(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0015】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0016】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことはいうまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0017】
以下、代表的な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0018】
さらに、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見やすくするためにハッチングを省略する場合もある。
【0019】
(実施の形態1)
<半導体装置のレイアウト構成例>
初めに、本実施の形態1の半導体装置のレイアウト構成例について説明する。
図1は、実施の形態1の半導体装置のレイアウト構成例を示す図である。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態1の半導体装置は、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cを備えている。
【0021】
後述する
図2を用いて説明するように、メモリセル領域1Aには不揮発性メモリとしてのメモリセルが形成されている。
【0022】
不揮発性メモリとしてのメモリセルは、書き込み動作および消去動作とも電気的に書き換え可能な不揮発性メモリの一種であり、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリとも呼ばれる。本実施の形態1では、不揮発性メモリとしてのメモリセルは、MONOS型トランジスタから構成される。MONOS型トランジスタの書き込み動作にはソースサイド注入(Source Side Injection:SSI)、消去動作には、例えばバンド間トンネル(Band-To-Band Tunneling:BTBT)現象が利用される。
【0023】
一方、高電圧MISFET領域1Bには、高電圧のMISFET、言い換えれば高耐圧のMISFETが形成され、低電圧MISFET領域1Cには、低電圧のMISFET、言い換えれば低耐圧のMISFETが形成されている。
【0024】
高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cは、周辺回路が形成される周辺回路領域である。ここで、周辺回路とは、メモリセル以外の回路であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、制御回路、センスアンプ、カラムデコーダ、ロウデコーダ、入出力回路などである。
【0025】
<半導体装置の構造>
次に、本実施の形態1の半導体装置の構造について説明する。
図2は、実施の形態1の半導体装置の要部断面図である。また、本実施の形態1においては、メモリセル、高電圧MISFET、低電圧MISFETがnチャネル型の場合について説明する。導電型を逆にしてpチャネル型とすることもできる。
【0026】
図2に示すように、半導体装置は、半導体基板1を有する。半導体基板1は、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体ウェハである。
【0027】
半導体基板1は、半導体基板1の主面1aの一部の領域として、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cを有する。メモリセル領域1Aには、不揮発性メモリとしてのメモリセルMCが形成されている。高電圧MISFET領域1Bには、高電圧のMISFET、言い換えれば高耐圧のMISFETであるMISFET10Hが形成されている。低電圧MISFET領域1Cには、低電圧のMISFET、言い換えれば低耐圧のMISFETであるMISFET10Lが形成されている。
【0028】
メモリセル領域1Aと高電圧MISFET領域1Bとは、互いに隣り合っていてもよく、互いに隣り合っていなくてもよい。メモリセル領域1Aと低電圧MISFET領域1Cとは、互いに隣り合っていてもよく、互いに隣り合っていなくてもよい。高電圧MISFET領域1Bと低電圧MISFET領域1Cとは、互いに隣り合っていてもよく、互いに隣り合っていなくてもよい。
【0029】
図2の断面図においては、一例として、メモリセル領域1Aと高電圧MISFET領域1Bとが互いに隣り合い、高電圧MISFET領域1Bと低電圧MISFET領域1Cとが互いに隣り合う場合を図示している。このとき、境界領域1Dは、互いに隣り合うメモリセル領域1Aと高電圧MISFET領域1Bとの間に配置され、境界領域1Eは、境界領域1Dと高電圧MISFET領域1Bとの間に配置されている。境界領域1Dには、境界部としての膜部BP1が形成され、境界領域1Eには、境界部としての膜部BP2が形成されている。
【0030】
初めに、メモリセル領域1Aに形成されたメモリセルMCの構成を具体的に説明する。
【0031】
メモリセル領域1Aにおいて、半導体装置は、活性領域AR1を有する。活性領域AR1は、素子分離領域としての境界領域1Dおよび1Eにより囲まれている。境界領域1Dおよび1Eでは、半導体基板1の主面1aに素子分離溝1bが形成されており、素子分離溝1bには、素子分離膜2が形成されている。素子分離膜2は、素子分離溝1bに埋め込まれた絶縁膜2aを含む。活性領域AR1は、素子分離膜2により規定、すなわち区画され、素子分離膜2により他の活性領域と電気的に分離されており、活性領域AR1には、p型ウェルPW1が形成されている。すなわち、活性領域AR1は、p型ウェルPW1が形成された領域である。p型ウェルPW1は、p型の導電型を有する。
【0032】
図2に示すように、メモリセル領域1Aのp型ウェルPW1には、メモリトランジスタMTおよび制御トランジスタCTからなるメモリセルMCが形成されている。メモリセル領域1Aには、実際には複数のメモリセルMCがアレイ状に形成されており、
図2には、そのうちの1つのメモリセルMCの断面が示されている。メモリセルMCは、半導体装置に備えられた不揮発性メモリに含まれている。
【0033】
メモリセルMCは、スプリットゲート型のメモリセルである。すなわち、
図2に示すように、メモリセルMCは、制御ゲート電極CGを有する制御トランジスタCTと、制御トランジスタCTに接続され、メモリゲート電極MGを有するメモリトランジスタMTと、を有する。
【0034】
図2に示すように、メモリセルMCは、n型の半導体領域MSと、n型の半導体領域MDと、制御ゲート電極CGと、メモリゲート電極MGと、を有する。n型の半導体領域MSと、n型の半導体領域MDとは、p型の導電型とは反対の導電型であるn型の導電型を有する。また、メモリセルMCは、制御ゲート電極CGと半導体基板1のp型ウェルPW1との間に形成されたゲート絶縁膜GIcと、メモリゲート電極MGと半導体基板1のp型ウェルPW1との間、および、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間に形成されたゲート絶縁膜GImと、を有する。すなわち、ゲート絶縁膜GIcと、制御ゲート電極CGと、ゲート絶縁膜GImと、メモリゲート電極MGとにより、不揮発性メモリとしてのメモリセルMCが形成されている。
【0035】
制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、それらの互いに対向する側面、すなわち側壁の間にゲート絶縁膜GImを介した状態で、半導体基板1の主面1aに沿って延在し、並んで配置されている。制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの延在方向は、
図2の紙面に垂直な方向である。制御ゲート電極CGは、半導体領域MDと半導体領域MSとの間に位置する部分のp型ウェルPW1上に、すなわち半導体基板1の主面1a上に、ゲート絶縁膜GIcを介して形成されている。また、メモリゲート電極MGは、半導体領域MDと半導体領域MSとの間に位置する部分のp型ウェルPW1上に、すなわち半導体基板1の主面1a上に、ゲート絶縁膜GImを介して形成されている。また、半導体領域MS側にメモリゲート電極MGが配置され、半導体領域MD側に制御ゲート電極CGが配置されている。制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、メモリセルMC、すなわち不揮発性メモリを形成するゲート電極である。
【0036】
制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとは、間にゲート絶縁膜GImを介在して互いに隣り合っており、メモリゲート電極MGは、制御ゲート電極CGの側面上、すなわち側壁上に、ゲート絶縁膜GImを介してサイドウォールスペーサ状に形成されている。また、ゲート絶縁膜GImは、メモリゲート電極MGと半導体基板1のp型ウェルPW1との間の領域と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間の領域の、両領域にわたって延在している。
【0037】
制御ゲート電極CGとp型ウェルPW1との間に形成されたゲート絶縁膜GIcは、制御トランジスタCTのゲート絶縁膜として機能する。また、メモリゲート電極MGとp型ウェルPW1との間に形成されたゲート絶縁膜GImは、メモリトランジスタMTのゲート絶縁膜として機能する。
【0038】
ゲート絶縁膜GIcは、半導体基板1上に形成された絶縁膜3を含む。絶縁膜3は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜もしくは酸窒化シリコン膜、または、窒化シリコン膜よりも高い比誘電率を有する高誘電率膜、すなわちいわゆるHigh−k膜からなる。なお、本願明細書では、High−k膜または高誘電率膜とは、窒化シリコンの比誘電率(例えば7.0〜8.0程度)よりも高い比誘電率、例えば8.0よりも高い比誘電率を有する膜を意味する。一方、本願明細書では、窒化シリコンの比誘電率以下の比誘電率、例えば8.0以下の比誘電率を有する膜を、低誘電率膜と称する場合がある。高誘電率膜の材料として、例えば、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化タンタル(Ta
2O
5)または酸化ランタン(La
2O
3)などの金属酸化物を用いることができる。
【0039】
ゲート絶縁膜GImは、絶縁膜6を含む。絶縁膜6は、酸化シリコン膜6aと、酸化シリコン膜6a上の電荷蓄積部としての窒化シリコン膜6bと、窒化シリコン膜6b上の酸化シリコン膜6cと、を含み、ONO(Oxide Nitride Oxide)膜と称される積層膜からなる。なお、メモリゲート電極MGとp型ウェルPW1との間のゲート絶縁膜GImは、前述したように、メモリトランジスタMTのゲート絶縁膜として機能する。一方、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間のゲート絶縁膜GImは、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間を絶縁、すなわち電気的に分離するための絶縁膜として機能する。
【0040】
絶縁膜6のうち、窒化シリコン膜6bは、電荷を蓄積するための絶縁膜であり、電荷蓄積部として機能する。すなわち、窒化シリコン膜6bは、絶縁膜6中に形成された、トラップ準位を有するトラップ性絶縁膜である。このため、絶縁膜6は、その内部に電荷蓄積部を有する絶縁膜とみなすことができる。
【0041】
なお、トラップ準位を有するトラップ性絶縁膜として、窒化シリコン膜に代え、例えば酸化アルミニウム(アルミナ)膜、酸化ハフニウム膜または酸化タンタル膜など、窒化シリコン膜よりも高い誘電率を有する高誘電率膜を用いることもできる。
【0042】
窒化シリコン膜6bの上下に位置する酸化シリコン膜6cおよび酸化シリコン膜6aは、電荷を閉じ込める電荷ブロック層として機能することができる。窒化シリコン膜6bを酸化シリコン膜6cおよび酸化シリコン膜6aで挟んだ構造とすることで、窒化シリコン膜6bへの電荷の蓄積が可能となる。
【0043】
制御ゲート電極CGは、ゲート絶縁膜GIc上に形成された導電膜4を含む。導電膜4として、シリコンを含む導電膜を用いることができ、例えばn型の不純物が導入された多結晶シリコン膜を含むn型ポリシリコン膜などを用いることができる。
【0044】
メモリゲート電極MGは、導電膜7を含む。導電膜7として、シリコンを含む導電膜を用いることができ、例えばn型の不純物が導入された多結晶シリコンを含むn型ポリシリコン膜などを用いることができる。メモリゲート電極MGは、半導体基板1上に制御ゲート電極CGを覆うように形成された導電膜7を異方性エッチング、すなわちエッチバックし、制御ゲート電極CGの側壁上に絶縁膜6を介して導電膜7を残すことにより形成されている。このため、メモリゲート電極MGは、そのメモリゲート電極MGと隣接する制御ゲート電極CGの第1の側に位置する側壁上に、絶縁膜6を介してサイドウォールスペーサ状に形成されている。
【0045】
半導体領域MSは、ソース領域またはドレイン領域の一方として機能する半導体領域であり、半導体領域MDは、ソース領域またはドレイン領域の他方として機能する半導体領域である。ここでは、半導体領域MSは、例えばソース領域として機能する半導体領域であり、半導体領域MDは、例えばドレイン領域として機能する半導体領域である。半導体領域MSおよび半導体領域MDの各々は、n型の不純物が導入された半導体領域からなり、それぞれLDD(Lightly doped drain)構造を備えている。
【0046】
ソース用の半導体領域MSは、n
−型半導体領域21aと、n
−型半導体領域21aよりも高い不純物濃度を有するn
+型半導体領域23aと、を有する。また、ドレイン用の半導体領域MDは、n
−型半導体領域21bと、n
−型半導体領域21bよりも高い不純物濃度を有するn
+型半導体領域23bと、を有する。n
+型半導体領域23aは、n
−型半導体領域21aよりも接合深さが深く、かつ、不純物濃度が高く、また、n
+型半導体領域23bは、n
−型半導体領域21bよりも接合深さが深く、かつ、不純物濃度が高い。なお、図示は省略するが、短チャネル効果を防止または抑制するため、n
−型半導体領域21aとn
−型半導体領域21bを取り囲むように、ポケット領域またはハロー領域を形成してもよい。
【0047】
メモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CGの互いに隣接していない側の側壁上には、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜またはそれらの積層膜などの絶縁膜からなるサイドウォールスペーサ22が形成されている。つまり、ゲート絶縁膜GImを介して制御ゲート電極CGに隣接する側とは逆側のメモリゲート電極MGの側壁上、すなわち側面上と、ゲート絶縁膜GImを介してメモリゲート電極MGに隣接する側とは逆側の制御ゲート電極CGの側壁上、すなわち側面上とに、サイドウォールスペーサ22が形成されている。
【0048】
なお、メモリゲート電極MGとサイドウォールスペーサ22との間、制御ゲート電極CGとサイドウォールスペーサ22との間、および、制御ゲート電極CGとゲート絶縁膜GImとの間には、図示しない側壁絶縁膜が介在していてもよい。
【0049】
n
−型半導体領域21aは、メモリゲート電極MGの側面に対して自己整合的に形成され、n
+型半導体領域23aは、サイドウォールスペーサ22の側面に対して自己整合的に形成されている。このため、低濃度のn
−型半導体領域21aは、メモリゲート電極MGの側壁上のサイドウォールスペーサ22の下に形成され、高濃度のn
+型半導体領域23aは、低濃度のn
−型半導体領域21aの外側に形成されている。したがって、低濃度のn
−型半導体領域21aは、メモリトランジスタMTのチャネル領域としてのp型ウェルPW1に隣接するように形成されている。また、高濃度のn
+型半導体領域23aは、低濃度のn
−型半導体領域21aに接し、メモリトランジスタMTのチャネル領域としてのp型ウェルPW1からn
−型半導体領域21aの分だけ離間するように形成されている。
【0050】
n
−型半導体領域21bは、制御ゲート電極CGの側面に対して自己整合的に形成され、n
+型半導体領域23bは、サイドウォールスペーサ22の側面に対して自己整合的に形成されている。このため、低濃度のn
−型半導体領域21bは、制御ゲート電極CGの側壁上のサイドウォールスペーサ22の下に形成され、高濃度のn
+型半導体領域23bは、低濃度のn
−型半導体領域21bの外側に形成されている。したがって、低濃度のn
−型半導体領域21bは、制御トランジスタCTのチャネル領域としてのp型ウェルPW1に隣接するように形成されている。また、高濃度のn
+型半導体領域23bは、低濃度のn
−型半導体領域21bに接し、制御トランジスタCTのチャネル領域としてのp型ウェルPW1からn
−型半導体領域21bの分だけ離間するように形成されている。
【0051】
メモリゲート電極MG下のゲート絶縁膜GImの下には、メモリトランジスタMTのチャネル領域が形成され、制御ゲート電極CG下のゲート絶縁膜GIcの下には、制御トランジスタCTのチャネル領域が形成されている。
【0052】
n
+型半導体領域23a上、または、n
+型半導体領域23b上、すなわちn
+型半導体領域23aまたはn
+型半導体領域23bの上面には、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術などにより、金属シリサイド層24が形成されている。金属シリサイド層24は、例えばコバルトシリサイド層、ニッケルシリサイド層、または、プラチナ添加ニッケルシリサイド層などからなる。金属シリサイド層24により、n
+型半導体領域23aまたはn
