特許第6556839号(P6556839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556839
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   F28F9/02 Z
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-515899(P2017-515899)
(86)(22)【出願日】2015年9月23日
(65)【公表番号】特表2017-528680(P2017-528680A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】EP2015071888
(87)【国際公開番号】WO2016046270
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2017年5月10日
(31)【優先権主張番号】1458942
(32)【優先日】2014年9月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン、ドブデュ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン、オディラール
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャマン、フェルレー
【審査官】 山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−191038(JP,A)
【文献】 特表2013−514513(JP,A)
【文献】 実開昭55−034147(JP,U)
【文献】 実開平01−106786(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
‐ 第1伝熱流体が内部で循環する熱交換コアバンドル(3)と、
‐ 第2伝熱流体用の少なくとも1つの入口タンク(5a)又は出口タンク(5b)であって、支承ゾーン(57)と、前記支承ゾーン(57)の領域において前記タンク(5a、5b)の外側に向けられた少なくとも1つのショルダ(51)と、を有するタンク(5a、5b)と、
‐ 前記熱交換コアバンドル(3)の周縁に配設された少なくとも1つのコレクタ(7)と、
を有する熱交換器(1)であって、
前記コレクタ(7)は、
○ 前記タンク(5a、5b)の前記支承ゾーン(57)が支持されることが意図された基部(71)と、
○ 側壁(75)と、を有し、
前記側壁(75)の少なくとも2つの部分(77)が、前記タンク(5a、5b)を固定するように前記ショルダ(51)に対して折り重ねられた、
熱交換器(1)において、
前記側壁(75)は、前記タンク(5a、5b)の少なくとも1つの隅部の輪郭に沿っており、
前記側壁(75)は、前記隅部の各側に折り重ね部分(77)を有するとともに、前記隅部の領域において非折り重ね部分(79)を有し、
前記折り重ね部分(77)は、前記非折り重ね部分(79)に、ねじられた部分(78)によって連続的に連結されており、
前記タンク(5a、5b)は、前記熱交換コアバンドル(3)の少なくとも1つの隅部の領域において、前記非折り重ね部分(79)の端面を押圧するバッファ(50)を有している、
ことを特徴とする熱交換器(1)。
【請求項2】
ねじられた部分(78)の領域における前記側壁(75)の厚みは、前記折り重ね部分(77)および前記非折り重ね部分(79)の領域における前記側壁(75)の厚みよりも小さい、
ことを特徴とする請求項に記載の熱交換器(1)。
【請求項3】
前記タンク(5a、5b)は、前記コレクタ(7)によって、前記熱交換コアバンドル(3)の2つの隅部の間におけるその長さの少なくとも4分の1に亘って、圧着されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器(1)。
【請求項4】
前記側壁(75)は、前記熱交換器(1)の全周縁に亘って連続している、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の熱交換器(1)。
【請求項5】
前記タンク(5a、5b)の前記支承ゾーン(57)と前記固定装置(7)の前記基部(71)との間にシール(9)が配設されている、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の熱交換器(1)。
【請求項6】
前記シール(9)は、前記固定装置(7)の前記基部(71)内の溝に配置されている、
請求項に記載の熱交換器(1)。
【請求項7】
前記タンク(5a、5b)は、前記熱交換コアバンドル(3)の少なくとも1つの隅部の領域において、前記バッファ(50)に垂直な脚部(52)を有し、前記脚部(52)は前記シール(9)を圧縮している、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の熱交換器(1)。
【請求項8】
