(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557059
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】自然換気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/04 20060101AFI20190729BHJP
F24F 13/14 20060101ALI20190729BHJP
E04B 1/70 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
F24F7/04 B
F24F13/14 B
E04B1/70 D
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-104035(P2015-104035)
(22)【出願日】2015年5月21日
(65)【公開番号】特開2016-217642(P2016-217642A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】397000160
【氏名又は名称】株式会社豊和
(72)【発明者】
【氏名】安藤 有希
(72)【発明者】
【氏名】▲斉▼藤 準
(72)【発明者】
【氏名】吉田 大貴
【審査官】
五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−125198(JP,A)
【文献】
特開2006−189174(JP,A)
【文献】
特開2008−286447(JP,A)
【文献】
実開平04−086889(JP,U)
【文献】
実開昭59−163851(JP,U)
【文献】
欧州特許出願公開第02051020(EP,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02574860(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/04
F24F 7/10
F24F 13/14
E04B 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気を建物の外方から当該建物の内方へ導くための自然換気装置(1)であって、
前記建物の内方へ流れる前記外気の流量を調節するための換気調節ユニット(2)を有していて、その換気調節ユニット(2)は、前記建物の内方へつながる通気口(4)を形成している支持板(17)と、その支持板(17)の通気口(4)に臨んでいて前記外気の流量に応じて当該通気口(4)に近づきまたは前記通気口(4)から離れるフラップ(20)と、前記支持板(17)に取り付けていて前記通気口(4)に近づく方向に移動する前記フラップ(20)を受け止めて、前記外気が前記通気口(4)へ流れることを抑えるための第1緩衝体(21)とを有しており、
前記第1緩衝体(21)は、前記支持板(17)の通気口(4)に沿って複数に分割した状態で配置しており、
前記通気口(4)に近づく方向に移動する前記フラップ(20)を弾力的に受け止めて、前記フラップ(20)が小刻みに揺動することを抑える第2緩衝体(22)を有しており、
前記外気によって前記フラップ(20)が前記通気口(4)に近づく方向に移動して前記第1緩衝体(21)に当接した際に、前記外気が前記第1緩衝体(21)どうしの間隙を通って前記通気口(4)へ流れることを特徴とする自然換気装置。
【請求項2】
前記第1緩衝体(21)どうしの間隙の寸法(L2)を前記第1緩衝体(21)での前記通気口(4)に沿う方向の長さ寸法(L1)の1.5〜2.5倍に設定していることを特徴とする請求項1記載の自然換気装置。
【請求項3】
前記通気口(4)から離れる方向に前記フラップ(20)を付勢する第1付勢手段(26)を有していることを特徴とする請求項1または2記載の自然換気装置。
【請求項4】
前記フラップ(20)は、前記通気口(4)の下側に配置しており、
前記通気口(4)に近づく方向に前記フラップ(20)を付勢する第2付勢手段(27)を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の自然換気装置。
【請求項5】
