特許第6557003号(P6557003)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557003
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】不快味のマスキング方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/30 20160101AFI20190729BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20190729BHJP
   A23L 5/20 20160101ALI20190729BHJP
【FI】
   A23L29/30
   A23L33/10
   A23L5/20
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-246848(P2014-246848)
(22)【出願日】2014年12月5日
(65)【公開番号】特開2015-128420(P2015-128420A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2017年11月20日
(31)【優先権主張番号】特願2013-251704(P2013-251704)
(32)【優先日】2013年12月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】藤原 渉
(72)【発明者】
【氏名】中村 正明
【審査官】 戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−115246(JP,A)
【文献】 特開2012−115247(JP,A)
【文献】 特開2012−217341(JP,A)
【文献】 特開2013−013393(JP,A)
【文献】 特開2013−066439(JP,A)
【文献】 特開2012−130336(JP,A)
【文献】 FFI Journal,2011年,vol.216, no.3,pp.274-278
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 29/30
A23L 33/10
A23L 5/20
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/
WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能性素材(ただし、高甘味度甘味料を除く。)を含有する可食性組成物に、以下の性質(a)〜(c)を有するデキストリンを含有させることを特徴とする、機能性素材に起因する可食性組成物の不快味をマスキングする方法;
(a)馬鈴薯を原料とする、
(b)DEが2以上6以下である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が150mPa・s以下である。
【請求項2】
前記機能性素材が、コラーゲン、ペプチド、アミノ酸、ウコン、ビタミン、グルコサミン、コエンザイムQ10、ドコサヘキサエン酸、フェルラ酸、ミネラル、ポリフェノール、カフェイン及びケールからなる群から選択される一種以上である、請求項1に記載の可食性組成物の不快味をマスキングする方法。
【請求項3】
更に、デキストリンが以下の性質(d)を有するものである、請求項1又は2に記載の機能性素材に起因する可食性組成物の不快味をマスキングする方法;
(d)80℃の蒸留水で調製したデキストリン10質量%水溶液を、20℃で1日静置後、粒度分布を測定した時の平均粒子径が15μm以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲン、ペプチド、アミノ酸、ウコン、ビタミン、グルコサミン、コエンザイムQ10、ドコサヘキサエン酸、フェルラ酸、ミネラル、ポリフェノール、カフェイン又はケール等といった、機能性素材に起因する可食性組成物の不快味をマスキングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康志向に伴い、抗酸化作用、血糖値抑制作用、代謝活性作用といった各種機能性を有する飲食品、医薬品等の可食性組成物が求められてきている。しかし、可食性組成物に付加価値を与える機能性素材は、独自の苦味や雑味等を有しており、味質の改善が求められる。
【0003】
こうした観点より、各種機能性素材に起因する不快味をマスキング(低減)する技術として、様々な素材が用いられてきた。例えば、コラーゲンに起因する不快味をマスキングする技術として、スクラロース、ステビア抽出物、アセスルファムカリウム及びピーチ香料を併用する技術(特許文献1)が知られている。
【0004】
また、デキストリンを用いた不快味のマスキング技術としては、難消化性デキストリンを主原料とする食物繊維を用いる技術(特許文献2)、サイクロデキストリンを用いる技術(特許文献3)、高度分岐環状デキストリンを用いる技術(特許文献4)等が知られている。
