とを支持する。なお、この状態では、中心軸C11および中心C12とリング装着装置200の長手方向(X方向)とが略平行である。
【0185】
棒状部材270は、リング装着装置200のベース部210と下側可動部230とによって、支持されている。ベース部210は、円弧状の凹面211a(凹部)が設けられた支持部211を有している。凹面211aによって、棒状部材270の側面271が支持される。凹面211aは、棒状部材270を径方向に支持している。凹面211aは、棒状部材270が径方向に移動するのを抑制し、棒状部材270を径方向に位置決めしている。凹面211aおよび支持部211は、第1の支持部の一例である。
【0186】
下側可動部230には、X方向と交差する方向、すなわちY方向およびZ方向(YZ平面)に沿って広がる板状部231が設けられている。板状部231には、円弧状の凹部231bが設けられている。棒状部材270は、凹部231bの縁部231cが溝272に挿入された状態で、板状部231に支持される。縁部231cは、棒状部材270が軸方向に移動するのを抑制し、棒状部材270を軸方向に位置決めしている。縁部231cは、第3の支持部の一例である。なお、縁部231cは、棒状部材270が径方向に移動するのを抑制し、棒状部材270を径方向に位置決めしてもよい。
【0187】
ここで、本実施形態では、支持部211(凹面211a)は、板状部231とX方向、すなわち棒状部材270の軸方向に隣接して設けられている。よって、本実施形態によれば、溝272から端面274までの距離が短い場合にあっても、支持部211および凹面211aは、棒状部材270の側面271を支持することができる。
【0188】
そして、図31,32に示すように、操作レバー240の移動に伴って、上側可動部220が、Z方向(図31,32の下方)へ移動(回動)し、リング260を棒状部材270にZ方向に近づけて、溝272内に挿入する。上側可動部220には、初期位置において、X方向と交差する方向、すなわちY方向およびZ方向(YZ平面)に沿って広がる板状部221が設けられている。板状部221には、凹部221aが設けられている。リング260は、弧状部261が凹部221a内に収容された状態で、板状部221に支持される。凹部221aの縁部221bにより、リング260がZ方向に押される。本実施形態では、板状部221および縁部221bは、押部の一例である。凹部221aの縁部221bは、リング260が径方向に移動するのを抑制し、リング260を径方向に位置決めしている。
【0189】
また、図31,32に示すように、本実施形態では、操作レバー240の移動に伴って下側可動部230がZ方向へ移動(回動)し、棒状部材270から離れる。よって、本実施形態によれば、リング260が装着された棒状部材270が、取り出されやすい。また、この状態では、図32に示すように、板状部231の端部231aは、棒状部材270の側面271よりも径方向の外側に位置される。よって、本実施形態によれば、リング260が装着された棒状部材270が、より一層取り出されやすい。
【0190】
上述した上側可動部220および下側可動部230の動作は、図33〜35に例示される連動機構250によって実現されている。連動機構250は、操作レバー240に設けられたアーム部241と、上側可動部220に設けられたアーム部222と、下側可動部230に設けられたアーム部232とを有している。操作レバー240、上側可動部220、および下側可動部230は、いずれもベース部210に回動可能に支持されている。これらの回転中心Ax13,Ax11,Ax12(図33〜35にはAx13のみ図示)は、いずれもY方向に沿って延びている。よって、アーム部241,222,232は、いずれも、XZ平面に沿って移動する。操作レバー240は、初期位置では、ベース部210からZ方向に離れて位置されており、操作者によって操作レバー240のハンドル部242(図26参照)がベース部210に近付く方向に動かされる。ハンドル部242がベース部210に近付く方向は、Z方向の反対方向、すなわち図33〜35の上方向である。また、操作レバー240では、ハンドル部242とアーム部241とは、回転中心Ax13を挟んで互いに反対側に位置されている。よって、ハンドル部242のベース部210へ近付く方向、すなわち、Z方向の反対方向(図33〜35の上方向)への動きに伴って、アーム部241は、Z方向、すなわち図33〜35の下方向へ回動する。上側可動部220のアーム部222および下側可動部230のアーム部232は、操作レバー240のアーム部241の移動経路と重なって設けられている。