特許第6556731号(P6556731)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556731淹出生成物を準備するためのポーションカプセル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556731
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】淹出生成物を準備するためのポーションカプセル
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20190729BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   A47J31/06 323
   A47J31/36 122
   A47J31/36 328
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-542699(P2016-542699)
(86)(22)【出願日】2014年12月11日
(65)【公表番号】特表2017-504399(P2017-504399A)
(43)【公表日】2017年2月9日
(86)【国際出願番号】EP2014077363
(87)【国際公開番号】WO2015096991
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2017年12月5日
(31)【優先権主張番号】13199517.7
(32)【優先日】2013年12月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511248548
【氏名又は名称】キュー・ビー・オー・コーヒー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】QBO COFFEE GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デューバー,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】テルニテ,リュディガー
(72)【発明者】
【氏名】ランツ,インゴ
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−525041(JP,A)
【文献】 特表2012−511335(JP,A)
【文献】 特表2012−510323(JP,A)
【文献】 特表2012−523860(JP,A)
【文献】 特開2001−315774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/06
A47J 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックからなり、抽出材料を充填され、淹出された生成物を作るためのポーションカプセル(1)であって、
−底部領域(5)と周辺側壁(6)とを有する本体(2)と、
−前記本体(2)に固定されるカバー(3)とを含み、
−前記カバー(3)は前記本体上において周辺カラー部(4)に沿って固定され、前記カラー部(4)はカバー側に向かって前記周辺側壁に接続し、
−前記本体(2)は前記カラー部の領域において本質的に矩形の断面を有し、
−前記カバー(3)は外方向アーチ形状を形成し、したがって前記カバーはカプセル容積に寄与し、
−前記カラー部(4)は少なくとも1.6mmの幅(b)を有することにおいて特徴付けられる、ポーションカプセル(1)。
【請求項2】
前記カラー部(4)は、1.6mmと3mmとの間、好ましくは1.6mmと2.2mmとの間の幅(b)を有する、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記本体(2)および前記カバー(3)は同じプラスチック材料から製造される、請求項1または請求項2に記載のカプセル。
【請求項4】
前記本体(2)および前記カバー(3)はポリプロピレンから製造される、請求項3に記載のカプセル。
【請求項5】
前記カバーは、外側から内側に、前記カバー側に面する表面(8)を形成するカラー部領域と、アーチ状の遷移領域と、前記表面(8)の面から離れるように設定される平坦領域(9)とを含む、請求項1〜請求項4の1つに記載のカプセル。
【請求項6】
前記平坦領域(9)はカバー表面の少なくとも40%を想定する、請求項5に記載のカプセル。
【請求項7】
前記カラー部(4)を除き、本質的に立方体形状または直平行六面体である、請求項1〜請求項6の1つに記載のカプセル。
【請求項8】
