特許第6557112号(P6557112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557112
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】携帯型情報機器の放熱装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/427 20060101AFI20190729BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20190729BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   H01L23/46 B
   F28D15/02 L
   F28D15/02 102A
   H05K7/20 R
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-207865(P2015-207865)
(22)【出願日】2015年10月22日
(65)【公開番号】特開2017-79306(P2017-79306A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2018年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】カブサオ ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】川原 洋司
(72)【発明者】
【氏名】モハメド シャヘッド アハメド
(72)【発明者】
【氏名】益子 耕一
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−204707(JP,A)
【文献】 特開2015−095629(JP,A)
【文献】 特開2004−260046(JP,A)
【文献】 特開2014−165596(JP,A)
【文献】 特開2006−284020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/427
F28D 15/02
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外枠部と表面部材と裏面部材とによって構成された筐体の内部に発熱体が設けられた携帯型情報機器の放熱装置において、
密閉容器の内部に相変化する作動流体が封入されたヒートパイプが、前記作動流体の蒸発する蒸発部と、前記作動流体が凝縮する凝縮部とを有し、
前記蒸発部が前記発熱体に熱伝達可能に連結されるとともに、前記凝縮部が前記外枠部に熱伝達可能にかつ前記外枠部の内面に沿わされて配置され
前記ヒートパイプは、前記蒸発部と前記凝縮部との間の部分である円筒状の中間部分を更に有し、
前記蒸発部は、前記発熱体の表面に沿った扁平形状に形成され、前記凝縮部は、前記外枠部の前記内面に沿った扁平形状に形成されている
ことを特徴とする携帯型情報機器の放熱装置。
【請求項2】
外枠部と表面部材と裏面部材とによって構成された筐体の内部に発熱体が設けられた携帯型情報機器の放熱装置において、
密閉容器の内部に相変化する作動流体が封入されたヒートパイプが、前記作動流体の蒸発する蒸発部と、前記作動流体が凝縮する凝縮部とを有し、
前記蒸発部が前記発熱体に熱伝達可能に連結されるとともに、前記凝縮部が前記外枠部に熱伝達可能にかつ前記外枠部の内面に沿わされて配置され
前記外枠部の内面と前記表面部材もしくは前記裏面部材の内面の一部とに熱伝達可能に接触させられているアタッチメントを更に有し、
前記凝縮部は前記アタッチメントに熱伝達可能に接触させられている
ことを特徴とする携帯型情報機器の放熱装置。
【請求項3】
前記ヒートパイプは、前記蒸発部と前記凝縮部との間の部分である円筒状の中間部分を更に有し、
前記蒸発部は、前記発熱体の表面に沿った扁平形状に形成され、前記凝縮部は、前記外枠部の前記内面に沿った扁平形状に形成されている
ことを特徴とする請求項に記載の携帯型情報機器の放熱装置。
【請求項4】
前記蒸発部は、前記蒸発部の厚さ方向で互いに対向する上面と下面とを有し、
前記凝縮部は、前記蒸発部の上面および下面に対して交差する方向を向く平坦面を有している
ことを特徴とする請求項1または3に記載の携帯型情報機器の放熱装置。
【請求項5】
前記外枠部の内面は、熱拡散壁とされ、
前記アタッチメントは、前記熱拡散壁から前記筐体の内部に向けて突出した棚板部を有し、
前記凝縮部は、前記棚板部に密着した状態に固定されている
ことを特徴とする請求項2または3に記載の携帯型情報機器の放熱装置。
