特許第6556997号(P6556997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6556997
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】ミシンおよびミシンの制御方法
(51)【国際特許分類】
   D05B 57/36 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   D05B57/36
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-220714(P2014-220714)
(22)【出願日】2014年10月29日
(65)【公開番号】特開2016-86841(P2016-86841A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002244
【氏名又は名称】蛇の目ミシン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】小池 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】真船 潤
【審査官】 姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−212400(JP,A)
【文献】 特開2010−233775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 57/36
D05B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸供給源から針へ上糸を供給する天秤と、
前記針に挿通された前記上糸を捕捉し、前記上糸を下糸と絡める釜と、
前記上糸を前記下糸と絡める際に必要とされる釜上糸必要量が、前記天秤の動作によって供給される天秤上糸供給量を下回るように、前記釜が前記上糸を補足した後に、前記上糸が前記釜から解放される釜抜位相を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、複数のタイミングで前記釜抜位相を制御することを特徴とするミシン。
【請求項2】
前記制御手段は、前記釜抜位相の前のタイミングで前記釜抜位相を早めるように制御することを特徴とする請求項1記載のミシン。
【請求項3】
前記針を支持する針棒と前記天秤とを駆動する回動可能に設けられた上軸と、
前記釜を駆動する回動可能に設けられた下軸と、
前記上軸に設けられた上軸プーリと、
前記下軸に設けられた下軸プーリと、
前記上軸プーリと、前記下軸プーリと、を連結して回転を同期させるベルトと、
前記ベルトに接触して、前記ベルトが引き込まれる緊張側のベルト長を変化させるベルト調整機構と、をさらに有し、
前記制御手段は、前記ベルト調整機構が前記緊張側のベルト長を変化させるタイミングを切り換え可能に制御することを特徴とする請求項1または2記載のミシン。
【請求項4】
前記ベルト調整機構は、
前記ベルトの前記緊張側に接触する少なくとも1つのアイドラを有し、
前記アイドラが揺動することにより、前記緊張側のベルト長を変化させることを特徴とする請求項3記載のミシン。
【請求項5】
糸供給源から針へ上糸を供給する天秤と、
前記針に挿通された前記上糸を捕捉し、前記上糸を下糸と絡める釜と、を有するミシンの制御方法であって
前記上糸を前記下糸と絡める際に必要とされる釜上糸必要量が、前記天秤の動作によって供給される天秤上糸供給量を下回るように、前記釜が前記上糸を補足した後に、前記上糸が前記釜から解放される釜抜位相を複数のタイミングで制御することを特徴とするミシンの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振幅移動する針の位置に関係なく針と釜が交差するタイミングを調整する構成を備えたミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンにおいては、糸供給源から上糸が、天秤を介して針に供給される。天秤は、糸供給源から針に供給される上糸の供給量を変化させる。下糸は釜に収納される。針を支持する針棒と天秤は上軸により駆動され、釜は下軸により駆動される。上軸と下軸とが歯付ベルトで連結されることにより、天秤および針と、釜とが相互に動作する。ミシンは、針が針下死点まで移動してから上昇するときに上糸が形成する糸輪を、釜の剣先で捕捉し、上糸と下糸が絡み合うことで縫い目を形成する。
【0003】
