(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a) シクロデキストリンをアルキル化剤と混合することで、アルキル化シクロデキストリン、1つまたは複数の望ましくない成分、および1つまたは複数の薬物分解性不純物を含む反応環境を形成する工程;
(b) 該1つまたは複数の望ましくない成分を該反応環境から除去するために、限外濾過、透析濾過、遠心分離、抽出、溶媒沈殿、または透析である1回または複数回の分離を行うことで、該アルキル化シクロデキストリンおよび該1つまたは複数の薬物分解性不純物を含む部分精製溶液を形成する工程;
(c) 水を加えること、該水に活性炭を浸すこと、および該水を排出することを含む第1の炭素洗浄過程に該炭素を供することを含むプロセスによって、10μS以下の残留導電率を有するホスフェート非含有活性炭を調製する工程; ならびに
(d) 該部分精製溶液を10μS以下の残留導電率を有する該ホスフェート非含有活性炭で処理し、アルキル化シクロデキストリンを生成する工程
を含む、アルキル化シクロデキストリンを含むアルキル化シクロデキストリン組成物を調製するための方法であって、
該アルキル化シクロデキストリン組成物が、1cm光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該アルキル化シクロデキストリン組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される、薬物分解性作用物質に起因する0.5 A.U.未満の吸収を示す、方法。
第2の炭素洗浄過程後の水の残留導電率を試験する工程、および、該水の残留導電率が10μS超である場合に、該水の該残留導電率が10μS以下になるまで、第1の炭素洗浄過程および第2の炭素洗浄過程の少なくとも一方を繰り返す工程をさらに含む、請求項6〜8のいずれか一項記載の方法。
アルキル化シクロデキストリン組成物が、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該アルキル化シクロデキストリン組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される0.2 A.U.未満の吸収を示す、請求項1〜26のいずれか一項記載の方法。
吸収が、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり500mgのアルキル化シクロデキストリン組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される、請求項27〜28のいずれか一項記載の方法。
アルキル化シクロデキストリン組成物が、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該アルキル化シクロデキストリン組成物を含有する水溶液に対する波長320nm〜350nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される1 A.U.未満の吸収を示す、請求項1〜29のいずれか一項記載の方法。
アルキル化シクロデキストリン組成物が、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該アルキル化シクロデキストリン組成物を含有する水溶液に対する波長320nm〜350nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される0.5 A.U.未満の吸収を示す、請求項1〜29のいずれか一項記載の方法。
吸収が、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり500mgのアルキル化シクロデキストリン組成物を含有する水溶液に対する波長320nm〜350nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される、請求項30〜32のいずれか一項記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0037】
発明の詳細な説明
本発明は、本明細書に開示されている様々な局面および態様の組み合わせおよびサブコンビネーションを含む。さらに、ある態様との関連で特定の特徴、構造、または特性が記載されている場合、明示的に記載されている場合であれ、そうでない場合であれ、他の態様との関連でそのような特徴、構造、または特性を実行することが当業者の知識の範囲内であると理解すべきである。本発明のこれらのおよび他の局面は、以下の詳細な説明、実施例、特許請求の範囲、および添付の図面を参照する際に明らかになるであろう。
【0038】
本明細書によって使用される百分率は、別途指示がない限り、「重量%」および/または「w/w」(重量濃度)を意味する。
【0039】
本明細書において行われる空間的記述(例えば「上側」「下側」「上」「下」「上部」「下部」など)に対する言及は、説明および例示のみを目的とするものであって、本発明の任意の方法の工程、機器、組成物、および生成物を限定しないものとして解釈すべきであり、これらは任意の配向または様式で空間的に配列可能である。
【0040】
アルキル化シクロデキストリン
「アルキル化シクロデキストリン組成物」とは、特定の置換基について置換度または平均置換度(ADS)を有する、アルキル化シクロデキストリンを含む組成物のことである。アルキル化シクロデキストリン組成物は、同一である各化学種の特定の置換基について個々の置換度が異なるアルキル化シクロデキストリン種の分布を含む。本明細書において使用される「アルキル化シクロデキストリン組成物」とは、実質的に薬学的に不活性な組成物(すなわち活性な剤を含有しない組成物)のことである。例えばシクロデキストリン組成物はシクロデキストリンを少なくとも90%(w/w)、シクロデキストリンを少なくとも95%(w/w)、シクロデキストリンを少なくとも97%(w/w)、シクロデキストリンを少なくとも99%(w/w)、シクロデキストリンを少なくとも99.9%(w/w)、またはシクロデキストリンを少なくとも99.99%(w/w)を含みうる。
【0041】
アルキル化シクロデキストリンは水溶性アルキル化シクロデキストリンでありうる。これは、その対応する非誘導体化親シクロデキストリンに比べ向上した水溶解度を示し、α-、β-、またはγ-シクロデキストリンに基づく分子構造を有する、任意のアルキル化シクロデキストリンである。いくつかの態様では、本発明の方法によって調製される誘導体化シクロデキストリンは100mg/mL以上の水溶解度、または100mg/mL未満の水溶解度を有する。
【0042】
シクロデキストリンは、シクロデキストリン環を形成する個々の糖のC2位、C3位、またはC6位において中性置換基、アニオン性置換基、またはカチオン性置換基で誘導体化可能である。好適な水溶性アルキル化シクロデキストリンは本明細書に記載されている。アルキル化シクロデキストリンは水不溶性アルキル化シクロデキストリン、またはその対応する非誘導体化親シクロデキストリンよりも低い水溶解度を有するアルキル化シクロデキストリンであってもよい。
【0043】
本明細書において使用される「置換基前駆体」または「アルキル化剤」とは、シクロデキストリン上に存在する-OH基と反応可能な化合物、試薬、部分、または物質を意味する。いくつかの態様では、誘導体化シクロデキストリンは、スルホアルキルエーテル基、エーテル基、アルキルエーテル基、アルケニルエーテル基、ヒドロキシアルキルエーテル基、ヒドロキシアルケニルエーテル基、チオアルキルエーテル基、アミノアルキルエーテル基、メルカプト基、アミノ基、アルキルアミノ基、カルボキシル基、エステル基、ニトロ基、ハロ基、アルデヒド基、2,3-エポキシプロピル基、およびこれらの組み合わせなどの置換基を含む。いくつかの態様では、アルキル化剤としてはアルキルスルトン(例えば1,4-ブタンスルトン、1,5-ペンタンスルトン、1,3-プロパンスルトンなど)が挙げられる。アルキル化シクロデキストリンとは、1個または複数の-OH基が-O-R基で置き換えられており、Rがアルキル部分を含有する、シクロデキストリンのことである。例えば、-O-R基はアルキルエーテルまたはスルホアルキルエーテルでありうる。
【0044】
いくつかの態様では、混合エーテルアルキル化シクロデキストリンなどのアルキル化シクロデキストリンとしては例えば、以下の表1に列挙したものが挙げられる。
【0046】
反応工程、精製工程、および/または単離工程後、本発明のアルキル化シクロデキストリン組成物は少量(例えば1重量%以下、0.5重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.01重量%以下、0.005重量%以下、0.001重量%以下、0.0005重量%以下、または0.0001重量%以下)のシクロデキストリン出発物質(例えば非誘導体化親シクロデキストリン)を含みうる。
【0047】
アルキル化シクロデキストリンは高純度形態で存在しうる。米国特許第7,635,773号を参照されたい。いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリンは、公知の商業的ロットのCAPTISOL(登録商標)に比べて減少した量の薬物分解性作用物質を有する、高純度SAE-CD組成物である。該組成物は、公知の商業的ロットのCAPTISOL(登録商標)に比べて減少した量のホスフェートを有するかまたはホスフェートが完全に排除されていてもよい。該組成物はまた、公知の商業的ロットのCAPTISOL(登録商標)に比べて少量の発色性作用物質を有してもよい。SAE-CD組成物は、公知の商業的ロットのCAPTISOL(登録商標)に比べて減少した量の1,4-ブタンスルトンおよび4-ヒドロキシ-ブタン-1-スルホン酸を有してもよい。
【0048】
本発明のアルキル化シクロデキストリン組成物は、構造的に関連する他のアルキル化シクロデキストリン組成物に比べ、予期しない利点を示す。「構造的に関連する」とは、組成物中のアルキル化シクロデキストリンの置換基がそれと比較される他のアルキル化シクロデキストリンの置換基と本質的に同一であることを例えば意味する。例示的な利点としては、純度の向上、発熱物質の含有量の減少、薬物分解性成分の含有量の減少、発色性作用物質の含有量の減少、未反応置換基前駆体の含有量の減少、および/または未反応シクロデキストリン出発物質の含有量の減少を挙げることができる。塩化物含有量の減少も例示的な利点として挙げられる。
【0049】
水溶性アルキル化シクロデキストリン組成物は式Iのスルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE-CD)化合物または化合物の混合物を含みうる:
式中、nは4、5、または6であり; R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、およびR
9は独立して-H、直鎖もしくは分岐C
1〜C
8-(アルキレン)-SO
3-基、または置換されていてもよい直鎖もしくは分岐C
1〜C
6基であり; R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、およびR
9のうち少なくとも1つは直鎖または分岐C
1〜C
8-(アルキレン)-SO
3-基である。
【0050】
いくつかの態様では、SAE-CD組成物は式IIの水溶性アルキル化シクロデキストリンを含む:
式中、pは4、5、または6であり;
R
1は出現する毎に-OHまたは-SAE-Tより独立して選択され;
-SAE-は-O-(C
2〜C
6アルキレン)-SO
3-基であり、ここで少なくとも1つのSAEは独立して-O-(C
2〜C
6アルキレン)-SO
3-基、gが2〜6、または2〜4である-O-(CH
2)
gSO
3-基(例えば-OCH
2CH
2CH
2SO
3-または-OCH
2CH
2CH
2CH
2SO
3-)であり;かつ
-Tは、出現する毎に、薬学的に許容されるカチオンからなる群より独立して選択され、この群は、例えば、H
+、アルカリ金属(例えばLi
+、Na
+、K
+)、アルカリ土類金属(例えばCa
+2、Mg
+2)、アンモニウムイオン、ならびに(C
1〜C
6)-アルキルアミン、ピペリジン、ピラジン、(C
1〜C
6)-アルカノールアミン、エチレンジアミン、および(C
4〜C
8)-シクロアルカノールアミンのカチオンなどのアミンカチオンを特に含み;
但し、少なくとも1つのR
1はヒドロキシル部分であり、かつ少なくとも1つのR
1は-SAE-Tである。
【0051】
誘導体化シクロデキストリン分子の少なくとも1つのR
1が-SAE-Tである場合、-SAE-T部分に関する置換度は少なくとも1であると理解される(1)。-SAE-という用語がスルホアルキル-(アルキルスルホン酸)-エーテル部分を示すように使用される場合、特記しない限り-SAE-部分はカチオン(-T)を含むと理解される。したがって、「SAE」および「-SAE-T」という用語は本明細書で適宜互換的に使用することができる。
【0052】
SAE-CDは、ポリアニオン性シクロデキストリンであることから、異なる塩形態で得ることができる。好適な対イオンとしてはカチオン性有機原子または分子、およびカチオン性無機原子または分子が挙げられる。SAE-CDは単一種類の対イオンまたは異なる対イオンの混合物を含みうる。SAE-CDの性質は、存在する対イオンの独自性を変更することで修正可能である。例えば、SAE-CD組成物の第1の塩形態は、同一のSAE-CDの異なる第2の塩形態よりも大きい浸透ポテンシャルまたは大きい水分活性減少力を有しうる。
【0053】
いくつかの態様では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンは、例えばH
+、アルカリ金属(例えばLi
+、Na
+、K
+)、アルカリ土類金属(例えばCa
+2、Mg
+2)、アンモニウムイオン、ならびに(C
1〜C
6)-アルキルアミン、ピペリジン、ピラジン、(C
1〜C
6)-アルカノールアミン、エチレンジアミン、および(C
4〜C
8)-シクロアルカノールアミンのカチオンなどのアミンカチオンなど、ならびにこれらの組み合わせより選択される1つまたは複数の薬学的に許容されるカチオンと複合体形成する。
【0054】
さらなる例示的なスルホアルキルエーテル(SAE)-CD誘導体としては以下が挙げられる。
【表2】
表中、xは平均置換度を示す。いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリンは塩として形成される。
【0055】
スルホアルキルエーテルシクロデキストリンの様々な態様としてはエイコサ-O-(メチル)-6G-O-(4-スルホブチル)-β-シクロデキストリン、ヘプタキス-O-(スルホメチル)-テトラデカキス-O-(3-スルホプロピル)-β-シクロデキストリン、ヘプタキス-O-[(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル]-テトラデカキス-O-(3-スルホプロピル)-β-シクロデキストリン、ヘプタキス-O-(スルホメチル)-テトラデカキス-O-(3-スルホプロピル)-β-シクロデキストリン、およびヘプタキス-O-[(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル]-テトラデカキス-O-(スルホメチル)-β-シクロデキストリンが挙げられる。スルホアルキル部分を含有する他の公知のアルキル化シクロデキストリンとしては、オクタキス-(S-スルホプロピル)-オクタチオ-γ-シクロデキストリン、オクタキス-O-[3-[(2-スルホエチル)チオ]プロピル]-β-シクロデキストリン]、およびオクタキス-S-(2-スルホエチル)-オクタチオ-γ-シクロデキストリンなどの、スルホアルキルチオおよびスルホアルキルチオアルキルエーテル誘導体が挙げられる。
【0056】
いくつかの態様では、本発明のアルキル化シクロデキストリン組成物は、アルキル化シクロデキストリン当たりADS 2〜9、4〜8、4〜7.5、4〜7、4〜6.5、4.5〜8、4.5〜7.5、4.5〜7、5〜8、5〜7.5、5〜7、5.5〜8、5.5〜7.5、5.5〜7、5.5〜6.5、6〜8、6〜7.5、6〜7.1、6.5〜7.1、6.2〜6.9、または6.5を有するスルホアルキルエーテル-β-シクロデキストリン組成物であり、残りの置換基は-Hである。
【0057】
いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリンは式IIIの化合物である:
式中、nは4、5、または6であり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、およびR
9は独立して-H、直鎖または分岐C
1〜C
8-(アルキレン)-SO
3-基、および置換されていてもよい直鎖または分岐C
1〜C
6基より選択される。
【0058】
水溶性アルキル化シクロデキストリン組成物は式IVのアルキルエーテル(AE)-シクロデキストリン化合物または化合物の混合物を含みうる:
式中、mは4、5、または6であり; Rは出現する毎に-OHおよびAEからなる群より独立して選択され; AEは-O-(C
1〜C
6アルキル)であるが、但し、少なくとも1つのRが-OHであり; 少なくとも1つのAEが存在する。
【0059】
さらなる例示的なAE-CD誘導体としては以下が挙げられる。
【表3】
式中、MEはメチルエーテルを示し、EEはエチルエーテルを示し、PEはプロピルエーテルを示し、BEはブチルエーテルを示し、PtEはペンチルエチルを示し、HEはヘキシルエーテルを示し、yは平均置換度を示す。
【0060】
水溶性アルキル化シクロデキストリン組成物は式VのHAE-シクロデキストリン化合物または化合物の混合物を含みうる:
式中、「v」は4、5、または6であり; 「Q」は出現する毎に-OHおよび-HAEからなる群より独立して選択され; HAEはHO(C
1〜C
6アルキル)-O-であるが、但し、少なくとも1つの-HAE部分が存在する。
【0061】
さらなる例示的なヒドロキシアルキルエーテル(HAE)-CD誘導体としては以下が挙げられる。
【表4】
表中、HMEはヒドロキシメチルエーテルを示し、HEEはヒドロキシエチルエーテルを示し、HPEはヒドロキシプロピルエーテルを示し、HBEはヒドロキシブチルエーテルを示し、HPtEはヒドロキシペンチルエーテルを示し、HHEはヒドロキシヘキシルエーテルを示し、zは平均置換度を示す。
【0062】
水溶性アルキル化シクロデキストリン組成物は式VIのSAE-AE-CD化合物または化合物の混合物を含みうる:
式中、「v」は4、5、または6であり; 「A」は出現する毎に-OH、-SAET、および-AEからなる群より独立して選択され; xはSAET部分の置換度であって、1〜3v+5であり; yはAE部分の置換度であって、1〜3v+5であり; -SAEは-O-(C
2〜C
6アルキレン)-SO
3-であり; Tは出現する毎に独立してカチオンであり; AEは-O(C
1〜C
3アルキル)であるが、但し、少なくとも1つの-SAET部分および少なくとも1つの-AE部分が存在し; x、yの合計、およびアルキル化シクロデキストリン中の-OH基の総数が3v+6である。
【0063】
本発明の誘導体の具体的な態様としては、1) SAEのアルキレン部分がAEのアルキル部分と同数の炭素を有する誘導体; 2) SAEのアルキレン部分がAEのアルキル部分とは異なる数の炭素を有する誘導体; 3) アルキル部分およびアルキレン部分が直鎖部分もしくは分岐部分からなる群より独立して選択される誘導体; 4) アルキル部分およびアルキレン部分が飽和部分もしくは不飽和部分からなる群より独立して選択される誘導体; 5) SAE基のADSがAE基のADSを超えるかもしくはそれに近い誘導体; または6) SAE基のADSがAE基のADS未満である誘導体が挙げられる。
【0064】
水溶性アルキル化シクロデキストリン組成物は式VIIのSAE-HAE-CD化合物または化合物の混合物を含みうる:
式中、「v」は4、5、または6であり; 「X」は出現する毎に-OH、SAET、およびHAEからなる群より独立して選択され; xはSAET部分の置換度であって、1〜3w+5であり; yはHAE部分の置換度であって、1〜3w+5であり; -SAEは-O-(C
2〜C
6アルキレン)-SO
3-であり; Tは出現する毎に独立してカチオンであり; HAEはHO-(C
1〜C
6アルキル)-O-であるが、但し、少なくとも1つの-SAET部分および少なくとも1つの-HAE部分が存在し; x、yの合計、およびアルキル化シクロデキストリン中の-OH基の総数が3w+6である。
【0065】
アルキル化シクロデキストリンとしてはSAE-CD、HAE-CD、SAE-HAE-CD、HANE-CD、HAE-AE-CD、HAE-SAE-CD、AE-CD、SAE-AE-CD、中性シクロデキストリン、アニオン性シクロデキストリン、カチオン性シクロデキストリン、ハロ誘導体化シクロデキストリン、アミノ誘導体化シクロデキストリン、ニトリル誘導体化シクロデキストリン、アルデヒド誘導体化シクロデキストリン、カルボキシレート誘導体化シクロデキストリン、スルフェート誘導体化シクロデキストリン、スルホネート誘導体化シクロデキストリン、メルカプト誘導体化シクロデキストリン、アルキルアミノ誘導体化シクロデキストリン、またはスクシニル誘導体化シクロデキストリンを挙げることができる。
【0066】
所与のアルキル化シクロデキストリン組成物中で、そのアルキル化シクロデキストリンの置換基は同一でも異なっていてもよい。例えば、SAE部分またはHAE部分は、アルキル化シクロデキストリン組成物中で、出現する毎に同一種類または異なる種類のアルキレン(アルキル)基を有しうる。そのような態様では、SAE部分またはHAE部分中のアルキレン基は、アルキル化シクロデキストリン組成物中で、出現する毎にエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルでありうる。
【0067】
アルキル化シクロデキストリンは、官能基による置換度、官能基中の炭素数、分子量、誘導体化シクロデキストリンを形成するために使用される基礎となるシクロデキストリンに含まれるグルコピラノース単位の数、および/または置換パターンが異なりうる。さらに、官能基によるシクロデキストリンの誘導体化は、制御されてはいるが正確ではない様式で生じる。このため、置換度は実際にはシクロデキストリン当たりの官能基の平均数を表す数である(例えば、SBE
7-β-CDはシクロデキストリン当たり平均7つの置換を有する)。したがって、それは平均置換度(「ADS」)7を有する。さらに、シクロデキストリンのヒドロキシル基の置換の位置化学的分布は、ヘキソース環の特定のヒドロキシル基の置換に関して変動しうる。このため、異なるヒドロキシル基の置換が誘導体化シクロデキストリンの製造中に生じやすく、特別な誘導体化シクロデキストリンが優先的だが独占的または特異的ではない置換パターンを有する。上記に鑑み、特定の誘導体化シクロデキストリン組成物の分子量はバッチ毎に変動しうる。
【0068】
単一の親シクロデキストリン分子中では、3v+6個のヒドロキシル部分が誘導体化に利用可能である。v=4である場合(α-シクロデキストリン)、「y」すなわち該部分の置換度の値は1〜18の範囲でありうる。v=5である場合(β-シクロデキストリン)、「y」すなわち該部分の置換度の値は1〜21の範囲でありうる。v=6である場合(γ-シクロデキストリン)、「y」すなわち該部分の置換度の値は1〜24の範囲でありうる。また、一般に「y」の値は1〜3v+gの範囲であり、gの値は0〜5の範囲である。いくつかの態様では、「y」は1〜2v+g、または1〜1v+gの範囲である。
【0069】
特定の部分(例えばSAE、HAE、またはAE)の置換度(「DS」)は、個々のシクロデキストリン分子に結合したSAE(HAEまたはAE)置換基の数、言い換えればシクロデキストリン1モル当たりの置換基のモル数の尺度である。したがって、各置換基は個々のアルキル化シクロデキストリン種についてそれ自体のDSを有する。置換基の平均置換度(「ADS」)は、本発明のアルキル化シクロデキストリン組成物中のアルキル化シクロデキストリンの分布においてシクロデキストリン分子当たりに存在する置換基の総数の尺度である。したがって、SAE
4-CDはADS(CD分子当たりの)4を有する。
【0070】
