特許第6556788号(P6556788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556788集塵機用フィルタとそのためのフィルタバグ製作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556788
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】集塵機用フィルタとそのためのフィルタバグ製作方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/52 20060101AFI20190729BHJP
   B01D 39/00 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   B01D46/52 C
   B01D46/52 A
   B01D39/00 B
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-124204(P2017-124204)
(22)【出願日】2017年6月26日
(65)【公開番号】特開2017-225971(P2017-225971A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2017年6月26日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0079054
(32)【優先日】2016年6月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517225042
【氏名又は名称】イーピーアイティー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】金 鍾門
(72)【発明者】
【氏名】申 相黙
(72)【発明者】
【氏名】金 東▲ゆん▼
【審査官】 向井 佑
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0144114(US,A1)
【文献】 国際公開第2016/035688(WO,A1)
【文献】 特開2000−042322(JP,A)
【文献】 国際公開第93/013849(WO,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102011011771(DE,A1)
【文献】 特開2003−025294(JP,A)
【文献】 実開昭55−064457(JP,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0123173(KR,A)
【文献】 特開2003−93821(JP,A)
【文献】 特開2011−125832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00〜46/54
B01D 39/00〜41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側折曲部と外側折曲部とが交互に形成されたプリーツ形状でフィルタバグを形成する段階と、
前記内側折曲部の内側の先端一部を溶融した後、圧着して溶融圧着形態の溶接支持部を形成する段階と、
を含み、
前記溶接支持部を形成する段階は、
互いに平行で、かつ直線方向に延びるライン型固定部材に前記フィルタバグの下部を固定させる段階と、
輸送ローラ対によって前記フィルタバグを整列及び移送させる段階と、
移送された前記フィルタバグを前記固定部材の前記直線方向の延長線上において、前記各固定部材の一側に配置されたホットエアノズルから吹き出されたホットエアによって前記先端一部の母材表層を溶融させる段階と、
前記溶融された前記先端一部を固定ローラと可動ローラとからなるローラ対によって圧着される段階と、を含む集塵機用フィルタバグ製作方法。
【請求項2】
前記プリーツ形状の生地は、コンベアベルト方式で前記ローラ対に自動的に移送されることを特徴とする請求項1に記載の集塵機用フィルタバグ製作方法。
【請求項3】
内側折曲部と外側折曲部が交互に形成されたプリーツ形状でフィルタバグを形成する段階と、
前記内側折曲部の内側の先端一部に接着剤を注入する段階と、
前記接着剤が注入された前記内側折曲部の先端一部を圧着して接着圧着形態の接着支持部を形成する段階と、
を含み、
前記プリーツ形状は、
プリーツ型生地支持テーブルにフィルタバグ用生地が密着するようにプリーツ内の隣接する山と山との間の谷が抑えワイヤによって押されるように維持される集塵機用フィルタバグ製作方法。
【請求項4】
前記製作方法は、前記接着支持部を所定の温度条件でキュアリングする段階をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の集塵機用フィルタバグ製作方法。
