(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記分子ビーム生成システムは第1の分子ビーム生成システムを含み、前記GCIB処理システムは、前記真空処理システム内に第2の分子ビーム生成システムをさらに含む、請求項1に記載のGCIB処理システム。
前記分子ビーム及び前記GCIBは前記基板の前記露出面に対して略垂直入射角に傾斜されており、前記分子ビーム及び前記GCIBはお互いに対して5〜45°の範囲の角度変位で傾斜されている、請求項1に記載のGCIB処理システム。
前記分子ビーム生成システムは、前記GCIB又は前記基板と相互作用する第2の分子ビームを生成するために第2の圧力ノズルを含む、請求項1に記載のGCIB処理システム。
前記分子ビーム生成システムは、前記GCIB又は前記基板と相互作用する第3の分子ビームを生成するために第3の圧力ノズルを含む、請求項1に記載のGCIB処理システム。
前記分子ビーム生成システムに連結されるとともに、前記分子ビーム生成システムに反応性ガス又は不活性ガスを供給するように構成された1つ以上の高圧源をさらに含む、請求項8に記載のGCIB処理システム。
前記分子ビーム生成システムに連結されるとともに、前記基板に対する前記分子ビームの向きを変更するように構成された分子ビーム位置決めシステムをさらに含む、請求項1に記載のGCIB処理システム。
前記分子ビームを生成することは、入口と出口との間で圧力差を維持可能なノズルに1つ以上のガスを提供することを含み、該1つ以上のガスは窒素含有ガス、アルゴン含有ガス又はその組み合わせを含む、請求項14に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ガスクラスターイオンビーム(GCIB)を用いて、基板上のシリコン含有層、Ge含有層、金属含有層及び半導体層を含む層をエッチングするための方法の様々な実施形態を説明する。当業者であれば、これらの様々な実施形態が特定の詳細のうちの1つ以上がない状態で又は他の代替物及び/又は追加の方法、材料又は構成要素を用いて実施され得ることを認識する。他の場合では、本発明の様々な実施形態の態様を曖昧にするのを避けるために、既知の構造、材料又は作業を図示していないか又は詳細に説明していない。同様に、説明を目的として、本発明の完全な理解を提供するために特定の数、物質及び構成が記載されている。しかしながら、本発明は特定の詳細なく実施され得る。さらに、図面に示す様々な実施形態は例示であって、必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【0012】
本明細書の全体を通じて、「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、該実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造、物質又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味するが、それらが全ての実施形態に存在することを表すものではない。そのため、本明細書全体に亘って様々な部分にでてくる「一実施形態では」又は「実施形態では」という用語は本発明の同じ実施形態を必ずしも意味しない。さらに、特定の特徴、構造、物質又は特性が1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わされ得る。他の実施形態では、様々な付加的な層及び/又は構造体が含まれ得る及び/又は説明する特徴が省略されていることがある。
【0013】
本願で使用の「基板(substrate)」という用語は、本発明に従って処理される物体を一般的に意味する。基板は装置、特に半導体又は他の電子装置の任意の材料部分又は構造を含み得る。基板は、例えば半導体ウエハ等のベース基板構造体又は薄膜等のベース基板構造体上の若しくはベース基板構造体を覆う層であり得る。そのため、基板は任意の特定のベース構造体、下位層又は上位層、パターン又は非パターンに限定されず、むしろ、そのような層又はベース構造体並びに層及び/又はベース構造体の任意の組み合わせを含むものと考えられる。下記の説明では特定種類の基板に言及する場合があるが、これは例示を目的としたものであってそれらに限定されない。
【0014】
部分的に上述したように、他のプロセス結果のなかでもエッチング速度、エッチング選択比、CD(限界寸法)制御を含むプロファイル制御及び表面粗さは、パターンエッチングの成功を決定する不可欠なメトリックス(metrics)を提供する。一例として、基板上の材料層にフィーチャーパターン(feature pattern)を移す場合、適切なプロセススループットに十分な速度で一方の材料を選択的にエッチングしながらパターン面及び隣接する面のパターンプロファイル及び表面粗さを制御することが重要である。さらに、基板上の材料層に形成された全てのフィーチャーパターンについてエッチング速度、エッチング選択比及びエッチングプロファイルを均一に制御すること及び/又は基板上の材料層に形成されたフィーチャーパターンのためにこれらのパラメータの制御を空間的に調整することが重要である。
【0015】
従って、様々な実施形態によれば、Si含有材料、Ge含有材料、金属含有材料、半導体含有材料及び/又はカルコゲニド材料等の基板上の材料をエッチングするための方法を説明する。次に図面を参照して(いくつかの図面を通じて同様の参照符号は対応する部分を示す)、
図1は一実施形態に係る、基板上の様々な材料をエッチングするための方法を示すフローチャート1を提供する。さらに、基板をエッチングするための例示の方法を
図2A及び
図2Bに図示する。
【0016】
フローチャート1に示す方法は、10から始まる。10では、ガスクラスターイオンビーム(GCIB)処理システムにおいて、基板22を保持する基板ホルダーの周りで減圧環境が維持される。基板22は第1の材料と、第2の材料と、第1の材料及び/又は第2の材料を露出する表面とを含み得る。GCIB処理システムは、後で
図5、
図6若しくは
図7又はそれらの任意の組み合わせで説明するGCIB処理システム(100、100’又は100’’)のいずれか1つを含み得る。
【0017】
図2Aに示すように、基板22の少なくとも部位20を覆う材料層24がGCIB25を用いてエッチングされ得る。一例として、第1の材料は材料層24を含み、第2の材料は基板22を含み得る。第1の材料及び/又は第2の材料を露出する表面は、材料層24のエッチングの間は材料層24の上面を含むか又は材料層24全体でエッチングが進んでいる場合は材料層24と基板22との界面を含み得る。
【0018】
あるいは、
図2Bに示すように、基板22の少なくとも部位20’を覆う材料層24’をGCIB25’を用いてエッチングをし、マスク層26に形成された第1のパターン27を材料層24’に移転させて第2のパターン28が作成される。一例として、第1の材料はマスク層26を含み、第2の材料は材料層24’を含み得る。第1の材料及び/又は第2の材料を露出する面はマスク層26の露出面及び材料層24’の露出面を含み得る。
【0019】
図2Bに示すように、第1のパターン27が形成されたマスク層26は材料層24’に又は材料層24’の上で調製され得る。マスク層26は、フォトレジスト等の放射線感受性材料の層で基板22を被覆することにより形成され得る。例えば、フォトレジストは、トラックシステムにより促進される処理等のスピンコーティング法を用いて基板に適用され得る。それに加えて、例えば、フォトレジスト層はリソグラフィシステムを用いてイメージパターンに露出され、その後、フォトレジスト層にパターンを形成するためにイメージパターンが現像液中で現像される。
【0020】
フォトレジスト層は248nm(ナノメートル)レジスト、193nmレジスト、157nmレジスト又はEUV(極紫外線)レジストを含み得る。フォトレジスト層はトラックシステムを用いて形成できる。例えば、トラックシステムは、東京エレクトロン株式会社(TEL)から市販されているCLEAN TRACK ACT8、ACT12又はLITHIUSレジストコーティング現像システムを含み得る。スピンオンレジスト技術の当業者にとって、フォトレジスト膜を基板上に形成するための他のシステム及び方法は周知である。
【0021】
電磁(EM)放射のパターンへの露出はドライ又はウェットフォトリソグラフィシステムで行われ得る。イメージパターンは、任意の好適な従来のステッピングリソグラフシステム又は走査リソグラフシステムを用いて形成することができる。例えば、フォトリソグラフシステムはASMLオランダ社(De Run 6501, 5504 DR Veldhoven, The Netherlands)又はキャノンUSA社の半導体装置部門(3300 North First Street, San Jose, CA 95134)から市販され得る。
【0022】
現像プロセスは、トラックシステム等の現像システム内で基板を現像液に晒すことを含むことができる。例えば、トラックシステムは、東京エレクトロン株式会社(TEL)から市販されているCLEAN TRACK ACT8、ACT12又はLITHIUSレジストコーティング現像システムを含み得る。
【0023】
フォトレジスト層はウェットストリッピング法、ドライプラズマアッシング法又はドライノンプラズマアッシング法を用いて除去され得る。
【0024】
マスク層26は複数の層を含み得る。マスク層26に形成された第1のパターン27はウェットプロセス法、ドライプロセス法又は双方の方法の組み合わせを用いて形成され得る。単層又は複層のマスク層26の形成は、リソグラフィ及びパターンエッチング技術の分野の当業者に理解されている。第1のパターン27がマスク層26に形成されると、マスク層26は下層をパターン化するために利用され得る。
【0025】
あるいは、
図2Cに示すように、第1の材料層24’’と、基板22の部位20’’を少なくとも覆う第2の材料層24’’’は、第1の材料層24’’及び第2の材料層24’’’を平坦化するためにGCIB25’’を用いてエッチングされる。一例として、第1の材料は第1の材料層24’’を含み、第2の材料は第2の材料層24’’’を含み得る。第1の材料及び/又は第2の材料を露出する表面は第1の材料層24’’の露出面及び第2の材料層24’’’の露出面を含み得る。
【0026】
方法は11に進む。11では、GCIB処理システムの減圧環境内で基板22が強固に保持される。基板22の温度は調整してもよいししなくてもよい。例えば、基板22はGCIB処理プロセスの間に加熱又は冷却され得る。それに加えて、基板22は導体材料、半導体材料又は誘電材料又はそれらのうちの2つ以上の組み合わせを含み得る。例えば、基板22は、シリコン、シリコンオンインシュレーター(SOI)、ゲルマニウム又はその組み合わせ等の半導体材料を含み得る。それに加えて、例えば、基板22は結晶シリコンを含み得る。
【0027】
また、基板22は基板22の一部(20、20’、20’’)に第1及び/又は第2の材料層(24、24’、24’’、24’’’、26)を含み得る。第1及び/又は第2の材料層(24、24’、24’’、24’’’、26)はSi含有材料及び/又はGe含有材料を含み得る。Si含有材料はSiと、O、N、C及びGeからなる群から選択される少なくとも1つの元素とを含み得る。Ge含有材料はGeと、O、N、C及びSiからなる群から選択される少なくとも1つの元素とを含み得る。
【0028】
例えば、第1及び/又は第2の材料層(24、24’、24’’、24’’’、26)はシリコン、ドープシリコン、アンドープシリコン、アモルファスシリコン、単結晶シリコン、多結晶シリコン、酸化シリコン(SiO
x、ここでx>0;例えばSiO
2)、窒化シリコン(SiN
y、ここでy>0;例えばSiN
1.33、Si
3N
4)、炭化シリコン(SiC
z、ここでz>0)、酸窒化シリコン(SiO
xN
y、ここでx、y>0)、オキシ炭化シリコン(SiO
xC
y、ここでx、y>0)、炭窒化シリコン(SiC
xN
y、ここでx、y>0)又はシリコンゲルマニウム(Si
xGe
1−x、ここでxはSiの原子分率、1−xはGeの原子分率、0<1−x<1)を含み得る。列挙した上記の材料のいずれか1つは、B、C、H、N、P、As、Sb、O、S、Se、Te、F、Cl、Br及びIからなる群から選択される元素でドープされるか又は注入されていてもよい。また、列挙した上記の材料のいずれか1つは、金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土金属、遷移金属又はポスト遷移金属でドープされるか又は注入されてもよい。また、列挙した上記の材料のいずれかはアモルファス相又は結晶相であり得る。
【0029】
それに加えて、第1及び/又は第2の材料層(24、24’、24’’、24’’’、26)は金属含有材料を含み得る。金属含有材料はアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ポスト遷移金属、貴金属又は希土金属を含み得る。金属含有材料は、Sc、Y、Zr、Hf、Nb、Ta、V、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In及びSnからなる群から選択される遷移金属又はポスト遷移金属を含み得る。金属含有材料は金属、金属合金、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属シリサイド、金属ゲルマニウム化合物、金属硫化物等を含み得る。
