(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556738
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形
(51)【国際特許分類】
C07D 209/08 20060101AFI20190729BHJP
A61K 31/404 20060101ALN20190729BHJP
A61P 21/00 20060101ALN20190729BHJP
A61P 13/10 20060101ALN20190729BHJP
A61P 11/00 20060101ALN20190729BHJP
A61P 13/12 20060101ALN20190729BHJP
A61P 9/04 20060101ALN20190729BHJP
A61P 19/02 20060101ALN20190729BHJP
【FI】
C07D209/08CSP
!A61K31/404
!A61P21/00
!A61P13/10
!A61P11/00
!A61P13/12
!A61P9/04
!A61P19/02
【請求項の数】3
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-547596(P2016-547596)
(86)(22)【出願日】2015年1月20日
(65)【公表番号】特表2017-503822(P2017-503822A)
(43)【公表日】2017年2月2日
(86)【国際出願番号】IB2015050440
(87)【国際公開番号】WO2015110958
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2018年1月10日
(31)【優先権主張番号】61/929,814
(32)【優先日】2014年1月21日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513110104
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン、インテレクチュアル、プロパティー、(ナンバー2)、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE INTELLECTUAL PROPERTY (NO.2) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100143971
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100104617
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 伸美
(72)【発明者】
【氏名】イシュトバン、カルドア
(72)【発明者】
【氏名】タン、ダリン
【審査官】
三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/118287(WO,A1)
【文献】
特表2010−504987(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/097744(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 209/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
代表的ピーク:
【表1】
を有するX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする、
【化1】
の結晶形。
【請求項2】
−55.5±0.2および−56.3±0.2ppmに等方性化学シフトを含んでなる19F SSNMRスペクトルをさらに特徴とし、前記19F SSNMRスペクトルは、19Fの観察のための470.40MHzの周波数で作動する分光計において、12.5kHzの回転周波数で、ブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブを用いる交差分極パルス列を用いて得られる、請求項1に記載の結晶形。
【請求項3】
138.4±0.2、127.4±0.2、125.5±0.2、124.3±0.2、123.3±0.2、116.5±0.2、114.1±0.2、104.7±0.2、97.4±0.2、61.8±0.2、60.9±0.2、59.2±0.2、48.2±0.2、47.6±0.2、46.3±0.2、44.4±0.2、42.3±0.2、および26.1±0.2ppmに等方性化学シフトを含んでなる13C SSNMR(固体核磁気共鳴)スペクトルを特徴とし、前記13C SSNMRスペクトルは、13Cの観察のための125.73MHzの周波数で作動する分光計において、8kHzの回転周波数で、ブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブを用いる交差分極パルス列を用いて得られる、請求項1に記載の結晶形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンドロゲン受容体のモジュレーターである(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形、および処置において使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステロイド核受容体(NR)リガンドは、男性および女性両方の健康に重要な役割を果たすことが知られている。テストステロン(T)およびジヒドロテストステロン(DHT)は、哺乳動物身体に見られるあらゆる組織種に役割を果たすと思われるアンドロゲン受容体(AR)に対する内因性のステロイドリガンドである。胎児の発達中、アンドロゲンは、性分化および雄性生殖器官の発達に役割を果たす。さらなる性発達思春期にアンドロゲンにより媒介される。アンドロゲンは、成体において、雌性生殖補助器の刺激および維持ならびに筋骨格系の維持を含む多様な役割を果たす。認知機能、性欲、攻撃性、および気分は、アンドロゲンにより媒介される行動的側面の一部である。アンドロゲンは、皮膚、骨、および骨格筋、ならびに血液、脂質、および血液細胞に対して生理作用を有する(Chang, C. and Whipple, G. Androgens and Androgen Receptors. Kluwer Academic Publishers: Boston, MA, 2002)。
【0003】
テストステロンを用いた多くの臨床試験が、内臓脂肪の低下とともに、筋肉の量および機能の有意な増加を示した。例えば、Bhasin (2003) S. J. Gerontol. A Biol. Sci. Med. Sci. 58:1002-8、およびFerrando, A. A. et al. (2002) Am. J. Phys. Endo. Met. 282: E601-E607参照。男性におけるアンドロゲン補充療法(ART)は、筋肉の量、強度、および骨塩量などの身体組成パラメーターを改善する(例えば、Asthana, S. et al. (2004) J. Ger., Series A: Biol. Sci. Med. Sci. 59: 461-465参照)。性欲および気分などの触知しにくいパラメーターの改善の証拠もある。男性病学者およびその他の専門家は、アンドロゲン欠乏症の症状の治療にますますアンドロゲンを使用している。Tおよびその同属を用いたARTは、経皮、注射、および経口投与形で利用可能である。現在の治療選択は総て、禁忌(例えば、前立腺癌)およびヘマトクリットの上昇、肝臓毒性、および睡眠時無呼吸症候群などの副作用を有する。女性におけるアンドロゲン療法からのとしては、座瘡、多毛症、および男性にも見られる顕著な副作用である高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールレベルの低下が含まれる。
【0004】
アンドロゲンの利益を選択的に提供し、副作用プロファイルを大幅に低減し得る薬剤は大きな治療価を持つと考えられる。興味深いことに、ある種のNRリガンドは、組織選択様式においてそれらの作用を発揮することが知られている(例えば、Smith et al. (2004) Endoc. Rev. 2545-71参照)。この選択性は、他の組織においては効果が無いかまたはアンタゴニスト作用させ持ちつつ、一部の組織においてアゴニストとして機能する、これらのリガンドの特定の能力からくる。「選択的受容体モジュレーター」(selective receptor modulator)(SRM)という用語がこれらの分子に与えられている。細胞内受容体に結合し、天然ホルモンの作用を模倣する合成化合物は、アゴニストと呼ばれる。天然ホルモンの作用を阻害する化合物は、アンタゴニストと呼ばれる。「モジュレーター」は、完全促進作用から、部分的促進作用、完全拮抗作用にまで及ぶ作用スペクトルを有する化合物を意味する。
【0005】
SARM(選択的アンドロゲン受容体モジュレーター)は、望ましくない副作用無くアンドロゲン療法の重要な利益を与える能力を有する、新たに登場した小分子薬物療法の種である。実証された組織選択効果を有する多くのSARMは、現在、開発の初期段階にある。例えば、Mohler, M. L. et al. (2009) J. Med. Chem. 52(12): 3597-617参照。1つの顕著なSARM分子、オスタリン(商標)は、最近、第I相および第II相臨床試験を完了した。例えば、Zilbermint, M. F. and Dobs, A. S. (2009) Future Oncology 5(8):1211-20参照。オスタリン(商標)は、総除脂肪体重を増大させ、機能的性能を高めると思われる。それらの高選択性同化特性および実証されたアンドロゲン節約活性のために、SARMは、限定されるものではないが、サルコペニア、悪液質(癌、心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、末期腎疾患(ESRD)に関連するものを含む、尿失禁、骨粗鬆症、虚弱、ドライアイ、および加齢またはアンドロゲン欠乏症に関連するその他の病態を含め、男性および女性両方の多くの疾患の予防および/または治療に有用であるはずである。例えば、Ho et al. (2004) Curr Opin Obstet Gynecol. 16:405-9; Albaaj et al. (2006) Postgrad Med J 82:693-6; Caminti et al. (2009) J Am Coll Cardiol. 54(10):919-27; Iellamo et al. (2010) J Am Coll Cardiol. 56(16):1310-6; Svartberg (2010) Curr Opin Endocrinol Diabetes Obes. 17(3):257-61、およびMammadov et al. (2011) Int Urol Nephrol 43:1003-8参照。SARMSはまた、ホルモン性男性避妊および良性前立腺肥大(BPH)の分野における筋再生および修復の促進(例えば、Serra et al. (Epub 2012 Apr 12) doi:10.1093/Gerona/gls083参照)、ならびに創傷治癒(例えば、Demling (2009) ePlasty 9:e9参照)における使用に有望である。