【0005】
【特許文献1】特許第4630787号公報
【特許文献2】特開2010−104338号公報
【特許文献3】特開2007−97465号公報
【特許文献4】特開2008−148587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜4に開示された従来技術はいずれも、コラーゲン、ペプチド、アミノ酸、ウコン、ビタミン、グルコサミン、コエンザイムQ10、ドコサヘキサエン酸、フェルラ酸、ミネラル、ポリフェノール、カフェイン又はケール等といった各種機能性素材に起因する可食性組成物の不快味をマスキングする技術としては未だ十分ではない。更に、甘味料や香料を用いる技術は、甘味料又は香料単独でマスキング効果を得ようとすると、必然と添加量が増加し、これらが有する呈味が可食性組成物に影響を与え、可食性組成物の処方が限定される。同様にして、難消化性デキストリン、サイクロデキストリン及び高度分岐環状デキストリンは不快味のマスキング効果が不十分である上に、可食性組成物の呈味や食感に影響を与えやすい。
【0007】
本発明では上記問題点に鑑み、機能性素材を含有する可食性組成物について、これら機能性素材に起因する不快味をマスキングする方法を提供することを目的とする。特に、本発明では、可食性組成物に余分な呈味を付与することなく、上記素材に起因する不快味をマスキングする方法を提供することを目的とし、上記機能性素材を有しつつも、気軽に摂取可能な可食性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、以下の性質(a)〜(c)を有するデキストリンを用いることで、機能性素材に起因する可食性組成物の不快味をマスキングできることを見出した;
(a)馬鈴薯を原料とする、
(b)DEが2以上6以下である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が150mPa・s以下である。
【0009】
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の実施態様を包含するものである。
項1.機能性素材を含有する可食性組成物に、以下の性質(a)〜(c)を有するデキストリンを含有させることを特徴とする、機能性素材に起因する可食性組成物の不快味をマスキングする方法;
(a)馬鈴薯を原料とする、
(b)DEが2以上6以下である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が150mPa・s以下である。
項2.前記機能性素材が、コラーゲン、ペプチド、アミノ酸、ウコン、ビタミン、グルコサミン、コエンザイムQ10、ドコサヘキサエン酸、フェルラ酸、ミネラル、ポリフェノール、カフェイン及びケールからなる群から選択される一種以上である、項1に記載の可食性組成物の不快味をマスキングする方法。
項3.更に、デキストリンが以下の性質(d)を有するものである、項1又は2に記載の機能性素材に起因する可食性組成物の不快味をマスキングする方法;
(d)80℃の蒸留水で調製したデキストリン10質量%水溶液を、20℃で1日静置後、粒度分布を測定した時の平均粒子径が15μm以下である。
【0010】
項4.機能性素材、及び以下の性質(a)〜(c)を有するデキストリンを含有することを特徴とする、前記機能性素材による不快味が低減された可食性組成物;
(a)馬鈴薯を原料とする、
(b)DEが2以上6以下である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が150mPa・s以下である。
項5.前記機能性素材が、コラーゲン、ペプチド、アミノ酸、ウコン、ビタミン、グルコサミン、コエンザイムQ10、ドコサヘキサエン酸、フェルラ酸、ミネラル、ポリフェノール、カフェイン及びケールからなる群から選択される一種以上である、項4に記載の不快味が低減された可食性組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、可食性組成物に余分な呈味を付与することなく、機能性素材に起因する可食性組成物の不快味をマスキングできる。これにより、上記機能性素材を有しつつも、気軽に摂取可能な可食性組成物を提供できる。よって、本発明は、処方に制限を受けることなく実施可能であり、汎用性の高い技術である。
【本発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、機能性素材を含有する可食性組成物に対し、以下の性質(a)〜(c)を有するデキストリンを含有させることを特徴とする;
(a)馬鈴薯を原料とする、
(b)DEが2以上6以下である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が150mPa・s以下である。
【0013】
I.デキストリン
本発明で用いるデキストリンは、以下の性質(a)〜(c)を有することを特徴とする:
(a)馬鈴薯を原料とする。
