特許第6556831号(P6556831)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556831貨物倉コーナー部防壁構造および貨物倉コーナー部防壁設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556831
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】貨物倉コーナー部防壁構造および貨物倉コーナー部防壁設置方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 25/16 20060101AFI20190729BHJP
   B65D 90/06 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   B63B25/16 103
   B65D90/06 A
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-508530(P2017-508530)
(86)(22)【出願日】2015年8月18日
(65)【公表番号】特表2017-524596(P2017-524596A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】KR2015008595
(87)【国際公開番号】WO2016036026
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2017年2月14日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0115068
(32)【優先日】2014年9月1日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0115074
(32)【優先日】2014年9月1日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514250621
【氏名又は名称】サムスン ヘビー インダストリーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジニョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,デジュン
【審査官】 福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】 カナダ国特許出願公開第00909697(CA,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0013258(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0099907(KR,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1368763(KR,B1)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0135494(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0003038(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2005−0098687(KR,A)
【文献】 特開平07−256452(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0028823(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0143347(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0141020(KR,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02306064(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 25/16
B65D 90/06
F17C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ単一体で分離製作され、貨物倉のコーナー部に設置される第1コーナー部断熱ボードと第2コーナー部断熱ボードを含むものの、前記第1コーナー部断熱ボードの一側傾斜面に前記第2コーナー部断熱ボードの傾斜面が密着して界面を形成するコーナー部下部断熱ボードと、