具体的には、釜は、下糸を収納する内釜と、上糸を捕捉する外釜を有し、下軸の回動に伴って回転運動を行うように構成される。縫い目を形成するサイクルの中で、針棒の上下運動により、針穴に挿通されている上糸は布を貫通し、布の下側で形成された上糸の糸輪が外釜により捕捉される。外釜は上糸を捕捉したまま回転し、上糸は外釜の動きに連動して内釜をくぐるようにして通過する。この動作により、上糸と下糸が交差して縫い目が形成される。
【0004】
上糸が内釜をくぐる時には、内釜の外周分だけ上糸の長さが一時的に必要となる。この上糸の必要量を釜上糸必要量と呼び、上糸の糸道である天秤が下降することにより供給される。この天秤の動きにより供給される上糸を天秤上糸供給量と呼ぶ。天秤上糸供給量は、縫製動作中、常に釜上糸必要量よりも多くなるように設定し、上糸を若干たるませることが好ましい。上糸たるみにより糸切れが防止されるため、円滑に縫い目を形成することができるからである。
【0005】
また、ミシンは、針棒を布送り方向に対して交差するように揺動させる振幅機構を設けることにより、ジグザグ形状の縫い目を形成することができる。この振幅機構を制御し、針棒の揺動する量やタイミングを調整することにより、縁かがり縫い、模様縫い、文字縫いなどの複雑な縫製が実現される。
【0006】
複雑な縫製を行う場合、針棒の揺動が大きくなると、針の位置が頻繁に変化する。よって、針と釜の相対的な位置関係が変化してしまうため、その変化に伴い、針と釜が相互動作するタイミングがずれてしまう。このずれが許容範囲を超えてしまうと、縫い目を形成することができなくなってしまう。
【0007】
従って、従来のミシンでは、針と釜の相互動作のずれが縫目を形成できる範囲に収まるよう針棒の揺動量を制限している。または、上軸と下軸を連結する歯付ベルトに対し、アイドラユニットを形成する2個のアイドラを接触させている(例えば特許文献1)。ジグザグ縫いなどの場合の針棒の揺動に連動するようにアイドラユニットを駆動することで、歯付ベルトの緊張側のベルト長を変化させ、針と釜が相互動作するタイミングである針釜交差位相を制御していた。この制御により、針棒の揺動に連動した針と釜のタイミングのずれを補正し、揺動幅が広い場合であっても縫目が形成できるよう試みられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−264500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ジグザグ縫いにおいて針棒が揺動する場合、針棒は、外釜が上糸を捕捉している間に左右に動いている。そのため、針の針穴に挿通されている上糸も左右に動くこととなる。従って、針の振幅量により、釜上糸必要量も増加する。一方、天秤の運動軌跡は常に一定であるため、針棒の揺動により釜上糸必要量が増加した場合、上糸たるみが充分に確保できず上糸に異常な張力が生じることにより、異音や糸切れが生じることがあった。
【0010】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたもので、振幅を広げた場合にも、充分な上糸たるみを確保することができるミシンおよびミシンの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような課題を解決するためのミシンは、糸供給源から針へ上糸を供給する天秤と、前記針に挿通された前記上糸を捕捉し、前記上糸を下糸と絡める釜と、前記上糸を前記下糸と絡める際に必要とされる釜上糸必要量が、前記天秤の動作によって供給される天秤上糸供給量を下回るように、前記釜が前記上糸を補足した後に、前記上糸が前記釜から解放される釜抜位相を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、複数のタイミングで前記釜抜位相を制御することを特徴とする。
【0012】
前記制御手段は、前記釜抜位相の前のタイミングで前記釜抜位相を早めるように制御しても良い。
【0013】
前記針を支持する針棒と前記天秤とを駆動する回動可能に設けられた上軸と、前記釜を駆動する回動可能に設けられた下軸と、前記上軸に設けられた上軸プーリと、前記下軸に設けられた下軸プーリと、前記上軸プーリと、前記下軸プーリと、を連結して回転を同期させるベルトと、前記ベルトに接触して、前記ベルトが引き込まれる緊張側のベルト長を変化させるベルト調整機構と、をさらに有し、前記制御手段は、前記ベルト調整機構が前記緊張側のベルト長を変化させるタイミングを切り換え可能に制御しても良い。
【0014】
前記ベルト調整機構は、前記ベルトの前記緊張側に接触する少なくとも1つのアイドラを有し、前記アイドラが揺動することにより、前記緊張側のベルト長を変化させても良い。
【0015】
