(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557050
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】運転支援装置を備えた車輌のステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
B60W 50/10 20120101AFI20190729BHJP
B60W 30/10 20060101ALI20190729BHJP
B60K 37/00 20060101ALI20190729BHJP
B62D 1/04 20060101ALI20190729BHJP
B60K 31/00 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
B60W50/10
B60W30/10
B60K37/00 E
B62D1/04
B60K31/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-89501(P2015-89501)
(22)【出願日】2015年4月24日
(65)【公開番号】特開2016-203864(P2016-203864A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2017年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100071216
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 昌毅
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 潤
(72)【発明者】
【氏名】船山 竜士
(72)【発明者】
【氏名】森 大樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 綾子
(72)【発明者】
【氏名】熊井 雄一
(72)【発明者】
【氏名】川森 有真
(72)【発明者】
【氏名】松村 健
(72)【発明者】
【氏名】坂口 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】清水 司
【審査官】
菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04496018(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0177935(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102013110865(DE,A1)
【文献】
特開2006−160123(JP,A)
【文献】
特開2006−001432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00−50/16
B60K 31/00−31/18
B62D 1/00− 1/28
B60K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動操舵を含む運転支援装置を備えた車輌のステアリングホイールにして、自動操舵の実行中には、ステアリングホイールの左方または右方への傾動により運転支援の車線に対する左方または右方へのオフセットを増大させる設定変更が行えるようになっていることを特徴とするステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置を備えた車輌のステアリングホイールに係る。
【背景技術】
【0002】
先行車に追従する自車の走行を支援する運転支援装置を備えた車輌に於いて、運転支援装置のオンオフや車間距離を設定する操作ボタンをステアリングホイールのハブ部に設けることが下記の特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-069648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車輌の運転は、通常、運転者がステアリングホイールを両手で掴んだ状態で行われ、またこのようにステアリングホイールを両手で掴むことにより、運転者は走行中の車輌の揺動に対し上体の安定を保っている。ところで、現在開発が進行している車輌運転の自動化に於いては、車輌の制駆動と共に操舵をもコンピュータにより自動化することが考えられている。その場合、自動操舵中には運転者はステアリングホイールを操作しなくてよくなるが、運転者が両手でステアリングホイールを掴むことは、車輌の揺動に対し上体の安定を保つ上で有効であり、運転支援装置の作動中にもステアリングホイールを両手で掴んだままの状態でいられることが好ましいと考えられる。しかし、運転支援装置の作動中にも運転者の意志により目標車速を変更したり車線に対するオフセットや車線の変更ができるようになっていれば、運転者はその操作のために、たとえ運転支援装置の操作ボタンが上記特許文献1に於ける如くステアリングホイールのハブ部に設けられていたとしても、ステアリングホイールを掴んでいた両手の少なくとも一方をステアリングホイールより離して操作ボタンの位置へずらせなければならない。
【0005】
