特許第6556971号(P6556971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6556971
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】データ処理装置、及びデータ処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20190729BHJP
【FI】
   G06Q30/02 382
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-57907(P2019-57907)
(22)【出願日】2019年3月26日
【審査請求日】2019年3月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591101434
【氏名又は名称】株式会社ビデオリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】宮田 正晃
(72)【発明者】
【氏名】田村 玄
【審査官】 青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2008/081597(JP,A1)
【文献】 再公表特許第2008/081596(JP,A1)
【文献】 再公表特許第2008/081595(JP,A1)
【文献】 特表2009−543202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G16H 10/00 − 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一情報への接触者数の規模を特定するために収集される第一データを取得する第一データ取得部と、
第二情報への接触者数の規模を特定するために収集される第二データを取得する第二データ取得部と、
複数の対象者の各々について、前記第一情報への接触状況と、前記第二情報を含む被掲載情報が掲載される情報掲載媒体への到達頻度と、を示す第三データを取得する第三データ取得部と、
前記複数の対象者の各々について、前記情報掲載媒体への到達頻度に応じたウェイトと、前記第一情報への接触の有無と、を前記第三データから特定する特定部と、
前記複数の対象者の各々について特定した前記ウェイト及び前記第一情報への接触の有無から導かれる比率を、導出する導出部と、
前記第一データから特定される前記第一情報への接触者数の規模、前記第二データから特定される前記第二情報への接触者数の規模、及び、前記比率に基づき、前記第一情報及び前記第二情報のうちの少なくとも一方への接触者数の規模を算出する算出部と、
を有することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記第一情報及び前記第二情報がいずれも広告情報である、請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記第一情報及び前記第二情報が、同一の商品又はサービスに関する広告情報である、請求項1又は請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記第三データ取得部は、前記複数の対象者の各々について、前記第一情報への接触状況と、情報通信ネットワークを通じて利用可能な前記情報掲載媒体への到達頻度と、を示す前記第三データを取得する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記被掲載情報は、前記情報掲載媒体への到達者に応じて表示される広告内容が変わる広告である、請求項4に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記ウェイトは、前記複数の対象者全員分の前記情報掲載媒体への総到達頻度に対する、前記複数の対象者の各々の前記情報掲載媒体への到達頻度の割合である、請求項4又は5に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記導出部は、前記複数の対象者全員の前記ウェイトの総和と、前記第一情報に接触したことがある対象者の前記ウェイトの合計値と、から前記比率を導出し、
前記算出部は、前記第二データから特定される前記第二情報への接触者数の規模に前記比率を乗じた値を、前記第一情報及び前記第二情報の双方への接触者数の規模として算出する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記第二データ取得部は、前記第二情報への接触者数の規模を調査するための調査が実施されることで前記第二データを取得し、
前記第三データ取得部は、前記第二情報への接触者数の規模を調査するために実施される調査とは独立して実施される他の調査が実施されることで前記第三データを取得する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、第一情報への接触者数の規模を特定するために収集される第一データを取得し、
コンピュータが、第二情報への接触者数の規模を特定するために収集される第二データを取得し、
コンピュータが、複数の対象者の各々について、前記第一情報への接触状況と、前記第二情報を含む被掲載情報が掲載される情報掲載媒体の到達頻度と、を示す第三データを取得し、
コンピュータが、前記複数の対象者の各々について、前記情報掲載媒体への到達頻度に応じたウェイトと、前記第一情報への接触の有無と、を前記第三データから特定し、
コンピュータが、前記複数の対象者の各々について特定した前記ウェイト及び前記第一情報への接触の有無から導かれる比率を導出し、
コンピュータが、前記第一データから特定される前記第一情報への接触者数の規模、前記第二データから特定される前記第二情報への接触者数の規模、及び、前記比率に基づき、前記第一情報及び前記第二情報のうちの少なくとも一方への接触者数の規模を算出することを特徴とするデータ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置及びデータ処理方法に係り、特に、各種情報への接触者数の規模を特定することが可能なデータ処理装置及びデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビの視聴率及びデジタル広告の接触率をはじめとする各種情報への接触者数の規模を調査することは、既に周知であり、調査方法についても種々の手法が知られている。
【0003】
また、複数種類の情報(例えば、テレビコマーシャル及びデジタル広告)のうち、少なくとも一方の情報に接触した者の数の規模を特定しようとする場合がある。つまり、互いに配信形態が異なる第一情報及び第二情報の各々について、接触者数の規模をP(A)及びP(B)として表すと、和集合であるP(A∪B)を算出する場合がある。このとき、P(A)及びP(B)からP(A∪B)を求める上では、積集合であるP(A∩B)、すなわち、第一情報及び第二情報の両方への接触者数の規模等が必要となる。
【0004】
上記の積集合P(A∩B)を特定する方法としては、例えば、所定のモニタを対象にして複数の項目からなる調査を実施し、各項目の調査結果をモニタ別に示すデータ(いわゆるシングルソースデータ)を取得する方法が考えられる。このようにシングルソースデータからP(A∩B)を特定する方法としては、例えば、特許文献1に記載の方法を利用することが可能である。
【0005】
特許文献1に記載の方法(調査方法)は、厳密には、第一情報及び第二情報の双方への接触者数の規模を算出する方法ではないものの、そのような用途にも利用され得る。
【0006】
