(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
添え字n=3であること、または添え字n=2およびm=1であり、ここで、L’は、1つの炭素原子と1つの窒素原子、2つの酸素原子、2つの窒素原子、1つの酸素原子と1つの窒素原子または1つの炭素原子と1つの酸素原子を介してイリジウムに配位する2座配位子であることを特徴とするか、または添え字n=1およびm=2であり、ここで、L’は、1つの炭素原子と1つの窒素原子または1つの炭素原子と1つの酸素原子を介してイリジウムに配位する2座配位子であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
配位子L’が、一酸化炭素、一酸化窒素、アルキルシアニド、アリールシアニド、アルキルイソシアニド、アリールイソシアニド、アミン、ホスフィン、ホスファイト、アルシン、スチビン、窒素含有複素環、カルベン、水素化物、重水素化物、F−、Cl−、Br−およびI−、アルキルアセチリド、アリールアセチリド、シアニド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、脂肪族または芳香族アルコラート、脂肪族または芳香族チオアルコラート、アミド、カルボキシラート、アリール基、O2−、S2−、カーバイド、ニトレーン、ジアミン、イミン、1,3−ジケトンから得られる1,3−ジケトナート、3−ケトエステルから得られる3−ケトナート、アミノカルボン酸から得られるカルボキシラート、サリチルイミナート、ジアルコラート、ジチオラートおよび2座1価アニオン性配位子よりなる群から選ばれ、イリジウムと共に、少なくとも一つのイリジウム−炭素結合を有する環状金属化5員環もしくは6員環を形成することを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載の化合物。
請求項1〜7の何れか一項に記載の少なくとも1種の化合物を含む、有機エレクトロルミネッセント素子、有機集積回路、有機電界効果トランジスタ、有機薄膜トランジスタ、有機発光トランジスタ、有機太陽電池、有機光学検出器、有機光受容体、有機電場消光素子、発光電気化学電池もしくは有機レーザーダイオードよりなる群から選ばれる電子素子。
請求項1〜7の何れか一項に記載の化合物が、一以上の発光層で発光化合物として用いられることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセント素子である請求項11に記載の電子素子。
発光層が、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホン、トリアリールアミン、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、アザカルバゾール、バイポーラーマトリックス材料、シラン、アザボロール、ボロン酸エステル、ジアザシロール、ジアザホスホール、トリアジン、亜鉛錯体、ベリリウム錯体、ジベンゾフランまたは架橋カルバゾールから選ばれる一以上のマトリックス材料を含むことを特徴とする、請求項12に記載の電子素子。
【発明の概要】
【0001】
本発明は、金属錯体、および前記金属錯体を含む電子素子、特に有機エレクトロルミネッセント素子に関する。
【0002】
有機半導体が機能的材料として用いられる有機エレクトロルミネッセント素子(OLED)に対して用いられる発光材料は、次第に、蛍光ではなく燐光を呈する有機金属錯体に代わってきている。量子力学的な理由により、有機金属化合物を燐光エミッタとして使用すると、エネルギーおよび電力効率を最大4倍増大することが可能である。しかしながら、一般に、三重項発光を呈するOLEDでは、特に効率、駆動電圧および寿命に関して依然として改善が求められている。
【0003】
従来技術によれば、燐光OLEDにおいて用いられる三重項エミッタは、特に、イリジウム錯体である。WO2011/044988は、配位子が、少なくとも一つのカルボニル基を含むイリジウム錯体を開示している。一般的に、さらなる改善が、燐光エミッターの場合に望ましい。
【0004】
したがって、本発明の目的は、OLEDにおいてエミッタとして使用するのに適すると同時に、特に、効率、駆動電圧、寿命、発光色および/またはルミネッセンスの熱安定性に関してOLEDの改善された特性をもたらす新規な金属錯体を提供することである。
【0005】
驚くべきことに、以下により詳細に記載される、配位子のある位置に追加的な窒素原子を含むある種の金属キレート錯体によって、この目的が達成され、有機エレクトロルミネッセント素子において改善された特性を示すことが判明した。窒素原子の組み込みは、化合物の発光色を選択的に非常に良好に調整することを可能にする。特に、これらの金属錯体により、窒素原子の位置に応じて、非常に良好な発光特性をもつ青色発光を得ることもできる。したがって本発明は、これらの金属錯体とこれらの錯体を含む電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセント素子に関する。
【0006】
したがって、本発明は、式(2)の部分Ir(L)
nを含有する式(1)の化合物に関し:
[Ir(L)
n(L’)
m] 式(1)
【化1】
【0007】
式中、使用された記号および添え字には以下が適用される:
Zは、出現する毎に、CRまたはNであり、ただし、正確に1個の基Zは、Nであり、その他の基Zは、CRであり;
Yは、出現する毎に、同じかまたは異なっており、CRまたはNであり、ただし、最大1個の記号Yは、Nであるか、または、2個の隣接する記号Yは、一緒になって以下の式(3)の基であり、
【化2】
【0008】
式中、破線の結合は配位子におけるこの基の結合であり;
Xは、出現する毎に、同じかまたは異なっており、CRまたはNであり、ただし、配位子毎の最大2個の記号Xは、Nであり、
Rは、出現する毎に、同じかまたは異なっており、H、D、F、Cl、Br、I、N(R
1)
2、CN、Si(R
1)
3、B(OR
1)
2、C(=O)R
1、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、または3〜40個のC原子を有する分枝あるいは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)(ここで、1つ以上の隣接していないCH
2基は、R
1C=CR
1、Si(R
1)
2、C=O、NR
1、O、SまたはCONR
1により置きかえられていてもよく、1つ以上のH原子は、D、FまたはCNにより置きかえられていてもよい)、または5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、各場合において、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)、または5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これらは、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)、または10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基(これらは、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)であり;ここで2以上の隣接するラジカルRは、互いに単環式もしくは多環式の脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環系を形成していてもよく;
R
1は、出現する毎に、同じかまたは異なっており、H、D、F、N(R
2)
2、CN、Si(R
2)
3、B(OR
2)
2、C(=O)R
2、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、または3〜40個のC原子を有する分枝あるいは環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)(ここで、1つ以上の隣接していないCH
2基は、R
2C=CR
2、Si(R
2)
2、C=O、NR
2、O、SまたはCONR
2により置きかえられていてもよく、1つ以上のH原子は、D、FまたはCNにより置きかえられていてもよい)、または5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、各場合において、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)、または5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これらは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)、または10〜40個の芳香族環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基(これらは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)、または10〜40個の芳香族環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基(これらは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)であり;ここで2つ以上の隣接するラジカルR
1は、互いに単環式もしくは多環式の脂肪族環系を形成していてもよく;
R
2は、出現する毎に、同じかまたは異なっており、H、D、F、または1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/もしくはヘテロ芳香族有機ラジカル、特に、炭化水素ラジカル(さらにこれらにおいて、1つ以上のH原子は、DまたはFにより置きかえられていてもよい)であり;ここで2つ以上の置換基R
2は、互いに単環式もしくは多環式の脂肪族または芳香族環系を形成していてもよく;
L’は、出現する毎に、同じかまたは異なっており、1もしくは2座配位子であり;
nは、1、2または3であり;
mは、0、1、2、3または4である。
【0009】
ここで、添え字nとmは、イリジウムでの配位数が合計6に対応するように、選択される。これは、特に、何個の配位子Lが存在するか、および配位子L’が1座もしくは2座配位子かどうかに依存する。
【0010】
以下の説明において、「隣接する基X」は、基Xが、それぞれ、構造中では互いに直接結合していることを意味する。
【0011】
さらに、ラジカルの定義における「隣接する」は、これらのラジカルが、同じC原子もしくは互いに直接結合しているC原子に結合していることを意味し、または直接結合しているC原子にこれらのラジカルが結合していない場合には、置換基が結合し得ることが可能な次の位置であることを意味する。このことを、以下の隣接するラジカルの図で特定の配位子を参照することによって再び説明する。
【化3】
【0012】
アリール基は、本発明の意味では、6〜40個のC原子を含有し、ヘテロアリール基は、本発明の意味では、2〜40個のC原子と少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、ただしC原子およびヘテロ原子の合計は、少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくはN、Oおよび/またはSから選択される。ここで、アリール基またはヘテロアリール基は、簡単な芳香族環、すなわちベンゼン、または簡単なヘテロ芳香族環、たとえばピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または縮合アリールもしくはヘテロアリール基、たとえばナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン等のいずれかの意味で使用される。
【0013】
芳香族環系は、本発明の意味では、環系中に6〜60個のC原子を含有する。ヘテロ芳香族環系は、本発明の意味では、環系中に2〜60個のC原子と少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、ただしC原子およびヘテロ原子の合計は、少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくはN、Oおよび/またはSから選択される。芳香族またはヘテロ芳香族環系は、本発明の意味では、必ずしもアリールまたはヘテロアリール基だけを含有するとは限らない系であって、その系の複数のアリールまたはヘテロアリール基が、非芳香族単位(好ましくは10%未満の、H以外の原子)、たとえばC、NもしくはO原子またはカルボニル基などによってさらに連結されていてもよい系の意味で使用されることを意図する。したがって、たとえば9,9’−スピロビフルオレン、9,9−ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等の系は、2つ以上のアリール基が、たとえば直鎖状もしくは環式のアルキレン基によってまたはシリレン基によって中断されている系と同様に、本発明の意味ではやはり芳香族環系であると解釈されることを意図する。
【0014】
環式アルキル、アルコキシまたはチオアルコキシ基は、本発明の意味では、単環式、二環式または多環式基の意味で使用される。
【0015】
本発明の目的では、さらに個々のH原子またはCH
2基が、前述の基により置換されていてもよいC
1−〜C
40−アルキル基は、たとえば、ラジカルであるメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、tert−ペンチル、2−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、s−ヘキシル、tert−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、2−メチルペンチル、ネオヘキシル、n−ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、4−ヘプチル、シクロヘプチル、1−メチルシクロヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、シクロオクチル、1−ビシクロ[2.2.2]オクチル、2−ビシクロ[2.2.2]オクチル、2−(2,6−ジメチル)オクチル、3−(3,7−ジメチル)オクチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチルの意味で使用される。アルケニル基は、たとえばエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニルの意味で使用される。アルキニル基は、たとえばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルまたはオクチニルの意味で使用される。C