本発明が対象とするデキストリンは、馬鈴薯由来のデキストリンである。例えば、馬鈴薯澱粉を分解して得られるデキストリンである。
デキストリンの原料としては、馬鈴薯の他、とうもろこし、甘藷、小麦、米、サゴ、及びタピオカなどの各種澱粉が存在するが、馬鈴薯以外を原料とするデキストリンを用いた場合は、本願発明の効果を得ることができない。例えば、一般的に市場に流通しているデキストリンの原料は、とうもろこし(コーン、ワキシーコーン)が主流であるが、とうもろこしを原料とするデキストリンを用いた場合は、機能性素材に起因する可食性組成物の不快味をマスキングできない。本原理は明らかではないが、原料により澱粉構造が異なるため、結果として得られるデキストリンの構造に影響が及ぶことに起因すると推測される。
【0014】
(b)DEが2以上6以下である。
DE(Dextrose Equivalent:デキストロース当量)とは、澱粉の分解程度を還元糖の割合で示すものであり、すべての還元糖をブドウ糖(Dextrose)の量に換算し、その割合を全体の乾燥固形分に対する質量%で表したものである。DEの値が大きい程、還元糖の含有量が多く、DEの値が小さいほど、還元糖の含有量が少ないことを意味する。本発明ではDEが2以上6以下、好ましくは3以上5以下、更に好ましくは3.5以上5未満であるデキストリンが使用される。デキストリンのDEが6を大きく超える場合には、可食性組成物における不快味を十分にマスキングすることができない。
【0015】
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が150mPa・s以下である。
粘度(c)は、25℃の蒸留水で調製したデキストリンの30質量%水溶液を25℃で5分間静置した後、25℃条件下で、BL型回転粘度計(ローターNo.1)を用いて、回転数12rpmで1分間測定することによって求めることができる。以下、本明細書で「粘度」とは、かかる方法で測定される値をいう。
【0016】
当該粘度の下限は、制限されないが、通常、10mPa・sを挙げることができる。本発明において、好ましい粘度(c)は20〜150mPa・sであり、より好ましくは20〜100mPa・s、更に好ましくは30〜80mPa・sである。当該粘度が150mPa・sを超えると、可食性組成物における不快味をマスキングすることができず、デキストリンの種類によっては、かえって可食性組成物の呈味が悪化したり、食感がざらついたりする場合がある。なお、DEは、澱粉の分解の程度を示す指標であるため、通常、DEの低いデキストリン(分解度の小さいデキストリン)は、粘度が高くなる傾向にある。かかるところ、本発明では、DEが低いにも関わらず、低粘度を示すデキストリンを用いることを特徴とする。
【0017】
本発明で用いるデキストリンは、好ましくは、更に以下の性質(d)を有することが好ましい;
(d)80℃の蒸留水で調製したデキストリン10質量%水溶液を、20℃で1日静置後、粒度分布を測定した時の平均粒子径が15μm以下である。
平均粒子径は、レーザー回折粒度分布計を用いて測定される。本発明では、レーザー回折粒度分布計として、「レーザー回折粒度分布計SALD−2100((株)島津製作所製)」を用いる。
【0018】
本発明で用いるデキストリンの好ましい平均粒子径(d)は、15μm以下であり、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下である。当該粒子径を有するデキストリンを用いることで、より一層顕著に機能性素材に起因する不快味をマスキングすることができる。平均粒子径(d)の下限は特に制限されないが、例えば、0.1μm、好ましくは0.5μm、更に好ましくは1μmが挙げられる。
【0019】
本発明では、(a)馬鈴薯を原料とし、(b)DE、及び(c)粘度が上記範囲のデキストリンを用いることで、コラーゲン、ペプチド、アミノ酸、ウコン、ビタミン、グルコサミン、コエンザイムQ10、ドコサヘキサエン酸、フェルラ酸、ミネラル、ポリフェノール、カフェイン又はケール等といった各種機能性素材を含有する可食性組成物における、機能性素材に起因する不快味を顕著にマスキングすることができる。
【0020】
本発明で用いられるデキストリンは、上記性質(a)〜(c)を満たすものであれば、分子量などは特に制限されない。
【0021】
このような性質を備えるデキストリンは、原料となる澱粉を分解することによって調製できる。澱粉の分解方法は、特に制限なく、例えば酵素処理による分解、酸処理による分解などが挙げられる。好ましくは酵素処理による分解(酵素分解)である。
【0022】
デキストリンの調製方法として、具体的には、馬鈴薯澱粉を含有する水溶液に耐熱性α−アミラーゼを添加し、70〜95℃、好ましくは85〜95℃の範囲で加熱した後、その酵素分解の進行度を、(b)DE、及び(c)粘度を指標として追跡し、所望の範囲になったときに塩酸等の酸を添加し、煮沸することによって酵素処理を終了する方法を挙げることができる。
【0023】
なお、本発明で使用するデキストリンには、難消化性デキストリン、サイクロデキストリン、及び高度分岐環状デキストリンは含まれない。