前記界面を中心に曲面形状のコーナー部位が配置され、前記第1コーナー部断熱ボードと前記第2コーナー部断熱ボード上部にかけて両端部側が締結部材によって結合される曲面型2次防壁と、
前記曲面型2次防壁と連結されるように前記貨物倉の平坦部に設置される平坦部下部断熱ボードと前記コーナー部下部断熱ボードにかけて配置された平板型2次防壁と、
前記コーナー部下部断熱ボードと対応するように前記平板型2次防壁および前記曲面型2次防壁上部に配置された一体型のコーナー部上部断熱ボードと、
前記コーナー部下部断熱ボード上部溝に挿入されて締結部材によって結合された固定片と、
前記平板型2次防壁の貫通ホールを通じて前記コーナー部上部断熱ボードの内部ホール側に突出するように前記固定片の結合溝に垂直結合された結合ボルト;および
前記コーナー部上部断熱ボードと前記コーナー部下部断熱ボード間の機械的な結合が形成されるように前記結合ボルトに締結される締結ユニットを含み、
前記第1コーナー部断熱ボードと前記第2コーナー部断熱ボードは下部保護板、下部断熱部材および下部補助パネルが積層された形態であり、
前記下部断熱部材および前記下部補助パネルは、上部コーナー部で傾斜した形態に面取りされている
貨物倉コーナー部防壁構造。
【請求項2】
前記界面を中心に前記曲面型2次防壁を支持するように前記コーナー部下部断熱ボードの上部に配置され、前記第1コーナー部断熱ボードと前記第2コーナー部断熱ボード間の結合角度に対応する後面角部と、前記曲面型2次防壁のコーナー部位の形状に対応する形状の上端部を有する支持部材をさらに含む、請求項1に記載の貨物倉コーナー部防壁構造。
【請求項3】
前記コーナー部下部断熱ボード間にかけて配置されて前記曲面型2次防壁間の空間をカバーし、前記曲面型2次防壁と前記平板型2次防壁と連結される継手2次防壁をさらに含む、請求項1に記載の貨物倉コーナー部防壁構造。
【請求項4】
前記締結ユニットは、
前記結合ボルトに結合されるワッシャーと、
前記結合ボルトに結合されて前記ワッシャーの上部から下方に力が加えられるように締め付けられるナットとを含む、
請求項1に記載の貨物倉コーナー部防壁構造。
【請求項5】
(a)それぞれ単一体で製作されて分離した状態のコーナー部下部断熱ボードの第1コーナー部断熱ボードおよび第2コーナー部断熱ボードを、相互の傾斜面が密着して界面を形成するように貨物倉のコーナー部底面および側面にそれぞれ設置する段階と、
(b)前記界面を中心に曲面形状のコーナー部位が配置されるように、前記第1コーナー部断熱ボードと前記第2コーナー部断熱ボード上部にかけて曲面型2次防壁を締結部材によって結合させる段階と、
(c)前記曲面型2次防壁と連結されるように、前記貨物倉の平坦部に設置される平坦部下部断熱ボードおよび前記コーナー部下部断熱ボードにかけて平板型2次防壁を配置させる段階と、
(d)前記コーナー部下部断熱ボードと対応するように前記平板型2次防壁および前記曲面型2次防壁上部に一体型のコーナー部上部断熱ボードを配置させる段階と、を含むものの、
前記(d)段階は
前記コーナー部下部断熱ボードの上部溝に固定片を挿入させて締結部材によって結合させる段階と、
前記平板型2次防壁の貫通ホールを通じて前記コーナー部上部断熱ボードの内部ホール側に突出するように前記固定片の結合溝に結合ボルトを垂直結合させる段階と、
前記コーナー部上部断熱ボードと前記コーナー部下部断熱ボード間に機械的な結合が形成されるように前記結合ボルトに締結ユニットを締結させる段階を含み、
前記第1コーナー部断熱ボードと前記第2コーナー部断熱ボードは下部保護板、下部断熱部材および下部補助パネルが積層された形態であり、
前記下部断熱部材および前記下部補助パネルは、上部コーナー部で傾斜した形態に面取りされる
貨物倉コーナー部防壁設置方法。
【請求項6】
前記(c)段階の後、
前記曲面型2次防壁間の空間をカバーしつつ、前記曲面型2次防壁と前記平板型2次防壁とが連結されるように継手2次防壁を前記コーナー部下部断熱ボード上に配置させる段階をさらに含む、
請求項5に記載の貨物倉コーナー部防壁設置方法。
【請求項7】
前記(a)段階の後、
前記第1コーナー部断熱ボードと前記第2コーナー部断熱ボード間の結合角度に対応する後面角部と、前記曲面型2次防壁のコーナー部位の形状に対応する凹状の上端部を有する支持部材を前記コーナー部下部断熱ボードの上部に配置させる段階をさらに含む、
請求項5に記載の貨物倉コーナー部防壁設置方法。
【請求項8】
記上部断熱ボードは上部補助パネル、上部断熱部材および上部保護板が積層された形態であり、
前記下部補助パネルの上部溝には締結部材によって結合された前記固定片が設けられ、
前記締結ユニットはワッシャーとナットを含み、
