(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1部分の厚みに対する前記第2部分の厚みの割合は、前記第2の封止部材の熱伝導率に対する前記第1の封止部材の熱伝導率の割合よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
前記第1の電子部品が配置される前記第1面上の前記第1領域は、前記第2面側に向かって凹むように前記第1面に設けられた第1凹部であり、前記第1領域の反対側に位置する前記第2面上の領域は、電子部品が配置されていない前記第1面上の領域の反対側に位置する前記第2面上の基準領域から第1の突出量で突出した第1凸部であり、
前記第2の電子部品が配置される前記第1面上の前記第2領域は、前記第2面側に向かって凹むように前記第1面に設けられた第2凹部であり、前記第2領域の反対側に位置する前記第2面上の領域は、前記第2面上の基準領域から前記第1の突出量よりも大きい第2の突出量で突出した第2凸部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、電子部品間での動作時の単位時間当たりの発熱量の相違と、封止部材の熱伝導率とを考慮した収納ケースの熱容量を設定することで、電子部品の放熱効率を向上させることが可能な電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る電力変換装置は、
入力電圧を電力変換した出力電圧を出力する電力変換装置であって、
第1面および前記第1面の反対側の第2面を有する収納ケースと、
前記第1面上の第1領域に配置された、第1の発熱源である第1の電子部品と、
前記第1面上の第2領域に配置された、第2の発熱源である第2の電子部品と、
前記第1面上で前記第1及び第2の電子部品を封止する第1の封止部材と、を備え、
前記第2の電子部品は、前記第2領域上で前記第2の電子部品の素子を封止する第2の封止部材を有し、
前記第2の電子部品の動作時の単位時間当たりの発熱量は、前記第1の電子部品の動作時の単位時間当たりの発熱量よりも大きく、
前記第2の封止部材の熱伝導率は、前記第1の封止部材の熱伝導率よりも小さく、
前記第2領域と前記第2領域の反対側に位置する前記第2面上の領域との間の前記収納ケースの第2部分の熱容量は、前記第1領域と前記第1領域の反対側に位置する前記第2面上の領域との間の前記収納ケースの第1部分の熱容量よりも大きい。
【0010】
前記電力変換装置において、
前記収納ケースの前記第2部分の厚みは、前記収納ケースの前記第1部分の厚みよりも厚くてもよい。
【0011】
前記電力変換装置において、
前記第2の電子部品は、前記収納ケースの熱抵抗よりも小さい熱抵抗を有し、前記素子から生じた熱を前記収納ケースの前記第2部分側に放熱する放熱基板を更に有してもよい。
【0012】
前記電力変換装置において、
前記第2の封止部材と前記放熱基板との熱膨張係数の差は、前記第1の封止部材と前記放熱基板との熱膨張係数の差よりも小さくてもよい。
【0013】
前記電力変換装置において、
前記第1部分の厚みに対する前記第2部分の厚みの割合は、前記第2の封止部材の熱伝導率に対する前記第1の封止部材の熱伝導率の割合よりも大きくてもよい。
【0014】
前記電力変換装置において、
前記放熱基板は、銅を含有し、
前記収納ケースは、アルミニウムを含有し、
前記第1の封止部材は、樹脂を含有し、
前記第2の封止部材は、前記第1の封止部材に含有される樹脂よりも前記放熱基板との熱膨張係数の差および熱伝導率が小さい樹脂を含有してもよい。
【0015】
前記電力変換装置において、
前記第1の電子部品が配置される前記第1面上の前記第1領域は、前記第2面側に向かって凹むように前記第1面に設けられた第1凹部であり、前記第1領域の反対側に位置する前記第2面上の領域は、電子部品が配置されていない前記第1面上の領域の反対側に位置する前記第2面上の基準領域から第1の突出量で突出した第1凸部であり、
