(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電線接続部を側面視した場合に、前記底面の後端は、前記底面における前記折れ曲がり部よりも前側の部分の延長線上、または前記延長線よりも前記中心軸側に位置している
請求項1または2に記載の端子付き電線。
並列に並ぶ複数の圧着端子と、複数の前記圧着端子の並び方向に沿って延在する連結片と、前記圧着端子の一端と前記連結片とを繋ぐ繋ぎ部と、を有する端子連鎖体を供給する端子供給装置と、
前記端子供給装置によって供給される前記圧着端子を支持する支持面と、前記支持面の一端に設けられた第一のエッジ部とを有する第一金型と、
前記支持面と対向して配置され、かつ前記支持面に対して相対移動しながら前記支持面との間に前記圧着端子および電線を挟み込んで前記電線に対して前記圧着端子を圧着させる第二金型と、
前記第一金型に隣接して配置され、前記第一のエッジ部と対応する第二のエッジ部を有する端子切断体と、
を備え、
前記端子切断体は、前記第二金型の移動と同方向に前記第一金型に対して相対移動しながら前記第二のエッジ部によって前記第一のエッジ部と協働して前記繋ぎ部における前記圧着端子との境界を切断し、
前記圧着端子の幅方向と直交する断面において、前記支持面における前記第一のエッジ部側の端部は、前記第一のエッジ部へ向かうに従って前記第二金型側に向かうように直線状に傾斜している
ことを特徴とする端子圧着装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態に係る端子付き電線および端子圧着装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
[実施形態]
図1から
図29を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、端子付き電線および端子圧着装置に関する。
図1は、実施形態に係る圧着端子の圧着前の状態を示す斜視図、
図2は、実施形態に係る圧着端子の圧着前の状態を示す側面図、
図3は、実施形態に係る圧着端子の圧着後を示す斜視図である。
【0012】
まず、本実施形態に係る圧着端子1について説明する。
図1等に示す圧着端子1は、電線50に対して圧着される端子である。圧着端子1は、電線50と一体になった状態で相手側端子(図示略)に対して電気的に接続される。圧着対象の電線50は、端部の被覆52が取り除かれて芯線51が所定の長さ露出している。芯線51は、複数本の素線の集合体であってもよく、同軸ケーブルのような単線であってもよい。圧着端子1は、電線50の端部に圧着されることで、露出している芯線51に対して電気的に接続される。
【0013】
圧着端子1は、端子金具10および止水部材20を有する。端子金具10は、圧着端子1の主体部分である。端子金具10は、母材としての導電性の金属板(例えば銅板、銅合金板)から形成される。端子金具10は、母材に対する打ち抜き加工や折り曲げ加工等により、相手側端子や電線50との接続が可能な所定の形状に形成される。端子金具10は、端子接続部11および電線接続部12を有する。端子接続部11は、相手側端子に対して電気的に接続される部分である。電線接続部12は、電線50に対して圧着される部分であり、芯線51に対して電気的に接続される。
【0014】
端子接続部11と電線接続部12との間には、連結部13が設けられている。言い換えると、端子接続部11と電線接続部12とは連結部13を介して連結されている。連結部13は、端子接続部11の側壁11a,11aと、電線接続部12の側壁であるバレル片部15,16とを繋ぐ側壁13a,13aを有する。一方の側壁13aは、一方の側壁11aと第一バレル片部15とを繋ぎ、他方の側壁13aは、他方の側壁11aと第二バレル片部16とを繋ぐ。側壁13aの高さは、バレル片部15,16や側壁11aの高さよりも低くなっている。より詳しくは、側壁13aの高さは、端子接続部11から電線接続部12へ向かうに従って低くなっている。
【0015】
端子金具10は、雄端子であっても雌端子であってもよい。端子接続部11は、端子金具10が雄端子である場合、雄型に成型され、端子金具10が雌端子である場合、雌型に成型される。
【0016】
圧着端子1の説明において、相手側端子との接続方向、すなわち相手側端子との挿入方向を第一方向Lと称する。第一方向Lは、圧着端子1の長手方向である。圧着端子1の並列配置方向を第二方向Wと称する。並列配置方向は、後述するように端子連鎖体30において圧着端子1が並列配置される方向であり、圧着端子1の幅方向である。圧着端子1において、第一方向Lおよび第二方向Wの何れとも直交する方向を第三方向Hと称する。第三方向Hは、圧着端子1の高さ方向である。
【0017】
成型工程において、圧着端子1は、平板な板状に成型され、この状態から、端子接続部成形工程において、端子接続部11が
図1に示すように筒状に形成される。端子接続部成形工程では、端子接続部11に対する折り曲げ加工等がなされる。本実施形態の端子接続部11は、断面形状が矩形の筒形状に形成される。電線接続部12は、電線接続部成形工程において、断面形状がU字状となるように成型される。電線接続部成形工程では、電線接続部12に対する折り曲げ加工等がなされる。また、電線接続部12には、貼付工程において、止水部材20が貼付けられる。貼付工程は、電線接続部成形工程よりも前に実行されても、電線接続部成形工程の後で実行されてもよい。
【0018】
図1および
図6に示すように、電線接続部12は、底部14、第一バレル片部15、および第二バレル片部16を有する。底部14は、U字状に形成された電線接続部12の底壁となる部位である。底部14には、圧着加工の際に電線50の端部が載置される。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、U字状に形成された電線接続部12の側壁となる部位である。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、底部14における第二方向Wの端部につながっている。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、底部14の幅方向の端部から、幅方向と交差する方向に向けて突出している。U字状に形成された電線接続部12では、底部14に電線50の端部が載置されると、第一バレル片部15および第二バレル片部16が第二方向Wの両側から電線50を囲む。
【0019】
第一バレル片部15および第二バレル片部16は、底部14側の根元から先端15a,16aの端面までの長さが互いに等しくてもよく、一方の長さが他方の長さよりも長くてもよい。本実施形態の圧着端子1では、第一バレル片部15における根元から先端15aまでの長さよりも、第二バレル片部16における根元から先端16aまでの長さが長い。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、例えば、互いに重なり合いながら電線50に対して巻き付けられる。本実施形態では、第一バレル片部15の外側に第二バレル片部16が重なる。なお、第一バレル片部15および第二バレル片部16は、所謂Bクリンプと称する加締めがなされてもよい。Bクリンプでは、第一バレル片部15および第二バレル片部16のそれぞれが底部14側に向けて折り曲げられて先端15a,16aが電線50に向けて押しつけられるように加締められる。本実施形態の圧着端子1には、後述する止水部材20が設けられることから、前者の加締め処理が採用される。
【0020】
