(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
情報処理装置や通信制御装置などの様々な電子機器へ直流電圧を供給するための、様々なスイッチング電源回路が知られている。
【0003】
図6は、一般的なスイッチング電源回路109の構成を示す回路図である。そのスイッチング電源回路109は、スイッチング素子91及びスイッチング素子92を
図7に示すように交互にオン、オフさせることにより、直流電圧を出力する。
図7は、スイッチング電源回路109におけるスイッチング素子91及びスイッチング素子92のオン及びオフのタイミングを示すタイムチャートである。
【0004】
図6に示す回路において、スイッチング素子91及びスイッチング素子92が共にオフの状態の場合、スイッチング素子91及びスイッチング素子92のそれぞれには入力電圧Vinの1/2の電圧が印可されている。この状態からスイッチング素子91及びスイッチング素子92のいずれかがオンの状態に変化する場合、その変化するスイッチング素子91及びスイッチング素子92には入力電圧Vinの1/2の電圧が印可されている。従って、スイッチング素子91及びスイッチング素子92のそれぞれは、その入力電圧Vinの1/2の電圧が印可された状態からオンに移行するため、スイッチング損失が大きいという問題がある。
【0005】
このような問題点を解決する技術が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のスイッチング電源装置は、オンオフを繰り返す第1のスイッチング手段、その第1のスイッチング手段と交互にオンオフを繰り返す第2のスイッチング手段、及び双方向スイッチング手段を備える。その双方向スイッチング手段は、その第1及び2のスイッチング手段が共にオフの期間において、トランスの一次巻線を短絡してそのトランスの蓄積エネルギーを連続に保つように構成されている。そして、そのスイッチング電源装置において、この蓄積エネルギーにより、その第1及び2のスイッチング手段のそれぞれに等価的に並列接続される寄生コンデンサの電荷を放電された後、その第1及び2のスイッチング手段のそれぞれがターンオンされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スイッチング電源回路は、より低損失であることが求められる。
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された技術においては、損失の低減が十分でないという問題点がある。
【0009】
その理由は、特許文献1のスイッチング電源の回路においては、そこで使用されるスイッチング素子の耐圧が、少なくとも入力電圧の1/2以上でなければならないからである。換言すると、特許文献1のスイッチング電源の回路は、オン抵抗が小さくて導通損失が小さい、低耐圧のスイッチング素子を利用することができないからである。
【0010】
本発明の目的は、上述した問題点を解決できるスイッチング電源回路及びスイッチング電源制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一様態におけるスイッチング電源回路は、第1のスイッチング素子と、第2のスイッチング素子と、第3のスイッチング素子と、第4のスイッチング素子と、トランスと、第一のダイオードと、第1のコンデンサと、第2のコンデンサと、タイミング制御回路と、を含み、前記トランスは、第1の一次巻線と、第2の一次巻線と、を含み、入力電圧のプラス側とマイナス側との間に、前記第1のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子、前記第1の一次巻線、前記第2の一次巻線、前記第4のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子が、順次直列に接続され、前記第1のスイッチング素子と前記第3のスイッチング素子との間に前記第1のダイオードのカソード側が接続され、前記第2のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子との間に前記第1のダイオードのアノード側が接続され、前記入力電圧のプラス側とマイナス側との間に、前記第1のコンデンサ及び前記第2のコンデンサが順次直列に接続され、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの間に、前記第1の一次巻線の巻終り側と、前記第2の一次巻線の巻終り側とが接続され、前記タイミング制御回路は、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とを、一定周期で交互にオン状態及びオフ状態にし、前記第3のスイッチング素子を、前記第1のスイッチング素子をオンするタイミングよりも所定時間だけ前にオフし、前記第1のスイッチング素子と同時にオンし、前記第4のスイッチング素子を、前記第2のスイッチング素子をオンするタイミングよりも所定時間だけ前にオフし、前記第2のスイッチング素子と同時にオンする。
