特許第6556807号(P6556807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556807
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】新型のタービン発電機ユニット
(51)【国際特許分類】
   F01K 13/00 20060101AFI20190729BHJP
   F01K 7/32 20060101ALI20190729BHJP
   F01K 7/22 20060101ALI20190729BHJP
   F22B 9/08 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   F01K13/00 B
   F01K7/32
   F01K7/22 Z
   F22B9/08
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-218907(P2017-218907)
(22)【出願日】2017年11月14日
(62)【分割の表示】特願2016-34037(P2016-34037)の分割
【原出願日】2007年10月15日
(65)【公開番号】特開2018-53896(P2018-53896A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2017年12月13日
(31)【優先権主張番号】200710040128.0
(32)【優先日】2007年4月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】509296292
【氏名又は名称】▲馮▼ ▲偉▼忠
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼ ▲偉▼忠
【審査官】 金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01775430(EP,A1)
【文献】 特開平10−266811(JP,A)
【文献】 特開昭58−126405(JP,A)
【文献】 特開平09−243005(JP,A)
【文献】 特開2003−106110(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/083238(WO,A1)
【文献】 特開2012−92732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 7/22− 7/24,
7/32,11/02,
13/00
F22B 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラ本体、過熱器及び再熱器を備えるボイラであって、前記過熱器及び前記再熱器それぞれが、蒸気入口及び蒸気出口のヘッダを形成する蒸気入口及び蒸気出口を有する、ボイラと、
高レベルタービンユニット及び前記高レベルタービンユニットに水平に接続された高レベル発電機ユニットを備える高レベル軸であって、前記高レベルタービンユニットが、HPシリンダを備える、高レベル軸と、
低レベルタービンユニット及び低レベル発電機ユニットを備える低レベル軸と、
前記ボイラを前記高レベルタービンユニットに接続する蒸気管を備える蒸気管系統と、
を備え、
前記高レベル軸が、前記ボイラの外側にありかつ前記蒸気入口及び前記蒸気出口の前記ヘッダに隣接した高レベルプラットホーム上に水平に位置付けられており、それにより、前記ボイラを前記高レベルタービンユニットに接続する前記蒸気管の長さを短縮し、
前記低レベル軸が、タービンホールにおける地上に配置されていることを特徴とするタービン発電機ユニット。
【請求項2】
前記高レベル発電機ユニットと前記低レベル発電機ユニットとが、独立して電力網に接続されており、前記高レベル発電機ユニットと前記低レベル発電機ユニットとの一方が過失の結果として外れたときに、他方に影響を及ぼさないことを特徴とする請求項1に記載のタービン発電機ユニット。
【請求項3】
前記高レベルタービンユニットが、IPシリンダIをさらに備え、
前記低レベルタービンユニットが、IPシリンダII及びLPシリンダを備え、
前記再熱器が、一段再熱器及び二段再熱器を備え、
前記ボイラを前記高レベルタービンユニットに接続する前記蒸気管が、前記過熱器の蒸気出口を前記HPシリンダに接続する主蒸気管と、前記HPシリンダを前記一段再熱器の蒸気入口に接続する低温一段再熱蒸気管と、前記一段再熱器の蒸気出口を前記IPシリンダIに接続する高温一段再熱蒸気管と、前記IPシリンダIを前記二段再熱器の蒸気入口に接続する低温二段再熱蒸気管と、を備え、
前記蒸気管系統が、前記二段再熱器の蒸気出口を前記IPシリンダIIに接続する高温二段再熱蒸気管をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のタービン発電機ユニット。
【請求項4】
当該タービン発電機ユニットが、超超臨界タービン発電機ユニットであり、
タービンユニットが、復水蒸気タービンユニットであることを特徴とする請求項1に記載のタービン発電機ユニット。
【請求項5】
前記高レベルタービンユニットが、2つのIPシリンダをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のタービン発電機ユニット。
【請求項6】
前記IPシリンダIが、単流型として設計されており、単流型の前記HPシリンダと一体化されていることを特徴とする請求項3に記載のタービン発電機ユニット。
【請求項7】
当該タービン発電機ユニットが、一段再熱超超臨界タービン発電機ユニットであることを特徴とする請求項1に記載のタービン発電機ユニット。
【請求項8】
ボイラ本体、過熱器及び再熱器を備えるボイラであって、前記過熱器及び前記再熱器それぞれが、蒸気入口及び蒸気出口のヘッダを形成する蒸気入口及び蒸気出口を有する、ボイラと、
高レベルタービンユニット及び前記高レベルタービンユニットに水平に接続された高レベル発電機ユニットを備える高レベル軸であって、前記高レベルタービンユニットが、HPシリンダ及びIPシリンダを備える、高レベル軸と、
前記ボイラを前記高レベルタービンユニットに接続する蒸気管系統と、
を備え、
前記ボイラを前記高レベルタービンユニットに接続する前記蒸気管系統が、前記過熱器の蒸気出口を前記HPシリンダに接続する主蒸気管と、前記HPシリンダを一段再熱器の蒸気入口に接続する低温一段再熱蒸気管と、前記一段再熱器の蒸気出口を前記IPシリンダに接続する高温一段再熱蒸気管と、を備え、
