(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
図1および
図2は、本発明の第1実施形態に基づく穿刺器具を示している。本実施形態の穿刺器具A1は、器具本体1および穿刺カートリッジ2を備えている。穿刺器具A1は、たとえば簡易血糖測定器(self monitoring of blood glucose:SMBG)の測定対象検体である血液を、患者の指先などから採取するためのものである。
【0017】
図2において、図中上下方向が、装填方向Nであり、図中下方を装填方向N奥側、図中上方を装填方向N手前側と定義する。また、本実施形態においては、後述する穿刺移動体3が穿刺の際に移動する方向が、装填方向Nに沿った方向となっており、装填方向N手前側に向かって移動する。なお、本発明において、装填方向と穿刺方向とは、互いに一致してもよいし、異なる方向であってもよい。
【0018】
穿刺カートリッジ2は、器具本体1に装填されることにより穿刺器具A1による穿刺を可能とするカートリッジである。本実施形態の穿刺カートリッジ2は、穿刺移動体3、カートリッジケース4およびキャップ部5によって構成されている。穿刺カートリッジ2は、1回または所定回の穿刺の後に廃棄される、いわゆるディスポーザブルとして構成されている。
【0019】
カートリッジケース4は、穿刺移動体3およびキャップ部5を収容しており、穿刺カートリッジ2の外観のほとんどをなしている。カートリッジケース4の形状、大きさおよび材質は特に限定されない。本実施形態においては、カートリッジケース4は、穿刺移動体3およびキャップ部5を内蔵する空間を規定する略筒状とされている。筒状の具体形態としては、たとえば角筒状や円筒状を採用しうる。カートリッジケース4の材質としては、たとえば樹脂が挙げられる。
【0020】
カートリッジケース4には、固定側係合部41、穿刺口42およびストッパ部43が形成されている。固定側係合部41は、穿刺移動体3の一部と係合することにより、穿刺移動体3をカートリッジケース4に対して固定する機能を担う。本実施形態においては、固定側係合部41は、筒状とされたカートリッジケース4の内側面に設けられており、図中左右方向において凹む凹部とされている。
【0021】
穿刺口42は、カートリッジケース4の装填方向N手前側端部に設けられており、装填方向Nに貫通する開口である。穿刺口42は、穿刺移動体3の後述する穿刺要素31を外部に突出させるために設けられている。
【0022】
ストッパ部43は、カートリッジケース4の装填方向N手前側端部付近に設けられており、図中左右方向においてカートリッジケース4の内側面よりも内方に突出している。このストッパ部43は、穿刺移動体3の一部と衝突することにより、意図しない状態で穿刺移動体3が穿刺可能な状態に移動することを阻止するためのものである。
【0023】
穿刺移動体3は、穿刺器具A1による穿刺において、体液を採取すべき患者の身体の一部に向けて移動する部位である。本実施形態においては、穿刺移動体3は、穿刺要素31および保持部32を有する。穿刺要素31は、身体に穿刺される要素であり、たとえば金属からなる針や刃などである。穿刺要素31は、装填方向N手前側(穿刺方向前方)に向かって尖った形状となっている。
【0024】
保持部32は、穿刺要素31を保持する部位であり、たとえば樹脂からなる。保持部32は、穿刺要素31の先端に対して装填方向N奥方(穿刺方向後方)に位置している。本実施形態の保持部32は、移動側係合部321、後端突起322および張り出し部323を有している。
【0025】
移動側係合部321は、カートリッジケース4の固定側係合部41と係合することにより、穿刺移動体3をカートリッジケース4に対して固定する機能を担う。本実施形態においては、移動側係合部321は、保持部32のうち装填方向Nと交差する方向である図中左右方向に突出する部位によって構成されている。また、移動側係合部321の先端は、凹部とされた固定側係合部41に対して、装填方向Nと交差する方向である図中左右方向において進入している。
【0026】
なお、移動側係合部321と固定側係合部41との係合は、本実施形態の態様に限定されない。たとえば、移動側係合部321の先端が凹部とされることにより、固定側係合部41の先端が移動側係合部321に進入する構成であってもよい。