【0030】
さらに、第1及び/又は第2の材料層(24、24’、24’’、24’’’、26)も半導体材料を含み得る。半導体材料は、III−V化合物(例えば、GaAs、GaN、GaP、InAs、InN、InP等)、II−V化合物(例えば、Cd
3P
2等)又はII−VI化合物(例えばZnO、ZnSe、ZnS等)等の化合物半導体を含み得る(II族、III族、V族、VI族は元素の周期表における従来の又は古いIUPACの表記法を意味し、改訂された又は新しいIUPACの表記法によれば、これらの族は2族、13族、15族、16族をそれぞれ意味し得る)。材料層(24、24’)はカルコゲニド(例えば、硫化物、セレン化物、テルル化物)も含み得る。
【0031】
また、第1及び/又は第2の材料層(24、24’、24’’、24’’’、26)はフォトレジスト(例えば、前に列挙したレジスト材料のうちの1つ)、ソフトマスク層、ハードマスク層、反射防止膜(ARC)層、有機平坦化層(OPL)又は有機誘電層(ODL)又はそれらのうちの2つ以上の組み合わせを含み得る。
【0032】
1つの例では、第1の材料はフォトレジストを含み、第2の材料はSi含有材料、Ge含有材料、金属含有材料、半導体材料又はカルコゲニド材料を含む。別の例では、第1の材料はシリコンを含み、第2の材料は、Siと、O、N、C及びGeからなる群から選択される1以上の元素とを有するSi含有材料を含む。シリコンはドープSi、非ドープSi、p−ドープSi、n−ドープSi、結晶Si、アモルファスSi、単結晶Si(又は単結晶Si)、多結晶Si等を含み得る。別の例では、第1の材料はSi含有材料を含み、第2の材料はGe含有材料を含む。さらに別の例では、第1の材料はSi含有材料を含み、第2の材料は金属含有材料を含む。
【0033】
12では、1つ以上の目標エッチングプロセスメトリックスが選択される。上述したように、また下記で詳細に説明するように、目標エッチングプロセスメトリックスは第1の材料のエッチング速度、第2の材料のエッチング速度、第1の材料と第2の材料とのエッチング選択比、第1の材料の表面粗さ、第2の材料の表面粗さ、第1の材料のエッチングプロファイル及び第2の材料のエッチングプロファイルを含み得る。
【0034】
13では、少なくとも1つのエッチングガスを含む加圧ガス混合物からガスクラスターイオンビーム(GCIB)が形成される。少なくとも1つのエッチングガスはハロゲン要素を含み得る。少なくとも1つのエッチングガスはハロゲン要素と、C、H、N及びSからなる群から選択される1以上の要素とを含み得る。
【0035】
例えば、少なくとも1つのエッチングガスはF
2、Cl
2、Br
2、NF
3又はSF
6を含み得る。それに加えて、少なくとも1つのエッチングガスはHF、HCl、HBr又はHI等のハロゲン化合物を含み得る。さらに、例えば、少なくとも1つのエッチングガスは一置換ハロメタン(例えば、CH
3F、CH
3Cl、CH
3Br、CH
3I)、二置換ハロメタン(例えば、CH
2F
2、CH
2ClF、CH
2BrF、CH
2FI、CH
2Cl
2、CH
2BrCl、CH
2ClI、CH
2Br
2、CH
2BrI、CH
2I
2)、三置換ハロメタン(例えば、CHF
3、CHCIF
2、CHBrF
2、CHF
2I、CHCl
2F、CHBrClF、CHClFI、CHBr
2F、CHBrFI、CHFI
2、CHCl
3、CHBrCl
2、CHCl
2I、CHBr
2Cl、CHBrClI、CHClI
2、CHBr
3、CHBr
2I、CHBrI
2、CHI
3)又は四置換ハロメタン(例えば、CF
4、CClF
3、CBrF
3、CF
3I、CCl
2F
2、CBrClF
2、CClF
2I、CBr
2F
2、CBrF
2I、CF
2I
2、CCl
3F、CBrCl
2F、CBrClFl、CClFI
2、CBr
3F、CBr
2FI、CBrFI
2、CFI
3、CCl
4、CBrCl
3、CCl
3I、CBr
2CCl
2、BrCl
2I、CCl
2I
2、CBr
3Cl、CBr
2ClI、CBrClI
2、CClI
3、CBr
4、CBr
3I、CBr
2I
2、CBrl
3、Cl
4)を含み得る。
【0036】
GCIBを形成するには、エッチングガスの構成要素は、気相において単独で又は比較的高圧の(例えば1気圧以上の圧力)運搬ガス(例えば希ガス要素又は窒素)との組み合わせで存在するものを選択すべきである。
【0037】
一実施形態では、Si含有及び/又はGe含有材料をエッチングする場合、少なくとも1つのエッチングガスはF、Cl及びBrからなる群から選択されるハロゲン要素を含む。少なくとも1つのエッチングガスはC若しくはH又はC及びHの双方を含み得る。例えば、少なくとも1つのエッチングガスはハロゲン化合物又はハロメタンを含み得る。それに加えて、例えば、少なくとも1つのエッチングガスはSF
6、NF
3、F
2、Cl
2、Br
2、HF、HCl、HBr、CClF
3、CBrF
3、CHClF
2又はC
2ClF
5又はそれらのうちの2つ以上の任意の組み合わせを含み得る。
【0038】
別の実施形態では、Si含有及び/又はGe含有材料をエッチングする場合、少なくとも1つのエッチングガスは2つの異なるハロゲン要素を含む。第1のハロゲン要素はCl及びBrからなる群から選択され、第2のハロゲン要素はFを含み得る。少なくとも1つのエッチングガスはさらにC若しくはH又はC及びHの双方を含み得る。例えば、少なくとも1つのエッチングガスはハロメタンを含み得る。それに加えて、例えば、少なくとも1つのエッチングガスはCClF
3、CBrF
3、CHClF
2又はC
2ClF
5又はそれらのうちの2つ以上の任意の組み合わせを含み得る。
【0039】
別の実施形態では、Siと、O、C、N及びGeからなる群から選択される1つ以上の要素とを有するSi含有材料をエッチングする場合、少なくとも1つのエッチングガスはC、H及びハロゲン要素を含む。例えば、エッチングガスはハロメタンを含み得る。それに加えて、例えば、エッチングガスはCH
3F、CH
3Cl、CH
3Br、CHF
3、CHClF
2、CHBrF
2、CH
2F
2、CH
2ClF、CH
2BrF、CHCl
2F、CHBr
2F、CHCl
3、CHBrCl
2、CHBr
2Cl又はCHBr
3又はそれらのうちの2つ以上の任意の組み合わせを含み得る。
【0040】
別の実施形態では、金属含有材料をエッチングする場合、エッチングガスはF、Cl及びBrからなる群から選択されるハロゲン要素を含む。エッチングガスはC若しくはH又はC及びHの双方をさらに含み得る。例えば、エッチングガスはハロゲン化合物又はハロメタンを含み得る。それに加えて、例えば、エッチングガスはSF
6、NF
3、F
2、Cl
2、Br
2、HF、HCl、HBr、CClF
3、CBrF
3、CHClF
2又はC
2ClF
5又はそれらのうちの2つ以上の任意の組み合わせを含み得る。
【0041】
別の実施形態では、金属含有材料をエッチングする場合、エッチングガスは2つの異なるハロゲン要素を含む。第1のハロゲン要素はCl及びBrからなる群から選択され、第2のハロゲン要素はFを含み得る。エッチングガスはC若しくはH又はC及びHの双方をさらに含み得る。例えば、エッチングガスはハロメタンを含み得る。それに加えて、例えば、エッチングガスはCClF
3、CBrF
3、CHClF
2又はC
2ClF
5又はそれらのうちの2つ以上の任意の組み合わせを含み得る。
【0042】
さらに別の実施形態では、カルコゲニド材料をエッチングする場合、エッチングガスはハロゲン要素を含む。例えば、エッチングガスはハロゲン化合物又はハロメタンを含み得る。それに加えて、例えば、エッチングガスはF
2、Cl
2、Br
2、HF、HCl、HBr、NF
3、SF
6、CH
3F、CH
3Cl、CH
3Br、CHF
3、CHClF
2、CHBrF
2、CH
2F
2、CH
2ClF、CH
2BrF、CHCl
2F、CHBr
2F、CHCl
3、CHBrCl
2、CHBr
2Cl又はCHBr
3又はそれらのうちの2つ以上の任意の組み合わせを含み得る。
【0043】
少なくとも1つのエッチングガスは第1のエッチングガス及び第2のエッチングガスを含み得る。一実施形態では、第1のエッチングガスはCl又はBrを含み、第2のエッチングガスはFを含む。例えば、第1のエッチングガスはCl
2を含み、第2のエッチングガスはNF
3を含み得る。別の実施形態では、第1のエッチングガスはハロメタン又はハロゲン化合物を含み、第2のエッチングガスはF,Cl又はBrを含み得る。別の実施形態では、第1のエッチングガスはC、H及びハロゲン要素を含み、第2のエッチングガスはF、Cl又はBrを含み得る。例えば、第1のエッチングガスはCHF
3、CHCl
3又はCHBr
3を含み、第2のエッチングガスはNF
3又はCl
2を含み得る。第1のエッチングガス及び第2のエッチングガスは連続的にGCIBに導入され得る。あるいは、第1のエッチングガス及び第2のエッチングガスは交互に且つ連続してGCIBに導入され得る。
【0044】
加圧ガス混合物は、ハロゲン要素を含む化合物、F及びCを含む化合物、H及びCを含む化合物又はC、H及びFを含む化合物又はそれらのうちの2つ以上の任意の組み合わせをさらに含み得る。それに加えて、加圧ガス混合物は塩素含有化合物、フッ素含有化合物又は臭素含有化合物をさらに含み得る。それに加えて、加圧ガス混合物は、C、F、H、Cl及びBrからなる群から選択される1つ以上の要素を含む化合物をさらに含み得る。それに加えて、加圧ガス混合物はシリコン含有化合物、ゲルマニウム含有化合物、窒素含有化合物、酸素含有化合物又は炭素含有化合物又はそれらのうちの2つ以上の任意の組み合わせをさらに含み得る。さらに、加圧ガス混合物は、B、C、H、Si、Ge、N、P、As、O、S、F、Cl及びBrからなる群から選択される1つ以上の要素をさらに含み得る。また、加圧ガス混合物はHe、Ne、Ar、Kr、Xe、O
2、CO、CO
2、N
2、NO、NO
2、N
2O、NH
3、F
2、HF、SF
6又はNF
3又はそれらのうちの2つ以上の任意の組み合わせをさらに含み得る。
【0045】
さらに、GCIBは少なくとも1つのドーパントを含む加圧ガス混合物又は薄膜を堆積又は成長させるための膜形成要素又はそれらのうちの2以上の任意の組み合わせから生成され得る。
【0046】
別の実施形態では、GCIBはエッチングガスを含む第1の加圧ガス混合物と、膜形成ガスを含む第2の加圧ガス混合物とを交互に且つ連続して用いることにより生成され得る。さらに他の実施形態では、エッチングの間にGCIBの組成及び/又はよどみ点圧力が調整され得る。
【0047】
14では、1以上の目標エッチングプロセスメトリックスを得るために、GCIBのためのGCIBプロセス条件のうちの1以上のGCIB特性が設定される。エッチング速度、エッチング選択比、表面粗さ制御、プロファイル制御等の上記の目標エッチングプロセスメトリックスを得るために、GCIBは、ビーム加速度ポテンシャル、1つ以上のビームフォーカスポテンシャル及びビーム線量を選択すること、ビーム加速度ポテンシャルに従ってGCIBを加速すること、1つ以上のビームフォーカスポテンシャルに従ってGCIBをフォーカスさせること及びビーム線量に従って、基板の少なくとも一部に加速GCIBを照射することを行うことによって生成され得る。
【0048】
さらに、これらのGCIB特性に加えて、ビームエネルギー、ビームエネルギー分布、ビーム角度分布、ビーム広がり角、よどみ点圧力、よどみ点温度、質量流量、クラスターサイズ、クラスターサイズ分布、ビームサイズ、ビーム組成、ビーム電極電位又はガスノズルのデザイン(ノズルスロート直径、ノズル長さ及び/又はノズル収縮部半角(nozzle divergent section half-angle))が選択され得る。前述したGCIB特性のうちの1つ以上を選択して、上述したもの等の目標エッチングプロセスメトリックスの制御を実現できる。さらに、前述したGCIB特性のうちの1つ以上を変更して、上述したもの等の目標エッチングプロセスメトリックスの制御を実現できる。
【0049】
図3Aには、GCIBのためのビームエネルギー分布関数の概略的なグラフを示す。例えば、
図3Aはいくつかのエネルギー分布(30A、30B、30C、30D)のグラフを示し、方向35の分布が進行するのに伴ってピークビームエネルギーが減少し、エネルギー分布が広がる。
【0050】
GCIBのためのビームエネルギー分布関数は、少なくともGCIBの一部が増圧領域を横切るようにGCIB経路に沿って増圧領域を通過するように各GCIBを方向付けることで変更してもよい。ビームエネルギー分布の変更の程度は、GCIB経路の少なくとも一部に沿った圧力と距離(d)との積分(pressure-distance (d) integral)によって特徴付けられ得る。圧力と距離との積分の値が増加すると(圧力及び/又は経路の長さ(d)を大きくすることによって)、ビームエネルギー分布が広くなりピークエネルギーが減少する。圧力と距離との積分の値が減少すると(圧力及び/又は経路の長さ(d)を小さくすることによって)、ビームエネルギー分布が狭くなりピークエネルギーが増加する。一例として、ビームエネルギー分布を広げてビーム広がりを大きくしてもよいし、ビームエネルギー分布を狭くしてビーム広がりを小さくしてもよい。
