(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、簡易な構造でありながら、閉鎖姿勢の扉体に大きな水圧が作用した場合にも耐え得るドア装置の防水構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した技術手段は、
四周状のドア枠と、扉体と、からなるドア装置の防水構造であって、
前記ドア枠には、室外側に向かって開口する四周状の溝部が形成されており、
前記溝部には、当該溝部に装着される基部と、中空状の膨出部と、を備えた弾性の水密部材が四周状に装着されており、
閉鎖姿勢の扉体の室内側面部が前記膨出部に接触するようになっており、
前記弾性水密部材の一部あるいは全部は、前記基部から前記膨出部の中空部内に突出する中実の台座を備えている、
ドア装置の防水構造、である。
好ましい態様では、四周状の水密部材の全長に亘って台座が設けてあるが、例えば、下端の水平状の水密部材、戸先側及び戸尻側の垂直状の水密部材の下端から所定高さ(例えば、想定水位)に亘ってのみ台座を設けたものでもよい。
典型的な態様では、前記水密部材は水密ゴム部材である。
【0007】
1つの態様では、閉鎖姿勢の扉体において、当該扉体に室内側への押圧力が作用しない状態では、前記扉体の室内側面部が前記膨出部に接触する一方、前記膨出部の内面と前記台座とは離間しており、
前記閉鎖姿勢の扉体に室内側への押圧力が作用した時には、潰れるように変形した前記膨出部の内面が前記台座に当接し、前記台座によって内面から支持された前記膨出部の外面に前記室内側面部が密着するようになっている。
1つの態様では、押圧力が作用した時に、前記台座の突出姿勢が維持され、前記台座は前記溝部の開口よりも室外側に位置して前記膨出部の内面に当接する。
【0008】
1つの態様では、前記膨出部の外面にはフィンが突成されており、前記フィンは前記ドア枠に接触している。
1つの態様では、前記四周状の溝部の少なくとも下側の戸先側コーナー部、戸尻側コーナー部に装着される水密部材は、垂直部分と水平部分とからL形状に形成された要素であり、前記垂直部分と前記水平部分は傾斜面同士を接着することで一体化されている。
【0009】
本発明が採用した他の技術手段は、
四周状のドア枠と、扉体と、からなるドア装置の防水構造であって、
前記扉体の室内側面部の周縁には室内側に向かって開口する四周状の溝部が形成されており、
前記溝部には、当該溝部に装着される基部と、中空状の膨出部と、を備えた弾性の水密部材が四周状に装着されており、
扉体の閉鎖姿勢において、前記膨出部が前記四周状のドア枠の面部に接触するようになっており、
前記弾性水密部材の一部あるいは全部は、前記基部から前記膨出部の中空部内に突出する中実の台座を備えている、
ドア装置の防水構造、である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、水密部材の膨出部の中空部に中実の台座を設けるという簡易な構造でありながら、閉鎖姿勢の扉体に室内側への押圧力が作用した時には、潰れるように変形した膨出部の内面が前記台座に当接し、前記台座によって内面から支持された前記膨出部の外面に扉体の室内側面部が密着することで水密構造を得ることができ、例えば津波や洪水により大きな水圧が作用する可能性のある現場での使用に耐え得る防水構造を備えたドア装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るドア装置(全閉状態)を室外側から見た正面図、
図2は、当該ドア装置を室内側から見た正面図である。
図3、
図4は、それぞれ、本実施形態に係るドア装置(全閉状態)の縦断面図、横断面図である。
図1〜
図4に示すように、ドア装置は、建物開口部を形成するドア枠1と、ドア枠1に回動可能に装着されており、当該ドア枠1を開閉する扉体2と、からなる。
図3において、左側が室外側、右側が室内側であり、
図4において、下側が室外側、上側が室内側である。本明細書において、「室外側」、「室内側」は、ある要素が実際に室外側、室内側に位置する場合を規定するのみならず、ある要素の部位や部分を規定することにも用いられ、例えば、実際に室内側に位置する要素において室外側に近い部位を規定することに用いられる。