特許文献1に記載の方法によれば、複数の対象者(第一の調査対象者)の各々を対象として、テレビ放送の視聴状況と生命保険の加入状況とを調査する。また、特許文献1では、複数の対象者(第二の調査対象者)の各々を対象として、時間帯毎のテレビ放送の視聴状況を調査する。この調査で得られたデータからは、例えば、第二の調査対象者の人数(全数)に対する、所定時間帯に所定の放送局にて放送されたテレビ放送を視聴した者の比率(接触率)を求めることができる。ここで、テレビ放送は、第一情報に相当し、接触率は、上述したP(A)に相当する。
【0007】
また、特許文献1に記載の方法において、第一の調査対象者を対象とする調査で得られたデータからは、所定時間帯に所定の放送局にて放送されたテレビ放送を視聴した第一の調査対象者のうち、生命保険への加入者の比率(第一接触者利用率)を求めることができる。さらに、上記の接触率に上記の第一接触者利用率を乗算することにより、第二の調査対象者の人数(全数)に対する、所定時間帯に所定の放送局にて放送されたテレビ放送を視聴し、且つ、生命保険にも加入している者の比率(第二接触者利用率)が特定される。ここで、生命保険の加入を第二情報への接触と見做せば、第二接触者利用率は、上述したP(A∩B)に相当する。
【0008】
また、以上の状況において、P(B)に相当する値として、第二の調査対象者の人数(全数)に対する、生命保険加入者の比率が得られれば、P(A∪B)が特定されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−107901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、第一情報及び第二情報の双方への接触者数の規模、若しくは一方の情報のみへの接触者数の規模等に関しては、取得したシングルソースデータからは明確に把握することができない場合があり得る。
【0011】
より具体的に説明すると、上述のシングルソースデータを取得するために行われる調査において、第一情報への接触状況が問われる一方で、第二情報への接触状況については問われず、代わりに、第二情報が掲載されるメディア等(情報掲載媒体)への到達状況等が問われる場合がある。このような場合には、第二情報への接触状況を直接把握することができないので、第一情報及び第二情報の双方への接触者数の規模、若しくは一方の情報のみへの接触者数の規模を適切に特定する上で必要な措置を講じる必要がある。
【0012】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、以下に示す目的を解決することを課題とする。
すなわち、本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、第一情報及び第二情報のうち、少なくとも一方の情報への接触者数の規模を適切に特定することができるデータ処理装置及びデータ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明のデータ処理装置は、第一情報への接触者数の規模を特定するために収集される第一データを取得する第一データ取得部と、第二情報への接触者数の規模を特定するために収集される第二データを取得する第二データ取得部と、複数の対象者の各々について、第一情報への接触状況と、第二情報を含む被掲載情報が掲載される情報掲載媒体への到達頻度と、を示す第三データを取得する第三データ取得部と、複数の対象者の各々について、情報掲載媒体への到達頻度に応じたウェイトと、第一情報への接触の有無と、を第三データから特定する特定部と、複数の対象者の各々について特定したウェイト及び第一情報への接触の有無から導かれる比率を、導出する導出部と、第一データから特定される第一情報への接触者数の規模、第二データから特定される第二情報への接触者数の規模、及び、比率に基づき、第一情報及び第二情報のうちの少なくとも一方への接触者数の規模を算出する算出部と、を有することを特徴とする。
【0014】
上記のように構成された本発明のデータ処理装置は、複数の対象者の各々について、第一情報への接触の有無、及び情報掲載媒体への到達頻度を第三データから特定する。
また、本発明のデータ処理装置は、複数の対象者の各々について情報掲載媒体への到達頻度に応じたウェイトを特定する。また、本発明のデータ処理装置は、各対象者のウェイト、及び、各対象者の第一情報への接触の有無から比率を導出する。このとき、「情報掲載媒体への到達頻度が多いほど、第二情報に接触している可能性が高い」という前提に則って上記の比率を導出する。
そして、本発明のデータ処理装置は、導出した比率、並びに、第一情報及び第二情報のそれぞれの接触者数の規模に基づいて、少なくとも一方の情報への接触者数の規模を算出する。
以上の手順により、第三データからは、第一情報及び第二情報の双方への接触者数の規模、並びに、いずれか一方の情報のみへの接触者数の規模を直接的に把握し得ない状況であっても、各情報への接触者数の規模を適切に特定することが可能である。
【0015】
また、上記のデータ処理装置において、第一情報及び第二情報がいずれも広告情報であってもよい。この場合、第一情報及び第二情報が、同一の商品又はサービスに関する広告情報であってもよい。
上記の場合には、第一情報に該当する広告情報、及び、第二情報に該当する広告情報のうち、少なくとも一方に接触した者の数の規模を特定することが可能となる。特に、第一情報及び第二情報が同一商品又はサービスに関する広告情報である場合には、第一情報及び第二情報のうちの少なくとも一方への接触者数の規模を通じて、当該商品又はサービスに関する広告の効果を確認することが可能となる。
【0016】
また、上記のデータ処理装置において、第三データ取得部は、複数の対象者の各々について、第一情報への接触状況と、情報通信ネットワークを通じて利用可能な情報掲載媒体への到達頻度と、を示す第三データを取得してもよい。
上記の場合には、第三データが示す、情報通信ネットワークを通じて利用可能な情報掲載媒体への到達頻度を基にして、第一情報及び第二情報のうちの少なくとも一方への接触者数の規模を特定することができる。
【0017】
また、上記のデータ処理装置において、被掲載情報は、情報掲載媒体への到達者に応じて表示される広告内容が変わる広告であってもよい。
上記の場合には、情報掲載媒体に掲載される情報(被掲載情報)が当該情報掲載媒体への到達者に応じて変化する広告(いわゆるターゲティング広告等)であるため、「情報掲載媒体への到達頻度が多いほど、第二情報に接触している可能性が高い」という前提がより妥当なものとなる。したがって、当該前提に則って、第一情報及び第二情報の少なくとも一方への接触者数の規模を特定すれば、妥当な特定結果が得られるようになる。
【0018】
また、上記のデータ処理装置において、ウェイトは、複数の対象者全員分の情報掲載媒体への総到達頻度に対する、複数の対象者の各々の情報掲載媒体への到達頻度の割合であってもよい。
上記の場合には、複数の対象者の各々について、ウェイトを上記の要領にて適切に求めることが可能となる。
【0019】
また、上記のデータ処理装置において、導出部は、複数の対象者全員のウェイトの総和と、第一情報に接触したことがある対象者のウェイトの合計値と、から比率を導出し、算出部は、第二データから特定される第二情報への接触者数の規模に比率を乗じた値を、第一情報及び第二情報の双方への接触者数の規模として算出してもよい。
上記の場合には、第一情報及び第二情報の双方への接触者数の規模について、妥当な値を算出することが可能となる。
【0020】
また、上記のデータ処理装置において、第二データ取得部は、第二情報への接触者数の規模を調査するための調査が実施されることで第二データを取得し、第三データ取得部は、第二情報への接触者数の規模を調査するために実施される調査とは独立して実施される他の調査が実施されることで第三データを取得してもよい。