前記高レベル軸が、前記ボイラの外側にありかつ前記蒸気入口及び前記蒸気出口の前記ヘッダに隣接した高レベルプラットホーム上に水平に位置付けられており、それにより、前記主蒸気管の長さ、前記低温一段再熱蒸気管の長さ及び前記高温一段再熱蒸気管の長さを短縮することを特徴とするタービン発電機ユニット。
【請求項9】
前記IPシリンダの出口から排気された蒸気が、熱供給ユーザに直接放出されることを特徴とする請求項8に記載のタービン発電機ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電の技術分野に関し、より具体的には、新型のタービン発電機ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電の分野における中核技術として、タービン発電機ユニットは、100年を越えて開発されており、近年では、燃料価格及び環境保護への圧力が継続的に増大しているなか、開発国は、高効率超臨界タービン発電機ユニットの開発で競い合っている。ユニットの運転パラメータを頻繁に改善してユニットのサイクル効率を向上させているなか、二段再熱サイクルユニットは、再び、次世代の高効率超超臨界ユニットを設計する基本的な技術解決法の1つとなっている。
【0003】
現在、世界で最も効率的である石炭燃料発電ユニットは、デンマークにある400MWの二段再熱超超臨界ユニット(double-reheat ultra-supercritical unit)であり、その蒸気パラメータは、29MPa/580℃/580℃/580℃である。ユニットのサイクル効率は、47%までになっており、サイクル効率が41〜42%である一段再熱超臨界ユニット及びサイクル効率が44〜45%である一段再熱超超臨界ユニットよりも高い。
【0004】
しかしながら、従来の一段再熱ユニット(single-reheat unit)について、一段再熱を追加した31.1MPa/566℃/566℃/566℃の二段再熱超臨界ユニットを24.5MPa/600℃/600℃の一段超超臨界ユニットであって蒸気温度を上昇させただけの一段超超臨界ユニットと比較すると、前者のサイクル効率は、後者のサイクル効率よりも0.5%改善しただけである。一段再熱(超)超臨界ユニットと比較すると、二段再熱(超)超臨界ユニットのシステムは、より複雑であり、製造コストが著しく増大する。そのため、1990年以降、世界中の国々は、600℃クラスの一段際熱超超臨界ユニットを建設する傾向がある。
【0005】
図1には、1000MWクラスのタワー型ボイラ1と二段再熱タービンユニット2との従来の配置が従来技術として図示されている。HP(高圧)シリンダ21とIP(中圧)シリンダI22とIPシリンダII23とタービンユニット2にある2つのLP(低圧)シリンダ24とは、タービンホールにおいて単一軸(single shaft)に配置されている。一般に、主蒸気管31は、ボイラ1の過熱器13の出口からHPシリンダ21まで延在しており、長さ約160mの単一の管を有し、そして、長さ約180mの単一管である低温一段再熱蒸気管32を通って、HPシリンダ21から排気された蒸気は、ボイラ1に戻り、高温一段再熱蒸気管33は、一段再熱器12の出口からIPシリンダI22まで延在しており、低温一段再熱蒸気管32の長さとほぼ同等の長さである長さ約190mの単一の管を有し、その後、低温二段再熱蒸気管34は、蒸気がこの管34を通ってIPシリンダI22からボイラ1に排気されており、長さ約180mの単一の管を有し、高温二段再熱蒸気管35は、二段再熱器16の出口からIPシリンダII23まで延在しており、低温二段再熱蒸気管34の長さとほぼ同等の長さである長さ約190mの単一の管を有する。主蒸気管31と高温一段再熱管33と高温二段再熱管35とは、600℃クラスの高温合金鋼で形成される必要がある。さまざまな管の設計図によると、主蒸気管と再熱蒸気管とは、同様に、1/2の容量、1/4の容量の管を有する。その結果、実際には高温合金鋼で形成される必要がある高圧高温管の長さは、増大する。
【0006】
図2には、1000MWクラスのタワー型ボイラ1と二軸二段再熱タービンユニット2との従来の配置が従来技術として図示されている。タービンユニット2は、それぞれが内蔵型発電機を有しかつ従来のタービンホールと平行に配置された2つの軸からなる。タービンユニット2にある第1軸21は、HPシリンダ211とIPシリンダI212とからなり、内蔵型発電機を有し、第2軸22は、IPシリンダII221と2つのLPシリンダ222とからなり、内蔵型発電機を有する。図2に示すような二段再熱二軸タービン発電機ユニットとしての、そのHTHP(高温高圧)管の配置図は、図1に示すような単一軸二段再熱タービンユニットの配置図と同様であり、この配置図において、主蒸気管31と高温一段再熱管33と高温二段再熱管35とは、600℃クラスの高温合金鋼で形成される必要があり、これら単一管の長さは、すべて約160mである。
【0007】
現在、発電ユニットのユニット価格は、ユニットの効率が増大すると共に絶えず増大している。特に、二段再熱ユニットの技術が十分に開発されているが、ボイラは、再熱器からなる追加段を必要とし、タービンは、追加のIPシリンダを必要とし、再熱蒸気管からなる追加段も、同様に必要とされる。その結果、系統は、追加投資を必要とすると共により複雑になる。一段再熱ユニットと比較すると、得られる収益効率の増大は、投資の増大を埋め合わせない。第1に、従来設計の二段再熱ユニット、ボイラとタービンホールとの間にある再熱蒸気シャトルについて、特に現在のMWクラスの大型(超)超臨界ユニットについて、ボイラは、タービンとボイラとの間にある脱気器室(deaerator bay)及び石炭貯蔵室(coal-bunker bay)のような構造的要因と組み合わさって、ますます高層なっており、蒸気管における単一管の平均長さは、160m〜190mに達している。一方、大径かつ厚肉の壁部を有する600℃クラスの管は、コストが高く、他方で、再熱管の系統抵抗の増大は、タービンの作業能力を低減させる結果となり、二段再熱系統の理論上の効率は、部分的に減少する。第2に、二段再熱系統は、系統内に貯蔵される蒸気量が大きく増大している。この結果、ユニットの調整慣性(adjustment inertia)は、増大し、これにより、ユニットを制御する困難性は、増大する。
【0008】
1990代の終わりに、米国、日本及び欧州連合は、次世代の高効率超超臨界ユニットの開発計画を制定した。これらプランのすべては、基材としてニッケルベースの超合金を用いた一段再熱及び二段再熱ユニットを目的としている。現在、700℃クラスの高温のニッケルベースの合金鋼の価格は、600℃クラスの高温の合金鋼の価格の5倍を超えている。このような金属を二段再熱の2×1000MWの超超臨界ユニットに使用する場合、4つの主要な管のみに対する投資金は、25億人民元(RMB 2.5 billion)を越える。二段再熱サイクルが採用される場合、投資コストの増大は、ニッケルベースの合金鋼をボイラ、タービン及びHTHP蒸気管を建設するために使用するため、現在の燃料価格を考慮すると、投資に対する収入が発生しない。
