(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の運転方法を適用可能な発電プラント1の一例を模式的に示す図である。第1の実施形態の運転方法は、例えば、
図1に示される火力発電用の発電プラント1に適用できる。
【0014】
図1に示すように、発電プラント1は、作動流体が循環する流路上に、下流側に向かって順に、ボイラ2と、高圧タービン3と、中圧タービン5と、低圧タービン7とを備える。また、発電プラント1は、低圧タービン7の下流の流路上に、順に、復水器8と、復水ポンプ10と、第1ヒータ11と、第2ヒータ12とを備える。また、発電プラント1は、第2ヒータ12の下流の流路上に、順に、第3ヒータ13と、第4ヒータ14と、脱気器17と、給水ポンプ19とを備える。また、発電プラント1は、給水ポンプ19の下流の流路上に、順に、第1給水加熱器21と、第2給水加熱器22と、第3給水加熱器23と、給水加熱器の一例である給水過熱低減器24とを備える。また、発電プラント1は、発電プラント1の運転を制御する制御部26を備える。
【0015】
ボイラ2には、給水の流路の一例である給水管301を通して、給水過熱低減器24から高温の給水が導入される。ボイラ2は、給水過熱低減器24から導入された給水を加熱して蒸気を生成する。ボイラ2で生成された蒸気は、主蒸気配管302を通して高圧タービン3に導入される。
【0016】
高圧タービン3、中圧タービン5、および低圧タービン7は、不図示の発電機と同軸上に配置されている。高圧タービン3は、ボイラ2から導入された蒸気で高圧タービン内の翼を回転させることで、翼と一体のロータを回転させる。高圧タービン3に導入された蒸気は、高圧タービン3を回転させた後に高圧タービン3から排出される。高圧タービン3から排出された蒸気は、低温再熱蒸気配管303を通してボイラ2の再熱器28に導入される。
【0017】
再熱器28は、高圧タービン3から導入された蒸気を再度加熱し、蒸気温度を上昇させる。再熱器28で再熱された蒸気は、高温再熱蒸気配管304を通して中圧タービン5に導入される。
【0018】
中圧タービン5は、再熱器28から導入された蒸気で中圧タービン内の翼を回転させることで翼と一体のロータを回転させる。中圧タービン5に導入された蒸気は、中圧タービン5を回転させた後に、クロスオーバー管305を通して低圧タービン7に導入される。
【0019】
低圧タービン7は、中圧タービン5から導入された蒸気で低圧タービン内の翼を回転させることで、翼と一体のロータを回転させる。高圧、中圧、低圧タービンによるロータの回転により、ロータと接続された発電機に電力を発生させる。低圧タービン7に導入された蒸気は、低圧タービン7を回転させた後に、復水器8に導入される。
【0020】
復水器8は、低圧タービン7から導入された蒸気を、不図示の冷却水との熱交換で復水して回収する。
【0021】
復水ポンプ10は、復水器8に回収された水を昇圧する。復水ポンプ10での昇圧は、復水器8から脱気器17まで水(以下、給水ともいう)を輸送する動力となる。復水ポンプ10で昇圧された給水は、第1ヒータ11に導入される。
【0022】
第1ヒータ11は、復水器8の内部に配置されている。第1ヒータ11は、復水ポンプ10から導入された給水を、低圧タービン7から導入された蒸気との熱交換で加熱する。第1ヒータ11で加熱された給水は、第2ヒータ12に導入される。
【0023】
第2ヒータ12は、第1ヒータ11から導入された給水を低圧タービン7から導入された蒸気との熱交換で加熱する。第2ヒータ12で加熱された給水は、復水管306を通して第3ヒータ13に導入される。
【0024】
第3ヒータ13には、第1低圧抽気管401を通して低圧タービン7から抽気蒸気が導入される。第3ヒータ13は、第2ヒータ12から導入された給水を、第1低圧抽気管401を通して低圧タービン7から導入された抽気蒸気との熱交換で加熱する。第3ヒータ13で加熱された給水は、給水管306を通して第4ヒータ14に導入される。
【0025】
第4ヒータ14には、第2低圧抽気管402を通して低圧タービン7から抽気蒸気が導入される。第4ヒータ14は、第3ヒータ13から導入された給水を、第2低圧抽気管402を通して低圧タービン7から導入された抽気蒸気との熱交換で加熱する。第4ヒータ14で加熱された給水は、給水管306を通して脱気器17に導入される。