【0027】
後端突起322は、装填方向N前側に向けて突出している。後端突起322は、後述する器具本体1の一部に連結する部位である。
【0028】
張り出し部323は、保持部32のうち図中左右方向に張り出す部位によって構成されている。より具体的には、本実施形態の張り出し部323は、図中左斜め上方に延びる部分と、この部分の先端から装填方向N手前側に延びる部分とを有している。張り出し部323は、たとえば使用後において廃棄された際などに、穿刺移動体3の穿刺要素31が穿刺カートリッジ2から意図せず突出することを阻止するためのものである。すなわち、
図2に示すように穿刺カートリッジ2が器具本体1に装填されていない状態においては、穿刺移動体3が装填方向N手前側(穿刺方向前方)に移動しようとすると、穿刺要素31が穿刺口42から外部に突出する前に、張り出し部323の先端がカートリッジケース4のストッパ部43に衝突する。これにより、穿刺移動体3の移動が阻止され、穿刺要素31が誤って突出してしまうことを防止することができる。
【0029】
キャップ部5は、未使用時の穿刺要素31を覆うことにより、穿刺要素31を無菌状態に保つためのものである。本実施形態のキャップ部5は、連結部51を介して穿刺移動体3の保持部32に連結されている。さらに、本実施形態においては、保持部32、連結部51およびキャップ部5が、金型に穿刺要素31を配置した状態で樹脂成形するいわゆるインサート成形によって一体的に形成されている。連結部51は、未使用時において保持部32とキャップ部5とを確実に連結するとともに、後述する工程においてキャップ部5を保持部32から適切に分離させるべく破断可能な大きさおよび形状とされている。
【0030】
なお、穿刺要素31と保持部32とが一体的に形成された穿刺移動体3を採用してもよい。この場合、穿刺移動体3は、金属によって形成されてもよいし、穿刺要素31による穿刺が適切に行いうることを条件に樹脂によって形成されてもよい。
【0031】
器具本体1は、穿刺カートリッジ2が装填されるものであり、穿刺器具A1の外観の大部分を占めている。本実施形態の器具本体1は、本体ケース6、弾性部材7およびラッチ部81を有する。
【0032】
本体ケース6は、弾性部材7などを保持するものであり、装填された穿刺カートリッジ2を支持する部位である。本実施形態においては、本体ケース6は、全体として装填方向N手前側に開口する筒状に形成されており、その内部空間に向けて穿刺カートリッジ2が装填される。ただし、本体ケース6の構成はこれに限定されず、装填される穿刺カートリッジ2を適切に保持しうる構成であればよい。本体ケース6は、たとえば樹脂からなる。
【0033】
本体ケース6は、係合解除部61およびガイド部62を有している。
【0034】
係合解除部61は、本体ケース6の一部あるいは本体ケース6に取り付けられた別部材によって構成されている。係合解除部61は、穿刺カートリッジ2の装填において、後述するタイミングで、穿刺カートリッジ2の移動側係合部321と固定側係合部41との係合を解除する機能を果たす。本実施形態においては、係合解除部61は、
図2において図中左上方向と図中右下方向とに延びる斜面を有する形状とされている。
【0035】
ガイド部62は、装填方向Nに沿って延びる部材であり、本体ケース6の一部あるいは本体ケース6に取り付けられた別部材によって構成されている。ガイド部62は、穿刺カートリッジ2の装填において、張り出し部323を図中右方に収縮させ、且つ収縮させた張り出し部323が摺動する面を提供する部位である。また、ガイド部62は、分離部621を有している。分離部621は、穿刺カートリッジ2の装填における後述する工程において、穿刺カートリッジ2のキャップ部5と当接することにより、保持部32からキャップ部5を分離させる機能を果たす。
【0036】
弾性部材7は、穿刺カートリッジ2の穿刺移動体3を穿刺方向前方(装填方向N手前側)へと移動させる弾性力を発揮するものである。弾性部材7の具体的構成は特に限定されず、本実施形態においては、いわゆる弦巻ばねが採用されている。弾性部材7の装填方向N奥方端は、本体ケース6に対して固定されている。本実施形態においては、弾性部材7の装填方向N手前側端に、連結部71が設けられている。連結部71は、穿刺移動体3の後端突起322と連結することにより、穿刺移動体3と弾性部材7とを一時的に一体化させる機能を担う。連結部71は、たとえば金属や樹脂からなる。