+型半導体領域23bのコンタクト抵抗を低抵抗化することができる。
【0053】
制御ゲート電極CG上、または、メモリゲート電極MG上、すなわち制御ゲート電極CGまたはメモリゲート電極MGの上面には、サリサイド技術などにより、金属シリサイド層28が形成されている。金属シリサイド層28は、金属シリサイド層24と同様に、例えばコバルトシリサイド層、ニッケルシリサイド層、または、プラチナ添加ニッケルシリサイド層などからなる。金属シリサイド層28により、制御ゲート電極CGまたはメモリゲート電極MGのコンタクト抵抗を低抵抗化することができる。
【0054】
なお、図示は省略するが、メモリセルMCは、ハロー領域を有してもよい。ハロー領域の導電型は、n
−型半導体領域21aおよび21bとは逆の導電型で、かつp型ウェルPW1とは同じ導電型である。ハロー領域は、短チャネル特性(パンチスルー)抑制のために形成される。ハロー領域は、n
−型半導体領域21aまたは21bを包み込むように形成され、ハロー領域におけるp型の不純物濃度は、p型ウェルPW1におけるp型の不純物濃度よりも高い。
【0055】
次に、高電圧MISFET領域1Bに形成された高電圧のMISFET10Hの構成を具体的に説明する。
【0056】
高電圧MISFET領域1Bにおいて、半導体装置は、活性領域AR2を有する。活性領域AR2は、素子分離領域としての境界領域1Dおよび1Eと素子分離領域としての境界領域1Fとにより挟まれている。境界領域1Fでは、半導体基板1の主面1aに素子分離溝1bが形成されており、素子分離溝1bには、素子分離膜2が形成されている。素子分離膜2は、素子分離溝1bに埋め込まれた絶縁膜2aを含む。活性領域AR2は、境界領域1Dおよび1Eと境界領域1Fとにより他の活性領域と電気的に分離されており、活性領域AR2には、p型ウェルPW2が形成されている。すなわち、活性領域AR2は、p型ウェルPW2が形成された領域である。p型ウェルPW2は、p型の導電型を有する。
【0057】
図2に示すように、高電圧MISFET領域1Bのp型ウェルPW2には、高電圧のMISFET10Hが形成されている。高電圧MISFET領域1Bには、実際には複数の高電圧のMISFET10Hが形成されており、
図2には、そのうちの1つの高電圧のMISFET10Hのゲート幅方向に垂直な断面が示されている。
【0058】
図2に示すように、高電圧のMISFET10Hは、n
−型半導体領域21cおよびn
+型半導体領域23cからなる半導体領域と、p型ウェルPW2上に形成されたゲート絶縁膜GIHと、ゲート絶縁膜GIH上に形成されたゲート電極GEHと、を有する。すなわち、ゲート絶縁膜GIHと、ゲート電極GEHとにより、高電圧のMISFET10Hが形成されている。n
−型半導体領域21cおよびn
+型半導体領域23cは、半導体基板1のp型ウェルPW2の上層部に形成されている。n
−型半導体領域21cおよびn
+型半導体領域23cは、p型の導電型とは反対の導電型であるn型の導電型を有する。
【0059】
ゲート絶縁膜GIHは、MISFET10Hのゲート絶縁膜として機能する。ゲート絶縁膜GIHは、高電圧MISFET領域1Bで、半導体基板1上、すなわちp型ウェルPW3上に形成された絶縁膜11と、絶縁膜11上に形成された絶縁膜13と、を含む。絶縁膜11は、酸化シリコン、窒化シリコンまたは酸窒化シリコンを含む。すなわち、絶縁膜11の比誘電率は、窒化シリコンの比誘電率以下である。
【0060】
一方、絶縁膜13は、窒化シリコンよりも高い比誘電率を有する高誘電率材料、すなわちいわゆるHigh−k材料を含む高誘電率膜からなる。High−k材料として、例えば、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化タンタル(Ta
2O
5)または酸化ランタン(La
2O
3)などの金属酸化物を用いることができる。
【0061】
ゲート電極GEHは、MISFET10Hのゲート電極として機能する。ゲート電極GEHは、絶縁膜13上に形成された金属膜14と、金属膜14上に形成された導電膜15と、を含む。すなわち、ゲート電極GEHは、ゲート絶縁膜GIHに接する金属膜14を含むため、いわゆるメタルゲート電極である。なお、本願明細書では、金属膜とは、金属伝導を示す導電膜を意味する。
【0062】
金属膜14として、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)もしくは窒化タングステン(WN)などの金属窒化物、炭化チタン(TiC)、炭化タンタル(TaC)もしくは炭化タングステン(WC)などの金属炭化物、窒化炭化タンタル(TaCN)、または、タングステン(W)、などを含む金属膜を用いることができる。一方、導電膜15として、シリコンを含む導電膜を用いることができ、例えばn型の不純物が導入された多結晶シリコンを含むn型ポリシリコン膜などを用いることができる。
【0063】
導電膜15として、制御ゲート電極CGに含まれる導電膜4とは異なる工程により形成された導電膜を用いることができる。これにより、後述する
図38を用いて説明するように、高電圧MISFET領域1Bと低電圧MISFET領域1Cとの間の境界領域の幅を狭くすることができ、半導体装置を小型化することができる。
【0064】
n
−型半導体領域21cおよびn
+型半導体領域23cからなる半導体領域は、n型の不純物が導入されたソース用およびドレイン用の半導体領域であり、メモリセルMCの半導体領域MSおよびMDと同様に、LDD構造を備えている。すなわち、n
+型半導体領域23cは、n
−型半導体領域21cよりも接合深さが浅くかつ不純物濃度が高い。
【0065】
ゲート電極GEHの側壁上には、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜またはそれらの積層膜などの絶縁膜からなるサイドウォールスペーサ22が形成されている。
【0066】
n
+型半導体領域23c上、すなわちn
+型半導体領域23cの上面には、メモリセルMCにおけるn
+型半導体領域23a上、または、n
+型半導体領域23b上と同様に、サリサイド技術などにより、金属シリサイド層24が形成されている。金属シリサイド層24により、n
+型半導体領域23cのコンタクト抵抗を低抵抗化することができる。
【0067】
ゲート電極GEH上、すなわちゲート電極GEHの上面には、サリサイド技術などにより、金属シリサイド層28が形成されている。金属シリサイド層28により、ゲート電極GEHのコンタクト抵抗を低抵抗化することができる。
【0068】
なお、図示は省略するが、高電圧のMISFET10Hは、ハロー領域を有してもよい。ハロー領域の導電型は、n
−型半導体領域21cとは逆の導電型で、かつp型ウェルPW2とは同じ導電型である。ハロー領域は、n
−型半導体領域21cを包み込むように形成され、ハロー領域におけるp型の不純物濃度は、p型ウェルPW2におけるp型の不純物濃度よりも高い。
【0069】
次に、低電圧MISFET領域1Cに形成された低耐圧のMISFET10Lの構成を具体的に説明する。
【0070】
低電圧MISFET領域1Cにおいて、半導体装置は、活性領域AR3を有する。活性領域AR3は、素子分離領域としての境界領域1Fにより他の活性領域と電気的に分離されており、活性領域AR3には、p型ウェルPW3が形成されている。すなわち、活性領域AR3は、p型ウェルPW3が形成された領域である。p型ウェルPW3は、p型の導電型を有する。
【0071】
図2に示すように、低電圧MISFET領域1Cのp型ウェルPW3には、低耐圧のMISFET10Lが形成されている。低電圧MISFET領域1Cには、実際には複数のMISFET10Lが形成されており、
図2には、そのうちの1つのMISFET10Lのゲート幅方向に垂直な断面が示されている。
【0072】
図2に示すように、低電圧のMISFET10Lは、n
−型半導体領域21dおよびn
+型半導体領域23dからなる半導体領域と、p型ウェルPW3上に形成されたゲート絶縁膜GILと、ゲート絶縁膜GIL上に形成されたゲート電極GELと、を有する。すなわち、ゲート絶縁膜GILと、ゲート電極GELとにより、低電圧のMISFET10Lが形成されている。n
−型半導体領域21dおよびn
+型半導体領域23dは、半導体基板1のp型ウェルPW3の上層部に形成されている。n
−型半導体領域21dおよびn
+型半導体領域23dは、p型の導電型とは反対の導電型であるn型の導電型を有する。
【0073】
ゲート絶縁膜GILは、MISFET10Lのゲート絶縁膜として機能する。ゲート絶縁膜GILは、低電圧MISFET領域1Cで、半導体基板1上、すなわちp型ウェルPW3上に形成された絶縁膜12と、絶縁膜12上に形成された絶縁膜13と、を含む。絶縁膜12は、絶縁膜11と同様に、酸化シリコン、窒化シリコンまたは酸窒化シリコンを含む。すなわち、絶縁膜12の比誘電率は、窒化シリコンの比誘電率以下である。
【0074】
一方、ゲート絶縁膜GILに含まれる絶縁膜13は、ゲート絶縁膜GIHに含まれる絶縁膜13と同様に、窒化シリコンよりも高い比誘電率を有する高誘電率材料、すなわちいわゆるHigh−k材料を含む高誘電率膜からなる。すなわち、絶縁膜13の比誘電率は、窒化シリコンの比誘電率よりも高い。High−k材料として、例えば、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタルまたは酸化ランタンなどの金属酸化物を用いることができる。
【0075】
ゲート電極GELは、MISFET10Lのゲート電極として機能する。ゲート電極GELは、絶縁膜13上に形成された金属膜部14aと、金属膜部14a上に形成された導電膜26と、を含み、金属膜部14aは、金属膜14を含む。すなわち、ゲート電極GELは、ゲート絶縁膜GILに接する金属膜14を含むため、いわゆるメタルゲート電極である。
【0076】
ゲート電極GELに含まれる金属膜14として、ゲート電極GEHに含まれる金属膜14と同様に、窒化チタン、窒化タンタルもしくは窒化タングステンなどの金属窒化物、炭化チタン、炭化タンタルもしくは炭化タングステンなどの金属炭化物、窒化炭化タンタル、または、タングステン、などを含む金属膜を用いることができる。また、電気伝導性を高める観点、および、半導体装置の製造工程において導電膜15を除去する際のエッチングストッパとして機能させる観点から、より好適には、金属膜14として、窒化チタンからなる金属膜を用いることができる。
【0077】
一方、導電膜26として、アルミニウム(Al)膜などの金属膜を用いることができる。すなわち、導電膜26は、金属を含む。
【0078】
n
−型半導体領域21dおよびn
+型半導体領域23dからなる半導体領域は、n型の不純物が導入されたソース用およびドレイン用の半導体領域であり、メモリセルMCの半導体領域MSおよびMDと同様に、LDD構造を備えている。すなわち、n
+型半導体領域23dは、n
−型半導体領域21dよりも接合深さが深くかつ不純物濃度が高い。
【0079】
ゲート電極GELの側壁上には、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜またはそれらの積層膜などの絶縁膜からなるサイドウォールスペーサ22が形成されている。
【0080】
n
+型半導体領域23d上、すなわちn
+型半導体領域23dの上面には、メモリセルMCにおけるn
+型半導体領域23a上、または、n
+型半導体領域23b上と同様に、サリサイド技術などにより、金属シリサイド層24が形成されている。金属シリサイド層24により、n
+型半導体領域23dのコンタクト抵抗を低抵抗化することができる。
【0081】
ゲート電極GEL上、すなわちゲート電極GELの上面には、サリサイド技術などにより、金属シリサイド層が形成されていない。導電膜26として、アルミニウム膜などの金属膜を用いる場合には、金属シリサイド層により、ゲート電極GELのコンタクト抵抗を低抵抗化する必要がないためである。
【0082】
なお、図示は省略するが、低電圧のMISFET10Lは、ハロー領域を有してもよい。ハロー領域の導電型は、n
−型半導体領域21dとは逆の導電型で、かつp型ウェルPW3とは同じ導電型である。ハロー領域は、n
−型半導体領域21dを包み込むように形成され、ハロー領域におけるp型の不純物濃度は、p型ウェルPW3におけるp型の不純物濃度よりも高い。
【0083】
前述したように、高電圧MISFET領域1Bに形成されるMISFET10Hは、高電圧のMISFETであり、低電圧MISFET領域1Cに形成されるMISFET10Lは、低電圧のMISFETである。高電圧のMISFET10Hは、例えば半導体装置とその外部の装置との間で電流の入出力を行う回路において用いられる素子である。一方、低電圧のMISFET10Lは、例えばロジック回路などを構成し、高速で動作することを求められる素子である。
【0084】
そのため、高電圧のMISFET10Hのゲート長(チャネル長)は、低電圧のMISFET10Lのゲート長(チャネル長)よりも長い。また、高電圧のMISFET10Hの駆動電圧は、低電圧のMISFET10Lの駆動電圧よりも高く、高電圧のMISFET10Hの耐圧は、低電圧のMISFET10Lの耐圧よりも高い。
【0085】
好適には、絶縁膜12の膜厚は、絶縁膜11の膜厚よりも薄い。これにより、ゲート絶縁膜GIHの厚さを、ゲート絶縁膜GILの厚さよりも容易に厚くすることができ、高電圧のMISFET10Hの駆動電圧を、低電圧のMISFET10Lの駆動電圧よりも高くすることができる。
【0086】
または、好適には、p型ウェルPW2におけるp型の不純物濃度は、p型ウェルPW3におけるp型の不純物濃度よりも低い。これにより、高電圧のMISFET10Hの駆動電圧を、低電圧のMISFET10Lの駆動電圧よりも高くすることができる。
【0087】
次に、境界領域1Dおよび1Eに形成された膜部の構成を具体的に説明する。
【0088】
境界領域1Dにおいて、半導体装置は、膜部BP1を有する。膜部BP1は、素子分離膜2上に形成されたゲート絶縁膜GI1と、ゲート絶縁膜GI1上に形成されたゲート電極GE1と、を含む。
【0089】
ゲート絶縁膜GI1は、MISFETのゲート絶縁膜として機能しない。ゲート絶縁膜GI1は、ゲート絶縁膜GIcと同様に、素子分離膜2上に形成された絶縁膜3を含む。ゲート絶縁膜GI1に含まれる絶縁膜3は、ゲート絶縁膜GIcに含まれる絶縁膜3と同様に、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜もしくは酸窒化シリコン膜、または、窒化シリコン膜よりも高い比誘電率を有する高誘電率膜、すなわちいわゆるHigh−k膜からなる。
【0090】
ゲート電極GE1は、MISFETのゲート電極として機能しない。ゲート電極GE1は、ゲート絶縁膜GI1上に形成された導電膜4を含む。ゲート電極GE1に含まれる導電膜4として、制御ゲート電極CGに含まれる導電膜4と同様に、シリコンを含む導電膜を用いることができ、例えばn型の不純物が導入された多結晶シリコンを含むn型ポリシリコン膜などを用いることができる。
【0091】
ゲート電極GE1の側壁上には、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜またはそれらの積層膜などの絶縁膜からなるサイドウォールスペーサ22が形成されている。
【0092】
ゲート電極GE1上、すなわちゲート電極GE1の上面には、サリサイド技術などにより、例えばコバルトシリサイド層、ニッケルシリサイド層、または、プラチナ添加ニッケルシリサイド層などからなる金属シリサイド層28が形成されている。
【0093】
境界領域1Eにおいて、半導体装置は、膜部BP2を有する。膜部BP2は、素子分離膜2上に形成されたゲート絶縁膜GI2と、ゲート絶縁膜GI2上に形成されたゲート電極GE2と、を含む。
【0094】
ゲート絶縁膜GI2は、MISFETのゲート絶縁膜として機能しない。ゲート絶縁膜GI2は、ゲート絶縁膜GIHと同様に、素子分離膜2上に形成された絶縁膜11と、絶縁膜11上に形成された絶縁膜13と、を含む。ゲート絶縁膜GI2に含まれる絶縁膜11は、ゲート絶縁膜GIHに含まれる絶縁膜11と同様に、酸化シリコン、窒化シリコンまたは酸窒化シリコンを含む。すなわち、ゲート絶縁膜GI1に含まれる絶縁膜11の比誘電率は、ゲート絶縁膜GIHに含まれる絶縁膜11の比誘電率と同様に、窒化シリコンの比誘電率以下である。
【0095】
一方、ゲート絶縁膜GI1に含まれる絶縁膜13は、ゲート絶縁膜GIHに含まれる絶縁膜13と同様に、窒化シリコンよりも高い比誘電率を有する高誘電率材料、すなわちいわゆるHigh−k材料を含む高誘電率膜からなる。High−k材料として、例えば、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタルまたは酸化ランタンなどの金属酸化物を用いることができる。
【0096】
ゲート電極GE2は、MISFETのゲート電極として機能しない。ゲート電極GE2は、ゲート電極GEHと同様に、絶縁膜13上に形成された金属膜14と、金属膜14上に形成された導電膜15と、を含む。
【0097】
ゲート電極GE2に含まれる金属膜14として、ゲート電極GEHに含まれる金属膜14と同様に、窒化チタン、窒化タンタルもしくは窒化タングステンなどの金属窒化物、炭化チタン、炭化タンタルもしくは炭化タングステンなどの金属炭化物、窒化炭化タンタル、または、タングステン、などを含む金属膜を用いることができる。一方、ゲート電極GE2に含まれる導電膜15として、ゲート電極GEHに含まれる導電膜15と同様に、シリコンを含む導電膜を用いることができ、例えばn型の不純物が導入された多結晶シリコンを含むn型ポリシリコン膜などを用いることができる。
【0098】
ゲート電極GE2に含まれる導電膜15として、ゲート電極GEHに含まれる導電膜15と同様に、制御ゲート電極CGに含まれる導電膜4とは異なる工程により形成された導電膜を用いることができる。そのため、後述する
図38を用いて説明するように、高電圧MISFET領域1Bと低電圧MISFET領域1Cとの間の境界領域の幅を狭くすることができ、半導体装置を小型化することができる。