【0026】
脱気器17には、第1ドレン配管501と、第1ドレン配管501上の第1水位調整弁601(
図2参照)とを通して第1給水加熱器21からドレンが導入される。脱気器17は、第4ヒータ14から導入された給水を、中圧タービン5から導入された抽気蒸気との直接熱交換で加熱する。これにより、給水に含まれる酸素および不凝縮性ガスが除去すなわち脱気される。給水に含まれる酸素および不凝縮性ガスを除去することで、ボイラ2や配管の腐食を抑制でき、且つ、給水ポンプでのキャビテーション防止となる。
【0027】
給水ポンプ19は、脱気器17から脱気後の給水を昇圧する。給水ポンプ19での昇圧は、脱気器17からボイラ2まで給水を輸送する動力となる。給水ポンプ19で昇圧された給水は、給水管301を通して第1給水加熱器21に導入される。
【0028】
図2は、第1の実施形態の運転方法を適用可能な発電プラントにおいて、給水加熱器21〜23周辺の構成を示す図である。
図2に示すように、第1の実施形態の発電プラント1においては、給水配管上流側から順に、第1給水加熱器21、第2給水加熱器22、第3給水加熱器23および給水過熱低減器24が配置されている。給水加熱器21〜23は、ボイラ2への給水をタービン3、5からの抽気蒸気で加熱することで、発電プラント1の熱効率を高める。
【0029】
(第1給水加熱器21)
具体的には、
図1および
図2に示すように、発電プラント1は、第1の蒸気流路の一例として、給水過熱低減器24と給水加熱器21〜23のうち上流端の第1給水加熱器21との間に配置された給水過熱低減器抽気管403を備える。上流端の第1給水加熱器21は、所定の給水加熱器の一例である。給水過熱低減器抽気管403は、給水過熱低減器24と第1給水加熱器21とを連通する。第1給水加熱器21には、給水過熱低減器抽気管403を通して給水過熱低減器24から抽気蒸気が導入される。また、
図1および
図2に示すように、第1給水加熱器21には、第2ドレン配管502と、第2ドレン配管502上の第2水位調整弁602とを通して第2給水加熱器22からドレンが導入される。なお、第2ドレン配管502は、流路上において隣り合う給水加熱器21、22同士の間に配置された第1のドレン流路の一例である。第2水位調整弁602は、第1のドレン流路を開閉する第1の弁の一例である。
【0030】
図2に示すように、第1給水加熱器21は、水室側入口21aにおいて、給水ポンプ19からの給水を導入する。また、第1給水加熱器21は、胴側21bの給水加熱器内において、給水過熱低減器24から導入された抽気蒸気との熱交換で、給水ポンプ19から導入された給水を加熱する。また、第1給水加熱器21は、胴側21bの給水加熱器内において、給水ポンプ19から導入された給水を、第2給水加熱器22から導入されたドレンとの熱交換で加熱する。第1給水加熱器21で加熱された給水は、水室側出口21cから、給水管301を通して第2給水加熱器22に導入される。
【0031】
(第2給水加熱器22)
図1および
図2に示すように、第2給水加熱器22には、低温再熱蒸気抽気管404と、低温再熱蒸気抽気管404上の低温再熱蒸気抽気弁701とを通して、低温再熱蒸気配管303からの抽気蒸気が導入される。また、
図2に示すように、第2給水加熱器22には、第3ドレン配管503と、第3ドレン配管503上の第3水位調整弁603とを通して第3給水加熱器23からドレンが導入される。なお、第3ドレン配管503は、隣り合う給水加熱器22、23同士の間に配置された第1のドレン流路の一例である。第3水位調整弁603は、第1の弁の一例である。
【0032】
図2に示すように、第2給水加熱器22は、水室側入口22aにおいて、第1給水加熱器21からの給水を導入する。また、第2給水加熱器22は、胴側22bの給水加熱器内において、低温再熱蒸気配管303から導入された抽気蒸気との熱交換で、第1給水加熱器21から導入された給水を加熱する。また、第2給水加熱器22は、胴側22bの給水加熱器内において、第1給水加熱器21から導入された給水を、第3給水加熱器23から導入されたドレンとの熱交換で加熱する。第2給水加熱器22で加熱された給水は、水室側出口22cから、給水管301を通して第3給水加熱器23に導入される。