【0013】
開き戸である扉体2は、縦長方形状の室外側面部20と、縦長方形状の室内側面部21と、上面部22と、戸先側面部23と、戸尻側面部24と、下面部25と、を備えている。図示の態様では、扉体2の室外側面部20、室内側面部21、戸先側面部23、戸尻側面部24は垂直面であり、上面部22は水平面であり、下面部25は下向き凹状となっている。扉体2の室外側面部20及び室内側面部21の戸先側にはハンドル26が装着されており、扉体2の室外側面部20の戸尻側とドア枠1の戸尻側縦枠12には扉体2をドア枠1に対して回動可能に取り付けるための丁番27が設けてある。扉体2の室内側面部21の上方にはドアクローザ28が設けてある。ハンドル26に加えて、あるいは、代えて、グレモンハンドルを設けてもよい。図示の態様では、丁番27としていわゆる二軸丁番を採用しており、閉鎖状態にある扉体2を全体として(戸先側及び戸尻側)、室内側に向かって押し込む(水圧や押圧手段による押圧)ことが可能となっており、通常の閉鎖姿勢にある扉体2を押し込んで、より密閉した状態で扉体2を閉鎖できるようになっている。なお、本発明が適用されるドア装置は、片開き戸のみならず両開き戸も含む。
【0014】
扉体2は、内部にフレーム構造(骨組)を備えている。フレーム構造は、水平状に延びる上フレーム70、垂直状に延びる戸先側縦フレーム71、垂直状に延びる戸尻側縦フレーム72、水平状に延びる下フレーム73を四周枠状に連結(溶接)すると共に、垂直状に延び、上フレーム70と下フレーム73間に連結した中間フレーム74を備えている。扉体2の下面部25は、下フレーム73から形成されている。扉体2の表面、具体的には、室外側面部20、室内側面部21、上面部22、戸先側面部23、戸尻側面部24は、金属製板材(鋼板)を所定形状に折り曲げて形成した複数枚の金属製表面材を上記フレーム構造に張設することで形成される。扉体2の上面部22、戸先側面部23、戸尻側面部24、下面部25、室外側面部20の四周縁、室内側面部21の四周縁は、いずれもフレーム構造によって支持されており、強い力が作用しても耐え得るように構成されている。
【0015】
ドア枠1は、水平状に延びる上枠10と、垂直状に延びる戸先側縦枠11と、垂直状に延びる戸尻側縦枠12と、水平状に延びる下枠13と、から四周枠状に形成されている。ドア枠1には、室外側に向かって開口する凹状の溝部G1、G2、G3、G4が四周状に形成されている。以下、各枠の構成について詳述する。
【0016】
上枠10は、開口幅方向に延びる長尺要素であり、
図3に示すように、垂直状の室外側面部100と、垂直状の室内側面部101と、室外側面部100の下端から室内側へ向かって水平状に延びる室外側水平面102と、垂直状の室内側面部101の下端から室外側へ向かって水平状に延びる室内側水平面103と、を備える。室内側面部101の下端は、室外側面部100の下端よりも下方に位置しており、室内側水平面103は、室外側水平面102よりも下方に位置している。室外側水平面102の室内側部位1020と、室内側水平面103の室外側部位1030は上下(開口高方向)に離間して対向している。室外側水平面102は、全閉姿勢にある扉体2の上面部22の上側に位置して、上面部22に近接対向するように延び、室内側部位1020は、全閉姿勢にある扉体2の上面部22を超えて、扉体2の室内側面部21より室内側に延びている。上枠10は、室外側水平面102の室内側端部から室内側水平面103へと垂下する底面104を備えており、室内側水平面103の室外側部位1030は、底面104を超えて室外側へ延びている。室外側水平面102の室内側部位1020と、室内側水平面103の室外側部位1030と、底面104と、から、凹状の溝部G1が形成されている。溝部G1は、開口幅方向に水平状に延びる。
【0017】
下枠13は、開口幅方向に延びる長尺要素であり、