よって、図33〜35に示されるように、アーム部241のZ方向への移動に伴って、アーム部241にZ方向に押されてアーム部222ひいては上側可動部220がZ方向へ移動し、さらにZ方向へ移動するアーム部241およびアーム部222に押されてアーム部232ひいては下側可動部230がZ方向へ移動する。図35の位置では、操作レバー240に設けられたストッパ243がベース部210と接触し、これ以上の動きが抑制される。このように、上側可動部220および下側可動部230は、操作レバー240の動きに機械的に連動して動くとともに、上側可動部220および下側可動部230が互いに機械的に連動して動く。このような連動機構250によれば、アーム部241,222,232や、回転中心Ax13,Ax11,Ax12の配置の設定によって、上側可動部220および下側可動部230の動く範囲や、動くタイミング、動く速さ等を設定することができる。なお、本実施形態では、下側可動部230のアーム部232は、上側可動部220のアーム部222によって動かされるが、これには限定されず、操作レバー240のアーム部241によって動かされてもよい。なお、操作レバー240、上側可動部220、および下側可動部230は、それぞれ、回転中心Ax13,Ax11,Ax12に回転可能に支持されている。よって、本実施形態では、操作レバー240、上側可動部220、下側可動部230、アーム部241,222,232、および板状部221,231の移動経路は、X方向と交差する円弧状(円筒面状)である。また、操作レバー240、上側可動部220、および下側可動部230は、それぞれ、初期位置にP2S,P3Sに向けて不図示の付勢機構によって付勢されている。付勢機構は、例えば、コイルスプリングやトーションスプリング等の弾性部材を有しうる。操作レバー240、上側可動部220、および下側可動部230は、付勢機構によって、いずれも、図33〜35の視線では、回転中心Ax13,Ax11,Ax12回りに反時計回り方向に付勢されている。
【0191】
図36には、上側可動部220の回転中心Ax11と上側可動部220のアーム部222が操作レバー240のアーム部241(図36には不図示)から押される力点との間の半径R1p、上側可動部220の回転中心Ax11と上側可動部220の作用点としての板状部221との間の半径R1a、下側可動部230の回転中心Ax12と下側可動部230が上側可動部220のアーム部222から押される力点との間の半径R2p、および下側可動部230の回転中心Ax12と作用点としての板状部231との間の半径R2aが、示されている。図36に示される半径R1p,R1a,R2p,R2aから、本実施形態では、下側可動部230のてこ比(R2a/R2p)が上側可動部220のてこ比(R1a/R1p)よりも大きく設定されていることが理解できよう。すなわち、操作レバー240のアーム部241の同一ストローク(移動量、回転角度)に対して、下側可動部230は上側可動部220よりも大きく動く。よって、上側可動部220がリング260を棒状部材270の装着位置へ移動させる直前に、下側可動部230は、図31,32に示された、板状部231の端部231aが棒状部材270の側面271よりも径方向の外側となる位置、すなわち待避位置へ、速やかに移動することができる。また、上側可動部220のてこ比(R1a/R1p)は、下側可動部230のてこ比(R2a/R2p)よりも小さく、1に近い値である。よって、板状部221の回動半径を比較的大きくでき、板状部221ひいてはリング260を、X方向と直交するYZ平面に沿ったより直線的な円弧状の経路で動かすことができる。溝272は、棒状部材270が支持部211に支持された状態でYZ平面に沿って延びるとともに開口されている。よって、リング260が挿入されやすくなる。また、本実施形態では、上側可動部220の回転中心Ax11および下側可動部230の回転中心Ax12が、操作レバー240の回転中心Ax13を挟んで互いに反対側に配置されている。よって、上述したようなてこ比が得られやすい。回転中心Ax11は、第1の回転中心の一例であり、回転中心Ax12は、第2の回転中心の一例である。
【0192】
図37〜40には、リング260が棒状部材270にZ方向に近付いて装着されるまでのベース部210、上側可動部220、下側可動部230、およびリング260の状態の一例が示されている。なお、図37〜40には、上側可動部220(板状部221)の位置がP2S〜P2Eで示され、下側可動部230(板状部231)の位置がP3S〜P3Eで示されている。また、他の図にも、板状部221および板状部231の位置が同符号で示されている。なお、図37〜40には、上側可動部220の初期位置での状態は示されていない。
【0193】