電線50の端部は、電線接続部12のU字の開口部、すなわち先端15a,16aの隙間からU字状の内側の空間に挿入される。電線接続部12は、電線50の端部が挿入されやすいように形成されている。具体的には、電線接続部12は、底部14側から先端15a,16aの端面へ向かうにつれて第一バレル片部15と第二バレル片部16との第二方向Wの間隔が広がっている。
【0021】
第一バレル片部15および第二バレル片部16は、
図2乃至
図6に示すように、芯線圧着部12Aと被覆圧着部12Bとの間に連結圧着部12Cが介在している。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、それぞれ圧着部12A,12C,12Bがこの順序で第一方向Lに沿って連続している一枚の片部である。
【0022】
芯線圧着部12Aは、電線50の先端の芯線51に対して圧着される部位である。芯線圧着部12Aは、各バレル片部15,16における最も連結部13寄りの部位である。被覆圧着部12Bは、被覆52の端部に対して圧着される部位である。被覆圧着部12Bは、各バレル片部15,16における最も連結部13側から遠い側に位置する部位である。連結圧着部12Cは、芯線圧着部12Aと被覆圧着部12Bとを繋ぐ部位である。連結圧着部12Cは、電線50における芯線51と被覆52との境界部分に対して圧着される。電線接続部12は、電線50に対して圧着されることで芯線51および被覆52を一体に覆う。電線接続部12が電線50に対して巻き付けられて圧着されることで、
図3、4等に示す端子付き電線2が作成される。
【0023】
図5および
図6に示すように、電線接続部12の内壁面、すなわち電線50を覆う側の壁面には、セレーション領域17が設けられている。セレーション領域17は、芯線51を保持する芯線保持領域である。セレーション領域17は、電線接続部12の内壁面において、芯線51に対して巻き付けられる部分を含む領域である。セレーション領域17には、複数の凹部、複数の凸部、または凹部と凸部の組み合わせが配置される。凹部や凸部は、電線接続部12と芯線51との接触面積を増やし、両者の密着強度を高める。本実施形態のセレーション領域17は、矩形の領域であり、第一方向Lの互いに異なる位置に複数の凹部17aが形成されている。
【0024】
ここで、芯線51と、芯線51に対して圧着された電線接続部12との間に水が浸入してしまうことは好ましくない。例えば、芯線51の金属材料と電線接続部12の金属材料とがイオン化傾向の大きさの異なるものである場合、腐食の可能性がある。一例として、芯線51の材料がアルミニウム、電線接続部12の材料が銅である場合、芯線51が腐食してしまう可能性がある。本実施形態の圧着端子1には止水部材20が設けられている。止水部材20は、電線接続部12と芯線51との間への水の浸入を抑制する。
【0025】
止水部材20は、例えば、アクリル系粘着剤等の粘着剤を主とするシート状に形成された部材である。本実施形態の止水部材20としては、シート状の不織布に粘着剤を染み込ませて形成された粘着シートであって、両面に粘着効果を有するものが用いられる。
【0026】
止水部材20は、例えば、
図5に示す平板状の電線接続部12の内壁面に対して貼り付けられる。止水部材20は、
図6に示すように、所定形状に形成されており、第一止水部21、第二止水部22、および第三止水部23を有する。第一止水部21は、圧着完了後に第一バレル片部15と第二バレル片部16とが重なり合う部分を止水する。つまり、第一止水部21は、互いに重なり合う第一バレル片部15と第二バレル片部16との間に挟み込まれてバレル片部15,16の間に止水領域を形成する。本実施形態の第一止水部21は、第二バレル片部16に配置されており、第一方向Lに沿って延在している。
【0027】
第二止水部22は、芯線51の先端よりも端子接続部11側を止水する。第二止水部22は、電線接続部12における端子接続部11側の端部に配置されており、第二方向Wに沿って延在している。第二止水部22の少なくとも一部は、芯線51が載置される領域に設けられることが望ましい。第二止水部22は、例えば、重なり合うバレル片部15,16の間に挟み込まれることにより、バレル片部15,16の隙間に止水領域を形成する。第二止水部22は、圧着工程において互いに重なり合うことにより、芯線51の先端よりも端子接続部11側の隙間を塞ぐこともできる。第二止水部22は、電線接続部12と芯線51との間への端子接続部11側からの浸水を抑制する。
【0028】
第三止水部23は、電線接続部12と被覆52との隙間からの水の浸入を抑制する。第三止水部23は、電線接続部12における端子接続部11側と反対側の端部に配置されており、第二方向Wに沿って延在している。第三止水部23は、被覆52と電線接続部12との間に挟み込まれることにより、被覆52と電線接続部12との間に止水領域を形成する。
【0029】
以上示した端子金具10は、母材となる一枚の金属板に対するプレス工程を経て、
図5に示す平板状の電線接続部12を有する形態に加工される。その後の貼付工程において、その平板状の電線接続部12に止水部材20が貼付される。しかる後、この端子金具10は、折り曲げ工程において、端子接続部11が形成され、かつ、U字状の電線接続部12が形成される。
【0030】
本実施形態では、プレス工程や折り曲げ工程によって、
図7に示す端子連鎖体30が形成される。端子連鎖体30は、複数の圧着端子1が連鎖したものであり、一枚の金属板から形成される。端子圧着装置100には、端子連鎖体30が供給される。端子圧着装置100は、端子連鎖体30に対して圧着工程および端子切断工程を実行する。圧着工程は、端子連鎖体30の圧着端子1を電線50に対して加締めて圧着させる工程である。端子切断工程は、電線50に対して加締められた圧着端子1を端子連鎖体30から切り離す工程である。
【0031】
端子連鎖体30は、圧着端子1の集合体である。端子連鎖体30は、連結片31、複数の圧着端子1、および複数の繋ぎ部32を有する。連結片31、圧着端子1、および繋ぎ部32は、同一の母材から形成されており、一体である。端子連鎖体30において、それぞれの圧着端子1は同一方向を向いており、かつ等間隔で並列に配置されている。端子連鎖体30では、各圧着端子1の一方の端部が連結片31によって互いに繋がれている。連結片31の形状は、例えば、矩形の細長い板状である。連結片31は、第二方向Wに沿って延在している。電線接続部12は、繋ぎ部32を介して連結片31とつながっている。より詳しくは、繋ぎ部32は、底部14における端子接続部11側とは反対側の端部を連結片31に繋いでいる。
【0032】
連結片31には、複数の端子送り孔31aが形成されている。端子送り孔31aは、端子連鎖体30の送り方向に沿って等間隔で配置されている。端子送り孔31aは、連結片31を板厚方向に貫通している貫通孔である。端子送り孔31aによって、後述する圧着装置102に対する圧着端子1の位置決めがなされる。端子連鎖体30は、リール状に巻き取られた状態で端子圧着装置100に対してセットされる。
【0033】
図8に示すように、端子圧着装置100は、端子供給装置101、圧着装置102、および駆動装置103を有する。端子圧着装置100は、この技術分野においてアプリケータと称される装置である。端子供給装置101は、所定の圧着位置に圧着端子1を供給する装置である。圧着装置102は、所定の圧着位置で電線50に対して圧着端子1を圧着する装置である。駆動装置103は、端子供給装置101および圧着装置102を動作させる装置である。
【0034】
