特許第6556861号(P6556861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556861アリーロキシ又はヘテロアリーロキシ置換の5−ヒドロキシ−1,7−ナフチリジン化合物、その製造方法及び医薬の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556861
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】アリーロキシ又はヘテロアリーロキシ置換の5−ヒドロキシ−1,7−ナフチリジン化合物、その製造方法及び医薬の使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20190729BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   C07D471/04 113
   C07D471/04CSP
   A61K31/4375
   A61P43/00 111
   A61P19/02
   A61P29/00 101
   A61P7/06
   A61P1/04
   A61P29/00
【請求項の数】26
【全頁数】51
(21)【出願番号】特願2017-551697(P2017-551697)
(86)(22)【出願日】2015年12月14日
(65)【公表番号】特表2018-513144(P2018-513144A)
(43)【公表日】2018年5月24日
(86)【国際出願番号】CN2015097244
(87)【国際公開番号】WO2016155357
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2017年11月21日
(31)【優先権主張番号】201510140858.2
(32)【優先日】2015年3月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517340035
【氏名又は名称】瀋陽三生製薬有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】SHENYANG SUNSHINE PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】周雲隆
(72)【発明者】
【氏名】蔡遂雄
(72)【発明者】
【氏名】王光鳳
(72)【発明者】
【氏名】焦玲玲
(72)【発明者】
【氏名】閔平
(72)【発明者】
【氏名】景羽
(72)【発明者】
【氏名】郭明
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第103694172(CN,A)
【文献】 国際公開第2009/075826(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/134660(WO,A1)
【文献】 特表2006−527200(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0111806(US,A1)
【文献】 特表2012−500802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/02
C07D 471/04
A61P 7/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容可能な塩であって、
【化1】
(I)
そのうち、R2、R3は、それぞれ独立した水素であり、R1は水素又はC1〜C3アルキルであり、Arはナフタレン環、ピリジン環、チオフェン環、フラン環及び置換若しくは非置換のベンゼン環から選択される芳香環又はヘテロ芳香環であり、
前記置換若しくは非置換のベンゼン環は、下記化学式(II)に示す構造を有し、
【化2】
(II)
そのうち、R4、R5、R6、R7及びR8は、水素、C1〜C7アルキル、C1〜3アルコキシ、ハロゲンによって任意に置換されるC1〜C3アルコキシ、ハロゲンによって任意に置換されるC1〜C3アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ及びフェニルからなる群からそれぞれ独立に選択される、
上記化学式(II)中のR6、R7によって下記構造の環を形成することができ、
【化3】
そのうち、nは1、2、3又は4の整数であり、A1及びA2は、酸素、炭素及び窒素原子からそれぞれ独立に選択される、化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
前記薬学的に許容可能な塩は、塩基付加塩である、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
前記化合物は、下記化学式(III)に示す構造を有し、
【化4】
(III)
そのうち、R4、R5、R6、R7及びR8は、水素、C1〜C7アルキル、C1〜3アルコキシ、ハロゲンによって任意に置換されるC1〜C3アルコキシ、ハロゲンによって任意に置換されるC1〜C3アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ及びフェニルからなる群からそれぞれ独立に選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
前記化合物は、下記化学式(IV)に示す構造を有し、
【化5】
(IV)
そのうち、nは1、2、3又は4の整数であり、A1及びA2は、酸素、炭素及び窒素原子からそれぞれ独立に選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
前記化合物は、下記化学式6〜19に示す化合物からなる群より選択される化合物である、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
及び
【化19】
【請求項6】
請求項1に記載の化合物の製造方法であって、下記ステップ1〜ステップ6を含み、
ステップ1:2,6−ジクロロピリジン−3−ギ酸メチルと相応の置換芳香フェノール(ArOH)をアルカリ性条件、特定触媒の存在下で反応させ、下記エーテル中間体(IV)を生成し、
【化20】
ステップ2:ステップ1で得られたエーテル中間体(IV)とRCH2MgBrを用い
て触媒の存在下で塩素原子をアルキル基に置換させ、下記2,6−二置換ピリジン−3−ギ酸メチル中間体(V)を生成し、
【化21】
ステップ3:ステップ2で得られた中間体(V)の2位メチル又はメチレン基を臭素化して、臭化物中間体(VI)を生成し、
【化22】
ステップ4:ステップ3で得られた中間体(VI)をN−トシルグリシンメチルエステルを用いて置換させ、p−トルエンスルホニル中間体(VII)を生成し、
【化23】
ステップ5:ステップ4で得られた中間体(VII)をアルカリ性条件下で環化させ、5−ヒドロキシ−1,7−ナフチリジンギ酸メチル中間体(VIII)を生成し、
【化24】
ステップ6:ステップ5で得られた中間体(VIII)をグリシンと反応させて通式(I
)の化合物を生成し、
そのうち、R1、R2、R3及びArは請求項1に記載のR1、R2,R3及びArと同じである、製造方法。
【請求項7】
前記ステップ1において、アルカリ性条件とは塩基としてトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンを加えることで実現され、触媒は1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N,N−テトラメチルエチレンジアミンであり、溶媒はN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドであり、
前記ステップ2において、触媒は1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケルクロリドであり、前記反応溶媒はテトラヒドロフラン、ジオキサンから選ばれ、反応温度は0℃〜50℃であり、
前記ステップ3において、臭素化試薬としてN−ブロモスクシンイミド、ジブロモヒダントイン、臭化銅(I)、液体臭素を使用し、臭素化反応の開始剤はアゾビスイソニトリル、過酸化ベンゾイルから選択され、臭素化反応の溶媒はテトラクロロメタン、ジクロロメタン及びクロロホルムから選択され、
前記ステップ4において、塩基は炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウムから選択され、反応溶媒はN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドから選択され、反応温度は20℃〜80℃であり、
前記ステップ5において、アルカリ性条件とは塩基としてナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシドを加えることで実現され、反応溶媒はN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、テトラヒドロフランから選択され、反応温度は0℃〜40℃であり、好ましい反応時間は0.5時間〜3時間であり、
前記ステップ6において、アルカリ性条件は塩基としてナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシドを加えることで実現され、反応溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールから選択され、反応温度は80℃〜140℃である、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
医薬組成物であって、
治療有効量の請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、及び薬学的に許容可能な担体を含む、医薬組成物。
【請求項9】
HIFプロリルヒドロキシラーゼを阻害するための医薬品の製造における、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用
【請求項10】
内因性EPOの生成を促進するための医薬品の製造における、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用
【請求項11】
低酸素誘導因子αを安定させるための医薬品の製造における、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用
【請求項12】
慢性疾患相関性貧血を治療するための医薬品の製造における、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用
【請求項13】
前記慢性疾患相関性貧血がリウマチ性関節炎、リウマチ熱又は炎症性腸疾患である、請求項12に記載の使用
【請求項14】
炎症性サイトカインの生成を促進するための医薬品の製造における、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用
【請求項15】
前記炎症性サイトカインが腫瘍壊死因子、インターロイキン、又はインターフェロンである、請求項14に記載の使用
【請求項16】
貧血対象に対して外部からエリスロポエチンを投与する際の抵抗性を改善する医薬品の製造における、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用であって、
前記化合物の投与によって造血前駆細胞のエリスロポエチンに対する応答を改善する、使用
【請求項17】
鉄摂取、鉄輸送及び鉄利用率向上に必須な因子の生成を促進するための医薬品の製造における、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用であって、
前記因子として赤芽細胞アミノレブリン酸シンターゼ、トランスフェリン、トランスフェリン受容体及びセルロプラスミンからなる群から選択される、使用
【請求項18】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、HIFプロリルヒドロキシラーゼを阻害する方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)
【請求項19】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、内因性EPOの生成を促進する方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)
【請求項20】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、低酸素誘導因子αを安定させるための方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)
【請求項21】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、慢性疾患相関性貧血を治療するための方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)
【請求項22】
前記慢性疾患相関性貧血がリウマチ性関節炎、リウマチ熱又は炎症性腸疾患である、請求項21に記載の方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)
【請求項23】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、炎症性サイトカイン生成を促進する方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)
【請求項24】
前記炎症性サイトカインが腫瘍壊死因子、インターロイキン又はインターフェロンである、請求項23に記載の方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)
【請求項25】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を投与すること含み、
前記投与によって造血前駆細胞のエリスロポエチンに対する応答を改善する、貧血対象に対して外部からエリスロポエチンを投与する際の抵抗性を改善する方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)
【請求項26】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含み、
前記投与によって鉄摂取、鉄輸送及び鉄利用率向上に必須な因子の生成を促進し、
前記因子として赤芽細胞アミノレブリン酸シンターゼ、トランスフェリン、トランスフェリン受容体及びセルロプラスミンからなる群から選択される、鉄摂取、鉄輸送及び鉄利用率向上に必須な因子の生成を促進する方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品の分野に関する。具体的には、HIFプロリルヒドロキシラーゼに対して阻害作用を示す新規なアリーロキシ又はヘテロアリーロキシ置換の5−ヒドロキシ−1,7−ナフチリジン化合物、その製造方法及び医薬用途に関する。
【背景技術】
【0002】
低酸素誘導因子(hypoxia inducible factor,HIF)は、塩基性ヘリックス−ループ−ヘリックス(basic helix−loop−helix,bHLH)及びPAS(Per/Arnt/Sim)を含む活性化転写因子であり、生物細胞内において一連の遺伝子調節を経て細胞の低酸素状態に適応するものである(Chowdhury,R.,Hardy,A及びSchofield,C.J.,人体酸素感知装置及びその操作(The human oxygen sensing machinery and its manipulation)、Chem.Soc.Rev.,2008,37,1308〜1319頁;Kaelin,W.G.,Jr.,及びRatcliffe,P.J.,後生動物による酸素センサー:HIFヒドロキシラーゼ経路における中心的役割(Oxygen sensing by metazoans:the central role of the HIF hydroxylase pathway)Mol.Cell,2008,30,393〜402頁;Schofield,C.J.,及びRatcliffe,P.J.,HIFヒドロキシラーゼを利用する酸素センサー(Oxygen sensing by HIF hydroxylases)Nat.Rev.Mol.Cell.Biol.,2004,5,343〜354頁)。
【0003】
1992年、Wangらがエリスロポエチン(erythropoientin,EPO)の研究を行った際に、細胞が低酸素状態になるとEPO生成を促進する活性化転写因子を発見し、後に該因子を低酸素誘導因子(以下、「HIF」とも略称する)と名づけた。HIFは、細胞の低酸素状態における適応性と生存率に極めて重要であり、細胞の酸素量が通常の20%から1%に低下した場合であっても、HIFの作用下では細胞が生き残ることが、後の研究により実証されている。
【0004】
HIFはHIF−a及びHIF−bの2つの単位で構成され、HIF−aは酸素依存性の分解ドメイン(oxygen−dependent degradation domain,ODDD)を含み、当該ドメインは細胞の酸素量に応答するために必須な構成単位である。HIF−aはHIF−bと安定なダイマーを形成することができ、当該ダイマーが細胞核内に移行して糖代謝関連酵素、GLUT−1、エリスロポエチン、及び血管内皮細胞増殖因子(VEGF)等といった重要な酵素又は酵素系の発現を促し、細胞が低酸素状態に適応できるようにする。HIF−bはアリール炭化水素受容体核内輸送体(aryl hydrocarbon nuclear translocator,ARNT)の一種であり、HIF−aと結合してヘテロダイマーを形成し、下流遺伝子の転写を促進する。
【0005】
現在、HIF−1a、HIF−2a、HIF−3aの3種類のHIF−aサブタイプが発見されている。HIF−1aは1995年にWangらによって同定されたHIF−aサブタイプであり、ヒト及びマウスの複数箇所で発現する。HIF−2aは1997年に単離、同定され、タンパク質配列がHIF−1aと48%の類似性を示すと共に、HIF−1aと類似した機能を果たし、肺、内皮細胞及び頸動脈のみに発現する。HIF−3aは最近になって新たに発見されたHIF−aサブタイプであり、当該サブタイプに関する研究は未だに不十分である。
【0006】
細胞内におけるHIF−aの発現は酸素含有量の影響を受けないが、通常の酸素量においても、細胞内におけるHIF−aの半減期は5分程度であり、安定に存在することができない。HIF−aは低酸素状態においてのみ安定に存在し、下流の転写因子を活性化する役割を果たすことができる。一方、酸素量が通常である細胞内において、HIF−aのODDD内における402位及び564位の2つのプロリン残基はプロリルヒドロキシラーゼによって4−ヒドロキシプロリンに酸化される。そのため、2つのプロリン残基は、HIF−aとHIF−bとによるダイマー形成を阻害すると同時に、pVHLタンパク質と結合して速やかに分解し、低酸素環境に抵抗する機能を失ってしまう。HIF−aの分解過程で重要な役割を果たすプロリルヒドロキシラーゼ(Prolyl hydroxylase、以下、「PHD」又は「EGLN」とも略称する)は、2−ケトグルタル酸(2−oxoglutarate,2−OG)依存性の酸素添加酵素である。PHDは2−OGと二価鉄イオンとを補因子とし、1個の酸素原子をプロリン分子の4位に結合させてヒドロキシプロリンを形成し、同時に2−OGを1分子の二酸化炭素とコハク酸に変換する。2−OG類似体又は二価ニッケル、コバルト、マンガンイオンは、PHDによるHIF−aプロリン残基の酸化過程に拮抗してHIF−aの分解を抑制することができるため、HIF−aとHIF−bとのダイマー形成を促して下流の転写因子を活性化させ、結果として低酸素環境に抵抗する機能を果たすことができる。PHDは3種のサブタイプに分けられ、それぞれPHD1、PHD2及びPHD3である。更に、研究によりPHD1の抑制が骨格筋細胞の衰退の治療に有用であり、虚血状態において筋線維芽細胞を温存することにより炎症性腸疾患と大腸炎を治療することができ、並びに、心臓病及び腎臓病患者の心不全と虚血を治療できることが実証されている。一方、他の2種類のPHDサブタイプについては、その機能において区分があるかどうかは未だに不明である。
【0007】