前記第2の電子部品が配置される前記第1面上の前記第2領域は、前記第2面側に向かって凹むように前記第1面に設けられた第2凹部であり、前記第2領域の反対側に位置する前記第2面上の領域は、前記第2面上の基準領域から前記第1の突出量よりも大きい第2の突出量で突出した第2凸部であってもよい。
【0016】
前記電力変換装置において、
前記収納ケースの前記第2面上に配置された放熱フィンを更に備えてもよい。
【0017】
前記電力変換装置において、
前記収納ケース内に配置され、前記収納ケースの前記第1面に対向する第3面および前記第3面の反対側の第4面を有する配線基板と、
前記配線基板の前記第4面上に配置され、前記第1及び第2の電子部品の動作を制御する制御部と、を更に備え、
前記第1の封止部材は、前記第1及び前記第2の電子部品とともに前記配線基板および前記配線基板の前記第4面上の前記制御部を封止していてもよい。
【0018】
前記電力変換装置において、
前記第1の電子部品は、前記制御部により制御され、前記入力電圧を整流して出力する整流回路であり、
前記第2の電子部品は、前記制御部により制御され、前記整流回路が整流した電圧を変換して出力するモジュールであってもよい。
【0019】
前記電力変換装置において、
前記第1面上の第3領域に配置され、前記モジュールが出力した電圧を調整して出力するリアクタと、
前記配線基板の前記第4面上に配置され、前記配線基板の配線を介して前記整流回路の入力に接続され、前記封止部材により前記配線基板との接続部分が封止され、前記入力電圧が供給される入力端子と、
前記配線基板の前記第4面上に配置され、前記配線基板の配線を介して整流回路の出力に接され、前記封止部材により前記配線基板との接続部分が封止され、前記整流回路が出力した電圧を平滑化する平滑化キャパシタと、
前記配線基板の前記第3面および前記第4面上に配置され、前記リアクタを含むLCフィルタが出力した電圧をフィルタリングして出力するノイズフィルタと、
前記配線基板の前記第4面上に配置され、前記配線基板に接続され、前記封止部材により前記配線基板との接続部分が封止され、前記ノイズフィルタから供給された電圧を前記出力電圧として出力する出力端子と、を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様に係る電力変換装置は、入力電圧を電力変換した出力電圧を出力する電力変換装置であって、第1面および第1面の反対側の第2面を有する収納ケースと、第1面上の第1領域に配置された、第1の発熱源である第1の電子部品と、第1面上の第2領域に配置された、第2の発熱源である第2の電子部品と、第1面上で第1及び第2の電子部品を封止する第1の封止部材と、を備える。第2の電子部品は、第2領域上で第2の電子部品の素子を封止する第2の封止部材を有し、第2の電子部品の動作時の単位時間当たりの発熱量は、第1の電子部品の動作時の単位時間当たりの発熱量よりも大きく、第2の封止部材の熱伝導率は、第1の封止部材の熱伝導率よりも小さい。
そして、第2領域と第2領域の反対側に位置する第2面上の領域との間の収納ケースの第2部分の熱容量は、第1領域と第1領域の反対側に位置する第2面上の領域との間の収納ケースの第1部分の熱容量よりも大きい。
このように、本発明によれば、第1の電子部品と比較して動作時の単位時間当たりの発熱量が大きい第2の電子部品の素子が、第1の封止部材よりも熱伝導率が小さい第2の封止部材で封止されていることを考慮して、第1の電子部品が配置される収納ケースの第1部分の熱容量よりも大きくなるように、第2の電子部品が配置される収納ケースの第2部分の熱容量を設定することができる。
これにより、第2の電子部品から収納ケース側に第1の電子部品と比較して単位時間当たりに大きい発熱量の熱が伝搬することで、収納ケースの第2部分が短時間で熱飽和してしまうことを抑制することができるので、収納ケースの第2部分側への第2の電子部品の放熱を十分な時間継続して行うことができる。
