特許第6556874号(P6556874)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6556874車両バッテリ用の熱的隔離特徴を備える熱電モジュール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556874
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】車両バッテリ用の熱的隔離特徴を備える熱電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 35/30 20060101AFI20190729BHJP
   H01L 35/32 20060101ALI20190729BHJP
   H01L 35/06 20060101ALI20190729BHJP
   H01L 23/38 20060101ALI20190729BHJP
   H01L 35/34 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   H01L35/30
   H01L35/32 Z
   H01L35/06
   H01L23/38
   H01L35/34
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-564468(P2017-564468)
(86)(22)【出願日】2016年6月8日
(65)【公表番号】特表2018-522407(P2018-522407A)
(43)【公表日】2018年8月9日
(86)【国際出願番号】US2016036390
(87)【国際公開番号】WO2016200899
(87)【国際公開日】20161215
【審査請求日】2018年2月6日
(31)【優先権主張番号】62/173,446
(32)【優先日】2015年6月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511014862
【氏名又は名称】ジェンサーム インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Gentherm Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス, デイヴィッド スコット
(72)【発明者】
【氏名】アドルディンガー, マルティン
(72)【発明者】
【氏名】マクブライド, ショーン ペーター
(72)【発明者】
【氏名】レウ, ドゥミトル−クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】スピルナー, リューディガー
【審査官】 小山 満
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−174329(JP,A)
【文献】 特開平06−294561(JP,A)
【文献】 特表2004−525746(JP,A)
【文献】 特開2011−211079(JP,A)
【文献】 特開2008−270618(JP,A)
【文献】 特開2009−295612(JP,A)
【文献】 米国特許第05409547(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00592044(EP,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0028562(US,A1)
【文献】 国際公開第02/043853(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 35/30
H01L 23/38
H01L 35/06
H01L 35/32
H01L 35/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)互いに離間しておりそれぞれが低温側と高温側になるように構成されている第1熱スプレッダおよび第2熱スプレッダと、
(b)前記第1熱スプレッダおよび前記第2熱スプレッダの間に配置されていて、圧縮リミッタを有する、絶縁プレートと、
(c)前記絶縁プレートに配置されて、前記第1熱スプレッダおよび前記第2熱スプレッダと作動係合する熱電素子と、
(d)組立状態で前記絶縁プレートを中心として前記第1熱スプレッダおよび前記第2熱スプレッダを互いに固定する締結要素と、
備えた、コンポーネントを温度調節するための熱電モジュールアセンブリであって、
(イ)前記絶縁プレートの前記圧縮リミッタが、前記組立状態において前記第1熱スプレッダおよび前記第2熱スプレッダの間に所定の間隔を維持するように構成され、
(ロ)前記圧縮リミッタが、前記熱電素子を囲繞する少なくとも4個の個別圧縮リミッタで構成され、かつ、