図3に示すように、垂直状の室外側面部130と、垂直状の室内側面部131と、室外側面部130の上端から室内側へ向かって上向き傾斜状に延びる室外側傾斜面132と、垂直状の室内側面部131の上端から室外側へ向かって水平状に延びる室内側水平面133と、を備える。室内側面部131の上端は、室外側面部130の上端よりも上方に位置しており、室内側水平面133は、室外側傾斜面132よりも上方に位置している。室外側傾斜面132の室内側部位1320と、室内側水平面133の室外側部位1330は上下(開口高方向)に離間して対向している。室外側傾斜面132は、全閉姿勢にある扉体2の下面部25の下側に位置して、下面部25に対向するように延び、室内側部位1320は、全閉姿勢にある扉体2の下面部25を超えて、扉体2の室内側面部21より室内側に延びている。下枠13は、室外側傾斜面132の室内側端部から室内側水平面133へと垂直状に立ち上がる底面134を備えており、室内側水平面133の室外側部位1330は、底面134を超えて室外側へ延びている。室外側傾斜面132の室内側部位1320と、室内側水平面133の室外側部位1330と、底面134と、から凹状の溝部G4が形成されている。溝部G4は、開口幅方向に水平状に延びる。
【0018】
戸先側縦枠11は、開口高方向に延びる長尺要素であり、
図4に示すように、左右方向(開口幅方向)に延びる室外側面部110と、左右方向(開口幅方向)に延びる室内側面部111と、室外側面部110の右側端部(開口幅中央寄り端部)から室内側へ向かって延びる室外側見込面112と、室内側面部111の右側端部(開口幅中央寄り端部)から室外側へ向かって延びる室内側見込面113と、を備える。室内側面部111の右側端部(開口幅中央寄り端部)は、室外側面部110の右側端部(開口幅中央寄り端部)よりも右側(開口幅中央寄り)に位置しており、室内側見込面113は、室外側見込面112よりも右側(開口幅中央寄り)に位置している。室外側見込面112の室内側部位1120と、室内側見込面113の室外側部位1130は左右(開口幅方向)に離間して対向している。室外側見込面112は、全閉姿勢にある扉体2の戸先側面部23に近接対向するように延び、室内側部位1120は、全閉姿勢にある扉体2の戸先側面部23を超えて、扉体2の室内側面部21より室内側に延びている。戸先側縦枠11は、室外側見込面112の室内側端部から室内側見込面113へと見付方向(開口幅方向)に延びる底面114を備えており、室内側見込面113の室外側部位1130は、底面114を超えて室外側へ延びている。室外側見込面112の室内側部位1120と、室内側見込面113の室外側部位1130と、底面114と、から凹状の溝部G2が形成されている。溝部G2は、開口高方向に垂直状に延びる。
【0019】
戸尻側縦枠12は、開口高方向に延びる長尺要素であり、
図4に示すように、左右方向(開口幅方向)に延びる室外側面部120と、左右方向(開口幅方向)に延びる室内側面部121と、室外側面部120の左側端部(開口幅中央寄り端部)から室内側へ向かって延びる室外側見込面122と、室内側面部121の左側端部(開口幅中央寄り端部)から室外側へ向かって延びる室内側見込面123と、を備える。室内側面部121の左側端部(開口幅中央寄り端部)は、室外側面部120の左側端部(開口幅中央寄り端部)よりも左側(開口幅中央寄り)に位置しており、室内側見込面123は、室外側見込面122よりも左側(開口幅中央寄り)に位置している。室外側見込面122の室内側部位1220と、室内側見込面123の室外側部位1230は左右(開口幅方向)に離間して対向している。室外側見込面122は、全閉姿勢にある扉体2の戸尻側面部24に近接対向するように延び、室内側部位1220は、全閉姿勢にある扉体2の戸尻側面部24を超えて、扉体2の室内側面部21より室内側に延びている。戸尻側縦枠12は、室外側見込面122の室内側端部から室内側見込面123へと見付方向(開口幅方向)に延びる底面124を備えており、室内側見込面123の室外側部位1230は、底面124を超えて室外側へ延びている。室外側見込面122の室内側部位1220と、室内側見込面123の室外側部位1230と、底面124と、から凹状の溝部G3が形成されている。溝部G3は、開口高方向に垂直状に延びる。
【0020】