HIFの1つの重要な役割は、生体内においてエリスロポエチン(EPO)の発現を促進することである。EPOは、糖タンパク質ホルモンであり、赤血球の増殖、分化、及び成熟を刺激することができる。EPOは、更に、骨髄の造血機能を刺激して赤血球数を適時且つ効果的に増加させ、血液の酸素運搬能を向上させることができ、同時に、生体の酸素に対する結合、輸送と供給能力を高めて低酸素状態を改善することができる。正常な生理状況において、EPOは主に腎臓組織で合成されて放出されるため、腎不全患者は体内で正常にEPOを合成できず、常に虚血症状に苦しめられる。EPOは、20世紀の80年代末にAmgen社によって初めて製品化され、その後に慢性腎不全、エイズ、癌及び化学療法に起因する貧血の治療に利用されるようになっている。現在、EPOの製造と応用面において大きな進展を成し遂げているが、外因性EPOの供給応用は依然として幾つかの問題を抱えている。かかる問題として、例えば、1)EPOの使用費用が高いため、長期使用は患者に相当重い負担を強い、2)EPOは大分子量の糖タンパク質であるため生体利用度が低く、さらに生体内における半減期が短く、消化管内の酵素系によって分解されやすいといった特徴があり、EPO注射によって頻繁に投与せざるを得ず、患者自らが適宜に決めうる服用形態が制限され、患者に不便を感じさせ、3)産業規模で合成したEPOは免疫原性の問題を回避できず、薬品使用に一定のリスクがある等が挙げられる。
【0008】
外因性大分子量のEPOは使用面において上述の多くの問題を抱えているため、低分子量のHIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤の開発が急務である。したがって、外因性EPOを使用する代わりに、HIF−aの分解を抑制し、更に生体内における内因性EPOの生成を促進し、患者により多くの選択肢をもたらすことが期待されている。
【0009】
現在、Akebia社のAKB−6548、Fibrogen社のFG−4592の2種類のHIFプロリルヒドロキシラーゼが既に第II相試験段階に入っている(WO2012170377A1,US2010331374A1,US2010305097A1,P&GUS2007299086A1,US2004254215A1,US2007298104A1,US2009082357A1,US2010113444A1,WO2013134660,WO2010059552A1)。
【化1】
【化2】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の1つの目的は、HIFプロリルヒドロキシラーゼを阻害するアリーロキシ又はヘテロアリーロキシ置換の5−ヒドロキシ−1,7−ナフチリジン化合物及びその塩を提供することである。
【0011】
本発明のもう1つの目的は、上記化合物の製造方法を提供することである。
【0012】
また、本発明のもう1つの目的は、上記化合物又はその塩を含んでなる医薬組成物を提供することである。
【0013】
更に、本発明のもう1つの目的は、上記化合物又はその塩の医薬品製造における用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、以下の技術思想によって実現される。すなわち、下記化学式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容可能な塩であって、
【化3】
(I)
そのうち、R2、R3はそれぞれ独立した水素であり、R1は水素又はC1〜C3アルキルであり、Arはナフタレン環、ピリジン環、チオフェン環、フラン環及び置換ベンゼン環から選択される芳香環又はヘテロ芳香環である。
【0015】
Arが置換ベンゼン環である場合、本発明に係る化合物は下記化学式(II)で表される構造を有する。
【化4】
(II)
そのうち、R4、R5、R6、R7及びR8は、水素、C1〜C7アルキル、C1〜3アルコキシ、ハロゲンによって任意に置換されるC1〜C3アルコキシ、ハロゲンによって任意に置換されるC1〜C3アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ及びフェニルからなる群よりそれぞれ独立に選択される。
【0016】
また、上記化学式(II)中のR6、R7によって環を形成した場合、本発明の化合物は下記化学式(III)で表される構造を有する。
【化5】
(III)
そのうち、nは1、2、3又は4の整数であり、A1及びA2は、酸素、炭素及び窒素原子からなる群よりそれぞれ独立に選択される。
【0017】
更に、本発明は、上記化学式(I)、(II)、(III)で表される本発明に係る化合物の薬学的に許容可能な塩を提供する。本発明に係る化合物の薬学的に許容可能な塩として、好ましくは、前記化合物と薬学的に許容可能な塩基が反応して生成した薬学的に許容可能な塩基付加塩である。前記薬学的に許容可能な塩基として水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、ジエタノールアミン、リシン、エタノールアミン、ジエチルアミン、ピペラジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
本発明において、特に好ましい化合物は、下記表1に示される化合物である。
【0019】
【表1】
【0020】
本発明のもう1つの側面において、上記化学式(I)で表される化合物の製造方法を提供し、つまり、上記通式(I)で表される化合物は以下の反応経路を経て合成される。
【0021】
【化6】
【0022】
本発明によると、上記化学式(I)の化合物の製造方法は以下のステップを含む。
【0023】
ステップ1:2,6−ジクロロピリジン−3−ギ酸メチルと相応の置換芳香フェノール(ArOH)をアルカリ性条件、特定触媒の存在下で反応させ、エーテル中間体(IV)を生成する。
【0024】
ステップ2:ステップ1で得られたエーテル中間体(IV)とRCHMgBrを用いて触媒の存在下で塩素原子をアルキル基に置換させ、2,6−二置換ピリジン−3−ギ酸メチル中間体(V)を生成する。
【0025】
ステップ3:ステップ2で得られた中間体(V)の2位メチル又はメチレン基を臭素化し、臭化物中間体(VI)を生成する。
【0026】
ステップ4:ステップ3で得られた中間体(VI)をN−トシルグリシンメチルエステルを用いて置換させ、p−トルエンスルホニル中間体(VII)を生成する。
【0027】
ステップ5:ステップ4で得られた中間体(VII)に対して、アルカリ性条件下でピリジン2位のメチル又はメチレン基を脱プロトン化させて炭素陰イオンを形成し、そして、炭素陰イオンを分子内におけるピリジン環上のカルボメトキシ基に接触させてケトンを形成し、並びに、アルカリ性条件下で速やかにp−トルエンスルホニル基を除去することで5−ヒドロキシ−1,7−ナフチリジンギ酸メチル中間体(VIII)を生成する。
【0028】
ステップ6:ステップ5で得られた中間体(VIII)をグリシンと反応させて化学式(I)の化合物を生成する。
【0029】
上記ステップ1において、2,6−ジクロロピリジン−3−ギ酸メチルと相応の置換芳香フェノールをアルカリ性条件、特定触媒の存在下で反応させ、エーテル中間体(IV)を生成する。このとき、好ましい塩基はトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンであり、好ましい触媒は1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(「トリエチレンジアミン」とも称する)、N,N−テトラメチルエチレンジアミンであり、好ましい溶媒はN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドである。
【0030】
上記ステップ2において、ステップ1で得られた中間体(IV)とグリニャール試薬RCHMgBrをを用いて特定触媒の存在下で塩素原子をアルキル基に置換させ、2,6−二置換ピリジン−3−ギ酸メチル中間体(V)を生成する。このとき、好ましい触媒は1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケルクロリド(以下、「Ni(DPPE)Cl」とも略称する)であり、好ましい反応溶媒としてテトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられ、好ましい反応温度は0℃〜50℃である。
【0031】
上記ステップ3において、ステップ2で得られた中間体(V)のピリジン2位のメチル又はメチレン基をラジカル反応によって臭素化する。このとき、臭素化試薬としてN−ブロモスクシンイミド、ジブロモヒダントイン、臭化銅(I)、液体臭素などが好ましく、臭素化反応の開始剤としてアゾビスイソニトリル(例えば、アゾビスイソブチロニトリル)、過酸化ベンゾイル等が好ましく、臭素化反応の溶媒としてテトラクロロメタン、ジクロロメタン及びクロロホルムが好ましい。反応は還流しながら行い、臭化物中間体(VI)を生成する。
【0032】
上記ステップ4において、ステップ3で得られた中間体(VI)を塩基の触媒作用下でN−トシルグリシンメチルエステルで置換し、p−トルエンスルホニル中間体(VII)を生成する。このとき、好ましい塩基として炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウムが挙げられ、好ましい反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、好ましい反応温度は20℃〜80℃である。
【0033】
上記ステップ5において、p−トルエンスルホニル中間体(VII)をアルカリ性の条件下で分子内環化させ、同時にp−トルエンスルホニル基を除去して5−ヒドロキシ−1,7−ナフチリジンギ酸メチル中間体(VIII)を生成する。このとき、好ましい塩基としてナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt- ブトキシド、ナトリウムt- ブトキシドが挙げられ、好ましい反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン等が挙げられ、好ましい反応温度は0℃〜40℃であり、好ましい反応時間は0.5時間〜3時間である。
【0034】
上記ステップ6において、5−ヒドロキシ−1,7−ナフチリジンギ酸メチル中間体(VIII)を密閉状態、アルカリ性条件下で加熱してグリシンと反応させ、ギ酸メチルを直接にホルミルアミノアセトキシ基に置き換えて5−ヒドロキシ−1,7−ナフチリジン目的産物(I)を生成する。このとき、好ましい塩基としてナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt- ブトキシド、ナトリウムt- ブトキシド等が挙げられ、好ましい反応溶媒としてメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられ、好ましい反応温度は80℃〜140℃である。
【0035】
本発明のもう1つの側面において、治療有効量で上記化学式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0036】
また、1つの実施形態において、本発明は、治療有効量で上記化学式(II)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0037】
また、もう1つの実施形態において、本発明は治療有効量で上記化学式(III)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0038】
本発明は、更に化学式(I)、(II)、(III)で表される本発明の化合物又はその薬学的に許容可能な塩のHIFプロリルヒドロキシラーゼを阻害するための医薬品、並びに、前記化合物の内因性EPO生成を促進するための医薬品の製造における用途を提供する。また、本発明は、化学式(I)、(II)、(III)で表される本発明の化合物の低酸素誘導因子αを安定させるための医薬品、化学式(I)、(II)、(III)で表される本発明の化合物の慢性疾患相関性貧血を治療するための医薬品の製造における用途を提供し、そのうち、前記慢性疾患相関性貧血とはリウマチリウマチ性関節炎、リウマチ熱又は炎症性腸疾患を指す。また、本発明は、化学式(I)、(II)、(III)で表される本発明の化合物の炎症性サイトカイン生成を促進するための医薬品の製造における用途を提供し、そのうち、前記炎症性サイトカインとは腫瘍壊死因子、インターロイキン又はインターフェロンを指すものである。また、本発明は、化学式(I)、(II)、(III)で表される本発明の化合物の貧血対象に対して外部からエリスロポエチンを投与する際の抵抗性を改善する医薬品の製造における用途を提供し、そのうち、前記化合物の投与によって造血前駆細胞の前記エリスロポエチンに対する応答を改善することができ、また、化学式(I)、(II)、(III)で表される本発明の化合物の鉄摂取、鉄輸送及び鉄利用率向上に必須な因子の生成を促進するための医薬品の製造における用途を提供し、そのうち、前記因子として赤芽細胞アミノレブリン酸シンターゼ、トランスフェリン、トランスフェリン受容体、及びセルロプラスミンが挙げられる。
【0039】
本発明は、更に化学式(I)、(II)、(III)で表される本発明の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を投与することによりHIFプロリルヒドロキシラーゼを阻害する方法、化学式(I)、(II)、(III)で表される本発明の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を投与して内因性EPOの生成を促進する方法、化学式(I)、(II)、(III)で表される本発明の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を投与することにより低酸素誘導因子αを安定させる方法、及び化学式(I)、(II)、(III)で表される本発明の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を投与して慢性疾患相関性貧血を治療する方法を提供し、そのうち前記慢性疾患相関性貧血とはリウマチ性関節炎、リウマチ熱又は炎症性腸疾患を指すものである。
【0040】
本発明は、更に化学式(I)、(II)、(III)で表される本発明の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を投与することにより炎症性サイトカイン生成を促進する方法を提供し、そのうち、前記炎症性サイトカインとは腫瘍壊死因子、インターロイキン又はインターフェロンを指すものである。
【0041】
本発明のもう1つの側面において、化学式(I)、(II)、(III)で表される本発明の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を投与することにより、貧血対象に対して外部からエリスロポエチンを投与する際の抵抗性を改善する方法を提供し,そのうち前記化合物の投与によって造血前駆細胞の前記エリスロポエチンに対する応答を改善することができる。本発明は、更に化学式(I)、(II)、(III)で表される本発明の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を投与することにより鉄摂取、鉄輸送及び鉄利用率向上に必須な因子の生成を促進する方法を提供し、そのうち、前記因子として赤芽細胞アミノレブリン酸シンターゼ、トランスフェリン、トランスフェリン受容体及びセルロプラスミンが挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、実施例を挙げて本発明を詳述する。以下の実施例は本発明を例示したに過ぎず、本発明の範囲を制限するものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0043】
実施例1:2−(5−ヒドロキシ−8−メチル−2−フェノキシ−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の合成
【化7】
ステップ1:2−クロロ−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチルの製造
250mLのナス型フラスコに、順に2,6−ジクロロニコチン酸メチル8.80g(42.72mmol)とフェノール4.02g(42.72mmol)と、N,N−ジメチルホルムアミド45mLとを入れて溶かし、室温で攪拌しながらトリエチルアミン7.80mL(55.54mmol)を滴下し、更にトリエチレンジアミン720mg(6.41mmol)を加え、透明溶液が濁った状態になるまで室温で攪拌しながら4時間〜5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=6:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として順にHOAc1.30mL(21.36mmol)、イソプロパノール25mL、及び氷水15mLを加えて溶液が濁った状態から透明になるようにし、室温で0.5時間攪拌した。そして、40mLの水をゆっくり滴下した後、大量の白色固形物が析出するまで室温で更に2時間攪拌した。減圧濾過し、残渣をイソプロパノール:水=1:1の混合溶液で洗浄し、50℃で8時間かけて真空乾燥して2−クロロ−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチルの固形物7.20gを得た。
【0044】
ステップ2:2−エチル−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチルの製造
100mL三口フラスコで脱水処理を行い、アルゴンガス雰囲気下で順に2−クロロ−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチル1.32g(5mmol)、Ni(DPPE)Cl16mg(0.03mmol)、及び脱水テトラヒドロフラン5mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらEtMgBr濃度1Mのテトラヒドロフラン溶液11mL(11mmol)を0.5時間の間隔で2回に分けてゆっくり滴下した後、室温で攪拌しながら0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、10%のクエン酸水溶液13mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−エチル−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチルの淡黄色油状物1.19gを得た。
【0045】
ステップ3:2−(1−ブロモエチル)−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順に2−エチル−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチル3.20g(12.45mmol)、N−ブロモスクシンイミド3.53g(19.83mmol)、アゾビスイソブチロニトリル3.25g(19.83mmol)、及びテトラクロロメタン20mLを入れて溶かし、還流攪拌しながら2時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(1−ブロモエチル)−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチルの淡黄色油状物を得てそのまま次の反応に用いた。
【0046】
ステップ4:2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順にステップ3で得られた2−(1−ブロモエチル)−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチル4.08g(12.14mmol)、N−トシルグリシンメチルエステル2.94g(12.14mmol)、炭酸カリウム3.35g(24.28mmol)、ヨウ化ナトリウム0.18g(1.22mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド20mLを加えて溶かし、50℃で攪拌しながら10時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=2:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が4:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチルの黄色固形物3.26gを得た。
【0047】
ステップ5:5−ヒドロキシ−8−メチル−2−フェノキシ−1,7−ナフチリジン−6−ギ酸メチルの製造