【請求項6】
前記アタッチメントは、前記表面部材または前記裏面部材少なくとも一方の内面に面接触して前記裏面部材に熱伝達する棚板部を備えていることを特徴とする請求項2,3または5に記載の携帯型情報機器の放熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォンやタブレット型情報端末などの携帯型情報機器の放熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報処理に用いられている演算素子(CPU)や記憶素子(RAM,ROM)などの電子部品が、昨今、高速化あるいは大容量化されており、それに伴う発熱による温度上昇を抑制することが求められている。特許文献1には、CPUの熱をヒートパイプによって低温部に運んでCPUの熱を拡散させるように構成された携帯情報端末が記載されている。その低温部は、特許文献1の記載によれば、筐体の内部であって、筐体の外周部と電池との間の部分とされている。また、特許文献1に記載されたヒートパイプは、一部が断面扁平に加工された扁平部となっており、そのために筐体を薄型化でき、あるいは小型化できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−165596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された構成では、CPUなどの熱をヒートパイプによって筐体の外周部と電池との間に輸送できるとしても、筐体から外部に向けた放熱を促進するようには構成されていない。そのため、引用文献1に記載された構成では、高速化あるいは高容量化しつつあるCPUなどの電子部品や筐体のヒートスポットの低温化を図るのには限度があり、より放熱効率あるいは冷却効率に優れた装置の開発が要望されているのが実情である。
【0005】
本発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、筐体から外部に向けた放熱を積極的に生じさせて電子部品の温度上昇を抑制できる携帯型情報機器の放熱装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、外枠部と表面部材と裏面部材とによって構成された筐体の内部に発熱体が設けられた携帯型情報機器の放熱装置において、密閉容器の内部に相変化する作動流体が封入されたヒートパイプが、前記作動流体の蒸発する蒸発部と、前記作動流体が凝縮する凝縮部とを有し、前記蒸発部が前記発熱体に熱伝達可能に連結されるとともに、前記凝縮部が前記外枠部に熱伝達可能にかつ前記外枠部の内面に沿わされて配置されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明においては、前記ヒートパイプは、前記蒸発部と前記凝縮部との間の部分である円筒状の中間部分を更に有し、 前記蒸発部は、前記発熱体の表面に沿った扁平形状に形成され、前記凝縮部は、前記外枠部の前記内面に沿った扁平形状に形成されていてよい。
【0008】
また、本発明においては、前記蒸発部は、前記蒸発部の厚さ方向で互いに対向する上面と下面とを有し、前記凝縮部は、前記蒸発部の上面および下面に対して交差する方向を向く平坦面を有していてよい。
【0009】
さらに、本発明においては、前記外枠部の内面と前記表面部材もしくは前記裏面部材の内面の一部とに熱伝達可能に接触させられているアタッチメントを更に有し、前記凝縮部は前記アタッチメントに熱伝達可能に接触させられていてよい。
【0010】
本発明においては、前記外枠部の内面は、熱拡散壁とされ、前記アタッチメントは、前記熱拡散壁から前記筐体の内部に向けて突出した棚板部を有し、前記凝縮部は、前記棚板部に密着した状態に固定されていてよい。
【0011】
本発明においては、前記アタッチメントは、前記裏面部材の内面に面接触して前記裏面部材に熱伝達する棚板部を備えていてよい。
【0012】
本発明においては、前記アタッチメントは、前記表面部材の内面に面接触して前記表面部材に熱伝達する熱伝達板を備えていてよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、携帯型情報機器の筐体が外枠部を有しており、発熱体の熱を輸送するヒートパイプの凝縮部がその外枠部に沿わされてかつ外枠部に熱伝達するように配置されている。発熱体の熱は、外枠部に伝達されて外枠部に拡散させられ、また外枠部から外部に放散させられる。前記外枠部は、筐体の強度を維持する部分であって、肉厚であるなど、熱容量が大きく、また外部に露出して放熱し易くなっているので、発熱体から多量の熱を外枠部で受け取り、かつ外部に放散することができる。そのため、発熱体の温度上昇が抑制され、発熱体の温度を、動作あるいは機能に支障が生じない温度に維持することができる。また、外枠部は、熱容量が大きいことにより温度が高くなりにくく、また携帯型情報機器のユーザーが特に触る箇所が少ないので、ユーザーの手の感触に違和感をもたらすなどの事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一例を示す模式的な平面図であって、モニタ部を取り除いた状態の平面図である。