四周状の溝部G1〜G4には、四周状の溝部全長に亘って弾性を備えた水密部材3が装着されている。典型的な実施形態では、水密部材3は、ゴムから形成された水密ゴムである。
図5、
図6に示すように、水密部材3は、溝部G1〜G4に挿入される基部4と、中空状の膨出部5と、基部4から膨出部5の中空部に突成された中実の台座6と、を備えている。基部4、膨出部5、台座6は共に溝部G1〜G4の長さに沿って延びる長尺状要素である。
【0021】
基部4は、正面部分400と、底面部分401と、第1側面部分402と、第2側面部分403、とから断面視方形状を備えた本体40を有する。
図5において、上側が正面部分400、下側が底面部分401、左側が第1側面部分402、右側が第2側面部分403である。基部4は、さらに、本体40の第1側面部分402、第2側面部分403から正面方向に向かって傾斜状に延びる複数のフィン41と、本体40に形成された中空部42と、底面部分401に剥離可能に設けた第2調整底部43、第2調整底部43に剥離可能に設けた第1調整底部44と、を備えている。
【0022】
基部4は、水密部材3を溝部G1〜G4に装着する時に、溝部G1〜G4内に押し入れられる部位であり、フィン41は押し入れる際のガイドの機能を持っており、また、中空部42を備えた本体40が押し入れ時に変形することで押し込みの作業性が良好である。より具体的には、溝部G1において、第1側面部位402に突成されたフィン41は、室内側水平面103の室外側部位1030に接触し、第2側面部位403に突成されたフィン41は、室外側水平面102の室内側部位1020に接触し、第1調整底部44は、底面104に当接しており(
図3参照)、溝部G2において、第1側面部位402に突成されたフィン41は、室内側見込面113の室外側部位1130に接触し、第2側面部位403に突成されたフィン41は、室外側見込面112の室内側部位1120に接触し、第1調整底部44は、底面114に当接しており(
図4参照)、溝部G3において、第1側面部位402に突成されたフィン41は、室内側見込面123の室外側部位1230に接触し、第2側面部位403に突成されたフィン41は、室外側見込面122の室内側部位1220に接触し、第1調整底部44は、底面124に当接しており(
図4参照)、溝部G4において、第1側面部位402に突成されたフィン41は、室内側水平面133の室外側部位1330に接触し、第2側面部位403に突成されたフィン41は、室外側傾斜面132の室内側部位1320に接触し、第1調整底部44は、底面134に当接している(
図3参照)。なお、基部4の第1調整底部44を剥離した場合には、第2調整底部43が底面104、114、124、134に当接し、第2調整底部43を剥離した場合には、底面部分401が底面104、114、124、134に当接する。
【0023】
膨出部5は、概ね円筒状の部位を形成する断面視円形状の壁部50と、壁部50の内側に形成された中空部51と、壁部50の外面の所定部位から突成するフィン52と、から形成されている。膨出部5は、基部4及び台座6よりも柔軟性の大きいスポンジゴムから形成されており、潰れやすくなっている。
【0024】
膨出部の壁部50は、正面部分500と、第1側面部分501と、第2側面部分502と、からなる。正面部分500、第1側面部分501、第2側面部分502は、外力が作用しない状態では弧状ないし弓状の形状を有しており、正面部分500、第1側面部分501、第2側面部分502が連続状に一体形成されて概ね円筒状の壁部50を形成している。より具体的には、第1側面部分501の基端は本体40の正面部分400の一端部(本体40の第1側面部分402寄り部位)に接続されており、第2側面部分502の基端は本体40の正面部分400の他端部(本体40の第2側面部分403寄り部位)に接続されており、第1側面部分501の先端は正面部分500の一端に接続されており、第2側面部分502の先端は正面部分500の他端に接続されている。
【0025】
