特許第6556763号(P6556763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556763外科用ステープラ用のロックアウト係合機構
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556763
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】外科用ステープラ用のロックアウト係合機構
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   A61B17/072
【請求項の数】15
【全頁数】69
(21)【出願番号】特願2016-574919(P2016-574919)
(86)(22)【出願日】2015年6月4日
(65)【公表番号】特表2017-522948(P2017-522948A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】US2015034095
(87)【国際公開番号】WO2015199931
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2018年6月4日
(31)【優先権主張番号】14/314,298
(32)【優先日】2014年6月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・ライアン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】レクター・ジェイソン・エム
(72)【発明者】
【氏名】シムズ・ロバート・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ガゲル・ジェフリー・シー
(72)【発明者】
【氏名】ファネッリ・ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン・ダグラス・ビー
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・フレデリック・イー・ザ・フォース
【審査官】 後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0166725(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0163147(US,A1)
【文献】 特開平5−38341(JP,A)
【文献】 特開平08−336540(JP,A)
【文献】 特開2006−034975(JP,A)
【文献】 特開2006−034977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するシャフト組立体と、
(c)前記シャフト組立体の遠位端に位置するエンドエフェクタと、を備える機器であって、前記エンドエフェクタは、
(i)切断部材であって、
(A)第1の垂直端と、
(B)ブレードと、
(C)前記第1の垂直端と前記ブレードとの間に垂直に位置付けられた、遠位に突出している機構と、を備える、切断部材と、
(ii)前記切断部材の遠位への前進を選択的に制限するように動作可能なロックアウト機構と、
(iii)つかみ具と、
(iv)前記つかみ具に挿入するために構成されたステープルカートリッジであって、
(A)複数の外科用ステープルと、
(B)前記切断部材の遠位への前進に反応して前記ステープルを組織内に打ち込むように動作可能な可動部材であって、前記遠位に突出している機構が前記可動部材と係合するように構成されている、可動部材と、を備える、ステープルカートリッジと、
(v)前記切断部材と係合し、それによって前記ロックアウト機構をバイパスするように構成されたロックアウトバイパス機構と、を備え
前記ロックアウトバイパス機構は、前記つかみ具と連結されるように構成されたインサートを備え、
前記つかみ具は、横断開口部を画定し、前記インサートは、前記横断開口部に嵌まり込むように構成されたスナップフィットカバーまたはスナップフィット傾斜路を備える、機器。
【請求項2】
前記ロックアウト機構が、
(A)前記切断部材と係合し、前記切断部材の遠位への前進を制限するように構成された遮断部分と、
(B)前記切断部材を付勢して前記遮断部分と係合させるように構成されている弾性部材と、を備える、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記ロックアウトバイパス機構は、前記切断部材の遠位への前進中、前記弾性部材によって前記切断部材にかけられる負荷に耐えるように構成されている、請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記可動部材は、楔形スレッドを備え、前記楔形スレッドは、前記ステープルカートリッジ内を遠位に前進し、それによってステープルを前記ステープルカートリッジから打ち込むように動作可能である、請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記楔形スレッドは、前記ロックアウトバイパス機構の遠位に位置付けられている、請求項4に記載の機器。
【請求項6】
前記ロックアウトバイパス機構はビームを更に備え、前記切断部材は、前記切断部材が前記ステープルカートリッジを通って遠位に前進すると、前記ビームを切断又は破壊するように構成されている、請求項1に記載の機器。
【請求項7】
前記ロックアウトバイパス機構はタブを更に備える、請求項1に記載の機器。
【請求項8】
前記タブは、前記ステープルカートリッジ内を枢動するように構成されており、前記切断部材は、前記切断部材が遠位へ前進すると前記タブをロックアウトバイパスモードから枢動モードに変換するよう動作可能であり、前記タブが前記枢動モードにある場合は、前記タブは、もはや前記ロックアウト機構のバイパスを提供するように構成されていない、請求項7に記載の機器。
【請求項9】
前記ロックアウトバイパス機構は、前記ステープルカートリッジから近位に延在する一対のフィンを更に備える、請求項1に記載の機器。
【請求項10】
前記ロックアウトバイパス機構は、前記フィン間に延在する少なくとも1つの破断ピンを更に備える、請求項9に記載の機器。
【請求項11】
前記ステープルカートリッジは、チャネルを備え、前記切断部材は、前記チャネルを通って遠位に前進するように構成されており、前記ロックアウトバイパス機構は、前記チャネル内を内側に延在する突起部を更に備える、請求項1に記載の機器。
【請求項12】
前記突起部が、前記切断部材の前記遠位に突出している機構と係合するように構成されている、請求項11に記載の機器。
【請求項13】
前記遠位に突出している機構は、前記ブレードの遠位にある前記切断部材上の位置に位置している、請求項1に記載の機器。
【請求項14】
前記つかみ具は、近位に向いたロックアウト表面を含み、前記切断部材は、遠位に向いたロックアウト表面を備え、前記ロックアウト機構は、前記近位に向いたロックアウト表面及び前記遠位に向いたロックアウト表面によって部分的に形成されている、請求項1に記載の機器。
【請求項15】
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するシャフト組立体と、
(c)前記シャフト組立体の遠位端に位置するエンドエフェクタと、を備える機器であって、前記エンドエフェクタは、
(i)切断部材と、
(ii)前記切断部材の遠位への前進を選択的に制限するように動作可能なロックアウト機構と、
(iii)横断開口部を画定するつかみ具と、
(iv)前記つかみ具に挿入するように構成されたステープルカートリッジであって、前記切断部材の遠位への前進に反応してステープルを組織内に打ち込むように動作可能である、ステープルカートリッジと、
(v)前記切断部材と係合し、それによって、前記ロックアウト機構をバイパスするように構成されたロックアウトバイパス機構であって、前記つかみ具の前記横断開口部内に配置されたインサートを備える、ロックアウトバイパス機構と、
を備える、機器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
切開創をより小さくすることで、術後の回復時間及び合併症を低減させうることから、一部の状況では、従来の開腹外科用装置よりも内視鏡外科用器具が好ましい場合がある。このため、内視鏡外科用器具の中には、トロカールのカニューレを通して所望の手術部位に遠位エンドエフェクタを配置するのに適したものがある。これらの遠位エンドエフェクタは、様々な形で組織と係合して診断又は治療効果を得ることができる(例えば、エンドカッター、把持具、カッター、ステープラ、クリップアプライヤ、アクセス装置、薬物/遺伝子治療送達装置、及び、超音波振動、RF、レーザなどを使用するエネルギー送達装置など)。内視鏡外科用器具は、エンドエフェクタとハンドル部分との間に、臨床医によって操作されるシャフトを含むことがある。かかるシャフトは、所望の深さへの挿入及びシャフトの長手方向軸を中心とした回転を可能にし、それにより患者の体内でエンドエフェクタの位置決めを行うことを容易とする。エンドエフェクタの位置決めは、エンドエフェクタをシャフトの長手方向軸に対して選択的に関節動作させるか又は別の形で撓ませることを可能にする1つ又は2つ以上の関節ジョイント又は機構を含めることによって更に容易に行うことができる。
【0002】
内視鏡外科用器具の例として、外科用ステープラが挙げられる。かかるステープラのいくつかは、組織層をクランプし、クランプされた組織層を切断し、組織層を貫通してステープルを打ち込むことによって、組織層の切断された端部の近くで、切断された組織層同士を互いに実質的にシールするように動作可能である。あくまで例示の外科用ステープラが以下に開示されている。すなわち、1989年2月21日に発行の発明の名称が「Pocket Configuration for Internal Organ Staplers」である米国特許第4,805,823号、1995年5月16日に発行された「Surgical Stapler and Staple Cartridge」と題する米国特許第5,415,334号、1995年11月14日に発行された「Surgical Stapler Instrument」と題する米国特許第5,465,895号、1997年1月28日に発行された「Surgical Stapler Instrument」と題する米国特許第5,597,107号、1997年5月27日に発行された「Surgical Instrument」と題する米国特許第5,632,432号、1997年10月7日に発行された「Surgical Instrument」と題する米国特許第5,673,840号、1998年1月6日に発行された「Articulation Assembly for Surgical Instruments」と題する米国特許第5,704,534号、1998年9月29日に発行された「Surgical Clamping Mechanism」と題する米国特許第5,814,055号、2005年12月27日に発行された「Surgical Stapling Instrument Incorporating an E−Beam Firing Mechanism」と題する米国特許第6,978,921号、2006年2月21日に発行された「Surgical Stapling Instrument Having Separate Distinct Closing and Firing Systems」と題する米国特許第7,000,818号、2006年12月5日に発行された「Surgical Stapling Instrument Having a Firing Lockout for an Unclosed Anvil」と題する米国特許第7,143,923号、2007年12月4日に発行された「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multi−Stroke Firing Mechanism with a Flexible Rack」と題する米国特許第7,303,108号、2008年5月6日に発行された「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multistroke Firing Mechanism Having a Rotary Transmission」と題する米国特許第7,367,485号、2008年6月3日に発行された「Surgical Stapling Instrument Having a Single Lockout Mechanism for Prevention of Firing」と題する米国特許第7,380,695号、2008年6月3日に発行された「Articulating Surgical Stapling Instrument Incorporating a Two−Piece E−Beam Firing Mechanism」と題する米国特許第7,380,696号、2008年7月29日に発行された「Surgical Stapling and Cutting Device」と題する米国特許第7,404,508号、2008年10月14日に発行された「Surgical Stapling Instrument Having Multistroke Firing with Opening Lockout」と題する米国特許第7,434,715号、2010年5月25日に発行の発明の名称が「Disposable Cartridge with Adhesive for Use with a Stapling Device」である米国特許第7,721,930号、2013年4月2日に発行された「Surgical Stapling Instrument with An Articulatable End Effector」と題する米国特許第8,408,439号、及び2013年6月4日に発行された「Motor−Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」と題する米国特許第8,453,914号。上に引用した米国特許のそれぞれの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
上述した外科用ステープラは、内視鏡処置において使用されるものとして記載されているが、このような外科用ステープラは、開口処置及び/又は他の非内視鏡処置でも使用することができることを理解されたい。ほんの一例として、トロカールをステープラの導管として使用しない胸部外科手術では、外科用ステープラを開胸術によって患者の肋骨の間に挿入し、1つ又は2つ以上の臓器に到達させることもできる。かかる手術では、肺につながる血管を切断及び閉鎖するためにステープラが使用される場合もある。例えば、臓器につながる血管を、胸腔から臓器を切除するのに先立ってステープラによって切断して閉鎖することができる。外科用ステープラを他の様々な状況及び手術で使用できることは言うまでもない。
【0004】
特に開胸術に適しうる、又は開胸術に使用されうる外科用ステープラの例は、2013年2月28日に出願された「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許出願第13/780,067号、2013年2月28日に出願された「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する米国特許出願第13/780,082号、2013年2月28日に出願された「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許出願第13/780,106号、2013年2月28日に出願された「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許出願第13/780,120号、2013年2月28日に出願された「Surgical Instrument with Articulation Lock having a Detenting Binary Spring」と題する米国特許出願第13/780,162号、2013年2月28日に出願された「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許出願第13/780,171号、2013年2月28日に出願された「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題する米国特許出願第13/780,379号、2013年2月28日に出願された「Surgical Instrument with Multi−Diameter Shaft」と題する米国特許出願第13/780,402号、及び2013年2月28日に出願された「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許出願第13/780,417号に開示されている。上に引用した米国特許出願のそれぞれの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者(ら)以前には、添付の請求項に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書に組み込まれると共にその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
図1】例示の関節動作外科用ステープル留め器具の斜視図である。
図2図1の器具の側面立面図である。
図3】エンドエフェクタが閉鎖構成である、図1の器具のエンドエフェクタの斜視図である。
図4】エンドエフェクタが開放構成である、図3のエンドエフェクタの斜視図である。
図5図3のエンドエフェクタの分解斜視図である。
図6図4の6−6線に沿った、図3のエンドエフェクタの端面断面図である。
図7A】発射ビームが近位位置にある、図4の線7−7に沿った、図3のエンドエフェクタの側面断面図である。
図7B】発射ビームが遠位位置にある、図4の線7−7に沿った、図3のエンドエフェクタの側面断面図である。
図8】組織に位置付けられ、組織内で1回作動された後の、図3のエンドエフェクタの斜視図である。
図9図1の器具に使用される例示の制御回路の概略図である。
図10】ハウジングの半分及び一部の内部構成要素が取り外された状態の、図1の器具のハンドル組立体の斜視図である。
図11図10のハンドル組立体からの駆動組立体の構成要素の斜視図である。
図12】発射ビームと連結された、図11の駆動組立体からの細長い部材の斜視図である。
図13図1の器具に組み込むことができる例示の代替的エンドエフェクタの分解図である。
図14図13のエンドエフェクタの例示のブレードの斜視図である。
図15図14のブレードの側面図である。
図16図13のエンドエフェクタの例示の固定のつかみ具の斜視図である。
図17図16の固定のつかみ具のスロット内に位置付けられた、図14のブレードの端部図である。
図18図13のエンドエフェクタの例示のロックアウト機構の斜視図である。
図19図18の線19−19に沿って取られた、図18の機構のロックアウトの断面図である。
図20図13のエンドエフェクタの例示のスプリングの斜視図である。
図21図20の線21−21に沿って取られた、図20のスプリングの断面図である。
図22図13のエンドエフェクタの例示の閉鎖用リングの斜視図である。
図23A】初期位置における、図13のエンドエフェクタの側面断面図である。
図23B】ロックアウト位置における、図13のエンドエフェクタの側面断面図である。
図24A】初期位置における、図13のエンドエフェクタの底面斜視図である。
図24B】ロックアウト位置における、図13のエンドエフェクタの底面斜視図である。
図25A】カートリッジが搭載された、初期位置における、図13のエンドエフェクタの側面断面図である。
図25B】カートリッジが搭載された、第1の部分的に発射された位置における、図13のエンドエフェクタの側面断面図である。
図25C】カートリッジが搭載された、第2の部分的に発射された位置における、図13のエンドエフェクタの側面断面図である。
図25D】カートリッジが搭載された、第3の部分的に発射された位置における、図13のエンドエフェクタの側面断面図である。
図25E】カートリッジが搭載された、第4の部分的に発射された位置における、図13のエンドエフェクタの側面断面図である。
図25F】カートリッジが搭載された、第5の部分的に発射された位置における、図13のエンドエフェクタの側面断面図である。
図26図13のエンドエフェクタに組み込むことができる例示の代替的なカートリッジの近位端の斜視図である。
図27図26のカートリッジの近位端の断面斜視図である。
図28図26のカートリッジの近位端の上面断面図である。