上記の場合には、第二データを取得するための調査と、第三データを取得するための調査とが互いに独立して実施されるため、第二データ及び第三データの間の関連性が低くなる傾向にある。このような状況の下であっても、本発明のデータ処理装置を用いれば、第一情報及び第二情報のうちの少なくとも一方への接触者数の規模を適切に算出することが可能となる。すなわち、第二データ及び第三データについて、それぞれのデータを取得するための調査が互いに独立して実施される場合には、本発明の効果がより有意義なものとなる。
【0021】
また、前述した課題を解決するため、本発明のデータ処理方法は、コンピュータが、第一情報への接触者数の規模を特定するために収集される第一データを取得し、コンピュータが、第二情報への接触者数の規模を特定するために収集される第二データを取得し、コンピュータが、複数の対象者の各々について、第一情報への接触状況と、第二情報を含む被掲載情報が掲載される情報掲載媒体の到達頻度と、を示す第三データを取得し、コンピュータが、複数の対象者の各々について、情報掲載媒体への到達頻度に応じたウェイトと、第一情報への接触の有無と、を第三データから特定し、コンピュータが、複数の対象者の各々について特定したウェイト及び第一情報への接触の有無から導かれる比率を導出し、コンピュータが、第一データから特定される第一情報への接触者数の規模、第二データから特定される第二情報への接触者数の規模、及び、比率に基づき、第一情報及び第二情報のうちの少なくとも一方への接触者数の規模を算出することを特徴とする。
上記のデータ処理方法によれば、第一情報及び第二情報の少なくとも一方の情報への接触者数の規模を適切に特定することが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、第一情報及び第二情報の少なくとも一方への接触者数の規模を適切に特定することが可能なデータ処理装置及びデータ処理方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】各種データの取得経路を示す図である。
図2】各情報への接触者数の規模を示す模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係るデータ処理装置の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係るデータ処理装置が有する機能部を示す図である。
図5】第三データについての説明図である。
図6】トータルリーチを算出する一連のデータ処理の流れを示す図である。
図7】トータルリーチの算出例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態(本実施形態)に係るデータ処理装置及びデータ処理方法について、添付の図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、あくまでも、本発明の理解を容易にするために挙げた一例にすぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下に説明する実施形態から変更又は改良され得る。また、当然ながら、本発明には、その等価物が含まれる。
【0025】
また、本明細書において、「装置」とは、単独で特定の機能を発揮する一つの装置の他、分散して存在しているものの特定の機能を発揮するために協働する複数の装置をも含むものである。
【0026】
また、以下の説明において、「人」又は「者」は、個人のみならず、個人が属するグループ(例えば、世帯)を含む概念である。
【0027】
また、以下の説明において、「情報通信ネットワーク」は、インターネット及びモバイル通信ネットワーク等、公衆向けにデジタルデータを送信(配信)するための通信ネットワークの総称である。
【0028】
また、以下の説明において、「テレビCM」及び「ラジオCM」は、電波放送又はデータ放送にて配信される広告情報のみならず、インターネットテレビ及びIPサイマルラジオ等にて放送される広告情報をも含むものとする。
【0029】
また、以下の説明において、「デジタル広告」は、Web広告等、情報通信ネットワークを通じて配信される広告情報であり、広告対象の商品又はサービスに関する情報を掲載したWebサイトを含み、ポータルサイト、SNS(Social Network Service)サイト若しくは動画サイト等に掲載される広告、例えば、サイト利用者(閲覧者)に応じて内容が変化するターゲティング広告、アドネットワーク広告及びDSP(Demand-Side Platform)広告を含み、さらには、バナー広告を含むものとする。また、「デジタル広告」には、ブラウザによって表示されるものが含まれ、且つ、モバイルアプリケーション(いわゆる「アプリ」)を起動して表示されるものも含まれる。
【0030】
また、以下の説明において、「接触」とは、情報に接触する行為であり、その情報を知覚/認識したか否かは問わない。また、接触には、例えば、テレビの視聴、ラジオの聴取、Webサイトの利用(閲覧)、モバイルアプリケーションを通じた専用サイトの利用(閲覧)、新聞や雑誌等の購読、屋外又は公共機関で表示される広告等の視認等が挙げられる。また、「視聴」は、放送される番組及び広告をリアルタイムで視聴することの他に、番組及び広告を録画又は録音等して放送後の一定期間内に再生して視聴したりWeb配信されるものを視聴したりする、いわゆるタイムシフト視聴を含む。
【0031】
また、以下の説明において、「到達」とは、前述の「接触」を含むと共に、ある場所/位置(具体的には、例えば、情報掲載媒体が設置された場所等)への物理的な到達、及び、ある状態(具体的には、例えば、情報掲載媒体を特定の態様で所持又は利用している状態等)への移行をも含むものとする。
【0032】
<<本実施形態における各種の取得データ>>
先ず、本実施形態において取得する各種のデータ、及び、それぞれのデータについての取得方法等について説明する。
本実施形態では、第一情報及び第二情報のそれぞれへの接触者数の規模に関する調査が実施され、その調査結果を示すデータが取得される。ここで、第一情報及び第二情報は、互いに配信形態が異なる情報である。具体的に説明すると、本実施形態では、第一情報がテレビ放送される情報(コンテンツ)であり、第二情報は、情報通信ネットワーク経由で配信される情報である。
【0033】
また、本実施形態において、第一情報及び第二情報は、いずれも広告情報であり、同一の商品又はサービスに関する広告情報である。つまり、第一情報は、ある商品又はサービスに関するテレビCMであり、第二情報は、同一の商品又はサービスに関するデジタル広告である。
【0034】
ちなみに、第一情報及び第二情報の配信形態については、テレビ及びWeb等に限定されるものではなく、ラジオ放送されてもよく、また、デジタルサイネージ等の屋外に設置される情報表示デバイスにて表示されてもよく、また、店頭等に設置される情報表示器にて表示されてもよく、また、屋外の看板にて表示されてもよく、あるいは、新聞又は雑誌等の紙面にて表示されてもよい。
【0035】
また、第一情報及び第二情報が表す内容については、広告に限定されず、広告以外のコンテンツ(例えば、ニュース又は記事、若しくは番組等)であってもよい。
【0036】
ところで、本実施形態では、第一情報及び第二情報のそれぞれについて、接触者数の規模に関する調査が実施される。本実施形態において、「接触者数の規模」とは、リーチを意味し、具体的には、各調査の母集団の人数に対する、第一情報/第二情報に接触した者の人数の割合を意味する。ただし、これに限定されるものではなく、第一情報/第二情報への接触者数の絶対数を「接触者数の規模」としてもよい。
【0037】