【0051】
GCIB経路の少なくとも一部に沿った圧力と距離との積分は約0.0001torr−cm以上であり得る。あるいは、GCIB経路の少なくとも一部に沿った圧力と距離との積分は約0.001torr−cm以上であり得る。あるいは、GCIB経路の少なくとも一部に沿った圧力と距離との積分は約0.01torr−cm以上であり得る。一例として、GCIB経路の少なくとも一部に沿った圧力と距離との積分の範囲は0.0001torr−cm〜0.01torr−cmであり得る。別の例として、GCIB経路の少なくとも一部に沿った圧力と距離との積分の範囲は0.001torr−cm〜0.01torr−cmであり得る。
【0052】
あるいは、各GCIBの荷電状態を変更又は修正することによりGCIBのためのビームエネルギー分布関数を変更してもよい。例えば、ガスクラスターの電子衝突誘発イオン化で用いられる電子のための電子フラックス、電子エネルギー又は電子エネルギー分布を調整することにより荷電状態が変更され得る。
【0053】
図3Bには、GCIBのためのビーム角度分布関数のグラフを示す。例えば、
図3Bは、入射方向45における第1のピーク42(即ち、相対角度は0°)及び第1の幅44(例えば、半値幅(FWHM))によって特徴付けられる第1のビーム角度分布関数40のグラフを示す。それに加えて、例えば、
図3Bは、入射方向45における第2のピーク42’
(即ち、相対角度は0°)及び第2の幅44’(例えば、半値幅(FWHM))によって特徴付けられる第2のビーム角度分布関数40’のグラフを示す。第1のビーム角度分布関数40は狭い分布を表し、第2のビーム角度分布関数40’は比較的広い分布(又は比較的広いビーム広がり角)を表す。そのため、ビーム角度分布関数を変更することにより(例えば、第1のビーム角度分布関数40と第2のビーム角度分布関数40’との角度分布を変更することにより)基板への垂直入射に対するGCIBの指向性が調整され得る。ビーム角度分布又はビーム広がり角は、ビームエネルギー分布関数を変更するために前述した方法を用いて変更してもよい。
【0054】
一実施形態では、GCIBプロセス条件の1つ以上のGCIB特性は、GCIB組成、ビーム線量、ビーム加速度ポテンシャル、ビームフォーカスポテンシャル、ビームエネルギー、ビームエネルギー分布、ビーム角度分布、ビーム広がり角、GCIB組成の流量、よどみ点圧力、よどみ点温度、GCIBが通る増圧領域の背景ガスの圧力(例えば、下記で詳述するP−Cell値)を含み得る。
【0055】
別の実施形態では、1つ以上の目標エッチングプロセスメトリックスを得るための1つ以上のGCIB特性の設定はGCIB組成、ビーム加速度ポテンシャル、GCIB組成の流量、GCIBが通る増圧領域の背景ガスの流量を設定して、第1の材料及び/又は第2の材料の目標エッチング速度、第1の材料と第2の材料との目標エッチング選択比及び第1の材料及び/又は第2の材料のための目標表面粗さのうちの2つ以上を得ることを含み得る。
【0056】
以下に示すように、第1の材料と第2の材料との目標エッチング選択比を1(unity)未満の値、実質的に1に近い値及び1より大きい値に変更するために1つ以上のGCIB特性が調整され得る。さらに、以下で示すように、第1の材料及び/又は第2の材料のための目標表面粗さを5オングストローム以下の値に変更するために1つ以上のGCIB特性が調整され得る。また、第1及び/又は第2の材料のために比較的高いエッチング速度状態を得るために又は第1及び/又は第2の材料のために比較的低いエッチング速度状態を得るために1つ以上のGCIB特性が調整され得る。
【0057】
15では、ビーム加速度ポテンシャルに従ってGCIBが減圧環境を通って基板22の方へと加速される。GCIBの場合、ビーム加速度ポテンシャルの範囲は最大100kV、ビームエネルギーの範囲は最大で100KeV、クラスターサイズの範囲は最大で数万の原子、ビーム線量の範囲は最大で約1×10
17クラスター/cm
2であり得る。例えば、GCIBのビーム加速度ポテンシャルの範囲は約1kV〜約70kV(即ち、平均クラスター荷電状態が1であると仮定した場合、ビームエネルギーの範囲は約1KeV〜約70KeV)であり得る。それに加えて、例えば、GCIBのビーム線量の範囲は約1×10
12クラスター/cm
2〜約1×10
14クラスター/cm
2であり得る。
【0058】
GCIBは、原子毎のエネルギーの比(energy per atom ratio)の範囲が約0.25eV/原子〜約100eV/原子で確立され得る。あるいは、GCIBは、原子毎のエネルギーの比の範囲が約0.25eV/原子〜約10eV/原子で確立され得る。あるいは、GCIBは、原子毎のエネルギーの比の範囲が約1eV/原子〜約10eV/原子で確立され得る。
【0059】
所望の原子毎のエネルギー比を有するGCIBの確立はビーム加速度ポテンシャル、GCIBを形成するためのよどみ点圧力又はガス流量又はそれらの任意の組み合わせの選択を含み得る。ビーム加速度ポテンシャルはイオンクラスター毎のビームエネルギー又はエネルギーを増やすか又は減らすのに使用され得る。例えば、ビーム加速度ポテンシャルの増加は最大ビームエネルギーの増加をもたらし、その結果、所定のクラスターサイズについての原子毎のエネルギー比の増加をもたらす。それに加えて、よどみ点圧力は所定のクラスターについてクラスターサイズを増やすか又は減らすのに使用され得る。例えば、GCIBの形成の間のよどみ圧力の増加はクラスターサイズの増加(即ち、クラスター毎の原子の数)をもたらし、その結果、所定のビーム加速度ポテンシャルについて原子に対するエネルギーの比の減少をもたらす。
【0060】
ここで、ビーム線量は単位面積当たりのクラスターの数の単位として与えられる。しかしながら、ビーム線量はビーム電流及び/又は時間(例えば、GCIB滞留時間)も含み得る。例えば、ビーム電流が測定されるとともに一定に維持される一方で、時間を変更してビーム線量が変更され得る。あるいは、例えば、クラスターが単位面積当たりの基板の表面を直撃する速度(即ち、単位時間当たりの単位面積当たりのクラスターの数)が一定にされる一方で、時間が変更されてビーム線量が変更され得る。
【0061】
16では、基板22上の第1の材料及び第2の材料の少なくとも一方をエッチングするために、基板22の表面の少なくとも一部にGCIBを照射する。
【0062】
図1に記載の方法は、1つ以上の目標エッチングプロセスメトリックスを変更して1つ以上の新たな目標エッチングプロセスメトリックスを作成すること及び該1つ以上の新たな目標エッチングプロセスメトリックスを実現するためにGCIBのための追加のGCIBプロセス条件の1つ以上の追加のGCIB特性を設定することをさらに含み得る。
【0063】
別の実施形態によれば、GCIBで基板22を照射することに加えて、追加の制御及び/又は機能のために別のGCIBが用いられ得る。第2のGCIB等の別のGCIBで基板22を照射することは、GCIBの使用の前、間又は後で行われ得る。例えば、別のGCIBは不純物で基板22の一部をドープするのに用いられ得る。それに加えて、例えば、基板22の一部を改質して基板22の特性を変更するために別のGCIBを用いてもよい。それに加えて、例えば、基板22の一部をエッチングして基板22から追加の材料を除去するために別のGCIBを用いてもよい。それに加えて、例えば、基板22の一部を洗浄して基板22からハロゲン含有残留物等の追加の材料又は残留物を除去するために別のGCIBを用いてもよい。さらに、それに加えて、基板22の一部で材料を成長又は堆積させるのに別のGCIBを用いてもよい。ドープすること、改質すること、エッチングすること、洗浄すること、成長させること又は堆積させることは、He、Ne、Ar、Xe、Kr、B、C、Se、Te、Si、Ge、N、P、As、O、S、F、Cl及びBrからなる群から選択される1つ以上の要素を導入することを含み得る。
【0064】
別の実施形態によれば、GCIB照射が施される基板22の少なくとも一部(20、20’、20’’)は、GCIBで照射する前に又は照射した後で洗浄され得る。例えば、洗浄プロセスはドライ洗浄プロセス及び/又はウェット洗浄プロセスを含み得る。それに加えて、GCIB照射が施される基板22の少なくとも一部(20、20’、20’’)は、GCIBで照射した後にアニールされ得る。
【0065】
別の実施形態によれば、基板22を準備及び/又はエッチングする際に基板22の任意の部分又はフィーチャーパターン28に修正プロセス(corrective process)を施してもよい。修正プロセスの間、GCIB処理システムに連結された計量システムを用いて計量データがその場で又はその場以外で(in-situ or ex-situ)取得され得る。計量システムは、限定されないが光学診断システム、X線蛍光分光システム、四点プローブシステム、透過電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)、電子走査顕微鏡(SEM)等を含む様々な基板診断システムを含み得る。それに加えて、計量システムは光学デジタル表面形状測定装置(ODP)、散乱計、エリプソメーター、反射率計、干渉計又はそれらの2つ以上の任意の組み合わせを含み得る。
【0066】
例えば、計量システムは光学散乱計システムを構成し得る。散乱計システムは、サーマ・ウェイブ社(1250 Reliance Way, Fremont, CA 94539)又はナノメトリックス社(1550 Buckeye Drive, Milpitas, CA 95035)販売のビームプロファイル偏光解析(エリプソメーター)及びビームプロファイル反射率測定(反射率計)が組み込まれた散乱計を含み得る。それに加えて、例えばインサイチュ計量システムは、基板の計量データを測定するように構成された統合光学デジタル形状測定(iODP)散乱計測モジュールを含み得る。
【0067】
計量データは、基板、基板に形成された任意の層若しくは副層及び/又は基板上のデバイスの任意の部分に関連する形状パラメータ、機械パラメータ、電気パラメータ及び/又は光学パラメータ等のパラメトリックデータを含み得る。例えば、計量データは上述した計量システムで測定可能な任意のパラメータを含むことができる。それに加えて、計量データは膜厚、表面粗さ及び/又は界面粗さ、表面汚染、フィーチャー深さ、トレンチ深さ、ビアの深さ、フィーチャー幅、トレンチ幅、ビア幅、限界寸法(CD)、電気抵抗又はそれらのうちの2つ以上の任意の組み合わせを含むことができる。
【0068】
計量データは基板上の2つ以上の場所で測定されてもよい。さらに、このデータは1つ以上の基板について取得及び収集され得る。1つ以上の基板は、例えば基板のカセットを含み得る。計量データは、1つ以上の基板のうちの少なくとも1つの上の2以上の場所で測定され、例えば1つ以上の基板のそれぞれの複数の場所で取得され得る。
【0069】
1つ以上の基板について、計量システムを用いて計量データが収集されると、計量データは修正データを計算するためにコントローラに提供される。計量データは物理接続(例えばケーブル)又は無線接続又はその組み合せにより計量システムとコントローラとの間で通信される。それに加えて、計量データはイントラネット又はインターネット接続を通じて通信され得る。あるいは、計量データは、コンピュータ可読媒体を通じて計量システムとコントローラとの間で通信され得る。
【0070】
修正データは基板の特定の位置の処理のために計算され得る。所定の基板についての修正データは、受信計量データに関連するパラメトリックデータと所定の基板のための目標パラメトリックデータとの間の変化を得るために、基板上の位置の関数としてGCIB線量を調節するためのプロセス条件を含む。例えば、所定の基板のための修正データは、所定の基板の修正データの非均一性を修正するためにGCIBを用いるためのプロセス条件を決定することを含み得る。あるいは、例えば、所定の基板のための修正データは、所定の基板の修正データの具体的に意図された非均一性を形成するためにGCIBを用いるためのプロセス条件を決定することを含むことができる。
【0071】
パラメトリックデータの所望の変化及びGCIB線量の間で確立された関係と、GCIB線量及び一式のGCIB処理パラメータを有するGCIBプロセス条件の間で確立された関係とを用いて、コントローラは各基板のための修正データを決定する。例えば、数学的アルゴリズムを用いて受信計量データに関連するパラメトリックデータを取り出し、受信パラメトリックデータと目標パラメトリックデータとの差を計算し、この差をフィットするためにGCIBプロセスパターン(即ち、エッチングパターン又は堆積パターン又は双方)を反転させ、パラメトリックデータの変化とGCIB線量との間の関係を用いてGCIBプロセスパターンを得るためにビーム線量の輪郭(beam dose contour)を形成する。その後、例えば、ビーム線量とGCIBプロセス条件との間の関係を用いて算出したビーム線量の輪郭に影響を与えるためにGCIB処理パラメータが決定される。GCIB処理パラメータはビーム線量、ビーム領域、ビームプロファイル、ビーム強度、ビーム走査速度又は露出時間(又はビーム滞留時間)又はそれらのうちの2つ以上の任意の組み合わせを含み得る。
【0072】