図29A】カートリッジの弾性タブが第1の回転位置にあり、カートリッジのスレッドが第1の長手方向位置にあり、エンドエフェクタのナイフが第1の長手方向位置にある、図13のエンドエフェクタと係合された、図26のカートリッジの近位端の斜視図である。
図29B】カートリッジの弾性タブが第1の回転位置にあり、カートリッジのスレッドが第1の長手方向位置にあり、エンドエフェクタのナイフが第2の長手方向位置に移動した、図13のエンドエフェクタと係合された、図26のカートリッジの近位端の斜視図である。
図29C】カートリッジの弾性タブが第1の回転位置にあり、カートリッジのスレッドが、エンドエフェクタのナイフが第3の長手方向位置に移動したことによって、第2の長手方向位置に移動した、図13のエンドエフェクタと係合された、図26のカートリッジの近位端の斜視図である。
図29D】カートリッジのスレッドが第2の長手方向位置に移動すると共に、エンドエフェクタのナイフが第1の長手方向位置に戻ったことによって、カートリッジの弾性タブが第2の回転位置に移動した、図13のエンドエフェクタと係合された、図26のカートリッジの近位端の斜視図である。
図30図13のエンドエフェクタに組み込むことができる別の例示の代替的なカートリッジの近位端の斜視図である。
図31図30のカートリッジの近位端の側面断面図である。
図32A】カートリッジのスレッドが第1の長手方向の位置にあり、エンドエフェクタのナイフが第1の長手方向位置にある図13のエンドエフェクタ内に配置された、図30のカートリッジの近位端の断面図である。
図32B】カートリッジのスレッドが第1の長手方向位置にあり、エンドエフェクタのナイフが第2の長手方向位置に移動した、図13のエンドエフェクタ内に配置された、図30のカートリッジの近位端の断面図である。
図32C】カートリッジのスレッドが、エンドエフェクタのナイフが第3の長手方向位置に移動することによって第2の長手方向位置に移動し、ナイフがカートリッジの剥離機構を突破している、図13のエンドエフェクタ内に配置された、図30のカートリッジの近位端の断面図である。
図32D】エンドエフェクタのナイフが第1の長手方向位置に戻り、剥離機構がもはや存在しない、図13のエンドエフェクタ内に配置された、図30のカートリッジの近位端の断面図である。
図32E】エンドエフェクタのナイフが、第2の長手方向位置に向かって移動するとロックアウト位置に移動する、図13のエンドエフェクタ内に配置された、図30のカートリッジの近位端の断面図である。
図33図13のエンドエフェクタに組み込むことができる更に別の例示の代替的なカートリッジの近位端の斜視図である。
図34図33のカートリッジの近位端の側面断面図である。
図35図33のカートリッジの近位端の断面斜視図である。
図36A】カートリッジのスレッドが第1の長手方向の位置にあり、エンドエフェクタのナイフが第1の長手方向位置にある、図13のエンドエフェクタ内に配置された、図33のカートリッジの近位端の断面図である。
図36B】カートリッジのスレッドが第1の長手方向位置にあり、エンドエフェクタのナイフが第2の長手方向位置に移動した、図13のエンドエフェクタ内に配置された、図33のカートリッジの近位端の断面図である。
図36C】カートリッジのスレッドが、エンドエフェクタのナイフが第3の長手方向位置に移動することによって第2の長手方向位置に移動し、ナイフがカートリッジの剥離機構を突破している、図13のエンドエフェクタ内に配置された、図33のカートリッジの近位端の断面図である。
図36D】エンドエフェクタのナイフが第1の長手方向位置に戻り、剥離機構がもはや存在しない、図13のエンドエフェクタ内に配置された、図33のカートリッジの近位端の断面図である。
図36E】エンドエフェクタのナイフが、第2の長手方向位置に向かって移動するとロックアウト位置に移動する、図13のエンドエフェクタ内に配置された、図33のカートリッジの近位端の断面図である。
図37図13のエンドエフェクタに組み込むことができる更に別の例示の代替的なカートリッジの近位端の斜視図である。
図38図37のカートリッジの近位端の上面図である。
図39図37のカートリッジの近位端の側面断面図である。
図40図37のカートリッジの近位端の断面斜視図である。
図41A】剥離機構が第1の回転位置にあり、カートリッジのスレッドが第1の長手方向位置にあり、エンドエフェクタのナイフが第1の長手方向位置にある、図13のエンドエフェクタ内に配置された図37のカートリッジの近位端の断面図である。
図41B】剥離機構が第1の回転位置にあり、カートリッジのスレッドが第1の長手方向位置にあり、エンドエフェクタのナイフが第2の長手方向位置に移動した、図13のエンドエフェクタ内に配置された図37のカートリッジの近位端の断面図である。
図41C】エンドエフェクタのナイフが第3の長手方向位置に移動したことによって、剥離機構が第2の回転位置に移動し、カートリッジのスレッドが第2の長手方向位置に移動した、図13のエンドエフェクタ内に配置された図37のカートリッジの近位端の断面図である。
図41D】剥離機構が第2の回転位置にあり、エンドエフェクタのナイフが第1の長手方向位置に戻った、図13のエンドエフェクタ内に配置された、図37のカートリッジの近位端の断面図である。
図41E】エンドエフェクタのナイフが、第2の長手方向位置に向かって移動するとロックアウト位置に移動した、図13のエンドエフェクタ内に配置された、図37のカートリッジの近位端の断面図である。
図42図13のエンドエフェクタに組み込むことができる更に別の例示の代替的なカートリッジの近位端の斜視図である。
図43図42のカートリッジの近位端の上面図である。
図44A図13のエンドエフェクタに組み込むことができる更に別の例示の代替的なカートリッジの近位端の斜視図である。
図44B】代替的な対のガイドフィンが開放位置に移動した、更に別の例示の代替的なカートリッジの近位端の斜視図である。
図45A】ガイドフィンが閉鎖位置にある、図44Aのカートリッジの近位端の上面図である。
図45B】ガイドフィンが開放位置に移動した、図44Aのカートリッジの近位端の上面図である。
図46図13のエンドエフェクタ内に配置された図44Aのカートリッジの近位端の側面断面図である。
図47図13のエンドエフェクタに組み込むことができる更に別の例示の代替的なカートリッジの近位端の斜視図である。
図48図47のカートリッジの近位端の上面図である。
図49A】エンドエフェクタのナイフが第1の長手方向位置にある、図13のエンドエフェクタ内に配置された、図47のカートリッジの近位端の断面図である。
図49B】エンドエフェクタのナイフが第2の長手方向位置に移動した、図13のエンドエフェクタ内に配置された、図47のカートリッジの近位端の断面図である。
図50図13のエンドエフェクタに組み込むことができる更に別の例示の代替的なカートリッジの斜視図である。
図51図50のカートリッジの側面図である。
図52図50のカートリッジの近位端の上面図である。
図53図13のエンドエフェクタ内に配置された図50のカートリッジの近位端の断面図である。
図54】例示のタブインサートの斜視図である。
図55A図54のタブインサートがエンドエフェクタと連結するように位置付けられている、図13のエンドエフェクタの斜視図である。
図55B図54のタブインサートがエンドエフェクタ内に位置付けられている、図13のエンドエフェクタの斜視図である。
図56A図54のタブインサートがエンドエフェクタと連結するように位置付けられている、図13のエンドエフェクタの側面断面図である。
図56B図54のタブインサートがエンドエフェクタ内に位置付けられている、図13のエンドエフェクタの側面断面図である。
図57】例示の傾斜路インサートの斜視図を示す。
図58図57の傾斜路インサートがエンドエフェクタ内に位置付けられている、図13のエンドエフェクタの側面断面図である。
図59】例示の代替的な外科用ステープル留め器具の側面立面図である。
図60図59の器具のエンドエフェクタの側面断面図である。
図61図59の外科用器具の発射バーの側面立面図である。
図62図61の発射バーの正面立面図である。
図63】部分的に閉鎖されるが、組織を握っているクランプされていない位置の図60のエンドエフェクタの側面断面図である。
図64】エンドエフェクタが閉鎖位置にある、図59の外科用ステープル留め器具の側面図である。
図65】組織が適切に圧縮された閉鎖位置における図60のエンドエフェクタの側面断面図である。
図66】部分的に発射された位置における図59の外科用ステープル留め器具の側面図である。
図67】部分的に発射された位置における図60のエンドエフェクタの側面断面図である。
図68】完全に発射された位置における図59の外科用ステープル留め器具の側面図である。
図69】完全に発射された位置における図60のエンドエフェクタの側面断面図である。
図70図13のエンドエフェクタのカートリッジに組み込むことができる例示の代替的なカートリッジトレーの斜視図である。
図71図70のカートリッジトレーの近位端の詳細斜視図である。
図72図70のカートリッジトレーの背面図である。
図73図70のカートリッジトレーを有する更に別の例示のカートリッジの斜視図である。
図74図70のカートリッジトレーを有する図73のカートリッジの近位端の斜視図である。
図75図70のカートリッジトレーの近位端と接触している図61の発射バーの側面図である。
図76図1の器具用の例示の代替的なエンドエフェクタに組み込むことができる例示の代替的なナイフ部材の斜視図である。
図77図76のナイフ部材の側面立面図である。
図78図1の器具用の例示の代替的なエンドエフェクタの図76のナイフ部材と組み合わせることができる例示の代替的な下部つかみ具の下面を示す斜視図である。
図79】ナイフ部材が近位位置にある、図76のナイフ部材及び図78の下部つかみ具を組み込んだ、例示の代替的なエンドエフェクタの側面断面図である。
図80】ナイフ部材がロックアウト位置にある、図79のエンドエフェクタの側面断面図である。
【0007】
図面は、いかなる意味においても限定を目的としたものではなく、図面に必ずしも示されていないものを含め、本発明の様々な実施形態は他の様々な形で実施しうるものと考えられる。本明細書に組み込まれてその一部をなす添付図面は、本発明の幾つかの態様を図示しており、本説明と相まって、本発明の原理を説明する働きをする。しかしながら、本発明が図示される厳密な配置に限定されないことは理解されなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特定の例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明には、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なる、かつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明を、限定的ではなく、例示的な性質のものとみなすべきである。
【0009】
I.例示の外科用ステープラ
図1は、ハンドル組立体(20)と、シャフト組立体(30)と、エンドエフェクタ(40)と、を備える例示の外科用ステープル留め及び切断器具(10)を示す。エンドエフェクタ(40)及びシャフト組立体(30)の遠位部分は、外科的処置を行うために、図1に描写されるような非関節動作状態で、トロカールカニューレを通って患者内の手術部位まで挿入するように寸法決めされている。ほんの一例として、患者の腹部内に、患者の2本の肋骨の間に、又はその他の部位に、かかるトロカールを挿入してもよい。一部の状況では、器具(10)は、トロカールなしで使用される。例えば、エンドエフェクタ(40)及びシャフト組立体の遠位部分(30)を、開胸術又は他の種類の切開によって直接挿入することができる。本明細書では、「近位」及び「遠位」といった用語は、器具(10)のハンドル組立体(20)を握っている臨床医を基準として使用されていることを理解されたい。したがって、エンドエフェクタ(40)は、より近位にあるハンドル組立体(20)に対して遠位にある。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では「垂直」及び「水平」といった空間的な用語が、図面に対して使用されている点も更に認識されるであろう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的及び絶対的なものであることを意図するものではない。
【0010】
A.例示のハンドル組立体及びシャフト組立体
図1図2に示すように、本例のハンドル組立体(20)は、ピストル把持部(22)、閉鎖トリガー(24)、及び発射トリガー(26)を備える。各トリガ(24、26)は、以下により詳細に記載されるように、ピストル把持部(22)に向かって、かつそれから離れるように選択的に枢動可能である。ハンドル組立体(20)は、アンビル解放ボタン(25)と、発射ビーム反転スイッチ(27)と、取り外し可能な電池パック(28)と、を更に備える。これらの構成要素についても、以下でより詳細に説明する。勿論、ハンドル組立体(20)は、上記したもののいずれかに加えて又はその代わりに様々な他の構成要素、特徴、及び動作性を有することができる。ハンドル組立体(20)の他の好適な構成は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかであろう。
【0011】
図1図3に示すように、本例のシャフト組立体(30)は、外側閉鎖管(32)、関節運動部(34)、及び閉鎖用リング(36)を備え、それは、更にエンドエフェクタ(40)に連結する。閉鎖管(32)は、シャフト組立体(30)の長さに沿って延在する。閉鎖用リング(36)は、関節運動部(34)の遠位に位置付けられている。閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(36)は、ハンドル組立体(20)に対して長手方向に並進するように構成されている。閉鎖管(32)の長手方向の並進は、関節運動部(34)を介して閉鎖用リング(36)に伝達される。閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(36)を長手方向に並進するのに使用できる例示の機構は、以下により詳細に記載される。
【0012】
関節運動部(34)は、閉鎖用リング(36)及びエンドエフェクタ(40)を、シャフト組立体(30)の長手方向軸(LA)から横方向に離れるように横方向に所望の角度(α)で撓ませるように動作可能である。エンドエフェクタ(40)は、そのようにして、所望の角度から又は他の理由のために、臓器の背後に到達する又は組織に近付くことができる。一部の形態では、関節運動部(34)により、単一の平面に沿ってエンドエフェクタ(40)を撓ませることができる。その他の一部の形態では、関節運動部(34)により、2つ以上の平面に沿ってエンドエフェクタを撓ませることができる。本例では、関節運動は、シャフト組立体(30)の近位端に位置する関節運動制御ノブ(35)によって制御される。ノブ(35)は、シャフト組立体(30)の長手方向軸(LA)に垂直な軸の周りを回転可能である。閉鎖用リング(36)及びエンドエフェクタ(40)は、ノブ(35)の回転に反応してシャフト組立体(30)の長手方向軸(LA)に垂直な軸の周りを枢動する。ほんの一例として、ノブ(35)が時計回りに回転すると、関節運動部(34)において閉鎖用リング(36)及びエンドエフェクタ(40)が対応して時計回りに枢動する。関節運動部(34)は、関節運動部(34)が真っ直ぐな構成であるか、又は関節運動構成であるかにかかわらず、閉鎖管(32)が閉鎖用リング(36)まで長手方向に並進するのを伝達するように構成されている。
【0013】
一部の形態では、関節運動部(34)及び/又は関節運動制御ノブ(35)は、2013年2月28日に出願された「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許出願第13/780,067号の教示の少なくとも一部にしたがって構築され、動作可能であり、その開示内容を参照することにより本明細書に援用する。関節運動部(34)はまた、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本願と同日出願された、「Articulation Drive Features for Surgical Stapler」と題する米国特許出願第[代理人整理番号END7429USNP.0614273]号、及び/又は、その開示内容を参照することにより本明細書に組み込まれる、本願と同日出願された、「Method of Unlocking Articulation Joint in Surgical Stapler」と題する米国特許出願第[代理人整理番号END7431USNP.0614277]号の少なくとも一部の教示にしたがって構築され得、動作可能である。関節運動部(34)及び関節動作ノブ(35)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0014】
図1図2に示すように、本例のシャフト組立体(30)は、回転ノブ(31)を更に備える。回転ノブ(31)は、シャフト組立体(30)の長手方向軸(LA)の周りを、ハンドル組立体(20)に対して、全シャフト組立体(30)及びエンドエフェクタ(40)を回転するように動作可能である。一部の形態では、回転ノブ(31)は、シャフト組立体(30)の長手方向軸(LA)の周りを、ハンドル組立体(20)に対して、シャフト組立体(30)及びエンドエフェクタ(40)の角度位置を選択的に係止するように動作可能である。例えば、回転ノブ(31)は、シャフト組立体(30)及びエンドエフェクタ(40)がシャフト組立体(30)の長手方向軸(LA)の周りをハンドル組立体(20)に対して回転可能である第1の長手方向位置と、シャフト組立体(30)及びエンドエフェクタ(40)がシャフト組立体(30)の長手方向軸線(LA)の周りを、ハンドル組立体(20)に対して回転できない第2の長手方向位置との間で並進可能である。勿論、シャフト組立体(30)は、上記したもののいずれかに加えて又はその代わりに様々な他の構成要素、特徴、及び動作性を有することができる。ほんの一例として、シャフト組立体(30)の少なくとも一部は、2013年2月28日に出願された「Surgical Instrument with Multi−Diameter Shaft」と題する米国特許出願第13/780,402号の教示の少なくとも一部にしたがって構築され、その開示内容を参照することにより本明細書に援用する。シャフト組立体(30)の他の好適な構成は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかであろう。
【0015】
B.例示のエンドエフェクタ
また図1図3に示すように、本例のエンドエフェクタ(40)は、下部つかみ具(50)及び枢動可能なアンビル(60)を備える。アンビル(60)は、下部つかみ具(50)の対応する湾曲スロット(54)に配置されている一対の一体的な、外側に延在するピン(66)を備える。ピン(66)及びスロット(54)を図5に示す。アンビル(60)は、開放位置(図2及び図4に示す)と閉鎖位置(図1図3及び図7A図7Bに示す)との間で下部つかみ具(50)に向かって、かつそれから離れて枢動可能である。「枢動可能」という用語(及び「枢動」を基体とした類義語)の使用は、必ずしも固定軸を中心とした枢動運動を必要とすると理解されるべきではない。例えば、本例では、アンビル(60)はピン(66)によって画定されている軸の周りを枢動し、ピンは、アンビル(60)が下部つかみ具(50)に向かって動くにつれて下部つかみ具(50)の湾曲スロット(54)に沿ってスライドする。かかる形態では、枢軸がスロット(54)によって画定された経路に沿って並進する一方で、アンビル(60)は同時にその枢軸を中心として枢動する。追加的にあるいは代替的に、まず枢軸がスロット(54)に沿ってスライドし、次いで枢軸がスロット(54)に沿ってある一定の距離をスライドした後、アンビル(60)が枢軸を中心として枢動してもよい。そのような摺動/並進枢動は、「枢動」、「枢動する」「枢動の」、「枢動可能な」、「枢動している」などの用語内に包含されることを理解されたい。勿論、一部の形態は、固定かつスロット又はチャネル内を並進しない軸を中心としたアンビル(60)の枢動運動を提供してもよい。
【0016】
図5に最もよく示されるように、本例の下部つかみ具(50)は、ステープルカートリッジ(70)を受け入れるように構成されているチャネル(52)を画定する。ステープルカートリッジ(70)をチャネル(52)に挿入でき、エンドエフェクタ(40)を作動し、その後、ステープルカートリッジ(70)を取り外し、別のステープルカートリッジ(70)と交換することができる。したがって、下部つかみ具(50)は、エンドエフェクタ(40)を作動するためのアンビル(60)と位置合わせされてステープルカートリッジ(70)を解放可能に保持する。一部の形態では、下部つかみ具(50)は、2013年2月28日に出願された「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許出願第13/780,417号の教示の少なくとも一部にしたがって構築され、その開示内容を参照することにより本明細書に援用する。下部つかみ具(50)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかであろう。