第一情報(すなわち、ある商品又はサービスに関するテレビCM)への接触者数の規模に関する調査は、テレビ視聴状況の調査であり、以下、第一調査と呼ぶこととする。第一調査は、例えば、各日の各時間帯におけるテレビ視聴率を調査する調査会社(以下、第一調査実施者R1)によって行われる。
【0038】
第二情報(すなわち、第一情報と同じ商品又はサービスに関するデジタル広告)への接触者数の規模に関する調査は、デジタル広告の効果測定調査であり、以下、第二調査と呼ぶこととする。第二調査は、例えば、各種のWeb広告への接触状況(例えば、リーチ及びオンターゲット率等)を調査する調査会社(以下、第二調査実施者R2)によって行われる。なお、第一調査実施者R1と第二調査実施者R2とは、同一の者(会社)であってもよく、互いに異なる者(会社)であってもよい。
【0039】
また、本実施形態では、第一調査及び第二調査とは別に、複数の対象者に対して、複数のメディア接触状況に関する調査(他の調査)を実施する。この調査は、各対象者について、第一情報への接触状況と、情報掲載媒体への到達頻度とを把握するための調査であり、以下、第三調査と呼ぶこととする。ここで、情報掲載媒体とは、第二情報を含む被掲載情報が掲載されるメディアであり、本実施形態では所定のWebサイト(具体的にはポータルサイト、動画サイト及びSNSサイト等)であるとする。また、本実施形態において、情報掲載媒体に掲載される被掲載情報は、当該情報掲載媒体への到達者(サイト閲覧者)に応じて表示される広告内容が変わる広告であり、所謂ターゲティング広告である。
【0040】
なお、情報掲載媒体は、Webサイトに限定されるものではなく、例えば、デジタルサイネージ等の屋外に設置される情報表示デバイス、店頭等に設置される情報表示器、屋外の看板、新聞又は雑誌(これらの電子版を含む)、若しくはラジオ等の放送メディア等であってもよい。また、アプリ起動によってモバイル画面に表示されるWebサービス用のページも情報掲載媒体となり得る。
また、情報掲載媒体に掲載される被掲載情報は、利用者に応じて内容が変わるターゲティング広告に限定されず、例えば、情報掲載媒体への到達者を問わずに共通して配信される純広告(バナー広告等)であってもよい。
【0041】
また、本実施形態において、第三調査は、第二調査実施者R2とは異なる者、具体的には第一調査実施者R1(厳密には、第二調査実施者R2には該当ない第一調査実施者R1)によって実施される。ただし、これに限定されるものではなく、第三調査が第一調査及び第二調査の実施者と同じ者によって実施されてもよく、あるいは、第一調査、第二調査及び第三調査の各々が互いに異なる者によって実施されてもよい。
【0042】
本実施形態において、第一調査、第二調査及び第三調査は、互いに独立して実施され、より詳しく説明すると、調査用の母集団、標本数、調査手法、調査時期及び調査期間等については調査間で独自に設定される。
【0043】
以下、第一調査、第二調査及び第三調査について、図1を参照しながら個々に説明する。図1は、各種データの取得経路を示す図である。なお、同図に示すパネルN、閲覧者V及び対象者Tの数は、図示の都合上、実際の数より少ない数となっている。
【0044】
(第一調査)
第一調査は、設定された母集団から統計学的手法に従って無作為に選出されたパネルNを対象として実施され、各パネルNのテレビ視聴状況を機械式手法にて調査する。より詳しく説明すると、各パネルNの自宅には、テレビの視聴時間及び視聴チャンネル等を測定する公知の測定機器(不図示)が設置されている。この測定機器により、各パネルNのテレビの視聴状況が調査期間中、毎日調査される。
【0045】
また、上記の測定機器は、一定間隔(例えば、1分毎)の測定結果を示すデータ(以下、第一データ)を生成し、第一調査実施者R1に向けて送信する。第一調査実施者R1は、図1に示すように、各パネルNの測定機器から送られてくる第一データを専用の通信回線を通じて収集する。これにより、第一調査実施者R1は、テレビの視聴状況を示す第一データを、パネルNの人数に応じた分、取得する。また、第一調査実施者R1は、各パネルNから取得した第一データをデータベース化して蓄積する。
【0046】
そして、第一調査実施者R1は、各パネルNから収集した第一データを解析し、所定の時間帯にて所定のテレビ局で放送される番組又はテレビCMについての視聴者数(すなわち、接触者数)の規模、厳密には視聴率を特定する。例えば、第一調査実施者R1は、ある商品又はサービスに関するテレビCMが放送される時間帯及びテレビ局を入力情報として、当該テレビCMの視聴者数の規模、具体的には、全パネルN中、上記テレビCMを視聴したことがあるパネルNの割合を特定する。このような意味で、第一調査は、所定のテレビCM(第一情報に該当)への接触者数の規模を調査するための調査であり、第一データは、当該テレビCMへの接触者数の規模を特定するために収集されるデータであると言える。
【0047】
なお、各パネルNの自宅に設置された測定機器からの第一データの送信については、分単位で行われてもよく、あるいは1時間分、若しくは1日分のデータをまとめて送信してもよい。
【0048】
また、本実施形態では、第一データが上記の測定機器から通信回線を通じて送られてくることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、各パネルNが所定の記入用紙にテレビの視聴状況(具体的には、それぞれの時間帯におけるテレビ局毎の視聴時間等)を記入し、第一調査実施者R1が記入済みの用紙を各パネルNから回収し、回収した用紙の記入内容を第一調査実施者R1側で入力することで、各パネルNのテレビ視聴状況を示すデータ(すなわち、第一データ)を取得してもよい。その他にも、例えば、各パネルNがテレビ視聴した際にテレビ受信機にて蓄積されるデバイスログ、あるいはテレビ受信機からネット経由でテレビ放送局側に送られる視聴ログを第一データとして取得してもよい。
【0049】
(第二調査)
第二調査は、調査対象として指定されたデジタル広告の効果を測定するために実施される。より詳しく説明すると、第二調査は、コンバージョン測定等で利用されるタグマネージャを用いて実施され、調査対象として指定されたデジタル広告には追跡用タグが予め埋め込まれており、閲覧者Vが上記のデジタル広告をブラウザ又はアプリを通じて閲覧すると、タグマネージャにより、閲覧者Vの識別情報(例えば、IPアドレス等)及びその閲覧日時等が特定される。その特定結果を示すデータ(以下、第二データ)は、第二調査実施者R2によって収集され、第二調査実施者R2は、上記のデジタル広告の閲覧者Vの人数に応じた数の第二データをデータベース化して蓄積する。
【0050】
そして、第二調査実施者R2は、調査対象として指定されたデジタル広告について収集した第二データを解析し、上記デジタル広告についての閲覧者数(すなわち、接触者数)の規模、厳密には閲覧率(リーチ)を特定する。例えば、第二調査実施者R2は、ある商品又はサービスに関するデジタル広告の閲覧者Vの人数をカウントし、カウントした閲覧者数の、母集団の人数(具体的には、日本の人口又はインターネット利用者数)に対する割合を特定する。このような意味で、第二調査は、所定のデジタル広告(第二情報に該当)への接触者数の規模を調査するための調査であり、第二データは、当該デジタル広告への接触者数の規模を特定するために収集されるデータであると言える。
【0051】
また、本実施形態において、第二データから解析したデジタル広告への接触者数の規模は、第二調査実施者R2から第一調査実施者R1に通知され、具体的には、例えば、当該規模の値を示すデータが第一調査実施者R1に向けて送信される。
【0052】
(第三調査)
第三調査は、シングルソースデータを取得するために行われる調査であり、主として、異種のメディア(例えば、テレビとWeb)の関係を把握するために行われる。第三調査は、複数の対象者Tを対象として行われ、例えば、数千人程度の対象者Tを対象として実施される。