この実施形態では、数学的アルゴリズムの選択に多くの様々なアプローチを取ることができる。別の実施形態では、ビーム線量の輪郭は、パラメトリックデータの所望の変化を得るために付加的な材料を選択的に堆積し得る。
【0073】
修正データはGCIBを用いて基板に適用され得る。修正プロセスの間、GCIBはスムージング、アモルファス化、改質、ドーピング、エッチング、成長又は堆積又はそれらのうちの2つ以上の任意の組み合わせを行うように構成され得る。基板に修正データを適用することは基板の欠陥の修正、基板の表面の平坦性の修正、層厚の修正、層の粘着性の改善を促進し得る。GCIBスペックに処理されると、基板の均一性又は基板のパラメトリックデータの分布がその場で又はその場以外で(in-situ or ex-situ)検証され、プロセスが終了するか又は適切に改善され得る。
【0074】
【表1】
次に
図4A〜
図4Lを参照して、基板上の材料をエッチングするための例示のデータのグラフを示す。
図4Aは12のGCIBプロセス条件の関数である二酸化シリコン(SiO
2)の正規化エッチング速度の棒グラフである。12のGCIBエッチングプロセスのためのGCIBプロセス条件を表1に示す。各GCIBプロセス条件のエッチング速度はAr GCIBを用いたエッチング速度により正規化されており、表1ではGCIBプロセス条件「A」と表記されている。
【0075】
表1では、各GCIBプロセス条件はGCIB組成、ビーム加速度ポテンシャル(kV)及びビームエネルギー分布関数の変更に関するP−Cell値を提供する。GCIB組成に関して、「5%NF
3/N
2」なる表記はN
2内のNF
3の相対量(mol/mol%)を表す。P−Cell値に関して、先に説明したようにP−Cell値は背景ガスの流量(sccm、立方センチメートル毎秒)である。背景ガスはGCIBと背景ガスとの衝突を生じさせるために増圧領域に導入され、それによりビームエネルギー分布関数が広がる。例えば、GCIBが横断する圧力セル内の圧力は、背景ガスを流量40sccm(P−Cell値=「40」)で圧力セルに導入することによって上昇される(又は圧力と距離との積分=約0.005torr−cm)。
【0076】
図4Aに示すように、二酸化シリコン(SiO
2)のエッチング速度が広範なGCIBプロセス条件のために決定された。GCIBプロセス条件「A」の場合のようにGCIBがArのみを含む場合、エッチング速度は純粋に物理的な要素、例えばスパッタリングによって決定される。しかしながら、
図4A及び表1はGCIBの組成はエッチングプロセスに化学成分を提供するとともにエッチング速度の増加をもたらすように選択され得ることを示唆する。
【0077】
図4Bに示すように、棒グラフは、表1のGCIBプロセス条件の関数である二酸化シリコン(SiO
2)とフォトレジストとのエッチング選択比を示す。エッチング選択比は、二酸化シリコン(SiO
2)のエッチング速度をフォトレジスト(P.R.)のエッチング速度に関連付ける(即ち、E/R SiO
2/E/R P.R.)。
図4Bの考察は、CHF
3ベースのGCIB組成とCl
2ベースのGCIB組成は1を超えるエッチング選択比をもたらすことを示す。
【0078】
図4Cは、GCIBプロセス条件及びP−Cell値の関数である二酸化シリコン(SiO
2)及びフォトレジスト(P.R.)のエッチング選択比のデータグラフである。3つのGCIBエッチングプロセスのためのGCIBプロセス条件を表2に示す。表2では、各GCIBプロセス条件はGCIB組成、ビーム加速度ポテンシャル(kV)及び各GCIB組成における各化学成分の流量(sccm)を提供する。
図4Cから分かるように、3つのGCIBプロセス条件の何れかを用いた二酸化シリコン及びフォトレジスト双方のエッチング速度はP−Cell値の増加に伴って減少する。
【0079】
【表2】
図4Dに示すように、棒グラフは表2のGCIBプロセス条件の関数である二酸化シリコン(SiO
2)とフォトレジストとのエッチング選択比を示す。エッチング選択比は、二酸化シリコン(SiO
2)のエッチング速度をフォトレジスト(P.R.)のエッチング速度に関連付ける(即ち、E/R SiO
2/E/R P.R.)。
図4Dの考察は次のことを示す。(1)SiO
2とP.R.とのエッチング選択比はP−Cell値の増加に伴って増加する。(2)SiO
2とP.R.とのエッチング選択比は、ハロメタン化合物に酸素を加えることによって、とりわけ高いP−Cell値で僅かに増加し得る。(3)CHF
3ベースのGCIB組成では、Cl
2ベースのGCIB組成に比べてSiO
2とP.R.とのエッチング選択比が高くなる。
【0080】
図4Eに示すように、表2のGCIBプロセス条件及びP−Cell値の関数として、二酸化シリコン(SiO
2)のエッチング面の表面粗さのデータグラフをプロットした。表面粗さ(R
a、オングストロームAで測定)は平均粗さを表す。粗さの程度は界面及び/又は表面の不均一さの測定値であり得る。例えば、表面粗さ等の粗さの程度は最大粗さ(R
max)、平均粗さ(R
a)(
図4Eに示すように)、又は二乗平均平方根(rms)粗さ(R
q)として数学的に特徴付けられ得る。
図4Eの考察は次のことを示す。(1)SiO
2表面の平均粗さはP−Cell値の増加に伴って減少する。(2)CHF
3ベースのGCIB組成では、Cl
2ベースの組成に比べてSiO
2の平均粗さが僅かに高くなる。
【0081】
図4Fに示すように、棒グラフは、二酸化シリコン(SiO
2)のエッチング速度及び表3のGCIBプロセス条件の関数である二酸化シリコン(SiO
2)とフォトレジストとのエッチング選択比を示す。エッチング選択比は、二酸化シリコン(SiO
2)のエッチング速度をフォトレジスト(P.R.)のエッチング速度に関連付ける(即ち、E/R SiO
2/E/R P.R.)。表3の3つのGCIBプロセス条件のためのGCIB組成は表2のものと同じである。しかしながら、一部のGCIBプロセス条件は比較的低い表面粗さ(3オングストローム以下の規模)を得るために調整されている。
【0082】
【表3】
表3はビーム加速度ポテンシャル、P−Cell値、GCIB組成における各加圧ガスの流量、結果としてのエッチング選択比及び平均粗さを示す。
図4Fは対応する相対エッチング速度及びエッチング選択比を示す。CHF
3ベースのGCIB組成では、明らかに比較的小さい表面粗さ及び比較的高いエッチング選択比が得られる。
【0083】
図4Gは、GCIB組成20%CHF
3/Heの流量の関数である多結晶シリコン(Si)に対するフォトレジスト(P.R.)、二酸化シリコン(SiO
2)及び窒化シリコン(SiN)のエッチング選択比の棒グラフである。GCIBプロセス条件は60kVのビーム加速度ポテンシャル及び0のP−Cell値をさらに含む。流量が350sccmから550sccmに増加すると、Siに対するP.R.、SiO
2及びSiNのエッチング選択比が1より大きい値から1未満の値に減少する。
【0084】
図4Hは、GCIB組成10%CHF
3/HeのためのGCIBプロセス条件の関数である二酸化シリコン(SiO
2)と多結晶シリコン(Si)とのエッチング選択比の棒グラフである。
図4Hに示すように、P−Cell値の増加はSiO
2とSiとのエッチング選択比を増加させる一方で流量の増加はSiO
2とSiとのエッチング選択比を減少させる。
【0085】
【表4】
表4にいくつかのGCIBプロセス条件及び結果としての(SiO
2とSiとの)エッチング選択比及び平均粗さを示す。エッチング選択比は約1〜約12と値が異なり得る一方で、GCIB組成、ビーム加速度ポテンシャル、P−Cell値及び流量を含む様々なGCIBプロセス条件を調整することで約1A〜約4Aの範囲の平均粗さが得られている。
【0086】
図4Iは、SiO
2のエッチング速度、多結晶シリコン(Si)のエッチング速度及びGCIB組成10%CHF
3/O
2に加えられたHeの流量の関数であるSiO
2とSiとのエッチング選択比のデータグラフである。エッチング選択比のピーク値(約12.2)のためのGCIBプロセス条件を表4(6段目参照)に示す。Heの流量を変更したが、GCIBプロセス条件の残りのパラメータは一定で保持された。
【0087】
図4Jは、GCIB組成10%CHlF
3/HeのためのP−Cell値の関数である多結晶シリコンに対するフォトレジスト(P.R.)、二酸化シリコン(SiO
2)及び窒化シリコン(SiN)のエッチング選択比の棒グラフである。GCIBプロセス条件は60kVのビーム加速度ポテンシャル及び450sccmの流量を含む。P−Cell値が0から40に増加すると、Siに対するSiO
2及びSiNのエッチング選択比が増加する一方で、Siに対するP.R.のエッチング選択比は減少する。
【0088】
【表5】
図4Kは、GCIB組成10%CClF
3/Heのためのビーム加速度ポテンシャルの関数である多結晶シリコン(Si)に対するフォトレジスト(P.R.)、二酸化シリコン(SiO
2)及び窒化シリコン(SiN)のエッチング選択比の棒グラフである。GCIBプロセス条件は0のP−Cell値及び450sccmの流量をさらに含む。ビーム加速度ポテンシャルが60kVから10kVに下がると、Siに対するP.R.、SiO
2及びSiNのエッチング選択比が減少する。
【0089】
表5には、いくつかのGCIBプロセス条件及び得られた(SiとSiO
2との)エッチング選択比及びSiの平均表面粗さを示す。各GCIBプロセス条件はHe内に10%のCBrF
3を含むGCIB組成を記載する。一部ではGCIBにN
2が添加されている。エッチング選択比は値が約0.3〜約2.5で変動し得る一方で、GCIB組成、ビーム加速度ポテンシャル、P−Cell値及び流量を含む様々なGCIBプロセス条件を調整することで約3A〜約30Aの範囲の平均粗さが得られている。例えば、N
2の添加に加えて、ビーム加速度ポテンシャルの増加、P−Cell値の増加及びエッチング化合物の流量の低下は最も低い平均粗さをもたらす。
【0091】
【表7】
表6に、いくつかのGCIBプロセス条件及び得られた(SiとSiO
2との)エッチング選択比及びSiの平均粗さを示す。各GCIBプロセス条件はHe内に20%のCF
4を含むGCIB組成を記載する。エッチング選択比は値が約0.32〜約0.54で変動し得る一方で、GCIB組成、ビーム加速度ポテンシャル、P−Cell値及び流量を含む様々なGCIBプロセス条件を調整することで約2A〜約19Aの範囲の平均粗さが得られている。
【0092】
【表8】
表7に、いくつかのGCIBプロセス条件及び得られた(SiとSiNとの)エッチング選択比及びSiの平均粗さを示す。各GCIBプロセス条件はN
2内に20%のNF
3を含むGCIB組成を記載する。エッチング選択比は値が約1〜約4で変動し得る一方で、GCIB組成、ビーム加速度ポテンシャル、P−Cell値及び流量を含む様々なGCIBプロセス条件を調整することで約2A〜約60Aの範囲の平均粗さが得られている。平均粗さを犠牲にすることで高いエッチング速度及びエッチング選択比が得られ得る。さらに、SiとSiNとのエッチング選択比は、pドープSiとSiNとのエッチング選択比と同様のようである。
【0093】
表8に、いくつかのGCIBプロセス条件及び得られた(SiとSiNとの)エッチング選択比及びSiの平均粗さを示す。各GCIBプロセス条件はN
2内に2%〜6%のCl
2を含むGCIB組成を記載する。一部では、He、Ar又はN
2がGCIBに添加されている。エッチング選択比は1未満〜約11で変動し得る一方で、GCIB組成、ビーム加速度ポテンシャル、P−Cell値及び流量を含む様々なGCIBプロセス条件を調整することで約12A〜約105Aの範囲の平均粗さが得られている。
【0094】
表9に、いくつかのGCIBプロセス条件及び得られた(SiとSiNとの)エッチング選択比及びSiの平均粗さを示す。各GCIBプロセス条件はHe内に4%〜6%のCl
2を含むGCIB組成を記載する。エッチング選択比は値が約1.4〜約11で変動し得る一方で、GCIB組成、ビーム加速度ポテンシャル、P−Cell値及び流量を含む様々なGCIBプロセス条件を調整することで約5A〜約40Aの範囲の平均粗さが得られている。
【0095】
【表9】
表10に、いくつかのGCIBプロセス条件と、得られた(SiとSiNとの)エッチング選択比及びSiの平均粗さとを示す。各GCIBプロセス条件はHe内に35%のHClを含むGCIB組成を記載する。エッチング選択比は値が約2〜約7で変動し得る一方で、GCIB組成、ビーム加速度ポテンシャル、P−Cell値及び流量を含む様々なGCIBプロセス条件を調整することで約15A〜約25Aの範囲の平均粗さが得られている。
【0096】
【表10】
図4Lに基板上のエッチング材料の例示のデータをグラフで示す。
図4Lは3つのGCIBエッチングプロセスについて、NiFe、Cu、CoFe、Al,Al
2O
3、Ru、W、Mo、TaN、Ta、AlN、SiO
2、SiN、Si、SiC、フォトレジスト(P.R.)及びSiCOHを含むいくつかの材料のエッチング速度の棒グラフである。GCIBプロセスは(A)Ar、(B)5%NF
3/N
2及び(C)4%Cl
2/Heを含む。3つのGCIBエッチングプロセスのためのGCIBプロセス条件を表11に示す。
【0097】
【表11】
