【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明の液化ガス用冷却装置およびそのメンテナンス方法は、以下の手段を採用している。
すなわち、本発明
の参考例にかかる液化ガス用冷却装置は、冷却することによって液化される液化ガスを流すガス流路と、前記ガス流路内を流れる液化ガスを冷却する蒸発器および圧縮機、凝縮器、絞り膨張器とで冷凍サイクルを構成する冷凍装置と、を備え、前記圧縮機は、密閉構造とされたハウジングと、前記ハウジング内部に内蔵された圧縮機構と、前記圧縮機構と共に前記ハウジングに内蔵された電動モータと、を備え、前記電動モータを介して駆動されるタイプであり、前記圧縮機の前記電動モータには、その給電回路に対して継電器が設けられており、前記継電器は、前記圧縮機の吸入側および吐出側に設けられているメンテナンス用開閉弁の開閉動作に応動して、オン・オフ動作される構成とされている。
【0009】
本発明によれば、圧縮機の電動モータの給電回路に対して継電器を設けた構成としているため、圧縮機の定期的なメンテナンス時、電動モータへの給電回路に設けられている継電器を介して圧縮機への電路を遮断し、メンテナンスを行うことができる。従って、メンテナンスのために停止された圧縮機の電力部分を不活線状態としてメンテナンスでき、作業者の安全性を確保することができる。
【0010】
また、本発明の液化ガス用冷却装置のメンテナンス方法は、冷却することによって液化される液化ガスを流すガス流路と、前記ガス流路内を流れる液化ガスを冷却する蒸発器および圧縮機、凝縮器、絞り膨張器とで冷凍サイクルを構成する冷凍装置と、を備え、前記圧縮機は、密閉構造とされたハウジングと、前記ハウジング内部に内蔵された圧縮機構と、前記圧縮機構と共に前記ハウジングに内蔵された電動モータと、を備え、前記電動モータを介して駆動されるタイプとされた液化ガス用冷却装置のメンテナンス方法であって、前記圧縮機の前記電動モータには、その給電回路に対して継電器が設けられており、前記圧縮機の吸入側および吐出側に設けられているメンテナンス用開閉弁の開閉動作に応動して、前記継電器をオン・オフ動作する。
【0011】
本発明によれば、継電器が、圧縮機の吸入側および吐出側に設けられているメンテナンス用開閉弁の開閉動作に応動して、オン・オフ動作される構成とされているため、圧縮機に対する定期的なメンテナンス時間が経過することにより圧縮機が停止状態とされ、その吸入側および吐出側に設けられているメンテナンス用開閉弁が閉成されると、その動作に応動して継電器がオフとなり、当該圧縮機への電路を遮断することができる。従って、圧縮機をメンテナンスする際、その電力部分を確実に不活線化することができ、メンテナンス作業者に対する安全性をより確実に確保することができる。
【0012】
さらに、本発明の液化ガス用冷却装置のメンテナンス方法は、前記圧縮機を停止状態とした後、前記メンテナンス用開閉弁を閉成するステップと、前記圧縮機内部の冷媒を回収する冷媒回収機側に設けられたタンクに冷媒を回収するステップと、前記圧縮機に対してメンテナンスを実施するステップと、を備える。
【0013】
さらに、本発明の液化ガス用冷却装置のメンテナンス方法は、前記
圧縮機に真空ポンプを接続して前記圧縮機内の空気を真空引きして排気するステップと、前記
圧縮機に冷媒充填機を接続して必要量の冷媒を補充するステップと、吸入側の前記メンテナンス用開閉弁および吐出側の前記メンテナンス用開閉弁を開くステップと、を備える。
【0014】
さらに、本発明の液化ガス用冷却装置のメンテナンス方法は、前記メンテナンス用開閉弁および前記圧縮機がモジュール化され、その圧縮モジュールが前記冷凍サイクルに対して複数台並列に接続されており、吸入側の前記メンテナンス用開閉弁および吐出側の前記メンテナンス用開閉弁を閉成する前に、前記複数台の圧縮モジュールの前記圧縮機のうち、予め設定された運転時間を経過した前記圧縮機が運転を停止するステップを更に備える。
【0015】
