特許第6556700号(P6556700)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556700アミノアセトニトリル化合物を有効成分として含有する抗癌剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556700
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】アミノアセトニトリル化合物を有効成分として含有する抗癌剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/277 20060101AFI20190729BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   A61K31/277
   A61P35/00
   A61P35/02
【請求項の数】12
【全頁数】81
(21)【出願番号】特願2016-513935(P2016-513935)
(86)(22)【出願日】2014年9月12日
(65)【公表番号】特表2016-531841(P2016-531841A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(86)【国際出願番号】JP2014074764
(87)【国際公開番号】WO2015037747
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2017年8月17日
(31)【優先権主張番号】特願2013-190509(P2013-190509)
(32)【優先日】2013年9月13日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513232554
【氏名又は名称】ピットニー ファーマシューティカル ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】安藤 亘治
(72)【発明者】
【氏名】三瓶 修
(72)【発明者】
【氏名】栂 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】モリス、デビッド ローソン
(72)【発明者】
【氏名】アストン、ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩二
(72)【発明者】
【氏名】日野 智和
【審査官】 参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−026392(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01445251(EP,A1)
【文献】 特表2004−521097(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/043654(WO,A1)
【文献】 国際公開第2003/004474(WO,A1)
【文献】 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2008年,Vol.18,pp.2935-2938
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/277
A61P 35/00
A61P 35/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】
〔式中、Rは、
(a1) 水素原子、
(a2) (C−C)アルキル基、
(a3) (C−C)アルケニル基、
(a4) (C−C)アルキニル基、又は
(a5) (C−C)シクロアルキル基を示し;
、R、及びRは、同一又は異なってもよく、それぞれ
(b1) 水素原子、
(b2) (C−C)アルキル基、又は
(b3) (C−C)シクロアルキル基を示し、又は
(b4) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成してもよく、該(C
−C)アルキレン基は、同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基、及び(C−C)アルコキシ基から選択される1以上の置換基を鎖上に有していてもよく;
及びRは、同一又は異なってもよく、それぞれ
(c1) 水素原子、
(c2) ハロゲン原子、
(c3) (C−C)アルキル基、
(c4) (C−C)シクロアルキル基、又は
(c5) (C1−C)アルコキシ基
を示し、或いは
(c6) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成してもよく;
mは、0又は1を示し;
Rは、
(d1) フェニル基、
(d2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(f) (C−C)アルケニル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(k) ハロ(C−C)アルキニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(l1) (C−C)アルキルスルフィニル基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(n1) ハロ(C−C)アルキルスルフィニル基、
(n2) ハロ(C−C)アルキルスルホニル基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(o1) フェニル基、
(o2) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、
(ii) シアノ基、
(iii) ニトロ基、
(iv) (C−C)アルキル基、及び
(v) ハロ(C−C)アルキル基、
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(p) フェノキシ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) ピリジル(C−C)アルキニル基、
(s) (C−C)アルキルカルボニル基、
(t) (C−C)アルコキシカルボニル基、
(u) アミノカルボニル基、
(v) (C−C)アルキルカルボニルアミノ基、
(w)(C−C)アルコキシカルボニルアミノ基、
(x) ジ(C−C)アルキルアミノ基(アルキル基は、同一又は異なってもよい。)、並びに
(y)(C−C)アルキルアミノカルボニルアミノ基、
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(d3) ナフチル基、
(d4) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜7の置換基を環上に有するナフチル基、
(d5)(C−C12)アルキル基、
(d6) ピリジル基、
(d7) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、
(d8) ピラジニル基、
(d9) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラジニル基
(d10) チアゾリル基、
(d11) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜2の置換基を環上に有するチアゾリル基、
(d12) ピラゾリル基、或いは
(d13) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基を示し;
Arは、
(e1) フェニル基、
(e2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(f) (C−C)アルケニル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(k) ハロ(C−C)アルキニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m) 1又は2以上のハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) 水酸基、
(s) フェニル基、並びに
(t) ハロ(C−C)アルキルスルホニルアミノ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(e3) ナフチル基、
(e4) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜7の置換基を環上に有するナフチル基、
(e5) ピリジル基、
(e6) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、
(f) ハロ(C−C)アルキルチオ基、及び
(g) (C−C)アルコキシ基、
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、
(e7)ピラゾリル基、
(e8) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、
(f) (C−C)アルコキシカルボニル基
(g) (C−C)アルコキシ基、
(h) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(i) (C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ基、
(j) シクロ(C−C)アルキル基、
(k) フェノキシ基、及び
(l) フェニル基、
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基、或いは
(e9) 下記 Q-1〜Q-17から選択される複素環基
【化2】
(ここで、XおよびYは、同一又は異なってもよく、それぞれ、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) シクロ(C−C)アルキル基、
(f) ハロ(C−C)アルキル基、
(g) (C−C)アルコキシ基、
(h) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(i) (C−C)アルキルチオ基、
(j) フェニル基、
(n) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、
(ii)(C−C)アルキル基、
(iii) ハロ(C−C)アルキル基、及び
(iv)(C−C)アルコキシ基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するフェニル基、
(m) ピリジル基
(o) (C−C)アルキルカルボニル基、
(p) (C−C)アルコキシカルボニル基、
(q) モノ(C−C)アルキルアミノ基、
(r) (C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノ基、
(s) ジ(C−C)アルキル(アルキル基は、同一又は異なってもよい。)アミノ基、
(t) (C−C)アルコキシカルボニルアミノ基、
(u) モノフェニルアミノ基、
(v) モルホリノ基、又は
(w) ピペリジノ基を示し、
●は結合位置を示し、
nは0から3の整数を示す。)を示し;
Wは、−O−、−S−、−SO−、又は−N(R)−(式中、Rは水素原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基を示す。)を示し;並びに
(i) Arは、ハロ(C−C)アルキルチオ基及びハロ(C−C)アルキルスルホニル基から選択される1の置換基で置換されたフェニル基を示すか(但し、Arが、1のハロ(C−C)アルキルチオ基で置換されたフェニル基である場合は、Rは、1以上の(d2)(a)又は(d2)(e)基で置換されたフェニル基を示さない。);あるいは
(ii) Rは、ハロ(C−C)アルキルチオ基、ハロ(C−C)アルキルスルフィニル基、及びハロ(C−C)アルキルスルホニル基から選択される1の置換基で置換されたフェニル基を示す。〕
で表わされるアミノアセトニトリル化合物
(但し、
N−[(1S)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[(1R)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[2−(2−クロロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2,5−ジクロロフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−5−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−ブロモ−4,5−ジフルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、及び
N−[1−シアノ−2−(4,5−ジフルオロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド
を除く)、又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗癌剤。
【請求項2】
一般式(I)
【化3】
〔式中、Rは、
(a1) 水素原子、
(a2) (C−C)アルキル基、
(a3) (C−C)アルケニル基、
(a4) (C−C)アルキニル基、又は
(a5) (C−C)シクロアルキル基を示し;
、R、及びRは、同一又は異なってもよく、それぞれ
(b1) 水素原子、
(b2) (C−C)アルキル基、又は
(b3) (C−C)シクロアルキル基を示し、或いは
(b4) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成してもよく、該(C−C)アルキレン基は、同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基、及び(C−C)アルコキシ基から選択される1以上の置換基を鎖上に有していてもよく;
及びRは、同一又は異なってもよく、それぞれ
(c1) 水素原子、
(c2) ハロゲン原子、
(c3) (C−C)アルキル基、又は
(c4) (C−C)シクロアルキル基を示し、或いは
(c6) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成してもよく;
mは、0又は1を示し;
Rは、
(d1) フェニル基、
(d2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(f) (C−C)アルケニル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(k) ハロ(C−C)アルキニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m)(C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、並びに
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(d3) ナフチル基、
