(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(毛髪化粧料)
本発明の毛髪化粧料は、(A)アルギニン、(B)両性界面活性剤、(C)多価アルコール、(D)カチオン性界面活性剤、及び(E)長鎖脂肪族アルコールを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0012】
<(A)アルギニン>
前記(A)成分のアルギニンは、毛髪のボリューム、及び毛髪のボリュームの持続性を向上させるために含有されている。
【0013】
前記(A)成分のアルギニンは、5−グアニジノ−2−アミノペンタン酸とも呼ばれ、塩基性アミノ酸の1種で、タンパク質を構成するアミノ酸としては最も塩基性が高い。
前記(A)成分のアルギニンとしては、例えば、光学異性体であるD−アルギニン、L−アルギニンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、毛髪のボリューム、及び毛髪のボリュームの持続性の点から、L−アルギニンが好ましい。
【0014】
前記(A)成分のアルギニンの含有量としては、毛髪のボリューム、毛髪のボリュームの持続性、及び高温での保存安定性の点から、毛髪化粧料全量に対して、2質量%〜10質量%であり、3質量%〜7質量%が好ましい。前記含有量が、2質量%未満であると、毛髪のボリューム、及び毛髪のボリュームの持続性が不十分となることがあり、10質量%を超えると、高温での保存安定性が不十分となることがある。
【0015】
<(B)両性界面活性剤>
前記(B)成分の両性界面活性剤は、毛髪のボリュームの持続性、及び高温での保存安定性を向上させるために含有されている。
【0016】
前記(B)成分の両性界面活性剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベタイン系両性界面活性剤、アミノ酸系両性界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ベタイン系両性界面活性剤が好ましい。
【0017】
前記ベタイン系両性界面活性剤としては、例えば、カルボベタイン系両性界面活性剤、アミドベタイン系両性界面活性剤、スルホベタイン系(ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系)両性界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン系両性界面活性剤、ホスホベタイン系両性界面活性剤、アミノプロピオン酸系両性界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、毛髪のボリュームの持続性、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性の点から、カルボベタイン系両性界面活性剤、アミドベタイン系両性界面活性剤が好ましく、アミドベタイン系両性界面活性剤がより好ましい。
【0018】
前記カルボベタイン系両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどが挙げられる。
前記アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインとしては、例えば、ラウリン酸ジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、毛髪のボリュームの持続性、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性の点から、ラウリン酸ジメチルアミノ酢酸ベタインが好ましい。
【0019】
前記アミドベタイン系両性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミドプロピルベタインなどが挙げられる。
前記アルキルアミドプロピルベタインとしては、例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、イソステアラミドプロピルベタインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、毛髪のボリュームの持続性、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性の点から、ラウリン酸アミドプロピルベタインが好ましい。
【0020】
前記スルホベタイン系両性界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸ジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルスルホベタイン、ステアリルスルホベタイン、ミリスチルスルホベタインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記イミダゾリニウムベタイン系両性界面活性剤としては、例えば、ヤシ油アルキル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
前記ホスホベタイン系両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルヒドロキシホスホベタインなどが挙げられる。
【0023】