【0033】
(第3給水加熱器23)
図1および
図2に示すように、第3給水加熱器23には、高圧抽気管405と、高圧抽気管405上の高圧抽気弁702とを通して、高圧タービン3からの抽気蒸気が導入される。第3給水加熱器23は、水室側入口23aにおいて、第2給水加熱器22からの給水を導入する。また、第3給水加熱器23は、胴側23bの給水加熱器内において、高圧タービン3から導入された抽気蒸気との熱交換で、第2給水加熱器22から導入された給水を加熱する。第3給水加熱器23で加熱された給水は、水室側出口23cから、給水管301を通して給水過熱低減器24に導入される。
【0034】
(給水過熱低減器24)
給水過熱低減器24は、給水加熱器21〜23の下流においてボイラ2への給水をタービン3、5からの抽気蒸気で加熱することで、発電プラント1の熱効率を高める。
【0035】
具体的には、
図1および
図2に示すように、給水過熱低減器24には、中圧抽気管406と、中圧抽気管406上の中圧抽気弁703とを通して、中圧タービン5からの抽気蒸気が導入される。給水過熱低減器24は、水室側入口24aにおいて、第3給水加熱器23からの給水を導入する。また、給水過熱低減器24は、胴側24bの給水加熱器内において、中圧タービン5から導入された抽気蒸気との熱交換で、第3給水加熱器23から導入された給水を加熱する。給水過熱低減器24で加熱された給水は、水室側出口24cから、給水管301を通してボイラ2に導入される。
【0036】
図2に示すように、給水過熱低減器24は、第4ドレン配管504と、第4ドレン配管504上の第1ドレン弁604とを通して、給水の加熱で給水過熱低減器24内に生じたドレンを復水器8に排出する。なお、
図1では、第4ドレン配管504の図示を省略している。給水過熱低減器24のインサービス時に発生し得る少量のドレンを低コストで排出するため、第4ドレン配管504の口径は、小さく抑えられている。第4ドレン配管504の口径は、例えば、JIS規格における50Aすなわち60.5mmであってもよい。
【0037】
(運転方法)
次に、
図1および
図2の発電プラント1の運転方法について説明する。
図3は、第1の実施形態の運転方法を示すフローチャートである。以下の説明では、発電プラント1の運転方法のうち、給水加熱器21〜23および給水過熱低減器24のインサービスの手順を中心に説明する。給水加熱器21〜23および給水過熱低減器24のインサービスとは抽気弁を開弁し、給水加熱器21〜23および給水過熱低減器24に抽気蒸気を導入することとする。
【0038】
なお、初期状態において、第2給水加熱器22、第3給水加熱器23および給水過熱低減器24への抽気弁701〜703はいずれも閉弁されており、給水加熱器21〜23および給水過熱低減器24には、抽気蒸気が導入されていないものとする。すなわち、初期状態において、給水加熱器21〜23および給水過熱低減器24はいずれもインサービスされていないものとする。また、初期状態において、給水加熱器21〜23および給水過熱低減器24の水位調整弁601〜604は、いずれも開弁されているものとする。また、初期状態において、給水管301には給水が通水しているものとする。
【0039】
(第2給水加熱器22への抽気蒸気の導入:S1)
そして、初期状態から、先ず、
図3に示すように、第2給水加熱器22に抽気蒸気を導入し、第2給水加熱器22をインサービスする(ステップS1)。具体的には、制御部26は、低温再熱蒸気抽気弁701を開閉するモータ801(
図2参照)を駆動制御することで、低温再熱蒸気抽気弁701を開弁する。
【0040】
低温再熱蒸気抽気弁701が開弁されることで、第2給水加熱器22には、低温再熱蒸気抽気管404を通して低温再熱蒸気配管303からの抽気蒸気が導入される。第2給水加熱器22に導入された抽気蒸気は、第2給水加熱器22内を通る給水を加熱する。第2給水加熱器22で加熱された給水は、第3給水加熱器23に導入される。
【0041】
給水を加熱した後に、第2給水加熱器22内の抽気蒸気は、凝縮してドレンとなる。このドレンは、第2ドレン配管502を通して第1給水加熱器21に導入される。