端子供給装置101は、リール状に巻き取られている端子連鎖体30を外周側から順次引き出す。端子供給装置101は、引き出した端子連鎖体30の圧着端子1を先頭側から順に圧着位置に供給する。端子供給装置101は、先頭の圧着端子1が電線50に対して圧着され、かつ連結片31から切り離されると、新たに先頭となった圧着端子1を圧着位置に供給する。端子供給装置101は、一つの圧着端子1の圧着工程および端子切断工程が完了する毎に供給動作を行って次の圧着端子1を圧着位置に供給する。
【0035】
端子供給装置101は、端子送り部材101aおよび動力伝達機構101bを有する。端子送り部材101aは、連結片31の端子送り孔31aに挿入される突起部を有する。端子送り部材101aは、端子送り孔31aに突起部が挿入された状態で端子連鎖体30を送り方向に移動させる。動力伝達機構101bは、圧着装置102による圧着動作(後述するラム114A等の上下動)に連動して端子送り部材101aを動作させる。端子供給装置101は、圧着装置102の圧着動作に連動して、端子送り部材101aを上下方向および送り方向に移動させることによって圧着端子1を圧着位置に供給する。
【0036】
圧着装置102は、供給された圧着端子1を電線50に圧着させる圧着工程と、この圧着端子1を連結片31から切り離す端子切断工程とを実行する。圧着装置102は、圧着機110および端子切断機構120を有する。
【0037】
圧着機110は、圧着端子1を電線50の端部に加締めることにより、圧着端子1を電線50に圧着させる装置である。本実施形態の圧着機110は、圧着端子1の第一バレル片部15および第二バレル片部16を電線50の芯線51および被覆52に対して巻き付けるように加締めることで圧着端子1を電線50に圧着させる。圧着機110は、フレーム111、第一金型112、第二金型113、および動力伝達機構114を有する。
【0038】
フレーム111は、基台111A、アンビル支持体111B、伝達部支持体111C、および支持台111Dを有する。基台111Aは、端子圧着装置100の土台をなす部材である。基台111Aは、端子圧着装置100が載置される載置台に対して固定される。アンビル支持体111B、伝達部支持体111C、および支持台111Dは、基台111Aの上に固定される。
【0039】
伝達部支持体111Cは、アンビル支持体111Bに対して後方(
図8の紙面右方)かつ上方(
図8の紙面上方)に配置される。より具体的には、伝達部支持体111Cは、立設部111C
1およびラム支持部111C
2を有する。立設部111C
1は、アンビル支持体111Bの後方に配置されており、基台111Aから上方に向けて立設されている。ラム支持部111C
2は、立設部111C
1の上部に保持されている。ラム支持部111C
2は、後述するラム114Aを支持する支持部である。ラム支持部111C
2は、アンビル支持体111Bの上方に、アンビル支持体111Bとの間に所定の間隔をあけて配置されている。支持台111Dは、圧着端子1の端子接続部11を支持する台である。支持台111Dの上面の高さ位置は、第一金型112の上面の高さ位置と略同様の位置である。
【0040】
第一金型112と第二金型113とは対をなしている。第一金型112と第二金型113とは上下方向において間隔をあけて配置されている。第一金型112および第二金型113は、
図10に示すように圧着端子1および電線50を間に挟み込むことで、圧着端子1を電線50に対して圧着させる。第一金型112は、圧着端子1を下方から支持する金型である。第一金型112は、二つの下型が形成されたものであり、第一の下型としての第一アンビル112Aおよび第二の下型としての第二アンビル112Bを有する。第一アンビル112Aと第二アンビル112Bとは、例えば、一体に成形される。第二金型113は、第一金型112に対して上方に配置されている。第二金型113は、二つの上型が形成されたものであり、第一の上型としての第一クリンパ113Aおよび第二の上型としての第二クリンパ113Bを有する。
【0041】
第一アンビル112Aと第一クリンパ113Aとは上下方向において互いに対向している。第一アンビル112Aおよび第一クリンパ113Aは、芯線圧着部12Aを圧着させる。すなわち、第一アンビル112Aおよび第一クリンパ113Aは、その相互間の間隔を狭めていくことにより、U字状の芯線圧着部12Aを電線50の芯線51に対して巻き付け、芯線51に圧着させる。
【0042】
第二アンビル112Bと第二クリンパ113Bとは上下方向において互いに対向している。第二アンビル112Bおよび第二クリンパ113Bは、被覆圧着部12Bを圧着させる。すなわち、第二アンビル112Bおよび第二クリンパ113Bは、その相互間の間隔を狭めていくことによって、U字状の被覆圧着部12Bを被覆52に対して巻き付け、被覆52に圧着させる。
【0043】
駆動装置103は、動力を動力伝達機構114に伝えることによって、圧着工程では第一金型112と第二金型113との間隔を狭め、電線接続部12を電線50に対して圧着させる。一方、駆動装置103は、圧着工程が完了すると第一金型112と第二金型113との間隔を広げる。本実施形態の圧着装置102では、第二金型113が第一金型112に対して上下動することにより、一対の金型112,113の間隔が変化する。
【0044】
なお、第一金型112において、第一アンビル112Aと第二アンビル112Bとが別体とされ、第二金型113において第一クリンパ113Aと第二クリンパ113Bとが別体とされてもよい。この場合、駆動装置103および動力伝達機構114は、第一クリンパ113Aと第二クリンパ113Bとを別々に上下動させるように構成されてもよい。
【0045】
動力伝達機構114は、駆動装置103から出力された動力を第一クリンパ113Aおよび第二クリンパ113Bに伝達する。
図8に示すように、動力伝達機構114は、ラム114A、ラムボルト114B、およびシャンク114Cを有する。
【0046】
ラム114Aは、ラム支持部111C
2に対して上下動自在に支持された可動部材である。ラム114Aには、第二金型113が固定されている。このため、第一クリンパ113Aおよび第二クリンパ113Bは、ラム114Aと一体になってラム支持部111C
2に対して上下動する。ラム114Aの形状は、例えば、方体状である。ラム114Aには、雌ネジ部(図示略)が形成されている。その雌ネジ部は、ラム114Aの内方から上端面に向けて形成された上下方向の穴の内周面に形成されている。
【0047】
ラムボルト114Bは、雄ネジ部(図示略)を有し、この雄ネジ部がラム114Aの雌ネジ部に螺合されている。このため、ラムボルト114Bは、ラム114Aと一体になってラム支持部111C
2に対して上下動する。また、ラムボルト114Bは、その雄ネジ部の上方に配置されたボルト頭部114B
1を有する。ボルト頭部114B
1には、雌ネジ部(図示略)が形成されている。ボルト頭部114B
1の雌ネジ部は、ボルト頭部114B
1の内方から上端面に向けて形成された上下方向の穴の内周面に形成されている。
【0048】
シャンク114Cは、円柱状の中空部材であり、それぞれの端部に雄ネジ部114C
1と接続部(図示略)とを有する。シャンク114Cの雄ネジ部114C
1は、中空部材の下側に形成されており、ラムボルト114Bのボルト頭部114B
1の雌ネジ部に螺合されている。従って、シャンク114Cは、ラム114Aやラムボルト114Bと一体になってラム支持部111C
2に対して上下動する。シャンク114Cの接続部は、駆動装置103に接続される。
【0049】