フィン52は、正面部分500と第2側面部分502との境界付近から法線方向に突成されており、フィン52の先端は、本体40の第2側面部分403に形成された複数(図示では2つ)のフィン41の先端を通る平面に近接するように延びている。フィン52は、水密部材3を溝部G1〜G4に装着した時に、第2側面部分403に形成されたフィン41が接触する面(室外側水平面102、室外側見込面112、室外側見込面122、室外側傾斜面132)に接触ないし近接している。より具体的には、溝部G1において、フィン52は、室外側水平面102に接触し(
図3参照)、溝部G2において、フィン52は、室外側見込面112に接触し(
図4参照)、溝部G3において、フィン52は、室外側見込面122に接触し(
図4参照)、溝部G4において、フィン52は、室外側傾斜面132に接触している(
図3参照)。扉体2が通常の閉鎖姿勢にある時には、フィン52は、室外側水平面102、室外側見込面112、室外側見込面122、室外側傾斜面132上において、扉体2の室内側面部21を通る平面上あるいは当該平面よりも僅かに室外側に位置する部位に接触している。フィン52は、膨出部5と、室外側水平面102、室外側見込面112、室外側見込面122、室外側傾斜面132と、の間から溝部G1〜G4の内部への浸水を抑制する作用を有する。
【0026】
基部4の前面(本体40の正面部分400)において、膨出部5の中空部51に面する部位には、膨出部5の中空部51に突成する中実の台座6が一体形成されている。台座6は、断面視において方形ないし台形状を有しており、正面部分60と、第1側面部分61と、第2側面部分62と、を備えている。
【0027】
図3〜
図6に示すように、外力が作用しない状態では、壁部50の内面と台座6は中空部51を介して空間的に離間している。より具体的には、
図5に示すように、台座6の正面部分60と壁部50の正面部分500の内面とは離間対向しており、台座6の第1側面部分61と壁部50の第1側面部分501の内面とは離間すると共に、第1側面部分61の下端と第1側面部分501の下端の内面は一致しており、台座6の第2側面部分62と壁部50の第2側面部分502の内面とは離間すると共に、第2側面部分62の下端と第2側面部分502の下端の内面は一致している。
【0028】
台座6は、長尺状のゴム要素であるが、所定の幅寸法(正面部分60の幅寸法)を備えた中実のゴム要素であり、台座6の正面部分60に押圧力が作用した場合には、突出寸法がある程度は圧縮するものの、突出寸法が短縮した場合であっても突出姿勢が維持される(
図12参照)。
【0029】
水密部材3は、溝部G1〜G4の長さに沿って延びる長尺部材であり、上枠10に形成された溝部G1、戸先側縦枠11に形成された溝部G2、戸尻側縦枠12に形成された溝部G3、下枠13に形成された溝部G4内の全長に亘って四周状に装着されている。
図7に四周状の水密部材を示す。
図7に示す態様では、四周状の水密部材は、溝部G1内に装着され、溝部G1の略全長に亘って延びる第1要素3Aと、溝部G2内に装着され、溝部G2の全高に比べて短尺の第2要素3Bと、溝部G3内に装着され、溝部G3の全高に比べて短尺の第3要素3Cと、溝部G4内に装着され、溝部G4の長さに比べて短尺の第4要素3Dと、第1部分3Fと第2部分3GとからL形状に形成された2つの第5要素3Eと、からなる。第1要素3A〜第5要素3Eは、
図6に示すように、基部4、膨出部5、台座6を備えており、同一の断面形状を有している。
【0030】
図8に示す態様では、第5要素3Eは、同じ長さ寸法の第1部分3Fと第2部分3Gから形成されている。第1部分3Fの第1端部(下端)は傾斜面(図示の態様では45°)となっており、第2端部(上端)は水平面となっている。第2部分3Gの第1端部(右端)は傾斜面(図示の態様では45°)となっており、第2端部(左端)は水平面となっている。第1部分3Fの第1端部(傾斜面)と第2部分3Gの第1端部(傾斜面)を突き当てて、接着剤で接着することで、L形状の第5要素3Eが形成される。水密部材3を複数の要素3A〜3Eで構成することで、例えば、水密部材3予め四周状に一体形成した場合に比べて、ドア枠1の製作誤差の影響を受けずに、水密部材3を現場で容易に取り付けることができる。
【0031】