【0024】
難消化性デキストリンとは「澱粉科学の事典」(朝倉書店)によると、澱粉粉体に酸を添加して加熱調製される焙焼デキストリンの転移・解重合によりできる難消化性画分を水溶性食物繊維として利用するもので、酸やα−アミラーゼの処理の後、グルコアミラーゼで消化性のデキストリンをグルコースに変換し、膜やクロマトグラフィーで食物繊維成分だけを取り出す方法と、エクストルーダーで澱粉を直接難消化にする方法が工業化されている。このようにして調製される難消化性デキストリンは平均重合度が約2000で分岐に富んだ構造をしており、α−1,4結合、1,6結合以外に1,2、1,3グルコシド結合を有するとともに、還元末端が分子内脱水したレボグルコサンも含有しているのが特徴である。市販の難消化性デキストリンとして、「ファイバーソル2(松谷化学工業(株)製)」などがある。
サイクロデキストリンは、D−グルコースがα−1,4結合によって結合した環状オリゴ糖である。市販のサイクロデキストリンとしては、「セルデックスA−100(日本食品化工(株)製)」などがある。
高度分岐環状デキストリンは、α−1,4結合及びα−1,6結合を有する糖類に、環状構造を形成させる酵素を作用させ、生成させた環状構造を有するグルカンである。市販の高度分岐環状デキストリンとしては、「クラスターデキストリン(日本食品化工(株)製)」などがある。
これらいずれのデキストリンも、機能性素材に起因する可食性組成物の不快味を十分に抑制することができない。かかる点、本発明のデキストリンは非環状構造である点も特徴部分である。
【0025】
II.機能性素材を含有する可食性組成物における不快味のマスキング方法
本発明は、機能性素材を含有する可食性組成物について、これら機能性素材に起因する不快味をマスキングする方法を提供する。当該本発明の方法は、機能性素材を含有する可食性組成物に対して、上記のデキストリンを含有させることで実施できる。
【0026】
本発明が対象とする機能性素材は、不快味を呈する素材であれば特に制限されない。例えば、コラーゲン、ペプチド、アミノ酸、ウコン、ビタミン、グルコサミン、コエンザイムQ10、ドコサヘキサエン酸、フェルラ酸、ミネラル、ポリフェノール(例えば、カテキン類(例えば、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等)、クルクミン、タンニン、クロロゲン酸、イソクロロゲン酸、ルチン、イソフラボン、エラグ酸、ポリフェノールを含有する植物抽出物等)、カフェイン又はケールが挙げられる。
【0027】
不快味としては、例えば、苦味、渋味等が挙げられる。苦味を呈する機能性素材としては、例えば、コラーゲン、ペプチド、アミノ酸、ウコン、ビタミン、グルコサミン、コエンザイムQ10、フェルラ酸、ミネラル、ポリフェノール(例えば、カテキン類(例えば、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等)、クルクミン、タンニン、クロロゲン酸、イソクロロゲン酸、ルチン、イソフラボン、エラグ酸、ポリフェノールを含有する植物抽出物等)、カフェイン、ケール等が挙げられ、渋味を呈する機能性素材としては、例えば、ペプチド、ポリフェノール(例えば、カテキン類(例えば、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等)、クルクミン、タンニン、クロロゲン酸、イソクロロゲン酸、ルチン、イソフラボン、エラグ酸、ポリフェノールを含有する植物抽出物等)、カフェイン、ケール等が挙げられる。
【0028】
可食性組成物における上記デキストリンの含量は特に制限されないが、可食性組成物におけるデキストリンの最終濃度が通常、0.005〜20質量%、好ましくは0.01〜10質量%、更に好ましくは0.05〜5質量%となるように含有させることが望ましい。可食性組成物におけるデキストリンの含量が0.005質量%未満であると、可食性組成物の処方によっては不快味のマスキング効果が十分に得られない場合があり、一方で20質量%を超えると、可食性組成物の種類によっては、可食性組成物の粘度が上昇し、食感が変化してしまう場合がある。なお、ここで最終濃度とは、可食性組成物の摂取時(経口服用時、口腔内使用時)における、デキストリン濃度を意味する。例えば、可食性組成物が濃縮飲料である場合には、希釈して飲用する際における飲料のデキストリン濃度を意味し、また可食性組成物が粉末飲料である場合には、飲用水等に溶解して飲用する際の、飲料中のデキストリン濃度を意味する。
【0029】
本発明ではまた、機能性素材1質量部に対し、上記デキストリンが0.01〜100質量部、より好ましくは0.01〜80質量部となるように、上記デキストリンを添加することが望ましい。
【0030】
本発明の方法が適用される可食性組成物は、経口摂取される組成物(経口用組成物)又は口腔内に使用される組成物(口腔用組成物)であって、機能性素材を含有するものである。
【0031】
経口用組成物としては、具体的には、飲食品組成物、及び経口用医薬組成物が挙げられる。