図2図1のII−II線に沿う矢視図である。
図3】凝縮部をアタッチメントの棚板部に載せてある状態を示す配置図である。
図4】アタッチメントの他の例を示す断面図である。
図5】アタッチメントの更に他の例を示す断面図である。
図6】蒸発部と凝縮部とが異なる高さ位置にあるように曲げたヒートパイプの例を示すヒートパイプの側面図である。
図7】蒸発部および凝縮部を扁平形状に形成し、中間部分を丸パイプのままの断面形状としたヒートパイプの例を示す図であり、(A)は平面視図、(B)は断面形状を併記した側面視図である。
図8】凝縮部を熱拡散壁に直接密着させた例を示す配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態としてスマートフォンに本発明の放熱装置を適用した例を説明する。図1は、スマートフォン1の概略的な平面図であって、筐体2から表面部材であるモニタ部3を取り外した状態を示しており、また図2図1のII−II線に沿う矢視図である。筐体2はほぼ矩形状の外枠部4と、本発明の表面部材に相当するモニタ部3と、本発明の裏面部材に相当する背面板5とによってほぼ矩形の中空体として形成されている。外枠部4は、筐体2のいわゆる骨組みをなす部分であって、スマートフォン1が軽量かつゆがまないようにするために軽合金材料によって肉厚に形成されていることが好ましい。また、外枠部4の内面に沿わせて熱拡散壁6が設けられている。熱拡散壁6は金属製の薄板もしくはシート材によって形成された矩形の枠状体であり、外枠部4の内面に密着している。モニタ部3は、情報を表示する部分であって液晶パネルによって形成されている。背面板5は、筐体2のいわゆる蓋に相当する部分であって、軽量化やデザイン性などの点で合成樹脂によって形成されていることが好ましい。
【0016】
筐体2の内部で、長手方向での一方(図1および図2の左方向)に寄った箇所に、基板(マザーボード)7が配置され、基板7に発熱体に相当する演算素子(CPU)8が実装されている。演算素子8は基板7のモニタ部3側に位置するように配置されている。より具体的には、基板7は背面板5の内面に接近した位置に配置され、その基板7の背面板5側の面とは反対側の面に演算素子8が取り付けられている。
【0017】
筐体2の内部で、長手方向での他方(図1および図2の右方向)に寄った箇所に、バッテリ9が配置されている。バッテリ9は、筐体2の内部の幅W3より狭い幅W9の矩形の板状をなし、筐体2の内部に設けられた所定の保持枠10によって保持することにより、背面板5から離隔していてよい。さらに、バッテリ9と外枠部4の内面側に配置された熱拡散壁6との間に隙間Cが形成されている。
【0018】
演算素子8の熱を外枠部4側に運んで、演算素子8の温度上昇を抑制するために、一対のヒートパイプ11A,11Bが設けられている。ヒートパイプ11A,11Bは、密閉構造のコンテナの内部に、潜熱の形で熱を輸送する作動流体と、液相の作動流体が浸透することにより毛管力を発生するウイックとを封入した熱輸送素子であり、その原理的な構造は、従来知られている一般的なヒートパイプと同様である。図1および図2に示すヒートパイプ11A,11Bは、銅パイプをコンテナとし、その内部に相変化する作動流体として水を封入され、かつ銅ファイバーやカーボンファイバーなどの細線の束をウイックとしてコンテナの内部に封入したヒートパイプであり、コンテナは扁平形状に形成されている。扁平形状には、銅製の丸パイプを押し潰して成形すればよい。
【0019】
各ヒートパイプ11A,11Bは、それぞれ二箇所で曲げられており、一方の端部側の所定長さの部分が蒸発部12A,12Bとされ、これとは反対の端部側の所定の長さの部分が凝縮部13A,13Bとされている。各蒸発部12A,12Bは、互いに接近しかつ平行になった状態で、前述した演算素子8の上側(図2での上側)に配置されている。演算素子8の上側には、図3に拡大して示してあるように、熱伝導材(TIM:Thermal Interface Material)14を挟んで熱拡散板15が配置されている。熱拡散板15は銅板などの金属板あるいはカーボングラファイトシートなどの熱伝導率の高い薄板状(もしくはシート状)の部材であり、その熱拡散板15に各ヒートパイプ11A,11Bの蒸発部12A,12Bが熱伝達可能に密着させられている。ヒートパイプ11A,11Bは前述したように扁平形状に形成されているから、各蒸発部12A,12Bの下面は平坦面となっており、その平坦面を熱拡散板15上に載せるように配置され、ろう付けあるいはハンダ付けなどの手段で熱拡散板15に密着させられ、接合されている。このような接合構造とすることにより、各ヒートパイプ11A,11Bと熱拡散板15との熱伝達面積の拡大が図られている。