【0006】
前臨床試験および新たに得られている臨床データは、多くの患者のまだ対処されていない医学的必要に取り組むためのSARMの治療能を証明している。ステロイド系アンドロゲンと比較してこの種の化合物の実証された利点(例えば、組織選択活性、経口投与、AR選択性、およびアンドロゲン作用が無いこと)は、SARMを治療適用の明るい未来に位置づける。
【0007】
いくつかの使用にはSARMの非晶質形態が開発可能であるが、一般に、高い結晶度を有する化合物が、それらの改善された溶解度および安定性のために医薬使用に好ましい。よって、当技術分野では、治療使用のための結晶形のSARMの必要が残されている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、アンドロゲン受容体のモジュレーターである非ステロイド系化合物の結晶形、および療法におけるこれらの化合物の使用に関する。
【0009】
本発明は、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形を提供する。好ましい実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は無水である。
【0010】
本発明の一態様によれば、無水(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は形態1である。
【0011】
特定の実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの形態1は、代表的ピーク:
【0012】
【表1】
を有するX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする。
【0013】
別の実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの形態1は、
図1に実質的に従うXRPDパターンを特徴とする。
【0014】
さらなる実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの形態1は、−52.7±0.2、−56.0±0.2および−57.1±0.2ppmに等方性化学シフトを含んでなる
19F SSNMR(固体核磁気共鳴)スペクトルを特徴とし、前記
19F SSNMRスペクトルは、
19Fの観察のための470.40MHzの周波数で作動する分光計において、12.5kHzの回転周波数で、ブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブを用いる交差分極パルス列を用いて得られる。
【0015】
一つの実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの形態1は、
図4に実質的に従う
19F SSNMRスペクトルを特徴とする。
【0016】
さらなる実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの形態1は、140.1±0.2、136.9±0.2、134.9±0.2、130.4±0.2、128.5±0.2、126.6±0.2、126.0±0.2、125.7±0.2、124.8±0.2、121.9±0.2、120.9±0.2、119.7±0.2、118.6±0.2、115.5±0.2、115.1±0.2、103.6±0.2、100.3±0.2、98.9±0.2、58.1±0.2、55.7±0.2、54.7±0.2、51.1±0.2、50.4±0.2、44.7±0.2、43.6±0.2、40.7±0.2、23.5±0.2および20.7±0.2ppmに等方性化学シフトを含んでなる
13C SSNMR(固体核磁気共鳴)スペクトルを特徴とし、前記
13C SSNMRスペクトルは、
13Cの観察のための125.73MHzの周波数で作動する分光計において、8kHzの回転周波数で、ブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブを用いる交差分極パルス列を用いて得られる。
【0017】
特定の実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの形態1は、
図3に実質的に従う
13C SSNMRスペクトルを特徴とする。
【0018】
本発明の別の態様によれば、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は、形態2である。
【0019】
一つの実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの形態2は、代表的ピーク:
【0020】
【表2】
を有するX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする。
【0021】
別の実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの形態2は、実質的に
図2に記載のXRPDパターンを特徴とする。
【0022】
さらなる実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの形態2は、−55.5±0.2および−56.3±0.2ppmに等方性化学シフトを含んでなる
19F SSNMRスペクトルを特徴とし、前記
19F SSNMRスペクトルは、
19Fの観察のための470.40MHzの周波数で作動する分光計において、12.5kHzの回転周波数で、ブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブを用いる交差分極パルス列を用いて得られる。
【0023】
一つの実施態様によれば、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの形態2は、
図6に実質的に従う
19F SSNMRスペクトルを特徴とする。
【0024】
別の実施態様によれば、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの形態2は、138.4±0.2、127.4±0.2、125.5±0.2、124.3±0.2、123.3±0.2 116.5±0.2、114.1±0.2、104.7±0.2、97.4±0.2、61.8±0.2、60.9±0.2、59.2±0.2、48.2±0.2、47.6±0.2、46.3±0.2、44.4±0.2、42.3±0.2、および26.1±0.2ppmに等方性化学シフトを含んでなる
13C SSNMR(固体核磁気共鳴)スペクトルを特徴とし、前記
13C SSNMRスペクトルは、
13Cの観察のための125.73MHzの周波数で作動する分光計において、8kHzの回転周波数で、ブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブを用いる交差分極パルス列を用いて得られる。
【0025】
さらなる実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの形態2は、
図5に実質的に従う
13C SSNMRスペクトルを特徴とする。
【0026】
本発明の別の態様は、本発明の結晶形と1以上の薬学的に許容可能な賦形剤とを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0027】
本発明の別の態様は、有効治療物質として使用するための本発明 の結晶形を提供する。
【0028】
本発明の別の態様は、創傷治癒および火傷治癒の加速化、ならびに性腺機能不全、サルコペニア、骨粗鬆症、筋消耗、消耗症、悪液質(癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、末期腎疾患(ESRD)、心不全、HIV疾患、HIV治療、ならびに1型および2型真性糖尿病に関連する悪液質を含む)、虚弱、ドライアイ、前立腺肥大、前立腺癌、乳癌、更年期および男性更年期血管運動症状、性的機能不全、勃起不全、鬱病、子宮類線維症、子宮内膜症、尿失禁(骨盤底の筋および/または組織消耗に関連する尿失禁を含む)、座瘡、多毛症、男性避妊、不能症の処置における使用のため、ならびに男性および女性ホルモン補充療法、造血刺激薬、および蛋白同化剤としての使用における本発明の結晶形を提供する。
【0029】
本発明の別の態様は、創傷治癒の加速化、ならびに性腺機能不全、サルコペニア、骨粗鬆症、筋消耗、消耗症、筋消耗および悪液質(癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、末期腎疾患(ESRD)、心不全、HIV疾患、HIV治療、ならびに1型および2型真性糖尿病に関連する筋消耗および悪液質を含む)、虚弱、ドライアイ、前立腺肥大、前立腺癌、乳癌、更年期および男性更年期血管運動症状、尿失禁(骨盤底の筋および/または組織消耗に関連する尿失禁を含む)、性的機能不全、勃起不全、鬱病、子宮類線維症、子宮内膜症、座瘡、多毛症、男性避妊、不能症の処置における使用のため、ならびに男性および女性ホルモン補充療法、造血刺激薬、および蛋白同化剤としての使用における薬剤の製造における本発明の結晶形の使用を提供する。
【0030】
本発明の別の態様は、性腺機能不全、サルコペニア、骨粗鬆症、筋消耗、消耗症、悪液質および筋消耗(癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、末期腎疾患(ESRD)、心不全、HIV疾患、HIV治療、ならびに1型および2型真性糖尿病に関連する筋消耗および悪液質を含む)、虚弱、前立腺肥大、前立腺癌、乳癌、更年期および男性更年期血管運動症状、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、尿失禁(骨盤底の筋および/または組織消耗に関連する尿失禁)、性的機能不全、勃起不全、鬱病、子宮類線維症、子宮内膜症、座瘡、多毛症、男性避妊、不能症の処置のための方法、ならびに男性および女性ホルモン補充療法、造血刺激、および同化作用の方法を提供し、その方法は、本発明の結晶形の投与を含んでなる。
【0031】
別の態様では、本発明は、本発明の結晶形の投与を含んでなる筋損傷の処置のため、および筋修復の加速化のための方法を提供する。また、筋損傷の処置における、または筋修復の加速化における本発明の結晶形の使用も提供される。加えて、筋損傷の処置または筋修復の加速化のための薬剤の製造における本発明の結晶形の使用も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、無水(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形1のXRPDを示す。