前記アーチ形状の基部(12)は、前記カラー部(4)が上に接続する前記側壁(6)の部分と比較して、内方向にオフセットされる、請求項1〜請求項7の1つに記載のカプセル。
【請求項9】
前記カバー(3)はエネルギ導波部を設けられる、請求項1〜請求項8の1つに記載のカプセル。
【請求項10】
前記本体は、機械的な妨害が対抗しない限り、95℃の淹出流体温度および1バールの超過圧力でカプセル直径が少なくとも1mm増大するような態様で、導入された淹出流体によって膨張され得る、請求項1〜請求項9の1つに記載のカプセル。
【請求項11】
請求項1〜請求項10の1つに記載のカプセルと、前記カプセルを受ける淹出チャンバを形成するための淹出モジュールを伴うマシンとを含み、前記淹出モジュールは、淹出流体を前記カプセル内に導入するためのインジェクタ(105)と、淹出生成物を前記カプセルから放出するための放出装置(103)とを含み、前記放出装置は封止表面(132)を設けられ、前記封止表面(132)は、前記アーチ形状と一致され、前記封止表面(132)に対して、前記淹出チャンバに挿入された前記カプセル(1)の前記カバー(3)が前記淹出流体の圧力下において押圧される、淹出生成物を準備するためのシステム。
【請求項12】
前記カラー部(4)を前記カプセルの前記淹出モジュール内への挿入中において案内するための側方案内手段(131)を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記インジェクタ(105)は、前記カプセルの周辺側壁(6)を淹出手順中において内方向に押圧する周辺封止特徴を有する少なくとも1つのカプセル封止を含む、請求項11または請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
挿入開口部(111)および案内手段(131)は、挿入されたカプセルの前記カバー(3)が前記放出装置(103)に対する側にあるように、前記カプセルを位置決めする、請求項11〜請求項13の1つに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセルに含まれる挽いたコーヒー豆などのような抽出材料から飲料などを準備することに関する。特に、本発明は、抽出材料を伴うカプセル、および準備システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポーションパッケージ内にある抽出材料から飲料を準備するための抽出器具、たとえばコーヒーマシンまたはエスプレッソマシンなどが公知であり、これまでそうであったようにますます人気を博している。多くの対応するシステムでは、ポーションパッケージはカプセルとして設計され、そこにおいては、抽出材料はたとえば気密状態で閉鎖されている。カプセルは、抽出のために、2つの対向する側において穿孔される。淹出流体、−一般的には湯−が第1の側において導入される。淹出生成物は第2の側においてカプセルから導き出される。それにより、たとえば5〜20バールのかなりの圧力が、準備されるべき飲料およびシステムによって、カプセルの内側において、−さらに、フィルタコーヒー、つまり「アメリカンコーヒー」または「茶」に対してはより少ない圧力−が行き渡らなければならない。
【0003】
特に、アルミニウムおよびプラスチック、たとえばポリプロピレンが、カプセル材料として公知となっている。アルミニウムカプセルは、抽出材料の非常に十分な耐久性(アロマ保護)を与えるが、製造において非常にエネルギにコストが掛かる。ポリプロピレンカプセルは、エネルギ費用および廃棄に関して有利であるが、穿孔機構およびアロマ保護に対して大きな要求を課す。
【0004】
プラスチック製であり、立方体形状を有し、公知のビーカー状のカプセルとは対照的に1つの(上側)カバー表面の面上に周辺カラー部を有さないコーヒーポーションカプセルがWO2010/118543から公知である。そのような周辺カラー部は、現状技術に従うカプセルシステムで、第1に、カプセルを挿入で抽出器具内に案内するため、およびそれを挿入後に中間位置に保持するために、必要とされる。第2に、カラー部は上側カバー表面の面上に必要であり、したがって、カプセルは、淹出流体の導入で、カラー部において、抽出器具の好適な封止要素間においてクランプすることによって封止され得、したがって、圧力下における淹出流体はカプセルを通って流れることはできない。第3に、そのようなカラー部は、平坦なカバー(箔としても設計され得る)によって超音波溶接または熱的封止によってカプセルを閉じることに対して必要とされる。より信頼性のある封止は、封止方法に関係なく、より幅の広いカラー部とともに得られ、なぜならば、封止表面がより大きいからである。これは、超音波溶接による閉鎖に当てはまり、その場合、エネルギ導波部が、熱的封止によることと並んで、カプセルのカラー部上にさらに収容されなければならない。