【0009】
したがって、現在の技術状況、材料状況及び従来の設計図では、タービン発電機ユニットの効率を改善するコストと利益とに矛盾がある。また、これは、次世代の高効率超超臨界ユニットの開発を制限するボトルネックとなっている。さらに、環境保護への圧力及びCO排出の低減への圧力の下、火力発電のための主要設備−未臨界及び超臨界ユニット−をどのようにしてさらに「性能向上させる」かは、電力産業の開発における別の問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術の上記欠点について、本発明によって解決される技術的問題は、HTHP蒸気管が非常に短く、管の圧力降下の損失が非常に小さく、調整慣性が比較的小さく、かつサイクル効率を大幅に改善したタービン発電器ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、軸が異なるレベルに配置されたタービン発電機ユニットを提供する。ユニットは、ボイラ本体と、過熱器の少なくとも1つの段と、ボイラ本体に設けられた再熱器の少なくとも1つの段と、を備えるボイラであって、過熱器及び再熱器は、それぞれ蒸気入口及び出口を有し、蒸気入口及び出口のヘッダを形成し、ヘッダ接続領域は、ヘッダに対応する位置においてボイラ本体に形成されている、ボイラと、2つのタイプ、すなわち復水蒸気タービンユニット(condensing steam turbine unit)と背圧蒸気タービンユニットと、にクラス分けされるタービンユニットであって、復水蒸気タービンユニットは、少なくともHPシリンダからなる高レベルユニットを備え、かつ、少なくともLPシリンダからなる低レベルユニットを備え、いくつかのIPシリンダは、要求応じて、高レベルユニットまたは低レベルユニットに対して状況に応じて配置され、背圧蒸気タービンユニットは、少なくともHPシリンダからなる高レベルユニットを備え、いくつかのIPシリンダは、要求に応じて、高レベルユニットまたは低レベルユニットに対して状況に応じて配置された、タービンユニットと、タービンユニットに接続された少なくとも1つの発電機を備える発電機ユニットと、ボイラとHPシリンダとの間で作動媒体を伝送する管、すなわち主蒸気管及び一段低温再熱蒸気管と、ボイラとIPシリンダとの間で作動媒体を伝送する管、すなわち高温再熱蒸気管と、を少なくとも備える蒸気管系統であって、当該蒸気管系統は、第1IPシリンダとボイラとの間で作動媒体を伝送する管、すなわち二段低温再熱蒸気管と、IPシリンダとLPシリンダとの間にある普通の蒸気管と、を状況に応じてさらに備える、蒸気管系統と、を備え、高レベルユニット及び低レベルユニットの蒸気入口及び出口は、過熱器及び再熱器の蒸気入口及び出口と共に、蒸気管を介して接続され、高レベルユニットと高レベル発電機とは、高レベル軸を構成し、低レベルユニットと低レベル発電機ユニットとは、低レベル軸を構成し、高レベル軸は、ボイラ本体の外側かつヘッダ接続領域の近傍に配置され、すなわち、高レベル軸は、高位置に配置されており、ボイラにおいて、過熱器からのHTHP蒸気は、まずHTHP蒸気管を通って高レベル軸のHPシリンダに流入し、HTHP蒸気が作動した後に、HPシリンダから排気された蒸気は、再熱器に流入して加熱後に高温再熱蒸気を発生し、高温再熱蒸気は、IPシリンダに流入し、そして作動後に排気され、タービン発電機ユニットについて、高レベル軸がボイラ本体の外側かつヘッダ接続領域の近傍に配置されているため、蒸気管系統にあるHTHP蒸気管の長さは、大幅に短縮される。
【0012】
例として、復水蒸気タービン発電機ユニットは、以下のように構成される、すなわち、ボイラは、過熱器の少なくとも1つの段を備え、再熱器の1のみの段を有し、高位置に配置されている高レベル軸は、1つの上記HPシリンダと1つの上記IPシリンダと高レベル発電機とを備え、低位置に配置されている低レベル軸は、1つの上記LPシリンダと低レベル発電機とを備える。
【0013】
ボイラにおいて、過熱器からのHTHP蒸気は、まず、主蒸気管を通って高位置配置にある高レベル軸のHPシリンダに流入し、HTHP管が作動した後、HPシリンダから排気された蒸気は、低温再熱蒸気管を通って再熱器に流入し、そして加熱され、加熱後に形成された再熱蒸気は、高温再熱蒸気管を通ってIPシリンダに流入し、そして作動し、IPシリンダから排気された蒸気の圧力及び温度は、著しく低減され、蒸気は、普通の蒸気管を通って低位置配置にある低レベル軸のLPシリンダに流入し、そしてさらに作動した後に排気され、タービン発電機ユニットにおいて、高レベル軸がボイラ本体の外側かつヘッダ接続領域の近傍に配置されているため、主蒸気管、低温再熱蒸気管及び高温再熱蒸気管の長さは、大幅に短縮される。
【0014】
復水蒸気タービンユニットについて、高レベルユニットは、同様に、いくつかのIPシリンダを備えており、高レベルユニットのHPシリンダ、いくつかのIPシリンダ及び高レベル発電機は、高レベル軸を構成する。
【0015】
復水蒸気タービンユニットについて、低レベルユニットは、同様に、いくつかのIPシリンダを備えており、低レベルユニットのいくつかのIPシリンダ、LPシリンダ及び低レベル発電機は、低レベル軸を構成する。
【0016】
背圧蒸気タービンユニットについて、背圧蒸気タービンユニットは、高レベルユニットのみを備えていてもよく、高レベルユニットのHPシリンダ、いくつかのIPシリンダ及び高レベル発電機は、高レベル軸を構成する。
【0017】
背圧蒸気タービンについて、タービンは、同様に、高レベルユニットと低レベルユニットとを備えており、高レベルユニットのHPシリンダ、いくつかのIPシリンダ及び高レベル発電機は、高レベル軸を構成し、低レベルユニットのいくつかのIPシリンダ及び低レベル発電機は、低レベル軸を構成する。
【0018】
本発明の上記形態において、高レベル軸は、ボイラ本体の外側かつヘッダ接続領域の近傍に配置されており、これにより、HTHP蒸気管の長さを大幅に短縮する。
【0019】
本発明のタービン発電機ユニットは、高レベル軸及び低レベル軸がそれぞれ異なるレベル(高レベル及び低レベル)に配置されており、高レベル軸がボイラのヘッダ接続領域の近傍に配置され、低レベル軸が従来の低位置に配置されている、設計図を採用している。高レベル軸がボイラのヘッダ接続領域の近傍に配置されているため、HTHP蒸気を伝送するために使用されるHTHP管は、大幅に短縮され、HTHP管の長さは、以前のHTHP管と比較したときにほとんど無視できる。その結果、タービン発電機ユニットのHTHP管のコストは、大幅に低減され、蒸気管にある圧力損失及び高圧蒸気の熱放射損失は、低減される。