【0042】
(第3給水加熱器23への抽気蒸気の導入:S2)
次いで、
図3に示すように、第3給水加熱器23に抽気蒸気を導入し、第3給水加熱器23をインサービスする(ステップS2)。具体的には、制御部26は、高圧抽気弁702を開閉するモータ802(
図2参照)を駆動制御することで、高圧抽気弁702を開弁する。
【0043】
高圧抽気弁702が開弁されることで、第3給水加熱器23には、高圧抽気管405を通して高圧タービン3からの抽気蒸気が導入される。第3給水加熱器23に導入された抽気蒸気は、第3給水加熱器23内を通る給水を加熱する。第3給水加熱器23で加熱された給水は、給水過熱低減器24に導入される。
【0044】
給水を加熱した後に、第3給水加熱器23内の抽気蒸気は、凝縮してドレンとなる。このドレンは、第3ドレン配管503を通して第2給水加熱器22に導入される。そして、第2給水加熱器22に導入されたドレンは、第2給水加熱器22内を通る給水を加熱する。
【0045】
(給水過熱低減器24および第1給水加熱器21への抽気蒸気の導入:S3)
次いで、
図3に示すように、給水過熱低減器24および第1給水加熱器21に抽気蒸気を導入し、給水過熱低減器24および第1給水加熱器21をインサービスする(ステップS3)。具体的には、制御部26は、中圧抽気弁703を開閉するモータ803(
図2参照)を駆動制御することで、中圧抽気弁703を開弁する。
【0046】
中圧抽気弁703が開弁されることで、給水過熱低減器24には、中圧抽気管406を通して中圧タービン5からの抽気蒸気が導入される。給水過熱低減器24に導入された抽気蒸気は、給水過熱低減器24内を通る給水を加熱する。給水過熱低減器24で加熱された給水は、ボイラ2に導入される。
【0047】
給水を加熱した後に、給水過熱低減器24内の抽気蒸気は、過熱蒸気の状態のまま、給水過熱低減器抽気管403を通して第1給水加熱器21に導入される。第1給水加熱器21に導入された抽気蒸気は、第1給水加熱器21内を通る給水を加熱する。第1給水加熱器21で加熱された給水は、第2給水加熱器22に導入される。
【0048】
給水を加熱した後に、第1給水加熱器21内の抽気蒸気は、凝縮してドレンとなる。このドレンは、第1ドレン配管501を通して脱気器17に導入される。そして、脱気器17に導入されたドレンは、第4ヒータ14から導入された給水を加熱させて脱気する。
【0049】
なお、給水過熱低減器24および第1給水加熱器21のインサービスは、給水の温度が給水過熱低減器24に導入すべき抽気蒸気の飽和蒸気温度以上に高まることを待って行う。例えば、制御部26は、温度検出器(図示せず)による給水管301内の給水の温度の検出結果が飽和蒸気温度以上を示した場合に、給水過熱低減器24および第1給水加熱器21をインサービスさせてもよい。あるいは、制御部26は、第3給水加熱器23のインサービスから給水温度が飽和蒸気温度以上となったとみなされる所定のプラント負荷となるのを待ち給水過熱低減器24および第1給水加熱器21をインサービスさせてもよい。
【0050】
最後に、
図3に示すように、制御部26は、第1ドレン弁604を開閉するモータ804(
図2参照)を駆動制御することで、第1ドレン弁604を閉弁する(ステップS4)。ステップS1〜ステップS3の工程により、全ての給水加熱器21〜23、および給水過熱低減器24に抽気蒸気が導入されている。この時、給水過熱低減器24内のドレンの発生を無視できるので、第1ドレン弁604を閉弁する。第1ドレン弁604を閉弁することで、給水過熱低減器24内の抽気蒸気が第4ドレン配管504側に漏れることを防止できる。これにより、給水過熱低減器24内の抽気蒸気を効率的に第1給水加熱器21に導入できる。
【0051】
なお、給水加熱器の個数は、複数であれば第1〜第3給水加熱器21〜23の3つに限定されず、2つまたは4つ以上であってもよい。また、給水過熱低減器と連通する給水過熱器は給水の上流端の給水加熱器に限定されない。
【0052】
