(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556670
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】スネアワイヤ及びスネアドラム
(51)【国際特許分類】
G10D 13/00 20060101AFI20190729BHJP
G10D 13/02 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
G10D13/00 251
G10D13/02 100
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-132506(P2016-132506)
(22)【出願日】2016年7月4日
(65)【公開番号】特開2018-4994(P2018-4994A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2018年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000195018
【氏名又は名称】星野楽器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尚樹
【審査官】
上田 雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−054874(JP,A)
【文献】
特開昭53−122415(JP,A)
【文献】
特開2003−271129(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0150353(US,A1)
【文献】
独国実用新案第202014103614(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 13/00−13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
響線と、前記響線の両端部に固定された一対の取付具とを備えたスネアワイヤであって、
前記取付具は、
前記響線が接合される接合部と、
引張部材が引っ掛けられる引っ掛け部と、
前記引っ掛け部に引っ掛けられた前記引張部材と接触してドラムヘッドから離間する方向に押圧される押圧部とを備え、
前記引っ掛け部は、前記ドラムヘッドの中心と前記押圧部との間に配置され、かつ前記接合部の下方に配置され、前記引張部材の前記引っ掛け部との接触位置が、前記接合部の下方に配置されていることを特徴とするスネアワイヤ。
【請求項2】
請求項1記載のスネアワイヤにおいて、
前記取付具は、前記スネアワイヤの長手方向と直交する方向から見て、断面U字状に形成されていることを特徴とするスネアワイヤ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスネアワイヤにおいて、
前記取付具は、更に、前記押圧部と前記引っ掛け部とを繋ぐ連接部を有し、
前記連接部は、前記引っ掛け部に引っ掛けられた前記引張部材よりも下方に配置されていることを特徴とするスネアワイヤ。
【請求項4】
請求項3記載のスネアワイヤにおいて、
前記連接部は、前記連接部と前記押圧部とが鈍角をなすように、前記押圧部に連接され、
前記引張部材の前記引っ掛け部との接触部分は、R形状を有していることを特徴とするスネアワイヤ。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のスネアワイヤにおいて、
前記取付具は、更に、前記接合部の先端に延設部を有し、
前記延設部は、前記引っ掛け部に引っ掛けられた前記引張部材と接触可能な位置に設けられると共に、前記引っ掛け部に引っ掛けられた前記引張部材と同方向に延びていることを特徴とするスネアワイヤ。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のスネアワイヤにおいて、
前記引張部材は、ストラップ又はコードであり、
前記取付具は、前記ストラップが通されるストラップ孔と、前記コードが通されるコード孔とを有し、
前記ストラップ孔及び前記コード孔は、前記引っ掛け部の共通の面に開口していることを特徴とするスネアワイヤ。
【請求項7】
請求項6記載のスネアワイヤにおいて、
前記押圧部は、前記引っ掛け部に引っ掛けられたストラップと当接する平板部と、前記引っ掛け部に引っ掛けられたコードと嵌合する嵌合凹部とを備え、