【0017】
図4図6に最もよく示されるように、本例のステープルカートリッジ(70)はカートリッジ本体(71)と、カートリッジ本体(71)の下面に固着されたトレー(76)を備える。カートリッジ本体(71)の上面は、アンビル(60)が閉鎖位置にあるとき、組織を圧縮できるデッキ(73)を提示する。カートリッジ本体(71)は、長手方向に延在するチャネル(72)及び複数のステープルポケット(74)を更に画定する。ステープル(77)は各ステープルポケット(74)内に位置付けられている。ステープルドライバ(75)はまた、各ステープルポケット(74)内で、対応するステープル(77)の下に、かつトレー(76)の上に位置付けられている。以下により詳細に記載されるように、ステープルドライバ(75)は、ステープルポケット(74)を上方に並進し、それによって、ステープル(77)をステープルポケット(74)を通して上方に打ち込み、アンビル(60)と係止するように動作可能である。ステープルドライバ(75)は、カートリッジ本体(71)とトレー(76)との間に捕捉されている楔形スレッド(78)によって上方に打ち込まれ、楔形スレッドはカートリッジ本体(71)を通って長手方向に並進する。楔形スレッド(78)は、一対の傾斜した角度のカム表面(79)を含み、それらは、ステープルドライバ(75)と係止し、それによって、楔形スレッド(78)がカートリッジ(70)を通って長手方向に並進するにつれてステープルドライバ(75)を上方に打ち込むように構成されている。例えば、楔形スレッド(78)が図7Aに示すように近位位置にあるとき、ステープルドライバ(75)は下方位置にあり、ステープル(74)はステープルポケット(74)内に位置する。楔形スレッド(78)は、並進するナイフ部材(80)によって図7Bに示す遠位位置まで打ち込まれるにつれて、楔形スレッド(78)はステープルドライバ(75)を上方に打ち込み、それによってステープル(74)がステープルポケット(74)からステープル形成ポケット(64)に打ち込まれる。こうして、楔形スレッド(78)が水平寸法に沿って並進するにつれて、ステープルドライバ(75)は垂直寸法に沿って並進する。
【0018】
ステープルカートリッジ(70)を多様な方法で変更できることを理解されたい。例えば、本例のステープルカートリッジ(70)は、チャネル(72)の一方の側で長手方向に延在する2列のステープルポケット(74)と、チャネル(72)の他方の側で別の組の長手方向に延在する2列のステープルポケット(74)を備える。しかし、他の一部の形態では、ステープルカートリッジ(70)は、チャネル(72)の両側において3つ、1つ、又は他の数のステープルポケット(74)を備える。一部の形態では、ステープルカートリッジ(70)は、2013年2月28日に出願された「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許出願第13/780,106号の教示の少なくとも一部にしたがって構築され、動作可能であり、その開示内容を参照することにより本明細書に援用する。追加的にあるいは代替的に、ステープルカートリッジ(70)は、2013年2月28日に出願された「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許出願第13/780,417号の教示の少なくとも一部にしたがって、構築され、動作可能であり、その開示内容を参照することにより本明細書に援用する。ステープルカートリッジ(70)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0019】
図4で最もよく示されるように、本例のアンビル(60)は、長手方向に延在するチャネル(62)と、複数のステープル形成ポケット(64)とを備える。チャネル(62)は、アンビル(60)が閉鎖位置にあるとき、ステープルカートリッジ(70)のチャネル(72)に整列するように構成されている。ステープル形成ポケット(64)はそれぞれ、アンビル(60)が閉鎖位置にあるとき、ステープルカートリッジ(70)の対応するステープルポケット(74)の上に置かれるように位置付けられている。ステープル形成ポケット(64)は、ステープル(77)が組織を通してアンビル(60)の中に打ち込まれるとき、ステープル(77)の脚を変形させるように構成されている。特に、ステープル形成ポケット(64)は、形成されたステープル(77)を組織内で固着するためにステープル(77)の脚を曲げるように構成されている。アンビル(60)は、2013年2月28日に出願された、「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許出願第13/780,106号の教示の少なくとも一部、2013年2月28日に出願された「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許出願第13/780,120号の教示の少なくとも一部、及び/又は、2013年2月28日に出願された「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題する米国特許出願第13/780,379号の教示の少なくとも一部にしたがって構築することができ、その開示内容を参照することにより本明細書に援用する。本明細書の教示を考慮することで、アンビル(60)が取り得るその他の好適な形態が当業者には明らかであろう。
【0020】
本例では、ナイフ部材(80)は、エンドエフェクタ(40)を通して並進するように構成されている。図5及び図7A〜7Bに最もよく示されるように、ナイフ部材(80)は、シャフト組立体(30)の一部を通って延在する発射ビーム(82)の遠位端に固着されている。図4及び図6に最もよく示されるように、ナイフ部材(80)は、アンビル(60)及びステープルカートリッジ(70)のチャネル(62、72)内に位置付けられている。ナイフ部材(80)は、ナイフ部材(80)がエンドエフェクタ(40)を通して遠位に並進するにつれて、アンビル(60)とステープルカートリッジ(70)のデッキ(73)との間で圧縮されている組織を切断するように構成されている遠位に提示される切断縁部(84)を備える。上記し、かつ図7A図7Bに示すように、ナイフ部材(80)はまた、ナイフ部材(80)がエンドエフェクタ(40)を通して遠位に並進するにつれて楔形スレッド(78)を遠位に駆動し、それによってステープル(74)が組織を通してアンビル(60)に対して打ち込まれ、形成される。ナイフ部材(80)をエンドエフェクタ(40)を通して遠位に駆動するのに使用できる様々な機構については、以下に詳細に記載する。
【0021】
一部の形態では、エンドエフェクタ(40)は、ステープルカートリッジ(70)が下部つかみ具(50)に挿入されていないとき、ナイフ部材(80)がエンドエフェクタ(40)を通して遠位に前進するのを防止するように構成されているロックアウト機構を備える。追加的にあるいは代替的に、エンドエフェクタ(40)は、1回作動された後のステープルカートリッジ(70)(例えば、すべてのステープル(77)がそこから配備された)が下部つかみ具(50)に挿入されているとき、ナイフ部材(80)がエンドエフェクタ(40)を通して遠位に前進するのを防止するように構成されているロックアウト機構を備える。ほんの一例として、かかるロックアウト機構は、その開示内容が、参照により本明細書に組み込まれる、2013年2月28日に出願された、「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する米国特許出願第13/780,082号の教示の少なくとも一部、及び/又は、以下の教示の少なくとも一部にしたがって、構成され得る。本明細書の教示を考慮することで、ロックアウト機構が取り得るその他の好適な形態が当業者には明らかであろう。あるいは、エンドエフェクタ(40)は、かかるロックアウト機構を単に省略することができる。
【0022】
C.アンビルの例示の作動シーケンス
本例では、アンビル(60)は、閉鎖用リング(36)をエンドエフェクタ(40)に対して遠位に前進することによって下部つかみ具(50)に向かって駆動される。閉鎖用リング(36)は、カム作用を介してアンビル(60)と協働し、エンドエフェクタ(40)に対する閉鎖用リング(36)の遠位への並進に反応してアンビル(60)を下部つかみ具(50)に向かって駆動する。同様に、閉鎖用リング(36)は、アンビル(60)と協働し、エンドエフェクタ(40)に対する閉鎖用リング(36)の近位への並進に反応してアンビル(60)を下部つかみ具(50)から離れて開放することができる。ほんの一例として、閉鎖用リング(36)及びアンビル(60)は、その開示内容が本明細書に参照により組み入れられる、2013年2月28日に出願された「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許出願第13/780,120号の教示の少なくとも一部にしたがって、かつ/又は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本願と同日出願された、「Jaw Opening Feature for Surgical Stapler」と題する米国特許出願第[代理人整理番号END7430USNP.0614275]号の教示の少なくとも一部にしたがって相互作用することができる。エンドエフェクタ(40)に対して閉鎖用リング(36)を長手方向に並進するのに使用できる例示の機構は、以下により詳細に記載される。
【0023】
上記したように、ハンドル組立体(20)は、ピストル把持部(22)及び閉鎖トリガー(24)を含む。また、上記したように、アンビル(60)は、閉鎖用リング(36)の遠位への前進に反応して下部つかみ具(50)に向かって閉鎖される。本例では、閉鎖トリガー(24)は、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(36)を遠位方向に駆動させるように、ピストル把持部(22)に向かって枢動可能である。本明細書の教示を考慮することで、ピストル把持部(22)に向かう閉鎖トリガー(24)の枢軸運動を、ハンドル組立体(20)に対する閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(36)の遠位への並進に変換するのに使用され得る様々な好適な構成要素が、当業者には明らかであろう。閉鎖トリガー(24)は、アンビル(60)が、下部つかみ具(50)に対して完全な閉鎖位置になるような完全な枢動状態に達するとき、ハンドル組立体(20)のロック機構は、トリガー(24)及び閉鎖管(32)の位置を係止し、それによってアンビル(60)を下部つかみ具(50)に対して完全な閉鎖位置に係止する。これらの係止機構は、アンビル解放ボタン(25)の作動によって解放される。アンビル解放ボタン(25)は、ピストル把持部(22)をつかむ操作者の手の親指で作動されるように構成され、位置付けられている。言い換えると、操作者は、ピストル把持部(22)を片手でつかみ、閉鎖トリガー(24)を同じ手の1本又は2本以上の指で作動し、その後、同じ手によるピストル把持部(22)のつかみを解放する必要なく、アンビル解放ボタン(25)を同じ手の親指で作動することができる。本明細書の教示を考慮することで、アンビル(60)を作動するのに使用できる他の好適な機構が当業者には明らかであろう。
【0024】
D.発射ビームの例示の作動
本例では、器具(10)は、発射ビーム(82)の電動制御を提供する。図9図12は、発射ビーム(82)の電動制御を提供するのに使用できる例示の構成要素を示す。特に、図9は、電池パック(28)(図1及び図2にも図示)からの電力を電動モーター(102)に供給するために使用されてもよい、例示の制御回路(100)を示す。以下で更に詳細に説明されるように、電動モーター(102)は、発射ビーム(82)を長手方向に並進させるように動作可能である。モーター(102)及び電池パック(28)を含む制御回路(100)全体を、ハンドル組立体(20)内に収容することが可能であることを理解されたい。図9は、オープンスイッチとして発射トリガー(26)を示しているが、このスイッチは、発射トリガー(26)が作動しているときは閉じられていることを理解されたい。この例の回路(100)はまた、回路(100)を完了するために閉じられなければならない安全スイッチ(106)を含むが、安全スイッチ(106)は単なる任意選択的な構成要素であることを理解されたい。安全スイッチ(106)は、別装のボタン、スライダ、又はハンドル組立体(20)上の他の機構を作動することによって閉鎖することができる。安全スイッチ(106)はまた、発射トリガー(26)の機械的なロックアウトを提供でき、発射トリガー(26)は、安全スイッチ(106)が作動されるまで、機械的に作動を遮断される。
【0025】
本例の回路(100)はまた、ロックアウトスイッチ(108)を含み、そのスイッチは、初期設定では閉じられているが、ロックアウト状態に反応して自動的に開くように構成されている。ほんの一例として、ロックアウト状態は、下部つかみ具(50)にカートリッジ(70)がない状態、下部つかみ具(50)に使用済み(例えば、以前に発射された)カートリッジ(70)がある状態、アンビル(60)が十分に閉鎖されていない状態、器具(10)が既に何度も発射されていると判断された状態、及び/又は任意の他の好適な状態のうち、1つ又は2つ以上の状態を含んでいてもよい。ロックアウト状態を検知するために使用されてもよい様々なセンサ、アルゴリズム、及び他の機構は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。同様に、本明細書の教示を鑑みれば、他の好適な種類のロックアウト状態も、当業者には明らかになるであろう。回路(100)が開いており、ロックアウトスイッチ(108)が開いているときは、モーター(102)は動作不可能であることを理解されたい。ロックアウト指示器(110)(例えば、LEDなど)は、ロックアウトスイッチ(108)の状態の視覚的指標を提供するように動作可能である。ほんの一例として、ロックアウトスイッチ(108)、ロックアウト指示器(110)、及び関連する構成要素/機能性は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2010年1月12日発行の「Electronic Lockouts and Surgical Instrument Including Same」と題される米国特許第7,644,848号の少なくとも一部の教示にしたがって構成することができる。
【0026】
一旦発射ビーム(82)が最遠位位置(例えば、切断ストロークの終わり)に到達すると、ストローク終了スイッチ(112)は自動的に閉鎖位置に切り替わり、モーター(102)に適用される電圧の極性を反転させる。これにより、モーター(102)の回転方向は反転するが、操作者は動作のこの段階で、発射トリガー(26)を解放しているだろう点が理解されるべきである。この動作状態において、電流は、逆方向指示器(114)(例えば、LEDなど)を通って流れ、モーター(102)の回転が反転したことを操作者に伝える視覚的指標を提供する。本例では、図12に最もよく示されるように、スイッチ作動アーム(134)は、ラック部材(130)から横方向に延在し、また、発射ビーム(82)が最遠位位置に到達した際(例えば、組織(90)が切断され、ステープル(74)が組織(90)内に打ち込まれた後)、ストローク終了スイッチ(112)に係合するように位置付けられている。発射ビーム(82)が最遠位位置に到達した際、ストローク終了スイッチ(112)を自動的に閉鎖位置に切り替えることができる種々の他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかであろう。同様に、逆方向指示器(114)が取り得る種々の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0027】
本例のハンドル組立体(20)はまた、手動戻りスイッチ(116)を含んでおり、そのスイッチは、回路(100)内にも図示されている。本例では、戻りスイッチは、図1のハンドル組立体(20)に示される反転スイッチ(27)を作動することによって起動される。手動戻りスイッチ(116)は、ストローク終了スイッチ(112)と同様の機能性を提供し、モーター(102)に適用される電圧の極性を反転させ、それにより、モーター(102)の回転方向を反転させてもよい。この場合もまた、反転したことは、逆方向指示器(114)を通じて視覚的に表示される。一部の形態では、ハンドル組立体(20)は、操作者が手動で発射ビーム(82)を反転でき、それによって発射ビーム(82)を機械的に後退するようにする機械的な戻り機構を更に備える。本例では、この手動戻り機構は、図1に示すように、取り外し可能なパネル(21)によって覆われたレバーを備える。手動戻りスイッチ(116)及び機械的戻り機構はそれぞれ、「緊急救済(bailout)」機能として作用するように構成され、それによって操作者は、発射ストローク中、発射ビーム(82)を近位方向に後退させるのを即座に開始することができる。言い換えると、手動戻りスイッチ(116)又は機械的戻り機構は、発射ビーム(82)が部分的にしか遠位方向に前進していない場合にも、作動できる。
【0028】
一部の形態では、1つ又は2つ以上のスイッチ(26、106、108、112、116)は、マイクロスイッチの形態をしている。他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。上記に加えて又は上記の代わりに、少なくとも回路(100)の一部は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、2012年7月3日発行の「Motor−Driven Surgical Instrument」と題される米国特許第8,210,411号の少なくとも一部の教示にしたがって構成することができる。
【0029】
図10は、ハンドル組立体(20)のピストル把持部(22)内に位置付けられているモーター(102)を示す。あるいは、モータ(102)は、ハンドル組立体(20)内の別の場所に位置付けられてもよい。モーター(102)は、歯車組立体(122)と連結されている駆動軸(120)を有する。こうして、モータ(102)が起動すると、駆動シャフト(120)は、歯車組立体(122)を作動する。図11に示すように、歯車組立体(122)は、駆動歯車(124)と連絡しており、それは、アイドラーピニオン(126)と噛合している。ピニオン(126)は、ハンドル組立体(20)内に支持されて、モータ(102)の駆動シャフト(120)に平行に配向されているシャフト(128)上に配置されている。ピニオン(126)は、ラック部材(130)と更に係合している。特に、ピニオン(126)は、ラック部材(130)の近位端において歯(132)と噛合する。ラック部材(130)は、ハンドル組立体(20)内に摺動可能に支持されている。上記から、モータ(102)を起動すると、駆動シャフト(120)の対応する回転が歯車組立体(122)を介してピニオン(126)に伝達され、更にピニオン(126)の対応する回転が、歯(132)によりラック部材(130)の並進に変換されることを理解されたい。図10図12に示すように、細長い部材(136)は、ラック部材(130)から遠位に延在する。図12に示すように、連結部材(138)は発射ビーム(82)と細長い部材(136)で接合する。ラック部材(130)、細長い部材(136)、連結部材(138)、発射ビーム(82)及びナイフ部材(80)はすべて、モータ(102)の起動に反応してハンドル組立体(20)に対して一緒に並進する。言い換えると、モータ(102)の起動により、最終的に発射ビーム(82)は長手方向に並進し、かかる並進の方向は、駆動シャフト(120)の回転方向に依存する。
【0030】
細長い部材(136)、連結部材(138)及び発射ビーム(82)の遠位部分は、シャフト組立体(130)を通って延在することを理解されたい。発射ビーム(82)の一部はまた、関節運動部(34)を通って延在する。一部の形態では、ラック部材(130)、細長い部材(136)、及び連結部材(138)はすべて実質的に真っ直ぐで、剛性であるのに対し、発射ビーム(82)は、関節運動部(34)が曲がり状態又は関節動作状態にあるとき、関節運動部(34)において曲がり、関節運動部(34)を通って長手方向に並進するほど十分な可撓性を有する。