表11では、各GCIBプロセス条件はGCIB組成、ビーム加速度ポテンシャル(kV)、ビームエネルギー分布関数の変更に関するP−Cell値及びGCIB組成の流量を示す。
【0098】
図4Lに示すように、CoFe、NiFe及びAl等のいくつかの金属含有材料のエッチング速度は、FベースのGCIB化学物質とは対照的にClベースのGCIB化学物質を用いた場合に改善傾向がある。また、GCIBプロセス条件「A」の場合のようにGCIBがArのみを含む場合、エッチング速度は純粋に物理的な要素、例えばスパッタリングによって決定される。しかしながら、
図4L及び表11はGCIBの組成はエッチングプロセスに化学成分を提供するとともにエッチング速度の増加をもたらすように選択され得ることを示唆する。
【0099】
次に
図5を参照して、上述したように基板を処理するための一実施形態に係るGCIB処理システム100を示す。GCIB処理システム100は真空容器102と、処理すべき基板152が固定される基板ホルダー150と、真空ポンプシステム170A、170B及び170Cとを含む。基板152は半導体基板、ウエハ、フラットパネルディスプレイ(FPD)、液晶ディスプレイ又は任意の他の加工対象物であり得る。GCIB処理システム100は基板152を処理するためにGCIBを生成するように構成されている。
【0100】
図5のGCIB処理システム100を続けて参照して、真空容器102は、減圧筐体を提供するために3つの連通したチャンバ、即ち、ソースチャンバ104、イオン化/加速チャンバ106及び処理チャンバ108を含む。3つのチャンバは真空ポンプシステム170A、170B及び170Cによってそれぞれ好適な動作圧になるよう空気が抜かれている(evacuated)。3つの連通するチャンバ104、106、108では、第1のチャンバ(ソースチャンバ104)でガスクラスタービームを形成でき、ガスクラスタービームがイオン化及び加速される第2のチャンバ(イオン化/加速チャンバ106)でGCIBを形成できる。そして、第3のチャンバ(処理チャンバ108)で加速GCIBが基板152を処理するために用いられ得る。
【0101】
図5に示すように、GCIB処理システム100は、真空容器102に1つ以上のガス又はガスの混合物を導入するように構成された1つ以上のガス源を含み得る。例えば、第1のガス源111に格納された第1のガス組成は、第1のガス制御バルブ113Aを通じて加圧下で1つの又は複数のガス定量バルブ113に入る。それに加えて、例えば、第2のガス源112に格納された第2のガス組成は、第2のガス制御バルブ113Bを通じて加圧下で1つの又は複数のガス定量バルブ113に入る。また、例えば、第1のガス組成又は第2のガス組成又は両方は凝縮性不活性ガス、キャリアーガス又は希釈ガスを含むことができる。例えば、不活性ガス、キャリアーガス又は希釈ガスは希ガス、即ちHe、Ne。Ar、Kr、Xe又はRnを含むことができる。
【0102】
さらに、第1のガス源111及び第2のガス源112は、イオン化クラスターを生成するために単独で又はお互いを組み合わせて利用され得る。材料組成は、材料層と反応させるか又は導入することが望まれる要素の主要な原子種又は分子種を含むことができる。
【0103】
第1のガス組成又は第2のガス組成又は双方を含む高圧の凝縮性ガスは、ガス供給管114を通じてよどみチャンバ116に導入され、適切な形に形成されたノズル110を通じて実質的に低圧の真空内に放出される。高圧の凝縮性ガスがよどみチャンバ116からソースチャンバ104の低圧領域に膨張する結果、ガスの速度が加速して超音速になり、ガスクラスタービーム118がノズル110から発散される。
【0104】
ジェット内での膨張に起因する静的エンタルピーであるジェットの生来的な冷却(inherent cooling)が運動エネルギーのために交換されとガスジェットの一部を凝縮されて、緩やかに結合した数個〜数千個の原子又は分子でそれぞれ構成されるクラスターを有するガスクラスタービーム118が形成される。ソースチャンバ104とイオン化/加速チャンバ106との間のノズル110の出口から下流に位置するガススキマー120は、クラスターに凝縮されなかったかもしれないガスクラスタービーム118の周辺端部のガス分子を、クラスターを形成したかもしれないガスクラスタービーム118のコア部のガス分子から部分的に分離する。他の理由のなかで、ガスクラスタービーム118の一部の選択は、高圧が有害となり得る下流領域(例えば、イオン化装置122及び処理チャンバ108)内の圧力の低下につながり得る。さらに、ガススキマー120はイオン化/加速チャンバ106に入るガスクラスタービームのための最初の寸法を定義する。
【0105】
GCIB処理システム100は、1つ以上のスキマー開口を有する複数のノズルも含み得る。多重ガスクラスターイオンビームシステムのデザインに関するさらなる詳細は、2009年4月23日に出願された「多重ノズルガスクラスターイオンビームシステム」と題する米国特許出願公開第2010/0193701号及び2010年3月26日に出願された「多重ノズルガスクラスターイオンビーム処理システム及び操作の方法」と題する米国特許出願第2010/0193472号に記載されている。これらの出願の内容は参照により本願に全体的に組み込まれている。
【0106】
ソースチャンバ104でガスクラスタービーム118が形成された後、ガスクラスタービーム118の構成要素のガスクラスターがイオン化装置122によってイオン化されてGCIB128を形成する。イオン化装置122は、イオン化/加速チャンバ106内のガスクラスタービーム118のガスクラスターと衝突するように加速及び移動させられる電子を1つ以上のフィラメント124から生成する電子衝突イオン化装置を含み得る。ガスクラスターとの衝突衝撃に際して、十分なエネルギーの電子はガスクラスター内の分子から電子を噴出してイオン化分子を生成する。ガスクラスターのイオン化は、通常正味の正荷電を有する帯電ガスクラスターイオンをもたらし得る。
【0107】
図5に示すように、GCIB128をイオン化、抽出、加速及びフォーカスさせるのにビーム電子装置(beam electronics)130が利用される。ビーム電子装置130は、イオン化フィラメント124を加熱するために電圧V
Fを提供するフィラメント電源136を含む。
【0108】
それに加えて、ビーム電子装置130は、イオン化/加速チャンバ106内に、イオン化装置122からクラスターイオンを抽出する好適にバイアスがかけられた一式の高圧電極126を含む。そして、高圧電極126は抽出されたクラスターイオンを所望のエネルギーに加速し、GCIB128を定義するためにそれらをフォーカスさせる。GCIB128内のクラスターイオンの運動エネルギーの範囲は通常約1000電子ボルト(1keV)〜数十keVである。例えば、GCIB128は1〜100keVに加速させることができる。
【0109】
図5に示すように、ビーム電子装置130は、イオン化フィラメント124から放出された電子を加速させて、それらの電子をガスクラスタービーム118内のガスクラスターに衝突させる(それによりクラスターイオンが生成される)ためにイオン化装置122のアノードに電圧V
Aを提供するアノード電源134をさらに含む。
【0110】
それに加えて、
図5に示すように、ビーム電子装置130は、イオン化装置122のイオン化領域からイオンを抽出してGCIBを形成するために高圧電極126のうちの少なくとも1つにバイアスをかけるために電圧V
EEを提供する抽出電源138を含む。例えば、抽出電源138は、イオン化装置122のアノード電圧以下の電圧を高圧電極126のうちの第1の電極に提供する。
【0111】
さらに、ビーム電子装置130は、約V
ACC電子ボルト(eV)に等しい全GCIB加速エネルギーがもたらされるように、高圧電極126のうちの1つにイオン化装置122に対してバイアスをかけるために電圧V
ACCを提供する加速器電源140を含むことができる。例えば、加速器電源140は、イオン化装置122のアノード電圧及び第1の電極の抽出電圧以下の電圧を高圧電極126のうちの第2の電極に提供する。
【0112】
また、ビーム電子装置130は、GCIB128をフォーカスさせるために、電位(例えばV
L1及びV
L2)で高圧電極126の一部にバイアスをかけるために設けられ得るレンズ電源142、144を含むことができる。例えば、レンズ電源142は、イオン化装置122のアノード電圧、第1の電極の抽出電圧及び第2の電極の加速器電圧以下の電圧を高圧電極126のうちの第3の電極に提供することができ、レンズ電源144は、イオン化装置122のアノード電圧、第1の電極の抽出電圧、第2の電極の加速器電圧及び第3の電極の第1のレンズ電圧以下の電圧を高圧電極126のうちの第4の電極に提供することができる。
【0113】
なお、イオン化スキーム及び抽出スキームの双方の多くの変形が用いられ得る。本願に記載のスキームは説明のために有用であるが、別の抽出スキームはイオン化装置及び抽出電極(又は抽出光学系)の第1の要素をV
ACCにセットすることを伴う。これは、イオン化装置電源のための制御電圧の光ファイバープログラム(fiber optics programming)を通常必要とするが、よりシンプルな全体的な光学列(optics train)を形成する。本願に記載の発明はイオン化装置及び抽出レンズバイアスの詳細に関係なく有用である。
【0114】
イオン化/加速チャンバ106内の、高圧電極126の下流にあるビームフィルター146は、処理チャンバ108に入る濾過されたプロセスGCIB128Aを定義するために、モノマー又はモノマー及び光クラスターイオン(light cluster ion)をGCIB128から取り除くために用いることができる。一実施形態では、ビームフィルター146は100以下の原子又は分子又は両方を有するクラスターの数を実質的に削減する。ビームフィルターは、濾過プロセスを支援するためにGCIB全体に磁界をかける磁石アセンブリを含み得る。
【0115】
図5を続けて参照して、ビームゲート148はイオン化/加速チャンバ106内のGCIB128の経路に配置されている。ビームゲート148は、GCIB128がイオン化/加速チャンバ106から処理チャンバ128に移ってプロセスGCIB128Aを定義できる開状態と、GCIB128が処理チャンバ108に入ることが妨げられる閉状態とを有する。制御ケーブルは制御信号を制御システム190からビームゲート148に導く。制御信号は、ビームゲート148を開状態又は閉状態の間で切り替える制御が可能である。
【0116】
ウエハ若しくは半導体ウエハ、フラットパネルディスプレイ(FPD)、液晶ディスプレイ(LCD)又はGCIBで処理すべき他の基板であり得る基板152が処理チャンバ108内のプロセスGCIB128Aの経路に配置されている。殆どの用途は空間的に均一な結果で大きな基板を処理することを熟考するため、大きな範囲に亘ってプロセスGCIBを均一に走査して空間的に均一な結果を得るために走査システムが望ましい。
【0117】
X走査アクチュエーター160は、(紙面に出入りする)X走査動作の方向に基板ホルダー150の直線動作を提供する。Y走査アクチュエーター162は、X走査動作に通常垂直なY走査動作164の方向に基板ホルダー150の直線動作を提供する。X走査動作及びY走査動作の組み合わせは、ラスター様の走査動作でプロセスGCIB128Aを通って基板ホルダー150により保持されている基板152を移動させて、基板152の処理のためにプロセスGCIB128Aによる基板152の表面の均一な(又はプログラムされた)照射をもたらす。
【0118】
基板ホルダー150は、プロセスGCIB128Aが基板152の表面に対してビーム入射角(angle of beam incidence)166を有するように、プロセスGCIB128Aの軸に対する角度で基板152を配置する。ビーム入射角166は90°であってもよいし他の角度であってもよいが、一般には90°又は約90°である。Y走査の間、基板152及び基板ホルダー150は、符号152A及び150Aがそれぞれ付された図示の位置から代替位置「A」に移動する。なお、2つの位置を移動する際に、基板152はプロセスGCIB128Aを通じて走査され、双方の対極位置でプロセスGCIB128Aの経路外に完全に動かされる(オーバースキャン)。
図5に明示していないが、同様の走査及びオーバースキャンが(通常)垂直な(紙面に出入りする)X走査動作方向で行われる。
【0119】
ビーム電流センサ180は、基板ホルダー150がプロセスGCIB128Aの経路外で走査された場合にプロセスGCIB128Aのサンプルをインターセプトするために、基板ホルダー150の後ろのプロセスGCIB128Aの経路内に配置され得る。ビーム電流センサ180は、ビーム入射開口以外は閉じており、電気絶縁取り付け具182により真空容器102の壁部に通常取り付けられるファラデーカップ等であるのが一般的である。。
【0120】
図5に示すように、プロセスGCIB128A内に又は外に基板152を置き、プロセスGCIB128Aによる基板152の望ましい処理を実現するためにプロセスGCIB128Aに対して基板152を均一に走査するために、制御システム190は、電気ケーブルを通じてX走査アクチュエーター160及びY走査アクチュエーター162を連結してX走査アクチュエーター160及びY走査アクチュエーター162を制御する。制御システム190は、ビーム電流センサ180によって収集されたサンプルビーム電流を電気ケーブルにより受信することでGCIBをモニタリングし、所定の線量が届けられた場合にプロセスGCIB128Aから基板152を移動させることで基板152が受けるGCIBの線量を制御する。