前記アミノプロピオン酸系両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸トリエタノールアミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記アミノ酸系両性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミノ脂肪酸、又はその塩などが挙げられる。前記アルキルアミノ脂肪酸塩としては、例えば、ラウリルアミノ脂肪酸塩、ステアリルアミノ脂肪酸塩、ミリスチルアミノ脂肪酸塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記塩の対イオンとしては、例えば、アルカリ金属塩のイオン、アンモニウム塩のイオン、アルカノールアミン塩のイオンなどが挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属塩のイオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオンがより好ましく、ナトリウムイオンが更に好ましい。
【0025】
これらの中でも、毛髪のボリュームの持続性、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性の点から、ラウリン酸ジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインが好ましく、ラウリン酸アミドプロピルベタインがより好ましい。
【0026】
前記(B)成分の両性界面活性剤の含有量としては、毛髪のボリューム、毛髪のボリュームの持続性、及び高温での保存安定性の点から、毛髪化粧料全量に対して、3質量%〜20質量%が好ましく、7質量%〜20質量%がより好ましい。前記含有量が、3質量%未満であると、毛髪のボリュームの持続性、及び高温での保存安定性が不十分となることがあり、20質量%を超えると、毛髪のボリュームが不十分となることがある。
【0027】
<(C)多価アルコール>
前記(C)成分の多価アルコールは、毛髪のボリュームの持続性、及び高温での保存安定性を向上させるために含有されている。
【0028】
前記(C)成分の多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン、トリメチルプロパノール、ソルビトール、又は前記多価アルコールのエチレンオキシド付加物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、毛髪のボリューム、毛髪のボリュームの持続性、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性の点から、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコールが好ましく、グリセリン、及びプロピレングリコールがより好ましく、グリセリンとプロピレングリコールとの併用が更に好ましい。
【0029】
前記グリセリンの含有量としては、毛髪のボリュームの持続性、及び高温での保存安定性の点から、毛髪化粧料全量に対して、2質量%〜30質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。
前記プロピレングリコールの含有量としては、高温での保存安定性の点から、毛髪化粧料全量に対して、1質量%〜5質量%が好ましく、2質量%〜5質量%がより好ましい。
【0030】
前記(C)成分の多価アルコールの含有量としては、毛髪のボリュームの持続性、及び高温での保存安定性の点から、毛髪化粧料全量に対して、5質量%〜30質量%が好ましく、5質量%〜25質量%がより好ましい。前記含有量が、5質量%未満であると、毛髪のボリュームの持続性、及び高温での保存安定性が不十分となることがあり、30質量%を超えると、毛髪のボリュームの持続性が不十分となることがある。
【0031】
<質量比(B/C)>
前記(B)両性界面活性剤の含有量(質量%)と、前記(C)多価アルコールの含有量(質量%)との質量比(B/C)としては、毛髪のボリュームの持続性、及び高温での保存安定性の点から、0.3〜3であり、0.4〜1.5が好ましい。前記質量比(B/C)が、0.3未満であると、毛髪のボリュームの持続性、及び高温での保存安定性が不十分となることがあり、3を超えると、毛髪のボリュームの持続性、及び高温での保存安定性が不十分となることがある。前記(B)両性界面活性剤と前記(C)多価アルコールとを所定の質量比で相互作用させることにより、洗い流しても前記(A)アルギニンを効率よく、毛髪に吸着、浸透させることができ、毛髪のボリューム、及び毛髪のボリュームの持続性が向上するものと推測される。
【0032】
<(D)カチオン性界面活性剤>
前記(D)成分のカチオン性界面活性剤は、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性を向上させるために含有されている。
【0033】
前記(D)成分のカチオン性界面活性剤としては、例えば、下記一般式(D1)で表される第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0035】
ただし、前記一般式(D1)中、R
1は、炭素数8〜22のアルキル基を表し、炭素数16〜22が好ましく、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を表し、Z
−は、対イオンを表し、前記対イオンは、ハロゲン化物イオン、又は水酸化物イオンであり、これらの中でも、Cl