50mLのフラスコに、2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチル500mg(1mmol)、及びジメチルスルホキシド5mLを加えて溶かし、攪拌しながらナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.5mLを滴下して0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で酢酸エチル:ジクロロメタン=1:20)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整し、ジクロロメタンと水を加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出した(50mL×2回)した。有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて体積比でジクロロメタン:酢酸エチル=80:1の混合液で溶出し、溶媒を留去して5−ヒドロキシ−8−メチル−2−フェノキシ−1,7−ナフチリジン−6−ギ酸メチルの白色固形物200mgを得た。
【0048】
ステップ6:2−(5−ヒドロキシ−8−メチル−2−フェノキシ−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の製造。
50mLの密閉反応管に、順に5−ヒドロキシ−8−メチル−2−フェノキシ−1,7−ナフチリジン−6−ギ酸メチル200mg(0.65mmol)、グリシン146mg(1.95mmol)、ナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.5mL及びメタノール5mLを加え、120℃、密閉条件下で攪拌しながら20時間反応させた。LCMSを用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整して溶液が黄色の懸濁液から透明液、更に黄色の懸濁液となるようにし、固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣を順に大量の水、そして少量のメタノールで洗い流し、真空乾燥して2−(5−ヒドロキシ−8−メチル−2−フェノキシ−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の黄色固形物125mgを得た。
1H−NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド−d6)δ13.28(s,1H)、12.85(s,1H)、9.12(t,J=6.4Hz,1H)、8.63(d,J=8.9Hz,1H)、7.57−7.46(m,3H)、7.41−7.28(m,3H)、4.05(d,J=6.4Hz,2H)、2.53(s,3H)。
【0049】
実施例2:(2−(2−(4−フルオロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸)の合成
【化8】
ステップ1:2−クロロ−6−(4−フルオロフェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
250mLのナス型フラスコに、順に2,6−ジクロロニコチン酸メチル(2.06g,10mmol)、4−フルオロフェノール(1.12g,10mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド12mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらトリエチルアミン(1.80mL,13mmol)を滴下した後、更にトリエチレンジアミン(168mg,1.50mmol)を加え、透明溶液が濁った状態になるまで室温で攪拌しながら4〜5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=6:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として順にHOAc1.30mL、イソプロパノール25mL及び氷水15mLを加えて溶液が濁った状態から透明になるようにし、室温で更に0.5時間攪拌した。そして、水40mLをゆっくり滴下した後、大量の白色固形物が析出するまで室温で2時間攪拌した。減圧濾過し、残渣をイソプロパノールと水とが1:1の混合溶液で洗浄し、更に50℃、8時間かけて真空乾燥して2−クロロ−6−(4−フルオロフェノキシ)ニコチン酸メチルの固形物を2.07g、収率73.67%で得た。
【0050】
ステップ2:2−エチル−6−(4−フルオロフェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
100mLの三口フラスコで脱水処理を行い、窒素ガス雰囲気下で順に2−クロロ−6−(4−フルオロフェノキシ)ニコチン酸メチル1.90g(6.75mmol)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケルクロリド21mg(Ni(DPPE)Cl、0.04mmol)、及び脱水テトラヒドロフラン13mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらエチルマグネシウムブロマイド濃度1Mのテトラヒドロフラン14mL(14mmol)を0.5時間の間隔で2回分けてゆっくり滴下し、室温で攪拌しながら0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、10%のクエン酸水溶液13mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチルと水を加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−エチル−6−(4−フルオロフェノキシ)ニコチン酸メチルの淡黄色油状物を1.45g、収率77.98%で得た。
【0051】
ステップ3:2−(1−ブロモエチル)−6−(4−フルオロフェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順に2−エチル−6−(4−フルオロフェノキシ)ニコチン酸メチル(1.45g,5.27mmol)、N−ブロモスクシンイミド(1.03g,5.80mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(0.95g,5.80mmol)、及びテトラクロロメタン15mLを加えて溶かし、還流攪拌しながら2時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(1−ブロモエチル)−6−(4−フルオロフェノキシ)ニコチン酸メチルの淡黄色油状物を得てそのまま次の反応に用いた。
【0052】
ステップ4:6−(4−フルオロフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順にステップ3で得られた2−(1−ブロモエチル)−6−(4−フルオロフェノキシ)ニコチン酸メチル(1.65g,4.66mmol)、N−トシルグリシンメチルエステル(1.13g,4.66mmol)、炭酸カリウム(1.29g,9.32mmol)、ヨウ化ナトリウム(71mg,0.47mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド6mLを加えて溶かし、50℃で攪拌しながら10時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=2:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、酢酸エチルと水を加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が4:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−(4−フルオロフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの淡黄色固形物を1.79g、収率74.43%で得た。
【0053】
ステップ5:2−(4−フルオロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの製造
50mLのフラスコに、6−(4−フルオロフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチル(1.79g,3.47mmol)、及びジメチルスルホキシド10mLを加えて溶かし、攪拌しながらナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.8mL(4mmol)を滴下して0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で酢酸エチル:ジクロロメタン=1:20)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてジクロロメタンと酢酸エチルとの体積比が80:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(4−フルオロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの白色固形物を740mg、収率765.04%で得た。
【0054】
ステップ6:2−(2−(4−フルオロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の製造
50mLの密閉反応管に、順に2−(4−フルオロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチル(328mg,1mmol)、グリシン(225mg,3mmol)、ナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.6mL(3mmol)、及びメタノール8mLを加え、120℃、密閉状態下で攪拌しながら20時間反応させた。LCMSを用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として反応液をpH4に調整して溶液が黄色の懸濁液から透明液、更に黄色の懸濁液となるようにし、希塩酸を用いて固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣を大量の水、そして少量のメタノールで洗い流し、真空乾燥して2−(2−(4−フルオロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の黄色固形物を100mg、収率27%で得た。
1H−NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド−d6)δ13.27(s,1H)、9.13(d,J=6.6Hz,1H)、8.64(d,J=8.9Hz,1H)、7.55(d,J=8.9Hz,1H)、7.46−7.28(m,4H)、4.04(d,J=6.6Hz,2H)、2.53(s,3H)。
【0055】
実施例3:(2−(2−(4−クロロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸)の合成
【化9】
ステップ1:2−クロロ−6−(4−クロロフェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
250mLのナス型フラスコに、順に2,6−ジクロロニコチン酸メチル(2.06g,10mmol)、4−クロロフェノール(1.57g,10mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド12mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらトリエチルアミン(1.80mL,13mmol)を滴下し、更にトリエチレンジアミン(168mg,1.50mmol)を加えた。そして、透明溶液が濁った状態になるまで室温で攪拌しながら4〜5時間反応させ、薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテルと酢酸エチルが6:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認した。後処理として、順にHOAc1.30mL、イソプロパノール25mL及び氷水15mLを加えて溶液が濁った状態から透明になるようにし、室温で更に0.5時間攪拌した。そして、40mLの水をゆっくり滴下し、大量の白色固形物を析出するまで室温で2時間攪拌した。減圧濾過し、残渣をイソプロパノールと水とが1:1の混合溶液で洗浄し、50℃、8時間かけて真空乾燥して2−クロロ−6−(4−クロロフェノキシ)ニコチン酸メチルの固形物を2.36g、収率79.19%で得た。
【0056】
ステップ2:6−(4−クロロフェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの製造
100mLの三口フラスコで脱水処理を行い、窒素ガス雰囲気下で順に2−クロロ−6−(4−クロロフェノキシ)ニコチン酸メチル2g(6.71mmol)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケルクロリド21mg(Ni(DPPE)Cl、0.04mmol)、及び脱水テトラヒドロフラン13mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらエチルマグネシウムブロマイド濃度1Mのテトラヒドロフラン溶液14mL(14mmol)を0.5時間の間隔で2回分けてゆっくり滴下した後、室温で攪拌しながら0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、10%のクエン酸水溶液13mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−(4−クロロフェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの淡黄色油状物を1.67g、収率85.22%で得た。
【0057】
ステップ3:2−(1−ブロモエチル)−6−(4−クロロフェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順に6−(4−クロロフェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチル(1.67g,5.72mmol)、N−ブロモスクシンイミド(1.12g,6.29mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(1.03g,6.29mmol)、及びテトラクロロメタン15mLを加えて溶かし、還流攪拌しながら2時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(1−ブロモエチル)−6−(4−クロロフェノキシ)ニコチン酸メチルの淡黄色油状物を得てそのまま次の反応に用いた。
【0058】
ステップ4:6−(4−クロロフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順にステップ3で得られた2−(1−ブロモエチル)−6−(4−クロロフェノキシ)ニコチン酸メチル(1.91g,5.15mmol)、N−トシルグリシンメチルエステル(1.25g,5.15mmol)、炭酸カリウム(1.42g,10.30mmol)、ヨウ化ナトリウム(78mg,0.52mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド10mLを加えて溶かし、50℃で攪拌しながら10時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=2:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、酢酸エチルと水を加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が4:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−(4−クロロフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの淡黄色固形物を1.20g、収率43.73%で得た。
【0059】
ステップ5:2−(4−クロロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの製造
50mLのフラスコに、6−(4−クロロフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチル1.20g(2.25mmol)、及びジメチルスルホキシド10mLを加えて溶かし、ナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.9mL(4.5mmol)滴下して攪拌しながら0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で酢酸エチル:ジクロロメタン=1:20)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整した。ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜ、そしてジクロロメタンで抽出した(50mL×2回)。有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてジクロロメタンと酢酸エチルとの体積比が80:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(4−クロロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの白色固形物を530mg、収率71.77%で得た。
【0060】
ステップ6:2−(2−(4−クロロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の製造
50mLの密閉反応管に、順に2−(4−クロロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチル(350mg,1.02mmol)、グリシン(225mg,3.06mmol)、ナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.6mL(3mmol)、及びメタノール6mLを加えた。120℃、密閉条件下で攪拌しながら20時間反応させ、LCMSを用いて原料が殆ど反応していることを確認した。後処理として溶液が黄色の懸濁液から透明液、更に黄色の懸濁液となるまで希塩酸を用いて反応液をpH4に調整し、固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣を大量の水、そして少量のメタノールで洗浄し、真空乾燥して2−(2−(4−クロロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の黄色固形物を50mg、収率12.11%で得た。
1H−NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド−d6)δ13.29(s,1H)、9.12(t,J=6.2Hz,1H)、8.66(d,J=8.9Hz,1H)、7.60−7.58(m,3H)、7.47−7.39(m,2H)、4.04(d,J=6.2Hz,2H)、2.54(s,3H)。
【0061】
実施例4:2−(2−(3−クロロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の合成
【化10】
ステップ1:2−クロロ−6−(3−クロロフェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
250mLのナス型フラスコに、順に2,6−ジクロロニコチン酸メチル(2.06g,10mmol)、3−クロロフェノール(1.28g,10mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド12mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらトリエチルアミン(1.8ml,13mmol)を滴下し、更にトリエチレンジアミン(168mg,1.5mmol)を加えた。そして、透明溶液が濁った状態になるまで室温で攪拌しながら4〜5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=6:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として順にHOAc1.30mL、イソプロパノール25mL及び氷水15mLを加えて溶液が濁った状態から透明になるようにし、室温で更に0.5時間攪拌した。そして、水40mLをゆっくり滴下して室温で2時間攪拌し、大量の白色固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣をイソプロパノールと水とが1:1の混合溶液で洗浄し、50℃、8時間かけて真空乾燥して2−クロロ−6−(3−クロロフェノキシ)ニコチン酸メチルの固形物を1.77g、収率59.40%で得た。