【0053】
また、第三調査の対象者Tについては、その一部又は全部が第一調査のパネルNと重複するように設定されてもよく、第一調査のパネルNとは重複しないように設定されてもよい。
【0054】
第三調査では、複数の対象者Tの各々について、テレビ視聴状況及びWeb利用状況を調査する。第三調査におけるテレビ視聴状況の調査については、第一調査と同様の要領にて実施され、各対象者Tのテレビ視聴状況が機械式手法により定期的に調査される。また、第三調査におけるWeb利用状況の調査では、各対象者Tが調査期間中にブラウザによってアクセス(到達)したWebサイトへの到達頻度、具体的にはページビュー(サイト閲覧回数;以下、PVという)を調査する。ちなみに、第三調査では、各対象者Tが調査期間中に専用アプリからアクセス(到達)したWebサービスへの到達回数を調査することも可能である。ただし、以降の説明では、第三調査にて調査するWebサイトへの到達頻度が、上記のページビュー(PV)のみであることとする。
【0055】
第三調査の調査結果は、対象者T別にデータ化され、第一調査実施者R1は、そのデータを各対象者Tから収集する。具体的に説明すると、第一調査と同様、各対象者Tの自宅には、テレビの視聴時間及び視聴チャンネル等を測定する測定機器(不図示)が設置されており、この測定機器が、各対象者Tのテレビの視聴状況に関する測定結果を定期的(例えば、1分毎)に第一調査実施者R1に向けて送信する。第一調査実施者R1は、図1に示すように、各対象者Tの測定機器から送られてくる測定データを専用の通信回線を通じて収集する。これにより、第一調査実施者R1は、テレビ視聴状況の測定データを、対象者Tの人数に応じた分、取得する。
【0056】
なお、テレビ視聴状況の測定データの送信については、分単位で行われてもよく、あるいは1時間分、若しくは1日分のデータをまとめて送信してもよい。
【0057】
また、本実施形態では、テレビ視聴状況の測定データが上記の測定機器から通信回線を通じて送られてくることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、各対象者Tが所定の記入用紙にテレビの視聴状況(具体的には、それぞれの時間帯におけるテレビ局毎の視聴時間等)を記入し、第一調査実施者R1が記入済みの用紙を各対象者Tから回収し、回収した用紙の記入内容を第一調査実施者R1側で入力することで、各対象者Tのテレビ視聴状況の測定データを取得してもよい。その他にも、例えば、各対象者Tがテレビ視聴した際にテレビ受信機にて蓄積されるデバイスログ、あるいはテレビ受信機からネット経由でテレビ放送局側に送られる視聴ログをテレビ視聴状況の調査データとして取得してもよい。
【0058】
そして、第一調査実施者R1は、各対象者Tから収集したテレビ視聴状況の測定データを解析することで、ある商品又はサービスに関するテレビCMについての視聴の有無を対象者T毎に特定する。
【0059】
また、第三調査の実施期間中、各対象者TのWeb利用状況が随時モニタリングされ、より具体的には、所定のWebサイト(情報掲載媒体)への到達頻度を示すPVが測定される。PVの測定手法については、公知のWeb解析手法が利用可能であり、例えば、アクセス解析ツールを用いた手法を利用することができる。
【0060】
そして、第一調査実施者R1は、各対象者Tについて測定したPVから、所定のWebサイトへの到達頻度を対象者T毎に特定する。ここで、「所定のWebサイト」は、上述したテレビCMと同一の商品又はサービスに関するデジタル広告を含む被掲載情報、厳密にはターゲティング広告が掲載されるポータルサイト、動画サイト及びSNSサイトである。
【0061】
以上のようにして、第一調査実施者R1は、複数の対象者Tの各々について第三調査の調査結果、すなわち、ある商品又はサービスに関するテレビCMへの接触状況と、所定のWebサイトへの到達頻度とを特定する。さらに、第一調査実施者R1は、上記の特定結果をデータ化して、そのデータ(以下、第三データ)を記憶して蓄積する。この第三データは、複数の対象者Tの各々について、第一情報に該当するテレビCMへの接触状況と、情報掲載媒体に該当する所定のWebサイトへの到達頻度と、を示すデータである。
【0062】
<<各情報への接触者数の規模を特定する方法>>
次に、上述した各情報への接触者数の規模を特定する方法について、図2を参照しながら説明する。図2は、各情報への接触者数の規模を示す模式図(詳しくは、ベン図)である。
なお、以下では、ある商品XについてのテレビCMを第一情報とし、同じ商品Xについてのデジタル広告を第二情報とするケースを具体例に挙げて説明することとする。
【0063】
商品XのテレビCMへの接触者数の規模(リーチ)については、第一調査の実施を通じて取得される第一データから特定することができ、具体的には、商品XのテレビCMを視聴したことがあるパネルNの人数を、全パネルNの人数で割ることで求められる。ここで、商品XのテレビCMを視聴したことがあるという事象を事象Aとした場合、商品XのテレビCMへの接触者数の規模は、図2に示すようにP(A)として表現される。
【0064】
商品Xのデジタル広告への接触者数の規模(リーチ)については、第二調査の実施を通じて取得される第二データから特定することができ、具体的には、商品Xのデジタル広告の閲覧者Vの人数を、日本の全人口(あるいは、インターネット利用者)の人数で割ることで求められる。ここで、商品Xのデジタル広告を閲覧したことがあるという事象を事象Bとした場合、商品Xのデジタル広告への接触者数の規模は、図2に示すようにP(B)として表現される。
【0065】
以上のように、商品XのテレビCMへの接触者数の規模P(A)と、商品Xのデジタル広告への接触者数の規模P(B)とは、それぞれ個々に特定し得る。一方で、商品Xの広告の効果(例えば、商品Xの認知度)を確認する上では、商品XのテレビCM及びデジタル広告のうちの少なくとも一方への接触者数の規模、すなわち、トータルリーチを特定する必要がある。ここで、トータルリーチは、図2に示すように和集合P(A∪B)として表現される。
【0066】
また、トータルリーチP(A∪B)を特定するには、商品XのテレビCM及びデジタル広告の双方への接触者数の規模である積集合P(A∩B)、あるいは、商品XのテレビCM及びデジタル広告のうちのいずれか一方のみへの接触者数の規模を求める必要がある。
【0067】
商品XのテレビCM及びデジタル広告の双方への接触者数の規模P(A∩B)を特定する場合には、第三調査の実施を通じて取得される第三データ、すなわち、シングルソースデータを利用することができる。ただし、本実施形態で得られる第三データからは、複数の対象者Tの各々について、商品XのテレビCMの視聴の有無を特定することができるものの、商品Xのデジタル広告への到達(閲覧)の有無については特定することができない。これは、諸処の理由により、第三調査にて商品Xのデジタル広告への接触の有無を調査しない/調査できない場合があり得るためである。
【0068】
一方、本実施形態で得られる第三データからは、商品Xのデジタル広告を含む被掲載情報が掲載される所定のWebサイトへの到達頻度(具体的にはPV)を特定することが可能である。このことを利用し、本実施形態では、商品XのテレビCM及びデジタル広告の双方への接触者数の規模P(A∩B)を第三データから明確には特定することができないものの、当該規模P(A∩B)として妥当な値を導出するためのデータ処理を実施する。この結果、本実施形態ではトータルリーチP(A∪B)を適切に算出することが可能となる。
【0069】
以下では、本実施形態においてトータルリーチP(A∪B)を算出するための一連のデータ処理、及び当該データ処理を実施する装置の構成について詳しく説明する。
【0070】