【請求項5】
前記接着剤は、熱硬化接着剤またはUV硬化接着剤であることを特徴とする請求項3に記載の集塵機用フィルタバグ製作方法。
【請求項6】
前記熱硬化接着剤またはUV硬化性接着剤は、アクリレート、エポキシ、PUR(Polyurethane系)またはシリコン系の接着剤のうちいずれかであることを特徴とする請求項5に記載の集塵機用フィルタバグ製作方法。
【請求項7】
前記接着支持部を形成する段階は、固定ローラと可動ローラからなるか、一対の可動ローラからなるローラ対を用いて前記先端一部を接着することを特徴とする請求項3に記載の集塵機用フィルタバグ製作方法。
【請求項8】
前記プリーツ形状の生地は、コンベアベルト方式で前記ローラ対に自動的に移送されることを特徴とする請求項7に記載の集塵機用フィルタバグ製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集塵機用フィルタに関し、より詳細には、溶接または接着技法を利用して簡素化された作業工程で製作することができる集塵機用フィルタとそのためのフィルタバグ製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、集塵装置において集塵効率を高めるためにフィルタバグをプリーツ形状の折り畳み式フィルタで構成するのが一般的であり、このようなプリーツ形状などの折り畳み式フィルタ構造により表面積を大きくすることで、相対的に高い集塵効率を得ることができる。
【0003】
ここで、折り畳み式フィルタ構造は、プリーツ加工および縫製によりプリーツ形状を維持するが、このような構造の従来のフィルタバグは、集塵機用フィルタバグとして使用する場合、耐久性に問題があるだけでなく、縫製の糸目から微細粉塵が排出される問題がある。
【0004】
このため、集塵装置用では、粉塵を除去するとき、フィルタバグの形状を維持するため、プリーツ形状のフィルタバグだけではなく従来の円形フィルタバグは、その内側にリテーナを配置するが、リテーナに当接するフィルタバグの内側の折り目(プリーツ形状の内側折曲部)は、例えば高圧のパルスジェットをしたり、エアブローなどの噴射による除塵(dust removal)プロセスが繰り返し実行されることにより、縫絲が切れたり縫製部分が緩むことによって濾過効率が低下したりフィルタバグの損傷が早期に進む恐れがあった。
【0005】
したがって、従来はリテーナに接するフィルタバグの内側折曲部に補強布(補強部材または補強帯)をフィルタバグの長手方向に重ねて当てる構造を適用することで、除塵時に内側のリテーナと接触するフィルタバグの内側折曲部が早期に損傷するのを防止している。
【0006】
ここで、内側折曲部の補強布は、例えばフィルタバグと同じ材質であって、作業者が手作業で行う縫製工程によりフィルタバグの内側折曲部に長手方向に重ねて当てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許第10-2012−0123173号(公開日:2012年11月8日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、縫製作業によりフィルタバグの内側折曲部に補強布を重ねて当てる構造でフィルタバグを製作する従来の方法は、作業者が手作業で行わなければならないため、製作工程が複雑で製作時間が過度に多くかかり、熟練された作業者を必要とする問題があるだけでなく、これにより、フィルタバグの製作コストが上昇することになる問題がある。また、フィルタバグの 内側折曲部に補強布を重ねて当てたとしても、縫製による問題は依然として残る。すなわち、リテーナに当接するフィルタバグの内側の折り目(プリーツ形状の内側折曲部)は、例えば高圧のパルスジェットをしたり、エアブローなどの噴射による除塵プロセスが繰り返し実行されることにより、縫絲が切れたり縫製部分が緩む。
【0009】
また、従来のフィルタバグ製作方法は、フィルタバグの内側折曲部に補強布を重ねて当てなければならないため、生地(母材)の消費が追加的に発生することになる問題があり、これらの問題はフィルタバグの製作コストをさらに上昇させる要因として作用している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様により、内側折曲部と外側折曲部とが交互に形成されたプリーツ形状のフィルタバグと、前記内側折曲部の先端一部を圧着して形成した圧着領域からなる支持補強部と、前記支持補強部に当接する形態で前記フィルタバグの内側に配置されるリテーナを含む集塵機用フィルタを提供する。
【0011】
本発明の前記支持補強部は、前記先端一部がホットエアによって母材の表層が溶融した後、ローラ対によって圧着されて形成される溶融圧着形態の溶接支持部である。
【0012】
本発明の前記支持補強部は、前記先端一部に接着剤が注入された後、ローラ対によって圧着されて形成される接着圧着形態の接着支持部である。