1〜C
40−アルコキシ基は、たとえばメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシまたは2−メチルブトキシの意味で使用される。各場合において、前述のラジカルRにより置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して芳香族またはヘテロ芳香族環系に連結していてもよい、5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環系は、たとえばベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンゾフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンゾフルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、cis−またはtrans−インデノフルオレン、cis−またはtrans−モノベンゾインデノフルオレン、cis−またはtrans−ジベンゾインデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5−ジアザアントラセン、2,7−ジアザピレン、2,3−ジアザピレン、1,6−ジアザピレン、1,8−ジアザピレン、4,5−ジアザピレン、4,5,9,10−テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから得られる基の意味で使用される。
【0016】
本発明による錯体は、fac型(facial)もしくは擬fac型(pseudofacial)であることもできるし、またはmer型(meridional)もしくは擬mer型(pseudomeridional)であることもできる。
【0017】
好ましい一態様では、添え字n=3であり、すなわち、金属錯体は、ホモレプチックであり、添え字m=0である。
【0018】
さらに好ましい一態様では、添え字n=2でm=1であり、本発明の錯体は、2つの配位子Lと1つの2座配位子L’を含む。ここで、配位子L’が、1つの炭素原子と1つの窒素原子、2つの酸素原子、2つの窒素原子、1つの酸素原子と1つの窒素原子または1つの炭素原子と1つの酸素原子を介してイリジウムに配位することが、好ましい。
【0019】
さらに好ましい一態様では、添え字n=1でm=2であり、本発明の錯体は、1つの配位子Lと2つの2座配位子L’を含む。これは、特に、配位子L’が、1つの炭素原子と1つの窒素原子または1つの炭素原子と1つの酸素原子を介してイリジウムに配位するオルト−金属錯体である場合に、好ましい。
【0020】
上記記載のとおり、式(2)の構造単位中の基Zは、Nである。したがって、式(2)の態様は、次の式(4)と(5)であり、
【化4】
【0021】
式中、使用された記号および添え字が、上記意味を有する。
【0022】
発光色の浅色シフトは、式(4)の部分の場合に観察され、発光色の深色シフトは、式(5)の部分の場合に観察され、各場合に、窒素原子に代えて炭素原子を含むが、それ以外は同じ構造と同じ置換パターンを有する従来技術にしたがう構造と比較される。
【0023】
本発明のさらに好ましい1態様では、本発明の化合物は、最大1個の式(3)の基を含む。したがって、それらは、好ましくは、次の式(6)、(7)または(8)の化合物であり、
【化5】
【0024】
式中、Yは、出現する毎に、同じかまたは異なっており、CRまたはNであり、その他の記号および添え字が、上記意味を有する。
【0025】
式(6)〜(8)の好ましい態様は、次の式(6a)、(6b)、(7a)、(7b)、(8a)および(8b)の構造であり、
【化6】
【0026】
式中、Yは、出現する毎に、同じかまたは異なっており、CRまたはNであり、その他の記号および添え字が、上記に示される意味を有する。
【0027】
本発明の好ましい1態様では、配位子L中の記号Yと存在するならばXの合計0、1または2が、Nである。特に、好ましくは、配位子L中の記号Yと存在するならばXの合計0または1が、Nである。非常に、特に、好ましくは、記号Yと存在するならばXは、Nではなく、すなわち、記号Yは、出現する毎に、同じかまたは異なっており、CRであり、および/または2つの隣接する記号Yは、一緒になって、式(3)の基であり、ここで、Xは、CRである。特別に、好ましくは、全ての記号Yは、出現する毎に、同じかまたは異なっており、CRである。
【0028】
式(6)の好ましい態様は、次の式(6−1)〜(6−5)の構造であり、式(7)の好ましい態様は、次の式(7−1)〜(7−7)の構造であり、式(8)の好ましい態様は、次の式(8−1)〜(8−7)の構造であり、
【化7-1】
【化7-2】
【0029】
式中、使用された記号および添え字は、上記に示される意味を有する。
【0030】
式(6−1)〜(6−5)、(7−1)〜(7−7)および(8−1)〜(8−7)の好ましい態様は、次の(6a−1)〜(6b−5)、(7a−1)〜(7b−7)および(8a−1)〜(8b−7)の構造であり、
【化8-1】
【化8-2】
【化8-3】
【化8-4】
【0031】
式中、使用された記号および添え字は、上記意味を有する。
【0032】
上記言及した構造において、イリジウムへの配位にオルト位で結合する基Rは、H、D、Fおよびメチルより成る基から選ばれる。これは、特に、fac型のホモレプチック錯体の場合にあてはまり、mer型もしくはヘテロレプチック錯体の場合には、他のラジカルRもこの位置で好ましい可能性がある。
【0033】
本発明のさらなる1態様では、水素または重水素ではない基Rが、式(2)の部分中の窒素原子である原子Zに隣接する置換基として結合することが好ましい。
【0034】
式(2)の部分で一以上の基Yおよび/または存在するならばXは、Nであり、水素または重水素ではない基Rが、この窒素原子に隣接する置換基として結合することが好ましい。
【0035】
配位子Lは、好ましくは、窒素原子である全ての原子Z、Yおよび存在するならばXに隣接する置換基として結合する。
【0036】
この置換基Rは、好ましくは、CF
3、OCF
3、1〜10個のC原子を有するアルキルもしくはアルコキシ基、特に、3〜10個のC原子を有する分枝もしくは環式アルキルもしくはアルコキシ基、2〜10個のC原子を有するジアルキルアミノ基、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系またはアラルキルもしくはヘテロアラルキル基から選択される。これらの基はバルキーな基である。さらに、このラジカルRは、隣接するラジカルRと、好ましくは、環を形成する。次いで、これらは、好ましくは、以下に詳細に説明するとおりの、式(9)〜(15)の構造である。
【0037】
窒素原子に隣接するラジカルRが、アルキル基であるならば、そこで、このアルキル基は、好ましくは、3〜10個のC原子を有する。2級または3級C原子が、配位子に直接結合するか、またはCH
2基を介して配位子に結合するかの何れかである2級または3級アルキル基が、さらに好ましい。このアルキル基は、特に、好ましくは、以下の式(R−1)〜(R−33)の構造から選択され、各場合に、これらの基の配位子への結合が、また、以下に描かれ、
【化9】
【0038】
式中、Ligは、アルキル基の配位子への結合である。
【0039】
窒素原子に隣接するラジカルRが、アルコキシ基であるならば、そこで、このアルコキシ基は、好ましくは、3〜10個のC原子を有する。このアルコキシ基は、好ましくは、以下の式(R−34)〜(R−47)の構造から選択され、各場合に、これらの基の配位子への結合が、また、以下に描かれ、
【化10】
【0040】
式中、Ligは、アルコキシ基の配位子への結合である。
【0041】
窒素原子に隣接するラジカルRが、ジアルキルアミノ基であるならば、そこで、これらのアルキル基は、好ましくは、1〜8個のC原子、特に、好ましくは、1〜6個のC原子を有する。適切なアルキル基の例は、メチル、エチルまたは基(R−1)〜(R−33)として上記示される構造である。ジアルキルアミノ基は、特に、好ましくは、以下の式(R−48)〜(R−55)の構造から選択され、各場合に、これらの基の配位子への結合が、また、以下に描かれ、
【化11】
【0042】
式中、Ligは、ジアルキルアミノ基の配位子への結合である。
【0043】
窒素原子に隣接するラジカルRが、アラルキル基であるならば、そこで、このアラルキル基は、好ましくは、以下の式(R−56)〜(R−59)の構造から選択され、各場合に、これらの基の配位子への結合が、また、以下に描かれ、
【化12】
【0044】
式中、Ligは、アラルキル基の配位子への結合であり、フェニル基は、各場合に1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい。
【0045】
窒素原子に隣接しているラジカルRが、芳香族またはヘテロ芳香族環系を表す場合、この芳香族またはヘテロ芳香族環系は、好ましくは5〜30個の芳香族環原子、特に好ましくは5〜24個の芳香族環原子を有する。この芳香族またはヘテロ芳香族環系は、さらに好ましくは、2つを超える芳香族6員環が互いに直接縮合しているアリールまたはヘテロアリール基を含有していない。芳香族またはヘテロ芳香族環系は、特に好ましくは、縮合アリールまたはヘテロアリール基を全く含有しておらず、特に非常に好ましくは、フェニル基だけを含有している。ここで芳香族環系は、好ましくは次式(R−70)〜(R−88)の構造から選択され、ここで、これらの基と配位子との連結が、また、各場合において下記のとおり描かれ、
【化13】
【0046】
式中、Ligは、芳香族環系と配位子との連結を示し、フェニル基は、それぞれ1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい。
【0047】
さらに、ヘテロ芳香族環系は、好ましくは、次式(R−89)〜(R−119)の構造から選択され、ここで、これらの基と配位子との連結が、また、各場合において下記のとおり描かれ、
【化14】
【0048】
式中、Ligは、ヘテロ芳香族環系と配位子との連結を示し、芳香族およびヘテロ芳香族基は、それぞれ1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい。
【0049】
式(2)の部分における2つの隣接する基Y、存在するならば2つの隣接する基Xは、CRであり、それぞれのラジカルRは、C原子と一緒になって、酸性のベンジル位プロトンなしで、縮合脂肪族5員環、6員環または7員環を形成することおよび/または式(6−1)〜(8−7)の部分もしくは好ましい態様において互いに直接結合するC原子に結合する2つのラジカルRが、それらと結合するC原子と一緒になって、酸性のベンジル位プロトンなしで、縮合脂肪族5員環、6員環または7員環を形成することが、さらに好ましい。ここで、脂肪族は、環が、配位子Lの芳香族構造と共通の電子系を形成せず、それにより、単一の拡大された縮合ヘテロ芳香族系を形成せず、その代わりに配位子のπ系は縮合基を超えてさらに拡張しないことを意味する。しかしながら、これは、配位子基本構造の電子系に直接接続しないかぎり、不飽和もしくは芳香族基をそれ自身含む縮合基を排除しない。
【0050】
こうして形成される脂肪族縮合環は、好ましくは、次の(9)〜(15)の一つの構造を有し、
【化15】
【0051】
式中、R
1とR
2は、上記意味を有し、ここで、複数のR
1は、互いに結合しさらなる環系を形成してもよく、破線の結合は、配位子中の二個の炭素原子の結合を示し、さらに、
A
1、A
3は、出現する毎に、同じかまたは異なっており、C(R
3)
2、O、S、NR
3またはC(=O)であり;
A
2は、出現する毎に、同じかまたは異なっており、C(R
1)
2、O、S、NR
3もしくはC(=O)であるか、または式(10)、(11)、(13)、(14)または(15)中のA
2−A
2は、上記言及した基の組み合わせとは別に、−CR
2=CR
2−または一以上のラジカルR
2により置換されてよい5〜14個の芳香族環原子を有するオルト結合アリーレンもしくはヘテロアリーレン基であり;
Gは、一以上のラジカルR
2により置換されてよい1、2もしくは3個のC原子を有するアルキレン基、または−CR
2=CR
2−または一以上のラジカルR
2により置換されてよい5〜14個の芳香族環原子を有するオルト結合アリーレンもしくはヘテロアリーレン基であり;
R
3は、出現する毎に、同じかまたは異なっており、F、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基または3〜10個のC原子を有する分枝もしくは環式アルキルもしくはアルコキシ基(これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)(ここで、1つ以上の隣接していないCH
2基は、R
2C=CR
2、C≡C、Si(R
2)
2、C=O、NR
2、O、SまたはCONR
2により置きかえられていてもよく、1つ以上のH原子は、DもしくはFにより置きかえられていてもよい)、または5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、各場合において、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)、または5〜24個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これらは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)、または5〜24個の芳香族環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基(これらは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)であり;ここで、同じ炭素原子に結合する2つラジカルR