前記コレクタ(7)は、前記熱交換コアバンドル(3)の周縁に固定された要素である、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の熱交換器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱交換器の分野に関し、より具体的には、熱交換コアバンドルと伝熱流体の入口タンク又は出口タンクとの間の固定に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば給気冷却器等の熱交換器は、通常、第1伝熱流体が内部で循環するチューブを有する熱交換コアバンドルを有している。熱交換器は、また、第2伝熱流体用の入口および出口タンク、本例ではターボチャージャーからの給気用の入口タンク及び出口タンクを有している。入口タンク及び出口タンクは、第2伝熱流体がチューブの間を循環して第1伝熱流体と熱エネルギを交換できるような態様で、熱交換コアバンドルに取り付けられている。
【0003】
熱交換器の製造工程において、これらのタンクは、通常、熱交換コアバンドルにコレクタによって固定される。このコレクタは、例えば、熱交換コアバンドルの周縁に設けられた金属シートであり、タンクを圧着するために圧着工具を用いてタンクに対して折り重ねられた圧着タブを有し得る。
【0004】
しかしながら、時間の経過や振動を理由として、このような圧着タブは、その底部にひび割れを生じさせる応力を受けることがある。このようなひび割れにより、最終的に圧着タブが破損して、タンクの熱交換コアバンドルへの固定が脆弱なものとなってしまう場合がある。
【0005】
したがって、本発明の目的の1つは、従来技術の欠点を少なくとも部分的に克服するとともに、第2流体の入口タンク又は出口タンクと熱交換コアバンドルとの間の固定が改善された熱交換器を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明は、
‐ 第1伝熱流体が内部で循環する熱交換コアバンドルと、
‐ 第2伝熱流体用の少なくとも1つの入口タンク又は出口タンクであって、支承ゾーンと、前記支承ゾーンの領域において前記タンクの外側に向けられた少なくとも1つのショルダと、を有するタンクと、
‐ 前記熱交換コアバンドルの周縁に配設された少なくとも1つのコレクタと、
を有する熱交換器であって、
前記コレクタは、
○ 前記タンクの前記支承ゾーンが支持されることが意図された基部と、
○ 側壁と、を有し、
前記側壁の少なくとも2つの部分が、前記熱交換コアバンドルに対する圧着によって、前記タンクを固定するように前記ショルダに対して折り重ねられた、
熱交換器において、
前記側壁は、前記熱交換コアバンドルの少なくとも1つの隅部の輪郭に沿っており、
前記側壁は、前記隅部の各側において折り重ね部分を有するとともに、前記隅部の領域において非折り重ね部分を有し、
前記折り重ね部分は、前記非折り重ね部分に連続的に連結されている、
ことを特徴とする熱交換器に関する。
【0007】
側壁が隅部の輪郭に沿っていることにより、折り重ね部分における破損の虞が制限され得る。具体的には、この構成は、例えば振動により引き起こされる応力の集中を防止するとともに、応力を側壁75の全長に亘って分散させる。
【0008】
本発明の一態様によれば、前記折り重ね部分は、前記非折り重ね部分に、ねじられた部分によって連続的に連結されている。
【0009】
本発明の別の態様によれば、ねじられた部分の領域における前記側壁の薄肉化は20%以下である。
【0010】
本発明の別の態様によれば、前記タンクは、前記コレクタによって、前記熱交換コアバンドルの2つの隅部の間におけるその長さの少なくとも4分の1に亘って、圧着されている。
【0011】
本発明の別の態様によれば、前記側壁は、前記熱交換器の全周縁に亘って連続している。
【0012】
本発明の別の態様によれば、前記タンクの前記支承ゾーンと前記固定装置の前記基部との間にシールが配設されている。
【0013】
本発明の別の態様によれば、前記シールは、前記固定装置の前記基部内の溝に配置されている。
【0014】
本発明の別の態様によれば、前記タンクは、前記熱交換コアバンドルの少なくとも1つの隅部の領域において前記非折り重ね部分の端面を押圧するバッファと、前記バッファに垂直な脚部と、を有し、前記脚部は前記シールを圧縮している。
【0015】
本発明の別の態様によれば、前記コレクタは、前記熱交換コアバンドルと一体的に形成されている。
【0016】
本発明の別の態様によれば、前記コレクタは、前記熱交換コアバンドルの周縁に固定された要素である。
【0017】
本発明の他の特徴及び利点は、非制限的な例示としての以下の説明を読み、且つ添付図面を精査することでより明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】熱交換器の概略斜視図。
図2】タンクの熱交換コアバンドルへの固定のための固定ゾーンの固定後の概略断面図。
図3】熱交換器の隅部の領域におけるコレクタの概略斜視図。
図4】特定の一実施形態による熱交換器の隅部の概略斜視図。
図5図4に示す特定の一実施形態による熱交換器の隅部の概略部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面において、同一の要素には同じ参照符号が付される。
【0020】
本例では給気冷却器である熱交換器1の概略斜視図である図1に示すように、
熱交換器1は、
‐ チューブ又はプレートの集合体(図示せず)を有する熱交換コアバンドル3であって、第1伝熱流体が当該第1伝熱流体用の入口パイプ3aと出口パイプ3bとの間を循環する、熱交換コアバンドル3と、
‐ 第2伝熱流体の、少なくとも1つの入口タンク5a又は出口タンク5bと、