【0099】
ゲート電極GE2の側壁上には、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜またはそれらの積層膜などの絶縁膜からなるサイドウォールスペーサ22が形成されている。
【0100】
ゲート電極GE2上、すなわちゲート電極GE2の上面には、サリサイド技術などにより、例えばコバルトシリサイド層、ニッケルシリサイド層、または、プラチナ添加ニッケルシリサイド層などからなる金属シリサイド層28が形成されている。
【0101】
次に、メモリセル領域1Aに形成されたメモリセルMC上、高電圧MISFET領域1Bに形成されたMISFET10H上、および、低電圧MISFET領域1Cに形成されたMISFET10L上の構成を具体的に説明する。
【0102】
半導体基板1上には、メモリセルMC、膜部BP1、膜部BP2、MISFET10HおよびMISFET10Lの間を埋め込む絶縁膜25が形成されている。絶縁膜25は、例えば窒化シリコン膜などからなる。制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GEH、ゲート電極GEL、ゲート電極GE1、ゲート電極GE2、サイドウォールスペーサ22および絶縁膜25の各々の上面は、平坦化されている。
【0103】
制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GEH、ゲート電極GEL、ゲート電極GE1、ゲート電極GE2、サイドウォールスペーサ22および絶縁膜25の各々の上には、層間絶縁膜29が形成されている。層間絶縁膜29は、酸化シリコン膜の単体膜、あるいは、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜との積層膜などからなる。層間絶縁膜29の上面は、平坦化されている。
【0104】
層間絶縁膜29にはコンタクトホールCNTが形成されており、コンタクトホールCNT内に、導電体部として導電性のプラグPGが埋め込まれている。
【0105】
プラグPGは、コンタクトホールCNTの底部、および、側壁上すなわち側面上に形成された薄いバリア導体膜と、このバリア導体膜上にコンタクトホールCNTを埋め込むように形成された主導体膜と、により形成されている。
図2では、図面の簡略化のために、プラグPGを構成するバリア導体膜および主導体膜を一体化して示している。なお、プラグPGを構成するバリア導体膜は、例えば、チタン(Ti)膜、窒化チタン(TiN)膜、またはそれらの積層膜とすることができ、プラグPGを構成する主導体膜は、タングステン(W)膜とすることができる。
【0106】
コンタクトホールCNTおよびそれに埋め込まれたプラグPGは、n
+型半導体領域23a、23b、23cおよび23dなどの上に形成されている。コンタクトホールCNTの底部では、例えばn
+型半導体領域23a、23b、23cおよび23dの各々の表面上の金属シリサイド層24の一部が露出される。そして、その露出部にプラグPGが接続される。なお、図示は省略するが、コンタクトホールCNTおよびそれに埋め込まれたプラグPGは、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GEHおよびゲート電極GELの上に形成されていてもよい。
【0107】
プラグPGが埋め込まれた層間絶縁膜29上には、例えば銅(Cu)を主導電材料とする埋込配線としてのダマシン配線として、第1層目の配線M1が形成されている。なお、第1層目の配線おり、その上には、ダマシン配線として、上層の配線も形成されているが、ここではその図示および説明は省略する。また、第1層目の配線M1およびそれよりも上層の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン(W)配線またはアルミニウム(Al)配線などとすることもできる。
【0108】
次に、メモリセル領域1Aに形成されたメモリセルMCの動作を説明する。
【0109】
本実施の形態1では、メモリトランジスタのゲート絶縁膜GIm中の電荷蓄積部である窒化シリコン膜6bへの電子の注入を「書込」と定義し、ホール、すなわち正孔の注入を「消去」と定義する。さらに、電源電圧Vddを1.5Vとする。
【0110】
書き込み方式は、いわゆるソースサイド注入(Source Side Injection:SSI)方式と呼ばれるホットエレクトロン書き込みを用いることができる。このとき、半導体領域MDに印加される電圧Vdを、例えば0.8V程度とし、制御ゲート電極CGに印加される電圧Vcgを、例えば1V程度とし、メモリゲート電極MGに印加される電圧Vmgを、例えば12V程度とする。また、半導体領域MSに印加される電圧Vsを、例えば6V程度とし、p型ウェルPW1に印加される電圧Vbを、例えば0V程度とする。上記した各電圧を、書き込みを行うメモリセルMCの各部位に印加し、メモリセルMCのゲート絶縁膜GIm中の窒化シリコン膜6b中に電子を注入する。
【0111】
ホットエレクトロンは、主としてメモリゲート電極MG下にゲート絶縁膜GImを介して位置する部分のチャネル領域で発生し、ゲート絶縁膜GIm中の電荷蓄積部である窒化シリコン膜6bに注入される。注入されたホットエレクトロンは、ゲート絶縁膜GIm中の窒化シリコン膜6b中のトラップ準位に捕獲され、その結果、メモリトランジスタの閾値電圧(Vth)が上昇する。
【0112】
消去方法は、バンド間トンネル(Band-To-Band Tunneling:BTBT)現象によるホットホール注入消去方式を用いることができる。つまり、BTBT現象により発生したホール、すなわち正孔を電荷蓄積部、すなわちゲート絶縁膜GIm中の窒化シリコン膜6bに注入することにより消去を行う。このとき、電圧Vdを、例えば0V程度とし、電圧Vcgを、例えば0V程度とし、電圧Vmgを、例えば−6V程度とし、電圧Vsを、例えば6V程度とし、電圧Vbを、例えば0V程度とする。上記した各電圧を、消去を行うメモリセルMCの各部位に印加し、BTBT現象によりホールを発生させ電界加速することでメモリセルMCのゲート絶縁膜GIm中の窒化シリコン膜6b中にホールを注入し、それによってメモリトランジスタの閾値電圧を低下させる。
【0113】
消去方法は、ファウラーノルドハイム(Fowler-Nordheim:FN)型トンネル現象を利用したホール注入による消去方式も用いることができる。つまり、FNトンネル現象によりホールを電荷蓄積部、すなわちゲート絶縁膜GIm中の窒化シリコン膜6bに注入することにより消去を行う。このとき、電圧Vmgを、例えば12V程度とし、電圧Vbを、例えば0V程度とする。これにより、メモリゲート電極MG側からホールが、酸化シリコン膜6cを介して直接トンネル現象により電荷蓄積部、すなわち窒化シリコン膜6bに注入され、窒化シリコン膜6b中の電子を相殺することにより消去が行われる。あるいは、窒化シリコン膜6bに注入されたホールが窒化シリコン膜6b中のトラップ準位に捕獲されることにより消去が行われる。これによりメモリトランジスタの閾値電圧が低下し、消去状態となる。このような消去方法を用いた場合には、BTBT現象による消去方法を用いた場合と比較し、消費電流を低減することができる。
【0114】
読出し時には、電圧Vdを、例えば電源電圧Vdd程度とし、電圧Vcgを、例えば電源電圧Vdd程度とし、電圧Vmgを、例えば0V程度とし、電圧Vsを、例えば0程度とし、電圧Vbを、例えば0V程度とする。上記した各電圧を、読出しを行うメモリセルMCの各部位に印加する。読出し時のメモリゲート電極MGに印加する電圧Vmgを、書き込み状態におけるメモリトランジスタの閾値電圧と消去状態におけるメモリトランジスタの閾値電圧との間の値にすることで、書き込み状態と消去状態とを判別することができる。
【0115】
<半導体装置の製造方法>
次に、本実施の形態1の半導体装置の製造方法について説明する。
図3〜
図5は、実施の形態1の半導体装置の製造工程の一部を示すプロセスフロー図である。
図6〜
図33は、実施の形態1の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図6〜
図33の断面図には、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cの要部断面図が示されている。また、
図6〜
図33の断面図には、境界領域1D、1Eおよび1Fの要部断面図が示されている。
【0117】
前述したように、メモリセル領域1Aと高電圧MISFET領域1Bとは、互いに隣り合っていてもよく、互いに隣り合っていなくてもよい。メモリセル領域1Aと低電圧MISFET領域1Cとは、互いに隣り合っていてもよく、互いに隣り合っていなくてもよい。高電圧MISFET領域1Bと低電圧MISFET領域1Cとは、互いに隣り合っていてもよく、互いに隣り合っていなくてもよい。
【0118】
図6〜
図33の断面図においては、一例として、メモリセル領域1Aと高電圧MISFET領域1Bとが互いに隣り合い、高電圧MISFET領域1Bと低電圧MISFET領域1Cとが互いに隣り合う場合を図示している。このとき、境界領域1Dは、互いに隣り合うメモリセル領域1Aと高電圧MISFET領域1Bとの間に配置され、境界領域1Eは、境界領域1Dと高電圧MISFET領域1Bとの間に配置されている。
【0119】
また、本実施の形態1においては、メモリセル領域1Aにnチャネル型の制御トランジスタCTおよびメモリトランジスタMTを形成する場合について説明する。しかし、導電型を逆にしてpチャネル型の制御トランジスタCTおよびメモリトランジスタMTをメモリセル領域1Aに形成することもできる(実施の形態2においても同様)。
【0120】
同様に、本実施の形態1においては、高電圧MISFET領域1Bにnチャネル型のMISFET10Hを形成する場合について説明する。しかし、導電型を逆にしてpチャネル型のMISFET10Hを高電圧MISFET領域1Bに形成することもでき、また、高電圧MISFET領域1BにCMISFET(Complementary MISFET)などを形成することもできる(実施の形態2においても同様)。
【0121】
また、本実施の形態1においては、低電圧MISFET領域1Cにnチャネル型のMISFET10Lを形成する場合について説明する。しかし、導電型を逆にしてpチャネル型のMISFET10Lを低電圧MISFET領域1Cに形成することもでき、また、低電圧MISFET領域1CにCMISFETなどを形成することもできる(実施の形態2においても同様)。
【0122】
図6に示すように、まず、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体ウェハとしての半導体基板1を用意、すなわち準備する(
図3のステップS1)。
【0123】
次に、
図6に示すように、素子分離膜2を形成する(
図3のステップS2)。素子分離膜2は、半導体基板1の主面1aの境界領域1Dおよび1Eにおいて、活性領域AR1を囲む素子分離領域となる。また、素子分離膜2は、半導体基板1の主面1aの境界領域1Fにおいて、活性領域AR2と活性領域AR3とを区画する素子分離領域となる。
【0124】
素子分離膜2は、酸化シリコンなどの絶縁体からなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon)法などにより形成することができる。例えば、素子分離領域としての境界領域1D、1Eおよび1Fに、素子分離用の溝、すなわち素子分離溝1bを形成した後、この素子分離溝1b内に、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜2aを埋め込むことにより、素子分離溝1b内に埋め込まれた絶縁膜2aを含む素子分離膜2を形成することができる。
【0125】
次に、
図6に示すように、p型ウェルPW1、PW2およびPW3を形成する(
図3のステップS3)。このステップS3では、メモリセル領域1Aで、活性領域AR1に、p型ウェルPW1を形成し、高電圧MISFET領域1Bで、活性領域AR2に、p型ウェルPW2を形成し、低電圧MISFET領域1Cで、活性領域AR3に、p型ウェルPW3を形成する。p型ウェルPW1、PW2およびPW3は、例えばホウ素(B)などのp型の不純物を、半導体基板1に、イオン注入法などで導入することにより、形成することができる。p型ウェルPW1、PW2およびPW3は、半導体基板1の主面1aから所定の深さにわたって形成される。
【0126】
次に、例えばフッ酸(HF)水溶液を用いたウェットエッチングなどにより半導体基板1の表面の自然酸化膜を除去し、半導体基板1の表面を洗浄することによって、半導体基板1の表面を清浄化する。これにより、半導体基板1の表面が露出され、メモリセル領域1Aでp型ウェルPW1の表面が露出され、高電圧MISFET領域1Bで、p型ウェルPW2の表面が露出され、低電圧MISFET領域1Cで、p型ウェルPW3の表面が露出される。
【0127】
次に、
図6に示すように、絶縁膜3を形成する(
図3のステップS4)。このステップS4では、まず、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、半導体基板1の主面1a上に、絶縁膜3を形成する。また、境界領域1D、1Eおよび1Fでも、半導体基板1の上方、すなわち素子分離膜2上に、絶縁膜3を形成する。絶縁膜3は、メモリセルMC(後述する
図27参照)のゲート絶縁膜GIc用の絶縁膜である。絶縁膜3の厚さを、例えば2〜3nm程度とすることができる。
【0128】
メモリセル領域1Aでは、絶縁膜3は、p型ウェルPW1上に形成され、高電圧MISFET領域1Bでは、絶縁膜3は、p型ウェルPW2上に形成され、低電圧MISFET領域1Cでは、絶縁膜3は、p型ウェルPW3上に形成される。また、境界領域1D、1Eおよび1Fでは、絶縁膜3は、素子分離膜2上に形成される。
【0129】
絶縁膜3として、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜もしくは酸窒化シリコン膜、またはHigh−k膜、すなわち高誘電率膜を用いることができる。また、絶縁膜3を、熱酸化法、スパッタリング法、原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法または化学的気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法などを用いて形成することができる。
【0130】
次に、
図6に示すように、導電膜4および絶縁膜5を形成する(
図3のステップS5)。
【0131】
ステップS5では、まず、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜3上に、導電膜4を形成する。また、境界領域1D、1Eおよび1Fでも、絶縁膜3上に導電膜4を形成する。すなわち、導電膜4は、絶縁膜3を覆う。導電膜4は、メモリセルMC(後述する
図27参照)の制御ゲート電極CG用の導電膜である。導電膜4の厚さを、例えば50〜100nm程度とすることができる。
【0132】
好適には、導電膜4は、シリコンを含む導電膜であり、例えばn型の不純物が導入された多結晶シリコンを含むn型ポリシリコン膜である。このような導電膜4を、CVD法などを用いて形成することができる。また、成膜時は導電膜4をアモルファスシリコン膜として成膜してから、その後の熱処理でアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜とすることもできる。
【0133】
導電膜4として、例えばリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物を導入して低抵抗率としたものを用いることが、好ましい。不純物は、導電膜4の成膜時または成膜後に導入することができる。導電膜4の成膜時に不純物を導入する場合には、導電膜4の成膜用のガスにドーピングガスを含ませることで、不純物が導入された導電膜4を成膜することができる。一方、シリコン膜の成膜後に不純物を導入する場合には、意図的には不純物を導入せずにシリコン膜を成膜した後に、このシリコン膜に不純物をイオン注入法などで導入することにより、不純物が導入された導電膜4を形成することができる。
【0134】
ステップS5では、次に、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、導電膜4上に、絶縁膜5を形成する。また、境界領域1D、1Eおよび1Fでも、導電膜4上に、絶縁膜5を形成する。絶縁膜5は、キャップ絶縁膜CP1用の導電膜である。絶縁膜5の厚さを、例えば20〜100nm程度とすることができる。例えば窒化シリコン膜からなる絶縁膜5を、例えばCVD法などを用いて形成することができる。
【0135】
なお、図示は省略するが、導電膜4と絶縁膜5との間に、酸化シリコン膜からなる絶縁膜を形成することもできる。
【0136】
次に、
図6に示すように、絶縁膜5、導電膜4および絶縁膜3をパターニングする(
図3のステップS6)。このステップS6では、例えばフォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、絶縁膜5、導電膜4および絶縁膜3を、パターニングする。
【0137】
ステップS6では、まず、絶縁膜5上にレジスト膜RF1を形成する。そして、レジスト膜RF1を貫通して絶縁膜5に達する開口部を形成し、開口部が形成されたレジスト膜RF1を含むレジストパターンRP1を形成する。
【0138】
このとき、メモリセル領域1Aのうち制御ゲート電極CGが形成される部分以外の部分で、絶縁膜5はレジスト膜RF1から露出し、メモリセル領域1Aのうち制御ゲート電極CGが形成される部分、ならびに、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜5はレジスト膜RF1で覆われる。また、境界領域1Dおよび1Eのうち、ゲート電極GE1(後述する