【0031】
上記に加えて、又は上記の代わりに、発射ビーム(82)を打ち込むように動作可能な機構は、米国特許第8,453,914号の教示のうちの少なくとも一部にしたがって構成されてもよく、この開示内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。発射ビーム(82)の電動化を提供するための他の好適な構成要素、機構、及び構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。また、他の形態において、発射ビーム(82)のマニュアル駆動が提供され、モーターが省かれてもよいことも理解されたい。ほんの一例として、発射ビーム(82)は、本明細書で引用されるその他の参照文献の少なくとも一部の教示にしたがって作動することができる。
【0032】
図8は、組織(90)を通じた1回のストロークを通して作動されたエンドエフェクタ(40)を示している。図示されるように、切断縁部(84)(図8では不明瞭)は、組織(90)を切断したが、ステープルドライバ(75)は、切断縁部(84)が作り出した切断線の各側で、組織(90)を通してステープル(77)の2本の交互の列を打ち込んだ。この例では、すべてのステープル(77)が切断線とほぼ平行に配向されているが、ステープル(77)は、任意の適当な向きで位置付けされうる点を理解されたい。本例では、第1のストロークが完了した後にエンドエフェクタ(40)をトロカールから引き抜き、使用済みのステープルカートリッジ(70)を新しいステープルカートリッジ(70)と交換し、その後、エンドエフェクタ(40)を再びトロカールを通じて挿入して、ステープル留めする部位に到達させて更なる切断及びステープル留めを行う。所望の量の切断及びステープル(77)が与えられるまで、このプロセスを繰り返すことができる。アンビル(60)を、トロカールを通じた挿入及び引き出しを容易にするため、閉鎖する必要がある場合があり、また、アンビル(60)は、ステープルカートリッジ(70)の交換を容易にするため、開放する必要がある場合がある。
【0033】
各作動ストロークの間に、ステープル(77)が組織に貫通して打ち込まれるのとほぼ同時に、切断縁部(84)が組織を切断することができる点を理解されたい。本例では、切断縁部(84)は、ステープル(77)の打ち込み動作よりもごくわずかに遅れて進むので、ステープル(47)は、切断刃先(84)が組織の同じ領域を通過する直前に組織に貫通して打ち込まれるが、この順序を逆にすることができる点、又は、切断縁部(84)が、隣り合うステープルと直接同期されてもよい点を理解されたい。図8は、2層(92、94)の組織(90)で作動しているエンドエフェクタ(40)を示しているが、エンドエフェクタ(40)は、1層の組織(90)、又は2層(92、94)以上の組織を通じて作動されうる点を理解されたい。また、切断刃先(84)が形成する切断線に隣接するステープル(77)の成形及び位置決めにより、切断線において組織を実質的にシールすることができ、これにより、切断線での出血及び/又は他の体液の漏出を低減又は防止することができる点も理解されたい。また、図8は、ほぼ扁平で、並置された平面な2層(92、94)の組織で作動しているエンドエフェクタ(40)を示しているが、エンドエフェクタ(40)は、血管、胃腸管の一部分などの筒状構造に交差して作動してもよいことを理解されたい。したがって、図8は、エンドエフェクタ(40)の企図される使用方法の制限について説明しているものとして考慮されるべきではない。器具(10)を使用することができる様々な適当な状況及び手術は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなろう。
【0034】
器具(10)の任意の他の構成要素又は機構は、本明細書に引用される様々な参照文献のうちいずれかにしたがって構成され、動作可能であることも理解されたい。器具(10)に行うことができる更なる例示的な改変例について以下により詳細に記載する。以下の教示を器具(10)に採り入れることができる様々な適当な方法が当業者には明らかであろう。同様に、以下の教示を本明細書で引用された参考文献の様々な教示と組み合わせることができる種々の好適な方法は、当業者に明らかとなる。また、以下の教示は、本明細書に引用される参照文献に教示される器具(10)又は装置に限定されない点も理解されたい。以下の教示は、外科用ステープラとして分類されない器具を含む他の様々な種類の器具に容易に応用することができる。以下の教示を適用することができる他の様々な適当な装置及び状況が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなろう。
【0035】
II.例示のエンドエフェクタロックアウト機構
場合によっては、アンビル(60)と下部つかみ具(50)との間に位置付けられた組織がステープル留めされずに切断されることのないように、エンドエフェクタ(40)に対して、発射ビーム(82)及び切断縁部(84)の不用意な発射(即ち、遠位への前進)を防止するロックアウト機構を提供することが所望され得る。例えば、ステープルカートリッジ(70)がエンドエフェクタ(40)内に未搭載である場合に、又はステープル(77)がステープルカートリッジ(70)から駆動された後に、発射ビーム(82)及び切断縁部(84)が発射しないようにすることが所望され得る。したがって、発射ビーム(82)及び切断縁部(84)の不用意な発射を防止するために、エンドエフェクタ(40)内にロックアウト機構が提供されてもよい。以下の例には、エンドエフェクタ(40)に容易に導入することができるロックアウト機構のいくつかの単なる例示の形態が含まれる。
【0036】
図13は、器具(10)内に容易に組み込むことができる例示のエンドエフェクタ(240)を示す。エンドエフェクタ(240)は、エンドエフェクタ(40)の下部つかみ具(50)、アンビル(60)、及び閉鎖用リング(36)と類似の、下部つかみ具(250)、枢動可能アンビル(260)、及び閉鎖用リング(236)を備える。ステープルカートリッジ(270)は、下部つかみ具(250)のチャネル内に、着脱可能に装着されてもよい。本例のステープルカートリッジ(270)は、エンドエフェクタ(40)のステープルカートリッジ(70)と類似している。ステープルカートリッジ(270)は、下部カートリッジトレー(276)と連結されているカートリッジ本体(271)を備える。楔形スレッド(278)及び複数のステープルドライバ(275)は、カートリッジ本体(271)とトレー(276)との間に捕捉されており、楔形スレッド(278)は、ステープルドライバ(275)より近位に位置する。楔形スレッド(278)は、カートリッジ本体(271)のチャネル(269)内に摺動可能に配置される。ステープル(47)と類似のステープルは、明瞭さのために図13からは省略されているが、ステープル(277)は、ステープルドライバ(275)の真上に位置付けられるであろうことを理解されたい。楔形スレッド(278)及びステープルドライバ(275)は、エンドエフェクタ(40)の楔形スレッド(78)及びステープルドライバ(75)と類似しており、楔形スレッド(278)は、楔形スレッド(278)がステープルカートリッジ(270)のチャネル(269)を通って遠位方向に駆動され、ステープル(図13には図示せず)を垂直に、アンビル(260)と下部つかみ具(250)との間に位置付けられている組織内に打ち込む際、ステープルドライバ(275)を上方に促すように構成されている。本例の楔形スレッド(278)は、楔形スレッド(278)の近位に位置付けられている、並進するナイフ部材(280)によって、遠位方向に駆動される。発射ビーム(282)は、ナイフ部材(280)に(例えば、溶接によって)連結される。発射ビーム(282)は、発射ビーム(82)に類似しており、ナイフ部材(280)を遠位方向かつ/又は近位方向に駆動するように構成されている。弾性部材(210)は、ナイフ部材(280)より近位にあり、ナイフ部材(280)に着脱可能に係合するように構成されている。ナイフ部材(280)及び弾性部材(210)は、フレーム部材(238)内に位置付けられている。フレーム部材(238)は、閉鎖用リング(236)内に位置付けられ、フレーム部材(238)がシャフト組立体(230)の関節運動部(234)と連結するように、下部つかみ具(250)の近位端に連結される。
【0037】
関節運動部(234)及びシャフト組立体(230)は、関節運動部(34)及びシャフト組立体(30)に類似している。ほんの一例として、関節運動部(234)及び/又はシャフト組立体(230)は、その開示が参照により本明細書に組み入れられる、2013年2月28日に出願された「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許出願第13/780,067号、及び/又は、その開示内容を参照により本明細書に組み込まれる、2013年2月28日に出願された「Surgical Instrument with Multi−Diameter Shaft」と題する米国特許出願第13/780,402号の教示の少なくとも一部にしたがって構築され得る。あるいは、関節運動部(234)及び/又はシャフト組立体(230)は、任意の他の好適な構成を有していてもよい。
【0038】
図14図15は、ナイフ部材(280)を更に詳細に示す。ナイフ部材(280)は、切断縁部(284)、上部延伸部(290)、及び下部延伸部(285)を備える。ナイフ部材(280)が下部つかみ具(250)を通って遠位に並進するにつれて、切断縁部(284)が組織を切断するように、切断縁部(284)は、ナイフ部材(280)の上部遠位部分上に位置付けられている。上部延伸部(290)は、切断縁部(284)から近位方向に延在する。上部延伸部(290)は、上部延伸部(290)の下面上に壁部(291、292、293、294、295、296)を備える。壁部(291)は、壁部(292)まで近位方向に延在する。壁部(292)は、壁部(293)まで上方に傾斜する。壁部(293)は、壁部(294)まで近位方向に延在し、壁部(264)は、壁部(295)まで下方へと延在する。壁部(292、293、294)は共に、ノッチを形成する。壁部(295)は、壁部(296)まで近位方向に延在し、壁部(296)は、上方に傾斜する。壁部(294、295、296)は、上部延伸部(290)から下方に延在するタブ(298)を形成する。以下で更に詳細に記載されるように、ステープルカートリッジ(270)が搭載されていない状態で、フレーム部材(238)が、タブ(298)及びナイフ部材(280)が遠位方向に前進することを防止できるように、タブ(298)は、フレーム部材(238)に係合するように構成されている。
【0039】
下部延伸部(285)は、切断縁部(284)の下から近位方向に延在する。遠位先端(297)及び遠位壁部(281)は、下部延伸部(285)の遠位部分上に位置付けられている。以下で更に詳細に説明されるように、遠位先端(297)が楔形スレッド(278)の上面に係合するように構成されるように、遠位先端(297)は、下部延伸部(285)から遠位方向かつ下方に延在する。また、以下で更に詳細に説明されるように、遠位壁部(281)は、遠位先端(297)の下にある下部延伸部(285)の遠位部分上に垂直に位置付けられ、遠位壁部(281)は楔形スレッド(278)の近位表面に係合するように構成されている。したがって、ナイフ部材(280)が下部つかみ具(250)内を遠位方向に並進し、それによって下部つかみ具(250)内で楔形スレッド(278)を遠位方向に駆動する際、遠位先端(297)及び遠位壁部(281)は、楔形スレッド(278)に解放可能に係合する。丸みを帯びたタブ(286)は、下部延伸部(285)の近位部分から上方に延在する。タブ(286)は、弾性部材(280)がタブ(286)及びナイフ部材(280)を下方に付勢できるように弾性部材(280)に係合するように構成されているので、ナイフ部材(280)のタブ(286)がフレーム部材(238)と係合し、タブ(286)及びナイフ部材(280)がステープルカートリッジ(270)が搭載されていない状態で遠位方向に前進するのを防止する。
【0040】
突起(288)は、下部延伸部(285)から下方に延在し、下部つかみ具(250)のスロット(256)内を並進するように構成されている。突起(288)は、下部延伸部(285)ほど幅が広くないため、下部延伸部(285)の下面上の突起(288)と下部延伸部(285)との間に棚部(283)が形成される。したがって、棚部(283)は、図17に最もよく示されるように、下部つかみ具(250)のスロット(256)内でナイフ部材(280)を垂直位置に保持する。棚部(283)により、ナイフ部材(280)の全体的な厚みを越える付加部分又は延伸部分を必要としない保持方法がもたらされる。突起(288)は、壁部(212)に向かって勾配をなしている傾斜壁部(211)を備える。壁部(212)は、壁部(218)まで近位方向に延在し、壁部(218)は、壁部(214)まで下方に傾斜する。壁部(214)は、壁部(215)まで近位方向に延在し、壁部(215)は、下部延伸部(285)まで上方に傾斜する。壁部(218、214、215)は、突起(288)から下方に延在するタブ(289)を形成する。
【0041】
ナイフ部材(280)は、モーター(102)及び発射ビーム(282)を駆動するための発射トリガー(26)の作動に基づいて、下部つかみ具(250)内で近位方向かつ/又は遠位方向に並進するように構成されている。図16に示すように、下部つかみ具(250)は、近位部分(255)及び遠位部分(253)を有するスロット(256)を備える。近位部分(255)は、遠位部分(253)より幅が広い。近位部分(255)は、カム表面(257)を介して遠位部分(253)に移行する。図17は、ナイフ部材(280)が近位かつ未発射位置にある場合の、下部つかみ具(250)のスロット(256)内に位置付けられているナイフ部材(280)を示す。スロット(256)は、突起(288)が下部つかみ具(250)のスロット(256)内を並進するように、ナイフ部材(280)の突起(288)を受け入れる。下部延伸部(285)は、スロット(256)上に位置付けられている。ナイフ部材(280)がスロット(256)の遠位部分(253)内に位置付けられる際、棚部(283)がスロット(256)の遠位部分(253)を越えて横方向に延在し、ナイフ部材(280)の垂直方向の整列又は垂直位置を維持するように、スロット(256)の遠位部分(253)は、突起(288)の横幅に対応するように寸法決めされた横幅を有する。ナイフ部材(280)がステープルカートリッジ(270)を搭載することなく前進した場合、突起(288)及び下部延伸部(285)がスロット(256)の近位部分(255)内に収まるように、スロット(256)の近位部分(255)は、ナイフ部材(280)の下部延伸部(285)の横幅に対応するように寸法決めされた横幅を有する。
【0042】
スロット(256)は、下部つかみ具(250)内で連続的に延在し、ナイフ部材(280)が近位かつ/又は遠位に並進する際、下部つかみ具(250)内のナイフ部材(280)の位置を可視化させることができる。閉鎖用リング(236)は、下部つかみ具(250)に連結し、ナイフ部材(280)の可視化を更に可能とする。本例では、図22に示すように、閉鎖用リング(236)は、開口部(235)を備える。閉鎖用リング(236)が遠位位置に前進し、アンビル(260)を下部つかみ具(250)に対して閉鎖する際、開口部(235)がスロット(256)の近位部分(255)に隣接するように、閉鎖用リング(236)は、下部つかみ具(250)と摺動可能に連結する。突起(288)及び下部延伸部(285)がスロット(256)の近位部分(255)内に収まった場合、閉鎖用リング(236)がタブ(289)の可視化を可能にするように、開口部(235)は、ナイフ部材(280)のタブ(289)に対応するよう寸法決めされる。
【0043】
図18及び図19に示すように、下部つかみ具(250)の近位端は、フレーム部材(238)に連結されている。フレーム部材(238)は、チャネル(233)、旋回軸(239)、及び歯車(231)を備える。図19に示すように、第1の係合機構(222)及び第2の係合機構(224)は、チャネル(233)内に位置付けられている。係合機構(222、224)は、ナイフ部材(280)の上部延伸部(290)に係合するように構成されている。第1の係合機構(222)は、チャネル(233)内に上方に延在する壁部(225)を備える。壁部(225)は、壁部(223)へと移行し、壁部(223)は、壁部(221)まで遠位方向に延在する。壁部(221)は、遠位方向に下方に勾配をなす。第2の係合機構(224)は、第1の係合機構(222)より近位にある。第2の係合機構(224)の上面は、壁部(226)まで遠位方向に延在する壁部(227)を備え、壁部(227)は、遠位方向に下方に勾配をなす。第2の係合機構(224)の下面は、壁部(229)まで近位方向に下方に勾配をなす壁部(228)を備える。壁部(229)は、壁部(237)まで近位方向に延在し、壁部(237)は、壁部(229)から上方へと延在する。図23Aに示すように、第2の係合機構(224)の下面は、弾性部材(210)に係合するように構成されている。歯車(231)は、歯を有し、係合機構(224)より近位にある。旋回軸(239)は、歯車(231)から上方に延在する。エンドエフェクタ(240)がシャフト組立体(220)に対して所望の角度(α)に枢動できるように、旋回軸(239)及び歯車(231)は、シャフト組立体(220)の関節運動部(234)と回転可能に連結するように構成されている。ほんの一例として、歯車(231)及び/又は関節運動部(234)の他の構成は、その開示が本明細書に参照により組み入れられる、2013年2月28日に出願された「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許出願第13/780,067号、及び/又は、その開示内容を参照により本明細書に組み込まれる、2013年2月28日に出願された「Surgical Instrument with Articulation Lock Having a Detenting Binary Spring」と題する米国特許出願第13/780,162号の教示の少なくとも一部にしたがって構築され得る。
【0044】
図20及び図21は、弾性部材(210)を更に詳細に示す。弾性部材(210)は、遠位部分(213)及び近位部分(285)を備える。遠位部分(213)は、ナイフ部材(280)の下部延伸部(285)のタブ(286)を受け入れるように構成されている開口部(216)を備える。遠位部分(213)は、近位方向に下方に勾配をなす傾斜部分(219)を介して、近位部分(217)に移行する。傾斜部分(219)は、柔軟であり、遠位部分(282)を下方に弾性的に付勢するように構成されている。壁部(209)は、近位部分(217)の近位端から上方に延在する。壁部(209)は、フレーム部材(238)が弾性部材(210)を軸方向に保持するように構成されているように、フレーム部材(238)の壁部(237)に係合する。
【0045】
A.例示のロックアウトシーケンス
図23A図23Bは、ステープルカートリッジ(270)を適切に搭載することなく、ナイフ部材(280)を発射する試みを示す。例えば、アンビル(260)及び下部つかみ具(250)が閉鎖された状態で、器具(10)を非関節動作状態で手術部位に挿入することができる。一旦、関節運動部(234)及びエンドエフェクタ(240)が患者内の所望の部位に挿入されると、アンビル(260)は、エンドエフェクタ(240)を開放するために下部つかみ具(250)から離れるように枢動し、アンビル(260)及び下部つかみ具(250)を、組織の周りに位置付けることができる。関節運動部(234)は、関節動作制御ノブ(35)によって遠隔に関節動作することができ、エンドエフェクタ(240)を所望の角度(α)に撓ませることができる。次いで、閉鎖トリガー(24)は、ピストル把持部(22)に向かって作動し、アンビル(260)を下部つかみ具(250)に向かって閉鎖することができる。かかるアンビル(260)の閉鎖は、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(236)を介して行われ、その両方とも、ピストル把持部(22)に対する閉鎖トリガー(24)の枢動に反応して、ハンドル部分(20)及び下部つかみ具(250)に対して長手方向に並進する。関節運動部(234)は、閉鎖管(32)から閉鎖用リング(236)への長手方向の動作を伝達するように動作可能である。
【0046】