前記嵌合凹部は、前記コードの直径と対応する寸法だけ前記平板部を部分的に凹ませてなることを特徴とするスネアワイヤ。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか一項に記載のスネアワイヤにおいて、
前記取付具は、前記引っ掛け部と前記押圧部との間の距離を変更可能に構成されていることを特徴とするスネアワイヤ。
【請求項9】
円筒状のシェルと、前記シェルの上下の開口端をそれぞれ閉塞する一対のドラムヘッドと、響線と前記響線の両端部に固定された一対の取付具とを有するスネアワイヤとを備えたスネアドラムであって、
前記取付具は、
前記響線が接合される接合部と、
引張部材が引っ掛けられる引っ掛け部と、
前記引っ掛け部に引っ掛けられた前記引張部材と接触して前記ドラムヘッドから離間する方向に押圧される押圧部とを備え、
前記引っ掛け部は、前記ドラムヘッドの中心と前記押圧部との間に配置され、かつ前記接合部の下方に配置され、前記引張部材の前記引っ掛け部との接触位置が、前記接合部の下方に配置されていることを特徴とするスネアドラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スネアワイヤ及びスネアドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スネアワイヤは、響線と、響線の両端部に固定された一対の取付具とを備えている。スネアワイヤは、一対の取付具に引っ掛けられたストラップやコードを用いて、スネアドラムに取り付けられると共に、下側のドラムヘッドに接触した位置とドラムヘッドから離間した位置とに選択的に切換可能に支持されている。スネアドラムの演奏時、スネアワイヤの位置は、ドラムヘッドに接触した位置に切り換えられる。この状態で、上側のドラムヘッドが叩打されると、スネアワイヤが振動して、スネアドラム独特の音を奏する。この場合、スネアドラム独特の音をより響かせるには、下側のドラムヘッドに響線の全体を密着させることが望ましい。
【0003】
特許文献1又は特許文献2は、ストラップを用いてスネアドラムに取り付けられるスネアワイヤをそれぞれ開示している。特許文献1に開示のスネアワイヤは、ドラムヘッドに響線を密着させるための構成として、中央付近で屈曲されたプレート状の取付具を備えている。取付具は、響線が溶接される前板部と、ストラップが通される長孔を含む後板部とを有している。また、取付具は、ストラップが通される長孔と同じ位置に、ストラップが引っ掛けられる引っ掛け部を有している。引っ掛け部は、断面略U字状の凸部からなり、響線が溶接される面と反対側に突出している。この構成によれば、引っ掛け部に引っ掛けられたストラップが引っ張られると、ストラップにより後板部が下方に押圧されることで、取付具の全体が回転し、前板部がドラムヘッドに向けて上方へと移動する。こうして、前板部に溶接された響線が、ドラムヘッドに押し当てられる。
【0004】
特許文献2に開示のスネアワイヤも、特許文献1に開示のスネアワイヤと同様に、中央付近で屈曲されたプレート状の取付具を備えている。この文献に開示の取付具は、ドラムヘッドに響線を密着させるための構成として、ストラップを固定した後板部に凸部を有している。凸部は、響線が溶接される面と同じ側に突出している。凸部は、取付具の後板部の高さを、響線が溶接されて厚みを増した前板部の高さと同じにするためのものである。この構成によれば、取付具の後板部に固定されたストラップが引っ張られると、後板部の凸部がドラムヘッドに当接されることで、ドラムヘッドから前板部が浮き上がらなくなる。こうして、前板部に溶接された響線が、ドラムヘッドに当接される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−54874号公報
【特許文献2】特開2003−271129号公報
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の発明によれば、引っ掛け部に引っ掛けられたストラップが引っ張られても、ストラップにより後板部を押圧する力が小さいため、取付具を回転させる力も小さい。このため、前板部に溶接された響線の全体を、ドラムヘッドに確実に押し当てることができない。また、特許文献2に開示の発明によっても、取付具の前板部を、ドラムヘッドに当接させるだけであり、ドラムヘッドに確実に押し当てることができない。このように、上記両文献に開示のスネアワイヤの構成では、前板部に溶接された響線のうち、ドラムヘッドの中央に近い部分に比べ、響線の端部がドラムヘッドから浮き上がり易くなっている。