図11参照)が形成される部分に対してメモリセル領域1A側の部分で、絶縁膜5はレジスト膜RF1から露出する。一方、境界領域1Dおよび1Eのうち、ゲート電極GE1が形成される部分、および、ゲート電極GE1が形成される部分に対してメモリセル領域1A側と反対側の部分で、絶縁膜5はレジスト膜で覆われる。なお、境界領域1Fで、絶縁膜5はレジスト膜RF1で覆われる。
【0139】
ステップS6では、次に、レジストパターンRP1をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜5および導電膜4を、例えばドライエッチングなどによりエッチングしてパターニングする。
【0140】
これにより、メモリセル領域1Aで、導電膜4を含む制御ゲート電極CGが形成され、制御ゲート電極CGと半導体基板1との間の絶縁膜3を含むゲート絶縁膜GIcが形成される。すなわち、メモリセル領域1Aで、p型ウェルPW1上の絶縁膜3を含むゲート絶縁膜GIcが形成され、ゲート絶縁膜GIc上の導電膜4を含む制御ゲート電極CGが形成される。また、メモリセル領域1Aで、制御ゲート電極CG上の絶縁膜5を含むキャップ絶縁膜CP1が形成される。
【0141】
一方、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜5、導電膜4および絶縁膜3は残される。また、境界領域1Dおよび1Eのうち、ゲート電極GE1(後述する
図11参照)が形成される部分、および、ゲート電極GE1が形成される部分に対してメモリセル領域1A側と反対側の部分で、絶縁膜5、導電膜4および絶縁膜3は残される。その後、レジストパターンRP1、すなわちレジスト膜RF1を除去する。
【0142】
なお、メモリセル領域1Aで、絶縁膜3のうち制御ゲート電極CGから露出した部分は、ステップS6のドライエッチングを行うことによって、または、ステップS6のドライエッチングの後にウェットエッチングを行うことによって、除去され得る。そして、メモリセル領域1Aのうち制御ゲート電極CGが形成されていない部分では、半導体基板1のp型ウェルPW1が露出する。
【0143】
次に、
図7に示すように、絶縁膜6および導電膜7を形成する(
図3のステップS7)。
【0144】
ステップS7では、まず、
図7に示すように、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、半導体基板1の主面1aに、メモリトランジスタMT(後述する
図27参照)のゲート絶縁膜GIm(後述する
図9参照)用の絶縁膜6を形成する。このとき、メモリセル領域1Aでは、露出した部分の半導体基板1の主面1a、制御ゲート電極CGの側面、ならびに、キャップ絶縁膜CP2の上面および側面に、絶縁膜6が形成される。また、絶縁膜5のうち、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cに残された部分の上面、境界領域1Dおよび1Eに残された部分の上面および側面、ならびに、境界領域1Fに残された部分の上面に、絶縁膜6が形成される。また、導電膜4のうち、境界領域1Dおよび1Eに残された部分の側面に、絶縁膜6が形成される。すなわち、絶縁膜6は、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、半導体基板1上に形成され、制御ゲート電極CGおよび導電膜4を覆う。
【0145】
絶縁膜6は、前述したように、内部に電荷蓄積部を有する絶縁膜であり、絶縁膜として、下から順に形成された酸化シリコン膜6a、窒化シリコン膜6bおよび酸化シリコン膜6cの積層膜からなる。酸化シリコン膜6aの厚さを、例えば2〜5nm程度とすることができ、窒化シリコン膜6bの厚さを、例えば5〜15nm程度とすることができ、酸化シリコン膜6cの厚さを、例えば5〜15nm程度とすることができる。なお、酸化シリコン膜6cに代え、酸窒化シリコン膜を用いてもよい。
【0146】
絶縁膜6のうち、酸化シリコン膜6aを、例えば900℃程度の温度で熱酸化法またはISSG酸化法などにより形成することができる。その後に例えば1025℃程度の高温で窒化処理を実施してもよい。また、絶縁膜6のうち、窒化シリコン膜6bを、例えばCVD法により形成することができる。さらに、絶縁膜6のうち、酸化シリコン膜6cを、例えばCVD法により形成することができる。
【0147】
まず、露出した部分の半導体基板1の主面1a、制御ゲート電極CGの側面、ならびに、キャップ絶縁膜CP1の上面および側面に、例えば熱酸化法またはISSG酸化法により酸化シリコン膜6aを形成する。このとき、絶縁膜5のうち、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cに残された部分の上面、境界領域1Dおよび1Eに残された部分の上面および側面、ならびに、境界領域1Fに残された部分の上面に、酸化シリコン膜6aを形成する。また、導電膜4のうち、境界領域1Dおよび1Eに残された部分の側面に、酸化シリコン膜6aを形成する。すなわち、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、半導体基板1上に、制御ゲート電極CGおよび導電膜4を覆う酸化シリコン膜6aを形成する。酸化シリコン膜6aの厚みは、例えば4nm程度とすることができる。
【0148】
次に、酸化シリコン膜6a上に窒化シリコン膜6bを例えばCVD法で形成し、さらに窒化シリコン膜6b上に酸化シリコン膜6cを例えばCVD法、熱酸化法またはその両方で形成する。これにより、酸化シリコン膜6a、窒化シリコン膜6bおよび酸化シリコン膜6cの積層膜からなる絶縁膜6を形成することができる。
【0149】
メモリセル領域1Aに形成された絶縁膜6は、メモリゲート電極MGのゲート絶縁膜として機能し、電荷保持機能を有する。絶縁膜6は、電荷蓄積部としての窒化シリコン膜6bを、電荷ブロック層としての酸化シリコン膜6aと酸化シリコン膜6cとで挟んだ構造を有する。そして、酸化シリコン膜6aおよび6cからなる電荷ブロック層のポテンシャル障壁高さが、窒化シリコン膜6bからなる電荷蓄積部のポテンシャル障壁高さに比べ、高くなる。
【0150】
ステップS7では、次に、
図7に示すように、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜6上に導電膜7を形成する。また、境界領域1D、1Eおよび1Fでも、絶縁膜6上に導電膜7を形成する。導電膜7の厚さを、例えば30〜100nm程度とすることができる。
【0151】
好適には、導電膜7は、シリコンを含む導電膜であり、例えばn型の不純物が導入された多結晶シリコンを含むn型ポリシリコン膜である。このような導電膜7を、CVD法などを用いて形成することができる。また、成膜時は導電膜7をアモルファスシリコン膜として成膜してから、その後の熱処理でアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜とすることもできる。
【0152】
導電膜7として、例えばリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物またはホウ素(B)などのp型の不純物を導入して低抵抗率としたものを用いることが、好ましい。不純物は、導電膜7の成膜時または成膜後に導入することができる。導電膜7の成膜時に不純物を導入する場合には、導電膜7の成膜用のガスにドーピングガスを含ませることで、不純物が導入された導電膜7を成膜することができる。一方、シリコン膜の成膜後に不純物を導入する場合には、意図的には不純物を導入せずにシリコン膜を成膜した後に、このシリコン膜に不純物をイオン注入法などで導入することにより、不純物が導入された導電膜7を形成することができる。
【0153】
次に、
図7に示すように、異方性エッチングにより導電膜7をエッチバックする(
図3のステップS8)。
【0154】
このステップS8では、導電膜7の膜厚の分だけ導電膜7をエッチバックすることにより、制御ゲート電極CGの両側の側壁上、すなわち側面上に、絶縁膜6を介して導電膜7をサイドウォールスペーサ状に残し、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cなど、他の領域で、導電膜7を除去する。
【0155】
これにより、
図7に示すように、メモリセル領域1Aで、制御ゲート電極CGの両側の側壁のうち、第1の側の側壁上に、絶縁膜6を介してサイドウォールスペーサ状に残された導電膜7からなる、メモリゲート電極MGが形成される。メモリゲート電極MGは、半導体基板1上に形成され、制御ゲート電極CGと隣り合う。また、制御ゲート電極CGの両側の側壁のうち、第1の側と反対側の側壁上に、絶縁膜6を介してサイドウォールスペーサ状に残された導電膜7からなる、スペーサSP1が形成される。
【0156】
メモリゲート電極MGは、絶縁膜6上に、絶縁膜6を介して制御ゲート電極CGと隣り合うように形成される。メモリゲート電極MGとスペーサSP1とは、制御ゲート電極CGの互いに反対側となる側壁上に形成され、制御ゲート電極CGを挟んでほぼ対称な構造を有する。
【0157】
制御ゲート電極CG上には、キャップ絶縁膜CP1が形成されている。したがって、メモリゲート電極MGは、キャップ絶縁膜CP1の第1の側の側壁上に、絶縁膜6を介してサイドウォールスペーサ状に残された導電膜7からなる。また、スペーサSP1は、キャップ絶縁膜CP1の第1の側と反対側の側壁上に、絶縁膜6を介してサイドウォールスペーサ状に残された導電膜7からなる。
【0158】
なお、導電膜4のうち、境界領域1Dおよび1Eに残された部分の側面上にも、絶縁膜6を介してサイドウォールスペーサ状に残された導電膜7により、スペーサSP1が形成される。
【0159】
ステップS8で形成されたメモリゲート電極MGと半導体基板1のp型ウェルPW1との間、および、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間には、絶縁膜6が介在しており、このメモリゲート電極MGは、絶縁膜6に接触した導電膜7からなる。
【0160】
ステップS8のエッチバック工程を行った段階で、絶縁膜6のうちメモリゲート電極MGおよびスペーサSP1のいずれにも覆われていない部分が、露出する。メモリセル領域1Aにおけるメモリゲート電極MG下の絶縁膜6が、メモリトランジスタMTのゲート絶縁膜GIm(後述する
図9参照)となる。また、ステップS8にて形成される導電膜7の膜厚を調整することで、メモリゲート長を調整することができる。
【0161】
次に、
図8および
図9に示すように、スペーサSP1および絶縁膜6を除去する(
図3のステップS9)。
【0162】
ステップS9では、まず、
図8に示すように、フォトリソグラフィを用いて、メモリゲート電極MGがレジスト膜RF2で覆われ、かつ、スペーサSP1がレジスト膜RF2から露出されるようなレジストパターンRP2を、半導体基板1上に形成する。そして、形成されたレジストパターンRP2をエッチングマスクとしたドライエッチングなどの等方性エッチングにより、
図9に示すように、スペーサSP1を除去する。一方、メモリゲート電極MGは、レジストパターンRP2で覆われていたので、エッチングされずに残される。その後、このレジストパターンRP2を除去する。
【0163】
ステップS9では、次に、
図9に示すように、絶縁膜6のうち、メモリゲート電極MGで覆われていない部分、すなわちメモリゲート電極MGから露出した部分を、例えばウェットエッチングなどのエッチングによって除去する。この際、メモリセル領域1Aで、絶縁膜6のうち、メモリゲート電極MGとp型ウェルPW1との間の部分と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間の部分と、は除去されずに残され、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cなど、他の領域で、絶縁膜6は除去される。このとき、メモリセル領域1Aで、絶縁膜6のうち、メモリゲート電極MGとp型ウェルPW1との間に残された部分と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間に残された部分と、を含むゲート絶縁膜GImが形成される。
【0164】
なお、ステップS9において、絶縁膜6のうち、酸化シリコン膜6cおよび窒化シリコン膜6bが除去され、酸化シリコン膜6aが除去されずに残されるように、エッチングを行うこともできる。
【0165】
次に、
図10および
図11に示すように、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜5および導電膜4を除去する。(
図3のステップS10)。このステップS10では、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜5および導電膜4を除去する際に、境界領域1Dで、膜部BP1を形成する。
【0166】
ステップS10では、まず、
図10に示すように、レジスト膜RF3を含むレジストパターンRP3を形成する。このとき、境界領域1Dおよび1Eのうち、膜部BP1が形成される部分に対してメモリセル領域1A側と反対側の部分で、絶縁膜5はレジスト膜から露出する。一方、境界領域1Dおよび1Eのうち、膜部BP1が形成される部分、および、膜部BP1が形成される部分に対してメモリセル領域1A側の部分で、絶縁膜5はレジスト膜RF3で覆われる。また、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cおよび境界領域1Fで、絶縁膜5はレジスト膜から露出し、メモリセル領域1Aはレジスト膜RF3で覆われる。
【0167】
ステップS10では、次に、
図11に示すように、レジストパターンRP3をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜5および導電膜4を、例えばドライエッチングなどによりエッチングしてパターニングする。
【0168】
これにより、境界領域1Dで、導電膜4を含むゲート電極GE1が形成され、ゲート電極GE1と素子分離膜2との間の絶縁膜3を含むゲート絶縁膜GI1が形成される。すなわち、境界領域1Dで、素子分離膜2上の絶縁膜3を含むゲート絶縁膜GI1が形成され、ゲート絶縁膜GI1上の導電膜4を含むゲート電極GE1が形成され、ゲート絶縁膜GI1とゲート電極GE1とを含む膜部BP1が形成される。また、境界領域1Dで、ゲート電極GE1上の絶縁膜5を含むキャップ絶縁膜CP1が形成される。
【0169】
一方、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cでは、絶縁膜5、導電膜4および絶縁膜3が除去される。また、境界領域1Eで、絶縁膜5、導電膜4および絶縁膜3が除去される。その後、レジストパターンRP3、すなわちレジスト膜RF3を除去する。
【0170】
ステップS10において、絶縁膜5の側面5s、および、導電膜4の側面4sが、レジストパターンRP3に含まれるレジスト膜RF3から露出した状態で、絶縁膜5および導電膜4をエッチングする場合を考える。このような場合、膜部BP1は形成されないが、不要なエッチング残りが生じやすくなる。
【0171】
一方、本実施の形態1では、ステップS10において、
図10に示すように、絶縁膜5の側面5s、および、導電膜4の側面4sが、レジストパターンRP3に含まれるレジスト膜RF3で覆われた状態で、絶縁膜5および導電膜4をエッチングする。これにより、前述したように、膜部BP1は形成されることになるが、絶縁膜5および導電膜4をエッチングする際に、不要なエッチング残りが生じにくくなる。
【0172】
次に、
図12〜
図14に示すように、絶縁膜11および12を形成する(
図3のステップS11)。
【0173】
ステップS11では、まず、
図12に示すように、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、半導体基板1の主面1a上に、絶縁膜11を形成する。また、境界領域1D、1Eおよび1Fでも、半導体基板1の主面1a上、すなわち素子分離膜2上に、絶縁膜11を形成する。絶縁膜11は、高電圧のMISFET10H(後述する
図27参照)に含まれるゲート絶縁膜GIH(後述する
図18参照)用の絶縁膜である。絶縁膜11の膜厚を、例えば15nm程度とすることができる。
【0174】
絶縁膜11は、メモリセル領域1Aで、p型ウェルPW1上に形成され、高電圧MISFET領域1Bで、p型ウェルPW2上に形成され、低電圧MISFET領域1Cで、p型ウェルPW3上に形成される。また、絶縁膜11は、境界領域1Dおよび1Eで、素子分離膜2上に、膜部BP1を覆うように形成され、境界領域1Fで、素子分離膜2上に形成される。
【0175】
絶縁膜11の比誘電率は、窒化シリコンの比誘電率以下であり、絶縁膜11として、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸窒化シリコン膜などの低誘電率膜を用いることができる。また、絶縁膜11を、熱酸化法、スパッタリング法、ALD法またはCVD法などを用いて形成することができる。絶縁膜11を、例えばCVD法により形成する場合、
図12に示すように、絶縁膜11は、制御ゲート電極CG、キャップ絶縁膜CP1およびメモリゲート電極MGの表面にも形成される。
【0176】
高電圧のMISFET10H(後述する
図27参照)に含まれるゲート絶縁膜GIH(後述する
図18参照)用の絶縁膜である絶縁膜11の膜厚は、低電圧のMISFET10L(後述する
図31参照)に含まれるゲート絶縁膜GIL(後述する
図18参照)用の絶縁膜である絶縁膜12の膜厚よりも厚い。
【0177】
ここで、絶縁膜11を熱酸化法のみにより形成した場合、例えばメモリゲート電極MGの下面、または、メモリゲート電極MG下の半導体基板1、すなわちp型ウェルPW1の上面が酸化される。そして、メモリゲート電極MGの制御ゲート電極CG側と反対側ほど、メモリゲート電極MGと半導体基板1との間の酸化シリコン膜の厚さが厚くなり、メモリゲート電極MGと半導体基板1との間に、いわゆるバーズピークが形成されるおそれがある。そのため、バーズピークが形成されることを防止または抑制するためには、絶縁膜11を、熱酸化法により形成される酸化シリコン膜と、CVD法により形成される酸化シリコン膜とが積層された積層膜とし、熱酸化法により形成される酸化シリコン膜の厚さを薄くすることが好ましい。