図37に示すように、本実施形態では、リング260は装着位置へ到達する前に、板状部231の端部231aに接触する。この場合に、図37に示されるように、リング260が傾いていた場合、リング260の二つの端部262のうち一方のみが、下側可動部230の板状部231の端部231aに当たる。本実施形態では、この状態から、操作レバー240(図37〜40には図示されず)の操作によって、上側可動部220がZ方向に図37の位置P22から図38の位置P23へ移動した場合にあっても、下側可動部230は図37と同じ位置P3S(初期位置)にある。よって、図38の状態では、図37の状態よりも、板状部221の縁部221bと板状部231の端部231aとの距離が短くなる。このような板状部221,231の動きは、図37,38に示されるように、上側可動部220のアーム部222と下側可動部230のアーム部232とが離れており、下側可動部230が、上側可動部220と連動せず、不図示の付勢機構によって付勢される等によって、位置P3S(初期位置)のまま維持されていることによる。また、リング260は、板状部221の凹部221a内で、中心C12回りに周方向にスライド可能に支持されている。したがって、本実施形態によれば、図37,38に示されるように、下側可動部230の位置P3Sでの静止と、上側可動部220の位置P22から位置P23への移動とによって、リング260の傾きが矯正される。上側可動部220の位置P2S(初期位置)〜位置P23の間の区間D1において、下側可動部230は、上側可動部220から切り離され、上側可動部220と下側可動部230とは連動していない。このように、上側可動部220の経路PTに区間D1が設けられることにより、板状部221と板状部231との距離が縮まり、リング260の傾きが矯正されうる。区間D1は、上側可動部220と下側可動部230とが切り離された非連動の第1の区間の一例である。また、端部231aは、第2の支持部の一例である。
【0194】
図39には、操作レバー240の操作によって上側可動部220が、図38の位置P23よりもさらにZ方向へ移動し、位置P24に位置されている状態が示されている。図39に示されるように、本実施形態では、上側可動部220が位置P24に到達した時点で、上側可動部220のアーム部222と下側可動部230のアーム部232とが接触する。すなわち、上側可動部220の経路PTのうち、上側可動部220の位置P23と位置P24との間の区間D3では、アーム部222とアーム部232とは接触していない。しかしながら、図38の状態と図39の状態との間で、下側可動部230は、上側可動部220から、リング260を介してZ方向に押される。すなわち、この区間D3において、下側可動部230は、リング260を介して、上側可動部220と連動している。このように、上側可動部220の経路PTに区間D3が設けられることにより、リング260が板状部221と板状部231との間に挟まれて、リング260の傾きがより確実に矯正されうる。区間D3は、上側可動部220と下側可動部230とがリング260を介して連動する第3の区間の一例である。
【0195】
図40には、操作レバー240の操作によって上側可動部220が図39の位置P24よりもさらにZ方向へ移動し、位置P2E(終点位置)に位置されている状態が示されている。図40に示すように、上側可動部220が位置P2Eに位置された時点で、リング260は棒状部材270の溝272に装着される。また、図39の状態から上側可動部220のアーム部222と下側可動部230のアーム部232との連動によってZ方向へ移動する下側可動部230は、位置P3E(終点位置、待避位置)に位置される。上側可動部220の経路PTのうち、上側可動部220の位置P24と位置P2Eとの間の区間D2は、上側可動部220と下側可動部230とがリング260によらず連動する第2の区間の一例である。上述したように、てこ比の設定により、この区間D2において、下側可動部230は速やかに位置P3E(終点位置、待避位置)へ移動する。なお、本実施形態では、例えば、リング260の二つの端部262のうち少なくとも一方、できれば両方が、棒状部材270と接触した時点以降に、下側可動部230が位置P3Eへの移動を開始するよう、各部のスペックが調整されうる。すなわち、板状部221の縁部221bによって押されたリング260の両端部262,262のうち少なくとも一方は板状部231の端部231aに近接して、棒状部材270が隙間263に入る前に板状部231の端部231aに接触する。
【0196】