(d4) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜7の置換基を環上に有するナフチル基、或いは
(d5)(C−C12)アルキル基を示し;
Arは、
(e1) フェニル基、
(e2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(f) (C−C)アルケニル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(k) ハロ(C−C)アルキニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m) 1以上のハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) 水酸基、
(s) フェニル基、並びに
(t) ハロ(C−C)アルキルスルホニルアミノ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(e3) ナフチル基、
(e4) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜7の置換基を環上に有するナフチル基、
(e5) ピリジル基、
(e6) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、及び
(f) ハロ(C−C)アルキルチオ基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、
(e7)ピラゾリル基、或いは
(e8) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、及び
(f) (C−C)アルコキシカルボニル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基を示し;
Wは、−O−、−S−、−SO−、又は−N(R)−(式中、Rは水素原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基を示す。)を示し;並びに
(i) Arは、ハロ(C−C)アルキルチオ基及びハロ(C−C)アルキルスルホニル基から選択される1の置換基で置換されたフェニル基を示すか(但し、Arが、1のハロ(C−C)アルキルチオ基で置換されたフェニル基である場合は、Rは、1以上の(d2)(a)又は(d2)(e)基で置換されたフェニル基を示さない。);あるいは
(ii) Rは、ハロ(C−C)アルキルチオ基、ハロ(C−C)アルキルスルフィニル基、及びハロ(C−C)アルキルスルホニル基から選択される1の置換基で置換されたフェニル基を示す。〕
で表わされるアミノアセトニトリル化合物
(但し、
N−[(1S)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[(1R)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[2−(2−クロロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2,5−ジクロロフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−5−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−ブロモ−4,5−ジフルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、及び
N−[1−シアノ−2−(4,5−ジフルオロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド
を除く)、又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗癌剤。
【請求項3】
が、
(a1) 水素原子、
(a2)(C−C)アルキル基、又は
(a4)(C−C)アルキニル基
を示し;
、R、及びRが、同一又は異なってもよく、それぞれ
(b1) 水素原子;
(b2) (C−C)アルキル基、又は
(b3) (C−C)シクロアルキル基を示し、或いは
(b4) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成してもよく、該(C−C)アルキレン基は、同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基、及び(C−C)アルコキシ基から選択される1以上の置換基を鎖上に有していてもよく;
及びRが、同一又は異なってもよく、それぞれ
(c1) 水素原子、
(c2) ハロゲン原子、又は
(c5) (C−C)アルコキシ基を示し、或いは
(c6) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成してもよく;
Rが、
(d1) フェニル基、
(d2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(l1) (C−C)アルキルスルフィニル基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(n1) ハロ(C−C)アルキルスルフィニル基、
(n2) ハロ(C−C)アルキルスルホニル基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(o1) フェニル基、
(o2) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、
(ii) シアノ基、
(iii) ニトロ基、
(iv) (C−C)アルキル基、及び
(v) ハロ(C−C)アルキル基、
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(p) フェノキシ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) ピリジル(C−C)アルキニル基、
(s) (C−C)アルキルカルボニル基、
(t) (C−C)アルコキシカルボニル基、
(u) アミノカルボニル基、
(v) (C−C)アルキルカルボニルアミノ基、
(w)(C−C)アルコキシカルボニルアミノ基、
(x) ジ(C−C)アルキルアミノ基(アルキル基は、同一又は異なってもよい。)、並びに
(y)(C−C)アルキルアミノカルボニルアミノ基、
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(d3) ナフチル基、
(d6) ピリジル基、
(d7) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、
(d9) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラジニル基
(d11) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜2の置換基を環上に有するチアゾリル基、或いは
(d13) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基を示し;
Arが、
(e1) フェニル基、
(e2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(f) (C−C)アルケニル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(k) ハロ(C−C)アルキニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m) 1以上のハロゲン原子により置換されていてもよい(C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) 水酸基、
(s) フェニル基、並びに
(t) ハロ(C−C)アルキルスルホニルアミノ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(e3) ナフチル基、
(e5) ピリジル基、
(e6) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、
(f) ハロ(C−C)アルキルチオ基、及び
(g) (C−C)アルコキシ基、
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、
(e8) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、
(f) (C−C)アルコキシカルボニル基
(g) (C−C)アルコキシ基、
(h) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(i) (C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ基、
(j) シクロ(C−C)アルキル基、
(k) フェノキシ基、及び
(l) フェニル基、
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基、或いは
(e9) 下記 Q-1〜Q-17から選択される複素環基
【化4】
(ここで、XおよびYは、同一又は異なってもよく、それぞれ、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) シクロ(C−C)アルキル基、
(f) ハロ(C−C)アルキル基、
(g) (C−C)アルコキシ基、
(h) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(i) (C−C)アルキルチオ基、
(j) フェニル基、
(n) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、
(ii)(C−C)アルキル基、
(iii) ハロ(C−C)アルキル基、及び
(iv)(C−C)アルコキシ基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するフェニル基、
(m) ピリジル基
(o) (C−C)アルキルカルボニル基、
(p) (C−C)アルコキシカルボニル基、
(q) モノ(C−C)アルキルアミノ基、
(r) (C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノ基、
(s) ジ(C−C)アルキル(アルキル基は、同一又は異なってもよい。)アミノ基、
(t) (C−C)アルコキシカルボニルアミノ基、
(u) モノフェニルアミノ基、
(v) モルホリノ基、又は
(w) ピペリジノ基を示し、
●が結合位置を示し、
nが0から3の整数を示す。)を示し;並びに
Wが、−O−、−S−、−SO−、又は−N(R)−(式中、Rが(C−C)アルキル基を示す。)を示す、
請求項1記載の抗癌剤。
【請求項4】
mが1である、請求項1又は2に記載の抗癌剤。
【請求項5】
mが0のとき、
Arが、
(e2) 同一又は異なってもよく、
(c) ニトロ基、
(e') ハロ(C−C)アルキル基、
(f) (C−C)アルケニル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(i') ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(k) ハロ(C−C)アルキニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n') ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) 水酸基、
(s) フェニル基、並びに
(t) ハロ(C−C)アルキルスルホニルアミノ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(e3) ナフチル基、
(e4) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜7の置換基を環上に有するナフチル基、
(e5) ピリジル基、
(e6) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、及び
(f) ハロ(C−C)アルキルチオ基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、
(e7)ピラゾリル基、或いは
(e8) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、及び
(f) (C−C)アルコキシカルボニル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基である、
請求項1又は2に記載の抗癌剤。
【請求項6】
mが0のとき、
Rが、
(d2) 同一又は異なってもよく、
(c) ニトロ基、
(e') ハロ(C−C)アルキル基、
(f) (C−C)アルケニル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(k) ハロ(C−C)アルキニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、並びに
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(d3) ナフチル基、
(d4) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜7の置換基を環上に有するナフチル基、或いは
(d5)(C−C12)アルキル基である、
請求項1又は2に記載の抗癌剤。
【請求項7】
mが0のとき、
が、
(a2) (C−C)アルキル基、
(a3) (C−C)アルケニル基、
(a4) (C−C)アルキニル基、又は
(a5) (C−C)シクロアルキル基である、
請求項1又は2に記載の抗癌剤。
【請求項8】
mが0のとき、
が、
(b2) (C−C)アルキル基、又は
(b3) (C−C)シクロアルキル基であるか、或いは
(b4) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成する、請求項1又は2に記載の抗癌剤。
【請求項9】
が、
(a1) 水素原子、又は
(a4) (C−C)アルキニル基
を示し;
、R、及びRが、同一又は異なってもよく、それぞれ
(b1) 水素原子、又は
(b2) (C−C)アルキル基を示すか、或いは
(b4) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成してもよく;
及びRが、同一又は異なってもよく、それぞれ
(c1) 水素原子を示すか、又は
(c6) R及びRが結合して(C−C)アルキレン基を形成してもよく;
Rが、
(d1) フェニル基、
(d2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、並びに
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(d3) ナフチル基、或いは
(d5)(C-C12)アルキル基を示し;
Arが、
(e1) フェニル基、
(e2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) 水酸基、
(s) フェニル基、並びに