【0020】
本発明におけるタービン発電機ユニットについて、再熱蒸気管の長さと、再熱蒸気管における圧力損失及び高圧蒸気の熱放射損失と、再熱系統に蓄積されている蒸気量と、を低減することにより、タービン発電機ユニットの効率は、増大し、ユニットの調整慣性は、さらに良好になる。
【0021】
背圧タービン発電機ユニットに適用可能であることに加え、本発明におけるタービン発電機ユニットの配置概念は、主として、復水蒸気タービン発電機ユニット(抽気復水蒸気発電機ユニットを含む)についての配置設計に適用可能であり、これは、両者の運転モードが現在ある二軸ユニットの従来の構成とほぼ同等であるためである。
【0022】
本発明のタービン発電機ユニットにおける高レベル発電機が電力をグラウンドに伝送するときに閉鎖母線(enclosed busbar)を延長する必要があるが、現在十分に開発されている閉鎖母線の投資コストと電力伝送についての追加コストとは、コストのかかる高パラメータの合金鋼で形成された蒸気管に関する規模の順で差がある。
【0023】
高レベル軸及び低レベル軸を異なるレベル(高レベル及び低レベル)に配置する設計図に基づいて、本発明における新型のタービン発電機ユニットは、従来技術におけるタービン発電機ユニットよりも優れた以下の有利点を有する。すなわち、HTHP蒸気管における大部分の圧力損失は、排除され、タービン発電機ユニットの作動能力は、改善される。このような有利点、すなわち、
(1) 高パラメータかつ高コストの管に対応する支持部、吊下部及び熱絶縁材料との投資コストの大部分が消滅すること、
(2) 蒸気の有害な容積が低減し、これによりタービン発電機ユニットの調整能力が大幅に改善されること、
(3) HTHP管を配置するために必要な工場建物の構造設計が簡素化され、対応する基金の負担及び土木工事のコストは、低減されること、
(4) 700℃クラスの高効率超超臨界ユニットの次世代を開発することへの制約の大部分が消滅し、これにより、現在の未臨界及び超臨界ユニットの「性能を向上させる」実用的な取り組みが提供されること、
は、二段再熱ユニットについてより明らかである。
【0024】
本発明における概念、具体的構造及び結果として得られる技術的効果は、添付の図面と組み合わせて以下にさらに説明され、これにより、本発明における目的、特徴及び効果は、十分に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来技術におけるタワー型ボイラと二段再熱タービンユニットとの従来の配置を示す図である。
図2】従来技術におけるタワー型ボイラと二軸二段再熱タービンユニットとの従来の配置を示す図である。
図3a】本発明の第1の実施形態におけるタービン発電器ユニットを示す配置図である。
図3b図3aをA方向から見た図である。
図3c図3aをB方向から見た図である。
図4a】本発明の第2の実施形態におけるタービン発電機ユニットを示す配置図である。
図4b図4aをA方向から見た図である。
図4c図4aをB方向から見た図である。
図5a】本発明の第3の実施形態におけるタービン発電機ユニットを示す配置図である。
図5b図5aをA方向から見た図である。
図5c図5aをB方向から見た図である。
図6a】本発明の第4の実施形態におけるタービン発電機ユニットを示す配置図である。
図6b図6aをA方向から見た図である。
図6c図6aをB方向から見た図である。
図7a】本発明の第5の実施形態におけるタービン発電機ユニットを示す配置図である。
図7b図7aをA方向から見た図である。
図7c図7aをB方向から見た図である。
図8a】本発明の第6の実施形態におけるタービン発電機ユニットを示す配置図である。
図8b図8aをA方向から見た図である。
図9】本発明の第2の実施形態における高レベル軸を示す別の配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図3a、図3b及び図3cは、双軸二段再熱超超臨界復水蒸気タービンユニット(a double-shaft double-reheat ultra-supercritical condensing steam turbine unit)である本発明の第1の実施形態をタワー型ボイラと共に示す配置図である。このユニットには、1つのHPシリンダ211、1つのIPシリンダI212、1つのIPシリンダII221及び2つのLPシリンダ222を含む5つのシリンダと4つの蒸気排気系統とが設けられており、HPシリンダ211とIPシリンダI212とは、単一のシリンダに組み込まれており、設計パラメータは、28MPa/600℃/600℃/600℃である。
【0027】
第1の実施形態における双軸超臨界タービン発電機ユニットは、この分野において一般に使用されるタワー型ボイラであるボイラ1であって、ボイラ本体14とすべてがボイラ本体14内に配置されている節炭器(economizer)18、3つの過熱器11、13、15及び2つの再熱器12、16とを備え、過熱器及び再熱器は、それぞれ蒸気入口及び出口が設けられており、従来技術において共通方式である蒸気入口及び出口のヘッダを形成しており、ヘッダ接続領域17は、蒸気入口及び出口のヘッダに対応する位置においてボイラ本体14に形成されている、ボイラ1と、HPシリンダ211とIPシリンダI212とを備える高レベルユニット21と、2つのLPシリンダ222とIPシリンダII221とを備える低レベルユニット22と、に分割されるタービンユニット2であって、高レベルユニット21と低レベルユニット22とは、管を介して接続されている、タービンユニット2と、高レベルユニット21に接続される高レベル発電機41と、低レベルユニット22に接続される低レベル発電機42と、を備える発電機ユニットと、を備える。
【0028】
また、双軸超臨界タービン発電機ユニットは、蒸気管系統3を備えており、蒸気管系統3は、HTHP蒸気を伝送する主蒸気管31であって、ボイラ1の過熱器13の出口をHPシリンダ211に接続する主蒸気管31と、低温一段再熱蒸気を伝送する低温一段再熱蒸気管32であって、HPシリンダ211をボイラ1の一段再熱器12に接続する低温一段再熱蒸気管32と、一段再熱器12の出口をIPシリンダI212に接続する高温一段再熱蒸気管33と、IPシリンダI212をボイラ1の二段再熱器16に接続する低温二段再熱蒸気管34と、二段再熱器16の出口をIPシリンダII221に接続する高温二段再熱蒸気管35と、IPシリンダII221を2つのLPシリンダ222に接続する普通の蒸気管と、を備えている。主蒸気管31、高温一段再熱管33及び高温二段再熱管35は、600℃クラスの高温合金鋼で形成されている必要がある。
【0029】