前記締結ユニットを前記結合ボルトに締結させる過程は、
前記結合ボルトに前記上部補助パネルによって支持されるように前記ワッシャーを締結し、
前記ワッシャーの上部から下方に力が加えられるように前記結合ボルトに前記ナットを締結する過程からなる、
請求項5に記載の貨物倉コーナー部防壁設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貨物倉コーナー部防壁構造および貨物倉コーナー部防壁設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
極低温流体(例えば、LNG)を運搬する船舶貨物倉の防壁構造は通常、1次防壁、上部断熱ボード、2次防壁および下部断熱ボードが結合された構造である。これは、1次防壁に少量の極低温流体の漏出がある場合、2次防壁で該当流体の追加的な漏出を防止するためである。
【0003】
貨物倉コーナー部には、コーナー部の形態によって製作された下部断熱ボード、2次防壁および上部断熱ボードが設置される。このとき、コーナー部下部断熱ボードは通常、一体型で製作されてコーナー部に設置され、コーナー部上部断熱ボードも一体型で製作されてコーナー部下部断熱ボードの上部に配置された2次防壁の上に設置される。これと関連した技術が韓国公開特許第10−2008−0081314号(2010.03.03.公開)に開示されている。
【0004】
しかし、コーナー部下部断熱ボードはプライウッド材質の下部保護板とフォーム材質の下部断熱部材を接着する方式で製作されて、極低温流体による熱応力と船体(hull)の変形による剥離応力(peel stress)およびせん断応力(shear stress)などに弱い問題点がある。すなわち、多様な荷重条件において収縮膨張しながら発生する荷重に耐えることができなく、変形または破損する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施例は様々な荷重条件に効率的に対応できる貨物倉コーナー部防壁構造および貨物倉コーナー部防壁設置方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によれば、それぞれ単一体で分離製作され、貨物倉のコーナー部に設置される第1コーナー部断熱ボードと第2コーナー部断熱ボードを含むコーナー部下部断熱ボードを含むものの、前記第1コーナー部断熱ボードと前記第2コーナー部断熱ボードは下部保護板、下部断熱部材および下部補助パネルが積層された形態であり、前記第1コーナー部断熱ボードの一側傾斜面に前記第2コーナー部断熱ボードの傾斜面が密着して界面を形成する貨物倉コーナー部防壁構造が提供され得る。
【0007】
前記界面を中心に曲面形状のコーナー部位が配置され、前記第1コーナー部断熱ボードと前記第2コーナー部断熱ボードの上部にかけて両端部側が締結部材によって結合される曲面型2次防壁をさらに含むことができる。
【0008】
前記界面を中心に前記曲面型2次防壁を支持するように前記コーナー部下部断熱ボードの上部に配置され、前記第1コーナー部断熱ボードと前記第2コーナー部断熱ボード間の結合角度に対応する後面角部と、前記曲面型2次防壁のコーナー部位の形状に対応する形状の上端部を有する支持部材をさらに含むことができる。
【0009】
前記曲面型2次防壁と連結されるように前記貨物倉の平坦部に設置される平坦部下部断熱ボードと前記コーナー部下部断熱ボードにかけて平板型2次防壁が配置され、前記コーナー部下部断熱ボード間にかけて配置されて前記曲面型2次防壁間の空間をカバーし、前記曲面型2次防壁と前記平板型2次防壁と連結される継手2次防壁をさらに含むことができる。
【0010】
一体型で製作され、前記コーナー部下部断熱ボードと対応するように前記コーナー部2次防壁上部に配置されるコーナー部上部断熱ボードをさらに含むことができる。
【0011】
前記上部断熱ボードは上部補助パネル、上部断熱部材および上部保護板が積層された構造であり、前記下部補助パネルの上部溝に挿入されて締結部材によって結合された固定片と、前記固定片の結合溝に垂直結合されて前記上部断熱ボードの内部ホール側に突出した結合ボルトと、前記結合ボルトに結合され、前記上部補助パネルによって支持されるワッシャーと、前記結合ボルトに結合されて前記ワッシャー上部から下方に力が加えられるように締め付けられるナットをさらに含むことができる。
【0012】