【0178】
ステップS11では、次に、
図13に示すように、フォトリソグラフィを用いて、メモリセル領域1Aおよび高電圧MISFET領域1Bで、絶縁膜11がレジスト膜RF4で覆われ、かつ、低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜11がレジスト膜RF4から露出されるようなレジストパターンRP4を、絶縁膜11上に形成する。
【0179】
そして、形成されたレジストパターンRP4をエッチングマスクとしたドライエッチングにより、絶縁膜11のうち、低電圧MISFET領域1Cで形成された部分を除去する。このとき、低電圧MISFET領域1Cでは、p型ウェルPW3が露出される。一方、絶縁膜11のうち、メモリセル領域1Aおよび高電圧MISFET領域1Bで形成された部分は、レジストパターンRP4で覆われていたので、エッチングされずに残される。なお、絶縁膜11のうち、境界領域1Dおよび1Eで形成された部分は、エッチングされずに残される。その後、レジストパターンRP4、すなわちレジスト膜RF4を除去する。
【0180】
ステップS11では、次に、
図14に示すように、低電圧MISFET領域1Cで、半導体基板1の主面1a上に、絶縁膜12を形成する。絶縁膜12は、低電圧のMISFET10L(後述する
図31参照)に含まれるゲート絶縁膜GIL(後述する
図18参照)用の絶縁膜であり、絶縁膜12の膜厚は、絶縁膜11の膜厚よりも薄い。また、絶縁膜12は、低電圧MISFET領域1Cで、p型ウェルPW3上に形成される。
【0181】
絶縁膜12の比誘電率は、窒化シリコンの比誘電率以下であり、絶縁膜12として、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸窒化シリコン膜などの低誘電率膜を用いることができる。また、絶縁膜12を、熱酸化法、スパッタリング法、ALD法またはCVD法などを用いて形成することができる。絶縁膜11の膜厚を、例えば15nm程度とする場合、絶縁膜12の膜厚を、例えば1〜2nm程度とすることができる。
【0182】
前述したように、高電圧MISFET領域1Bに形成されるMISFET10H(後述する
図27参照)は、高電圧のMISFETであり、低電圧MISFET領域1Cに形成されるMISFET10L(後述する
図31参照)は、低耐圧のMISFETである。そのため、ゲート絶縁膜GIL(後述する
図18参照)用の絶縁膜12の膜厚は、ゲート絶縁膜GIH(後述する
図18参照)用の絶縁膜11の膜厚よりも厚い。
【0183】
次に、
図14に示すように、絶縁膜13を形成する(
図4のステップS12)。このステップS12では、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜11上、および、絶縁膜12上に、絶縁膜13を形成する。なお、絶縁膜13は、境界領域1D、1Eおよび1Fでも、絶縁膜11上、および、絶縁膜12上に形成される。
【0184】
絶縁膜13の比誘電率は、窒化シリコンの比誘電率よりも高く、絶縁膜13として、High−k膜、すなわち高誘電率膜を用いることができ、絶縁膜13として使用可能な材料例は、前述した通りである。絶縁膜13の厚さを、例えば1〜3nmとすることができる。また、絶縁膜13を、スパッタリング法、ALD法またはCVD法などを用いて形成することができる。
【0185】
次に、
図14に示すように、半導体基板1の主面1a全面に、金属膜14、導電膜15および絶縁膜16を形成する(
図4のステップS13)。
【0186】
ステップS13では、まず、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜13上に、金属膜14を形成する。また、境界領域1D、1Eおよび1Fでも、絶縁膜13上に、金属膜14を形成する。金属膜14の厚さを、例えば2〜3nmとすることができる。
【0187】
金属膜14として、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)もしくは窒化タングステン(WN)などの金属窒化物、炭化チタン(TiC)、炭化タンタル(TaC)もしくは炭化タングステン(WC)などの金属炭化物、窒化炭化タンタル(TaCN)、または、タングステン(W)、などを含む金属膜を用いることができる。また、電気伝導性を高める観点から、好適には、金属膜14として、窒化チタン膜を用いることができる。金属膜14を、例えばスパッタリング法などのPVD法で形成することができる。また、金属膜14の材料の種類によっては、金属膜14をCVD法により形成することもできる。
【0188】
ステップS13では、次に、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、金属膜14上に、導電膜15を形成する。また、境界領域1D、1Eおよび1Fでも、金属膜14上に、導電膜15を形成する。導電膜15は、高電圧のMISFET10H(後述する
図27参照)に含まれるゲート電極GEH(後述する
図18参照)用の導電膜である。導電膜15の厚さを、例えば50〜10nm程度とすることができる。
【0189】
好適には、導電膜15は、シリコンを含む導電膜であり、多結晶シリコンを含むポリシリコン膜である。このような導電膜15を、CVD法などを用いて形成することができる。また、成膜時は導電膜15をアモルファスシリコン膜として成膜してから、その後の熱処理でアモルファスシリコン膜を多結晶シリコン膜とすることもできる。
【0190】
図示は省略するが、高電圧MISFET領域1Bにおいては、導電膜15として、例えばリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物を導入して低抵抗率としたものを用いることが、好ましい。不純物は、導電膜15の成膜時または成膜後に導入することができる。シリコン膜を成膜した後に、開口部が形成されたレジストパターンを形成し、開口部に不純物をイオン注入法などで導入することにより、不純物が導入された導電膜15を形成することができる。
【0191】
ステップS13では、次に、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、導電膜15上に、絶縁膜16を形成する。また、境界領域1D、1Eおよび1Fでも、導電膜15上に、絶縁膜16を形成する。絶縁膜16は、キャップ絶縁膜CP2(後述する
図18参照)形成用の絶縁膜である。絶縁膜16の厚さを、例えば20〜50nmとすることができる。また、例えば窒化シリコン膜からなる絶縁膜16を、例えばCVD法などを用いて形成することができる。
【0192】
なお、図示は省略するが、導電膜15と絶縁膜16との間に、酸化シリコン膜からなる絶縁膜を形成することもできる。
【0193】
次に、
図15〜
図18に示すように、絶縁膜16、導電膜15、金属膜14および絶縁膜13をパターニングする(
図4のステップS14)。このステップS14では、例えばフォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、絶縁膜16、導電膜15、金属膜14および絶縁膜13を、パターニングする。また、ステップS14では、絶縁膜16、導電膜15、金属膜14および絶縁膜13をパターニングする際に、境界領域1Eで、膜部BP2を形成する。
【0194】
ステップS14では、まず、
図15に示すように、絶縁膜16上にレジスト膜RF5を形成する。そして、レジスト膜RF5を貫通して絶縁膜16に達する開口部を形成し、開口部が形成されたレジスト膜RF5を含むレジストパターンRP5を形成する。
【0195】
このとき、メモリセル領域1A、境界領域1D、および、境界領域1Eのうち膜部BP2(後述する
図18参照)が形成される部分に対してメモリセル領域1A側の部分で、絶縁膜16はレジスト膜RF5から露出する。また、高電圧MISFET領域1B、低電圧MISFET領域1C、境界領域1F、境界領域1Eのうち膜部BP2が形成される部分、および、境界領域1Eのうち膜部BP2が形成される部分に対してメモリセル領域1A側と反対側の部分で、絶縁膜16はレジスト膜RF5で覆われる。
【0196】
ステップS14では、次に、
図16に示すように、レジストパターンRP5をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜16、導電膜15、金属膜14および絶縁膜13を、例えばドライエッチングなどによりエッチングしてパターニングする。
【0197】
これにより、メモリセル領域1A、境界領域1D、および、境界領域1Eのうち膜部BP2(後述する
図18参照)が形成される部分に対してメモリセル領域1A側の部分で、絶縁膜16、導電膜15、金属膜14および絶縁膜13は除去される。また、高電圧MISFET領域1B、低電圧MISFET領域1C、境界領域1F、境界領域1Eのうち膜部BP2が形成される部分、および、境界領域1Eのうち膜部BP2が形成される部分に対してメモリセル領域1A側と反対側の部分で、絶縁膜16、導電膜15、金属膜14および絶縁膜13は残される。その後、レジストパターンRP5、すなわちレジスト膜RF5を除去する。
【0198】
ステップS14では、次に、
図17に示すように、半導体基板1の主面1a上、および、絶縁膜16上に、レジスト膜RF6を形成する。そして、レジスト膜RF6を貫通して絶縁膜16に達する開口部を形成し、開口部が形成されたレジスト膜RF6を含むレジストパターンRP6を形成する。
【0199】
このとき、高電圧MISFET領域1Bのうちゲート電極GEH(後述する
図18参照)が形成される部分以外の部分、および、低電圧MISFET領域1Cのうち導電膜部15a(後述する
図18参照)が形成される部分以外の部分は、レジスト膜RF6から露出する。また、境界領域1Eのうち膜部BP2(後述する
図18参照)が形成される部分以外の部分は、レジスト膜RF6から露出する。また、高電圧MISFET領域1Bのうちゲート電極GEHが形成される部分、低電圧MISFET領域1Cのうち導電膜部15aが形成される部分、および、境界領域1Eのうち膜部BP2が形成される部分は、レジスト膜RF6で覆われる。また、境界領域1Fでは、絶縁膜16はレジスト膜から露出し、メモリセル領域1Aおよび境界領域1Dは、レジスト膜RF6で覆われる。
【0200】
ステップS14では、次に、
図18に示すように、レジストパターンRP6をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜16、導電膜15、金属膜14および絶縁膜13を、例えばドライエッチングなどによりエッチングしてパターニングする。
【0201】
これにより、高電圧MISFET領域1Bで、金属膜14および導電膜15を含むゲート電極GEHが形成され、ゲート電極GEHと半導体基板1との間の絶縁膜11および13を含むゲート絶縁膜GIHが形成される。すなわち、高電圧MISFET領域1Bで、半導体基板1上の絶縁膜11および13を含むゲート絶縁膜GIHが形成され、ゲート絶縁膜GIH上の金属膜14および導電膜15を含むゲート電極GEHが形成される。また、高電圧MISFET領域1Bで、ゲート電極GEH上の絶縁膜16を含むキャップ絶縁膜CP2が形成される。
【0202】
ゲート電極GEHのうち、ゲート絶縁膜GIHに接する部分に、例えば窒化チタン膜からなる金属膜14が配置されているため、ゲート電極GEHをメタルゲート電極として機能させることができる。したがって、ゲート電極GEHのうち、ゲート絶縁膜GIHに接する部分がシリコン膜からなる場合に比べ、ゲート電極GEHのうち、ゲート絶縁膜GIHに接する部分が空乏化することを防止することができ、MISFET10H(後述する
図27参照)の性能を向上させることができる。
【0203】
なお、ゲート電極GEHのうち金属膜14上の部分には、例えばシリコン膜からなる導電膜15が配置されている。しかし、ゲート電極GEHは、高電圧のMISFET10H(後述する
図27参照)に含まれるゲート電極であり、ゲート絶縁膜GIHの厚さは、後述するゲート絶縁膜GILの厚さよりも厚い。そのため、ゲート電極GEHのうち金属膜14上の部分に、シリコン膜からなる導電膜15が配置されている場合でも、MISFET10Hの性能を向上させることができる。
【0204】
また、低電圧MISFET領域1Cで、導電膜15を含む導電膜部15aが形成され、導電膜部15aと半導体基板1との間の金属膜14を含む金属膜部14aが形成され、金属膜部14aと半導体基板1との間の絶縁膜12および13を含むゲート絶縁膜GILが形成される。すなわち、低電圧MISFET領域1Cで、半導体基板1上の絶縁膜12および13を含むゲート絶縁膜GILが形成され、ゲート絶縁膜GIL上の金属膜14を含む金属膜部14aが形成され、金属膜部14a上の導電膜15を含む導電膜部15aが形成される。また、低電圧MISFET領域1Cで、導電膜部15a上の絶縁膜16を含むキャップ絶縁膜CP2が形成される。
【0205】
ここで、導電膜部15aは、
図4のステップS21において、後述する
図29を用いて説明するように、除去される。そのため、金属膜部14aと導電膜部15aとを含むゲート電極は、ダミーゲート電極である。
【0206】
一方、境界領域1Eで、金属膜14および導電膜15を含むゲート電極GE2が形成され、ゲート電極GE2と半導体基板1との間の絶縁膜11および13を含むゲート絶縁膜GI2が形成される。すなわち、境界領域1Eで、素子分離膜2上の絶縁膜11および13を含むゲート絶縁膜GI2が形成され、ゲート絶縁膜GI2上の金属膜14および導電膜15を含むゲート電極GE2が形成され、ゲート絶縁膜GI2とゲート電極GE2とを含む膜部BP2が形成される。また、境界領域1Eで、ゲート電極GE2上の絶縁膜16を含むキャップ絶縁膜CP2が形成される。その後、レジストパターンRP6、すなわちレジスト膜RF6を除去する。
【0207】
ステップS14において、絶縁膜16の側面16s、および、導電膜15の側面15sが、レジストパターンRP6に含まれるレジスト膜RF6から露出した状態で、絶縁膜16および導電膜15をエッチングする場合を考える。このような場合、膜部BP2は形成されないが、不要なエッチング残りが生じやすくなる。
【0208】
一方、本実施の形態1では、ステップS14において、
図17に示すように、絶縁膜16の側面16s、および、導電膜15の側面15sが、レジストパターンRP6に含まれるレジスト膜RF6で覆われた状態で、絶縁膜16、導電膜15、金属膜14および絶縁膜13をエッチングする。これにより、前述したように、膜部BP2が形成されることになるが、絶縁膜16、導電膜15、金属膜14および絶縁膜13をエッチングする際に、不要なエッチング残りが生じにくくなる。
【0209】
なお、高電圧MISFET領域1Bで、絶縁膜11のうちゲート電極GEHから露出した部分は、ステップS14のドライエッチングを行うことによって、または、ステップS14のドライエッチングの後にウェットエッチングを行うことによって、除去され得る。そして、高電圧MISFET領域1Bのうちゲート電極GEHが形成されていない部分では、半導体基板1のp型ウェルPW2が露出する。
【0210】
また、低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜12のうち金属膜部14aおよび導電膜部15aから露出した部分は、ステップS14のドライエッチングを行うことによって、または、ステップS14のドライエッチングの後にウェットエッチングを行うことによって、除去され得る。そして、低電圧MISFET領域1Cのうち金属膜部14aおよび導電膜部15aが形成されていない部分では、半導体基板1のp型ウェルPW3が露出する。
【0211】
すなわち、ステップS14では、絶縁膜11および絶縁膜12がパターニングされてもよい。
【0212】
次に、
図19〜
図21に示すように、n
−型半導体領域21a、21b、21cおよび21dを、フォトリソグラフィおよびイオン注入法などを用いて形成する(
図4のステップS15)。このステップS15では、例えばヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物を、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GEHおよびゲート電極GELをマスクとして用いて、半導体基板1のp型ウェルPW1、PW2およびPW3に導入する。これにより、n
−型半導体領域21a、21b、21cおよび21dが形成される。
【0213】
ステップS15では、まず、
図19に示すように、メモリセル領域1Aで、p型ウェルPW1に、n
−型半導体領域21aおよび21bを形成する。この際、n
−型半導体領域21aは、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGの側面に自己整合して形成され、n
−型半導体領域21bは、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGの側面に自己整合して形成される。
【0214】
このとき、n
−型半導体領域21aを形成するためにイオンを注入する際の注入条件を、n
−型半導体領域21bを形成するためにイオンを注入する際の注入条件と異なる注入条件とすることができる。また、
図19は、n
−型半導体領域21bを形成した後、n
−型半導体領域21aが形成される領域以外の領域がレジスト膜RF7を含むレジストパターンRP7で覆われた状態で、n
−型半導体領域21aをイオン注入法により形成する工程を、示している。
【0215】
なお、図示は省略するが、短チャネル効果を防止または抑制するため、メモリセル領域1Aで、p型ウェルPW1に、n
−型半導体領域21aおよび21bの各々を取り囲むように、ポケット領域またはハロー領域を形成してもよい。
【0216】