【0013】
本発明の前記接着剤は、接着剤注入器により前記先端一部に自動的に注入され得る。
【0014】
本発明の前記接着剤は、熱硬化接着剤またはUV硬化接着剤である。
【0015】
本発明の前記熱硬化接着剤またはUV硬化性接着剤は、ホットメルト、アクリレート、エポキシ、PUR(Polyurethane系)またはシリコン系の接着剤およびその他の同種のもののうちいずれかである。
【0016】
本発明の他の態様により、内側折曲部と外側折曲部とが交互に形成されたプリーツ形状でフィルタバグを形成する段階と、前記内側折曲部の内側の先端一部を溶融した後、圧着して溶融圧着形態の溶接支持部を形成する段階とを含む集塵機用フィルタバグ製作方法を提供する。
【0017】
本発明の前記先端一部は、ホットエアノズルから吹き出されるホットエアによって母材の表層が溶融され得る。
【0018】
本発明の溶融された前記先端一部は、一対の固定ローラや一対の可動ローラからなるローラ対によって圧着され得る。
【0019】
本発明の前記フィルタバグは、コンベアベルト方式で前記ローラ対に自動的に移送され得る。
【0020】
本発明は、また他の様態により、内側折曲部と外側折曲部が交互に形成されたプリーツ形状でフィルタバグを形成する段階と、前記内側折曲部の内側の先端一部に接着剤を注入する段階と、前記接着剤が注入された前記内側折曲部の先端一部を圧着して接着圧着形態の接着支持部を形成する段階とを含む集塵機用フィルタバグ製作方法を提供する。
【0021】
本発明の前記製作方法は、前記接着支持部を所定の温度条件でキュアリングする段階をさらに含む。
【0022】
本発明の前記プリーツ形状は、プリーツ型生地支持テーブルにフィルタバグ用生地が密着するようにプリーツ内の隣接する山と山との間の谷が押さえワイヤによって押されるように維持され得る。
【0023】
本発明の前記接着剤は、熱硬化接着剤またはUV硬化接着剤である。
【0024】
本発明の前記熱硬化接着剤またはUV硬化性接着剤は、ホットメルト、アクリレート、エポキシ、PUR(Polyurethane系)またはシリコン系の接着剤のうちいずれかである。
【0025】
本発明の前記接着支持部を形成する段階は、固定ローラと可動ローラとからなるローラ対や一対の可動ローラからなるローラ対を用いて前記先端一部を接着することができる。
【0026】
本発明の前記プリーツ形状の生地は、コンベアベルト方式で前記ローラ対に自動的に移送され得る。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、集塵機用フィルタを構成するフィルタバグの一側折曲部の先端一部を溶接または接着させて圧着形態の支持補強部を形成し、従来の内側折曲部用補強布を除去することにより、集塵機用フィルタに使用されるフィルタバグの製作のための工程簡素化および製作時間の効果的な削減を実現することができる。
【0028】
また、本発明は、従来の集塵機用フィルタで適用した内側折曲部用補強布を除去することにより、フィルタバグ用生地(プリーツ生地)が不要に消費されることを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態による、フィルタバグの筒形状を模式的に示す集塵機用フィルタの模式的斜視図である。
図2図1のA−A線に沿った横断面図である。
図3】本発明の一実施形態による、集塵機用フィルタに適用されるフィルタバグを製作する主要なプロセスを示すフローチャートである。
図4】本発明の他の実施形態による、集塵機用フィルタに適用されるフィルタバグを製作する主要なプロセスを示すフローチャートである。
図5A】本発明による内側折曲部の先端一部を溶融させる溶融装置の例示写真である。
図5B】本発明による移送ローラ対が生地を並べて溶融装置側に押す原理を説明するための例示写真である。
図5C】本発明による一対の可動ローラが溶融装置の後段に装着された構造を示す例示写真である。
図5D】本発明による一対の可動ローラを利用して、内側折曲部の溶融した先端一部を圧着する原理を説明するための模式図である。
図6A】本発明による内側折曲部の先端一部に接着剤を注入する接着剤注入装置を説明するための部分模式図である。
図6B】本発明による内側折曲部の先端一部に接着剤を注入する接着剤注入装置を説明するための部分模式図である。
図7A】本発明による接着剤が注入された内側折曲部の先端一部を圧着する圧着装置を示す模式図である。
図7B】本発明による接着剤が注入された内側折曲部の先端一部が接着圧着形態の接着支持部に変形された構造を示す例示断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