【0020】
各ヒートパイプ11A,11Bは二箇所で曲げられていることにより凝縮部13A,13Bは、筐体2を構成している外枠部4の内面側の熱拡散壁6に沿った位置に配置されている。図1および図2に示す例では、各凝縮部13A,13Bはバッテリ9と熱拡散壁6との間の隙間C内に配置されていて、熱拡散壁6との間で熱伝達が生じるように構成されている。ヒートパイプ11A,11Bは、扁平形状に形成されているから凝縮部13A,13Bも扁平形状に形成されており、筐体2の厚さ方向に薄くなっていて、上面および下面が平坦面になっている。そこで、凝縮部13A,13Bと熱拡散壁6(もしくは外枠部4)との間の熱伝達面積を広くするためにアタッチメント16A,16Bが設けられている。図4にアタッチメント16A,16Bの一例を示してあり、ここに示す例は、熱拡散壁6の高さ方向での中間部からバッテリ9に向けて延びた棚板部17A,17Bを有している。棚板部17A,17Bは金属やカーボンなどの熱伝導率の高い材料によって熱拡散壁6と一体化されて構成されており、凝縮部13A,13Bはその平坦面を棚板部17A,17Bに密着させてアタッチメント16A,16Bに接合されている。そのため、凝縮部13A,13Bの平坦面が熱伝達面となり、熱伝達面積の拡大が図られている。
【0021】
つぎに上述した放熱装置の作用について説明する。演算素子8は動作することにより熱を発生し、その熱は熱伝導材14および熱拡散板15を介してヒートパイプ11A,11Bの蒸発部12A,12Bに伝達される。ヒートパイプ11A,11Bは前述したように扁平形状に形成されているから、蒸発部12A,12Bと熱拡散板15の間の熱伝達面積が広くなっており、蒸発部12A,12Bに対する熱伝達が効率よく行われる。すなわち、本発明に係る上述した放熱装置では、発熱体である演算素子8とヒートパイプ11A,11Bとの間の熱抵抗が低減されている。
【0022】
蒸発部12A,12Bにおけるウイックには作動流体が浸透しており、演算素子8から伝達された熱によって作動流体が蒸発する。ヒートパイプ11A,11Bの凝縮部13A,13Bは、演算素子8から離れた前記隙間Cで外枠部4に熱を奪われるように配置されているので、凝縮部13A,13Bの温度および圧力が低い。そのため、加熱されて蒸発した作動流体は凝縮部13A,13Bに向けて流動する。そして、作動流体の有する熱が凝縮部13A,13Bにおいて前記アタッチメント16A,16Bから熱拡散壁6に伝達され、さらに外枠部4から外部に拡散させられる。凝縮部13A,13Bで放熱した作動流体は液化してウイックに浸透する。これに対して蒸発部12A,12Bで作動流体が蒸発してウイックにおけるメニスカスが低下し、毛管力が発生している。したがって、凝縮部13A,13Bでウイックに浸透した作動流体は毛管力によって蒸発部12A,12B側に還流させられる。
【0023】
凝縮部13A,13Bは、前述した蒸発部12A,12Bと同様に扁平形状に形成され、しかも熱拡散壁6に対してほぼ垂直な扁平形状に形成されているが、アタッチメント16A,16Bが凝縮部13A,13Bと平行でかつ熱拡散壁6と一体化されている棚板部17A,17Bを有し、その棚板部17A,17Bに凝縮部13A,13Bが密着させられている。そのため凝縮部13A,13Bとアタッチメント16A,16Bあるいは熱拡散壁6との熱伝達面積が広くなっている。
【0024】
外枠部4は筐体2の強度を保つように他の部分に比較して肉厚に形成され、その熱容量が大きくなっている。また、外枠部4は外気に接触しているから、外枠部4からの放熱が生じる。そのため、外枠部4の温度は高くなり難い。また、スマートフォン1を手に持つ場合、スマートフォン1を手のひらに載せるものの、スマートフォン1の外周部である外枠部4を強く握ることは希である。さらに、外枠部4を握るとしても、外枠部4は高さが低く、手のひらもしくは指が接触する面積が小さいので、外枠部14から手もしくは指に熱が伝わりにくい。そのため、演算素子8の熱が前述したヒートパイプ11A,11Bを介して外枠部4に伝達され、外枠部4の温度が上昇しても、スマートフォン1を手で持つことが困難になったり、ユーザーに違和感を与えたりすることが防止もしくは抑制される。