【0005】
これとは対照的に、WO2010/118543によれば、一般的なカバー箔または膜の代わりに、アーチ状にされたカバーが用いられ、その閉鎖はたとえば超音波切断および封止によって行なわれる。WO2010/118543の教示に従って製造されるカプセルは、したがって、その(「立方体」)形状とは関係なく、カバー表面によって規定される面の間において周辺であり、最小限のカラー部のみを形成する、溶接ビーズを有する。
【0006】
WO2010/118543に従うカプセルは大きな利点を有し、それらはこの文書においても記載される。しかしながら、WO2010/118543に記載されるカプセルを抽出器具の淹出ユニットにおいて取扱うこと、およびその封止を確実にすることは、技術的な挑戦である。本質的に立方体形状のプラスチックカプセルは、淹出手順中に行き渡る高温および高圧で膨張してその形状を変え、それは、実際、さらに以下に説明されるように、封止に対して所望される効果である。しかしながら、カプセルは、高い内側圧力を与えられ、材料が熱のために十分軟らかい場合には、球形形状に近似する傾向があり、この形状は、特に、封止を損ない、最悪の場合には、淹出ユニットにおいてカプセルが詰まることに至りもし得ることがわかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、この発明の目的は、淹出ユニットおけるカプセルの封止およびさらなる機能を改善するために、WO2010/118543に記載されるタイプのカプセルをさらに展開することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のある局面によれば、抽出材料を伴うプラスチック製のカプセルが提供され、前記カプセルは、
−底部領域と周辺側壁とを有する本体と、
−本体に固定されるカバーとを含み、
−カバーは本体上において周辺カラー部に沿って固定され、カラー部はカバー側に向かって周辺側壁に接続し、
−本体はカラー部の領域において本質的に矩形の断面を有し、
−カバーは外方向アーチ形状を形成し、したがってカバーはカプセル容積に寄与し、
−カラー部は少なくとも1.6mmの幅を有する。
【0009】
カラー部の幅は、特に、1.6mmと4mmとの間であり得る。
そのようなカプセルは最初に設定された要求を特に十分に満たすことがわかった。特に、封止での問題は、より幅の広いカラー部によって解決され得る。1.6mmより非常に大きい幅を有する周辺カラー部を伴うカプセルは、すでに市場で入手可能なカプセルシステムから公知であるが、これらのシステムに関しては、しかしながら、既に記載されたように、円形または少なくともおおよそ円形の断面を伴い、平坦なカバー膜によって閉じられるカプセルの場合である。これらのカプセルシステムでは、抽出側封止は典型的はカプセルカラー部上にある淹出チャンバにおける封止要素によって達成される。カプセルカラー部における、カラー部内に統合された封止要素による封止も、同様に公知である。カプセルのカラー部上におけるゴム弾性封止要素による封止が、たとえばEP1654966A1に記載されている。この発明に従うカプセルでのカラー部は、そのような封止機能を仮定せず、抽出側封止はアーチ状にされたカバーにおいて生ずる。具体的には、カプセルは、淹出手順中において、内側圧力および高温のために変形し、カプセルカバーのアーチ形状は、特にアーチ状の外側領域において、淹出モジュールの、対応して形状化されたアーチ状ではあるが必ずしも弾性ではない封止表面に対して、広範囲な態様で押圧される。アーチ状にされたカバーは、その外側領域においては、しかしながら、カプセルが球形の方向においてあまりにも変形し過ぎ、信頼性のある封止がもはや確保されない場合には、もはや形状に適合される態様で淹出モジュールのそれぞれの封止表面に影響しない。この影響は、この発明に従って、より幅の広いカラー部によって回避されることができ、なぜならば、このカラー部は、カプセルを、それがその正方形または矩形の断面を保持するような態様で剛性にし、したがって、信頼性のある封止が、淹出ユニット内において封止表面に影響するアーチ状にされたカバーを介して行なわれるからである。したがって、カラー部は、カプセル表面と面一には位置せず、封止がその領域で行なわれるカバーのアーチ形状より下にあることが重要である。
【0010】