(t) ハロ(C−C)アルキルスルホニルアミノ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(e3) ナフチル基、
(e5) ピリジル基、
(e6) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、及び
(f) ハロ(C−C)アルキルチオ基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、或いは
(e8) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、及び
(f) (C−C)アルコキシカルボニル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基を示し;
Wが、−O−を示す、請求項1又は2に記載の抗癌剤。
【請求項10】
癌が、大腸癌、肺癌、中皮腫、膵臓癌、胃癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肝臓癌、甲状腺癌、腎臓癌、子宮癌、脳腫瘍、黒色腫、肉腫、膀胱癌、血液癌、頭頸部癌、頸癌、食道癌、胆嚢癌、脾臓癌、精巣癌、末梢神経癌、及び皮膚癌から選ばれる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の抗癌剤。
【請求項11】
癌が、脳腫瘍、末梢神経癌、及び卵巣癌から選ばれる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の抗癌剤。
【請求項12】
抗癌剤製造のための、請求項1又は2の式(I)で表わされるアミノアセトニトリル化合物
(但し、
N−[(1S)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[(1R)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[2−(2−クロロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2,5−ジクロロフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−5−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−ブロモ−4,5−ジフルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、及び
N−[1−シアノ−2−(4,5−ジフルオロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド
を除く)、又はその薬理学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノアセトニトリル化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗癌剤、アミノアセトニトリル化合物又はその薬理学的に許容される塩を使用する癌の治療方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種のアミノアセトニトリル化合物が、特許文献1及び2に、それぞれ農園芸用殺虫剤、及び外部寄生虫の薬剤として有用であることが記載されているが、何れの先行技術文献にも、抗癌作用に関することは、示唆も開示もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−026392号公報
【特許文献2】国際公開第2005/044784号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
癌(悪性腫瘍)は正常の生体機構からはずれて生体内で増殖を続け、宿主の死を招く細胞群である。この癌の治療方法は、外科手術、放射線照射療法、ホルモン療法、若しくは化学療法、又はこれらの併用が一般的である。その中で薬剤を使用する化学療法が主な治療方法ではない理由は、重篤な副作用がなく、かつ臨床上有効な抗癌活性を有する薬剤が存在しなかったからである。従って、安全性が高く、優れた抗癌活性を有する抗癌剤の創出が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、様々な化合物の薬理作用についてスクリーニングをした結果、ある種のアミノアセトニトリル化合物に細胞増殖阻害作用、及び抗癌活性があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち本発明は、
[1]一般式(I)
【0007】
【化1】
【0008】
〔式中、Rは、
(a1) 水素原子、
(a2) (C−C)アルキル基、
(a3) (C−C)アルケニル基、
(a4) (C−C)アルキニル基、又は
(a5) (C−C)シクロアルキル基を示し;
、R、及びRは、同一又は異なってもよく、それぞれ
(b1) 水素原子、
(b2) (C−C)アルキル基、又は
(b3) (C−C)シクロアルキル基を示し、又は
(b4) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成してもよく、該(C−C)アルキレン基は、同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基、及び(C−C)アルコキシ基から選択される1以上の置換基を鎖上に有していてもよく;
及びRは、同一又は異なってもよく、それぞれ
(c1) 水素原子、
(c2) ハロゲン原子、
(c3) (C−C)アルキル基、
(c4) (C−C)シクロアルキル基、又は
(c5) (C1−C)アルコキシ基
を示し、或いは
(c6) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成してもよく;
mは、0又は1を示し;
Rは、
(d1) フェニル基、
(d2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(f) (C−C)アルケニル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(k) ハロ(C−C)アルキニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(l1) (C−C)アルキルスルフィニル基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(n1) ハロ(C−C)アルキルスルフィニル基、
(n2) ハロ(C−C)アルキルスルホニル基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(o1) フェニル基、
(o2) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、
(ii) シアノ基、
(iii) ニトロ基、
(iv) (C−C)アルキル基、及び
(v) ハロ(C−C)アルキル基、
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(p) フェノキシ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) ピリジル(C−C)アルキニル基、
(s) (C−C)アルキルカルボニル基、
(t) (C−C)アルコキシカルボニル基、
(u) アミノカルボニル基、
(v) (C−C)アルキルカルボニルアミノ基、
(w)(C−C)アルコキシカルボニルアミノ基、
(x) ジ(C−C)アルキルアミノ基(アルキル基は、同一又は異なってもよい。)、並びに
(y)(C−C)アルキルアミノカルボニルアミノ基、
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(d3) ナフチル基、
(d4) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜7の置換基を環上に有するナフチル基、
(d5)(C−C12)アルキル基、
(d6) ピリジル基、
(d7) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、
(d8) ピラジニル基、
(d9) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラジニル基
(d10) チアゾリル基、
(d11) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜2の置換基を環上に有するチアゾリル基、
(d12) ピラゾリル基、或いは
(d13) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基を示し;
Arは、
(e1) フェニル基、
(e2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(f) (C−C)アルケニル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(k) ハロ(C−C)アルキニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) 水酸基、
(s) フェニル基、並びに
(t) ハロ(C−C)アルキルスルホニルアミノ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(e3) ナフチル基、
(e4) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜7の置換基を環上に有するナフチル基、
(e5) ピリジル基、
(e6) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、
(f) ハロ(C−C)アルキルチオ基、及び
(g) (C−C)アルコキシ基、
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、
(e7)ピラゾリル基、又は
(e8) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、
(f) (C−C)アルコキシカルボニル基
(g) (C−C)アルコキシ基、
(h) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(i) (C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ基、
(j) シクロ(C−C)アルキル基、
(k) フェノキシ基、及び
(l) フェニル基、
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基、或いは
(e9) 下記 Q-1〜Q-17から選択される複素環基
【0009】
【化2】
【0010】
(ここで、XおよびYは、同一又は異なってもよく、それぞれ、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) シクロ(C−C)アルキル基、
(f) ハロ(C−C)アルキル基、
(g) (C−C)アルコキシ基、
(h) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(i) (C−C)アルキルチオ基、
(j) フェニル基、
(n) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、
(ii)(C−C)アルキル基、
(iii) ハロ(C−C)アルキル基、及び
(iv)(C−C)アルコキシ基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するフェニル基、
(m) ピリジル基
(o) (C−C)アルキルカルボニル基、
(p) (C−C)アルコキシカルボニル基、
(q) モノ(C−C)アルキルアミノ基、
(r) (C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノ基、
(s) ジ(C−C)アルキルアミノ基(アルキル基は、同一又は異なってもよい。)、
(t) (C−C)アルコキシカルボニルアミノ基、
(u) モノフェニルアミノ基、
(v) モルホリノ基、又は
(w) ピペリジノ基を示し、
●は結合位置を示し、
nは0から3の整数を示す。)を示し;並びに
Wは、−O−、−S−、−SO−、又は−N(R)−(式中、Rは水素原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基を示す。)を示す。〕
で表わされるアミノアセトニトリル化合物
(但し、
N−[(1S)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[(1R)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[2−(2−クロロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2,5−ジクロロフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−5−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−ブロモ−4,5−ジフルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、及び
N−[1−シアノ−2−(4,5−ジフルオロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド
を除く)、又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗癌剤。
【0011】
[2]一般式(I)
【0012】
【化3】
【0013】
〔式中、Rは、
(a1) 水素原子、
(a2) (C−C)アルキル基、
(a3) (C−C)アルケニル基、
(a4) (C−C)アルキニル基、又は
(a5) (C−C)シクロアルキル基を示し;
、R、及びRは、同一又は異なってもよく、それぞれ
(b1) 水素原子、
(b2) (C−C)アルキル基、又は
(b3) (C−C)シクロアルキル基を示し、或いは
(b4) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成してもよく、該(C−C)アルキレン基は、同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基、及び(C−C)アルコキシ基から選択される1以上の置換基を鎖上に有していてもよく;
及びRは、同一又は異なってもよく、それぞれ
(c1) 水素原子、
(c2) ハロゲン原子、
(c3) (C−C)アルキル基、又は
(c4) (C−C)シクロアルキル基を示し、或いは
(c6) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成してもよく;
mは、0又は1を示し;
Rは、
(d1) フェニル基、
(d2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(f) (C−C)アルケニル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(k) ハロ(C−C)アルキニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、並びに