もし、第2給水加熱器22および第3給水加熱器23をインサービスさせる前に給水過熱低減器24および第1給水加熱器21をインサービスさせた場合、給水過熱低減器24に導入された抽気蒸気は、給水加熱器21〜23で未加熱の飽和蒸気温度より低温の給水と熱交換する。給水が抽気蒸気の飽和蒸気温度より低温であることで、給水過熱低減器24に導入された抽気蒸気は、給水の加熱後に飽和蒸気温度より低温となる。これにより、給水過熱低減器24内には、抽気蒸気が凝縮した多量のドレンが発生する。第4ドレン配管504の口径は小さく抑えられているため、給水過熱低減器24内の多量のドレンを迅速に排出できず、給水過熱低減器24内の水位上昇を抑制できない。すなわち、給水過熱低減器24内に多量のドレンが貯留し、貯留したドレンが中圧タービン5側に流入してしまう虞がある。
【0053】
これに対して、第1の実施形態では、第2給水加熱器22および第3給水加熱器23をインサービスさせた後に、給水の温度が給水過熱低減器24に導入する抽気蒸気の飽和蒸気温度以上に高まる状態を待って、給水過熱低減器24および第1給水加熱器21をインサービスさせる。このように給水加熱器21〜23および給水過熱低減器24のインサービス順序を調整することで、給水過熱低減器24の胴側24bでの給水の温度は、給水過熱低減器24に導入される抽気蒸気の飽和蒸気温度以上となる。このため、給水過熱低減器24に導入された抽気蒸気は、飽和蒸気温度以上の温度を有する給水と熱交換する。給水の温度が飽和蒸気温度以上であることで、給水過熱低減器24に導入された抽気蒸気は、給水の加熱後においても飽和蒸気温度以上の温度を維持する。このため、給水の加熱後においても、給水過熱低減器24内には、ドレンが殆ど発生しない。
【0054】
したがって、第1の実施形態によれば、給水過熱低減器24内でのドレンの発生を抑制することで、給水過熱低減器24内へのドレンの貯留を抑制できる。これにより、中圧タービン5へのドレンの流入を防止して、発電プラント1を適正に運転できる。
【0055】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態として、第2給水加熱器22内のドレンの貯留を制御する実施形態について説明する。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態に対応する構成部については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。
【0056】
図4は、第2の実施形態の運転方法を適用可能な発電プラント1において、給水加熱器21〜23周辺の構成を示す図である。
【0057】
図4に示すように、第2の実施形態の発電プラント1は、第1の実施形態の構成に加えて、更に、第2給水加熱器22と復水器8とを連通する第5ドレン配管505と、第5ドレン配管505上の第5水位調整弁605とを備える。なお、第5ドレン配管505は、流路上において上流端の給水加熱器21に直近の給水加熱器22と復水器8との間に配置された第2のドレン流路の一例である。また、第5水位調整弁605は、第2のドレン流路を開閉する第2の弁の一例である。第5水位調整弁605の開閉は、制御部26で制御してよい。
【0058】
図5は、第2の実施形態の運転方法を示すフローチャートである。
図3の初期状態と異なり、
図5の初期状態では、第2水位調整弁602を閉弁し、かつ、第5水位調整弁605を開弁しておく。
【0059】
第2水位調整弁602が閉弁され、かつ、第5水位調整弁605が開弁されていることで、第2給水加熱器22への抽気蒸気の導入(ステップS1)の後に第2給水加熱器22に貯留されたドレンは、先ず、第5ドレン配管505を通して復水器8に導入される。
【0060】
また、第2の実施形態では、第2給水加熱器22への抽気蒸気の導入(ステップS1)の後に、給水過熱低減器24および第1給水加熱器21に抽気蒸気を導入する(ステップS3)。
【0061】
また、第2の実施形態では、給水過熱低減器24および第1給水加熱器21への抽気蒸気の導入(ステップS3)の後に、第2水位調整弁602を開弁し、かつ、第5水位調整弁605を閉弁する(ステップS5)。第2水位調整弁602が開弁され、かつ、第5水位調整弁605が閉弁されることで、第2給水加熱器22に貯留されたドレンは第1給水加熱器21に導入される。
【0062】
また、第2の実施形態では、第3給水加熱器23への抽気蒸気の導入(ステップS2)の後に、第1ドレン弁604の閉弁(ステップS4)を行う。