本発明のいくつかの態様としては、1) アルキル化シクロデキストリンのヒドロキシル部分の半数超が誘導体化された態様; 2) アルキル化シクロデキストリンのヒドロキシル部分の半数もしくは半数未満が誘導体化された態様; 3) アルキル化シクロデキストリンの置換基が出現する毎に同一である態様; 4) アルキル化シクロデキストリンの置換基が少なくとも2つの異なる置換基を含む態様; または5) アルキル化シクロデキストリンの置換基が、非置換アルキル、置換アルキル、ハライド(ハロ)、ハロアルキル、アミン(アミノ)、アミノアルキル、アルデヒド、カルボニルアルキル、ニトリル、シアノアルキル、スルホアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、チオアルキル、非置換アルキレン、置換アルキレン、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルからなる群より選択される1つもしくは複数の置換基を含む態様が挙げられる。
【0071】
アルキル化シクロデキストリン組成物は、個々の置換度が異なる複数の個々のアルキル化シクロデキストリン種を含むことができ、したがって平均置換度はこの化学種の個々の置換度から本明細書に記載のように算出される。より具体的には、SAE-CD誘導体組成物は複数のSAE-CD種を含むことができ、各化学種はSAE置換基に関して特定の個々の置換度を有する。結果として、SAE-CD誘導体組成物のSAEのADSは、該組成物中の個々の分子の集団のIDS値の平均を表す。例えば、SAE
5.2-CD組成物は複数のSAE
x-CD分子の分布を含み、「x」(SAE基のDS)は個々のシクロデキストリン分子について1から10〜11までの範囲でありうる。しかし、SAE-シクロデキストリン分子の集団は、「x」の平均値(SAE基のADS)が5.2になる集団である。
【0072】
アルキル化シクロデキストリン組成物は高い〜中程度〜低いADSを有しうる。また、アルキル化シクロデキストリン組成物は広いまたは狭い「スパン」を有しうるものであり、スパンとはアルキル化シクロデキストリン組成物中の個々のDS種の数のことである。例えば、単一の特定の個々のDSを有する単一のアルキル化シクロデキストリン種を含むアルキル化シクロデキストリン組成物は1のスパンを有すると言われ、アルキル化シクロデキストリンの個々のDSはそのアルキル化シクロデキストリン組成物のADSに等しい。例えば1のスパンを有するアルキル化シクロデキストリンの電気泳動図は、DSに関して1つのアルキル化シクロデキストリン種しか有さないはずである。2のスパンを有するアルキル化シクロデキストリン組成物は、個々のDSが異なる2つの個々のアルキル化シクロデキストリン種を含み、例えばその電気泳動図は、DSが異なる2つの異なるアルキル化シクロデキストリン種を示すであろう。同様に、3のスパンを有するアルキル化シクロデキストリン組成物のスパンは、個々のDSが異なる3つの個々のアルキル化シクロデキストリン種を含む。通常、アルキル化シクロデキストリン組成物のスパンは5〜15、または7〜12、または8〜11の範囲である。
【0073】
親シクロデキストリンは、シクロデキストリンを形成するグルコピラノース残基のC-2位およびC-3位における二級ヒドロキシル基、ならびにそのC-6位における一級ヒドロキシルを含む。これらのヒドロキシル部分はそれぞれ置換基前駆体による誘導体化に利用可能である。使用する合成の方法論に応じて、利用可能なヒドロキシルの位置の間で置換基部分をランダムにまたは多少秩序立った様式で分布させることができる。また、置換基による誘導体化の位置異性を所望に応じて変動させることができる。各組成物の位置異性は独立して選択される。例えば、存在する置換基の大多数は親シクロデキストリンの一級ヒドロキシル基、または二級ヒドロキシル基の一方もしくは両方に位置しうる。いくつかの態様では、置換基の一次分布はC-3>C-2>C-6であり、一方、他の態様では、置換基の一次分布はC-2>C-3>C-6である。本発明のいくつかの態様は、置換基部分の少数がC-6位に位置し、置換基部分の大多数がC-2位および/またはC-3位に位置する、アルキル化シクロデキストリン分子を含む。本発明のさらに他の態様は、置換基部分がC-2位、C-3位、およびC-6位の間で実質的に均一に分布している、アルキル化シクロデキストリン分子を含む。
【0074】
アルキル化シクロデキストリン組成物は複数の個々のアルキル化シクロデキストリン種の分布を含み、各化学種は個々の置換度(「IDS」)を有する。特定の組成物中の各シクロデキストリン種の含有量はキャピラリー電気泳動を使用して定量化することができる。分析方法(例えば荷電アルキル化シクロデキストリンについてのキャピラリー電気泳動)は、わずか5%の1つのアルキル化シクロデキストリンおよび95%の別のアルキル化シクロデキストリンを有する組成物と出発アルキル化シクロデキストリン組成物とを区別する上で十分に感受性がある。
【0075】
分布中の個々のアルキル化シクロデキストリン種の間の上述の変動は、複合体形成平衡定数K
1:1の変化を導くことがあり、この変化は、活性な剤に対する誘導体化シクロデキストリンの必要なモル比に影響を与える。平衡定数は温度によっていくらか変動することもあり、製造、保存、輸送、および使用中に生じうる温度変動の間に作用物質が可溶化され続けるようにするには、この比には許容範囲が必要である。平衡定数はpHによって変動することもあり、製造、保存、輸送、および使用中に生じうるpH変動の間に作用物質が可溶化され続けるようにするには、この比には許容範囲が必要でありうる。平衡定数は他の賦形剤(例えば緩衝剤、保存料、抗酸化剤)の存在によって変動することもある。したがって、上記の変数を代償するために、誘導体化シクロデキストリン対活性な剤の比を、本明細書に開示される比から変動させることができる。
【0076】
本発明の方法に従って作製されるアルキル化シクロデキストリンは、参照によりその開示全体が本明細書に組み入れられる米国特許第5,134,127号、第5,376,645号、第5,914,122号、第5,874,418号、第6,046,177号、第6,133,248号、第6,153,746号、第6,407,079号、第6,869,939号、第7,034,013号、第7,625,878号、第7,629,331号、第7,635,773号; 米国特許出願公開第2005/0164986号、第2005/0186267号、第2005/0250738号、第2006/0258537号、第2007/0020196号、第2007/0020298号、第2007/0020299号、第2007/0175472号、第2007/0202054号、第2008/0194519号、第2009/0011037号、第2009/0012042号、第2009/0123540号; 米国特許出願第12/404,174号、第12/407,734号、第61/050,918号、第61/177,718号、および第61/182,560号; ならびにPCT国際出願第PCT/US06/62346号、第PCT/US07/71758号、第PCT/US07/71748号、第PCT/US07/72387号、第PCT/US07/72442号、第PCT/US07/78465号、第PCT/US08/61697号、第PCT/US08/61698号、第PCT/US08/70969号、および第PCT/US08/82730号に例えば開示されている組成物、製剤、方法、およびシステムにおいて使用することができる。本発明の方法に従って調製されるアルキル化シクロデキストリンは、同一の官能基を有する他の公知グレードのアルキル化シクロデキストリンの好適な代替物として使用することもできる。
【0077】
いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリンは、本発明のアルキル化シクロデキストリン組成物の調製元である対応するシクロデキストリンよりも大きい水溶解度を有する。例えば、いくつかの態様では、非誘導体化シクロデキストリン、例えばWACKER BIOCHEM CORP.(ミシガン州エイドリアン)および他の供給源から市販されている例えばα-、β-、またはγ-シクロデキストリンなどの出発物質として利用される。非誘導体化シクロデキストリンは、本発明のアルキル化シクロデキストリン組成物に比べて限定された水溶解度を有する。例えば、非誘導体化α-CD、β-CD、γ-CDは飽和時にそれぞれ約145g/L、18.5g/L、および232g/Lの水溶解度を有する。
【0078】
非誘導体化シクロデキストリンの大部分(例えば50%超)または他の混入物を除去するように水溶性アルキル化シクロデキストリン組成物を処理してもよい。
【0079】
本明細書において使用される「アルキレン」および「アルキル」という用語(例えば-O-(C
2〜C
6-アルキレン)SO
3-基またはアルキルアミンカチオンにおける)は、直鎖状、環状、および分岐状で飽和および不飽和(すなわち1つまたは複数の二重結合を含有する)の二価のアルキレン基および一価のアルキル基をそれぞれ含む。例えば、SAE部分またはHAE部分は、アルキル化シクロデキストリン組成物中で、出現する毎に同一種類または異なる種類のアルキレン(アルキル)基を有しうる。そのような態様では、SAE部分またはHAE部分中のアルキレン基は、アルキル化シクロデキストリン組成物中で、出現する毎にエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルでありうる。
【0080】
同様に、本文書における「アルカノール」という用語は、アルカノール基の直鎖状、環状、および分岐状で飽和および不飽和のアルキル成分であって、ヒドロキシル基がアルキル部分上のどの位置に位置してもよいアルキル成分を含む。「シクロアルカノール」という用語は非置換のまたは置換されている(例えばメチルまたはエチルで)環状アルコールを含む。
【0081】
いくつかの態様では、本発明は、平均置換度2〜9を有するアルキルエーテルシクロデキストリン、500ppm未満のホスフェート、および0.5%(w/w)未満の塩化物を含む、アルキルエーテルシクロデキストリン(AE-CD)組成物であって、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該AE-CD組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される1 A.U.未満の吸収を示す、AE-CD組成物を提供する。いくつかの態様では、1 A.U.未満の前記吸収は薬物分解性作用物質に起因する。いくつかの態様では、アルキルエーテルシクロデキストリン組成物はスルホブチルエーテルシクロデキストリン組成物ではない。いくつかの態様では、アルキルエーテルシクロデキストリンはスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンではない。いくつかの態様では、AE-CD組成物は、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該AE-CD組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される0.5 A.U.以下の吸収を示す。いくつかの態様では、0.5 A.U.以下の前記吸収は薬物分解性作用物質に起因する。いくつかの態様では、AE-CD組成物は、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該AE-CD組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される0.2 A.U.以下の吸収を示す。いくつかの態様では、0.2 A.U.以下の前記吸収は薬物分解性作用物質に起因する。いくつかの態様では、AE-CD組成物の吸収は、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり500mgの該AE-CD組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される。
【0082】
いくつかの態様では、本発明は、平均置換度2〜9を有するアルキルエーテルシクロデキストリン、500ppm未満のホスフェート、および0.5%(w/w)未満の塩化物を含む、アルキルエーテルシクロデキストリン(AE-CD)組成物であって、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該AE-CD組成物を含有する水溶液に対する波長320nm〜350nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される1 A.U.未満の吸収を示す、AE-CD組成物を提供する。いくつかの態様では、1 A.U.未満の前記吸収は発色性作用物質に起因する。いくつかの態様では、アルキルエーテルシクロデキストリン組成物はスルホブチルエーテルシクロデキストリン組成物ではない。いくつかの態様では、アルキルエーテルシクロデキストリンはスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンではない。いくつかの態様では、AE-CD組成物は、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該SAE-CD組成物を含有する水溶液に対する波長320nm〜350nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される0.5 A.U.以下の吸収を示す。いくつかの態様では、0.5 A.U.以下の前記吸収は発色性作用物質に起因する。いくつかの態様では、AE-CD組成物は、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該AE-CD組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される0.2 A.U.以下の吸収を示す。いくつかの態様では、0.2 A.U.以下の前記吸収は薬物分解性作用物質に起因する。いくつかの態様では、AE-CD組成物の吸収は、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり500mgの該SAE-CD組成物を含有する水溶液に対する波長320nm〜350nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される。
【0083】
いくつかの態様では、AE-CDの平均置換度は4.5〜7.5である。いくつかの態様では、AE-CDの平均置換度は6〜7.5である。いくつかの態様では、AE-CDの平均置換度は6.2〜6.9である。
【0084】
いくつかの態様では、本発明は、AE-CD組成物と活性な剤とを含む組成物を提供する。
【0085】
いくつかの態様では、本発明は、平均置換度2〜9を有するスルホアルキルエーテルシクロデキストリン、500ppm未満のホスフェート、および0.5%(w/w)未満の塩化物を含む、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE-CD)組成物であって、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該SAE-CD組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される1 A.U.未満の吸収を示す、SAE-CD組成物を提供する。いくつかの態様では、1 A.U.未満の前記吸収は薬物分解性作用物質に起因する。いくつかの態様では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン組成物はスルホブチルエーテルシクロデキストリン組成物ではない。いくつかの態様では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンはスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンではない。いくつかの態様では、SAE-CD組成物は、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該SAE-CD組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される0.5 A.U.以下の吸収を示す。いくつかの態様では、0.5 A.U.以下の前記吸収は薬物分解性作用物質に起因する。いくつかの態様では、SAE-CD組成物は、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該SAE-CD組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される0.2 A.U.以下の吸収を示す。いくつかの態様では、0.2 A.U.以下の前記吸収は薬物分解性作用物質に起因する。いくつかの態様では、SAE-CD組成物の吸収は、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり500mgの該SAE-CD組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される。
【0086】
いくつかの態様では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンは式(II)の化合物である:
式中、pは4、5、または6であり、R
1は出現する毎に-OHまたは-O-(C
2〜C
6アルキレン)-SO
3--Tより独立して選択され、Tは出現する毎に薬学的に許容されるカチオンより独立して選択されるが、但し、少なくとも1つのR
1が-OHであり、かつ少なくとも1つのR
1がO-(C
2〜C
6アルキレン)-SO
3--Tである。いくつかの態様では、R
1は出現する毎に-OHまたは-O-(C
4アルキレン)-SO
3--Tより独立して選択され、-Tは出現する毎にNa
+である。
【0087】
いくつかの態様では、本発明は、平均置換度2〜9を有するスルホアルキルエーテルシクロデキストリン、500ppm未満のホスフェート、および0.5%(w/w)未満の塩化物を含む、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE-CD)組成物であって、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該SAE-CD組成物を含有する水溶液に対する波長320nm〜350nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される1 A.U.以下の吸収を示す、SAE-CD組成物を提供する。いくつかの態様では、1 A.U.以下の前記吸収は発色性作用物質に起因する。いくつかの態様では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン組成物はスルホブチルエーテルシクロデキストリン組成物ではない。いくつかの態様では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンはスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンではない。いくつかの態様では、SAE-CD組成物は、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該SAE-CD組成物を含有する水溶液に対する波長320nm〜350nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される0.5 A.U.以下の吸収を示す。いくつかの態様では、0.5 A.U.以下の前記吸収は発色性作用物質に起因する。いくつかの態様では、SAE-CD組成物は、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該SAE-CD組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される0.2 A.U.以下の吸収を示す。いくつかの態様では、0.2 A.U.以下の前記吸収は発色性作用物質に起因する。いくつかの態様では、SAE-CD組成物の吸収は、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり500mgの該SAE-CD組成物を含有する水溶液に対する波長320nm〜350nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される。
【0088】
いくつかの態様では、SAE-CDの平均置換度は4.5〜7.5である。いくつかの態様では、SAE-CDの平均置換度は6〜7.5である。いくつかの態様では、SAE-CDの平均置換度は6.2〜6.9である。
【0089】
いくつかの態様では、本発明は、SAE-CD組成物と活性な剤とを含む組成物を提供する。
【0090】
本発明はまた、活性な剤を安定化させるための方法であって、以下の工程を含む方法に関する: アルキル化シクロデキストリン、500ppm未満のホスフェート、および0.5%未満の塩化物を含む、アルキル化シクロデキストリン組成物であって、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該アルキル化シクロデキストリン組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される1 A.U.未満の吸収を示す、アルキル化シクロデキストリン組成物を得る工程; ならびに該アルキル化シクロデキストリン組成物を活性な剤と組み合わせる工程。いくつかの態様では、1 A.U.未満の前記吸収は薬物分解性作用物質に起因する。
【0091】
本発明はまた、活性な剤を安定化させるための方法であって、以下の工程を含む方法に関する: アルキル化シクロデキストリン、500ppm未満のホスフェート、および0.5%未満の塩化物を含む、アルキル化シクロデキストリン組成物であって、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該アルキル化シクロデキストリン組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される1 A.U.未満の吸収を示す、アルキル化シクロデキストリン組成物を得る工程; ならびに該アルキル化シクロデキストリン組成物を活性な剤と組み合わせる工程。いくつかの態様では、1 A.U.未満の前記吸収は発色性作用物質による。
【0092】
本発明は、アルキル化シクロデキストリン組成物を調製するための方法であって、以下の工程を含む方法を提供する:
(a) シクロデキストリンをアルキル化剤とアルカリ化剤の存在下で混合することで、アルキル化シクロデキストリン、1つまたは複数の望ましくない成分、および1つまたは複数の薬物分解性不純物を含む反応環境を形成する工程;
(b) 該1つまたは複数の望ましくない成分を該反応環境から除去するために、限外濾過、透析濾過、遠心分離、抽出、溶媒沈殿、または透析である1回または複数回の分離を行うことで、該アルキル化シクロデキストリンおよび該1つまたは複数の薬物分解性不純物を含む部分精製溶液を形成する工程;
(c) 該部分精製溶液を、10μS以下の導電率を有するホスフェート非含有活性炭で処理し、アルキル化シクロデキストリンを生成する工程。
【0093】
本明細書において使用される「バッチ」または「ロット」という用語は、処理運転の開始から処理運転の完了までの個々の製造運転または処理運転を意味する。いくつかの態様では、本発明は、アルキル化シクロデキストリンを含むアルキル化シクロデキストリン組成物の2つ以上のロットを調製するための方法であって、以下の工程を含む方法を提供する: (a) シクロデキストリンをアルキル化剤と混合することで、アルキル化シクロデキストリン、1つまたは複数の望ましくない成分、および1つまたは複数の薬物分解性不純物を含む反応環境を形成する工程;(b) 該1つまたは複数の望ましくない成分を該反応環境から除去するために、限外濾過、透析濾過、遠心分離、抽出、溶媒沈殿、または透析である1回または複数回の分離を行うことで、該アルキル化シクロデキストリンおよび該1つまたは複数の薬物分解性不純物を含む部分精製溶液を形成する工程;(c) 該部分精製溶液を、10μS以下の残留導電率を有するホスフェート非含有活性炭で処理し、アルキル化シクロデキストリンの1ロットを生成する工程; ならびに(d) (a)〜(c)を繰り返すことでアルキル化シクロデキストリン組成物の別のロットを得る工程。
【0094】
いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物の2つ以上のロットは、少なくとも4ロット、少なくとも5ロット、少なくとも6ロット、少なくとも7ロット、少なくとも8ロット、少なくとも9ロット、少なくとも10ロット、少なくとも11ロット、少なくとも12ロット、少なくとも13ロット、少なくとも14ロット、少なくとも15ロット、少なくとも16ロット、少なくとも17ロット、少なくとも18ロット、少なくとも19ロット、少なくとも20ロット、少なくとも30ロット、少なくとも40ロット、少なくとも50ロット、少なくとも60ロット、少なくとも70ロット、少なくとも80ロット、少なくとも90ロット、または少なくとも100ロットである。いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物の2つ以上のロットは、少なくとも3ロットである。いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物の2つ以上のロットは、4〜100ロット、10〜100ロット、20〜100ロット、30〜100ロット、40〜100ロット、50〜100ロット、10〜20ロット、10〜30ロット、10〜40ロット、または10〜50ロットである。いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物の2つ以上のロットは3〜100ロットである。
【0095】
いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物の2つ以上のロットは、6ヶ月の期間内、1年の期間内、2年の期間内、3年の期間内、4年の期間内、5年の期間内、6年の期間内、7年の期間内、8年の期間内、9年の期間内、10年の期間内、15年の期間内または20年の期間内で調製される。
【0096】
いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物は少なくとも10キロの個別運転、少なくとも50キロの個別運転、少なくとも100キロの個別運転、少なくとも200キロの個別運転、少なくとも300キロの個別運転、少なくとも400キロの個別運転、少なくとも500キロの個別運転、少なくとも600キロの個別運転、少なくとも700キロの個別運転、少なくとも800キロの個別運転、少なくとも900キロの個別運転、少なくとも1000キロの個別運転、少なくとも1500キロの個別運転、または少なくとも2000キロの個別運転で製造される。
【0097】
いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの50%以上は0.1%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの65%以上は0.1%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの75%以上は0.1%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの80%以上は0.1%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの85%以上は0.1%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの90%以上は0.1%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの95%以上は0.1%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの98%以上は0.1%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの50%以上は0.08%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの65%以上は0.08%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの75%以上は0.08%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの80%以上は0.08%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの85%以上は0.08%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの90%以上は0.08%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの95%以上は0.08%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの98%以上は0.08%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの50%以上は0.05%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの65%以上は0.05%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの75%以上は0.05%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの80%以上は0.05%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの85%以上は0.05%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの90%以上は0.05%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットの95%以上は0.05%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、またはアルキル化シクロデキストリン組成物のロットの98%以上は0.05%(w/w)未満の塩化物レベルを有する。
【0098】
いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットは順次調製される。
【0099】
いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物のロットは連続して調製される。例えば、いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物の2つ以上のロットは少なくとも4つの連続したロット、少なくとも5つの連続したロット、少なくとも6つの連続したロット、少なくとも7つの連続したロット、少なくとも8つの連続したロット、少なくとも9つの連続したロット、少なくとも10の連続したロット、少なくとも11の連続したロット、少なくとも12の連続したロット、少なくとも13の連続したロット、少なくとも14の連続したロット、少なくとも15の連続したロット、少なくとも16の連続したロット、少なくとも17の連続したロット、少なくとも18の連続したロット、少なくとも19の連続したロット、少なくとも20の連続したロット、少なくとも30の連続したロット、少なくとも40の連続したロット、少なくとも50の連続したロット、少なくとも60の連続したロット、少なくとも70の連続したロット、少なくとも80の連続したロット、少なくとも90の連続したロット、少なくとも100の連続したロットである。いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物の2つ以上のロットは少なくとも3つの連続したロットである。いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物の2つ以上のロットは4〜100の連続したロット、10〜100の連続したロット、20〜100の連続したロット、30〜100の連続したロット、40〜100の連続したロット、50〜100の連続したロット、10〜20の連続したロット、10〜30の連続したロット、10〜40の連続したロット、または10〜50の連続したロットである。いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物の2つ以上のロットは3〜100の連続したロットである。
【0100】
いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物の2つ以上の連続したロットは、6ヶ月の期間内、1年の期間内、2年の期間内、3年の期間内、4年の期間内、5年の期間内、6年の期間内、7年の期間内、8年の期間内、9年の期間内、10年の期間内、15年の期間内、または20年の期間内で調製される。
【0101】
いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの50%以上は0.1%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの65%以上は0.1%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの75%以上は0.1%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの80%以上は0.1%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの85%以上は0.1%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの90%以上は0.1%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの95%以上は0.1%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの98%以上は0.1%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの50%以上は0.08%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの65%以上は0.08%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの75%以上は0.08%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの80%以上は0.08%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの85%以上は0.08%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの90%以上は0.08%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの95%以上は0.08%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの98%以上は0.08%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの50%以上は0.05%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの65%以上は0.05%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの75%以上は0.05%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの80%以上は0.05%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの85%以上は0.05%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの90%以上は0.05%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、アルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの95%以上は0.05%(w/w)未満の塩化物レベルを有し、またはアルキル化シクロデキストリン組成物の連続したロットの98%以上は0.05%(w/w)未満の塩化物レベルを有する。
【0102】
アルキル化シクロデキストリン組成物の調製
本発明では、アルキル化シクロデキストリン組成物を調製するためのいくつかの方法を記載する。一般に、中性〜アルカリ性の水性媒体中の非誘導体化シクロデキストリン出発物質を置換基前駆体に曝露させる。置換基前駆体は漸増的にまたはボーラスとして添加することができ、置換基前駆体はアルカリ性であってもよい水性媒体に対するシクロデキストリン出発物質の曝露の前、途中、または後に添加することができる。pHを所望の範囲内に維持するために、必要に応じてさらなるアルカリ性材料または緩衝材料を添加することができる。誘導体化反応は周囲温度〜高温で実行することができる。誘導体化が所望の程度まで進行した時点で、酸の添加によって反応を停止させてもよい。反応環境をさらに加工することで(例えば溶媒沈殿、濾過、遠心分離、蒸発、濃縮、乾燥、クロマトグラフィー、透析、および/または限外濾過)、望ましくない材料を除去し、標的組成物を形成する。最終加工後に、組成物は固体、液体、半固体、ゲル、シロップ、ペースト、粉末、凝集体、顆粒、ペレット、圧縮材料、再構成可能な固体、懸濁液、ガラス、結晶塊、非晶質塊、粒子、ビーズ、乳濁液、または湿潤塊の形態であり得る。
【0103】
本発明は、所定の置換度を任意で有するアルキル化シクロデキストリンを含むアルキル化シクロデキストリン組成物を作製する方法であって、以下の工程を含む方法を提供する: 非置換シクロデキストリン出発物質と所定の置換度を実現するために十分な量のアルキル化剤とをアルカリ金属水酸化物の存在下で組み合わせる工程; 残留未反応シクロデキストリンが0.5重量%未満または0.1%未満になるまで9〜11のpHの範囲内でシクロデキストリンのアルキル化を実行する工程; 置換度を達成するために十分な量でさらなる水酸化物を添加し、かつアルキル化を完了まで進行させる工程; ならびにさらなる水酸化物を添加して任意の残留アルキル化剤を破壊する工程。
【0104】
さらなる水酸化物を添加する工程は、水性粗生成物中の残留アルキル化剤のレベルが20ppm未満または2ppm未満に減少する量の水酸化物の使用によって、かつそのような条件(すなわちさらなる水酸化物の添加量、温度、アルキル化剤加水分解を実行する時間の長さ)下で実行することができる。
【0105】
反応環境または部分精製水溶液が未反応のアルキル化剤を含むことがあり得る。このアルキル化剤は、さらなるアルカリ化剤を添加するか、またはこの薬剤を含有する溶液を加熱することでその場で分解することができる。混合の終了後に許容されない量のアルキル化剤が反応環境中に存在する場合、過剰のアルキル化剤の分解が必要になる。このアルキル化剤は、さらなるアルカリ化剤を添加するか、またはこの薬剤を含有する溶液を加熱することでその場で分解することができる。
【0106】
分解は、反応環境を少なくとも60℃、少なくとも65℃、または60℃〜85℃、60℃〜80℃、または60℃〜95℃の高温に少なくとも6時間、少なくとも8時間、8時間〜12時間、6時間〜72時間、または48時間〜72時間曝露させることで、アルキル化剤をその場で分解し、かつ水性液体中のアルキル化剤の量を減少させるかまたはそれを排除することによって実行することができる。
【0107】
本明細書に記載のように反応を行った後、反応を停止させるためにアルキル化シクロデキストリンを含有する水性媒体をpH7に中和することができる。特にさらなる精製を実行しなければならない場合、粘度を低減させるために次にこの溶液を水で希釈することができる。塩(例えば水酸化ナトリウムを塩基として使用した場合はNaCl)および他の低分子量副生成物などの反応副生成物の溶液をパージするために、限外濾過ユニット上でのダイアフィルトレーションを含むがそれに限定されないさらなる精製を使用することができる。この生成物は限外濾過によってさらに濃縮可能である。次に、活性炭によるこの生成物溶液の処理を、その色を改善し、バイオバーデンを減少させ、1つまたは複数の薬物分解性不純物を実質的に除去するために行うことができる。凍結乾燥、噴霧乾燥、または真空ドラム乾燥などの好適な乾燥技術によってこの生成物を単離することができる。
【0108】
反応液は、非置換α-、β-、またはγ-シクロデキストリン出発物質を塩基、通常は水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムなどの水酸化物の水溶液に溶解させることで最初に調製することができる。所定または所望の置換度を達成するために、塩基は触媒量(すなわちシクロデキストリンに対する1:1未満のモル比)で存在する。すなわち、塩基は、シクロデキストリン分子中の誘導体化しようとする各ヒドロキシルについて1モル当量未満の量で存在する。温度が上昇するに従ってシクロデキストリンは水溶液にますます可溶性になるため、完全な溶解を確実にするには塩基およびシクロデキストリンを含有する水性反応混合物を50℃の温度に上昇させるべきである。アルキル化反応全体を通じて攪拌を一般に使用する。
【0109】
溶解の完了後に、アルキル化剤を添加してアルキル化反応を開始する。アルキル化剤の一部は反応中に加水分解および/またはそうでなければ破壊/分解されてアルキル化反応に利用できなくなるため、一般に、反応全体を通じて添加されるアルキル化剤の全量は、反応を完了させるために必要なシクロデキストリンの量に対する化学量論的量を超過する。所望の置換度のために使用するアルキル化剤の正確な量は試験の使用を通じて決定することができる。反応の完了に必要なアルキル化剤の全量を、反応を開始させる前に添加することができる。系が水性であるため、反応は一般に50℃と100℃の間の温度で実行される。特殊な圧力設備を必要としないように、反応を100℃未満の温度で実行することができる。一般に、65℃〜95℃の温度が好適である。
【0110】
反応の初期フェーズ(本明細書ではpH制御フェーズと呼ぶ)中に、pHをモニタリングし、それを少なくとも塩基性にまたはpH8〜11に維持するように注意を払うべきである。pHのモニタリングは標準的pHメーターを使用することで好都合に実現することができる。pHの調整は水酸化物の水溶液、例えば10〜15%溶液を添加することで実現することができる。初期pH制御フェーズ中に、未反応シクロデキストリンは、0.5重量%未満または0.1重量%未満の未反応シクロデキストリンが溶液中にとどまる程度まで反応する。したがって、実質的にシクロデキストリンの初期供給量全体が、部分置換によって、但し所望の所定置換度未満まで反応する。0.5%未満または0.1%未満の残留シクロデキストリン出発物質という所望の終点が達成されるまで、残留シクロデキストリンを例えば下記のように高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によってこの初期フェーズ全体を通じてモニタリングすることができる。濃縮水酸化物を反応媒質に連続的にまたは小さい漸増量としての別個の量で添加することで、pHを維持および/または上昇させることができる。小さい漸増量での添加が特に好適である。
【0111】
少ない残留シクロデキストリンと併せて所望の置換度を生成する手順に特定の量の反応物質を組み合わせ可能であることがわかるようにアルキル化手順を標準化または最適化すると、初期pH制御の全体または途中ではなく最後にこの手順を単純にチェックすることで、残留(未反応)シクロデキストリン出発物質の低いレベルが達成されることを確実にすることができる。以下の表では、反応器に供給されるブタンスルトンの量とSAE-CDの得られる平均置換度との間の関係を開示する。
【0112】
例えば初期供給量のシクロデキストリン出発物質と塩基とを組み合わせた後であるがアルキル化剤を添加する前に、反応媒質の初期pHが11を超えることがあることに留意する。しかし、アルキル化剤を添加して反応が開始した後でpHは速やかに低下し、このため塩基を添加して約8〜約11の塩基性pHを維持することが必要になる。
【0113】
pH制御段階中に残留未反応シクロデキストリンのレベルが所望のレベル、例えば0.5重量%未満に達すると、さらなる塩基を添加してpHを11超、例えば12を超えるレベルに上昇させることで反応を完了させることができる。反応が、かなりの速度であるが、未反応アルキル化剤がシクロデキストリンと反応するよりむしろ速やかに加水分解される程には速くない速度で進行するように、pHを少なくとも12にすることができる。反応のこの後者のフェーズの間、所定の置換度に達するまでシクロデキストリン分子のさらなる置換を実現することができる。典型的には、反応全体を通じて添加される水酸化物の全量は、アルキル化剤の使用量に対して化学量論的に必要な量プラス10〜20%モル過剰のオーダーである。10〜20%過剰を超える添加も実行可能である。先に記した反応終点はHPLCによって検出可能である。好適な温度は65℃〜95℃である。典型的には、HPLCシステムは、アンペロメトリック電気化学検出(PAD)を用いるアニオン交換分析用カラムを使用する。溶出は、二相系、例えば25mM(ミリモル)水酸化ナトリウム水溶液である溶媒Aおよび250mM水酸化ナトリウム中の1M硝酸ナトリウムである溶媒Bを使用するグラジエントによるものであり得る。
【0114】
アルキル化反応が完了し、低い残留シクロデキストリン終点に到達すると、さらなる水酸化物を添加して任意の残留アルキル化剤を破壊および/または分解することができる。さらなる水酸化物を典型的にはシクロデキストリンに対して0.5〜3モル当量の量で添加し、反応媒質を65℃〜95℃で典型的には6時間〜72時間加熱し続ける。
【0115】
残留アルキル化剤の破壊後に、得られた粗生成物を、希釈し、ダイアフィルトレーションして塩などの低分子量成分の生成物を減少させるかまたは取り除き、濃縮し、炭素処理し、かつ、乾燥させることによってさらに処理して、最終生成物を生成することができる。
【0116】
pHを最初にモニタリングすることで、アルキル誘導体化反応が進行する際にpHが8〜11にとどまることを確実にする。この初期段階で、アルキル化を容易にするための水酸化物の添加は段階式または段階的であり得る。反応のpHをモニタリングすることで、シクロデキストリン出発物質の初期ストック全体がシクロデキストリン分子当たり平均少なくとも1つのアルキル置換を実現する程度まで本質的に反応するように反応を制御できることを確実にする。したがって、シクロデキストリン反応物質全体がプロセスの初めに消費され、そのため、化学量論的量または過剰量の塩基全体とシクロデキストリンおよびアルキル化剤とを最初に組み合わせて、非制御的に反応を進行させることを特徴とするプロセスによって生成される粗生成物に比べ、粗生成物中の残留(未反応)シクロデキストリンのレベルが低くなる。シクロデキストリン出発物質の供給量全体が部分的に反応した後、残りの水酸化物を添加することで、アルキル置換を所定で所望の程度まで完結させることにより反応を完了させることができる。シクロデキストリンの初期供給量が第1のpH制御フェーズで消費された後、水酸化物添加の速度は重要ではない。したがって、水酸化物は連続的にまたは別個の段階で添加する(例えば溶液として)ことができる。さらに、反応速度が商業的に有用であるように、反応媒質のpHは約12を超えて維持すべきである。
【0117】
シクロデキストリン組成物中の不純物の減少および除去
初期pH制御は、反応混合物からのある種の副生成物を減少させるための手段を与える。例えば、反応が進行するに従って、酸がアルキル化の結果として生成され、また反応混合物のpHが減少する(すなわちより酸性になる)傾向にある。一方、反応媒質が酸性になると反応がかなり遅延するかまたは停止するため、反応液は塩基性に維持される。したがって、必要に応じて水酸化物水溶液を添加することで、反応媒質のpHを少なくとも8のレベルに維持すべきである。他方、pHがある種のレベル、例えば12を超えるpHを超える場合、反応によって高レベルの4-ヒドロキシアルキルスルホネートおよびビス-スルホアルキルエーテルなどの副生成物が生成され、したがって、アルキル化剤出発物質が消費されることがある。反応溶液のpHをモニタリングしかつpHを8〜12または8〜11に維持することで、反応は比較的低レベルの副生成物を生成する間に進行し、比較的低レベルの上記の副生成物を含有する比較的清浄な反応混合物が与えられる。
【0118】
「化学量論的に十分な」量で与えられる反応物質などに対する上記の言及は、対象となるシクロデキストリンを所望の置換度まで完全に誘導体化するために必要な反応物質の量に関するものである。本明細書で使用する「アルカリ金属水酸化物」とは、LiOH、NaOH、KOHなどを意味する。非経口投与に好適な生成物を生成することを望む場合はNaOHを使用することができる。
【0119】