【
図2】
図2は、無水(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形2のXRPDを示す。
【
図3】
図3は、無水(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形1の
13C固体NMR(SSNMR)スペクトルを示す。固体NMRスペクトルは、本明細書に記載の手順に従い、
13Cの観察のための125.73MHzの周波数、および8kHzの回転速度で作動する分光計において得た。119.7ppm炭素部位は
1J
C−Fカップリングにより分割され、55.7、43.6、および23.5ppmの炭素部位は、おそらく結晶構造の部分的乱れの結果である。
【
図4】
図4は、無水(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形1の化合物の
19F固体NMR (SSNMR)スペクトルの等方性領域を示す。固体NMRスペクトルは、本明細書に記載の手順に従い、
19Fの観察のための470.40MHzの周波数、および12.5kHzの回転速度で作動する分光計において得た。52.7ppmにおける
19F共鳴は、おそらく結晶構造の部分的乱れの結果である。
【
図5】
図5は、無水(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形2の化合物の
13C固体NMR(SSNMR)スペクトルを示す。固体NMRスペクトルは、本明細書に記載の手順に従い、
13C観察のための125.73MHzの周波数、および8kHzの回転速度で作動するにおいて得た。116.5ppmピークは、
1J
C−Fカップリングにより分割された炭素部位からくるものである。
【
図6】
図6は、無水(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形2の
19F固体NMR(SSNMR)スペクトルの等方性領域を示す。固体NMRスペクトルは、本明細書に記載の手順に従い、
19F観察のための470.40MHzの周波数、および12.5kHzの回転速度で作動する分光計で得た。
【0033】
本発明は、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形を提供する。
【0035】
特定の実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は無水である。特定の実施態様では、無水結晶形は、1.5重量%未満、好ましくは1.0重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満の水含量を有する。
【0036】
本発明の一態様によれば、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は形態1である。
【0037】
特定の実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は、代表的ピーク:
【0038】
【表3】
を有するX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする。
【0039】
別の実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は、
図1に実質的に従うXRPDパターンを特徴とする。
【0040】
一つの実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は、−56.0±0.5および−57.1±0.5ppmに等方性化学シフトを含んでなる
19F SSNMR(固体核磁気共鳴)スペクトルを特徴とし、前記
19F SSNMRスペクトルは、
19Fの観察のための470.40MHzの周波数で作動する分光計において、12.5kHzの回転周波数で、ブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブを用いる交差分極パルス列を用いて得られる。
【0041】
さらなる実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は、−52.7±0.2、−56.0±0.2および−57.1±0.2ppmに等方性化学シフトを含んでなる
19F SSNMR(固体核磁気共鳴)スペクトルを特徴とし、前記
19F SSNMRスペクトルは、
19Fの観察のための470.40MHzの周波数で作動する分光計において、12.5kHzの回転周波数で、ブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブを用いる交差分極パルス列を用いて得られる。
【0042】
一つの実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は、
図4に実質的に従う
19F SSNMRスペクトルを特徴とする。
【0043】
一つの実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は、140.1±0.2、136.9±0.2、134.9±0.2、130.4±0.2、128.5±0.2、126.6±0.2、124.8±0.2、119.7±0.2、118.6±0.2、115.5±0.2、115.1±0.2、103.6±0.2、100.3±0.2、98.9±0.2、58.1±0.2、54.7±0.2、51.1±0.2、50.4±0.2、44.7±0.2、40.7±0.2、および20.7±0.2ppmに等方性化学シフトを含んでなる
13C SSNMR(固体核磁気共鳴)スペクトルを特徴とし、前記
13C SSNMRスペクトルは、
13Cの観察のための125.73MHzの周波数で作動する分光計において、8kHzの回転周波数で、ブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブを用いる交差分極パルス列を用いて得られる。
【0044】
さらなる実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は、140.1±0.2、136.9±0.2、134.9±0.2、130.4±0.2、128.5±0.2、126.6±0.2、126.0±0.2、125.7±0.2、124.8±0.2、121.9±0.2、120.9±0.2、119.7±0.2、118.6±0.2、115.5±0.2、115.1±0.2、103.6±0.2、100.3±0.2、98.9±0.2、58.1±0.2、55.7±0.2、54.7±0.2、51.1±0.2、50.4±0.2、44.7±0.2、43.6±0.2、40.7±0.2、23.5±0.2および20.7±0.2ppmに等方性化学シフトを含んでなる
13C SSNMR(固体核磁気共鳴)スペクトルを特徴とし、前記
13C SSNMRスペクトルは、
13Cの観察のための125.73MHzの周波数で作動する分光計において、8kHzの回転周波数で、ブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブを用いる交差分極パルス列を用いて得られる。
【0045】
特定の実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は、
図3に実質的に従う
13C SSNMRスペクトルを特徴とする。
【0046】
本発明の別の態様によれば、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は形態2である。
【0047】
一つの実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は、代表的ピーク:
【0048】
【表4】
を有するX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする。
【0049】
別の実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は、
図2に実質的に従うXRPDパターンを特徴とする。
【0050】
さらなる実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は、−55.5±0.2および−56.3±0.2ppmに等方性化学シフトを含んでなる
19F SSNMRスペクトルを特徴とし、前記
19F SSNMRスペクトルは、
19Fの観察のための470.40MHzの周波数で作動する分光計において、12.5kHzの回転周波数で、ブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブを用いる交差分極パルス列を用いて得られる。
【0051】
別の実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は、−55.5±0.5および−56.3±0.5ppmに等方性化学シフトを含んでなる
19F SSNMRスペクトルを特徴とし、前記
19F SSNMRスペクトルは、
19Fの観察のための470.40MHzの周波数で作動する分光計において、12.5kHzの回転周波数で、ブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブを用いる交差分極パルス列を用いて得られる。
【0052】
一つの実施態様によれば、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は、
図6に実質的に従う
19F SSNMRスペクトルを特徴とする。
【0053】
別の実施態様によれば、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は、138.4±0.2、127.4±0.2、125.5±0.2、124.3±0.2、123.3±0.2 116.5±0.2、114.1±0.2、104.7±0.2、97.4±0.2、61.8±0.2、60.9±0.2、59.2±0.2、48.2±0.2、47.6±0.2、46.3±0.2、44.4±0.2、42.3±0.2、および26.1±0.2ppmに等方性化学シフトを含んでなる
13C SSNMR(固体核磁気共鳴)スペクトルを特徴とし、前記
13C SSNMRスペクトルは、
13Cの観察のための125.73MHzの周波数で作動する分光計において、8kHzの回転周波数で、ブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブを用いる交差分極パルス列を用いて得られる。
【0054】
さらなる実施態様では、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形は、
図5に実質的に従う
13C SSNMRスペクトルを特徴とする。
【0055】