本発明は、上記の事情に着目し、自動操舵を含む運転支援装置を備えた車輌に於いて、自動操舵の実行中には、運転者はステアリングホイールを両手で掴んだままの状態で運転支援の設定変更ができるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決すべく、本発明は、自動操舵を含む運転支援装置を備えた車輌のステアリングホイールにして、自動操舵の実行中には、ステアリングホイールの傾動により運転支援の設定変更が行えるようになっていることを特徴とするステアリングホイールを提案するものである。
【0007】
ステアリングホイールの傾動による運転支援の設定変更は、ステアリングホイールを前傾させることにより目標車速を上げ、ステアリングホイールを後傾させることにより目標車速を下げることであってよい。
【0008】
ステアリングホイールの傾動による運転支援の設定変更は、ステアリングホイールを左傾させることにより車線に対する左方へのオフセットを増大させ、ステアリングホイールを右傾させることにより車線に対する右方へのオフセットを増大させることであってよい。この場合、更にステアリングホイールの左傾を所定時間以上持続させることにより車線を左方へ1車線だけ変更し、ステアリングホイールの右傾を所定時間以上持続させることにより車線を右方へ1車線だけ変更することであってよい。
【0009】
ステアリングホイールには、通常の手動操舵が行われるべきときには、環に沿った円形のイルミネーション表示がなされ、自動操舵時であって運転支援の設定変更が行われるべきときには、傾動方向を示す矢印のイルミネーション表示がなされるようになっていてよい。
【発明の効果】
【0010】
ステアリングホイールは、自動操舵の実行中には、前後或いは左右への傾動のみが可能な状態とされてもよいので、自動操舵を含む運転支援装置を備えた車輌のステアリングホイールに於いて、自動操舵の実行中には、ステアリングホイールの傾動により運転支援の設定変更が行えるようになっていれば、車輌の運転が通常の手動運転と自動操舵を含む運転支援装置による支援運転の間に切り換えられても、その間、運転者はステアリングホイールを両手で掴んだままでいることができ、ステアリングホイールを両手で掴んだままで運転支援装置の設定を変更することができる。
【0011】
ステアリングホイールの傾動による運転支援の設定変更が、ステアリングホイールを前傾させることにより目標車速を上げ、ステアリングホイールを後傾させることにより目標車速を下げることであれば、ステアリングホイールを両手で掴んだ運転者が車速を上げたい気持ちでステアリングホイールを前押しし或いは車速を下げたい気持ちでステアリングホイールを後引きする動作により、それに合わせた目標車速の変更を行わせることができる。
【0012】
ステアリングホイールの傾動による運転支援の設定変更が、ステアリングホイールを左傾させることにより車線に対する左方へのオフセットを増大させ、ステアリングホイールを右傾させることにより車線に対する右方へのオフセットを増大させることであれば、ステアリングホイールを両手で掴んだ運転者が車線に対し左にオフセットしたい気持ちでステアリングホイールを左に傾動させ或いは車線に対し右にオフセットしたい気持ちでステアリングホイールを右に傾動させる動作により、それに合わせた車線に対する左右のオフセット変更を行わせることができる。更にステアリングホイールの左傾を所定時間以上持続させることにより車線を左方へ1車線だけ変更し、ステアリングホイールの右傾を所定時間以上持続させることにより車線を右方へ1車線だけ変更するようになっていれば、車線に対する左右へのオフセットをより大きくする感覚でステアリングホイールの傾動時間を長くすることに合わせて車線を左右へ1車線だけ変更させることができる。
【0013】
ステアリングホイールに、通常の手動操舵が行われるべきときには、環に沿った円形のイルミネーション表示がなされ、自動操舵時であって運転支援の設定変更が行われるべきときには、傾動方向を示す矢印のイルミネーション表示がなされるようになっていれば、運転者は運転支援装置が作動状態にあるか非作動状態にあるかを明確に把握して誤りなくそれに適応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明によるステアリングホイールを運転支援装置が非作動状態にある通常の手動操舵状態にて例示する正面図である。
【
図2】
図1に示す手動操舵状態にあるステアリングホイールが左方または右方へ回動された状態を示す正面図である。
【
図3】本発明によるステアリングホイールを運転支援装置が自動操舵を行う支援運転状態にて例示する正面図である。
【
図4】
図3に示す支援運転状態にあるステアリングホイールが前方、後方、左方または右方へ傾動された状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記の各図に於いて、1はステアリングホイールの手にて掴まれる環状部であり、2はハブ部である。
【0016】
運転支援装置が非作動状態にある通常の手動操舵状態にあるときには、ステアリングホイールの環状部1には、
図1および
図2にて示す如く、それに沿った円形のイルミネーション表示3がなされ、運転者にステアリングホイールの回動操作が促される。
【0017】
運転支援装置が自動操舵を行う作動状態にあるときには、ステアリングホイールの環状部1には、
図3および
図4にて示す如く、それに沿った前後左右の4箇所に矢印のイルミネーション表示4〜7がなされ、運転者にステアリングホイールの傾動操作が促される。
【0018】
以上に於いては本発明を一つの実施例について詳細に説明したが、かかる実施例について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【符号の説明】
【0019】
1…環状部、2…ハブ部、3…円形イルミネーション表示、4〜7…矢印イルミネーション表示