駆動装置103は、駆動源(図示略)と、駆動源の駆動力を上下方向の動力に変換する動力変換機構(図示略)と、を有する。シャンク114Cの接続部は、その動力変換機構の出力軸に連結されている。従って、第一クリンパ113Aおよび第二クリンパ113Bは、駆動装置103の出力(動力変換機構の出力)によって、ラム114A、ラムボルト114B、およびシャンク114Cと一体になってラム支持部111C
2に対して上下動する。駆動装置103の駆動源としては、電動機などの電動アクチュエータ、油圧シリンダなどの油圧アクチュエータ、エアシリンダなどの空気圧アクチュエータ等が適用可能である。
【0050】
第一アンビル112Aに対する第一クリンパ113Aの上下方向における相対位置、および第二アンビル112Bに対する第二クリンパ113Bの上下方向における相対位置は、ボルト頭部114B
1の雌ネジ部とシャンク114Cの雄ネジ部114C
1のねじ込み量を調整することによって、変化させることができる。ナット114Dは、ラムボルト114Bの上方でシャンク114Cの雄ネジ部114C
1に螺合されている。従って、ナット114Dは、ボルト頭部114B
1の雌ネジ部と共に所謂ロックナットの機能を成す。ナット114Dは、上記の相対位置の調整完了後にラムボルト114B側へと締め付けられることによって、その相対位置に第一クリンパ113Aと第二クリンパ113Bを固定することができる。
【0051】
図10に示すように、第一アンビル112Aおよび第二アンビル112Bには、それぞれの上側の先端に、下方に向けて凹ませた凹状面112A
1,112B
1が形成されている。それぞれの凹状面112A
1,112B
1は、U字状の芯線圧着部12AとU字状の被覆圧着部12Bのそれぞれの底部14の形状に合わせて、断面形状が弧状となるように形成されている。この圧着機110においては、それぞれの凹状面112A
1,112B
1が圧着位置となる。底部14を下側にして供給されてきた圧着端子1は、芯線圧着部12Aの底部14が第一アンビル112Aの凹状面112A
1に載置され、被覆圧着部12Bの底部14が第二アンビル112Bの凹状面112B
1に載置される。第一金型112は、凹状面112A
1,112B
1を上方に露出させた状態でアンビル支持体111Bによって支持されている。
【0052】
図10に示すように、第一クリンパ113Aおよび第二クリンパ113Bには、それぞれに、上方に向けて凹ませた凹状部113A
1,113B
1が形成されている。各凹状部113A
1,113B
1は、第一アンビル112Aおよび第二アンビル112Bのそれぞれの凹状面112A
1,112B
1に対して上下方向で対向させて配置されている。各凹状部113A
1,113B
1は、第一及び第二の壁面115,116と、第三壁面117と、を有する。第一壁面115と第二壁面116とは第二方向Wにおいて互いに対向している。第三壁面117は、第一及び第二の壁面115,116の上端を繋いでいる。各凹状部113A
1,113B
1は、第一から第三の壁面115,116,117を第一バレル片部15および第二バレル片部16に接触させつつ、第一バレル片部15および第二バレル片部16を電線50の端部に巻き付けながら加締めていく。各凹状部113A
1,113B
1は、このような加締め動作を行えるように形成されている。
【0053】
圧着機110で圧着加工された圧着端子1は、端子切断機構120によって連結片31から切り離される。端子切断機構120は、圧着位置に供給された圧着端子1の繋ぎ部32を二つの端子切断部で挟み込んで切断するものであり、その切り離しを圧着工程の進行と連動して行う。
図8に示すように、端子切断機構120は、第二アンビル112Bの前側(
図8の紙面左側)に配置されている。端子切断機構120は、端子切断体121、押下部材122、および弾性部材123を備える。
【0054】
端子切断体121は、方体状に成形され、第二アンビル112Bの前面に沿って上下方向に摺動し得るように配置される。端子切断体121には、
図11および
図12に示すように、第二アンビル112Bとの摺接面121aから内方に向けてスリット121bが形成されている。スリット121bは、端子連鎖体30の連結片31の通路である。圧着対象の圧着端子1が圧着位置まで供給されてきた際に、この圧着端子1がスリット121bから突出する。圧着位置に供給された圧着端子1は、第一金型112によって下方から支持されている。
【0055】
端子切断体121は、第一金型112および圧着端子1に対して相対的に上下動しながら繋ぎ部32を切断する。ここでは、スリット121bへの連結片31等の挿入が可能な位置を端子切断体121の上下方向における初期位置とする。
図13に示すように、繋ぎ部32における電線接続部12側の端部は、スリット121bの摺接面121a側(つまり圧着端子1側)の開口に位置する。端子切断体121においては、その開口における上側のエッジ部(以下、「開口エッジ」という。)121cが一方の端子切断部として利用される。他方の端子切断部は、第二アンビル112Bの上面エッジ112aである。
【0056】
押下部材122は、ラム114Aに固定されており、ラム114Aと一体になって上下動する。押下部材122は、端子切断体121の上方に配置され、下降していって端子切断体121を押し下げる。押下部材122は、方体状に成形されている。弾性部材123は、端子切断体121に対して上方への付勢力を加えるものであり、バネ部材等からなる。この弾性部材123は、押下部材122からの押下力が解除されたときに、端子切断体121を上下方向における初期位置に戻す。
【0057】
この端子切断機構120においては、圧着加工時の第二金型113の下降と共に押下部材122が下降し、端子切断体121を押し下げる。端子切断体121が下降することによって、スリット121bの開口エッジ121cと第二アンビル112Bの上面エッジ112a(
図13)との間に繋ぎ部32が挟み込まれる。この端子切断機構120においては、開口エッジ121cと上面エッジ112aとが鋏の如き作用を為し、繋ぎ部32に対して剪断力を加える。端子切断体121が更に押し下げられることによって、開口エッジ121cと上面エッジ112aとが繋ぎ部32を切断し、圧着端子1を連結片31から切り離す。なお、切断性を高めるため、開口エッジ121cは、摺接面121a上で上面エッジ112aに対して傾斜させている。
【0058】
図13に示すように、圧着対象となる電線50は、端子切断体121と押下部材122との間における所定の位置に配置される。電線50は、具体的に、端子切断体121の上面121dに載置される。このため、端子切断体121の上部と押下部材122の下部の内の少なくとも一方には、その間で電線50が押し潰されないように、電線50の逃げのための空間が設けられている。
【0059】
ここで、所定の位置とは、圧着加工前の電線50の端部を平板状の電線接続部12の底部14の上方に存在させる位置である。また、所定の位置は、圧着加工の開始と共に押し下げられた芯線51の先端が芯線圧着部12Aからはみ出さないように、この芯線51を芯線圧着部12Aの底部14に載置させることが可能な位置のことである。芯線51が圧着加工に伴って軸線方向に伸び、芯線51の先端位置が軸線方向に沿って移動することがある。所定の位置は、その伸びも考慮に入れて決めることが望ましい。
【0060】
一方、電線50は、その端部(先端の芯線51や被覆52)が第二金型113で電線接続部12の内壁面側に押し下げられる。このため、何ら保持されていないと、端子切断体121の上面121dから電線50が浮き上がり、先端の芯線51や被覆52が電線接続部12の底部14に載置されていない状態で圧着されてしまう虞がある。このため、本実施形態の端子圧着装置100には、端子切断体121の上部との間で電線50を所定の位置に保持し、圧着加工中における電線接続部12に対する電線50の端部の位置ズレを抑える電線保持機構が設けられている。