‐ 熱交換コアバンドル3に取付けられたタンク5a、5bの少なくとも1つのコレクタ7と、
を有している。
【0021】
熱交換コアバンドル3は、全体として平行六面体形状を有している。第1コレクタ7は熱交換コアバンドル3の一方の面の周縁に沿っており、第2コレクタ7は他方の面の周縁に沿っている。
【0022】
コレクタ7は、熱交換コアバンドル3と一体的に形成されてもよいし、或いは、例えばろう付けによって熱交換コアバンドル3の周縁に固定された要素であってもよい。
【0023】
図2により詳細に示すように、コレクタ7は、タンク5a、5bの支承ゾーン57が支持されることが意図された基部71を有している。タンク5a、5bそれ自体は、タンク5a、5bの外側に向けられた少なくとも1つのショルダ51を有している。このショルダ51は、その支承ゾーン57の領域に配設されている。
【0024】
また、コレクタ7は、圧着によって、タンク5a、5bを固定するようにショルダ51に対して折り重ねられた側壁75を有している。固定を有効なものとすべく、熱交換器1は、ショルダ51上に折り重ねられる少なくとも2つの部分77を、好適には同一面の対向する側に有している。
【0025】
図1に示す例において、熱交換器1の各側において、連続的な折り重ね部分77が存在している。
【0026】
タンク5a、5bの熱交換コアバンドル3に対する固定を封止するように、シール9が、タンク5a、5bの支承ゾーンとコレクタ7の基部71との間に配置され得る。タンク5a、5bが固定されると、図2に示すように、シール9は支承ゾーン57と基部71との間で圧縮される。シール9は、特に、コレクタ7の基部71内の溝に配置され得る。しかしながら、シール9を支承ゾーン57に直接組み込むことを想定することも完全に可能である。
【0027】
コレクタ7の側壁75は、熱交換コアバンドル7の隅部の輪郭に連続的に沿っている。側壁75が隅部に沿っている様子を、図3により詳細に示す。隅部の領域において、側壁75は、熱交換コアバンドル3の隅部の各側における折り重ね部分77と、熱交換コアバンドル3の隅部における非折り重ね部分79と、を有している。折り重ね部分77は、側壁75の、ねじられた部分78によって非折り重ね部分79に連続的に接続されている。
【0028】
側壁が隅部の輪郭に沿っていることにより、折り重ね部分77の領域における破損の虞が制限され得る。具体的には、この構成は、例えば振動により引き起こされる応力の集中を防止するとともに、応力を側壁75の全長に亘って分散させる。
【0029】
図1に示すように、コレクタ7の側壁75は、熱交換コアバンドル3の同一面の全ての隅部の輪郭に沿っていることが有利である。
【0030】
応力に耐える十分な能力を維持するように、ねじられた部分78の領域におけるコレクタ7の側壁75の薄肉化は、好適には、20%以下である。
【0031】
この薄肉化を制御することを目的として、熱交換コアバンドル3の隅部の領域における側壁75の構造及び幾何学的形状が、種々のパラメータに応じて以下の式を用いることにより定義され得る。
L=Px(a1xH+b1)+(a2xH+b2)
【0032】
Lは、部分77の折り重ね軸に沿った、非折り重ね壁79と折り重ね部分77との間の長さに対応する。
【0033】
Pは、圧着加工の深さ、すなわち、折り重ね部分77の圧着方向における、壁79の内部と折り重ね部分77の端部との間の距離に対応する。
【0034】
Hは、非折り重ね部分79の高さ、すなわち、ショルダ51により形成される平面と非折り重ね部分79の頂部との間の距離に対応する。
【0035】
a1、a2、b1及びb2の値は、コレクタ7の様々な薄肉化に応じて試行錯誤を通じて得られた定数である。これらの定数を以下の表に示す。
【表1】
【0036】
タンク5a、5bの固定をできる限り有効且つ頑丈なものとするように、このタンクは、熱交換コアバンドル3の2つの隅部の間におけるその長さの少なくとも4分の1に亘って、コレクタ7によって圧着される。
【0037】
図1に示す実施形態において、コレクタ7は、熱交換器1の周縁の全周に亘って連続する側壁75を有している。したがって、コレクタ7は、圧着タブを有しておらず、代わりに熱交換器1の各側に沿って延びる折り重ね部分79であって、隅部のねじられた部分79を接続する折り重ね部分79を有している。結果として、コレクタ7は、例えば振動に関連する応力等の応力に、よりよく耐えることができる。なぜならば、このような応力は、熱交換器1の側部の全長に亘って、且つ側壁75の全長に亘って分散されるからである。
【0038】
図4及び5に示すように、タンク5a、5bは、熱交換コアバンドル3の少なくとも1つの隅部に、熱交換器1の隅部において非折り重ね部分79の端面に当接するバッファ50を有していてもよい。また、タンク5a、5bは、このバッファ50に垂直な脚部52を有していてもよい。タンク5a、5bが熱交換コアバンドル3に配置されると、バッファ20が非折り重ね部分79の端面に接触するとともに、脚部52がシール9を圧縮する。脚部52の長さが、熱交換器1の周縁におけるシール9の圧縮を規定する。
【0039】
したがって、本発明の熱交換器1が、コレクタ7、特にその隅部の特別な構成により、応力抵抗性をより優れたものとするとともに、熱交換コアバンドル3とタンク5a、5bとの間の固定部の耐久性をより優れたものとすることが可能であることが明確に理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5