(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光検出器が、前記検査光と前記フローセルの貫通孔の交点を頂点とする、前記検査光の光路と平行、かつ前記フローセルの貫通孔の延伸方向に対して垂直な扇状の面に対して角度を設けて配置されている、請求項1又は2に記載の粒子検出装置。
前記検査光と前記フローセルの貫通孔の交点を頂点とする、前記検査光の光路と平行、かつ前記フローセルの貫通孔の延伸方向に対して垂直な扇状の面に対して角度をなして前記フローセルから出射した反応光を集光する集光光学系を更に備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の粒子検出装置。
前記集光光学系が、前記検査光と前記フローセルの貫通孔の交点を頂点とする、前記検査光の光路と平行、かつ前記フローセルの貫通孔の延伸方向に対して垂直な扇状の面に対して角度を設けた配置されたレンズを含む、請求項4に記載の粒子検出装置。
前記検査光と前記フローセルの貫通孔の交点を頂点とする、前記検査光の光路と平行、かつ前記フローセルの貫通孔の延伸方向に対して垂直な扇状の面と交差する、前記楕円鏡の部分に、切り欠きが設けられている、請求項10に記載の粒子検出装置。
前記楕円鏡が、前記検査光と前記フローセルの貫通孔の交点を頂点とする、前記検査光の光路と平行、かつ前記フローセルの貫通孔の延伸方向に対して垂直な扇状の面と交差しない、請求項10に記載の粒子検出装置。
前記板状部材の前記第1及び第2主面の幅が、前記第1及び第2の半球部材の底面の幅よりも広く、前記板状部材の前記第1及び第2の半球部材よりも幅広の部分が、前記フローセルの突出部をなす、請求項17に記載の粒子検出装置。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
【
図4】本発明の第2の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
【
図5】本発明の第3の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
【
図6】本発明の第3の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
【
図7】本発明の第3の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
【
図8】本発明の第4の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
【
図9】本発明の第4の実施の形態に係るフローセルの模式的側面図である。
【
図10】本発明の第4の実施の形態に係るフローセルの模式的断面図である。
【
図11】本発明の第5の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
【
図12】本発明の第5の実施の形態に係るフローセルの模式的側面図である。
【
図13】本発明の第5の実施の形態に係るフローセルの模式的断面図である。
【
図14】本発明の第6の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
【
図15】本発明の第6の実施の形態に係るフローセルをなす板状部材、並びに第1及び第2の半球部材の模式的側面図である。
【
図16】本発明の第6の実施の形態に係るフローセルの模式的側面図である。
【
図17】本発明の第6の実施の形態に係るフローセルの模式的断面図である。
【
図18】本発明の第7の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
【
図19】本発明の第7の実施の形態に係るフローセルをなす板状部材、並びに第1及び第2の半球部材の模式的側面図である。
【
図20】本発明の第7の実施の形態に係るフローセルの模式的側面図である。
【
図21】本発明の第7の実施の形態に係るフローセルの模式的断面図である。
【
図22】本発明の第7の実施の形態に係るフローセルの模式的斜視図である。
【
図23】本発明の第7の実施の形態に係るフローセルの分解図である。
【
図24】
図22のXXVI−XXVI方向から見た、本発明の第7の実施の形態に係るフローセルの模式的断面図である。
【
図25】本発明の第7の実施の形態に係るフローセルの製造方法を説明するための工程図である。
【
図26】本発明の第7の実施の形態に係るフローセルの製造方法を説明するための工程図である。
【
図27】本発明の第7の実施の形態に係るフローセルの製造方法を説明するための工程図である。
【
図28】本発明の第7の実施の形態に係るフローセルの製造方法を説明するための工程図である。
【
図29】本発明の第7の実施の形態に係るフローセルの製造方法を説明するための工程図である。
【
図30】本発明の第7の実施の形態に係るフローセルの製造方法を説明するための工程図である。
【
図31】本発明の第7の実施の形態に係るフローセルの製造方法を説明するための工程図である。
【
図32】本発明の第7の実施の形態に係るフローセルの製造方法を説明するための工程図である。
【
図33】本発明の第8の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
【
図34】本発明の第8の実施の形態に係るフローセルの模式的上面図である。
【
図35】本発明の第9の実施の形態に係る粒子検出装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0019】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る粒子検出装置は、