前記通気口(4)から離れる方向に移動する前記フラップ(20)を弾力的に受け止める第3緩衝体(24)を有していることを特徴とする請求項4記載の自然換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅やオフィスビルなどの建物において、外気を取り入れるために設けられる自然換気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスビルなどの建物では、窓の開閉ができない構造が多く採用されており、それに応じて空調設備による強制換気方式が採用されていた。かかる強制換気方式にあっては、空調設備の稼働コストがかかるうえに、空調ムラによって換気が不十分になったりする虞があった。この対策としては、例えば特許文献1に示すように、自然換気を利用した換気装置が提案されている。
【0003】
その特許文献1の換気装置では、建物の内外に連通する換気用箱体内にダンパーを配置しており、そのダンパーが換気用箱体内に流れ込む外気(自然風)の風速(流量)に応じて揺動することで、建物内に流れ込む外気を制限している。
【0004】
また、特許文献1の自然換気装置では、前記換気用箱体内に所定以上の風速の外気(強風)が流れ込んだときには、ダンパーが揺動して換気用箱体内の外気の流路を閉鎖している(特許文献1の段落0031参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−246570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の換気装置では、前述のように強風が流れ込んだときにダンパーが換気用箱体内の外気の流路を閉鎖(遮断)するために、その状態では外気が建物内にほとんど流れ込まないことになる。そのため、例えば強風が吹き続いている際には、建物内をほとんど換気できないといった問題があった。
【0007】
本発明は、かかる不都合を解決することを目的とするものであり、建物の内方に強風が吹き込むことを抑えながら、その強風の際でもある程度の換気が可能な自然換気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記不都合を解決するものであり、外気を建物の外方から当該建物の内方へ導くための自然換気装置1であって、建物の内方へ流れる外気の流量を調節するための換気調節ユニット2を有していて、換気調節ユニット2は、建物の内方へつながる通気口4を形成している支持板17と、支持板17の通気口4に臨んでいて外気の流量に応じて通気口4に近づきまたは通気口4から離れるフラップ20と、支持板17に取り付けていて支持板17の通気口4に近づく方向に移動するフラップ20を受け止めるための第1緩衝体21とを有しており、第1緩衝体21は、支持板17の通気口4に沿って複数に分割した状態で配置していて、外気によってフラップ20が支持板17の通気口4に近づく方向に移動して第1緩衝体21に当接した際に、外気が第1緩衝体21どうしの間隙を通って支持板17の通気口4へ流れることを特徴とするものである。
【0009】
ここでは、支持板17の通気口4が建物の内方へ直接つながる場合や当該通気口4を開閉する開閉ユニット5などを介してつながる場合などが該当する。換気調節ユニット2は、ダクト3などを介して建物の外方へつながる場合などが該当する。そのダクト3などを介する場合には、例えば、支持板17をダクト3などの建物の内方側の開口に配置して、外気がダクト3などおよび支持板17の通気口4を介して建物の内方へ流れるようにすることになる。第1緩衝体21には、硬質ゴムや弾性ゴムなどが含まれる。
【0010】
また、フラップ20は、支持板17に対して平行移動して通気口4に近づきまたは通気口4から離れる場合や、支持板17に対して揺動自在に支持された状態で揺動して通気口4に近づきまたは通気口4から離れる場合などが該当する。フラップ20が第1緩衝体21に当接したときには、フラップ20および第1緩衝体21によって外気が支持板17の通気口4へ流れることが抑えられる一方で、外気の一部が第1緩衝体21どうしの間隙を通って支持板17の通気口4へ流れるが、第1緩衝体21どうしの間隙以外の隙間などからも外気の一部が支持板17の通気口4へ流れる場合を含んでもよい。
【0011】
具体的には、第1緩衝体21どうしの間隙の寸法L2を第1緩衝体21での支持板17の通気口4に沿う方向の長さ寸法L1の1.5〜2.5倍に設定しているものとすることができる。
【0012】
また、前記自然換気装置1は、支持板17の通気口4から離れる方向にフラップ20を付勢する第1付勢手段26を有しているものとすることができる。ここでの第1付勢手段26には、コイルばね(引っ張りコイルバネ)や弾性ゴムなどが該当する。
【0013】