このため、ドラムヘッドに響線の端部を密着させることができず、ひいては、ドラムヘッドに響線の全体を密着させることができない。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ドラムヘッドに響線の端部を密着させることのできるスネアワイヤ及びスネアドラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、響線と、響線の両端部に固定された一対の取付具とを備えたスネアワイヤであって、取付具は、響線が接合される接合部と、引張部材が引っ掛けられる引っ掛け部と、引っ掛け部に引っ掛けられた引張部材と接触してドラムヘッドから離間する方向に押圧される押圧部とを備え、引っ掛け部は、ドラムヘッドの中心と押圧部との間に配置され、かつ接合部の下方に配置され
、引張部材の引っ掛け部との接触位置が、接合部の下方に配置されていることを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、引っ掛け部をドラムヘッドの中心と押圧部との間に配置し、かつ接合部の下方に配置することで、押圧部は、引っ掛け部に引っ掛けられた引張部材により下方に押圧される。これにより、取付具の全体が回転し、引っ掛け部の上方に位置する接合部が、ドラムヘッドに向けて上方へと移動する。こうして、接合部に接合された響線が、ドラムヘッドに押し当てられる。このとき、引っ掛け部を接合部の下方に配置したことで、取付具を回転させる力が大きくなり、響線をドラムヘッドに押し当てる力も大きくなる。このため、響線の端部をドラムヘッドから浮き上がらせずに、ドラムヘッドに密着させることができる。よって、ドラムヘッドに響線の全体を密着させることができる。
また、この構成によれば、引張部材の引っ掛け部との接触位置を接合部の下方に配置することで、引っ掛け部に引っ掛けられた引張部材から押圧部へと力が伝わり易くなる。このため、取付具を回転させる力がより大きくなる。このため、響線をドラムヘッドに押し当てる力がより大きくなる。よって、響線の端部をドラムヘッドから浮き上がらせずにドラムヘッドに密着させることが、容易になる。
【0011】
請求項
2に記載の発明は、請求項
1記載のスネアワイヤにおいて、取付具は、スネアワイヤの長手方向と直交する方向から見て、断面U字状に形成されていることを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、取付具は、断面U字状に形成されることで、その形状に起因した弾性力を有することができる。このため、響線をドラムヘッドに押し当てる力として、取付具の弾性力を利用することができる。これにより、接合部に接合された響線を、ドラムヘッドに食い込ませずにかつ均一に密着させることができる。
【0013】
請求項
3に記載の発明は、請求項1
又は2に記載のスネアワイヤにおいて、取付具は、更に、押圧部と引っ掛け部とを繋ぐ連接部を有し、連接部は、引っ掛け部に引っ掛けられた引張部材よりも下方に配置されていることを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、引っ掛け部に引っ掛けられた引張部材よりも下方に連接部を配置することで、引張部材を連接部に接触させないようにすることができる。これにより、引張部材と取付具との接触箇所が引っ掛け部と押圧部とに限定されるため、例えば、皮革、樹脂、繊維等の材料からなる引張部材であっても、取付具と接触して受ける損傷を小さくすることができる。
【0015】
請求項
4に記載の発明は、請求項
3に記載のスネアワイヤにおいて、連接部は、連接部と押圧部とが鈍角をなすように、押圧部に連接され、引張部材の引っ掛け部との接触部分は、R形状を有していることを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、連接部と押圧部とが鈍角をなすため、引張部材が押圧部と接触して受ける損傷を小さくすることができる。また、引張部材の引っ掛け部との接触部分がR形状を有しているため、引張部材が引っ掛け部と接触して受ける損傷も小さくすることができる。
【0017】
請求項
5に記載の発明は、請求項1〜
4のうちいずれか一項に記載のスネアワイヤにおいて、取付具は、更に、接合部の先端に延設部を有し、延設部は、引っ掛け部に引っ掛けられた引張部材と接触可能な位置に設けられると共に、引っ掛け部に引っ掛けられた引張部材と同方向に延びていることを要旨とする。
【0018】