(ハ)前記圧縮リミッタが前記第1熱スプレッダおよび前記第2熱スプレッダと係合する、
熱電モジュールアセンブリ。
【請求項2】
前記第1および第2熱スプレッダが金属製であり、かつ、前記絶縁プレートがプラスチックである、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記熱電素子がペルティエ素子とされている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記第2熱スプレッダには、前記熱電素子を支持する隆起パッドが設けられ、かつ、前記圧縮リミッタが前記パッドに隣接して配置されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記パッドと前記熱電素子との間には、係合状態で配置されるサーマルホイルが設けられている、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記第2熱スプレッダには、前記圧縮リミッタと協働して、前記絶縁プレートと前記第2熱スプレッダとを互いに横方向に位置決めする突部が設けられている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記締結要素が、前記突部のネジ内径部に固定されるネジ締結具とされかつ、前記突部が前記圧縮リミッタに収容される、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
(a)互いに離間しておりそれぞれ低温および高温側になるように構成されている第1熱スプレッダおよび第2熱スプレッダと、
(b)前記第1熱スプレッダおよび前記第2熱スプレッダの間に配置される絶縁プレートと、
(c)前記絶縁プレートに配置されるとともに前記第1熱スプレッダおよび前記第2熱スプレッダと作動係合する熱電素子と、
(d)前記絶縁プレートと前記熱電素子との間に設けられるリテーナであって、組立手順の間に前記熱電素子を前記絶縁プレートとともに支承するように構成されているリテーナと、
備えた、コンポーネントを温度調節するための熱電モジュールアセンブリであって、
(イ)前記リテーナが少なくとも一つの可撓性バネ要素とされ、
(ロ)前記絶縁プレートがプラスチック製であり、かつ、
(ハ)前記少なくとも一つの可撓性バネ要素が前記絶縁プレートと一体的とされている、
熱電モジュールアセンブリ。
【請求項9】
前記絶縁プレートが開口部を含み、前記熱電素子が外周部を有し、前記リテーナが前記開口部に配置されて前記外周部と係合する、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記リテーナが、前記第1熱スプレッダおよび前記第2熱スプレッダの間に延びる方向に偏向可能であって、前記熱電素子の所望の付勢条件に対応する、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記リテーナと前記熱電素子の外周部構造とが、前記熱電素子を前記絶縁プレートに対して位置決めする位置決め特徴を含む、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
(a)互いに離間しておりそれぞれが低温側と高温側になるように構成されている第1熱スプレッダおよび第2熱スプレッダと、
(b)前記第1熱スプレッダおよび前記第2熱スプレッダの間に配置される絶縁プレートと、
(c)前記絶縁プレートに配置されて前記第1熱スプレッダおよび前記第2熱スプレッダと作動係合するように構成されていて、ワイヤを有する、複数の熱電素子と、
備えた、コンポーネントを温度調節するための熱電モジュールアセンブリであって、
(イ)前記絶縁プレートには、前記熱電素子を収容する複数の開口部と、前記ワイヤを収容する複数の通路とが設けられ、
(ロ)前記複数の開口部が、少なくとも第1の開口部と、最後の開口部を含む複数の他の開口部と、を含み、
(ハ)前記複数の通路が、前記絶縁プレートの端部から前記第1の開口部まで延びている第1の通路と、前記最後の開口部を含む前記1つまたは複数の他の開口部どうしを相互接続する1つまたは複数の追加的な通路と、前記絶縁プレートの端部から前記最後の開口部まで延びている第2の通路と、を含む、
熱電モジュールアセンブリ。
【請求項13】
前記熱電素子がペルティエ素子とされている、請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記ペルティエ素子が互いに直列接続されている、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
(a)互いに離間しておりそれぞれが低温側と高温側になるように構成されている第1および第2熱スプレッダと、