また、支持板17の通気口4に近づく方向に移動するフラップ20を弾力的に受け止める第2緩衝体22を有しているものとすることができる。ここでの第2緩衝体22には、弾性ゴムやコイルばねなどが該当する。
【0014】
フラップ20は、支持板17の通気口4の下側に配置してもよく、その場合には前記通気口4に近づく方向にフラップ20を付勢する第2付勢手段27を有しているものとすることができる。ここでの第2付勢手段27には、板バネやコイルばねや弾性ゴムなどが該当する。
【0015】
支持板17の通気口4から離れる方向に移動するフラップ20を弾力的に受け止める第3緩衝体24を有しているものとすることができる。ここでの第3緩衝体24には、弾性ゴムやコイルばねなどが該当する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の自然換気装置1は、外気の流量に応じて換気調節ユニット2のフラップ20が支持板17の通気口4に近づきまたは通気口4から離れることで、建物の内方へ流れる外気の流量を調節する(抑える)ことができる。そのうえで、例えば強風(強い外気)が吹いてフラップ20が支持板17の通気口4に近づく方向へ移動して第1緩衝体21に当接したときには、フラップ20および第1緩衝体21によって外気が支持板17の通気口4へ流れることが抑えられる一方で、外気の一部が第1緩衝体21どうしの間隙を通って支持板17の通気口4へ流れて建物の内方を換気することができるので、強風が吹く状態が長時間続いたために建物の内方の換気が不十分になることを防止することができる。
【0017】
しかも、外気の流量が多くなると、フラップ20が第1緩衝体21を強く押し、その第1緩衝体21どうしの間隙でのフラップ20と支持板17との間が狭くなるため、外気の流量が多くなっても支持板17の通気口4を通って建物の内方へ流れる外気の量があまり増えないことになる。
【0018】
第1緩衝体21どうしの間隙の寸法L2を各第1緩衝体21での支持板17の通気口4に沿う方向の長さ寸法L1の1.5〜2.5倍に設定していると、支持板17の通気口4を通って建物の内方へ流れる外気の流量を適正な量にすることができる。つまり、前記寸法L2が前記寸法L1の1.5倍未満になると、前記第1緩衝体21どうしの間隙を通る外気の流量が少なくなり過ぎて建物の内方を十分には換気できないことになる。一方、前記寸法L2が前記寸法L1の2.5倍を超えると、前記第1緩衝体21どうしの間隙を通る外気の流量が多くなくなり過ぎて、例えば建物の内方の室内に配置した机上の書類などが外気によって吹き飛ばされる虞があるうえ、その外気と共に雨水などが建物の内方へ入り込む虞がある。
【0019】
支持板17の通気口4を通って建物の内方へ流れる外気の流量を適正な量にするうえからは、前記寸法L2が前記寸法L1の1.7〜2.3倍であることがより好ましく、前記寸法L2が前記寸法L1の1.8〜2.2倍であることが一層好ましい。
【0020】
第1付勢手段26によって支持板17の通気口4から離れる方向にフラップ20を付勢すると、外気によってフラップ20が過度に第1緩衝体21に押し付けられることを防止できるうえ、外気の流量が減ったときにはフラップ20を第1緩衝体21から確実に離すことができる。
【0021】
第2緩衝体22によって支持板17の通気口4に近づく方向に移動するフラップ20を弾力的に受け止めると、例えば外気の流量が短い期間で変動しても、それに応じてフラップ20が小刻みに揺動することが抑えられる。
【0022】
フラップ20を支持板17の通気口4の下側に配置して、第2付勢手段27によって支持板17の通気口4に近づく方向にフラップ20を付勢すると、フラップ20の自重によって当該フラップ20が支持板17の通気口4側へ移動し難くなることを抑えることができる。
【0023】
第3緩衝体24によって支持板17の通気口4から離れる方向に移動するフラップ20を弾力的に受け止めると、外気の流量が急に増えたためにフラップ20が第1緩衝体21に急速に押し当たってフラップ20がバウンドしても、そのフラップ20を受け止めて、フラップ20がバウンドによって換気調節ユニット2の他の部材などに当たることを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る自然換気装置を示す縦断側面図である。
【
図2】本発明の自然換気装置を上側から見た図である。
【
図3】本発明の自然換気装置に係る換気調節ユニットを下側から見た図である。
【
図4】本発明の自然換気装置の動作を説明するための
図1相当図である。
【
図5】第1緩衝体およびダンパーの配置を説明するための図である。
【