図1に示すように、検査光を発する検査光源30と、粒子を含む流体が流れる、断面形状が円である貫通孔14が設けられた透明なフローセル4であって、貫通孔14の延伸方向に対して垂直に検査光を照射されるフローセル4と、フローセル4内で検査光を照射された粒子で生じた反応光を検出する光検出器60であって、検査光とフローセル4の貫通孔14の交点を頂点とする、検査光の光路と平行、かつフローセル4の貫通孔14の延伸方向に対して垂直な扇状の面200に対して角度θをなしてフローセル4から出射した反応光を検出する光検出器60と、を備える。
【0020】
フローセル4は、例えば直方体である。貫通孔14は、フローセル4の対向する面の間を垂直に貫通している。フローセル4の表面及び貫通孔14の内壁は、例えば、研磨されている。貫通孔14は、例えばフローセル4の中心を通る。貫通孔14の断面形状を円とし、内壁に角がないようにすると、貫通孔14の内部に気泡が滞留したり、汚れが付着したりすることを抑制することが可能となる。貫通孔14の延伸方向は、検査光の進行方向に対して垂直である。貫通孔14の直径は、これに限定されないが、例えば1mm未満である。フローセル4は、例えば石英ガラスからなる。
【0021】
フローセル4を流れる流体に含まれる粒子とは、微生物等を含む生体物質、細胞、化学物質、ごみ、ちり、及び埃等のダスト等を含む。微生物の例としては細菌及び真菌が含まれる。細菌の例としては、グラム陰性菌及びグラム陽性菌が挙げられる。グラム陰性菌の例としては、大腸菌が挙げられる。グラム陽性菌の例としては、表皮ブドウ球菌、枯草菌、マイクロコッカス、及びコリネバクテリウムが挙げられる。真菌の例としては、黒カビ等のアスペルギルスが挙げられる。ただし、微生物はこれらに限定されない。
【0022】
流体に、微生物等の蛍光性粒子が含まれていると、粒子は励起光を照射されて蛍光を発する。例えば、微生物に含まれるリボフラビン(riboflavin)、フラビンヌクレオチド(FMN)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NAD(P)H)、ピリドキサミン(pyridoxamine)、ピリドキサールリン酸(pyridoxal−5’−phosphate)、ピリドキシン(pyridoxine)、トリプトファン(tryptophan)、チロシン(tyrosine)、及びフェニルアラニン(phenylalanine)等が、蛍光を発する。
【0023】
フローセル4内部を流れる蛍光性粒子を検出するための検査光としての励起光は、例えば、フローセル4の中心に焦点を結ぶよう、検査光源30から照射される。検査光は、平行光でもよい。検査光源30としては、発光ダイオード(LED)及びレーザが使用可能である。検査光の波長は、例えば250ないし550nmである。検査光は、可視光であっても、紫外光であってもよい。検査光が可視光である場合、検査光の波長は、例えば400ないし550nmの範囲内であり、例えば405nmである。検査光が紫外光である場合、検査光の波長は、例えば300ないし380nmの範囲内であり、例えば340nmである。ただし、検査光の波長は、これらに限定されない。
【0024】
検査領域としての貫通孔14内部で検査光を照射された蛍光性粒子は蛍光を発する。また、検査光を照射された蛍光性粒子及び非蛍光性粒子において、例えばミー散乱による散乱光が生じる。光を照射された粒子において生じた反応光としての蛍光及び散乱光は、粒子から全方位的に発せられる。
【0025】
光検出器60は、フローセル4で生じた反応光を受光し、検出する。光検出器60は、例えば、検査光とフローセル4の貫通孔14の交点を頂点とする、検査光の光路と平行、かつフローセル4の貫通孔14の延伸方向に対して垂直な扇状の面200に対して、角度θを設けて配置されている。光検出器60としては、例えば、フォトダイオード及び光電子増倍管等が使用可能であり、光を受光すると、光エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0026】
フローセル4が検査光で照射された際に、検査光が、断面形状が円である貫通孔14の内壁と、貫通孔14内の流体と、の曲面の界面で反射及び屈折し、迷光になる場合がある。フローセル4の貫通孔14の延伸方向に対して垂直な平面内において、検査光とフローセル4の貫通孔14の交点を頂点とし、頂角が約30度から60度である扇状に、迷光は広がる傾向にある。迷光が広がる角度は、貫通孔14の径が小さくなるほど、また検査光の幅が大きくなるほど、広くなる傾向にある。
【0027】
フローセル4の貫通孔14内部を流れる粒子で生じたミー散乱と異なり、迷光は粒子の検出に不要である。そのため、迷光が光検出器60に到達すると、ノイズの原因になりうる。これに対し、第1の実施の形態に係る粒子検出装置においては、光検出器60が、検査光とフローセル4の貫通孔14の交点を頂点とする、検査光の光路と平行、かつフローセル4の貫通孔14の延伸方向に対して垂直な扇状の面200に対して角度θをなしてフローセル4から出射した反応光を検出するよう、配置されている。そのため、迷光が光検出器60に到達しない。よって、迷光が生じても、迷光によりノイズが発生することを抑制することが可能となる。
【0028】
なお、光検出器60が扇状の面200に対してなす角度θは、
図2に示すように、直角でもよい。
【0029】
また、第1の実施の形態に係る粒子検出装置は、検査光とフローセル4の貫通孔14の交点を頂点とする、検査光の光路と平行、かつフローセル4の貫通孔14の延伸方向に対して垂直な扇状の面200に対して角度θをなしてフローセル4から出射した反応光を集光する集光光学系をさらに備えていてもよい。集光光学系は、
図3に示すように検査光とフローセル4の貫通孔14の交点を頂点とする、検査光の光路と平行、かつフローセル4の貫通孔14の延伸方向に対して垂直な扇状の面200に対して角度θを設けて配置されたレンズ90を含んでいてもよい。