まず、本発明の利点と特徴、そしてそれらを達成する方法は添付の図面と共に詳細に後述される実施例を参照すると明確になるだろう。ここで、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、相違する多様な形態に具現されることができ、本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が発明の範疇を明確に理解することができるようにするために例示的に提供されるだけであるため、本発明の技術的範囲は請求項によって定義されるべきである。
【0031】
なお、以下に本発明を説明するにおいて、公知の機能または構成などに関する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にする恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。そして、後述される用語は、本発明での機能を考慮して定義された用語であって、これは当然、ユーザ、運用者などの意図または慣例などによって変わることも可能である。従って、その定義は、本明細書全般に亘って記述される技術思想に基づいて下されるべきである。
【0032】
以下、添付する図面を参照して本発明の望ましい実施例について詳細に説明する。
【0033】
図1は、フィルタバグの筒形状を模式的に示す、本発明に係る集塵機用フィルタの模式的斜視図である。
【0034】
図1を参照すると、本発明に係る集塵機用フィルタは、プリーツ形状を有するフィルタバグ110が筒形状に準備され 、粉塵を除去するとき、フィルタバグの形状を維持することができるよう、その内側にリテーナ120が挿入される構造を有することができる。ここでフィルタバグは、本発明によって製作されるフィルタバグに定義することができる。
【0035】
このとき、フィルタバグ110とリテーナ120は、必ず筒形状である必要はなく、必要または用途に応じてその形状が変形することも可能である。ここで、フィルタバグ110は内側折曲部の内側の先端一部に支持補強部が形成されることができますが、これについては図2を参照して後で詳細に記述する。
【0036】
また、フィルタバグ110の材質(プリーツ生地の材質)としては、例えば高分子材料(例えば、PE、PP、PPS、NOMEX(登録商標; polyaramide)、PTFE(polytetrafluoroethylene)など)などの熱可塑性樹脂からなる不織布繊維材料が使用され得る。また、フィルタバグの材料としてガラス繊維が用いられることが可能である。ここで、フィルタバグ110のプリーツ形状は、この技術分野においてよく知られているプリーツ加工機などを利用して形成することができる。
【0037】
図2図1のA−A線に沿った横断面図であって、プリーツ形状の内側折曲部内側の先端一部にのみ支持補強部が形成される構造を示している。
【0038】
図2を参照すると、本発明に係る集塵機用フィルタは、プリーツ形状を有するフィルタバグ110にリテーナ120と接する内側折曲部111が形成され、内側折曲部111の対向側のフィルタバグ110に外側折曲部117が形成される構造を有することができる。
【0039】
そして、内側折曲部111と外側折曲部117は、内側折り目と外側折り目として定義されることができ、この時、内側折曲部111の先端一部(メルティング部位)は、ローラ対(例えば、固定ローラと可動ローラから構成されたり、一対の可動ローラから構成されるローラ対など)による圧着方式で形成される圧着領域からなる支持補強部111aが形成され得る。
【0040】
ここで、支持補強部111aは、例えば1〜10mm程度の長さの範囲を有することができるものであって、適用される製作技法によって溶接支持部または接着支持部として定義されることができますが、このような支持補強部111aはフィルタバグが集塵機用フィルタに組み込まれるとき、フィルタバグの内側に配置されるリテーナに当接する部分になることがある。
【0041】
一例として、プリーツ形状の内側折曲部111の内側の先端一部がホットエアノズル(hot air nozzle)から吹き出されるホットエア(hot air)によって母材の表層が溶融(例えば、PEの場合、80度以上の温度で軟化を開始して140度以上の温度でゴム形態の粘性を有するように溶融)され、ローラ対(例えば、固定ローラと可動ローラから構成されるローラ対など)によって圧着される方式で製作される場合、支持補強部111aは、溶融圧着形態の溶接支持部として定義されることができる。ここで、ホットエアノズルから吹き出されるホットエアは、例えば、140度乃至350度の温度範囲を有することができる。
【0042】
他の例として、プリーツ形状の内側折曲部111の内側の先端一部(内側一部の領域)に接着剤が注入(塗布)された後、ローラ対(例えば、固定ローラと可動ローラから構成されたり、一対の可動ローラから構成されるローラ対など)によって圧着される方式で製作される場合、支持補強部111aは、接着圧着形態の接着支持部として定義されることができる。ここで、接着剤は熱硬化接着剤またはUV硬化接着剤であって、例えば、ホットメルト(hot melt)、アクリレート、ウレタン、エポキシ、PUR(Polyurethane系)またはシリコン系の接着剤のうちいずれかが使用され得る。