【0121】
図6に示す実施形態では、GCIB処理システム100’は
図5の実施形態と同様であり得るが、基板252を保持し、2つの軸に移動させる動作が可能なX−Y位置決めテーブル253をさらに含み、プロセスGCIB128Aに対して基板252を効果的に走査できる。例えば、X動作は紙面に出入りする動作を含み、Y動作は方向264に沿った動作を含むことができる。
【0122】
プロセスGCIB128Aは、基板252の表面上の予測衝突領域(projected impact region)286で且つ基板252の表面に対するビーム入射角266で基板252に衝突する。X−Y動作により、X−Y位置決めテーブル253は、表面の全ての領域がプロセスGCIB128Aによる処理のために予測衝突領域286に一致するように、基板252の表面の各部をプロセスGCIB128Aの経路に配置することができる。X−Yコントローラ262は、X軸方向及びY軸方向のぞれぞれの位置及び速度を制御するために、電気ケーブルを通じてX−Y位置決めテーブル253に電気信号を提供する。X−Yコントローラ262は、電気ケーブルを通じて制御システム190から制御信号を受信するとともに、制御システム190による操作が可能である。X−Y位置決めテーブル253は、基板252の様々な領域を予測衝突領域286内に配置するために従来のX−Yテーブル位置決め技術に従って連続動作で又は段階動作で動作可能である。一実施形態では、X−Y位置決めテーブル253は、プログラム可能な速度で基板252の任意の部分をプロセスGCIB128AによるGCIB処理のために予測衝突領域286の全体に亘って走査するためにプログラムによる制御システム190による操作が可能である。
【0123】
位置決めテーブル253の基板保持面254は導電性であり、制御システム190によって操作される線量測定プロセッサに接続されている。位置決めテーブル253の電気絶縁層255は基板252及び基板保持面254を位置決めテーブル253のベース部260から分離する。入射するプロセスGCIB128Aによって基板252内に誘発される電荷は基板252及び基板保持面254を通じて導電され、信号は線量測定のために位置決めテーブル253を通じて制御システム190に連結されている。線量測定はGCIB処理線量を求めるためにGCIB電流を統合するための統合手段を有する。特定の状況では、電子フラッドと時折呼ばれる電子のターゲット中和源(図示せず)を用いてプロセスGCIB128Aが中和され得る。そのような場合、電荷源が加えられるにも関わらず正確な線量測定を確かなものにするためにファラデーカップ(図示していないが
図5のビーム電流センサ180と同様であり得る)が使用され得る。その理由は、一般的なファラデーカップは高エネルギーの正イオンのみを通して測定されるようにするからである。
【0124】
動作時、制御システム190は、基板252をプロセスGCIB128Aで照射するためにビームゲート148の開放を伝える。制御システム190は、基板252が受けた累積線量を算出するために、基板252によって収集されたGCIB電流の測定値をモニタリングする。基板252が受けた線量が所定の線量に達すると、制御システム190はビームゲート148を閉じて、基板252の処理が完了する。基板252の異なる領域を処理するため適切なビーム滞留時間を得るために、基板252の所定の領域のために受けられたGCIB線量の測定値に基づいて、制御システム190は走査速度を調整することができる。
【0125】
あるいは、プロセスGCIB128Aは、基板252の表面全体に亘って固定のパターン且つ一定の速度で走査され得る。しかしながら、意図的に非均一な線量をサンプルに届けるためにGCIB強度が調節される(Z軸調節と呼ばれ得る)。GCIB強度はGCIB処理システム100’において、GCIB源からのガス流を変えること、フィラメント電圧V
Fを変更すること又はアノード電圧V
Aを変更することのいずれかによりイオン化装置122を調節すること、レンズ電圧V
L1及び/又はV
L2を変更することによりレンズフォーカスを調節すること又は可変ビームブロック、調整可能シャッター又は可変開口でGCIBの一部を機械的にブロックすることを含む様々な方法のうちの任意のもので調節され得る。調節変更は連続的なアナログ変更であり得るか又は時間調節された切り替え又はゲーティングであり得る。
【0126】
処理チャンバ108はインサイチュ計量システムをさらに含み得る。例えば、インサイチュ計量システムは光送信器280及び光受信器282を有する光学診断システムを含み得る。光送信器280及び光受信器282は、入射光信号284で基板252を照射し、基板252から散乱した光信号288を受信するようにそれぞれ構成されている。光学診断システムは入射光信号284及び散乱光信号288が処理チャンバ108に出入りできるように通過させる光の窓(optical window)を含む。さらに、光送信器280及び光受信器282はそれぞれ送信光学系及び受信光学系を含み得る。光送信器280は制御システム190からの制御電気信号を受信するとともに応答可能である。光受信器282は制御システム190に測定信号を返す。
【0127】
インサイチュ計量システムはGCIB処理の進展をモニタリングするように構成された任意の手段を含み得る。一実施形態によれば、インサイチュ計量システムは光学散乱計システムを構成し得る。散乱計システムはサーマ・ウェイブ社(1250 Reliance Way, Fremont, CA 94539)又はナノメトリックス社(1550 Buckeye Drive, Milpitas, CA 95035)から市販されているビームプロファイル偏光解析(エリプソメーター)及びビームプロファイル反射率測定(反射率計)が組み込まれた散乱計を含み得る。
【0128】
例えば、インサイチュ計量システムは、GCIB処理システム100’における処理プロセスの実行から得られるプロセスパフォーマンスデータを測定するように構成された統合光学デジタル形状測定(iODP)散乱計測モジュールを含み得る。計量システムは、例えば処理プロセスに起因する計量データを測定又はモニタリングし得る。計量データは、例えば、処理速度、相対処理速度、フィーチャープロファイル角、限界寸法、フィーチャー厚さ又は深さ、フィーチャー形状等の処理プロセスを特徴付けるパフォーマンスデータを決定するために利用することができる。例えば、基板上に材料を指向性堆積(directionally depositing)するプロセスでは、プロセスパフォーマンスデータは、フィーチャー(即ち、ビア、線等)におけるTCD、MCD又はBCD等の限界寸法(CD)、フィーチャー深さ、材料の厚さ、側壁の角度、側壁の形状、堆積速度、相対堆積速度、任意のパラメータの空間分布、任意の空間分布の均一性を特徴付けるパラメータを含み得る。制御システム190からの制御信号を通じてX−Y位置決めテーブル253を操作することで、インサイチュ計量システムは基板252の1以上の特徴をマッピングできる。
【0129】
図7に示す実施形態では、GCIB処理システム100’’は
図5の実施形態と同様であり得るが、例えばイオン化/加速チャンバ106の出口領域に又は近傍に配置された圧力セルチャンバ350をさらに含む。圧力セルチャンバ350は、圧力セルチャンバ350内の圧力を高めるために圧力セルチャンバ350に背景ガスを供給するように構成された不活性ガス源352と、圧力セルチャンバ350内の高められた圧力を測定するように構成された圧力センサ354を含む。
【0130】
圧力セルチャンバ350は、調節されたプロセスGCIB128A’を生成するためにGCIB128のビームエネルギー分布を調節するように構成され得る。このビームエネルギー分布の調節は、圧力セルチャンバ350内の増圧領域をGCIB128の少なくとも一部が横断するように、GCIB128を増圧領域を通じてGCIB経路に沿って移動させることによって得られる。ビームエネルギー分布になされる調節の程度は、GCIB経路の少なくとも一部に沿った圧力と距離との積分により特徴付けられ得る。ここで、距離(又は圧力セルチャンバ350の長さ)は経路長(d)により示される。圧力と距離との積分の値が大きくなると(圧力及び/又は経路長(d)を大きくすることにより)、ビームエネルギー分布が広がり、ピークエネルギーが減少する。圧力と距離との積分の値が小さくなると(圧力及び/又は経路長(d)を小さくすることにより)、ビームエネルギー分布は狭くなり、ピークエネルギーが上昇する。圧力セルのデザインについてのさらなる詳細は、「ガスクラスターイオンビームを用いた改善されたプロセスのための方法及び装置」と題する米国特許第7060989号から決定され得る。該特許は参照により本願に全体的に組み込まれる。
【0131】
制御システム190はマイクロプロセッサ、メモリ及びGCIB処理システム100(又は100’、100’’)への入力を伝達する及びアクティブにするのに加えて、GCIB処理システム100(又は100’、100’’)からの出力をモニタリングするのに十分な制御電圧を生成することが可能なデジタルI/Oポートを含む。さらに、制御システム190は真空ポンプシステム170A、170B及び170C、第1のガス源111、第2のガス源112、第1のガス制御バルブ113A、第2のガス制御バルブ113B、ビーム電子装置130、ビームフィルター146、ビームゲート148、X走査アクチュエーター160、Y走査アクチュエーター162及びビーム電流センサ180に連結できるとともにそれらと情報のやりとりを行うことができる。例えば、基板152にGCIBプロセスを行うためにプロセスレシピに従って、メモリに保存されたプログラムを用いてGCIB処理システム100の前述の構成要素への入力をアクティブにすることができる。
【0132】
しかしながら、制御システム190は、メモリに含まれる1以上の指令からなる1以上のシーケンスをプロセッサが実行することに応答して、本発明のマイクロプロセッサベースの処理ステップの一部又は全てを行う汎用コンピュータシステムとして実施され得る。そのような指令は、ハードディスク又はリムバブルメディアドライブ等の別のコンピュータ可読媒体からコントローラメモリに読み込まれ得る。マルチプロセッシング構成の1つ以上のプロセッサを、メインメモリに含まれる指令のシーケンスを実行するコントローラのマイクロプロセッサとして用いてもよい。代替的な実施形態では、ソフトウェア指令に代えて又はソフトウェア指令と組み合わせて有線回路を用いてもよい。そのため、実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェアとの任意の特定の組み合わせに限定されない。
【0133】
制御システム190は、上述したように任意数の処理要素を構成するのに用いることができ、制御システム190は処理要素からのデータを回収、提供、処理、保存及び表示することができる。制御システム190は多数のアプリケーションに加えて、処理要素のうちの1つ以上を制御するための多数のコントローラを含むことができる。例えば、制御システム190は、ユーザーが1つ以上の処理要素をモニタリング及び/又は制御できるようにするグラフィックユーザーインターフェイス(GUI)コンポーネント(図示せず)を含むことができる。
【0134】
制御システム190はGCIB処理システム100(又は100’、100’’)に対して局所的に(locally)位置していてもよいしGCIB処理システム100(又は100’、100’’)に対して遠隔的に位置していてもよい。例えば、制御システム190は、直接接続、イントラネット及び/又はインターネットを用いてGCIB処理システム100とデータのやりとりを行うことができる。制御システム190は、例えば顧客サイト(即ち、装置メーカー等)におけるイントラネットに連結することもできるし、ベンダーサイト(即ち、機器製造業者)においてイントラネットに連結することもできる。あるいは又はそれに加えて、制御システム190はインターネットに連結することができる。さらに、別のコンピュータ(即ち、コントローラ、サーバー等)がデータのやりとりを行うために直接接続、イントラネット及び/又はインターネットを通じて制御システム190にアクセスすることができる。
【0135】
基板152(又は252)は機械式クランプシステム又は電気式クランプシステム(例えば静電クランプシステム)等のクランプシステム(図示せず)を通じて基板ホルダー150(又は基板ホルダー250)に取り付け可能である。さらに、基板ホルダー150(又は250)は、基板ホルダー150(又は250)及び基板152(又は252)の温度を調整及び/又は制御するように構成された加熱システム(図示せず)又は冷却システム(図示せず)を含むことができる。
【0136】