3は、互いに、脂肪族もしくは芳香族環系を形成し、それによりスピロ系を形成してよく、さらに、R
3は、隣接するラジカルRもしくはR
1と共に脂肪族環系を形成していてもよく;
ただし、これらの基中の二個のヘテロ原子は、互いに直接結合せず、二個の基C=Oは、互いに直接結合しない。
【0052】
さらに、式(2)の部分中の二個の隣接する基Yおよび/または存在するならば二個の基XがCRであり、それぞれのラジカルRが、C原子と一緒になって、上記言及した式(9)〜(15)以外の5−、6−もしくは7−員環を形成することも好ましい可能性がある。
【0053】
式(9)〜(15)の基は、二個の基Y、または存在するならば二個の基Xが互いに直接結合する部分中で互いに直接結合する式(2)の部分の任意の位置に存在してよい。式(9)〜(15)の基が存在する好ましい位置は、次の式(6’)〜(8’’’’)の部分であり:
【化16】
【0054】
式中、使用されたその他の記号および添え字は、上記の意味を有し、各場合に、*は、2つの隣接する基YまたはXがCRである位置を示し、それぞれの基Rは、C原子と一緒になって、式(9)〜(15)の1つの環を形成する。
【0055】
上記に示した式(9)〜(15)の構造と好ましいとして言及されたさらなる態様においては、二重結合が、2つの炭素原子間に形式的に示される。これら2つの炭素原子は、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系中に結合され、これら2つの炭素原子間の結合は、それにより、形式的に単結合の結合次数と二重結合の結合次数との間である場合には、これは、化学結合の単純化である。それゆえ、形式的な二重結合の引通しは、構造を限定するものと解釈されるべきではなく、その代わり、これが、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系中に結合される場合に、これが芳香族結合であることは当業者には明らかである。
【0056】
式(9)〜(15)においては、これらが酸性のベンジル位プロトンを含有していないことが必須である。ベンジル位プロトンは、配位子に直接結合している炭素原子に結合しているプロトンの意味で使用される。酸性のベンジル位プロトンの欠如は、式(9)〜(11)と(15)においてA
1およびA
3がC(R
3)
2を表す場合(R
3は水素に等しくならないように定義される)、A
1およびA
3を介して達成される。酸性のベンジル位プロトンの欠如は、二環式構造である式(12)〜(15)で達成される。厳格な空間配置のせいで、二環式構造の対応するアニオンがメソメリズム的に確立されていないため、R
1は、Hを表す場合には、ベンジル位プロトンよりも著しく酸性度が低い。式(12)〜(15)中のR
1がHを表す場合でも、これは、それゆえに、本願の意味では非酸性プロトンである。
【0057】
式(9)〜(15)の好ましい1態様では、最大1個の基A
1、A
2とA
3は、ヘテロ原子、特に、OまたはNR
3であり、その他の基は、C(R
3)
2またはC(R
1)
2であるか、または、A
1とA
3は、出現する毎に、同じかまたは異なっており、OまたはNR
3であり、A
2は、C(R
1)
2である。本発明の特に、好ましい1態様では、A
1とA
3は、出現する毎に、同じかまたは異なっており、C(R
3)
2であり、A
2は、C(R
1)
2であり、特に、好ましくは、C(R
3)
2もしくはCH
2である。したがって、式(9)の好ましい態様は、式(9−A)、(9−B)、(9−C)および(9−D)の構造であり、式(9−A)の特に、好ましい態様は、(9−E)と(9−F)の構造であり、
【化17】
【0058】
式中、R
1とR
3は、上記の意味を有し、A
1、A
2とA
3は、出現する毎に、同じかまたは異なっており、OまたはNR
3である。
【0059】
式(10)の好ましい態様は、次の式(10−A)〜(10−F)の構造であり、
【化18】
【0060】
式中、R
1とR
3は、上記の意味を有し、A
1、A
2とA
3は、出現する毎に、同じかまたは異なっており、OまたはNR
3である。
【0061】
式(11)の好ましい態様は、次の式(11−A)〜(11−E)の構造であり、
【化19】
【0062】
式中、R
1とR
3は、上記の意味を有し、A
1、A
2とA
3は、出現する毎に、同じかまたは異なっており、OまたはNR
3である。
【0063】
式(12)の構造の好ましい1態様では、橋頭に結合しているラジカルR
1は、H、D、FまたはCH
3を表す。A
2は、さらに好ましくは、C(R
1)
2またはO、特に、好ましくは、C(R
3)
2を表す。したがって式(12)の好ましい態様は、式(12−A)と(12−B)の構造であり、式(12−A)の、特に、好ましい態様は、式(12−C)の構造であり、
【化20】
【0064】
使用された記号は上記の意味を有する。
【0065】
式(13)、(14と(15)の構造の好ましい1態様では、橋頭に結合しているラジカルR
1は、H、D、FまたはCH
3を表す。A
2は、さらに好ましくはC(R
1)
2を表す。したがって式(13)、(14)と(15)の好ましい態様は、式(13−A)、(14−A)と(15−A)の構造であり、
【化21】
【0066】
使用された記号は上記の意味を有する。
【0067】
式(12)、(12−A)、(12−B)、(12−C)、(13)、(13−A)、(14)、(14−A)、(15)および(15−A)中の基Gは、さらに好ましくは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい1,2−エチレン基(ここでR
2は、好ましくは出現する毎に、同じかまたは異なっており、Hまたは1〜4個のC原子を有するアルキル基、または6〜10個のC原子を有するオルト−アリーレン基(1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよいが、好ましくは置換されていない)、特にオルト−フェニレン基(これは、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよいが、好ましくは置換されていない)を表す。
【0068】
本発明のさらに好ましい1態様では、式(9)〜(15)とその好ましい態様中の基のR
3は、出現する毎に、同じかまたは異なっており、F、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜20個のC原子を有する分枝もしくは環式アルキル基(ここで各場合において、1つ以上の隣接していないCH
2基は、R
2C=CR
2により置きかえられていてもよく、1つ以上のH原子は、DまたはFにより置きかえられていてもよい)、または5〜14個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、各場合において、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよい)を表し;ここで、同じ炭素原子に結合している2つのラジカルR
3は、互いに脂肪族または芳香族環系を形成し、したがってスピロ系を形成していてもよく、さらに、R
3は、隣接するRまたはR
1と脂肪族環系を形成していてもよい。
【0069】
本発明の特に好ましい1態様では、式(9)〜(15)とその好ましい態様中の基のR
3は、出現する毎に、同じかまたは異なっており、F、1〜3個のC原子を有する直鎖アルキル基、特にメチル、または5〜12個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、それぞれ、1つ以上のラジカルR
2により置換されていてもよいが、好ましくは置換されていない)を表し;ここで、同じ炭素原子に結合している2つのラジカルR
3は、互いに脂肪族または芳香族環系を形成し、したがってスピロ系を形成していてもよく、さらに、R
3は、隣接するRまたはR
1と脂肪族環系を形成していてもよい。
【0070】
式(9)の特に適切な基の例は、以下に示した基である。
【化22-1】
【化22-2】
【化22-3】
【0071】
式(10)の特に適切な基の例は、以下に示した基である。
【化23】
【0072】
式(11)、(14)および(15)の特に適切な基の例は、以下に示した基である。
【化24】
【0073】
式(12)の特に適切な基の例は、以下に示した基である。
【化25】
【0074】
式(13)の特に適切な基の例は、以下に示した基である。
【化26】
【0075】
特に、このタイプの縮合2環構造の使用は、構造のキラリティに基づきキラル配位子Lを生じてもよい。ここで、鏡像異性的に純粋な配位子の使用とまたラセミ体の使用の両者が、適切であり得る。特に、本発明の金属錯体でのある配位子の一つの鏡像異性体だけでなく両鏡像異性体を使用することが適切であり得、その結果、たとえば、錯体(+L)
2(−L)Mまたは錯体(+L)(−L)
2Mが形成され、ここで、+Lまたは−Lは、各場合に配位子の対応する+または−鏡像異性体である。これは、配位子として+Lまたは−Lだけを含む錯体と比べて、対応する錯体の溶解性に関して有利である。
【0076】
さらなるまたは他のラジカルRが式(2)の部分に結合するならば、これらのラジカルRは、好ましくは、出現する毎に、同じかまたは異なっており、H、D、F、N(R
1)
2、CN、Si(R
1)
3、C(=O)R
1、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、または2〜10個のC原子を有するアルケニル基、または3〜10個のC原子を有する分枝あるいは環式アルキル基(これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)(ここで、1つ以上のH原子は、DまたはFにより置きかえられていてもよい)、または5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、各場合において、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)から選択され;ここで2以上の隣接するラジカルRまたはRとR
1は、互いに単環式もしくは多環式の脂肪族もしくは芳香族環系を形成していてもよい。これらのラジカルRは、特に、好ましくは、出現する毎に、同じかまたは異なっており、H、D、F、1〜6個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜10個のC原子を有する分枝あるいは環式アルキル基(ここで、1つ以上のH原子は、Fにより置きかえられていてもよい)、または5〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、各場合において、1つ以上のラジカルR
1により置換されていてもよい)から選択され;ここで2つの隣接するラジカルRまたはRとR
1は、互いに単環式もしくは多環式の脂肪族もしくは芳香族環系を形成していてもよい。芳香族もしくはヘテロ芳香族環系の場合には、これは、互いに直接縮合する2個を超える芳香族6員環を有さないこと、特に、互いに直接縮合する芳香族6員環を有さないことが好ましい。
【0077】
式(1)の化合物に生じることができる好ましい配位子L’は、以下に説明される。配位子L’は、定義により、一価2座配位子である。配位子L’は、好ましくは、中性、一価アニオン性、二価もしくは三価アニオン性配位子、特に、好ましくは、中性もしくは一価アニオン性配位子である。好ましくは、2座配位子L’である。
【0078】
好ましい中性の1座配位子L’は、一酸化炭素、一酸化窒素、アルキルシアニド、たとえばアセトニトリルなど、アリールシアニド、たとえばベンゾニトリルなど、アルキルイソシアニド、たとえばメチルイソニトリルなど、アリールイソシアニド、たとえばベンゾイソニトリルなど、アミン、たとえばトリメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリンなど、ホスフィン、特にハロホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィンまたはアルキルアリールホスフィン、たとえばトリフルオロホスフィン、トリメチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンなど、ホスファイト、たとえばトリメチルホスファイト、トリエチルホスファイトなど、アルシン、たとえばトリフルオロアルシン、トリメチルアルシン、トリシクロヘキシルアルシン、トリ−tert−ブチルアルシン、トリフェニルアルシン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルシンなど、スチビン、たとえばトリフルオロスチビン、トリメチルスチビン、トリシクロヘキシルスチビン、トリ−tert−ブチルスチビン、トリフェニルスチビン、トリス(ペンタフルオロフェニル)スチビンなど、窒素含有複素環、たとえばピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジンおよびカルベンなど、特にArduengoカルベンからなる群から選択される。
【0079】
好ましい一価アニオン性の1座配位子L’は、水素化物、重水素化物、ハロゲン化物F
−、Cl
−、Br
−およびI
−、アルキルアセチリド、たとえばメチル−C≡C
−、tert−ブチル−C≡C
−など、アリールアセチリド、たとえばフェニル−C≡C
−など、シアニド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、脂肪族または芳香族アルコラート、たとえばメタノラート、エタノラート、プロパノラート、イソプロパノラート、tert−ブチラート、フェノラートなど、脂肪族または芳香族チオアルコラート、たとえばメタンチオラート、エタンチオラート、プロパンチオラート、イソプロパンチオラート、tert−チオブチラート、チオフェノラートなど、アミド、たとえばジメチルアミド、ジエチルアミド、ジイソプロピルアミド、モルホリドなど、カルボキシラート、たとえばアセタート、トリフルオロアセタート、プロピオナート、ベンゾアートなど、アリール基、たとえばフェニル、ナフチルなど、ならびにアニオン性の窒素含有複素環、たとえばピロリド、イミダゾリド、ピラゾリドから選択される。これらの基におけるアルキル基は、好ましくはC
1〜C
20−アルキル基、特に好ましくはC
1〜C
10−アルキル基、特に非常に好ましくはC
1〜C