したがって、本発明によれば、電子部品間での動作時の単位時間当たりの発熱量の相違と、封止部材の熱伝導率とを考慮した収納ケースの熱容量を設定することで、電子部品の放熱効率を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0023】
図1は、第1の実施形態に係る電力変換装置100が適用される発電システム1000の構成の一例を示す図である。
図2は、
図1に示す第1の実施形態に係る電力変換装置100の主要な構成の一例を示すブロック図である。
図3は、
図2に示す電力変換装置100の外観の構成の一例を示す平面図である。
図4は、
図3に示す電力変換装置100のIV−IV断面図である。
図5は、
図3に示す電力変換装置100の収納ケースHの斜視図である。
図6は、
図3に示す電力変換装置100の収納ケースHおよび収納ケースH上の電子部品Y、M、Rの平面図である。
図7は、
図3に示す電力変換装置100の正面図である。
図8は、
図3に示す電力変換装置100の側面図である。
図9は、
図3に示す電力変換装置100の模式的な断面図である。
【0024】
発電システム1000は、例えば、
図1に示すように、エンジンEと、エンジンEに接続されたオルタネータ(図示せず)によって駆動されるファンXと、エンジンEに接続され、オルタネータが出力した交流電圧(入力電圧)を電力変換した交流電圧(出力電圧)を出力する電力変換装置100とを備える。
【0025】
この発電システム1000において、ファンXが駆動することにより、外部から気流Aが発電システム1000の内部に流れ込み、電力変換装置100及びエンジンEの周囲に誘導される。これにより、電力変換装置100及びエンジンEが気流Aにより冷却され、電力変換装置100及びエンジンEが発した熱が気流Bとともに外部に放出されることなる。
【0026】
このような電力変換装置100は、例えば、
図2〜
図4に示すように、収納ケースHと、放熱フィンZと、配線基板10と、第1の封止部材11と、入力端子TINと、第1の電子部品の一例である整流回路Yと、平滑化キャパシタCと、第2の電子部品の一例であるモジュールMと、LCフィルタ(リアクタR、第1のキャパシタC1F)FXと、ノイズフィルタFと、出力端子TOUTと、制御部CONと、を備える。なお、なお、
図3において、各電子部品Y、C、M、R、Fは、破線または二点鎖線の矩形枠で模式的に表現されている。
【0027】
図3および
図4に示すように、ノイズフィルタFは、巻線部品(すなわち、例えば、コモンモードのチョークコイル)Wと、第2のキャパシタC2Fとを備える。キャパシタC1F、キャパシタC2Fは、それぞれが複数のキャパシタを含んでいてもよい。
【0028】
以下、これらの電力変換装置100の各構成部の詳細について順に説明する。
【0029】
(収納ケースH)
収納ケースHは、電力変換装置100の各構成部を収納する。収納ケースHは、発熱源である電子部品(例えば、モジュールMや整流回路Y)が発する熱を外部に放熱する観点から、熱伝導性を有している。収納ケースHは、アルミニウムなどの金属で構成されていることによって熱伝導性を有していてもよい。
【0030】
図4および
図5に示すように、収納ケースHは、第1面A1と、第1面A1の反対側の第2面A2とを有する。第1面A1は、上面または内面ということもでき、第2面A2は、下面または外面ということもできる。
【0031】
図5に示すように、収納ケースHの第1面A1上には、整流回路Yを配置するための第1領域と、モジュールMを配置するための第2領域と、リアクタRを配置するための第3領域と、巻線部品Wを配置するための第4領域とが設けられている。
【0032】
具体的には、第1面A1上には、第2面A2側に向かって凹むように、第1領域の一例である第1凹部S1bと、第2領域の一例である第2凹部S2bと、第3領域の一例である第3凹部S3bと、第4領域の一例である第4凹部S4bとが設けられている。第2凹部S2bは、第1凹部S1bに隣接して設けられている。また、第3凹部S3bは、第2凹部S2bに隣接して設けられている。第4凹部S4bは、第3凹部S3bに隣接して設けられている。なお、