(b)前記第1熱スプレッダおよび第2熱スプレッダの間に配置される絶縁プレートと、
(c)前記絶縁プレートに配置されて前記第1熱スプレッダおよび前記第2熱スプレッダと作動係合する熱電素子と、
備えた、コンポーネントを温度調節するための熱電モジュールアセンブリであって、
(イ)前記絶縁プレートには、アセンブリの熱質量を低減するように構成されているマトリクス状の複数のボイドが設けられ、かつ、
(ロ)前記マトリクス状の複数のボイドが、前記絶縁プレートの厚さに対して該絶縁プレートの全体を貫通しない程度の深さを有する複数の凹部とされている、
熱電モジュールアセンブリ。
【請求項16】
前記絶縁プレートが、前記第1熱スプレッダおよび前記第2熱スプレッダと係合する圧縮リミッタと、前記熱電素子のワイヤを収容する通路と、前記熱電素子が配置される開口部とを含み、かつ、前記ボイドが前記圧縮リミッタと前記通路と前記開口部とは異なっている、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記ボイドが前記絶縁プレートの片側に凹設されるが、前記ボイドが前記絶縁プレートの反対側までは貫通しない、請請求項15に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2015年6月10日に出願されて参照により援用される米国仮出願第62/173,446号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、バッテリなどの車両コンポーネントを冷却するのに使用される熱電モジュールに関する。詳しく記すと、この開示は、熱伝達効率を向上させる熱電モジュール内の熱隔離特徴に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオンバッテリは、車両に推進力を提供する電気モータに動力を提供するため乗用車や他のタイプの車両で使用される。このようなバッテリは大量の熱を発生するため、性能低下を防止するにはバッテリが冷却されなければならない。
【0004】
提案されている車両バッテリ冷却配置タイプの一つは、バッテリの下で低温プレートアセンブリに隣接して配置される熱電モジュールを含む。熱電モジュールは、ペルティエ効果に基づいて作動してバッテリに隣接して冷却を行う熱電素子を含む。熱電素子内を伝達された熱は、冷却流体が循環して熱交換器へ送られる低温プレートアセンブリに排出される。
【0005】
熱電モジュール内の幾つかのコンポーネントで効率的に熱を伝達する一方で熱電モジュール内の他のコンポーネントを絶縁するように熱電モジュールを設計することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的な一実施形態において、コンポーネントを温度調節するための熱電モジュールアセンブリは、互いに離間しておりそれぞれが低温および高温側になるように構成されている第1および第2熱スプレッダを含む。第1および第2熱スプレッダの間には絶縁プレートが配置されている。絶縁プレートは圧縮リミッタを有する。熱電素子は絶縁プレートに配置され、第1および第2熱スプレッダと作動係合する。締結要素は、組立条件で絶縁プレートを中心として第1および第2熱スプレッダを互いに固定する。圧縮リミッタは、組立条件で第1および第2熱スプレッダの間に所定の間隔を維持するように構成されている。
【0007】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、第1および第2熱スプレッダは金属製であって絶縁プレートはプラスチックである。
【0008】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、熱電素子はペルティエ素子である。
【0009】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、第2熱スプレッダは、熱電素子を支持する隆起パッドを含む。圧縮リミッタは、パッドに隣接して配置される。
【0010】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、パッドと熱電素子との間にサーマルホイルが係合状態で配置される。
【0011】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、第2熱スプレッダは、圧縮リミッタと協働して絶縁プレートと第2熱スプレッダとを互いに横方向に位置決めする突部を含む。
【0012】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、締結要素は、突部のネジ内径部に固定されるネジ締結具である。突部は圧縮リミッタに収容される。