4−アルキル基である。アリール基はまた、ヘテロアリール基の意味で使用される。これらの基は、先に定義のとおりである。
【0080】
好ましい二価または三価アニオン性配位子は、O
2-、S
2-、R−C≡M形態の配位をもたらす炭化物、およびR−N=M形態の配位をもたらすニトレン(ここでRは、一般に置換基またはN
3-を表す)である。
【0081】
好ましい中性の、または一価もしくは二価アニオン性の2座または多座配位子L’は、ジアミン、たとえばエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、プロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、cis−またはtrans−ジアミノシクロヘキサン、cis−またはtrans−N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノシクロヘキサンなど、イミン、たとえば2−[1−(フェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(メチルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(エチルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(イソプロピルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(tert−ブチルイミノ)エチル]ピリジンなど、ジイミン、たとえば1,2−ビス(メチルイミノ)エタン、1,2−ビス(エチルイミノ)エタン、1,2−ビス(イソプロピルイミノ)エタン、1,2−ビス(tert−ブチルイミノ)エタン、2,3−ビス(メチルイミノ)ブタン、2,3−ビス(エチルイミノ)ブタン、2,3−ビス(イソプロピルイミノ)ブタン、2,3−ビス(tert−ブチルイミノ)ブタン、1,2−ビス(フェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2−メチルフェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニルイミノ)エタン、2,3−ビス(フェニルイミノ)ブタン、2,3−ビス(2−メチルフェニルイミノ)ブタン、2,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)ブタン、2,3−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニルイミノ)ブタンなど、2つの窒素原子を含有する複素環、たとえば2,2’−ビピリジン、o−フェナントロリンなど、ジホスフィン、たとえばビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、ビス(ジメチルホスフィノ)メタン、ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン、ビス(ジエチルホスフィノ)メタン、ビス(ジエチルホスフィノ)エタン、ビス(ジエチルホスフィノ)プロパン、ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)メタン、ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)エタン、ビス(tert−ブチルホスフィノ)プロパンなど、1,3−ジケトン、たとえばアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、1,5−ジフェニルアセチルアセトン、ジベンゾイルメタン、ビス(1,1,1−トリフルオロアセチル)メタン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオンなどから得られる1,3−ジケトナート、3−ケトエステル、たとえばエチルアセトアセタートなどから得られる3−ケトナート、アミノカルボン酸、たとえばピリジン−2−カルボン酸、キノリン−2−カルボン酸などから得られるカルボキシラート、グリシン、N,N−ジメチルグリシン、アラニン、N,N−ジメチルアミノアラニン、サリチルイミン、たとえばメチルサリチルイミン、エチルサリチルイミン、フェニルサリチルイミンなどから得られるサリチルイミナート、ジアルコール、たとえばエチレングリコール、1,3−プロピレングリコールなどから得られるジアルコラート、およびジチオール、たとえば1,2−エチレンジチオール、1,3−プロピレンジチオールなどから得られるジチオラートから選択される。
【0082】
L’は、特に、好ましくは、2つの酸素原子、窒素と酸素原子、炭素原子と窒素原子または炭素原子と酸素原子を介してイリジウムに配位する2座一アニオン性配位子である。
【0083】
本発明のさらに好ましい1態様では、配位子L’は、2座の一価アニオン性であり、イリジウムと共に、少なくとも1つのイリジウム−炭素結合を有するシクロメタル化された五員または六員環、特にシクロメタル化された五員環を形成する。これらは特に、有機エレクトロルミネッセント素子のための燐光金属錯体の分野において一般に使用される配位子、すなわちフェニルピリジン、ナフチルピリジン、フェニルキノリン、フェニルイソキノリン等のタイプの配位子であり、これらのそれぞれは、1つ以上のラジカルRにより置換されていてもよい。このタイプの多様な配位子は、燐光エレクトロルミネッセント素子の分野の当業者に公知であり、当業者は、発明性を要することなく、このタイプのさらなる配位子を式(1)の化合物の配位子L’として選択することができよう。次式(16)〜(43)により表した2つの基の組合せは、一般に、一方の基が、中性原子を介して結合しており、他方の基が、負電荷の原子を介して結合している場合、この目的に特に適している。ここで、中性原子は、特に、中性窒素原子またはカルベン炭素原子と負電荷の原子、特に、負電荷の炭素原子、負電荷の窒素原子または負電荷の酸素原子である。次に、配位子L’は、式(16)〜(43)の基から、#によって示される位置において、各場合互いに結合しているこれらの基を介して形成され得る。基が金属に配位している位置は、*によって示される。さらに、式(16)〜(43)の2つの基にそれぞれ結合する2つの隣接するラジカルRは、互いに脂肪族または芳香族環系を形成する。
【化27】
【0084】
ここで、使用される記号は上記と同じ意味を有し、Eは、O、SまたはCR
2であり、好ましくは、各基中の最大二個の記号Xは、Nであり、特に、好ましくは、各基中の最大一個の記号Xは、Nである。非常に、特に、好ましくは、全ての記号Xは、CRである。
【0085】
本発明の非常に特に、好ましい1態様では、配位子L’は、式(16)〜(43)の二個の基から形成される1価のアニオン性配位子であって、これらの基の1つは負電荷の炭素原子を介してイリジウムに配位し、これらの基の他方は中性の窒素原子を介してイリジウムに配位する。
【0086】
同様に、これらの配位子中の2つの隣接する記号Xは、上記言及した式(9)〜(15)の基であることが好ましい。
【0087】
上記示された構造中でさらに好ましいラジカルRは、配位子LのラジカルRのように定義される。
【0088】
配位子LとL’は、構造に応じてキラルであってもよい。このことは、特に、それらが式(12)〜(15)の二環式基を含有しているか、または1つ以上の立体中心を有する置換基、たとえばアルキル、アルコキシ、ジアルキルアミノもしくはアラルキル基を含有している場合である。錯体の基本構造は、キラル構造であってもよいので、ジアステレオマーおよび鏡像異性体の複数の対の形成が可能である。次に、本発明による錯体は、様々なジアステレオマーまたは対応するラセミ体の混合物、および個々の単離されたジアステレオマーまたは鏡像異性体の両方を包含する。
【0089】
本発明による化合物は、適切な置換によって、たとえば相対的に長いアルキル基(約4〜20個のC原子)、特に分枝アルキル基、または任意に置換されているアリール基、たとえばキシリル、メシチル、または分枝テルフェニルもしくはクアテルフェニル基によって可溶性にすることもできる。次に、このタイプの化合物は、室温において、溶液から、たとえば、たとえば印刷法により、錯体を処理することができるように、一般的な有機溶媒に適切な濃度で溶けることができる。
【0090】
先に示されている好ましい態様は、所望に応じて互いに組み合わせることができる。本発明の特に好ましい1態様では、先に示されている好ましい態様も同時に適用される。
【0091】
化合物は、円偏光発光することができるキラル的に、鏡像異性的に純粋な錯体として用いられることもできる。これは、素子上で偏光フィルターを省略できることから、有利であり得る。さらに、このタイプの錯体は、発光に加えて、易読性としての偏光を有することから、安全ラベルでの使用のために適している。
【0092】
本発明の金属錯体は、原理的に種々のプロセスで調製することができる。しかしながら、以下のプロセスが、特に適していることが判明した。
【0093】
したがって、本発明は、対応する遊離配位子と、式(44)のイリジウムアルコキシド、式(45)のイリジウムケトケトナート、式(46)のイリジウムハロゲン化物、式(47)または(48)の二量体イリジウム錯体との反応による、本発明の式(1)の化合物を調製する方法に関し、
【化28】
【0094】
式中、記号と添え字L’、m、nおよびR
1は、上記示される意味を有し、Hal=F、Cl、BrまたはIである。
【0095】
同様に、アルコキシドおよび/またはハロゲン化物および/またはヒドロキシルラジカル、ならびにケトケトナートラジカルの両方を担持する金属化合物を使用することも可能である。これらの化合物は、帯電していてもよい。出発原料として特に適する対応するイリジウム化合物は、WO2004/085449に開示されている。[IrCl
2(acac)
2]
─、たとえばNa[IrCl
2(acac)
2]が、に特に適している。さらに特に適しているイリジウム出発原料は、イリジウム(III)トリス(アセチルアセトナート)とイリジウム(III)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタン−ジオナート)である。
【0096】
合成は、配位子Lと式[Ir(L’)
2(HOMe)
2]Aもしくは[Ir(L’)
2(NCMe)
2]Aのイリジウム錯体との反応または、配位子L’と式[Ir(L)
2(HOMe)
2]Aもしくは[Ir(L)
2(NCMe)
2]Aのイリジウム錯体との反応により実施することもでき、ここで、Aは各場合に、たとえば、トリフレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェイト等の非配位アニオン、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の2極性プロトン溶媒である。
【0097】
錯体の合成は、好ましくはWO2002/060910およびWO2004/085449に記載されているとおり実施される。ヘテロレプチック錯体は、たとえばWO05/042548にしたがって合成することもできる。ここで合成は、たとえば熱的に、光化学的に、かつ/またはマイクロ波放射線によって活性化することもできる。さらに、合成は、高圧および/または高温でオートクレーブ中で実施することもできる。
【0098】
反応は、溶媒または溶融助剤なしでまたはo−金属化されるべき対応する配位子の溶融物中で実施することができる。溶媒または溶融助剤は、必要ならば加えることができる。適切な溶媒は、プロトン性または非プロトン性溶媒であり、たとえば、脂肪族および/または芳香族アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等)、オリゴ−および多価アルコール(エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、グリセロール等)、アルコールエーテル(エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等)、エーテル(ジおよびトリエチレングリコールジメチルエーテル、ジフェニルエーテル等)、芳香族、ヘテロ芳香族および/または脂肪族炭化水素(トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ピリジン、ルチジン、キノリン、イソキノリン、トリデカン、ヘキサデカン等)、アミド(DMF、DMAC等)、ラクタム(NMP)、スルホキシド(DMSO)もしくはスルホン(ジメチルスルホン、スルフォラン等)である、適切な溶融助剤は、室温で固体状である化合物であるが、反応混合物を暖めると溶融し、反応物を溶解し、その結果均質な溶融物を形成する化合物である。ビフェニル、m−テルフェニル、トリフェニレン、1,2−、1,3−、1,4−ビスフェノキシベンゼン、トリフェニルホスフィンオキシド、18−クラウン−6、フェノール、1−ナフトール、ヒドロキノン等が、特に、適している。
【0099】
液相からの、たとえば、スピンコーティングによるまたは印刷プロセスによる本発明の化合物の加工のためには、本発明の化合物の調合物を必要とする。これらの調合物は、たとえば、溶液、分散液もしくはエマルジョンであり得る。この目的のためには、二以上の溶媒の混合物を使用することが好ましい可能性がある。適切で好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に、3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコンヌ、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、ブチルベンゾエート、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、エチルベンゾエート、インダン、メチルベンゾエート、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ−テル、トリプロピレングリコールジメチルエ−テル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタンもしくはこれら溶媒の混合物である。
【0100】
したがって、本発明は、さらに、本発明の化合物と少なくともさらなる化合物を含む調合物に関する。さらなる化合物は、たとえば、溶媒、特に、前述の溶媒の一つまたはこれらの溶媒の混合物である。しかしながら、さらなる化合物は、電子素子で同様に使用されるさらなる有機もしくは無機化合物、たとえば、マトリックス材料であってもよい。適切なマトリックス材料は、有機エレクトロルミッセンス素子に関連して、以下に示される。このさらなる化合物は、ポリマー状であってもよい。