本発明の他の側面によれば、(a)第1コーナー部断熱ボードと前記第1コーナー部断熱ボードの一側に一定の結合角度を有しながら設置される第2コーナー部断熱ボードを含むコーナー部下部断熱ボードを貨物倉のコーナー部に設置する段階;(b)前記コーナー部下部断熱ボードの上部に2次防壁を設置する段階;および(c)前記2次防壁上部にコーナー部上部断熱ボードを設置する段階;を含むものの、前記第1コーナー部断熱ボードと第2コーナー部断熱ボードはそれぞれ単一体で分離製作され、前記コーナー部上部断熱ボードは一体型で製作された貨物倉コーナー部防壁設置方法が提供され得る。
【0013】
前記(b)段階は、前記第1コーナー部断熱ボードと前記第2コーナー部断熱ボード間の結合角度に対応して曲がった曲面型2次防壁を締結部材によって前記第1コーナー部断熱ボードおよび前記第2コーナー部断熱ボードの上部にかけて結合させる段階と、前記貨物倉の平坦部に設置される平坦部下部断熱ボードと前記コーナー部下部断熱ボードにかけて前記曲面型2次防壁と連結されるように平板型2次防壁を配置させる段階と、前記曲面型2次防壁間の空間をカバーしながら前記曲面型2次防壁と前記平板型2次防壁が連結されるように継手2次防壁を前記コーナー部下部断熱ボード上に配置させる段階を含む。
【0014】
前記(a)段階以後に、前記第1コーナー部断熱ボードと前記第2コーナー部断熱ボード間の結合角度に対応する後面角部と、前記曲面型2次防壁のコーナー部位の形状に対応する凹状の上端部を有する支持部材を前記コーナー部下部断熱ボードの上部に配置させる段階をさらに含む。
【0015】
前記(a)段階は前記第1コーナー部断熱ボードの一側傾斜面に前記第2コーナー部断熱ボードの傾斜面が密着して界面を形成するように前記第1コーナー部断熱ボードと前記第2コーナー部断熱ボードを設置する段階を含み、前記曲面型2次防壁を結合させる段階は前記界面を中心に前記曲面型2次防壁の曲面形状のコーナー部位が配置されるようにする。
【0016】
前記第1コーナー部断熱ボードと前記第2コーナー部断熱ボードは下部保護板、下部断熱部材および下部補助パネルが積層された形態であり、前記上部断熱ボードは上部補助パネル、上部断熱部材および上部保護板が積層された形態であり、前記下部補助パネルの上部溝には締結部材によって結合された固定片が設けられ、前記(c)段階は、前記固定片の結合溝に垂直結合されて前記上部断熱ボードの内部ホール側に突出した結合ボルトに前記上部補助パネルによって支持されるようにワッシャーを締結する段階と、前記ワッシャー上部にナットを締結して下方に加圧する段階を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施例による貨物倉コーナー部防壁構造および貨物倉コーナー部防壁設置方法は多様な荷重条件に効率的に対応することができる。
【0018】
また、それぞれ単一体で分離製作されて貨物倉のコーナー部に横方向と縦方向に設置される第1コーナー部断熱ボードと第2コーナー部断熱ボードを含むコーナー部下部断熱ボードを設けることによって、極低温流体による熱応力と船体変形による剥離応力およびせん断応力などに効率的に対応することができる。
【0019】
本発明の効果は前記で言及した効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例による貨物倉防壁構造の斜視図。
図2図1に図示された防壁構造のうちコーナー部および平坦部に下部断熱ボードおよびその一部に2次防壁が設置された形態を示した斜視図。
図3】分離製作されたコーナー部下部断熱ボードが図2に図示された貨物倉コーナー部に設置される前の姿を斜視図で図示した図面。
図4図3に図示されたコーナー部下部断熱ボードが貨物倉コーナー部に設置された姿を斜視図で図示した図面。
図5図4に図示されたコーナー部下部断熱ボードをスタッドボルトを利用して船体の内壁に固定させた姿を断面図で図示した図面。
図6図4に図示されたコーナー部下部断熱ボードの上部に支持部材が設置された姿を斜視図で図示した図面。
図7図6に図示された支持部材上部に曲面型2次防壁を配置させた姿を斜視図で図示した図面。
図8図7に図示された曲面型2次防壁と連結されるように平板型2次防壁と継手2次防壁を設置した姿を斜視図で図示した図面。
図9図8に図示された2次防壁上部に結合ボルトを利用してコーナー部上部断熱ボードを設置した姿を断面図で図示した図面。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では本発明の実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。以下に紹介される実施例は本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者に本発明の思想を十分に伝達させるために例として提供されるものである。本発明は以下で説明される実施例に限定されず、他の形態でも具体化され得る。本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は図示を省略し、図面において、構成要素の幅、長さ、厚さなどは便宜のために誇張して表現され得る。明細書全体に亘って同じ参照番号は同じ構成要素を指し示す。