ステップS15では、次に、
図20に示すように、半導体基板1の主面1a全面に、例えばシリコン窒化膜からなる絶縁膜IF1を形成する。絶縁膜IF1の厚さを、例えば5〜10nm程度とすることができる。また、絶縁膜IF1を、例えばCVD法により形成することができる。ステップS15では、この後、半導体基板1の主面1aが絶縁膜IF1で覆われた状態で、p型ウェルPW2およびPW3にイオン注入されることになる。
【0217】
ステップS15では、次に、
図21に示すように、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、p型ウェルPW2およびPW3に、n
−型半導体領域21cおよび21dを形成する。この際、n
−型半導体領域21cは、高電圧MISFET領域1Bにおいて、ゲート電極GEHの側面に自己整合して形成され、n
−型半導体領域21dは、低電圧MISFET領域1Cにおいて、金属膜部14aおよび導電膜部15aの側面に自己整合して形成される。
【0218】
このとき、高電圧MISFET領域1Bでn
−型半導体領域21cを形成するためにイオンを注入する際の注入条件を、低電圧MISFET領域1Cでn
−型半導体領域21dを形成するためにイオンを注入する際の注入条件と異なる注入条件とすることができる。また、
図21は、n
−型半導体領域21dを形成した後、n
−型半導体領域21cが形成される領域以外の領域がレジスト膜RF8を含むレジストパターンRP8で覆われた状態で、n
−型半導体領域21cをイオン注入法により形成する工程を、示している。
【0219】
なお、図示は省略するが、短チャネル効果を防止または抑制するため、高電圧MISFET領域1Bで、p型ウェルPW2に、n
−型半導体領域21cを取り囲むように、ポケット領域またはハロー領域を形成してもよい。また、図示は省略するが、低電圧MISFET領域1Cで、p型ウェルPW3に、n
−型半導体領域21dを取り囲むように、ポケット領域またはハロー領域を形成してもよい。
【0220】
なお、n
−型半導体領域21a、21b、21cおよび21dは、同じイオン注入工程で形成することもできる。
【0221】
次に、
図22に示すように、制御ゲート電極CGの側壁上、メモリゲート電極MGの側壁上、ゲート電極GEHの側壁上、および、ゲート電極GELの側壁上に、サイドウォールスペーサ22を形成する(
図4のステップS16)。
【0222】
まず、半導体基板1の主面1a全面に、サイドウォールスペーサ22用の絶縁膜IF2を形成し、形成された絶縁膜IF2を例えば異方性エッチングによりエッチバックする。このようにして、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、制御ゲート電極CGの側壁上、メモリゲート電極MGの側壁上、ゲート電極GEHの側壁上、および、ゲート電極GELの側壁上に、選択的にこの絶縁膜IF2を残す。これにより、絶縁膜IF2を含むサイドウォールスペーサ22を形成する。また、境界領域1Dおよび1Eで、ゲート電極GE1の側壁上、および、ゲート電極GE2の側壁上に、選択的にこの絶縁膜IF2を残すことにより、絶縁膜IF2を含むサイドウォールスペーサ22を形成する。このサイドウォールスペーサ22に含まれる絶縁膜IF2は、例えば窒化シリコン膜などの絶縁膜からなる。
【0223】
なお、サイドウォールスペーサ22には、絶縁膜IF1(
図20参照)も含まれるが、
図22では、絶縁膜IF1の図示を省略している。
【0224】
次に、
図23および
図24に示すように、n
+型半導体領域23a、23b、23cおよび23dを、イオン注入法などを用いて形成する(
図4のステップS17)。このステップS17では、例えばヒ素(As)またはリン(P)などのn型の不純物を、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GEHおよびゲート電極GELと、それらの側壁上のサイドウォールスペーサ22とをマスクとして用いて、半導体基板1のp型ウェルPW1、PW2およびPW3に導入する。これにより、n
+型半導体領域23a、23b、23cおよび23dが形成される。
【0225】
ステップS17では、まず、
図23に示すように、メモリセル領域1Aおよび高電圧MISFET領域1Bで、p型ウェルPW1およびPW2に、n
+型半導体領域23aおよび23cを形成する。この際、n
+型半導体領域23aは、メモリセル領域1Aにおいて、メモリゲート電極MGの側壁上のサイドウォールスペーサ22に自己整合して形成され、n
+型半導体領域23cは、高電圧MISFET領域1Bにおいて、ゲート電極GEHの側壁上のサイドウォールスペーサ22に自己整合して形成される。これにより、メモリセル領域1Aで、n
−型半導体領域21aと、n
+型半導体領域23aと、を含むLDD構造が形成され、高電圧MISFET領域1Bで、n
−型半導体領域21cと、n
+型半導体領域23cと、を含むLDD構造が形成される。
【0226】
このとき、n
+型半導体領域23aおよび23cを形成するためにイオンを注入する際の注入条件を、n
+型半導体領域23bおよび23dを形成するためにイオンを注入する際の注入条件と異なる注入条件とすることができる。
図23は、n
+型半導体領域23bおよび23dを形成する前に、n
+型半導体領域23aおよび23cが形成される領域以外の領域がレジスト膜RF9を含むレジストパターンRP9で覆われた状態で、n
+型半導体領域23aおよび23cをイオン注入法により形成する工程を、示している。
【0227】
ステップS17では、次に、
図24に示すように、メモリセル領域1Aおよび低電圧MISFET領域1Cで、p型ウェルPW1およびPW3に、n
+型半導体領域23bおよび23dを形成する。この際、n
+型半導体領域23bは、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGの側壁上のサイドウォールスペーサ22に自己整合して形成され、n
+型半導体領域23dは、低電圧MISFET領域1Cにおいて、金属膜部14aおよび導電膜部15aの側壁上のサイドウォールスペーサ22に自己整合して形成される。これにより、メモリセル領域1Aで、n
−型半導体領域21bと、n
+型半導体領域23bと、を含むLDD構造が形成され、低電圧MISFET領域1Cで、n
−型半導体領域21dと、n
+型半導体領域23dと、を含むLDD構造が形成される。
【0228】
図24は、n
+型半導体領域23bおよび23dが形成される領域以外の領域がレジスト膜RF10を含むレジストパターンRP10で覆われた状態で、n
+型半導体領域23bおよび23dをイオン注入法により形成する工程を、示している。
【0229】
一般に、n
+型半導体領域23dを形成するためのイオン注入における注入エネルギーは、n
+型半導体領域23cを形成するためのイオン注入における注入エネルギーよりも低い。そのため、
図23および
図24に示す例では、n
+型半導体領域23cを形成するためのイオン注入工程と異なるイオン注入工程により、n
+型半導体領域23dを形成する。しかし、n
+型半導体領域23a、23b、23cおよび23dを、同じイオン注入工程で形成することもできる。
【0230】
このようにして、n
−型半導体領域21aとそれよりも高不純物濃度のn
+型半導体領域23aとにより、メモリトランジスタMT(後述する
図27参照)のソース領域として機能するn型の半導体領域MSが形成される。また、n
−型半導体領域21bとそれよりも高不純物濃度のn
+型半導体領域23bとにより、制御トランジスタCT(後述する
図27参照)のドレイン領域として機能するn型の半導体領域MDが形成される。半導体領域MSは、p型ウェルPW1のうち、平面視において、メモリゲート電極MGを挟んで制御ゲート電極CGと反対側に位置する部分の上層部に、形成される。半導体領域MDは、p型ウェルPW1のうち、平面視において、制御ゲート電極CGを挟んでメモリゲート電極MGと反対側に位置する部分の上層部に、形成される。
【0231】
その後、n
−型半導体領域21a、21b、21cおよび21d、ならびに、n
+型半導体領域23a、23b、23cおよび23dなどに導入された不純物を活性化するための熱処理である活性化アニールを行う。
【0232】
次に、
図25に示すように、金属シリサイド層24を形成する(
図4のステップS18)。このステップS18では、半導体基板1の主面1a全面に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GEH、金属膜部14a、導電膜部15a、ゲート電極GE1およびGE2、キャップ絶縁膜CP1、ならびに、サイドウォールスペーサ22を覆うように、金属膜を形成する。金属膜は、例えばコバルト(Co)膜、ニッケル(Ni)膜、または、ニッケル白金合金膜などからなり、スパッタリング法などを用いて形成することができる。そして、半導体基板1に対して熱処理を施すことによって、n
+型半導体領域23a、23b、23cおよび23dのそれぞれの上層部を、金属膜と反応させる。これにより、n
+型半導体領域23a、23b、23cおよび23dの各々の上に、金属シリサイド層24がそれぞれ形成される。
【0233】
金属シリサイド層24は、例えばコバルトシリサイド層、ニッケルシリサイド層、または、白金添加ニッケルシリサイド層とすることができる。その後、未反応の金属膜を除去する。このようないわゆるサリサイドプロセスを行うことによって、
図25に示すように、n
+型半導体領域23a、23b、23cおよび23dの各々の上に、金属シリサイド層24を形成することができる。なお、金属シリサイド層24は、メモリゲート電極MG上にも形成される。
【0234】
次に、
図26に示すように、絶縁膜25を形成する(
図4のステップS19)。このステップS19では、半導体基板1の主面1a全面に、すなわち半導体基板1上に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GEH、金属膜部14a、導電膜部15a、ゲート電極GE1およびGE2、キャップ絶縁膜CP1、ならびに、サイドウォールスペーサ22を覆うように、絶縁膜25を形成する。絶縁膜25は、例えば窒化シリコン膜からなり、例えばCVD法などを用いて形成することができる。
【0235】
次に、
図27に示すように、絶縁膜25を研磨する(
図4のステップS20)。このステップS20では、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法などを用いて絶縁膜25およびキャップ絶縁膜CP1を研磨することにより、絶縁膜25の上面を平坦化し、低電圧MISFET領域1Cで、導電膜部15aの上面を露出させる。また、メモリセル領域1Aでは、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの各々の上面を露出させ、高電圧MISFET領域1Bでは、ゲート電極GEHの上面を露出させ、境界領域1Dおよび1Eで、ゲート電極GE1およびGE2の各々の上面を露出させる。なお、
図27に示す例では、メモリゲート電極MGの表面に形成された金属シリサイド層24も除去される。
【0236】
このようにして、
図27に示すように、メモリセル領域1Aで、制御トランジスタCTおよびメモリトランジスタMTが形成され、制御トランジスタCTおよびメモリトランジスタMTにより、不揮発性メモリとしてのメモリセルMCが形成される。すなわち、制御ゲート電極CGと、ゲート絶縁膜GIcと、メモリゲート電極MGと、ゲート絶縁膜GImとにより、不揮発性メモリとしてのメモリセルMCが形成される。
【0237】
また、
図27に示すように、高電圧MISFET領域1Bで、高電圧のMISFET10Hが形成される。すなわち、ゲート電極GEHと、ゲート絶縁膜GIHとにより、高電圧のMISFET10Hが形成される。
【0238】
次に、
図28および
図29に示すように、導電膜部15aを除去する(
図4のステップS21)。
【0239】
ステップS21では、まず、
図28に示すように、半導体基板1の主面1a全面に、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF3を例えばCVD法により形成する。次に、絶縁膜IF3をフォトリソグラフィおよびドライエッチングを用いてパターニングし、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bならびに境界領域1Dおよび1Eで、絶縁膜IF3を残し、低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜IF3を除去する。これにより、低電圧MISFET領域1Cで、導電膜部15aが、絶縁膜IF3から露出する。
【0240】
ステップS21では、次に、
図29に示すように、露出した導電膜部15aを、エッチングして除去する。すなわち、導電膜部15aは、前述したように、ダミーゲート電極として機能する。
【0241】
ステップS21では、導電膜部15aを、例えばドライエッチングにより除去することができる。あるいは、導電膜部15aを、例えばエッチング液を用いたウェットエッチングにより除去してもよい。
【0242】
ステップS21により、例えばシリコン膜からなる導電膜部15aが除去され、導電膜部15aの下の金属膜部14aが露出する。また、導電膜部15aが除去された部分に、凹部CC1が形成される。凹部CC1の底部では、金属膜部14aが露出し、凹部CC1の側壁、すなわち側面では、サイドウォールスペーサ22が露出する。
【0243】
ステップS21では、導電膜部15aに比べて金属膜部14aがエッチングされにくいエッチング条件で導電膜部15aをエッチングすることにより、導電膜部15aを選択的に除去する。すなわち、例えば窒化チタン膜からなる金属膜部14aを、例えばシリコン膜からなる導電膜部15aをエッチングする際のエッチングストッパとして用いる。
【0244】
金属膜部14aが形成されておらず、導電膜部15aがゲート絶縁膜GIL上に直接形成されている場合、導電膜部15aをエッチングする際に、ゲート絶縁膜GILがエッチングされ、さらに、半導体基板1のp型ウェルPW3がエッチングされるおそれがある。一方、導電膜部15aがゲート絶縁膜GIL上に金属膜部14aを介して形成されている場合、導電膜部15aをエッチングする際に、金属膜部14aがエッチングストッパとして機能する。そのため、導電膜部15aをエッチングする際に、ゲート絶縁膜GILおよびp型ウェルPW3がエッチングされることを防止することができる。
【0245】
一方、メモリセル領域1Aおよび高電圧MISFET領域1Bでは、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGおよびゲート電極GEHは、絶縁膜IF3で覆われており、露出していないため、エッチングされない。また、境界領域1Dおよび1Eでは、ゲート電極GE1およびGE2は、絶縁膜IF3で覆われており、露出していないため、エッチングされない。
【0246】
次に、
図30に示すように、導電膜26を形成する(
図5のステップS22)。この
ステップS22では、半導体基板1の主面1a全面に、ゲート電極GEL(後述する
図31参照)用の導電膜26を形成する。このとき、ステップS21で形成された凹部CC1の底部に露出している金属膜部14a上に、金属膜部14aに接するように、導電膜26を形成する。そして、導電膜26により凹部CC1内を埋め込む。
【0247】
導電膜26として、例えば多結晶シリコン膜などのシリコン膜以外の金属膜を用いることができ、好適には、例えばアルミニウム(Al)膜、窒化タンタル(TaN)膜、窒化チタン(TiN)膜などからなる金属膜を用いることができる。導電膜26を、例えばスパッタリング法などの物理的気相成長(Physical vapor deposition:PVD)法で形成することができる。なお、金属膜部14aと導電膜26との間に、ゲート電極GEL(後述する
図31参照)の仕事関数を調整するための金属膜を形成してもよい。
【0248】
次に、
図31に示すように、導電膜26を研磨する(
図5のステップS23)。このステップS23では、例えばCMP法を用いて、凹部CC1の外部の導電膜26を除去し、凹部CC1内に導電膜26を残す。これにより、低電圧MISFET領域1Cでは、ゲート絶縁膜GIL上の金属膜部14aと、金属膜部14a上に形成され、かつ、凹部CC1内に残された導電膜26と、を含むゲート電極GELが形成される。また、凹部CC1の外部の導電膜26を除去する際に、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1B、ならびに、境界領域1Dおよび1Eに形成されていた絶縁膜IF3は、除去される。
【0249】
このようにして、
図31に示すように、低電圧MISFET領域1Cで、低電圧のMISFET10Lが形成される。すなわち、ゲート電極GELと、ゲート絶縁膜GILとにより、低電圧のMISFET10Lが形成される。
【0250】
ゲート電極GELのうち、ゲート絶縁膜GILに接する部分に、例えば窒化チタン膜からなる金属膜部14aが配置されているため、ゲート電極GELをメタルゲート電極として機能させることができる。したがって、ゲート電極GELのうち、ゲート絶縁膜GILに接する部分がシリコン膜からなる場合に比べ、ゲート電極GELのうち、ゲート絶縁膜GILに接する部分が空乏化することを防止することができ、MISFET10Lの性能を向上させることができる。
【0251】
また、ゲート電極GELのうち、金属膜部14a上の部分には、例えばアルミニウム膜などからなる導電膜26が配置されているため、ゲート電極GELのうち、金属膜部14a上の部分がシリコン膜からなる場合に比べ、MISFET10Lの性能をさらに向上させることができる。
【0252】
次に、
図32および
図33に示すように、金属シリサイド層28を形成する(
図5のステップS24)。
【0253】
ステップS24では、まず、