なお、上記の各形態は、ミシンの制御方法としても捉えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、制御手段により釜抜位相を制御することで、充分な上糸たるみを確保することができ、異音や糸切れ等が生じることを防止できる、ミシンおよびミシンの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態のミシンの概略構成の一例を示す説明図である。
図2】第1の実施形態の制御手段Cの構成の一例を示す機能ブロック図である。
図3】針と釜の剣先による縫い目の形成を示す説明図である。
図4】針の位置の変化と、それによる針と釜の剣先の相対動作の変化を示す説明図である。
図5】アイドラユニットの位置の変化と、それによる針と釜の剣先の相対動作の変化を示す説明図である。
図6】針釜交差位相制御を行わない直線縫いの場合の、天秤と釜の動きによって生じる上糸たるみの変化を示す動作線図である。
図7】針釜交差位相を位相差β分制御した右基線位置における直線縫いの場合の、天秤と釜の動きによって生じる上糸たるみの変化を示す動作線図である。
図8】針釜交差位相制御を行わないジグザグ縫いの場合の天秤と釜の動きによって生じる上糸たるみの変化を示す動作線図である。
図9】ジグザグ縫いにおいて針釜交差位相を位相差β分制御した場合における天秤と釜の動きによって生じる上糸たるみの変化を示す動作線図である。
図10図9の条件に対し、本発明を適用させた場合の天秤と釜の動きによって生じる上糸たるみの変化を示す動作線図である。
【0018】
[1.第1の実施形態]
[1.1 構成]
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明ではミシンにおける針と釜が交差するタイミングを調整する構成およびその制御手段について重点的に説明する。ミシンの詳細な構成についての説明は省略するが、本発明の実施形態は、ジグザグ縫いミシンなどの現在又は将来において利用可能なあらゆるミシンに適用することができる。図1には、本実施形態のミシンの概略構成の一例を示す。
【0019】
(1)概略構成
ミシンは、針棒1と釜を有する。針棒1は、上糸を針穴1aに通す針1bを支持する部材である。針1bには、糸供給源から上糸が、天秤8を介して供給される。天秤8は、針1bに供給される上糸の供給量を変化させる。釜は、下糸が巻かれたボビンを収納する不図示の内釜と、上糸を捕捉する外釜2を有する。外釜2は、剣先2aで上糸を捕捉する。
【0020】
本実施形態のミシンは、釜上糸必要量が、天秤上糸供給量を下回るように、上糸が釜から解放される釜抜位相を制御する制御手段Cを有する。制御手段Cは、複数のタイミングで釜抜位相を制御する。釜上糸必要量とは、針1bに挿通されている上糸と、内釜に収納されている下糸とが絡みあう際に必要とする上糸の量である。天秤上糸供給量とは、所定のタイミングで上下動する天秤8により、針1b側に供給される上糸の量である。
【0021】
(2)針釜動作機構
針棒1および天秤8には、上軸3がクランク機構を介して連結されている。釜には下軸4が、歯車機構を介して連結されている。上軸3および下軸4は、ミシン内部に固定された不図示の軸受けにより、それぞれ回動自在に支持されている。上軸3には、不図示のミシンモーターからの駆動力が伝達される。
【0022】
上軸3のクランク機構は、上軸3の回転を往復運動に変換し、針棒1および天秤8を上下動するように構成されている。上軸3には、針棒1を揺動させる振幅機構5が設けられている。振幅機構5が、振幅モータ5aの駆動力で針棒1を布送り方向に対して交差するように揺動させることにより、ジグザグ状の縫い目が形成される。
【0023】
上軸3には、所定の歯数を有する上軸プーリ3aが固定されている。また、下軸4には、上軸プーリ3aと同数の歯数を有する下軸プーリ4aが固定されている。上軸プーリ3aと下軸プーリ4aとは、歯付ベルト6により連結されている。歯付ベルト6の長さは、上軸プーリ3aと下軸プーリ4aに架けられたときに所定のたるみが発生する長さとする。
【0024】
上軸3が回転すると上軸プーリ3aが回動し、この回動が歯付ベルト6を介して下軸プーリ4aに伝わり、下軸4が上軸3と等速回転する。下軸4の歯車機構は、下軸4の回動に伴って釜が回転するように構成されている。
【0025】
(2)ベルト調整機構
ベルト調整機構は、歯付ベルト6に接触して歯付ベルト6の緊張側Aのベルト長を変化させる機構である。ベルト調整機構は、下軸4が回動するタイミングを変化させることにより、針1bと釜が出会うタイミングである針釜交差位相を補正する。本実施形態では、アイドラユニット7を一例として説明する。アイドラユニット7は、歯付ベルト6の緊張側Aと緩み側Bのそれぞれに接触するアイドラ7a、7bを有する。なお、アイドラユニット7は、少なくとも1つのアイドラを緊張側Aに有していればよい。