置換度は、より低い置換度を望むかまたはより高い置換度を望むかのいずれかに応じて、対応してより少ない量またはより多い量のアルキル化剤を使用することで制御することができる。一般に、達成可能な置換度は平均4.5〜7.5、5.5〜7.5、または6〜7.1である。
【0120】
本明細書の方法の粗生成物、すなわち残留アルキル化剤の破壊後に得られる生成物は、塩基を最初に単一の供給量で添加するプロセスで生成されるものよりも、低レベルの残留シクロデキストリンを含有し、また本発明のさらなる特徴として提供される。典型的には、本発明の方法によって生成される粗生成物は、0.5重量%未満または0.1%未満の残留シクロデキストリンを含有する。以下で説明するように、この粗生成物は、非常に低い残留アルキル化剤レベルを含むという点でも有利である。
【0121】
典型的には、残留アルキル化剤の破壊後に得られる粗シクロデキストリン生成物水溶液は限外濾過によって精製され、限外濾過は、低分子量不純物を通過させる半透膜に粗生成物を接触させるプロセスである。この膜を通過する不純物の分子量はその膜の分子量カットオフに依存する。本発明では、1,000ダルトン(「Da」)の分子量カットオフを有する膜を典型的に使用する。ダイアフィルトレーションおよび/または限外濾過は、500Da〜2,000Da、500Da〜1,500Da、750Da〜1,250Da、もしくは900Da〜1,100Da、または約1,000Daの分子量カットオフを有する濾過膜によって実行することができる。次に、保持液中の所望の生成物を活性炭でさらに処理することで、薬物分解性不純物を実質的に除去する。粗シクロデキストリン生成物水溶液(すなわち残留アルキル化剤の破壊後であるが精製前に得られるもの)は、溶液の重量に対して2ppm未満、1ppm未満、または250ppb未満の残留アルキル化剤を含有するという点で有利である。粗溶液は残留アルキル化剤を本質的に含有しないこともある。
【0122】
最終商品をこの時点で、例えば活性炭を除去するための濾過、それに続く水の蒸発(例えば蒸留、噴霧乾燥、凍結乾燥などを通じて)によって単離することができる。本発明によって生成される最終生成物は、非常に低い残留レベル、例えば乾燥(すなわち10重量%未満の水を含有する)最終生成物の重量に対して2ppm未満、1ppm未満、250ppb未満のアルキル化剤を含有するか、または残留アルキル化剤を本質的に含有しないという点で有利である。したがって、250ppb未満のアルキル化剤を含有する最終生成物が本発明のさらなる特徴として提供される。所望の置換度へのアルキル化の完了後に、既に記載のアルカリ加水分解処理によって、すなわち、乾燥生成物中の未反応アルキル化剤の量を2ppm未満、1ppm未満、または250ppb未満の所望のレベルに減少させるために十分な量および条件下で追加の水酸化物溶液を添加することによって、アルキル化剤が減少する。
【0123】
本発明の方法での使用に好適な活性炭は、ホスフェートを含まないことがあり、粉末もしくは顆粒、またはそれから生成される懸濁液もしくはスラリーであり得る。一般に、ホスフェートを含まない活性炭は、リン酸を使用して活性化されなかったかまたはそうでなければリン酸に曝露されなかった炭素である。
【0124】
活性炭の原料源は木の実の殻、泥炭、木材、コイア、亜炭、石炭、および石油ピッチなどの炭素質材料でありうる。これらの原料を物理的または化学的活性化に供することができる。
【0125】
原料の物理的活性化はガスの使用を通じて進行し、炭化、活性化/酸化、またはその組み合わせによって行われる。炭化では、原料を600〜900℃の範囲の温度にて酸素の非存在下で(例えばアルゴンまたは窒素の不活性雰囲気下で)熱分解する。活性化/酸化では、原料を250℃超(例えば600〜1200℃の温度範囲)の温度で酸化雰囲気(例えば二酸化炭素、酸素、または蒸気)に曝露する。
【0126】
原料を化学物質に含浸させる化学的活性化は、炭化前に行われる。いくつかの態様では、化学物質は酸、強塩基、または塩である。いくつかの態様では、活性化用化学物質はリン酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化カルシウム、または塩化亜鉛である。いくつかの態様では、化学的活性化後に、原料を、化学的活性化を経ていない原料で使用される温度よりも低い温度で炭化する。いくつかの態様では、化学的活性化後に、原料を450〜900℃で炭化する。
【0127】
多種多様な活性炭が利用可能である。例えば、Norit-Americasは、DARCO(登録商標)、HYDRODARCO(登録商標)、NORIT(登録商標)、BENTONORIT(登録商標)、PETRODARCO(登録商標)、およびSORBONORIT(登録商標)などの商標で、150を超える異なるグレードおよび種類の活性炭を販売している。これらの炭素は粒径、用途、活性化方法、および有用性が異なる。例えば、いくつかの活性炭は色および/または香りの除去用に最適化されている。他の活性炭はタンパク質、ミネラル、および/もしくはアミノ酸部分の除去用、または溶液の浄化用に最適化されている。
【0128】
本発明に係る使用に好適な活性炭としては、亜炭由来であり蒸気で活性化されたDARCO(登録商標)4X12、12X20、または20x40顆粒(Norit Americas, Inc.、Amersfoort, NE); DARCO(登録商標)S 51 HF(亜炭由来、蒸気で活性化、粉末); および木材由来であり塩化亜鉛で活性化されたSHIRASAGI(登録商標)DC-32粉末状または顆粒状炭素(武田薬品工業(株)、大阪、日本)が挙げられるがそれに限定されない。
【0129】
アルキルエーテルシクロデキストリンを精製するために先行技術で使用される、リン酸で活性化された炭素は、本発明での使用には一般に不適であり、DARCO(登録商標)KB-G、DARCO(登録商標)KB-B、およびDARCO(登録商標)KB-WJ、ならびにNORIT(登録商標)CASPおよびNORIT(登録商標)CN1が挙げられる。
【0130】
本発明は、(a) シクロデキストリンをアルキル化剤と混合することで、アルキル化シクロデキストリン、1つまたは複数の望ましくない成分、および1つまたは複数の薬物分解性不純物を含む反応環境を形成する工程;(b) 該1つまたは複数の望ましくない成分を該反応環境から除去するために、限外濾過、透析濾過、遠心分離、抽出、溶媒沈殿、または透析である1回または複数回の分離を行うことで、該アルキル化シクロデキストリンおよび該1つまたは複数の薬物分解性不純物を含む部分精製溶液を形成する工程; ならびに(c) 該部分精製溶液を、塩化亜鉛または蒸気を使用して活性化されていないホスフェート非含有活性炭で処理し、アルキル化シクロデキストリンを生成する工程を含む、アルキル化シクロデキストリンを含むアルキル化シクロデキストリン組成物を調製するための方法を提供する。
【0131】
本発明はまた、(a) シクロデキストリンをアルキル化剤と混合することで、アルキル化シクロデキストリン、1つまたは複数の望ましくない成分、および1つまたは複数の薬物分解性不純物を含む反応環境を形成する工程;(b) 該1つまたは複数の望ましくない成分を該反応環境から除去するために、限外濾過、透析濾過、遠心分離、抽出、溶媒沈殿、または透析である1回または複数回の分離を行うことで、該アルキル化シクロデキストリンおよび該1つまたは複数の薬物分解性不純物を含む部分精製溶液を形成する工程; ならびに(c) 該部分精製溶液を、塩化亜鉛または蒸気を使用して活性化されていない10μS以下の残留導電率を有するホスフェート非含有活性炭で処理し、アルキル化シクロデキストリンを生成する工程を含む、アルキル化シクロデキストリンを含むアルキル化シクロデキストリン組成物を調製するための方法を提供する。
【0132】
いくつかの態様において、アルキル化シクロデキストリン組成物中のリン酸レベルは、200ppm未満、150ppm未満、125ppm未満、100ppm未満、95ppm未満、90ppm未満、85ppm未満、80ppm未満、75ppm未満、70ppm未満、65ppm未満、60ppm未満、55ppm未満、50ppm未満、45ppm未満、40ppm未満、35ppm未満、30ppm未満、25ppm未満、20ppm未満、15ppm未満、10ppm未満、または5ppm未満である。いくつかの態様において、アルキル化シクロデキストリン組成物中のリン酸レベルは、200ppm〜5ppm、150ppm〜5ppm、125ppm〜5ppm、100ppm〜5ppm、75ppm〜5ppm、50ppm〜5ppm、150ppm〜10ppm、125ppm〜10ppm、100ppm〜10ppm、または75ppm〜10ppmである。
【0133】
活性炭の添加比は溶液中のアルキル化シクロデキストリン、発色性作用物質、および薬物分解性作用物質の量または濃度、ならびに使用される活性炭の物理特性に最終的に依存する。一般に、シクロデキストリン対活性炭の重量比は処理サイクル当たり重量比で5:1〜10:1、6:1〜9:1、7:1〜9:1、8:1〜9:1、8.3:1〜8.5:1、8.4:1〜8.5:1、または8.44:1である。
【0134】
本明細書で使用する「処理サイクル」とは、所定量のシクロデキストリン組成物と所定量の活性炭との接触を意味する。処理サイクルは、単一の処理または複数の(再循環)通過処理として行うことができる。
【0135】
本明細書で提供される実施例は、SAE-CDのプロセス中環境または溶液に存在する1つまたは複数の薬物分解性成分および1つまたは複数の発色性成分を除去する上での異なるグレード、ロット、供給源、および種類の活性炭の効率を評価および比較するために使用する手順を詳述する。一般に、プロセス中環境または溶液は活性炭および120分間の攪拌によって処理する。緩い形態、粒子状形態、または粉末形態の活性炭を使用する場合、濾過媒体を通じて炭素を含有する液体を濾過することでそれを除去することによって浄化された溶液を与えることができる。
【0136】
濾過膜としてはナイロン、TEFLON(登録商標)、PVDF、または別の適合性のある材料を挙げることができる。SAE-CDを含有する溶液中のSAE-CDから分離される化学種の粒径または分子量に従って、必要に応じて濾過膜の孔径を変動させることができる。
【0137】
本明細書で提供される実施例では、本発明の水性反応環境上で1つまたは複数の分離および/または精製を実行するための手順を詳述する。反応溶液を水溶液で希釈し、ダイアフィルトレーションに供し、ダイアフィルトレーション中に保持液の体積は実質的に一定に維持される。ダイアフィルトレーションは1,000Daフィルター上で実行することができ、1つまたは複数の望まれない成分はこのフィルターを通過するが、アルキル化シクロデキストリン組成物中に存在するアルキルエーテルの大部分は濾液と共に通過するよりむしろ保持液中に保持される。次に、保持液の体積を減少させて保持液を濃縮することで限外濾過を実行する。約1,000Daの分子量カットオフを有するフィルターも限外濾過に使用可能である。保持液はアルキル化シクロデキストリンを含み、これは次に本明細書に記載の活性炭で処理することができる。
【0138】
1つまたは複数の望まれない成分としては、低分子量不純物(すなわち約500Da以下の分子量を有する不純物)、水溶性および/または水不溶性イオン(すなわち塩)、加水分解されたアルキル化剤、5-(ヒドロキシメチル)-2-フルアルデヒド、未反応シクロデキストリン出発物質、分解シクロデキストリン種(例えば未反応シクロデキストリン、部分反応シクロデキストリン、および/またはSAE-CDから形成される分解および/または開環した化学種)、未反応アルキル化剤(例えば1,4-ブタンスルトン)、ならびにその組み合わせを挙げることができるがそれに限定されない。
【0139】
いくつかの態様では、本発明の組成物は1つまたは複数の薬物分解性作用物質を実質的に含まない。1つまたは複数の薬物分解性作用物質の存在は、特に紫外/可視(「紫外/可視(vis)」)分光光度法によって決定することができる。本明細書で使用する「薬物分解性作用物質」または「薬物分解性不純物」とは、水溶液中である種の有効成分を分解する化学種、部分などを意味する。薬物分解性作用物質は、薬物の化学構造および分解経路に依存して、アルキル化シクロデキストリン組成物と組み合わせられ得るすべての薬物を分解し得るわけではないことが理解されるべきである。いくつかの態様では、薬物分解性種は、スペクトルの紫外/可視領域内の吸収、例えば245nm〜270nmの波長での吸収極大を有する。
【0140】
アルキル化シクロデキストリン組成物中の薬物分解性作用物質の存在は紫外/可視によって吸光度単位(A.U.)で測定することができる。いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物は1 A.U.未満、0.9 A.U.未満、0.8 A.U.未満、0.7 A.U.未満、0.6 A.U.未満、0.5 A.U.、0.4 A.U.未満、0.3 A.U.未満、0.2 A.U.未満、または0.1 A.U未満の吸収を示す。
【0141】
溶液の吸光度は下記式に従って濃度に対して線形となる:
A = εlc
式中、
A = 吸光度
ε = 消衰係数
l = 光路長
c = モル濃度
である。
【0142】
アルキル化シクロデキストリン組成物中の薬物分解性作用物質の存在は、光路長1cmを有するセルを使用して紫外/可視分光光度法によって波長245〜270nmで測定することができる。いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物は、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで1 A.U.未満、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで1 A.U.未満、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで1 A.U.未満、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで1 A.U.未満、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.9 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.9 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.9 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.9 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.8 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.8 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.8 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.8 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.7 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.7 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.7 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.7 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.6 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.6 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.6 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.6 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.5 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.5 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.5 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.5 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.4 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.4 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.4 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.4 A.U.以下、該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.3 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.3 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.3 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.3 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.2 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.2 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.2 A.U.以下、または溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長245nm〜270nmで0.2 A.U.以下の吸収を示す。
【0143】
アルキル化シクロデキストリン組成物中の発色性作用物質の存在は、光路長1cmを有するセルを使用して紫外/可視分光光度法によって波長320nm〜350nmで測定することができる。いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物は、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで1 A.U.未満、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで1 A.U.未満、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで1 A.U.未満、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで1 A.U.未満、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.9 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.9 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.9 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.9 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.8 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.8 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.8 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.8 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.7 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.7 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.7 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.7 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.6 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.6 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.6 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.6 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.5 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.5 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.5 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.5 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.4 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.4 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.4 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.4 A.U.以下、該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.3 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.3 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.3 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.3 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物200mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.2 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物300mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.2 A.U.以下、溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物400mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.2 A.U.以下、または溶液1mL当たり該アルキル化シクロデキストリン組成物500mgを含有する水溶液について波長320nm〜350nmで0.2 A.U.以下の吸収を示す。
【0144】
任意の特別な理論に拘束されるものではないが、薬物分解性作用物質、薬物分解性種、または薬物分解性部分としては、反応混合物中で副生成物および/または分解生成物として生成される化学種などであるがそれに限定されない1つまたは複数の低分子量種(例えば1,000Da未満の分子量を有する化学種)を挙げることができる。したがって、薬物分解性種としてはグリコシド部分、開環シクロデキストリン種、還元糖、グルコース分解生成物(例えば3,4-ジデオキシグルコソン-3-エン; 2-フルアルデヒド、5-ヒドロキシメチル-2-フルアルデヒドなどのカルボニル含有分解物)、ならびにその組み合わせが挙げられるがそれに限定されない。
【0145】
いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物は1重量%未満、0.5重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、0.08重量%未満、または0.05重量%未満のアルカリ金属ハロゲン化物塩を含む。
【0146】
いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物は1重量%未満、0.5重量%未満、0.25重量%未満、0.1重量%未満、0.08重量%未満、または0.05重量%未満の加水分解アルキル化剤を含む。
【0147】
いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物は500ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、2ppm未満、1ppm未満、500ppb未満、または250ppb未満のアルキル化剤を含む。
【0148】
いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物は0.5重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、または0.08重量%未満の非誘導体化シクロデキストリンを含む。
【0149】
「複合体化した」とは「包接複合体または包含複合体の一部であること」を意味し、すなわち、「複合体化した」治療用の剤はアルキル化シクロデキストリンとの包接複合体または包含複合体の一部である。「大部分」という用語は重量比またはモル基準で50%以上であることを意味する。したがって、本発明に係る製剤は、その約50重量%超がアルキル化シクロデキストリンと複合体化している活性な剤を含有し得る。複合体化している活性な剤の実際の割合は、特定のシクロデキストリンと特定の活性な剤との複合体化を特徴づける複合体化平衡結合定数に従って変動する。本発明はまた、活性な剤がシクロデキストリンと複合体化していない態様、または活性な剤の少数部分のみがアルキル化シクロデキストリンと複合体化している態様を含む。アルキル化シクロデキストリンが正に帯電した化合物と1つまたは複数のイオン結合を形成可能であることに留意すべきである。このイオン会合は、正に帯電した化合物が包含複合体化によってシクロデキストリンと複合体化しているか否かにかかわらず生じ得る。
【0150】
図6に示すように、粗SBE-CD生成物の限外濾過後にβ-シクロデキストリンおよび4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸(4-HBSA)などの不純物が存在する。活性炭を備えた第2のカラムの後にβ-シクロデキストリンおよび4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸不純物の量が減少した。しかし、
図6に示すように、2つのカラムの後で生成物中には多量の塩化物が存在する。
【0151】
活性炭を使用する精製工程においては、薬物分解性作用物質は減少したが、多量の塩化物がアルキル化シクロデキストリン生成物中に存在する。アルキル化シクロデキストリン生成物中のこの多量の塩化物は活性な剤と反応して該活性な剤の分解を引き起こすことがある。したがって、アルキル化シクロデキストリン生成物中の塩化物レベルを減少させることが、特に活性な剤が塩化物に感受性がある場合に必要である。
【0152】
活性な剤が塩化物に感受性があるか否かは、当業者が公知の技術を使用して決定することができる。
【0153】
図7に示すように、限外濾過後に残留塩化物レベルはほぼゼロに低下する。2つの活性炭カラムを使用するさらなる精製後に、塩化物がSBE-CD溶液中に戻される。
【0154】
活性炭の浄化中、導電率が一定レベルになるまで水を活性炭カラムに流し、その後SBE-CD溶液を添加する。以下の表は、水の量、および活性炭カラムを測定して得られた導電率レベルの詳細を示す。表に示すように、SBE-CD溶液の添加前に水70,000リットルを使用して活性炭を洗浄したバッチにおいても、塩化物不純物が最終SBE-CD溶液中に見られた。
【0155】
循環前および循環中の活性炭での処理に関するより広範な調査は、SBE-CD溶液を活性炭床に循環させる最初の数分間に塩化物の添加量が最も多くなったことを示す。
図8に示すように、2つの商業的SBE-CDバッチの塩化物不純物レベルは、限外濾過後はほぼゼロであり、活性炭での処理後の最初の5分間は実質的に増大し、10分後および20分後には低下する。
【0156】
図9に示すように、SBE-CD溶液に移された塩化物のレベルと水洗浄終了時の導電率レベルとの間には直接的相関が存在する。
図9において、第1の活性炭カラムおよび第2の活性炭カラム中の導電率レベルを測定した。導電率レベルは、ZIC pHILIC法によって残留塩化物含有量を測定した最終SBE-CD固体中の残留塩化物レベルと相関していることがわかった。したがって、洗浄工程終了時に得られる導電率測定値は、最終SBE-CD生成物中の残留塩化物レベルと相関している。
【0157】
アルキル化シクロデキストリン組成物の塩化物レベルは、当業者が一般的に使用する任意の方法を使用して決定することができる。いくつかの態様では、塩化物レベルは帯電エアロゾル検出(CAD)を使用して測定する。
【0158】
いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物中の重量比(w/w)で測定される塩化物レベルは1%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.2%以下、0.1%以下、0.09%以下、0.08%以下、0.07%以下、0.06%以下、0.05%以下、0.04%以下、0.03%以下、0.02%以下、または0.01%以下である。いくつかの態様では、アルキル化シクロデキストリン組成物中の塩化物レベルは1%〜0.01%、0.9%〜0.01%、0.8%〜0.01%、0.7%〜0.01%、0.6%〜0.01%、0.5%〜0.01%、0.4%〜0.01%、0.3%〜0.01%、0.2%〜0.01%、0.1%〜0.01%、0.09%〜0.01%、0.08%〜0.01%、0.07%〜0.01%、0.06%〜0.01%、0.05%〜0.01%、0.04%〜0.01%、または0.03%〜0.01%である。
【0159】
本明細書において使用される「導電率」という用語は、特定の温度で2つの電極の間に電流を伝導する水溶液の能力を意味する。電流は溶液中のイオン輸送によって流れる。したがって、水溶液中に存在するイオンの量を増大させると、該溶液はより高い導電率を示す。いくつかの態様では、導電率測定を行う温度は4℃〜37℃でありうる。いくつかの態様では、導電率測定を行う温度は15℃〜25℃でありうる。いくつかの態様では、導電率測定を行う温度は25℃である。
【0160】
導電率の測定単位はマイクロジーメンス毎センチメートル(μS/cm)とする。
【0161】
活性炭の水洗浄溶離液の導電率は、当業者が一般的に使用する任意の方法を使用して決定することができる。いくつかの態様では、導電率は導電率計を使用して測定する。いくつかの態様では、導電率はイオンクロマトグラフィーを使用して測定する。
【0162】
いくつかの態様では、ホスフェート非含有活性炭の水洗浄溶離液の導電率を部分精製アルキル化シクロデキストリン溶液の添加前に測定する。いくつかの態様では、部分精製アルキル化シクロデキストリン溶液の添加前の活性炭の水洗浄溶離液の導電率は35μS未満、34μS未満、33μS未満、32μS未満、31μS未満、30μS未満、29μS未満、28μS未満、27μS未満、26μS未満、25μS未満、24μS未満、23μS未満、22μS未満、21μS未満、20μS未満、19μS未満、18μS未満、17μS未満、16μS未満、15μS未満、14μS未満、13μS未満、12μS未満、11μS未満、10μS未満、9μS未満、8μS未満、7μS未満、6μS未満、5μS未満、4μS未満、3μS未満、2μS未満、または1μS未満である。いくつかの態様では、部分精製アルキル化シクロデキストリン溶液の添加前の活性炭の水洗浄溶離液の導電率は10μS〜15μS、5μS〜15μS、5μS〜10μS、4μS〜10μS、3μS〜10μS、または4μS〜8μSである。
【0163】
いくつかの態様では、部分精製アルキル化シクロデキストリン溶液の添加前に活性炭を1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、または15回洗浄する。いくつかの態様では、部分精製アルキル化シクロデキストリン溶液の添加前に活性炭を1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、5回以上、6回以上、7回以上、8回以上、9回以上、または10回以上洗浄する。
【0164】
カラム中の活性炭を水で洗浄する場合であっても、活性炭の湿潤が不十分であることがある。洗浄手順においては、炭素床を通じた流路形成を制御するための方法が存在しない。アルキル化シクロデキストリン溶液を循環させる前に活性炭をより徹底的に洗浄することで、アルキル化シクロデキストリン組成物に対する残留塩化物のさらなる添加が減少し、または該組成物から残留塩化物のさらなる添加がすべて除去されると考えられる。
【0165】
いくつかの態様では、活性炭を、攪拌機およびスクリーンシステムを備えた専用タンクシステムに添加する。活性炭を添加した後、所定の攪拌速度で所定の時間、水で数回洗浄する。水洗浄後、水層を専用タンクから除去し、さらなる水洗浄を行う。さらなる水洗浄後に活性炭の導電率を決定し、導電率が所定レベルよりも低い場合には活性炭を水に懸濁させ、炭素室に送出する。そうするとアルキル化シクロデキストリン溶液が活性炭に添加可能になる。所定の導電率レベルは例えば35μS未満、34μS未満、33μS未満、32μS未満、31μS未満、30μS未満、29μS未満、28μS未満、27μS未満、26μS未満、25μS未満、24μS未満、23μS未満、22μS未満、21μS未満、20μS未満、19μS未満、18μS未満、17μS未満、16μS未満、15μS未満、14μS未満、13μS未満、12μS未満、11μS未満、10μS未満、9μS未満、8μS未満、7μS未満、6μS未満、5μS未満、4μS未満、3μS未満、2μS未満、または1μS未満でありうる。
【0166】
攪拌は毎分回転数(rpm)で測定することができる。いくつかの態様では、攪拌速度は例えば5rpm〜300rpmの範囲でありうる。例えば、攪拌速度は5rpm、10rpm、20rpm、30rpm、40rpm、50rpm、60rpm、70rpm、80rpm、90rpm、または100rpmでありうる。攪拌時間は1分〜5日の範囲でありうる。攪拌時間は例えば5分、10分、20分、30分、40分、50分、60分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、24時間、2日、3日、または4日でありうる。いくつかの態様では、攪拌時間は5分〜1時間、5分〜2時間、5分〜3時間、5分〜4時間、5分〜5時間、10分〜1時間、10分〜2時間、10分〜3時間、10分〜4時間、20分〜1時間、20分〜2時間、20分〜3時間、20分〜4時間、30分〜1時間、30分〜2時間、30分〜3時間、または30分〜4時間である。
【0167】
いくつかの態様では、水洗浄工程中にタンクシステムを室温(25℃)に維持する。いくつかの態様では、水洗浄工程中にタンクシステムを加熱することができる。いくつかの態様では、温度は例えば30℃〜100℃の範囲でありうる。例えば、冷却温度は30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、または100℃でありうる。加熱時間は1分〜5日の範囲でありうる。加熱時間は例えば5分〜4日、5分〜60分、10分〜50分、20分〜40分、30分〜60分、2時間〜24時間、3時間〜12時間、4時間〜10時間、5時間〜9時間、6時間〜8時間、2日〜4日、または3日〜4日でありうる。いくつかの態様では、加熱時間は5分〜1時間、5分〜2時間、5分〜3時間、5分〜4時間、5分〜5時間、10分〜1時間、10分〜2時間、10分〜3時間、10分〜4時間、20分〜1時間、20分〜2時間、20分〜3時間、20分〜4時間、30分〜1時間、30分〜2時間、30分〜3時間、または30分〜4時間である。
【0168】
いくつかの態様では、所定の導電率レベルに達するまで活性炭を炭素室中で洗浄する。そうするとアルキル化シクロデキストリン溶液が活性炭に添加可能になる。
【0169】
いくつかの態様では、活性炭を一定の導電率レベルになるまで洗浄した後、公知の量のアルキル化シクロデキストリン溶液を活性炭に通し、さらなるアルキル化シクロデキストリン溶液を添加する前にその活性炭を廃棄する。
【0170】
いくつかの態様では、「一定の導電率」という語句は、活性炭と接触した後の水の導電率が2つの異なる時点でほぼ等しいことを意味する。したがって、活性炭と接触した後の水の導電率が所定量の時間にわたって所定のパーセントを超えて変化しなかった場合、活性炭は「一定の導電率」まで洗浄されたものであり得る。所定のパーセントは1〜25%の範囲、例えば10%でありうるし、所定の時間量は10分〜2時間の範囲、例えば1時間でありうる。当業者は、所定のパーセントおよび所定の時間量がこれらの開示された値から適宜変動しうることを理解する。他の態様では、「一定の導電率」という語句は、活性炭と接触する前の水の導電率が活性炭と接触した後の水の導電率とほぼ等しいことを意味しうる。
【0171】
いくつかの態様では、活性炭は、水を加えること、活性炭を水に浸すこと、および水を排出することを含む第1の炭素洗浄過程に供される。水は並流方向、例えば上から下の方向に、または向流方向、例えば下から上の方向に満たすことができる。一態様では、水を排出する前の所定量の時間、活性炭を浸す。例えば、活性炭を少なくとも10分間、20分間、30分間、40分間、50分間、60分間、70分間、80分間、90分間、100分間、110分間、120分間、150分間、180分間、210分間、240分間、270分間、300分間、330分間、360分間、390分間、420分間、450分間、480分間、またはそれ以上浸すことができる。一態様では、活性炭を約30分間浸す。第1の炭素洗浄過程は任意の回数繰り返すことができる。例えば、第1の炭素洗浄過程を1回、2回、3回、4回、5回、またはそれ以上繰り返すことができる。一態様では、第1の炭素洗浄過程を3〜4回繰り返す。
【0172】
いくつかの態様では、第1の炭素洗浄過程の後に活性炭を第2の炭素洗浄過程に供することができる。第2の炭素洗浄過程は、活性炭の上に水を流すことを含みうる。いくつかの態様では、第1の炭素洗浄過程において水を満たした方向と同じ方向で、活性炭の上に水を流す。他の態様では、第1の炭素洗浄過程において水を満たした方向とは異なる方向で、活性炭の上に水を流す。例えば、第1の炭素洗浄過程において水を向流方向に満たすことができ、第2の炭素洗浄過程において水を活性炭の上に並流方向に流すことができる。水を活性炭の上に所定時間流すことができる。例えば、水を活性炭の上に少なくとも10分間、20分間、30分間、40分間、50分間、60分間、70分間、80分間、90分間、100分間、110分間、120分間、150分間、180分間、210分間、240分間、270分間、300分間、330分間、360分間、390分間、420分間、450分間、480分間、またはそれ以上流すことができる。例えば、水を活性炭の上に約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、または約5時間流すことができる。水を活性炭の上に少なくとも50リットル毎時、100リットル毎時、150リットル毎時、200リットル毎時、250リットル毎時、300リットル毎時、350リットル毎時、400リットル毎時、450リットル毎時、500リットル毎時、またはそれ以上の流量で流すことができる。例えば水を活性炭の上に約100リットル毎時、約200リットル毎時、約300リットル毎時、約400リットル毎時、約500リットル毎時、約600リットル毎時、約700リットル毎時、約800リットル毎時、約900リットル毎時、または約1,000リットル毎時で流すことができる。第2の炭素洗浄過程は任意の回数繰り返すことができる。例えば、第2の炭素洗浄過程を1回、2回、3回、4回、5回、またはそれ以上繰り返すことができる。一態様では、第2の炭素洗浄過程を3〜4回繰り返す。
【0173】
いくつかの態様では、第2の炭素洗浄過程後に水の残留導電率を試験する。一態様では、残留導電率が所望量以下である場合、炭素洗浄過程が完了したものと見なされるが、残留導電率が所望量を超える場合、第1の炭素洗浄過程および第2の炭素洗浄過程のうち少なくとも一方を1回または複数回繰り返す。残留導電率の所望量は10μS以下、9μS以下、8μS以下、7μS以下、6μS以下、または5μS以下でありうる。
【0174】
本方法の完了時に得られるアルキル化シクロデキストリン(単離形態および/または精製形態もしくは部分精製形態の)の最終収率は変動する。シクロデキストリン出発物質に対するアルキル化シクロデキストリンの最終収率は10%〜95%、15%〜90%、20%〜85%、30%〜85%、35%〜85%、40%〜85%、45%〜80%、50%〜80%、55%〜80%、60%〜80%、50%〜90%、55%〜90%、60%〜90%、70%〜90%、80%〜90%、60%〜98%、70%〜98%、80%〜98%、または90%〜98%の範囲でありうる。いくつかの態様では、シクロデキストリン出発物質に対するアルキル化シクロデキストリンの最終収率は80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上である。
【0175】
アルキル化シクロデキストリン組成物の使用
特に、本発明のアルキル化シクロデキストリン組成物は、種々の異なる原料を可溶化および/または安定化させかつ特別な用途向けの製剤を調製するために使用可能である。本アルキル化シクロデキストリン組成物は、組成物中の他の成分の溶解性の向上、ならびに/または化学安定性、熱化学安定性、加水分解安定性、および/もしくは光化学安定性の向上を与えることができる。例えば、アルキル化シクロデキストリン組成物は水性媒体中の活性な剤を安定化させるために使用可能である。アルキル化シクロデキストリン組成物は水性媒体中の活性な剤の溶解性を増加させるために使用することもできる。
【0176】
本発明のアルキル化シクロデキストリン組成物は1つまたは複数の活性な剤を含み得る。本発明の組成物に含まれる1つまたは複数の活性な剤は、広範囲の水溶性、バイオアベイラビリティー、および親水性を有し得る。本発明にとって特に好適である活性な剤は、水溶性、難水溶性、わずかに水溶性、中程度に水溶性、水溶性、非常に水溶性、疎水性、および/または親水性の治療用の剤を含む。本発明の組成物中に存在する1つまたは複数の活性な剤が、出現する毎に任意の公知の活性な剤および本明細書に開示されている活性な剤より独立して選択されることを当業者は理解するであろう。1つまたは複数の活性な剤がアルキル化シクロデキストリンと複合体を形成するかまたはアルキル化シクロデキストリンとイオン会合を形成する必要はない。
【0177】
アルキル化シクロデキストリンおよび1つまたは複数の活性な剤を含む組成物は、本明細書に記載の方法のいずれかにより調製されるアルキル化シクロデキストリンを1つまたは複数の活性な剤と組み合わせることで調製することができる。いくつかの態様では、組み合わせは、アルキル化シクロデキストリンおよび1つまたは複数の活性な剤を同じ溶媒に溶解させることを含む。いくつかの態様では、溶媒は水である。いくつかの態様は、アルキル化シクロデキストリンおよび1つまたは複数の活性な剤を含む溶液を乾燥させることをさらに含む。溶液は、凍結乾燥(freeze-drying (lyophilization))、噴霧乾燥、および流動床噴霧乾燥を含むがそれに限定されない任意の好適な手段を使用して乾燥させることができる。他の態様は、アルキル化シクロデキストリンを1つまたは複数の活性な剤と乾燥混合することを含む。
【0178】
一般に、活性な剤としては、動物およびヒトに対して全身的または局部的な1つまたは複数の効果を生む生理活性物質または薬理活性物質が挙げられる。活性な剤としては駆除剤、除草剤、殺虫剤、抗酸化剤、植物生長促進剤、滅菌剤、触媒、化学試薬、食品、栄養素、化粧品、ビタミン、不妊阻害剤、妊娠促進剤、微生物、調味料、甘味料、洗浄剤、薬学的に有効な活性な剤、ならびに薬学用途、獣医学用途、園芸用途、家庭用途、食物用途、調理用途、農業用途、化粧品用途、工業用途、洗浄用途、菓子用途、および調味用途向けの他のそのような化合物も挙げられる。活性な剤はその中性形態、イオン形態、塩形態、塩基形態、酸形態、天然形態、合成形態、ジアステレオマー形態、異性体形態、鏡像異性的に純粋な形態、ラセミ形態、水和物形態、キレート形態、誘導体形態、類似体形態、または他の一般的な形態で存在し得る。
【0179】
薬学的に有効な代表的な活性な剤としては、栄養素および栄養剤、血液作用剤、内分泌作用剤および代謝作用剤、心血管作用剤、腎臓作用剤および尿生殖器作用剤、呼吸器作用剤、中枢神経系作用剤、消化器作用剤、抗真菌剤、抗感染症剤、生物学的な剤および免疫学的な剤、皮膚科用の剤、眼科用の剤、抗悪性腫瘍剤、ならびに診断用の剤が挙げられる。例示的な栄養素および栄養剤としてはミネラル、微量元素、アミノ酸、脂肪作用剤、酵素、およびキレート化剤が挙げられる。例示的な血液作用剤としては造血剤、抗血小板剤、抗凝血剤、クマリン誘導体およびインダンジオン誘導体、血液凝固剤、血栓溶解剤、抗鎌状化剤、血流動態学的な剤、抗血友病剤、止血剤、血漿増補液、ならびにヘミンが挙げられる。例示的な内分泌作用剤および代謝作用剤としては性ホルモン、子宮作用剤、ビスホスホネート、抗糖尿病剤、グルコース上昇剤、コルチコステロイド、副腎皮質ステロイド、副甲状腺ホルモン、甲状腺薬剤、成長ホルモン、脳下垂体後葉ホルモン、オクトレオチド酢酸塩、イミグルセラーゼ、サケカルシトニン、フェニル酪酸ナトリウム、無水ベタイン、システアミン酒石酸水素塩、安息香酸ナトリウムおよびフェニル酢酸ナトリウム、ブロモクリプチンメシル酸塩、カベルゴリン、痛風用の剤、ならびに解毒剤が挙げられる。本発明のアルキル化シクロデキストリン組成物での使用に好適な抗真菌剤としてはポサコナゾール、ボリコナゾール、クロトリマゾール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、テトコナゾール(tetconazole)、フルコナゾール、イトラコナゾール、およびミコナゾールが挙げられるがそれに限定されない。本発明のアルキル化シクロデキストリン組成物での使用に好適な統合失調症治療剤としてはクロザピン、プロクロルペラジン、ハロペリドール、チオリダジン、チオチキセン、リスペリドン、トリフロペラジン塩酸塩、クロルプロマジン、アリピプラゾール、ロキサピン、ロキシタン、オランザピン、クエチアピンフマル酸塩、リスペリドン、およびジプラシドンが挙げられるがそれに限定されない。
【0180】