側方案内手段を伴うヘッドを伴う淹出モジュールが、Luna Technology Systems LTS GmbHの未公開の欧州特許出願13 186 920.8に提案されており、それは、WO2010/118543に教示されるタイプのカプセルのカラー部を挿入で淹出モジュール内に案内し、そこから、カラー部は、回収手段によって、これらの側方案内手段が横方向において可動である必要なしに、変位され得る。回収手段と相互作用するこのタイプの案内は特に、カラー部の領域において矩形であるカプセルの形状のため、有利であり、そのおかげで、カラー部は延長された経路に沿って、側方において案内される。具体的には、案内手段は、カプセルを、たとえばカラー部に沿って互いから離れている2つの位置において保持することができ、回収手段は、矩形の形状および延長されたストレッチ(経路)に沿った案内の可能性のため、中央においてこれらの位置の間において係合することができ、これは回転対称のカプセルでは可能ではない。これは、たとえば、さらに、回収手段が淹出プロセス中においてもカプセルと係合されることを可能にし、淹出プロセス後に回収手段をカプセルとの係合状態にする機構は全く必要がなく、それは現状技術の解決策とは対照的である。案内手段と回収手段との間における他のタイプの相互作用は、特許請求されるタイプのカラー部とともに、カプセルの矩形の形状のため、可能とされる。
【0011】
この理由のため、1.6mmの幅より大きいカラー部は、特に、欧州特許出願13 186 920.8において示唆されるタイプの淹出モジュールにおいて、挿入中、淹出プロセス中、および排出中において、カプセルの案内を単純化することができる。したがって、これらの特徴「矩形の基本的な形状」、「カバーのアーチ形状」および「最小幅のカラー部」は、実際、挿入中および淹出プロセスおよび排出中における案内、ならびに淹出モジュールに関する封止が、WO2010/118543に開示されるようなカプセルの重要な利点(たとえば積層性、密充填能力など)を諦めることなく、かつカプセルカラー部それ自体が、上に説明されたような明記された構成であっても、互いに関して変位され得る淹出モジュール部品の弾性封止手段間における挟持による従来の態様でのカプセルの封止に対しては、より好適ではないであろうという事実にも係わらず、満足のいく態様において解決されることにより、互いと理想的な態様で相互作用する。
【0012】
ある実施の形態では、カプセルの設計は、95℃(淹出流体の典型的な温度)における1バールの超過圧力で、底部(基部)とカプセルカラー部との間の中間における直径が、封止を改善するために、少なくとも1mm、特に少なくとも2mmだけ増大するように行なわれる。実際には、さらにより大きな圧力およびより高い温度、たとえば110℃より上の温度が淹出手順中に行き渡り得、カプセルの容積における増大は、したがって、ここに明記される値より大きく上であることもあり得る。これは、包囲封止のない条件に当てはまり、それにより、そのような封止は、寸法取りによって、そのような膨張を防ぎ得る。信頼性のある封止は、周辺カラー部に平行な面におけるカプセルの直径が、これのために、淹出チャンバの内側直径よりも小さい場合にも達成され得る。特に、製造公差を補償することができる。
【0013】
カプセルの形状は、言及されたように、本体が、カラー部の領域において、本質的に矩形、たとえば本質的に正方形の断面であるようになっている。カラー部それ自体、たとえばその外側縁部も本質的に矩形、特に正方形であり得る。「本質的に矩形」または「本質的に正方形」は、特に、丸められた角部を排除しない。
【0014】
カプセルは、全体として−カラー部およびカバーアーチ形状のオフセットの可能性の例外を伴って(以下を参照)−立方体または直平行六面体、特に立方体の形状を有し得る。実施の形態では、カラー部は、側方に最大4mm、特に最大3mm、最大2.5mmまたはたとえば最大2.2mmだけ突出し得る。特に、1.6〜2.2mmの突出がしたがって好まれ、なぜならば、可能な限り小さいカラー部の利点(カプセルの積層性、カプセルおよびしたがってさらには淹出モジュールのコンパクト性、洗練された外見)と、より幅の広いカラー部の利点(剛性にする効果による淹出ユニットにおけるよりよい封止、より幅広い封止表面によるカラー部における、より単純で改善された封止、カラー部を把持する際および/またはカラー部を溝において案内する際におけるカプセルの、より単純な取扱い)との間における最適の折衷がここにおいて達成されることがわかったからである。立方体形状は、周辺側面表面の(底部表面および/またはカバー表面に対して垂直である)軸に対するたとえば最大3度、特に最大2度、または最大1.5度の傾きを排除するものではなく、それは、深絞り方法または射出成形方法によって製造されるカプセルの製造に本質的である。
【0015】
立方体形状を本質的に伴う実施の形態では、立方体縁部の外側長は、約6gと約10gとの間のコーヒーの充填量に対しては、たとえば24mmと30mmとの間である。より大きな寸法、たとえば35mmまでが、より大きな充填量に対して排除されない。
【0016】
底部領域および周辺側壁を伴う本体は、したがって、カバーによって閉じられるビーカーのタイプを形成する。したがって、底部領域は平坦であり得るが、これは必要事項ではない。