<<本実施形態に係るデータ処理装置の構成>>
次に、本実施形態に係るデータ処理装置(以下、データ処理装置10)の構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、データ処理装置10の構成を示すブロック図である。
【0071】
データ処理装置10は、前述した第一調査、第二調査及び第三調査を通じて対応するデータ(すなわち、第一データ、第二データ及び第三データ)を取得し、これらのデータからトータルリーチP(A∪B)を算出する。本実施形態において、データ処理装置10は、図3に示すように、第一調査実施者R1が有するコンピュータ(以下、第一コンピュータ11)と、第二調査実施者R2が有するコンピュータ(以下、第二コンピュータ12)とによって構成されている。
【0072】
第一コンピュータ11及び第二コンピュータ12は、いずれもサーバコンピュータからなり、データ処理装置10としての機能を発揮するために協働する。ただし、これに限定されるものではなく、第一コンピュータ11及び第二コンピュータ12のうちの一方のコンピュータが、他方のコンピュータの機能を併せ持ち、一台でデータ処理装置10として機能する構成であってもよい。あるいは、第一調査実施者R1及び第二調査実施者R2とは別の第三者が有するコンピュータがデータ処理装置10として機能してもよい。例えば、ASP(Application Service Provider)サーバがデータ処理装置10として機能し、第一乃至第三データからトータルリーチP(A∪B)を算出するASPサービスを提供してもよい。
【0073】
第一コンピュータ11及び第二コンピュータ12の各々は、プロセッサとしてのCPUと、RAM及びROM等からなるメモリと、ハードディスクドライブと、通信用インタフェースと、マウス及びキーボード等からなる入力機器と、ディスプレイ及びプリンタ等からなる出力機器と、を有する。
【0074】
また、第一コンピュータ11及び第二コンピュータ12の各々には、外部機器と通信するための通信用プログラムがインストールされている。この通信用プログラムにより、第一コンピュータ11及び第二コンピュータ12の各々は、外部機器と通信し、通信回線を通じて外部機器との間でデータの送受信を行う。具体的に説明すると、例えば、第一コンピュータ11は、第一調査のパネルNや第三調査の対象者Tの家に設置された測定機器と通信することで、テレビ視聴状況の測定データを取得する。また、第二コンピュータ12は、第二調査において所定のデジタル広告を閲覧した閲覧者Vの端末(PC又はモバイル端末)と通信することで、当該閲覧者Vの人数を特定するためのデータを取得する。
【0075】
また、第一コンピュータ11と第二コンピュータ12とは、互いに通信して両者間でデータの送受信を行う。例えば、第二コンピュータ12は、第二調査において所定のデジタル広告を閲覧した閲覧者Vの数の規模(すなわち、第二情報への接触者数の規模)を示すデータを第一コンピュータ11に向けて送信し、第一コンピュータ11は、当該データを受信する。
【0076】
さらに、第一コンピュータ11及び第二コンピュータ12の各々には、データ処理用のプログラム(以下、処理実行用プログラム)がインストールされている。この処理実行用プログラムにより、第一コンピュータ11及び第二コンピュータ12の各々は、トータルリーチP(A∪B)を算出する上で、当該各々が担当する分のデータ処理を実行する。換言すると、第一コンピュータ11及び第二コンピュータ12の各々において処理実行用プログラムが起動することで、両コンピュータがデータ処理装置10としての機能を発揮する。
【0077】
次に、図4を参照しながら、データ処理装置10の構成を機能面から改めて説明することとする。図4は、データ処理装置10が有する機能部を示す図である。
【0078】
データ処理装置10は、図4に示すように、第一データ取得部21、第一リーチ算出部22、第二データ取得部23、第二リーチ算出部24、第三データ取得部25、特定部26、導出部27及びトータルリーチ算出部28(算出部に相当)を有する。これらのうち、第一データ取得部21、第一リーチ算出部22、第三データ取得部25、特定部26、導出部27及びトータルリーチ算出部28は、第一コンピュータ11によって構成され、より詳しくは第一コンピュータ11を構成するハードウェア機器と前述の処理実行用プログラムとが協働することで実現される。また、第二データ取得部23及び第二リーチ算出部24は、第二コンピュータ12によって構成され、より詳しくは第二コンピュータ12を構成するハードウェア機器と前述の処理実行用プログラムとが協働することで実現される。
【0079】
なお、各機能部の割り振りについては、上記の内容に限定されるものではなく、例えば、第一コンピュータ11が担う機能部の一部(例えば、特定部26及び導出部27等)が第二コンピュータ12に割り振られてもよい。あるいは、第二コンピュータ12が担う機能部の一部(例えば、第二リーチ算出部24等)が第一コンピュータ11に割り振られてもよい。
【0080】
以下、各機能部について個々に説明することとする。
(第一データ取得部)
第一データ取得部21は、第一調査における複数のパネルNの各々からテレビ視聴状況の測定データ、すなわち第一データを取得する。より詳しく説明すると、第一データ取得部21は、所定のテレビCM(例えば、商品XのテレビCM)への接触者数の規模に関する調査として、第一調査が実施されることで各パネルNから第一データを取得する。なお、第一データ取得部21が第一データを取得する時間間隔(周期)等については、任意に設定することが可能である。
【0081】
(第一リーチ算出部)
第一リーチ算出部22は、第一データ取得部21が取得した各パネルNの第一データを解析することで、所定のテレビCM(例えば、商品XのテレビCM)への接触者数の規模である第一リーチを算出する。本実施形態において、第一リーチは、全パネルNの人数に対する、所定のテレビCMを視聴したことがある者の人数の割合であり、図2のP(A)に該当する。
【0082】
(第二データ取得部)
第二データ取得部23は、第二調査の実施期間中にデジタル広告等のWebサイトを閲覧した閲覧者Vの識別情報等を示すデータ、すなわち第二データを取得する。より詳しく説明すると、第二データ取得部23は、所定のデジタル広告(例えば、商品Xのデジタル広告)への接触者数の規模に関する第二調査が実施されることで、当該デジタル広告の閲覧者Vから第二データを取得する。なお、第二データ取得部23は、上記デジタル広告の表示用データに埋め込まれたタグを利用することにより、閲覧者Vの端末に上記デジタル広告が表示されたタイミングで、その閲覧者Vの端末から第二データを取得する。
【0083】
(第二リーチ算出部)
第二リーチ算出部24は、第二データ取得部23が取得した各閲覧者Vの第二データを解析することで、所定のデジタル広告(例えば、商品Xのデジタル広告)への接触者数の規模である第二リーチを算出する。本実施形態において、第二リーチは、日本の人口又はインターネット利用者の人数に対する、所定のデジタル広告を見た閲覧者Vの人数の割合であり、図2のP(B)に該当する。
【0084】
(第三データ取得部)
第三データ取得部25は、第三調査において複数の対象者Tの各々から入手した調査データから調査結果を特定し、各対象者Tについての調査結果を示すシングルソースデータ、すなわち第三データを取得する。より詳しく説明すると、第三データ取得部25は、テレビ視聴状況及びWeb利用状況の各々に関する調査として、第三調査が実施されることで、シングルソースデータとしての第三データを取得する。
【0085】