図3bに示すように、高レベルユニット21と高レベル発電機41とは、高レベル軸を構成する。図3cに示すように、低レベルユニット22と低レベル発電機42とは、低位置に配置された低レベル軸を構成する。
【0030】
図3aに示すように、本発明の特性は、高レベルユニット21が高レベル発電機41と共に高レベル軸を構成し、高レベル軸が高レベルプラットホーム5に配置されていることである。高レベルプラットホーム5は、ボイラ本体14の外側に配置されており、ヘッダ接続領域17とほぼ対応している。HPシリンダ211とIPシリンダI212とを組み合わせることによって形成された一体シリンダは、タワー型ボイラの前方において高レベルプラットホーム5に配置されている高レベルユニット21として使用される。HPシリンダ211とIPシリンダI212との蒸気入口及び出口は、ヘッダ接続領域17に可能な限り近接して配置されている。高レベルユニット21の蒸気入口及び出口は、HTHP管3を用いて、過熱器及び再熱器の蒸気入口及び出口のヘッダに接続されている。低レベルユニット22は、IPシリンダII221と2つのLPシリンダ222とを備えており、低レベル発電機42と共に低レベル軸を構成し、低レベル軸は、従来のタービンホールにおける低位置に配置されたままである。
【0031】
高レベルプラットホーム5とプラットホーム5に配置された高レベル軸とは、ボイラ本体14の後方に設けられた送気管19と重量で釣り合っており、一体構造用鋼の設計の安全性を保障している。本発明の他の形態では、高レベルプラットホームが削除され、替わりに、高レベル軸が懸架部を用いて持ち上げられている。
【0032】
この配置図において、高レベルユニット21にあるHPシリンダ211とIPシリンダI212とがヘッダ接続領域17に近接して配置されているため、ボイラ1の過熱器13の出口からタービンのHPシリンダ211へ延在する主蒸気管31は、大幅に短縮されており、したがって、HPシリンダ211から排気される蒸気、すなわち低温一段再熱蒸気は、低温一段再熱蒸気管32を通って加熱するために、ボイラの一段再熱器12へ直接戻る。加熱された高温一段再熱蒸気は、高温一段再熱管33のみを通ってIPシリンダI212に伝送される。その後、作業後、低温二段再熱蒸気は、低温二段再熱蒸気管34を通ってボイラ1に直接戻る。最後に、二段再熱器を通って加熱された後、高温二段再熱蒸気は、従来の経路にある蒸気管35を通って低位置に配置されているタービン発電機に送られて、低レベルユニット22のIPシリンダII222及びLPシリンダ221へ流入し、発電の作業を続ける。このようにして、異なるレベルに配置された高レベル軸及び低レベル軸を有する本発明のタービン発電機ユニットにおいて、従来技術にある5つの回路、すなわち主蒸気管31、低温一段再熱蒸気管32、高温一段再熱蒸気管33、低温二段再熱蒸気管34及び高温二段再熱蒸気管35を有する蒸気管系統は、主蒸気管31、低温一段再熱蒸気管32、高温一段再熱蒸気管33、低温二段再熱蒸気管34及び高温二段再熱蒸気管35の長さが短縮されて最小になるように変更されている。ボイラ1と高レベルユニット21との間の距離を無視する場合、これら4つの回路における管の長さは、高温二段再熱蒸気管35を除いて、ほぼ無視できる。
【0033】
管系統3について、発電機ユニットにおけるHTHP蒸気管であって高レベル軸及び低レベル軸が異なるレベルに配置されているHTHP蒸気管の投資コストは、著しく低減される。
【0034】
さらに、再熱系統に貯蔵された蒸気量について、図3aに示すように、本実施形態における発電機ユニットは、従来の配置における二段再熱系統の蒸気貯蔵量を著しく低減することができ、本発明の発電機ユニットにおける調整能力は、従来の一段再熱発電機ユニットにおける調整能力と同等である。
【0035】
本実施形態における双軸二段再熱超超臨界タービン発電機ユニットが異なるレベルに配置された高レベル軸及び低レベル軸を有しているため、従来技術における超臨界タービン発電機ユニットと比較した場合、主蒸気管、低温一段再熱蒸気管、高温一段熱蒸気管及び低温二段再熱蒸気管の長さは、ほぼ無視可能なまで低減され、蒸気管系統におけるHTHP蒸気管の投資金は、大幅に低減される。
【0036】
また、このような配置設計の実用的な用途において、高レベルユニット及び低レベルユニットは、互いに影響を引き起こさずに、バイパス機能を通って電力網に独立して接続される。IPシリンダI及びIPシリンダIIが異なるレベルで分離して配置されているため、高レベルユニットが何らかの過失の結果として外れた場合、蒸気は、バイパス系統を通って低レベルユニットに入り、正常に発電する。同様に、IPシリンダIから排気された蒸気は、バイパス系統を通って復水器へ直接流入し、高レベルユニットは、低レベルユニットが外れた場合においても正常に運転する。
【0037】
IPシリンダIIを従来のプラットホームに配置することによって、高レベルプラットホームへの負荷並びに軸系統の長さが低減され、これにより、このような高レベルユニットを初めに設計することの困難性を低減する。
【0038】
このようにして、本実施形態における超超臨界タービン発電機ユニットのHTHP蒸気管は、以下の有利点を有して大幅に短縮される。すなわち、第1に、HTHP蒸気管系統の投資金が明らかに低減されることである。第2に、管系統抵抗が大きく低減されること、一段再熱系統が加わるが、タービンの全作業能力の損失は、著しくは増大しない。再熱器自体の圧力降下を考慮すると、本実施形態における二段再熱系統の全作業能力の損失は、従来の一段再熱ユニットにおける損失と同等である。
【0039】
さらに、HTHP蒸気管の量を大幅に低減すると、系統の熱消費損失は、それに応じて低減する。さらに、再熱系統に貯蔵される蒸気量が増大しないため、本実施形態における発電機ユニットは、従来の一段再熱ユニットの調整慣性と同等の調整慣性を有する。一般的に、再熱系統の設計圧力降下は、再熱蒸気圧の6.7%〜10%であり、この圧力降下は、一般的に再熱蒸気管及び再熱器で均等に分配される。本発明における本実施形態は、例えば、高レベルユニットがHPシリンダとIPシリンダIとを備え、低レベルユニットがIPシリンダIIと2つのLPシリンダとを備えており、二段再熱サイクル設計を選択するために使用される。本実施形態における発電機ユニットについて、低温再熱蒸気管と高温再熱蒸気管とが一段再熱系統から削除されているため、再熱器の圧力降下のみが残り、これは、圧力降下が50%削減されることを意味する。二段再熱系統において低温二段再熱系統管のみが削除されると、圧力降下は、再熱器の段を追加して同様に約1/4削減され、全体的な均等な圧力降下は、1/4だけ増加する。したがって、従来技術の一段再熱サイクルと比較すると、二段再熱サイクルは、全体的に1/4だけ圧力降下を増加させる。本実施形態における主蒸気管の長さが無視できる程度に低減される場合、二段再熱系統の全作業能力は、一般的な一段再熱系統の全作業能力とほぼ同等になる。