【0017】
カバーの形状は、外側から内側に、カバーカラー部と、アーチ状の遷移領域と、実際の上側カバー表面を形成する中間平坦領域とを含み得る。そのような平坦領域は離れて設定され、つまり、アーチ形状を行なう遷移領域のため、カバーカラー部の面から外方向に肩入れされる。遷移領域は、たとえば、S形状の態様で湾曲され得るか、または常に湾曲される態様で、外側領域から、カラー部面に対してある角度で、中間平坦領域に向かって走り得る。寸法取りは、したがって、中間平坦領域が、たとえば、それが底部表面と等しく同じくらい大きいかまたはほんの僅かに(たとえば最大10%だけ)より小さくあることなどによって、視覚的に支配的であるように選択される。この平坦領域が直径の60%より多く、およびしたがって表面の少なくとも40%を仮定することを構想することができるのは、特に、全体として直平行六面体または立方体形状であるカプセルの実施の形態でである。この中間平坦領域は穿孔およびしたがって抽出を単純にする。
【0018】
カバーカラー部は、一般的に、カバー側に面し、カラー部の外側縁部からアーチ形状の基部まで延在する周辺表面を形成する。実施の形態では、アーチ形状の基部が、カラー部がその上に接続する側壁の部分と比較して内方向にオフセットとしていることを構想することができる。そのようなオフセットはたとえば少なくとも0.2mmであり得る。
【0019】
本体およびカバーは一般的にたとえばプラスチックから製造される。特に、本体およびカバーが同じ材料からなることを構想することができる。ポリプロピレンが材料の一例として言及され、バリア層が組込まれ得、これは酸素に対するバリア特性を有し、酸素のカプセル内への拡散を防ぐ。そのようなバリア層は、たとえば、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)を含む。本体の領域における壁部厚みは、特に、0.1mm〜0.7mmの間、好ましくは0.2mmと0.4mmとの間、たとえば0.25mmと0.35mmとの間にある。同じことが、さらに、カバーの壁部厚みにも当てはまり得る。好ましい実施の形態では、カバーの壁部厚みは、大まかに、本体の壁部厚みに対応する。
【0020】
ポリプロピレンの代わりに、他のプラスチックも考えられる。この発明の非プラスチックに対する適用も除外されない。
【0021】
本体は深絞り方法で製造され得る。代替的に、射出成形による製造も考えられる。同じことがカバーにも当てはまり、深絞り方法は、その制限された深さのため、エンボス加工方法としても考えられ得る。射出成形された本体および深絞りされたカバーとの組合せ、およびその逆も可能である。
【0022】
カバーの本体上における固定は、第1の実施の形態によれば、超音波溶接によって行なわれる。第1の可能性によれば、超音波切断および封止方法が適用され、それにより、カバーおよび本体のおそらくは突出する縁部も、超音波の効果によって切断または分離される。第2の可能性によれば、分離は、別途の機械加工ステップにおいて、たとえば、打抜き加工または別のステーションにおける超音波分離によって行なわれる。
【0023】
ある実施の形態では−およびこれは両方の可能性に対するオプションである−、エネルギ導波部が、超音波溶接方法のために、カバー上に存在するが、本体上には存在しない。これは、本体とカバー部との間の接続に対して特に有利であることがわかった。
【0024】
第2の実施の形態では、本体上におけるカバーの固定は、加熱された工具からの熱伝達によって行なわれる。第3の実施の形態では、この固定はレーザ溶接によって行なわれる。第4の実施の形態ではこれは接合によって行なわれる。ここでも、縁部は異なる方法(打抜き、超音波分離など)によって分離され得る。
【0025】
たとえば、超音波および/または熱(したがって実際にははんだ付け方法)による接着剤の継続溶融、または組合された熱的/超音波方法などにおける加熱されたソノトロードの使用との組合せも可能である。
【0026】
概略されたタイプのカプセルとは別に淹出生成物を準備するあるシステムは、さらに、そのようなカプセルの支援とともに淹出生成物を準備するためのマシン(抽出器具)を含む。このマシンは、それ自体が公知であるように、淹出モジュールを含み、それによって、淹出チャンバが形成され得、その淹出チャンバ内において、カプセルが淹出プロセス中に位置される。淹出モジュールは、−一般的には圧力下で−淹出流体を導入するためのインジェクタと、これを放出するための放出装置とを含む。インジェクタおよび/または放出装置は、それ自体公知の態様において、カプセルを穿孔するための穿孔要素を含み得る。
【0027】