図32に示すように、半導体基板1の主面1a全面に、例えば窒化シリコン膜からなる絶縁膜27を例えばCVD法により形成する。次に、絶縁膜27をフォトリソグラフィおよびドライエッチングを用いてパターニングし、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bならびに境界領域1Dおよび1Eで、絶縁膜27を除去し、低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜27を残す。これにより、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bならびに境界領域1Dおよび1Eで、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ならびに、ゲート電極GEH、GE1およびGE2が、絶縁膜27から露出する。
【0254】
ステップS24では、次に、
図33に示すように、半導体基板1の主面1a全面に、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ならびに、ゲート電極GEH、GE1およびGE2を覆うように、金属膜を形成する。金属膜は、例えばコバルト(Co)膜、ニッケル(Ni)膜、または、ニッケル白金合金膜などからなり、スパッタリング法などを用いて形成することができる。そして、半導体基板1に対して熱処理を施すことによって、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ならびに、ゲート電極GEH、GE1およびGE2の上層部を、金属膜と反応させる。これにより、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ゲート電極GEH、GE1およびGE2の各々の上に、金属シリサイド層28が形成される。
【0255】
金属シリサイド層28は、金属シリサイド層24と同様に、例えばコバルトシリサイド層、ニッケルシリサイド層、または、白金添加ニッケルシリサイド層とすることができる。その後、未反応の金属膜を除去する。このようないわゆるサリサイドプロセスを行うことによって、
図33に示すように、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ならびに、ゲート電極GEH、GE1およびGE2の各々の上に、金属シリサイド層28を形成することができる。
【0256】
次に、
図2に示すように、層間絶縁膜29を形成する(
図5のステップS25)。このステップS25では、半導体基板1の主面1a全面に、絶縁膜として層間絶縁膜29を形成する。層間絶縁膜29は、酸化シリコン膜の単体膜、あるいは、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜との積層膜などからなり、例えばCVD法などを用いて形成することができる。
【0257】
次に、
図2に示すように、プラグPGを形成する(
図5のステップS26)。このステップS26では、まず、フォトリソグラフィを用いて絶縁膜16上に形成したレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして、層間絶縁膜29および絶縁膜25をドライエッチングすることにより、層間絶縁膜29および絶縁膜25を貫通するコンタクトホールCNTを形成する。次に、コンタクトホールCNT内に、導電体部として、タングステン(W)などからなる導電性のプラグPGを形成する。
【0258】
プラグPGを形成するには、例えば、コンタクトホールCNTの内部を含む層間絶縁膜29上に、例えば、チタン(Ti)膜、窒化チタン(TiN)膜、またはそれらの積層膜からなるバリア導体膜を形成する。それから、このバリア導体膜上にタングステン(W)膜などからなる主導体膜を、コンタクトホールCNTを埋めるように形成し、層間絶縁膜29上の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去する。これにより、プラグPGを形成することができる。なお、図面の簡略化のために、
図2では、プラグPGを構成するバリア導体膜および主導体膜を一体化して示している。
【0259】
コンタクトホールCNTおよびそれに埋め込まれたプラグPGは、n
+型半導体領域23a、23b、23cおよび23d、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ならびに、ゲート電極GEHおよびGELの各々の上などに形成される。コンタクトホールCNTの底部では、例えばn
+型半導体領域23a、23b、23cおよび23dの各々の表面上の金属シリサイド層24の一部が露出し、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、ならびに、ゲート電極GEHおよびGELの各々の表面上の金属シリサイド層28の一部が露出する。
【0260】
次に、
図2に示すように、プラグPGが埋め込まれた層間絶縁膜29上に、第1層目の配線である配線M1を形成する(
図5のステップS27)。ここでは、配線M1を、例えばダマシン技術としてシングルダマシン技術を用いて形成する場合について説明する。
【0261】
まず、プラグPGが埋め込まれた層間絶縁膜29上に、絶縁膜30を形成する。絶縁膜30は、複数の絶縁膜の積層膜で形成することもできる。次に、レジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとしたドライエッチングによって絶縁膜30の所定の領域に配線溝を形成する。
【0262】
次に、形成された配線溝の底部および側壁上を含む絶縁膜30上に、例えば窒化チタン(TiN)膜、タンタル(Ta)膜または窒化タンタル(TaN)膜などからなるバリア導体膜を形成する。それから、CVD法またはスパッタリング法などによりバリア導体膜上に銅(Cu)のシード層を形成し、さらに電解めっき法などを用いてシード層上に銅(Cu)めっき膜を形成して、Cuめっき膜により配線溝の内部を埋め込む。それから、配線溝以外の領域の主導体膜とバリア導体膜をCMP法により除去して、配線溝に埋め込まれたCuを主導電材料とする第1層目の配線M1を形成する。なお、
図2では、図面の簡略化のために、配線M1は、バリア導体膜、シード層およびCuめっき膜を一体化して示している。
【0263】
配線M1は、プラグPGを介して、メモリセルMCの半導体領域MSおよび半導体領域MD、MISFET10Hのn
+型半導体領域23c、ならびに、MISFET10Lのn
+型半導体領域23dなどと電気的に接続される。その後、デュアルダマシン法などにより2層目以降の配線を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。また、配線M1およびそれよりも上層の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン(W)配線またはアルミニウム(Al)配線などとすることもできる。
【0264】
以上のようにして、
図2を用いて前述した、本実施の形態1の半導体装置が製造される。
【0265】
<比較例1の半導体装置の製造方法>
次に、比較例1の半導体装置の製造方法について説明する。
図34は、比較例1の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図35は、比較例1の半導体装置の要部平面図である。
【0266】
比較例1の半導体装置の製造工程では、
図3のステップS3〜
図4のステップS20と同様の工程を行って、絶縁膜25を研磨する。次に、
図4のステップS21に相当する工程を行って、
図29に示したように、低電圧MISFET領域1Cで、導電膜15を含む導電膜部15a(
図28参照)を除去する際に、高電圧MISFET領域1Bでも、導電膜15を除去する。そして、
図34に示すように、高電圧MISFET領域1Bで、凹部CC101を形成する。
【0267】
次に、
図5のステップS22に相当する工程を行って、導電膜26を形成し、低電圧MISFET領域1Cで、導電膜26により凹部CC1内を埋め込む際に、
図34に示すように、高電圧MISFET領域1Bでも、導電膜26により凹部CC101内を埋め込む。
【0268】
次に、
図5のステップS23に相当する工程を行って、
図34に示すように、例えばCMP法を用いて導電膜26を研磨する。
【0269】
前述したように、高電圧のMISFET10Hのゲート長(チャネル長)は、低電圧のMISFET10Lのゲート長(チャネル長)よりも長いので、ゲート長方向における凹部CC101の幅は、ゲート長方向における凹部CC1の幅よりも広い。そのため、CMP法により導電膜26を研磨する際に、高電圧MISFET領域1Bで、ディッシングが発生するおそれがある。ディッシングとは、CMP法で用いられるパッドの弾性により、導電膜26が過剰に研磨され、導電膜26のうち凹部CC101の中央に位置する部分の上面の高さ位置が、絶縁膜25のうち凹部CC101と隣り合う部分の上面の高さよりも低くなることを意味する。
【0270】
ゲート絶縁膜GIHの厚さは、ゲート絶縁膜GILの厚さよりも厚い。また、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜25の上面の高さが等しい。そのため、高電圧MISFET領域1Bで形成されるゲート電極GEHの厚さは、低電圧MISFET領域1Cで形成されるゲート電極GELの厚さよりも薄くなる。したがって、ディッシングが発生することにより、ゲート電極GEHの厚さが、所望の厚さよりも薄くなって、ゲート電極GELの厚さよりもさらに薄くなると、高電圧のMISFET10Hの、例えば閾値電圧Vthなどのトランジスタ特性の低下やばらつきが生じるので、比較例1の半導体装置の性能を向上させることができない。
【0271】
前述したように、ゲート長方向(チャネル長方向)における凹部CC101の幅は、ゲート長方向(チャネル長方向)における凹部CC1の幅よりも広い。そのため、ゲート幅方向(チャネル幅方向)における凹部CC101の長さがゲート長方向(チャネル長方向)における凹部CC1の長さと等しい場合でも、高電圧のMISFET10Hに及ぼされるディッシングの影響は、低電圧のMISFET10Lに及ぼされるディッシングの影響よりも大きい。
【0272】
ここで、高電圧のMISFET10Hが入出力回路またはESD(Electrostatic discharge)回路に用いられる場合、高電圧のMISFET10Hを流れる電流を増加させる必要がある。そのため、例えば
図35の左側に示すように、p型ウェルPW2上に、平面視において、複数のゲート電極GEHが、ゲート長方向(チャネル長方向)に間隔を空けて配置されることが望ましく、ゲート電極GEHのゲート幅方向(チャネル幅方向)における長さを長くすることが望ましい。
【0273】
ところが、前述したように、高電圧のMISFET10Hに及ぼされるディッシングの影響は、低電圧のMISFET10Lに及ぼされるディッシングの影響よりも大きい。そのため、例えば
図35の右側に示すように、高電圧のMISFET10Hを、ゲート幅方向(チャネル幅方向)に複数個のMISFET10Hdに分割する必要がある。そのため、隣り合うMISFET10Hdの間に素子分離膜が形成される領域の面積の分だけ、高電圧のMISFET10Hを形成するために必要な領域の面積が増加する。
【0274】
すなわち、比較例1の半導体装置では、ディッシングが発生することを防止または抑制する場合、高電圧のMISFET10Hに含まれるゲート電極GEHの寸法、面積などの平面形状が制限される。その結果、高電圧のMISFET10Hを形成するために必要な領域の面積が増加するため、半導体装置を容易に小型化することができない。
【0275】
<比較例2の半導体装置の製造方法>
次に、比較例2の半導体装置の製造方法について説明する。
図36は、比較例2の半導体装置の製造工程の一部を示すプロセスフロー図である。
図37は、比較例2の半導体装置のレイアウト構成例を示す図である。
【0276】
比較例2の半導体装置の製造工程では、
図4のステップS20と同様の工程を行って、絶縁膜25を研磨する。次に、
図4のステップS21に相当する工程を行って、
図29に示したように、低電圧MISFET領域1Cで、導電膜15を含む導電膜部15a(
図28参照)を除去する際に、実施の形態1と同様に、高電圧MISFET領域1Bでは、導電膜15を除去しない。そのため、比較例2の半導体装置の製造工程では、比較例1の半導体装置の製造工程と異なり、
図5のステップS23に相当する工程を行って、例えばCMP法を用いて導電膜26を研磨する際に、高電圧MISFET領域1Bで、ディッシングが発生するおそれがない。
【0277】
一方、比較例2の半導体装置の製造工程では、
図3のステップS1〜ステップS9と同様の工程(
図36のステップS1〜ステップS9)を行って、スペーサSP1および絶縁膜6を除去する。次に、
図3のステップS10に相当する工程(
図36のステップS110)を行って、
図11に示したように、絶縁膜5および導電膜4を除去する際に、低電圧MISFET領域1Cでは、絶縁膜5および導電膜4を除去するが、高電圧MISFET領域1Bでは、絶縁膜5および導電膜4を除去しない。そのため、高電圧のMISFET10Hに含まれるゲート電極GEHは、金属膜14および導電膜15に代え、制御ゲート電極CGに含まれる導電膜4と同層に形成された導電膜を含むことになる。すなわち、高電圧MISFET領域1Bでは、導電膜4を金属膜14および導電膜15に置き換えないが、低電圧MISFET領域1Cでは、導電膜4を金属膜14および導電膜15に置き換えることになる。
【0278】
したがって、
図37に示すように、比較例2の半導体装置では、膜部BP1およびBP2(
図2参照)は、メモリセル領域1Aと高電圧MISFET領域1Bとの間ではなく、高電圧MISFET領域1Bと低電圧MISFET領域1Cとの間に形成される。そして、導電膜4を金属膜14および導電膜15に置き換える領域と、導電膜4を金属膜14および導電膜15に置き換えない領域との間の境界領域の幅は、膜部BP1およびBP2の分だけ、広くなる。そのため、比較例2の半導体装置では、高電圧MISFET領域1Bと低電圧MISFET領域1Cとの間の境界領域1Fの幅は、広くなる。なお、比較例2の半導体装置では、メモリセル領域1Aと低電圧MISFET領域1Cとの間の境界領域1Gの幅も、広くなる。
【0279】
一般に、低電圧MISFET領域1Cは、平面視において、半導体装置としての半導体チップ内に散在し、高電圧MISFET領域1Bと低電圧MISFET領域1Cとは、半導体チップのうち極めて多くの部分で隣り合う。そのため、高電圧MISFET領域1Bと低電圧MISFET領域1Cとの間の境界領域1Fは、半導体チップ内に複雑に屈曲しながら長い距離に亘って配置され、半導体装置としての半導体チップのうち境界領域1Fの占める面積の割合は大きくなって、半導体装置の性能を向上させることができない。例えば境界領域1Fの幅が0.5〜1.0μm程度必要な場合、半導体チップのうち境界領域1Fの占める面積の割合は、極めて大きくなる。
【0280】
すなわち、比較例2の半導体装置の平面レイアウトは複雑になり、比較例2の半導体装置の平面レイアウトを容易に設計することができない。
【0281】
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
一方、本実施の形態1の半導体装置の製造工程では、メモリセル領域1Aで制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGを形成した後、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、高誘電率膜からなる絶縁膜13上に、金属窒化物を含む金属膜14を介して、シリコン膜からなる導電膜15を形成する。次に、導電膜15および金属膜14をパターニングし、高電圧MISFET領域1Bで、金属膜14および導電膜15を含むゲート電極GEHを形成し、低電圧MISFET領域1Cで、金属膜14を含む金属膜部14a、および、導電膜15を含む導電膜部15aを形成する。次に、低電圧MISFET領域1Cで、導電膜部15aを除去して金属膜部14aを露出させ、露出した金属膜部14a上に導電膜26を形成し、金属膜部14aと導電膜26とを含むゲート電極GELを形成する。
【0282】
このような半導体装置の製造工程により製造された本実施の形態1の半導体装置は、メモリセル領域1Aで形成された制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGを有する。また、当該半導体装置は、高電圧MISFET領域1Bで、半導体基板1上に形成されたゲート絶縁膜GIHと、ゲート絶縁膜GIH上に形成されたゲート電極GEHと、を有する。ゲート絶縁膜GIHは、低誘電率膜からなる絶縁膜11と、絶縁膜11上の高誘電率膜からなる絶縁膜13と、を含む。ゲート電極GEHは、絶縁膜13上の金属窒化物を含む金属膜14と、金属膜14上の導電膜15と、を含む。また、当該半導体装置は、低電圧MISFET領域1Cで、半導体基板1上に形成されたゲート絶縁膜GILと、ゲート絶縁膜GIL上に形成されたゲート電極GELと、を有する。ゲート絶縁膜GILは、低誘電率膜からなる絶縁膜12と、絶縁膜12上の高誘電率膜からなる絶縁膜13と、を含む。ゲート電極GELは、絶縁膜13上の金属窒化物を含む金属膜部14aと、金属膜部14a上の導電膜26と、を含む。絶縁膜12の膜厚は、絶縁膜11の膜厚よりも薄い。
【0283】
本実施の形態1の半導体装置の製造工程では、低電圧MISFET領域1Cで、導電膜15を含む導電膜部15aを除去する際に、高電圧MISFET領域1Bでは、導電膜15を除去しない。そのため、本実施の形態1の半導体装置の製造工程では、比較例1の半導体装置と異なり、例えばCMP法を用いて導電膜26を研磨する際に、高電圧MISFET領域1Bで、ディッシングが発生することを防止または抑制することができる。
【0284】