【0062】
ステップ2:6−(3−クロロフェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの製造
100mLの三口フラスコで脱水処理を行い、窒素ガス雰囲気下で順に2−クロロ−6−(3−クロロフェノキシ)ニコチン酸メチル1.77g(5.94mmol)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケルクロリド16mg(Ni(DPPE)Cl、0.03mmol)、及び脱水テトラヒドロフラン10mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらエチルマグネシウムブロマイド濃度1Mのテトラヒドロフラン溶液12ml(12mmol)を0.5時間の間隔で2回分けてゆっくり滴下した後、更に室温で攪拌しながら0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、10%のクエン酸水溶液13mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチルと水を加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−(3−クロロフェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの淡黄色油状物を1.51g、収率87.06%で得た。
【0063】
ステップ3:2−(1−ブロモエチル)−6−(3−クロロフェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順に6−(3−クロロフェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチル(1.51g,5.17mmol)、N−ブロモスクシンイミド(1.01g,5.69mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(0.94g,5.69mmol)、及びテトラクロロメタン15mLを加えて溶かし、還流攪拌しながら2時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(1−ブロモエチル)−6−(3−クロロフェノキシ)ニコチン酸メチルの淡黄色油状物を得てそのまま次の反応に用いた。
【0064】
ステップ4:6−(3−クロロフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順にステップ3で得られた2−(1−ブロモエチル)−6−(3−クロロフェノキシ)ニコチン酸メチル(1.54g,4.15mmol)、N−トシルグリシンメチルエステル(1.00g,4.15mmol)、炭酸カリウム(1.15g,8.30mmol)、ヨウ化ナトリウム(63mg,0.42mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド10mLを加えて溶かし、50℃で攪拌しながら10時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=2:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が4:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−(3−クロロフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの淡黄色固形物を0.52g、収率23.50%で得た。
【0065】
ステップ5:2−(3−クロロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの製造
50mLのフラスコに、6−(3−クロロフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチル(520mg,0.98mmol)、及びジメチルスルホキシド10mLを加えて溶かし、攪拌しながらナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.4mL(2mmol)を滴下して0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で酢酸エチル:ジクロロメタン=1:20)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整した。ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてジクロロメタンと酢酸エチルとの体積比が80:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(3−クロロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの白色固形物を250mg、収率78.12%で得た。
【0066】
ステップ6:2−(2−(3−クロロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の製造
50mLの密閉反応管に、順に2−(3−クロロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチル(180mg,0.55mmol)、グリシン(124mg,1.65mmol)、ナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液(0.4ml,2mmol)、及びメタノール6mLを加え、120℃、密閉条件下で攪拌しながら20時間反応させ、LCMSを用いて原料が殆ど反応していることを確認した。後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整して溶液が黄色の懸濁液から透明液、更に黄色の懸濁液となるようにし、固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣を大量の水、そして少量のメタノールで洗浄し、真空乾燥して2−(2−(3−クロロフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の黄色固形物を30mg、収率14.13%で得た。
1H−NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド−d6)δ13.30(s,1H)、12.83(s,1H)、9.14(t,J=6.2Hz,1H)、8.66(d,J=9.0Hz,1H)、7.61−7.50(m,3H)、7.41−7.35(m,2H)、4.05(d,J=6.2Hz,2H)、2.55(s,3H)。
【0067】
実施例5:(2−(5−ヒドロキシ−8−メチル−2−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸)の合成
【化11】
ステップ1:2−クロロ−6−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
250mLのナス型フラスコに、順に2,6−ジクロロニコチン酸メチル(2.06g,10mmol)、4−(トリフルオロメチル)フェノール(1.62g,10mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド12mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらトリエチルアミン(1.8mL,13mmol)を滴下し、更にトリエチレンジアミン(168mg,1.50mmol)を加えた。そして、透明溶液が濁った状態になるまで室温で攪拌しながら4〜5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=6:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として順にHOAc1.30mL、イソプロパノール25mL及び氷水15mLを加えて溶液が濁った状態から透明になるようにし、室温で0.5時間攪拌した。そして、水40mLをゆっくり滴下して室温で2時間攪拌し、大量の白色固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣をイソプロパノールと水とが1:1の混合溶液で洗浄し、50℃、8時間真空乾燥して2−クロロ−6−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ニコチン酸メチルの固形物を1.75g、52.87%で得た。
【0068】
ステップ2:2−エチル−6−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
100mLの三口フラスコで脱水処理を行い、窒素ガス雰囲気下で順に2−クロロ−6−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ニコチン酸メチル1.75g(5.29mmol)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケルクロリド16mg(Ni(DPPE)Cl、0.03mmol)、及び脱水テトラヒドロフラン10mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらエチルマグネシウムブロマイド濃度1Mのテトラヒドロフラン溶液11ml(11mmol)を0.5時間の間隔で2回分けてゆっくり滴下し、更に室温で攪拌しながら0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、10%のクエン酸水溶液13mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−エチル−6−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ニコチン酸メチルの淡黄色油状物を1.43g、収率83.22%で得た。
【0069】
ステップ3:2−(1−ブロモエチル)−6−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順に2−エチル−6−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ニコチン酸メチル(1.43g,4.40mmol)、N−ブロモスクシンイミド(862mg,4.84mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(794mg,4.84mmol)、及びテトラクロロメタン15mLを加えて溶かし、還流攪拌しながら2時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(1−ブロモエチル)−6−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ニコチン酸メチルの淡黄色油状物を得てそのまま次の反応に用いた。
【0070】
ステップ4:2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)−6−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順にステップ3で得られた2−(1−ブロモエチル)−6−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ニコチン酸メチル(1.42g,3.51mmol)、N−トシルグリシンメチルエステル(850mg,3.51mmol)、炭酸カリウム(970mg,7.02mmol)、ヨウ化ナトリウム(53mg,0.35mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド10mLを加えて溶かし、50℃で攪拌しながら10時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=2:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が4:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)−6−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ニコチン酸メチルの淡黄色固形物を1.08g、収率54.29%で得た。
【0071】
ステップ5:5−ヒドロキシ−8−メチル−2−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの製造
50mLのフラスコに、2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)−6−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)ニコチン酸メチル(310mg,0.55mmol)、及びジメチルスルホキシド5mLを加えて溶かし、ナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液(0.3ml,1.5mmol)を滴下して攪拌しながら0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で酢酸エチル:ジクロロメタン=1:20)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整した。そして、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてジクロロメタンと酢酸エチルとの体積比が80:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して5−ヒドロキシ−8−メチル−2−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの白色固形物を130mg、収率62.79%で得た。
【0072】
ステップ6:2−(5−ヒドロキシ−8−メチル−2−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の製造
50mLの密閉反応管に、順に5−ヒドロキシ−8−メチル−2−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチル(130mg,0.36mmol)、グリシン(81mg,1.08mmol)、ナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液(0.2mL,1mmol)、及びメタノール5mLを加え、120℃、密閉条件下で攪拌しながら20時間反応させた。LCMSを用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整して溶液が黄色の懸濁液から透明液、更に黄色の懸濁液となるようにし、固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣を大量の水、そして少量のメタノールで洗浄し、真空乾燥して2−(5−ヒドロキシ−8−メチル−2−(4−(トリフルオロメチル)フェノキシ)−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の黄色固形物を32mg、収率22.10%で得た。
1H−NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド−d6)δ13.31(s,1H)、12.84(s,1H)、9.15(t,J=6.2Hz,1H)、8.69(d,J=8.9Hz,1H)、7.94−7.85(m,2H)、7.68−7.59(m,3H)、4.05(d,J=6.2Hz,2H)、2.54(s,3H)。
【0073】
実施例6:(2−(2−(4−シアノフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸)の合成
【化12】
ステップ1:2−クロロ−6−(4−シアノフェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
250mLのナス型フラスコに、順に2,6−ジクロロニコチン酸メチル(2.06g,10mmol)、4-ヒドロキシベンゾニトリル(1.20g,10mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド12mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらトリエチルアミン1.80mL(13mmol)を滴下し、更にトリエチレンジアミン(168mg,1.50mmol)を加えた。そして、透明溶液が濁った状態になるまで室温で攪拌しながら4〜5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=6:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として順にHOAc1.30mL、イソプロパノール25mL、及び氷水15mLを加え、溶液が濁った状態から透明になるまで室温で0.5時間攪拌した。そして、水40mLをゆっくり滴下して室温で2時間攪拌し、大量の白色固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣をイソプロパノールと水とが1:1の混合溶液で洗浄し、50℃、8時間かけて真空乾燥して2−クロロ−6−(4−シアノフェノキシ)ニコチン酸メチルの固形物を1.94g、収率67.36%で得た。
【0074】
ステップ2:6−(4−シアノフェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの製造
100mLの三口フラスコで脱水処理を行い、窒素ガス雰囲気下で順に2−クロロ−6−(4−シアノフェノキシ)ニコチン酸メチル1.94g(6.74mmol)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケルクロリド16mg(Ni(DPPE)Cl,0.03mmol)、及び脱水テトラヒドロフラン15mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらエチルマグネシウムブロマイド濃度1Mのテトラヒドロフラン溶液7mL(7mmol)を0.5時間の間隔で2回分けてゆっくり滴下し、更に室温で攪拌しながら0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、10%のクエン酸水溶液13mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−(4−シアノフェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの淡黄色油状物を1.23g、収率64.75%で得た。
【0075】
ステップ3:2−(1−ブロモエチル)−6−(4−シアノフェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順に6−(4−シアノフェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチル(1.23g,4.36mmol)、N−ブロモスクシンイミド(0.85g,4.80mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(0.79g,4.80mmol)、及びテトラクロロメタン15mLを加えて溶かし、還流攪拌しながら2時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(1−ブロモエチル)−6−(4−シアノフェノキシ)ニコチン酸メチルの淡黄色油状物を得てそのまま次の反応に用いた。
【0076】