【0012】
本発明の一様態における電子機器は、第1のスイッチング素子と、第2のスイッチング素子と、第3のスイッチング素子と、第4のスイッチング素子と、トランスと、第一のダイオードと、第1のコンデンサと、第2のコンデンサと、タイミング制御回路と、を含み、
前記トランスは、第1の一次巻線と、第2の一次巻線と、を含み、入力電圧のプラス側とマイナス側との間に、前記第1のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子、前記第1の一次巻線、前記第2の一次巻線、前記第4のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子が、順次直列に接続され、前記第1のスイッチング素子と前記第3のスイッチング素子との間に前記第1のダイオードのカソード側が接続され、前記第2のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子との間に前記第1のダイオードのアノード側が接続され、前記入力電圧のプラス側とマイナス側との間に、前記第1のコンデンサ及び前記第2のコンデンサが順次直列に接続され、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの間に、前記第1の一次巻線の巻終り側と、前記第2の一次巻線の巻終り側とが接続され、前記タイミング制御回路は、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とを、一定周期で交互にオン状態及びオフ状態にし、前記第3のスイッチング素子を、前記第1のスイッチング素子をオンするタイミングよりも所定時間だけ前にオフし、前記第1のスイッチング素子と同時にオンし、前記第4のスイッチング素子を、前記第2のスイッチング素子をオンするタイミングよりも所定時間だけ前にオフし、前記第2のスイッチング素子と同時にオンするスイッチング電源回路と、前記スイッチング電源回路に直流電力を供給する直流電源手段と、前記スイッチング電源回路から直流電力を供給される負荷と、を含む。
【0013】
本発明の一様態におけるスイッチング電源制御方法は、第1のスイッチング素子と、第2のスイッチング素子と、第3のスイッチング素子と、第4のスイッチング素子と、トランスと、第一のダイオードと、第1のコンデンサと、第2のコンデンサと、タイミング制御回路と、を含み、前記トランスは、第1の一次巻線と、第2の一次巻線と、を含み、入力電圧のプラス側とマイナス側との間に、前記第1のスイッチング素子、前記第3のスイッチング素子、前記第1の一次巻線、前記第2の一次巻線、前記第4のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子が、順次直列に接続され、前記第1のスイッチング素子と前記第3のスイッチング素子との間に前記第1のダイオードのカソード側が接続され、前記第2のスイッチング素子と前記第4のスイッチング素子との間に前記第1のダイオードのアノード側が接続され、前記入力電圧のプラス側とマイナス側との間に、前記第1のコンデンサ及び前記第2のコンデンサが順次直列に接続され、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの間に、前記第1の一次巻線の巻終り側と、前記第2の一次巻線の巻終り側とが接続されたスイッチング電源回路が、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とを、一定周期で交互にオン状態及びオフ状態にし、前記第3のスイッチング素子を、前記第1のスイッチング素子をオンするタイミングよりも所定時間だけ前にオフし、前記第1のスイッチング素子と同時にオンし、前記第4のスイッチング素子を、前記第2のスイッチング素子をオンするタイミングよりも所定時間だけ前にオフし、前記第2のスイッチング素子と同時にオンする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、スイッチング電源回路の損失を低減することが可能になるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。尚、各図面及び明細書記載の各実施形態において、同様の構成要素には同一の符号を付与し、説明を適宜省略する。
【0017】
<<<第1の実施形態>>>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチング電源回路101の回路図である。
【0018】