具体的な第三データの取得方法について説明すると、第三データ取得部25は、各対象者Tから取得したテレビ視聴状況の測定データを解析し、所定のテレビCM(例えば、商品XのテレビCM)への接触状況、厳密には当該テレビCMの視聴の有無を対象者T毎に特定する。また、第三データ取得部25は、各対象者Tについて、所定のWebサイトへの到達頻度(具体的には、PVの測定値)を特定する。ここで、所定のWebサイトは、前述したように、商品Xのデジタル広告を含む被掲載情報が掲載される情報掲載媒体であり、ポータルサイト、動画サイト及びSNSサイト等が該当する。
【0086】
そして、第三データ取得部25は、上記の特定結果を各対象者Tと関連付けてデータ化することで、図5に示すシングルソースデータを第三データとして取得する。図5は、第三データについての説明図である。なお、図5には、シングルソースデータの一部のみが示されているが、実際には、図5に記載された項目以外の項目についての調査結果、例えば、所定のWebサイトを閲覧した時間(閲覧時間)等も含まれている。
【0087】
(特定部)
特定部26は、第三データ取得部25が取得した第三データに基づいて、複数の対象者Tの各々について、ウェイトと、所定のテレビCM(第一情報に該当)への接触の有無と、を特定する。ウェイトとは、所定のWebサイトへの到達頻度(PV)に応じて決まる指標であり、対象者T毎に特定される。より詳しく説明すると、ウェイトは、所定のWebサイトへの到達頻度(PV)についての複数の対象者T全員分の総和(つまり、総到達頻度)に対する、各対象者Tの所定のWebサイトへの到達頻度の割合として算出される。
【0088】
ここで、図5に示す第三データから各対象者Tのウェイトを特定するケースを例に挙げて説明する。図5に示す第三データによれば、所定のWebサイトへの総到達頻度が98153である。また、図5に示す第三データでは、識別番号a001の対象者Tの、所定のWebサイトへの到達頻度(PV)が、2702である。したがって、識別番号a001の対象者Tについてのウェイトは、0.0275(=2702/98153)となる。同様の要領により、識別番号c001の対象者Tについてのウェイトを特定すると、0.0192(=1887/98153)となる。
以上のようにして、特定部26は、すべての対象者Tについてのウェイトを特定する。
【0089】
(導出部)
導出部27は、特定部26が複数の対象者の各々について特定したウェイト及び所定のテレビCM(第一情報に該当)への接触の有無から、比率を導出する。本実施形態において、比率は、複数の対象者Tのうち、所定のテレビCMに接触したことがある対象者Tの人数に応じた値である。
【0090】
ここで、比率を導出する手順について説明すると、導出部27は、複数の対象者T全員分のウェイトを合算して、その総和(以下、ウェイト総和Sw)を求めた後、所定のテレビCMに接触したことがある対象者Tのウェイトを合算して、その合計値(以下、ウェイト合計値Gw)を求める。そして、導出部27は、下記の式により比率を求める。
比率(%)=Gw/Sw×100
なお、比率は、上述したように、所定のテレビCMに接触したことがある対象者Tのウェイトから導出してもよいが、所定のテレビCMに接触したことがない対象者Tのウェイトから導出してもよい。
【0091】
(トータルリーチ算出部)
トータルリーチ算出部28は、第一リーチ算出部22により特定される第一リーチP(A)、第二リーチ算出部24により特定される第二リーチP(B)、及び導出部27によって導出された比率に基づき、トータルリーチP(A∪B)を算出する。
【0092】
具体的に説明すると、トータルリーチ算出部28は、第二リーチP(B)に上記比率を乗じる。トータルリーチ算出部28は、両値の積を、所定のテレビCM(第一情報に該当)及び所定のデジタル広告(第二情報に該当)の双方への接触者数の規模、すなわちP(A∩B)として算出する。このようにしてP(A∩B)が算出される結果、トータルリーチ算出部28は、その時点で既に特定されている第一リーチ(A)及び第二リーチP(B)に基づいて、トータルリーチP(A∪B)を算出することができる。
【0093】
<<本実施形態に係るデータ処理方法の手順>>
次に、本実施形態に係るデータ処理方法として、データ処理装置10によりトータルリーチP(A∪B)を算出する方法について、その手順を説明する。
なお、本実施形態に係るトータルリーチP(A∪B)の算出方法は、本発明のデータ処理方法の一例であり、以下に説明する各ステップは、本発明のデータ処理方法の構成要素に相当する。
【0094】
また、以下では、ある商品XのテレビCM、及び当該商品Xのデジタル広告のうちの少なくとも一方への接触者数の規模をトータルリーチP(A∪B)として算出するケースを具体例に挙げて説明する。また、以下では、商品Xのデジタル広告が掲載されるメディアの一例として、商品Xのデジタル広告を含む各種のデジタル広告(厳密には、ターゲティング広告)が掲載されるWebサイト(以下、サイトY)を挙げる。
【0095】
トータルリーチP(A∪B)を算出するにあたっては、先ず、前提として、第一調査、第二調査及び第三調査が実施される。その上で、トータルリーチP(A∪B)を算出するための一連のデータ処理(以下、トータルリーチ算出フロー)が、データ処理装置10により図6の手順に従って実施される。図6は、トータルリーチ算出フローの流れを示す図である。
【0096】
トータルリーチ算出フローでは、第一調査実施者R1が有する第一コンピュータ11が、第一調査の実施により、各パネルNからテレビ視聴状況の測定データ、すなわち第一データを取得する(S001)。また、第二調査実施者R2が有する第二コンピュータ12が、第二調査の実施により、調査対象として指定されたデジタル広告を閲覧した各閲覧者Vの識別情報等を示すデータ、すなわち第二データを取得する(S002)。
【0097】
なお、図6では、第一データを取得するステップS001の後で、第二データを取得するステップS002が実施されることになっているが、これらのステップの実施時期については特に限定されず、ステップS002をステップS001よりも先に実施してもよく、あるいは、両ステップS001及びS002を同時期に実施してもよい。
【0098】
また、第一コンピュータ11は、第三調査の実施により、複数の対象者Tの各々からテレビ視聴状況及びWeb利用状況に関するデータを取得し、その取得データを解析することでシングルソースデータ、すなわち第三データを取得する(S003)。
【0099】
ステップS001が終了した後、第一コンピュータ11は、各パネルNから取得した第一データを解析して、商品XのテレビCMを視聴したことがあるパネルNの人数の規模、すなわち第一リーチP(A)を算出する(S004)。
【0100】
ステップS002が終了した後、第二コンピュータ12は、商品Xのデジタル広告を閲覧した閲覧者Vを第二データから割り出し、当該閲覧者Vの人数の規模、すなわち第二リーチP(B)を算出する(S005)。なお、第二リーチP(B)の特定結果は、データ化されて第二コンピュータ12から第一コンピュータ11に送信される。
【0101】
ステップS003が終了した後、第一コンピュータ11は、第三データを解析し、複数の対象者Tの各々について、商品XのテレビCMの視聴の有無と、上述のウェイトを特定する(S006)。ウェイトを特定する際には、複数の対象者Tの各々がサイトYに到達した頻度(PV)を特定し、その総和である総到達頻度に対する、各対象者TのサイトYへの到達頻度の割合を求める。
【0102】
ここで、各対象者Tのウェイトは、サイトYに掲載された被掲載情報への接触確率を反映した値である。つまり、ウェイトが高い対象者Tは、商品Xのデジタル広告を含め、サイトYに掲載されたデジタル広告に多く接触していることになる。本実施形態では、各対象者Tが商品Xのデジタル広告に接触した確率をウェイトとして算出することで、各対象者Tについて、商品Xのデジタル広告への接触の有無をウェイトによって表すことが可能である。これにより、第三調査では、商品Xのデジタル広告への接触の有無を直接的に調査しないものの、商品Xのデジタル広告への接触確率を上記のウェイトを通じて評価することができる。