−、Br
−が好ましく、Cl
−がより好ましい。
【0036】
前記一般式(D1)で表される第四級アンモニウム塩としては、例えば、モノ長鎖アルキル(炭素数:8〜22)四級アンモニウム塩、ジ長鎖アルキル(炭素数:8〜22)四級アンモニウム塩、分岐鎖アルキル(炭素数:8〜22)四級アンモニウム塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記モノ長鎖アルキル(炭素数:8〜22)四級アンモニウム塩としては、例えば、アルキル(炭素数:8〜22)ジメチルアンモニウム塩、アルキル(炭素数:8〜22)ジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキル(炭素数:8〜22)トリメチルアンモニウム塩、アルキル(炭素数:8〜22)トリエチルアンモニウム塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、毛髪のボリューム、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性の点から、アルキル(炭素数:8〜22)トリメチルアンモニウム塩が好ましい。
【0038】
前記アルキル(炭素数:8〜22)ジメチルアンモニウム塩としては、例えば、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アルキル(炭素数:8〜22)ジメチルベンジルアンモニウム塩としては、例えば、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記アルキル(炭素数:8〜22)トリメチルアンモニウム塩としては、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリメチルアンモニウム、アルキル(炭素数:8〜22)トリメチルアンモニウムサッカリンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、毛髪のボリューム、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性の点から、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウムが好ましく、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムがより好ましく、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが特に好ましい。
【0040】
前記アルキル(炭素数:8〜22)トリメチルアンモニウム塩としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、商品名:GENAMIN KDMP(塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、BASF社製)、商品名:アーカードT−800(塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、アーカード16−50E(塩化セチルトリメチルアンモニウム、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
前記アルキル(炭素数:8〜22)トリエチルアンモニウム塩としては、例えば、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルトリエチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノエチルトリエチルアンモニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記ジ長鎖アルキル(炭素数:8〜22)四級アンモニウム塩としては、例えば、ジアルキル(炭素数:8〜22)ジメチルアンモニウム塩などが挙げられる。
前記ジアルキル(炭素数:8〜22)ジメチルアンモニウム塩としては、例えば、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記分岐鎖アルキル(炭素数:8〜22)四級アンモニウム塩としては、例えば、エチル硫酸イソステアリン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソノナン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(炭素数:14〜17)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸イソアルカン酸(炭素数:18〜22)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
前記(D)成分のカチオン性界面活性剤の含有量としては、毛髪のボリューム、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性の点から、毛髪化粧料全量に対して、0.5質量%〜5質量%が好ましく、1質量%〜3質量%がより好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性が不十分となることがあり、5質量%を超えると、毛髪のボリューム、及び高温での保存安定性が不十分となることがある。