この構成によれば、延設部は、引っ掛け部に引っ掛けられた引張部材により上方に押圧される。これにより、接合部の全体が、引張部材によって、延設部と共に、ドラムヘッドに向けて上方に押圧される。このため、響線の端部をドラムヘッドから浮き上がらせずにドラムヘッドに密着させることが、更に容易になる。
【0019】
請求項
6に記載の発明は、請求項1〜
5のうちいずれか一項に記載の発明において、引張部材は、ストラップ又はコードであり、取付具は、ストラップが通されるストラップ孔と、コードが通されるコード孔とを有し、ストラップ孔及びコード孔は、引っ掛け部の共通の面に開口していることを要旨とする。
【0020】
この構成によれば、ストラップの引っ掛け部との接触位置を、コードの引っ掛け部との接触位置と、ほぼ同じ位置に設定することができる。これにより、引張部材がストラップ及びコードのいずれであっても、響線の端部をドラムヘッドから浮き上がらせずに、ドラムヘッドに密着させることができる。よって、ストラップ及びコードの両方に適用可能なスネアワイヤを提供することができる。
【0021】
請求項
7に記載の発明は、請求項
6に記載の発明において、押圧部は、引っ掛け部に引っ掛けられたストラップと当接する平板部と、引っ掛け部に引っ掛けられたコードと嵌合する嵌合凹部とを備え、嵌合凹部は、コードの直径と対応する寸法だけ平板部を部分的に凹ませてなることを要旨とする。
【0022】
この構成によれば、引っ掛け部に引っ掛けられたストラップ又はコードにより押圧部が押圧される場合、ストラップは平板部に当接され、コードは嵌合凹部と嵌合する。これにより、引張部材がストラップ及びコードのいずれであっても、引張部材を含む押圧部の高さを同じにすることができる。このため、引張部材がストラップ及びコードのいずれであっても、響線の端部をドラムヘッドから浮き上がらせずにドラムヘッドに密着させることが、容易になる。
【0023】
請求項
8に記載の発明は、請求項1〜
7のうちいずれか一項に記載の発明において、取付具は、引っ掛け部と押圧部との間の距離を変更可能に構成されていることを要旨とする。
【0024】
この構成によれば、引っ掛け部と押圧部との間の距離を変更することで、引っ掛け部に引っ掛けられた引張部材から押圧部に力が伝わる力を調整することができ、取付具を回転させる力を調整することができる。これにより、接合部に接合された響線がドラムヘッドに押し当てられる力を、適切な大きさに調節することができる。よって、演奏者の好みに応じて、スネアドラム独特の音や響きを調整することができる。
【0025】
請求項
9に記載の発明は、円筒状のシェルと、シェルの上下の開口端をそれぞれ閉塞する一対のドラムヘッドと、響線と響線の両端部に固定された一対の取付具とを有するスネアワイヤとを備えたスネアドラムであって、取付具は、響線が接合される接合部と、引張部材が引っ掛けられる引っ掛け部と、引っ掛け部に引っ掛けられた引張部材と接触してドラムヘッドから離間する方向に押圧される押圧部とを備え、引っ掛け部は、ドラムヘッドの中心と押圧部との間に配置され、かつ接合部の下方に配置され
、引張部材の引っ掛け部との接触位置が、接合部の下方に配置されていることを要旨とする。
【0026】
この構成によれば、請求項1記載の発明と同等の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ドラムヘッドに響線の端部を密着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態に係るスネアワイヤがストラップを用いて取り付けられたスネアドラムの部分斜視図。
【
図2】スネアワイヤがコードを用いて取り付けられたスネアドラムの部分斜視図。
【
図3】ドラムヘッドから見た場合のスネアワイヤの平面図。
【
図4】ドラムヘッドと反対側から見た場合のスネアワイヤの平面図。
【
図6】ストラップを用いてスネアワイヤが取り付けられたスネアドラムの部分断面図。
【
図7】コードを用いてスネアワイヤが取り付けられたスネアドラムの部分断面図。
【
図8】別例のスネアワイヤが取り付けられたスネアドラムの部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明のスネアワイヤ10を具体化した一実施形態について
図1〜