図23Aは、下部つかみ具(250)内にステープルカートリッジ(270)がない状態で、アンビル(260)及び下部つかみ具(250)が閉鎖した直後の、初期位置におけるエンドエフェクタ(240)を示す。初期位置では、ナイフ部材(280)の上部延伸部(290)は、フレーム部材(238)の係合機構(222、224)上に位置付けられている。上部延伸部(290)の壁部(291)は、第1の係合機構(222)の壁部(223)上にあり、一方、上部延伸部(290)のタブ(298)は、第2の係合機構(224)の壁部(227)上にある。弾性部材(210)は、下部つかみ具(250)とフレーム部材(238)との間に位置付けられている。弾性部材(210)の壁部(287)は、壁部(237)が弾性部材(210)を軸方向に保持するように構成されるように、フレーム部材(238)の壁部(237)と係合される。弾性部材(210)の開口部(216)は、下部延伸部(285)のタブ(286)が弾性部材(210)の開口部(216)内に位置付けられているように、ナイフ部材(280)の下部延伸部(285)上に位置付けられている。下部延伸部(285)の突起(288)は、下部つかみ具(250)のスロット(256)の近位部分(255)内に位置付けられている。突起(288)は、棚部(283)がスロット(256)上に位置付けられているように、スロット(256)内で垂直方向に整列する。したがって、ナイフ部材(280)は、初期位置から発射される準備が整っている。
【0047】
しかしながら、本例では、ステープルカートリッジ(270)は、エンドエフェクタ(240)に適切に搭載されていない。したがって、遠位先端(297)及び遠位壁部(281)は、スレッド(278)と係合していない。図23Bに示すように、発射トリガー(26)を作動し、ステープルカートリッジ(270)が適切に搭載されていない状態で、発射ビーム(282)及びナイフ部材(280)を遠位に駆動する場合、ナイフ部材(280)は、エンドエフェクタ(240)内で下方に収まり、フレーム部材(238)の係合機構(222、224)に係合し、ナイフ部材(280)が下部つかみ具(250)内を更に遠位方向に進行するのを防止する。ステープルカートリッジ(270)を適切に搭載することなくナイフ部材(280)が遠位方向に押される際、ナイフ部材(280)の下部延伸部(285)のタブ(286)は、弾性部材(210)の開口部(216)から遠位方向に並進する。タブ(286)は、次いで、弾性部材(210)の遠位部分(213)に係合する。弾性部材(210)の遠位部分(213)が下方に付勢されるため、弾性部材(210)は、ナイフ部材(280)のタブ(286)を下方に押す。これにより、ナイフ部材(280)の上部延伸部(290)のタブ(298)は、係合機構(222、224)の間に下方に収まることになる。したがって、タブ(298)の壁部(294)は、第1の係合機構(222)の壁部(225)に係合し、ナイフ部材(280)が更に遠位方向に進行するのを防止し、ナイフ部材(280)をエンドエフェクタ(240)内で係止する。上記のロックアウトは、使用済みのステープルカートリッジ(270)がエンドエフェクタ内に搭載されているときに、操作者が発射ビーム(282)を近位位置から遠位位置に前進させようとする場合にも起こり得ることを理解されたい。こうしてロックアウト機構は、ステープルカートリッジ(270)がエンドエフェクタ(240)に搭載されていないとき、また、エンドエフェクタ(240)の中にあるカートリッジ(270)が既に発射され、発射ビーム(282)が近位位置に後退したとき、発射ビーム(282)の前進を防止する。
【0048】
ナイフ部材(280)が図23Bに示す係止位置へと下方に収まるにつれて、ナイフ部材(280)の下部延伸部(285)及び突起(288)は、下部つかみ具(250)のスロット(256)の近位部分(255)内に収まる。したがって、突起(288)のタブ(289)は、スロット(256)の近位部分(255)を通って、かつ、閉鎖用リング(236)の開口部(235)を通って、延在する。これにより、図24A及び図24Bに示すように、ナイフ部材(280)がロックアウト位置にあるという視覚的指標が提供される。図24Aでは、ナイフ部材(280)は、タブ(289)が閉鎖用リング(236)の開口部(235)上にあるスロット(256)内に位置付けられているように初期位置にある。ナイフ部材(280)が、図24Bに示すように、ロックアウト位置へと下方に収まる際、タブ(289)は、閉鎖用リング(236)の開口部(235)を通って延在し、ロックアウトの視覚的指標を提供する。閉鎖用リング(236)の空間内にロックアウト機構及び視覚的指標を提供することにより、関節運動部(234)の全体的な長さを最小化することができる。
【0049】
ナイフ部材(280)が図23Bのロックアウト位置にきた後、ナイフ部材(280)は、図23Aの初期位置に戻ることができる。例えば、モーター(102)を、発射ビーム(282)及びナイフ部材(280)を近位方向に引っ張り、ナイフ部材(280)を図23Aの初期位置に戻すように起動することができる。ナイフ部材(280)が近位方向に並進するにつれて、ナイフ部材(280)の上部延伸部(290)の傾斜壁部(292、296)は、係合機構(222、224)の傾斜壁部(221、226)に対して近位方向にスライドする。上部延伸部(290)が係合機構(222、224)に対して近位方向に並進するにつれて、係合機構(222、224)の壁部(221、226)は、カム作用を介して上部延伸部(290)及びナイフ部材(280)を上方に押す。ナイフ部材(280)のタブ(286)もまた、上方に進行し、弾性部材(210)の開口部(216)内に再度位置付けられている。これにより、図23Aに示すように、ナイフ部材(280)は、初期位置に戻る。
【0050】
B.例示の発射シーケンス
図25A図25Fは、ステープルカートリッジ(270)を適切に搭載した状態でのナイフ部材(280)の発射を示す。例えば、器具(10)は、アンビル(260)及び下部つかみ具(250)が閉鎖された状態で、非関節動作状態で手術部位に挿入されることがある。一旦、関節運動部(234)及びエンドエフェクタ(240)が患者内の所望の部位に挿入されると、アンビル(260)は、エンドエフェクタ(240)を開放するために下部つかみ具(250)から離れるように枢動し、アンビル(260)及び下部つかみ具(250)を、組織の周りに位置付けることができる。関節運動部(234)は、関節動作制御ノブ(35)によって遠隔に関節動作することができ、エンドエフェクタ(240)を所望の角度(α)に撓ませることができる。次いで、閉鎖トリガー(24)は、ピストル把持部(22)に向かって作動し、アンビル(260)を下部つかみ具(250)に向かって閉鎖することができる。かかるアンビルの閉鎖は、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(236)を介してもたらされ、その両方とも、ピストル把持部(22)に対する閉鎖トリガー(24)の枢動に反応して、ハンドル部分(20)及び下部つかみ具(250)に対して長手方向に並進する。関節運動部(234)は、閉鎖管(32)から閉鎖用リング(236)へ長手方向の動作を伝達するように動作可能である。
【0051】
図25Aは、ステープルカートリッジ(270)を適切に搭載した状態で、アンビル(260)及び下部つかみ具(250)が閉鎖した直後の、初期位置におけるエンドエフェクタ(240)を示す。初期位置では、ナイフ部材(280)の上部延伸部(290)は、フレーム部材(238)の係合機構(222、224)上に位置付けられている。上部延伸部(290)の壁部(291)は、第1の係合機構(222)の壁部(223)上にあり、一方、上部延伸部(290)のタブ(298)は、第2の係合機構(224)の壁部(227)上にある。弾性部材(210)は、下部つかみ具(250)とフレーム部材(238)との間に位置付けられている。弾性部材(210)の壁部(209)は、壁部(237)が弾性部材(210)を軸方向に保持するように構成されるように、フレーム部材(238)の壁部(237)と係合される。弾性部材の開口部(216)は、下部延伸部(285)のタブ(286)が弾性部材(210)の開口部(216)内に位置付けられているように、ナイフ部材(280)の下部延伸部(285)上に位置付けられている。下部延伸部(285)の突起(288)は、下部つかみ具(250)のスロット(256)の近位部分(255)内に位置付けられている。突起(288)は、棚部(283)がスロット(256)上に位置付けられているように、スロット(256)内で垂直方向に整列する。ナイフ部材(280)の遠位先端(297)は、スレッド(278)上に位置付けられている。したがって、ナイフ部材(280)は、図25Aに示す初期位置から発射される準備が整っている。
【0052】
発射トリガー(26)は、発射ビーム(282)及びナイフ部材(280)を駆動するように作動することができる。図25Bに示すように、ナイフ部材(280)が遠位方向に駆動されるにつれて、ナイフ部材(280)の遠位先端(297)はスレッド(278)の上面(279)に係合し、またナイフ部材(280)の遠位壁部(281)はスレッド(278)の近位端(276)に係合する。これにより、ナイフ部材が下部つかみ具(250)のスロット(256)の近位部分(255)内に位置付けられているとき、ナイフ部材(280)の垂直位置が維持される。ナイフ部材(280)が更に遠位に進行するにつれて、ナイフ部材(280)のタブ(286)は、タブ(286)が弾性部材(210)の遠位部分(213)に係合するように、弾性部材(210)の開口部(216)から遠位方向に進行する。それにより、タブ(286)は、図25Cに示すように、弾性部材(210)の遠位部分(213)を上方に押す。スレッド(278)がナイフ部材(280)の垂直位置を維持するため、図25Dに示すように、ナイフ部材(280)のタブ(298)は、フレーム部材(238)の係合機構(222、224)の上を遠位方向に並進し、タブ(298)は、ナイフ部材(280)の遠位方向への動きを防止するよう係合機構(222、224)の間に収まらない。したがって、ナイフ部材(280)は、この段階においてロックアウト位置を無効にする。弾性部材(210)の遠位部分(213)は、次いで、図25Eに示すように、タブ(286)が弾性部材(210)から遠位方向に並進するにつれて、ナイフ部材(280)のタブ(286)の近位を、基準位置へと下方に付勢する。ナイフ部材(280)の突起(288)は、次いで、図25Fに示すように、下部つかみ具(250)のスロット(256)の遠位部分(253)に入る。ナイフ部材(280)の棚部(283)は、次いで、スロット(256)上に位置付けられ、上部延伸部(290)のタブ(298)は、第1の係合機構(222)上になる。ナイフ部材(280)は、次いで、遠位方向に更に並進され、アンビル(260)と下部つかみ具(250)との間に位置付けられた組織を切断し、ステープル留めする。
【0053】
ナイフ部材(280)を遠位方向に発射した後、ナイフ部材(280)を、下部つかみ具(250)内で近位方向に後退することができる。例えば、発射トリガー(26)の第2の作動、及び/又は別の作動に反応し、発射ストロークの完了を検出した際、モーター(102)の自動反転によって、発射ビーム(282)がナイフ部材(280)を後退させることができる。ナイフ部材(280)が後退する際、ナイフ部材(280)は、スレッド(278)から係合解除される。スレッド(280)がないと、ナイフ部材(280)が発射された後に後退するにつれて、ナイフ部材(280)は、図23Bのロックアウト位置へと下方に収まることができる。ナイフ部材(280)が図23Bのロックアウト位置にきた後、ナイフ部材(280)は、図23Aの初期位置に戻ることができる。ナイフ部材(280)がモーター(102)によって近位方向に駆動されるにつれて、ナイフ部材(280)の上部延伸部(290)の傾斜壁部(292、296)は、係合機構(222、224)の傾斜壁部(221、226)に対して近位方向にスライドする。上部延伸部(290)が係合機構(222、224)に対して近位方向に並進する際、係合機構(222、224)の壁部(221、226)は、カム作用を介して上部延伸部(290)及びナイフ部材(280)を上方に押す。ナイフ部材(280)のタブ(286)もまた、上方に進行し、弾性部材(210)の開口部(216)内に再度位置付けられている。これにより、図23Aに示すように、ナイフ部材(280)は、初期位置に戻る。
【0054】
一旦、アンビル(260)と下部つかみ具(250)との間に位置付けられた組織が切断されステープル留めされると、エンドエフェクタ(240)は、アンビル(260)及び下部つかみ具(250)を閉鎖した状態で、関節動作制御ノブ(35)によって非関節動作位置へと枢動して戻り、手術部位から取り外すことができる。あるいは、アンビル(260)及び下部つかみ具(250)を、エンドエフェクタ(240)を枢動する前に開放し、アンビル(260)と下部つかみ具(250)との間の任意の組織を解放することができる。アンビル(260)及び下部つかみ具(250)は、次いで、手術部位からエンドエフェクタ(240)を取り外す前に、再度閉鎖することができる。エンドエフェクタ(240)は、次いで、開放され、ステープルカートリッジ(270)を新しいステープルカートリッジと交換してもよい。エンドエフェクタ(240)を開放するために、閉鎖トリガー(24)をピストル把持部(22)から離れるように解放してもよい。ステープルカートリッジ(270)は、新しいステープルカートリッジと交換することができ、エンドエフェクタ(240)は、更なる切断及びステープル留めのために手術部位に再度挿入することができる。
【0055】
一部の変形例では、フレーム部材(238)及びナイフ部材(280)は、壁部(225)及び壁部(294)がナイフ部材(280)の遠位端の下面に、あるいはその近くに位置するように再構成されている。例えば、フレーム部材(238)は、下部延伸部(285)の突起(288)の近くに位置する第1の係合機構(222)と実質的に同一な機構を含むことができ、また、下部延伸部(285)の突起(288)は、タブ(298)と実質的に同一な機構を含むことができる。壁部(225、294)の機能的等量物が係合し、ナイフ部材(280)の遠位への並進に対してロックアウトを提供し得る他の好適な位置が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかであろう。
【0056】
III.例示の代替的な使用済みのカートリッジロックアウト機構
場合によっては、ナイフ部材(280)が同じステープルカートリッジ(270)を通して2回以上発射されるのを防止する機構を提供することが所望され得るので、ナイフ部材(280)は「使用済の」ステープルカートリッジ(270)を通して発射することができない。例えば、かかる機構は、ナイフ部材(280)が、ステープルカートリッジ(270)を通して1回発射されると、上述したフレーム部材(238)のロックアウト機構(222、224)に係合するのを防止することができる。しかし、それに続いて、ナイフ部材(280)を発射しようとすると、かかる機構は、ナイフ部材(280)とフレーム部材(238)のロックアウト機構(222、224)との間で係合することになり、それによって同じステープルカートリッジ(270)を通した2回目のナイフ部材(280)の発射を防止する。以下の例には、エンドエフェクタ(240)などのエンドエフェクタに容易に導入することができる使用済みのステープルカートリッジ(270)のロックアウト機構のいくつかの単なる例示の形態が含まれる。
【0057】
A.弾性タブを有する例示のカートリッジ
図26図29Dは、使用済みのカートリッジのロックアウト機構を有する例示のカートリッジ(300)を示す。カートリッジ(300)はエンドエフェクタ(240)の中で、又は他のエンドエフェクタの中で容易に使用できることを理解されたい。本例のカートリッジ(300)は、以下で論じる相違点を除き、上で論じたカートリッジ(70、270)とほぼ同様に動作するように構成されている。カートリッジ(300)は、楔形スレッド(278)及びナイフ部材(280)を長手方向に並進することができる長手方向のチャネル(304)を有するカートリッジ本体(301)を含む。本例の使用済みのカートリッジロックアウト機構は、弾性タブ(310)を備える。図27に最もよく示されるように、カートリッジ本体(301)のチャネル(304)の内表面は、弾性タブ(310)が枢動可能に配置された矩形の凹部(302)を備える。弾性タブ(310)は、矩形の凹部(302)内にリビングヒンジを介して枢動可能に固着されている。弾性タブ(310)は、弾性タブ(310)が矩形の凹部(302)内にほぼ完全に配置されている、露出されていない位置と、弾性タブ(310)が矩形の凹部(302)からチャネル(304)内に、したがって遠位に並進するナイフ部材(280)の通路内に延在する、露出された位置との間で枢動可能である。本例の弾性タブ(310)は、図26図27及び図29Dに示す露出位置に向かって付勢されている。弾性タブ(310)は、露出されていない位置にあるとき、ナイフ部材(280)の発射を可能にすると共に、露出位置にあるとき、ナイフ部材(280)の発射を防止するように構成されている。
【0058】
図28に最もよく示されるように、楔形スレッド(278)は、カートリッジ(300)のチャネル(304)内に位置付けられ、カートリッジ(300)のチャネル(304)を通って長手方向に並進するように動作可能である。初期位置(図28及び図29A)では、楔形スレッド(278)は、弾性タブ(310)を露出されていない位置に維持するように近位に位置付けられている。ナイフ部材(280)が1回目に発射されると、ナイフ部材(280)は楔形スレッド(278)と係合し(図29B)、上述したように楔形スレッド(278)を遠位に駆動する(図29C)。ナイフ部材(280)が発射されると、ナイフ部材(280)及び/又は発射ビーム(282)は、弾性タブ(310)を露出されていない位置に維持するように構成されている。一旦、ナイフ部材(280)が初期位置に後退すると、楔形スレッド(278)、ナイフ部材(280)、及び/又は発射ビーム(282)は、もはや露出されていない位置に弾性タブ(310)を維持する位置にはないので、弾性タブ(310)は弾性的に撓んで露出位置になる(図29D)。露出位置では、操作者が2回目にナイフ部材(280)を遠位に前進しようとする場合、弾性タブ(310)は、ナイフ部材(280)と係合することによって、カートリッジ(300)を通した2回目のナイフ部材(280)の発射を防止する。
【0059】
B.バイパスビームを有する例示のカートリッジ
図30図32Eは、使用済みのカートリッジのロックアウト機構を有する別の例示のカートリッジ(320)を示す。カートリッジ(320)はエンドエフェクタ(240)の中で、又は他のエンドエフェクタの中で容易に使用できることを理解されたい。本例のカートリッジ(320)は、以下で論じる相違点を除き、上で論じたカートリッジ(70、270)とほぼ同様に動作するように構成されている。カートリッジ(320)は、楔形スレッド(278)及びナイフ部材(280)を長手方向に並進することができる長手方向のチャネル(324)を有するカートリッジ本体(322)を含む。本例の使用済みのカートリッジロックアウト機構は、チャネル(324)の対向する内表面間を延在する剥離又は破断ビーム(330)を備える。ビーム(330)は、ビーム(330)がナイフ部材(280)の経路内にあるようにチャネル(324)内に位置付けられている。本例のビーム(330)は、正方形断面プロファイルを備えるが、任意の適切な形状を備えてもよい。以下に詳細に論じるように、ナイフ部材(280)がチャネル(324)を通して遠位に発射されると、ナイフ部材(280)はビーム(330)を破壊及び/又は切断するように構成されている。また、以下に詳細に論じるように、ビーム(330)は、ビーム(330)が存在するとき、ナイフ部材(280)の発射を可能にすると共に、ビーム(330)が存在しないとき、ナイフ部材(280)の発射を防止するように構成されている。
【0060】
図32Aは初期位置のエンドエフェクタ(240)を示す。初期位置では、ナイフ部材(280)の上部延伸部(290)は、フレーム部材(238)の係合機構(222、224)上に位置付けられている。また、初期位置では、ナイフ部材(280)の遠位先端(297)は、カートリッジ(320)のビーム(330)の上面に接触している。図32Bに示すように、ナイフ部材(280)が遠位方向に発射されると、ナイフ部材(280)の遠位先端(297)は、ビーム(330)の上面に継続して係合すると同時に、ナイフ部材(280)の遠位壁部(281)がスレッド(278)の近位端(276)に係合する。遠位先端(297)とビーム(330)の上面との係合は、ナイフ部材(280)の垂直位置を維持する。ビーム(330)がナイフ部材(280)の垂直位置を維持するため、ナイフ部材(280)のタブ(298)は、フレーム部材(238)の係合機構(222、224)の上を遠位方向に並進し、タブ(298)が係合機構(222、224)の間に収まってナイフ部材(280)の遠位方向への動きを防止することない。ナイフ部材(280)が更に遠位方向に発射されると、ナイフ部材(280)はビーム(330)を破壊及び/又は切断しながら、ナイフ部材(280)は上述したように楔形スレッド(278)を遠位方向に駆動する(図32C)。ナイフ部材(280)が遠位方向に発射された後、ナイフ部材(280)は、下部つかみ具(250)内で近位方向に後退することができる(図32D)。操作者が2回目にナイフ部材(280)を発射しようとする場合、ナイフ部材(280)の垂直位置を維持するビーム(330)がないと、図23Bを参照して上述したように、また図32Eに示すように、弾性部材(210)は弾性的に、ナイフ部材(280)を下方にロックアウト位置まで駆動することになる。