本発明の別の態様は、本発明の結晶形と1以上の薬学的に許容可能な賦形剤とを含んでなる医薬組成物を提供する。好ましい実施態様では、結晶形は形態1である。
【0056】
使用する装置、湿度、温度、粉末結晶の配向、およびX線粉末回折(XRPD)パターンの取得に関与する他のパラメーターは、回折パターンのラインの出現、強度および位置にいくらかの変動をもたらし得ることが当業者に周知であり、理解される。
図1または2に「実質的に従う」X線粉末回折パターンは、
図1または2のXRPDパターンを示した化合物と同様の結晶形を有する化合物を表すと当業者により見なされるXRPDパターンである。すなわち、XRPDパターンは
図1もしくは2のパターンと同一であり得るか、または若干異なってもよい。このようなXRPDパターンは、本明細書に示される回折パターンのいずれか1つのラインのそれぞれを必ずしも示さなくてよく、かつ/またはデータの取得に関与する条件の違いからくる前記ラインの出現、強度の若干の変化もしくは位置の移動を示してもよい。当業者は、ある結晶性化合物のサンプルが本明細書に開示されている形態と同じ形態と有するか異なる形態を有するかをそれらのXRPDパターンの比較により決定することができる。例えば、当業者は、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルのサンプルのXRPDパターンを
図1または2と重畳し、当技術分野の専門技術および知識を用いて、サンプルのXRPDパターンが図に示されるXRPDパターンに実質的に従うかどうかを容易に決定することができる。そのXRPDパターンが
図1(形態1)または2(形態2)に実質的に従えば、そのサンプル形態は(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの形態1または形態2と同じ形態を有すると容易かつ正確に特定することができる。
【0057】
さらに、使用する装置、湿度、温度、粉末結晶の配向、およびSSNMRスペクトルの取得に関与するその他のパラメーターが、スペクトルにおけるピークの出現、強度、および位置に若干の変動をもたらす場合があるということも当業者に周知であり、理解される。本明細書に示される
図3、4、5、または6に「実質的に従う」SSNMRスペクトルは、
図3、4、5、または6のSSNMRスペクトルを示した化合物と同じ結晶形を有する化合物を表すと当業者により見なされるSSNMRスペクトルである。すなわち、SSNMRスペクトルは、
図3、4、5、もしくは6と同一で、またはより高い可能性としては、若干異なり得る。このようなSSNMRスペクトルは、本明細書に示されるスペクトルのいずれか1つの化学シフトのそれぞれを必ずしも示さなくてよく、かつ/またはデータの取得に関与する条件の違いからくる前記化学シフトの出現、強度の若干の変化もしくは位置の移動を示してもよい。当業者は、ある結晶性化合物のサンプルが本明細書に開示されている形態と同じ形態と有するか異なる形態を有するかをそれらのSSNMRスペクトルの比較により決定することができる。例えば、当業者は、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルのサンプルのSSNMRスペクトルを
図3、4、5、または6と重畳し、当技術分野の専門技術および知識を用いて、そのサンプルのSSNMRスペクトルが化合物B−無水結晶形のSSNMRスペクトルに実質的に従うかどうかを容易に決定することができる。そのSSNMRスペクトルが3(形態1)、4(形態1)、5(形態2)、または6(形態2)に実質的に従えば、そのサンプルは、各図に示されるものと実質的に類似のスペクトルを有するものと同じ形態を有すると容易かつ正確に特定することができる。
【0058】
本発明の結晶形は、1以上の核ホルモン受容体の機能を調節すると考えられる。特に、本発明の結晶形は、アンドロゲン受容体(「AR」)を調節する。本発明は、ARの選択的アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、または部分アンタゴニストである結晶形を含む。本発明の結晶形は、AR関連疾患および病態の処置、例えば、ARの機能または活性の調節を介して予防、緩和、または治癒される疾患または病態に有用である。このような調節は、特定の組織内に処置される被験体の特定の組織に隔離されてもよいし、または身体に拡散されてもよい。
【0059】
本明細書で使用する場合、用語「処置」は、特定の病態の緩和、病態の症状の排除または軽減、病態の進行の緩徐化または排除を意味する。
【0060】
本発明の結晶形はまた、被験体における病態の最初の発生の、またはすでに罹患している被験体における病態の再発の、予防もしくは遅延にも有用であり得る。
【0061】
本発明の一つの実施態様は、医学療法に使用するための本発明の結晶形を提供する。特に、本発明は、アンドロゲン活性により媒介される障害の処置を提供する。より詳しくは、本発明は、組織選択的同化およびまたはアンドロゲン活性に応答する障害の処置を提供する。本発明のさらなる実施態様は、前記被験体に有効量の本発明の結晶形を投与することを含む、アンドロゲン活性により媒介される障害に罹患している哺乳動物の処置の方法を提供する。
【0062】
本発明の結晶形は、限定されるものではないが、骨粗鬆症を含む様々な障害の処置、および/または骨量、骨密度、または骨成長の低下の予防、骨関節炎、骨折修復および治癒の加速化、関節置換術の治癒の加速化、歯周病、歯の修復または成長の加速化、パジェット病、骨軟骨異形成症、筋消耗、筋の強度および機能の維持および増強、虚弱または加齢性機能低下(ARFD)、ドライアイ、サルコペニア、末期腎疾患(ESRD)、慢性疲労症候群、慢性筋痛、急性疲労症候群、敗血症、創傷治癒の加速化、感覚機能の維持、慢性肝疾患、AIDS、低体重、火傷および外傷回復、血小板減少症、短腸症候群、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、クローン病および潰瘍性大腸炎、肥満、悪液質または加齢に関連する食欲不振症を含む摂食障害、副腎皮質機能亢進およびクッシング症候群、心血管疾患または心不全、鬱血性心不全、高血圧、乳房、脳、皮膚、卵巣、膀胱、リンパ系、肝臓、腎臓、子宮、膵臓、子宮内膜、肺、結腸、および前立腺を含む、アンドロゲン受容体を含有する悪性腫瘍細胞、前立腺肥大、多毛症、座瘡、脂漏症、アンドロゲン性脱毛症、貧血、高多毛症(hyperpilosity)、前立腺の腺腫および新生物、高インスリン血症、インスリン抵抗性、糖尿病、X症候群、異脂肪血症、更年期血管運動症状、尿失禁、アテローム性動脈硬化症、性欲増強、性的機能不全、鬱病、神経質、緊張、ストレス、精神力の低下および自尊心の低下、認知機能の改善、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症の中和、月経前症候群、避妊、子宮類線維症、大動脈平滑筋細胞増殖、男性ホルモン補充、またはADAMを含む、様々な障害の処置に使用を見出すことができる。
【0063】
本発明のさらなる実施態様は、限定されるものではないが、骨粗鬆症を含む様々な障害の処置、および/または骨量、骨密度、または骨成長の低下の予防、骨関節炎、骨折修復および治癒の加速化、関節置換術の治癒の加速化、歯周病、歯の修復または成長の加速化、パジェット病、骨軟骨異形成症、筋消耗、筋の強度および機能の維持および増強、虚弱または加齢性機能低下(ARFD)、ドライアイ、サルコペニア、末期腎疾患(ESRD)、慢性疲労症候群、慢性筋痛、急性疲労症候群、敗血症、創傷治癒の加速化、感覚機能の維持、慢性肝疾患、AIDS、低体重、火傷および外傷回復、血小板減少症、短腸症候群、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、クローン病および潰瘍性大腸炎、肥満、悪液質または加齢に関連する食欲不振症を含む摂食障害、副腎皮質機能亢進およびクッシング症候群、心血管疾患または心不全、鬱血性心不全、高血圧、乳房、脳、皮膚、卵巣、膀胱、リンパ系、肝臓、腎臓、子宮、膵臓、子宮内膜、肺、結腸、および前立腺を含む、アンドロゲン受容体を含有する悪性腫瘍細胞、前立腺肥大、多毛症、座瘡、脂漏症、アンドロゲン性脱毛症、貧血、高多毛症(hyperpilosity)、前立腺の腺腫および新生物、高インスリン血症、インスリン抵抗性、糖尿病、X症候群、異脂肪血症、更年期血管運動症状、尿失禁(骨盤底の筋および/または組織消耗に関連する尿失禁を含む)、アテローム性動脈硬化症、性欲増強、性的機能不全、鬱病、神経質、緊張、ストレス、精神力の低下および自尊心の低下、認知機能の改善、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症の中和、月経前症候群、避妊、子宮類線維症、大動脈平滑筋細胞増殖、男性ホルモン補充、またはADAMを含む、様々な障害の処置を必要とする哺乳動物の処置方法を提供する。好ましくは、本発明の結晶形は、男性および女性ホルモン補充療法として、または性腺機能不全、骨粗鬆症、筋消耗、消耗症、癌悪液質、虚弱、前立腺肥大、前立腺癌、乳癌、更年期および男性更年期血管運動症状、尿失禁、性的機能不全、勃起不全、鬱病、子宮類線維症、および/または子宮内膜症、座瘡の処置、多毛症、造血刺激、男性避妊、不能症の治療もしくは予防のため、および蛋白同化剤として使用され、その使用は被験体に有効量の本発明の結晶形を投与することを含む。
【0064】
いくつかの実施態様では、本発明は、筋損傷の処置における本発明の結晶形の使用を包含する。特定の実施態様では、筋損傷は、手術関連筋損傷、外傷性筋損傷、労働関連骨格筋損傷、または過剰訓練関連筋損傷である。
【0065】
手術関連筋損傷の限定されない例としては、膝関節置換術、前十字靭帯(ACL)修復、形成手術、股関節置換術、関節置換術、腱修復術、回旋筋腱板疾患および損傷の外科的修復、ならびに切断術による筋傷害が含まれる。
【0066】
外傷性筋損傷の限定されない例としては、戦場筋損傷、自動車事故関連筋、およびスポーツ関連筋損傷が含まれる。筋に対する外傷性損傷としては、裂傷、鈍力打撲傷、散弾傷、肉離れまたは筋裂傷、火傷、急性挫傷、慢性挫傷、体重または外力ストレス損傷、反復ストレス損傷、剥離筋損傷、およびコンパートメント症候群を含み得る。
【0067】
一つの実施態様では、筋損傷は外傷性筋損傷であり、その処置方法は、外傷性損傷の直後(例えば、損傷1日以内)の少なくとも1回の高用量の本発明の結晶形の投与とそれに続く回復期間中の低用量の本発明の結晶形の間欠的投与を提供する。
【0068】
労働関連筋損傷の限定されない例としては、何度も繰り返す動き、力を使う動き、ぎこちない姿勢、身体と物体の間の長時間かつ力を使う機械的結合により起こる損傷が含まれる。
【0069】
過剰訓練関連筋損傷としては、回復の欠如または身体的作業能力の増大の欠如と同期した修復されないまたは修復不全の筋傷害が含まれる。
【0070】
さらなる実施態様では、筋損傷は、結果としての運動誘発性遅発性筋肉痛(DOMS)を含む運動またはスポーツ誘発性筋損傷を含む。
【0071】