飲食品組成物としては、機能性素材を含有する飲料(例えば、果実飲料、茶系飲料、コーヒー飲料、清涼飲料水、粉末飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、炭酸飲料、栄養飲料等);菓子類(例えば、キャンディー、ガム、錠菓、サプリメント、グミキャンディー、スナック等)、デザート食品(例えば、ゼリー、杏仁豆腐、ムース、ヨーグルト等);洋・和菓子類(例えば、ケーキ、クッキー、饅頭等);冷菓(例えば、アイスクリーム、シャーベット等);米飯類(例えば、もち、インスタント米飯等);麺類(例えば、うどん、ラーメン、パスタ等);スープ類及びその即席粉末食品(例えば、即席スープ、ポタージュ等);ソース及び調味料類(例えば、ケチャップ、マヨネーズ、ウスターソース、トンカツソース、ドレッシング、タルタルソース等)等の食品などが挙げられる。
経口用医薬組成物としては、飲食品組成物と同様に、機能性素材を含有する内服用の医薬品であれば特に制限されず、例えばビタミン剤、滋養強壮剤、栄養剤、サプリメント、及び各種の医薬製剤を挙げることができる。これらはいずれも形態を問うものではなく散剤、顆粒剤、丸剤、錠剤、液剤、シロップ剤等のいずれであってもよい。
【0032】
口腔用組成物としては、具体的には、口内清涼剤又は口臭除去剤(例えば、粉末剤、顆粒剤、錠剤、トローチ剤、スプレー剤、噴霧剤、液剤等)、洗口剤、うがい剤、歯磨き等の、医薬品又は医薬品部外品を挙げることができる。
【0033】
本発明の方法は、商品の良さを判断するうえで呈味が重要な要素となる飲食品組成物に好適に使用できる。
【0034】
特に、本発明の方法は、可食性組成物の中でも、固体状の可食性組成物に対して顕著な効果を奏する。例えば、粉末状、顆粒状、錠剤状といった、固体状の可食性組成物(以下、「固体状可食性組成物」ともいう)は、通常、機能性素材が水等の溶媒を介することなく舌と直接接触するため、機能性素材の不快味(例えば、苦味、渋味等)が呈味に与える影響が非常に大きい。かかるところ、本発明では上記デキストリンを用いることで、固体状可食性組成物に含まれる機能性素材に起因する不快味を顕著にマスキングすることができ、非常に有用な技術である。
【0035】
本発明において固体状可食性組成物とは、口腔内使用時に粉末状、顆粒状又は錠剤状である可食性組成物をいう。例えば、錠菓、サプリメント、医薬品(例えば、散剤、顆粒剤、丸剤、錠剤等)、口腔内清涼剤、口臭除去剤(粉末剤、顆粒剤、錠剤、トローチ剤等)が挙げられる。
【0036】
本発明のマスキング方法は、上記デキストリンに加え、好ましくは甘味料を併用することができる。甘味料としては、例えば、単糖類、二糖類、糖アルコール、オリゴ糖、低甘味度甘味料、高甘味度甘味料等が挙げられ、好ましくは高甘味度甘味料である。高甘味度甘味料としては、例えば、スクラロース、アスパルテーム、ステビア、カンゾウ、ネオテーム、アドバンテーム、ソーマチン、モネリン、モナチン、ラカンカ、ズルチン、チクロ、サッカリン及びアセスルファムカリウムからなる群から選択される一種以上が挙げられる。高甘味度甘味料は、不快味に対して一定のマスキング効果を奏するが、単独使用では十分なマスキング効果が得られなかったり、高甘味度甘味料特有の甘味の後引きが可食性組成物の呈味に影響を与えたりするという問題を有していた。しかし、本発明では、上記デキストリンと高甘味度甘味料を併用することで、高甘味度甘味料特有の甘味の後引きが可食性組成物の呈味に影響を与えることなく、機能性素材に起因する不快味を有意にマスキングすることができる。
【0037】
III.可食性組成物
本発明は、機能性素材、並びに以下の性質(a)〜(c)を有するデキストリン、好ましくは以下の性質(a)〜(d)を有するデキストリンを含有することを特徴とする、前記機能性素材による不快味が低減された可食性組成物にも関する;
(a)馬鈴薯を原料とする、
(b)DEが2以上6以下である、
(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30質量%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が150mPa・s以下である、
(d)80℃の蒸留水で調製したデキストリン10質量%水溶液を、20℃で1日静置後、粒度分布を測定した時の平均粒子径が15μm以下である。
【0038】
本発明の方法が適用される可食性組成物は、経口摂取される組成物(経口用組成物)又は口腔内利用される組成物(口腔用組成物)であって、機能性素材を含有するものである。各種可食性組成物の具体例については、前述(II)のとおりである。なかでも好ましくは、機能性素材の不快味(例えば、苦味、渋味等)が呈味に与える影響が非常に大きい固体状可食性組成物である。
【0039】