【0045】
<質量比[A/(B+D)]>
前記(A)アルギニンの含有量(質量%)と、前記(B)両性界面活性剤の含有量(質量%)、及び前記(D)カチオン性界面活性剤の含有量(質量%)の和との質量比[A/(B+D)]としては、毛髪のボリュームの持続性、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性の点から、0.10〜2であり、0.29〜1が好ましい。前記質量比[A/(B+D)]が、0.10未満であると、毛髪のボリュームの持続性、及び高温での保存安定性が不十分となることがあり、2を超えると、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性が不十分となることがある。
【0046】
<(E)長鎖脂肪族アルコール>
前記(E)成分の長鎖脂肪族アルコールは、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性を向上させるために含有されている。
【0047】
前記(E)成分の長鎖脂肪族アルコールとしては、炭素数16〜24であり、直鎖であっても、分岐鎖であってもよく、飽和又は不飽和であってもよい。
前記(E)成分の長鎖脂肪族アルコールとしては、炭素数16〜24の直鎖のアルキル基を有する脂肪族アルコールが好ましく、毛髪のボリュームの持続性、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性の点から、炭素数16〜22の直鎖のアルキル基を有する脂肪族アルコールがより好ましい。
【0048】
前記(E)成分の長鎖脂肪族アルコールとしては、例えば、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、キミルアルコール、バチルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナービルアルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中で、毛髪のボリューム持続性、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性の点から、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールが好ましく、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールがより好ましく、ベヘニルアルコールが更に好ましい。
【0049】
前記(E)成分の長鎖脂肪族アルコールの含有量としては、毛髪のボリュームの持続性、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性の点から、0.5質量%〜10質量%が好ましく、3質量%〜8質量%がより好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性が不十分となることがあり、10質量%を超えると、毛髪のボリュームの持続性、及び高温での保存安定性が不十分となることがある。
【0050】
<その他の成分>
前記毛髪化粧料は、前記(A)〜前記(E)の各成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を配合することができる。前記その他の成分としては、毛髪化粧料に通常用いられているものの中から、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、両性ポリマー、ノニオン性ポリマー等のポリマー;環状シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン等のシリコーン油;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、紫外線吸収剤、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン;グリチルリチン酸2K等の抗炎症剤;ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン等のフケ防止剤;ベントナイト等の増粘剤;パラベン類、メチルクロロイソチアゾリノン・メチルイソチアゾリノン液等の防腐剤;pH調整剤、色素、香料、キレート剤、殺菌剤、前記(A)成分以外のアミノ酸、植物エキスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
前記香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2006−63044号公報明細書の段落[0077]〜[0082]([表5]〜[表10])に記載された香料A、香料B、香料C、香料Dなどが挙げられる。前記香料の含有量としては、毛髪化粧料全量に対して、0.005質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜5質量%がより好ましい。
【0052】
−pH−