別の態様では、本発明は、ヒトに本発明の結晶形を投与することを含んでなる、筋変性障害を処置する方法を提供する。
【0072】
特定の実施態様では、筋変性障害は、筋ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィー、多発性筋炎、または皮膚筋炎である。
【0073】
例えば、これらの方法は、デュシェーヌ型MD、ベッカー型MD、先天性MD(福山型)、エメリ・ドレフュス型MD、肢帯型MD、および顔面肩甲上腕型MDから選択される筋ジストロフィー障害を処置するために使用可能である。
【0074】
本発明の方法はまた、I型筋緊張性ジストロフィー(DM1またはスタイナート病)、II型筋緊張性ジストロフィー(DM2または近位筋強直性ミオパチー)、または先天性ミオトニーの処置のためにも使用可能である。
【0075】
いくつかの実施態様では、本発明は、本発明の結晶形が筋再生を促進する生体足場(例えば、細胞外マトリックスを含んでなる足場)の移植と組み合わせて被験体に投与される治療の組合せを包含する。このような足場は当技術分野で公知である。例えば、Turner and Badylack (2012) Cell Tissue Res. 347(3):759-74および米国特許第6.576,265号参照。非架橋細胞外マトリックス材料を含んでなる足場が好ましい。
【0076】
別の態様では、本発明は、腱損傷を処置する方法を提供し、その方法は、本発明の結晶形を、それを必要とする被験体に投与することを含んでなる。特定の実施態様では、本発明は、安定な腱−骨界面の形成を促進する方法を含む。関連の実施態様では、本発明は、腱の機能不全、例えば、外科的に修復された腱に対してストレスを増強する方法を提供する。さらなる実施態様では、本発明は、外科的に修復された腱の修復部位で線維症を軽減する方法を提供する。特定の実施態様では、本発明は、回旋筋腱板損傷に関連する腱傷害、または回旋筋腱板損傷の外科的修復に関連する腱傷害を処置する方法を提供する。本発明の結晶形での処置を必要とする哺乳動物は一般にヒトである。
【0077】
好ましい一つの実施態様では、処置される障害は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関連する筋消耗である。
【0078】
別の好ましい実施態様では、処置される障害は、慢性腎疾患(CKD)または末期腎疾患(ESRD)に関連する筋消耗である。
【0079】
別の好ましい実施態様では、処置される障害は、慢性心不全(CHF)に関連する筋消耗である。
【0080】
さらなる好ましい実施態様では、結晶形は、骨折の修復および治癒を加速化するため、例えば、股関節骨折の修復および治癒を加速化するために使用される。
【0081】
さらに別の好ましい実施態様では、結晶形は、尿失禁(骨盤底の筋および/または組織消耗に関連する尿失禁を含む)を処置するために使用される。
【0082】
一般に、本結晶形の有効量、特に、治療上有効な量が本発明の方法に従って投与される。本明細書で使用する場合、用語「有効量」は、例えば、研究者または臨床医によって求められる組織、系、動物、またはヒトの生物学的または医学的応答を惹起する薬物または医薬剤の量を意味する。生物学的または医学的応答は、予防的応答または治療的応答と見なされ得る。用語「治療上有効な量」は、そのような量を受容しなかった対応する被験体に比べて疾病、障害、もしくは副作用の治療、治癒もしくは改善の向上、または疾病もしくは障害の進行速度の低下をもたらすいずれの量も意味する。この用語はまた、その範囲内に、通常の生理機能を増強するために有効な量も含む。療法において使用するため、治療上有効な量の結晶形は原料化学物質として投与されてもよい。加えて、有効成分は医薬組成物として提供されてもよい。
【0083】
よって、本発明はさらに、有効量の本発明の結晶形と1以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。本発明の結晶形は、本明細書に記載される通りである。担体、希釈剤または賦形剤は、その処方物の他の成分と適合し、かつ、医薬組成物のレシピエントに有害でないという意味で許容されなければならない。
【0084】
本発明の別の態様によれば、本発明の結晶形を1以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤と混合することを含む、医薬処方物の調製方法も提供される。
【0085】
治療上有効な量の本発明の結晶形は、いくつかの因子によって異なる。例えば、レシピエントの種、齢、および体重、処置を必要とする厳密な病態およびその重篤度、処方物の性質、および投与経路は総て考慮されるべき因子である。治療上有効な量は最終的に担当の医師または獣医の裁量下にあるべきである。虚弱などの障害に苦しむヒトの処置のための本発明の結晶形の有効量は、一般に、0.01〜100mg/kgレシピエント(哺乳動物)体重/日の範囲であるべきである。より通常には、有効量は、0.001〜1mg/kg体重/日の範囲であるべきである。よって、70kgの成体哺乳動物では、1日当たりの実際の量は通常0.07〜70mg、例えば、0.1〜20mg、例えば1〜10mgである。この量は1日当たり単回用量で、または合計一日用量が同じになるように1日当たり数回(例えば、2回、3回、4回、5回またはそれを超える回数)の分割用量で与えてもよい。
【0086】
医薬処方物は、単位用量当たり所定量の有効成分を含有する単位用量形態で提供してよい。このような単位は、限定されない例として、処置される病態、投与経路、ならびに患者の齢、体重および状態に応じて0.1mg〜100mgの本発明の結晶形、例えば、0.1〜50mg、例えば、0.5〜15mgを含み得る。好ましい単位投与処方物は、有効成分の、本明細書の上記で列挙されるような一日用量または分割用量またはその適当な画分を含有するものである。このような医薬処方物は、薬学分野で周知の方法のいずれによって調製してもよい。
【0087】
医薬処方物は、適当な経路のいずれによる、例えば、経口(頬側もしくは舌下を含む)、直腸、鼻腔、局所(頬側、舌下もしくは経皮を含む)、膣、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内を含む)経路による投与に適合されてもよい。このような処方物は、薬学分野で公知のいずれかの方法により、例えば、有効成分を担体または賦形剤と会合させることにより調製され得る。
【0088】
経口投与に適合した医薬処方物は、カプセル剤もしくは錠剤などの個別単位;散剤もしくは顆粒剤;それぞれ水性または非水性液を伴う溶液もしくは懸濁液;可食フォームもしくはホイップ;または水中油型液体エマルションもしくは油中水型液体エマルションとして提供されてよい。例えば、錠剤またはカプセル剤の形態の経口投与では、有効薬物成分は、エタノール、グリセロール、水などの経口、無毒の薬学的に許容可能な不活性担体と合わせてもよい。一般に、散剤は、結晶形を好適な微細サイズに粉砕し、可食炭水化物、例えば、デンプンまたはマンニトールなどの適当な医薬担体と混合することにより調製される。香味剤、保存剤、分散剤、および着色剤も提供され得る。
【0089】
カプセル剤は、散剤、液体、または懸濁液混合物を調製し、ゼラチンまたは他の数種の適当な剤皮材料に封入することにより製造できる。カプセル封入前にコロイドシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、または固体ポリエチレングリコールなどの流動促進剤および滑沢剤を加えてもよい。カプセル剤が摂取される際に薬剤の利用度を向上させるために寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤を加えてもよい。さらに、所望または必要であれば、好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤も混合物に配合してよい。好適な結合剤の例としては、デンプン、ゼラチン、天然糖類(例えば、グルコースまたはβ−ラクトース)、トウモロコシ甘味剤、天然および合成ガム(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、またはアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが含まれる。これらの投与形に有用な滑沢剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤としては、源、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。
【0090】
錠剤は、例えば、粉末混合物の調製、造粒またはスラッグ化を行い、滑沢剤および崩壊剤を添加し、圧縮して錠剤とすることにより処方できる。粉末混合物は、適宜粉砕した結晶形を上記のように希釈剤または基剤と混合することにより調製され得る。任意選択の成分には、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、もしくはポリビニルピロリドンなどの結合剤、パラフィンなどの溶解遅延剤、第四級塩などの吸収促進剤、および/またはベントナイト、カオリン、もしくはリン酸二カルシウムなどの吸収剤が含まれる。粉末混合物は、シロップ、デンプンペースト、アカディア粘液(acadia mucilage)またはセルロースもしくはポリマー材料の溶液などの結合剤を用いて湿式造粒し、篩いに通せばよい。造粒の代わりとして、粉末混合物を打錠機に通してもよく、得られたものは崩壊して顆粒とある形成の不完全なスラッグである。これらの顆粒は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を添加する手段により、錠剤形成型に粘着するのを防ぐために滑沢化してもよい。この滑沢化混合物を次に圧縮して錠剤とする。本発明の結晶形はまた、流動性不活性担体と合わせ、造粒またはスラッグ化工程を経ることなく直接圧縮して錠剤としてもよい。セラックのシーリングコート、糖またはポリマー材料のコーティング、およびワックスのつや出しコーティングからなる透明または不透明の保護コーティングを施してもよい。単位用量を識別するためにこれらのコーティングに色素を加えてもよい。
【0091】
溶液、シロップ剤、およびエリキシル剤などの経口液は、所与の量が所定量の結晶形を含有するように単位投与形で調製してよい。シロップ剤は、例えば、適宜香味付けした水溶液に結晶形を溶かすことにより調製することができ、エリキシル剤は、無毒のアルコールビヒクルの使用に調製される。懸濁液は、一般に、結晶形を無毒のビヒクルに分散させることにより処方することができる。可溶化剤および乳化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルを添加してよい。本発明に従って使用可能な可溶化剤としては、クレモフォールEL、ビタミンE、PEG、およびソルトールが含まれる。保存剤および/またはペパーミント油などの香味添加剤、または天然甘味剤、サッカリン、または他の人工甘味剤なども添加してよい。