図4〜
図8に示すように、第1凹部S1bの反対側に位置する第2面A2上の領域S1aは、電子部品が配置されていない(すなわち、凹部が設けられていない)第1面A1上の領域の反対側に位置する第2面A2上の基準領域A21から、第1の突出量で突出した第1凸部S1aとなっている。第2凹部S2bの反対側に位置する第2面A2上の領域S2aは、第2面A2上の基準領域A21から第1の突出量よりも大きい第2の突出量で突出した第2凸部S2aとなっている。第3凹部S3bの反対側に位置する第2面A2上の領域S3aは、第2面A2上の基準領域A21から突出した第3凸部S3aとなっている。第4凹部S4bの反対側に位置する第2面A2上の領域S4aは、第2面A2上の基準領域A21から突出した第4凸部S4aとなっている。
【0033】
後述するように、動作時の単位時間当たりの発熱量が大きいモジュールMの放熱効率を向上するため、モジュールMが配置される第2凹部S2bと第2凹部S2bの反対側に位置する第2凸部S2aとの間の収納ケースHの第2部分H2Pの熱容量は、整流回路Yが配置される第1凹部S1bと第1凹部S1bの反対側に位置する第1凸部S1aとの間の収納ケースHの第1部分H1Pの熱容量よりも大きい。
【0034】
具体的には、
図9に示すように、収納ケースHの第2部分H2Pの厚みth2は、収納ケースHの第1部分H1Pの厚みth1よりも厚い。
【0035】
より具体的には、整流回路Yが配置される第1凹部S1bの反対側の第1凸部S1aは、第2面A2上の基準領域A21から第1の突出量で突出しているのに対して、モジュールMが配置される第2凹部S2bの反対側の第2凸部S2aは、基準領域A21から第1の突出量よりも大きい第2の突出量で突出している。
【0036】
また、収納ケースHには、第2面A2から突出するように放熱フィンZが設けられている。放熱フィンZは、外部から供給された気流Aにより冷却されることで、発熱源である電子部品(例えば、整流回路YおよびモジュールM)が発する熱を外部に放出する。放熱フィンZは、例えば、アルミニウム等の金属材料を用いたダイカスト法などの金型鋳造法によって、第1ケース部H1と一体成型されていてもよい。
【0037】
(配線基板10)
配線基板10は、電力変換装置100の端子と電子部品あるいは電子部品同士を電気的に接続する複数の配線10Ya、10Ca、10Cb、10Ra、10Rb、10Fa、10a、10bおよび複数の電極10Y、10M、10R、10Fが設けられた基板である。なお、
図3では、配線基板10に設けられた配線および電極を簡略化して表現している。
図4に示すように、配線基板10は、収納ケースH内に配置されており、収納ケースHの第1面A1に対向する第3面A3と、第3面A3の反対側の第4面A4とを有する。
【0038】
(電子部品、端子)
入力端子TINは、配線基板10の第4面A4上に配置されている。
図3に示すように、入力端子TINは、配線基板10の配線10Yaを介して整流回路Yの入力に接続されている。入力端子TINには、入力電圧VINが供給される。
【0039】
第1の電子部品の一例である整流回路Yは、動作によって発熱する第1の発熱源の一例である。整流回路Yは、収納ケースHの第1面A1上の第1凹部S1bに配置されている。
図6に示すように、整流回路Yは、入力電圧VIN、整流電圧、又は制御信号を入出力するための複数の端子YTを有する。これらの端子YTは、配線基板10の電極10Yにはんだ材等によって電気的に接続されている。整流回路Yの素子は、第1の封止部材11とは異なる封止部材によって封止(例えば、樹脂封止)されていてもよい。この場合、整流回路Yの素子を封止する封止部材の熱伝導率は、後述するモジュールMの第2の封止部材Mcの熱伝導率よりも大きくてもよい。整流回路Yは、制御部CONにより制御され、入力電圧VINを整流して出力する。
【0040】