ステップ4:6−(4−シアノフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順にステップ3で得られた2−(1−ブロモエチル)−6−(4−シアノフェノキシ)ニコチン酸メチル(1.30g,3.60mmol)、N−トシルグリシンメチルエステル(871mg,3.60mmol)、炭酸カリウム(994mg,7.20mmol)、ヨウ化ナトリウム(54mg,0.36mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド15mLを加えて溶かし、50℃で攪拌しながら10時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=2:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、酢酸エチルと水を加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が4:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−(4−シアノフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの淡黄色固形物を0.89g、収率47.26%で得た。
【0077】
ステップ5:2−(4−シアノフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの製造
50mLのフラスクに、6−(4−シアノフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチル(890mg,1.70mmol)、及びジメチルスルホキシド8mLを加えて溶かし、攪拌しながらナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.7mL(3.5mmol)を滴下して0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で酢酸エチル:ジクロロメタン=1:20)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてジクロロメタンと酢酸エチルとの体積比が80:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(4−シアノフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの白色固形物を370mg、収率57.52%で得た。
【0078】
ステップ6:2−(2−(4−シアノフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の製造
50mLの密閉反応管に、順に2−(4−シアノフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチル(110mg,0.33mmol)、グリシン(75mg,1mmol)、ナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.2mL(1mmol)、及びメタノール5mLを加え、120℃、密閉条件下で攪拌しながら20時間反応させた。LCMSを用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整して溶液が黄色の懸濁液から透明液、更に黄色の懸濁液となるようにし、固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣を大量の水、そして少量のメタノールで洗浄し、真空乾燥して2−(2−(4−シアノフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の黄色固形物を30mg、収率24.17%で得た。
1H−NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド−d6)δ13.31(s,1H)、9.14(t,J=6.2Hz,1H)、8.69(d,J=9.0Hz,1H)、8.05−7.97(m,2H)、7.67−7.59(m,3H)、4.04(d,J=6.2Hz,2H)、2.54(s,3H)。
【0079】
実施例7:2−(2−(3−シアノフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の合成
【化13】
ステップ1:2−クロロ−6−(3−シアノフェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
250mLのナス型フラスコに、順に2,6−ジクロロニコチン酸メチル(3.09g,15mmol)、3−ヒドロキシベンゾニトリル(1.79g,15mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド18mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらトリエチルアミン2.7mL(6.5mmol)を滴下し、更にトリエチレンジアミン(252mg,0.75mmol)を加えた。そして、透明溶液が濁った状態になるまで室温で攪拌しながら4〜5時間反応させ、薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=6:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認した。後処理として順にHOAc1.30mL、イソプロパノール25mL、氷水15mLを加えて溶液が濁った状態から透明になるようにし、室温で0.5時間攪拌した。そして、水40mLをゆっくり滴下して室温で更に2時間攪拌し、大量の白色固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣をイソプロパノールと水とが1:1の混合溶液で洗浄し、50℃、8時間かけて真空乾燥して2−クロロ−6−(3−シアノフェノキシ)ニコチン酸メチルの固形物を3.51g、収率81.25%で得た。
【0080】
ステップ2:6−(3−シアノフェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの製造
100mLの三口フラスコで脱水処理を行い、窒素ガス雰囲気下で順に加2−クロロ−6−(3−シアノフェノキシ)ニコチン酸メチル3.51g(12.16mmol)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケルクロリド33mg(Ni(DPPE)Cl,0.06mmol)、及び脱水テトラヒドロフラン20mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらエチルマグネシウムブロマイド濃度1Mのテトラヒドロフラン溶液25ml(25mmol)を0.5時間の間隔で2回分けてゆっくり滴下し、室温で攪拌しながら反応0.5時間,薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認した。13mLの10%のクエン酸水溶液反応を停止させ、酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−(3−シアノフェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの淡黄色油状物を3.40g、収率98.93%で得た。
【0081】
ステップ3:2−(1−ブロモエチル)−6−(3−シアノフェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順に6−(3−シアノフェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチル(3.40g,12.06mmol)、N−ブロモスクシンイミド(2.36g,13.27mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(2.18g,13.27mmol)、及びテトラクロロメタン20mLを加えて溶かし、還流攪拌しながら2時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(1−ブロモエチル)−6−(3−シアノフェノキシ)ニコチン酸メチルの淡黄色油状物を得てそのまま次の反応に用いた。
【0082】
ステップ4:6−(3−シアノフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順にステップ3で得られた2−(1−ブロモエチル)−6−(3−シアノフェノキシ)ニコチン酸メチル(4.34g,12mmol)、N−トシルグリシンメチルエステル(2.90g,12mmol)、炭酸カリウム(3.31g,24mmol)、ヨウ化ナトリウム(180mg,1.2mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド20mLを加えて溶かし、50℃で攪拌しながら10時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=2:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が4:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−(3−シアノフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの淡黄色固形物を3.05g、収率48.51%で得た。
【0083】
ステップ5:2−(3−シアノフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの製造
50mLのフラスコに、6−(3−シアノフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチル(3.05g,5.83mmol)、及びジメチルスルホキシド15mLを加えて溶かし、ナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液2.4mL(12mmol)を滴下して攪拌しながら0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で酢酸エチル:ジクロロメタン=1:20)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてジクロロメタンと酢酸エチルとの体積比が80:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(3−シアノフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの白色固形物を1.80g、収率92.14%で得た。
【0084】
ステップ6:2−(2−(3−シアノフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の製造
50mLの密閉反応管に、順に2−(3−シアノフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチル(250mg,0.75mmol)、グリシン(124mg,2.25mmol)、ナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.5mL(2.25mmol)、及びメタノール5mLを加え、120℃、密閉条件下で攪拌しながら20時間反応させた。LCMSを用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整して溶液が黄色の懸濁液から透明液、更に黄色の懸濁液となるようにし、固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣を大量の水、そして少量のメタノールで洗浄し、真空乾燥して2−(2−(3−シアノフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の黄色固形物を90mg、収率31.90%で得た。
1H−NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド−d6)δ13.31(s,1H)、12.85(s,1H)、9.14(t,J=6.2Hz,1H)、8.68(d,J=8.9Hz,1H)、8.02−7.97(m,1H)、7.86−7.66(m,3H)、7.62(d,J=8.9Hz,1H)、4.04(d,J=6.2Hz,2H)、2.52(s,3H)。
【0085】
実施例8:2−(2−(4−(t−ブチル)フェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の合成
【化14】
ステップ1:6−(4−(t−ブチル)フェノキシ)−2−クロロニコチン酸メチルの製造
250mLのナス型フラスコに、順に2,6−ジクロロニコチン酸メチル(2.06g,10mmol)、4−(t−ブチル)フェノール(1.50g,10mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド12mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらトリエチルアミン1.80mL(13mmol)を滴下し、更にトリエチレンジアミン(168mg,1.50mmol)を加えた後、透明溶液が濁った状態になるまで室温で攪拌しながら4〜5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=6:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として順にHOAc1.30mL、イソプロパノール25mL、及び氷水15mLを加え、溶液が濁った状態から透明になるまで室温で0.5時間攪拌した。そして、水40mLをゆっくり滴下して室温で2時間攪拌し、大量の白色固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣をイソプロパノールと水とが1:1の混合溶液で洗浄し、50℃、8時間かけて真空乾燥して6−(4−(t−ブチル)フェノキシ)−2−クロロニコチン酸メチルの固形物を2.60g、収率81.50%で得た。
【0086】
ステップ2:6−(4−(t−ブチル)フェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの製造
100mLの三口フラスコで脱水処理を行い、窒素ガス雰囲気下で順に6−(4−(t−ブチル)フェノキシ)−2−クロロニコチン酸メチル2.60g(8.13mmol)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケルクロリド22mg(Ni(DPPE)Cl,0.04mmol)、及び脱水テトラヒドロフラン15mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらエチルマグネシウムブロマイド濃度1Mのテトラヒドロフラン溶液17mL(17mmol)を0.5時間の間隔で2回分けてゆっくり滴下し、更に室温で攪拌しながら0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、10%のクエン酸水溶液13mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチルと水を加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−(4−(t−ブチル)フェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの淡黄色油状物を2.19g、収率85.85%で得た。
【0087】
ステップ3:2−(1−ブロモエチル)−6−(4−(t−ブチル)フェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順に6−(4−(t−ブチル)フェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチル(2.19g,6.99mmol)、N−ブロモスクシンイミド(1.37g,7.69mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(1.26g,7.69mmol)、及びテトラクロロメタン15mLを加えて溶かし、還流攪拌しながら2時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(1−ブロモエチル)−6−(4−(t−ブチル)フェノキシ)ニコチン酸メチルの淡黄色油状物を得てそのまま次の反応に用いた。
【0088】
ステップ4:6−(4−(t−ブチル)フェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順にステップ3で得られた2−(1−ブロモエチル)−6−(4−(t−ブチル)フェノキシ)ニコチン酸メチル(2.48g,6.32mmol)、N−トシルグリシンメチルエステル(1.53g,6.32mmol)、炭酸カリウム(1.75g,12.64mmol)、ヨウ化ナトリウム(95mg,0.63mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド15mLを加えて溶かし、50℃で攪拌しながら10時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=2:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、酢酸エチルと水を加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が4:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−(4−(t−ブチル)フェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの淡黄色固形物を0.93g、収率26.49%で得た。
【0089】
ステップ5:2−(4−(t−ブチル)フェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの製造
50mLのフラスコに、6−(4−(t−ブチル)フェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチル(930mg,1.68mmol)、及びジメチルスルホキシド8mLを加えて溶かし、攪拌しながらナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.7mL(3.5mmol)を滴下して0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で酢酸エチル:ジクロロメタン=1:20)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてジクロロメタンと酢酸エチルとの体積比が80:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(4−(t−ブチル)フェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの白色固形物を420mg、収率68.48%で得た。
【0090】
ステップ6:2−(2−(4−(t−ブチル)フェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の製造
50mLの密閉反応管に、順に2−(4−(t−ブチル)フェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチル(360mg,1mmol)、グリシン(169mg,3mmol)、ナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.6mL(3mmol)、及びメタノール6mLを加え、120℃、密閉条件下で攪拌しながら20時間反応させた。LCMSを用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整して溶液が黄色の懸濁液から透明液、更に黄色の懸濁液となるようにし、固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣を大量の水、そして少量のメタノールで洗浄し、真空乾燥して2−(2−(4−(t−ブチル)フェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の黄色固形物を140mg、収率34.80%で得た。
1H−NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド−d6)δ13.29(s,1H)、9.11(t,J=6.2Hz,1H)、8.63(d,J=9.0Hz,1H)、7.55−7.45(m,3H)、7.34−7.25(m,2H)、4.03(d,J=6.2Hz,2H)、2.58(s,3H)、1.34(s,9H).