【0092】
適当であれば、経口投与用単位投与処方物はマイクロカプセル化してもよい。処方物はまた、放出を延長または持続化させるために、ポリマー、ワックスなどで粒状材料をコーティングまたは包埋することによって調製してもよい。
【0093】
本発明の結晶形はまた、小単ラメラ小胞、大単ラメラ小胞、および多重ラメラ小胞などのリポソーム送達系の形態で投与してもよい。リポソームはコレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成され得る。
【0094】
本発明の結晶形はまた、結晶形分子が組み合わせられる個々の担体としてモノクローナル抗体を使用することによって送達してもよい。
【0095】
本発明の結晶形はまた、標的化可能な薬物担体として可溶性ポリマーと組み合わせてもよい。このようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチル−アスパルトアミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリジンを含み得る。さらに、結晶形は、薬物の放出制御を達成する上で有用な生分解性ポリマー種;例えば、ポリ乳酸、ポリεカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーと組み合わせてもよい。
【0096】
経皮投与に適合した医薬処方物は、長期間レシピエントの表皮との緊密接触を留めることを意図した個別パッチとして提供してもよい。例えば、有効成分はパッチから、このような送達系に関連するとして引用することにより本明細書の一部とされるNature Biotechnology, 26(11), 1261-1268 (2008)に一般に概説されるような化学促進剤、イオン泳動、非空洞形成超音波、マイクロニードル、熱アブレーション、マイクロダーマブレーション、およびエレクトロポレーションにより送達され得る。
【0097】
局所投与に適合された医薬処方物は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、散剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾール、またはオイルとして処方され得る。
【0098】
眼または他の外部組織、例えば、口腔および皮膚の処置のためには、本処方物は局所用軟膏またはクリームとして適用され得る。軟膏として処方される場合、有効成分は、パラフィン系または水混和性軟膏基剤のいずれかとともに使用することができる。あるいは、有効成分は、水中油型クリーム基剤または油中水型基剤とともにクリームとして処方され得る。
【0099】
眼への局所投与に適合した医薬処方物としては、有効成分が好適な担体、特に水性溶媒に溶解または懸濁された点眼剤が含まれる。
【0100】
口腔の局所投与に適合した医薬処方物としては、トローチ剤、香錠、および口内洗浄剤が含まれる。
【0101】
担体が固体である鼻腔投与用に適合した医薬処方物としては、例えば、20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する粗い散剤が含まれる。この散剤は嗅剤が摂取される様式で、すなわち、鼻腔を塞ぐように保持した散剤の容器から鼻道を介した急速吸入により投与される。鼻腔スプレーまたは点鼻剤として投与するための、担体が液体である好適な処方物としては、有効成分の水性または油性溶液が含まれる。
【0102】
吸入による投与に適合した医薬処方物としては、様々な種類の定用量与圧エアゾール、ネブライザー、または通気器の手段により生成され得る微粒子ダストまたはミストが含まれる。
【0103】
直腸投与に適合した医薬処方物は坐剤または浣腸として提供され得る。
【0104】
膣投与に適合した医薬処方物は、膣坐剤、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー処方物として提供され得る。
【0105】
非経口投与に適合した医薬処方物としては、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、および処方物を意図されるレシピエントの血液と等張とする溶質を含み得る水性および非水性無菌注射溶液;ならびに沈殿防止剤および増粘剤を含み得る水性および非水性無菌懸濁液が含まれる。これらの処方物は単位用量容器または多用量容器、例えば、密閉アンプルおよびバイアルで提供されてよく、使用直前に無菌液体担体、例えば、注射水の添加を必要とするだけのフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存されてもよい。
【0106】
即時調合注射溶液および懸濁液は、無菌散剤、顆粒剤、および錠剤から調製され得る。
【0107】
特に上述された成分に加え、本処方物は対象とする処方物のタイプを考慮して当技術分野で慣例の他の薬剤も含み得る。例えば、経口投与に好適な処方物は香味剤または着色剤を含み得る。
【0108】
本発明の結晶形は、単独で、または上述の病態の処置のための他の治療薬と組み合わせて使用され得る。例えば、虚弱療法では、組合せは他の同化または骨粗鬆症治療薬を含み得る。一例として、本発明による骨粗鬆症組合せ療法は、従って、本発明の少なくとも1つの結晶形の投与と例えば、Boniva(登録商標)(イバンドロネートナトリウム)、Fosamax(登録商標)(アレンドロネート)、Actonel(登録商標)(リセドロネートナトリウム)、またはProlia(商標)(デノスマブ)などの少なくとも1つの他の骨粗鬆症療法の使用を含んでなる。本発明の結晶形および他の薬学的に有効な薬剤は一緒にまたは別個に投与してもよく、別個に投与される場合、投与は同時にまたは任意の順序で逐次に行い得る。本発明の結晶形および他の薬学的に有効な薬剤の量ならびに投与の相対的時機は、所望の組合せ治療効果を達成するように選択される。本発明の結晶形と他の治療薬の組合せでの投与は、(1)両結晶形を含む単一の医薬組成物;または(2)それぞれ結晶形の1つを含む個別の医薬組成物、での同時投与による組合せであり得る。あるいは、この組合せは、一方の治療薬がまず投与され、他方が次に投与される、またはその逆である逐次様式で個別に投与され得る。このような逐次投与は時間的に近くても時間的に離れていてもよい。
【0109】
他の潜在的治療組合せとしては、本発明の結晶形と本発明の他の結晶形、成長促進薬、成長ホルモン分泌促進薬(例えば、グレリン)、成長ホルモン放出因子およびその類似体、ヒト成長ホルモンおよびその類似体(例えば、Genotropin(登録商標)、Humatrope(登録商標)、Norditropin(登録商標)、Nutropin(登録商標)、Saizen(登録商標)、Serostim(登録商標))、ソマトメジン、α−アドレナリン作動性アゴニスト、セロトニン5−HT
Dアゴニスト、ソマトスタチンまたはその放出を阻害する薬剤、5−α−レダクターゼ阻害剤、アロマターゼ阻害剤、GnRHアゴニストまたはアンタゴニスト、副甲状腺ホルモン、エストロゲン、テストステロン、SERM、プロゲステロン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、および/または核ホルモン受容体の他のモジュレーターとの組合せが含まれる。
【0110】
本発明の結晶形は様々な障害および病態の処置に使用でき、従って、本発明の結晶形は、それらの障害または病態の処置において有用な様々な他の好適な治療薬と組み合わせて使用可能である。限定されない例としては、抗糖尿病薬、抗骨粗鬆症薬、抗肥満薬、抗炎症薬、抗不安薬、抗鬱薬、抗高血圧薬、抗血小板薬、抗血栓および血小板溶解薬、強心配糖体、コレステロールまたは脂質降下薬、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、甲状腺模倣薬、蛋白同化剤、ウイルス治療薬、認知症治療薬、睡眠障害治療薬、性的機能不全治療薬、避妊薬、細胞傷害性薬剤、放射線療法、抗増殖薬、および抗腫瘍薬との本発明の組合せが含まれる。加えて、本発明の結晶形は、アミノ酸、トリグリセリド、ビタミン(ビタミンDを含む;例えば、Hedstrom et al. (2002) J Bone Joint Surg Br. 84(4):497-503参照)、無機物、クレアチン、ピロ酸(piloic acid)、カルニチン、または補酵素Q10などの栄養補助剤と組み合わせてもよい。
【0111】
特に、本発明の結晶形は、創傷治癒の加速化、ならびに性腺機能不全、サルコペニア、骨粗鬆症、筋消耗、消耗症、悪液質(癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、末期腎疾患(ESRD)、心不全、HIV疾患、HIV処置、ならびに1型および2型真性糖尿病に関連する悪液質を含む)、虚弱、ドライアイ、前立腺肥大、前立腺癌、乳癌、更年期および男性更年期血管運動症状、尿失禁、性的機能不全、勃起不全、鬱病、子宮類線維症、子宮内膜症、座瘡、多毛症、男性避妊、不能症の処置、男性および女性ホルモン補充療法として、造血刺激薬として、および蛋白同化剤としての使用において単独または他の薬剤と組み合わせて有用であると考えられる。
【0112】
略号
本明細書で使用する場合、これらの方法、スキームおよび例で使用される記号および慣例は、最新の科学文献、例えば、the Journal of the American Chemical Society or the Journal of Biological Chemistryにおいて使用されているものに一致する。具体的には、実施例および本明細書では、以下の略号が使用される場合がある:
g(グラムgrams);mg(ミリグラム);L(リットル);mL(ミリリットル);μ(マイクロリットル);N(規定);M(モル);mM(ミリモル);Hz(ヘルツ);MHz(メガヘルツ);mol(モル);mmol(ミリモル);rt(室温);min(分);h(時間);d(日);MS(質量スペクトル);LCMS(液体クロマトグラフィー質量分析);GCMS(ガスクロマトグラフィー質量分析;ESI(エレクトロスプレーイオン化法);HPLC(高速液体クロマトグラフィー);psi(ポンド/平方インチ); H
2(水素ガス);Pd(C)パラジウム炭素;ee(鏡像体過剰率);NH
4Cl(塩化アンモニウム);THF(テトラヒドロフラン);MeCN(アセトニトリル);CH
2Cl
2(塩化メチレン);Pd(PPh
3)
4(パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン);NaOH(水酸化ナトリウム);TFA(トリフルオロ酢酸);CDCl
3(重水素化クロロホルム);CD
3OD(重水素化メタノール);SiO
2(シリカ);DMSO(ジメチルスルホキシド);EtOAc(酢酸エチル);Na
2SO
4(硫酸ナトリウム);HCl(塩酸);CHCl
3(クロロホルム);DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);PhMe(トルエン);Cs