【0026】
ここで、歯付ベルト6の緊張側Aとは上軸プーリ3aの回転により上軸プーリ3aと新たに噛み合う側、すなわちベルトが引き込まれる側を意味する。また、緩み側Bとは上軸プーリ3aの回転により上軸プーリ3aとの噛み合いが外れる側、すなわちベルトが送り出される側を意味する。以下の説明では、緊張側Aを右、緩み側Bを左として表す場合がある。
【0027】
アイドラ7a、7bは、緊張側Aと緩み側Bにおいて、歯付ベルト6の外周側から歯付ベルト6を挟み込むように配置されている。アイドラ7a、7bは、腕7cを介してモータ7dに連結されている。すなわち、アイドラ7a、7bは、制御手段Cからの動作指令に基づいて、モータ7dの駆動力により揺動するように構成されている。モータ7dは、後述するモータ駆動部16に接続されている。アイドラユニット7が動作することにより、歯付ベルト6のたるみが緊張側Aおよび緩み側Bに移動される。よって、歯付ベルト6の緊張側Aのベルト長が針棒1の揺動状態に応じて変化されるため、上軸3と下軸4が回動するタイミングが制御され、針1bと外釜2の剣先2aが出会うタイミングが調整される。
【0028】
(3)制御手段
制御手段Cは、釜上糸必要量が、天秤上糸供給量を下回るように、上糸が釜から解放される釜抜位相を制御する制御装置である。制御手段Cは、釜抜位相を変化させるタイミングを複数有する。図2は、制御手段Cの構成を示す機能ブロック図である。制御装置Cは、具体的には、入力部11や出力部12が接続された、CPUやメモリを含み所定のプログラムで動作するコンピュータや専用の電子回路で構成されている。この場合のプログラムは、コンピュータのハードウェアを物理的に活用することで、以下に示す処理を実現するものである。
【0029】
以下に示す各処理を実行する方法、プログラム及びプログラムを記録した記録媒体も、実施形態の一態様である。また、ハードウェアで処理する範囲、プログラムを含むソフトウェアで処理する範囲をどのように設定するかは、特定の態様には限定されない。たとえば、下記の各部のいずれかを、それぞれの処理を実現する回路として構成することも可能である。
【0030】
本実施形態では、制御手段Cは、ベルト調整機構であるアイドラユニット7が、緊張側Aのベルト長を変化させるタイミングを制御する。制御装置Cは、縫い目データ記憶部13、針釜制御タイミング記憶部14、タイミング決定部15を有する。また、制御装置Cには、タイミング決定部15からの制御信号に従ってモータ7dを駆動する、モータ駆動部16が接続されている。
【0031】
入力部11には、オペレーターからの情報入力を受け入れる入力装置と、入力された情報を制御装置Cに通知するインターフェースが含まれる。この入力部11は、例えばオペレーターがミシンへの操作要求や、設定値の変更を入力する手段である。入力装置としては、例えば、ミシンに設けられている操作ボタンやタッチパネル(出力部12の表示装置に設置されているものを含む)などを用いることができる。
【0032】
出力部12には、制御装置Cからの情報を出力するインターフェースと、出力された情報に基づいてオペレーターに操作内容の確認や選択をさせる画面を表示する表示装置が含まれる。この出力部12は、例えばミシンの操作設定を示したり、オペレーターの操作に対する警報を表示する手段である。表示装置としては、例えば、液晶表示パネルなどの表示画面を持つディスプレイを用いることができる。
【0033】
縫い目データ記憶部13には、ジグザグ縫いなどの種々の縫いパターンに対応した縫い目データが記憶されている。入力部11の操作ボタンを操作することにより、任意の縫い目データを選択することができる。また、入力部11の操作ボタンを操作し、出力部12に縫い目データを表示して選択する構成としてもよい。オペレーターが選択した縫い目データは、タイミング決定部15に入力される。
【0034】
針釜制御タイミング記憶部14には、針棒1の揺動に対して、アイドラユニット7を揺動させるタイミングが複数記憶されている。したがって、本実施形態では、アイドラユニット7が緊張側Aのベルト長を変化させるタイミング、すなわち針釜制御タイミングが切り換え可能に設けられている。
【0035】
すなわち、アイドラユニット7を緊張側Aのベルト長を短くするように移動させ釜の位相を遅らせるタイミングとして、釜抜位相の後のタイミングを有し、アイドラユニット7を緊張側Aのベルト長を長くするように移動させ釜の位相を早めるタイミングとして、釜抜位相の前のタイミングを有していても良い。なお、針釜制御タイミング記憶部14は、アイドラユニット7を、例えば、振幅機構5による針棒1の揺動に同期させるように揺動させる一定のタイミングも記憶している。