【0043】
次に、上述したような構造を有する本発明の集塵機用フィルタに適用可能なフィルタバグを製作する一連の過程について詳細に説明する。
【0044】
図3は、本発明の一実施例による集塵機用フィルタに適用されるフィルタバグを製作する主要なプロセスを示すフローチャートである。
【0045】
図3を参照すると、例えばプリーツ加工機などを利用する生地のひだ付け工程を進行することにより、フィルタバグを内側折曲部と外側折曲部とが交互に形成されたプリーツ形状に製作する(ステップ302)。以後、フィルタバグ用生地(プリーツ生地)を必要とする適切なサイズ(例えば、20〜50プリーツの数量など)に裁断する(ステップ304)。
【0046】
以後、プリーツ形状を有するフィルタバグ用生地(プリーツ生地)をコンベアベルト方式のフィルタバグ製作機器の入口に設定した後、フィルタバグ製作機器を作動させると、コンベアベルトの動作に応じてフィルタバグ用生地が溶融装置側に移送される(ステップ306)。
【0047】
一例として、溶融装置は、図5Aないし図 5Cに示すように、プリーツの下部を固定させる多数のライン型固定部材504と、プリーツ生地を移送させるとともに整列させる機能(役割)をする輸送ローラ対506a、506bが装着されることができ、ライン型固定部材504の数に対応する個数の、複数のホットエアノズル508が対応する各ライン型固定部材504に一直線上に配置される形で装着されることができ、フィルタバグ用生地502の内側折曲部111の先端一部(母材表層が溶融された先端部分)を圧着する機能を提供する一対の可動ローラ510a、510bが溶融装置の後段部分に装着されることができる。
【0048】
したがって、コンベアベルトによって溶融装置側に搬送されるフィルタバグ用生地502の内側折曲部の先端一部512の内側にホットエアノズル508から吹き出されるホットエアが伝達されることにより、先端一部512の内側の母材表層が瞬間的に溶融(軟化)される(ステップ308)。
【0049】
ここで、フィルタバグ用生地の材質は、高分子材料、例えばPE、PP、PPS、NOMEX、PTFE(polytetrafluoroethylene)などの熱可塑性樹脂からなる不織布繊維材料であることができ、ホットエアノズル508を介して内側折曲部の内側の先端一部512に吹き出されるホットエアは、例えば140度乃至350度の温度範囲を有することができる。
【0050】
一例として、PEがフィルタバグ用生地として使用される場合と仮定すると、先端一部512の内側の母材表層は80度以上の温度で軟化し始めた後、徐々に軟化されて140度以上の温度条件になると粘性を有するように溶融される。
【0051】
そして、内側折曲部の先端一部の内側表層が溶融した状態で、フィルタバグ用生地が圧着装置側に進むと、一例として図 5Dに示すような圧着装置のローラ対、例えばモータなどから提供される動力によって作動する一対の可動ローラ510a、510bからなるローラ対によって母材表層が溶融された先端一部512が圧着されることにより(ステップ310)、溶融圧着形態の溶接支持部が形成(先端一部が溶接支持部に変形)される。
【0052】
一例として、圧着装置には、図 5Dに示すように、一対の可動ローラ510a、510bが備え(装着)られることができ、このような可動ローラ510a、510bは、ホットエアによって母材表層が溶融された先端一部を圧着(例えば、20kgfないし100kgfの範囲の力で圧着)して溶接する機能だけでなく、連続的な溶融や圧着作業のために、フィルタバグ用生地を前進(搬送)させる機能(役割)をすることもできる。
【0053】
このとき、圧着装置に備えられる可動ローラ510a、510bは、プリーツ生地の種類、厚さ、プリーツの数などに応じて可変に動くことができる構造とすることが望ましい。
【0054】
以後、必要な回数だけ溶融プリーツ作業を繰り返し実行することにより、フィルタバグ用生地の全ての内側折曲部の先端一部に溶融圧着形態の溶接支持部を形成する(ステップ312)。
【0055】
したがって、本実施例により製作されるフィルタバグが適用される集塵機用フィルタは、フィルタバグの内側折曲部の先端一部を溶融圧着する工程を適用して溶融圧着形態の溶接支持部を形成することにより、フィルタバグのプリーツ形状の剛性を高く長時間維持することができ、除塵時、フィルタバグの内側に挿入されたリテーナとの頻繁な接触に起因する内側折曲部の早期損傷を効果的に抑制することができる。
【0056】
一方、本実施例の溶融装置では、4つのライン型固定部材とこれに対応する4つのホットエアノズルを具備すると提示したが、これは説明の便宜と理解の増進のための例示的な提示であるだけで、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、必要または用途に応じて数十ないし数百個のライン型固定部材およびホットエアノズル対を溶融装置に装着することもできるのは言うまでもない。