例示的な心血管作用剤としては向知性剤、抗不整脈剤、カルシウムチャネル遮断剤、血管拡張剤、抗アドレナリン剤/交感神経遮断剤、レニンアンジオテンシン系アンタゴニスト、降圧剤組み合わせ、褐色細胞腫用の剤、高血圧緊急用の剤、抗高脂血症剤、抗高脂血症用組み合わせ製品、ショック時に使用する昇圧剤、カリウム除去用樹脂、エデト酸二ナトリウム、心停止液、動脈管開存症用の剤、および硬化剤が挙げられる。例示的な腎臓作用剤および尿生殖器作用剤としては間質性膀胱炎剤、セルロースリン酸ナトリウム、抗性交不能剤、アセトヒドロキサム酸(aha)、尿生殖器洗浄剤、シスチン枯渇剤、尿アルカリ化剤、尿酸性化剤、抗コリン剤、尿コリン作動剤、ポリマーリン吸着剤、膣用製剤、および利尿剤が挙げられる。例示的な呼吸器作用剤としては気管支拡張剤、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、ロイコトリエン形成阻害剤、呼吸吸入用製品、鼻腔うっ血除去剤、呼吸酵素、肺サーファクタント、抗ヒスタミン剤、非麻薬性鎮咳剤、および去痰剤が挙げられる。例示的な中枢神経系作用剤としてはCNS刺激剤、麻薬性アゴニスト鎮痛剤、麻薬性アゴニスト-アンタゴニスト鎮痛剤、中枢性鎮痛剤、アセトアミノフェン、サリチル酸塩、非麻薬性鎮痛剤、非ステロイド性抗炎症剤、片頭痛用剤、制吐剤/抗めまい剤、抗不安剤、抗うつ剤、統合失調症治療剤、コリンエステラーゼ阻害剤、非バルビツレート系の鎮静剤および睡眠剤、非処方箋睡眠補助剤、バルビツレート系の鎮静剤および睡眠剤、全身麻酔剤、注射用局部麻酔剤、抗痙攣剤、筋弛緩剤、抗パーキンソン病剤、アデノシンリン酸、コリン作動性筋刺激剤、ジスルフィラム、喫煙抑制剤、リルゾール、ヒアルロン酸誘導体、ならびにボツリヌストキシンが挙げられる。例示的な消化器作用剤としてはピロリ菌(H pylori)薬、ヒスタミンH2アンタゴニスト、プロトンポンプ阻害剤、スクラルファート、プロスタグランジン、制酸剤、消化器抗コリン剤/鎮痙剤、メサラミン、オルサラジンナトリウム、バルサラジド二ナトリウム、スルファサラジン、セレコキシブ、インフリキシマブ、テガセロッドマレイン酸塩、緩下剤、止痢剤、抗膨満剤、リパーゼ阻害剤、GI刺激剤、消化酵素、胃酸性化剤、利胆剤、胆石可溶化剤、口および喉の生成物、全身脱臭剤、および肛門直腸用製剤が挙げられる。例示的な抗感染症剤としてはペニシリン、セファロスポリンおよび関連抗生物質、カルバペネム、モノバクタム、クロラムフェニコール、キノロン、フルオロキノロン、テトラサイクリン、マクロライド、スペクチノマイシン、ストレプトグラミン、バンコマイシン、オキサロジノン(oxalodinones)、リンコサミド、経口および非経口アミノグリコシド、コリスチメタートナトリウム、ポリミキシンb硫酸塩、バシトラシン、メトロニダゾール、スルホンアミド、ニトロフラン、メテナミン、葉酸アンタゴニスト、抗真菌剤、抗マラリア製剤、抗結核剤、抗アメーバ剤、抗ウイルス剤、抗レトロウイルス剤、ハンセン病治療剤、抗原虫剤、駆虫剤、ならびにcdc抗感染症剤が挙げられる。例示的な生物学的な剤および免疫学的な剤としては免疫グロブリン、モノクローナル抗体剤、アンチベニン、能動免疫用の剤、アレルゲン性抽出物、免疫的な剤、および抗リウマチ剤が挙げられる。例示的な皮膚科用の剤としては局所抗ヒスタミン製剤、局所抗感染症剤、抗炎症剤、抗乾癬剤、抗脂漏製品、アルニカ、収斂剤、洗浄剤、カプサイシン、破壊剤、乾燥剤、酵素製剤、局所免疫調節剤、角質溶解剤、肝臓誘導体複合体、局所局部麻酔剤、ミノキシジル、エフロールニチン塩酸塩、光化学療法剤、色素剤、局所ツタウルシ生成物、局所ピリミジンアンタゴニスト、ジンクピリチオン、レチノイド、レキシノイド(rexinoids)、殺疥癬虫剤/殺シラミ剤、創傷治癒剤、皮膚軟化剤、保護剤、日焼け止め、軟膏基剤およびローション基剤、擦剤およびリニメント剤、包帯剤および顆粒剤、ならびに生理洗浄液が挙げられる。例示的な眼科用の剤としては緑内障用剤、マスト細胞安定剤、眼科用消毒剤、眼科用光線療法剤、眼球潤滑剤、人工涙液、眼科用高浸透圧製剤、およびコンタクトレンズ製品が挙げられる。例示的な抗悪性腫瘍剤としてはアルキル化剤、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害剤、エピポドフィロトキシン、抗生物質、ホルモン、酵素、放射性薬剤、白金配位錯体、アントラセンジオン、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、イミダゾテトラジン誘導体、細胞保護剤、DNAトポイソメラーゼ阻害剤、生物応答調節剤、レチノイド、レキシノイド、モノクローナル抗体、タンパク質-チロシンキナーゼ阻害剤、ポルフィマーナトリウム、ミトタン(o, p'-ddd)、および三酸化ヒ素が挙げられる。例示的な診断用の剤としてはインビボ診断補助剤、インビボ診断生物製剤、および放射線不透過性薬剤が挙げられる。
【0181】
例示的な活性剤は、化合物塩素レベルに感受性のある化合物もまた含む。例示的な塩素感受性化合物は、プロテアソーム阻害剤、例えば、ボルテゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガレート、サリノスポラミドA、およびカルフィルゾミブを含む。
【0182】
先に列挙した活性な剤は網羅的であると考えるべきではなく、本発明の範囲内にある考慮される多くの態様の単なる例示である。多くの他の活性な剤を本発明の製剤によって投与することができる。
【0183】
本発明の製剤を使用して2つ以上の異なる活性な剤を送達することができる。活性な剤の特別な組み合わせを本発明の製剤において与えることができる。活性な剤のいくつかの組み合わせとしては、1)第1の治療クラスからの第1の薬物、および同一の治療クラスからの異なる第2の薬物; 2)第1の治療クラスからの第1の薬物、および異なる治療クラスからの異なる第2の薬物; 3)第1の種類の生物活性を有する第1の薬物、およびほぼ同一の生物活性を有する異なる第2の薬物; ならびに4)第1の種類の生物活性を有する第1の薬物、および異なる第2の種類の生物活性を有する異なる第2の薬物が挙げられる。活性な剤の例示的な組み合わせを本明細書に記載する。
【0184】
本発明の製剤中に含有される活性な剤はその薬学的に許容される塩として存在することがある。本明細書で使用する「薬学的に許容される塩」とは、活性な剤を必要に応じて酸および/または塩基と反応させてイオン結合対を形成することによって活性な剤が修飾されている、開示された化合物の誘導体を意味する。薬学的に許容される塩の例としては、無毒の無機酸または有機酸から例えば形成されるある化合物の従来型の無毒の塩または四級アンモニウム塩が挙げられる。好適な無毒の塩としては塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルホン酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、および当業者に公知の他の酸などの無機酸から誘導されるものが挙げられる。この塩はアミノ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、および当業者に公知の他の酸などの有機酸からも調製される。本発明での使用に好適な薬学的に許容される塩は、塩基性基または酸性基を含む活性な剤を使用して従来の化学的方法によって調製することができる。好適な付加塩はRemington's Pharmaceutical Sciences(17th ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1985)に見られ、その関連する開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0185】
本発明はまた、活性な剤を安定化させるための方法であって、以下の工程を含む方法に関する: アルキル化シクロデキストリン、500ppm未満のホスフェート、および0.5%未満の塩化物を含む、アルキル化シクロデキストリン組成物であって、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該アルキル化シクロデキストリン組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される1 A.U.未満の吸収を示す、アルキル化シクロデキストリン組成物を得る工程; ならびに該アルキル化シクロデキストリン組成物を活性な剤と組み合わせる工程。いくつかの態様では、1 A.U.未満の前記吸収は薬物分解性作用物質に起因する。
【0186】
本発明はまた、活性な剤を安定化させるための方法であって、以下の工程を含む方法に関する: アルキル化シクロデキストリン、500ppm未満のホスフェート、および0.5%未満の塩化物を含む、アルキル化シクロデキストリン組成物であって、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該アルキル化シクロデキストリン組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される1 A.U.未満の吸収を示す、アルキル化シクロデキストリン組成物を得る工程; ならびに該アルキル化シクロデキストリン組成物を活性な剤と組み合わせる工程。いくつかの態様では、1 A.U.未満の前記吸収は発色性作用物質に起因する。
【0187】
1つまたは複数の活性な剤とアルキル化シクロデキストリンおよび500ppm未満のホスフェートを含むアルキル化シクロデキストリン組成物とを含む組成物が乾燥溶液、湿潤溶液、吸入可能な組成物、非経口組成物、固溶体、固体混合物、顆粒状物、ゲル、および当業者に公知の他の活性な剤組成物として存在する、活性な剤を安定化させる方法を行うことができる。
【0188】
いくつかの態様では、活性な剤を安定化させる方法によって、1つまたは複数の活性な剤とアルキル化シクロデキストリンおよび500ppm未満のホスフェートを含むアルキル化シクロデキストリン組成物とを含む組成物を温度80℃に120分間維持した後に、2%以下、1.5%以下、1%以下、または0.5%以下の薬物分解性作用物質または発色性作用物質が提供される。
【0189】
いくつかの態様では、活性な剤を安定化させる方法によって、1つまたは複数の活性な剤とアルキル化シクロデキストリンおよび500ppm未満のホスフェートを含むアルキル化シクロデキストリン組成物とを含む組成物を温度80℃に120分間維持した後に、2%以下、1.9%以下、1.8%以下、1.7%以下、1.6%以下、1.5%以下、1.4%以下、1.3%以下、1.2%以下、1.1%以下、1%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.2%以下、または0.1%以下の塩化物が提供される。
【0190】
同様に、いくつかの態様では、活性な剤を安定化させる方法によって、1つまたは複数の活性な剤とアルキル化シクロデキストリンおよび500ppm未満のホスフェートを含むアルキル化シクロデキストリン組成物とを含む組成物を温度約80℃に120分間維持した後に、アッセイで98%以上、98.5%以上、99%以上、または99.5%以上の活性な剤が提供される。
【0191】
いくつかの態様では、安定化方法によって、400ppm未満、300ppm未満、200ppm未満、125ppm未満、100ppm未満、75ppm未満、または50ppm未満のホスフェートレベルを有するアルキル化シクロデキストリンを含むアルキル化シクロデキストリン組成物が提供される。
【0192】
いくつかの態様では、安定化方法によって、アルキル化シクロデキストリンを含むアルキル化シクロデキストリン組成物であって、1cmの光路長を有するセル中の、溶液1mL当たり300mgの該アルキル化シクロデキストリン組成物を含有する水溶液に対する波長245nm〜270nmでの紫外/可視分光光度法によって決定される0.5 A.U.以下の吸収を示す、アルキル化シクロデキストリン組成物が提供される。いくつかの態様では、0.5 A.U.以下の前記吸収は薬物分解性作用物質に起因する。
【0193】
一般に、アルキル化シクロデキストリンは活性な剤の安定化に十分な量で存在する。十分な量とはモル比0.1:1〜10:1、0.5:1〜10:1、0.8:1〜10:1、または1:1〜5:1(アルキル化シクロデキストリン:活性な剤)のことでありうる。
【0194】
組み合わせ組成物中のシクロデキストリンは、それを含有する製剤中に存在する活性な剤などの別の原料と結合する必要はない。しかし、シクロデキストリンが別の原料と結合する場合、そのような結合は包含複合体化、イオン対形成、水素結合、および/またはファンデルワールス相互作用の結果として形成され得る。
【0195】
アニオン性誘導体化シクロデキストリンは、酸でイオン化可能な剤と複合体化するかまたはそうでなければ結合することができる。本明細書で使用する、酸でイオン化可能な剤という用語は、酸の存在下でイオン化されるかまたはイオン化されている任意の化合物を意味するように採用される。酸でイオン化可能な剤は、酸に曝露される際にまたは酸性媒体中に置かれた際にイオン化する少なくとも1個の酸でイオン化可能な官能基を含む。例示的な酸でイオン化可能な官能基としては一級アミン、二級アミン、三級アミン、四級アミン、芳香族アミン、不飽和アミン、一級チオール、二級チオール、スルホニウム、ヒドロキシル、エノール、および化学分野の当業者に公知の他の官能基が挙げられる。
【0196】
酸でイオン化可能な剤が包含複合体化形成で結合する程度に対する、酸でイオン化可能な剤が非共有イオン結合で結合する程度は、
1H-NMR、
13C-NMR、または円二色性などの方法を例えば使用しかつ酸でイオン化可能な剤およびアニオン性誘導体化シクロデキストリンの相溶解度データの分析によって分光測定的に決定することができる。当業者は、これらの従来の方法を使用して溶液中に生じる各種類の結合の量を概算することで、化学種間の結合が非共有イオン結合または包含複合体形成によって主に生じているか否かを決定できるであろう。非共有イオン結合が包含複合体形成よりも優位である条件下では、相溶解度データがその条件下での化学種間の著しい結合を示しているにもかかわらず、NMRまたは円二色性によって測定される包含複合体形成の量は減少し、さらに、相溶解度データから決定される酸でイオン化可能な剤の固有の溶解度は、その条件下で予測されるよりも一般に高い。
【0197】
本明細書で使用する「非共有イオン結合」という用語は、アニオン種とカチオン種との間に形成される結合を意味する。結合は非共有結合性であるため、この2つの種は一緒になって塩またはイオン対を形成する。アニオン性誘導体化シクロデキストリンはイオン対のアニオン種を与え、酸でイオン化可能な剤はイオン対のカチオン種を与える。アニオン性誘導体化シクロデキストリンは多価であるため、アルキル化シクロデキストリンは、1つまたは複数の酸でイオン化可能であるかまたはそうでなければカチオン性の剤と共にイオン対を形成することができる。
【0198】
本発明の液体製剤を再構成用の固体製剤に変換することができる。本発明に係る再構成可能な固体組成物は、活性な剤、誘導体化シクロデキストリン、および任意で少なくとも1つの他の薬学的賦形剤を含む。再構成可能な組成物を水性液体によって再構成することで、保存される液体製剤を形成することができる。本組成物は、固体誘導体化シクロデキストリンと活性な剤を含有する固体との混合物(包含複合体の存在は最小限から非存在までである)、および任意で少なくとも1つの固体薬学的賦形剤を含み得るものであり、活性な剤の大部分は再構成前には誘導体化シクロデキストリンと複合体化しない。あるいは、本組成物は誘導体化シクロデキストリンと活性な剤との固体混合物を含み得るものであり、活性な剤の大部分は再構成前に誘導体化シクロデキストリンと複合体化している。また、再構成可能な固体組成物は誘導体化シクロデキストリンおよび活性な剤を含み得るものであり、活性な剤の実質的に全部または少なくとも大部分は誘導体化シクロデキストリンと複合体化している。
【0199】
再構成可能な固体組成物は、以下のプロセスのいずれかに従って調製することができる。本発明の液体製剤を最初に調製し、次に凍結乾燥(lyophilization (freeze-drying))、噴霧乾燥、噴霧凍結乾燥、貧溶媒沈殿、無菌噴霧乾燥、超臨界流体もしくは近超臨界流体を利用する各種プロセス、または再構成用の固体を作製するための当業者に公知の他の方法によって固体を形成する。
【0200】
本発明の製剤中に含まれる液体媒体は水性液体担体(例えば水)、含水アルコール、水性有機溶媒、非水性液体担体、およびその組み合わせを含み得る。
【0201】
本発明の製剤は、1つまたは複数の薬学的賦形剤、例えば従来型の保存剤、消泡剤、抗酸化剤、緩衝剤、酸性化剤、アルカリ化剤、増量剤、着色剤、複合体化促進剤、凍結保護物質、電解質、グルコース、乳化剤、油、可塑剤、溶解性向上剤、安定剤、浸透圧調整剤、香料、甘味料、吸着剤、抗粘着剤、結合剤、希釈剤、直接圧縮賦形剤、崩壊剤、流動促進剤、潤滑剤、不透明化剤(opaquant)、研磨剤、錯化剤、芳香、製剤中での使用について当業者に公知の他の賦形剤を含み得る。
【0202】
本明細書で使用する「吸着剤」という用語は、物理的または化学的(化学吸着)手段によってその表面上に他の分子を保持可能な薬剤を意味するよう意図されている。そのような化合物としては、粉末活性炭および当業者に公知の他の材料が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0203】
本明細書で使用する「アルカリ化剤」という用語は、生成物安定性のためのアルカリ性媒体を与えるために使用される化合物を意味するよう意図されている。そのような化合物としてはアンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、有機アミン塩基、アルカリ性アミノ酸、およびトロラミン、ならびに当業者に公知の他の化合物が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0204】
本明細書で使用する「酸性化剤」という用語は、生成物安定性のための酸性媒体を与えるために使用される化合物を意味するよう意図されている。そのような化合物としては酢酸、酸性アミノ酸、クエン酸、フマル酸および他のα-ヒドロキシ酸、塩酸、アスコルビン酸、リン酸、硫酸、酒石酸、および硝酸、ならびに当業者に公知の他の化合物が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0205】
本明細書で使用する「抗粘着剤」という用語は、製作中に打錠機内のパンチおよびダイに固体投与製剤成分が付着することを防止する薬剤を意味するよう意図されている。そのような化合物としてはステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸ググリセリル、ポリエチレングリコール、硬化植物油、鉱油、ステアリン酸、および当業者に公知の他の材料が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0206】
本明細書で使用する「結合剤」という用語は、固体投与製剤中の粉末粒子の接着を引き起こすために使用される物質を意味するよう意図されている。そのような化合物としては、アラビアゴム、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリ(ビニルピロリドン)、圧縮性糖、エチルセルロース、ゼラチン、液体グルコース、メチルセルロース、ポビドン、およびアルファ化デンプン、ならびに当業者に公知の他の材料が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0207】
必要であれば結合剤を剤形に含めることもできる。例示的な結合剤としてはアラビアゴム、トラガカント、ゼラチン、デンプン、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース材料、アルギン酸およびその塩、ポリエチレングリコール、グアーガム、多糖、ベントナイト、糖、転化糖、ポロキサマー(PLURONIC(商標)F68、PLURONIC(商標)F127)、コラーゲン、アルブミン、ゼラチン、非水性溶媒中のセルロース系材料、その組み合わせ、ならびに当業者に公知の他の結合剤が挙げられる。他の結合剤としては例えばポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン-ポリプロピレン共重合体、ポリエチレンエステル、ポリエチレンソルビタンエステル、ポリエチレンオキシド、その組み合わせ、および当業者に公知の他の材料が挙げられる。
【0208】
本明細書で使用する従来型の保存剤は、バイオバーデンが増加する速度を少なくとも減少させるために使用されるが、バイオバーデンを定常的に維持するかまたは混入後のバイオバーデンを減少させる化合物である。そのような化合物としては塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、チメロサール、メタクレゾール、ミリスチルγ塩化ピコリニウム、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チモール、およびメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、またはブチルパラベン、ならびに当業者に公知の他の化合物が例として挙げられるがそれに限定されない。いくつかの保存剤はアルキル化シクロデキストリンと相互作用して保存剤の有効性を減少させることがあると理解される。それにもかかわらず、保存剤の選択ならびに保存剤およびアルキル化シクロデキストリンの濃度を調整することで、十分に保存された製剤を見出すことができる。
【0209】
本明細書で使用する「希釈剤」または「充填剤」という用語は、液体剤形または固体剤形の製剤において所望のバルク特性、流動特性、および圧縮特徴を作り出すために充填剤として使用される不活性物質を意味するよう意図されている。そのような化合物としては液体媒体(例えば水、アルコール、溶媒など)、リン酸水素カルシウム、カオリン、乳糖、ブドウ糖、炭酸マグネシウム、スクロース、マンニトール、結晶セルロース、粉末セルロース、沈降炭酸カルシウム、ソルビトール、およびデンプン、ならびに当業者に公知の他の材料が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0210】
本明細書で使用する「直接圧縮賦形剤」という用語は、圧縮固体剤形中で使用される化合物を意味するよう意図されている。そのような化合物としては、リン酸水素カルシウムおよび当業者に公知の他の材料が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0211】
本明細書で使用する「抗酸化剤」という用語は、酸化を阻害し、したがって酸化プロセスによる製剤の劣化を防止するために使用される薬剤を意味するよう意図されている。そのような化合物としてはアセトン、メタ重亜硫酸カリウム、亜硫酸カリウム、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、クエン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、チオグリコール酸、EDTA、ペンテテート、およびメタ重亜硫酸ナトリウム、ならびに当業者に公知の他の化合物が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0212】
本明細書で使用する「緩衝剤」という用語は、希釈または酸もしくはアルカリの添加時にpHの変化に抵抗するために使用される化合物を意味するよう意図されている。そのような化合物としては酢酸、酢酸ナトリウム、アジピン酸、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、クエン酸、グリシン、マレイン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸、乳酸、酒石酸、メタリン酸カリウム、リン酸カリウム、酢酸二水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリス、酒石酸ナトリウム、ならびに無水クエン酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウム二水和物、ならびに当業者に公知の他の化合物が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0213】
複合体化促進剤を本発明の製剤に添加することができる。そのような薬剤が存在する場合、シクロデキストリン/活性な剤の比を変化させることができる。複合体化促進剤は、活性な剤とシクロデキストリンとの複合体化を促進させる1つまたは複数の化合物である。好適な複合体化促進剤としては、特別な薬剤とシクロデキストリンとの複合体化を促進させるために保存溶液中で典型的に使用される1つまたは複数の薬理学的に不活性の水溶性ポリマー、ヒドロキシ酸、および他の有機化合物が挙げられる。
【0214】