真空ポンプシステム170A、170B及び170Cは、最大で毎秒約5000リットル(以上)のポンプ速度が可能なターボ分子真空ポンプ(TMP)と、チャンバ圧を調整するためのゲートバルブとを含むことができる。従来の真空処理装置では、毎秒1000〜3000リットルのTMPを用いることができる。TMPは通常約50mTorr未満の低圧処理に有用である。図示していないが、圧力セルチャンバ350も圧力ポンプシステムを含み得ることが分かる。さらに、チャンバ圧力をモニタリングするための装置(図示せず)を真空容器102又は3つの真空チャンバ104、106、108のうちのいずれかに連結することができる。圧力測定装置は、例えばキャパシタンスマノメーター又はイオン化ゲージであり得る。
【0137】
次に
図8を参照して、ガスクラスタージェット(ガスクラスタービーム118、
図5、
図6及び
図7)をイオン化するためのイオン化装置(122、
図5、
図6及び
図7)の部位300を示す。部位300はGCIB128の軸に対して垂直である。一般的なガスクラスターサイズ(原子数2000〜15000)の場合、ガススキマー(120、
図5、
図6及び
図7)を離れてイオン化装置(122、
図5、
図6及び
図7)に入るクラスターは約130〜1000電子ボルト(eV)の運動エネルギーで移動する。これらの低エネルギーでは、イオン化装置122内の空間電荷中和度からの逸脱は、ビーム電流の大幅な損失を伴うジェットの急速な分散をもたらす。
図8は自己中和イオン化装置を示す。他のイオン化装置と同様に、ガスクラスターは電子衝突によってイオン化される。このデザインでは、熱電子(310により7つの例を示す)が複数のリニア熱電子フィラメント302a、302b及び302c(通常タングステン)から放出され、電子リペラー電極306a、306b及び306c並びにビーム形成電極304a、304b及び304cによって提供される好適な電界の作用によって抽出及びフォーカスされる。熱電子310はガスクラスタージェット及びジェット軸を通過し、そして反対側のビーム形成電極304bに衝突して低エネルギーの第2の電子(例として示す312、314及び316)を生成する。
【0138】
(便宜上)図示していないが、リニア熱電子フィラメント302b及び302cも、後で低エネルギーの二次電子を生成する熱電子を生成する。二次電子の全ては、空間電荷中和度を維持するために必要な正イオン化ガスクラスタージェットに引き込むことが可能な低エネルギーの電子を提供することによって、イオン化クラスタージェットが空間電荷中和度のままにするのに役立つ。ビーム形成電極304a、304b及び304cはリニア熱電子フィラメント302a、304b及び302cに対して正のバイアスがかけられており、電子リペラー電極306a、302b及び306cはリニア熱電子フィラメント302a、302b及び302cに対して負のバイアスがかけられている。絶縁体308a、308b、308c、308d、308e及び308fは電極304a、304b、304c、306a、306b及び306cを電気的に絶縁し支持する。例えば、この自己中和イオン化装置は効果的であり、1000マイクロアンペアのアルゴンGCIBを実現する。
【0139】
あるいは、イオン化装置はクラスターをイオン化するためにプラズマからの電子抽出を用いり得る。これらのイオン化装置の形状は、上述した3つのフィラメントのイオン化装置とはかなり異なるが動作の原理及びイオン化装置の制御は非常に似ている。次に
図9を参照して、ガスクラスタージェット(ガスクラスタービーム118、
図5、
図6及び
図7)をイオン化するためのイオン化装置(122、
図5、
図6及び
図7)の部位400を示す。部位400はGCIB128の軸に対して垂直である。一般的なガスクラスターサイズ(原子数2000〜15000)の場合、ガススキマー(120、
図5、
図6及び
図7)を離れてイオン化装置(122、
図5、
図6及び
図7)に入るクラスターは約130〜1000電子ボルト(eV)の運動エネルギーで移動する。これらの低エネルギーでは、イオン化装置122内の空間電荷中和度からの逸脱は、ビーム電流の大幅な損失を伴うジェットの急速な分散に帰結する。
図9は自己中和イオン化装置を示す。他のイオン化装置と同様に、ガスクラスターは電子衝突によってイオン化される。
【0140】
イオン化装置は、支持プレート(図示せず)によって支持されるとともに電気的に連結された細い棒状(thin rod)のアノード電極452のアレイを含む。細い棒状のアノード電極452のアレイはガスクラスタービーム(例えば、ガスクラスタービーム118、
図5、
図6及び
図7)の軸と実質的に同心円状である。イオン化装置は、別の支持プレート(図示せず)に支持されるとともに電気的に連結された細い棒状の電子リペラー電極458のアレイも含む。細い棒状の電子リペラー電極458のアレイはガスクラスタービーム(例えば、ガスクラスタービーム118、
図5、
図6及び
図7)の軸と実質的に同心円状である。イオン化装置はさらに別の支持プレート(図示せず)に支持されるとともに電気的に連結された細い棒状のイオンリペラー電極464のアレイをさらに含む。細い棒状のイオンリペラー電極464のアレイはガスクラスタービーム(例えば、ガスクラスタービーム118、
図5、
図6及び
図7)の軸と実質的に同心円状である。
【0141】
プラズマ電子源470からビーム領域444にエネルギー電子が供給される。プラズマ電子源470は、プラズマ領域442内でプラズマが形成されるプラズマチャンバ472を含む。プラズマ電子源470は熱電子フィラメント476、ガス入口開口426及び複数の抽出開口480をさらに含む。熱電子フィラメント476は絶縁体477によりプラズマチャンバ470から絶縁されている。一例として、熱電子フィラメント476は「ピグテール」構成で巻数が1.5のタングステンフィラメントを含み得る。
【0142】
ガスクラスターイオン化装置の部位400は複数の開口482を有する電子加速電極488を含む。それに加えて、部位400は複数の開口484を有する電子減速電極490を含む。複数の開口482、複数の開口484及び複数の抽出開口480の全てはプラズマ領域442からビーム領域444に並んでいる。
【0143】
希ガス等のプラズマ形成ガスはガス入口開口426を通じてプラズマチャンバ472に流入する。絶縁ガス供給線422は、プラズマチャンバ472へのプラズマ形成ガスの流入を調整する遠隔制御可能なガス弁424に加圧プラズマ形成ガスを提供する。
【0144】
フィラメント電源408は、熱電子放出を促進するために熱電子フィラメント476を通じて電流を駆動するためにフィラメント電圧(V
F)を提供する。フィラメント電源408は、3〜5V(ボルト)で約140〜200A(アンペア)を制御可能に提供する。アーク電源410は、熱電子フィラメント476に対してプラズマチャンバ472に正のバイアスをかけるためにアーク電圧(V
A)を制御可能に提供する。アーク電源410は一般に固定電圧で、通常約35Vで動作し、プラズマを形成するためにプラズマチャンバ472内で電子を加速するための手段を提供する。アーク電源410によって供給されるアーク電流を調整するためにフィラメント電流が制御される。アーク電源410はプラズマアークに最大で5Aのアーク電流を提供することができる。
【0145】
電子減速電極490は、プラズマチャンバ472に対して電子バイアス電源412によって正のバイアスがかけられている。電子バイアス電源412は30〜400Vの範囲に亘って制御及び調整が可能なバイアス電圧(V
B)を提供する。電子加速電極488は、電子減速電極490に対して電子抽出電源416に正のバイアスがかけられている。電子抽出電源416は20〜250Vの範囲で制御可能な電子抽出電圧(V
EE)を提供する。加速電源420は、アースに対して細い棒状のアノード電極452のアレイ及び電子減速電極490に正のバイアスを書けるために加速電圧(V
ACC)を提供する。V
ACCは、部位400に示すガスクラスターイオン化装置により生成されるガスクラスターイオンのための加速電位であり、1〜100kVの範囲で制御及び調整が可能である。電子リペラー電源414は、V
ACCに対して細い棒状の電子リペラー電極458のアレイに負のバイアスをかけるために電子リペラーバイアス電圧(V
ER)を提供する。V
ERは50〜100Vの範囲で制御可能である。イオンリペラー電源418は、V
ACCに対して細い棒状のイオンリペラー電極464のアレイに正のバイアスをかけるためにイオンリペラーバイアス電圧(V
IR)を提供する。V
IRは50〜150Vの範囲で制御可能である。
【0146】
光ファイバーコントローラ430はケーブル434で電気制御信号を受信し、接地された制御システムからの信号を用いて高い電位で動作する構成要素を制御するために、それらを受信した信号を制御リンク432上の光信号に変換する。光ファイバー制御リンク432は、遠隔制御可能なガス弁424、フィラメント電源408、アーク電源410、電子バイアス電源412、電子リペラー電源414、電子抽出電源416及びイオンリペラー電源418に制御信号を伝送する。
【0147】
例えば、イオン化装置のデザインは、「ガスクラスターイオンビーム形成のためのイオン化装置及び方法」と題する米国特許第7173252号に記載のイオン化装置と同様であり得る。該特許は参照に本願に全体的に組み込まれている。
【0148】
イオン化装置(122、
図5、
図6及び
図7)は、GCIB128の帯電状態を変更することによりGCIB128のビームエネルギー分布を調節するように構成され得る。例えば、帯電状態は、ガスクラスターの電子衝突誘導イオン化で利用される電子の電子フラックス、電子エネルギー又は電子エネルギー分布を調整することにより調節され得る。
【0149】
図10の実施形態では、GCIB処理システム1000は
図5の実施形態と同様であり得るが、例えば、処理チャンバ108内でイオン化/加速チャンバ106の出口領域に又は近傍に1つ以上の分子ビームノズル168をさらに含む。分子ビームノズル168はガス源172から高圧ガスを受け取り得る。分子ビームノズル168は高圧のガスを受け取るガス吸気口接続部と、ガスの分子が高速で分子ビームノズル168から出ることができるようにするオリフィス(図示せず)を含み得る。一般に、ガスの速度は音速の未満であり得る。しかしながら、他の実施形態では、ガスの速度は音速よりも速いことがある。ガスの分子は、狭いビーム角度分布関数、即ち、処理チャンバ108内に発射されるガス分子のコリメートされたか又は実質的にコリメートされた軌道によって特徴付けられる分子ビームを分子が形成できるようにするオリフィスから非常に高速で出て行き得る。より一般的に、本願で言及する分子ビームという用語は、例えばガス若しくは蒸気ジェットを含むか又は1つ以上のスキマーを用いて(実質的に)コリメートされたガス又は蒸気ジェットを含む、GCIBと交差するように方向付けられた原子及び/又は分子の構成要素を含むガス又は蒸気の方向を持った噴出(directed effusion)である。高圧ガスは限定されないが希ガス(例えば、Ar、Ne等)、窒素、酸化ガス(例えば、O
2、O
3)、ハロゲンガス、自然発火性ガス(例えば、SiH
4)を含み得る。
【0150】
一実施形態では、分子ビームは希ガス、窒素又はその組み合わせを含み得る。特定の場合では、分子ビームは、分子ビームの主たる目的がGCIBと化学的に反応することではない点から比較的不活性なものではない。例えば、分子ビームとGCIBとの相互作用は、本質的に化学的であるよりも物理的(例えば原子の衝突)であり得る。しかしながら、それらの相互作用には何ら化学反応がないと推測すべきではない。それよりも、本実施形態では、物理的な相互作用は、化学反応よりもGCIB又は基板に対して少なくとも規模の大きい影響を有し得る。
【0151】
しかしながら、別の実施形態では、分子ビームは、分子ビームとGCIBとの間の化学的な相互作用を高め得るより反応性の高いガスを含み得る。例えば、酸化ガス(例えば、O
2、O
3)、ハロゲンガス(例えば、Cl、F等)又は自然発火性ガス(例えば、SiH
4)を上述したGCIBガスの任意のものと組み合わせて用いてもよい。この場合、分子ビームとGCIBとの相互作用は、GCIB、基板又はそれらの組み合わせとの物理的な相互作用及び化学的な相互作用を含み得る。化学反応は、分子ビームノズルに提供されないか又は分子ビームノズルを通過しない別の化学分子を形成することを含み得る。化学分子はGCIB及び/又は基板の特性を変更するのに用いられ得る。
【0152】
分子ビームノズルは、例えばオリフィス、集束ノズル又は集束分散ノズルを含み得る。そして、分子ビームノズルはノズルスキマーを含んでもよいし含まなくてもよい。分子ビーム(図示せず)は、GCIB128A’の特性を変更又は改質するのに使用され得る高圧の局所領域を形成する。例えば、一実施形態では、分子ビームはGCIB128A’と衝突し、GCIB128A’及び分子ビーム双方の構成要素の衝突を通じてGCIB128A’のビームエネルギー分布、ビーム角分布、ビーム組成又は角度を変更し得る。別の実施形態では、分子ビームはGCIB128A’と基板152との交差点の方に向けられ得る。このように、基板152の露出面で又は露出面上で1つ以上の分子ビームとGCIB128A’と交差させることは、GCIB128A’と基板152との間の化学的及び/又は物理的な相互作用に影響を及ぼし得る。例えば、基板152の表面で局所的な高圧領域が形成され、それがイオンビーム特性を改質し得る及び/又はGCIB128A’の結果として基板152の表面で生じ得る化学反応に影響を及ぼし得る。上述した双方の実施形態では、基板152におけるエッチング速度又はエッチングプロファイルに影響を及ぼし得るGCIB128A’のエッチング特性が変更され得る。そして、GCIBと1つ以上の分子ビームとの相互作用をGCIBエッチングの文脈で説明したが、限定されないがGCIBを援用した洗浄、堆積、成長、ドーピング、化学的又は物理的な変更、高密度化、アモルファス化、スムージング等を含む任意の種類のGCIB処理を行うのに使用され得る。