【0037】
連結部71には、連結凹部711およびラッチ凹部712が形成されている。連結凹部711は、装填方向N奥側に凹んでおり、穿刺移動体3の後端突起322が嵌り込む部分である。ラッチ凹部712は、連結凹部711の一部が装填方向Nと交差する方向である図中左右方向に凹んだ部位である。
【0038】
ラッチ部81は、弾性部材7が弾性力を発揮しうる状態で、連結凹部711を所望に位置において一時的に停止させるためのものである。ラッチ部81の具体的構成は特に限定されず、本実施形態においては、図中左方に尖った部材からなる。このラッチ部81は、使用者の操作によって、連結凹部711を停止させる位置が設定可能とされていてもよい。後述する工程において、ラッチ部81は、連結部71のラッチ凹部712に進入することにより、連結部71を停止させる。ラッチ凹部712とラッチ部81とを備える構成は、連結部71を一時的に停止させる具体的構造の一例に過ぎず、同様の目的を達成させる構造として、既知の様々な構造を採用しうる。
【0039】
次に、穿刺器具A1を用いた穿刺について、
図2〜
図7を参照しつつ、以下に説明する。
【0040】
図2は、穿刺器具A1の使用開始状態を示している。穿刺カートリッジ2は、未だ使用されていないものである。このため、穿刺移動体3の移動側係合部321とカートリッジケース4の固定側係合部41とが係合しており、穿刺移動体3がカートリッジケース4に対して固定されている。また、キャップ部5は、連結部51を介して保持部32と一体的に形成されている。穿刺カートリッジ2を器具本体1の装填方向N手前側に配置し、必要な場合、穿刺カートリッジ2の器具本体1に対する角度などを合わせる。
【0041】
次いで、器具本体1に対する穿刺カートリッジ2の装填を開始する。具体的には、器具本体1に対して穿刺カートリッジ2を装填方向N奥側へと移動させる。典型的な装填方法としては、使用者の一方の手によって器具本体1の本体ケース6を挟持することにより固定し、他方の手によって穿刺カートリッジ2のカートリッジケース4を挟持しつつ穿刺カートリッジ2を装填方向N奥側に向かって移動させる。
【0042】
装填が進行すると、
図3に示す状態となる。同図においては、器具本体1のガイド部62の分離部621が穿刺カートリッジ2のキャップ部5に当接する。この際、穿刺カートリッジ2は、後述する係合解除位置よりも装填方向N手前側に位置している。また、本実施形態においては、器具本体1の弾性部材7は、いまだ弾性力を発揮していない状態である。カートリッジケース4を挟持しつつ穿刺カートリッジ2を装填方向N奥側に移動させる場合、使用者の手から加えられる力は、カートリッジケース4から固定側係合部41と移動側係合部321との係合部位を経由して穿刺移動体3の保持部32へと伝えられる。このため、
図3に示す状態から、穿刺カートリッジ2を装填方向N奥側へとさらに移動させようとすると、ガイド部62(分離部621)によってキャップ部5が装填方向N奥側への移動が阻止された状態で、保持部32が装填方向N奥側へと移動することとなる。これにより、保持部32とキャップ部5とを連結する連結部51に顕著に大きな応力が発生し、連結部51が破断する。これにより、キャップ部5が保持部32から分離される。
【0043】
図4は、穿刺カートリッジ2が装填方向N奥側へとさらに移動し、弾性変形開始位置にある状態を示している。弾性変形開始位置は、穿刺カートリッジ2の装填に伴って弾性部材7の弾性変形が開始する位置である。本実施形態においては、穿刺カートリッジ2の穿刺移動体3の後端突起322が連結部71の連結凹部711に嵌り込むことにより、穿刺移動体3が連結部71を装填方向N奥側へと押し得る状態となる位置が弾性変形開始位置である。なお、上述した分離部621とキャップ部5との当接に先立って、穿刺カートリッジ2が弾性変形開始位置に到達する構成であってもよい。
【0044】
また、
図3に示した状態から