また、図41〜43に示すように、本実施形態によれば、棒状部材270にフラット部73が設けられていた場合にあっても、支持部211の凹面211aおよび板状部231の凹部231bの縁部231cによって、棒状部材270を、中心軸C11回りの角度によらず、同じ位置に支持することができる。これは、凹部231bの開口端でもある板状部231の端部231aが、中心軸C11のZ方向とは反対側に位置されているため、すなわち、板状部231に、棒状部材270の中心軸C11を収容する大きさの凹部231bが設けられ、縁部231cによって棒状部材270の溝272が設けられた部分を支持しているためである。
【0197】
以上、説明したように、本実施形態では、リング装着装置200は、上側可動部220(第1の可動部)と下側可動部230(第2の可動部)とを備えた。上側可動部220は、棒状部材270に近付き、リング260を棒状部材270に装着する。また、下側可動部230は、上側可動部220とは反対側で棒状部材270を支持した位置P3Sから、上側可動部220の移動に伴って棒状部材270から離間する。よって、本実施形態によれば、例えば、リング装着装置200から、リング260が装着された棒状部材270が、取り出されやすい。また、本実施形態では、下側可動部230が、リング260の両側の端部262のうち少なくとも一方を支持する端部231a(板状部231、第2の支持部)を有する。よって、本実施形態によれば、例えば、リング260を端部231aで支持しながら装着位置へより確実に案内したり、あるいは、端部231aによってリング260の姿勢を矯正したりすることができる。このように、本実施形態によれば、より確実にリング260を棒状部材270に装着できたり、あるいは、リング260を棒状部材270により容易に装着できたりなど、より不都合の少ない新規な構成のリング装着装置200を得ることができる。
【0198】
また、本実施形態では、リング装着装置200は、上側可動部220と下側可動部230とが連動する連動機構250を備え、リング装着装置200には、上側可動部220の経路PTにおいて、上側可動部220と下側可動部230とが切り離されて連動しない区間D1(第1の区間)と、上側可動部220と下側可動部230とが連動する区間D2(第2の区間)とが設けられている。よって、本実施形態によれば、例えば、区間D1において上側可動部220と下側可動部230とを近づけて、リング260の姿勢を矯正することができる。
【0199】
また、本実施形態では、リング装着装置200は、操作レバー240(操作部)を備え、操作レバー240を介して、上側可動部220と下側可動部230との連動および非連動を切り替えている。よって、本実施形態によれば、例えば、比較的簡素な構成によって、上側可動部220と下側可動部230とが連動する連動機構250を実現することができる。
【0200】
また、本実施形態では、回転中心Ax12(第2の回転中心)から板状部231(第2の支持部)までの半径R2aの、回転中心Ax12から下側可動部230(第2の可動部)を動かす力の入力位置までの半径R2pに対するてこ比(R2a/R2p、第2のてこ比)は、回転中心Ax11(第1の回転中心)から板状部221(押部)までの半径R1aの、回転中心Ax11から上側可動部220(第1の可動部)を動かす力の入力位置までの半径R1pに対する(R1a/R1p、第1のてこ比)よりも大きい。よって、本実施形態によれば、例えば、下側可動部230が、板状部231の端部231aが棒状部材270の側面271よりも径方向の外側となる位置、すなわち待避位置へ、速やかに移動することができる。
【0201】
また、本実施形態では、上側可動部220(第1の可動部)と下側可動部230(第2の可動部)とがリング260を介して連動する区間D3(第3の区間)が設けられた。よって、本実施形態によれば、例えば、リング260の姿勢がより矯正されやすい。
【0202】
また、本実施形態では、板状部221(押部)は、リング260を弧状部261の周方向にスライド可能に支持する。よって、本実施形態によれば、例えば、リング260の姿勢がより矯正されやすい。
【0203】
また、本実施形態では、支持部211(第1の支持部)は、少なくとも棒状部材270が径方向に移動するのを抑制するよう、棒状部材270を支持する。よって、本実施形態によれば、例えば、下側可動部230が移動した状態でも、棒状部材270を支持することができる。
【0204】
また、本実施形態では、支持部211(第1の支持部)は、棒状部材270に近付いた位置にある下側可動部230(第2の可動部)と棒状部材270の中心軸C11の軸方向(X方向)に隣接して設けられた。よって、本実施形態によれば、例えば、支持部211により、溝272と端面274との距離が短い棒状部材270を、支持することができる。
【0205】