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(d3) ナフチル基、
(d4) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜7の置換基を環上に有するナフチル基、或いは
(d5)(C−C12)アルキル基を示し;
Arは、
(e1) フェニル基、
(e2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(f) (C−C)アルケニル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(k) ハロ(C−C)アルキニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) 水酸基、
(s) フェニル基、並びに
(t) ハロ(C−C)アルキルスルホニルアミノ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(e3) ナフチル基、
(e4) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜7の置換基を環上に有するナフチル基、
(e5) ピリジル基、
(e6) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、及び
(f) ハロ(C−C)アルキルチオ基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、
(e7)ピラゾリル基、或いは
(e8) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、及び
(f) (C−C)アルコキシカルボニル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基を示し;並びに
Wは、−O−、−S−、−SO−、又は−N(R)−(式中、Rは水素原子、(C−C)アルキル基又は(C−C)シクロアルキル基を示す。)を示す。〕
で表わされるアミノアセトニトリル化合物
(但し、
N−[(1S)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[(1R)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[2−(2−クロロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2,5−ジクロロフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−5−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−ブロモ−4,5−ジフルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、及び
N−[1−シアノ−2−(4,5−ジフルオロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド
を除く)、又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗癌剤。
【0014】
[3]Rが、
(a1) 水素原子、
(a2)(C−C)アルキル基、又は
(a4)(C−C)アルキニル基
を示し;
、R、及びRが、同一又は異なってもよく、それぞれ
(b1) 水素原子;
(b2) (C−C)アルキル基、又は
(b3) (C−C)シクロアルキル基を示し、或いは
(b4) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成してもよく、該(C−C)アルキレン基は、同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基、及び(C−C)アルコキシ基から選択される1以上の置換基を鎖上に有していてもよく;
及びRが、同一又は異なってもよく、それぞれ
(c1) 水素原子、
(c2) ハロゲン原子、又は
(c5) (C−C)アルコキシ基を示し、或いは
(c6) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成してもよく;
Rが、
(d1) フェニル基、
(d2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(l1) (C−C)アルキルスルフィニル基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(n1) ハロ(C−C)アルキルスルフィニル基、
(n2) ハロ(C−C)アルキルスルホニル基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(o1) フェニル基、
(o2) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、
(ii) シアノ基、
(iii) ニトロ基、
(iv) (C−C)アルキル基、及び
(v) ハロ(C−C)アルキル基、
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(p) フェノキシ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) ピリジル(C−C)アルキニル基、
(s) (C−C)アルキルカルボニル基、
(t) (C−C)アルコキシカルボニル基、
(u) アミノカルボニル基、
(v) (C−C)アルキルカルボニルアミノ基、
(w)(C−C)アルコキシカルボニルアミノ基、
(x) ジ(C−C)アルキルアミノ基(アルキル基は、同一又は異なってもよい。)、並びに
(y)(C−C)アルキルアミノカルボニルアミノ基、
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(d3) ナフチル基、
(d6) ピリジル基、
(d7) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、
(d9) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラジニル基
(d11) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜2の置換基を環上に有するチアゾリル基、或いは
(d13) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基を示し;
Arが、
(e1) フェニル基、
(e2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(f) (C−C)アルケニル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(k) ハロ(C−C)アルキニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) 水酸基、
(s) フェニル基、並びに
(t) ハロ(C−C)アルキルスルホニルアミノ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(e3) ナフチル基、
(e5) ピリジル基、
(e6) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、
(f) ハロ(C−C)アルキルチオ基、及び
(g) (C−C)アルコキシ基、
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、
(e8) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、
(f) (C−C)アルコキシカルボニル基
(g) (C−C)アルコキシ基、
(h) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(i) (C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ基、
(j) シクロ(C−C)アルキル基、
(k) フェノキシ基、及び
(l) フェニル基、
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基、或いは
(e9) 下記 Q-1〜Q-17から選択される複素環基
【0015】
【化4】
【0016】
(ここで、XおよびYは、同一又は異なってもよく、それぞれ、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) シクロ(C−C)アルキル基、
(f) ハロ(C−C)アルキル基、
(g) (C−C)アルコキシ基、
(h) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(i) (C−C)アルキルチオ基、
(j) フェニル基、
(n) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、
(ii)(C−C)アルキル基、
(iii) ハロ(C−C)アルキル基、及び
(iv)(C−C)アルコキシ基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するフェニル基、
(m) ピリジル基
(o) (C−C)アルキルカルボニル基、
(p) (C−C)アルコキシカルボニル基、
(q) モノ(C−C)アルキルアミノ基、
(r) (C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノ基、
(s) ジ(C−C)アルキルアミノ基(アルキル基は、同一又は異なってもよい。)、
(t) (C−C)アルコキシカルボニルアミノ基、
(u) モノフェニルアミノ基、
(v) モルホリノ基、又は
(w) ピペリジノ基を示し、
●が結合位置を示し、
nが0から3の整数を示す。)を示し;並びに
Wが、−O−、−S−、−SO−、又は−N(R)−(式中、Rが(C−C)アルキル基を示す。)を示す、
上記[1]記載の抗癌剤。
【0017】
[4]mが1である、上記[1]又は[2]に記載の抗癌剤。
【0018】
[5]mが0のとき、
Arが、
(e2) 同一又は異なってもよく、
(c) ニトロ基、
(e') ハロ(C−C)アルキル基、
(f) (C−C)アルケニル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(i') ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(k) ハロ(C−C)アルキニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n') ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) 水酸基、
(s) フェニル基、並びに
(t) ハロ(C−C)アルキルスルホニルアミノ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(e3) ナフチル基、
(e4) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜7の置換基を環上に有するナフチル基、
(e5) ピリジル基、
(e6) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、及び
(f) ハロ(C−C)アルキルチオ基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、
(e7)ピラゾリル基、或いは
(e8) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、及び
(f) (C−C)アルコキシカルボニル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基である、
上記[1]又は[2]に記載の抗癌剤。
【0019】
[6]mが0のとき、
Rが、
(d2) 同一又は異なってもよく、
(c) ニトロ基、
(e') ハロ(C−C)アルキル基、
(f) (C−C)アルケニル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(k) ハロ(C−C)アルキニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、並びに
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(d3) ナフチル基、
(d4) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜7の置換基を環上に有するナフチル基、或いは
(d5)(C−C12)アルキル基である、
上記[1]又は[2]に記載の抗癌剤。
【0020】
[7]mが0のとき、
が、
(a2) (C−C)アルキル基、
(a3) (C−C)アルケニル基、
(a4) (C−C)アルキニル基、又は
(a5) (C−C)シクロアルキル基である、
上記[1]又は[2]に記載の抗癌剤。
【0021】
[8]mが0のとき、
が、
(b2) (C−C)アルキル基、又は
(b3) (C−C)シクロアルキル基であるか、或いは
(b4) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成する、
上記[1]又は[2]に記載の抗癌剤。
【0022】
[9]Rが、
(a1) 水素原子、又は
(a4) (C−C)アルキニル基
を示し;
、R、及びRが、同一又は異なってもよく、それぞれ
(b1) 水素原子、又は
(b2) (C−C)アルキル基を示すか、或いは
(b4) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成してもよく;
及びRが、同一又は異なってもよく、それぞれ
(c1) 水素原子を示すか、又は
(c6) R及びRが結合して(C−C)アルキレン基を形成してもよく;
Rが、
(d1) フェニル基、
(d2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、並びに
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(d3) ナフチル基、或いは
(d5)(C-C12)アルキル基を示し;
Arが、
(e1) フェニル基、
(e2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) 水酸基、
(s) フェニル基、並びに
(t) ハロ(C−C)アルキルスルホニルアミノ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(e3) ナフチル基、
(e5) ピリジル基、
(e6) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、及び
(f) ハロ(C−C)アルキルチオ基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、或いは