平滑化キャパシタCは、配線基板10の第4面A4上に配置されている。
図3に示すように、平滑化キャパシタCは、配線基板10の配線基板10の配線10Caおよび電極10Yを介して整流回路Yの出力に接続されている。平滑化キャパシタCは、整流回路Yが出力した電圧を平滑化する。
【0041】
第2の電子部品の一例であるモジュールMは、動作により発熱する第2の発熱源の一例である。モジュールMの動作時の単位時間当たりの発熱量は、第1の発熱源の一例である整流回路Yの動作時の単位時間当たりの発熱量よりも大きい。
【0042】
モジュールMは、収納ケースHの第1面A1上の第2凹部S2bに整流回路Yに隣接して配置されている。
図6に示すように、モジュールMは、整流電圧、交流電圧、又は制御信号を入出力するための複数の端子MTを有する。これらの端子MTは、配線基板10の電極10Mにはんだ材等によって電気的に接続されている。後述するように、モジュールMは、第1の封止部材11とは異なる第2の封止部材Mcによって封止されている。
図3に示すように、モジュールMは、配線基板10の配線10Cbを介して平滑化キャパシタCの出力に接続されている。モジュールMは、制御部CONにより制御され、平滑化キャパシタCが平滑化した電圧(すなわち、整流回路Yが整流した電圧)を変換して出力する。
【0043】
図9に示すように、モジュールMは、第2凹部S2b上の放熱基板Maと、放熱基板Ma上の素子Mbと、放熱基板Maおよび素子Mb上の第2の封止部材Mcとを有する。
【0044】
放熱基板Maは、第2凹部S2bの内底面に接するように第2凹部S2b上に配置されている。放熱基板Maは、収納ケースHの熱抵抗よりも小さい熱抵抗を有する。例えば、収納ケースHがアルミニウムで構成されているのに対して、放熱基板Maは銅で構成されていてもよい。放熱基板Maは、素子Mbから生じた熱を収納ケースHの第2部分H2P側に放熱する。なお、収納ケースHの熱抵抗よりも小さい熱抵抗を有する放熱基板Maは、第1面A1上の電子部品Y、M、R、Wのうち、モジュールMに特有の構成である。
【0045】
素子Mbは、図示しない絶縁層を介して放熱基板Ma上に配置されている。素子Mbの発熱によるモジュールMの動作時の単位時間当たりの発熱量は、整流回路Yの動作時の単位時間当たりの発熱量よりも大きい。
【0046】
第2の封止部材Mcは、第2凹部S2b上でモジュールMの素子Mbを封止する。第2の封止部材Mcは、例えば、黒色のエポキシ樹脂等の樹脂で構成されている。
【0047】
第2の封止部材Mcの熱伝導率は、後述する第1の封止部材11の熱伝導率よりも小さい。
【0048】
また、第2の封止部材Mcと放熱基板Maとの熱膨張係数の差は、後述する第1の封止部材11と放熱基板Maとの熱膨張係数の差よりも小さい。
【0049】
リアクタRは、収納ケースHの第1面A1上の第3凹部S3bにモジュールMに隣接して配置されている。
図6に示すように、リアクタRは、モジュールMが出力した電圧が入力され、調整した電圧を出力するための複数の端子RTを有する。これらの端子RTは、配線基板10の電極10Rにはんだ材等によって電気的に接続されている。
図3に示すように、リアクタRは、配線基板10の配線10Raおよび電極10Mを介してモジュールMの出力に接続されている。リアクタRは、モジュールMが出力した電圧を調整して出力する。リアクタRの出力(出力用の端子RT、電極10R)は、配線基板10の配線10Rbと配線基板10の第4面A4上に配置された第1のキャパシタC1Fとを介して、ノイズフィルタFの入力に接続されている(
図3)。
【0050】
ノイズフィルタFは、一部が配線基板10の第3面A3上に配置され、他の一部が配線基板10の第4面A4上に配置されている。