【0036】
タイミング決定部15は、縫い目データ記憶部13から入力された縫い目データに基づいて、アイドラユニット7を揺動させるタイミングを決定する処理部である。タイミング決定部15は、決定したタイミングを針釜制御タイミング記憶部14より読み出し、モータ駆動部16に出力する。タイミング決定部15は、例えば入力された縫い目データにおいてジグザグ縫いの幅が最大である場合に、複数の針釜制御タイミングでアイドラユニット7を制御するように制御信号をモータ駆動部16に出力する。ジグザグ縫いの幅が最大である場合に、釜を遅らせるタイミングで釜抜位相をむかえると釜上糸必要量が天秤上糸供給量を上回り、異音や糸切れが発生するからである。
【0037】
なお、タイミング決定部15は、入力された縫い目データにおいて、釜上糸必要量が天秤上糸供給量を上回る可能性がない場合には、アイドラユニット7を例えば針棒1に同期して揺動させる等の一定のタイミングを決定する。タイミング決定部15は、決定したタイミングをモータ駆動部16に出力する。モータ駆動部16は、タイミング決定部15からの制御信号に従って、モータ7dを制御する。
【0038】
[1.2 動作]
以上のようなミシンの動作例を説明する。
(1)縫い目の形成
針1bの針穴1aに上糸を通し、下糸が巻かれたボビンが内釜に収納された状態で、上軸3が駆動されることにより、縫い目が形成される。具体的には、ミシンモーターにより上軸3が駆動されると、上軸3の回転をクランク機構が往復運動に変換し、針棒1および天秤8が上下動される。また、上軸3の回転は、上軸プーリ3a、歯付ベルト6、下軸プーリ4aを介して下軸4に伝えられる。上軸3の回転により下軸4が回転されると、釜が回転される。
【0039】
このような動作において、針1bが布を貫通し針下死点まで移動する。針1bが、ある程度上昇されると、上糸は布との摩擦により布の上面に抜けることができないため、布の下面において糸輪が形成される。この糸輪内を外釜2の剣先2aが通過することで、糸輪を下糸が巻かれたボビンがくぐり、上糸と下糸が絡み合うことで縫い目が形成される。
【0040】
(2)糸輪の形成
糸輪の大きさは、針1bが下死点から上昇する量に依存する。図3では、針1bが下死点から上昇する量を、針変位量δとして示す。δ1は、針1bの過小変位量を示している。δ1のように針1bの変位量が小さすぎると糸輪を形成することができない、または形成できたとしても糸輪が小さく剣先2aが糸輪に入りこむことができない状態となる。一方、δ4は、針1bの過大変位量を示している。δ4のように針1bの変位量が大きすぎると糸輪が大きくなりすぎ、糸の自重やひねりにより潰れてしまい、剣先2aが糸輪に入り込むことができない。このように、針変位量が小さすぎたり大きすぎたりすると、縫い目を形成することができない。
【0041】
従って、正常な縫い目を形成するためには、針変位量を糸輪が形成でき、外釜2の剣先2aが糸輪の内側に入り込むことができる量とすることが必要となる。図3では、必要最小変位量をδ2とし、許容最大変位量をδ3として示す。正常な縫い目を形成するには、針変位量をδ2以上δ3以下とする必要がある。
【0042】
(3)従来のミシンにおけるジグザグ縫い時における針の軌跡
振幅機構5が、振幅モータ5aの駆動力で針棒1を布送り方向に対して交差するように揺動させることにより、ジグザグの縫い目が形成される。従来のミシンにおいて、ジグザグ縫いを行った場合の、針1bと外釜2の剣先2aの相対動作の変化を図4に示す。図4の横軸は上軸3および下軸4の位相を示し、縦軸は針1bの先端および外釜2の剣先2aの軌跡を擬似的に表したものである。なお、剣先2aの軌跡は、実際の軌跡とは多少異なるが、説明の便宜上連続した線で図示されている。図4の例では、釜は反時計回りに回転するものとする。
【0043】
図4において、実線で書かれた針1bと軌跡は、振幅機構5が動作しておらず、針1bが中央である中基線にある状態を示している。また、破線で書かれた針1bと軌跡は、振幅機構5により、針1bが左右に揺動している状態を示している。図中の針釜交差位相では、針1bと剣先2aは最も近接した状態にある。この針釜交差位相において、上糸の糸輪内に剣先2aが入り込む。
【0044】
上述の通り、縫い目を形成するためには、針変位量を必要最小変位量δ2以上、許容最大変位量δ3以下に設定する必要がある。しかし、ジグザグ縫い時には、釜の位置は一定であるが、針1bが中基線にある状態から左右に揺動するため、針1bと釜の相対的な位置関係が変化する。この位置関係の変化は、針変位量にも影響を与える。