【0091】
実施例9:2−(5−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェノキシ)−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の合成
【化15】
ステップ1:2−クロロ−6−(4−メトキシフェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
250mLのナス型フラスコに、順に2,6−ジクロロニコチン酸メチル(3.09g,15mmol)、4−メトキシフェノール(1.86g,15mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド18mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらトリエチルアミン2.7mL(19.5mmol)を滴下した後、更にトリエチレンジアミン(252mg,2.25mmol)を加えた。そして、透明な溶液が濁った状態になるまで室温で攪拌しながら4〜5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=6:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として順にHOAc1.30mL、イソプロパノール25mL、及び氷水15mLを加えて溶液が濁った状態から透明になるようにし、室温で更に0.5時間攪拌した。そして、水40mLをゆっくり滴下してから室温で2時間攪拌し、大量の白色固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣をイソプロパノールと水とが1:1の混合溶液で洗浄し、50℃、8時間かけて真空乾燥して2−クロロ−6−(4−メトキシフェノキシ)ニコチン酸メチルの固形物を4.05g、収率91.84%で得た。
【0092】
ステップ2:2−エチル−6−(4−メトキシフェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
100mLの三口フラスコで脱水処理を行い、窒素ガス雰囲気下で順に2−クロロ−6−(4−メトキシフェノキシ)ニコチン酸メチル4.05g(13.79mmol)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケルクロリド37mg(Ni(DPPE)Cl,0.07mmol)、及び脱水テトラヒドロフラン20mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらエチルマグネシウムブロマイド濃度1Mのテトラヒドロフラン溶液28mL(28mmol)を0.5時間の間隔で2回分けてゆっくり滴下した後、室温で攪拌しながら0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、10%のクエン酸水溶液13mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1の混合液で溶出し、溶媒を留去して2−エチル−6−(4−メトキシフェノキシ)ニコチン酸メチルの淡黄色油状物を3.05g、収率77.15%で得た。
【0093】
ステップ3:2−(1−ブロモエチル)−6−(4−メトキシフェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順に2−エチル−6−(4−メトキシフェノキシ)ニコチン酸メチル(3.05g,10.62mmol)、N−ブロモスクシンイミド(2.08g,11.68mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(1.92g,11.68mmol)、及びテトラクロロメタン15mLを加えて溶かし、還流攪拌しながら2時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(1−ブロモエチル)−6−(4−メトキシフェノキシ)ニコチン酸メチルの淡黄色油状物を得てそのまま次の反応に用いた。
【0094】
ステップ4:2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)−6−(4−メトキシフェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順にステップ3で得られた2−(1−ブロモエチル)−6−(4−メトキシフェノキシ)ニコチン酸メチル(3.18g,8.69mmol)、N−トシルグリシンメチルエステル(2.10g,8.69mmol)、炭酸カリウム(2.40g,17.38mmol)、ヨウ化ナトリウム(131mg,0.87mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド20mLを加えて溶かし、50℃で攪拌しながら10時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=2:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が4:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)−6−(4−メトキシフェノキシ)ニコチン酸メチルの淡黄色固形物を2.06g、収率44.90%で得た。
【0095】
ステップ5:5−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェノキシ)−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの製造
50mLのフラスコに、2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)−6−(4−メトキシフェノキシ)ニコチン酸メチル(2.06g,3.90mmol)、及びジメチルスルホキシド10mLを加えて溶かし、攪拌しながらナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液1.6mL(8mmol)を滴下して0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で酢酸エチル:ジクロロメタン=1:20)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてジクロロメタンと酢酸エチルとの体積比が80:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して5−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェノキシ)−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの白色固形物を830mg、収率62.57%で得た。
【0096】
ステップ6:2−(5−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェノキシ)−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の製造
50mLの密閉反応管に、順に5−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェノキシ)−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチル(270mg,0.80mmol)、グリシン(180mg,2.40mmol)、ナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.5mL(2.5mmol)、及びメタノール6mLを加え、120℃、密閉条件下で攪拌しながら20時間反応させた。LCMSを用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整し、溶液が黄色の懸濁液から透明液、更に黄色の懸濁液となるようにし、固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣を大量の水、そして少量のメタノールで洗浄し、真空乾燥して2−(5−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェノキシ)−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の黄色固形物を78mg、収率25.65%で得た。
1H―NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド−d6)δ13.27(s,1H)、12.83(s,1H)、9.12(t,J=6.2Hz,1H)、8.62(d,J=9.0Hz,1H)、7.49(d,J=9.0Hz,1H)、7.34−7.25(m,2H)、7.09−6.98(m,2H)、4.04(d,J=6.2Hz,2H)、3.81(s,3H)、2.55(s,3H)。
【0097】
実施例10:2−(2−(4−ブロモフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の合成
【化16】
ステップ1:6−(4−ブロモフェノキシ)−2−クロロニコチン酸メチルの製造
250mLのナス型フラスコに、順に2,6−ジクロロニコチン酸メチル(8.24g,40mmol)、4−ブロモフェノール(6.92g,40mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド50mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらトリエチルアミン7.2mL(52mmol)を滴下した後、更にトリエチレンジアミン(672mg,6mmol)を加えた。そして、透明溶液が濁った状態になるまで室温で攪拌しながら4〜5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=6:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として順にHOAc1.30mL、イソプロパノール25mL、及び氷水15mLを加えて溶液が濁った状態から透明になるようにし、室温で0.5時間攪拌した。そして、水40mLをゆっくり滴下して室温で2時間攪拌し、大量の白色固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣をイソプロパノールと水とが1:1の混合溶液で洗浄し、50℃、8時間かけて真空乾燥して6−(4−ブロモフェノキシ)−2−クロロニコチン酸メチルの固形物を11.48g、収率83.92%で得た。
【0098】
ステップ2:6−(4−ブロモフェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの製造
100mLの三口フラスコで脱水処理を行い、窒素ガス雰囲気下で順に6−(4−ブロモフェノキシ)−2−クロロニコチン酸メチル1.03g、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケルクロリド10mg(Ni(DPPE)Cl,0.02mmol)、及び脱水テトラヒドロフラン10mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらエチルマグネシウムブロマイド濃度1Mのテトラヒドロフラン溶液6mLを0.5時間の間隔で2回分けてゆっくり滴下し、室温で更に攪拌しながら0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、10%のクエン酸水溶液13mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−(4−ブロモフェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの淡黄色油状物を790mg、収率78.07%で得た。
【0099】
ステップ3:2−(1−ブロモエチル)−6−(4−ブロモフェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順に6−(4−ブロモフェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチル(790mg2.35mmol)、N−ブロモスクシンイミド(461mg,2.59mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(425mg,2.59mmol)、及びテトラクロロメタン15mLを加えて溶かし、還流攪拌しながら2時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(1−ブロモエチル)−6−(4−ブロモフェノキシ)ニコチン酸メチルの淡黄色油状物を得てそのまま次の反応に用いた。
【0100】
ステップ4:6−(4−ブロモフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順にステップ3で得られた2−(1−ブロモエチル)−6−(4−ブロモフェノキシ)ニコチン酸メチル(890mg,2.14mmol)、N−トシルグリシンメチルエステル(518mg,2.14mmol)、炭酸カリウム(591mg,4.28mmol)、ヨウ化ナトリウム(32mg,0.21mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド15mLを加えて溶かし、50℃で攪拌しながら10時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=2:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が4:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−(4−ブロモフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの淡黄色固形物を420mg、収率33.94%で得た。
【0101】
ステップ5:2−(4−ブロモフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの製造
50mLのフラスコに、6−(4−ブロモフェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチル(1.14g,2mmol)、及びジメチルスルホキシド10mLを加えて溶かし、攪拌しながらナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.8mL(4mmol)を滴下して0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で酢酸エチル:ジクロロメタン=1:20)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてジクロロメタンと酢酸エチルとの体積比が80:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(4−ブロモフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの白色固形物を540mg、収率70.26%で得た。
【0102】
ステップ6:2−(2−(4−ブロモフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の製造
50mLの密閉反応管に、順に2−(4−ブロモフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチル(290mg,0.75mmol)、グリシン(169mg,2.25mmol)、ナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.5mL(2.5mmol)、及びメタノール6mLを加え、120℃、密閉条件下で攪拌しながら20時間反応させた。LCMSを用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整して溶液が黄色の懸濁液から透明液、更に黄色の懸濁液となるようにし、固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣を大量の水、そして少量のメタノールで洗浄し、真空乾燥して2−(2−(4−ブロモフェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の黄色固形物を108mg、収率33.53%で得た。
1H―NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド−d6)δ13.28(s,1H)、12.83(s,1H)、9.13(t,J=6.2Hz,1H)、8.65(d,J=8.9Hz,1H)、7.74−7.65(m,2H)、7.56(d,J=8.9Hz,1H)、7.42−7.33(m,2H)、4.05(d,J=6.2Hz,2H)、2.54(s,3H)。
【0103】
実施例11:2−(2−(3−(t−ブチル)フェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の合成
【化17】
ステップ1:6−(3−(t−ブチル)フェノキシ)−2−クロロニコチン酸メチルの製造
250mLのナス型フラスコに、順に2,6−ジクロロニコチン酸メチル(3.09g,15mmol)、3−(t−ブチル)フェノール(2.25g,15mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド18mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらトリエチルアミン2.7mL(6.5mmol)を滴下し、更にトリエチレンジアミン(252mg,0.75mmol)を加えた。そして、透明溶液が濁った状態になるまで室温で攪拌しながら4〜5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=6:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として順にHOAc1.30mL、イソプロパノール25mL、及び氷水15mLを加えて溶液が濁った状態から透明になるようにし、室温で0.5時間攪拌した。そして、水40mLをゆっくり滴下して室温で2時間攪拌し、大量の白色固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣をイソプロパノールと水とが1:1の混合溶液で洗浄し、50℃、8時間かけて真空乾燥して6−(3−(t−ブチル)フェノキシ)−2−クロロニコチン酸メチルの固形物を3.53g、収率73.77%で得た。
【0104】
ステップ2:6−(3−(t−ブチル)フェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの製造