(e8) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、及び
(f) (C−C)アルコキシカルボニル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基を示し;並びに
Wが、−O−を示す、上記[1]又は[2]に記載の抗癌剤。
【0023】
[10]癌が、大腸癌、肺癌、中皮腫、膵臓癌、胃癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肝臓癌、甲状腺癌、腎臓癌、子宮癌、脳腫瘍、黒色腫、肉腫、膀胱癌、血液癌、頭頸部癌、頸癌、食道癌、胆嚢癌、脾臓癌、精巣癌、末梢神経癌、及び皮膚癌から選ばれる、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の抗癌剤。
【0024】
[11]癌が、脳腫瘍、末梢神経癌、及び卵巣癌から選ばれる、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の抗癌剤。
【0025】
[12]上記[1]又は[2]の式(I)で表わされるアミノアセトニトリル化合物
(但し、
N−[(1S)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[(1R)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[2−(2−クロロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2,5−ジクロロフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−5−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−ブロモ−4,5−ジフルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、及び
N−[1−シアノ−2−(4,5−ジフルオロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド
を除く)、又はその薬理学的に許容される塩の有効量を哺乳動物に投与することを含む、癌の治療方法。
【0026】
[13]抗癌剤製造のための、上記[1]又は[2]の式(I)で表わされるアミノアセトニトリル化合物
(但し、
N−[(1S)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[(1R)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[2−(2−クロロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2,5−ジクロロフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−5−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−ブロモ−4,5−ジフルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、及び
N−[1−シアノ−2−(4,5−ジフルオロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド
を除く)、又はその薬理学的に許容される塩の使用。
【0027】
[14]癌の治療のための、上記[1]又は[2]の式(I)で表わされるアミノアセトニトリル化合物
(但し、
N−[(1S)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[(1R)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[2−(2−クロロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2,5−ジクロロフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−5−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−ブロモ−4,5−ジフルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、及び
N−[1−シアノ−2−(4,5−ジフルオロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド
を除く)、又はその薬理学的に許容される塩;
等に関する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、かかるアミノアセトニトリル化合物又はその薬理学的に許容される塩は、それらを有効成分として含有する細胞増殖阻害剤又は抗癌剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のアミノアセトニトリル化合物(I)の定義において、
「ハロ」とは「ハロゲン原子」を意味し、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を示す。
【0030】
「(C−C)アルキル基」とは、例えばメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ノルマルペンチル基、イソペンチル基、ノルマルヘキシル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキル基を示し、
「(C−C)アルキル基」とは、例えばエチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ノルマルペンチル基、イソペンチル基、ノルマルヘキシル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルキル基を示し、
「(C−C12)アルキル基」とは、例えばメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルペンチル基、ノルマルヘキシル基、ノルマルオクチル基、ノルマルドデカニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜12個のアルキル基を示し、
「(C−C)アルケニル基」とは、例えばビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、ペンテニル基、1−ヘキセニル基等の直鎖又は分鎖状の炭素原子数2〜6個のアルケニル基を示し、及び
「(C−C)アルキニル基」とは、例えばエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、3−メチル−1−プロピニル基、2−メチル−3−プロピニル基、ペンチニル基、1−ヘキシニル基、3,3−ジメチル−1−ブチニル基等の直鎖又は分鎖状の炭素原子数2〜6個のアルキニル基を示す。
【0031】
「(C−C)シクロアルキル基」とは、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素原子数3〜6個の環状のアルキル基を示し、
「(C−C)アルコキシ基」とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、セカンダリーブトキシ基、ターシャリーブトキシ基、ノルマルペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ターシャリーペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチルプロピルオキシ基、1−エチルプロピルオキシ基、1−メチルブチルオキシ基、ノルマルヘキシルオキシ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルコキシ基を示し、
「(C−C)アルコキシ基」とは、例えば、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、セカンダリーブトキシ基、ターシャリーブトキシ基、ノルマルペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ターシャリーペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3−ジメチルプロピルオキシ基、1−エチルプロピルオキシ基、1−メチルブチルオキシ基、ノルマルヘキシルオキシ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルコキシ基を示し、
「(C−C)アルケニルオキシ基」とは、例えば、プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基、ヘキセニルオキシ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルケニルオキシ基を示し、及び
「(C−C)アルキニルオキシ基」とは、例えば、プロピニルオキシ基、ブチニルオキシ基、ペンチニルオキシ基、ヘキシニルオキシ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルキニルオキシ基を示す。
【0032】
「(C−C)アルキルチオ基」とは、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ノルマルプロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ノルマルブチルチオ基、セカンダリーブチルチオ基、ターシャリーブチルチオ基、ノルマルペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ノルマルヘキシルチオ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルチオ基を示し、
「(C−C)アルキルチオ基」とは、例えば、エチルチオ基、ノルマルプロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ノルマルブチルチオ基、セカンダリーブチルチオ基、ターシャリーブチルチオ基、ノルマルペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ノルマルヘキシルチオ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルキルチオ基を示し、
「(C−C)アルキルスルフィニル基」とは、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ノルマルプロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ノルマルブチルスルフィニル基、セカンダリーブチルスルフィニル基、ターシャリーブチルスルフィニル基、ノルマルペンチルスルフィニル基、ノルマルヘキシルスルフィニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルスルフィニル基を示し、及び
「(C−C)アルキルスルホニル基」とは、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ノルマルプロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ノルマルブチルスルホニル基、ターシャリーブチルスルホニル基、ノルマルペンチルスルホニル基、イソペンチルスルホニル基、ターシャリーペンチルスルホニル基、ネオペンチルスルホニル基、ノルマルヘキシルスルホニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1〜6個のアルキルスルホニル基を示す。
【0033】
「(C−C)アルケニルチオ基」とは、例えば、プロペニルチオ基、ブテニルチオ基、ペンテニルチオ基、ヘキセニルチオ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルケニルチオ基を示し、及び
「(C−C)アルキニルチオ基」とは、例えば、プロピニルチオ基、ブチニルチオ基、ペンチニルチオ基、ヘキシニルチオ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルキニルチオ基を示す。
【0034】
「(C−C)アルケニルスルフィニル基」とは、例えば、プロペニルスルフィニル基、ブテニルスルフィニル基、ペンテニルスルフィニル基、ヘキセニルスルフィニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルケニルスルフィニル基を示し、及び
「(C−C)アルキニルスルフィニル基」とは、例えば、プロピニルスルフィニル基、ブチニルスルフィニル基、ペンチニルスルフィニル基、ヘキシニルスルフィニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルキニルスルフィニル基を示す。
【0035】
「(C−C)アルケニルスルホニル基」とは、例えば、プロペニルスルホニル基、ブテニルスルホニル基、ペンテニルスルホニル基、ヘキセニルスルホニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルケニルスルホニル基を示し、及び
「(C−C)アルキニルスルホニル基」とは、例えば、プロピニルスルホニル基、ブチニルスルホニル基、ペンチニルスルホニル基、ヘキシニルスルホニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2〜6個のアルキニルスルホニル基を示す。
【0036】
上記「(C−C)アルキル基」、「(C−C)アルキル基」、「(C−C12)アルキル基」、「(C−C)アルケニル基」、「(C−C)アルキニル基」、「(C−C)シクロアルキル基」、「(C−C)アルコキシ基」、「(C−C)アルコキシ基」、「(C−C)アルケニルオキシ基」、「(C−C)アルキニルオキシ基」、「(C−C)アルキルチオ基」、「(C−C)アルキルチオ基」、「(C−C)アルキルスルフィニル基」、「(C−C)アルキルスルホニル基」、「(C−C)アルケニルチオ基」、「(C−C)アルキニルチオ基」、「(C−C)アルケニルスルフィニル基」、「(C−C)アルキニルスルフィニル基」、「(C−C)アルケニルスルホニル基」、及び「(C−C)アルキニルスルホニル基」の置換し得る位置に1又は2以上のハロゲン原子が置換されていてもよく、置換されるハロゲン原子が2以上の場合は、ハロゲン原子は同一又は異なっても良い。
【0037】
それぞれ、「ハロ(C−C)アルキル基」、「ハロ(C−C)アルキル基」、「ハロ(C−C12)アルキル基」、「ハロ(C−C)アルケニル基」、「ハロ(C−C)アルキニル基」、「ハロ(C−C)シクロアルキル基」、「ハロ(C−C)アルコキシ基」、「ハロ(C−C)アルコキシ基」、「ハロ(C−C)アルケニルオキシ基」、「ハロ(C−C)アルキニルオキシ基」、「ハロ(C−C)アルキルチオ基」、「ハロ(C−C)アルキルチオ基」、「ハロ(C−C)アルキルスルフィニル基」、「ハロ(C−C)アルキルスルホニル基」、「ハロ(C−C)アルケニルチオ基」、「ハロ(C−C)アルキニルチオ基」、「ハロ(C−C)アルケニルスルフィニル基」、「ハロ(C−C)アルキニルスルフィニル基」、「ハロ(C−C)アルケニルスルホニル基」、及び「ハロ(C−C)アルキニルスルホニル基」と示す。