【0013】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、絶縁プレートは、熱電素子を囲繞する少なくとも4個の個別圧縮リミッタを有する。圧縮リミッタは、第1および第2熱スプレッダと係合する。
【0014】
別の例示的実施形態において、コンポーネントを温度調節するための熱電モジュールアセンブリは、互いに離間しておりそれぞれが低温側と高温側になるように構成されている第1および第2熱スプレッダを含む。第1および第2熱スプレッダの間には絶縁プレートが配置される。熱電素子が絶縁プレートに配置され、第1および第2熱スプレッダと作動係合する。絶縁プレートと熱電素子との間にはリテーナが設けられる。リテーナは、組立手順の間に絶縁プレートとともに熱電素子を支承するように構成されている。
【0015】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、絶縁プレートは開口部を含み、熱電素子は外周部を有する。リテーナは、開口部に配置されて外周部と係合する。
【0016】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、リテーナは少なくとも一つの可撓性バネ要素である。
【0017】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、絶縁プレートはプラスチック製である。少なくとも一つの可撓性バネ要素は絶縁プレートと一体的である。
【0018】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、リテーナは、第1および第2熱スプレッダの間に延びる方向に偏向可能であって熱電素子の所望の付勢条件に対応する。
【0019】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、リテーナと熱電素子の外周部構造とは、熱電素子を絶縁プレートに対して位置決めする位置決め特徴を含む。
【0020】
別の例示的実施形態において、コンポーネントを温度調節するための熱電モジュールアセンブリは、互いに離間しておりそれぞれが低温側と高温側になるように構成されている第1および第2熱スプレッダを含む。第1および第2熱スプレッダの間に絶縁プレートが配置される。熱電素子は絶縁プレートに配置されて、第1および第2熱スプレッダと作動係合する。熱電素子はワイヤを含む。ワイヤを収容する通路が絶縁プレートに設けられる。
【0021】
上記のいずれかのさらなる実施形態では、多数の熱電素子が設けられる。熱電素子はペルティエ素子である。
【0022】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、絶縁プレートは多数の開口部を含む。各開口部は熱電素子を収容する。通路が開口部を相互接続する。ペルティエ素子は互いに直列接続される。
【0023】
別の例示的実施形態において、コンポーネントを温度調節するための熱電モジュールアセンブリは、互いに離間しておりそれぞれが低温側と高温側になるように構成されている第1および第2熱スプレッダを含む。第1および第2熱スプレッダの間に絶縁プレートが配置される。熱電素子は絶縁プレートに配置され、第1および第2熱スプレッダと作動係合する。絶縁プレートに設けられるマトリクス状のボイドは、アセンブリの熱質量を低減するように構成されている。
【0024】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、絶縁プレートは、第1および第2熱スプレッダと係合する圧縮リミッタを含む。通路は、熱電素子のワイヤを収容して、開口部には熱電素子が配置される。ボイドは、圧縮リミッタと通路と開口部とは異なっている。
【0025】
上記のいずれかのさらなる実施形態において、ボイドは絶縁プレートの片側に凹設される。ボイドは絶縁プレートの反対側までは貫通していない。
【0026】
添付図面と関連して検討されると、以下の詳細な説明の参照により開示内容がさらに理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1A】車両システム温度が冷却システムにより調整される車両の非常に概略的な図である。
図1B】熱電モジュールアセンブリと低温プレートアセンブリとを含む冷却システムを図示している。
図2】熱電モジュールアセンブリの分解斜視図である。
図3A】絶縁プレートの斜視図である。
図3B図3Aの絶縁プレートの上面図である。
図3C】熱電素子と協働するリテーナの拡大断面図である。
図4A】熱スプレッダに取り付けられた絶縁プレートの斜視図である。
図4B図4Aに示された絶縁プレートおよび熱スプレッダの斜視図であり、熱電素子が絶縁プレートに配置されている。
図5A】熱電モジュールアセンブリの斜視図である。