【0153】
図10は、GCIB128A’を向いた角度及び基板152からのオフセット距離にある分子ビームノズル168の配置の一実施形態を示す。角度は分子ビームとGCIB128A’との相対位置を表し得る。角度はGCIB128A’から、分子ビームまで又はその逆で測定され得る。オフセット距離は分子ビームとGCIB128Aとの交差点及び基板152の表面の間の距離であり得る。他の実施形態では、分子ビームノズル168は、分子ビームが略90°〜約0°の間の角度でイオンビームをインターセプトでき得る任意の向きで配置され得る。角度は基板152の表面における所望のプロセス条件に基づいて変更され得る。同様に、オフセット距離もプロセス別に変更され得る。
【0154】
図5で上述した機能に加えて、
図10の制御システム190は分子ガスノズル168の配置及びガス源172を制御し得る。しかしながら、制御システム190は、メモリに含まれる1以上の指令からなる1以上のシーケンスをプロセッサが実行することに応答して、本発明のマイクロプロセッサベースの処理ステップの一部又は全てを行う汎用コンピュータシステムとして実施され得る。そのような指令は、ハードディスク又はリムバブルメディアドライブ等の別のコンピュータ可読媒体からコントローラメモリに読み込まれ得る。マルチプロセッシング構成の1つ以上のプロセッサを、メインメモリに含まれる指令のシーケンスを実行するコントローラのマイクロプロセッサとして用いてもよい。代替的な実施形態では、ソフトウェア指令に代えて又はソフトウェア指令と組み合わせて有線回路を用いてもよい。そのため、実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェアとの任意の特定の組み合わせに限定されない。
【0155】
図11A〜
図11Cは、GCIB128A’と分子ビームとの交差の位置(例えば、
図11A)及びGCIB128A’及び基板152に対する分子ガスノズル168の相対位置(例えば
図11B及び
図11C)を説明する概略図を含む。
図11Aに示すように、分子ビームとGCIB128A’との間の入射角170は0〜90°であり得る。入射角はGCIB128A’から分子ビームまで測定され得る。分子ビームは
図11Aに図示していない。
【0156】
図11Bには、交差点176及び入射角178でGCIB128A’と交差する分子ビーム174を示す。交差点176は基板152からオフセット距離180の所に位置し得る。上述したように、入射角は0〜90°の間で変化し得る。同様に、オフセット距離もGCIB128A’の長さに沿って変化し得る。分子ビームノズル168も、GCIB128A’と分子ビームノズル168との間の距離を表すビームオフセット距離182により変化し得る。
図11Aに示すこれらの距離及び位置の変数は、基板152で起こり得るエッチング又は化学処理を制御又は調整するために変更され得る。
図11Cに示すように、入射角184及びビームオフセット距離186は、分子ビーム174が基板152と直接又は基板152の表面の非常に近く接触するように変更できる。
【0157】
図12A〜
図12Hは、
図10に示すGCIB処理システム1000の1以上の実施形態の一部である分子ビーム174と交差し得るイオンビーム(例えばGCIB128A’)を示す。大まかに、1つ以上の分子ビーム174をGCIB128A’、基板152又は両方に注入する1つ以上の分子ビームノズル168が処理チャンバ108内に位置し得る。1つ以上の分子ビームノズル168の配置は2次元又は3次元配置内で対称又は非対称であり得る。図を簡略化する観点のみから、
図12A〜
図12Hは特定の実施形態を表し、2次元に限定されている。しかしながら、分子ビームノズル168、188は基板152に近接して3次元配列に構成してもよい。
【0158】
図12Aは、GCIB128A’の周りに対称に配置された第1の分子ビームノズル168及び第2の分子ビームノズル188を含む処理チャンバ108の構成を示す。この場合、対称は第1のビームノズル168及び第2の分子ビームノズル188からの分子ビームのための同様の入射角192を含み得る。第1の分子ビームノズル168及び第2の分子ビームノズル188は同様のオフセット距離190を有し得る。この実施形態では、第1の分子ビームノズル168及び第2の分子ビームノズル188からの分子ビームは、実質的に同じ点でGCIB128A’と交差し得る。
【0159】
図12Bは
図12Aに示す実施形態とは異なる実施形態を示す。第1の分子ビームノズル168及び第2の分子ビームノズル188は依然として処理チャンバ108内で対称に配置されている。しかしながら、分子ビームが基板152の表面で又は近傍で交差するように入射角194が調整されている。別の実施形態では、GCIB分子ビームプロセスは、同じ基板のために
図12Aの実施形態から
図12Bの実施形態(又は任意の他の実施形態)に又はその逆にシフトすることを含み得る。しかしながら、
図12A〜
図12Hの実施形態は必要に応じてお互いから独立して実施してもよい。
【0160】
図12Cは第1の分子ビームノズル168と第2の分子ビームノズル188とが非対称である構成を示す。例えば、第1の分子ビームノズル168は、第2の分子ビームノズル188のための第2の入射角194とは異なるGCIB128A’への第1の入射角を有し得る。このように、第1の分子ビームノズル168及び第2の分子ビームノズル188との交差点は異なり得る。この図示の実施形態では、第1の分子ビームノズル168からの分子ビームはオフセット距離190の所でGCIB128A’と交差する。第2の分子ビームノズル188からの分子ビームは基板152の表面で又は近傍でGCIB128A’と交差し得る。
【0161】
図12Dは、第1の分子ビームノズル168及び第2の分子ビームノズル188のそれぞれがそれらの分子ビームのための入射角及びオフセット距離が異なる別の非対称構成を示す。第1の分子ビームは第2の分子ビームのための第2の入射角196とは異なる第1の入射角192を有し得る。この場合、GCIB128A’と2つの分子ビームとの交差は異なる場所であり得る。これは、2つの分子ビームのための異なるオフセット距離190、198から明らかである。
図12Dに示すように、非対称は異なる入射角192、196に関係し得る。しかしながら、非対称は異なる入射角に限定されない。他の実施形態では、第1の分子ビームノズル168及び第2の分子ビームノズル188の垂直又は水平の位置又は配置は非対称を可能にし得る。例えば、第1の分子ビーム及び第2の分子ビームは同じ入射角を共有し得るが、それらは異なる場所でGCIB128A’と交差し得る。異なる交差位置は、処理チャンバ108内の第1の分子ビームノズル168及び第2の分子ビームノズル188の水平及び/又は垂直配置に少なくとも部分的に基づき得る。
【0162】
図12Eは、第1の分子ビーム及び第2の分子ビームは異なる入射角を有するがGCIB128A’と略同様の位置で交差する別の非対称構成を示す。そのため、双方の分子ビームのための交差点は同様のオフセット距離190を共有する。しかしながら、この実施形態では、第1の分子ビームは第1の入射角202を有し、第2の分子ビームは、第1の入射角202とは異なる第2の入射角202を有する。この実施形態を可能にするために、第1の分子ビームノズル168及び第2の分子ビームノズル188の配置が最適化されて
図12Eに示す非対称の実施形態が得られる。これは、限定されないが第1の分子ビームノズル168及び第2の分子ビームノズル188をGCIB128A’から異なる水平及び/又は垂直距離で配置することを含み得る。
【0163】
図12Fは、第1の分子ビーム及び第2の分子ビームが異なる入射角を有するがGCIB128A’と実質的に異なる場所で交差する別の非対称構成を示す。例えば、基板152からの第1のオフセット距離190及び第2のオフセット距離204により分子ビームの交差の違いを示す。それに加えて、
図12Fに示すように、入射角200、202も異なり得る。
【0164】
図12Gに第1の分子ビーム及び第2の分子ビームが異なる入射角を有するがGCIB128A’と実質的に異なる場所で交差する別の非対称構成を示す。例えば、オフセット距離190及び第2の分子ビームノズル188の交差点が基板152の表面に又は近傍にあることによって分子ビームの交差の違いを示す。それに加えて、入射角200、202も互いに異なり得る。
【0165】
図12Hは、第1の分子ビーム及び第2の分子ビームが異なる入射角を有するが基板152の表面の又は近傍の実質的に同様の場所でGCIB128A’と交差する別の非対称構成を示す。
【0166】
別の実施形態では、1つ以上の分子ビームノズル(例えば分子ビームノズル168)の相対位置もGCB128A’の周りで半径方向に変化し得る。例えば、
図12A〜
図12Hに示す入射角と半径方向位置又は角度(図示せず)が異なり得る。1つ以上の分子ビームノズルの間の半径方向距離が0〜360°の間で異なり得る。
図12A〜
図12Hでは、第1の分子ビームノズル168及び第2の分子ビームノズル188は、GCIB128A’の周りの半径方向で互いに180°であると示している。しかしながら、他の実施形態では、第1の分子ビームノズル168及び第2の分子ビームノズル188はGCIB128A’の周りの半径方向で互いに近くなるように動かされ得る。
【0167】
2つの分子ビームの一実施形態では、ビームを形成するのに用いられ得るソースガスが双方のビームで同様であるか又は異なり得る。例えば、一実施形態では、分子ビームはGCIBと交差し得る分子ビームを形成するために同じガス又は混合ガスを含み得る。高圧ガスは、限定されないが希ガス(例えば、Ar、Ne等)、窒素、酸化ガス(例えば、O
2、O
3等)又はハロゲンガス(例えば、Cl含有ガス、F含有ガス等)を含み得る。別の実施形態では、分子ビームは異なるソースガス又はガス混合物を含み得る。例えば、一実施形態では、第1の分子ビームはソースガスとしてArを含み得る一方で、第2の分子ビームはソースガスとして窒素を含み得る。
【0168】
図13は、1つ以上の分子ビームノズル168が組み込まれたGCIB処理システム1000を用いて基板152にエッチング又は堆積を行う方法を示すフローチャートである。分子ビームノズル168は小さなオリフィスを通じて狭い分布のガス分子を放出し得る。
図13に図示の方法は一実施形態に過ぎない。他の方法は追加のステップを含み得るか又は
図13のステップの一部が省略されることがある。別の実施形態では、
図13の方法のステップは任意の順序で行われることがあり、
図13に図示の順序で行う必要はない。
【0169】
ブロック1302では、処理システム1000は基板ホルダー162の上に基板152を配置し得る。基板152は半導体材料又は処理システム1000によりエッチングされ得る任意の他の導電性材料を含み得る。基板ホルダー162は、処理システム1000によって生成されるGCIB128A’と基板が交差するように基板を動かすことができ得る。
【0170】
処理システム1000は、基板152をエッチングするか薄膜を堆積するのに用いられ得るガスクラスターイオンビーム(GCIB128A’)を生成し得る。
図5〜
図9はGCIB128A’がどのように生成され基板152に提供され得るかの説明を提供する。
【0171】
基板ホルダー162は、GCIB128A’が所定の位置及び/又は所定の時間で基板152と交差し得るようにGCIB128A’を通じて基板152を走査し得る。
【0172】
ブロック1306では、処理システム1000の処理チャンバ108内に位置する分子ビームノズル168を用いて分子ビーム174を生成する。
図10、
図11A〜
図11C及び
図12A〜
図12Hの中で上述したように、基板152をエッチングするか又は薄膜を堆積するためにGCIB128A’及び/又は基板152の状態に影響を与えるのに1つ以上の分子ビーム174が用いられ得る。特定の実施形態では、分子ビームの生成はGCIB128A’を通じて基板152を走査する前に起こり得る。
【0173】
ブロック1308では、分子ビーム174は、基板152上の所定の位置に近い交差位置でGCIB128A’と交差し得る。1つの交差位置176は基板152からオフセット距離180の所に位置し得る。交差位置176は、GCIB128A’の特性を変更し得る局所高圧領域を生成し得る。従って、基板152の表面に行われるエッチング又は堆積を操作するのに変更されたGCIB128A’が用いられ得る。
図11A〜
図11C及び
図12A〜
図12Hに示すように、交差点の位置はGCIB128A’に沿って異なり得るとともに基板152の表面に又は真上にある交差部をも含み得る。
【0174】
本発明の特定の実施形態のみを詳細に説明してきたが、当業者であれば、本発明の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく実施形態に多くの変更を行うことができるのが容易に分かる。従って、そのような変更の全ては本発明の範囲内に含まれるものとする。