【0061】
C.バイパス傾斜路を有する例示のカートリッジ
図33図36Eは、使用済みのカートリッジのロックアウト機構を有する別の例示のカートリッジ(340)を示す。カートリッジ(340)はエンドエフェクタ(240)の中で、又は他のエンドエフェクタの中で容易に使用できることを理解されたい。本例のカートリッジ(340)は、以下で論じる相違点を除き、上で論じたカートリッジ(70、270)とほぼ同様に動作するように構成されている。カートリッジ(340)は、楔形スレッド(278)及びナイフ部材(280)を長手方向に並進できる長手方向のチャネル(344)を有するカートリッジ本体(342)を含む。本例の使用済みのカートリッジロックアウト機構は、カートリッジ本体(342)のチャネル(344)の対向する内表面間に延在する剥離又は破断傾斜路(350)を備える。傾斜路(350)は、傾斜路(350)がナイフ部材(280)の経路内にあるようにチャネル(344)内に位置付けられている。図34に最もよく示されるように、本例の傾斜路(350)が遠位に上方に傾斜している。以下に詳細に論じるように、ナイフ部材(280)がチャネル(344)を通して遠位に発射されると、ナイフ部材(280)は傾斜路(350)を破壊及び/又は切断するように構成されている。また、以下に詳細に論じるように、傾斜路(350)は、傾斜路(350)が存在するとき、ナイフ部材(280)の発射を可能にすると共に、傾斜路(350)が存在しないとき、ナイフ部材(280)の発射を防止するように構成されている。
【0062】
図36Aは初期位置のエンドエフェクタ(240)を示す。初期位置では、ナイフ部材(280)の上部延伸部(290)は、フレーム部材(238)の係合機構(222、224)上に位置付けられている。また、初期位置では、ナイフ部材(280)の遠位先端(297)は、カートリッジ(340)の傾斜路(350)の上面に接触している。図36Bに示すように、ナイフ部材(280)が遠位方向に発射されると、ナイフ部材(280)の遠位先端(297)は、ビーム(330)の上面に継続して係合すると同時に、ナイフ部材(280)の遠位壁部(281)がスレッド(278)の近位端(276)に係合する。遠位先端(297)と傾斜路(350)の上面との係合は、ナイフ部材(280)の垂直位置を維持する。傾斜路(350)がナイフ部材(280)の垂直位置を維持するため、ナイフ部材(280)のタブ(298)は、フレーム部材(238)の係合機構(222、224)の上を遠位方向に並進し、タブ(298)は係合機構(222、224)の間に収まってナイフ部材(280)の遠位方向への動きを防止することない。ナイフ部材(280)が更に遠位方向に発射されると、ナイフ部材(280)は傾斜路(350)を破壊及び/又は切断しながら、ナイフ部材(280)は上述したように楔形スレッド(278)を遠位に駆動する(図36C)。ナイフ部材(280)が遠位方向に発射された後、ナイフ部材(280)は、下部つかみ具(250)内で近位方向に後退することができる(図36D)。操作者が2回目にナイフ部材(280)を発射しようとする場合、ナイフ部材(280)の垂直位置を維持する傾斜路(350)がないと、弾性部材(210)は、図23Bを参照して上述したように、また図36Eに示すように、弾性的にナイフ部材(280)を下方にロックアウト位置まで駆動することになる。
【0063】
D.バイパスタブを有する例示のカートリッジ
図37図41Eは、使用済みのカートリッジロックアウト機構を有する別の例示のカートリッジ(360)を示す。カートリッジ(360)はエンドエフェクタ(240)の中で、又は他のエンドエフェクタの中で容易に使用できることを理解されたい。本例のカートリッジ(360)は、以下で論じる相違点を除き、上で論じたカートリッジ(70、270)とほぼ同様に動作するように構成されている。カートリッジ(360)は、楔形スレッド(278)及びナイフ部材(280)を長手方向に並進することができる長手方向のチャネル(363)を有するカートリッジ本体(362)を含む。本例の使用済みのカートリッジロックアウト機構は、カートリッジ本体(362)のチャネル(363)の対向する内表面から延在する一対のタブ(370、372)を備える。カートリッジ本体(362)のチャネル(364)の内表面は、タブ(370、372)が枢動可能に配置された一対の矩形の凹部(364、366)を備える。タブ(370)は、矩形の凹部(364、366)内にリビングヒンジを介して枢動可能に固着されている。各タブ(370、372)は、タブ(370、372)が矩形の凹部(364、366)内に実質的に完全に配置されている、露出されていない位置と、タブ(370、372)がほぼ完全に矩形の凹部(364、366)の外側に配置され、かつチャネル(363)内に位置付けられている、カートリッジ本体(362)のチャネル(363)の各内表面に実質的に直交して配向された、露出された位置との間で枢動可能である。以下に詳細に論じるように、ナイフ部材(280)がチャネル(363)を通して遠位に発射されると、ナイフ部材(280)は、露出位置から露出されていない位置に向かってタブ(370、372)を駆動するように構成されている。タブ(370、372)は、一旦、露出されていない位置に駆動されると、露出されていない位置のままであるように構成されている。また、以下に詳細に論じるように、タブ(370、372)は、タブ(370、372)が露出位置にあるとき、ナイフ部材(280)の発射を可能にすると共に、タブ(370、372)が露出されていない位置にあるとき、ナイフ部材(280)の発射を防止するように構成されている。
【0064】
図41Aは初期位置のエンドエフェクタ(240)を示す。初期位置では、ナイフ部材(280)の上部延伸部(290)は、フレーム部材(238)の係合機構(222、224)上に位置付けられている。また、初期位置では、タブ(370、372)は露出位置にあり、ナイフ部材(280)の遠位先端(297)は、カートリッジ(360)のタブ(370、372)のうち一方又は両方の上面に接触している。図41Bに示すように、ナイフ部材(280)が遠位方向に発射されるにつれて、ナイフ部材(280)の遠位先端(297)は、タブ(370、372)のうち一方又は両方の上面に継続して係合すると共に、ナイフ部材(280)の遠位壁部(281)は、スレッド(278)の近位端(276)に係合する。遠位先端(297)とタブ(370、372)のうち一方又は両方との係合は、ナイフ部材(280)の垂直位置を維持する。タブ(370、372)のうち一方又は両方がナイフ部材(280)の垂直位置を維持するため、ナイフ部材(280)のタブ(298)は、フレーム部材(238)の係合機構(222、224)の上を遠位方向に並進し、タブ(298)は係合機構(222、224)の間に収まってナイフ部材(280)の遠位方向への動きを防止することない。ナイフ部材(280)が更に遠位方向に発射されると、ナイフ部材(280)はタブ(370、372)を露出されていない位置に駆動しながら、ナイフ部材(280)は上述したように楔形スレッド(278)を遠位方向に駆動する(図41C)。ナイフ部材(280)が遠位方向に発射された後、ナイフ部材(280)は、下部つかみ具(250)内で近位方向に後退することができる(図41D)。操作者が2回目にナイフ部材(280)を発射しようとする場合、タブ(370、372)は露出されていない位置にある状態で、タブ(370、372)は、もはやナイフ部材(280)の垂直位置を維持することなく、弾性部材(210)は、図23Bを参照して上述したように、また図41Eに示すように、弾性的に、ナイフ部材(280)を下方にロックアウト位置まで駆動することになる。
【0065】
E.バイパスフィンを有する例示のカートリッジ
図42及び図43は、使用済みのカートリッジロックアウト機構を有する別の例示のカートリッジ(460)を示す。カートリッジ(460)はエンドエフェクタ(240)の中で、又は他のエンドエフェクタの中で容易に使用できることを理解されたい。本例のカートリッジ(460)は、以下で論じる相違点を除き、上で論じたカートリッジ(70、270)とほぼ同様に動作するように構成されている。カートリッジ(460)は、楔形スレッド(278)及びナイフ部材(280)を長手方向に並進することができる長手方向のチャネル(467)を有するカートリッジ本体(466)を含む。本例の使用済みのカートリッジロックアウト機構は、カートリッジ本体(466)から上方かつ近位に延在する一対のフィン(462、464)を備える。フィン(462、464)間に画定された間隙(463)内には複数の剥離又は破断ピン(468)がある。フィン(462、464)間の間隙(463)は、ピン(468)が遠位方向に並進するナイフ部材(280)の経路内にあるように、カートリッジ(466)のチャネル(467)に整列している。以下に詳細に論じるように、ナイフ部材(280)がチャネル(467)及び間隙(463)を通して遠位に発射されると、ナイフ部材(280)はピン(468)を破壊及び/又は切断するように構成されている。また、以下に詳細に論じるように、ピン(468)は、ピン(468)が存在するとき、ナイフ部材(280)の発射を可能にすると共に、ピン(468)が存在しないとき、ナイフ部材(280)の発射を防止するように構成されている。
【0066】
図44A図45Bは、使用済みのカートリッジロックアウト機構を有する別の例示のカートリッジ(470)を示す。カートリッジ(470)はエンドエフェクタ(240)の中で、又は他のエンドエフェクタの中で容易に使用できることを理解されたい。本例のカートリッジ(470)は、以下で論じる相違点を除き、上で論じたカートリッジ(70、270)とほぼ同様に動作するように構成されている。カートリッジ(470)は、楔形スレッド(278)及びナイフ部材(280)を長手方向に並進することができる長手方向のチャネル(477)を有するカートリッジ本体(476)を含む。本例の使用済みのカートリッジロックアウト機構は、カートリッジ本体(476)から上方かつ近位に延在する一対の可鍛性のあるフィン(472、474)を備える。初期には、フィン(472、474)は、図44A及び図45Aに示すように閉鎖位置にある。閉鎖位置では、フィン(472、474)が遠位方向に並進するナイフ(280)の経路内にあるように、フィン(472、474)は、カートリッジ(476)のチャネル(477)に整列した面に沿ってそれぞれ他方と接触している。以下に詳細に論じるように、ナイフ部材(280)がチャネル(467)を通して遠位に発射されると、図44B及び図45Bに示すように、ナイフ部材(280)は、フィン(472、474)を外側に開放位置になるまで駆動するように構成されている。フィン(472、474)は、ナイフ部材(280)の発射によって開放位置に駆動されると、開放位置のままであるように構成されている。以下に詳細に論じるように、フィン(468)は、フィン(472、474)が閉鎖位置にあるとき、ナイフ部材(280)の発射を可能にすると共に、フィン(472、474)が開放位置にあるとき、ナイフ部材(280)の発射を防止するように構成されている。
【0067】
図46は初期位置のエンドエフェクタ(240)を示す。初期位置では、ナイフ部材(280)の上部延伸部(290)は、フレーム部材(238)の係合機構(222、224)の上に位置付けられている。また、初期位置では、ナイフ部材(280)の遠位突起(299)は、カートリッジ(460)のピン(468)、又はカートリッジ(470)のフィン(472、474)の上面に接触している。(本例では、カートリッジ(470)について論じられているが、カートリッジ(460)が代わりに使用され得ることを理解すべきである。)ナイフ部材(280)が遠位方向に発射されると、ナイフ部材(280)の遠位突起(299)は、ナイフ部材(280)の垂直位置を維持するようにピン(468)又はフィン(472、474)の上面に継続して係合する。ピン(468)又はフィン(472、474)がナイフ部材(280)の垂直位置を維持するため、ナイフ部材(280)のタブ(298)は、フレーム部材(238)の係合機構(222、224)の上を遠位方向に並進し、タブ(298)が係合機構(222、224)の間に収まってナイフ部材(280)の遠位方向への動きを防止することない。ナイフ部材(280)が更に遠位方向に発射されると、ナイフ部材(280)はピン(468)を破壊及び/又は切断するか、あるいはフィン(472、474)を外側に開放位置に駆動すると共に、ナイフ部材(280)は上述したように楔形スレッド(278)を遠位に駆動する。ナイフ部材(280)が遠位方向に発射された後、ナイフ部材(280)は、下部つかみ具(250)内で近位方向に後退することができる。操作者が2回目にナイフ部材(280)を発射しようとする場合、ナイフ部材(280)の垂直位置を維持するピン(468)又はフィン(472、474)がないと、図23Bを参照して上述したように、弾性部材(210)は弾性的に、ナイフ部材(280)を下方にロックアウト位置まで駆動することになる。
【0068】
IV.カートリッジの中の例示の永久ロックアウトバイパス機構
場合によっては、ナイフ部材(280)に、上述したフレーム部材(238)のロックアウト機構(222、224)をバイパスするのを可能にする他の機構を、ステープルカートリッジ(270)に付与し、それによって発射ビーム(282)及びナイフ部材(280)の連続的な発射(即ち、遠位への前進)を可能にし、結果としてアンビル(260)と下部つかみ具(250)との間に位置付けられた組織を切断及びステープル留めすることができることが所望され得る。例えば、かかる機構は、ナイフ部材(280)が、発射されると、上述したフレーム部材(238)のロックアウト機構に係合するのを防止することができる。以下の例には、エンドエフェクタ(240)などのエンドエフェクタと連結されるステープルカートリッジ(270)に容易に組み込むことができるロックアウトバイパス機構のいくつかの単なる例示の形態が含まれる。以下に論じる例では、楔形スレッド(278)を有する代わりに、ロックアウトバイパスが設けられる。以下に論じる例はまた永久的であり、使用済みのステープルカートリッジ(270)を通した発射ビーム(282)及びナイフ部材(280)の再発射を可能にする。
【0069】
A.突起部を有する例示のカートリッジ本体
図47図49Bは、ロックアウトバイパス機構を有する例示のステープルカートリッジ(400)を示す。カートリッジ(400)はエンドエフェクタ(240)の中で、又は他のエンドエフェクタの中で容易に使用できることを理解されたい。本例のカートリッジ(400)は、以下で論じる相違点を除き、上で論じたカートリッジ(70、270)とほぼ同様に動作するように構成されている。カートリッジ(400)は、楔形スレッド(278)及びナイフ部材(280)を長手方向に並進することができる長手方向のチャネル(408)を有するカートリッジ本体(402)を含む。本例のロックアウトバイパス機構は、カートリッジ本体(402)のチャネル(408)の対向する内表面から内側に延在する一対の内側に延在する突起部(404、406)を備える。突起部(404、406)は、ナイフ部材(280)が発射されると、ナイフ部材(280)の遠位先端(297)と係合するように構成されているが、突起部(404、406)は、ナイフ部材(280)がカートリッジ(400)のチャネル(408)を通して長手方向に並進するための十分なクリアランスを提供する。以下に詳細に論じるように、突起部(404、406)は、上述したフレーム部材(238)のロックアウト機構とのナイフ部材(280)の係合を防止することによってナイフ部材(280)の発射を可能にするように構成されている。
【0070】
図49Aは初期位置のエンドエフェクタ(240)を示す。初期位置では、ナイフ部材(280)の上部延伸部(290)は、フレーム部材(238)の係合機構(222、224)上に位置付けられている。ナイフ部材(280)が遠位方向に図49Bに示す位置まで発射されると、ナイフ部材(280)の遠位先端(297)は、突起部(404、406)の一方又は両方の上面と係合する。遠位先端(297)と突起部(404、406)の一方又は両方との係合は、ナイフ部材(280)の垂直位置を維持する。突起部(404、406)の一方又は両方がナイフ部材(280)の垂直位置を維持するため、弾性部材(210)がタブ(298)を係合機構(222、224)の間で下方に駆動して、ナイフ部材(280)の遠位方向への動きを防止することなく、ナイフ部材(280)のタブ(298)は、フレーム部材(238)の係合機構(222、224)の上を遠位方向に並進する。
【0071】
B.近位傾斜路を有する例示のカートリッジ
図50図53は、ロックアウトバイパス機構を有する別の例示のステープルカートリッジ(410)を示す。カートリッジ(410)はエンドエフェクタ(240)の中で、又は他のエンドエフェクタの中で容易に使用できることを理解されたい。本例のカートリッジ(410)は、以下で論じる相違点を除き、上で論じたカートリッジ(70、270)とほぼ同様に動作するように構成されている。本例のロックアウトバイパス機構は、カートリッジ(410)の近位端から近位方向に延在する弾性傾斜路(412)を備える。傾斜路(412)は、ナイフ部材(280)が遠位方向に発射されると、ナイフ部材(280)の傾斜壁部(211)及び/又はタブ(289)と係合するように構成されている。傾斜路(412)は、発射される際、上述したフレーム部材(238)のロックアウト機構とのナイフ部材(280)の係合を防止することによってナイフ部材(280)の発射を可能にするように構成されている。特に、図53に示すように、カートリッジ(410)が下部つかみ具(250)内に位置付けられた状態で、ナイフ部材(280)が発射されると、傾斜路(410)が閉鎖用リング(236)の開口部(235)を覆うと共に、ナイフ部材(280)の傾斜壁部(211)及び/又はタブ(289)と係合するように動作可能な表面を提供する。ナイフ部材(280)が遠位方向に発射されると、ナイフ部材(280)の傾斜壁部(211)及び/又はタブ(289)は、傾斜路(412)の上面と係合する。傾斜壁部(211)及び/又はタブ(289)と傾斜路(412)との間の係合は、ナイフ部材(280)の垂直位置を維持する。傾斜路(412)がナイフ部材(280)の垂直位置を維持するため、弾性部材(210)がタブ(298)を係合機構(222、224)の間で下方に駆動して、ナイフ部材(280)の遠位方向への動きを防止することなく、ナイフ部材(280)のタブ(298)は、フレーム部材(238)の係合機構(222、224)の上を遠位方向に並進する。
【0072】
また、カートリッジ(410)の変形例を他の種類の外科用ステープラに使用できることを理解されたい。ほんの一例として、カートリッジ(410)の変形例を、2008年6月3日に発行された「Surgical Stapling Instrument Having a Single Lockout Mechanism for Prevention of Firing」と題する米国特許第7,380,695号に開示された様々な外科用ステープラのいずれかに使用することができ、その開示内容を参照することにより本明細書に援用する。例えば、傾斜路(412)は、そのステープラの「発射バー14」の「中間ピン46」と係合することができるので、「中間ピン46」は傾斜路(412)の上面に沿って乗り通る。これにより、この参照文献に教示されたロックアウト組立体のバイパスが提供されるので、傾斜路(412)は、ロックアウトされずに、「発射バー14」が遠位方向に前進するのを可能にする。傾斜路(412)及び本明細書に記載された他のロックアウトバイパス機構を他のステープル留め器具に組み込むことができる様々なその他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0073】
C.例示のスナップフィットカバー