100mLの三口フラスコで脱水処理を行い、窒素ガス雰囲気下で順に6−(3−(t−ブチル)フェノキシ)−2−クロロニコチン酸メチル3.53g(11.04mmol)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケルクロリド32mg(Ni(DPPE)Cl,0.06mmol)、及び脱水テトラヒドロフラン15mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらエチルマグネシウムブロマイド濃度1Mのテトラヒドロフラン溶液22mL(22mmol)を0.5時間の間隔で2回分けてゆっくり滴下し、室温で攪拌しながら0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、10%のクエン酸水溶液13mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1の混合液で溶出し、溶媒を留去して6−(3−(t−ブチル)フェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの淡黄色油状物を3.09g、収率89.21%で得た。
【0105】
ステップ3:2−(1−ブロモエチル)−6−(3−(t−ブチル)フェノキシ)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順に6−(3−(t−ブチル)フェノキシ)−2−エチルニコチン酸メチル(3.09g,9.86mmol)、N−ブロモスクシンイミド(1.93g,10.85mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(1.78g,10.85mmol)、及びテトラクロロメタン15mLを加えて溶かし、還流攪拌しながら2時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(1−ブロモエチル)−6−(3−(t−ブチル)フェノキシ)ニコチン酸メチルの淡黄色油状物を得てそのまま次の反応に用いた。
【0106】
ステップ4:6−(3−(t−ブチル)フェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順にステップ3で得られた2−(1−ブロモエチル)−6−(3−(t−ブチル)フェノキシ)ニコチン酸メチル(3.42g,8.72mmol)、N−トシルグリシンメチルエステル(2.11g,8.72mmol)、炭酸カリウム(2.41g,17.44mmol)、ヨウ化ナトリウム(131mg,0.87mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド20mLを加えて溶かし、50℃で攪拌しながら10時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=2:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が4:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−(3−(t−ブチル)フェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの淡黄色固形物を1.55g、収率32.10%で得た。
【0107】
ステップ5:2−(3−(t−ブチル)フェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの製造
50mLのフラスコに、6−(3−(t−ブチル)フェノキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチル(1.55g,2.80mmol)、及びジメチルスルホキシド10mLを加えて溶かし、攪拌しながらナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液1.2mL(6mmol)を滴下して0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で酢酸エチル:ジクロロメタン=1:20)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてジクロロメタンと酢酸エチルとの体積比が80:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(3−(t−ブチル)フェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの白色固形物を630mg、収率61.63%で得た。
【0108】
ステップ6:2−(2−(3−(t−ブチル)フェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の製造
50mLの密閉反応管に、順に2−(3−(t−ブチル)フェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチル(360mg,1mmol)、グリシン(169mg,3mmol)、ナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.6mL(3mmol)、及びメタノール6mLを加え、120℃、密閉条件下で攪拌しながら20時間反応させた。LCMSを用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整し、溶液が黄色の懸濁液から透明液、更に黄色の懸濁液となるようにし、固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣を大量の水、そして少量のメタノールで洗浄し、真空乾燥して2−(2−(3−(t−ブチル)フェノキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の黄色固形物を108mg、収率26.85%で得た。
1H―NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド−d6)δ13.28(s,1H)、12.81(s,1H)、9.12(t,J=6.2Hz,1H)、8.63(d,J=9.0Hz,1H)、7.52(d,J=9.0Hz,1H)、7.47−7.38(m,2H)、7.37−7.30(m,1H)、7.20−7.15(m,1H)、4.04(d,J=6.2Hz,2H)、2.55(s,3H)、1.32(s,9H)。
【0109】
実施例12:2−(2−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の合成
【化18】
ステップ1:2−クロロ−6−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)ニコチン酸メチルの製造
250mLのナス型フラスコに、順に2,6−ジクロロニコチン酸メチル(3.09g,15mmol)、2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−フェノール(2.28g,15mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド18mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらトリエチルアミン2.7mL(6.5mmol)を滴下し、更にトリエチレンジアミン(252mg,0.75mmol)を加え、透明溶液が濁った状態になるまで室温で攪拌しながら4〜5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=6:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として順にHOAc1.30mL、イソプロパノール25mL、及び氷水15mLを加えて溶液が濁った状態から透明になるようにし、室温で0.5時間攪拌した。そして、水40mLをゆっくり滴下して室温で2時間攪拌し、大量の白色固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣をイソプロパノールと水とが1:1の混合溶液で洗浄し、50℃、8時間かけて真空乾燥して2−クロロ−6−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)ニコチン酸メチルの固形物を4.05g、収率84.11%で得た。
【0110】
ステップ2:6−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの製造
100mLの三口フラスコで脱水処理を行い、窒素ガス雰囲気下で順に2−クロロ−6−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)ニコチン酸メチル4.05g(12.62mmol)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケルクロリド33mg(Ni(DPPE)Cl,0.06mmol)、及び脱水テトラヒドロフラン20mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらエチルマグネシウムブロマイド濃度1Mのテトラヒドロフラン溶液25mL(25mmol)を0.5時間の間隔で2回分けてゆっくり滴下し、室温で攪拌しながら0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、10%のクエン酸水溶液13mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの淡黄色油状物を2.65g、収率66.68%で得た。
【0111】
ステップ3:2−(1−ブロモエチル)−6−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順に6−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)−2−エチルニコチン酸メチル(2.65g,8.41mmol)、N−ブロモスクシンイミド(1.65g,9.25mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(1.52g,9.25mmol)、及びテトラクロロメタン20mLを加えて溶かし、還流攪拌しながら2時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(1−ブロモエチル)−6−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)ニコチン酸メチルの淡黄色油状物を得てそのまま次の反応に用いた。
【0112】
ステップ4:6−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順にステップ3で得られた2−(1−ブロモエチル)−6−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)ニコチン酸メチル(3.06g,7.77mmol)、N−トシルグリシンメチルエステル(1.88g,7.77mmol)、炭酸カリウム(2.14g,15.54mmol)、ヨウ化ナトリウム(117mg,0.78mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド20mLを加えて溶かし、50℃で攪拌しながら10時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=2:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が4:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの淡黄色固形物を916mg、収率21.21%で得た。
【0113】
ステップ5:2−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの製造
50mLのフラスコに、6−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチル(916mg,1.65mmol)、及びジメチルスルホキシド8mLを加えて溶かし、攪拌しながらナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.7mL(3.5mmol)を滴下して0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で酢酸エチル:ジクロロメタン=1:20)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてジクロロメタンと酢酸エチルとの体積比が80:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの白色固形物を280mg、収率46.18%で得た。
【0114】
ステップ6:2−(2−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の製造
50mLの密閉反応管に、順に2−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチル(280mg,0.76mmol)、グリシン(171mg,2.28mmol)、ナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液(0.5ml,2.50mmol)、及びメタノール6mLを加え、120℃、密閉条件下で攪拌しながら20時間反応させた。LCMSを用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整し、溶液が黄色の懸濁液から透明液、更に黄色の懸濁液となるようにし、固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣を大量の水、そして少量のメタノールで洗浄し、真空乾燥して2−(2−((2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキソ−6−イル)オキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の黄色固形物を130mg、収率41.57%で得た。
1H−NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド−d6)δ13.32(s,1H)、9.08(t,J=5.8Hz,1H)、8.62(d,J=9.0Hz,1H)、7.45(d,J=9.0Hz,1H)、7.00−6.90(m,2H)、6.83(dd,J=8.8,2.8Hz,1H)、4.29(s,4H)、3.99(d,J=5.8Hz,2H)、2.60(s,3H)。
【0115】
実施例13:2−(2−([1,1’−ビフェニル]−4−オキソ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の合成
【化19】
ステップ1:6−([1,1’−ビフェニル]−4−オキシ)−2−クロロニコチン酸メチルの製造
250mLのナス型フラスコに、順に加入2,6−ジクロロニコチン酸メチル(4.12g,20mmol)、[1,1’−ビフェニル]−4−フェノール(3.40g,20mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド24mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらトリエチルアミン3.8mL(26mmol)を滴下し、更にトリエチレンジアミン(336mg,3mmol)を加え、透明溶液が濁った状態になるまで室温で攪拌しながら4〜5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=6:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として順にHOAc1.30mL、イソプロパノール25mL、及び氷水15mLを加えて溶液が濁った状態から透明になるようにし、室温0.5時間攪拌した。そして、水40mLをゆっくり滴下して室温で2時間攪拌し、大量の白色固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣をイソプロパノールと水とが1:1の混合溶液で洗浄し、50℃、8時間かけて真空乾燥して6−([1,1’−ビフェニル]−4−オキシ)−2−クロロニコチン酸メチルの固形物を5.66g、収率83.24%で得た。
【0116】
ステップ2:6−([1,1’−ビフェニル]−4−オキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの製造
100mLの三口フラスコで脱水処理を行い、窒素ガス雰囲気下で順に6−([1,1’−ビフェニル]−4−オキシ)−2−クロロニコチン酸メチル3.40g(10mmol)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケルクロリド27mg(Ni(DPPE)Cl,0.05mmol)、及び脱水テトラヒドロフラン15mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらエチルマグネシウムブロマイド濃度1Mのテトラヒドロフラン溶液20mL(20mmol)を0.5時間の間隔で2回分けてゆっくり滴下し、室温で攪拌しながら0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、10%のクエン酸水溶液13mLを加えた反応を停止させた。酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−([1,1’−ビフェニル]−4−オキシ)−2−エチルニコチン酸メチルの淡黄色油状物を2.78g、収率83.48%で得た。
【0117】
ステップ3:6−([1,1’−ビフェニル]−4−オキシ)−2−(1−ブロモエチル)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順に6−([1,1’−ビフェニル]−4−オキシ)−2−エチルニコチン酸メチル(2.78g,8.34mmol)、N−ブロモスクシンイミド(1.63g,9.17mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(1.50g,9.17mmol)、及びテトラクロロメタン15mLを加えて溶かし、還流攪拌しながら2時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−([1,1’−ビフェニル]−4−オキシ)−2−(1−ブロモエチル)ニコチン酸メチルの淡黄色油状物を得てそのまま次の反応に用いた。
【0118】