本発明の可食性組成物が含有する機能性素材は、不快味を呈する素材であれば特に制限されない。例えば、コラーゲン、ペプチド、アミノ酸、ウコン、ビタミン、グルコサミン、コエンザイムQ10、ドコサヘキサエン酸、フェルラ酸、ミネラル、ポリフェノール(例えば、カテキン類(例えば、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等)、クルクミン、タンニン、クロロゲン酸、イソクロロゲン酸、ルチン、イソフラボン、エラグ酸、ポリフェノールを含有する植物抽出物等)、カフェイン又はケール等が挙げられる。好ましくは、コラーゲン、ペプチド、アミノ酸、ウコン、ビタミン、ミネラル、ポリフェノール、カフェイン及びケールからなる群から選択される一種以上の機能性素材である。
【0040】
可食性組成物における、機能性素材の含量は、対象とする可食性組成物に応じて適宜調整できる。可食性組成物における機能性素材の最終濃度は、通常、0.01〜30質量%であり、好ましくは0.1〜20質量%である。「最終濃度」とは、前述(II)のとおり、可食性組成物の摂取時(経口服用時、口腔内使用時)におけるデキストリン濃度を意味する。一般的に、機能性素材は強い不快味を有するものが多く、機能性素材の含量が0.01〜0.1質量%程度のものであっても、不快味の改善が強く求められる。
【0041】
可食性組成物における上記デキストリンの含量は特に制限されないが、可食性組成物におけるデキストリンの最終濃度は、通常、0.005〜20質量%であり、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%である。本発明ではまた、機能性素材1質量部に対し、上記デキストリンが0.01〜100質量部、より好ましくは0.01〜80質量部となるように、上記デキストリンを添加することが望ましい。
【0042】
本発明の可食性組成物は、前述(II)のとおり、上記デキストリンに加え、甘味料を含有することが好ましく、高甘味度甘味料を含有することがより好ましい。可食性組成物における高甘味度甘味料の含有量は、可食性組成物の種類、及び配合する高甘味度甘味料の種類やその甘味度によっても異なるが、最終濃度は通常、1〜5000ppmの範囲であり、好ましくは3〜2000ppmの範囲である。より具体的には、用いる高甘味度甘味料の甘味度をショ糖の濃度に換算した時のショ糖換算濃度が、通常、1〜100質量%であり、好ましくは3〜80質量%、より好ましくは3〜60質量%である。ショ糖換算濃度は、用いる高甘味度甘味料の甘味度に応じて算出できるが、参考として、主な高甘味度甘味料とショ糖の甘味倍率を表1に示す。
【0043】
【表1】
【実施例】
【0044】
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を限定するものではない。なお、実施例中の「%」は、「質量%」を意味する。
【0045】
実験例1 機能性素材(ペプチド)に起因する不快味のマスキング試験
表2に示す各種デキストリン又は粉飴を用いて、機能性素材(ペプチド)に起因する不快味の改善試験を行なった。
ペプチドを2%、及び表2に示す各種デキストリン又は粉飴を1%含有する水溶液を調製した(実施例1−1〜1−3、比較例1−2〜1−7)。各々の溶液をデキストリン又は粉飴無添加区のペプチド2%水溶液(比較例1−1)と比較し、マスキング効果を官能評価した。評価は、マスキング効果が不十分であり、ペプチドに起因する不快味(苦味及び渋味)が強い比較例1−1を1(悪)とし、ペプチドに起因する不快味が十分にマスキングされ、不快味(苦味及び渋味)が弱いものを5(良)として、5段階で評価した。結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
注1)(d)80℃の蒸留水で調製したデキストリン10%水溶液を、20℃で1日静置後、粒度分布を測定した時の平均粒子径が1.7μmのデキストリン。
注2)(d)80℃の蒸留水で調製したデキストリン10%水溶液を、20℃で1日静置後、粒度分布を測定した時の平均粒子径が2.5μmのデキストリン。
注3)(d)80℃の蒸留水で調製したデキストリン10%水溶液を、20℃で1日静置後、粒度分布を測定した時の平均粒子径が2.7μmのデキストリン。
注4)(d)80℃の蒸留水で調製したデキストリン10%水溶液を、20℃で1日静置後、粒度分布を測定した時の平均粒子径が204μmのデキストリン。
注5)日本食品化工(株)製の「セルデックスA−100」。
注6)松谷化学工業(株)製の「パインデックス♯100」。
注7)日本食品化工(株)製の「クラスターデキストリン」。
注8)松谷化学工業(株)製の「ファイバーソル2」。
注9)松谷化学工業(株)製の「パインデックス♯3」。
注10)25℃の蒸留水で調製したデキストリン又は粉飴30%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度を示す。
【0048】
(a)馬鈴薯を原料とし、(b)DEが2以上6以下であり、(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が150mPa・s以下である、デキストリンを用いた実施例1−1〜1−3は、デキストリン含量が1%と少ないにもかかわらず、ペプチドに起因する不快味(苦味及び渋味)が有意に抑制されていた。更には、デキストリンの呈味が可食性組成物に余分な呈味を付与することがなかった。