CDに基づく保存剤を含有する製剤の性能を改善するために、親水性ポリマーを複合体化促進剤、溶解性向上剤、および/または水分活性減少剤として使用することができる。Loftssonはシクロデキストリン(非誘導体化または誘導体化)の性能および/または特性を向上させるための該シクロデキストリンとの組み合わせ使用に好適ないくつかのポリマーを開示した。好適なポリマーはPharmazie 56:746 (2001); Int. J. Pharm. 212:29 (2001); Cyclodextrin: From Basic Research to Market, 10th Int'l Cyclodextrin Symposium, Ann Arbor, MI, US, May 21-24, p. 10-15 (2000); PCT国際公開第WO99/42111号; Pharmazie 53:733 (1998); Pharm. Technol. Eur. 9:26 (1997); J. Pharm. Sci. 85:1017 (1996); 欧州特許出願第0579435号; Proc. of the 9th Int'l Symposium on Cyclodextrins, Santiago de Comostela, ES, May 31-June 3, 1998, pp. 261-264 (1999); S.T.P. Pharma Sciences 9:237 (1999); Amer. Chem. Soc. Symposium Series 737 (Polysaccharide Applications):24-45 (1999); Pharma. Res. 15:1696 (1998); Drug Dev. Ind. Pharm. 24:365 (1998); Int. J. Pharm. 163:115 (1998); Book of Abstracts, 216th Amer. Chem. Soc. Nat'l Meeting, Boston, Aug. 23-27 CELL-016 (1998); J. Controlled Release 44:95 (1997); Pharm. Res. (1997) 14(11), S203; Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 37:1199 (1996); Proc. of the 23rd Int'l Symposium on Controlled Release of Bioactive Materials 453-454 (1996); Drug Dev. Ind. Pharm. 22:401 (1996); Proc. of the 8th Int'l Symposium on Cyclodextrins, Budapest, HU, Mar. 31-Apr. 2, 1996, pp. 373-376 (1996); Pharma. Sci. 2:277 (1996); Eur. J. Pharm. Sci. 4S:S144 (1996); 3rd Eur. Congress of Pharma. Sci. Edinburgh, Scotland, UK September 15-17, 1996; Pharmazie 51:39 (1996); Eur. J. Pharm. Sci. 4S:S143 (1996); 米国特許第5,472,954号および第5,324,718号; Int. J. Pharm. 126:73 (1995); Abstracts of Papers of the Amer. Chem. Soc. 209:33-CELL (1995); Eur. J. Pharm. Sci. 2:297 (1994); Pharm. Res. 11:S225 (1994); Int. J. Pharm. 104:181 (1994); ならびにInt. J. Pharm. 110:169 (1994)に開示されており、これらの全開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0215】
他の好適なポリマーは、薬学的製剤の分野で一般的に使用される周知の賦形剤であり、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., pp. 291-294, A.R. Gennaro (editor), Mack Publishing Co., Easton, PA (1990); A. Martin et al., Physical Pharmacy. Physical Chemical Principles in Pharmaceutical Sciences, 3d ed., pp. 592-638 (Lea & Febinger, Philadelphia, PA (1983); A.T. Florence et al., Physicochemical Principles of Pharmacy, 2d ed., pp. 281-334, MacMillan Press, London, UK (1988)に例えば含まれており、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。さらに他の好適なポリマーとしては水溶性天然ポリマー、水溶性半合成ポリマー(セルロースの水溶性誘導体などの)、および水溶性合成ポリマーが挙げられる。天然ポリマーとしてはイヌリン、ペクチン、アルギン誘導体(例えばアルギン酸ナトリウム)、および寒天などの多糖、ならびにカゼインおよびゼラチンなどのポリペプチドが挙げられる。半合成ポリマーとしてはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ならびにヒドロキシエチル-エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルエチルセルロースなどの他の混合エーテルなどのその混合エーテル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ならびにカルボキシメチルセルロースおよびその塩、特にカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。合成ポリマーとしてはポリオキシエチレン誘導体(ポリエチレングリコール)、ならびにポリビニル誘導体(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびポリスチレンスルホン酸)、ならびにアクリル酸の各種共重合体(例えばカルボマー)が挙げられる。水溶性、薬学的許容性、および薬学的不活性の基準を満たす、本明細書で名前が挙げられていない他の天然、半合成、および合成ポリマーも同様に本発明の範囲内であると考えられる。
【0216】
本明細書で使用する芳香とは、検出可能な香り、匂い、または香気を生成する比較的揮発性の高い物質または物質の組み合わせのことである。例示的な芳香としては米国食品医薬品局が安全であるとして一般に許容しているものが挙げられる。
【0217】
本明細書で使用する「流動促進剤」という用語は、固体の塊の流動性を改善するために固体投与製剤中で使用される薬剤を意味するよう意図されている。そのような化合物としてはコロイダルシリカ、コーンスターチ、タルク、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイダルケイ素、第三リン酸カルシウム、ケイ素ヒドロゲル、および当業者に公知の他の材料が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0218】
本明細書で使用する「潤滑剤」という用語は、圧縮中に摩擦を減少させるために固体投与製剤中で使用される物質を意味するよう意図されている。そのような化合物としてはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、タルク、鉱油、ステアリン酸、およびステアリン酸亜鉛、ならびに当業者に公知の他の材料が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0219】
本明細書で使用する「不透明化剤」という用語は、コーティングを不透明にするために使用される化合物を意味するよう意図されている。不透明化剤は単独でまたは着色剤との組み合わせで使用可能である。そのような化合物としては二酸化チタン、タルク、および当業者に公知の他の材料が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0220】
本明細書で使用する「研磨剤」という用語は、固体剤形に魅力的な光沢を付与するために使用される化合物を意味するよう意図されている。そのような化合物としてはカルナウバロウ、白ロウ、および当業者に公知の他の材料が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0221】
本明細書で使用する「崩壊剤」という用語は、より容易に分散または溶解するより小さな粒子に固体の塊が分裂することを促進するために固体剤形中で使用される化合物を意味するよう意図されている。例示的な崩壊剤としてはコーンスターチ、バレイショデンプン、そのアルファ化デンプンおよび加工デンプンなどのデンプン、甘味料、粘土、ベントナイト、結晶セルロース(例えばAVICEL(登録商標))、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、セルロースポラクリリン(polacrilin)カリウム(例えばAMBERLITE(登録商標))、アルギン酸塩、デンプングリコール酸ナトリウム、ガム、寒天、グアー、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、トラガカント、クロスポビドン、および当業者に公知の他の材料が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0222】
本明細書で使用する「安定剤」という用語は、治療薬の治療活性を減少させる可能性がある物理的、化学的、または生化学的プロセスに対して治療薬を安定化させるために使用される化合物を意味するよう意図されている。好適な安定剤としてはアルブミン、シアル酸、クレアチニン、グリシンおよび他のアミノ酸、ナイアシンアミド、ナトリウムアセチルトリプトファネート、酸化亜鉛、スクロース、グルコース、乳糖、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ポリエチレングリコール、カプリル酸ナトリウム、およびサッカリンナトリウム、ならびに当業者に公知の他の安定剤が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0223】
本明細書で使用する「浸透圧調整剤」という用語は、液体製剤の浸透圧を調整するために使用可能な1つまたは複数の化合物を意味するよう意図されている。好適な浸透圧調整剤としてはグリセリン、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソルビトール、トレハロース、および当業者に公知の他の浸透圧調整剤が挙げられる。いくつかの態様では、液体製剤の浸透圧は血液または血漿の浸透圧とほぼ同じである。
【0224】
本明細書で使用する「消泡剤」という用語は、液体製剤の表面上に形成される発泡を防止するかまたはその量を減少させる1つまたは複数の化合物を意味するよう意図されている。好適な消泡剤としてはジメチコン、シメチコン、オクトキシノール、および当業者に公知の他の消泡剤が挙げられる。
【0225】
本明細書で使用する「増量剤」という用語は、固体生成物にバルクを添加し、かつ/または凍結乾燥中に製剤の特性を制御することを支援するために使用される化合物を意味するよう意図されている。そのような化合物としてはデキストラン、トレハロース、スクロース、ポリビニルピロリドン、乳糖、イノシトール、ソルビトール、ジメチルスルホキシド、グリセリン、アルブミン、ラクトビオン酸カルシウム、および当業者に公知の他の化合物が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0226】
本明細書で使用する「凍結保護物質」という用語は、凍結乾燥中に物理的または化学的分解から活性治療薬を保護するために使用される化合物を意味するよう意図されている。そのような化合物としてはジメチルスルホキシド、グリセリン、トレハロース、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、および当業者に公知の他の化合物が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0227】
本明細書で使用する「乳化剤(emulsifier)」または「乳化剤(emulsifying agent)」という用語は、外相内の内相の液滴を安定化させるために乳濁液の相成分のうち1つまたは複数に添加される化合物を意味するよう意図されている。そのような化合物としてはレシチン、ポリオキシルエチレン-ポリオキシプロピレンエーテル、ポリオキシルエチレン-ソルビタンモノラウレート、ポリソルベート、ソルビタンエステル、ステアリルアルコール、チロキサポール、トラガカント、キサンタンガム、アラビアゴム、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、コレステロール、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、オクトキシノール、オレイルアルコール、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレングリコールモノステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、および当業者に公知の他の化合物が例として挙げられるがそれに限定されない。
【0228】
溶解性向上剤を本発明の製剤に添加することができる。溶解性向上剤は、液体製剤中にある場合の活性な剤の溶解性を向上させる1つまたは複数の化合物である。そのような剤が存在する場合、シクロデキストリン/活性な剤の比を変化させることができる。好適な溶解性向上剤としては、特別な剤の溶解性を向上させるために非経口溶液中で典型的に使用される1つまたは複数の有機溶媒、清浄剤、石鹸、界面活性剤、および他の有機化合物が挙げられる。
【0229】
好適な有機溶媒としては例えばエタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポロキサマー、および当業者に公知の他の有機溶媒が挙げられる。
【0230】
本発明のアルキル化シクロデキストリン組成物を含む製剤は、油(例えば固定油、ピーナッツ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油など)、脂肪酸(例えばオレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸など)、脂肪酸エステル(例えばオレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピルなど)、脂肪酸グリセリド、アセチル化脂肪酸グリセリド、およびその組み合わせを含み得る。本発明のアルキル化シクロデキストリン組成物を含む製剤は、アルコール(例えばエタノール、イソプロパノール、ヘキサデシルアルコール、グリセリン、プロピレングリコールなど)、グリセリンケタール(例えば2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノールなど)、エーテル(例えばポリ(エチレングリコール)450など)、石油炭化水素(例えば鉱油、ワセリンなど)、水、界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤、およびその組み合わせも含み得る。
【0231】
薬学的製剤の分野で使用される化合物が一般に種々の機能または目的に役立つことを理解すべきである。したがって、本明細書で名前が挙げられる化合物が1回のみ言及されるかまたは本明細書中の2つ以上の用語を定義するために使用される場合、その目的または機能はその名前が挙げられた目的または機能に単に限定されると解釈されるべきではない。
【0232】
本発明のアルキル化シクロデキストリン組成物を含む製剤は、生物学的塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および他の電解質も含み得る。
【0233】
いくつかの活性な剤は酸化分解に供されるため、本発明に係る液体製剤は実質的に酸素を含まないことがある。例えば、液体製剤を含有する容器のヘッドスペースは、ヘッドスペースを不活性ガス(例えば窒素、アルゴン、二酸化炭素など)でパージするかまたは液体製剤に不活性ガスを吹き込むことで、酸素を含まないか、実質的に酸素を含まないか、または酸素が減少するようになり得る。長期貯蔵では、酸化分解に供される活性な剤を含有する液体製剤は、酸素を含まないかまたは酸素が減少した環境中に貯蔵することができる。製剤から酸素を除去することで好気性微生物に対する製剤の保存が向上し、一方、製剤に酸素を添加することで嫌気性微生物に対する保存が向上する。
【0234】
「薬学的に許容される」という語句は、正しい医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴わずに、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用する上で好適であり、妥当な損益比に相応している、化合物、原料、組成物、および/または剤形を意味するように本明細書で使用される。
【0235】
本明細書で使用する「患者」または「対象」という用語は、哺乳動物、例えばネコ、イヌ、マウス、モルモット、ウマ、ウシ、雌ウシ、ヒツジ、非ヒト、およびヒトなどの温血動物を意味するように採用される。
【0236】
本発明の製剤は有効量で存在する活性な剤を含む。「有効量」という用語は、所要または所望の応答を引き出すために十分な活性な剤の量(amount)または量(quantity)、言い換えれば対象に投与する際に相当の生物学的応答を引き出すために十分な量を意味する。
【0237】
本発明の組成物は、再構成可能な固体、錠剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤、パッチ剤、浸透圧デバイス、スティック剤、坐剤、植込錠、ガム、発泡性組成物、注射用液剤、点眼液剤もしくは点鼻液剤、または吸入可能な散剤もしくは溶液剤などの剤形用の製剤中に存在し得る。
【0238】
本発明はまた、1つまたは複数の活性な剤と、アルキル化シクロデキストリンおよび500ppm未満のホスフェートを含むアルキル化シクロデキストリン組成物とを含む液体製剤を調製する方法を提供する。第1の方法は、アルキル化シクロデキストリン組成物を含む第1の水溶液を形成する工程; 1つまたは複数の活性な剤を含む第2の溶液または懸濁液を形成する工程; および第1の溶液と第2の溶液とを混合して液体製剤を形成する工程を含む。同様の第2の方法は、第2の溶液の形成を伴わずに、第1の溶液に直接1つまたは複数の活性な剤を添加する工程を含む。第3の方法は、1つまたは複数の活性な剤を含有する溶液/懸濁液に直接アルキル化シクロデキストリン組成物を添加する工程を含む。第4の方法は、粉末状または粒子状のアルキル化シクロデキストリン組成物に1つまたは複数の活性な剤を含む溶液を添加する工程を含む。第5の方法は、粉末状または粒子状のアルキル化シクロデキストリン組成物に直接1つまたは複数の活性な剤を添加する工程、および得られた混合物を第2の溶液に添加する工程を含む。第6の方法は、上記方法のいずれかによって液体製剤を作り出す工程、および次に凍結乾燥、噴霧乾燥、無菌噴霧乾燥、噴霧凍結乾燥、貧溶媒沈殿、超臨界流体もしくは近超臨界流体を利用するプロセス、または再構成用の粉末を作製するための当業者に公知の別の方法によって固体原料を単離する工程を含む。
【0239】
液体製剤を調製する方法の特定の態様としては以下が挙げられる: 1)本方法が0.1μm以上の孔径を有する濾過媒体を使用して製剤を滅菌濾過する工程をさらに含む態様; 2)液体製剤が放射線照射または高圧蒸気殺菌法によって滅菌される態様; 3)本方法が溶液から固体を単離する工程をさらに含む態様; 4)溶液が窒素もしくはアルゴンまたは他の不活性な薬学的に許容されるガスでパージされ、したがって溶液中に溶解しておりかつ/または溶液と表面接触している酸素のかなりの部分が除去される態様。
【0240】
本発明はまた、1つまたは複数の活性な剤、アルキル化シクロデキストリン組成物、および任意で少なくとも1つの他の薬学的賦形剤を含む、再構成可能な固体薬学的組成物を提供する。この組成物を水性液体で再構成して保存液体製剤を形成する際に、対象にそれを注射投与、点滴投与、局所投与、吸入投与、または経口投与することができる。
【0241】
再構成可能な固体薬学的組成物のいくつかの態様としては以下が挙げられる: 1)薬学的組成物がアルキル化シクロデキストリン組成物と1つもしくは複数の活性な剤を含む固体との混合物、および任意で少なくとも1つの固体薬学的賦形剤を含み、活性な剤の大部分が再構成前にはアルキル化シクロデキストリンと複合体化しない態様; ならびに/または2)本組成物がアルキル化シクロデキストリン組成物と1つもしくは複数の活性な剤との固体混合物を含み、1つもしくは複数の活性な剤の大部分が再構成前にアルキル化シクロデキストリンと複合体化する態様。
【0242】
本発明の組成物は、薬学的剤形、薬学的組成物、または他のそのような原料の組み合わせにおいて使用することができる。これらのアルキル化シクロデキストリン組成物は、限定されないが、分析用試薬、食料および化粧品の補助剤および/または添加剤、ならびに環境浄化剤としても有用である。
【0243】
上記の説明および以下の実施例を考慮して、当業者は特許請求される本発明を過度の実験なしに実施できるであろう。本発明に係る分子、組成物、および製剤の調製用のある種の手順を詳述する以下の実施例を参照すれば、前述の事項がよりよく理解されるであろう。これらの実施例に対して行われるすべての言及は例証を目的とする。以下の実施例は網羅的であると考えるべきではなく、本発明が想定する多くの態様のうちいくつかのみを単に例証するものである。
【実施例】
【0244】
実施例1
活性な剤の溶解度の決定
薬学的活性な剤に対する各種のスルホアルキルエーテルシクロデキストリン組成物の可溶化効果の比較による評価を以下のように行った。選択した各シクロデキストリンの0.04M原液を精製水によって調製した。溶液の透明性を目視または機器によって決定した。透明溶液は、肉眼での目視において少なくとも透明である。二つ組で試験する薬学的に活性なそれぞれの剤を2mLまたは4mLのSAE-CD水溶液と組み合わせた。
【0245】
薬学的に活性な剤を、その予測される溶解度を超える量で秤量し、TEFLON(登録商標)で裏打ちしたねじ蓋付きバイアル内に置いた。活性な剤は少なくとも3mg/mLの量で存在した。次に各バイアルを適量のシクロデキストリン溶液(2mLまたは4mLのいずれか)で満たした。バイアルをボルテックスし、超音波処理することで固体の流体による湿潤を促進した。次にバイアルを平衡化用のラブクエークまたはローラーミキサー上に置いた。バイアルを周期的に目視で点検することで、固体が十分に湿潤しかつ流体と接触していることを確実にした。次にバイアル内の流体を周期的に試料採取して、溶液中に存在する薬学的に活性な剤の濃度を決定した。典型的には試料を24時間間隔で測定した。
【0246】
活性な剤の溶解度を決定するためのバイアルの試料採取を、バイアルから1mLの溶液をデカントし、任意で遠心分離することで行った。次に取り出した上清を0.22μmシリンジフィルターを使用して濾過し、移動相で標準曲線内の適切な濃度に希釈した。次に試料をHPLCで分析して、可溶化した薬物誘導体の濃度を決定した。
【0247】
実施例2
含水量の決定
以下の手順を使用してアルキル化シクロデキストリンの含水量を評価した。各250mgについて二つ組でBrinkmanカールフィッシャー電量計(Brinkman Instruments Co.,IL)を使用して決定を行った。既知重量の固体シクロデキストリンをカールフィッシャー電量計に添加し、試料中の水の全量を測定する。次に、存在する水の全量を固体の割合に変換して試料の含水量パーセントを得る。
【0248】
実施例3
キャピラリー電気泳動による分析
以下の手順を使用してキャピラリー電気泳動によってSAE-CD誘導体組成物を分析した。紫外吸光度検出器を組み合わせたBeckman P/ACE 2210キャピラリー電気泳動システム(Beckman Instruments, Inc., Fullereton, CA)を使用して、SBE-β-CDおよびSBE-γ-CD誘導体の溶液を分析した。石英ガラス毛細管(内径50μm、全長57cm、および有効長50cmを有する)を使用して、30mM安息香酸および100mM TRIS(トリス-ヒドロキシメチル-アミノメタノール)のpH調整ランニングバッファーによって、25℃で分離を行った。
【0249】
各注入前に以下の洗浄順序で毛細管を処理した: 水、0.01N NaOH、およびランニングバッファー。検出器を214nmに設定した。電圧を30kVとした。試料を20秒、0.5psiでの圧力注入によって導入した。
【0250】
実施例4
単峰性の分布プロファイルを有するα-CD誘導体組成物は、β-CDまたはγ-CDの代わりにα-CDを使用することを除き、実施例5または本明細書で引用される文献の方法のいずれかに従って調製することができる。アルカリ性水性媒体中のα-シクロデキストリンSBE前駆体で誘導体化させてSBE-α-CDを形成する以下の手順を使用して例示的なSBE-α-CDを作製する。α-CDをNaOH水溶液に溶解させ、70℃に加熱し、完全に溶解するまで攪拌する。溶解が完了すると、反応温度を70℃〜75℃に増加させる。次に1,4-ブタンスルトンを少なくとも30分間かけて添加した。pHを最初の4時間モニタリングし、反応を70℃で少なくともさらに16時間続ける。反応混合物を冷却し、水で希釈する(全反応体積の約3分の1)。溶液を炭素(シクロデキストリン1グラム当たり炭素0.07グラム)でさらに処理し、HClでpH6〜6.5で中和し、0.45μmフィルターを通じて濾過する。溶液を限外濾過によって650 MWCO膜を使用して精製する。濾液が4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸および/またはビス(4-スルホブチル)エーテル二ナトリウムが存在しないことまたは実質的に存在しないことを示す限外濾過の終点をキャピラリー電気泳動によって決定し、透過試料にほとんどまたは全くイオンが存在しない限外濾過の終点をモル浸透圧濃度によって決定する。溶液を0.22μmフィルターを通じて濾過し、中和する(pH6〜6.5)。得られた溶液を回転蒸発によって30mmHg未満の真空下、50℃〜60℃で約50%溶液に濃縮する。溶液を凍結乾燥させてSBE-α-CD白色固体を得る。