【0030】
(第2の実施の形態)
図4に示すように、第2の実施の形態に係る粒子検出装置は、球状のフローセル41を備える。フローセル41は、貫通孔44の延伸方向に対して垂直に検査光を照射される。光検出器60は、フローセル41内で検査光を照射された粒子で生じた反応光であって、検査光とフローセル41の貫通孔44の交点を頂点とする、検査光の光路と平行、かつフローセル41の貫通孔44の延伸方向に対して垂直な扇状の面200に対して角度θをなしてフローセル41から出射した反応光を検出する。
【0031】
球状のフローセル41の表面及び貫通孔44の内壁は、例えば、研磨されている。貫通孔44は、例えばフローセル41の中心を通る。貫通孔44の延伸方向に対する貫通孔44の断面形状は、円である。
【0032】
フローセル41の貫通孔44内で検査光を照射された粒子において生じた蛍光及び散乱光は、粒子から全方位的に発せられる。フローセル41内部を進行した蛍光及び散乱光は、フローセル41の表面から出射する。ここで、フローセル41がほぼ球状であり、検査光の焦点がフローセル41の中心とほぼ一致する場合、検査光の焦点で生じた蛍光及び散乱光は、フローセル41の表面からほぼ垂直に出射する。そのため、フローセル41を球状にすることにより、フローセル41と外部の空気との界面における反射及び屈折による蛍光及び散乱光の損失を抑制することが可能となる。
【0033】
第2の実施の形態に係る粒子検出装置のその他の構成要素は、第1の実施の形態と同様である。
【0034】
(第3の実施の形態)
図5に示すように、第3の実施の形態に係る粒子検出装置においては、球状のフローセル41の一部を覆うように半球面反射膜42が設けられている。
図5の垂直方向手前から検査光が検査光源から発せられ、フローセル41に照射される。検査光は、例えば、球状のフローセル41のほぼ中心で焦点を結ぶよう、照射される。半球面反射膜42は、検査光の光路を遮らないように、フローセル41を覆っている。半球面反射膜42は、検査光を照射されたフローセル41内の粒子で生じた反応光を反射する。フローセル41の半球面反射膜42で覆われていない部分は、半球面レンズ部として機能する。半球面反射膜42と、半球面レンズ部と、は、対向している。
【0035】
半球面反射膜42は、例えば蒸着膜であり、金属等からなる。半球面反射膜42の凹部は、フローセル41から出射した反応光を検出する光検出器60、あるいはフローセル41から出射した反応光を集光する集光光学系と対向するように設けられている。
【0036】
フローセル41の半球面レンズ部の方に進行した反応光は、半球面レンズ部の表面から出射する。検査光の焦点がフローセル41の中心と一致する場合、検査光の焦点で生じた蛍光及び散乱光は、フローセル41の表面からほぼ垂直に出射する。
【0037】
フローセル41の半球面反射膜42の方に進行した反応光は、半球面反射膜42で反射され、半球面レンズ部から出射する。検査光の焦点が球状のフローセル41の中心と一致する場合、検査光の焦点で生じた反応光は、半球面反射膜42に対してほぼ垂直に入射する。そのため、反応光は、半球面反射膜42でほぼ垂直に反射され、球状のフローセル41のほぼ中心を経て、半球面レンズ部の表面からほぼ垂直に出射する。
【0038】
第3の実施の形態に係る粒子検出装置のその他の構成要素は、第2の実施の形態と同様である。なお、第3の実施の形態においても、光検出器60が、検査光とフローセル41の貫通孔44の交点を頂点とする、検査光の光路と平行、かつフローセル41の貫通孔44の延伸方向に対して垂直な扇状の面200に対してなす角度θは、
図6に示すように、直角でもよい。
【0039】
図6に示すように、半球面反射膜42が、検査光とフローセル41の貫通孔44の交点を頂点とする、検査光の光路と平行、かつフローセル41の貫通孔44の延伸方向に対して垂直な扇状の面200と交差しないよう、フローセル41に設けられると、迷光が半球面反射膜42で反射されない。
【0040】
あるいは、
図7に示すように、検査光とフローセル41の貫通孔44の交点を頂点とする、検査光の光路と平行、かつフローセル41の貫通孔44の延伸方向に対して垂直な扇状の面200と交差する、半球面反射膜42の部分に、切り欠き44を設けると、迷光が半球面反射膜42で反射されない。
【0041】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係る粒子検出装置は、
図8に示すように、検査光を発する検査光源30と、検査光を照射される、粒子を含む流体を流すフローセル41であって、検査光を照射された粒子で生じた反応光を反射する半球面反射膜42が設けられたフローセル41と、フローセル41の位置を第1焦点とする楕円鏡50であって、フローセル41の半球面レンズ部を透過した反応光を反射する楕円鏡50と、楕円鏡50の第2焦点に配置された、楕円鏡50で反射された反応光を検出する光検出器60A、60B、60Cと、を備える。
【0042】
フローセル41の貫通孔44の延伸方向は、検査光の進行方向に対して垂直、かつ楕円鏡50の長軸方向に対して垂直である。
図9及び
図10に示すように、半球面反射膜42は、フローセル41の一部、例えば貫通孔44を境に約半分を覆っている。フローセル41の半球面反射膜42で覆われていない部分が、半球面レンズ部として機能する。
【0043】
図8に示すように、フローセル41は、半球面レンズ部の凸部及び半球面反射膜42の凹部が楕円鏡50と対向するように配置される。また、フローセル41は、貫通孔44が通るフローセル41の中心が、楕円鏡50の第1焦点と一致するよう、配置される。
【0044】