図54図56Bは別の例示のロックアウトバイパス機構を示す。本例のロックアウトバイパス機構は、スナップフィットカバー(420)を備える。カバー(420)は、ナイフ部材(280)が発射されると、ナイフ部材(280)のタブ(289)と係合するように構成されている。カバー(420)は、ナイフ部材(280)を発射する際、上述したフレーム部材(238)のロックアウト機構とのナイフ部材(280)の係合を防止することによってナイフ部材(280)の発射を可能にするように構成されている。特に、図56A及び図56Bに最もよく示されるように、カバー(420)は、カバ(420)の突起部(422)が閉鎖用リング(236)内を内側に延在するように、閉鎖用リング(236)の開口部(235)内に位置付けられているように構成されている。ナイフ部材(280)が遠位方向に発射されると、ナイフ部材(280)のタブ(289)は、カバー(420)の突起部(422)の上面と係合する。タブ(289)と突起部(422)との間の係合は、ナイフ部材(280)の垂直位置を維持する。突起部(422)がナイフ部材(280)の垂直位置を維持するため、弾性部材(210)がタブ(289)を係合機構(222、224)の間で下方に駆動して、ナイフ部材(280)の遠位方向への動きを防止することなく、ナイフ部材(280)のタブ(298)は、フレーム部材(238)の係合機構(222、224)の上を遠位方向に並進する。カバー(420)はエンドエフェクタ(240)の中で、又は他のエンドエフェクタの中で容易に使用できることを理解されたい。
【0074】
D.例示のスナップフィット傾斜路
図57及び図58は別の例示のロックアウトバイパス機構を示す。本例のロックアウトバイパス機構は、スナップフィット傾斜路(440)を備える。傾斜路(440)は、ナイフ部材(280)が発射されると、ナイフ部材(280)の傾斜壁部(211)及び/又はタブ(289)と係合するように構成されている。傾斜路(440)は、発射されると、上述したフレーム部材(238)のロックアウト機構とのナイフ部材(280)の係合を防止することによってナイフ部材(280)の発射を可能にするように構成されている。特に、図58に最もよく示されるように、傾斜路(440)は、傾斜路(440)が閉鎖用リング(236)内を内側に延在するように、閉鎖用リング(236)の開口部(235)内に位置付けられているように構成されている。傾斜路(440)の階段(442)は、開口部(235)の遠位縁部に係合し、ナイフ部材(280)の発射中、傾斜路(440)の位置を維持する。ナイフ部材(280)が遠位方向に発射されると、ナイフ部材(280)の傾斜壁部(211)及び/又はタブ(289)は、傾斜路(440)の上面と係合する。傾斜壁部(211)及び/又はタブ(289)と傾斜路(440)との間の係合は、ナイフ部材(280)の垂直位置を維持する。傾斜路(440)がナイフ部材(280)の垂直位置を維持するため、弾性部材(210)がタブ(298)を係合機構(222、224)の間で下方に駆動して、ナイフ部材(280)の遠位方向への動きを防止することなく、ナイフ部材(280)のタブ(298)は、フレーム部材(238)の係合機構(222、224)の上を遠位方向に並進する。傾斜路(440)はエンドエフェクタ(240)の中で、又は他のエンドエフェクタの中で容易に使用できることを理解されたい。
【0075】
V.間違ったエンドエフェクタでのステープルカートリッジの使用を防止する例示の機構
様々な外科用ステープル留め器具が購入可能であり、使用可能である。これらの様々な外科用ステープル留め器具は、異なるステープルカートリッジを用いることができる。場合によっては、操作者は、どのステープルカートリッジがどの外科用ステープル留め器具に対応するかをすぐに見分けるのが困難な場合がある。そのため、操作者は、ステープルカートリッジを間違った外科用ステープル留め装置に不用意に置き、使用しようとする場合がある。したがって、特定の一外科用ステープル留め器具に用いられることを意図するステープルカートリッジ機構が他の間違った外科用ステープル留め器具に用いられるのを防止する機構を提供することが所望され得る。例えば、かかる機構は、不適当なステープルカートリッジが挿入されるのを防止し、かつ/又は間違ったステープルカートリッジの存在下でナイフ部材若しくは発射ビームの発射を防止することができる。以下の例には、上述したカートリッジのいずれかに容易に導入できる機構のいくつかの単なる例示の形態が含まれる。
【0076】
A.「Eビーム」を有する例示のエンドエフェクタ
一部の外科用ステープル留め器具は、上述したナイフ部材(80、280)と発射ビーム(82、282)の組み合わせなどの構造を含む代わりに、「Eビーム」タイプのナイフ部材又は発射ビームを含む場合がある。かかるステープル留め器具(710)の例を、図59図69に示す。器具(710)は、エンドエフェクタ(740)の空隙部を制御するEビーム発射機構(「発射バー」)(714)を有するエンドエフェクタ(740)を備える。特に、下部つかみ具(716)及び枢動可能に並進可能なアンビル(760)は、効果的なステープル留め及び切断を保証する空隙部で維持されている。
【0077】
器具(710)は、シャフト組立体(722)に接続されたハンドル部分(720)を含み、シャフト組立体(722)は、エンドエフェクタ(740)の中で遠位方向に終端をなすシャフト(723)を備える。ハンドル部分(720)はピストル把持部(724)を含み、操作者が閉鎖トリガー(726)をピストル把持部(724)に向かって枢動させて引くことにより、エンドエフェクタ(740)の下部つかみ具(716)に向かうアンビル(760)のクランプ動作又は閉鎖動作が引き起こされる。発射トリガー(728)は、閉鎖トリガー(726)から外側寄りに更に離れており、かつ操作者によって旋回するように引き寄せられて、エンドエフェクタ(740)内にクランプされた組織をステープル留め及び切断する。閉鎖スリーブ(732)はフレーム(734)を囲い込み、次いでフレームは発射トリガー(728)によって位置付けられた発射駆動部材(736)を囲い込む。フレーム(734)はハンドル部分(720)をエンドエフェクタ(740)に接続する。図示するように、閉鎖スリーブ(732)が閉鎖トリガー(726)によって近位方向に引き戻されると、アンビル(760)はバネ機構によって開放され、下部つかみ具(716)から離れる方向に枢動し、閉鎖スリーブ(732)と共に近位方向に並進する。
【0078】
図60図62に示すように、発射バー(714)は、発射中エンドエフェクタ(740)の空隙部を制御する垂直に離間配置された3本のピン(738、744、746)を含む。特に、上部ピン(738)は、アンビル(760)と下部つかみ具(716)との間の枢軸近くのアンビルポケット(716)に入るように段階状である。アンビル(760)が閉鎖された状態で発射されると、上部ピン(738)は、アンビル(760)を通って遠位方向に延在する長手方向のアンビルスロット(742)内で遠位方向に前進する。アンビル(760)に軽微な上向きの撓みは、上部ピン(738)によって付与される下向きの力によって克服される。発射バー(714)はまた、最下部ピン、又は下部つかみ具(716)のチャネルスロット(745)と上側に係合する発射バーキャップ(744)を含み、それによって、アンビル(760)及び下部つかみ具(716)との間に過剰な組織がクランプされた場合は、上部ピン(738)と協働してこらを一緒に少し近接して引き込む。
【0079】
発射バー(714)は、カートリッジ(770)の下面かつ下部つかみ具(716)の上面に形成された発射駆動スロット(747)を通過する中間ピン(746)を更に含み、それによって、その中にステープルを打ち込む。中間ピン(746)は、下部つかみ具(716)に対して摺動することによって、エンドエフェクタ(740)がその遠位端で締め付けられて閉じられようとする傾向に抵抗する。発射バー(714)の上部及び中間ピン(738、746)間の遠位に提示される切断縁部(748)は、カートリッジ(770)中の近位に提示される垂直スロット(749)を通って横断し、クランプされた組織を切断する。下部つかみ具(716)及びアンビル(760)に対する発射バー(714)の確実な位置決めによって、確実に効果的な切断が実行される。
【0080】
器具(710)の例示の使用法を、図59図60及び図63図69に示す。図59及び図60では、器具(710)は、開始位置にあり、未発射で完全に搭載されたステープルカートリッジ(770)が下部つかみ具(716)の遠位端にスナップフィットされている。トリガー(726、728)の両方は前方にあり、エンドエフェクタ(740)は開放している。次に、操作者は、器具(710)を操作して、図63に示すように、ステープル留め及び切断される組織をステープルカートリッジ(770)とアンビル(760)との間に位置付ける。図64及び図65に示すように、操作者は、閉鎖トリガー(726)を、ピストル把持部(724)に直接隣接して位置付けられるまで、近位方向に動かす。アンビル(760)が閉鎖されクランプされた状態で、発射バー(714)は、エンドエフェクタ(740)を通して発射するために整列される。特に、上部ピン(738)はアンビルスロット(742)と整列し、下部つかみ具(716)は、中間ピン(746)及び発射バーキャップ(744)によってチャネルスロット(745)の周りに確実に係合される。
【0081】
図66及び図67に示すように、組織のクランプを行った後、操作者は発射トリガー(728)を近位方向に動かして、発射バー(714)をエンドエフェクタ740内へと遠位方向に動かすことができる。特に、中間ピン(746)が発射駆動スロット(747)を通してステープルカートリッジ(770)に入り込み、楔形スレッド(778)を介してアンビル(760)に向けたステープル(790)(図66及び図67には示されていない)の発射を実施する。最下部ピン、又は発射バーキャップ(744)は中間ピン(746)と協働して発射バー(714)の切断縁部(748)を摺動して位置付け、組織を切断する。2本のピン(744、746)はまた、発射バー(714)の上部ピン(738)をアンビル(760)の長手方向のアンビルスロット(742)内に位置付けし、それによって、遠位方向の発射の動き全体にわたってアンビル(760)と下部つかみ具(716)との間の空隙部を確実に維持する。
【0082】
図68及び図69を参照すると、操作者は、閉鎖トリガー(726)及びピストル把持部(724)に近接する位置が来るまで発射トリガー(728)を動かし続ける。これにより、アンビル(760)と係合した結果、ステープル(790)の端部がすべて折り曲げられる。発射バーキャップ(744)は、チャネルスロット(745)の遠位端に向かって突出している発射バーストップ(792)で止められる。切断縁部(748)は、組織を完全に横断してもよい。
【0083】
本例の器具(710)は、その開示内容が本明細書において参照により援用されている2008年6月3日に発行された「Surgical Stapling Instrument Having a Single Lockout Mechanism for Prevention of Firing」と題する米国特許第7,380,695号の教示の少なくとも一部にしたがって更に構築でき、かつ/又は動作可能であることを理解されたい。
【0084】
B.Eビームエンドエフェクタでのステープルカートリッジの使用を防止する例示のロックアウト
場合によっては、不適切なステープルカートリッジがエンドエフェクタ(740)内に挿入された場合に、器具(710)の発射バー(714)の発射を防止するロックアウト機構を提供することが所望され得る。したがって、ロックアウト機構は、器具(710)と共に使用することを意図しないステープルカートリッジに設けられ、それによって発射バー(714)の発射を防止することができる。
【0085】
図70図75は、ロックアウト機構を有する例示の代替的なカートリッジトレー(800)を示す。カートリッジトレー(800)は、エンドエフェクタ(740)にではなく、エンドエフェクタ(40、240)に使用されるのを意図するステープルカートリッジ(810)(図73)の中に組み込まれる。本例のカートリッジトレー(800)は、以下で論じる相違点を除き、上で論じたカートリッジトレー(76、276)とほぼ同様に動作するように構成されている。図70図72に最もよく示されるように、本例のカートリッジトレー(800)のロックアウト機構は、カートリッジトレー(800)のベースの上面の近位端から上方に延在する一対の剛性タブ(802、804)を備える。図73及び図74に示すように、カートリッジ本体(806)がカートリッジトレー(800)内に配置された状態で、タブ(802、804)はカートリッジ本体(806)の近位端に近接して位置付けられている。図75に示すように、カートリッジトレー(800)を有するカートリッジ(810)が下部つかみ具(716)内に挿入された場合に、発射バー(714)の遠位への発射を防止するように、タブ(802、804)は中間ピン(746)と係合するように構成されている。こうして、タブ(802、804)は、カートリッジ(810)がエンドエフェクタ(740)に使用されるのを防止する。しかし、タブ(802、804)が、カートリッジ(810)がエンドエフェクタ(40、240)に使用されるのを防止しない。エンドエフェクタ(40、240)は、動きがタブ(802、804)で遮断される移動部品を含まない。
【0086】
VI.例示の代替的なロックアウト機構
図76図80は、本明細書に記載したエンドエフェクタ(40、240)のいずれかの代わりに使用できる例示の代替的なエンドエフェクタ(1000)を示す。この例のエンドエフェクタ(1000)は、アンビル(1010)、ステープルカートリッジ(1012)、下部つかみ具(1020)、及びナイフ部材(1040)を備える。この例のアンビル(1010)は、上述のアンビル(60、260)と同一である。同様に、この例のステープルカートリッジ(1012)は、上述のステープルカートリッジ(70、270)と同一である。エンドエフェクタ(1000)は、エンドエフェクタ(40、240)の代わりに、器具(10)に容易に組み込むことができることを理解されたい。
【0087】
図76図77に最もよく示されるように、本例のナイフ部材(1040)は、以下に記載される相違点を除き、上述のナイフ部材(80、280)と実質的に同一である。この例のナイフ部材(1040)は、遠位切断縁部(1042)、遠位先端(1044)、下方に延在する突起(1046)、及び発射ビーム係合機構(1052)を含む。突起(1046)は、遠位向きのロックアウト表面(1048)を含み、これについては、以下により詳細に記載される。上方に延在するタブ(1050)は、突起(1046)の近位端に位置する。図79図80に最もよく示されるように、発射ビーム係合機構(1052)は、発射ビーム(1060)の補完的係合機構(1062)と連結するように構成されている。かかる連結は、溶接(例えば、スポット溶接など)、接着剤、及び/又は任意の他の好適な技法/機構/などを用いて固着され得る。また、発射ビーム(1060)及びナイフ部材(1040)の組み合わせが、発射ビーム(82、282)に対して上述した同じ機構及び技法を用いて遠位方向かつ近位方向に並進しうることも理解されたい。本明細書の教示を考慮することで、発射ビーム(1060)及びナイフ部材(1040)の組み合わせが遠位方向かつ近位方向に並進され得る他の好適な方法が、当業者には明らかであろう。
【0088】
図78は、本例の下部つかみ具(1020)をより詳細に示す。下部つかみ具(1020)は、以下に記載される相違点を除いて、上述の下部つかみ具(50、250)と実質的に同一である。図79図80に示すように、下部つかみ具(1020)は、ステープルカートリッジ(1012)を着脱可能に受容するように構成されている。下部つかみ具(1020)はまた、アンビル(1010)と枢動可能に連結されるので、アンビル(1010)は、上記他の例で記載したように、ステープルカートリッジ(1012)及び下部つかみ具(1020)の組み合わせに向かって、かつそれから離れて枢動するように動作可能である。図78に戻ると、本例の下部つかみ具(1020)は、近位スロット(1022)を含む。スロット(1022)の遠位端は、近位向きのロックアウト表面(1024)で終端をなす。以下により詳細に記載されるように、ナイフ部材(1040)のロックアウト表面(1048)は、ステープルカートリッジ(1012)が既に1回発射されたときか、あるいはステープルカートリッジ(1012)がなくなったとき、ロックアウト状態を提供するため、下部つかみ具(1020)のロックアウト表面(1024)と係合するように構成されている。
【0089】
図79は、発射状態に準備が整ったエンドエフェクタ(1000)を示す。特に、ステープルカートリッジ(1012)は下部つかみ具(1020)内に搭載され、アンビル(1010)は閉鎖位置にあり、またナイフ部材(1040)は近位位置にある。この状態では、ナイフ部材(1040)はまた上部位置にある。ナイフ部材(1040)は、ナイフ部材(1040)の一部が弾性部材(1080)の開口部(1084)内に配置されるように位置付けられている。この例の弾性部材(1080)は、上述の弾性部材(210)と同一である。この状態では、遠位端(1082)は、突起(1046)の上でタブ(1050)の遠位側に位置付けられている。弾性部材(1080)は、この状態では、ナイフ部材(1040)上に下方に弾性的に耐える。しかし、ナイフ部材(1040)の遠位先端(1044)は、ステープルカートリッジ(1012)内のスレッド(1014)の近位端において上向き表面と係合する。こうしてスレッド(1014)は、遠位先端(1044)と協働してナイフ部材(1040)の支持を提供し、弾性部材(1080)によってかけられる下向きの付勢力にかかわらず、ナイフ部材(1040)を上部位置に保持する。ナイフ部材(1040)のロックアウト表面(1048)は、この状態では、ロックアウト表面(1024)の垂直位置よりも高い垂直位置に位置することに留意されたい。この例のスレッド(1014)は、上述のスレッド(78、278)と実質的に同一である。
【0090】
発射ビーム(1060)及びナイフ部材(1040)は、図79に示す位置から遠位方向に前進され、エンドエフェクタ(1000)を作動し、それによってステープルをステープルカートリッジ(1012)から組織の中に打ち込み、組織を縁部(1042)で切断するので、スレッド(1014)は継続して遠位先端(1044)と協働してナイフ部材(1040)を支持する。こうしてナイフ部材(1040)は、図79に示す垂直な位置決めを維持しながら、ナイフ部材(1040)は近位位置から遠位位置に並進する。したがって、ナイフ部材(1040)のロックアウト表面(1048)が下部つかみ具(1020)のロックアウト表面(1024)の上を通過するので、ロックアウト表面(1048)は、スレッド(1014)がナイフ部材(1040)を支持する場合、ナイフ部材(1040)の遠位への並進中、ロックアウト表面(1024)と係合しないことを理解されたい。また、本例では、カートリッジ(1012)が下部つかみ具(1020)に適当に搭載され、カートリッジ(1012)がまだ発射されていない場合、スレッド(1014)が単にナイフ部材(1040)を支持するだけであることも理解されたい。
【0091】
カートリッジ(1012)が下部つかみ具(1020)に搭載されていない場合、ナイフ部材(1040)のロックアウト表面(1048)は、下部つかみ具(1020)のロックアウト表面(1024)と係合することになり、それによって、ナイフ部材(1040)の更なる遠位への並進を防止することにより効果的にナイフ部材(1040)を係止する。同様に、カートリッジ(1012)が発射された(あるいは部分的に発射された)後、操作者がナイフ部材(1040)を遠位に駆動しようとする場合には、ナイフ部材(1040)のロックアウト表面(1048)は、下部つかみ具(1020)のロックアウト表面(1024)と係合することになり、それによって、ナイフ部材(1040)の更なる遠位への並進を防止することにより効果的にナイフ部材(1040)を係止する。例えば、図80は、スレッド(1014)が図79のスレッド(1014)の位置に関して遠位に位置付けられている状態におけるエンドエフェクタ(1000)を示す。こうしてスレッド(1014)は、遠位先端(1044)から離間配置しているので、スレッド(1014)は、ナイフ部材(1040)を支持しないことになる。スレッド(1014)の支持がなければ、弾性部材(1080)は、ナイフ部材(1040)が遠位方向に前進されるように、ナイフ部材(1040)を下方に駆動する。これにより、ナイフ部材(1040)のロックアウト表面(1048)は、図80に示すように、下部つかみ具(1020)のロックアウト表面(1024)と係合することになる。表面(1048、1024)がこのように係合されると、ナイフ部材(1040)は、更に遠位方向には並進することができない。
【0092】