図7に示す四周状の水密部材は、現場において、溝部G1に第1要素3Aを装着し、第1要素3Aの長さ方向両端部を、それぞれ、溝部G2、G3にそれぞれ装着した第2要素3B、第3要素3Cの上端部位に突き当て、溝部G2の下端部位と溝部G4の左端部位のコーナー部に第5要素3Eを装着し、第5要素3Eの第1部分3Fの端部と第2要素3Bの下端を接着剤で接着し、溝部G4に装着した第4要素3Dの左側端部と、第5要素3Eの第2部分3Gの端部を接着剤で接着し、溝部G3の下端部位と溝部G4の右端部位のコーナー部に第5要素3Eを装着し、第5要素3Eの第1部分3Fの端部と第3要素3Cの下端を接着剤で接着し、溝部G4に装着した第4要素3Dの右側端部と、第5要素3Eの第2部分3Gの端部を接着剤で接着することで得られる。
【0032】
図7に示す態様では、2つの第5要素3Eを用いたが、4つの第5要素3Eを用意して、4つの各コーナー部に第5要素3Eを装着するようにしてもよい。本実施形態では、四周状の水密部材を形成する各要素を接着剤で接着することで、接続部から漏水が無いようにしているが、各要素の端部同士を隙間が生じないように溶着することで接続してもよい。
【0033】
四周状の溝部(G1〜G4)は、全体として見た時に、室外側から見た正面視四周状で室内外方向に延びる外側辺(室外側水平面102の室内側部位1020、室外側見込面112の室内側部位1120、室外側見込面122の室内側部位1220、室外側傾斜面132の室内側部位1320)と、四周状の外側辺の内側に位置し、室外側から見た正面視四周状で室内外方向に延びる内側辺(室内側水平面103の室外側部位1030、室内側見込面113の室外側部位1130、室内側見込面123の室外側部位1230、室内側水平面133の室外側部位1330)と、外側辺と内側辺の室内側端部を接続する底辺(底面104、底面114、底面124、底面134)と、から形成されており、外側辺と内側辺と底辺とから断面視凹状の溝部となっている。そして、四周状の水密部材(3A〜3E)は、基部4を外側辺と内側辺との間に押し入れることで、フィン41が外側辺及び内側辺の内面に接触した状態で溝部(G1〜G4)に装着され、膨出部5は、溝部(G1〜G4)の外側(室外側)に位置しており、膨出部5に形成されたフィン52は、溝部(G1〜G4)の外側(室外側)に位置して、外側辺(室外側水平面102、室外側見込面112、室外側見込面122、室外側傾斜面132)に接触ないし近接している。
【0034】
図3、
図4、
図6に示すように、扉体2の通常の閉鎖姿勢時には、扉体2の室内側面部21の四周縁が、四周状の水密部材3の膨出部5に軽く接触した状態であり、台座6と膨出部5の壁部50の内面は離間している。
図6を参照して詳細に説明すると、扉体2の室内側面部21の戸先側部位が、水密部材3の膨出部5の壁部50の正面部分500に軽く接触しており、膨出部5が僅かに潰れて変形している。図示の態様では、第1側面部分501は、室内側見込面113の室外側部位1130に対して離間しており、第2側面部分502は、室外側見込面112に対して離間しており、フィン52は、その先端が室外側見込面112に軽く接触している。
【0035】
通常の閉鎖姿勢にある扉体2に室外側から室内側に水圧が作用すると、扉体2は、2重丁番27によって、
図3、
図4の閉鎖姿勢からさらに室内側に押し付けられるように移動して、
図10〜
図12の姿勢となる。
図11に示すように、扉体2の戸先側と戸尻側がほぼ同じように室内側に押し込まれている。水位の高さに応じて水圧は扉体2の下方部位に作用するので、
図10に示すように、扉体2の下方部位が上方部位に比べて室内側に押し込まれている。
【0036】
閉鎖姿勢にある扉体2の室外側面部20に水圧が作用すると、扉体2の室内側面部21の四周の周縁及び扉体2の室内側の角部が、四周状の水密部材の膨出部5に当接して、当該膨出部5を室内側へ押圧する。膨出部5は、台座6に接近する方向に潰れるように変形して、壁部50の内面が中実の台座6に当接する。中実の台座6は、変形した膨出部5を介して室内側へ押されるが、基部4及び台座6は溝部G1〜G4の底面104〜134に向かって幾分圧縮されたとしても、台座6の突出姿勢は維持される(
図10〜