【0025】
演算素子8の熱は、上記のように外枠部4に運ばれて外枠部4に吸収され、あるいは外枠部4から外部に放散させられる。そのため、演算素子8の温度が動作の補償される温度(例えば95℃)以下に維持され、演算素子8の機能の異常や動作速度の低下などを回避することができる。また、筐体2のうち、外枠部4やその近傍あるいは演算素子8が配置されている箇所やその近傍の温度は、ユーザーがスマートフォン1を手に持った場合に許容できる温度(例えば55℃)以下に抑えることができる。
【0026】
上述したアタッチメント16A,16Bは、凝縮部13A,13Bから熱拡散壁6あるいは外枠部4に対する熱の伝達を促進するように構成されている。本発明では、熱拡散壁6あるいは外枠部4に対する熱伝達を促進するだけでなく、モニタ部3や背面板5に対する熱伝達を促進するようにアタッチメントを構成してもよい。図5はその一例を示す概略的な断面図であり、ここに示すアタッチメント18A,18Bは、背面板5に対する熱伝達をも促進するように構成した例であり、前記凝縮部13A,13Bを密着させる棚板部19A,19Bが熱拡散壁6の下端部に、背面板5の内面に沿うように延びて一体化されており、したがってアタッチメント18A,18Bは、断面形状が「L」字状をなすように構成されている。
【0027】
図6に示すアタッチメント20A,20Bは、背面板5およびモニタ部3に対する熱伝達をも促進するように構成した例であり、前記凝縮部13A,13Bを密着させる棚板部21A,21Bが熱拡散壁6の下端部に、背面板5の内面に沿うように延びて一体化され、またその棚板部21A,21Bと平行になっていてモニタ部3の内面に沿うように延びた熱伝達板22A,22Bが熱拡散板6の上端部に一体に設けられている。したがって図6に示すアタッチメント20A,20Bは、断面形状が「コ」字状をなすように構成されている。
【0028】
これら図5図6に示すアタッチメント18A,18B,20A,20Bにおいても、凝縮部13A,13Bは棚板部19A,19B,21A,21Bに載せられ、平坦な下面を密着させた状態で固定されている。したがって、凝縮部13A,13Bと棚板部19A,19B,21A,21Bとの熱伝達面積の拡大が図られている。ヒートパイプ11A,11Bによって運ばれた演算素子8の熱は、凝縮部13A,13Bからアタッチメント18a,18B,20A,20Bを介して熱拡散壁6に伝達されて外枠部4に拡散させられるとともに外枠部4から外部に放散させられる。また、図5に示す例では、アタッチメント18A,18Bの棚板部19A,19Bが背面板5にも面接触して両者の間で熱伝達が生じるので、凝縮部13A,13Bの熱は背面板5にも伝達されて拡散させられ、かつ背面板5から外部に放散させられる。このようにアタッチメント18A,18Bを図5に示すように構成した場合には、凝縮部13A,13Bから熱を伝達して拡散させる箇所、および外部に対する放熱面積が広くなるので、放熱性能が向上し、あるいは演算素子8の冷却性能が向上する。
【0029】
さらに、図6に示す例では、アタッチメント20A,20Bが、背面板5に密着させられている棚板部21A,21Bに加えて、モニタ部3に密着させられている熱伝達板22A,22Bを有しているので、外枠部4および背面板5に加えてモニタ部3にも凝縮部13から熱が伝達されて拡散し、また外部に放散する。このようにアタッチメント20A,20Bを図6に示すように構成した場合には、凝縮部13A,13Bから熱を伝達して拡散させる箇所、および外部に対する放熱面積が更に広くなるので、放熱性能が更に向上し、あるいは演算素子8の冷却性能が更に向上する。
【0030】
なお、図5図6に示すアタッチメント18A,18B,20A,20Bを使用する場合、ヒートパイプ11A,11Bの蒸発部12A,12Bと凝縮部13A,13Bとの筐体2における厚さ方向での高さが異なることになる。したがって、ヒートパイプ11A,11Bは、図1に示すように筐体2の幅方向だけでなく、図7に示すように筐体2の厚さ方向に二箇所で曲げる。こうすることにより、蒸発部12A,12Bを熱拡散板15に密着させ、かつ凝縮部13A,13Bをアタッチメント18A,18B,20A,20Bの棚板部19A,19B,21A,21Bに、より確実に密着させることができる。
【0031】