放出装置は、さらに、封止表面を設けられ、その封止表面は、アーチ形状または湾曲に一致され、その封止表面に対して、淹出チャンバに挿入されたカプセルのカバーが淹出流体の圧力によって押圧される。そのような封止表面は少なくとも部分的に湾曲され、その湾曲は、カバーの対応する湾曲に対して、たとえば一方のカラー部と他方の本質的に平坦なカバー表面(場合によってはカプセルが抽出側で穿孔され得る)との間における領域において一致される。
【0028】
淹出モジュールは、さらに、カラー部を、カプセルの挿入中において、淹出モジュール内に案内するための、側方案内手段を含む。これらの案内手段は、カプセルを、その挿入後、および淹出チャンバの閉鎖前に保持する。
【0029】
淹出モジュールの設計は、カプセルが挿入開口部および案内手段によって位置決めされ、挿入されたカプセルのカバーが放出装置の側にあるように行なわれ得る。封止表面はこれによってカプセルカバーと相互作用し、先に論じられたタイプの可能な膨張能力が、インジェクタの一部を形成し得るインジェクタ側封止の封止効果を強化し得る。
【0030】
この発明の実施の形態例を以下に図面によって説明する。図面において、同じ参照符号は同じであるかまたは同様の要素を示す。図面は尺度決めされず、図面間において異なるサイズで互いに対応する要素を示し得る。これらは以下に示される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】カプセルを側面図で示す。
図2図1に従うカプセルを代替図において示す。
図3】カプセルの断面図をカラー部の領域において示す。
図4】淹出モジュールである。
図5】淹出モジュールの放出装置の図である。
図6】淹出モジュールの断面図である。
図7】代替的カプセルである。
図8図7に従うカプセルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1および図2に従い、抽出材料、特に挽かれたコーヒー豆を充填されるカプセル1は、本質的に、丸められた縁部を有する立方体の形状を有する。しかしながら、拡張が、頂部にある側に向かって僅かに増大し、したがって、カプセルは、厳密に数学的な意味において角錐台形状を有している。図において側方の表面の、底部表面5に対する垂直面−意味されるものは、当然のことながら、底部表面に対して垂直でありかつ底部表面と対応の側方表面との間の縁部を通って走る面である−に関する傾斜角は非常に小さく、最大で好ましくは2度、たとえば僅か約1度である。さらに、底部表面より上のカプセルの高さはおおよそ底部表面縁部の長さに対応する。
【0033】
カプセルは、本体(ビーカー)2と、その上において周辺カラー部4に沿って固定されるカバー3とを含む。本体はカプセル底部5を形成し、周辺側壁6は、軸方向(軸10)に関して外側にありかつ図において頂部にあるその端部において、カラー部4によって終端される。カバーは、カプセル底部5に本質的に平行であるカバー表面9が周辺カラー部4に関して外方向にオフセットされることによって、外方向にアーチ状にされる。カプセルはカラー部4とカバー表面9との間の遷移領域においてアーチ状であり、ここにおいて、それは、常に、カラー部面に対してある角度(ほとんど直角)である外側部分から中間平坦領域に向かって一定してアーチ状であり、つまり、主として凸状に湾曲される。
【0034】
周辺カラー部は、表面8を形成し、それは、カバー側に面し、カラー部の外側縁部7からアーチ形状の基部12まで延在する。図3は、カプセルの拡大された詳細を断面図において示す。カラー部4の幅bはカラー部の最外縁部7の本体2の外側に対する距離である。
【0035】
図1図3に従う実施の形態では、基部12は、本体2によって形成される周辺側壁に関して内方向にオフセットされる。オフセットvは、図3に示されるように、
−一方においては、カラー部4の領域における本体の外側表面と、
−他方では、これと平行であり、かつ表面8とカバーのアーチ形状との間の遷移における最大凹状湾曲の位置を通る面
との間において測定される。
【0036】
図2および図3は、表面8において、周辺カラー部4の領域における溝11を示す。そのような溝は、カバーが深絞り(またはエンボス加工)によって製造され、エネルギ導波部23がカバー3の本体2に対する溶接のためにカバー上に存在する場合に、存在し得る。そのような溝は、他の実施の形態においては、たとえばエネルギ導波部がカバー上に存在しないか、またはカバーが、エネルギ導波部を有してはいるが、しかしながら、射出成形によって製造される場合には、存在しない。
【0037】