図4に示した状態に進行する過程においては、キャップ部5は、ガイド部62(分離部621)によって装填方向N奥側への移動が阻止されたままである。このため、キャップ部5は、穿刺移動体3およびカートリッジケース4に対して装填方向N手前側に相対的に移動する格好となる。この穿刺移動体3およびカートリッジケース4に対する相対的な移動において、たとえばカートリッジケース4に所定のガイドが設けられているなどの既知の構造を採用することにより、キャップ部5は、この後の穿刺における穿刺移動体3(穿刺要素31)の穿刺起動から退避する構成とされている。なお、キャップ部5の退避は、カートリッジケース4の構造によって実現されるものに限定されず、たとえばいずれかのタイミングで使用者が取り去る構成であってもよい。
【0045】
図4に示した状態から穿刺カートリッジ2を装填方向N奥側へとさらに移動させると、移動距離(装填距離)に応じて弾性部材7が弾性変形することにより弾性部材7の弾性力が増大する。この移動過程(装填過程)において穿刺カートリッジ2を装填方向N奥側へと移動させるには、使用者の手から穿刺カートリッジ2のカートリッジケース4へと、弾性部材7の弾性力に抗しうる力が加えられる。この力は、穿刺移動体3の移動側係合部321とカートリッジケース4の固定側係合部41との係合部位に付加される格好となる。したがって、移動側係合部321と固定側係合部41との係合部位は、弾性部材7の弾性力以上の力が付加されても、係合状態を維持しうる構成が必要である。
【0046】
そして、
図5に示すように、穿刺カートリッジ2が係合解除位置に到達する。この係合解除位置は、移動側係合部321と固定側係合部41との係合が係合解除部61によって解除される位置である。本実施形態においては、穿刺カートリッジ2が装填方向N奥側へと移動させられた結果、穿刺カートリッジ2の固定側係合部41の装填方向N奥側端が、器具本体1の本体ケース6の係合解除部61に当接する。さらに、穿刺カートリッジ2が装填方向N奥側へと移動されると、本体ケース6の装填方向N奥側端が、係合解除部61の斜面に沿って図中左右方向外側へと変形させられる。これにより、カートリッジケース4の固定側係合部41が移動側係合部321に対して図中左右方向外側へと離間する格好となる。この結果、移動側係合部321と固定側係合部41との係合が解除される。
【0047】
本実施形態においては、上述したように、弾性部材7の弾性力に相当する力が移動側係合部321と固定側係合部41との係合部位に付加されている。このため、固定側係合部41が移動側係合部321に対して図中左右方向外側に離間し始めると、移動側係合部321が固定側係合部41から完全に抜け出る位置関係になる前に、付加された力によって移動側係合部321が撓むなどにより、移動側係合部321が固定側係合部41から離脱し、係合が解除される。
図5においては、理解の便宜上、移動側係合部321が固定側係合部41から完全に抜け出る位置関係を示しているが、実際には図示された状態に至る前に、係合が解除されうる。
【0048】
係合が解除されると、穿刺移動体3は、弾性部材7の弾性力を受けることにより装填方向N手前側(穿刺方向前方)へと移動しようとする。本実施形態においては、
図6に示すように、穿刺カートリッジ2が係合解除位置にあった際に穿刺移動体3があった位置よりも、穿刺移動体3が装填方向N手前側(穿刺方向前方)へと移動すると、ラッチ部81が連結部71のラッチ凹部712へと嵌り込み、連結部71および穿刺移動体3の移動を一時的に阻止する。ラッチ部81の装填方向Nにおける位置は、使用者の任意により変更可能であってもよい。また、ラッチ部81がラッチ凹部712へと嵌り込む動作は、図示しない既知の機構によって自動的に実行されてもよいし、使用者の操作によって実行されてもよい。これにより、穿刺器具A1は、穿刺が可能な状態となる。
【0049】
この後は、カートリッジケース4の穿刺口42を、血液等の体液を採取すべき身体の箇所に近接させる。次いで、たとえば器具本体1に備えられた操作部(図示略)を操作することにより、ラッチ部81による連結部71の移動阻止を解除する。これにより、
図7に示すように、穿刺移動体3は、弾性部材7の弾性力によって、連結部71とともに装填方向N手前側(穿刺方向前方)へと急速に移動する。そして、カートリッジケース4の穿刺口42から穿刺移動体3の穿刺要素31が突出すると、穿刺要素31の先端が身体の所定箇所に穿刺される。以上の工程により、穿刺器具A1を用いた穿刺が完了する。この後は、穿刺によって得られた血液等の体液を対象として、たとえばSMBGなどの測定を行う。