【0101】
前述の式(1)の錯体または先に示した好ましい態様は、電子素子における活性成分として使用することができる。したがって、本発明は、さらに式(1)の化合物または好ましい態様の1つの電子素子での使用に関する。さらに、本発明による化合物は、一重項酸素を発生させるため、または光触媒において用いることができる。
【0102】
本発明は、なおさらに少なくとも一つの式(1)の化合物または好ましい態様の1つを含む電子素子に関する。
【0103】
電子素子は、アノード、カソードおよび少なくとも1つの層を含む素子の意味で使用され、この層は、少なくとも1種の有機または有機金属化合物を含む。したがって、本発明による電子素子は、アノード、カソード、および前述の式(1)の少なくとも1種の化合物を含む少なくとも1つの層を含む。ここで好ましい電子素子は、少なくとも1つの層に前述の式(1)の少なくとも1種の化合物を含む、有機エレクトロルミネッセント素子(OLED、PLED)、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機発光トランジスタ(O−LET)、有機太陽電池(O−SC)、有機光学検出器、有機光受容体、有機電場消光素子(O−FQD)、発光電気化学電池(LEC)または有機レーザーダイオード(O−レーザー)からなる群から選択される。有機エレクトロルミネッセント素子が特に好ましい。活性成分は、一般に、アノードとカソードの間に導入された有機または無機材料、たとえば電荷注入、電荷輸送または電荷阻止材料であるが、特に発光材料およびマトリックス材料である。本発明による化合物は、有機エレクトロルミネッセント素子における発光材料として特に良好な特性を呈している。したがって、本発明の好ましい一態様は、有機エレクトロルミネッセント素子である。
【0104】
有機エレクトロルミネッセント素子は、カソード、アノードと少なくとも1つの発光層を含む。有機エレクトロルミネッセント素子は、これらの層とは別に、さらなる層、たとえば各場合において、1つ以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、励起子阻止層、電子阻止層、電荷発生層および/または有機もしくは無機p/n接合点を含んでいてもよい。たとえば、励起子阻止機能を有し、かつ/またはエレクトロルミネッセント素子における電荷平衡を制御する中間層も同様に、2つの発光層の間に導入されていてもよい。しかし、これらの層のそれぞれは、必ずしも存在していなくてもよいことに留意されたい。
【0105】
ここで有機エレクトロルミネッセント素子は、1つの発光層または複数の発光層を含んでいてもよい。複数の発光層が存在する場合、これらは好ましくは、全体で複数の発光極大380nm〜750nmを有しており、その結果、全体的に白色発光が生じ、すなわち蛍光または燐光を発することができる様々な発光化合物が、発光層において使用される。三層が、青色、緑色および橙色もしくは赤色発光を呈する三層系(基本構造については、たとえばWO2005/011013参照)、または3つを超える発光層を有する系が、特に好ましい。さらに好ましい1態様は、2層構造であり、2つの層は、青色、緑色および橙色もしくは赤色発光を呈する。2層構造は、特に、照明用途で関心がある。本発明の化合物をもつこのタイプの態様は、黄色もしくは橙色発光を呈することが多いことから、特に、適切である。白色発光エレクトロルミッセンス素子を照明用途、またはディスプレーのバックライトまたはディスプレーとしてのカラーフィルターに用いることができる。
【0106】
本発明の好ましい1態様では、有機エレクトロルミネッセント素子は、1つ以上の発光層における発光化合物として、式(1)の化合物または先に示した好ましい態様を含む。
【0107】
式(1)の化合物は、発光層において発光化合物として用いられる場合、好ましくは1種以上のマトリックス材料と組み合わせて用いられる。式(1)の化合物およびマトリックス材料を含む混合物は、エミッタおよびマトリックス材料を含む全体としての混合物に対して、1〜99体積%、好ましくは2〜90体積%、特に好ましくは3〜40体積%、特に5〜15体積%の式(1)の化合物を含む。それに応じて、混合物は、エミッタおよびマトリックス材料を含む全体としての混合物に対して、99.9〜1体積%、好ましくは98〜10体積%、特に好ましくは97〜60体積%、特に95〜85体積%のマトリックス材料を含む。
【0108】
用いられるマトリックス材料は、一般に、従来技術にしたがってこの目的で公知のあらゆる材料であり得る。マトリックス材料の三重項準位は、好ましくはエミッタの三重項準位よりも高い。
【0109】
本発明による化合物に適したマトリックス材料は、たとえばWO2004/013080、WO2004/093207、WO2006/005627もしくはWO2010/006680による、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、たとえばCBP(N,N−ビスカルバゾイルビフェニル)、WO2005/039246、US2005/0069729、JP2004/288381、EP1205527、WO2008/086851もしくはUS2009/0134784に開示されているm−CBPもしくはカルバゾール誘導体、たとえばWO2007/063754もしくはWO2008/056746によるインドロカルバゾール誘導体、たとえばWO2010/136109もしくはWO2011/000455によるインデノカルバゾール誘導体、たとえばEP1617710、EP1617711、EP1731584、JP2005/347160によるアザカルバゾール、たとえばWO2007/137725による双極性マトリックス材料、たとえばWO2005/111172によるシラン、たとえばWO2006/117052によるアザボロールもしくはボロン酸エステル、たとえばWO2010/054729によるジアザシロール誘導体、たとえばWO2010/054730によるジアザホスホール誘導体、たとえばWO2010/015306、WO2007/063754もしくはWO2008/056746によるトリアジン誘導体、たとえばEP652273もしくはWO2009/062578による亜鉛錯体、たとえばWO2009/148015によるジベンゾフラン誘導体、またはたとえばUS2009/0136779、WO2010/050778、WO2011/042107もしくはWO2011/088877による架橋カルバゾール誘導体、または、たとえば、WO2012/048781によるトリフェニレン誘導体である。
【0110】
混合物として複数の異なるマトリックス材料を用いることが好ましい可能性がある。この目的に適するのは、特に、少なくとも1種の電子輸送マトリックス材料および少なくとも1種の正孔輸送マトリックス材料または少なくとも2種の電子輸送マトリックス材料の混合物または少なくとも1種の正孔もしくは電子輸送マトリックス材料と、たとえばWO2010/108579に記載されているとおり、電荷輸送マトリックス材料、および電荷輸送に関与していない、または本質的に関与していない電気的に不活性なマトリックス材料の混合物である。好ましい組合せは、たとえば、芳香族ケトン、トリアジン誘導体またはカルバゾール誘導体の本発明の混合マトリックスとしての使用である。
【0111】
2種以上の三重項エミッタをマトリックスと一緒にした混合物を用いることが、さらに好ましい。より短い波長の発光スペクトルを有する三重項エミッタは、より長い波長の発光スペクトルを有する三重項エミッタのための共存マトリックスとして働く。したがってたとえば、青色または緑色発光三重項エミッタを本発明による式(1)の錯体のための共存マトリックスとして用いることができる。同様に、式(1)の青色または緑色発光錯体を、より長い波長の、たとえば、黄色、橙色、または赤色で発光する三重項エミッタのための共存マトリックスとして用いることができる。
【0112】
カソードは、好ましくは、低仕事関数を有する金属、金属合金、または様々な金属、たとえばアルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属もしくはランタノイド(たとえばCa、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)などを含む多層構造を含む。アルカリ金属またはアルカリ土類金属および銀を含む合金、たとえばマグネシウムおよび銀を含む合金も適している。多層構造の場合、前記金属に加えて、相対的に高い仕事関数を有するさらなる金属、たとえばAgなどを使用してもよく、この場合、たとえば、Ca/AgまたはBa/Agなどの金属の組合せが一般に使用される。好ましくは、金属カソードと有機半導体の間に、高い比誘電率を有する材料の薄い中間層を導入してもよい。この目的では、たとえばアルカリ金属またはアルカリ土類金属フッ化物が適しているが、対応する酸化物またはカルボナート(たとえばLiF、Li
2O、BaF
2、MgO、NaF、CsF、Cs
2CO
3等)も適している。有機アルカリ金属錯体、たとえばLiq(キノリン酸リチウム)も同様に、この目的に適している。この層の層厚さは、好ましくは0.5〜5nmである。
【0113】
アノードは、好ましくは高い仕事関数を有する材料を含む。アノードは、好ましくは真空に対して4.5eV超の仕事関数を有する。この目的では、一方では高い酸化還元電位を有する金属、たとえばAg、PtまたはAuなどが適している。他方では、金属/金属酸化物電極(たとえばAl/Ni/NiO
x、Al/PtO
x)が好ましい。いくつかの用途では、有機材料の照射(O−SC)または光のカップリングアウト(OLED/PLED、O−LASER)を容易にするために、電極の少なくとも1つは、透明または部分的に透明でなくてはならない。好ましい構造は、透明アノードを使用する、ここで好ましいアノード材料は、導電性の混合金属酸化物である。酸化インジウムスズ(ITO)または酸化インジウム亜鉛(IZO)が特に好ましい。さらに、ドープされた有機材料、特にドープされた導電性ポリマーが好ましい。
【0114】
従来技術にしたがって層に使用されるすべての材料は、一般に、さらなる層において使用することができ、当業者は、これらの材料のそれぞれを、電子素子において発明性を要せずに、本発明による材料と組み合わせることができよう。
【0115】
このような素子の寿命は、水および/または空気の存在下では大幅に短縮するので、素子は、それに応じて構造化され(用途に応じて)、接点が提供され、最後に密封される。
【0116】
1つ以上の層が、昇華法を用いることによってコーティングされ、その材料が、通常10
-5ミリバール未満、好ましくは10
-6ミリバール未満の初期圧力において真空昇華ユニットで気相堆積されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子がさらに好ましい。初期圧力をさらにより低く、またはさらにより高く、たとえば10
-7ミリバール未満にすることも可能である。
【0117】
同様に、1つ以上の層が、OVPD(有機気相堆積)法を用いることによって、またはキャリアガス昇華を利用してコーティングされ、その材料が10
-5ミリバール〜1バールの圧力で適用されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子も好ましい。この方法の特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)法であり、その材料は、ノズルを介して直接適用され、したがって構造化される(たとえばM.S.Arnoldら、Appl.Phys.Lett.2008、92、053301)。
【0118】
1つ以上の層が、たとえばスピンコーティングによって、または任意の所望の印刷法を用いて、たとえばスクリーン印刷、フレキソ印刷もしくはオフセット印刷などによって、特に好ましくはLITI(光誘導熱画像化、熱転写印刷)またはインクジェット印刷によって溶液から生成されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子がさらに好ましい。この目的では、可溶性化合物が必要であり、この化合物は、たとえば適切な置換を介して得られる。
【0119】
有機エレクトロルミネッセント素子は、1つ以上の層を溶液から適用し、気相堆積によって1つ以上の他の層を適用することによって、混成系として製造してもよい。したがってたとえば、式(1)の化合物およびマトリックス材料を含む発光層を溶液から適用し、真空気相堆積によって正孔阻止層および/または電子輸送層を最上部に適用することが可能である。
【0120】
これらの方法は、一般に当業者に公知であり、式(1)の化合物または先に示した好ましい態様を含む有機エレクトロルミネッセント素子に問題を生じることなく、当業者によって適用され得る。
【0121】
本発明による電子素子、特に有機エレクトロルミネッセント素子は、以下の驚くべき利点の1つ以上によって従来技術とは区別される。
【0122】
1.発光材料として式(1)の化合物を含む有機エレクトロルミネッセント素子は、非常に良好な寿命を有する。
【0123】
2.発光材料として式(1)の化合物を含む有機エレクトロルミネッセント素子は、非常に良好な効率を有する
3.発光材料として式(1)の化合物を含む有機エレクトロルミネッセント素子は、非常に低い駆動電圧を有する。
【0124】
4.基Zとしての窒素原子の組み込みは、各場合に窒素原子の代わりに炭素原子を含む化合物と比べて、本発明の化合物の発光を浅色または深色にシフトすることを可能にする。これは、入手可能な発光色をより広い範囲とし、所望の色配置の設定を簡単にする。
【0125】
5.本発明の化合物は、また、高温で発光し、熱消光を全く示さないか少ししか示さない。したがって、それらは、高温負荷を受ける用途にも適する。
【0126】
先に列挙したこれらの利点には、他の電気的特性の障害が伴わない。
【0127】
本発明を、以下の例によってより詳細に説明するが、それにより本発明が制限されるものではない。当業者は、発明性を要することなく本説明に基づいてさらなる電子素子を製造することができ、したがって特許請求の範囲の全般にわたって本発明を実施することができよう。
【0128】
例:
以下の合成は、他に断らない限り、保護ガス雰囲気下、無水溶媒中で行われる。金属錯体を遮光して、または黄色光下で、追加的な処理をする。溶媒および試薬を、たとえばSigma−ALDRICHまたはABCRから購入することができる。角括弧内の夫々の番号または個々の化合物について示された番号は、文献から知られた化合物のCAS番号である。
【0129】
A:シントンSの合成:
例S1: 5−イソブチル−2,6−ナフチリジン−1−イルアミン
【化29】
【0130】
18.0g(100ミリモル)の5−クロロ−2,6−ナフチリジン−1−イルアミン[1392428−85−1]と、15.3g(150ミリモル)のイソブチルボロン酸[84110−40−7]と、46.1g(200ミリモル)のリン酸三カリウム一水和物と、2.5g(6ミリモル)のS−Phosと、674mg(3ミリモル)の酢酸パラジウム(III)と、100gのガラスビーズ(直径3mm)と、400mlのトルエンと、6mlの水との混合物を、還流下で24時間、加熱する。冷却後、反応混合物を、その度毎に200mlの水で三度、200mlの飽和塩化ナトリウム溶液で一度、洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水させ、次いで、溶媒を真空中で除去する。シクロヘキサンから、三度、再結晶化を行う。収率:14.9g(74ミリモル)、74%。
1H−NMRによる純度約98%。
【0131】
以下の化合物を同じように調製することができる:
【化30】
【0132】
B:配位子の合成:
1) 1,5,8a−トリアザフェナントレン−6−オン
a) 1,6−ナフチリジン−5−イルアミンおよびアセチレンカルボン酸エステルから
【化31】
【0133】
H.Reimlingerら、Chem.Ber.,1972,105,1,108に類似の手順。
【0134】
100mlの双極性プロトン溶媒(アルコール、たとえばブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセロール等、またはアルコールエーテル、たとえばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等)中の、100ミリモルの1,6−ナフチリジン−5−イルアミンと、200ミリモルのアセチレンカルボン酸エステルとの混合物を150−200℃で、20−60時間撹拌する。次いで、溶媒を真空中で実質的に除き、50mlの酢酸エチルと、次いで、50mlのn−ヘプタンを残留物に滴下し、結晶化された固形分を吸引濾過し、再度、再結晶化させ、またはクロマトグラフィーにより精製する。このようにして得られた生成物から、高真空中での加熱によって、または分別バルブ管蒸留あるいは昇華によって、低沸点成分と非揮発性の二次成分とを除く。
【0136】
20.1g(100ミリモル)の2−tert−ブチル−1,6−ナフチリジン−5−イルアミン[1352329−32−8]と、28.0g(200ミリモル)のメチル4,4−ジメチル−2−吉草酸[20607−85−6]と、100mlのシクロヘキサノールとを使用。反応時間20時間。反応温度150度。酢酸エチル/n−ヘプタンからの三度の再結晶化。分別昇華(p約10
-5ミリバール、T=210℃)。収率17.3g(56ミリモル)、56%。
1H−NMRによる純度約99.5%。
【0137】
以下の化合物を同じように調製することができる:
【化33-1】
【化33-2】
【化33-3】
【0138】
b) 1,6−ナフチリジン−5−イルアミンとアレンカルボン酸エステルから
【化34】
【0139】
T.Boisseら、Tetrahedron,2007、63,10511と同様の手順。
【0140】
100mlの双極性プロトン溶媒(アルコール、たとえばメタノール、エタノール、ブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセロール等、またはアルコールエーテル、たとえばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等)中の、100ミリモルの1,6−ナフチリジン−5−イルアミンと、130ミリモルのアレンカルボン酸エステルとの混合物を、20−60時間、指示された温度で撹拌する。次いで、溶媒を真空中で実質的に除き、200mlのジクロロメタンを残留物に添加し、有機相を、その度毎に100mlの水で三度洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水させる。溶媒を除去後に得られた残留物を、再結晶化またはクロマトグラフィーにより精製する。このようにして得られた生成物から、高真空中での加熱によって、または分別バルブ管蒸留あるいは昇華によって、低沸点成分と非揮発性の二次成分とを除く。
【0142】
20.1g(100ミリモル)の2−tert−ブチル−1,6−ナフチリジン−5−イルアミン[1352329−32−8]と、12.8g(130ミリモル)のメチル2,3−ブタジエン酸[18913−35−4]と、150mlの無水イソプロパノールとを、60℃で20時間使用。酢酸エチル/n−ヘプタンからの三度の再結晶化。分別昇華(p約10
-5ミリバール、T=190℃)。収率14.2g(53ミリモル)、53%。
1H−NMRによる純度約99.5%。
【0143】
以下の化合物を同じように調製することができる:
【化36-1】
【化36-2】
【0144】
c)1,6−ナフチリジン−5−イルアミンとβ−ケトカルボン酸から
【化37】
【0145】
A) 全部で5分割の32ミリモルのジクロロヘキシルカルボジイミドをそれぞれ2時間毎に、100ミリモルの1,6−ナフチリジン−5−イルアミンと、120ミリモルのケトカルボン酸と、5ミリモルの4−ジメチルアミノピリジンと、300mlのジクロロメタンとの激しく撹拌した混合物に室温で添加し、次いで、その混合物をさらに16時間撹拌する。沈殿したジシクロヘキシル尿素を濾過し、少量のジクロロメタンで濯ぎ、反応混合物を約100mlになるまで蒸発させ、ジクロロメタンと共にシリカゲルでクロマトグラフにかけ、この場合、最初に、副産物を溶出させ、次いで酢酸エチルへ切り替えることにより生成物を溶出させる。オイルとして、このようにして得られた粗製生成物をさらにB)で反応させる。
【0146】
B) 変種1:
J.Heterocycl.Chem.,2004、41,2,187と同様の手順。A)からの100ミリモルのカルボキサミドと、10gのポリリン酸と、45mlの塩化ホスホリルとの混合物を、オートクレーブ中で100℃で60時間、撹拌する。冷却後、反応混合物を500mlの氷水(注記:発熱!)に添加し、10重量%のNaOHを用いてpH8に調節し、その度毎に100mlのジクロロメタンで五度抽出する。結合したジクロロメタン抽出物を100mlの水で一度、100mlの飽和塩化ナトリウム溶液で一度、洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで脱水させる。蒸発後、残留物をシリカゲルでクロマトグラフにかける。このようにして得られた生成物から、高真空中での加熱によって、または分別バルブ管蒸留あるいは昇華によって、低沸点成分と非揮発性の二次成分とを除く。
【0147】
B) 変種2:
50ml(100ミリモル)のリチウムジイソプロピルアミドの溶液(THF、エーテル、ベンゼン中、2.0M)を、500mlのTHF中の−78℃に冷却された、A)からの100ミリモルのカルボキサミドの溶液へ滴下し、混合物を15分間撹拌する。100mlのTHF中の、100ミリモルの1,1,1−トリフルオロ−N−フェニル−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド[37595−74−7]の溶液を次いで、滴下し、その混合物を1時間にわたって0℃まで温まらせておき、反応混合物を−78℃まで再度冷却し、50ml(100ミリモル)のリチウムジイソプロピルアミドの溶液(THF、エーテル、ベンゼン中、2.0M)を滴下する。冷却槽を撤去し、室温まで温めた後、混合物を室温でさらに16時間撹拌し、次いで15mlのメタノールの添加によりさまし、溶媒を真空中で除去し、残留物を300mlの酢酸エチルに取込み、その度毎に200mlの水で三度、200mlの飽和塩化ナトリウム溶液で一度、洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水させる。蒸発後、残留物をシリカゲルでクロマトグラフにかける。このようにして得られた生成物から、高真空中での加熱によって、または分別バルブ管蒸留あるいは昇華によって、低沸点成分と非揮発性の二次成分とを除く。
【0149】
A) 20.1g(100ミリモル)の2−tert−ブチル−1,6−ナフチリジン−5−イルアミン[1352329−32−8]と、25.5g(130ミリモル)の(1R,2S,4R)−4,7,7−トリメチル−3−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸[18530−30−8]と、611mg(5ミリモル)の4−ジメチルアミノピリジン[1122−58−3]と、33.0g(160ミリモル)のジシクロヘキシルカルボジイミド[538−75−0]との使用。シリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 10:1、vv)。収率:29.6g(78ミリモル)、78%。
1H−NMRによる純度約95%。エンド/エキソおよびエノール型の混合物。
【0150】
変種1:
B) A)からの29.6g(78ミリモル)のカルボキサミドと、7.8gのポリリン酸と、35.1mlの塩化ホスホリル。シリカゲルでのクロマトグラフィー(酢酸エチルで溶出し、次いで酢酸エチル/メタノール 1:1、vvに切り替える)。あるいは、エタノールからの再結晶化。分別昇華(p約10
-5ミリバール、T=210℃)。収率:16.3g(45ミリモル)、58%。
1H−NMRによる純度約99.5%。
【0151】
以下の化合物を同じように調製することができる。
【化39-1】
【化39-2】
【化39-3】
【0152】
d) 2−フルオロ−3−シアノピリジン、ケトン、β−アミノエステルから
【化40】
【0153】
100mlのリチウムジイソプロピルアミドの溶液(THF、エーテル、ベンゼン中、2.0M)を、100mlのケトンの−78℃に冷却された溶液へ滴下し、混合物を15分間撹拌する。100mlのTHF中の、100ミルモルの2−フルオロ−3−シアノピリジンの溶液を次いで、滴下する。冷却槽を撤去し、室温まで温めた後、混合物を室温でさらに3時間撹拌する。THFを真空中で取り除いた後、残留物を200mlのエチレングリコール中に取込み、110ミリモルのβ−アミノエステル塩酸塩を添加し、混合物を180℃で6時間、水分離器で加熱する。その後、混合物を60℃に冷ましておき、空気中でさらに2時間撹拌し、1000mlの水に注ぎ、水酸化アンモニウムを用いてpH9に調節し、その度毎に200mlのジクロロメタンで五度抽出する。結合した有機相を、その度毎に200mlの水で三度、200mlの飽和塩化ナトリウム溶液で一度、洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水させる。蒸発後、残留物をシリカゲルでクロマトグラフにかける。このようにして得られた生成物から、高真空中での加熱によって、または分別バルブ管蒸留あるいは昇華によって、低沸点成分と非揮発性の二次成分とを除く。
【0155】
12.2g(100ミリモル)の2−フルオロ−3−シアノピリジン[3939−13−7]と、15.2g(100ミリモル)の(1R,4R)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンと、15.4g(110ミリモル)のβ−アラニンメチルエステル塩酸塩[3196−73−4]との使用。シリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 6:1、vv)。分別昇華(p約10
-5ミリバール、T=200℃)。収率:7.0g(23ミリモル)、23%。
1H−NMRによる純度約99%。
【0156】
以下の化合物を同じように調製することができる:
【化42-1】
【化42-2】
【0157】
2) 2,5、8a−トリアザフェナントレン−6−オン
a) 2,6−ナフチリジン−1−イルアミンとアセチレンカルボン酸エステルから
【化43】
【0158】
1,6−ナフチリジン−5−イルアミンではなく、2,6−ナフチリジン−1−イルアミンを用いた、例1a)と同様の通常の手順
例L42:
【化44】
【0159】
20.1g(100ミリモル)の5−イソブチル−2,6−ナフチリジン−1−イルアミン、S1と、28.0g(200ミリモル)のメチル4,4−ジメチル−2−吉草酸[20607−85−6]と、100mlのシクロヘキサノールとの使用。反応時間20時間。反応温度150℃。酢酸エチル/n−ヘプタンからの三度の再結晶化。分別昇華(p約10
-5ミリバール、T=200℃)。収率15.2g(49ミリモル)、49%。
1H−NMRによる純度約99.5%。
【0160】
以下の化合物を同じように調製することができる:
【化45-1】
【化45-2】
【0161】
a) 2,6−ナフチリジン−1−イルアミンとβ−ケトカルボン酸から
【化46】
【0162】
1,6−ナフチリジン−5−イルアミンではなく、2,6−ナフチリジン−1−イルアミンを用いた、例1c)と同様の調製
例L50:
【化47】
【0163】
A) 20.1g(100ミリモル)の5−イソブチル−2,6−ナフチリジン−1−イルアミンS1と、25.5g(130ミリモル)の(1R,2S,4S)−4,7,7−トリメチル−3−オキソビシクロ[2.2.1]−ヘプタン−2−カルボン酸[18530−30−8]と、611mg(5ミリモル)の4−ジメチル−アミノピリジンと、33.0g(160ミリモル)のジシクロヘキシルカルボジイミドとの使用。シリカゲルでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 10:1、vv)。収率:30.4g(80ミリモル)、80%。
1H−NMRによる純度約95%。エンド/エキソおよびエノール型の混合物。
【0164】
変種A:
B) A)からの34.0g(80ミリモル)のカルボキサミドと、7.8gのポリリン酸と、35.1mlの塩化ホスホリル。シリカゲルでのクロマトグラフィー(EAによる溶出と、次いでEA/メタノール 1:1、vvへの変化)。分別昇華(p約10
-5ミリバール、T=200℃)。収率:14.9g(41ミリモル)、51%。
1H−NMRによる純度約99.5%。