【0040】
上記有利点により、二段再熱サイクルにおける理論上の熱経済性の増大は、ほとんど割り引かれること無く完全に実現される。
【0041】
図4a、図4b及び図4cは、本発明の第2の実施形態におけるタービン発電機についての配置図を示す図である。本実施形態は、発電機ユニット2がさらにIPシリンダII213を備える点を除いて、構造について第1の実施形態とほぼ同様である。IPシリンダII213は、高レベルユニット21の高レベルプラットホーム5に配置されており、HPシリンダ211、IPシリンダI212、IPシリンダII213及び高レベル発電機41は、高レベル軸を構成し、高レベル軸は、蒸気入口とボイラ1の出口との間のヘッダ接続領域17に近接する高レベルプラットホーム5に配置されている。2つのLPシリンダ211と低レベル発電機42とで構成される低レベル軸は、タービンホールにある従来のプラットホームに配置されている。本実施形態において、HPシリンダとLPシリンダとは、高位置に配置されており、HTHP管すべての長さは、無視可能である。低レベルプラットホームには、LPシリンダのみが配置されており、半速度発電機(half-speed generator)が設けられている。最終段翼の長さは、増大されており、排出速度損失を大幅に低減し、これにより、LPシリンダの効率を改善する。しかしながら、そうである場合、半速度発電機の製造コストは、若干増大する。
【0042】
二段再熱ユニットに適用された本発明の上記2つの実施形態は、それぞれの有利点を有する。いずれかを選択する判断は、プロジェクトの実用上の環境と組み合わせて技術的及び経済的効率の観点から比較した後になされる。
【0043】
本実施形態において、蒸気管系統3のすべてのHTHP蒸気管は、蒸気入口とボイラ1の出口とのヘッダ接続領域17に近接して配置されており、管の長さは、無視可能なほど低減される。このようにして、高位置から下方に延在する管のみは、IPシリンダII213の出口からLPシリンダ221へ延在するIPシリンダIIの蒸気排気管36よりなり、普通の炭素鋼材料から形成される場合に、適切にパラメータ要件に合う。この配置図において、主蒸気管31、低温一段再熱蒸気管32、高温一段再熱蒸気管33、低温二段再熱蒸気管34及び高温二段再熱蒸気管35のようなHTHP蒸気管すべての長さは、可能な限り低減され、これにより、従来の「4つの主要管」についての投資コストは、最小限に低減され、蒸気管系統3の投資コストを著しく下げる。しかしながら、もしそうである場合、LPシリンダ221の入口の前方に大径の迅速に閉塞するバタフライ弁をさらに配置する必要があり、LPシリンダが過剰な速度で実行されることを防止し、これにより、後置されているユニットの安全を保証する。現在において、このような圧力クラスにおいて大径の迅速に閉塞するバタフライ弁についての製造技術は、従来の技術となっている。
【0044】
したがって、特別大容量であるそれともより高い蒸気パラメータ(600℃を越える)を有するユニットについては、二段再熱蒸気管が効果であることを鑑みて、高レベルプラットホーム5にあるIPシリンダII213を配置することを最重視する。
【0045】
図5a、図5b及び図5cは、本発明の第3の実施形態におけるタービン発電機ユニットの配置図を示す図である。第3の実施形態は、本実施形態が本発明を一段再熱超臨界タービン発電機ユニットに適用している点を除いて、構造に関して第1の実施形態と同様である。第3の実施形態の構造は、発電機ユニット2にあるHPシリンダ211と高レベル発電機41とがボイラの蒸気入口及び出口のヘッダ接続領域17の近傍にある高レベルプラットホーム5に配置されている点と、低レベル軸が、低レベル発電機42と低レベルユニット22とからなり、IPシリンダ211とLPシリンダ222とを備え、タービンホールにある従来のプラットホームに配置されている点と、で第1の実施形態における構造と異なる。このような配置デザインは、蒸気管系統3における主蒸気管31及び低温再熱蒸気管32の長さがほとんど無視できるほどに短縮されており、高温の再熱蒸気管33のみが従来の再熱蒸気管と同等のままであり、HTHP蒸気管系統の投資が著しく低減されるという技術的効果を達成する。
【0046】
図6a、図6b及び図6cは、本発明の第4の実施形態におけるタービン発電機ユニットの配置図を示す図である。本実施形態は、同様に、一段再熱超臨界タービン発電機ユニットに適用している。本実施形態における構造は、本実施形態において、高レベル発電機41と高レベルユニット21であってHPシリンダ211とIPシリンダ212とを備える高レベルユニット21とからなる発電機ユニット2の高レベル軸がボイラ1の蒸気入口及び出口のヘッダ接続領域17の近傍にある高レベルプラットホーム5に配置されており、LPシリンダ211と低後置発電機42とよりなる低後置軸がタービンホールにある従来のプラットホームに配置されている点を除いて、第3の実施形態における構造と同様である。このような配置デザインは、主蒸気管31、低温再熱蒸気管32及び高温再熱蒸気管33の長さがほとんど無視できるほどに短縮されており、これにより、HTHP管すべての長さが最小限まで低減されるという技術的効果を達成する。高レベルから下方に延在する管は、IPシリンダ212の出口からLPシリンダ221へのみ延在するIPシリンダの蒸気排気管34からなり、管が普通の炭素鋼で形成された場合にパラメータ要件と十分に一致する。その結果、管系統の投資コストは、十分に減少する。
【0047】
図7a、図7b及び図7cは、本発明の第5の実施形態における二段再熱タービン発電機ユニットの配置図を示す図である。本実施形態における構造は、ユニットに適用されているボイラがΠタイプである点を除いて、第1の実施形態とほとんど同様である。図7aに示すように、発電機ユニット2にある一体型シリンダは、HPシリンダ211とIPシリンダI212とを一体化することによって形成されており、高レベルユニット21として機能し、Πタイプのボイラ1の頂部にあるプラットホーム5に配置されている。Πタイプのボイラ1における鋼構造は、この部品の重量を耐えることができる。低レベルユニット22は、LPシリンダ221とIPシリンダII222とから構成され、依然として従来の低位置に配置されている。高レベル発電機41を有する高レベルユニット21は、高レベル軸を構成する。低レベル発電機42を有する低レベルユニット22は、低レベル軸を構成する。高レベル軸がボイラ1の蒸気入口及び出口のヘッダ接続領域17の近傍に配置されていることにより、HTHP管31、32、33及び34の長さは、ほぼ無視可能であり、高温二段再熱管35のみが残されている。その結果、管の投資コストは、大幅に低減され、抵抗損失は、減少し、ユニットの調整能力は、改善される。