比較例1−2は、(a)馬鈴薯を原料とし、(b)DEが2以上6以下であるが、(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が150mPa・sを超える(235mPa・s)デキストリンを使用した例である。(a)及び(b)を満たしつつも、(c)を満たさないデキストリンは、マスキング効果をほとんど奏さなかった。更に、デキストリン特有の呈味が可食性組成物(ペプチド含有溶液)の呈味に影響を与えていた。比較例1−3は、サイクロデキストリンを用いた例である。サイクロデキストリンは環状構造を有するため、DEは測定できない。当該サイクロデキストリンを用いた場合、ペプチドに起因する不快味(苦味及び渋味)を十分にマスキングすることができなかった。
同様にして、コーン由来のデキストリン又は粉飴を用いた比較例1−4〜1−7はいずれも、ペプチドに起因する不快味(苦味及び渋味)を十分に抑制することはできなかった。
【0049】
実験例2 不快味が改善された固体状可食性組成物(ペプチド含有タブレット)
実験例1と同様に、表4に示す各種デキストリン又は粉飴を用いて機能性素材(ペプチド)を含有する固体状可食性組成物(タブレット)における味質の改善試験を行なった。
具体的には、表3及び表4に示す処方に従って各種素材を粉体混合し、卓上錠剤成型機(市橋精機(株)製)を用いて打圧10kNで圧縮成型(打錠)した。1錠当たり1.0gとなるようにタブレットを調製した(タブレットサイズ15mmφ)。得られたタブレットについて、実験例1と同様に官能評価を行った。結果を表4に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
※注1)〜注10)は実験例1と同じ。
【0053】
実験例1と同様に、(a)原料、(b)DE及び(c)粘度のいずれも満たす実施例2−1〜2−3では、顕著にペプチドの不快味(苦味及び渋味)がマスキングされた可食性組成物を提供することができた。更には、デキストリンの呈味が固体状可食性組成物に余分な呈味を付与することがなかった。
比較例2−2は、(a)馬鈴薯を原料とし、(b)DEが2以上6以下であるが、(c)25℃の蒸留水で調製したデキストリン30%水溶液を、25℃で5分間静置した時の粘度が150mPa・sを超える(235mPa・s)デキストリンを使用した例である。(a)及び(b)を満たしつつも、(c)を満たさないデキストリンは、マスキング効果をほとんど奏さなかった。更に、デキストリン特有の呈味が可食性組成物(ペプチド含有タブレット)の呈味に影響を与えていた。比較例2−3は、サイクロデキストリンを用いた例である。サイクロデキストリンは環状構造を有するため、DEは測定できない。当該サイクロデキストリンを用いた場合、ペプチドに起因する不快味(苦味及び渋味)を十分にマスキングすることができなかった。
同様にして、コーン由来のデキストリン又は粉飴を用いた比較例2−4〜2−7はいずれも、ペプチドに起因する不快味(苦味及び渋味)を十分に抑制することはできなかった。
また、大豆ペプチド15%、デキストリン(実施例2−1で使用したもの)5%、賦形剤(ソルビトール)80%、合計100%として固体状可食性組成物(タブレット)を調製し、官能評価を行なった場合も、実施例2−1〜2−3と同様に、ペプチドの不快味(苦味及び渋味)が顕著にマスキングされ、デキストリンの呈味が固体状可食性組成物に余分な呈味を付与することがなかった。
【0054】
実験例3 不快味が改善された可食性組成物(コラーゲン含有飲料)
表5に示す処方に従って、機能性素材(コラーゲン)を含有する可食性組成物(飲料)を調製した。具体的には、水と果糖ぶどう糖液糖にスクラロース、コラーゲン、デキストリン、及びクエン酸三ナトリウムを添加し、80℃で10分間撹拌し溶解した。次いでクエン酸(無水)、5倍濃縮白桃果汁(清澄)、酸化防止剤、及び色素を加え全量が100%となるように水で補正した。93℃達温殺菌を行い、香料を添加後、容器に充填することによりコラーゲン含有飲料を調製した。
【0055】
【表5】
【0056】
実施例3−1の可食性組成物(コラーゲン含有飲料)は、コラーゲンに起因する不快味(苦味)が、比較例3−1に比べて顕著にマスキングされており、飲用しやすい飲料であった。更には、デキストリンの呈味が可食性組成物に余分な呈味を付与することもなかった。
【0057】
実験例4 不快味が改善された可食性組成物(ウコン含有飲料)
表6に示す処方に従って、機能性素材(ウコン)を含有する可食性組成物(飲料)を調製した。具体的には、水に砂糖、デキストリン、クエン酸三ナトリウム、及び安定剤を加え、80℃で10分間溶解した。次いでクエン酸及びクルクミンパウダーを加え、全量が100%となるように水で補正した。93℃達温殺菌を行い、容器に充填することによりウコン含有飲料を調製した。
【0058】
【表6】
【0059】