図7を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、スネアドラム1は、円筒状のシェル2と、シェル2の上下の開口端を閉塞する一対のドラムヘッドと、スネアワイヤ10とを備えている。スネアドラム1の演奏時、スネアワイヤ10は、図示しない上側のドラムヘッドが叩打されて振動すると共に、下側のドラムヘッド4との接触及びドラムヘッド4からの離間を繰り返す。こうして、スネアドラム独特の響きを得ることができる。
図1及び
図2は、便宜上、下側のドラムヘッド4を上向きにしてそれぞれ示している。
【0030】
スネアワイヤ10は、
図1に示すストラップ5又は
図2に示すコード6等の引張部材を用いて、ドラムヘッド4の表面上に張設されている。スネアドラム1は、更に、シェル2の外周面に固定されかつストラップ5又はコード6が保持される保持具7を備えている。スネアワイヤ10は、保持具7の図示しないレバーの切換操作によって、ドラムヘッド4に接触した位置と、ドラムヘッド4から離間した位置とに選択的に切換可能である。
【0031】
図3及び
図4に示すように、スネアワイヤ10は、平行に配置した複数の響線11と、複数の響線11の両端部に固定された一対の取付具12とを備えている。取付具12は、スネアワイヤ10の長手方向と直交する方向に延びる長尺状の部品である。取付具12は、複数の響線11が溶接される接合部20と、ストラップ5又はコード6が引っ掛けられる引っ掛け部23と、ストラップ5が通される2つのストラップ孔21a,21bと、コード6が通される一対のコード孔22とを備えている。
【0032】
図5に示すように、取付具12は、ストラップ孔21a,21b及びコード孔22と共に所定の形状に打ち抜かれた一枚の金属板材を、所定の形状に折り曲げて形成されている。取付具12は、スネアワイヤ10の長手方向と直交する方向から見て、断面略U字状に折り曲げられている。取付具12は、取付具12に力が作用していない状態で、接合部20と引っ掛け部23とがそれらの連結部を中心に少し開いた形状を有している。
【0033】
ストラップ孔21a,21bは、大きさの異なる2つの長四角孔からなる。相対的に小さいストラップ孔が第1ストラップ孔21aであり、相対的に大きいストラップ孔が第2ストラップ孔21bである。第2ストラップ孔21bは、一対のコード孔22と共に、引っ掛け部23の共通の面上に開口している。一対のコード孔22のそれぞれは、同一寸法及び同一形状の丸孔からなる。
図4に示すように、スネアワイヤ10の長手方向で見た場合、各コード孔22は、第2ストラップ孔21bとほぼ同位置に配置されている。具体的には、コード孔22の中心位置は、第2ストラップ孔21bの中央と、第2ストラップ孔21bの響線11に近い長辺24との間に配置されている。
【0034】
図6及び
図7に示すように、取付具12は、更に、接合部20の先端から斜め上方に延びる延設部20aを備えている。延設部20aは、接合部20に隣接する平板状の部分であり、取付具12の両端部のうちの一方を形成している。延設部20aは、引っ掛け部23に引っ掛けられたストラップ5やコード6とほぼ同方向に延びている。また、延設部20aは、引っ掛け部23に引っ掛けられたストラップ5やコード6と接触可能な位置に設けられている。
【0035】
引っ掛け部23は、接合部20の下方に配置される断面L字状の部分であり、取付具12の中央部分を形成している。引っ掛け部23は、接合部20の基端から下方に延びる第1引っ掛け部23aと、第1引っ掛け部23aから接合部20と平行に延びる第2引っ掛け部23bとからなる。第1ストラップ孔21aは、第1引っ掛け部23aの中央に形成されている。第2ストラップ孔21bは、一対のコード孔22と共に、第2引っ掛け部23bに形成されている。第2ストラップ孔21bは、第2引っ掛け部23bの中央に形成されることで、取付具12の長手方向で見た場合に第1ストラップ孔21aと同位置に配置されている。
【0036】
スネアワイヤ10の長手方向で見た場合、引っ掛け部23は、ドラムヘッド4の中心Oと、後述する押圧部25との間に配置されている。具体的には、引っ掛け部23にストラップ5が引っ掛けられて接触する接触位置と、引っ掛け部23にコード6が引っ掛けられて接触する接触位置とが、接合部20の下方に配置されている。
図1及び
図6に示すように、ストラップ5は、第2引っ掛け部23bにおける第1ストラップ孔21aと第2ストラップ孔21bとの間の部分に引っ掛けられる。
図2及び
図7に示すように、コード6は、第2引っ掛け部23bにおける一対のコード孔22間の部分に引っ掛けられる。ここで、第1ストラップ孔21aが第1引っ掛け部23aに形成されているため、ストラップ5は、コード6よりも、ドラムヘッド4の中心Oに近い位置で引っ掛け部23に引っ掛けられている。