【0022】
図1図2を参照すれば、本発明の実施例による極低温流体(例えば、液化天然ガス(LNG))を貯蔵する貨物倉の防壁構造はコーナー部および平坦部に設置される。貨物倉のコーナー部に設置される防壁構造はコーナー部下部断熱ボード110、コーナー部2次防壁、コーナー部上部断熱ボード160および結合装置を含む。
【0023】
図2図3を参照すれば、コーナー部下部断熱ボード110はそれぞれ単一体で分離製作された第1コーナー部断熱ボード110aと第2コーナー部断熱ボード110bを含む。第1コーナー部断熱ボード110aは貨物倉のコーナー部底面に配置され、第2コーナー部断熱ボード110bは貨物倉のコーナー部の側面に配置される。貨物倉の側面側に傾斜面(G1)を形成する第1コーナー部断熱ボード110aの一側には第2コーナー部断熱ボード110bの傾斜面(G2)が密着して界面(B)を形成する。貨物倉コーナー部位形態により第1コーナー部断熱ボード110aと第2コーナー部断熱ボード110bは例えば、90度、135度などの多様な角度で配置され得る。以下の実施例では理解を助けるために第1コーナー部断熱ボード110aと第2コーナー部断熱ボード110bが90度角度で配置されたものを例にして説明する。
【0024】
第1コーナー部断熱ボード110aと第2コーナー部断熱ボード110bはそれぞれ下部保護板111、下部断熱部材112および下部補助パネル113が積層された構造であり得る。これは貨物倉平坦部に設置される平坦部下部断熱ボード10も同じである。下部保護板111は例えば、プライウッドなどで製作され得る。下部断熱部材112は下部保護板111上部に接着剤(例えばグルーなど)により接合され得、ポリウレタンフォーム(PUF、Polyurethane Foam)、強化ポリウレタンフォーム(RPUF、Reinforced PUF)などで製作されて極低温状態の流体から船体を保護することができる。下部断熱部材112の上部の下部補助パネル113はプライウッドなどで製作され得る。下部断熱部材112と下部補助パネル113は上部の角部位が傾斜した形態に面取り(C)処理されて、2次防壁しわ部の交差する部位が該当部位に適合に配置されるようにすることができる。
【0025】
図4図5を参照すれば、コーナー部下部断熱ボード110は船体の内壁2にマスチック3、スタッドボルト4などによって固定され得る。スタッドボルト4は船体の内壁2に垂直固定され、コーナー部下部断熱ボード110に形成された内部ホール(S1)に差し込まれる。スタッドボルト4の下部は船体の内壁2に溶接接合され得る。スタッドボルト4に締結されるワッシャー5は下部保護板111により支持され、ワッシャー5上部にナット6が締結されて下方に加圧することができる。スタッドボルト4が設置された下部断熱ボード110の内部ホール(S1)には、例えばフォーム材質のプラグ部材7が配置され得る。
【0026】
図6に図示した通り、支持部材130は界面(B)を中心にコーナー部下部断熱ボード110の上部に配置される。支持部材130は上部に配置される曲面型2次防壁121を支持するように第1コーナー部断熱ボード110aと第2コーナー部断熱ボード110bにかけて界面(B)を中心に密着するように配置される。支持部材130は第1コーナー部断熱ボード110aと第2コーナー部断熱ボード110b間の結合角度に対応する後面角部130aと、曲面型2次防壁121のコーナー部位121aの形状に対応する凹状の上端部130bを有する。このような支持部材130は曲面型2次防壁121のコーナー部位121aとコーナー部下部断熱ボード110間の隙間に密着するように配置されるため、曲面型2次防壁121とコーナー部下部断熱ボード110の間より安定した結合をなさせ、多様な条件で作用する荷重に効果的に対応することができるようにする。
【0027】
コーナー部2次防壁は曲面型2次防壁121と継手2次防壁(123、図8参照)を含む。
【0028】
図7を参照すれば、曲面型2次防壁121は支持部材130の上部に配置されるものの、界面(B)を中心に曲面形状のコーナー部位121aが配置される。曲面型2次防壁121は曲面型のコーナー部位121aから両側に平坦部位121bを延長形成し、第1コーナー部断熱ボード110aと第2コーナー部断熱ボード110b間の結合角度によりコーナー部位121aの曲がった程度があらかじめ設計および製作され得る。本発明の実施例で曲面型2次防壁121は、平坦部位121b間に形成される角度が90度角度をなすように製作され得る。曲面型2次防壁121はリベットなどを含む締結部材(R1)により両側の平坦部位121bの端部側が第1コーナー部断熱ボード110aと第2コーナー部断熱ボード110bの上部にそれぞれ結合される。このように、第1コーナー部断熱ボード110aと第2コーナー部断熱ボード110bは上部に配置される曲面型2次防壁121によって相互の傾斜面(G1、G2、図3参照)が密着した状態で効果的に結合され得る。