【0103】
ステップS006の終了後、第一コンピュータ11は、ステップS006で対象者T毎に特定した商品XのテレビCMの視聴の有無、及びウェイトに基づいて、上述した比率を導出する(S007)。具体的には、ステップS006にて特定した複数の対象者T全員分のウェイトを合算してウェイト総和Swを求める。また、複数の対象者Tのうち、商品XのテレビCMに接触したことがある対象者Tのウェイトを合算して、ウェイト合計値Gwを求める。その後、ウェイト総和Sw及びウェイト合計値Gwを上述の式に代入することで、比率を導出する。
【0104】
ステップS007の終了後、第一コンピュータ11は、これまでのステップで既に特定した第一リーチP(A)、第二リーチP(B)及び比率に基づき、トータルリーチP(A∪B)を算出する(S008)。本ステップS008について、図7に示した例を参照しながら具体的に説明する。図7は、トータルリーチP(A∪B)の算出例を示す図である。
なお、図7では、これまでのステップで特定した各値が以下の通りとなっている。
第一リーチP(A):68.9%
第二リーチP(B):2.0%
商品XのテレビCMを見たことがある対象者Tの比率:54.1(%)
【0105】
本ステップS008において、第一コンピュータ11は、第二リーチP(B)に上記の比率を乗じた値を、商品XのテレビCM及びデジタル広告の双方への接触者数の規模、すなわちP(A∩B)として算出する。図7では、その算出値P(A∩B)が、1.1%(=2.0%×0.541)となる。
【0106】
そして、P(A∩B)が算出される結果、トータルリーチP(A∪B)が算出される。図7では、トータルリーチP(A∪B)が69.8%(=68.9%+2.0%−1.1%)となる。
【0107】
以上までに説明してきた一連のステップが完了した時点で、トータルリーチ算出フローが終了し、商品XのテレビCM及びデジタル広告の少なくとも一方への接触者数の規模を示すトータルリーチが算出される。そして、算出されたトータルリーチから、商品Xの広告の効果を確認することが可能となる。
【0108】
<<本実施形態の有効性について>>
本実施形態では、上述したように、第一情報及び第二情報の少なくとも一方への接触者数の規模、すなわちトータルリーチを適切に特定することが可能である。
【0109】
より詳しく説明すると、本実施形態では、複数の対象者Tの各々に対して多数の項目の調査を実施してシングルソースデータ(第三データ)を取得するが、そのデータでは、第一情報及び第二情報の双方への接触者数、並びに一方の情報のみへの接触者等を明確に把握することができない。
【0110】
ただし、第三データからは、第二情報を含む被掲載情報が掲載される情報掲載媒体への到達頻度、及び、第一情報への接触の有無を対象者T毎に特定することができる。そこで、本実施形態では、「情報掲載媒体への到達頻度が多い対象者Tは、第二情報を含め、当該媒体に掲載される情報に接触している可能性が高い」という前提に従い、各対象者Tについて、情報掲載媒体への到達頻度に応じたウェイトを特定する。
【0111】
そして、各対象者Tのウェイトと、各対象者Tの第一情報への接触の有無から比率を導出する。この比率の導出では、情報掲載媒体への到達頻度が多い対象者Tについては、第一情報への接触をより強く反映させ、到達頻度が少ない対象者Tについては、第一情報への接触をより弱く反映させることができる。
【0112】
上記の比率を導出した後、第二リーチ(第二情報への接触者数の規模)と比率を乗じた値を、第一情報及び第二情報の双方への接触者数の規模として算出する。
以上までの手順により、第一情報及び第二情報の双方への接触者数の規模として妥当な値が得られる結果、当該値を利用してトータルリーチを適切に算出することが可能となる。
【0113】
<<その他の実施形態>>
以上までに本発明のデータ処理装置及びデータ処理方法について具体例を挙げて説明してきたが、上述の実施形態は、あくまでも一例に過ぎず、他の実施形態も考えられる。例えば、上述の実施形態では、複数の対象者Tの各々について、情報掲載媒体への到達頻度に応じたウェイトを特定し、第一情報に接触した対象者Tのウェイトから比率を導出することとした。そして、上述の実施形態では、第二リーチ(第二情報への接触者数の規模)に上記の比率を乗じた値を、第一情報及び第二情報の双方への接触者数の規模として取り扱うこととした。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、第一情報に接触したことがない対象者Tのウェイトから比率を導出し、導出した比率を第二リーチに乗じた値を、第二情報のみへの接触者数の規模として取り扱ってもよい。
【0114】
また、上述の実施形態では、第二情報が掲載される情報掲載媒体として、所定のWebサイトを挙げ、第三調査を実施して、所定のWebサイトへの到達頻度(サイト閲覧回数)を示すデータを取得することとした。ただし、情報掲載媒体、及び、情報掲載媒体への到達頻度を示すデータについては、他にも考えられ、例えば下記のケース(1)〜(3)が挙げられる。
(1)情報掲載媒体が屋外の広告看板、デジタルサイネージ、若しくは店頭等に設置された広告表示モニタ(例えば、電子POP用の液晶モニタ)である場合に、その到達頻度として、上記の機器が設置された場所又は施設への接近回数を示すデータを取得するケース。
(2)情報掲載媒体がデジタル配信コンテンツ(例えば、電子版の新聞又は雑誌、若しくはIPサイマルラジオ等)である場合、その到達頻度として、上記のコンテンツへのアクセス数、又は上記のコンテンツを利用するためのアプリの起動回数を示すデータを取得するケース。
(3)情報掲載媒体が新聞、雑誌、テレビ又はラジオの番組である場合に、その到達頻度として、購読、視聴又は聴取の回数を示すデータを取得するケース。
【0115】
また、上述の実施形態では、第三データ(シングルソースデータ)が第二情報への接触状況を示すデータとはなっていないこととしたが、これに限定されるものではない。仮に第三データが第二情報への接触状況(接触の有無)を示すデータであっても、第一情報への接触状況及び情報掲載媒体への到達頻度を示すデータであれば、本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0116】
10 データ処理装置
11 第一コンピュータ(コンピュータ)
12 第二コンピュータ(コンピュータ)
21 第一データ取得部
22 第一リーチ算出部
23 第二データ取得部
24 第二リーチ算出部
25 第三データ取得部
26 特定部
27 導出部
28 トータルリーチ算出部(算出部)
N パネル
R1 第一調査実施者
R2 第二調査実施者
T 対象者
V 閲覧者
【要約】
【課題】第一情報及び第二情報の双方への接触者の規模を明確に把握できない場合でも、少なくとも一方の情報への接触者数の規模を適切に特定する。
【解決手段】本発明では、第一情報への接触者数の規模を特定するための第一データを取得し、第二情報への接触者数の規模を特定するための第二データを取得し、複数の対象者の各々について、第一情報への接触状況と、第二情報を含む被掲載情報が掲載される情報掲載媒体への到達頻度とを示す第三データを取得し、各対象者について、情報掲載媒体への到達頻度に応じたウェイトと第一情報への接触の有無とを特定し、各対象者のウェイト及び第一情報への接触の有無から比率を導出し、第一情報への接触者数の規模、第二情報への接触者数の規模、及び比率から、少なくとも一方の情報への接触者数の規模を算出する。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7