【0165】
以下の化合物を同じように調製することができる:
【化48】
【0166】
C: :金属錯体の合成
1) ホモレプティックなトリスfac型イリジウム錯体:
変種A:イリジウム出発材料としてのトリスアセチルアセトナトイリジウム(III)
10ミリモルのトリスアセチルアセトナトイリジウム(III)[15635−87−7]と、40ミリモルの配位子Lと、溶融補助剤または溶媒(たとえばヘキサデカン、m−ter−フェニル、トリフェニレン、ビスフェニルエーテル、3−フェノキシトルエン、1,2−、1,3−、1,4−ビスーフェノキシベンゼン、トリフェニルホスフィンオキシド、スルホラン、18−クラウン−6、トリエチレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、フェノール、1−ナフトール等)として、随意に1−10g、典型的には3gの不活性の高沸点添加物との混合物と、ガラス被覆磁気撹拌棒とを、厚肉の50mlのガラスアンプルへ、真空下(10
-5ミリバール)で溶融させる。アンプルを、指示された温度で指示された時間加熱し、磁気撹拌機を用いて溶融混合物を撹拌する。アンプルの相対的に冷たい点上に配位子が昇華するのを防止するために、アンプル全体が指示された温度を有していなければならない。あるいは、合成は、撹拌オートクレーブ中でガラス挿入物を用いて実行することができる。冷却後(注記:アンプルには、通常、圧力がかかっている!)、アンプルを開け、焼結ケーキを、100mlの懸濁媒体中で100gのガラスビーズ(直径3mm)と共に3時間撹拌し(懸濁媒体は、配位子がその中で容易に溶けるが、その中での金属錯体の溶解度が低いように選択され、典型的な懸濁媒体は、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、アセトン、THF、酢酸エチル、トルエン等である)、同時に、機械的に温浸する。微細懸濁液をガラスビーズからデカントして移し、固形分を吸引濾過し、50mlの懸濁媒体で濯ぎ、真空中で乾燥させる。乾燥固形分を、連続熱抽出器中で深さ3−5cmの酸化アルミニウム床(酸化アルミニウム、塩基性、活性度1)上に置き、次いで抽出剤で抽出する(最初に導入した量は約500ml。抽出剤は、錯体がその中で高温では容易に溶け、その中で低温では低い溶解度であるように選択され、特に適切な抽出剤は、炭化水素、たとえばトルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、o−ジクロロベンゼン、ハロゲン化脂肪族炭化水素、アセトン、酢酸エチル、シクロヘキサンである)。抽出が完了したら、抽出剤を約100mlになるまで真空中で蒸発させる。抽出剤での溶解度が極めて良好な金属錯体は、200mlのメタノールの滴下によって結晶化される。このようにして得られた懸濁液の固形分を、吸引濾過し、約50mlのメタノールで一度洗浄し、乾燥させる。乾燥後、金属錯体の純度を、NMRおよび/またはHPLCを用いて測定する。純度が99.5%未満である場合、熱抽出工程を反復し、2回目の抽出から酸化アルミニウム床を省く。99.5−99.9%またはそれ以上に良好な純度に達したら、金属錯体を加熱または昇華させる。加熱は、約200−300℃の温度範囲において高真空(p約10
−6ミリバール)中で実行される。昇華は、約300−430℃の温度範囲において高真空(p約10
−6ミリバール)中で実行され、この場合、昇華は、好ましくは分別昇華の形態で実行される。キラル配位子を使用する場合、得られるfac−金属錯体は、ジアステレオマー混合物として得られる。点群C3の鏡像異性体Λ,Δは、一般に、点群C1の鏡像異性体よりも抽出剤での溶解度が著しく低く、その結果、これは母液において豊富である。この方法によるC1ジアステレオマーからのC3ジアステレオマーの分離が、しばしば可能である。さらに、ジアステレオマーは、クロマトグラフィーによって分離することもできる。点群C1の配位子が鏡像異性的に純粋な形態で用いられる場合、点群C3の鏡像異性体の対Λ,Δが形成される。ジアステレオマーを、結晶化またはクロマトグラフィーにより分離することができ、よって鏡像異性的に純粋な化合物として得ることができる。
【0167】
変種B:イリジウム出発材料としてのトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)イリジウム(III)
変種Aと同じような手順により、10ミリモルのトリス−アセチルアセトナトイリジウム(III)[15635−87−7]ではなく、10ミリモルのトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)イリジウム[99581−86−9]を使用する。この出発材料の使用は、アンプル内の圧力増大が、それほど顕著でないことが多いので、有利である。
【化49-1】
【化49-2】
【化49-3】
【化49-4】
【0168】
Ir(L25)
3のジアステレオマーの分離:
酢酸エチルと共にシリカゲルでのクロマトグラフィー:
ジアステレオマー1:Rf約0.7
ジアステレオマー2:Rf約0.2
ジアステレオマー1の溶出後、DMFに切り替えて、ジアステレオマー2を溶出させる。
【0169】
2) ヘテロレプチックなイリジウム錯体:
変種A:
工程1:
10ミリモルのナトリウムビスアセチルアセトナトジクロロイリダート(III)[770720−50−8]と、22ミリモルの配位子Lと、1)で前述したような溶融補助剤または溶媒として、随意に1−10gの不活性の高沸点添加物との混合物と、ガラス被覆磁気撹拌棒とを、厚肉の50mlのガラスアンプルへ、真空下(10
-5ミリバール)で溶融させる。アンプルを、指示された温度で指示された時間加熱し、磁気撹拌機を用いて溶融混合物を撹拌する。冷却後−注記:アンプルには、通常、圧力がかかっている!−アンプルを開け、焼結ケーキを、指示された100mlの懸濁媒体中で100gのガラスビーズ(直径3mm)と共に3時間撹拌し(懸濁媒体は、配位子がその中で容易に溶けるが、式[Ir(L)
2Cl]
2のクロロ二量体がその中で溶解度が低いように選択され、典型的な懸濁媒体は、MeOH、EtOH,DCM、アセトン、酢酸エチル、トルエン等)、機械的に同時に温浸する。微細懸濁液をガラスビーズからデカントして移し、約2当量のNaClも含有している固形分[Ir(L)
2Cl]
2(以下、粗製クロロ二量体と呼ぶ)を吸引濾過し、真空中で乾燥させる。
【0170】
工程2:
このようにして得られた式[Ir(L)
2Cl]
2の粗製クロロ二量体を、75mlの2−エトキシエタノールと25mlの水との混合物中に懸濁させ、15ミリモルの共存配位子CLまたは共存配位子化合物CLおよび15ミリモルの炭酸ナトリウムを添加する。20時間の還流下後、さらなる75mlの水を滴下し、混合物を冷却し、固形分を吸引濾過し、その度毎に50mlの水で三度洗浄し、その度毎に50mlのメタノールで三度洗浄し、真空中で乾燥させる。乾燥固形分を、連続熱抽出器中で深さ3−5cmの酸化アルミニウム床(酸化アルミニウム、塩基性、活性度1)上に置き、次いで、指示された抽出剤で抽出する(最初に導入した量は約500ml。抽出剤は、錯体がその中で昇温では容易に溶け、低温ではその中で溶解度が低くなるように選択され、特に適切な抽出剤は、炭化水素、たとえばトルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、o−ジクロロベンゼン、アセトン、酢酸エチル、シクロヘキサンである)。抽出が完了したら、抽出剤を約100mlになるまで真空中で蒸発させる。抽出剤での溶解度が極めて良好な金属錯体を、200mlのメタノールを滴下することによって結晶化させる。このようにして得られた懸濁液の固形分を、吸引濾過し、約50mlのメタノールで一度洗浄し、乾燥させる。乾燥後、金属錯体の純度を、NMRおよび/またはHPLCを用いて測定する。純度が99.5%未満である場合、熱抽出工程を反復し、99.5−99.9%またはそれ以上に良好な純度に達したら、金属錯体を加熱または昇華させる。精製のための熱抽出法以外に、精製を、シリカゲルまたは酸化アルミニウムでのクロマトグラフィーによって実行することもできる。加熱は、約200−300℃の温度範囲において高真空(p約10
-6ミリバール)中で実行される。昇華は、約300−400℃の温度範囲において高真空(p約10
-6ミリバール)中で実行され、この場合、昇華は好ましくは分別昇華の形態で実行される。
【化50-1】
【化50-2】
【化50-3】
【化50-4】
【0171】
変種B:
工程1:
変種A、工程1を参照。
【0172】
工程2:
このようにして得られた式[Ir(L)
2Cl]
2の粗製クロロ二量体を、200mlのTHF中に懸濁させ、10ミリモルの共存配位子CLと、10ミリモルのトリフルオロ酢酸銀(I)と20ミリモルの炭酸カリウムとを懸濁液に添加し、混合物を還流下で24時間加熱する。冷却後、THFを真空中で除去する。残留物を、エタノールと濃縮アンモニウム溶液(1:1、vv)との混合物中に取込む。懸濁液を室温で1時間撹拌し、固形分を吸引濾過し、その度毎に、50mlのエタノールと濃縮アンモニウム溶液(1:1、vv)との混合物で二度、その度毎に50mlのエタノールで二度、洗浄し、次いで、真空中で乾燥させる。変種Aでのように、熱抽出またはクロマトグラフィーおよび昇華を行う。
【化51-1】
【化51-2】
【0173】
変種C:
工程1:
変種A、工程1を参照。
【0174】
工程2:
このようにして得られた式[Ir(L)
2Cl]
2の粗製クロロ二量体を、500mlのジクロロメタンと100mlのエタノールとの中に懸濁させ、10ミリモルのトリフルオロメタンスルホン酸塩銀(I)を懸濁液に添加し、混合物を室温で24時間加熱する。沈殿した固形分(AgCl)を短いセライト床を介して吸引濾過し、濾液を真空中で蒸発乾固させる。このようにして得られた固形分を100mlのエチレングリコール中に取込み、10ミリモルの共存配位子CLと、10ミリモルの2,6−ジメチルピリジンとを添加し、次いで、混合物を130℃で30時間撹拌する。冷却後、固形分を吸引濾過し、その度毎に50mlのエタノールで二度洗浄し、真空中で乾燥させる。変種Aでのように、熱抽出またはクロマトグラフィーおよび昇華を行う。
【化52-1】
【化52-2】
【0175】
変種E:
10ミリモルのIr錯体Ir(L)
2(CL1またはCL2)と、11ミリモルの配位子L’と、1)で前述したような溶融補助剤または溶媒として、随意に1−10gの不活性の高沸点添加物との混合物と、ガラス被覆磁気撹拌棒とを、50mlのガラスアンプルへ、真空下(10
-5ミリバール)で溶融させる。アンプルを、指示された温度で指示された時間加熱し、磁気撹拌機を用いて溶融混合物を撹拌する。「1)ホモレプティックなトリスfac型イリジウム錯体」で前述したように、さらなる処理、精製および昇華を行う。
【化53】
【0176】
例S4: 8−tert−ブチル−1,6−ナフチリジン6−N−酸化物
【化54】
【0177】
a) 8−tert−ブチル−1,6−ナフチリジン
【化55】
【0178】
J.Joshi−Panguら、J.Am.Chem.Soc.,2011、133,22,8478と同様の手順。THF中の、100mlの塩化tert−ブチルマグネシウムの2M溶液を、300mlのTHF中の、−10℃に冷却した、20.9g(100ミリモル)の8−ブロモ−1,6−ナフチリジン[17965−74−1]と、1.5g(10ミリモル)の塩化ニッケル(II)×1.5 H
2Oと、3.2g(10ミリモル)の1,3−ジクロロヘキシル−1H−イミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩[286014−37−7]との溶液に滴下し、次いで、混合物をさらに8時間撹拌する。0℃に温めた後、20mlの水を滴下し、300mlの飽和塩化アンモニウム溶液と、500mlの酢酸エチルとを次いで、添加する。激しく振った後、有機相を分離させ、500mlの水で一度、300mlの飽和塩化ナトリウム溶液で一度、洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで脱水させる。溶媒の除去後、残留物を酢酸エチル:ヘプタン:トリエチルアミン(1:2:0.05)と共に、シリカゲルでクロマトグラフにかける。収率:3.4g(18ミリモル)、18%。
1H−NMRによる純度約98%。
【0179】
b) 8−tert−ブチル−1,6−ナフチリジン6−N−酸化物、S4
5.1g(30ミリモル)のm−クロロ過安息香酸を、50mlのクロロホルム中の、3.4g(18ミリモル)の8−tert−ブチル−1,6−ナフチリジンの溶液に小分けして添加し、次いで混合物を4日間、室温で撹拌する。200mlのクロロホルムの添加後、反応溶液を、その度毎に100mlの10%の炭酸カリウム溶液で三度洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水させる。溶媒の除去後に得られる固形分をさらなる精製をせずに、さらに反応させる。収率:3.6g(18ミリモル)、定量的、純度:
1H−NMRによると95%。
【0180】
1e) 5−ハロ−1,6−ナフチリジンとβ−ケトカルボン酸アミドから
【化56】
【0181】
A) 500mlの溶媒(ジオキサン、DMF、DMAC等)中の、100ミリモルの5−ハロ−1,6−ナフチリジン(ハロゲン=塩素、臭素、ヨウ素)と、120ミリモルのβ−ケトカルボン酸アミドと、300モルの塩基(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム等)と、5ミリモルの2座ホスフィン(BINAP、キサントホス)または10ミリモルの1座ホスフィン(S−Phos、X−Phos、BrettPhos)と、5ミリモルの酢酸パラジウム(II)と、100gのガラスビーズ(直径6mm)との混合物を、80−150℃で16時間、激しく撹拌する。冷却後、溶媒を真空中で除去し、残留物を1000mlの酢酸エチル中に取込み、その度毎に300mlの水で三度、300mlの飽和塩化ナトリウム溶液で一度、洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで脱水させる。
【0182】
B) 真空中での溶媒の除去後に得られる残留物を、1c)工程のB)の変種1で前述したように環化させる。
【0184】