【0029】
図2および図8を参照すれば、貨物倉の平坦部に設置される平坦部下部断熱ボード10およびコーナー部下部断熱ボード110にかけて上部に曲面型2次防壁121と連結される平板型2次防壁122が配置される。平坦部下部断熱ボード10は上部溝に横および縦方向にストリップ部材12を設けることができる。平坦部下部断熱ボード10は説明の便宜上図8では図示していない。
【0030】
平板型2次防壁122は平坦部下部断熱ボード10の上部および/またはこれら10間の空間をカバーすることができる。また、平板型2次防壁122は両側のコーナー部下部断熱ボード110にそれぞれ配置された曲面型2次防壁121と周辺部が連結されるように配置されて、貨物倉コーナー部と平坦部の下部断熱ボード110、10の上部および/またはこれら下部断熱ボード110、10間の空間をカバーすることができる。平板型2次防壁122は平坦部下部断熱ボード10の上部および/またはこれら10間の空間をカバーするように平坦部下部断熱ボード10の上部に設けられたスタッドボルト5に結合される方式で設置され得る。このとき、スタッドボルト5は正四角形の形態で配列された平坦部下部断熱ボード10の上部の中心部位に設けられ得、平板型2次防壁122は2個以上の平坦部下部断熱ボード10の上部をカバーすることができる。また、平板型2次防壁122は、貨物倉コーナー部と平坦部の下部断熱ボード110、10の上部および/またはこれら下部断熱ボード110、10間の空間をカバーするように、平坦部下部断熱ボード10の上部に設けられたスタッドボルト5およびコーナー部下部断熱ボード110に設けられた結合ボルト170に結合される方式で設置され得る。結合ボルト170については図9で詳細に説明することにし、平坦部下部断熱ボード10の上部に設けられたスタッドボルト5とコーナー部下部断熱ボード110に設けられた結合ボルト170は同じ形態で製作され得る。
【0031】
継手2次防壁123は曲面型2次防壁121間の空間をカバーし、曲面型2次防壁121および平板型2次防壁122と連結されるようにコーナー部下部断熱ボード110間にかけて配置される。継手2次防壁123は曲面型2次防壁121と対応する角度で曲がった形状で設けられ得る。曲面型2次防壁121、平板型2次防壁122および継手2次防壁123の互いに重なる部位は溶接接合され得る。
【0032】
図1図9を参照すれば、コーナー部上部断熱ボード160は一体型で製作されてコーナー部下部断熱ボード110と対応するように2次防壁上部に配置される。コーナー部上部断熱ボード160は衝撃吸収層161、上部補助パネル162、上部断熱部材163および上部保護板164が積層された形態であり得る。これは貨物倉平坦部に設置される平坦部上部断熱ボード20も同じである。コーナー部上部断熱ボード160上部にはコーナー部1次防壁190が設置され得る。コーナー部1次防壁190は平坦部上部断熱ボード20の上部に設置される平坦部1次防壁30と互いに連結され得る。ここで、平坦部上部断熱ボード20は下側の平坦部下部断熱ボード10を2つ以上カバーするように長方形の形状で製作され得る。このとき、前述した通り、平坦部上部断熱ボード20と平坦部下部断熱ボード10の間には平板型2次防壁122が介在され、平坦部上部断熱ボード20の大きさは例えば平坦部下部断熱ボード10と1:2の比率で製作され得る。平坦部上部断熱ボード20は前述したスタッドボルト5に結合される方式で設置され得る。平坦部上部断熱ボード20は上部溝に熱応力に対応することができるように横および縦方向にスライディング可能なストリップ部材23を設けることができる。
【0033】
図9に図示した通り、前述した結合装置は結合ボルト170および締結ユニット180を含む。下部補助パネル113の上部溝113aにはリベットなどのような締結部材(R2)により結合される固定片(140、図3参照)が設けられる。固定片140と下部補助パネル113の上部溝113aの間には間隔が存在し得、これは熱応力に効果的に対応するためである。固定片140は例えば金属材質などで製作され得る。
【0034】