図10に示すフローセル41の半球面レンズ部の方に進行した蛍光及び散乱光は、半球面レンズ部の表面から出射し、
図8に示す楕円鏡50に到達する。検査光の焦点が球状のフローセル41の中心と一致する場合、検査光の焦点で生じた蛍光及び散乱光は、フローセル41の半球面レンズ部の表面からほぼ垂直に出射する。
【0045】
図10に示すフローセル41の半球面反射膜42の方に進行した蛍光及び散乱光は、半球面反射膜42で反射され、半球面レンズ部の表面から出射し、
図8に示す楕円鏡50に到達する。検査光の焦点がフローセル41の中心と一致する場合、検査光の焦点で生じた蛍光及び散乱光は、
図10に示す半球面反射膜42に対してほぼ垂直に入射する。そのため、蛍光及び散乱光は、半球面反射膜42でほぼ垂直に反射され、フローセル41のほぼ中心を経て、半球面レンズ部の表面からほぼ垂直に出射する。
【0046】
図8に示す楕円鏡50の凹面は、半球面反射膜42の凹面、及びフローセル41の半球面レンズ部の凸面と対向している。フローセル41から出射した蛍光及び散乱光は、楕円鏡50で反射され、フローセル41の後方の楕円鏡50の第2焦点に集光される。例えば、フローセル41の半球面反射膜42と比較して楕円鏡50を十分に大きくすることによって、楕円鏡50による蛍光及び散乱光の集光効率が向上する。
【0047】
検査光とフローセル41の貫通孔44の交点を頂点とする、検査光の光路と平行、かつフローセル41の貫通孔44の延伸方向に対して垂直な扇状の面200と交差する楕円鏡50の部分には、切り欠き51が設けられている。これにより、迷光が、楕円鏡50で反射され、光検出器60A、60B、60Cに到達することを防止することが可能となる。また、迷光の進行方向に、迷光を減衰させる迷光減衰部材80を配置してもよい。迷光減衰部材80は迷光を吸収する。なお、本開示において、減衰とは、100%減衰すること、換言すれば遮断することも意味する。
【0048】
楕円鏡50に切り欠き51が設けられているため、楕円鏡50は、検査光とフローセル41の貫通孔44の交点を頂点とする、検査光の光路と平行、かつフローセル41の貫通孔44の延伸方向に対して垂直な扇状の面200内に含まれる迷光及び反応光は反射しない。楕円鏡50は、扇状の面200に対して角度をなして、換言すれば、扇状の面200に含まれないようにフローセル41から出射した反応光を反射する。
【0049】
楕円鏡50の幾何学的な第1焦点及び第2焦点の間には、波長選択的反射鏡70A、70Bが配置されている。
【0050】
波長選択的反射鏡70Aは、例えば、波長選択的に、散乱光を反射する。波長選択的反射鏡70Aで反射された散乱光の焦点は、楕円鏡50の幾何学的な第2焦点と光学的に等価である。波長選択的反射鏡70Aで反射された散乱光の焦点に、散乱光を検出するための光検出器60Aが配置される。
【0051】
波長選択的反射鏡70Bは、例えば、波長選択的に、第1の波長帯域の蛍光を反射し、第2の波長帯域の蛍光を透過させる。波長選択的反射鏡70Bで反射された蛍光の焦点は、楕円鏡50の幾何学的な第2焦点と光学的に等価である。波長選択的反射鏡70Bで反射された第1の波長帯域の蛍光の焦点に、第1の波長帯域の蛍光を検出するための光検出器60Bが配置される。波長選択的反射鏡70Bで透過した第2の波長帯域の蛍光の焦点に、第2の波長帯域の蛍光を検出するための光検出器60Cが配置される。
【0052】
波長選択的反射鏡70A、70Bとしては、ダイクロイックミラー、干渉膜フィルタ、及び光学フィルタ等が使用可能である。なお、波長選択的反射鏡70A、70Bのそれぞれの設計入射角度が45度である場合、楕円鏡50の第1及び第2焦点の間隔を、波長選択的反射鏡70A、70Bに対する散乱光又は蛍光の入射角が35度以上55度以下になるように設定すると、干渉膜フィルタの分光効率が高くなる傾向にあるが、これに限定されない。
【0053】
以上説明した第4の実施の形態に係る粒子検出装置によれば、当初、楕円鏡50と反対方向に進行した蛍光及び散乱光を半球面反射膜42で楕円鏡50の方向に反射し、光検出器60A、60B、60Cの位置に集光することが可能となる。そのため、フローセル41内において、当初、粒子から全方位的に発せられた蛍光及び散乱光を、レンズ集光系と同等以上の効率で集光し、検出することが可能となる。
【0054】
また、第4の実施の形態に係る粒子検出装置においては、フローセル41に半球面反射膜42を設けることにより、半球面反射膜42を小さくすることが可能となる。そのため、半球面反射膜42の影の面積を小さくすることが可能となり、蛍光及び散乱光の集光効率が向上し、高価な高開口数レンズを含む複雑な光学系を用いなくとも、微弱な蛍光や散乱光を効率よく検出することが可能となる。
【0055】
(第4の実施の形態の変形例)
図8では、検査光とフローセル41の貫通孔44の交点を頂点とする、検査光の光路と平行、かつフローセル41の貫通孔44の延伸方向に対して垂直な扇状の面200と交差する楕円鏡50の部分に、切り欠き51が設けられている。例を示した。これに対し、扇状の面200と交差する楕円鏡50の部分に、帯状の迷光減衰部材を配置してもよい。これによっても、迷光が、楕円鏡50で反射され、光検出器60A、60B、60Cに到達することを防止することが可能となる。
【0056】
(第5の実施の形態)
第4の実施の形態においては、
図8に示すように、フローセル41の貫通孔44の延伸方向が、検査光の進行方向に対して垂直、かつ楕円鏡50の長軸方向に対して垂直な例を示した。これに対し、
図11に示すように、フローセル41の貫通孔44の延伸方向が、検査光の進行方向に対して垂直、かつ楕円鏡50の長軸方向と平行であってもよい。
【0057】
第5の実施の形態において、
図12及び