図1に示すように、スイッチング電源回路101は、タイミング制御回路30、トランス21を含む。トランス21は、一次巻線(第1の一次巻線)211、一次巻線(第2の一次巻線)212、二次巻線(第1の二次巻線)221、二次巻線(第2の二次巻線)222を含む。更に、スイッチング電源回路101は、コンデンサ41、コンデンサ(第1のコンデンサ)42、コンデンサ(第2のコンデンサ)43、コンデンサ(第3のコンデンサ)44を含む。更に、スイッチング電源回路101は、ダイオード61、ダイオード62、ダイオード63、ダイオード64、ダイオード(第1のダイオード)65、ダイオード(第2のダイオード)66、ダイオード(第3のダイオード)67、チョークコイル71を含む。更に、スイッチング電源回路101は、スイッチング素子(第1のスイッチング素子)91、スイッチング素子(第2のスイッチング素子)92、スイッチング素子(第3のスイッチング素子)93及びスイッチング素子(第4のスイッチング素子)94を含む。
【0019】
図1において、Vin+及びVin−のそれぞれは、入力電圧Vinのプラス側及びマイナス側のそれぞれを示す。
図1において、Vout+及びVout−のそれぞれは、出力電圧Voutのプラス側及びマイナス側のそれぞれを示す。
【0020】
以下の説明では、
図1における、スイッチング素子91、スイッチング素子92、スイッチング素子93及びスイッチング素子94のそれぞれの、上側に対応する端子(不図示)を第1端子、下側に対応する端子(不図示)を第2端子と呼ぶ。また、
図1における、コンデンサ41、コンデンサ42、コンデンサ43及びコンデンサ44のそれぞれの、上側に対応する端子(不図示)を第1端子、下側に対応する端子(不図示)を第2端子と呼ぶ。また、
図1における、チョークコイル71の、左側に対応する端子(不図示)を第1端子、右側に対応する端子(不図示)を第2端子と呼ぶ。
【0021】
スイッチング素子91の第1端子と、コンデンサ42の第1端子と、コンデンサ41の第1端子と、ダイオード61のカソード側とが、Vin+に接続される。
【0022】
スイッチング素子91の第2端子と、スイッチング素子93の第1端子と、ダイオード65のカソード側と、ダイオード61のアノード側と、ダイオード63のカソード側とが、接続される。
【0023】
スイッチング素子92の第2端子と、一次巻線211の巻始め側とが、接続される。
【0024】
一次巻線211の巻終り側と、一次巻線212の巻始め側と、コンデンサ42の第2端子と、コンデンサ43の第1端子とが、接続される。
【0025】
一次巻線212の巻終り側と、スイッチング素子94の第1端子と、ダイオード64のカソード側とが、接続される。
【0026】
スイッチング素子94の第2端子と、スイッチング素子92の第1端子と、ダイオード65のアノード側と、ダイオード64のアノード側と、ダイオード62のカソード側とが、接続される。
【0027】
スイッチング素子92の第2端子と、コンデンサ43の第2端子と、ダイオード62のアノード側とが、Vin−に接続される。
【0028】
チョークコイル71の第1端子と、コンデンサ44の第1端子とが、Vout+に接続される。
【0029】
チョークコイル71の第2端子と、ダイオード66のカソード側と、ダイオード67のカソード側とが、接続される。
【0030】
二次巻線221の巻始め側と、ダイオード66のアノード側とが、接続される。
【0031】
二次巻線222の巻終り側と、ダイオード67のアノード側とが、接続される。
【0032】
二次巻線221の巻終り側と、二次巻線222の巻始め側とが、Vout−に接続される。
【0033】
図2は、本実施形態に係るスイッチング電源回路101の特徴的な構成部分を示す回路図である。
図2に基づいて、本実施形態の構成は、以下のようにも、表される。
【0034】
入力電圧Vinのプラス側(Vin+)とマイナス側(Vin−)との間に、スイッチング素子91、スイッチング素子93、一次巻線211、一次巻線212、スイッチング素子94及びスイッチング素子92が、この記載の順序で直列に接続される。
【0035】
スイッチング素子93のプラス側(ドレイン側)にダイオード65のカソード側が接続される。そして、スイッチング素子94のマイナス側(ソース側)にダイオード65のアノード側が接続される。
【0036】
入力電圧Vinのプラス側とマイナス側との間に、コンデンサ42及びコンデンサ43が直列に接続される。そして、コンデンサ42とコンデンサ43の接続点に一次巻線211の巻終り側及び一次巻線212の巻終り側が接続される。
【0037】
二次巻線221の巻始め側がダイオード66のアノード側に接続され、二次巻線222の巻終り側がダイオード67のアノード側に接続される。
【0038】
ダイオード66のカソード側と、ダイオード67のカソード側と、チョークコイル71の一方とが、Vout+に接続される。
【0039】
チョークコイル71の他方と、コンデンサ44の一方とが、接続される。また、二次巻線221の巻終りと、二次巻線222の巻始め側と、コンデンサ44の他方とが、Vout−に接続される。
タイミング制御回路30は、スイッチング素子91とスイッチング素子92とを、一定周期で交互にオン状態及びオフ状態にする。換言すると、タイミング制御回路30は、所望の出力直流電圧に比例したパルス幅で、スイッチング素子91とスイッチング素子92とをスイッチングする。