そのため、ゲート電極GEHの厚さが、所望の厚さよりも薄くなって、ゲート電極GELの厚さよりもさらに薄くなることを防止または抑制し、高電圧のMISFET10Hの、例えば閾値電圧Vthなどのトランジスタ特性を向上させ、半導体装置の性能を向上させることができる。また、ディッシングを防止または抑制するため、高電圧のMISFET10Hに含まれるゲート電極GEHの寸法、面積などの平面形状の制限が少なくなり、その結果、高電圧のMISFET10Hを形成するために必要な領域の面積を低減することができ、半導体装置を容易に小型化することができる。
【0285】
図38は、実施の形態1の半導体装置のレイアウト構成例を示す図である。
【0286】
図38に示すように、本実施の形態1の半導体装置では、膜部BP1およびBP2は、高電圧MISFET領域1Bと低電圧MISFET領域1Cとの間ではなく、メモリセル領域1Aと高電圧MISFET領域1Bとの間に形成される。そして、前述したように、導電膜4を金属膜14および導電膜15に置き換える領域と、導電膜4を金属膜14および導電膜15に置き換えない領域との間の境界領域の幅は、広くなるため、本実施の形態1の半導体装置では、メモリセル領域1Aと高電圧MISFET領域1Bとの間の境界領域1Dおよび1Eの幅は、広くなる。なお、本実施の形態1の半導体装置では、メモリセル領域1Aと低電圧MISFET領域1Cとの間の境界領域1Gの幅も、広くなる。しかし、高電圧MISFET領域1Bと低電圧MISFET領域1Cとの間の境界領域1F(
図37参照)の幅は、広くならない。
【0287】
前述したように、高電圧MISFET領域1Bと低電圧MISFET領域1Cとは、半導体チップのうち極めて多くの部分で隣り合うものの、メモリセル領域1Aと高電圧MISFET領域1Bとは、半導体チップのうちそれほど多くの部分で隣り合わない。そのため、メモリセル領域1Aと高電圧MISFET領域1Bとの間の境界領域1Dおよび1Eは、半導体チップ内にそれほど長い距離に亘って配置されず、半導体チップのうち境界領域1Dおよび1Eの占める面積の割合は大きくならない。例えば境界領域1Dおよび1Eの幅が0.5〜1.0μm程度必要な場合であっても、半導体チップのうち境界領域1Dおよび1Eの占める面積の割合は、それほど大きくならない。
【0288】
したがって、本実施の形態1の半導体装置の平面レイアウトはそれほど複雑にならず、本実施の形態1の半導体装置の平面レイアウトを容易に設計することができる。
【0289】
また、本実施の形態1の半導体装置の製造工程では、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGを形成した後、ゲート絶縁膜GIHおよびGILに含まれる絶縁膜11および12を形成する。そのため、ゲート絶縁膜GIHおよびGILの各々の厚さを高精度で制御することができ、複数のゲート絶縁膜GIHの間の厚さの均一性、および、複数のゲート絶縁膜GILの間の厚さの均一性を向上させることができる。
【0290】
(実施の形態2)
実施の形態1の半導体装置の製造工程では、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGを形成した後、絶縁膜11を形成した。一方、実施の形態2の半導体装置の製造工程では、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGを形成する前に、絶縁膜11を形成する。
【0291】
実施の形態2の半導体装置については、実施の形態1の半導体装置と略同様にすることができ、その説明を省略する。
【0292】
<半導体装置の製造方法>
図39は、実施の形態2の半導体装置の製造工程の一部を示すプロセスフロー図である。
図40〜
図51は、実施の形態2の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図40〜
図51の断面図には、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cの要部断面図が示されている。また、
図40〜
図51の断面図には、境界領域1D、1Eおよび1Fの要部断面図が示されている。
【0293】
なお、
図49〜
図51における境界領域1Dおよび1Eの幅を、
図40〜
図48における、境界領域1Dおよび1Eの幅よりも広く示している。
【0294】
図40〜
図51の断面図においては、一例として、メモリセル領域1Aと高電圧MISFET領域1Bとが互いに隣り合い、高電圧MISFET領域1Bと低電圧MISFET領域1Cとが互いに隣り合う場合を図示している。このとき、境界領域1Dは、互いに隣り合うメモリセル領域1Aと高電圧MISFET領域1Bとの間に配置され、境界領域1Eは、境界領域1Dと高電圧MISFET領域1Bとの間に配置されている。
【0295】
本実施の形態2の半導体装置の製造工程では、
図3のステップS1〜ステップS3と同様の工程(
図39のステップS1〜ステップS3)を行って、
図40に示すように、p型ウェルPW1、PW2およびPW3を形成した後、
図40〜
図42に示すように、絶縁膜3、11および12を形成する(
図39のステップS41)。
【0296】
ステップS41では、まず、
図40に示すように、メモリセル領域1A、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、半導体基板1の主面1a上に、絶縁膜11を形成する。また、境界領域1D、1Eおよび1Fでも、半導体基板1の主面1a上に、絶縁膜11を形成する。絶縁膜11の膜厚を、例えば15nm程度とすることができる。絶縁膜11を形成する工程を、実施の形態1で
図12を用いて説明した絶縁膜11を形成する工程(
図3のステップS11)と同様に行うことができる。
【0297】
ステップS41では、次に、
図41に示すように、絶縁膜11上にレジスト膜RF11を形成する。そして、フォトリソグラフィにより、レジスト膜RF11を貫通して絶縁膜11に達する開口部を形成し、開口部が形成されたレジスト膜RF11を含むレジストパターンRP11を形成する。このとき、メモリセル領域1Aおよび低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜11はレジスト膜RF11から露出し、高電圧MISFET領域1Bならびに境界領域1Dおよび1Eで、絶縁膜11はレジスト膜RF11で覆われる。
【0298】
ステップS41では、次に、
図41に示すように、レジストパターンRP11をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜11を、例えばドライエッチングなどによりエッチングしてパターニングする。これにより、メモリセル領域1Aおよび低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜11を除去し、高電圧MISFET領域1Bならびに境界領域1Dおよび1Eで、絶縁膜11を残す。その後、レジストパターンRP11、すなわちレジスト膜RF11を除去する。
【0299】
ステップS41では、次に、
図42に示すように、メモリセル領域1Aで、半導体基板1の主面1a上に、絶縁膜3を形成し、低電圧MISFET領域1Cで、半導体基板1の主面1a上に、絶縁膜3と同層に絶縁膜12を形成する。絶縁膜3の膜厚を、例えば2〜3nm程度とすることができ、絶縁膜12の膜厚を、例えば1〜2nm程度とすることができる。絶縁膜3および12を形成する工程を、実施の形態1で
図6を用いて説明した絶縁膜3を形成する工程(
図3のステップS4)と同様に行うことができる。
【0300】
なお、ステップS41では、絶縁膜12の膜厚を、絶縁膜3の膜厚と同一にしておき、後述する
図49を用いて説明する工程で、絶縁膜12を再び形成することなどにより、絶縁膜12を、ステップS41と異なる工程で形成することができる。
【0301】
次に、
図3のステップS5と同様の工程を行って、
図42に示すように、絶縁膜3、11および12上に、導電膜4および絶縁膜5を形成する(
図39のステップS5)。このとき、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、半導体基板1上に、絶縁膜11および12を覆う導電膜4を形成する。
【0302】
次に、
図43に示すように、
図3のステップS6と同様の工程を行って、レジスト膜RF1を含むレジストパターンRP1をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜5、導電膜4および絶縁膜3をパターニングする(
図39のステップS6)。
【0303】
これにより、メモリセル領域1Aで、半導体基板1上、すなわちp型ウェルPW1上の絶縁膜3を含むゲート絶縁膜GIcが形成され、ゲート絶縁膜GIc上の導電膜4を含む制御ゲート電極CGが形成される。なお、制御ゲート電極CG上の絶縁膜5を含むキャップ絶縁膜CP1が形成されてもよい。
【0304】
一方、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜5、導電膜4ならびに絶縁膜11および12は残される。また、境界領域1Dおよび1Eのうち、ゲート電極GE1(後述する
図48参照)が形成される部分、および、ゲート電極GE1が形成される部分に対してメモリセル領域1A側と反対側の部分で、絶縁膜5、導電膜4ならびに絶縁膜11および12は残される。
【0305】
次に、
図3のステップS7およびステップS8と同様の工程(
図39のステップS7およびステップS8)を行って、
図44に示すように、導電膜7をエッチバックする。これにより、メモリセル領域1Aにおいて、制御ゲート電極CGの両側の側壁の各々に、絶縁膜6を介してサイドウォールスペーサ状に残された導電膜7からなる、メモリゲート電極MGおよびスペーサSP1が形成される。
【0306】
次に、
図3のステップS9と同様の工程を行って、
図45および
図46に示すように、スペーサSP1および絶縁膜6を除去する(
図39のステップS9)。すなわち、
図45に示すように、フォトリソグラフィを用いて、メモリゲート電極MGが覆われ、かつ、スペーサSP1が露出するような、レジスト膜RF2を含むレジストパターンRP2を、半導体基板1上に形成する。そして、形成されたレジストパターンRP2をエッチングマスクとしたドライエッチングにより、
図46に示すように、スペーサSP1を除去する。このとき、メモリセル領域1Aにおいて、絶縁膜6のうち、メモリゲート電極MGとp型ウェルPW1との間に残された部分と、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間に残された部分と、を含むゲート絶縁膜GImが形成される。
【0307】
次に、
図3のステップS10と同様の工程を行って、
図47および
図48に示すように、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜5および導電膜4を除去する。(
図39のステップS10)。
【0308】
ステップS10では、まず、
図47に示すように、レジスト膜RF3を含むレジストパターンRP3を形成し、次に、
図48に示すように、レジストパターンRP3をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜5および導電膜4を、例えばドライエッチングなどによりエッチングしてパターニングする。これにより、境界領域1Dで、ゲート絶縁膜GI1とゲート電極GE1とを含む膜部BP1が形成される。なお、ゲート電極GE1上の絶縁膜5を含むキャップ絶縁膜CP1が形成されてもよい。一方、高電圧MISFET領域1Bおよび低電圧MISFET領域1Cで、絶縁膜11および12は残される。
【0309】
本実施の形態2では、実施の形態1と異なり、既に絶縁膜11および12が形成されているため、次に、
図4のステップS12およびステップS13と同様の工程を行って、
図49に示すように、絶縁膜13、金属膜14、導電膜15および絶縁膜16を形成する。また、絶縁膜13を形成する前に、メモリセル領域1Aおよび境界領域1Dで、半導体基板1の主面1a上に、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF4を形成してもよい。
【0310】
なお、ステップS10では、絶縁膜5および導電膜4をエッチングする際に、高電圧MISFET領域1Bで絶縁膜11の膜厚が減少しないように、導電膜4が除去された後、エッチングを停止するタイミングを精度よく制御することが望ましい。また、ステップS10では、絶縁膜5および導電膜4をエッチングする際に、低電圧MISFET領域1Cで絶縁膜12が除去されないように、導電膜4が除去された後、エッチングを停止するタイミングを、精度よく制御することが望ましい。
【0311】
あるいは、ステップS10では、導電膜4が除去された後もなおエッチングを行って、低電圧MISFET領域1Cで絶縁膜12を除去してもよい。このような場合には、
図4のステップS12およびステップS13と同様の工程を行って、
図49に示すように、絶縁膜13、金属膜14、導電膜15および絶縁膜16を形成する際に、絶縁膜13を形成する前に、低電圧MISFET領域1Cで、半導体基板1の主面1a上に、絶縁膜12を再び形成してもよい。
【0312】
実施の形態1の半導体装置の製造工程では、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGを形成した後、絶縁膜11を形成する。そのため、前述したように、絶縁膜11を熱酸化法のみにより形成すると、メモリゲート電極MGと半導体基板1との間に、バーズピークが形成されるおそれがある。
【0313】
一方、本実施の形態2の半導体装置の製造工程では、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGを形成する前に、絶縁膜11を形成する。そのため、絶縁膜11を熱酸化法のみにより形成した場合でも、メモリゲート電極MGと半導体基板1との間にバーズピークが形成されることを防止することができる。
【0314】
次に、
図4のステップS14と同様の工程を行って、絶縁膜16、導電膜15、金属膜14および絶縁膜13をパターニングする。
【0315】
ステップS14では、まず、
図50に示すように、レジスト膜RF5を含むレジストパターンRP5を形成する。
【0316】
ステップS14では、次に、
図51に示すように、レジストパターンRP5をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜16、導電膜15、金属膜14および絶縁膜13を、例えばドライエッチングなどによりエッチングしてパターニングする。
【0317】
これにより、メモリセル領域1A、境界領域1D、および、境界領域1Eのうち膜部BP2(
図18参照)が形成される部分に対してメモリセル領域1A側の部分で、絶縁膜16、導電膜15、金属膜14および絶縁膜13は除去される。また、高電圧MISFET領域1B、低電圧MISFET領域1C、境界領域1F、境界領域1Eのうち膜部BP2が形成される部分、および、境界領域1Eのうち膜部BP2が形成される部分に対してメモリセル領域1A側と反対側の部分で、絶縁膜16、導電膜15、金属膜14および絶縁膜13は残される。その後、レジストパターンRP5、すなわちレジスト膜RF5を除去する。
【0318】
ステップS14では、次に、
図17に示すように、レジスト膜RF6を含むレジストパターンRP6を形成する。
【0319】
ステップS14では、次に、
図18に示すように、レジストパターンRP6をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜16、導電膜15、金属膜14および絶縁膜13を、例えばドライエッチングなどによりエッチングしてパターニングする。
【0320】
これにより、高電圧MISFET領域1Bで、ゲート絶縁膜GIHおよびゲート電極GEHが形成され、低電圧MISFET領域1Cで、ゲート絶縁膜GIL、金属膜部14aおよび導電膜部15aが形成される。また、境界領域1Eで、ゲート絶縁膜GI2およびゲート電極GE2が形成され、ゲート絶縁膜GI2とゲート電極GE2とを含む膜部BP2が形成される。
【0321】
次に、実施の形態1と同様に、
図4のステップS15〜
図5のステップS27およびその後の工程を行って、本実施の形態2の半導体装置が製造される。
【0322】
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
本実施の形態2の半導体装置の製造工程も、実施の形態1の半導体装置の製造工程と同様の工程を有する。また、本実施の形態2の半導体装置も、実施の形態1の半導体装置と同様の構造を有する。そのため、本実施の形態2の製造工程でも、実施の形態1の製造工程と同様に、例えばCMP法を用いて導電膜26(
図31参照)を研磨する際に、高電圧MISFET領域1Bで、ディッシングが発生することを防止または抑制することができ、半導体装置の性能を向上させることができる。また、半導体装置を容易に小型化することができる。
【0323】
また、本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、半導体チップのうち境界領域1Dおよび1Eの占める面積の割合は大きくならず、本実施の形態2の半導体装置の平面レイアウトはそれほど複雑にならず、本実施の形態2の半導体装置の平面レイアウトを容易に設計することができる。
【0324】
一方、本実施の形態2の半導体装置の製造工程では、実施の形態1の半導体装置の製造工程と異なり、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGを形成する前に、絶縁膜11を形成する。そのため、絶縁膜11を熱酸化法のみにより形成した場合でも、メモリゲート電極MGと半導体基板1との間にバーズピークが形成されることを防止することができ、メモリセルMCに与えるバーズピークの影響を低減することができる。
【0325】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。