2CO
3(炭酸セシウム);Me(メチル);Et(エチル);EtOH(エタノール);MeOH(メタノール);t−Bu(tert−ブチル);Et
2O(ジエチルエーテル);N
2(窒素);sat’d(飽和);NaHCO
3(重炭酸ナトリウム);K
2CO
3(炭酸カリウム);Zn(CN)
2(シアン化亜鉛);NMP(N−メチル−2−ピロリドン);DIEA(ジイソプロピルエチルアミン);LiBH
4(水素化ホウ素リチウム);Et
3N(トリエチルアミン);オキソン(ペルオキソモノ硫酸カリウム);LDA(リチウムジイソプロピルアミド);Na
2S
2O
3(チオ硫酸ナトリウム);DIPA(ジイソプロピルアミン);PTFE(ポリテトラフルオロエチレン);KOtBu(カリウムt−ブトキシド);hex(ヘキサン);semiprep(半分取);NaCNBH
3(シアノ水素化ホウ素ナトリウム);CuI(ヨウ化銅);Pd(PPh
3)
2Cl
2(ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロリド);anhyd(無水);DMAC(ジメチアセトアミド(dimethyacetamide));dppf(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン);Pd
2(dba)
3(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0);PMHS(ポリメチルヒドロシロキサン);MsCl(塩化メシル);Aq(水性);TBAF(テトラ−n−ブチルフッ化アンモニウム);n−BuLi(n−ブチルリチウム);TsOH(トス酸);MTBE(メチルt−ブチルエーテル);Boc
2O(二炭酸ジ−t−ブチル)。
【0113】
特に断りのない限り、温度は総て℃(セ氏度)で表す。反応は総て、特に断りのない限り、室温、不活性雰囲気下で行った。合成詳細無く使用される試薬は市販されているか、または文献の手順に従って製造される。
【0114】
図1および2に示されるようにX線粉末回折(XRPD)データは、PANalytical X’Pert Pro粉末回折装置モデルPW3040 Proにて、X’ セレレーター検出器を用いて取得した。取得条件は、Cu Kα線、ジェネレーターテンション:45kV、ジェネレーター電流:40mA;ステップサイズ:0.0084°2θ;連続スキャン;入射ビーム光学:ミラー光学−Cu W/Si(Focusing MPD)、1/2°固定発散スリット、0.02ラジアンのソーラースリット;回折ビーム光学:固定1/2°散乱除去用スリットに設定したプログラム可能な散乱除去用スリットアセンブリ(X’セレレーターモジュール)、0.02ラジアンソーラースリット、測定温度:20〜25℃。サンプルは、サンプルを1.0mmキャピラリーに充填することにより調製した。ピーク位置は、PANalytical X’Pert Highscore Plusソフトウエアを用いて得た。それぞれのピーク割り付けについての許容誤差はおよそ±0.1°2θである。
【0115】
図3〜6に示される
13Cおよび
19F固体NMRデータは、499.98MHzの
1H周波数で作動するブルカーAvance 500三重共鳴分光計を用いて取得した。示された
13C SSNMRスペクトルは、交差分極パルス列を8kHzの回転周波数でブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブとともに用いて得た。交差分極効率を高めるために
1Hチャネルで75〜90kHzまでの直線的出力ランプを用いた。スピニングサイドバンドは、5パルストータルサイドバンド抑制パルス列により除去した。
1Hデカップリングは、Spinal−64シーケンスを用いて得た。示された
19F SSNMRスペクトルは、交差分極パルス列を12.5kHzの回転周波数でブルカー4mm三重共鳴マジック角プローブとともに用いて得た。サンプル温度はおよそ0℃であった。特徴的な
13Cおよび
19F NMRピーク位置を0ppm(parts per million)でテトラメチルシランに対して報告し、装置変動および較正のために+/−0.2ppmの精度で示した。
【実施例】
【0116】
実施例1−(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−カルボニトリルの合成
【化2】
(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−カルボニトリル
【0117】
方法1:
【化3】
【0118】
A.(R)−1−(メチルチオ)プロパン−2−アミン
工程1
氷浴にて、MeCN(20mL)中、市販の(R)−2−アミノプロパン−1−オール(5g、66.6mmol)の溶液に、クロロスルホン酸(4.46mL、66.6mmol)を極めてゆっくり滴下する(極めて発熱性)。この反応混合物を冷浴中で約10分間、次いで、室温で約30分間維持する。さらに約10分間撹拌した後、固体を濾取し、MeCN(40mL)およびヘキサン(100mL)で順次洗浄し、約40分間、空気吸込により乾燥させ、中間体硫酸水素((R)−2−アミノプロピルを得る。
【0119】
工程2:
水(20mL)中、ナトリウムチオメトキシド(5.60g、80mmol)の溶液に、固体NaOH(2.66g、66.6mmol)を約10分かけて少量ずつ加えた。次に、工程1からの中間体を固体として、約5分かけて加える。その後、この混合物を90℃で約10時間加熱する。この反応混合物は二相系である。冷却時にMTBE(20mL)を加え、有機相(褐色がかった色)を分離する。水相をMTBE(2×20mL)で抽出する。元の有機相を1N NaOH(15mL)で洗浄する。この塩基性水相をMTBE(2×20mL)で再抽出する。エーテル相を合わせ、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮し(生成物は揮発性であるので注意深く)、粗生成物を淡黄色油状物として得る。
【0120】
方法2
【化4】
(R)−1−(メチルチオ)プロパン−2−アミン塩酸塩
【化5】
【0121】
A.メタンスルホン酸(R)−2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル
工程1
市販の(R)−2−アミノプロパン−1−オール(135g、1797mmol)をMeOH 1350mLに溶かす)。この溶液を氷浴で5℃に冷却した後、Boc
2O(392g、1797mmol)をMeOH(1000mL)中の溶液として加える。反応温度を10℃以下に維持する。添加後、冷却浴を外し、この混合物を3時間撹拌する。MeOHを真空下で除去する(回転蒸発浴:50℃)。この材料をそのまま次の工程に使用する。
【0122】
工程2
残渣をCH
2Cl
2(1200mL)に溶かし、NEt
3(378mL、2717mmol)を加えた後、この混合物を氷浴にて冷却する。次に、MsCl(166.5mL、2152mmol)を、反応温度を15℃より低く維持しながら約2時間かけて加える。混合物を氷浴中で1時間撹拌した後、浴を外す。この混合物を3日間撹拌した後、10%NaOH溶液(500mL 3回)、次いで、水で洗浄する。有機相をMgSO
4で乾燥させ、濾過した後、ストリップする(回転、50℃の水浴)。この不純な残渣を500mL EtOAc(500mL)とMTBE(500mL)の混合物に溶かした後、水で抽出して総ての水溶性塩を除去する。有機相をMgSO
4で乾燥させ、濾過した後、ストリップして白色固体残渣を得る。
【化6】
【0123】
B.(1−(メチルチオ)プロパン−2−イル)カルバミン酸(R)−tert−ブチル
NaSMe(30g、428mmol)をDMF(200mL)とともに撹拌して懸濁液を得る。次に、温度を45℃より低く維持しながら(発熱性)、メタンスルホン酸(R)−2−((tertブトキシカルボニル)アミノ)プロピル(97g、383mmol)を少量ずつ加える。添加後、混合物を2時間撹拌した後、トルエン(100mL)を加える。この混合物を水(500mL、4回)で洗浄した後、MgSO
4で乾燥させ、濾過する。濾液をストリップし(回転蒸発)、淡黄色油状物を得る。
【化7】
【0124】
C.(R)−1−(メチルチオ)プロパン−2−アミン塩酸塩
氷浴で冷却したMeOH(600mL)の撹拌溶液に塩化アセチル(150mL)を加える。この混合物を氷浴中で30分間撹拌した後、(1−(メチルチオ)プロパン−2−イル)カルバミン酸(R)−tert−ブチル(78g、380mmol)に加える。この混合物を室温で2時間撹拌し(CO
2、(CH
3)
2C=CH
2発生)、その後、ストリップして白色固体を得る。
【化8】
【0125】
D.4−フルオロ−3−ヨード−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
−45℃にて、新たに作製した無水THF(250mL)中、LDA(119mmol)の溶液に、THF(30mL)中、市販の4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(21.5g、114mmol)の溶液を、内部温度が<−40℃に留まるような速度で滴下する(添加中に暗褐色となる)。この混合物を−45℃で30分撹拌し、−70℃に冷却し、ヨウ素(31.7g、125mmol)を一度に加える(−70℃→−52℃)。この混合物を1時間撹拌し、冷却浴から取り出し、10%Na
2S
2O
3(およそ250mL)および1N HCl(およそ125mL)の添加により急冷する。この混合物をEtOAcで抽出する(3回)。合わせた有機層を洗浄し(水、ブライン)、Na
2SO
4で乾燥させ、真空濃縮した。残渣を低速液体クロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン、勾配溶出)とその後の2回のヘプタン(30mL)からの再結晶化により精製し、4−フルオロ−3−ヨード−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(15.79g、50.1mmol、収率44.1%)を淡黄色固体として得る。
【化9】
【0126】
E.4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)−3−((トリメチルシリル)エチニル)ベンゾニトリル
20mLバイアルに4−フルオロ−3−ヨード−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、(0.315g、1.00mmol)、Pd(PPh
3)
2Cl
2(0.014g、0.020mmol)およびCuI(0.0076g、0.040mmol)を投入し、ゴム隔膜で密閉する。無水PhMe(5mL)およびDIPA(0.210mL、1.500mmol)を、シリンジを介して加え、この混合物を、超音波浴中に浸漬しつつN