【0057】
図4は、本発明の他の実施例により集塵機用フィルタに適用されるフィルタバグを製作する主要なプロセスを示すフローチャートである。
【0058】
図4を参照すると、例えばプリーツ加工機などを利用する生地のひだ付け工程を進行することにより、フィルタバグを内側折曲部と外側折曲部とが交互に形成されたプリーツ形状に製作する(ステップ402)。以後、フィルタバグ用生地(プリーツ生地)を必要とする適切なサイズ(例えば、20〜50プリーツの数量など)に裁断する(ステップ404)。
【0059】
以後、プリーツ形状を有するフィルタバグ用生地(プリーツ生地)をコンベアベルト方式のフィルタバグ製作機器の入口に設定した後、フィルタバグ製作機器を作動させると、コンベアベルトの動作に応じてフィルタバグ用生地が接着剤注入装置側に移送される(ステップ406)。
【0060】
一例として、接着剤注入装置は、図 6Aおよび図 6Bに示すように、フィルタバグ用生地602が密着されるプリーツ型生地支持テーブル604とフィルタバグ用生地602がプリーツ型生地支持テーブル604内の隣接する山と山の間の谷に密着するように押す機能をする押さえワイヤ606と内側折曲部の内側の先端一部に接着剤を注入する機能をする接着剤注入器608などを含むことができる。
【0061】
つまり、コンベアベルトによって接着剤注入装置側に搬送されるフィルタバグ用生地602の内側折曲部の先端一部の内側には、接着剤注入器608から噴出(排出)される接着剤、すなわち、熱硬化接着剤またはUV硬化接着剤が注入(塗布)される(ステップ408)。ここで、熱硬化接着剤またはUV硬化接着剤としては、例えばホットメルト、アクリレート、エポキシ、PUR(Polyurethane系)またはシリコン系の接着剤のうちいずれかが使用され得る。
【0062】
そして、内側折曲部の先端一部の内側に接着剤が注入された状態でフィルタバグ用生地602が圧着装置側に進むと、圧着装置のローラ対、例えば一対の可動ローラ704a、704bからなるローラ対によって先端一部が圧着されることにより(ステップ410)、接着圧着形態の接着支持部が形成(先端一部が接着支持部に変形)される。
【0063】
一例として、圧着装置は、図 7Aおよび図 7Bに示されるように、一対の可動ローラ704a、704bが備えられることが可能であり、このような可動ローラ704a、704bは、接着剤(熱硬化接着剤またはUV硬化接着剤)が注入された先端一部を圧着(例えば、20〜100kgfの範囲の力で圧着)して接着する機能だけでなく、連続的な接着剤の注入および圧着作業のために、フィルタバグ用生地を前進(搬送)させる機能(役割)も行うことができる。
【0064】
図 7Aは、本発明により接着剤が注入された内側折曲部の先端一部を圧着する圧着装置の模式図であり、図 7Bは、本発明により接着剤が注入された内側折曲部の先端一部が接着圧着形態の接着支持部に変形された構造を示す例示断面図である。
【0065】
このとき、圧着装置に備えられる可動ローラ704bは、プリーツ生地の種類、厚さ、プリーツの数などに応じて可変に動くことができる構造とすることが望ましい。
【0066】
したがって、本実施例により製作されるフィルタバグが適用される集塵機用フィルタは、フィルタバグの内側折曲部の先端一部に接着剤を注入した後、圧着する工程を適用して接着圧着形態の接着支持部を形成することにより、フィルタバグのプリーツ形状の剛性を高く長時間維持することができ、除塵時、フィルタバグの内側に挿入されたリテーナとの頻繁な接触に起因する内側折曲部の早期損傷を効果的に抑制することができる。
【0067】
その後、内側折曲部の先端一部が内側に注入された接着剤によって接着された状態でフィルタバグ用生地がキュアリング装置(図示せず)側に進むと、キュアリング装置では接着剤を硬化させるキュアリング工程を進行する(ステップ412)。
【0068】
即ち、一例として、数分ないし数時間の間のキュアリング工程を進行して接着剤を硬化させることにより、フィルタバグ用生地の接着部分が離れないように固定する。ここで、キュアリング時間は接着剤の種類及び硬化特性等に応じて相違するように設定することができる。
【0069】
以後、必要な回数だけ接着剤を用いる接着プリーツ作業を繰り返し実行することにより、フィルタバグ用生地のすべての内側折曲部の先端一部に接着圧着形態の接着支持部を形成する(ステップ414)。
【0070】
一方、本実施例の接着剤注入装置では、例示として1つの接着剤注入器のみを図示したが、これは説明の便宜と理解の増進のための例示的な提示であるだけで、本発明がこれに限定されるものではなく、必要または用途に応じて数十ないし何百もの接着剤注入器を接着剤注入装置に搭載(装着)することもできるのは言うまでもない。また、本実施例の接着剤注入装置では、例示として、一対の可動ローラ510a、510bで構成されたり一対の可動ローラ704a、704bで構成されるローラ対を図示したが、これは説明の便宜と理解の増進のための例示的な提示であるだけで、本発明がこれに限定されるものではなく、必要または用途に応じて固定ローラと可動ローラからなるローラ対を利用することもできるのは言うまでもない。