【0061】
電線保持機構は、電線載置部としての端子切断体121の上面121dに載置された電線50を当該上面121dに向けて押さえ付けて保持する電線押さえ118を備える(
図13)。電線押さえ118は、端子切断体121の上方で、かつ、第二金型113と押下部材122との間に配置される。端子切断体121の上面121dと電線押さえ118の下面との間には、電線50の被覆52を保持する空間(以下、「電線保持空間」という。)118Aが形成される。電線押さえ118は、例えば、ラム114Aに固定され、このラム114Aと一体になって上下動する。電線50は、電線押さえ118の下降と共に形成された電線保持空間118Aに保持される。
【0062】
本実施形態の端子圧着装置100は、サポーティングストッパー119を有する。サポーティングストッパー119は、圧着工程において圧着端子1の端子接続部11を支持する。サポーティングストッパー119は、第三方向Hにおいて端子接続部11と対向する位置に配置されている。サポーティングストッパー119は、ラム114Aによって支持されており、ラム114Aと一体になって移動する部材である。サポーティングストッパー119は、ラム114Aの下降と連動して下降し、端子接続部11に対して上方から覆い被さる。端子接続部11に覆い被さったサポーティングストッパー119は、端子接続部11を支持し、端子接続部11のローリングやツイストなどの動きを抑制する。ここで、ローリングとは、第一方向Lに沿った軸を中心とする回転の動きであり、ツイストとは、第一方向Lに対して傾く動きである。
【0063】
上記のように、本実施形態に係る端子圧着装置100は、電線50に対して電線接続部12を圧着させ、かつ圧着端子1を端子連鎖体30から切断する。ここで、端子連鎖体30から切り離された圧着端子1において、
図14に示すように繋ぎ部32の一部であるカットオフ32aが残されていると、以下に説明するような問題が生じることがある。圧着端子1が電線50に対して圧着される際に、電線接続部12は第一方向Lに沿って伸びる。電線接続部12が伸びることに加えて、カットオフ32aが電線接続部12に残されていることで、端子収容部からカットオフ32aが飛び出してしまう可能性がある。端子収容部は、例えば、電気接続箱等に形成されたキャビティである。圧着端子1が端子収容部に収容された状態でカットオフ32aが端子収容部から飛び出していることは望ましくない。
【0064】
本実施形態の端子圧着装置100は、繋ぎ部32における圧着端子1との境界を切断するように構成されている。端子圧着装置100の端子切断機構120は、
図15に示すようにカットオフ32aを実質的に0とするように圧着端子1を切り離す。これにより、端子収容部からカットオフ32aが飛び出してしまうことが抑制される。更に、本実施形態の端子圧着装置100の第二金型113は、以下に説明するように、電線接続部12の加締め残りをなくすことができるように構成されている。
【0065】
まず、
図16を参照して、端子切断機構120について説明する。第一金型112の上面エッジ112aは、圧着端子1を支持する支持面としての凹状面112B
1に設けられている。上面エッジ112aは、凹状面112B
1における端子切断体121側の端部に設けられたエッジ部である。端子切断体121の開口エッジ121cは、スリット121bにおける第一金型112側の端部に設けられたエッジ部である。上面エッジ112aおよび開口エッジ121cは、繋ぎ部32における圧着端子1との境界32bを切断する。
【0066】
端子供給装置101は、繋ぎ部32を切断する端子切断工程において境界32bを切断することができるように、繋ぎ部32の境界32bが上面エッジ112aおよび開口エッジ121cと第三方向Hにおいて対向する位置に端子連鎖体30を供給する。つまり、本実施形態における圧着位置は、境界32bが上面エッジ112aと開口エッジ121cとの間にある位置である。なお、圧着工程における電線接続部12の伸び代を考慮して、圧着位置が定められてもよい。すなわち、電線接続部12が伸びた結果として、端子切断工程が実行されるときの境界32bの位置が開口エッジ121cと対向する位置となるように圧着位置が定められてもよい。
【0067】
端子切断工程において第二金型113の下降と連動して端子切断体121が下降していくと、開口エッジ121cは上側から境界32bに当接する。開口エッジ121cは、第二金型113の下降と連動して下降しながら、上面エッジ112aと共に境界32bを切断する。開口エッジ121cは、上面エッジ112aと協働して境界32bに対して剪断力を加えて境界32bを切断する。
【0068】
図17乃至
図19を参照して、第二金型113について説明する。
図17乃至
図19に示すように、第二金型113は、本体113Mと、第一壁部113Cと、第二壁部113Dとを有する。なお、本明細書では、第一壁部113Cおよび第二壁部113Dをまとめて「一対の壁部113C,113D」と称することがある。本体113Mは、第二金型113の主体部分であり、矩形の平板状の構成部である。第一壁部113Cおよび第二壁部113Dは、本体113Mから突出している。端子圧着装置100に装着された状態において、第一壁部113Cおよび第二壁部113Dは、第一金型112側に向けて、すなわち下方に向けて突出している。
図19に示すように、第一壁部113Cおよび第二壁部113Dは、第二方向Wにおいて互いに対向している。つまり、一対の壁部113C,113Dは、端子連鎖体30における圧着端子1の並び方向において互いに対向している。
図10を参照して説明したように、一対の壁部113C,113Dは、圧着工程において圧着端子1の電線接続部12に接触して電線接続部12を折り曲げる。
【0069】
一対の壁部113C,113Dは、それぞれ基端部113C
1,113D
1および裾部113C
2,113D
2を有する。基端部113C
1,113D
1は、一対の壁部113C,113Dにおける本体113M側の部分である。裾部113C
2,113D
2は、一対の壁部113C,113Dにおける基端部113C
1,113D
1よりも先端側の部分である。裾部113C
2,113D
2は、基端部113C
1,113D
1よりも板厚が薄くされている。この板厚の変化に対応して、第二金型113の前面113Sには、基端部113C
1,113D
1から裾部113C
2,113D
2にかけて段差が形成されている。なお、前面113Sは、端子切断体121側の面である。
【0070】
より詳しくは、一対の壁部113C,113Dには、基端部113C
1,113D
1と裾部113C
2,113D
2とを繋ぐ中間部113C
3,113D
3が設けられている。中間部113C
3,113D
3は、基端部113C
1,113D
1から裾部113C
2,113D
2へ向かうに従って板厚が薄くなる。この板厚の変化に応じて、前面113Sにおける中間部113C
3,113D
3に対応する部分は傾斜面113C
4,113D
4となっている。傾斜面113C
4,113D
4は、斜め下方を向くように傾斜している。
【0071】
図16を参照して、本実施形態の端子圧着装置100の各部位について、第一方向Lにおける位置関係を説明する。
図16に示すように、第一方向Lにおける繋ぎ部32の境界32bの位置は、上面エッジ112aの位置と同じである。従って、上面エッジ112aは、端子切断工程において境界32bに対して下方から接触する。第一方向Lにおける開口エッジ121cの位置は、繋ぎ部32の境界32bの位置と同じ位置、または境界32bよりもわずかに連結片31側の位置である。開口エッジ121cは、端子切断工程において境界32bに対して上方から接触する。