このとき、結合ボルト170は固定片140の結合溝140aに垂直結合されてコーナー部上部断熱ボード160の内部ホール(S2)側に突出する。結合ボルト170に結合された平板型2次防壁122の貫通ホール周辺部は固定片140に円溶接方式で溶接(W)接合され得る。固定片140の結合溝140aは一定深さの溝形態であり得る。
【0035】
締結ユニット180は上部断熱ボード160内部ホール(S2)に突出した結合ボルト170に結合されて、上部補助パネル162により支持されるワッシャー181と、結合ボルト170に結合されてワッシャー181上部から下方に力が加えられるように締め付けられるナット182を含む。コーナー部上部断熱ボード160の内部ホール(S2)上端は蓋(図示されず)により仕上げ処理され得る。
【0036】
以下、貨物倉コーナー部防壁設置過程について説明する。
【0037】
図3図4を参照すれば、まず、貨物倉の側面側に傾斜面(G1)が向かうように横方向に第1コーナー部断熱ボード110aを設置した後、該当傾斜面(G1)に密着するように第2コーナー部断熱ボード110bを縦方向に設置し、第2コーナー部断熱ボード110bの傾斜面(G2)が第1コーナー部断熱ボード110aの傾斜面(G1)に密着するようにする。このとき、船体の内壁2に垂直固定されたスタッドボルト4に各断熱ボード110a、110bの内部ホール(S1)が差し込まれるようにして、第1コーナー部断熱ボード110aと第2コーナー部断熱ボード110bをそれぞれ設置することができる。このような方法で、他のコーナー部下部断熱ボード110を並んで設置することができる。
【0038】
次に図6を参照すれば、支持部材130を第1コーナー部断熱ボード110aと第2コーナー部断熱ボード110bにかけて界面(B)を中心に配置させる。
【0039】
次に図7を参照すれば、曲面型2次防壁121を支持部材130の上部に配置させ、締結部材(R1)により第1コーナー部断熱ボード110aと第2コーナー部断熱ボード110bの上部にかけて両側端部を結合させる。ここで、界面(B)を中心に曲面型2次防壁121の曲面形状のコーナー部位121aが配置されるようにする。曲面型2次防壁121を通じて、それぞれ単一体で分離製作された第1コーナー部断熱ボード110aと第2コーナー部断熱ボード110bを効果的に結合させることができ、極低温流体による熱応力と船体変形による剥離応力およびせん断応力などに効率的に対応することができる。このとき、前述したスタッドボルト4にワッシャー5とナット6を締結し、第1コーナー部断熱ボード110aと第2コーナー部断熱ボード110bの内部ホール(S1)にプラグ部材7を挿入した後、蓋8を被せるなどの作業が遂行され得る。該当作業は、前述した船体の内壁2に垂直固定されたスタッドボルト4に第1コーナー部断熱ボード110aと第2コーナー部断熱ボード110bを設置した後に遂行されることもある。
【0040】
次に図8を参照すれば、曲面型2次防壁121と連結されるように平坦部下部断熱ボード(10、図2参照)の上部の平板型2次防壁122を配置させる。図8では説明の便宜上平坦部下部断熱ボード10は図示していない。
【0041】
次に、曲面型2次防壁121間の空間をカバーし、曲面型2次防壁121および平板型2次防壁122と連結されるようにコーナー部下部断熱ボード110間にかけて継手2次防壁123を設置する。曲面型2次防壁121と平板型2次防壁122および継手2次防壁123間に互いに重なる周辺部は溶接接合され得る。
【0042】
次に、図1図9を参照すれば、コーナー部下部断熱ボード110と対応するように2次防壁上部にコーナー部上部断熱ボード160を配置させる。
【0043】
次に、コーナー部上部断熱ボード160内部ホール(S2)に突出した結合ボルト170にワッシャー181とナット182をそれぞれ締結し、ワッシャー181が上部補助パネル162により支持された状態でナット182を締付けて下方に加圧する。内部ホール(S2)上端は蓋(図示されず)によりカバーされ得る。
【0044】
以後、コーナー部上部断熱ボード160上部にコーナー部1次防壁190の設置作業がなされ得る。
【0045】
前述した貨物倉コーナー部防壁設置作業は平坦部防壁設置作業と歩調を合わせて順次的に進行され得る。すなわち、下部断熱ボード、2次防壁、上部断熱ボード、1次防壁の順序で設置され得る。
【0046】
以上では特定の実施例について図示して説明した。しかし、本発明は前記した実施例にのみ限定されず、発明が属する技術分野で通常の知識を有した者であれば以下の特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の要旨を逸脱することなく、いくらでも多様に変更実施できるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9