【0038】
また、「(C−C)」、「(C−C)」、「(C−C)」等の表現は各種置換基の炭素原子数の範囲を示す。
更に、上記置換基が連結した基についても上記定義を示すことができる。例えば、フェニル(C−C)アルキニル基は、(C−C)アルキニル基の任意の位置にフェニル基が結合した基である。
【0039】
「(C−C)アルキレン基」は、隣接する二つの置換基が繋がって形成される基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基等が挙げられる。
【0040】
「複素環基」としては、例えば、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル等の単環式芳香族ヘテロ環基;3,4−ジヒドロピリド[3,2−b][1,4]オキサジン、ピラゾロ[3,4−b]ピリジン、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン等の縮合ヘテロ環基等が挙げられる。
【0041】
本発明の抗癌剤の有効成分である式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物は、以下の化合物は含まれない。
N−[(1S)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[(1R)−1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(5−シアノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルスルファニルベンズアミド、
N−[2−(2−クロロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[1−シアノ−2−(2,5−ジクロロフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−5−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、
N−[2−(2−ブロモ−4,5−ジフルオロフェノキシ)−1−シアノ−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド、及び
N−[1−シアノ−2−(4,5−ジフルオロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−1−メチル−エチル]−4−トリフルオロメトキシベンズアミド。
【0042】
本発明の抗癌剤の有効成分である式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物の好ましい一態様としては、
が、
(a1) 水素原子、
(a2)(C−C)アルキル基、又は
(a4)(C−C)アルキニル基
を示し;
、R、及びRが、同一又は異なってもよく、それぞれ
(b1) 水素原子;
(b2) (C−C)アルキル基、又は
(b3) (C−C)シクロアルキル基を示し、或いは
(b4) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成してもよく、該(C−C)アルキレン基は、同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、(C−C)アルキル基、及び(C−C)アルコキシ基から選択される1以上の置換基を鎖上に有していてもよく;
及びRが、同一又は異なってもよく、それぞれ
(c1) 水素原子、
(c2) ハロゲン原子、又は
(c5) (C−C)アルコキシ基を示し、或いは
(c6) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成してもよく;
Rが、
(d1) フェニル基、
(d2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(l1) (C−C)アルキルスルフィニル基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(n1) ハロ(C−C)アルキルスルフィニル基、
(n2) ハロ(C−C)アルキルスルホニル基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(o1) フェニル基、
(o2) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、
(ii) シアノ基、
(iii) ニトロ基、
(iv) (C−C)アルキル基、及び
(v) ハロ(C−C)アルキル基、
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(p) フェノキシ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) ピリジル(C−C)アルキニル基、
(s) (C−C)アルキルカルボニル基、
(t) (C−C)アルコキシカルボニル基、
(u) アミノカルボニル基、
(v) (C−C)アルキルカルボニルアミノ基、
(w)(C−C)アルコキシカルボニルアミノ基、
(x) ジ(C−C)アルキルアミノ基(アルキル基は、同一又は異なってもよい。)、並びに
(y)(C−C)アルキルアミノカルボニルアミノ基、
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(d3) ナフチル基、
(d6) ピリジル基、
(d7) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、
(d9) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラジニル基
(d11) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜2の置換基を環上に有するチアゾリル基、或いは
(d13) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基を示し;
Arが、
(e1) フェニル基、
(e2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(f) (C−C)アルケニル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(k) ハロ(C−C)アルキニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) 水酸基、
(s) フェニル基、並びに
(t) ハロ(C−C)アルキルスルホニルアミノ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(e3) ナフチル基、
(e5) ピリジル基、
(e6) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、
(f) ハロ(C−C)アルキルチオ基、及び
(g) (C−C)アルコキシ基、
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、
(e8) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、
(f) (C−C)アルコキシカルボニル基
(g) (C−C)アルコキシ基、
(h) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(i) (C−C)アルコキシ(C−C)アルコキシ基、
(j) シクロ(C−C)アルキル基、
(k) フェノキシ基、及び
(l) フェニル基、
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基、或いは
(e9) 下記 Q-1〜Q-17から選択される複素環基
【0043】
【化5】
【0044】
(ここで、XおよびYは、同一又は異なってもよく、それぞれ、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) シクロ(C−C)アルキル基、
(f) ハロ(C−C)アルキル基、
(g) (C−C)アルコキシ基、
(h) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(i) (C−C)アルキルチオ基、
(j) フェニル基、
(n) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、
(ii)(C−C)アルキル基、
(iii) ハロ(C−C)アルキル基、及び
(iv)(C−C)アルコキシ基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するフェニル基、
(m) ピリジル基
(o) (C−C)アルキルカルボニル基、
(p) (C−C)アルコキシカルボニル基、
(q) モノ(C−C)アルキルアミノ基、
(r) (C−C)アルコキシ(C−C)アルキルアミノ基、
(s) ジ(C−C)アルキルアミノ基(アルキル基は、同一又は異なってもよい。)、
(t) (C−C)アルコキシカルボニルアミノ基、
(u) モノフェニルアミノ基、
(v) モルホリノ基、又は
(w) ピペリジノ基を示し、
●が結合位置を示し、
nが0から3の整数を示す。)を示し;並びに
Wが、−O−、−S−、−SO−、又は−N(R)−(式中、Rが(C−C)アルキル基を示す、化合物が挙げられる。
【0045】
本発明の抗癌剤の有効成分である式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物の好ましい別の一態様としては、
mが1である、化合物が挙げられる。
【0046】
本発明の抗癌剤の有効成分である式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物の好ましい別の一態様としては、
mが0のとき、
Arが、
(e2) 同一又は異なってもよく、
(c) ニトロ基、
(e') ハロ(C−C)アルキル基、
(f) (C−C)アルケニル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(i') ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(k) ハロ(C−C)アルキニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n') ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) 水酸基、
(s) フェニル基、並びに
(t) ハロ(C−C)アルキルスルホニルアミノ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(e3) ナフチル基、
(e4) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜7の置換基を環上に有するナフチル基、
(e5) ピリジル基、
(e6) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、及び
(f) ハロ(C−C)アルキルチオ基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、
(e7)ピラゾリル基、或いは
(e8) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、及び
(f) (C−C)アルコキシカルボニル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基である、化合物が挙げられる。
【0047】
本発明の抗癌剤の有効成分である式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物の好ましい別の一態様としては、
mが0のとき、
Rが、
(d2) 同一又は異なってもよく、
(c) ニトロ基、
(e') ハロ(C−C)アルキル基、
(f) (C−C)アルケニル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(k) ハロ(C−C)アルキニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、並びに
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(d3) ナフチル基、
(d4) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C-C)アルキル基、及び
(e) ハロ(C-C)アルキル基
から選択される1〜7の置換基を環上に有するナフチル基、或いは
(d5)(C−C12)アルキル基である、化合物が挙げられる。
【0048】
本発明の抗癌剤の有効成分である式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物の好ましい別の一態様としては、
mが0のとき、
が、
(a2) (C−C)アルキル基、
(a3) (C−C)アルケニル基、
(a4) (C−C)アルキニル基、又は
(a5) (C−C)シクロアルキル基である、化合物が挙げられる。
【0049】
本発明の抗癌剤の有効成分である式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物の好ましい別の一態様としては、
mが0のとき、
が、
(b2) (C−C)アルキル基、又は
(b3) (C−C)シクロアルキル基であるか、或いは
(b4) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成する、化合物が挙げられる。
【0050】
本発明の抗癌剤の有効成分である式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物のさらに好ましい態様としては、
が、
(a1) 水素原子、又は
(a4) (C−C)アルキニル基
を示し;
、R、及びRが、同一又は異なってもよく、それぞれ
(b1) 水素原子、又は
(b2) (C−C)アルキル基を示すか、或いは
(b4) R及びRが結合して、(C−C)アルキレン基を形成してもよく;
及びRが、同一又は異なってもよく、それぞれ
(c1) 水素原子を示すか、又は
(c6) R及びRが結合して(C−C)アルキレン基を形成してもよく;
Rが、
(d1) フェニル基、
(d2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(g) (C−C)アルキニル基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(j) ハロ(C−C)アルケニルオキシ基、
(l) (C−C)アルキルチオ基、
(m) (C−C)アルキルスルホニル基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(o) フェニル(C−C)アルキニル基、