図3に示される例において、ノイズフィルタFのうち、巻線部品Wは、第3面A3上であって、収納ケースHの第1面A1上の第4凹部S4b内に配置されている。ノイズフィルタFのうち、第2のキャパシタC2Fは、第4面A4上に配置されている。ノイズフィルタFの巻線部品Wは、リアクタRおよび第1のキャパシタC1Fで構成されるLCフィルタFXが出力した電圧をフィルタリングする過程でキャパシタC1F、C2Fとの間で電圧を入出力するための複数の端子WTを有する。これらの端子WTは、配線基板10の電極10Fにはんだ材等によって電気的に接続されている。ノイズフィルタFは、LCフィルタFXが出力した電圧をフィルタリングして出力する。
【0051】
出力端子TOUTは、配線基板10の第4面A4上に配置されている。
図3に示すように、出力端子TOUTは、配線基板10の配線10Faを介してノイズフィルタFの出力に接続されている。出力端子TOUTは、ノイズフィルタFから供給された電圧を出力電圧VOUTとして出力する。
【0052】
制御部CONは、配線基板10の第4面A4上に配置されている。
図3に示すように、制御部CONは、配線10aおよび電極10Yを介して整流回路Yに制御信号を入出力することで、整流回路Yの動作を制御するようになっている。また、制御部CONは、配線10bおよび電極10Mを介してモジュールMに制御信号を入出力することで、モジュールMの動作を制御するようになっている。
【0053】
(第1の封止部材11)
第1の封止部材11は、収納ケースHの第1面A1上で、整流回路Y(第1の電子部品)、モジュールM(第2の電子部品)、リアクタRおよび巻線部品Wを封止する。
【0054】
また、第1の封止部材11は、配線基板10および配線基板10の第4面A4上の制御部CONを封止する。
【0055】
また、第1の封止部材11は、入力端子TIN、平滑化キャパシタC、ノイズフィルタFおよび出力端子TOUTのそれぞれと配線基板10との接続部分を封止する。
【0056】
第1の封止部材11の熱伝導率は、モジュールMの第2の封止部材Mcの熱伝導率よりも大きい。また、第1の封止部材11とモジュールMの放熱基板Maとの熱膨張係数の差は、第2の封止部材Mcと放熱基板Maとの熱膨張係数の差よりも大きい。第1の封止部材11は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂で構成されている。第1の封止部材11を構成する樹脂は、第2の封止部材Mcを構成する樹脂よりも、熱伝導率が大きく、かつ、放熱基板Maとの熱膨張係数差が大きい。
【0057】
(電子部品間の発熱量及び放熱性の相違と封止部材の熱伝導率とを考慮した熱容量設定)
電力変換装置100には、整流回路Yと比較して動作時の単位時間当たりの発熱量が大きいモジュールMの素子Mbが、第1の封止部材11よりも熱伝導率が小さい第2の封止部材Mcで封止されていることを考慮した収納ケースHの熱容量が設定されている。
【0058】
具体的には、モジュールMから収納ケースH側に整流回路Yと比較して単位時間当たりに大きい発熱量の熱が伝搬することを考慮して、収納ケースHが短時間で熱飽和することを抑制するため、モジュールMが配置される収納ケースHの第2部分H2Pの熱容量が、整流回路Yが配置される収納ケースHの第1部分H1Pの熱容量よりも大きく設定されている。
【0059】
より具体的には、収納ケースHの第2部分H2Pの厚みth2は、収納ケースHの第1部分H1Pの厚みth1よりも厚くなっている。
【0060】
また、第1部分H1Pの熱容量よりも大きい第2部分H2Pの熱容量は、放熱基板Maの熱伝導性によってモジュールMから第2部分H2Pにより短時間で大きい発熱量の熱が伝搬することを考慮して、第2部分H2Pの熱飽和がより早まることを抑制するために設定された熱容量でもある。
【0061】
また、第1部分H1Pの熱容量よりも大きい第2部分H2Pの熱容量は、放熱基板Maとの熱膨張係数差を小さくすることを意図して選択された第2の封止部材Mcが、意図せずに第1の封止部材11よりも小さい熱伝導率を有することを考慮して、収納ケースHが短時間で熱飽和することを抑制するために設定された設定された熱容量でもある。
【0062】