本発明によれば、圧縮機をモジュール化し、その圧縮モジュールを必要冷却能力に対応するように冷凍サイクルに対して複数台並列に接続した構成としているため、同一能力の液化ガス用冷却装置を設ける場合において、小容量化した複数台の圧縮モジュールを設置することにより、大容量の圧縮機を1台設置する場合に比べ、機器配置の自由度を高めることができる。従って、設置スペースが狭いプラントでの機器配置の制約を緩和することができるとともに、液化ガス用冷却装置の容量の大小を選定する際にも柔軟に対応することができる。また、冷凍装置の圧縮機を設定された運転時間毎に定期的にメンテナンスする際にも、システムの運転を継続しながら、当該圧縮モジュールのみを運転停止状態として個別にその圧縮機をメンテナンスすることができ、従って、システムの稼働率を高めることができる。
【0016】
さらに、本発明の液化ガス用冷却装置のメンテナンス方法は、前記冷凍装置が冷凍サイクル単位でモジュール化され、その冷凍モジュールが前記液化ガスのガス流路に対して複数台並列又は直列に接続されており、吸入側の前記メンテナンス用開閉弁および吐出側の前記メンテナンス用開閉弁を閉成する前に、前記複数台の冷凍モジュールのうち、予め設定された運転時間を経過した前記圧縮機を有する前記冷凍装置が運転を停止するステップを更に備える。
【0017】
本発明によれば、冷凍装置をモジュール化し、その冷凍モジュールを必要冷却能力に対応するようにガス流路に対して複数台並列または直列に接続した構成としているため、同一能力の液化ガス用冷却装置を設ける場合において、小容量化した複数台の冷凍モジュールを設置することにより、大容量の冷凍装置を1台設置する場合に比べ、機器配置の自由度を高めることができる。従って、設置スペースが狭いプラントでの機器配置の制約を緩和することができるとともに、液化ガス用冷却装置の容量の大小を選定する際にも柔軟に対応することができる。また、冷凍装置の圧縮機を設定された運転時間毎に定期的にメンテナンスする際にも、システムの運転を継続しながら、当該冷凍モジュールのみを運転停止状態として個別に圧縮機をメンテナンスすることができ、従って、システムの稼働率を高めることができる。
【0018】
また、本発明の参考例にかかる液化ガス用冷却装置は、冷却することによって液化される液化ガスを流すガス流路と、前記ガス流路内を流れる液化ガスを冷却する蒸発器および圧縮機、凝縮器、絞り膨張器とで冷凍サイクルを構成する冷凍装置とを備え、前記圧縮機は、圧縮機構と共に密閉構造とされたハウジング内部に内蔵されている電動モータを介して駆動されるタイプの圧縮機とされていることを特徴とする。
【0019】
本発明の参考例によれば、液化ガスを流すガス流路内を流れる液化ガスを冷却する冷凍装置の圧縮機が、圧縮機構と共に密閉構造のハウジング内部に内蔵されている電動モータを介して駆動されるタイプの圧縮機とされているため、圧縮機駆動軸の軸シール部を無くすることによって、軸シール部が存在することによる微少量の冷媒漏れ発生をなくすることができる。従って、定期的な冷媒補充のためのメンテナンスを省略化することができるだけでなく、メンテナンスコストや追加補充分の冷媒コスト等の削減を図ることができる。また、圧縮機をハウジング内部に電動モータを内蔵したタイプの圧縮機としているため、圧縮機の駆動機器を別個に配置する必要がなく、従って、冷凍装置の設置スペースを削減し、プラント構成機器の配置制約を緩和することにより、スペースが狭いプラントに対する適用を容易化することができる。
【0020】
さらに、本発明の参考例の液化ガス用冷却装置は、上記の液化ガス用冷却装置において、前記冷凍装置がモジュール化され、その冷凍モジュールが必要冷却能力に対応するように前記ガス流路に対して複数台並列または直列に接続されていることを特徴とする。
【0021】