また、本実施形態では、第2の支持部は、板状部231の端部231aに設けられ、第3の支持部は、端部231aに開口された凹部231bの縁部231cに設けられた。よって、本実施形態によれば、例えば、下側可動部230(第2の可動部)に、比較的簡素な構成によって、第2の支持部と第3の支持部とを実装することができる。
【0206】
以上、本発明の実施形態および変形例を例示したが、上記実施形態および変形例は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。これら実施形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。また、各構成や形状等のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0207】
例えば、連動機構の構成や配置、回転中心の配置、第1の可動部、第2の可動部、および操作部等の移動経路および区間等は、適宜に変更可能である。また、操作部や、第1の可動部、第2の可動部等は、いずれも円弧状に移動したが、直線状に移動してもよい。また、操作部や、第1の可動部、第2の可動部等は、手動によらず、アクチュエータによって動くものであってもよい。また、リング装着装置は、可搬型のものには限定されず、機械に組み込まれるようなものであってもよい。また、装着の対象となるリングは、Cリング等の他のリングであってもよいし、リングが装着される棒状部材も他の形状であってもよい。
【0208】
また、例えば、図44に示すリング装着装置200Aでは、下側可動部230の板状部231は、Y方向に分割された二つの部材231A,231AがZ方向に延びた弾性部材231Bによって結合された構成としてもよい。このように凹部231bが拡大あるいは縮小可能となるよう、板状部231が変形可能に構成されることにより、リング装着装置200Aが、サイズの異なる棒状部材270に適用されうる。また、リング装着装置200Aにおいて、下側可動部230あるいは板状部231が、着脱可能に構成され、棒状部材270のスペック(サイズ)に応じて変更可能に構成されてもよい。
【0209】
また、例えば、図45に示すリング装着装置200Bでは、ベース部210が、支持部211に加え、支持部212を有している。支持部212は、棒状部材270の支持部211とは反対側で設けられ、支持部211とともに棒状部材270を支持する。支持部212は、棒状部材270が径方向に移動するのを抑制し、棒状部材270を径方向に位置決めしている。支持部212は、支持部211とともに第1の支持部の一例である。なお、支持部211と支持部212とは、一体の部品であっても良く、別個の部品であっても良い。
【0210】
棒状部材270は、支持部211の凹部211aと、支持部212との間に挿入されることで、二つの支持部211,212に支持される。支持部211と支持部212との間の空間の大きさは、棒状部材270の断面形状の大きさよりも僅かに大きい。
【0211】
本実施形態では、支持部211,212(第1の支持部)は、少なくとも棒状部材270が径方向に移動するのを抑制するよう、棒状部材270を支持する。よって、本実施形態によれば、例えば、下側可動部230が移動した状態でも、棒状部材270を支持することができる。
【符号の説明】
【0212】
10…リング装着装置、11…棒状部材、12…リング、14…下フレーム、15…可動部材、16…上フレーム、17…スタック部、18…プッシャ、19…レバー、23…支持壁、23a…凹面、25…ネジ、33…前壁、33a…端面、33b…切欠き、33c…縁、43…押板、43b…押部、51…第1のレール、52…第2のレール、53…スタッカ、71…留め壁、73…受け壁、74…開口、78…留め孔、81…留め部材、84…押バネ、87…第1の可撓部、88…第2の可撓部、95…第1の離間バネ、96…第2の離間バネ、97…捩りバネ、101…周面、102…溝、111…弧状部、112…端部、113…隙間、200,200A,200B…リング装着装置、210…ベース部、211,212…第1の支持部、220…上側可動部(第1の可動部)、221…板状部(押部)、221b…縁部(押部)、230…下側可動部(第2の可動部)、231…板状部、231a…端部(第2の支持部)、231b…凹面、231c…縁部(第3の支持部)、240…操作レバー(操作部)、250…連動機構、260…リング、261…弧状部、262,262…端部(両端部)、263…隙間、270…棒状部材、272…溝、Ax1…第1の回転中心、Ax2…第2の回転中心、Ax3…第3の回転中心、Rp,Rs,Rsp1,Rsp2…半径、PT…(移動)経路、D1…第1の区間、D2…第2の区間、D3…第3の区間。
図1
図2
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