【0037】
図5、
図6及び
図7に示すように、引っ掛け部23にストラップ5が引っ掛けられる部分は、第1引っ掛け部23aにおいて第1ストラップ孔21aが形成される部分を外側に折り曲げて形成されている。即ち、引っ掛け部23にストラップ5が引っ掛けられる部分は、第2引っ掛け部23b上の第1ストラップ孔21aと第2ストラップ孔21bとの間の部分に金属板材を重ね合わせることで、平面視で略長方形状に形成されている。引っ掛け部23にコード6が引っ掛けられる部分は、第2引っ掛け部23bにおいてコード孔22が形成される部分を外側に折り曲げて形成されている。即ち、引っ掛け部23にコード6が引っ掛けられる部分は、第2引っ掛け部23b上のコード孔22の周縁部に金属板材を重ね合わせることで、平面視で略環状に形成されている。引っ掛け部23にストラップ5が引っ掛けられて接触する部分、及び引っ掛け部23にコード6が引っ掛けられて接触する部分はいずれも、金属板材が180°折り曲げられることで、R形状を有している。
【0038】
取付具12は、更に、引っ掛け部23の端部から斜め上方に延びる連接部23cと、連接部23cの先端から水平方向に延びる押圧部25とを備えている。連接部23cは、延設部20aと略平行に延びると共に、押圧部25と引っ掛け部23とを繋ぐ部分を形成している。連接部23cは、引っ掛け部23に引っ掛けられたストラップ5やコード6よりも下方に配置されている。連接部23cは、連接部23cと押圧部25とが鈍角をなすように、押圧部25に連接されている。第2ストラップ孔21bは、第2引っ掛け部23bと連接部23cとに跨って形成されている。
【0039】
押圧部25は、引っ掛け部23に引っ掛けられたストラップ5やコード6により押圧される部分であり、取付具12の両端部のうちの他方を形成している。押圧部25は、引っ掛け部23に引っ掛けられたストラップ5やコード6と接触可能な位置に設けられている。押圧部25は、引っ掛け部23に引っ掛けられたストラップ5又はコード6によって、ドラムヘッド4から離間する方向に押圧される。
【0040】
図4及び
図5に示すように、押圧部25は、引っ掛け部23に引っ掛けられたストラップ5と当接する平板部26と、引っ掛け部23に引っ掛けられたコード6と嵌合する一対の嵌合凹部27とを備えている。各嵌合凹部27は、一対のコード孔22のそれぞれとほぼ同位置に形成されている。具体的には、各嵌合凹部27は、コード孔22を通り
図2に示す保持具7へ引っ張られているコード6を真っ直ぐに案内するように、一対のコード孔22のそれぞれとほぼ対応する位置に形成されている。各嵌合凹部27は、平板部26の一部をストラップ5又はコード6により押圧される方向に凹ませて、それぞれ形成されている。各嵌合凹部27は、コード6の直径と対応する深さを有している。
図6及び
図7に示すように、各嵌合凹部27の深さは、ストラップ5を重ね合わせた厚さをコード6の直径から差し引いた値に設定されている。これにより、ストラップ5を用いてスネアワイヤ10をドラムヘッド4に取り付けた
図6に示す状態と、コード6を用いてスネアワイヤ10をドラムヘッド4に取り付けた
図7に示す状態とで、ストラップ5又はコード6を含む押圧部25の高さHが同じになる。その結果、ストラップ5を用いた
図6に示す状態と、コード6を用いた
図7に示す状態とで、ドラムヘッド4に対する取付具12の傾きが同じになる。よって、スネアワイヤ10にストラップ5及びコード6のいずれを用いても、響線11の端部をドラムヘッド4から浮き上がらせずに密着させることができる。
【0041】
次に、上記のスネアワイヤ10の作用について、
図6及び
図7を参照して説明する。
スネアドラム1の演奏時、スネアワイヤ10をドラムヘッド4に接触させるため、ストラップ5又はコード6が、引っ掛け部23に引っ掛けられた状態で、
図6及び
図7の矢印P方向へ引っ張られる。すると、
図6及び
図7の矢印Qに示すように、押圧部25は、引っ掛け部23に引っ掛けられたストラップ5又はコード6によって、ドラムヘッド4から離れる方向である下方に押圧される。これにより、取付具12の全体が
図6及び
図7の時計回りに回転することで、押圧部25と反対側の接合部20がドラムヘッド4に向けて上方へと移動する。こうして、接合部20に接合された響線11が、ドラムヘッド4に押し当てられる。
【0042】