ステップ4:6−([1,1’−ビフェニル]−4−オキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順にステップ3で得られた6−([1,1’−ビフェニル]−4−オキシ)−2−(1−ブロモエチル)ニコチン酸メチル(3.14g,7.62mmol)、N−トシルグリシンメチルエステル(1.85g,7.62mmol)、炭酸カリウム(2.10g,15.24mmol)、ヨウ化ナトリウム(114mg,0.76mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド20mLを加えて溶かし、50℃で攪拌しながら10時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=2:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が4:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して6−([1,1’−ビフェニル]−4−オキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチルの淡黄色固形物を0.74g、収率16.89%で得た。
【0119】
ステップ5:2−([1,1’−ビフェニル]−4−オキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの製造
50mLのフラスコに、6−([1,1’−ビフェニル]−4−オキシ)−2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)エチル)ニコチン酸メチル(740mg,1.29mmol)、及びジメチルスルホキシド5mLを加えて溶かし、攪拌しながらナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.5mL(2.5mmol)を滴下して0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で酢酸エチル:ジクロロメタン=1:20)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてジクロロメタンと酢酸エチルとの体積比が80:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−([1,1’−ビフェニル]−4−オキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチルの白色固形物を286mg、収率57.57%で得た。
【0120】
ステップ6:2−(2−([1,1’−ビフェニル]−4−オキソ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の製造
50mLの密閉反応管に、順に2−([1,1’−ビフェニル]−4−オキシ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−カルボン酸メチル(280mg,0.72mmol)、グリシン(180mg,2.16mmol)、ナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.5mL(2.5mmol)、及びメタノール6mLを加え、120℃、密閉条件下で攪拌しながら20時間反応させた。LCMSを用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整し、溶液が黄色の懸濁液から透明液、更に黄色の懸濁液となるようにし、固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣を大量の水、そして少量のメタノールで洗浄し、真空乾燥して2−(2−([1,1’−ビフェニル]−4−オキソ)−5−ヒドロキシ−8−メチル−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の黄色固形物を79mg、収率25.39%で得た。
1H―NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド−d6)δ13.29(s,1H)、12.83(s,1H)、9.14(t,J=6.2Hz,1H)、8.66(d,J=9.0Hz,1H)、7.85−7.70(m,4H)、7.61−7.35(m,6H)、4.05(d,J=6.2Hz,2H)、2.58(s,3H)。
【0121】
実施例14:2−(5−ヒドロキシ−2−フェノキシ−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の合成
【化20】
ステップ1:2−クロロ−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチルの製造
250mLのナス型フラスコに、順に2,6−ジクロロニコチン酸メチル8.80g(42.72mmol)、フェノール4.02g(42.72mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド45mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらトリエチルアミン7.80mL(55.54mmol)を滴下し、更にトリエチレンジアミン720mg(6.41mmol)を加え、室温で攪拌しながら透明溶液が濁った状態になるまで4〜5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=6:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として順にHOAc1.30mL(21.36mmol)、イソプロパノール25mL、及び氷水15mLを加えて溶液が濁った状態から透明になるようにし、室温で0.5時間攪拌した。そして、水40mLをゆっくり滴下して室温で2時間攪拌し、大量の白色固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣をイソプロパノールと水とが1:1の混合溶液で洗浄し、50℃、8時間かけて真空乾燥して2−クロロ−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチルの固形物を7.20g得た。
【0122】
ステップ2:2−メチル−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチルの製造
100mLの三口フラスコで脱水処理を行い、アルゴンガス雰囲気下で順に2−クロロ−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチル1.32g(5mmol)、Ni(DPPE)Cl16mg(0.03mmol)、及び脱水テトラヒドロフラン5mLを加えて溶かし、室温で攪拌しながらメチルマグネシウムブロマイド濃度1Mのテトラヒドロフラン溶液11mL(11mmol)を0.5時間の間隔で2回分けてゆっくり滴下し、室温で攪拌しながら0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、10%のクエン酸水溶液13mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−メチル−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチルの淡黄色油状物を840mg得た。
【0123】
ステップ3:2−(1−ブロモメチル)−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順に2−メチル−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチル659mg(2.7mmol)、N−ブロモスクシンイミド435mg(4mmol)、アゾビスイソブチロニトリル442mg(19.83mmol)、及びテトラクロロメタン20mLを加えて溶かし、還流攪拌しながら2時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=7:1)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が30:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(1−ブロモメチル)−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチルの淡黄色油状物1.1gを得てそのまま次の反応に用いた。
【0124】
ステップ4:2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)メチル)−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチルの製造
100mLのナス型フラスコに、順にステップ3で得られた2−(1−ブロモメチル)−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチル1.1g(3.4mmol)、N−トシルグリシンメチルエステル575mg(2.38mmol)、炭酸カリウム700mg、ヨウ化ナトリウム51mg(0.34mmol)、及びN,N−ジメチルホルムアミド6mLを加えて溶かし、50℃で攪拌しながら10時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で石油エーテル:酢酸エチル=2:1)を用いて原料が殆ど反応していることを確認し、酢酸エチルと水とを加えてよく振り混ぜた後に酢酸エチルで抽出し(50mL×3回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて石油エーテルと酢酸エチルとの体積比が4:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)メチル)−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチルの淡黄色固形物700mgを得た。
【0125】
ステップ5:5−ヒドロキシ−8−メチル−2−フェノキシ−1,7−ナフチリジン−6−ギ酸メチルの製造
50mLのフラスコに、2−(1−(N−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−メチルフェニルスルホニルアミノ)メチル)−6−フェノキシピリジン−3−ギ酸メチル483mg(1.45mmol)、及びジメチルスルホキシド5mLを加えて溶かし、攪拌しながらナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.32mLを滴下して0.5時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(体積比で酢酸エチル:ジクロロメタン=1:20)を用いて原料が完全に反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整し、ジクロロメタンと水とを加えてよく振り混ぜた後にジクロロメタンで抽出し(50mL×2回)、有機相を回収して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濾過し、濾液を粗製シリカゲルと混ぜ合わせ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてジクロロメタンと酢酸エチルとの体積比が80:1である混合液で溶出し、溶媒を留去して5−ヒドロキシ−8−メチル−2−フェノキシ−1,7−ナフチリジン−6−ギ酸メチルの白色固形物340mgを得た。
【0126】
ステップ6:2−(5−ヒドロキシ−2−フェノキシ−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の製造
50mLの密閉反応管に、順に5−ヒドロキシ−2−フェノキシ−1,7−ナフチリジン−6−ギ酸メチル100mg(0.34mmol)、グリシン76mg(0.02mmol)、ナトリウムメトキシド濃度5Mのメタノール溶液0.13mL、及びメタノール3mLを加え、120℃、密閉条件下で攪拌しながら20時間反応させた。LCMSを用いて原料が殆ど反応していることを確認し、後処理として希塩酸を用いて反応液をpH4に調整し、溶液が黄色の懸濁液から透明液、更に黄色の懸濁液となるようにし、固形物を析出させた。減圧濾過し、残渣を大量の水、そして少量のメタノールで洗浄し、真空乾燥して2−(5−ヒドロキシ−2−フェノキシ−1,7−ナフチリジン−6−ホルミルアミノ)酢酸の白色固形物30mgを得た。
1H―NMR(400MHz,ジメチルスルホキシド−d6)δ13.62(s,1H)、12.82(s,1H)、9.39(brs,1H)、8.69(d,J=8.9Hz,1H)、8.52(s,1H)、7.59(d,J=9.0Hz,1H)、7.56−7.47(m,2H)、7.38−7.29(m,3H)、4.02(d,J=6.1Hz,2H)。
【0127】
測定例1:体外におけるHIF−PHD2阻害剤系化合物の肝癌細胞Hep3Bのエリスロポエチン発現に対する促進作用
実験用肝癌細胞Hep3B(中国典型培養物保存センター、CCTCC)の培養に必要な完全培地として、MEM(GIBCO社製、Cat番号GNM41500、杭州吉諾生物医薬技術有限会社より購入)に10%血清FBS(GIBCO社製、Cat番号10099−141)及び1%のペニシリン−ストレプトマイシン(Cat番号GNM15140、杭州吉諾生物医薬技術有限会社より購入)を添加したものを使用し、37℃かつCO5%のインキュベーターを用いて細胞培養を行った。実験用試薬であるジメチルスルホキシド(分子生物学実験用、純度>=99.9%、Cat番号D8418)はシグマ社製であり、測定用ELISAキット(ヒトエリスロポエチン定量用IVD ELISA、商品コードDEP00)はR&Dシステムズ社製であった。測定用対照物としてAKB−6548は、自ら作製、又は商業ルートを介して購入した。測定試料は、遮光密封して−20℃に保存した。
【0128】
測定試料及び陽性対照物を遮光条件下で滅菌水又はジメチルスルホキシドに完全に溶かし、それぞれの濃度が10−1mol/L、10−2mol/Lの保存液を調製して−20℃に保存した。FBS濃度0.5%のMEM培地を希釈液として前記測定試料の保存液を希釈し、それぞれの濃度が100μmol/L、10μmol/Lの測定用希釈液を調製した。96ウェルプレートに200μL/ウェル(1.5又は2.0×10細胞/ウェル)の量で肝癌細胞Hep3Bの完全培地懸濁液を加え、温度37℃、CO濃度5%のインキュベーターで一晩培養した。96ウェルプレート内の古い培地を捨て、細胞をFBS0.5%のMEM培地で1回洗浄した後、遮光条件下で200μL/ウェルの量で測定試料を加えてそれぞれの濃度が100μmol/L、10μmol/Lとなるようにし、各濃度は平行して2つのウェルを設けてそれぞれ測定用ウェル及び予備用ウェルとした。また、測定液の代わりに希釈液を加えて細胞対照ウェル(測定試料と溶媒を含まず)とした。また、測定液の代わりに同じ濃度の溶媒(ジメチルスルホキシド)を含む希釈液を用い、溶媒対照ウェル(測定試料を含まず)とした。温度37℃、CO濃度5%のインキュベーターで24時間培養した後、上清を捨てサンプルとして−20℃に冷凍保存した。停止液を100μL/ウェルの量で加えた後、マイクロプレートリーダーを用いてA450nm〜A600nmの範囲でOD値を測定し、検量線に基づいて測定試料のEPO発現に対する促進活性(mIU/mL)を算出した。測定結果を下記表2に示す。
【0129】
【表2】
【0130】
表2に示すように、陽性対照物であるFG−4592に比べて、本発明に係る化合物は、細胞内のEPO発現に対してより顕著な促進作用を示し、細胞内におけるEPOの発現レベルが陽性対照物であるFG−4592の1.5倍以上である場合が殆どであった。
【0131】
測定例2:本発明に係る化合物のPHD2に対する抑制効果(IC50)の測定
蛍光偏光法(fluorescence polarization,FP)により低酸素誘導因子HIF−1αとVBC複合体(von Hippel−Lindau protein−ElonginB−ElonginC,VBC)との相互作用を測定し、HIFプロリルヒドロキシラーゼ(prolyl hydroxylases2,PHD2)阻害剤化合物の酵素抑制活性を測定した。
【0132】
アスコルビン酸200μM、α−ケトグルタル酸20μM、及びFeCl100μMを含むNETN(20mM Tris−HCl、100mM NaCl、1mM EDTA、0.5% NP−40、1mM PMSF)緩衝液に、遮光条件下において終濃度が1μMになるようにFAM−HIF(556−575)を加えた。そして、所定濃度の測定化合物及び陽性化合物(陰性対照及び陽性対照として化合物の代わりに緩衝液を用いる)を加え、最後に終濃度が0.5μg/μLになるようにPHD2(陰性対照としてPHD2の代わりに緩衝液を用いる)を加えた。よく混ぜ合わせて室温、遮光状態にて静置することにより30分間反応させた後、95℃の湯浴に1分間置いて反応を停止させた。温度が室温に戻るまで待ち、試料を次の測定に備えて一時保存した。黒色の96ウェルプレートにEBC緩衝液(50mM Tris−HCl、120mM NaCl、0.5% NP−40)を加え、更に終濃度が300nMのGST−VBC複合体(ブランク対照としてウェルにEBC緩衝液のみを入れる)を加えた。そして、遮光条件下においてPHD2プロリンヒドロキシル化反応のサンプルを終濃度が100nMとなるように加え、反応基質とした。十分混ぜ合わせた後、全波長マルチモードプレートリーダー(TECAN infinite M1000)を用いて励起波長407nM、発光波長518nMの条件下で横手方向及び長手方向の蛍光強度値を測定した。蛍光偏光度(mP)は、下記の数式(1)に従って算出した。
【0133】
蛍光偏光度(mP):
mP=1000×(横手方向の蛍光強度値−G因子×長手方向の蛍光強度値)/(横手方向の蛍光強度値+G因子×長手方向の蛍光強度値) …数(1)
但し、横手方向の蛍光強度値=測定ウェルの横手方向における蛍光強度値−ブランク対照の横手方向における蛍光強度値
長手方向の蛍光強度値=測定ウェルの長手方向における蛍光強度値−ブランク対照の長手方向における蛍光強度値
【0134】
また、下記の数式(2)に従って測定化合物のPHD2抑制率(%)を算出した。
【0135】
抑制率(%)=1−(mP測定ウェル−mP陰性対照ウェル)/(mP陽性対照ウェル−mP陰性対照ウェル) …数(3)
【0136】
IC50はGraphpad Prism4.0ソフト(Golden software,Golden,Colorado,USA)を利用し、非線形回帰法に従って算出した。測定結果から、本発明に係る化合物がHIFプロリルヒドロキシラーゼ阻害活性を示すことが確認できた。
【0137】
【表3】
【0138】
測定例3:本発明に係る化合物の正常マウスにおける赤血球形成に対する促進効果
オスのBALB/cマウス80匹を11群に分け、各投与群あたり8匹ずつに分け、ブランク対照群は10匹に分けた。陽性対照群として、AKB−6548投与群は、経口投与で、1日1回100mg/kgを3回投与し、FG−4592投与群は、経口投与で、1日1回25mg/kgを3回投与し、EPO投与群は、1日目と3日目に皮下注射で100IU/kgを投与した。本発明に係る化合物は、経口投与で、1日1回25mg/kgを3回投与した。最終投与から4時間経った時点でマウスの眼窩から採血し、EDTA−K2法を利用して抗凝固処理を行い、自動血球分析装置を用いて網状赤血球(RETIC)を計数した。下記表4に示すように、対照化合物及び本発明に係る化合物の場合は何れも正常マウスを超え(p<0.01)、特に一部の化合物においては低分子陽性対照薬及びEPOを超える効果を示した。
【0139】
【表4】