実施例4−1及び4−2の可食性組成物(ウコン含有飲料)は、ウコン(クルクミン)に起因する不快味(苦味)が、比較例4−1に比べて顕著にマスキングされており、飲用しやすかった。更には、デキストリンの呈味が可食性組成物に余分な呈味を付与することがなかった。
【0060】
実験例5 不快味が改善された可食性組成物(ケール含有飲料)
表7に示す処方に従って、機能性素材(ケール)を含有する可食性組成物(飲料)を調製した。具体的には、水にケール粉末、及びデキストリンを添加し、10分間撹拌し、ケール含有飲料を調製した。
【0061】
【表7】
【0062】
実施例5−1の可食性組成物(ケール含有飲料)は、ケールに起因する不快味(苦味及び渋味)が、比較例5−1に比べて顕著にマスキングされており、飲用しやすかった。更には、デキストリンの呈味が可食性組成物に余分な呈味を付与することもなかった。
【0063】
実験例6 不快味が改善された可食性組成物(ミネラル含有飲料)
表8に示す処方に従って、機能性素材としてミネラル(塩化カリウム)を含有する可食性組成物(飲料)を調製した。具体的には、水に塩化カリウム及びデキストリンを添加し、撹拌溶解することで、ミネラル含有飲料を調製した。
【0064】
【表8】
【0065】
実施例6−1〜6−3の可食性組成物(ミネラル含有飲料)は、いずれも、比較例6−1に比べて、塩化カリウムに起因する不快味(苦味)が顕著にマスキングされており、特に実施例6−3の可食性組成物は、より顕著に不快味(苦味)がマスキングされていた。更には、実施例6−1〜6−3の可食性組成物は、デキストリンによって余分な呈味が付与されることがなく、飲用しやすい飲料であった。
【0066】
実験例7 不快味が改善された可食性組成物(ビタミン含有飲料)
表9に示す処方に従って、機能性素材としてビタミン(チアミン塩酸塩)を含有する可食性組成物(飲料)を調製した。具体的には、水にチアミン塩酸塩及びデキストリンを添加し、撹拌溶解することで、ビタミン含有飲料を調製した。
【0067】
【表9】
【0068】
実施例7−1及び7−2の可食性組成物(ビタミン含有飲料)は、いずれも、比較例7−1に比べて、チアミン塩酸塩に起因する不快味(苦味)が顕著にマスキングされていた。更には、実施例7−1及び7−2の可食性組成物は、デキストリンによって余分な呈味が付与されることがなく、飲用しやすい飲料であった。
【0069】
実験例8 不快味が改善された可食性組成物(アミノ酸含有飲料)
表10に示す処方に従って、機能性素材としてアミノ酸(グリシン)を含有する可食性組成物(飲料)を調製した。具体的には、水にグリシン及びデキストリンを添加し、撹拌溶解することで、アミノ酸含有飲料を調製した。
【0070】
【表10】
【0071】
実施例8−1〜8−3の可食性組成物(アミノ酸含有飲料)は、いずれも、比較例8−1に比べて、グリシンに起因する不快味(苦味)が顕著にマスキングされており、特に実施例8−2及び8−3の可食性組成物は、より顕著に不快味(苦味)がマスキングされていた。更には、実施例8−1〜8−3の可食性組成物は、デキストリンによって余分な呈味が付与されることがなく、飲用しやすい飲料であった。
【0072】
実験例9 不快味が改善された可食性組成物(カフェイン含有飲料)
表11に示す処方に従って、機能性素材としてカフェインを含有する可食性組成物(飲料)を調製した。具体的には、水にインスタントコーヒー、カフェイン及びデキストリンを添加し、撹拌溶解することで、カフェイン含有飲料を調製した。
【0073】
【表11】
【0074】
注11)AGF(株)製(2g中のカフェイン量50〜80mg)
【0075】
実施例9−1〜9−4の可食性組成物(カフェイン含有飲料)は、いずれも、比較例9−1に比べて、カフェインに起因する不快味(苦味及び渋味)が顕著にマスキングされており、特に実施例9−2、9−3及び9−4の可食性組成物は、より顕著に不快味(苦味及び渋味)がマスキングされていた。更には、実施例9−1〜9−3の可食性組成物は、デキストリンによって余分な呈味が付与されることがなく、飲用しやすい飲料であった。
【0076】
実験例10 不快味が改善された固体状可食性組成物(ポリフェノール含有タブレット)
表12に示す処方に従って、ポリフェノール(カテキン類)を含有する固体状可食性組成物(タブレット)を調製した。具体的には、下記記載の処方に示す量の各種素材を粉体混合し、卓上錠剤成型機を用いて打圧8kNで圧縮成型(打錠)した。1錠当たり1.5gとなるようにタブレットを調製した(タブレットサイズ18mmφ)。
【0077】
【表12】
【0078】
注12)カテキン類含量28%のものを使用した。
【0079】
実施例10−1〜10−3の固体状可食性組成物(ポリフェノール含有タブレット)は、いずれも、比較例4−1に比べて、ポリフェノール(カテキン類)に起因する不快味(苦味及び渋味)が顕著にマスキングされており、デキストリンの含量の増加とともにマスキング効果が向上した。更には、実施例10−1〜10−3の固体状可食性組成物は、デキストリンによって余分な呈味が付与されることがなく、食べやすいタブレットであった。