操作者は、続いてナイフ部材(1040)を図80に示す位置から近位方向に後退する場合、エンドエフェクタ(1000)内のカム機構は、ナイフ部材(1040)を上方に駆動でき、それによってナイフ部材(1040)及び弾性部材(1080)は図79に示す位置に戻る。これにより、操作者は、未発射のステープルカートリッジ(1012)をエンドエフェクタ(1000)内に搭載し、エンドエフェクタ(1000)を適切に作動することができる。
【0093】
上記から、下部つかみ具(1020)及びナイフ部材(1040)のロックアウト機構が、上述したフレーム部材(238)及びナイフ部材(280)のロックアウト機構の代用品として機能できることを理解されたい。また、図26図58を参照して上述した様々な種類のロックアウトバイパス機構も容易にエンドエフェクタ(1000)に組み込むことができ、あるいはその別の形でそれと組み合わせることができることも理解されたい。エンドエフェクタ(1000)が本明細書の他の教示と組み合わせることができる種々の適切な方法が、当業者には明らかであろう。
【0094】
VII.その他
本明細書で説明した教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上を、本明細書で説明される他の教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ以上と組み合わせることができることが理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、例などは、互いに対して分離して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な適当な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。かかる改変例及び変形例は、特許請求の範囲内に含まれるものとする。本明細書の様々な教示が、本明細書で引用される様々な参照文献の教示と容易に組み合わせられることも理解されたい。それに加えて、本明細書の様々な教示が、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、本願と同日出願された、「Method of Using Lockout Features for Surgical Stapler Cartridge」と題する米国特許出願第[代理人整理番号END7428USNP.0614271]号の教示と容易に組み合わせることができる。
【0095】
本明細書に参照により組み込まれると言及されたいかなる特許、刊行物、又は他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれた内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載された他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれることを認識されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれるものとするが、既存の定義、記載、又は本明細書に記載される他の開示文献と矛盾する任意の文献、又はそれらの部分は、援用文献と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれるものとする。
【0096】
上述の装置の変形例は、医療専門家によって行われる従来の治療及び処置での用途だけでなく、ロボット支援された治療及び処置での用途も有することができる。ほんの一例として、本明細書の様々な教示は、ロボットによる外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムに容易に組み込まれ得る。同様に、当業者には明らかとなることであるが、本明細書の様々な教示は、以下のいずれかの様々な教示と容易に組み合わされ得る。すなわち、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、1998年8月11日に発行された「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」と題する米国特許第5,792,135号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、1998年10月6日に発行された「Remote Center Positioning Device with Flexible Drive」と題する米国特許第5,817,084号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、1999年3月2日に発行された「Automated Endoscope System for Optimal Positioning」と題する米国特許第5,878,193号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2001年5月15日に発行された「Robotic Arm DLUS for Performing Surgical Tasks」と題する米国特許第6,231,565号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2004年8月31日に発行された「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」と題する米国特許第6,783,524号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2002年4月2日に発行された「Alignment of Master and Slave in a Minimally Invasive Surgical Apparatus」と題する米国特許第6,364,888号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2009年4月28日に発行された「Mechanical Actuator Interface System for Robotic Surgical Tools」と題する米国特許第7,524,320号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2010年4月6日に発行された「Platform Link Wrist Mechanism」と題する米国特許第7,691,098号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2010年10月5日に発行された「Repositioning and Reorientation of Master/Slave Relationship in Minimally Invasive Telesurgery」と題する米国特許第7,806,891号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2013年1月10日に公開された「Automated End Effector Component Reloading System for Use with a Robotic System」と題する米国公開特許公報第2013/0012957号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月9日に公開された「Robotically−Controlled Surgical Instrument with Force−Feedback Capabilities」と題する米国公開特許公報第2012/0199630号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2012年5月31日に公開された「Shiftable Drive Interface for Robotically−Controlled Surgical Tool」と題する米国公開特許公報第2012/0132450号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月9日に公開された「Surgical Stapling Instruments with Cam−Driven Staple Deployment Arrangements」と題する米国公開特許公報第2012/0199633号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月9日に公開された「Robotically−Controlled Motorized Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems Having Variable Actuation Speeds」と題する米国公開特許公報第2012/0199631号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月9日に公開された「Robotically−Controlled Surgical Instrument with Selectively Articulatable End Effector」と題する米国公開特許公報第2012/0199632号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月9日に公開された「Robotically−Controlled Surgical End Effector System」と題する米国公開特許公報第2012/0203247号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月23日に公開された「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題する米国公開特許公報第2012/0211546号、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2012年6月7日に公開された「Robotically−Controlled Cable−Based Surgical End Effectors」と題する米国特許公報第2012/0138660号、及び/又はその開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2012年8月16日に公開された「Robotically−Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」と題する米国公開特許公報第2012/0205421号、である。
【0097】
上述の装置の変形例は、1回の使用後に処分するように設計されることができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。いずれか又は両方の場合において、変形は、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整されることができる。再調整は、装置の分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立て工程の任意の組み合わせを含み得る。特に、装置のいくつかの形態は分解することができ、また、装置の任意の数の特定の部材又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換するか取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換に際して、装置の特定の形態を、再調整用の施設において、又は手術の直前に使用者により再組み立てしてその後の使用に供することができる。当業者であれば、装置の再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を使用できる点は認識するであろう。かかる技術、及び結果として得られる再調整された装置の使用は、すべて本発明の範囲内にある。
【0098】
ほんの一例として、本明細書に記載される各形態は、手術の前及び/又は後で滅菌されてもよい。1つの滅菌法では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなどの閉鎖かつ密封された容器に入れる。次いで、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過する放射線場に置くことができる。かかる放射線は、装置の表面及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器中で保管することができる。装置は、また、限定ではなく、β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気を含む、当該技術分野で公知の任意の別の技術を用いて滅菌され得る。
【0099】
以上、本発明の様々な実施形態を図示及び説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な改変により、本明細書に記載される方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、別の改変も当業者には明らかであろう。例えば、上記で論じた実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解されたい。
【0100】
〔実施の態様〕
(1) (a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するシャフト組立体と、
(c)前記シャフト組立体の遠位端に位置するエンドエフェクタと、を備える機器であって、前記エンドエフェクタは、
(i)切断部材であって、
(A)第1の垂直端と、
(B)ブレードと、
(C)前記第1の垂直端と前記ブレードとの間に垂直に位置付けられた、遠位に突出している機構と、を備える、切断部材と、
(ii)前記切断部材の遠位への前進を選択的に制限するように動作可能なロックアウト機構と、
(iii)つかみ具と、
(iv)前記つかみ具に挿入するために構成されたステープルカートリッジであって、
(A)複数の外科用ステープルと、
(B)前記切断部材の遠位への前進に反応して前記ステープルを組織内に打ち込むように動作可能な可動部材であって、前記遠位に突出している機構が前記可動部材と係合するように構成されている、可動部材と、を備える、ステープルカートリッジと、
(v)前記切断部材と係合し、それによって前記ロックアウト機構をバイパスするように構成されたロックアウトバイパス機構と、を備える、機器。
(2) 前記ロックアウトバイパス機構は、前記つかみ具と連結されたインサートを備える、実施態様1に記載の機器。
(3) 前記つかみ具は、横断開口部を画定し、前記インサートは、前記横断開口部に嵌まり込むように構成されたスナップフィットカバーを備える、実施態様2に記載の機器。
(4) 前記インサートが前記つかみ具に配置された傾斜路を備える、実施態様2に記載の機器。
(5) 前記ロックアウトバイパス機構が、前記切断部材の前記遠位に突出している機構と係合するように構成されている、実施態様1に記載の機器。
【0101】
(6) 前記ロックアウト機構が、
(A)前記切断部材と係合し、前記切断部材の遠位への前進を制限するように構成された遮断部分と、
(B)前記切断部材を付勢して前記遮断部分と係合させるように構成されている弾性部材と、を備える、実施態様1に記載の機器。
(7) 前記ロックアウトバイパス機構は、前記切断部材の遠位への前進中、前記弾性部材によって前記切断部材にかけられる負荷に耐えるように構成されている、実施態様6に記載の機器。
(8) 前記可動部材は、楔形スレッドを備え、前記楔形スレッドは、前記ステープルカートリッジ内を遠位に前進し、それによってステープルを前記ステープルカートリッジから打ち込むように動作可能である、実施態様1に記載の機器。
(9) 前記楔形スレッドは、前記ロックアウトバイパス機構の遠位に位置付けられている、実施態様8に記載の機器。
(10) 前記ロックアウトバイパス機構はビームを備え、前記切断部材は、前記切断部材が前記ステープルカートリッジを通って遠位に前進すると、前記ビームを切断又は破壊するように構成されている、実施態様1に記載の機器。
【0102】
(11) 前記ロックアウトバイパス機構はタブを備える、実施態様1に記載の機器。
(12) 前記タブは、前記ステープルカートリッジ内を枢動するように構成されており、前記切断部材は、前記切断部材が遠位へ前進すると前記タブをロックアウトバイパスモードから枢動モードに変換するよう動作可能であり、前記タブが前記枢動モードにある場合は、前記タブは、もはや前記ロックアウト機構のバイパスを提供するように構成されていない、実施態様11に記載の機器。
(13) 前記ロックアウトバイパス機構は、前記ステープルカートリッジから近位に延在する一対のフィンを備える、実施態様1に記載の機器。
(14) 前記ロックアウトバイパス機構は、前記フィン間に延在する少なくとも1つの破断ピンを更に備える、実施態様13に記載の機器。
(15) 前記ステープルカートリッジは、チャネルを備え、前記切断部材は、前記チャネルを通って遠位に前進するように構成されており、前記ロックアウトバイパス機構は、前記チャネル内を内側に延在する突起部を備える、実施態様1に記載の機器。
【0103】
(16) 前記遠位に突出している機構は、前記ブレードの遠位にある前記切断部材上の位置に位置している、実施態様1に記載の機器。
(17) 前記つかみ具は、近位に向いたロックアウト表面を含み、前記切断部材は、遠位に向いたロックアウト表面を備え、前記ロックアウト機構は、前記近位に向いたロックアウト表面及び前記遠位に向いたロックアウト表面によって部分的に形成されている、実施態様1に記載の機器。
(18) (a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するシャフト組立体と、
(c)前記シャフト組立体の遠位端に位置するエンドエフェクタと、を備える機器であって、前記エンドエフェクタは、
(i)切断部材と、
(ii)前記切断部材の遠位への前進を選択的に制限するように動作可能なロックアウト機構と、
(iii)横断開口部を画定するつかみ具と、
(iv)前記つかみ具に挿入するように構成されたステープルカートリッジであって、前記切断部材の遠位への前進に反応してステープルを組織内に打ち込むように動作可能である、ステープルカートリッジと、
(v)前記切断部材と係合し、それによって、前記ロックアウト機構をバイパスするように構成されたロックアウトバイパス機構であって、前記つかみ具の前記横断開口部内に配置されたインサートを備える、ロックアウトバイパス機構と、
を備える、機器。
(19) (a)本体と、
(b)前記本体内に配置された複数のステープルと、
(c)前記本体内に移動可能に配置されたドライバであって、前記本体から前記ステープルを打ち込むように動作可能である、ドライバと、
(d)前記本体に固着されたトレーであって、前記トレーは少なくとも1つの剛性タブを備える近位端を有し、前記少なくとも1つの剛性タブがステープル留め器具の切断部材の一部と係合するように寸法決めされ、かつ位置付けられており、それによって前記本体を通る前記切断部材の前進を防止する、トレーと、
を備える、ステープルカートリッジ。
(20) (a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するシャフト組立体と、
(c)前記シャフト組立体の前記遠位端に位置するエンドエフェクタと、を備える機器であって、前記エンドエフェクタは、
(i)遠位に前進するように動作可能である発射ビームと、
(ii)制限機構を有するつかみ具と、
(iii)前記発射ビームと係合し、それによって前記発射ビームの遠位への前進を阻止するように付勢された遮断部材と、
(iv)前記つかみ具に挿入するように構成されたステープルカートリッジであって、前記遮断部材の付勢力(bias)を克服し、それによって前記発射ビームの遠位への前進を可能にするように動作可能である機構を含む、ステープルカートリッジと、を備える、機器。
図1
図2
図3
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図5
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図7A
図7B
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図24A
図24B
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図25B
図25C
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図29C
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