図12参照)。したがって、中実の台座6が突っ張った状態で、変形した膨出部5の壁部50(正面部分500)の内面を支持し、このように内側から支持された壁部50(正面部分500)の外面に扉体2の室内側面部21及び室内側の角部が密着状に当接する。
【0037】
図12を参照しつつ、より具体的に説明する。なお、以下に述べる扉体2の戸先側部位における水密構造についての記載は、扉体2の戸尻側部位、下側部位、上側部位の水密構造に援用することができる。扉体2の室外側面部20に水圧が作用して、扉体2の室内側面部21及び室内側の角部(室内側面部21と戸先側面部23との角部)が水密部材の膨出部5を室内側へ押し込んだ時に、潰れるように変形した膨出部5の壁部50の正面部分500の内面が台座6の正面部分60に当接するが、この時、壁部50の正面部分500は室外側に向かう突出姿勢の台座6の正面部分60によって裏当てされており、正面部分500は、内面に台座6の正面部分60が当接し、外面に扉体2の室内側面部21及び室内側の角部が密着した状態で、扉体2と台座6との間に挟持される。
【0038】
扉体2の室外側面部20に水圧が作用した場合であっても、中実の台座6の突出姿勢は維持される。
図6と
図12を対比すると明らかなように、扉体2の室内側面部20に水圧が作用することで、膨出部5が押しつぶされ、台座6及び基部4が溝部G2の底面114に向かって幾分圧縮されるが、台座6は室外側に向かう突出姿勢が維持されている。台座6は圧縮されて短縮され得るが、台座6の正面部分60は、溝部G2の開口(室内側見込面113の室外側端部1131を通る垂直面によって規定される)よりも、室外側に位置している。したがって、水圧によって台座6及び基部4が底面114側に押し込まれ、台座6及び基部4が圧縮された場合であっても、常時、突出姿勢を維持した台座6が膨出部5の正面部分500の内面に突っ張った状態で当接しているので、扉体2の室内側面部21と膨出部5の正面部分500の密着状態が良好に維持される。扉体2の室内側面部21に押圧されて膨出部5が潰れて台座6に当接した状態では、膨出部5の外面と室内側面部21との間に隙間が生じるような膨出部5の変形が規制されている。
【0039】
水圧の作用によって膨出部5が容易に潰れることで、扉体2の室内側面部21及び室内側の角部(室内側面部21と戸先側面部23との角部)と、潰れて変形した膨出部5と、がより強固に密着して、扉体2とドア枠1との隙間を水密に閉塞する。さらに、
図12に示すように、フィン52のみならず、潰れるように変形した膨出部5の壁部50の第2側面部分502が戸先側縦枠11の外側見込面112に接触し、第1側面部分501が室内側見込面113の室外側端部1131の近傍に接触する。
【0040】
本発明に係る他の実施形態を
図13、
図14に示す。上述の実施形態では、四周状の水密部材3は、ドア枠1側に形成された四周状の凹溝G1〜G4に装着されているが、
図13、
図14に示す実施形態では、四周状の水密部材3´は、扉体2の室内側面部21の周縁に四周状に形成され、室内側に向かって開口する凹溝G1´〜G4´に装着されている。凹溝G1´は、扉体2の上面部22と室内側面部21の上方縁部との間に形成されており、凹溝G2´は、扉体2の戸先側面部23と室内側面部21の戸先側縁部との間に形成されており、凹溝G3´は、扉体2の戸尻側面部24と室内側面部21の戸尻側縁部との間に形成されており、凹溝G4´は、扉体2の下面部25と室内側面部21の下方縁部との間に形成されている。水密部材3´の具体的な構成については、既述の記載を援用することができるので詳細な説明は省略する。水密部材3´の膨出部5は、外力が作用しない状態では扉体2の室内側面部21より突出している。ドア枠1を構成する上枠10、戸先側縦枠11、戸尻側縦枠12、下枠13の見込面は段部状になっており、見込方向の中間部位に室外側に面する四周状の戸当たり面105、115、125、135が形成されている。扉体2が閉鎖姿勢にある時には、四周状の水密部材3´の四周状の膨出部5が、四周状の戸当たり面105、115、125、135に接触する(
図13、
図14参照)。この状態から水圧によって扉体2が室内側に押圧された時の水密部材3´の作用については、既述の記載を援用することができる。