【実施例】
【0012】
図1は、本発明の一実施例としてのドア用ヒンジ20a,20bが自動車のドアの取付部Dと車体の取付部Bとに取り付けられている様子を示す説明図であり、
図2は、ドアが全閉位置にあるときのドア用ヒンジ20aの構成の概略を示す説明図であり、
図3は、ドア用ヒンジ20aを
図2におけるA方向から視た外観の概略を示す上面図であり、
図4は、ドア用ヒンジ20aを
図2におけるB方向から視た外観の概略を示す側面図であり、
図5は、ドア用ヒンジ20aを
図2におけるC方向から視た外観の概略を示す正面図であり、
図6は、ドアが全開位置にあるときのドア用ヒンジ20aを
図2におけるB方向から視た外観の概略を示す側面図であり、
図7は、ドアが全開位置にあるときのドア用ヒンジ20aを
図2におけるC方向から視た外観の概略を示す正面図である。
【0013】
ドア用ヒンジ20a,20bは、自動車のドアと車体とに取り付けられ、対となってドアを開閉可能に支持する装置であり、
図1に示すように、ドアの取付部Dおよび車体の取付部Bのそれぞれの上部と下部とに取り付けられている。なお、ドアは、ドア用ヒンジ20aとドア用ヒンジ20bとの間に配置されたドアチェッカ60によって開度が調整されている。ドア用ヒンジ20a,20bは、同一の装置として構成されているから、以下、ドア用ヒンジ20aを詳細に説明し、ドア用ヒンジ20bの詳細な説明については省略する。
【0014】
ドア用ヒンジ20aは、
図1〜
図7に示すように、ドアの取付部Dに取り付けられるドア取付部材22と、車体の取付部Bに取り付けられる車体取付部材30と、ドア取付部材22を回動可能に車体取付部材30に取り付けるピン部材50と、を備える。ドア取付部材22は、鋼板をプレス成形して形成されており、断面がコ字形状に形成されたピン取付部24と、ピン取付部24の端部から外側に略直角に延出するように形成されてドアの取付部Dに取り付けられる一対の取付部26,27と、により構成されている。ピン取付部24の対向する対向面24a,24bには、ピン部材50を嵌挿するための一対の貫通孔24c、24dが形成されており、対向面24a,24bの
図7における下側の端部には、後述するストッパ部36,37に当接する当接部24e,24fが形成されている。取付部26,27の長手方向における中央より若干外側にずれた位置にドアの取付部Dに取り付けるためのボルトV1,V2が嵌挿される取付孔26a,27aが形成されている。
【0015】
車体取付部材30は、
図2〜
図7に示すように、車体の取付部Bに取り付けられる取付面32aをなす取付面部32と、取付面32aに対して略直角に立設する一対の側面34a,35aをなす一対の側面部34,35と、ピン取付部24の当接部24e,24fに当接する一対のストッパ部36,37と、により構成されている。
【0016】
取付面部32は、
図2,
図3に示すように、
図3における左右方向を長手方向とし
図3における左端面が面取りされた長板形状に形成されており、長手方向における中央位置と中央位置より
図3における左側の位置とには、車体の取付部Bに取り付けるための図示しない2つのボルトが嵌挿される取付孔32b,32cが形成されている。
【0017】
一対の側面部34,35は、
図2〜
図7に示すように、略L字形状に形成されており、その頂部(L字における縦軸の上端部)には、ピン部材50を嵌挿するための一対の貫通孔34b,35bが形成されている。一対の側面部34,35の一対の貫通孔34b,35bには、ドア取付部材22のピン取付部24を挟持するようにしてピン取付部24の貫通孔24c,24dとを整合させ、ピン部材50が嵌挿されており、これにより、車体取付部材30にドア取付部材22が回動可能に取り付けられている。ドア取付部材22の回動は、当接部24e,24fがストッパ部36,37に当接することにより抑止され、ドアのそれ以上の開成が止められる。なお、一対の側面部34,35はL字形状に形成されているから、取付面部32の十分な剛性を確保することができる。
【0018】
ストッパ部36,37は、
図3〜
図7に示すように、取付面32aから
図5,
図7における紙面に平行に立設する平面(取付面32aから側面34a,35aと同方向に略直角に立設する平面)内に、取付面32a,側面34a,35aから連続して屈曲するように、且つ、取付面32aにまで及んで矩形に切り掛けて離間するように形成されている。即ち、ストッパ部36,37は、取付面32aと側面34aとストッパ部36とにより箱部材の隅を形成すると共に取付面32aと側面35aとストッパ部37とにより箱部材の隅を形成するように、且つ、ストッパ部36,37が形成する平面のうち取付面32aの端面が露出するように矩形に切り掛けて離間するように形成されている。ストッパ部36,37は、取付面32aから立設する長さL1が取付面32aから貫通孔34b,35bの下部までの長さより短く、側面34a,35aから立設する長さL2が当接部24e,24fの板厚BTより大きくなるよう形成されている。このように、ストッパ部36,37は、取付面32aや側面34a,35aから連続して屈曲するように(隅を形成するように)形成されているから、取付面部32や側面部34,35,ストッパ部36,37の十分な強度を保持することができる。また、ストッパ部36,37は、矩形に切り掛けて離間するように形成されているから、切り掛けていないものに比して軽量なものとすることができる。さらに、ストッパ部36,37は、取付面32aにまで及んで矩形に切り掛けて離間するように形成されているから、切り掛けていないものに比して、プレス加工に必要な加圧力を小さくすることができる。この結果、車体取付部材30を単体での順送プレスにより形成することができる。一般に、順送プレスは、単発プレスやトランスファープレスと比較すると生産性が高いから、車体取付部材30を順送プレスにより形成することにより、生産性を向上させることができる。なお、ストッパ部36,37の取付面32aからの立設する角度を調整することにより、ドア取付部材22の回転角度を調整することができる。
【0019】
以上説明した実施例のドア用ヒンジ20a,20bでは、ストッパ部36,37を、取付面32aの端部32dに、取付面32aから上方に略直角に立設する平面内において取付面32a,側面34a,35aから連続して屈曲し、取付面32aに及んで矩形に切り掛けて離間するように形成することにより、ドアの開き角度を所望のものにすることができ、軽量で、生産性の高いドア用ヒンジとすることができる。
【0020】
実施例のドア用ヒンジ20a,20bでは、ストッパ部36,37の側面34a,35aから立設する長さL2を当接部24e,24fの板厚BTより大きくなるよう形成するものとしたが、当接部34e,34fの当接に対するストッパ部36,37の強度を十分に確保できる範囲内で長さL2を板厚BT以下となるよう形成するものとしてもよい。
【0021】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、車体取付部材30が「車体取付部材」に相当し、ドア取付部材22が「ドア取付部材」に相当し、ピン部材50が「ピン部材」に相当し、ピン取付部24が「ピン取付部」に相当し、取付部26,27が「取付部」に相当し、取付面部32が「取付面部」に相当し、側面部34,35「側面部」に相当し、ストッパ部36,37が「ストッパ部」に相当する。
【0022】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0023】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。