【0048】
図8a及び図8bは、本発明の第6の実施形態における背圧蒸気タービンユニットについての配置図を示す図である。本実施形態における構成は、低レベルユニットが背圧蒸気タービンユニットから除去されている点を除いて、第1の実施形態における構成とほとんど同様である。本実施形態において、高レベル軸は、高レベル発電機4と高レベルユニット21であってHPシリンダ211とIPシリンダ212とを備える高レベルユニット21とからなり、ボイラ1の蒸気入口及び出口のヘッダ接続領域17の近傍にある高レベルプラットホーム5に配置されており、従来低レベルプラットホームに配置されている低レベル軸は、除去されており、IPシリンダ212の出口から排気される蒸気は、熱供給ユーザに直接供給される。
【0049】
上記配置図の結果として、蒸気管系統3におけるHTHP蒸気管31、32及び33の長さは、大幅に低減され、IPシリンダの出口から下方に延在する普通の排気蒸気管34のみは残り、投資コストは大幅に低減され、抵抗損失は減少し、ユニットの調整能力は改善される。
【0050】
背圧型ユニットに本発明を適用する配置図は、1つのみ本発明に提供されている。本発明の他の実施形態において、IPシリンダを従来の低レベルプラットホームに配置することとHPシリンダのみを高レベルプラットホームに配置することとは、同様に実行可能であり、この実施は、二段再熱器ユニットに同様に適用可能である。
【0051】
本発明のタービン発電機ユニットに高レベル及び低レベル軸の配置についての設計構成を適用すると、タービン発電機ユニットは、2つの軸、すなわち高レベル軸及び低レベル軸に分割され、これらは、異なるレベルに配置されている。本発明のタービン発電機ユニットは、高レベル軸と低レベル軸との配置において、従来の発電機ユニットと異なる。高レベル軸は、過熱器の出口及びとボイラにある再熱器の出口のヘッダの近傍にある高レベルプラットホームに配置されており、低レベル軸は、タービンホールにある従来のプラットホームに配置されている。
【0052】
ボイラと対比して考えると、高レベル軸とプラットホーム全体との重量は、ボイラの重量と比較してほぼ無視できる。したがって、大型平板ガードにあるプラットホーム全体と共に高レベル軸を懸架することは、困難でなく、Π型ボイラの場合、ボイラの頂部に高レベルユニットを配置することは、より容易である。設計工程において、ボイラの頂部又はボイラの前方に配置される高レベルタービン発電機についての配置及び土台設計を考慮することは、高レベルユニットの振動エネルギーを吸収することとボイラの鋼構造体とボイラの土台とを広範囲に接続することと同様に、重要である。これら問題すべては、現在の技術基盤で取り組まれる。
【0053】
電気系統として、高レベル及び低レベル軸を分離して配置しても、電気系統に特別な要件がない、すなわち発電機、主変圧器、閉鎖母線または発電機の出力回路のブレーカなどは、普通の電力プラントにある従来の双軸タービン発電機ユニットで使用されている製品と同様に、すべて十分に開発された製品であり、製品設計の豊富な経験、構造及び運転は、蓄積されている。主電気接続部は、延長したユニット配線を用いて形成され、1つの主変圧器が設けられている、あるいは、主電気接続部は、発電機−変圧器グループユニット配線を用いて形成され、2つの主変圧器が設けられている、そして、高レベル発電機及び低レベル発電機は、電力網に別個に接続されている。これは、現在の家庭用発電装置で普通に用いられている主接続モードであり、これは、豊富な経験が蓄積されており、かつ必要な投資コストが小さいという有利点を有し、あるいは、回路ブレーカは、発電器の出力に設けられており、高レベル発電機及び低レベル発電機は、HV(高電圧)側またはLV(低電圧)側のいずれかにある電力網に接続される。この設計は、主変圧器が点検ステーション(station service)に電力を戻して伝送し、始動予備変圧器(starting standby transformer)は、除去されるが、追加の発電機ブレーカは、必要である。2つの態様における投資は、釣り合っている。上記主接続モードは、本発明のさまざまな実施形態に適用可能である。
【0054】
分離して配置した状態における発電機−変圧器グループユニットの配線接続について、主変圧器は、本館の外側にあるブースタステーション側に集中して配置されている、すなわち、2つの主変圧器は、一緒に配置されており、高レベル発電機の閉鎖母線は、主発電所を通って経路が作られている。可能である場合、主変圧器は、それらそれぞれの発電機の周辺に別個に配置されており、例えば、1つの変圧器は、本館の外側にあるブースタステーションに配置されており、他の1つは、高レベル発電機プラットホームまたはボイラの近傍に配置されており、閉鎖母線の長さを低減する。
【0055】
発電能力が原動力(primer mover)の出力によって制限されるが、主接続モード及び配置図が適用される場合、原動力の出力は、ボイラ及びタービンに現在使用可能である十分に開発された技術を用いることによって、1300MW〜1500MW(ボイラ:軟炭を発火させること:タービン発電機ユニット:双軸)と同等に達する。したがって、この設計のユニット容量は、現在の単一軸ユニットが達する容量である100MWをはるかに越える。すなわち、主接続モード及び配置図は、大型ユニットの寸法効果を反映するだけでなく、送電への要件に合致する。
【0056】
一段の大容量の発電機を2つの小容量の発電機に分割した場合、全体の製造コストに明確な増大が認められない。もちろん、本発明のように高レベル及び低レベル軸についての配置図にしたがって二段再熱系統を使用することにより、ボイラ及びタービンの投資コストを増大させる結果となる。しかしながら、HTHP蒸気管の投資を十分に低減すると、全体のユニット価格は、従来技術におけるユニットの価格と同等になる。効率を改善するという観点から、高レベル及び低レベルそれぞれに配置された2つの軸を有する二段再熱蒸気タービンは、以下の有利点、すなわち本発明の発電機ユニットの能力期間が長い点から費用効率が高いこと、を有する。
【0057】
第1に、IPシリンダIは、単流型として設計されており、単流HPシリンダと一体化されている。単流IPシリンダは、増大した翼高さを有し、IPシリンダIの効率を著しく改善する、すなわち、IPシリンダIの蒸気流動方向は、HPシリンダの蒸気流動方向とは反対であり、HPシリンダによって形成されたスラスト(thrust)とほぼ同じであり、これにより、バランスドラムの必要性を解消し、蒸気漏れを低減し、かつHPシリンダの効率を改善する、さらに、HPシリンダのグランド封水からの蒸気漏れがIPシリンダIへ直接流動するため、HPシリンダのグランド封水からの蒸気漏れは、低減され、IPシリンダIの蒸気入口にあるグランド封水からの蒸気漏れは、無くなり、全体効率をさらに改善する。IPシリンダIの蒸気排気圧力が2MPa〜3MPaと同等であるため、最終段におけるIPシリンダIの翼は、長すぎず、そのため、HPシリンダとIPシリンダIとを一体化することは、比較的容易になる。