本実施形態によれば、引っ掛け部23が、ドラムヘッド4の中心Oと押圧部25との間に配置されると共に、接合部20の下方に配置されている。引っ掛け部23、押圧部25及び接合部20を上記のように配置することで、ストラップ5又はコード6が矢印P方向へ引っ張られたときに発生する張力を、押圧部25を押圧する矢印Q方向の力として、効率良く利用することができる。これにより、ストラップ5又はコード6により押圧部25を押圧する力が大きくなり、取付具12を回転させる力も大きくなる。よって、響線11をドラムヘッド4に押し当てる力が大きくなる。
【0043】
また、このとき、延設部20aは、引っ掛け部23に引っ掛けられたストラップ5又はコード6により上方に押圧される。これにより、接合部20の全体が、ストラップ5又はコード6によって、延設部20aと共に、ドラムヘッド4に向けて上方に押圧される。よって、取付具12を回転させる力が大きくなることに加え、延設部20aがストラップ5又はコード6により直接押圧されることで、響線11をドラムヘッド4に押し当てる力が更に大きくなる。
【0044】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)引っ掛け部23が、ドラムヘッド4の中心Oと押圧部25との間に配置されると共に、接合部20の下方に配置されている。この構成によれば、引っ掛け部23をドラムヘッド4の中心Oと押圧部25との間に配置し、かつ接合部20の下方に配置することで、押圧部25は、引っ掛け部23に引っ掛けられたストラップ5又はコード6により下方に押圧される。これにより、取付具12の全体が回転し、引っ掛け部23の上方に位置する接合部20が、ドラムヘッド4に向けて上方へと移動する。こうして、接合部20に接合された響線11が、ドラムヘッド4に押し当てられる。このとき、引っ掛け部23を接合部20の下方に配置したことで、取付具12を回転させる力が大きくなり、響線11をドラムヘッド4に押し当てる力も大きくなる。このため、響線11の端部をドラムヘッド4から浮き上がらせずに、ドラムヘッド4に密着させることができる。よって、ドラムヘッド4に響線11の全体を密着させることができる。
【0045】
(2)引っ掛け部23にストラップ5が接触する接触位置と、引っ掛け部23にコード6が接触する接触位置とが、接合部20の下方に配置されている。この構成によれば、ストラップ5又はコード6の引っ掛け部23との接触位置を接合部20の下方に配置することで、引っ掛け部23に引っ掛けられたストラップ5又はコード6から押圧部25に力が伝わり易くなる。このため、取付具12を回転させる力がより大きくなる。このため、響線11をドラムヘッド4に押し当てる力がより大きくなる。よって、響線11の端部をドラムヘッド4から浮き上がらせずにドラムヘッド4に密着させることが、容易になる。
【0046】
(3)取付具12は、スネアワイヤ10の長手方向と直交する方向から見て、断面略U字状に折り曲げられている。この構成によれば、取付具12は、断面U字状に形成されることで、その形状に起因した弾性力を有することができる。このため、響線11をドラムヘッド4に押し当てる力として、取付具12の弾性力を利用することができる。これにより、接合部20に溶接された響線11を、ドラムヘッド4に食い込ませずにかつ均一に密着させることができる。
【0047】
(4)連接部23cは、引っ掛け部23に引っ掛けられたストラップ5やコード6よりも下方に配置されている。この構成によれば、引っ掛け部23に引っ掛けられたストラップ5又はコード6よりも下方に連接部23cを配置することで、ストラップ5又はコード6を連接部23cに接触させないようにすることができる。これにより、ストラップ5又はコード6と取付具12との接触箇所を、引っ掛け部23と押圧部25とに限定することができる。このため、例えば、ストラップ5又はコード6が皮革、樹脂、繊維等の軟らかい材料からなる場合であっても、ストラップ5やコード6が取付具12と接触して受ける損傷を小さくすることができる。
【0048】
(5)連接部23cは、連接部23cと押圧部25とが鈍角をなすように、押圧部25に連接されている。また、引っ掛け部23にストラップ5が引っ掛けられて接触する部分、及び引っ掛け部23にコード6が引っ掛けられて接触する部分はいずれも、R形状を有している。この構成によれば、連接部23cと押圧部25とが鈍角をなすため、ストラップ5又はコード6が押圧部25と接触して受ける損傷を小さくすることができる。また、ストラップ5又はコード6の引っ掛け部23との接触部分がR形状を有しているため、ストラップ5又はコード6が引っ掛け部23と接触して受ける損傷も小さくすることができる。
【0049】