【0045】
例えば、従来のミシンにおいて針1bを右に移動させた場合の針変位量をδR1とすると、中基線にある状態の針変位量δよりも小さくなる。また、針1bを左に移動させた場合の針変位量をδL1とすると、中基線にある状態の針変位量δよりも大きくなる。すなわち、中基線にある状態の針変位量δを適切な値に設定していたとしても、針1bが左右に揺動することにより、δR1が必要最小変位量δ2未満となる、またはδL1が許容最大変位量δ3を超え、正常な糸輪を形成することができなくなる場合がある。
【0046】
このような針1bの位置変化による針変位量の変化は、針1bを左右に揺動させる振幅量Zに比例して増大する。従って、従来のミシンにおいては、針変位量がδ2<δR1<δ<δL1<δ3の関係を満たさなければ縫い目を形成できないことから、振幅量Zの最大値が自ずと決定されてしまい、たとえそれ以上の大きな振幅を必要とする模様を縫いたいというニーズがあったとしても技術的に困難であった。
【0047】
(4)ベルト調整機構を用いた場合の針と釜の相互動作の変化
ベルト調整機構は、歯付ベルト6の緊張側Aのベルト長を変化させることにより針変位量を補正する。ベルト調整機構であるアイドラユニット7を移動させた場合の針1bと外釜2の剣先2aの相対動作の変化を図5に示す。図5の横軸は上軸3および下軸4の位相を示し、縦軸は針1bの先端および外釜2の剣先2aの軌跡を擬似的に表したものである。なお、剣先2aの軌跡は、実際の軌跡とは多少異なるが、説明の便宜上連続した線で図示されている。図5の例では、釜は反時計回りに回転するものとする。
【0048】
図5は、アイドラユニット7が中央位置、左位置、右位置にあるときの釜剣先軌跡の変化をそれぞれ示している。図中の針釜交差位相では、針1bと剣先2aは最も近接した状態にある。この針釜交差位相において、上糸の糸輪内に剣先2aが入り込む。アイドラユニット7を移動させると、釜剣先2aの運動軌跡が変化するため、針釜交差位相も変化し、針釜交差位相における針の上昇量、針変位量も変化する。ここで、アイドラユニット7が中央位置にあった場合の針釜交差位相をθ0とし、その場合の針変位量をδとする。
【0049】
例えば、アイドラユニットを左に移動させた場合、すなわち、アイドラ7aが歯付ベルト6の緊張側Aを押す方向に移動させた場合、歯付ベルト6の緊張側Aの距離が長くなる。緊張側Aの距離が長くなると、アイドラユニット7が中央位置にある場合と比較して、上軸3と下軸4に位相差αが生じ、針釜交差位相はθαの位置に変化し、針変位量としてはδに対しΔα分減少する。
【0050】
また、アイドラユニット7を右に移動させた場合、すなわち、アイドラ7bが歯付ベルト6の緩み側Bを押す方向に移動させた場合、歯付ベルト6の緊張側Aの距離が短くなる。緊張側Aの距離が短くなると、アイドラユニット7が中央位置にある場合と比較して、上軸3と下軸4に位相差βが生じ、針釜交差位相はθβの位置に変化し、針変位量としてはδに対しΔβ分増加する。
【0051】
このようなアイドラユニット7の移動による針変位量δの増減は、振幅機構5による針棒1の移動に関係なく、アイドラユニット7の位置により決定される。そのため、アイドラユニット7を揺動することにより、針変位量δに対して、Δα分の減少またはΔβ分の増加を任意に与えることが可能となる。
【0052】
前記の通り、従来のミシンでは振幅量Zの最大値は、振幅量Zと比例して変化する針変位量においてδ2<δR1<δ<δL1<δ3の関係が成り立つよう設定する必要があった。一方、本実施形態のミシンの効果を用いると、アイドラユニット7の移動による針変位量の増減は、振幅機構5による針棒1の移動に関係なく、アイドラユニット7の位置により決定される。したがって、針棒1の移動による針変位量の増減に対して、アイドラユニット7の移動による針変位量の増減で打ち消すように設定するとδ2<(δR2+Δβ)<δ<(δL2−Δα)<δ3となる。ここで、δR2は本実施形態のミシンにおける針棒1の最大右方向振幅時の針変位量であり、δL2は同じく本実施形態のミシンにおける針棒1の最大左方向振幅時の針変位量である。
【0053】
従来のミシンおよび本実施形態のミシンにおける最大左右方向振幅時の針変位量を比較するとδR1=δR2+Δβ、δL1=δL2−Δαとなり、δR2はδR1に対してΔβ分小さくすることが可能であり、また、δL2はδL1に対しΔα分大きくすることが可能である。ここで、右針落ちにおける針変位量と左針落ちにおける針変位量の差分と振幅量Zは比例することから、すなわち、本実施形態のミシンにおいては従来のミシンよりも振幅量Z最大値を大きく設定することが可能となる。