図13に示すように、フローセル41の貫通孔44の一方の開口は、半球面反射膜42で覆われた部分の中心に設けられており、貫通孔44の他方の開口は、半球面レンズ部として機能する、フローセル41の半球面反射膜42で覆われていない部分の中心に設けられている。
【0058】
第5の実施の形態に係る粒子検出装置のその他の構成要素は、第4の実施の形態と同様である。第5の実施の形態に係る粒子検出装置において、迷光は、
図11に示すフローセル41の貫通孔44及び楕円鏡50の長軸に対して垂直な平面内で生じる。そのため、楕円鏡50の長軸と交差する頂点側への迷光の進入を抑制することが可能となる。また、楕円鏡50に設ける切り欠き51を小さくすることが可能となる。また、検査光とフローセル41の貫通孔44の交点を頂点とする、検査光の光路と平行、かつフローセル41の貫通孔44の延伸方向に対して垂直な扇状の面200と、楕円鏡50とが交差しない場合は、切り欠き51そのものを設けなくともよい。さらに、フローセル41の貫通孔44が楕円鏡50の長軸と一致しているため、貫通孔44に接続される流路等が蛍光及び散乱光の影を作る影響を抑制することが可能となる。
【0059】
(第6の実施の形態)
図14に示す第6の実施の形態に係る粒子検出装置おいては、フローセル140が、
図15に示すように、第1主面211、第1主面211と対向する第2主面212、並びに第1及び第2主面211、212に対して垂直な側面213、214を有し、側面213から側面214へ貫通する貫通孔144が設けられた透明な板状部材145と、板状部材145の第1主面211上に配置された、透明な第1の半球部材146と、板状部材145の第2主面212上に配置された、透明な第2の半球部材147と、備える。
【0060】
図15ないし
図17に示すように、フローセル140において、半球面反射膜142は、透明な第1の半球部材146を覆い、第2の半球部材147が、半球面レンズ部143として機能する。半球面反射膜142と、半球面レンズ部143と、は、対向している。
【0061】
板状部材145の第1主面211及び第2主面212は、例えば、それぞれ矩形状である。第1主面211及び第2主面212の形状は、フローセル140のホルダの形状に合わせてもよい。貫通孔144は、板状部材145の側面213、214に対して垂直に設けられている。貫通孔144は、例えばフローセル140の中心である板状部材145の中心を通る。貫通孔144の延伸方向に対する貫通孔144の断面形状は、円である。
図14に示す貫通孔144の延伸方向は、検査光の進行方向に対して垂直、かつ楕円鏡50の長軸方向に対して垂直である。
【0062】
フローセル140内部を流れる粒子を検出するための検査光としての励起光は、例えば、板状部材145の側面213、214に対して垂直な側面から貫通孔144に向けて入射される。励起光が照射される板状部材145の側面は、研磨され、平滑度が高いことが好ましい。
【0063】
図15に示す第1及び第2の半球部材146は、それぞれ底面及び球面を有する。第1及び第2の半球部材146は、それぞれ、完全な球を半分にしたものでありうる。あるいは、第1及び第2の半球部材146は、それぞれ、検査光と貫通孔144の交点で生じた反応光が、第1及び第2の半球部材146の表面に垂直に入射するよう、曲率と厚みを選定した凸レンズ部材であってもよい。第1及び第2の半球部材146、147の底面の外径は、例えば板状部材145の第1主面211及び第2主面212の幅と同じである。
【0064】
図17に示すように、貫通孔144内部で励起光を照射された蛍光粒子において生じた蛍光及び散乱光は、蛍光粒子から全方位的に発せられる。ここで、フローセル140の半球面レンズ部143の方に進行した蛍光及び散乱光は、半球面レンズ部143の表面から出射し、
図14に示す楕円鏡50に到達する。
図17に示すフローセル140において、板状部材145の厚みが半球面レンズ部143の厚みより薄い場合、フローセル140の形状は球状に近似される。そのため、検査光の焦点がフローセル140の中心と一致する場合、検査光の焦点で生じた蛍光及び散乱光は、半球面レンズ部143の表面に対してほぼ垂直に入射する。そのため、蛍光及び散乱光は、半球面レンズ部143の表面でほぼ屈折されないで、半球面レンズ部143の表面から出射する。
【0065】
フローセル140の半球面反射膜142の方に進行した蛍光及び散乱光は、半球面反射膜142で反射され、半球面レンズ部143の表面から出射し、
図14に示す楕円鏡50に到達する。フローセル140の形状が球状に近似可能であり、検査光の焦点がフローセル140の中心と一致する場合、検査光の焦点で生じた蛍光及び散乱光は、
図17に示す半球面反射膜142に対してほぼ垂直に入射する。そのため、蛍光及び散乱光は、半球面反射膜142でほぼ垂直に反射され、フローセル140のほぼ中心付近を経て、半球面レンズ部143の表面でほぼ屈折されないで、半球面レンズ部143の表面から出射する。
【0066】
第6の実施の形態においても、
図14に示す楕円鏡50に切り欠き51が設けられているため、楕円鏡50は、検査光とフローセル140の貫通孔144の交点を頂点とする、検査光の光路と平行、かつフローセル140の貫通孔144の延伸方向に対して垂直な扇状の面200内に含まれる迷光及び反応光は反射しない。楕円鏡50は、扇状の面200に対して角度をなして、換言すれば、扇状の面200に含まれないようにフローセル140から出射した反応光を反射する。
【0067】
板状部材145を透過する検査光の光強度は、貫通孔144内の粒子で生じる蛍光及び散乱光の光強度よりも強い。強い光強度を有する励起光は、迷光の原因になりうるため、検査光が入射される板状部材145の材料は、合成石英等、透明度が高い材料であることが好ましい。これに対し、蛍光及び散乱光の光強度は弱く、迷光の原因になりにくい。そのため、第1及び第2の半球部材146、147の材料の透明度は、板状部材145の材料の透明度と同じでもよいが、第1及び第2の半球部材146、147には、蛍光及び散乱光が透過する範囲内において、板状部材145の材料よりも透明度の低い安価な材料を用いてもよい。