図5B図5Aに示された熱電モジュールの5B−5B線における断面図である。
図5C図5Bに図示された「図5C」部分を示している熱電モジュールアセンブリの一部分の拡大断面図である。
【0028】
前出の段落、請求項、または以下の説明および図面の実施形態と例と代替例は、その様々な態様のいずれかまたはそれぞれの個別特徴を含み、単独または組み合わせで解釈される。一実施形態に関連して説明される特徴は、このような特徴が不適合である場合を除いてすべての実施形態に適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1Aには、車両10が概略的に図示されている。車両10は、加熱または冷却される必要がある車両システム12を含む。一例において、車両システム12は、車両推進に使用されて大量の熱を発生するリチウムイオンバッテリなどのバッテリ14を含む。このようなバッテリは動作中に冷却されなければならず、さもなければバッテリ効率および/または完全性が低下しうる。
【0030】
冷却システム18は、スタックのバッテリ14とDC/DCコンバータ16との間に配置されて、バッテリ14から熱を除去することにより車両システム12を冷却する。DC/DCコンバータ16は、バッテリ14と車両電気部品との間の電気インタフェースとなる。冷却システム18は、冷却ループ24との連通状態にある低温プレートアセンブリ22に取り付けられる熱電モジュールアセンブリ20を含む。グリコールなどの冷却流体は、冷却ループ24の中でポンプ31により循環される。熱交換器26に接続される冷却剤供給および復帰ライン30,32を通る冷却剤に、低温プレートアセンブリ22を介して熱が排出される。熱交換器26の中の冷却剤から例えば周囲環境へ熱を除去するのに、ファンまたはブロワ28が使用されうる。
【0031】
制御装置34は、車両10と車両システム12と冷却システム18の様々なコンポーネントと通信して、バッテリ冷却を調整する。センサと出力(不図示)が制御装置34に接続されてもよい。
【0032】
図1Bには冷却システム18の例が詳しく示されている。熱電モジュールアセンブリ20は、バッテリ14の表面36を支持する低温側38を含む。プラスチックで製作される絶縁プレート50は、熱電素子を支承し(図2の58に図示)、低温側38(バッテリ14)を高温側40(低温プレートアセンブリ22)から分離する。
【0033】
低温プレートアセンブリ22は、低温プレートアセンブリ22で冷却剤を連通させて高温側40から排出された熱を受け取る流体通路網(不図示)を包囲するように互いに固定される第1および第2低温プレート42,44を含む。熱電モジュールアセンブリ20と低温プレートアセンブリ22との間にはシール41が設けられうる。加熱された冷却剤は、スタックから離れたところに位置決めされうる熱交換器26に伝達される。
【0034】
図2を参照すると、熱電モジュールアセンブリ20の例が詳しく示されている。低温および高温側38,40はそれぞれ、金属で製作される第1および第2熱スプレッダ46,48により設けられる。低温プレートアセンブリ22に固定されうる単一のユニットに組み立てられると、絶縁プレート50は第1および第2熱スプレッダ46,48の間に挟持される。
【0035】
絶縁プレート50は、熱電素子54が配置される開口部52を含む。この例において、熱電素子はペルティエ効果を利用して、第1熱スプレッダ46に隣接する低温側と、第2熱スプレッダ48に隣接する高温側とを設ける。図3A〜3Cに最も分かりやすく示されているリテーナ56は開口部52に配置され、熱電モジュールアセンブリ20の組立中に熱電素子の外周部58と協働して熱電素子54をしっかりと支承する。リテーナ56は絶縁プレート50と一体的に設けられる可撓性バネ要素であって、単体構造から射出成型されうる。この例において、リテーナ56は形状が弓形であって、可撓性を向上させるため絶縁プレート50の厚さより小さい厚さを有する。
【0036】
熱電素子54の一例は、p−nアセンブリ59と係合するプレート51を含む。例えば弾性材料である外周部構造53は、熱電素子54の外側境界の近くでプレート51の間に配置される。丸い輪郭57を有するリテーナ56は外周部構造53の凹部55と協働して、熱電素子54を絶縁プレート50に確実に位置決めおよび保持する位置決め特徴となる。リテーナ56が組立中に熱電素子54から内向きに偏向可能であることに加えて、リテーナ56は、所望の付勢条件で熱スプレッダ46,48の間にクランプされた時に熱電素子54の移動に対応するため矢印の方向にも偏向可能である。
【0037】
絶縁プレート50は、熱電モジュールアセンブリ20の熱電素子54のワイヤ61を収容する形成ワイヤ通路60を含む。この例では、3個のペルティエ素子が互いに直列に配線されている。
【0038】