【0072】
第二金型113の各部位と第一金型112や端子切断体121の各部位との位置関係について説明する。なお、
図16には、一対の壁部113C,113Dのうち第一壁部113Cについて第一金型112や端子切断体121との位置関係が図示されているが、第二壁部113Dについても第一壁部113Cと同様の位置関係を有している。
【0073】
第二金型113の本体113Mおよび第一壁部113Cの基端部113C
1は、上面エッジ112aよりも端子切断体121側に向けて突出している。つまり、本体113Mおよび基端部113C
1は、凹状面112B
1が存在する範囲よりも端子切断体121側に向けて張り出している。言い換えると、第三壁面117および基端部113C
1の第一壁面115は、それぞれ上面エッジ112aよりも端子切断体121側に向けて張り出している。
【0074】
本体113Mおよび基端部113C
1は、例えば、少なくとも開口エッジ121cの位置まで端子切断体121側へ向けて突出していてもよい。あるいは、本体113Mおよび基端部113C
1は、開口エッジ121cの位置を超えて端子切断体121側へ向けて突出していてもよい。本実施形態では、
図16に示すように、本体113Mおよび基端部113C
1が、開口エッジ121cの位置を超えて端子切断体121側へ向けて突出している。
【0075】
端子切断体121側へ向けての突出量は、例えば、圧着工程における圧着端子1の伸び量に応じて定められる。本実施形態の端子圧着装置100は、圧着工程と並行して端子切断工程を行う。端子圧着装置100は、端子切断工程において繋ぎ部32を切断した後も電線50に対する電線接続部12の圧着を行う。端子切断工程が完了した後も電線接続部12が第一方向Lに沿って伸びることで、電線接続部12の端部が凹状面112B
1から端子切断体121側に飛び出すことが考えられる。本実施形態のように電線接続部12との境界32bにおいて繋ぎ部32が切断される場合、電線接続部12が凹状面112B
1から端子切断体121側にはみ出しやすくなると考えられる。電線接続部12の伸びに対して第二金型113が対応できていないと、電線接続部12の加締め残りが生じてしまう可能性がある。
【0076】
これに対して、本実施形態の第二金型113では、本体113Mおよび基端部113C
1が上面エッジ112aよりも端子切断体121側に向けて突出している。なお、
図16には図示されていないが、第二壁部113Dの基端部113D
1も、基端部113C
1と同様に上面エッジ112aよりも端子切断体121側に向けて突出している。従って、圧着工程において電線接続部12が端子切断体121側に向けて凹状面112B
1からはみ出したとしても、そのはみ出した部分が第二金型113によって電線50に対して圧着される。これにより、電線接続部12の加締め残りをなくすことが可能となっている。
【0077】
また、
図16に示すように、第二金型113の裾部113C
2は、上面エッジ112aよりも第一金型112側に位置している。言い換えると、裾部113C
2は、上面エッジ112aよりも端子切断体121側へは突出していない。同様に、第二壁部113Dの裾部113D
2は、上面エッジ112aよりも第一金型112側に位置している。第二金型113の裾部113C
2,113D
2が上面エッジ112aよりも第一金型112側にあることで、第二金型113と端子切断体121との干渉が発生しないようにされている。
【0078】
裾部113C
2,113D
2が設けられる範囲は、端子切断体121と第二金型113とが相対移動しても両者が干渉しないように定められている。本実施形態の端子圧着装置100では、第二金型113が下降を開始する初期には、端子切断体121は停止したままであり、端子切断体121に対して第二金型113が下方に向けて相対移動する。第二金型113の下降距離が所定距離以上となると、端子切断体121が第二金型113の下降と連動して下降し始める。裾部113C
2,113D
2は、下降初期における端子切断体121に対する第二金型113の相対移動の距離に応じた範囲に設けられている。すなわち、端子切断体121に対して第二金型113が相対移動する期間において第二金型113が端子切断体121に衝突しないように、裾部113C
2,113D
2の設置範囲が定められている。
【0079】
このように、本実施形態の端子圧着装置100は、繋ぎ部32の境界32bを切断することができると共に、第二金型113と端子切断体121とを干渉させることなく電線接続部12の加締め残りをなくすことができる。
【0080】
更に、本実施形態の端子圧着装置100では、以下に説明するように、加締め後の圧着端子1と端子収容部との干渉を抑制できるように第一金型112が構成されている。
図20に示すように、本実施形態の第一金型112は、第一方向Lに対して傾斜した傾斜部112sを有する。傾斜部112sは、第一方向Lに沿って上面エッジ112aへ近づくに従って上方へ向かうように傾斜している。本実施形態の傾斜部112sは、第二アンビル112Bに形成されている。
図20に示すように、第二アンビル112Bの上端は、破線で示す仮想平面S1に対して傾斜している。仮想平面S1は、第一方向Lと平行でかつ第三方向Hと直交する平面である。一方、第一アンビル112Aの上端は、仮想平面S1に沿って延在しており、仮想平面S1に対して傾斜していない。
【0081】
図21には、第二アンビル112Bの正面図が示されている。
図21は、
図20のXXI矢視図である。
図22には、
図21のXXII−XXII断面が示されている。
図22に示すように、第二アンビル112Bの凹状面112B
1は、仮想平面S1に対して傾斜している。凹状面112B
1は、第一方向Lに沿って上面エッジ112aへ向かうに従って第二金型113側に向かうように傾斜している。一方、第一アンビル112Aの凹状面112A
1は、仮想平面S1に沿って延在している。つまり、
図22に示す断面、言い換えると第二方向Wと直交する断面において、凹状面112B
1は第一方向Lに対して傾斜しており、凹状面112A
1は第一方向Lと平行である。以下の説明において、第二方向Wと直交する断面を「縦断面」と称する。縦断面は、第一方向Lおよび第三方向Hのそれぞれと平行な断面である。
【0082】
本実施形態の凹状面112B
1について更に説明する。縦断面における凹状面112B
1の形状は、第一方向Lに対する傾斜角度θが一定の直線である。凹状面112B
1は、第二アンビル112Bにおける第一方向Lの一端から他端まで設けられている。すなわち、凹状面112B
1の全体が第一方向Lに対して傾斜している。
【0083】
このように凹状面112B
1が第一方向Lに対して傾斜していることで、以下に説明するように、圧着端子1に望ましくない突出部が生じにくくなる。
図23には、端子切断工程が実行された直後の圧着端子1、第一金型112、および第二金型113が示されている。端子切断工程によって圧着端子1から繋ぎ部32が切り離された後も、第二金型113によって電線接続部12が第一金型112に向けて押圧される。第二金型113から受ける押圧力F1によって、電線接続部12には、第一方向Lに沿って伸びようとする力F2が発生する。力F2により電線接続部12が伸びることで、
図24に示すように電線接続部12の後端部12Rが第一金型112からはみ出す。
【0084】