【0068】
具体的には、第1及び第2の半球部材146、147の材料には、石英ガラスを用いてもよいし、あるいは石英ガラスとは異なる光学ガラス、又はポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等の透明樹脂を用いてもよい。
【0069】
第6の実施の形態に係る粒子検出装置のその他の構成要素は、第4の実施の形態と同様である。第6の実施の形態に係る粒子検出装置によっても、フローセル140で生じた散乱光及び検査光等の反応光を、効率よく集光し、検出することが可能となる。
【0070】
(第7の実施の形態)
図18に示す第7の実施の形態に係る粒子検出装置においては、フローセル240が、
図19に示すように、第1主面311、及び第1主面311と対向する第2主面312を有し、第1主面311から第2主面312に貫通する貫通孔275が設けられた透明な板状部材245と、貫通孔276が設けられた透明な第1の半球部材246であって、板状部材245の貫通孔275と、当該第1の半球部材246の貫通孔276とが連通するように、板状部材245の第1主面311上に配置された第1の半球部材246と、貫通孔277が設けられた透明な第2の半球部材247であって、板状部材245の貫通孔275と、当該第2の半球部材247の貫通孔277とが連通するように、板状部材245の第2主面312上に配置された第2の半球部材と、を備える。
【0071】
図19ないし
図24に示すように、フローセル240において、半球面反射膜242は、透明な第1の半球部材246を覆い、第2の半球部材247が、半球面レンズ部243として機能する。半球面反射膜242と、半球面レンズ部243と、は、対向している。
【0072】
板状部材245の第1主面311及び第2主面312は、例えば、それぞれ矩形状である。第1主面311及び第2主面312の形状は、フローセル240のホルダの形状に合わせてもよい。貫通孔275は、第1及び第2主面311、312に対して垂直に設けられている。板状部材245は、例えば、石英ガラスからなる。励起光が照射される板状部材245の側面は、研磨され、平滑度が高いことが好ましい。
【0073】
板状部材245に設けられた貫通孔275は、例えばフローセル240の中心である板状部材245の中心を通る。貫通孔275の延伸方向に対する貫通孔275の断面形状は、円である。貫通孔275の延伸方向は、検査光の進行方向に対して垂直、かつ楕円鏡50の長軸方向と平行である。
【0074】
第1及び第2の半球部材246、247は、それぞれ、底面及び球面を有する。第1及び第2の半球部材246、247は、それぞれ、完全な球を半分にしたものでありうる。あるいは、第1及び第2の半球部材246、247は、それぞれ、検査光と貫通孔275の交点で生じた反応光が、第1及び第2の半球部材246、247の表面に垂直に入射するよう、曲率と厚みを選定した凸レンズ部材であってもよい。第1及び第2の半球部材246、247の底面の外径は、板状部材245の第1主面311及び第2主面312の幅と同じでもよいし、小さくてもよい。第1の半球部材246において、貫通孔276は、第1の半球部材246の頂点から底面に向けて、垂直に設けられている。貫通孔276の延伸方向に対する断面形状は円である。また、第2の半球部材247において、貫通孔277は、第2の半球部材247の頂点から底面に向けて、垂直に設けられている。貫通孔277の延伸方向に対する断面形状は円である。第1及び第2の半球部材246、247は、例えば、石英ガラスからなる。あるいは、第1及び第2の半球部材246、247は、例えば、石英ガラスとは異なる光学ガラス、又はポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等の透明樹脂からなっていてもよい。
【0075】
フローセル240において、流体は、第1の半球部材246の貫通孔276、板状部材245の貫通孔275、及び第2の半球部材247の貫通孔277を流れる。流体は、第1の半球部材246側から第2の半球部材247側に流れてもよいし、第2の半球部材247側から第1の半球部材246側に流れてもよい。
【0076】
フローセル240内部を流れる粒子を検出するための検査光としての励起光は、例えば、板状部材245の第1及び第2主面311、312に対して垂直な側面から貫通孔275に向けて入射される。貫通孔275内部で励起光を照射された蛍光粒子において生じた蛍光及び散乱光は、蛍光粒子から全方位的に発せられる。
【0077】
図21に示すフローセル240の半球面レンズ部243の方に進行した蛍光及び散乱光は、半球面レンズ部243の表面から出射し、
図18に示す楕円鏡50に到達する。フローセル240において、
図21に示す板状部材245の厚みが半球面レンズ部243の厚みより薄い場合、フローセル240の形状は球状に近似される。そのため、検査光の焦点がフローセル240の中心と一致する場合、検査光の焦点で生じた蛍光及び散乱光は、半球面レンズ部243の表面に対してほぼ垂直に入射する。そのため、蛍光及び散乱光は、半球面レンズ部243の表面でほぼ屈折されないで、半球面レンズ部243の表面から出射する。
【0078】
フローセル240の半球面反射膜242の方に進行した蛍光及び散乱光は、半球面反射膜242で反射され、半球面レンズ部243の表面から出射し、
図18に示す楕円鏡50に到達する。フローセル240の形状は球状に近似可能であり、検査光の焦点がフローセル240の中心と一致する場合、検査光の焦点で生じた蛍光及び散乱光は、