(p) フェノキシ基、並びに
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(d3) ナフチル基、或いは
(d5)(C-C12)アルキル基を示し;
Arが、
(e1) フェニル基、
(e2) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) シアノ基、
(c) ニトロ基、
(d) (C−C)アルキル基、
(e) ハロ(C−C)アルキル基、
(h) (C−C)アルコキシ基、
(i) ハロ(C−C)アルコキシ基、
(n) ハロ(C−C)アルキルチオ基、
(q) 同一又は異なってもよく、
(i) ハロゲン原子、及び
(ii) ハロ(C−C)アルキル基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジルオキシ基、
(r) 水酸基、
(s) フェニル基、並びに
(t) ハロ(C−C)アルキルスルホニルアミノ基
から選択される1〜5の置換基を環上に有するフェニル基、
(e3) ナフチル基、
(e5) ピリジル基、
(e6) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、及び
(f) ハロ(C−C)アルキルチオ基
から選択される1〜4の置換基を環上に有するピリジル基、或いは
(e8) 同一又は異なってもよく、
(a) ハロゲン原子、
(b) (C−C)アルキル基、
(c) ハロ(C−C)アルキル基、
(d) (C−C)アルキルチオ基、
(e) (C−C)アルキルスルホニル基、及び
(f) (C−C)アルコキシカルボニル基
から選択される1〜3の置換基を環上に有するピラゾリル基を示し;並びに
Wが、−O−を示す、化合物が挙げられる。
【0051】
次に、本願発明の式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物の製造方法について説明する。
【0052】
製造方法
本発明の式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物は、特許文献1(特開2000−026392号公報)記載の方法に従って製造することができ、その例を下記に示す。
【0053】
【化6】
【0054】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、Ar、W、及びmは前記に同じくし、Mはアルカリ金属原子を示し、Halは、ハロゲン原子を示す。)
【0055】
1.一般式(IV) → 一般式(I)の製造
一般式(IV)で表されるアミノアセトニトリル類と一般式(III)で表される酸ハライド類とを塩基(例えばトリエチルアミン、ピリジン等)の存在下に反応させることにより一般式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物を製造することができる。又、一般式(IV)で表されるアミノアセトニトリル類と一般式(II)で表されるカルボン酸類とを縮合剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウム等)を用いて縮合させ製造することもできる。
【0056】
2.一般式(VII) → 一般式(IV)の製法
一般式(IV)表されるアミノアセトニトリル類は、ストレッカー反応として公知の方法に準じて製造することができる。(例えば、Formationof C- C Bonds Vol. 1 Georg Thieme Publishers 1973、Organic Synthesis Coll.Vol.3.88等)。例えば一般式(VII)で表されるカルボニル化合物類と一般式(VI)で表される金属シアン化物(例えば、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム等)、及び一般式(V)で表されるアミン類と反応させることにより製造することができる。シアン源としてトリメチルシリルニトリル、アセトンシアンヒドリン等の有機シアン化物を使用することもできる。
【0057】
上記各製造法における中間体及び目的化合物は、有機合成化学で常用される精製法、例えば中和、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離精製することができる。また、中間体においては、特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
上記製法で原料として用いられる一般式(II)で表されるカルボン酸類、一般式(III)で表される酸ハライド類、一般式(V)で表されるアミン類及び一般式(VII)で表されるカルボニル化合物類は、自体公知の方法により製造することができ、また、市販品を用いることもできる。
【0058】
本発明の一般式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物は、少なくとも一つの不斉炭素を有し、立体異性体(光学異性体、ジアステレオマー)として存在し得る。また、2重結合等が存在する場合は、幾何異性体として存在し得る。本発明の一般式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物は、これら全ての可能な異性体及びそれらの混合物(ラセミ体、ジアステレオマー混合物等)を抗癌剤の有効成分として使用することができる。
【0059】
本発明の一般式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物の塩を取得したいとき、化合物(I)が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られる場合には、適当な有機溶媒に溶解若しくは懸濁させ、酸又は塩基を加えて通常の方法により塩を形成させればよい。
【0060】
また、本発明の一般式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物及びその薬理学的に許容される塩は、水和物あるいは各種溶媒との溶媒和物の形で存在することもあるが、これら水和物、溶媒和物も本発明の抗癌剤の有効成分として使用することができる。
【0061】
以下に本発明の一般式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物の代表例を第1表、第2表、第4表、第5表、及び第6表に例示するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
表中、「Me」はメチル基を、「Et」はエチル基を、「Pr」はプロピル基を、「Bu」はブチル基を、「Octyl」はオクチル基を、「Ph」はフェニル基を、「n−」はノルマルを、「i−」はイソを、「c−」はシクロを、「s−」はセカンダリーを、「t−」はターシャリーを、「Py」はピリジル基を、「Pyra」はピラゾリル基を、「Naph」はナフチル基を、「Pym」はピリミジル基を、「Pyz」はピラジニル基を、「Thz」はチアゾリル基を、「Iox」はイソオキサゾリル基を、「Ox」はオキサゾリル基を、「Thienyl」はチエニル基を、「Furyl」はフリル基を、「morpholino」はモルホリニル基を、「piperidino」はピペリジノ基を示す。「置換位置」は各々の構造式において、置換位置を示し、物性は融点(℃)又は屈折率nD(測定温度;℃)を示すか、又はH−NMR
データを表3に示した。
【0062】
【化7】
【0063】
【表1-1】
【0064】
【表1-2】
【0065】
【表1-3】
【0066】
【表1-4】
【0067】
【表1-5】
【0068】
【化8】
【0069】
【表2-1】
【0070】
【表2-2】
【0071】
【表2-3】
【0072】
【表2-4】
【0073】
【表2-5】
【0074】
【表2-6】
【0075】
【表3】
【0076】
【化9】
【0077】
【表4】
【0078】
【化10】
【0079】
【表5-1】
【0080】
【表5-2】
【0081】
【表5-3】
【0082】
【表5-4】
【0083】
【表5-5】
【0084】
【表5-6】
【0085】
【化11】
【0086】
【表6-1】
【0087】
【表6-2】
【0088】
【表6-3】
【0089】
【表6-4】
【0090】
【表6-5】
【0091】
【表6-6】
【0092】
【表6-7】
【0093】
本発明の一般式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物、又はその薬理学的に許容される塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤とすることが望ましく、該医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種若しくは二種以上の担体と混合し、医薬製剤学の常法により製造することができる。
【0094】
本発明の一般式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物の薬理学的に許容される塩としては、薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等が挙げられる。薬理学的に許容される酸付加塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の各無機酸塩、及び、有機酸としてのギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸等のカルボン酸類、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸類が挙げられる。薬理学的に許容される金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等の各アルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等の各アルカリ土類金属塩、アルミニウム、亜鉛等の各金属塩が、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の各塩が、薬理学的に許容される有機アミン塩としては、トリエチルアミン、ピペリジン、モルホリン、トルイジン等の各塩が、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、リジン、グリシン、フェニルアラニン等の付加塩が挙げられる。
【0095】
本発明の一般式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物は、プロドラッグとして用いてもよい。化合物(I)のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(I)に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物をいう。
【0096】
化合物(I)のプロドラッグとしては、例えば、
(1) 化合物(I)のアミノ基がアシル化、アルキル化、又はリン酸化された化合物(例えば、化合物(I)のアミノ基が、エイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert-ブチル化、エトキシカルボニル化、tert-ブトキシカルボニル化、アセチル化、シクロプロピルカルボニル化された化合物等);
(2) 化合物(I)のヒドロキシ基が、アシル化、アルキル化、リン酸化、又はホウ酸化された化合物(例えば、化合物(I)のヒドロキシ基が、アセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);
(3) 化合物(I)のカルボキシ基が、エステル化又はアミド化された化合物(例えば、化合物(I)のカルボキシ基が、エチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化及びメチルアミド化された化合物等);
等が挙げられる。これらの化合物は、自体公知の方法によって化合物(I)から製造することができる。
【0097】
化合物(I)のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような生理的条件で化合物(I)に変化するものであってもよい。
【0098】
本発明の一般式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物は、サイクリン依存性キナーゼ、具体的には、サイクリン依存性キナーゼ2(Cdk)、サイクリン依存性キナーゼ4(Cdk)等に作用して細胞周期を停止させることにより、細胞増殖阻害活性を有すると考えられ、細胞増殖阻害剤として有効である。
一般式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含む抗癌剤として用いる場合、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒト等)の各種癌、例えば、大腸癌(例、家族性大腸癌、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、消化管間質腫瘍)、肺癌(例、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、悪性中皮腫)、中皮腫、膵臓癌(例、膵管癌)、胃癌(例、乳頭腺癌、粘液性腺癌、腺扁平上皮癌)、乳癌(例、浸潤性乳管癌、非浸潤性乳管癌、炎症性乳癌)、卵巣癌(例、上皮性卵巣癌、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣性胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍)、前立腺癌(例、ホルモン依存性前立腺癌、ホルモン非依存性前立腺癌)、肝臓癌(例、原発性肝癌、肝外胆管癌)、甲状腺癌(例、甲状腺髄様癌)、腎臓癌(例、腎細胞癌、腎盂と尿管の移行上皮癌)、子宮癌、脳腫瘍(例、松果体星細胞腫瘍、毛様細胞性星細胞腫、びまん性星細胞腫、退形成性星細胞腫)、黒色腫(メラノーマ)、肉腫(例、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、皮膚線維肉腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、滑膜肉腫等)、膀胱癌、血液癌(例、多発性骨髄腫、白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンスリンパ腫、非ホジキンスリンパ腫、毛様細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、バーケットリンパ腫)、頭頸部癌、頸癌、食道癌、胆嚢癌、脾臓癌、精巣癌、末梢神経癌(例、悪性神経鞘腫(シュワン細胞腫)、神経芽細胞腫、神経膠腫)、皮膚癌(例、扁平上皮癌)、などの治療剤として用いることができ、特に、脳腫瘍、末梢神経癌、卵巣癌等の治療に好適に使用することができる。
また、前立腺癌、転移性肺癌、乳腺癌等の上皮系悪性腫瘍に加え、悪性黒色腫、悪性神経鞘腫等の非上皮系悪性腫瘍の治療薬としても有用であり、これらに限定されるものではない。
【0099】