また、第2部分H2Pの熱容量を更に大きくするため、収納ケースHの第1部分H1Pの厚みth1に対する第2部分H2Pの厚みth2の割合を、第2の封止部材Mcの熱伝導率に対する第1の封止部材11の熱伝導率の割合よりも大きくしてもよい。
【0063】
以下、本実施形態によってもたらされる作用について説明する。
【0064】
上述したように、本実施形態においては、整流回路Y(第1の電子部品)と比較して動作時の単位時間当たりの発熱量が大きいモジュールM(第2の電子部品)の素子Mbが、第1の封止部材11よりも熱伝導率が小さい第2の封止部材Mcで封止されていることを考慮して、モジュールMが配置される収納ケースHの第2部分H2Pの熱容量が、整流回路Yが配置される収納ケースHの第1部分H1Pの熱容量よりも大きくなるように設定されている。
【0065】
これにより、モジュールMから収納ケースH側に整流回路Yと比較して単位時間当たりに大きい発熱量の熱が伝搬することで、収納ケースHの第2部分H2Pが短時間で熱飽和してしまうことを抑制できるので、収納ケースHの第2部分H2P側へのモジュールMの放熱を十分な時間継続して行うことができる。
【0066】
したがって、本実施形態によれば、電子部品間での動作時の単位時間当たりの発熱量の相違と、封止部材の熱伝導率とを考慮して収納ケースの熱容量を設定することで、電子部品の放熱効率を向上させることができる。
【0067】
また、上述したように、本実施形態においては、収納ケースHの第2部分H2Pの厚みth2を第1部分H1Pの厚みth1より厚くしている(
図9参照)。これにより、簡易な構成で、第2部分H2Pの熱容量を第1部分H1Pの熱容量よりも大きくすることができる。
【0068】
また、上述したように、本実施形態においては、整流回路Y(第1の電子部品)と比較して動作時の単位時間当たりの発熱量が大きいモジュールM(第2の電子部品)の放熱性を確保するために、モジュールMが、収納ケースHよりも熱抵抗が小さい放熱基板Maを有する。これにより、素子Mbから生じた熱を放熱基板Maによって収納ケースHの第2部分H2P側に迅速に放熱することができる。
【0069】
そして、第2部分H2Pの熱容量は第1部分H1Pの熱容量よりも大きいので、放熱基板Maを通してモジュールMから第2部分H2Pにより短時間で伝搬した大きい発熱量の熱によって第2部分H2Pの熱飽和がより早まることを抑制することができる。すなわち、第2部分H2Pの熱容量が大きいことで、第2部分H2Pを伝搬する熱によって第2部分H2Pが熱飽和するまでの時間を長くとることができる。
【0070】
これにより、第2部分H2Pで生じた熱飽和の影響でモジュールMの素子Mbからの放熱が妨げられることを抑制することができるので、電子部品の放熱効率を更に向上させることができる。
【0071】
また、上述したように、本実施形態においては、第2の封止部材Mcと放熱基板Maとの熱膨張係数の差が、第1の封止部材11と放熱基板Maとの熱膨張係数の差よりも小さくなっている。
【0072】
これにより、放熱基板Ma上において素子Mbを封止する第2の封止部材Mcの熱膨張係数を、放熱基板Maの熱膨張係数に近づけることができるので、放熱基板Maに対して第2の封止部材Mcの相対的な熱膨張量が大きくなることを抑制することができる。この結果、第2の封止部材Mcの熱膨張による応力が放熱基板Ma上の素子Mbや配線に作用して、素子Mbや配線にクラック等の破損が生じることを抑制することができる。
【0073】
このように、第1の封止部材11と比較して放熱基板Maとの熱膨張係数が近い第2の封止部材Mcは、意図せずに第1の封止部材11よりも熱伝導率が小さいことがあり得る。
【0074】
しかるに、本実施形態によれば、収納ケースHの第2部分H2Pの熱容量を意図的に第1部分H1Pの熱容量よりも大きくすることで、第2の封止部材Mcを通じた放熱が困難であることを、収納ケースHの第2部分H2Pを通じた放熱を容易化することで補填することができる。
【0075】