A+B) 22.1g(100ミリモル)の5−クロロ−2−(tert−ブチル)−1,6−ナフチリジン[1352329−30−6]と、13.8g(120ミリモル)の2−アセチルプロピオンアミド[4433−76−5]と、41.5g(300ミリモル)の炭酸カリウムと、2.9g(5ミリモル)のキサントホスと、1.1g(5ミリモル)の酢酸パラジウム(II)と、500mlのジオキサンとの使用、T=110℃。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、DCM:EA 5:1、vv)による精製、および酢酸エチル/n−ヘプタンからの三度の再結晶化。分別昇華(p約10
-5ミリバール、T=200℃)。収率:4.7g(17ミリモル)、17%。
1H−NMRによる純度約99.5%。
【0185】
以下の化合物を同じように調製することができる:
【化58】
【0186】
1f) 1,6−ナフチリジン6−N−オキシドおよびβ−ケトカルボン酸アミドから
【化59】
【0187】
A) M.Couturierら、Org.Lett.2006、9,1929と同様の手順。100ミリモルの塩化オキサリルを、100mlの1,2−ジクロロメタン中の100ミリモルのアミドの懸濁液へ室温で滴下し、次いで混合物を50℃で3時間撹拌する。室温に冷ました後、100mlの1,2−ジクロロメタン中に溶解された50ミリモルの1,6−ナフチリジン6−N−オキシドを添加し、混合物を室温で、さらに24時間撹拌する。
【0188】
B) 真空中での溶媒の除去後に得られる残留物を、1c)工程のB)の変種1で前述したように環化させる。
【0190】
A+B) 11.5g(100ミリモル)の2−アセチルプロピオンアミド[4433−76−5]と、8.6ml(100ミリモル)の塩化オキサリル[79−37.8]と、8.0g(50ミリモル)の8−メチル−1,6−ナフチリジン6−N−オキシド[107771−62−0]との使用。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、DCM:EA 5:1、vv)による精製、および酢酸エチル/n−ヘプタンからの三度の再結晶化。分別昇華(p約10
-5ミリバール、T=190℃)。収率:2.7g(11ミリモル)、22%、
1H−NMRによる純度約99.5%。
【0191】
以下の化合物を同じように調製することができる:
【化61】
【0192】
1g) 7−(1,6−ナフチリジン−5−イル)−1,5,7,8a−テトラアザフェナントレン−6,8−ジオンとエナミンから
【化62】
【0193】
A) 100ミリモルの7−(1,6−ナフチリジン−5−イル)−1,5,7,8a−テトラアザフェナントレン−6,8−ジオン(二量体イソシアネート、K.J.Duffyら、WO2007150011による4737−19−3と同様に合成)と、500ミリモルのエナミンとの混合物を、水分離器において160℃で16時間撹拌する。次いで、温度を、二級アミンが形成するまで約280℃までゆっくりと増加し、過剰なエナミンを蒸発させる。冷却後、残留物をクロマトグラフにかける。
【0195】
A) 45.5g(100ミリモル)の10−tert−ブチル−7−(8−tert−ブチル−1,6,ナフチリジン−5−イル)−1,5,7,8a−テトラアザフェナントレン−6,8−ジオンと、105.7g(500ミリモル)の4−(2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジヒドロフラン−3−イル)モルホリン(R.Carlsonら、Acta Chem.Scand.B、1984、E38、1,49による78593−93−8と同様に調製)との使用。
【0196】
カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、DCM:EA 5:1、vv)による精製、および酢酸エチル/n−ヘプタンからの三度の再結晶化。分別昇華(p約10
-5ミリバール、T=200℃)。収率4.9g(14ミリモル)、14%。
1H−NMRによる純度約99.5%。
【0197】
以下の化合物を同じように調製することができる:
【化64】
【0198】
1h) 2−ハロピリジンカルボン酸アミド、β−ケトカルボン酸アミド、アルキンから
【化65】
【0199】
A) 120ミリモルの2−ハロピリジンカルボン酸アミドと、100ミリモルのβ−ケトカルボン酸アミドとを十分に混合したものを、水分離器で溶融し、次いで、水がもはや分離しなくなるまで(約2時間)240℃で撹拌する。冷却後、溶融ケーキを200mlの熱メタノール/水(1:1,vv)と共に撹拌することにより洗浄する。濾過および乾燥後に得られる固形分を、さらにB)で反応させる。
【0200】
B) 6ミリモルのトリフェニルホスフィンと、3ミリモルの酢酸パラジウム(II)と、3ミリモルのヨウ化銅(I)と、150ミリモルのアルキンとを、200mlのDMFと100mlのトリエチルアミンとの中の、A)からの100ミリモルの2−ピリジン−3−イル−1H−ピリミジン−4−オンの溶液へ連続的に添加し、混合物を70℃で5時間撹拌する。冷却後、沈殿したトリエチルアンモニウム塩酸塩を吸引濾過し、少量のDMFで濯ぎ、濾液から揮発性成分を真空中で除く。残留物を200mlのニトロベンゼン中に溶解させ、10mlの水を添加し、混合物をゆっくりと200℃まで加熱し、次いで水分離器で6時間、200℃で撹拌する。次いで、ニトロベンゼンを、僅かに減少した圧力を加えることにより、200℃で完全に蒸留する。冷却後、ガラス状の残留物を150mlの熱メタノール中に取込み、その期間に、生成物は結晶化を始める。冷却後、固形分を吸引濾過し、少量のメタノールで濯ぎ、再度、再結晶化させる。
【0202】
A+B) 29.2g(120ミリモル)の2−ブロモ−6−プロピル−3−ピリジンカルボキサミド[1237981−90−6]と、18.5g(100ミリモル)のテトラヒドロ−2,2,5,5−テトラメチル−4−オキソ−3−フランカルボキサミド[99063−20−4]と、1.6g(6ミリモル)のトリフェニルホスフィンと、673mg(3ミリモル)の酢酸パラジウム(II)と、571mg(3ミリモル)のヨウ化銅(I)と、14.7g(150ミリモル)のトリメチルシリルアセチレン[1066−54−2]との使用。メタノールからの三度の再結晶化。分別昇華(p約10
-5ミリバール、T=200℃)。収率:9.1g(27ミリモル)、27%、
1H−NMRによる純度約99.5%。
【0203】
以下の化合物を同じように調製することができる:
【化67】
【0204】
C: 金属錯体の合成
1) ホモレプティックなトリスfac型イリジウム錯体:
【化68】
【0205】
OLEDの製造
1) 真空処理されたデバイス:
本発明によるOLEDおよび先行技術によるOLEDは、WO 2004/058911による一般的なプロセスにより製造されるが、ここに記載される状況(層の厚さの変化、使用する材料)に適合される。
【0206】
種々のOLEDの結果を、以下の例に提示する。ガラス板は、構造化ITO(酸化インジウムスズ)と共に、OLEDが適用される基板を形成する。OLEDは、原則的に次の層構造を有する:基板/3%のNDP−9(Novaledから市販されている)でドープされているHTMからなる正孔輸送層1(HTL1)、20nm/正孔輸送層2(HTL2)/随意に電子ブロック層(EBL)/発光層(EML)/随意に正孔ブロック層(HBL)/電子輸送層(ETL)/随意に電子注入層(EIL)、および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層によって形成される。
【0207】
最初に、真空処理されたOLEDについて記載する。この目的では、すべての材料は、真空チャンバ中で熱気相堆積によって適用される。ここで発光層は、常に、少なくとも1種のマトリックス材料(ホスト材料)、および1種または複数種のマトリックス材料と一定の体積割合で共蒸発によって予備混合された発光ドーパント(エミッタ)からなる。ここでM3:M2:Ir(L1)
3(55%:35%:10%)などの表現は、材料M3が55%の体積割合で層中に存在し、M2が35%の割合で層中に存在し、Ir(L1)
3が10%の割合で層中に存在することを意味する。同じように、電子輸送層は、2種の材料の混合物からなってもよい。OLEDの正確な構造を、表1に示す。OLEDの製造のために使用した材料を、表6に示す。
【0208】
OLEDは、標準の方法によってその特徴が決定される。この目的では、エレクトロルミネッセンススペクトル、電流効率(cd/Aで測定)および電圧(1000cd/m
2においてVで測定)は、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から測定される。選択された実験について、寿命を測定する。寿命は、輝度が一定の初期輝度から一定割合に低下するまでの時間と定義される。LT50という表現は、所与の寿命が、輝度が初期輝度の50%に低下した、すなわちたとえば1000cd/m
2から500cd/m
2に低下した時点までであることを意味する。発光色に応じて、異なる初期輝度を選択した。寿命の値は、当業者に公知の変換式を用いて他の初期輝度の値に変換することができる。ここでは、初期輝度の寿命1000cd/m
2が通常値である。
【0209】
燐光OLEDにおけるエミッタ材料としての本発明による化合物の使用
本発明による化合物は、中でもOLED中の発光層において、燐光エミッタ材料として用いることができる。化合物Ir(Ref1)
3を先行技術との比較として、用いる。OLEDの結果を、表2にまとめる。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表2】
【0210】
2) 溶液処理されたデバイス:
A: 可溶性機能的材料から
本発明によるイリジウム錯体は、溶液から処理することもでき、この場合このプロセスが関与する限り、真空処理されたOLEDと比較して著しく単純であるにもかかわらず良好な特性を有するOLEDが得られる。このタイプの部品の製造については、既に何度も文献(たとえばWO 2004/037887)に記載されているポリマー発光ダイオード(PLED)の製造に基づく。構造は、基板/ITO/PEDOT(80nm)/中間層(80nm)/発光層(80nm)/カソードからなる。この目的を達成するために、Technoprint製の基板(ソーダ石灰ガラス)を使用し、それにITO構造(酸化インジウムスズ、透明な導電性アノード)を適用する。基板を、クリーンルーム中でDI水および洗浄剤(Deconex 15PF)で清浄にし、次いで、UV/オゾンプラズマ処置によって活性化する。PEDOTの80nm層(PEDOTは、H.C.Starck、Goslarから水性分散液として供給されているポリチオフェン誘導体(Baytron P VAI 4083sp.)である)を、次いで、同様にクリーンルーム中でスピンコーティングによって緩衝層として適用する。必要なスピン速度は、希釈度および特定のスピンコーターの形状に応じる(典型的に80nm:4500rpm)。層から残留水を除去するために、基板を、180℃でホットプレート上で10分間加熱することによって乾燥させる。使用する中間層は、正孔注入として働き、この場合Merck製のHIL−012を使用する。あるいは、中間層は、1つ以上の層により置きかえられていてもよく、これらは、その後の溶液からのEML気相堆積の処理工程によって再び剥離しない条件を単に満たすだけのものである。発光層を生成するために、本発明によるエミッタを、トルエン中にマトリックス材料と共に溶解させる。ここでのように、デバイスの典型的な層厚80nmがスピンコーティングを用いて達成される場合、このような溶液の典型的な固形分の含有量は16〜25g/lである。溶液処理されたデバイスは、A:(ポリスチレン):M5:M6:Ir(L)
3(25%:25%:40%:10%)、またはB:(ポリスチレン):M5:M9:Ir(L)
3(25%:50%:20%:5%)を含む発光層を含む。発光層を、不活性ガス雰囲気中、本発明の場合にはアルゴン中でスピンコーティングによって適用し、130℃で30分間加熱することによって乾燥させる。最後にカソードを、バリウム(5nm)および次いでアルミニウム(100nm)の気相堆積によって適用する(Aldrich製の高純度金属、特にバリウム99.99%(注文番号474711);中でもLesker製の気相堆積装置、典型的な気相堆積圧力5×10
-6ミリバール)。随意に、最初に正孔ブロック層、次いで電子輸送層、そしてその次にカソード(たとえばAlまたはLiF/Al)を、真空気相堆積によって適用することができる。空気および大気の湿気からデバイスを保護するために、デバイスを最後に密封し、次いでその特性を決定する。所与のOLEDの例は、まだ最適化されていないが、得られたデータを表3にまとめる。
【表3-1】
【表3-2】
【0211】
3) 白色発光OLED
以下の層構造を有する白色発光OLEDを、1)からの一般的なプロセスにしたがって製造する:
【表4】
【表5】
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【0212】
熱誘導されるルミネッセンス消光の比較:
ポリスチレンとエミッタとのジクロロメタン溶液(ポリスチレンの固形分含有量は約10重量%、エミッタの固形分含有量は約0.1重量%)を一滴適用し、溶媒を蒸発させることによって、ポリスチレン膜をガラス試料スライド上に相互に並べて製造する。試料スライドを、暗くした部屋の中で、UVランプ(TLC観察用の市販のランプ、発光波長366nm)で上から照らし、それと反対方向に、調節可能なヘアドライヤーから温風を下から流す。温度を連続的に上げ、温度の関数として、熱ルミネッセンス消光、即ちルミネッセンスの部分的または完全な消光を目で追う。
【0213】
膜1: 参照エミッタIr−Ref、トリス[6−(1,1−ジメチルエチル)ベンズイミダゾ[1,2−c]キナゾリン−1−イル−κC
1,κN
12]イリジウム[1352332−0407]を含むポリスチレン膜
膜2: 本発明によるエミッタIr(L1)
3を含むポリスチレン膜
約120℃の温風温度から、ゆっくりとした膜1のルミネッセンスエクス減光が明らかである;膜2のルミネッセンスは変化しないように見える。約1800℃を超えると、膜1のルミネッセンスは実質的に消滅し、膜2のルミネッセンスは実質的に変化しないように見える。約300℃を超えても、膜2のルミネッセンスの弱い減光だけが観察される。
【0214】
膜を冷却すると、両者の膜のルミネッセンスは戻り、実験の開始時と同じ強さに見える。実験を多数回、反復することができ、これは試料の可逆的な温度依存減光現象であり、不可逆的分解ではないことを示している。