前記毛髪化粧料の25℃におけるpHとしては、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性の点から、3〜5が好ましい。前記pHが、3未満であると、又は5を超えると、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性が不十分となることがある。前記毛髪化粧料のpHは、アルギニンと水の一部を混合したものに、塩酸などの無機酸又は有機酸を加えてpHを約4付近に調製し、他の配合成分を混合攪拌する際に加え、最後にpHを測定しながら塩酸などの無機酸又は有機酸を目標とするpHまで添加することで調整できる。前記pHは、外原規一般試験法pH測定法に準拠して測定することができる。
【0053】
−粘度−
前記毛髪化粧料の粘度については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することが
できるが、25℃で、3Pa・s〜10Pa・sが好ましい。前記粘度が、3Pa・s未満であると、又は10Pa・sを超えると、毛先のまとまりやすさ、及び高温での保存安定性が不十分となることがある。前記粘度は、例えば、B型粘度計を用いて、25℃でNo.4のローターを使用し、30rpm、30秒間で測定することができる。
【0054】
−製造方法−
本発明の毛髪化粧料の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベントナイトを分散させた水溶液を80℃に加温し、温度を維持したまま前記(B)両性界面活性剤、及びプロピレングリコール以外の前記(C)多価アルコール等を添加し、均一になるまで攪拌する(水相)。別途、前記(D)カチオン性界面活性剤、及び前記(E)長鎖脂肪族アルコール、必要に応じて前記(C)プロピレングリコールを加温溶解し、油相混合物を得る。前記水相を攪拌しながら徐々に前記油相混合物を添加して均一になるまで攪拌した。その後、塩酸で中和した前記(A)アルギニンを添加し均一になるまで攪拌した後、温度を徐々に室温まで低下させることで毛髪化粧料を得ることができる。
【0055】
−用途−
本発明の毛髪化粧料は、シャンプー、リンス、トリートメント、コンディショナー、リンスインシャンプーなどの洗い流すタイプの製品として好適であり、特に、毛髪のボリューム、及び毛髪のボリュームの持続性の点から、リンスインシャンプー、コンディショナーとして用いることが好ましい。
【実施例】
【0056】
以下に、本発明を実施例、及び比較例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に制限されるものではない。なお、実施例、及び比較例の記載の各成分の含有量は、全て純分換算した値である。
【0057】
(実施例1〜29、及び比較例1〜15)
−コンディショナー−
下記表1〜表6に示す組成、及び含有量の毛髪化粧料(コンディショナー)を以下の方法で調製した。即ち、ベントナイトを分散させた水溶液を80℃に加温し、温度を維持したまま(B)両性界面活性剤、及びプロピレングリコール以外の(C)多価アルコール等を添加し、均一になるまで攪拌した(水相)。別途、(D)カチオン性界面活性剤、(E)長鎖脂肪族アルコール、及び必要に応じて(C)プロピレングリコール、(B’)ノニオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤を加温溶解し、油相を得た。前記水相を攪拌しながら徐々に前記油相を添加して均一になるまで攪拌した。その後、塩酸で中和した(A)アルギニンを添加し均一になるまで攪拌した後、温度を徐々に室温まで低下させ、実施例1〜29及び比較例1〜15の毛髪化粧料を得た。なお、各毛髪化粧料は、塩酸を用いて、pHが4になるように調製した。前記pHは、pHメーター(商品名:HM−30R、東亜ディーケーケー株式会社製)で25℃において測定した。
【0058】
調製した実施例1〜29、及び比較例1〜15の毛髪化粧料(コンディショナー)について、以下のようにして、「毛髪のボリューム」、「毛髪のボリュームの持続性」、「毛先のまとまりやすさ」、及び「高温での保存安定性」を評価した。結果を表1〜表6に示す。
【0059】
<毛髪のボリューム評価>
調製した実施例1〜29、及び比較例1〜15の毛髪化粧料1gを、30cm/10gの毛束(BS−B3A、株式会社ビューラックス製、平均毛径70μm〜80μm)に塗布し、流水で十分すすいだ後、自然乾燥させる工程を7回繰り返した。
次に、前記毛束を15cm長に切り揃え、その中の5本を1つの毛束に束ねて、
図1に示すように、前記毛束の末端から5mmの部分を台紙に固定し、評価試料とした。前記評価試料は、毛髪化粧料1種につき、2セット作製した。前記毛髪化粧料に代えて水のみで処理した毛束を対照試料とし、前記対照試料は2セット作製した。
作製した評価試料を25℃、相対湿度40%環境下において、固定した毛束の末端とは反対の末端を下に向けて毛先を垂らし、台紙を基準とした毛束の最も高い部分の垂直方向の距離h(mm)を測定し、平均値を算出した。対照試料も同様にして距離h’(mm)を測定し、平均値を算出した。
前記距離hの平均値から対照試料の距離h’の平均値を差し引いた毛髪のボリューム差から、以下の評価基準に基づき「毛髪のボリューム」を評価した。
−評価基準−
◎ :毛髪のボリューム差が+3mm以上であり、非常に毛髪のボリュームが増加した
◎〜○:毛髪のボリューム差が+2mm以上+3mm未満であり、毛髪のボリュームが増加した
○ :毛髪のボリューム差が+1mm以上+2mm未満であり、毛髪のボリュームがやや増加した
△ :毛髪のボリューム差が+0.5mm以上+1mm未満であり、毛髪のボリュームはほとんど増加しなかった
× :毛髪のボリューム差が+0.5mm以下であり、毛髪のボリュームは増加しなかった
【0060】
<毛髪のボリュームの持続性>