【0040】
タイミング制御回路30は、スイッチング素子93を、スイッチング素子91をオンするタイミングよりも所定時間だけ前にオフし、スイッチング素子91と同時にオンする。また、タイミング制御回路30は、スイッチング素子94を、スイッチング素子92をオンするタイミングよりも所定時間だけ前にオフし、スイッチング素子92と同時にオンする。
【0041】
次に本実施形態の動作について、図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
図3は、スイッチング素子91、スイッチング素子92、スイッチング素子93及びスイッチング素子94の、タイミング制御回路30の制御に基づく、オン及びオフのタイミングを示すタイムチャートである。
【0043】
スイッチング素子91及びスイッチング素子93がオン状態時に、電流は、スイッチング素子91、スイッチング素子93、一次巻線211及びコンデンサ43の経路で流れる。この電流は、トランス21の一次側の電力を二次巻線221に伝達する。そして、二次巻線221を流れる電流は、ダイオード66、チョークコイル71及びコンデンサ44により整流され、平滑化され、直流電圧Voutを出力する。
【0044】
次に、スイッチング素子91がオフされると、一次巻線211に蓄えられたエネルギーにより、スイッチング素子93、一次巻線211、一次巻線212、スイッチング素子94及びダイオード65の経路で、循環電流が流れる。
【0045】
その循環電流が流れている状態において、スイッチング素子92がオンされる前に、スイッチング素子94がオフされると、その循環電流が、スイッチング素子92の出力容量に充電されていた電荷を引き抜く。ここで、スイッチング素子92の出力容量は、例えば、MOSFET(Metal‐Oxide‐Semiconductor Field‐Effect Transistor)のドレインとソース間の容量などである。出力容量に充電されていた電荷を引き抜かれたスイッチング素子92の両端の電圧は、ほぼゼロボルトまで低下する。
【0046】
次に、両端の電圧がほぼゼロボルトに低下したスイッチング素子92がオンされる。即ち、この場合のスイッチング素子92のスイッチングは、ゼロ電圧スイッチングとなる。従って、スイッチング素子92の出力容量に電荷が充電されている場合のスイッチングに比べて、スイッチングロスが低減される。
【0047】
また、スイッチング素子92の両端の電圧がほぼゼロボルトに低下した時、一次巻線211には「(Vin/2)−(スイッチング素子92のドレイン電圧)」が印可される。従って、一次巻線212にも「(Vin/2)−(スイッチング素子92のドレイン電圧)」が生じる。このため、スイッチング素子94の両端の電圧は、ほぼゼロボルトになる。従って、スイッチング素子94は、スイッチング素子92と同時にオンされることにより、常にゼロ電圧スイッチングとなる。この場合、スイッチング素子94は、そのゼロ電圧スイッチングが可能な範囲で、オン抵抗の小さい低耐圧のスイッチング素子であってよい。
【0048】
次に、スイッチング素子92、スイッチング素子94がオン状態時に、電流は、コンデンサ42、一次巻線212、スイッチング素子94、スイッチング素子92の経路で流れる。この電流は、トランス21の一次側の電力を二次巻線222に伝達する。そして、二次巻線222を流れる電流は、ダイオード67、チョークコイル71、コンデンサ44により整流され、平滑化され、直流電圧Voutを出力する。
【0049】
次に、スイッチング素子92がオフされると、一次巻線212に蓄えられたエネルギーにより、スイッチング素子93、一次巻線211、一次巻線212、スイッチング素子94、ダイオード65の経路で、循環電流が流れる。
【0050】
その循環電流が流れている状態において、スイッチング素子91がオンされる前に、スイッチング素子93がオフされると、その循環電流が、スイッチング素子91の出力容量に充電されていた電荷を引き抜く。出力容量に充電されていた電荷を引き抜かれたスイッチング素子91の両端の電圧はほぼゼロボルトまで低下する。
【0051】
次に、両端の電圧がほぼゼロボルトに低下したスイッチング素子91がオンされる。即ち、この場合のスイッチング素子91のスイッチングは、ゼロ電圧スイッチングとなる。従って、スイッチング素子91の出力容量に電荷が充電されている場合のスイッチングに比べて、スイッチングロスが低減される。
【0052】
また、スイッチング素子91の両端の電圧がほぼゼロボルトに低下した時、一次巻線212には「(Vin/2)−(スイッチング素子91のドレイン電圧)」が印可される。従って、一次巻線211にも「(Vin/2)−(スイッチング素子91のドレイン電圧)」が生じる。このため、スイッチング素子93の両端の電圧は、ほぼゼロボルトになる。従って、スイッチング素子93は、スイッチング素子91と同時にオンされることにより、常にゼロ電圧スイッチングとなる。この場合、スイッチング素子93は、そのゼロ電圧スイッチングが可能な範囲で、オン抵抗の小さい低耐圧のスイッチング素子であってよい。(例えばMOSFETは、低耐圧になるほどオン抵抗が小さいため、導通損失を小さくすることができる。