本発明の参考例によれば、冷凍装置をモジュール化し、その冷凍モジュールを必要冷却能力に対応するようにガス流路に対して複数台並列または直列に接続した構成としているため、同一能力の液化ガス用冷却装置を設ける場合において、小容量化した複数台の冷凍モジュールを設置することにより、大容量の冷凍装置を1台設置する場合に比べ、機器配置の自由度を高めることができる。従って、設置スペースが狭いプラントでの機器配置の制約を緩和することができるとともに、液化ガス用冷却装置の容量の大小を選定する際にも柔軟に対応することができる。また、冷凍装置の圧縮機を設定された運転時間毎に定期的にメンテナンスする際にも、システムの運転を継続しながら、当該冷凍モジュールのみを運転停止状態として個別に圧縮機をメンテナンスすることができ、従って、システムの稼働率を高めることができる。
【0022】
さらに、本発明の参考例の液化ガス用冷却装置は、上記の液化ガス用冷却装置において、前記圧縮機がモジュール化され、その圧縮モジュールが必要冷却能力に対応するように前記冷凍サイクルに対して複数台並列に接続されていることを特徴とする。
【0023】
本発明の参考例によれば、圧縮機をモジュール化し、その圧縮モジュールを必要冷却能力に対応するように冷凍サイクルに対して複数台並列に接続した構成としているため、同一能力の液化ガス用冷却装置を設ける場合において、小容量化した複数台の圧縮モジュールを設置することにより、大容量の圧縮機を1台設置する場合に比べ、機器配置の自由度を高めることができる。従って、設置スペースが狭いプラントでの機器配置の制約を緩和することができるとともに、液化ガス用冷却装置の容量の大小を選定する際にも柔軟に対応することができる。また、冷凍装置の圧縮機を設定された運転時間毎に定期的にメンテナンスする際にも、システムの運転を継続しながら、当該圧縮モジュールのみを運転停止状態として個別にその圧縮機をメンテナンスすることができ、従って、システムの稼働率を高めることができる。
【0024】
さらに、本発明の参考例の液化ガス用冷却装置は、上記の液化ガス用冷却装置において、前記メンテナンス用開閉弁は、前記圧縮機が予め設定されている運転時間を経過して人為的または自動的に停止されると、手動又は自動により閉成され、その開閉弁の閉成を検知して前記継電器をオフとし、前記圧縮機への電路を遮断することにより、当該圧縮機をメンテナンス可能な状態とする構成とされていることを特徴とする。
【0025】
本発明の参考例によれば、メンテナンス用開閉弁が、圧縮機が予め設定されている運転時間を経過して人為的または自動的に停止されると、手動又は自動により閉成され、その開閉弁の閉成を検知して継電器をオフとし、圧縮機への電路を遮断することにより、当該圧縮機をメンテナンス可能な状態とする構成とされているため、例えばコントローラ等が圧縮機の定期的なメンテナンス時間(運転時間)をカウントして、圧縮機が人為的または自動的に停止されると、手動または自動によりメンテナンス用開閉弁が閉成され、それをコントローラ等で検知して継電器をオフとすることにより、圧縮機への電路を遮断し、その電力部分を不活線化して当該圧縮機をメンテナンス可能な状態とすることができる。従って、圧縮機の定期的なメンテナンスとそのメンテナンスに至る過程を確実にコントロールし、作業者の安全性を確保することができる。
【0026】
さらに、本発明の参考例の液化ガス用冷却装置は、上述のいずれかの液化ガス用冷却装置において、前記冷凍モジュール又は圧縮モジュールは、運転台数が前記液化ガスの流量増減および流入温度の変化による必要冷却能力に応じて増減される構成とされていることを特徴とする。
【0027】
本発明の参考例によれば、冷凍モジュール又は圧縮モジュールの運転台数が、液化ガスの流量増減および流入温度の変化による必要冷却能力に応じて増減される構成とされているため、液化ガスの流量増減と流入温度の変化に応じて冷凍モジュール又は圧縮モジュールの運転台数を増減して運転することにより、液化ガスの冷却に必要な冷熱量として過不足のない能力を供することができる。従って、液化ガスの冷却運転に費やされる過剰な電力をセーブし、無駄のない冷却運転を行うことができる。
【0028】