なお、圧着端子1において、「前側」とは圧着端子1の軸方向における連結圧着部12Cから見た芯線圧着部12A側である。一方、圧着端子1における「後側」とは、圧着端子1の軸方向における連結圧着部12Cから見た被覆圧着部12B側である。つまり、圧着端子1の後側は、第一方向Lにおいて、繋ぎ部32とつながっていた側である。なお、本明細書における前後方向は、説明のための便宜的なものであり、圧着端子1が車両等に搭載された状態での方向とは必ずしも一致しない。例えば、圧着端子1は、軸方向が上下方向となる姿勢で用いられることもある。
【0085】
電線接続部12には、伸び方向の力F2だけでなく、下方に向かう力F3も作用する。凹状面112B
1によって支持されていない後端部12Rに対して、下方に向かう力F3が作用すると、後端部12Rに望ましくない変形が生じやすい。具体的には、電線接続部の後端部に
図29に示すような突出部48Bが生じやすい。
図29には、比較例の端子付き電線41が示されている。比較例の端子付き電線41において、電線50に対する圧着端子40の圧着は、傾斜部112sを有していない第一金型を用いてなされている。言い換えると、圧着端子40の電線接続部42は、凹状面が第一の方向Lと平行である第一金型によって加締められている。
【0086】
図29に示すように、電線接続部42の後端には、突出部48Bが形成されている。突出部48Bは、電線接続部42の底面48における後端部である。突出部48Bは、底面48における前側の部分48Aの延長線から下側に向けて突出している。突出部48Bは、後端へ向かうに従って電線接続部42の中心軸C1から離れる傾斜面である。突出部48Bは、圧着端子40が端子収容部に収容される際に端子収容部の壁部と干渉しやすく、圧着端子40の収容を困難とする可能性がある。
【0087】
これに対して、本実施形態の端子付き電線2では、突出部の発生が抑制される。
図25に示すように、電線接続部12には、底面18を中心軸C1側に向けて凹ませる力F4が作用する。力F4は、底面18が凹状面112B
1から受ける反力である。底面18は、凹状面112B
1によって支持される部分18Aが第一方向Lに対して傾斜するように折り曲げられる。以下の説明では、凹状面112B
1によって支持される部分18Aを「被支持部18A」と称する。被支持部18Aは、後側へ向かうに従って中心軸C1へ近づくように力F4によって傾斜させられる。
【0088】
底面18のうち、後端部12Rに対応する部分18B(以下、単に「後端部18B」と称する。)は、下方に向かう力F3によって下側に向けて変形する。被支持部18Aを傾斜させる変形および底面18の後端部18Bの変形により、圧着後の電線接続部12には、
図26に示す凹部18Cが形成される。凹部18Cは、底面18における後端部である。凹部18Cは、電線接続部12の中心軸C1に向けて凹んでいる。より詳しくは、凹部18Cは、
図26および
図27に示すように、第一傾斜面18Dおよび第二傾斜面18Eを有する。第一傾斜面18Dは、凹部18Cにおける前側の部分である。第一傾斜面18Dは、後側へ向かうに従って中心軸C1側に近づく傾斜面である。第二傾斜面18Eは、凹部18Cにおける後側の部分である。第二傾斜面18Eは、後側へ向かうに従って中心軸C1から離れる傾斜面である。
【0089】
底面18には、第一傾斜面18Dが形成されることに対応して折れ曲がり部18Gが形成される。折れ曲がり部18Gは、底面18の後端18Rを中心軸C1に向けて近づける側に折れ曲がった部分である。底面18は、折れ曲がり部18Gにおいて、中心軸C1から遠ざかる側に凸となる凸形状に折れ曲がっている。折れ曲がり部18Gの折れ線は、第二方向Wに延在している。つまり、底面18は、第二方向Wに延在する折れ線に沿って屈曲している。
【0090】
図28には、第一傾斜面18Dの断面形状が示されている。
図28は、
図27のXXVIII−XXVIII断面図であり、第一方向Lと直交する断面図である。以下の説明において、第一方向Lと直交する断面を「横断面」と称する。横断面は、電線接続部12の中心軸C1と直交する断面でもある。第一傾斜面18Dの断面形状は、
図28に示すように、外側に向けて湾曲した湾曲形状である。言い換えると、横断面における第一傾斜面18Dの断面形状は、中心軸C1から遠ざかる方向に向けて湾曲した形状である。第一傾斜面18Dの断面形状は、凹状面112B
1の断面形状に対応している。つまり、圧着工程において、凹状面112B
1の形状が底面18に転写される。横断面における第二傾斜面18Eの断面形状は、第一傾斜面18Dの断面形状と同様に、中心軸C1から遠ざかる方向に向けて湾曲した形状である。つまり、本実施形態の凹部18Cでは、断面形状が湾曲形状である二つの凸面がつながっている。
【0091】
本実施形態の圧着装置102は、圧着後に第二傾斜面18Eが仮想平面S2(
図27)から突出しないように圧着端子1を電線50に圧着することができる。
図27に示すように、圧着後の圧着端子1を側面視した場合に、底面18の後端18Rは、実質的に仮想平面S2上に位置する。仮想平面S2は、底面18における凹部18Cよりも前側の部分18Fと接する平面である。仮想平面S2は、第三方向Hと直交する平面であり、前側の部分18Fの下端に接している面である。つまり、圧着端子1を側面視した場合に、底面18の後端18Rは、前側の部分18Fの下端の延長線上に位置し、または実質的に延長線上に位置している。よって、本実施形態の端子付き電線2では、比較例の端子付き電線41のような突出部48Bが形成されにくい。従って、本実施形態の端子付き電線2では、端子収容部に圧着端子1が収容される際に、電線接続部12と端子収容部との干渉が生じにくい。
【0092】
なお、圧着装置102は、圧着後に後端18Rが仮想平面S2よりも中心軸C1側に位置するように底面18を折り曲げてもよい。圧着後の後端18Rの位置は、例えば、折れ曲がり部18Gが形成される位置や傾斜角度θによって調整される。
【0093】
本実施形態の端子付き電線2では、凹部18Cは、被覆圧着部12Bの底面18に形成されている。より詳しくは、凹部18Cは、被覆圧着部12Bの前端から後端までの範囲に形成されている。言い換えるならば、凹部18Cは、第一方向Lに沿って被覆圧着部12Bの略全範囲に形成されている。折れ曲がり部18Gは、被覆圧着部12Bの前端部に形成される。
【0094】
凹部18Cが被覆圧着部12Bに形成されることで、芯線圧着部12Aや連結圧着部12Cの形状には凹部18Cが形成されることの影響が及びにくい。例えば、芯線圧着部12Aや連結圧着部12Cの形状には、圧着強度や芯線51と芯線圧着部12Aとの間の抵抗値を悪化させるような影響が発生しにくい。よって、本実施形態の端子付き電線2は、強度や電気的な特性を維持しつつ電線接続部12と端子収容部との干渉を抑制することができる。
【0095】
本実施形態の凹部18Cでは、第一傾斜面18Dが第二傾斜面18Eよりも長い。
図27に示すように、第一方向Lにおける第一傾斜面18Dの長さL1は、第一方向Lにおける第二傾斜面18Eの長さL2よりも大きい。このように第一傾斜面18Dの長さL1が大きくされていることで、底面18における形状の急激な変化が発生しにくい。例えば、折れ曲がり部18Gにおける曲げ角度(曲げ量)が大きくなりにくい。また、第一傾斜面18Dと第二傾斜面18Eとの境界部における折れ曲がりも緩やかになりやすい。底面18に急な起伏が生じにくいことで、底面18における極部的な応力の集中や極部的な薄肉化が抑制される。
【0096】
以上説明したように、本実施形態の端子付き電線2は、電線50と、端子接続部11および電線接続部12を有する圧着端子1と、を有する。端子接続部11は、相手側の端子に対して電気的に接続される部分である。端子接続部11は、相手側の端子と接続する接続方向における前側に位置している。電線接続部12は、電線50に対して巻き付けられて圧着された部分である。電線接続部12は、相手側の端子と接続する接続方向における後側に位置している。