本発明の一般式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物又はそれらの薬理学的に許容される塩は通常、一般的な医薬製剤の形態(例えば、第12改正日本薬局方に規定する方法)で用いられる。この医薬製剤は通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤あるいは賦形剤を用いて調製される。医薬製剤としては各種の形態が治療目的に応じて選択でき、錠剤、丸剤、散剤、粉剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、液剤、懸濁剤、乳剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)、スプレー、エアロゾル、クリーム、軟膏、ローション、経皮剤(パッチ剤、マトリクス剤、テープ)等が一例として挙げられる。
【0100】
錠剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で公知のものを広く使用でき、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等が例示できる。更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠若しくはフィルムコーティング錠、又は二重錠若しくは多層錠とすることができる。
【0101】
丸剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオバター、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナランカンテン等の崩壊剤等が例示できる。
【0102】
坐剤の形態に成形するに際しては、担体として従来公知のものを広く使用でき、例えばポリエチレングリコール、カカオバター、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等を挙げることができる。
【0103】
注射剤として調製される場合には、液剤、乳剤及び懸濁剤は殺菌され、かつ血液と等張であるのが望ましく、これら液剤、乳剤又は懸濁剤の形態に成形するに際しては、希釈剤としてこの分野において慣用されているものを全て使用でき、例えば水、乳酸水溶液、エチルアルコール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を挙げることができる。なお、この場合等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖又はグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を医薬製剤中に含有せしめてもよい。
【0104】
本発明の一般式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与方法は特に制限はなく、製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等に応じた方法で経口的又は非経口的に投与される。例えば経口的に投与される場合には、錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤等が望ましい態様として挙げられる。非経口的には、例えば、局所投与剤、注射剤、経皮剤、経鼻剤、経肺剤又は坐剤の形で投与することができる。注射剤の場合には単独であるいはブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、又は必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与されるのが望ましい態様である。また、坐剤の場合には直腸内投与されるのが望ましい態様である。
【0105】
本発明の一般式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与量は、例えば、用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等により適宜選択される。
【0106】
本発明の一般式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物又はその薬理学的に許容される塩の有効量及び投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、症状等により異なるが、通常成人一人当たり、0.001mg〜5g、好ましくは0.1mg〜1g、より好ましくは1〜500mgを、一日一回ないし数回に分けて投与する。
【実施例】
【0107】
次に、製剤例、製造例、実施例等により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【0108】
製剤例1
1.注射・点滴剤
本願発明化合物10mgを含有するように、粉末ぶどう糖5gを加えてバイアルに無菌的に分配し密封した上、窒素、ヘリウム等の不活性ガスを封入して冷暗所に保存した。使用前にエタノールに溶解し、0.85%生理的食塩水100mLを添加して静脈内注射剤とし、一日、10〜100mLを症状に応じて静脈内注射または点滴で投与する。
【0109】
製剤例2
2.顆粒剤
本願発明化合物1g、乳糖98g及びヒドロキシプロピルセルロース1gをよく混合した後、定法に従って粒状に成形し、これを十分に乾燥し篩別して、ビン、ヒートシール包装などに適した顆粒剤を製造した。一日、100〜1000mgを症状に応じて経口で投与する。
【0110】
以下に、本発明の一般式(I)で表されるアミノアセトニトリル化合物の代表的製造例を記載する。
製造例1:化合物No.2−36の製造
4−クロロフェノール(2.56g)、ブロモアセトアルデヒド ジメチルアセタール(3.4g)、無水炭酸カリウム(2.76g)及び触媒量のヨウ化ナトリウムをジメチルホルムアミド(DMF,20ml)に加え、3時間加熱還流した。反応終了後、反応液に水を加え、酢酸エチルで目的物を抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)にて精製することにより4−クロロフェノキシアセトアルデヒド ジメチルアセタール(2.37g)を得た。
4−クロロフェノキシアセトアルデヒド ジメチルアセタール(1.0g)をアセトン(10ml)に溶解し、2N塩酸(1.0g)を加え、8時間加熱還流した。反応終了後、反応液を濃縮し、水を加えて酢酸エチルで目的物を抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去することにより粗生成物として4−クロロフェノキシアセトアルデヒドを得た。
粗4−クロロフェノキシアセトアルデヒド(0.5g)、シアン化ナトリウム(0.17g)及び塩化アンモニウム(0.27g)を28%アンモニア水(20ml)に加えて2日間撹拌した。反応終了後、反応液に酢酸エチルを加え、水を加えて水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた油状物をテトラヒドロフラン(THF,5ml)に溶解し、塩化4−クロルフェニル酢酸(0.38g)とトリエチルアミン(0.22g)を加えて室温下に6時間撹拌した。反応終了後、反応液に水を加えて目的物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)にて精製することにより目的化合物(0.21g;収率24%;m.p.122−127℃)を得た。
【0111】
製造例2.化合物No.2−19の製造
4−クロロフェノール(10g)、クロロアセトン(10.8g)、無水炭酸カリウム(12.9g)及びヨウ化カリウム(1.3g)をアセトン(100ml)に加えて、6時間加熱還流した。反応終了後、反応液を濾過し、濾液を濃縮することにより4−クロロフェノキシアセトン(14g)を得た。
得られた4−クロロフェノキシアセトン(6.0g)、シアン化ナトリウム(1.1g)及び塩化アンモニウム(2.6g)を28%アンモニア水(20ml)に加えて、激しく一昼夜撹拌した。反応終了後、反応液に酢酸エチルを加え、水を加えて水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去することにより2−アミノ−2−メチル−3−(4−クロロフェノキシ)プロパンニトリル(6.5g)を得た。4−クロルフェニル酢酸(0.4g)を塩化チオニル(1ml)に加えて1時間加熱還流した後、過剰の塩化チオニルを減圧留去した。得られた酸クロリドを2−アミノ−2−メチル−3−(4−クロロフェノキシ)プロパンニトリル(0.49g)及びトリエチルアミン(0.26g)を溶解したTHF溶液(5ml)に氷冷下に加え、室温にて3時間撹拌した。反応終了後、反応液に水を加えて目的物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた固体状の残渣をヘキサン−エーテルにて洗浄することにより目的化合物(0.56g;収率66%;m.p.152℃)を得た。
【0112】
試験は、Ahmed SA et al., 1994. Journal of Immunological Methods 170: 211−224、又は、Boyed MR et al., 1989.に記載の方法に準じて行った。
【0113】
実施例1 OVCAR−3細胞増殖阻害活性試験
2.5×10/wellに調製したヒト卵巣腫細胞株(OVCAR−3)の細胞懸濁液をウエルマイクロプレートに添加し、当該培養液に所定量の被試験物質(30μM)又は対照溶媒を添加し、72時間培養した。その後各ウェルに9%のAlamaerBlueを添加し、更に6時間培養した。その後マイクロプレートリーダーで530nm(参照波長590nm)にて測定した吸光度から細胞増殖抑制率を次式より算出した。
【0114】
【数1】
【0115】
実施例2 SK−N−MC細胞増殖阻害活性試験
ヒト神経上皮腫細胞株(SK−N−MC)について、前培養開始時の細胞数を5×10/wellに変更し、実施例1と同様に試験を行った。
【0116】
実施例3 U−87細胞増殖阻害活性試験
ヒト脳膠芽細胞株(U−87)について、前培養開始時の細胞数を1.5×10/wellに変更し、実施例1と同様に試験を行った。
【0117】
その結果、1−4、1−5、1−6、1−9、1−10、1−17、1−18、1−23、1−25、1−41、1−42、1−50、1−55、1−56、1−93、1−94、2−3、2−26、2−27、2−36、2−37、2−51、2−54、2−60、2−63、2−66、2−72、2−73、2−75、2−76、2−84、2−94、2−98、2−101、2−102、2−103、2−104、2−105、2−106、2−109、2−110、2−112、2−113、2−114、2−115、2−116、2−120、2−128、2−129、2−130、2−132、2−135、2−136、2−137、2−138、2−139、2−141、2−142、2−143、2−145、2‐146、4−1、5−7、5−21、5−28、5−31、5−33、5−42、5−48、5−52、5−53、5−54、5−55、5−58、5−60、5−61、5−74、5−75、5−76、5−130、5−131、5−140、5−141、5−144、5−145、5−146、5−148、5−149、5−150、5−157、5−158、5−159、5−160、6−12、6−15、6−16、6−19、6−24、6−27、6−28、6−30、6−50、6−76、6−77、6−79、6−81、6−82、6−87、6−107、及び6−108の化合物は、OVCAR−3に対して30μMで50%以上の細胞増殖抑制効果を示した。
【0118】
1−4、1−5、1−6、1−9、1−10、1−18、1−25、1−29、1−33、1−39、1−40、1−41、1−42、1−47、1−50、1−51、1−54、1−55、1−56、1−67、1−69、1−73、1−74、1−76、1−87、1−90、1−93、1−94、1−95、2−36、2−37、2−51、2−54、2−60、2−63、2−66、2−72、2−73、2−76、2−84、2−87、2−94、2−98、2−103、2−109、2−110、2−112、2−113、2−114、2−115、2−116、2−120、2−129、2−130、2−132、2−135、2−136、2−137、2−138、2−139、2―141、2−142、2−143、2−144、2−145、2−146、4−1、5−8、5−9、5−21、5−28、5−31、5−45、5−51、5−52、5−53、5−54、5−55、5−56、5−57、5−59、5−60、5−61、5−62、5−63、5−64、5−65、5−66、5−67、5−69、5−71、5−74、5−75、5−77、5−78、5−90、5−130、5−131、5−141、5−143、5−144、5−146、5−147、5−149、5−150、5−156、5−158、5−159、5−160、6−12、6−13、6−14、6−16、6−18、6−27、6−29、6−30、6−77、6−79、6−82、6−87、6−94、6−99、6−106、6−107、及び6−108の化合物は、SK−N−MCに対して30μMで50%以上の細胞増殖抑制効果を示した。
【0119】
1−5、1−6、1−25、1−41、1−42、1−74、1−76、1−93、1−94、2−54、2−76、2−84、2−109、2−110、2−112、2−113、2−114、2−116、2−120、2−136、2−137、2−143、2−145、2−146、4−1、5−18、5−19、5−21、5−33、5−45、5−63、5−66、5−69、5−75、5−81、5−115、5−136、5−147、5−152、5−153、5−156、5−158、5−159、5−160、6−12、6−14、6−24、6−27、6−29、6−30、6−66、6−87、6−99、6−114、及び6−116の化合物は、U−87に対して30μMで50%以上の細胞増殖抑制効果を示した。
【0120】
実施例4 A2780(上皮性卵巣癌:epithelial ovarian cancer)に対する細胞増殖阻害活性試験
2〜3×10/wellに調製した卵巣腫細胞株(A2780)の細胞懸濁液をウェルマイクロプレートに添加し、当該培養液に所定量の被試験物質(0、1.25、2.5、5、10、12.5、20、25、50、100μM)を添加し、72時間培養した。その後各ウェルに0.4%のsulforhodamine Bを添加し、マイクロプレートリーダーで570nmにて測定した吸光度から、上記式に従って細胞増殖抑制率を算出し、そのデータからIC50値を求めた。比較対象として、A2780細胞をHOSE細胞(正常な卵巣細胞株)に換えて、同様に試験し、IC50値を求めた。結果を第7表に示す。
【0121】
【表7】
【0122】
以上の結果より、本発明のアミノアセトニトリル化合物は、優れた抗癌活性を示し、正常細胞に対する毒性は軽いことが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明のアミノアセトニトリル化合物又はその薬理学的に許容される塩は、細胞増殖阻害剤又は抗癌剤として有用である。
【0124】
本出願は、特願2013−190509(出願日:2013年9月13日)を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。