図4に従う淹出モジュール4は、淹出モジュールハウジング101と、そのハウジングに保持または案内されて、第1の淹出モジュール部としての放出装置103と、第2の淹出モジュール部としてのインジェクタ105とを含む。インジェクタ105は、操作レバー106によって、ハウジングおよび第1の淹出モジュール部に対して、淹出チャンバが開かれ操作レバーが頂部にある開いた位置と、淹出チャンバが閉じられ操作レバーが下方向に折り返された閉じた位置との間において移動され得る。図4は、淹出モジュールを、開いた位置において、挿入されたカプセル1とともに示す。挿入でカプセルの向きも設定する挿入開口部111が、カプセル1の挿入のために存在する。挿入開口部111は、さらに、カラー部4の位置を示すことにより、選択されるべきカプセル1の向きも示す。
【0038】
側方案内手段131−案内顎部として形状化される−は放出装置上に存在し、これらはカプセルのカラー部4を挿入で案内し、淹出モジュールが閉じられると、カプセルを所望の位置に保持する。
【0039】
既に言及された欧州特許出願13 186 920.8ならびに特にそこに記載される側方案内手段および回収要素の機能の態様に関するその詳細な説明が、淹出モジュールの機能態様に関して言及される。挿入での案内、挿入位置における保持、および淹出プロセス後において言及された回収要素の支援でカプセルを排出することに対して用いられるカプセルの特徴は、カラー部4の領域における矩形の基本的な形状であり、それは、カプセルに沿った延長された経路に沿った側方案内、およびある実施の形態においてはさらにこの経路に沿った位置における回収要素の係合を可能にする。
【0040】
図5および図6は放出装置103を示す。(インジェクタ105を、挿入されたカプセル1を与えられた放出装置に向かって変位させることによる)淹出モジュールによって形成される淹出チャンバの閉鎖で、および/または淹出プロセス中において、カバー3は抽出側穿孔スパイク139によって穿孔され、抽出生成物が、カプセルから、これに対して構想されるチャネルを介して流れ去ることができる。ここに示される抽出スパイクの機能の態様は、欧州特許出願13 185 359.0に記載されているが、ここでは、記載される発明は、この機能態様とは独立しており、他の抽出装置とともにも適用され得る。
【0041】
放出装置に関するカプセル1の封止は、ここでは、別途の抽出側封止なしに機能する。放出装置に関するカプセル1のそのような封止は必要であり、したがって、カプセルを出る淹出飲料は注ぎ出し口に入り、カプセルを通って底部に落ちることはできない。この目的のため、カプセルカバー3のアーチ形状に一致され、したがって少なくとも部分的に凹状である封止表面132が抽出側に存在し、その封止表面に対して、カプセルが抽出プロセス中において広範な態様で押圧される。それにより、この封止表面は、硬質材料、たとえば射出成形される硬質プラスチックまたは金属から形成され得、それにより、それは、淹出プロセス中において変形可能であり、封止表面132に対して封止するように押圧されるカプセル壁部である。カプセルカバーのアーチ形状、およびこれを伴う封止表面132のここにおける凹状湾曲はこの封止効果に対して大きな貢献をなす。
【0042】
ここではリップシールとして設計される閉鎖封止170が図6に示され得る。この封止は、淹出チャンバの閉じられた状態においてインジェクタ105のハウジングに影響し、圧力の対象となる、つまり圧力を受けると、これに対して押圧される。これは、淹出チャンバを封止し、たとえ、たとえば濯ぎ手順に対して、カプセルが全く挿入されない場合でも、水が出ることを防ぐ。この閉鎖封止170は、しかしながら、淹出チャンバに関するカプセルの封止に関して、およびしたがって抽出生成物の流れの制御に関して、全く重要性はない。
【0043】
図7および図8は、さらに、このカプセルの変形を示す。この変形では、カプセルは、図1図3に従うカプセルとは、互いから独立しかつ各々個々に実現され得る2つの特徴によって異なる。
【0044】
第1に、図7および図8に従うカプセルのカバー3は深絞りまたはエンボス加工によっては製造されず、射出成形によって製造される。この理由のため、溝11は必ずしもエネルギ導波部の外側には形成されない。
【0045】
第2に、カプセルカラー部4はさらにより大きな幅bを有する。これは、大まかに27mmのカプセル直径の場合において約4mmである。1.6mmと4mmとの間、ある適用例では特に1.6mmと3mmとの間の幅bを有するカラー部の剛さ特性は、必要とされる案内特性、封止特性および変形特性を有するために、特に好ましいことがわかっている。
【0046】
他のカプセル形状も考えられ得る。したがって、たとえば、本体がより大きな程度まで円錐状にテーパすること、およびしたがってカプセルが全体として本質的に立方体形状ではなく、表わされる実施の形態とは異なる、より角錐台の形状を有することは排除されない。底部またはステップ状にされた形状に向かっての、より大きく丸められた形状に対する遷移も、考えられ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8