図6】本発明の自然換気装置の効果を説明するためのグラフである。
【
図7】比較例としての自然換気装置を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る自然換気装置の実施例を図面に基づいて説明する。その自然換気装置1は、外気(自然風)を建物の外方から建物の内方へ導くことが可能になっており、
図1に示すように、前記建物の内方へ流れる外気の流量を調節するための左右横長(
図1では裏表方向)の換気調節ユニット2と、外気を換気調節ユニット2へ導くためのダクト3と、換気調節ユニット2の上面の通気口4を開閉するための開閉ユニット5とを有している。換気調節ユニット2の通気口4は、開閉ユニット5を介して建物の内方へつながっている。
【0026】
ダクト3には、建物の外方につながる連通口6を形成しており、換気調節ユニット2は、ダクト3の上側の開口部に配置している。前記換気調節ユニット2の通気口4は、
図5に示すように、複数個形成しており、それらの通気口4は、換気調節ユニット2の左右方向へ並べて配置している。
【0027】
前記開閉ユニット5は、外気の通路を形成する左右横長の箱型形状の通気箱7と、その通気箱7内に配置されていて前記換気調節ユニット2の通気口4を開閉するための作動板8と、前記通気箱7の上面に開口している開放面9を塞いでいる化粧カバー10とを有している。その化粧カバー10には、
図2に示すように、複数個の通気孔11を設けていて、その通気孔11を介してダクト3へ流れ込んだ外気が建物の内方へ流れる。
【0028】
前記通気箱7の下面には通口12を形成していて、その通口12が換気調節ユニット2の通気口4につながっている。前記作動板8は、前記通気箱7に配置している操作レバー13(
図2)の手動操作に応じて上下動し、それによって前記通口12を開閉する。
【0029】
つまり、操作レバー13は、例えば、作動板8が前記通口12を閉じている状態で化粧カバー10に沿う水平姿勢になっており、操作者が化粧カバー10に形成している露出口15(
図2)に指などを差し込んで操作レバー13を持ち上げることで作動板8が前記通口12から離れて(
図1の二点鎖線図の状態)換気調節ユニット2の通気口4が開かれる。前記化粧カバー10は、通気箱7の外周に取り付けているカバーキャッチ16に対して着脱自在に係止している。
【0030】
前記換気調節ユニット2は、
図1および
図5に示すように、前記通気口4を設けている左右横長の平板形状の支持板17と、その支持板17の下面に揺動自在に支持されている左右横長の平板形状のフラップ20と、前記支持板17の下面に取り付けていてフラップ20の揺動先端側(
図1では右側)の上面を受け止めるための弾性ゴムなどからなる第1緩衝体21と、前記支持板17の下面に取り付けていてフラップ20の揺動基端部(
図1では左側)の上面側を受け止める弾性ゴムなどからなるダンパー(第2緩衝体)22と、前記支持板17の下面に垂設している垂設部23に取り付けていてフラップ20の揺動基端部(
図1では左端部)の下面側を受け止める弾性ゴムなどからなる第3緩衝体24とを有している。
【0031】
つまり、ダンパー22は、支持板17の通気口4に近づく方向(
図1では反時計回転方向)に揺動(移動)するフラップ20を弾力的に受け止める。第3緩衝体24は、支持板17の通気口4から離れる方向(
図1では時計回転方向)に揺動(移動)するフラップ20を弾力的に受け止める。
【0032】
前記フラップ20の揺動先端側の下面に垂設している取付部25と前記垂設部23の下端部とに亘って引っ張りコイルバネ(第1付勢手段)26を架け渡していて、その引っ張りコイルバネ26によってフラップ20が支持板17の通気口4から離れる方向に付勢されている。前記取付部23の下端部には、無負荷状態ではL字状になる板バネ(第2付勢手段)27を取り付けており、その板バネ27によって支持板17の通気口4から離れる方向に揺動(移動)したフラップ20を受け止めることで、そのフラップ20を前記取付部25を介して支持板17の通気口4に近づく方向に付勢する。
【0033】
このように、引っ張りコイルバネ26によってフラップ20を支持板17の通気口4から離れる方向に付勢することで、例えば微風の外気が前記ダクト3内に流れ込んだときに、フラップ20が支持板17の通気口4側へ過度に揺動することを抑えることができる。ダンパー22は、例えば外気の流量が短い期間で変動しても、それに応じてフラップ20が小刻みに揺動することを抑えることができる。板バネ27がフラップ20を支持板17の通気口4に近づく方向に付勢することで、フラップ20が、その自重で上向きに揺動し難くなることを抑えることができる。