【0050】
次に、穿刺器具A1の作用について説明する。
【0051】
本実施形態によれば、
図3および
図4に示すように、穿刺カートリッジ2が係合解除位置よりも装填方向N手前側にある場合、移動側係合部321と固定側係合部41との係合が維持される。このため、穿刺カートリッジ2の装填に伴う力が穿刺移動体3に作用しても、カートリッジケース4に対して穿刺移動体3の位置が適切に固定されている。一方、穿刺カートリッジ2が係合解除位置に到達すると、
図5に示すように、係合解除部61によって移動側係合部321と固定側係合部41との係合が解除される。これにより、穿刺移動体3は、カートリッジケース4によって拘束されることなく、スムーズな移動が可能となる。したがって、装填時には、穿刺カートリッジ2における穿刺要素31の位置をより正確に規定しつつ、穿刺時には、穿刺カートリッジ2において穿刺要素31を適切に移動させることができる。
【0052】
図5に示す係合解除位置は、
図4に示す弾性変形開始位置よりも装填方向N奥側に位置している。このため、
図4の弾性変形開始位置から
図5に示す係合解除位置に穿刺カートリッジ2が到達するまでの間は、移動側係合部321と固定側係合部41との係合部位に弾性部材7の弾性力に相当する力が付与される。移動側係合部321と固定側係合部41との係合は、係合解除位置において係合解除部61を利用してはじめて解除されるものであり、係合解除位置に到達するまでの期間において移動側係合部321と固定側係合部41との係合力を高めうる構成を採用することが可能である。この結果、係合解除位置に到達するまでは、移動側係合部321と固定側係合部41との係合が誤って解除されることなく、弾性部材7を確実に弾性変形させることができる。また、係合解除部61による移動側係合部321と固定側係合部41との係合解除は、たとえば弾性部材7を弾性変形させるのに要する力を過度に超える大きな力を必要としない。したがって、穿刺器具A1の使用者が、穿刺カートリッジ2を装填するに際し、穿刺要素31を穿刺させるのに必要な弾性力を弾性部材7に蓄積させるのに必要な力を過度に超える大きな力を、穿刺カートリッジ2に加える必要がない。これは、使用者の穿刺に要する作業負担を軽減するのに好ましい。
【0053】
移動側係合部321が固定側係合部41に対して装填方向Nと交差する方向に進入する構成であり、移動側係合部321と固定側係合部41との係合解除は、カートリッジケース4の一部を装填方向Nと交差する方向に変形することによってなされる。このような構成は、係合解除に要する力を抑制するとともに、移動側係合部321と固定側係合部41との係合を確実に解除するのに好ましい。
【0054】
係合解除位置において移動側係合部321と固定側係合部41との係合が解除されると、
図6に示すように、穿刺移動体3および連結部71の移動がラッチ部81によって速やかに阻止される。これにより、使用者は、穿刺が可能な程度に弾性部材7を弾性変形させることを完了した後に、ラッチ部81によって穿刺移動体3の移動が阻止された状態の穿刺器具A1を、穿刺に適した姿勢に余裕を持って移行させることができる。
【0055】
穿刺カートリッジ2の装填開始後、弾性変形開始位置に到達する前に、キャップ部5を保持部32から分離することにより、未使用状態の穿刺カートリッジ2において誤って穿刺要素31が外部に突出するなどに事態を防止することができる。また、キャップ部5の分離に要する力は、移動側係合部321と固定側係合部41との係合部位を経由して伝達される。移動側係合部321と固定側係合部41との係合力を高めやすい構成であることにより、キャップ部5の分離をスムーズに行うことが可能であるとともに、キャップ部5の分離に際して、誤って移動側係合部321と固定側係合部41との係合が解除されてしまうことを回避することができる。
【0056】
図8〜
図13は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0057】