本発明の実施形態におけるヒートパイプ11A,11Bは、筐体2の厚さの増大を可及的に避けるために扁平形状に形成されている。特に、蒸発部12A,12Bや凝縮部13A,13Bのようにスマートフォン1を構成している部材との間で熱伝達の生じる箇所は、広い熱伝達面積を確保するために扁平形状に形成されている。しかしながら、隙間Cが非常に狭く凝縮部13A,13Bを筐体2の厚さ方向に薄く、上面および下面が平坦面になっている扁平形状に形成することができない場合がある。そのような場合には、図8に示すように、中間部分23A,23Bはコンテナを構成している銅パイプを押し潰さずに円筒状とし、蒸発部12A,12Bと凝縮部13A,13Bとを扁平形状に形成してもよい。なお、図8の(A)には中間部分23A,23Bを丸パイプのままの断面形状としたヒートパイプ11A,11Bの平面視図を示し、図8の(B)にそのヒートパイプ11A,11Bの側面視図を示してあり、また図8の(B)には蒸発部12A,12Bおよび凝縮部13A,13Bならびに中間部分23A,23Bの断面形状を併記してある。
【0032】
図8に示すヒートパイプ11A,11Bは、蒸発部12A,12Bと凝縮部13A,13Bとを扁平形状に形成する際の押し潰し方向が90度、異なっている。すなわち、蒸発部12A,12Bは厚さ方向で対向する上面と下面とを有し、これに対して凝縮部13A,13Bは、蒸発部12A,12Bの上面および下面に対して垂直な面に沿う方向で互いに対向する平坦面を有している。したがって、蒸発部12A,12Bをその上下の平坦面が水平となるように置いた場合には、凝縮部13A,13Bの平坦面が垂直になるように構成されている。そのため、蒸発部12A,12Bをその平坦な下面が前述した熱拡散板15の上面に密着するように設置した状態では、凝縮部13A,13Bが垂直な向きになってその平坦面が外枠部4の内面もしくは前述した熱拡散壁6と平行になる。そのため、図9に模式的に示すように、凝縮部13A,13Bの平坦面を熱拡散壁6に直接、面接触させて密着させることができ、その場合には、前述したアタッチメント16A,16B,18A,18B,20A,20Bを省くことができる。また、中間部分23A,23Bを円筒状としたヒートパイプ11A,11Bにあっては、その中間部23A,23Bでの作動流体の蒸気の流路が十分に確保されて作動流体蒸気の流動が円滑化される。そのため、ヒートパイプ11A,11Bの熱輸送特性が良好になり、この点においても演算素子8からの放熱特性もしくは演算素子8の冷却特性を向上させることができる。
【0033】
なお、上述した各実施形態では説明しなかったが、凝縮部13A,13Bとアタッチメント16A,16B,18A,18B,20A,20Bとの間、あるいは凝縮部13A,13Bと熱拡散壁6との間に熱伝導材(TIM)を介在させてもよい。また、図6に示すアタッチメント20A,20Bのように、棚板部21A,21Bに加えて熱伝達板22A,22Bを備えているアタッチメントを使用する場合には、ヒートパイプ11A,11Bの凝縮部13A,13Bは棚板部21A,21Bに替えて熱伝達板22A,22Bに密着させてもよい。さらに、本発明におけるアタッチメントは、背面板5に面接触する棚板部21A,21Bおよびモニタ部3に面接触する熱伝達板22A,22Bに加えて、これら棚板部21A,21Bと熱伝達板22A,22Bとの間に位置する他の棚板部のうちのいずれか一つ、もしくは二つを有する構成であってもよい。そして、本発明では、使用するヒートパイプは1本であってもよく、あるいは3本以上であってもよい。
【0034】
本発明でヒートパイプ11A,11Bの凝縮部13A,13Bが沿わされて配置される外枠部4および熱拡散壁6は、必ずしも垂直な側壁でなくてもよく、傾斜した側壁であってもよい。また、本発明では、外枠部4および熱拡散壁6は平坦な側壁に限られず、湾曲した側壁であってもよい。さらに、本発明では、外枠部4は、前記背面板5と一体に形成されていてもよい。本発明では、ヒートパイプ11A,11Bの凝縮部13A,13Bが熱拡散壁6に対して平行な扁平形状に形成される場合があり、その場合、凝縮部13A,13Bを直接、熱拡散壁6に密着させてもよく、あるいは適宜のアタッチメントを介して熱拡散壁6に熱伝達可能に配置してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1…スマートフォン、 2…筐体、 3…モニタ部、 4…外枠部、 5…背面板、 6…熱拡散壁、 8…演算素子(CPU)、 9…バッテリ、 C…隙間、 11A,11B…ヒートパイプ、 12A,12B…蒸発部、 13A,13B…凝縮部、 15…熱拡散板、 16A,16B,20A,20B…アタッチメント、 17A,17B,18A,18B,19A,19B,21A,21B…棚板部、 22A,22B…熱伝達板、 23A,23B…中間部分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8