マトリクス状のボイド62が絶縁プレート50に設けられて、絶縁プレート50の熱質量を低減させるとともに、第1および第2熱スプレッダ46,48を互いから絶縁する空隙となる。ボイド62は、適当な大きさ、形状、またはパターンでよい。ボイドは、絶縁プレート50の厚さ(不図示)と比べて深い凹部であっても、絶縁プレート50の全体を貫通してもよい。
【0039】
第2熱スプレッダ48は、絶縁プレート50に向かって上向きに延出して熱電素子54を支持する隆起パッド64を含む。熱的境界材料66は、熱電素子54と第1および第2熱スプレッダ46,48との間に設けられて、熱効率のためコンポーネントの間の適切な係合を保証する。この例では、サーマルホイルが使用される。
【0040】
図2および5A〜5Cを参照すると、絶縁プレート50は、組立中に第1および第2熱スプレッダ46,48の間の間隔を規定して圧縮リミッタとして作用するスペーサ68を含む。スペーサ68はこの例では絶縁プレート50と一体的である。この例で、スペーサ68は、熱電素子54の各側に隆起部分として設けられて、熱電モジュールアセンブリ20の上のバッテリ14の重量が、動作にとって有害である望ましくない高い負荷を熱電素子54に印加するのを防止する。ゆえに、スペーサ68の高さは、第1および第2熱スプレッダ46,48の間のコンポーネントの公差の積み重ねを考慮したものであるとともに、熱電スタックを通した所望の熱係合を保証するものである。
【0041】
突部70が例えば第2熱スプレッダ48に設けられて、組立中に絶縁プレート50を第2熱スプレッダ48に対して位置決めする。この例では、締結具74が第1熱スプレッダ46の穴を貫通して、突部70のネジ内径部72に収容され、第1および第2熱スプレッダ46,48と絶縁プレート50のスタックを固定する。スペーサ68と突部70とはこの例ではそれぞれの締結具74を包囲するが、スペーサ68は他の箇所に位置決めされるか図とは異なる構成であってもよい。締結具74は所定のトルクで締結され、締結具にトルクが加えられる際にスペーサ68は熱スプレッダの相互移動を制限する。
【0042】
動作時には、望ましくないバッテリ温度が制御装置34により検出される。熱電素子50に通電されると、熱電素子54の低温側を発生させ、これがバッテリ14に隣接する第1熱スプレッダ46へ伝達されて、これらのコンポーネントの間の温度差を大きくするとともにその間の熱伝達を増大させる。バッテリからの熱は、第1熱スプレッダ46から熱電素子54を通って第2熱スプレッダ48へ伝達される。しかしながら、絶縁プレート50は、第1熱スプレッダ46から第2熱スプレッダ48へ熱が伝達されるのを防止するように作用する。第2熱スプレッダ48は、低温プレートアセンブリ22内の冷却剤へ熱を排出する。冷却剤は低温プレートアセンブリ22から熱交換器26へ循環して熱交換器は周囲環境へ熱を排出し、この熱伝達率はブロワ28の使用によって高められる。
【0043】
図の実施形態では、特定のコンポーネント配置が開示されているが、他の配置がここから導出されることが理解されるべきである。特定のステップ順序が図示、説明、請求されているが、他に指摘されていなくても本発明から導出されるのであれば、ステップはいかなる順序で実施されても、分離されても、また組み合わされてもよいことも理解されるべきである。
【0044】
異なる例でも図示された固有のコンポーネントを有するが、本発明の実施形態はこれらの特定の組み合わせには限定されない。一つの例からのコンポーネントまたは特徴の幾つかを別の例からの特徴またはコンポーネントとの組み合わせで使用することが可能である。
【0045】
実施形態例を開示したが、当業者であれば、ある種の変形が請求項の範囲に含まれることを認識するだろう。その理由から、真の範囲および内容を判断するには以下の請求項が検討されるべきである。
【符号の説明】
【0046】
10 車両
12 車両システム
14 バッテリ
16 DC/DCコンバータ
18 冷却システム
20 熱電モジュールアセンブリ
22 低温プレートアセンブリ
24 冷却ループ
26 熱交換器
28 ファン/ブロワ
30 冷却剤供給ライン
31 ポンプ
32 冷却剤復帰ライン
34 制御装置
36 バッテリ表面
38 低温側
40 高温側
41 シール
42 第1低温プレート
44 第2低温プレート
46 第1熱スプレッダ
48 第2熱スプレッダ
50 絶縁プレート
51 プレート
52 開口部
53 外周部構造
54 熱電素子
55 凹部
56 リテーナ
57 丸い輪郭
58 外周部
59 p−nアセンブリ
60 ワイヤ通路
61 ワイヤ
62 ボイド
64 隆起パッド
66 熱的境界材料
68 スペーサ
70 突部
72 内径部
74 締結具
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C