【0097】
電線接続部12の底面18には、底面18の後端18Rを電線接続部12の中心軸C1に向けて近づける側に折れ曲がった折れ曲がり部18Gが形成されている。折れ曲がり部18Gが形成されることで、圧着後の電線接続部12の底面18において、仮想平面S2から突出した部分が発生しにくい。より詳しくは、後端部18Bが変形して形成された第二傾斜面18Eが、仮想平面S2から突出してしまうことが抑制される。第二アンビル112Bの凹状面112B
1によって第一傾斜面18Dが形成されることで、第二傾斜面18Eが全体的に中心軸C1側に向けて移動する。その結果、後端18Rが中心軸C1に近づき、電線接続部12の最大高さが低減される。底面18において、他の部分よりも第三方向Hに向けて突出した部分が生じにくいことで、端子収容部と電線接続部12との干渉が抑制される。
【0098】
また、本実施形態の端子付き電線2では、底面18における折れ曲がり部18Gよりも後側の部分は、中心軸C1に向けて凹んだ凹部18Cである。凹部18Cにおける前側の部分は、後側へ向かうに従って中心軸C1に近づく第一傾斜面18Dであり、凹部18Cにおける後側の部分は、後側へ向かうに従って中心軸C1から離れる第二傾斜面18Eである。このような二つの傾斜面18D,18Eを有する凹部18Cが電線接続部12に形成されていることで、端子収容部と電線接続部12との干渉が抑制される。
【0099】
本実施形態の端子付き電線2では、圧着端子1を側面視した場合に、底面18の後端18Rは、底面18における凹部18Cよりも前側の部分18Fの延長線上、または延長線よりも中心軸C1側に位置している。圧着後の圧着端子1の形状がこのような形状であることにより、端子収容部と電線接続部12との干渉がより確実に抑制される。
【0100】
本実施形態の凹部18Cは、被覆圧着部12Bの底面18に形成されている。よって、凹部18Cを形成することによる影響が連結圧着部12Cや芯線圧着部12Aに及びにくい。
【0101】
本実施形態の端子圧着装置100は、端子供給装置101と、第一金型112と、第二金型113と、端子切断体121と、を有する。端子供給装置101は、端子連鎖体30を供給する装置である。端子連鎖体30は、並列に並ぶ複数の圧着端子1と、複数の圧着端子1の並び方向に沿って延在する連結片31と、圧着端子1の一端と連結片31とをつなぐ繋ぎ部32と、を有する。
【0102】
第一金型112は、支持面としての凹状面112A
1,112B
1と、第一のエッジ部としての上面エッジ112aとを有する。凹状面112A
1,112B
1は、端子供給装置101によって供給される圧着端子1を支持する。上面エッジ112aは、凹状面112A
1,112B
1の一端に設けられたエッジ部である。
【0103】
第二金型113は、凹状面112A
1,112B
1と対向して配置されている。第二金型113は、凹状面112A
1,112B
1に対して相対移動しながら凹状面112A
1,112B
1との間に圧着端子1および電線50を挟み込んで電線50に対して圧着端子1を圧着させる。
【0104】
端子切断体121は、第一金型112に隣接して配置され、開口エッジ121cを有する。開口エッジ121cは、上面エッジ112aと対応する第二のエッジ部である。端子切断体121は、第二金型113の移動と同方向に第一金型112に対して相対移動しながら開口エッジ121cによって上面エッジ112aと協働して繋ぎ部32における圧着端子1との境界を切断する。
【0105】
第一金型112の凹状面112A
1,112B
1における上面エッジ112a側の端部は、上面エッジ112aへ向かうに従って第二金型113側に向かうように傾斜している。凹状面112A
1,112B
1における上面エッジ112a側の端部が傾斜していることで、圧着後の圧着端子1の底面18には、折れ曲がり部18Gが形成される。よって、本実施形態の端子圧着装置100は、端子収容部と電線接続部12との干渉を抑制することができる。
【0106】
[実施形態の変形例]
実施形態の変形例について説明する。凹部18Cの形状は、例示した形状には限定されない。例えば、縦断面における第一傾斜面18Dや第二傾斜面18Eの形状は、直線には限定されず、屈曲したり湾曲したりしていてもよい。第二アンビル112Bの凹状面112B
1の形状は、例示した形状には限定されない。例えば、縦断面における凹状面112B
1の形状は、直線形状に限らず、屈曲したり湾曲したりしていてもよい。
【0107】
底面18において、第一方向Lに沿って凹部18Cが形成される範囲は、被覆圧着部12Bの略全体には限定されない。凹部18Cが形成される範囲は、後端18Rから前側に向けて所定の範囲である。所定の範囲は、例えば、被覆圧着部12Bの全長の略半分の長さの範囲や、全長の2/3程度の長さの範囲などであってもよい。
【0108】
第二アンビル112Bにおける傾斜部112sが設けられる範囲は、凹部18Cが形成される範囲を所定の範囲とするように定められる。傾斜部112sは、例えば、第二アンビル112Bにおける後端側のほぼ半分の長さの範囲とされてもよく、第二アンビル112Bにおける後端側のほぼ2/3の長さの範囲などとされてもよい。
【0109】
底面18において、第一傾斜面18Dと第二傾斜面18Eとの間に第三の面が介在していてもよい。第三の面は、例えば、圧着端子1を側面視した場合に仮想平面S2と平行な面であってもよい。第三の面は、圧着端子1を側面視した場合に仮想平面S2に対して傾斜した面であってもよい。第二アンビル112Bの凹状面112B
1は、底面18に第三の面を形成するように構成されてもよい。すなわち、第二アンビル112Bにおける傾斜部112sよりも後端側に、第三の面を形成する部分が設けられてもよい。
【0110】
圧着後の電線接続部12において、底面18の後端18Rは、仮想平面S2(
図27参照)から突出していてもよい。後端18Rが仮想平面S2に対して中心軸C1とは反対側に突出していたとしても、折れ曲がり部18Gが形成されたことで後端18Rの突出量が低減されている。従って、電線接続部12と端子収容部との干渉が抑制される。言い換えると、電線接続部12と端子収容部との干渉が抑制されていれば、後端18Rが仮想平面S2から突出していることが許容可能である。
【0111】
上記実施形態の端子圧着装置100によって圧着される電線接続部12は、一体型には限定されない。一体型の電線接続部12では、バレル片部15,16が芯線圧着部12Aから被覆圧着部12Bまで連続している。つまり、一体型の電線接続部12では、芯線圧着部12A、連結圧着部12C、および被覆圧着部12Bが一体となって電線50に巻き付けられて圧着される。端子圧着装置100は、このような電線接続部12に代えて、別体型の電線圧着部を電線50に圧着してもよい。別体型の電線接続部では、芯線圧着部および被覆圧着部がそれぞれ独立して圧着される。第二アンビル112Bは、別体型の電線接続部における被覆圧着部を圧着させる。
【0112】
繋ぎ部32において、端子切断工程で切断される部分は、境界32bには限定されない。すなわち、端子連鎖体30から切り離された圧着端子1において、カットオフ32aが多少残されるように繋ぎ部32が切断されてもよい。従って、端子付き電線2において、電線接続部12にカットオフ32aが残されていてもよい。
【0113】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わされて実行されてもよい。