図8に示すように、本実施形態の穿刺器具A2においては、器具本体1の穿刺移動体3の移動側係合部321の具体的構成が上述した実施形態と異なっている。また、器具本体1の係合解除部61の具体的構成が上述した実施形態と異なっている。これらの相違により、本実施形態においては、移動側係合部321と固定側係合部41とが解除される際の具体的挙動が、上述した実施形態と異なっている。
【0058】
本実施形態においては、移動側係合部321は、全体として、保持部32の図中左右方向中心から外側(図中右側)へと突出している。そして、移動側係合部321、保持部32の本体に繋がる図中左右方向に延びる部分と、図中左下方から右上方へと延びる部分と、図中左右方向に延びる部分とを含んでいる。移動側係合部321の先端は、上述した実施形態と同様に、固定側係合部41に進入しており、これにより移動側係合部321と固定側係合部41とが係合している。
【0059】
係合解除部61は、本実施形態においては、
図8に示す断面形状が円形状とされている。ただし、このような形状は係合解除部61の形状の一例であり、後述する係合解除の工程を適切に実現しうる形状であれば特に限定されない。
【0060】
次に、穿刺器具A2を用いた穿刺について、
図8〜
図13を参照しつつ、以下に説明する。
【0061】
図8に示す状態から穿刺カートリッジ2を装填方向N奥側へと移動させ、
図9に示すように、キャップ部5と分離部621とを当接させる。さらに穿刺カートリッジ2を移動させると、穿刺器具A1における場合と同様に、キャップ部5が保持部32から分離する。次いで、
図10に示すように、保持部32の後端突起322が連結部71の連結凹部711に嵌り込むことにより、保持部32と連結部71とが連結される。上述した穿刺器具A1における場合と同様に、この際の穿刺カートリッジ2の位置が、弾性変形開始位置である。
【0062】
さらに穿刺カートリッジ2を装填方向N奥側へと移動させると、
図11に示すように、穿刺カートリッジ2が本実施形態の係合解除位置に到達する。本実施形態においては、係合解除部61が、移動側係合部321の斜めに延びている部分に当接する。この当接の後にされに穿刺カートリッジ2を装填方向N奥側へと移動させると、移動側係合部321は、係合解除部61によって図中左右方向内側(左側)へと縮められるように変形する。これにより、移動側係合部321の先端が固定側係合部41から離間し始める。穿刺器具A1における場合と同様に、移動側係合部321と固定側係合部41との係合部位には、弾性部材7が発揮する弾性力に相当する大きさの力が付加されている。この力によって移動側係合部321が変形するなどにより、移動側係合部321の先端が固定側係合部41から離脱し、移動側係合部321と固定側係合部41との係合が解除されうる。なお、移動側係合部321が固定側係合部41から完全に抜け出る位置関係となった時点で、係合が解除される構成であってもよい。
【0063】
この後は、
図12に示すように、ラッチ部81による連結部71と穿刺移動体3との一時的な移動阻止状態を経て、
図13に示すように、穿刺移動体3の穿刺要素31による穿刺が実行される。
【0064】
このような実施形態によっても、装填時には、穿刺カートリッジ2における穿刺要素31の位置をより正確に規定しつつ、穿刺時には、穿刺カートリッジ2において穿刺要素31を適切に移動させることができる。また、使用者の穿刺に要する作業負担を軽減することが可能である。
【0065】
また、本実施形態においては、移動側係合部321と41との係合解除は、係合解除部61によって移動側係合部321を変形させることによってなされる。カートリッジケース4は、穿刺移動体3を収容する部材であるために、穿刺移動体3を保護する等の目的を達成しうる剛性を備えることが必要となる場合がある。一方、移動側係合部321は、固定側係合部41との係合のみを目的とした部位であり、それ以外の部位を保護するなどの機能を果たす必要がない。このため、移動側係合部321は、固定側係合部41との係合力を十分に高める構成であれば、係合解除部61によって係合解除を実現しうる態様に変形しやすい構成を採用することができる。
【0066】
本発明に係る穿刺器具は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る穿刺器具の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。