図21に示す半球面反射膜242に対してほぼ垂直に入射する。そのため、蛍光及び散乱光は、半球面反射膜242でほぼ垂直に反射され、フローセル240の中心付近を経て、半球面レンズ部243の表面でほぼ屈折されないで、半球面レンズ部243の表面から出射する。
【0079】
第7の実施の形態に係る粒子検出装置のその他の構成要素は、第5の実施の形態と同様である。第7の実施の形態に係る粒子検出装置においても、迷光は、
図18に示すフローセル240の貫通孔及び楕円鏡50の長軸に対して垂直な平面内で生じる。そのため、楕円鏡50の長軸と交差する頂点側への迷光の進入を抑制することが可能となる。また、楕円鏡50に設ける切り欠き51を小さくすることが可能となる。
【0080】
なお、第1及び第2の半球部材246、247の貫通孔276、277には励起光が照射されない。したがって、第1及び第2の半球部材246、247の貫通孔276、277の内壁の平滑度は、板状部材245の貫通孔275の内壁の平滑度と同じでもよいが、低くしてもよい。
【0081】
また、板状部材245の貫通孔275の直径が小さいほど、検査光の焦点に対して検査対象物質が流れる範囲が狭くなり、かつ検査光の焦点を複数の検査対象物質が同時に通過する可能性が低くなる。そのため、貫通孔275の直径が小さいほうが、蛍光及び散乱光の検出分解能が向上する傾向にある。これに対し、励起光を照射されない第1及び第2の半球部材246、247の貫通孔276、277の直径は、蛍光及び散乱光の検出分解能への影響が小さい。したがって、第1及び第2の半球部材246、247の貫通孔276、277の直径は、板状部材245の貫通孔275の直径と同じでもよいが、より大きくてもよい。
【0082】
さらに、板状部材245を透過する検査光の光強度は、貫通孔275内の粒子で生じる蛍光及び散乱光の光強度よりも強い。強い光強度を有する励起光は、迷光の原因になりうるため、検査光が入射される板状部材245の材料は、合成石英等、透明度が高い材料であることが好ましい。これに対し、蛍光及び散乱光の光強度は弱く、迷光の原因になりにくい。そのため、第1及び第2の半球部材246、247の材料の透明度は、板状部材245の材料の透明度と同じでもよいが、第1及び第2の半球部材246、247には、蛍光及び散乱光が透過する範囲内において、板状部材245の材料よりも透明度の低い安価な材料を用いてもよい。
【0083】
次に、第7の実施の形態に係るフローセル240の製造方法を説明する。
図25に示すように、板状部材245を用意し、
図26に示すように、板状部材245に貫通孔275を設ける。また、
図27に示すように、第1の半球部材246を用意し、
図28に示すように第1の半球部材246の半球面上に半球面反射膜242を形成する。さらに、
図29に示すように、半球面反射膜242が設けられた第1の半球部材246に貫通孔276を設ける。またさらに、
図30に示すように、第2の半球部材247を用意し、
図31に示すように、第2の半球部材247に貫通孔277を設ける。
【0084】
貫通孔275、276、277は、例えば、エッチング法により設けることが可能である。あるいは、貫通孔275、276、277は、ドリルにより設けてもよい。さらに、貫通孔275、276、277を形成後、貫通孔275、276、277の内壁を研磨等して平滑度を上げてもよい。なお、貫通孔275の内壁のみを研磨等して平滑度をあげてもよい。
【0085】
ここで、半球部材よりも板状部材のほうが、内壁の平滑度の高い貫通孔を設けやすい。また、上述したように、製造されるフローセル240において、板状部材245には励起光が照射されるが、第1及び第2の半球部材246、247には励起光が照射されない。したがって、板状部材245に内壁の平滑度が高い貫通孔275を設け、第1及び第2の半球部材246、247に、内壁の平滑度が貫通孔275よりも低い貫通孔276、277を設けて、第7の実施の形態に係るフローセル240の製造コストを低下させてもよい。
【0086】
さらに、半球部材よりも板状部材のほうが、直径の小さい貫通孔を設けやすい。またさらに、上述したように、板状部材245の貫通孔275の直径は小さい方が、製造されるフローセル240における蛍光及び散乱光の検出分解能が高くなるが、励起光が照射されない第1及び第2の半球部材246、247の貫通孔276、277の直径が検出分解能に与える影響は小さい。したがって、板状部材245に直径の小さい貫通孔275を設け、第1及び第2の半球部材246、247に、貫通孔275よりも直径が大きい貫通孔276、277を設けて、第7の実施の形態に係るフローセル240の製造コストを低下させてもよい。
【0087】
貫通孔275が設けられた板状部材245は、延伸法により製造してもよい。例えば、
図32に示すような、断面形状が円である貫通孔527が設けられたガラス母材520を用意し、貫通孔527の延伸方向と同じ方向にガラス母材520を加熱延伸することにより、断面においてガラス母材が縮小され、貫通孔527の直径が、製造される
図26に示す板状部材245の貫通孔275と同じになる。その後、
図32に示す延伸されたガラス母材520の端部から、
図26に示す板状部材245が切り出される。切り出された板状部材245は、研磨されてもよい。
【0088】
図23に示す板状部材245と、第1及び第2の半球部材246、247とは、貫通孔276、275、277が連通するように位置決めされ、例えばオプティカルコンタクトにより接合される。あるいは、板状部材10と、第1及び第2の半球部材246、247とは、光学接着剤等により接着されてもよい。このようにして、第7の実施の形態に係るフローセル240が得られる。
【0089】
以上説明した第7の実施の形態に係るフローセル240の製造方法によれば、板状部材245、並びに第1及び第2の半球部材246、247を貼り合わせることにより、一体成型では製造が困難な立体形状を有するレンズ部分を含むフローセルを製造することが可能である。