【0054】
(4)制御手段Cによるアイドラユニット7の制御
まず、制御手段Cによる制御を説明する前に、複数の縫製条件における釜上糸必要量と天秤上糸供給量の関係について、具体的に説明する。
【0055】
(a)中基線での直線縫いの場合
図6は、直線縫いの場合の釜上糸必要量と天秤上糸供給量の関係を示す動作線図である。縦軸は糸の量を示しており、原点に近づくほど糸の量は多くなる。また、横軸は位相を示している。釜上糸必要量より多く供給される天秤上糸供給量を、上糸たるみとして、図中斜線で示す。グラフ中、針釜交差位相において上糸が剣先2aに補足され、釜抜位相において上糸が内釜をくぐり抜ける。
【0056】
針1bは図6には図示されていないが、位相0°で上死点、180°で下死点を通るような運動軌跡を持つ上下動を行う。針1bは、下死点を過ぎた針釜交差位相θ1において、布を貫通して布の下側で上糸の糸輪を形成させ、その糸輪は剣先2aに捕捉される。すると、捕捉された上糸は釜の動きに連動し、下糸が収納されている内釜をくぐる。このとき内釜をくぐる分だけ上糸の長さが一時的に必要となるため、針釜交差位相θ1以降、釜上糸必要量が徐々に増加し、上糸が内釜から解放される釜抜位相θ2の直前で最大となる。
【0057】
天秤8は、増加する釜上糸必要量に応じる様に下降するため、天秤上糸供給量は徐々に増加する。従って、釜抜位相θ2における釜上糸必要量は天秤8の動きにより供給され、充分な上糸たるみLが維持されている。天秤上糸供給量は、釜抜位相θ2の直前で最大となるが、上糸が釜をくぐり抜けた釜抜位相θ2後は、釜上糸必要量は大幅に減少するため上糸たるみが急増する。
【0058】
一方、天秤8が上糸を回収する動きに転じることで急増する上糸たるみを速やかに減少させる。以上の一連の動作によって、上糸たるみがある範囲の量確保されながら縫い動作が行われる。なお、上糸たるみは、不足すると糸切れの原因になるが、過度に増加すると糸のあばれや糸の絡まりによる糸切れや糸締り不良の原因となるため不必要に増減させることはできない。
【0059】
(b)針釜交差位相制御を伴う直線縫いの場合
中基線から、例えば右基線に針1bを移動させ、針1bの移動による針変位量の変化をアイドラユニット7の移動による針釜交差位相制御で補正する場合、上述の通り、アイドラユニット7が緩み側Bを押す方向に移動され、歯付ベルト6の緊張側Aの距離が短くなる。緊張側Aの距離が短くなったことにより、針釜交差位相が位相差β分制御される。従って、図7に示す通り、釜抜位相θ1βも、図6に示す釜抜位相θ1と比較し、位相差β分だけ遅れが生じ、釜抜位相時の上糸たるみL2はLと比較し小さくなる。しかしこの場合であっても不足することはない。
【0060】
(c)針釜交差位相制御を行わないジグザグ縫いの場合
上述の通り、ジグザグ縫いを行う場合、外釜2が上糸を捕捉している間の振幅位相において、針棒1が揺動して左右に動く。すなわち、針1bの針穴に挿通されている上糸が左右に動く。従って、図8に示す通り、針1bの振幅量Z分だけ、釜上糸必要量が増大する。ただし、この場合であっても、釜抜位相θ2における釜上糸必要量は天秤8の動きにより供給され、充分な上糸たるみL3が維持されている。
【0061】
(d)針釜交差位相制御を伴うジグザグ縫いの場合
上記の通り、直線縫いや一定の振幅量でジグザグ縫いを行う場合などいかなる条件においても、上糸たるみは減少することはあっても、不足しないよう設定されている。一方、針釜交差位相制御を行うことで振幅量Zの最大値をさらに大きく設定することが可能となった特許文献1に示すような形態のミシンでは、図7に示したような針釜交差位相θ1βの制御に伴う釜抜位相θ2βの遅れと、図8に示したようなジグザグ縫いに伴う釜抜位相θ2における上糸たるみの減少が同時に発生する場合がある
【0062】
図9に示す通り、針釜交差位相制御を伴うジグザグ縫いにおいて釜のタイミングが遅れている状態で、針1bの振幅による上糸たるみの減少が生じたまま釜抜位相θ2βを通過しようとすると、釜上糸必要量が、上糸たるみL4の分だけ天秤上糸供給量を上回る。すなわち、上糸たるみL4<0の状態が生じ、縫製中に上糸たるみが不足し、糸切れや異音を発生させることになる。
【0063】
しかし、本実施形態のミシンでは、例えば針釜制御を必要とする振幅量Zが一定値以上大きいジグザグ縫いにおける右針落ちなど、上糸たるみ不足が発生する可能性がある縫い目データが入力された場合、制御装置Cは、釜上糸必要量が、天秤上糸供給量を下回るように、釜抜位相を変化させるタイミングを制御する。すなわち、アイドラユニット7が緊張側Aのベルト長を変化させるタイミングを切り換え可能に制御する。図10に、釜抜位相に対し前後する針釜制御タイミングθA、θBを切り替えることで釜抜位相を制御し、上糸たるみ不足の発生を防止した例を示す。