さらに、本発明の参考例の液化ガス用冷却装置は、上記の液化ガス用冷却装置において、前記冷凍モジュール又は圧縮モジュールの能力は、各々インバータにより調整可能とされ、前記各モジュールの運転台数を増減して能力を調整した場合の効率と、圧縮機回転数を増減して能力を調整した場合の効率とを比較して、効率の高い方で調整される構成とされていることを特徴とする。
【0029】
本発明の参考例によれば、各モジュールの能力が、インバータにより調整可能とされ、各々のモジュールの運転台数を増減して能力を調整した場合の効率と、圧縮機回転数を増減して能力を調整した場合の効率とを比較し、効率の高い方で調整する構成とされているため、冷凍モジュール又は圧縮モジュールの能力範囲をインバータにより調整し、各モジュールの運転台数を減じた場合の効率と、圧縮機回転数を下げて能力を低下させた場合の効率とを比較し、効率の高い方で能力を調整して運転することができ、例えば、運転台数を減じる方の効率が高ければ、各モジュールの運転台数を減ずるように制御することにより、冷却運転に費やされる電力を最大限セーブすることができる。特に、顕熱変化で大きく温度が変化する液化ガスと熱交換される冷凍装置は、使われる温度帯によって回転数に対する能力特性が大きく異なるため、効率は推定運転条件ごとに算出するのが望ましく、これによって、冷却運転に費やされる過剰な電力を最大限削減することが可能となる。
【0030】
さらに、本発明の参考例の液化ガス用冷却装置は、上記の液化ガス用冷却装置において、前記冷凍モジュール又は圧縮モジュールの運転台数の増減と、圧縮機回転数の増減のいずれかを選択する際、圧縮機の定期メンテナンス費用をメンテナンスインターバルで割った圧縮機の運転時間当たりのメンテナンスコストを電力コストに上乗せして比較判断する構成とされていることを特徴とする。
【0031】
本発明の参考例によれば、各モジュールの運転台数の増減と、圧縮機回転数の増減のいずれかを選択する際、圧縮機の定期メンテナンス費用をメンテナンスインターバルで割った圧縮機の運転時間当たりのメンテナンスコストを電力コストに上乗せして比較判断する構成とされているため、各モジュールの運転台数の増減と、圧縮機回転数の増減のいずれかを選択する際、圧縮機の運転時間当たりのメンテナンスコストを電力コストに上乗せして比較判断し選択することができ、これによって、消費電力とメンテナンスコストを加味した効率のよい冷却運転を行うことができる。特に、顕熱変化で大きく温度が変わる液化ガスと熱交換される冷凍装置は、使われる温度帯によって圧縮機への負担が変わるため、圧縮機のメンテナンスコスト係数やメンテナンスインターバルは、使用される温度域に応じて可変とすることが望ましい。
【0032】
さらに、本発明の参考例の液化ガス用冷却装置は、上述のいずれかの液化ガス用冷却装置において、前記冷凍モジュール又は圧縮モジュールは、メンテナンス中のモジュールを除外した状態で最適化運転されるととともに、能力余裕やメンテナンス要員のリソースから決定されるメンテナンス可能な最大台数が同時にメンテナンス時期を迎えるように運転台数および運転するモジュールが決定される構成とされていることを特徴とする。
【0033】
本発明の参考例によれば、冷凍モジュール又は圧縮モジュールが、メンテナンス中のモジュールを除外した状態で最適化運転するととともに、能力余裕やメンテナンス要員のリソースから決定されるメンテナンス可能な最大台数が同時にメンテナンス時期を迎えるように運転台数および運転するモジュールを決定する構成とされているため、能力余裕やメンテナンス要員のリソースから決定されるメンテナンス可能な最大台数が同時にメンテナンス時期を迎えるように、運転台数および運転するモジュールをコントロールすることによって、各圧縮機のメンテナンスをシステムの運転を停止せずに、かつメンテナンス手待ちやメンテナンス要因を増員することなく遂行することができる。このことは、液化ガスプラントの多くが洋上や僻地に設けられ、メンテナンス要員の増減やアイドルを他のプラントとの間で簡単に遣り繰りして吸収することが難しい環境下にあって、メンテナンス作業を平準化し、それらの作業を行うプラント要員を削減する上において極めて有益なことである。