【0071】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないものであって、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更などが可能であることが容易に分かるだろう。すなわち、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであって、このような実施例により本発明の技術思想の範囲が限定されるのではない。
【0072】
したがって、本発明の保護範囲は、後述される特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、その同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 内側折曲部と外側折曲部とが交互に形成されたプリーツ形状のフィルタバグと、
前記内側折曲部の先端一部を圧着して形成した圧着領域からなる支持補強部と、
前記支持補強部に当接する形で前記フィルタバグの内側に配置されるリテーナと、
を含む集塵機用フィルタ。
[2] 前記支持補強部は、前記先端一部がホットエアによって母材の表層が溶融した後、ローラ対によって圧着されて形成される溶融圧着形態の溶接支持部であることを特徴とする[1]に記載の集塵機用フィルタ。
[3] 前記支持補強部は、前記先端一部に接着剤が注入された後、ローラ対によって圧着されて形成される接着圧着形態の接着支持部であることを特徴とする[1]に記載の集塵機用フィルタ。
[4] 前記接着剤は、接着剤注入器を介して前記先端一部に自動的に注入されることを特徴とする[3]に記載の集塵機用フィルタ。
[5] 前記接着剤は、熱硬化接着剤またはUV硬化接着剤であることを特徴とする[4]に記載の集塵機用フィルタ。
[6] 前記熱硬化接着剤またはUV硬化性接着剤は、ホットメルト、アクリレート、エポキシ、PUR(Polyurethane系)またはシリコン系の接着剤のうちいずれかであることを特徴とする[5]に記載の集塵機用フィルタ。
[7] 内側折曲部と外側折曲部とが交互に形成されたプリーツ形状でフィルタバグを形成する段階と、
前記内側折曲部の内側の先端一部を溶融した後、圧着して溶融圧着形態の溶接支持部を形成する段階と、
を含む集塵機用フィルタバグ製作方法。
[8] 前記先端一部は、ホットエアノズルから吹き出されるホットエアによって母材の表層が溶融されることを特徴とする[7]に記載の集塵機用フィルタバグ製作方法。
[9] 溶融された前記先端一部は、固定ローラと可動ローラのローラ対又は2つの可動ローラのローラ対によって圧着されることを特徴とする[7]に記載の集塵機用フィルタバグ製作方法。
[10] 前記プリーツ形状の生地は、コンベアベルト方式で前記ローラ対に自動的に移送されることを特徴とする[9]に記載の集塵機用フィルタバグ製作方法。
[11] 内側折曲部と外側折曲部が交互に形成されたプリーツ形状でフィルタバグを形成する段階と、
前記内側折曲部の内側の先端一部に接着剤を注入する段階と、
前記接着剤が注入された前記内側折曲部の先端一部を圧着して接着圧着形態の接着支持部を形成する段階と、
を含む集塵機用フィルタバグ製作方法。
[12] 前記製作方法は、前記接着支持部を所定の温度条件でキュアリングする段階をさらに含むことを特徴とする[11]に記載の集塵機用フィルタバグ製作方法。
[13] 前記プリーツ形状は、プリーツ型生地支持テーブルにフィルタバグ用生地が密着するようにプリーツ内の隣接する山と山との間の谷が押さえワイヤによって押されるように維持されることを特徴とする[11]に記載の集塵機用フィルタバグ製作方法。
[14] 前記接着剤は、熱硬化接着剤またはUV硬化接着剤であることを特徴とする[11]に記載の集塵機用フィルタ。
[15] 前記熱硬化接着剤またはUV硬化性接着剤は、ホットメルト、アクリレート、エポキシ、PUR(Polyurethane系)またはシリコン系の接着剤のうちいずれかであることを特徴とする[14]に記載の集塵機用フィルタ。
[16] 前記接着支持部を形成する段階は、固定ローラと可動ローラからなるか、一対の可動ローラからなるローラ対を用いて前記先端一部を接着することを特徴とする[11]に記載の集塵機用フィルタバグ製作方法。
[17] 前記プリーツ形状の生地は、コンベアベルト方式で前記ローラ対に自動的に移送されることを特徴とする[16]に記載の集塵機用フィルタバグ製作方法。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B