【0064】
図10は、ジグザグ縫いを想定した天秤上糸供給量と釜上糸必要量の関係図である。1サイクル目(0〜360°)は左針落ちを示し、2サイクル目(360°〜720°)は次の右針落ちを示している。この1サイクル目と2サイクル目を交互に繰り返すことで、ジグザグ縫いを形成させる。ここで、制御手段Cは、針釜制御タイミングθAと針釜制御タイミングθBという、釜抜位相に対して前後したそれぞれ異なる位相で針釜制御を行うことで釜抜位相を制御する。
【0065】
本実施形態では、2サイクル目は、釜抜位相の前のタイミングθAで、アイドラユニット7が緩み側Aを押す方向に移動され、釜の位相を早くするように針釜制御が行われる。
そのため、2サイクル目の釜抜位相は、β分遅れるよう制御を行った場合と比較し、位相差αとβを足し合わせた分だけ早くなる。従って、釜上糸必要量が天秤上糸供給量を下回り、充分な上糸たるみL6が確保される。そのため、振幅を増大させ針釜制御を行った際に生じる図9の上糸たるみL4の場合のように、上糸たるみ不足による上糸の異常張力発生に起因する異音や糸切れが防止される。
【0066】
[1.3 効果]
以上のような構成を有する本実施形態のミシンの効果は以下の通りである。
(1)制御手段Cが、釜上糸必要量が、天秤上糸供給量を下回るように、釜抜位相を制御する。制御手段Cは、複数のタイミングで前記釜抜位相を制御する。従って、釜上糸必要量が天秤上糸供給量を上回る動作が起きる場合に、針釜制御タイミングを変更することができるため、充分な上糸たるみを確保することができる。従って、糸切れや異音が生じることを防止することができる。
【0067】
(2)制御手段Cは、釜抜位相の前のタイミングで釜の位相を早めるように制御する。ジグザグ縫いの幅が最大である場合に、釜の位相を遅らせたまま釜抜位相をむかえると釜上糸必要量が天秤上糸供給量を上回るが、制御手段Cの制御により、釜抜位相の前のタイミングで位相が早められるため、充分な上糸たるみを確保することができる。従って、糸切れや異音が生じることを防止することができる。
【0068】
(3)ベルト調整機構であるアイドラユニット7を設け、歯付ベルト6の緊張側Aのベルト長を変化させることで、針1bと釜のタイミングを任意に制御する。従って、安定的に針棒揺動によって生じる針と釜のタイミングのずれを制御するとともに、充分な上糸たるみを確保することができる。
【0069】
[2.他の実施形態]
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
(1)上記の実施形態では、ベルト調整機構は歯付ベルト6の緊張側A、緩み側Bのそれぞれに接触する2個のアイドラ7a、7bからなるアイドラユニット7により構成した。ただし、アイドラを2個用いる構成は、安全性を考慮したものであり、少なくとも1つのアイドラを、歯付ベルト6の緊張側Aに設けることができる。このように構成すれば、部品数を減らし、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
(2)上記の本実施形態では、例えば針釜制御を必要とする振幅量が一定値以上大きいジグザグ縫いにおける右針落ちなど、上糸たるみ不足が発生する可能性がある縫い目データが入力された場合、制御手段Cは、釜上糸必要量が、天秤上糸供給量を下回るように、釜抜位相を変化させるタイミングを制御する、としていた。しかし、例えば釜抜位相を早めるように制御する場合は釜抜位相前で行い、釜抜位相を遅らせるように制御する場合は釜抜位相後で行う、といったより単純な制御方法であっても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
(3)以上のように本発明の実施形態を説明したが、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。そして、この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
A 緊張側
B 緩み側
1 針棒
1a 針穴
1b 針
2 外釜
2a 剣先
3 上軸
3a 上軸プーリ
4 下軸
4a 下軸プーリ
5 振幅機構
5a 振幅モータ
6 歯付ベルト
7 アイドラユニット
7a、7b アイドラ
7c 腕
7d モータ
8 天秤
C 制御手段
11 入力部
12 出力部
13 縫い目データ記憶部
14 針釜制御タイミング記憶部
15 タイミング決定部
16 モータ駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10