2でスパージすることにより10分脱気する。エチニルトリメチルシラン(0.155mL、1.100mmol)を、シリンジを介して滴下し、隔膜をPTFE面を持つクリンプトップに付け替える。この混合物を加熱ブロックにて60℃で撹拌する。冷却時に混合物をEtOAcで希釈し、セライトで濾過する。濾液を洗浄し(飽和NH
4Cl、水、ブライン)、Na
2SO
4で乾燥させ、真空濃縮する。残渣は、低速液体クロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン、勾配溶出)により精製し、4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)−3−((トリメチルシリル)エチニル)ベンゾニトリルを得る。
【化10】
【0127】
F.(R)−1−(1−(メチルチオ)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−カルボニトリル
DMSO(7mL)中、4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)−3−((トリメチルシリル)エチニル)ベンゾニトリル(1.16g、4.07mmol)、(R)−1−(メチルチオ)プロパン−2−アミン(0.599g、5.69mmol)およびDIEA(1.42mL、8.13mmol)の混合物を100℃で50分加熱する(密閉試験管)。冷却時に反応混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、水(30mL)で洗浄する。有機相を水およびブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して中間体アニリンを得る。この中間体をNMP(7mL)に溶かし、KOtBu(THF中1M)(5.69mL、5.60mmol)で処理し、50℃で加熱する。反応をLCMSによりモニタリングし、40分後に完了すると思われる。冷却時に反応混合物をEtOAc(40mL)で希釈し、水(30mL)で洗浄する。有機相をさらに水およびブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をシリカゲルにて5〜40%EtOAc−ヘキサン勾配を用いてクロマトグラフィーに付し、チオエーテル中間体を得る。
【化11】
【0128】
G.(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−カルボニトリル
MeOH(10mL)中、(R)−1−(1−(メチルチオ)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−カルボニトリル(0.560g、1.88mmol)の氷冷溶液に、水(10mL)中、オキソン(4.04g、6.57mmol)の溶液を加える。50分後、この反応混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(50mL)で抽出する。有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をシリカゲルにて100%CH
2Cl
2を用いてクロマトグラフィーに付し、(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)−1H−インドール−5−カルボニトリルを白色泡沫として得、これをCH
2Cl
2/ヘキサンから結晶化させて白色固体を得る。
【0129】
実施例2−(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形1の調製
(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリル(1.74kg、1wt)を20〜30℃で酢酸エチル(12.0Kg、6.9wt)に溶かした。この溶液を、インラインカートリッジフィルターを介して透明な反応容器に移した。溶液を、温度を50℃より低く維持しながら減圧下で約3.0〜5.0容量まで濃縮した。この溶液を20〜30℃に冷却し、n−ヘプタン(23.0Kg、13.2wt)を約1時間かけてゆっくり加えた。この溶液を20〜30℃で1〜2時間撹拌し、50〜55℃で2〜3時間加熱し、20〜30℃に冷却し、1〜2時間撹拌した。スラリーをサンプリングし、XRPDにより分析した。固体を濾取し、n−ヘプタン(1.4Kg、0.8wt)で洗浄し、40〜50℃で真空乾燥させ、結晶性の(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリル(1.54Kg、形態1;収率88.5%、純度99.5%)をやや色の付いた固体を得た。
【0130】
実施例3−(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリルの結晶形2の調製
粗(R)−1−(1−(メチルスルホニル)プロパン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)インドリン−5−カルボニトリル(1.54g[理論上]、1wt)をジクロロメタン(5mL、3.25vol)に溶かし、12−g ISCOカラム(SiO
2)にロードした。このカラムをDCM(約500mL、325vol)で溶出し、生成物含有画分を合わせ、真空濃縮した。得られた残渣をn−ヘプタンで摩砕した。固体を濾取し、風乾し、3時間、高真空下に置き、GSK2881078A(1.009g、形態2;収率65.1%、100% AUC HPLC−UV)を白色固体として得た。
以上のように、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]
【化12】
の結晶形。
[2]無水である、[1]に記載の結晶形。
[3]代表的ピーク:
【表5】
を有するX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする、[2]に記載の結晶形。
[4]図1に実質的に従うXRPDパターンを特徴とする、[2]に記載の結晶形。
[5]図2に実質的に記載のXRPDパターンを特徴とする、[2]に記載の結晶形。
[6]−52.7±0.2、−56.0±0.2および−57.1±0.2ppmに等方性化学シフトを含んでなる19F SSNMR(固体核磁気共鳴)スペクトルを特徴とし、前記19F SSNMRスペクトルは、19Fの観察のための470.40MHzの周波数で作動する分光計において、12.5kHzの回転周波数で、ブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブを用いる交差分極パルス列を用いて得られる、[2]に記載の結晶形。
[7]−55.5±0.2および−56.3±0.2ppmに等方性化学シフトを含んでなる19F SSNMRスペクトルを特徴とし、前記19F SSNMRスペクトルは、19Fの観察のための470.40MHzの周波数で作動する分光計において、12.5kHzの回転周波数で、ブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブを用いる交差分極パルス列を用いて得られる、[2]に記載の結晶形。
[8]図4に実質的に従う19F SSNMRスペクトルを特徴とする、[2]に記載の結晶形。
[9]図6に実質的に従う19F SSNMRスペクトルを特徴とする。[2]に記載の結晶形。
[10]140.1±0.2、136.9±0.2、134.9±0.2、130.4±0.2、128.5±0.2、126.6±0.2、126.0±0.2、125.7±0.2、124.8±0.2、121.9±0.2、120.9±0.2、119.7±0.2、118.6±0.2、115.5±0.2、115.1±0.2、103.6±0.2、100.3±0.2、98.9±0.2、58.1±0.2、55.7±0.2、54.7±0.2、51.1±0.2、50.4±0.2、44.7±0.2、43.6±0.2、40.7±0.2、23.5±0.2および20.7±0.2ppmに等方性化学シフトを含んでなる13C SSNMR(固体核磁気共鳴)スペクトルを特徴とし、前記13C SSNMRスペクトルは、13Cの観察のための125.73MHzの周波数で作動する分光計において、8kHzの回転周波数で、ブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブを用いる交差分極パルス列を用いて得られる、[2]に記載の結晶形。
[11]138.4±0.2、127.4±0.2、125.5±0.2、124.3±0.2、123.3±0.2 116.5±0.2、114.1±0.2、104.7±0.2、97.4±0.2、61.8±0.2、60.9±0.2、59.2±0.2、48.2±0.2、47.6±0.2、46.3±0.2、44.4±0.2、42.3±0.2、および26.1±0.2ppmに等方性化学シフトを含んでなる13C SSNMR(固体核磁気共鳴)スペクトルを特徴とし、前記13C SSNMRスペクトルは、13Cの観察のための125.73MHzの周波数で作動する分光計において、8kHzの回転周波数で、ブルカー4mm三重共鳴マジックアングルスピニングプローブを用いる交差分極パルス列を用いて得られる、[2]に記載の結晶形。
[12]図3に実質的に従う13C SSNMRスペクトルを特徴とする、[2]に記載の結晶形。
[13]図5に実質的に従う13C SSNMRスペクトルを特徴とする、[2]に記載の結晶形。
[14][1]〜[13]のいずれかに記載の化合物と1以上の薬学的に許容可能な賦形剤とを含んでなる、医薬組成物。
[15]慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関連する筋消耗、慢性腎疾患(CKD)に関連する筋消耗、慢性心不全(CHF)に関連する筋消耗、および尿失禁から選択される疾患を処置する方法であって、[1]〜[13]のいずれかに記載の化合物をヒト被験体に投与することを含んでなる、方法。
[16]慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関連する筋消耗、慢性腎疾患(CKD)に関連する筋消耗、慢性心不全(CHF)に関連する筋消耗、および尿失禁から選択される疾患の処置のための薬剤の製造における、[1]〜[13]のいずれかに記載の化合物の使用。
[17]慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関連する筋消耗、慢性腎疾患(CKD)に関連する筋消耗、慢性心不全(CHF)に関連する筋消耗、および尿失禁から選択される疾患の処置において使用するための、[1]〜[13]のいずれかに記載の化合物。
[18]股関節骨折の修復および治癒を加速化する方法であって、[1]〜[13]のいずれかに記載の化合物をヒト被験体に投与することを含んでなる、方法。
[19]股関節骨折の修復および治癒を加速化するための薬剤の製造における、[1]〜[13]のいずれかに記載の化合物の使用。
[20]股関節骨折の修復および治癒の加速化において使用するための、[1]〜[13]のいずれかに記載の化合物。