前記毛髪のボリューム評価と同様にして作製した前記評価試料、及び前記対照試料を、25℃、相対湿度85%RHの条件下に静置し、前記評価試料、及び前記対照試料の6時間経過後の台紙を基準とした毛束の最も高い部分の垂直方向の距離h(mm)、及びh’(mm)を測定し平均値を算出し、前記距離hの平均値から対照試料の距離h’の平均値を差し引いた毛髪のボリューム差から、以下の評価基準に基づき「毛髪のボリュームの持続性」を評価した。
−評価基準−
◎ :毛髪のボリューム差が+2mm以上であり、毛髪のボリュームの持続性が非常に良好である
◎〜○:毛髪のボリューム差が+1mm以上+2mm未満であり、毛髪のボリュームの持続性が良好である
○ :毛髪のボリューム差が+0.5mm以上+1mm未満であるが、毛髪のボリュームの持続性がある
× :毛髪のボリューム差が+0.5mm未満であり、毛髪のボリュームの持続性がない
【0061】
<毛先のまとまりやすさ>
40歳代〜60歳代の女性専門パネル20名が、前夜に、調製した毛髪化粧料6mLを使用して洗髪した。翌朝の毛先について、下記評価基準に基づき「毛先のまとまりやすさ」を評価した。
−評価基準−
◎ :女性専門パネル20名中16名以上が毛先がまとまりやすいと回答
◎〜○:女性専門パネル20名中12名以上15名以下が毛先がまとまりやすいと回答
○ :女性専門パネル20名中6名以上11名以下が毛先がまとまりやすいと回答
× :女性専門パネル20名中5名以下が毛先がまとまりやすいと回答
【0062】
<高温での保存安定性>
調製した毛髪化粧料を50mL透明ガラスビンに約40g充填し、40℃で2週間保存し、下記評価基準に基づき「高温での保存安定性」(分離の有無)を評価した。
−評価基準−
◎ :全く分離は認められない
◎〜○:ほとんど分離は認められない
○ :やや分離が認められる
× :著しく分離が認められる
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
(実施例30)
−コンディショナー−
以下に示す組成、及び含有量の毛髪化粧料(コンディショナー)を実施例1〜29及び比較例1〜15と同様の方法により、実施例30の毛髪化粧料(コンディショナー)を作製した。実施例30の毛髪化粧料について、実施例1〜29、及び比較例1〜15と同様にして、「毛髪のボリューム」、「毛髪のボリュームの持続性」、「毛先のまとまりやすさ」、及び「高温での保存安定性」を評価した。結果を下記に示す。
[組成及び含有量]
L−アルギニン((A)成分) 5質量%
ラウリン酸アミドプロピルベタイン((B)成分) 10質量%
グリセリン((C)成分) 18質量%
プロピレングリコール((C)成分) 3質量%
ジプロピレングリコール((C)成分) 0.5質量%
塩化べヘニルトリメチルアンモニウム((D)成分) 2.5質量%
ベヘニルアルコール((E)成分) 6質量%
ベントナイト 0.3質量%
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル 0.2質量%
アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルション 0.3質量%
アミノガムシリコーンエマルション 2質量%
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1質量%
塩酸 3質量%
香料 0.6質量%
精製水 残量
合計 100質量%
質量比(B/C)=0.47
質量比[A/(B+D)]=0.4
毛髪のボリューム:◎
毛髪のボリュームの持続性:◎
毛先のまとまりやすさ:◎
高温での保存安定性:◎
【0070】
(実施例31)
−コンディショナーインシャンプー−
以下に示す組成、及び含有量の毛髪化粧料(コンディショナーインシャンプー)を実施例1〜29及び比較例1〜15と同様の方法により、実施例31の毛髪化粧料(コンディショナーインシャンプー)を作製した。実施例31の毛髪化粧料について、実施例1〜29、及び比較例1〜15と同様にして、「毛髪のボリューム」、「毛髪のボリュームの持続性」、「毛先のまとまりやすさ」、及び「高温での保存安定性」を評価した。結果を下記に示す。
[組成及び含有量]
L−アルギニン((A)成分) 4質量%
ラウリン酸アミドプロピルベタイン((B)成分) 14質量%
グリセリン((C)成分) 14質量%
プロピレングリコール((C)成分) 3質量%
ソルビトール((C)成分) 0.5質量%
塩化べヘニルトリメチルアンモニウム((D)成分) 1.8質量%
ベヘニルアルコール 4.8質量%
ベントナイト 0.3質量%
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル 0.2質量%
アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルション 0.3質量%
アミノガムシリコーンエマルション 2質量%
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.1質量%
塩酸 2.4質量%
香料 0.6質量%
精製水 残量
合計 100質量%
質量比(B/C)=0.8
質量比[A/(B+D)]=0.25
毛髪のボリューム:◎
毛髪のボリュームの持続性:◎〜○
毛先のまとまりやすさ:◎
高温での保存安定性:◎〜○
【0071】
なお、前記実施例、及び前記比較例で使用した各種成分の詳細について、下記表7に示す。
【表7】