【0063】
なお、第3給水加熱器23への抽気蒸気の導入(ステップS2)は、給水過熱低減器24および第1給水加熱器21への抽気蒸気の導入(ステップS3)と同時に行ってもよい。
【0064】
既述したように、第1給水加熱器21は、第1ドレン配管501を通して脱気器17に連通されている。また、脱気後の給水を第1給水加熱器21に輸送するため、脱気器17の内部は給水ポンプ19で昇圧される。
【0065】
もし、第1給水加熱器21への抽気蒸気の導入前に、第2給水加熱器22内のドレンを第1給水加熱器21に導入する場合、導入されたドレンが第1給水加熱器21内でフラッシュすなわち蒸発して第1給水加熱器21の内部構造物の破損や第2給水加熱器22内ドレンが第1給水加熱器21に排出しきれなくなる虞がある。
【0066】
これに対して、第2の実施形態では、第1給水加熱器21内への抽気蒸気の導入前は、第2給水加熱器22内のドレンを復水器8に排出することで、第1給水加熱器21内でのドレンのフラッシュを防止できる。また、第1給水加熱器21抽気蒸気の導入後は、第2給水加熱器22内のドレンを第1給水加熱器21に導入することで、ドレンの排熱を第1給水加熱器21での給水の加熱に有効利用できる。
【0067】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態として、第1給水加熱器21を給水過熱低減器24と独立してインサービスさせる実施形態について説明する。なお、第3の実施形態において、第1の実施形態に対応する構成部については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。
【0068】
図6は、第3の実施形態の運転方法を適用可能な発電プラント1において、給水加熱器21〜23周辺の構成を示す図である。
図6に示すように、第3の実施形態の発電プラント1は、第1の実施形態の構成に加えて、更に、給水過熱低減器抽気管403上の給水過熱低減器抽気弁707と、給水過熱低減器24を迂回して中圧抽気管406と第1給水加熱器21とを連通するバイパス管408と、バイパス管408上のバイパス弁709とを備える。なお、給水過熱低減器抽気弁707は、第1の蒸気流路403を開閉する第3の弁の一例である。また、バイパス管408は、給水過熱低減器24の上流の過熱蒸気の流路406と上流端の給水加熱器21との間に配置された第2の蒸気流路の一例である。また、バイパス弁709は、第2の蒸気流路を開閉する第4の弁の一例である。
【0069】
図7は、第3の実施形態の運転方法を示すフローチャートである。なお、
図7の初期状態において、中圧抽気弁703、給水過熱低減器抽気弁707およびバイパス弁709はいずれも閉弁されているものとする。
【0070】
図7に示すように、第3の実施形態では、第2給水加熱器22への抽気蒸気の導入(ステップS1)の前に、給水過熱低減器24と独立して第1給水加熱器21に抽気蒸気を導入し、第1給水加熱器21をインサービスする(ステップS11)。具体的には、制御部26は、バイパス弁709を開閉するモータ809(
図6参照)を駆動制御することで、バイパス弁709を開弁する。バイパス弁709が開弁されることで、第1給水加熱器21には、バイパス管408を通して中圧抽気管406からの抽気蒸気が導入される。
【0071】
また、
図7に示すように、第3の実施形態では、第3給水加熱器23への抽気蒸気の導入(ステップS2)の後に、給水過熱低減器24に抽気蒸気を導入し、給水過熱低減器24をインサービスする(ステップS12)。具体的には、制御部26は、モータ809を駆動制御することで、バイパス弁709を閉弁する。また、制御部26は、給水過熱低減器抽気弁707を開閉するモータ807と中圧抽気弁703を開閉するモータ803とを駆動制御することで、給水過熱低減器抽気弁707と中圧抽気弁703とを開弁する(ステップS32)。給水過熱低減器抽気弁707と中圧抽気弁703とが開弁されることで、給水過熱低減器24には、中圧抽気管406を通して中圧タービン5からの抽気蒸気が導入され、導入された抽気蒸気で給水が加熱される。また、給水過熱低減器抽気弁707が開弁されることで、給水過熱低減器抽気管403を通して給水過熱低減器24から第1給水加熱器21に抽気蒸気が導入され、導入された抽気蒸気で給水が加熱される。