(6)取付具12は、更に、接合部20の先端から斜め上方に延びる延設部20aを備えている。この構成によれば、延設部20aは、引っ掛け部23に引っ掛けられたストラップ5又はコード6により上方に押圧される。これにより、接合部20の全体が、ストラップ5又はコード6によって、延設部20aと共に、ドラムヘッド4に向けて上方に押圧される。このため、響線11の端部をドラムヘッド4から浮き上がらせずにドラムヘッド4に密着させることが、更に容易になる。
【0050】
(7)第1ストラップ孔21aは、コード孔22と共に、引っ掛け部23の共通の面上に開口している。この構成によれば、延設部20aは、引っ掛け部23に引っ掛けられたストラップ5又はコード6により上方に押圧される。これにより、接合部20の全体が、ストラップ5又はコード6によって、延設部20aと共に、ドラムヘッド4に向けて上方に押圧される。このため、響線11の端部をドラムヘッド4から浮き上がらせずにドラムヘッド4に密着させることが、更に容易になる。
【0051】
(8)押圧部25は、引っ掛け部23に引っ掛けられたストラップ5と当接する平板部26と、引っ掛け部23に引っ掛けられたコード6と嵌合する一対の嵌合凹部27とを備えている。この構成によれば、引っ掛け部23に引っ掛けられたストラップ5又はコード6により押圧部25が押圧される場合、ストラップ5は平板部26に当接され、コード6は嵌合凹部27と嵌合する。これにより、ストラップ5又はコード6のいずれであっても、ストラップ5又はコード6を含む押圧部25の高さを同じにすることができる。このため、ストラップ5又はコード6のいずれであっても、響線11の端部をドラムヘッド4から浮き上がらせずにドラムヘッド4に密着させることが、容易になる。
【0052】
なお、本実施形態は、以下のように変更してもよい。
・
図8に示すように、引っ掛け部83と押圧部85との間の距離を変更可能に、取付具82を構成してもよい。この構成によれば、引っ掛け部83と押圧部85との間の距離を、距離d1と距離d2との間で変更することができる。これにより、引っ掛け部83に引っ掛けられたストラップ5又はコード6から押圧部85に力が伝わる力を調整することができ、取付具82を回転させる力を調整することができる。これにより、接合部80に溶接された響線11がドラムヘッド4に押し当てられる力を、適切な大きさに調節することができる。よって、演奏者の好みに応じて、スネアドラム独特の音や響きを調整することができる。
【0053】
・本実施形態において、ドラムヘッド4の中心Oと押圧部25との間でかつ接合部20の下方であれば、引っ掛け部23を任意の位置に配置してもよい。例えば、スネアワイヤ10の長手方向で見た場合、接合部20と同じ位置以外に、ドラムヘッド4の中心Oと接合部20との間に、引っ掛け部23にストラップ5が接触する接触位置や、引っ掛け部23にコード6が接触する接触位置を配置してもよい。
【0054】
・本実施形態において、ドラムヘッド4の中心Oと押圧部25との間に接合部20と引っ掛け部23とが配置され、かつ接合部20の下方に引っ掛け部23が配置されるのであれば、取付具12を任意の形状に形成してもよい。
【0055】
・本実施形態において、連接部23cと押圧部25との連接部分は、鈍角を有する形状以外に、平面形状やR形状を有していてもよい。
・本実施形態において、接合部20の先端から、延設部20aを省略してもよい。
【0056】
・本実施形態において、第2ストラップ孔21bとコード孔22とは、引っ掛け部23の共通の面上に開口していなくてもよい。例えば、第1及び第2ストラップ孔21a,21bの両方を第1引っ掛け部23aに形成し、コード孔22を第2引っ掛け部23bに形成してもよい。
【0057】
・本実施形態において、押圧部25から、一対の嵌合凹部27を省略してもよい。この場合、引っ掛け部23に引っ掛けられたコード6は、平板部26に当接される。
・本実施形態において、スネアワイヤ10は、ストラップ5及びコード6の両方に適用可能なスネアワイヤであったが、第1及び第2ストラップ孔21a,21b及びコード孔22のいずれかを削除して、ストラップ専用のスネアワイヤ又はコード専用のスネアワイヤであってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…スネアドラム、4…ドラムヘッド、5…ストラップ、6…コード、10…スネアワイヤ、11…響線、12…取付具、20…接合部、20a…延設部、21a…第1ストラップ孔、21b…第2ストラップ孔、25…押圧部、23c…連接部、26…平板部、27…嵌合凹部。