また、上述したように、収納ケースHの第1部分H1Pの厚みth1に対する第2部分H2Pの厚みth2の割合は、第2の封止部材Mcの熱伝導率に対する第1の封止部材11の熱伝導率の割合よりも大きくてもよい。このようにすることで、第2部分H2Pの熱容量を更に大きくすることができるので、モジュールM(第2の電子部品)の放熱効率を更に向上させることができる。
【0076】
また、上述したように、本実施形態においては、整流回路Yが配置される第1面A1上の第1領域が、第2面A2側に向かって凹むように第1面A1に設けられた第1凹部S1bとなっている。一方、第1領域の反対側の第2面A2上の領域は、第2面A2の基準領域21から第1の突出量で突出した第1凸部S1aとなっている。また、モジュールMが配置される第1面A1上の第2領域は、第2面A2側に向かって凹むように第1面A1に設けられた第2凹部S2bとなっている。一方、第2領域の反対側の第2面A2上の領域は、第2面A2上の基準領域21から第1の突出量よりも大きい第2の突出量で突出した第2凸部S2aとなっている(
図9参照)。これにより、凹部S1b、S2bを介して第1面A1上に整流回路YおよびモジュールMを簡便かつ安定的に配置することができるとともに、凸部S1a、S2aの突出量を調整することで、収納ケースHの熱容量を簡便に調整することができる。
【0077】
以上のように、本発明の一態様に係る電力変換装置100は、入力電圧VINを電力変換した出力電圧VOUTを出力する電力変換装置100であって、第1面A1および第1面A1の反対側の第2面A2を有する収納ケースHと、第1面A1上の第1領域に配置された、第1の発熱源である第1の電子部品Yと、第1面A1上の第2領域に配置された、第2の発熱源である第2の電子部品Mと、第1面A1上で第1及び第2の電子部品Y、Mを封止する第1の封止部材11と、を備える。そして、第2の電子部品Mは、第2領域上で第2の電子部品Mの素子Mbを封止する第2の封止部材Mcを有し、第2の電子部品Mの動作時の単位時間当たりの発熱量は、第1の電子部品Yの動作時の単位時間当たりの発熱量よりも大きく、第2の封止部材Mcの熱伝導率は、第1の封止部材11の熱伝導率よりも小さい。そして、第2領域と第2領域の反対側に位置する第2面A2上の領域との間の収納ケースHの第2部分H2Pの熱容量は、第1領域と第1領域の反対側に位置する第2面A2上の領域との間の収納ケースHの第1部分H1Pの熱容量よりも大きい。
【0078】
このように、第1の電子部品Yと比較して動作時の単位時間当たりの発熱量が大きい第2の電子部品Mの素子Mbが、第1の封止部材11よりも熱伝導率が小さい第2の封止部材Mcで封止されていることを考慮して、第1の電子部品Yが配置される収納ケースHの第1部分H1Pの熱容量よりも大きくなるように、第2の電子部品Mが配置される収納ケースHの第2部分H2Pの熱容量を設定することができる。
【0079】
これにより、第2の電子部品Mから収納ケースH(すなわち、第2部分H2P)側に第1の電子部品Yと比較して単位時間当たりに大きい発熱量の熱が伝搬することで、収納ケースHが短時間で熱飽和してしまうことを抑制することができるので、収納ケースHへの第2の電子部品Mの放熱を十分な時間継続して行うことができる。
【0080】
したがって、本実施形態によれば、電子部品間での動作時の単位時間当たりの発熱量の相違と、封止部材の熱伝導率とを考慮した収納ケースの熱容量を設定することで、電子部品の放熱効率を向上させることができる。
【0081】
なお、上述した実施形態においては、第1の電子部品として整流回路Yを例示し、第2の電子部品としてモジュールMを例示した。しかしながら、第1の電子部品は整流回路Yに限定されるものではなく、また、第2の電子部品はモジュールMに限定されるものではない。
【0082】
上述した実施形態は、あくまで一例であって、発明の範囲を限定するものではない。発明の要旨を逸脱しない限度において、上述した実施形態に対して種々の変更を行うことができる。変更された実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。