【0072】
第3の実施形態では、第1給水加熱器21を給水過熱低減器24と独立してインサービスさせることができ、かつ、給水の上流側から順に給水加熱器21〜24をインサービスさせることができる。したがって、給水過熱低減器24に抽気蒸気を導入したとき、給水過熱低減器24には、抽気蒸気の飽和蒸気温度以上の温度の給水が導入されている。これにより、給水過熱低減器24に導入された抽気蒸気は、給水との熱交換後においても殆ど凝縮しない。したがって、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、給水過熱低減器24内にドレンが発生することを抑制できる。
【0073】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態として、給水過熱低減器24のドレンの排出能力を高めた実施形態について説明する。なお、第4の実施形態において、第1の実施形態に対応する構成部については、同一の符号を用いて重複した説明を省略する。
【0074】
図8は、第4の実施形態の運転方法を適用可能な発電プラント1において、給水加熱器21〜23周辺の構成を示す図である。
図8に示すように、第4の実施形態の発電プラント1は、
図2の第4ドレン配管504および第1ドレン弁604の代わりに、給水過熱低減器24から第1給水加熱器21に至る第6ドレン配管506と、第6ドレン配管506上の第2ドレン弁606とを備える。なお、第6ドレン配管506は、給水過熱低減器24と上流端の給水加熱器21との間に配置されたドレン流路の一例である。
【0075】
第6ドレン配管506は、第4ドレン配管504より口径が大きい。口径が大きいことで、第6ドレン配管506は、給水過熱低減器24内で大量のドレンが発生したとしても、発生した大量のドレンを給水過熱低減器24から迅速に排出できる。また、第6ドレン配管506が第1給水加熱器21に繋がっていることで、給水過熱低減器24で発生したドレンの排熱を第1給水加熱器21での給水の加熱に有効利用できる。
【0076】
図9は、第4の実施形態の運転方法を示すフローチャートである。なお、
図9の初期状態において、第2ドレン弁606は開弁されているものとする。
【0077】
図9に示すように、第4の実施形態では、第2給水加熱器22への抽気蒸気の導入(ステップS1)の前に、給水過熱低減器24と第1給水加熱器21とに抽気蒸気を導入し、給水過熱低減器24および第1給水加熱器21をインサービスする(ステップS3)。
【0078】
また、第4の実施形態において、制御部26は、第3給水加熱器23への抽気蒸気の導入(ステップS2)の後に、第2ドレン弁606を開閉するモータ805(
図8参照)を駆動制御することで第2ドレン弁606を閉弁する(ステップS21)。
【0079】
給水加熱器21〜23に抽気蒸気が導入される前に給水過熱低減器24に抽気蒸気が導入されるため、第4の実施形態では、給水過熱低減器24内に抽気蒸気が凝縮して大量のドレンが発生し得る。そのため、給水過熱低減器24は小口径の起動用ドレン管を持ち、給水過熱低減器24内にドレンが発生したとしても、発生したドレンを第1給水加熱器21に迅速に排出できる。
【0080】
したがって、第4の実施形態によれば、給水過熱低減器24内に発生したドレンを迅速に排出できるので、第1の実施形態と同様に、給水過熱低減器24内へのドレンの貯留を抑制できる。
【0081】
上記各実施形態において、給水過熱低減器抽気管403は、給水過熱低減器24と上流端の第1給水加熱器21との間に配置されていた。給水過熱低減器抽気管403は、給水加熱器の設置台数や熱バランスに応じて、給水過熱低減器24と第1給水加熱器21以外の所定の給水加熱器との間に配置してもよい。この場合でも、所定の給水加熱器以外の給水加熱器をインサービスさせた後に所定の給水加熱器をインサービスさせることで、第1〜第3実施形態と同様に、給水過熱低減器24内へのドレンの貯留を抑制できる。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。