【0058】
図9は、本発明の第2の実施形態における高レベル軸についての他の配置図を示す図である。本実施形態における高レベル軸についての配置図は、本実施形態では分離して配置することをHPシリンダ211とIPシリンダI212とについて適用する、すなわちHPシリンダ211とIPシリンダI212とが分離して配置されている点で、第2の実施形態におけるHPシリンダ211とIPシリンダI212からなる一体化したシリンダについての配置図と異なる。全体として、この配置図は、シリンダについての一体化した配置図の技術的効果と同一の技術的効果が得られる。
【0059】
本発明の他の実施形態において、複数のシリンダからなる高レベル軸は、同様にこのように分離して配置されており、1つずつは記載しない。
【0060】
本発明の設計概念、すなわち2つの軸が高レベル及び低レベルそれぞれに配置されていることは、以下の表に記載されるさまざまな構成を有する発電機ユニットに適用可能である。当業者に既知であるように、IPシリンダの数量は、2つに限られない。
【0061】
【表1】
【0062】
発電機ユニットが双軸配置となっているため、タービン発電機ユニットの能力は、現在のレベルを著しく越える。HPシリンダについて、調整段が採用されていない場合、電力の増大は、第1段の翼の安全性に影響し、質量流量の増大は、主蒸気圧の増大に起因する比容積の低下を保証し、これにより、HPシリンダの内部効率を確保する。同様に、IPシリンダについて、質量流量の増大は、内部効率の増大に寄与する。低レベルユニットについて、質量流量を増大させた後、LPシリンダを追加して排気面積を保証することは、実行可能である。IPシリンダIIが3つのLPシリンダと結合した場合でも、4つのシリンダが設けられた後置のタービンは、現在の単一軸ユニットにおける軸の安定配置より大きくならない。後置のタービンに4つのシリンダが設けられており、かつLPシリンダの蒸気排気面積が3×12.5mと仮定した場合、ユニット容量は、1500MWのレベルに達する。
【0063】
従来技術における28MPa/600℃/600℃クラスの一段再熱の2×1000MWの超超臨界ユニットを例とすると、このような一段再熱ユニットを建設することについての投資コストは、「4つの主要管」(すなわち、主蒸気管、高温再熱蒸気管、低温再熱蒸気管及び高圧水供給管)についての約3.5億人民元(RMB 0.35 billion)の投資を含んで、約80億人民元(RMB 8 billion)となる。28MPa/600℃/600℃のパラメータを有する同一の温度及び圧力クラスの二段再熱構造をこのようなユニットに採用した場合、ユニットサイクル効率は、約5%増大する。そうすると、再熱蒸気管の個数は、2倍になり、各タービンは、追加の再熱段と共に追加のIPシリンダを必要とし、ボイラの製造コストを増大させる結果となる。その上、さらに大きなプラント建物のスペースを新たに追加した二段高温及び低温再熱蒸気管を配置するために必要となるため、プラント建物を建設する投資コストが著しく増大する結果となる。一方、本発明の設計を採用する場合、高温蒸気管のコストは、80%より大きく節約され、投資のこの部分の節約は、追加の一段再熱を有するボイラ及び蒸気タービンへの投資の増大を保証するために使用される。一般に、その製造コストは、同一の温度及び温度クラスを有する一段再熱超超臨界ユニットの製造コストと同等である。前者のユニット効率は、管圧力降下の減少と全体のタービン効率の改善とを勘案すると、後者と比較して約5%〜6%増大し、ユニットの熱効率が48%を越えることが予想される。2つの1000MWのユニットが設けられた超超臨界電力プラントは、このような構成が採用された場合に200000トン/年を越える石炭消費量を節約する。
【0064】
高レベルユニットのみが設けられたこれら背圧型ユニットを除いて、本発明のタービン発電機ユニットにおける開始及び動作モードは、従来の双軸のユニットにおける開始及び動作モードと同様である。高レベルユニットの伝送について、閉鎖母線に使用される技術は、十分開発されており、その製造コストは、コストのかかる高合金蒸気管の製造コストよりもかなり低く、このため、結果として明確な経済的な有利点が生じる。本発明の構造概念をさまざまな発電機ユニットに適用することは、700℃クラスの高効率な超超臨界ユニットにおける次世代の開発についてのボトルネックを突破するだけでなく、現在の未臨界及び超臨界ユニットの「性能向上させること」に対する実行可能な方法を提供する。
【0065】
本発明は、以下の有利点及び効果、すなわち、タービン発電機ユニットを高レベル及び低レベルに分離して配置することによってHTHP管の長さ及び系統抵抗が著しく低減されることと、再熱系統に貯蔵される蒸気量及びユニットの調整慣性が減少することと、二段再熱または多段再熱の理論上の利点が割り引かれること無く取り戻せることと、を有する。系統の熱効率は、同一の製造コストで著しく改善される、すなわち、ユニット容量についてのボトルネックが突破され、新たなスペースが火力発電機ユニットのさらなる開発に提供される。
【0066】
要約すると、本説明は、本発明のいくつかの好ましい実施形態を提供するのみである。従来技術に基づきかつ本発明の概念にしたがって論理解析、論理的思考または限定的実験を経て当業者によって達成される技術解決法は、本発明の特許請求の範囲内に収まる。
【符号の説明】
【0067】
1 タワー型ボイラ,ボイラ、2 双軸二段再熱タービンユニット,二段再熱タービンユニット,タービンユニット、発電機ユニット、3 蒸気管系統,管系統、HTHP管、4,41 高レベル発電機、11,13,15 過熱器、12 一段再熱器,再熱器、14 ボイラ本体、16 二段再熱器,再熱器、17 ヘッダ接続領域、21 高レベルユニット、22 低レベルユニット、31 主蒸気管,蒸気管,HTHP管、32 低温一段再熱蒸気管,低温再熱蒸気管、33 高温一段再熱蒸気管,高温一段再熱管,高温再熱蒸気管,再熱蒸気管、34 低温二段再熱蒸気管,蒸気排気管,排気蒸気管,HTHP管、35 高温二段再熱蒸気管,高温二段再熱管,蒸気管、36 蒸気排気管、42 低レベル発電機,低後置発電機、211 HPシリンダ、212 IPシリンダI、213 IPシリンダII、221 IPシリンダII、222 LPシリンダ
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図9