【0034】
板バネ27および引っ張りコイルバネ26は、例えば
図3に示すように、自然換気装置1の左右にそれぞれ1個ずつ配置するものでもよい。また、板バネ27は、自然換気装置1に1個のみ、または3個以上配置してもよく、あるいは配置しなくてもよい。引っ張りコイルバネ26も、自然換気装置1に1個のみ、または3個以上配置してもよく、あるいは配置しなくてもよい。
【0035】
前記第1緩衝体21は、
図5に示すように、支持板17の通気口4に沿って複数に分割した状態で左右方向へ並べて配置していて、第1緩衝体21どうしの間隙の寸法L2を各第1緩衝体21での支持板17の通気口4に沿う方向の長さ寸法L1のほぼ1.5〜2.5倍の範囲に設定している。それにより、強風の外気によってフラップ20が第1緩衝体21に押し付けられた状態(全閉状態)でも、外気の一部が第1緩衝体21どうしの間隙を通って支持板17の通気口4へ流れるようになっている。なお、
図5では第1緩衝体21およびダンパー22の配置位置を斜線で示している。
【0036】
換気調節ユニット2とダクト3の上縁との間などには気密材(図示せず)を配置しており、それによって換気調節ユニット2とダクト3との隙間から外気が漏れることを抑えている。
【0037】
次に、前記自然換気装置1の動作について説明する。なお、説明の都合上、開閉ユニット5が換気調節ユニット2の通気口4を開いている状態(
図1の実線図の状態)から説明する。その状態では外気が建物内に流れ込み可能になっている。
【0038】
例えば無風または微風(例えば風速1m未満)の状態では、換気調節ユニット2のフラップ20は、板バネ27と引っ張りコイルバネ26の付勢力のバランスによって、
図1に示す下向きの傾斜姿勢で維持されている。
【0039】
その状態で、例えば弱風(例えば風速1〜5m程度)の外気が前記ダクト3の連通口6に流れ込むと、その外気が換気調節ユニット2のフラップ20の裏側(下面側)に当たって、そのフラップ20を上向きに押す。すると、そのフラップ20は、引っ張りコイルバネ26およびダンパー22の付勢力に抗して支持板17の通気口4に近づく方向に揺動(移動)する。
【0040】
その際にはダクト3内に流れ込んだ外気が、フラップ20と支持板17との間を通り、支持板17の通気口4および開閉ユニット5の通口12を通って通気箱7内に流れ込んだのち、化粧カバー10の通気孔11から建物の内方へ流れる。そのフラップ20は外気の強さに応じた傾斜角度に揺動し、それによって通気箱7内に流れ込む外気の量が過剰にならないように規制される。
【0041】
また、例えば台風の際などで強風(例えば風速6m以上)の外気が前記ダクト3の連通口6に流れ込んだときには、フラップ20は引っ張りコイルバネ26の付勢力に抗して、
図4に示すほぼ水平の姿勢まで揺動する。その際には、フラップ20の揺動先端部が前記第1緩衝体21に押し付けられており、その第1緩衝体21によって外気がフラップ20と支持板17との間を通って開閉ユニット5側へ流れることが抑えられる。
【0042】
また、前記外気の一部は、第1緩衝体21どうしの間隙を通って通気箱7内に流れ込むため、それによって強風のときにも建物内を換気することができる。
【0043】
一方、例えば冬場または夏場の際に、前記操作レバー13を操作して開閉ユニット5の作動板8で換気調節ユニット2の支持板17の通気口4を塞ぐことで、冬場の冷気や夏場の熱気が建物の内方へ流れ込むことが阻止される。
【0044】
例えば、本発明の換気調節ユニット2を風洞試験機で試験したところ、80Pa程度の空気の圧力でフラップ20が第1緩衝体21に押し付けられたが、
図6に示すように、300m
3/h以上の流量が換気調節ユニット2から流れ出た。しかも前記流量の増加は緩やかであり、換気調節ユニット2から空気が過度には流れ出ることがなかった。
【0045】
比較例として、第1緩衝体21をフラップ20の左右長さ方向に分割しないで配置した換気調節ユニット2で試験したところ、
図7に示すように、フラップ20が第1緩衝体21に押し付けられた80Pa程度の圧力のときに流量が急激に低下した。つまり、フラップ20が第1緩衝体21に押し付けられたのちは換気調節ユニット2から空気があまり流れ出ないことが確認できた。
【符号の説明】
【0046】
1 自然換気装置
2 換気調節ユニット
4 通気口
17 支持板
20 フラップ
21 第1緩衝体
22 ダンパー(第2緩衝体)
24 第3緩衝体
26 引っ張りコイルバネ(第1付勢手段)
27 板バネ(第2付勢手段)