【0090】
また、部材に、内壁に角がある貫通孔を設けようとすると、角においてクラックや空隙が形成されやすい傾向にある。これに対し、第7の実施の形態に係るフローセル240の製造方法においては、断面形状が円である貫通孔275、276、277が形成されるため、貫通孔275、276、277の内壁にクラックや空隙が形成されることを抑制することが可能となる。
【0091】
さらに、内壁の平滑度が高い貫通孔を部材に設けるのは、貫通孔の直径が小さくなるほど困難となり、また、部材の厚みが長くなるほど困難となる。そのため、フローセルの母材を一体成型した後に、フローセルの母材に、直径が小さい貫通孔を設け、研磨等により内壁の平滑度を上げることは困難である。これに対し、第7の実施の形態に係るフローセル240の製造方法によれば、予め貫通孔275、276、277が設けられた板状部材245、並びに第1及び第2の半球部材246、247を貼り合わせることにより、励起光が照射される貫通孔275の直径を小さくし、かつ内壁の平滑度を高くすることが可能である。
【0092】
(第8の実施の形態)
図33に示す第8の実施の形態に係る粒子検出装置のフローセル240においては、
図34に示すように、板状部材245の第1主面311及び第2主面312の幅が、半球面反射膜242が設けられた第1の半球部材、及び第2の半球部材247の底面の外径よりも広い。板状部材245の第1の半球部材及び第2の半球部材247よりも幅広の部分は、フローセル240の突出部をなしている。フローセル240の突出部は、
図33に示すように、検査光の光路を含む平面の一部を含み、かつ
図34に示すフローセル240の貫通孔275の延伸方向に対して垂直である。
【0093】
上述したように、フローセル240が検査光で照射された際に、検査光が、断面形状が円である貫通孔275の内壁と、貫通孔275内の流体と、の曲面の界面で反射及び屈折し、迷光になる場合がある。フローセル240の貫通孔275の延伸方向に対して垂直な平面内において、検査光とフローセル240の貫通孔275の交点を頂点とし、頂角が約30度から60度である扇状に、迷光は広がる傾向にある。
【0094】
しかし、
図34に示すように、フローセル240の突出部において、突出部の内部から、突出部と外側の空気との界面に斜入射した迷光は全反射されるため、迷光はフローセル240の突出部内部で全反射を繰り返しながら突出部内部を進行していく。そのため、検査光の光路を含むように設けられたフローセル240の突出部は、迷光の導波路として機能する。したがって、
図33に示す楕円鏡50とフローセル240の突出部が交差しないようにし、楕円鏡50の外部でフローセル240の突出部から迷光を出射させることによって、迷光が光検出器60A、60B、60Cに到達することを抑制することが可能となる。
【0095】
第8の実施の形態に係る粒子検出装置のその他の構成要素は、第7の実施の形態と同様である。
【0096】
(第9の実施の形態)
第9の実施の形態に係る粒子検出装置は、
図35に示すように、検査光を発する検査光源30と、粒子を含む流体が流れる、断面形状が円である貫通孔14が設けられた透明なフローセル4であって、貫通孔14の延伸方向に対して垂直に検査光を照射されるフローセル4と、検査光とフローセル4の貫通孔14の交点を頂点とする、検査光の光路と平行、かつフローセル4の貫通孔14の延伸方向に対して垂直な扇状の面200を含むように配置された迷光減衰部材80と、フローセル4に対して、迷光減衰部材80の後方に配置された光検出器60であって、フローセル4内で検査光を照射された粒子で生じた反応光を検出する光検出器60と、を備える。
【0097】
上述したように、検査領域としての貫通孔14内部で検査光を照射された蛍光性粒子は蛍光を発する。また、検査光を照射された蛍光性粒子及び非蛍光性粒子において、例えばミー散乱による散乱光が生じる。光を照射された粒子において生じた反応光としての蛍光及び散乱光は、粒子から全方位的に発せられる。
【0098】
さらに、フローセル4が検査光で照射された際に、検査光が、断面形状が円である貫通孔14の内壁と、貫通孔14内の流体と、の曲面の界面で反射及び屈折し、迷光になる場合がある。フローセル4の貫通孔14の延伸方向に対して垂直な平面内において、検査光とフローセル4の貫通孔14の交点を頂点とし、頂角が約30度から60度である扇状に、迷光は広がる傾向にある。
【0099】
反応光は、粒子から全方位的に発せられるが、迷光はフローセル4の貫通孔14の延伸方向に対して垂直な平面内に分布し、フローセル4の貫通孔14の延伸方向と平行な方向には分布しない傾向にある。そのため、迷光減衰部材80を、検査光とフローセル4の貫通孔14の交点を頂点とする、検査光の光路と平行、かつフローセル4の貫通孔14の延伸方向に対して垂直な扇状の面を含むように配置しても、全方位的に発せられた反応光は、迷光減衰部材80の後方に到達する。したがって、フローセル4の貫通孔14の延伸方向と平行な方向において、迷光減衰部材80の幅を、光検出器60の受光面の幅よりも小さくすると、迷光減衰部材80の上下を通り過ぎた反応光を、光検出器60で検出することが可能となる。
【0100】
第9の実施の形態に係る粒子検出装置のその他の構成要素は、第1の実施の形態と同様である。
【0101】
(その他の実施の形態)
上記のように本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、粒子検出装置は、粒子が発する蛍光のみを検出対象としてもよいし、粒子で生じた散乱光のみを検出対象としてもよい。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。