【0053】
上述した本実施形態における効果は、スイッチング電源回路101の損失を低減することが可能になる点である。
【0054】
その第1の理由は、上述の回路構成において、スイッチング素子93及びスイッチング素子94が、たかだかゼロ電圧スイッチングに必要な、オン抵抗の小さい低耐圧のスイッチング素子だからである。
【0055】
その第2の理由は、上述の回路構成において、スイッチング素子91、スイッチング素子92、スイッチング素子93及びスイッチング素子94のスイッチング損失が、たかだかゼロ電圧スイッチングで発生するスイッチング損失だからである。
【0056】
<<<第2の実施形態>>>
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下、本実施形態の説明が不明確にならない範囲で、前述の説明と重複する内容については説明を省略する。
【0057】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るスイッチング電源回路102の構成を示すブロック図である。
【0058】
図4に示すように、本実施形態におけるスイッチング電源回路102は、第1の実施形態のスイッチング電源回路101と比べて、二次側の整流平滑部にダイオード(第4のダイオード)68を、更に含む点が異なる。二次側の整流平滑部とは、二次巻線221、二次巻線222、ダイオード66、ダイオード67、チョークコイル71及びコンデンサ44よりなる回路である。
【0059】
前述の通り、スイッチング素子91及びスイッチング素子92がオフとなっている期間に一次側の循環電流がスイッチング素子93、トランス21の一次巻線211、一次巻線212、スイッチング素子94、ダイオード65を通して流れる。
【0060】
この時、
図1に示すスイッチング電源回路101の二次側の整流平滑部は、以下のように動作する。
【0061】
この循環電流が流れる期間中に、二次側の電流はチョークコイル71に蓄積されたエネルギーにより、以下の2つの、二次側に電流が流れる経路が存在する。第1の経路は、コンデンサ44のマイナス側からトランス21の二次巻線221、ダイオード66を通ってチョークコイル71に流れる経路である。第2の経路は、コンデンサ44のマイナス側から二次巻線222、ダイオード67を通ってチョークコイル71に流れる経路である。この2つの経路により、トランス21の二次巻線221及び二次巻線222は、すべての期間において電流が流れており、トランス21の巻線による損失が発生し続けている。
【0062】
これに対し、
図4に示す本実施形態のスイッチング電源回路102においては、二次側に流れる電流の経路がコンデンサ44のマイナス側からダイオード68、チョークコイル71に流れる経路になる。このため、二次巻線221、二次巻線222に電流が流れない期間ができ、トランス21の二次巻線221、二次巻線222による損失を低減する効果がある。
【0063】
上述した本実施形態における効果は、第1の実施形態の効果に加え、更に、スイッチング電源回路102の損失を低減することが可能になる点である。
【0064】
その理由は、チョークコイル71に蓄積されたエネルギーにより流れる電流が、ダイオード68を経路とし、トランス21を流れないからである。
【0065】
<<<第3の実施形態>>>
次に、本発明の第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下、本実施形態の説明が不明確にならない範囲で、前述の説明と重複する内容については説明を省略する。
【0066】
図5は、本実施形態の電子機器500の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、電子機器500は、直流電源501、スイッチング電源回路502及び負荷503を含む。
【0067】
スイッチング電源回路502は、
図1に示すスイッチング電源回路101及び
図4に示すスイッチング電源回路102のいずれかであってよい。
【0068】
直流電源501は、スイッチング電源回路502に直流電力を供給する。
【0069】
負荷503は、スイッチング電源回路502から直流電力を供給される。
【0070】
上述した本実施形態における効果は、電子機器500におけるスイッチング電源回路502の損失を低減することが可能になる点である。
【0071】
その理由は、スイッチング電源回路502として、スイッチング電源回路101及びスイッチング電源回路102のいずれかを使用するからである。
【0072】
以上、各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。