【0251】
実施例5
SBE
6.6-β-CDの合成
アルカリ性水性媒体中に存在するβ-シクロデキストリンをSBE前駆体で誘導体化させてSBE
6.6-β-CDを形成する以下の手順に従ってSBE
6.6-β-CD組成物を合成した。61.8kgの水酸化ナトリウムを433kgの水に供給して12.5%w/w溶液にすることで水酸化ナトリウム水溶液を調製した。反応器の内容物を40℃〜50℃に加熱した後、30〜60分間にわたる270kgのβ-CDの添加を開始した。反応温度を65℃〜95℃に調整した後、30〜60分間にかけて259kgの1,4-ブタンスルトンを添加した。次の6時間にわたって、溶液のpHを、水酸化ナトリウム水溶液を使用して9を超えて維持した。反応後、20%溶液としてのさらなる13.5kgの水酸化ナトリウムを反応液に供給した。1,4-ブタンスルトンの残留レベルが十分に低くなるまで内容物を70℃〜80℃に維持した。内容物を30℃未満に冷却し、反応溶液を塩酸水溶液によってpH6.5〜7.5に調整した。このプロセスによって350〜450kgのSAE-CDを得た。
【0252】
実施例6
SBE
6.6-β-CDのダイアフィルトレーションおよび限外濾過
実施例5のSBE
6.6-β-CDを以下の手順で精製した。反応溶液を800kgの水で希釈した。溶液を移し、500kgの水でさらに希釈した。少なくとも750ft
2の膜面積を有する1000 MWCO渦巻き状再生セルロース膜を用い、かつ循環液の試料が25ppm以下の塩化ナトリウムを有するまで一定の溶液体積(±1%)を維持する、Millipore Helicon自動限外濾過システムを使用してダイアフィルトレーションを開始した。適切な溶液質量が達成されるまで溶液を限外濾過によって濃縮した。
【0253】
実施例7
本発明のSBE
6.6-β-CD炭素加工
実施例6のダイアフィルトレーションおよび限外濾過の後、SBE
6.6-β-CDを以下の手順で炭素精製した。カラムに32kg(出発量のβ-シクロデキストリンの約11〜12重量%(11.8〜12重量%))のSHIRASAGI(登録商標)DC32顆粒状活性炭を供給し、洗浄試料が一定の伝導率を有するまでカラムを徹底的に水洗した。SBE
6.6-β-CD対活性炭の比を約8.4:1〜8.5:1(約8.44:1)とした。洗浄した時点で、この炭素を通じて反応溶液を少なくとも2時間通過(再循環)させて第1の処理サイクルを完了した。
【0254】
第2のカラムに32kg(出発量のβ-シクロデキストリンの約11〜12重量%)のSHIRASAGI(登録商標)DC32顆粒状活性炭を供給し、洗浄試料が一定の伝導率を有するまでカラムを徹底的に水洗した。洗浄した時点で、この炭素を通じて反応溶液を少なくとも2時間通過させて第2の処理サイクルを完了した。
【0255】
実施例8
SBE
6.6-β-CDの濃縮および単離
実施例7で調製した炭素処理SBE
6.6-β-CD溶液を以下の手順を使用して濃縮および単離した: SBE
6.6-β-CD溶液を0.65μmおよび0.22μmのフィルターを通じて濾過した後、50%w/wのSBE
6.6-β-CD濃度を有する溶液が得られるまで、70rpm〜100rpmで攪拌しながら-0.6bar〜-0.7barの減圧下、65℃〜72℃の温度で濃縮した。濃縮溶液を60℃未満に冷却し、次に0.65μmおよび0.22μmのフィルターを通じて濾過した。次に濾過溶液を、流動化噴霧乾燥(「FSD」)システムを使用して、170℃の入口温度、20barの初期圧力、ならびに125℃、105℃、および100℃の設定温度をそれぞれ有するチャンバ1〜3によって噴霧乾燥させた。
【0256】
実施例9
D
2O溶液中、Bruker AVANCE(登録商標)400または500機器上での
1H-NMR、
13C-NMR、COSY-NMR、およびHMQCによるシクロデキストリン置換パターンの決定
置換パターンの決定は、その関連する開示が参照により本明細書に組み入れられるWO2005/042584号の実施例6の方法に従って実行する。
【0257】
実施例10
SBE
6.6-β-CDの比較炭素処理
例示的なSBE
6.6-β-CDを以下の手順で炭素精製した: カラムに32kg(出発量の実施例5のβ-シクロデキストリンの約11〜12重量%(11.8〜12重量%))のSHIRASAGI(登録商標)DC32顆粒状活性炭を供給し、洗浄試料が一定の伝導率を有するまでカラムを徹底的に水洗した。洗浄した時点で、この炭素を通じて反応溶液を少なくとも2時間通過させた。
【0258】
実施例11
SBE
6.6-β-CDの不純物分析I
実施例10および7に従って活性炭でそれぞれ1回または2回のいずれかで処理したSBE
6.6-β-CD試料を、実施例8に記載のプロセスで濃縮および単離した。次に、紫外/可視分光光度法によって分析した。この分析は、適量のSBE
6.6-β-CDを水に溶解させて(例えば0.1g〜6gのSBE
6.6-β-CD、含水量について補正、10mLの水に溶解)1%〜60%w/wの誘導体化シクロデキストリンを含有する溶液を与えることによって行った。
【0259】
炭素処理シクロデキストリン溶液を、240nm/分の速度および1.0nmのスリット幅で190nmから400nmまで走査するPerkin Elmer Lambda 35紫外/可視分光光度計で分析した。分析前に試料を水に対してブランク化した。1回および2回の炭素処理後の各種濃度のSBE
6.6-β-CD溶液の紫外/可視吸収スペクトルをそれぞれ
図1および
図2にグラフで示し、これらの図は紫外法で分析した1回または2回の炭素処理後のSBE
6.6-β-CDのロットのグラフ表示を与える。
図1を参照すると、データは、SBE
6.6-β-CD溶液を活性炭で1回のみ処理する場合、スペクトルの紫外/可視領域内に吸収を示す高濃度の不純物が存在することを示している。
図2を参照すると、データは、第2の炭素処理によって紫外/可視吸収性不純物のレベルが少なくとも5倍以上減少することを示している。
【0260】
実施例12
SBE
6.6-β-CDの不純物分析II
例示的なSBE
6.6-β-CD試料を紫外/可視分光光度法によって以下の手順を使用して分析した: 含水量について補正した54.1グラムのSBE
6.6-β-CDを、100mLの水中12.5グラムの水酸化ナトリウムの苛性溶液に溶解させることで50%w/w SBE
6.6-β-CD溶液を調製した。この初期溶液を、240nm/分の速度および1.0nmのスリット幅で190nmから400nmまで走査するPERKIN ELMER Lambda 35紫外/可視分光光度計で分析した。分析前に試料を水に対してブランク化した。溶液を60℃オーブン中に最大168時間置いた。溶液試料を24時間、72時間、96時間、および168時間の時点で分析した。
【0261】
図3は、SBE
6.6-β-CD組成物に対する熱応力および苛性応力の結果のグラフ表示を与える。
図3を参照すると、データは、24時間以内に245nm〜270nmの波長で著しい吸収が形成されたこと、ならびにこの吸収が熱曝露および苛性曝露の持続時間に応じて増加することを示す。168時間(7日)までに、245nm〜270nmの波長での吸収極大は、約230nmで最大を示す吸収と同じ大きさに増加した。320nm〜350nmの波長での吸収も曝露時間に従って増加することにも留意すべきである。データは、245nm〜270nmの波長で吸収を示す薬物分解性不純物および320nm〜350nmの波長で吸収を示す発色性作用物質の濃度が熱条件および/または苛性条件に対する曝露時間に応じて増加することを示す。
【0262】
実施例13
発色性作用物質の測定
活性炭による単一処理または二度の処理(それぞれ実施例10および7に従って)を経たSBE
6.6-β-CD組成物を、トリアゾール抗真菌API(ポサコナゾール、Schering-Ploughから水性経口懸濁液として購入、ノキサフィル(NOXAFIL)(登録商標))と共に調剤した。調剤手順を以下に示す。
【0263】
トリアゾール抗真菌API(5mg/mL)およびSBE
6.6-β-CD組成物(100mM、pH3)の水溶液試料を、SBE
6.6-β-CDロット番号17CX01.HQ00044、17CX01.HQ00037、17CX01.HQ00035、17CX01.HQ00033、および17CX01.HQ00029を使用して調製した。すべての溶液試料を0.22μm PVDFフィルターを通じて濾過し、バイアルに分けた。初期溶液の一部の紫外/可視吸収を、240nm/分の速度および1.0nmのスリット幅で190nmから400nmまで走査するPERKIN ELMER Lambda 35紫外/可視分光光度計で1cm Hunter キュベットを使用して測定し、Hunter Labs ULTRASCAN(登録商標)比色計でHunter Labs汎用ソフトウェアバージョン4.10を使用して分析した。測定前に試料を水に対してブランク化した。次に試料の残り部分を60℃オーブン内に7日間置き、同一手順を使用して色の変化について再分析した。データを以下の表に示す。
【0264】
SBE
6.6-β-CD初期溶液: 紫外/可視分析
【0265】
SBE
6.6-β-CD溶液の色分析
L=明度; 100が完全に白色、0が黒色;
a=正の場合は赤色度、0の場合は灰色、負の場合は緑色度を測定;
b=正の場合は黄色度、0の場合は灰色、負の場合は青色度を測定;
DE=標準からの差の合計√(ΔL
2+Δa
2+Δb
2)
【0266】
トリアゾールAPI/SBE
6.6-β-CD溶液の色分析
L=明度; 100が完全に白色、0が黒色;
a=正の場合は赤色度、0の場合は灰色、負の場合は緑色度を測定;
b=正の場合は黄色度、0の場合は灰色、負の場合は青色度を測定;
DE=標準からの差の合計√(ΔL
2+Δa
2+Δb
2)
【0267】
紫外線分析は、シクロデキストリン組成物を活性炭で2回処理する場合、初期SBE
6.6-β-CD組成物中に存在する紫外活性不純物がはるかに少なくなることを実証した。SBE
6.6-β-CD組成物のHunter色分析は、二度の活性炭処理を使用して加工したSBE
6.6-β-CDロットのDE値がより小さいことを示した。したがって、活性炭で2回処理したSBE
6.6-β-CD組成物では、不純物レベルがより低いことによって、発色性作用物質の形成も減少する。
【0268】
実施例14
熱処理、次に炭素処理に供されるSBE
6.6-β-CD DS
本発明の誘導体化シクロデキストリン組成物を加熱する効果を以下のように研究した。実施例5に従って調製したSBE
6.6-β-CD組成物を水溶液に溶解させ、紫外/可視分光光度法を使用して分析した。具体的には、70グラムのSBE
6.6-β-CDロット番号17CX01.HQ00044(含水量について補正)を230mLの水に溶解させることで30%w/w β-シクロデキストリン溶液を調製した。この初期溶液を、240nm/分の速度および1.0nmのスリット幅で190nmから400nmまで走査するPERKIN ELMER Lambda 35紫外/可視分光光度計で分析した。分析前に試料を水に対してブランク化した。溶液を攪拌しながら70℃に48時間加熱した。溶液を周囲温度に冷却し、分けた。分けた溶液の各々に、予め洗浄したSHIRASAGI(登録商標)DC32顆粒状活性炭を添加した。SBE
6.6-β-CD溶液を3時間攪拌した後、活性炭を0.22μm PVDFフィルターを使用して濾過した。溶液を、240nm/分の速度および1.0nmのスリット幅で190nmから400nmまで走査するPERKIN ELMER Lambda 35紫外/可視分光光度計を使用して分析した。分析前に試料を水に対してブランク化した。
【0269】
データを
図4にグラフで示す。
図4を参照すると、溶液の紫外/可視吸収が、熱処理前
、48時間の熱処理後すぐ
、ならびに0.24%w/w
、10%w/w
、25%w/w
、および50%w/w
の添加率(SBE
6.6-β-CDの濃度に対する)の活性炭に対する曝露後について示される。データは、SBE
6.6-β-CD溶液を熱に48時間曝露させることで245nm〜270nmの波長での吸収極大が著しく増加した(約95%)ことを示す。しかし、活性炭での処理によってこの波長範囲内での吸収は減少する。したがって、245nm〜270nmの波長で吸収を示す薬物分解性不純物は加熱によって増加するが、炭素処理を通じて除去することができる。
【0270】
実施例15
SBE
6.6-β-CD DSおよびAPIの安定性
単一または二度の炭素処理で加工した、統合失調症治療薬API(アリピプラゾール)を有するSBE
6.6-β-CDの各種ロットの比較評価について紫外/可視分光光度法およびHPLC分析によって検討した。SBE
6.6-β-CD/API製剤の安定性を評価するために使用する一般的手順を以下に示す。
【0271】
API(アリピプラゾール)試料を含む水溶液を7.5mg/mLのAPI濃度および150mg/mLのSBE
6.6-β-CD濃度で調製した。溶解するまで酒石酸を水に添加し、次にSBE
6.6-β-CDを酒石酸溶液に添加した。次にAPIを溶液に添加し、約10分間の添加中に溶解させた。混合物を約1時間攪拌し、熱処理し、次に滅菌フィルターを通じて濾過した。このプロセスをSBE
6.6-β-CDの以下のロット
を使用して行った。これらのロットの一部は活性炭での単一処理を経ており、他のものは活性炭での2回の処理を経ている。溶液サンプルを安定性チャンバ内に50℃で最大9週間置いた。試料を4週間の時点で取り出し、9週間の時点で再度取り出し、HPLC分析を行ってAPI分解の程度を決定した。
【0272】
水溶液試料を紫外/可視分光光度法によって以下の手順を使用して分析した。上記のSBE
6.6-β-CDロット(含水量について補正)を水に溶解させることで30%w/w β-シクロデキストリン溶液を調製した。溶液を、240nm/分の速度および1.0nmのスリット幅で190nmから400nmまで走査するPERKIN ELMER Lambda 35紫外/可視分光光度計を使用して1cmキュベット中で分析した。分析前に試料を水に対してブランク化した。以下の表はこの研究のデータを含む。
【0273】
SBE
6.6-β-CDロットの概要および紫外線含有量
【0274】
SAE-CDおよびAPIの不純物の分析
【0275】
データは、活性炭での単一処理のみを経たSBE
6.6-β-CDのロットによってAPIを調剤する際に、APIが、著しく大きい分解を経ることを示す。SBE
6.6-β-CDロット番号17CX01.HQ00025を含有するAPI製剤は最も大きい紫外活性不純物レベル(最大吸光度=0.44 A.U.)を有しており、APIは9週間後に合計1.42%の分解を経た。活性炭での2回の処理を経たSBE
6.6-β-CDロットは、紫外活性不純物のレベルとAPI分解の程度との両方が多少なりとも、より低かった。50℃で9週間貯蔵時に生じたAPI分解の程度は、製剤中に存在する紫外活性不純物の濃度と相関していた。例えば、SBE
6.6-β-CDロット番号17CX01.HQ00044を含むAPI製剤(最大吸収=0.05A.U.を有する紫外活性不純物を含む)は、50℃で9週間後に合計わずか0.35%の分解しか生じなかった。
【0276】
図5は、245nm〜270nmの波長でのSBE
6.6-β-CDロットの初期紫外/可視吸収と、4週間および9週間の時点で決定したAPI分解の程度との間の相関関係のグラフ表示を提供する。
図5を参照すると、データは、4週間
と9週間
の両方の時点で、API分解の程度が、SBE
6.6-β-CD組成物中に存在する紫外/可視吸収性の薬物分解性不純物の濃度に従って増加することを示す。
【0277】
実施例16
処理毎の不純物の測定
反応ワークアップ後(実施例5)、限外濾過後(実施例6)、第2の炭素カラム後(実施例7)、濃縮後(実施例8)、および最終生成物としてのSBE
6.6-β-CD試料を、Shimadzu Prominence 20A HPLC機器およびZIC(登録商標)pHILICカラム(150x4.6mm、5μm、200A、PEEK Merck SeQuant(商標)SN 1479)を使用し、Corona(ESA Bioscience)帯電エアロゾル検出器を利用して分離、同定、および定量化した。勾配移動相法を、100mMギ酸アンモニウム(pHは4.6に調整)、メタノール、2-プロパノール、およびアセトニトリルの15/5/20/65溶液(A)、ならびに30mMギ酸アンモニウム(pHは4.6に調整)、メタノール、2-プロパノール、およびアセトニトリルの65/5/20/10溶液(B)を使用して行う。Captisol(登録商標)の試料溶液を、HPLCグレードのアセトニトリル/水中約40mg/mLの濃度で調製し、不純物規格限界での公知濃度の4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸、ジナトリウムビス(4-スルホブチル)エーテル、塩化物、ナトリウム、ホスフェート、二酸化ケイ素、およびβ-シクロデキストリンのアセトニトリル/水中調製済み標準溶液に対して分析する。検証試験によって、本方法が特殊であり、不純物規格範囲内で線形であり、正確であり、安定していることが示された。使用した勾配を以下の表に示す。
【0278】
図6に示すように、粗SBE
6.6-β-CD生成物の限外濾過後にβ-シクロデキストリンおよび4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸(4-HBSA)などの不純物が存在する。活性炭を備えた第2のカラムの後にβ-シクロデキストリンおよび4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸不純物の量が減少した。しかし、
図6に示すように、2つのカラムの後で生成物中には多量の塩化物が存在する。
【0279】
実施例17
塩化物濃度の測定
反応ワークアップ後(実施例5)、限外濾過後(実施例6)、第2の炭素カラム後(実施例7)、濃縮後(実施例8)、および最終生成物としてのSBE
6.6-β-CD試料を、Corona(ESA Bioscience)帯電エアロゾル検出器を使用して分析して塩化物濃度を決定した。
【0280】
図7に示すように、限外濾過後に残留塩化物レベルはほぼゼロに低下する。2つの活性炭カラムを使用するさらなる精製後に、塩化物がSBE
6.6-β-CD溶液中に戻される。
【0281】
実施例18
塩化物濃度の測定
反応ワークアップ後(実施例5)、限外濾過後(実施例6)、第1の活性炭カラムへの添加の5分後、10分後、および20分後、ならびに第2の活性炭カラムへの添加の5分後、10分後、および20分後のSBE
6.6-β-CD試料を、Corona(ESA Bioscience)帯電エアロゾル検出器を使用して分析して塩化物濃度を決定した。
【0282】
図8に示すように、2つの商業的SBE
6.6-β-CDバッチの塩化物不純物レベルは、限外濾過後はほぼゼロであり、活性炭での処理後の最初の5分間は実質的に増大し、10分後および20分後には低下する。
【0283】
実施例19
専用タンクシステムを使用する活性炭の浄化
活性炭を、攪拌機およびスクリーンシステムを備えた専用タンクシステムに添加することができる。活性炭を添加した後、所定の攪拌速度で所定の時間、水で数回洗浄することができる。水洗浄後、水層を専用タンクから除去し、さらなる水で洗浄することができる。さらなる水洗浄後、溶離した水の導電率を、イオンクロマトグラフィー(4.0X250mm USPパッキングL50など、移動相はメタノール/水(1:9)中4mM炭酸水素ナトリウム、流量1mL/分、試料量20μL、運転時間10分)を使用して決定することができ、導電率が所定レベルよりも低い場合には活性炭を水に懸濁させ、炭素室に送出することができる。そうするとアルキル化シクロデキストリン溶液が活性炭に添加可能になる。
【0284】
実施例20
所定の導電率レベルを有する活性炭を使用するSBE
6.6-β-CDの精製
カラムに32kg(出発量のβ-シクロデキストリンの約11〜12重量%(11.8〜12重量%))のSHIRASAGI(登録商標)DC32顆粒状活性炭を添加し、洗浄試料が以下の表に示すように10μS未満の導電率レベルを有するまでカラムを徹底的に水で洗浄した。導電率はイオンクロマトグラフィー(4.0X250mm USPパッキングL50など、移動相はメタノール/水(1:9)中4mM炭酸水素ナトリウム、流量1mL/分、試料量20μL、運転時間10分、25℃)を使用して決定した。
【0285】
SBE
6.6-β-CD対活性炭の比を約8.4:1〜8.5:1(約8.44:1)とした。洗浄した時点で、反応溶液を少なくとも2時間活性炭に通して(再循環させて)第1の処理サイクルを完了した。
【0286】
第2のカラムに32kg(出発量のβ-シクロデキストリンの約11〜12重量%)のSHIRASAGI(登録商標)DC32顆粒状活性炭を添加し、洗浄試料が以下の表に示すように10μS未満の導電率レベル(イオンクロマトグラフィー(4.0X250mm USPパッキングL50など、移動相はメタノール/水(1:9)中4mM炭酸水素ナトリウム、流量1mL/分、試料量20μL、運転時間10分、25℃)により測定)を有するまでカラムを徹底的に水で洗浄した。洗浄した時点で、反応溶液を少なくとも2時間活性炭に通して第2の処理サイクルを完了した。
【0287】
第2の処理サイクル後、Corona(ESA Bioscience)帯電エアロゾル検出器を使用してSBE
6.6-β-CDを分析して塩化物濃度を決定した。
【0288】
表に示すように、すべての試料は0.07%以下の塩化物含有量を有し、9試料のうち6試料は0.05%未満の塩化物含有量(イオンクロマトグラフの検出限界)を有していた。これは、0.10%未満の塩化物レベルを得る上で65%の成功率(68試料のうち44試料)しか示さなかった、
図10に示す既存の方法を使用した測定値に比べて、改善である。これは、0.1%未満の塩化物レベルを得る上で48%の成功率(42試料のうち20試料)しか示さなかった、2つの活性炭処理サイクルに通した試料に関する
図10に示す既存の方法に比べて、有意な改善でもある。
【0289】
実施例21
一定の導電率レベルへの活性炭の浄化
カラムに32kg(出発量のアルキル化シクロデキストリンの約11〜12重量%(11.8〜12重量%))のSHIRASAGI(登録商標)DC32顆粒状活性炭を添加し、洗浄試料が一定の導電率を有するまでカラムを徹底的に水で洗浄することができる。水洗浄後、1回分のアルキル化シクロデキストリン溶液を炭素室に添加し、廃棄する前に所定の時間活性炭に通すことができる。さらなるアルキル化シクロデキストリン溶液を炭素室に添加し、少なくとも2時間活性炭に通して第1の処理サイクルを完了することができる。
【0290】
第2のカラムに32kg(出発量のアルキル化シクロデキストリンの約11〜12重量%(11.8〜12重量%))のSHIRASAGI(登録商標)DC32顆粒状活性炭を添加し、洗浄試料が一定の導電率を有するまでカラムを徹底的に水で洗浄することができる。水洗浄後、1回分のアルキル化シクロデキストリン溶液を炭素室に添加し、廃棄する前に所定の時間活性炭に通すことができる。さらなるアルキル化シクロデキストリン溶液を炭素室に添加し、少なくとも2時間活性炭に通して第1の処理サイクルを完了することができる。
【0291】
実施例22
洗浄および浸漬過程を使用する活性炭の浄化
第1のカラムおよび第2のカラムに*kg(出発量のアルキル化シクロデキストリンの約*重量%(*重量%))のSHIRASAGI(登録商標)DC32顆粒状活性炭を添加し、精製水を向流方向(下から上の方向)に満たし、静置した。30分後、カラムから水を排出した。第1のカラムおよび第2のカラムに再度精製水を向流方向(下から上の方向)に満たし、静置した。30分後、カラムから水を排出した。第1のカラムおよび第2のカラムに三度精製水を向流方向(下から上の方向)に満たし、静置した。30分後、カラムから水を排出した。
【0292】
次に、第1のカラムおよび第2のカラムに精製水を向流方向に満たし、静置した。4時間後、カラムに精製水を向流方向に、第1のカラムにおいて約100リットル/時、第2のカラムにおいて約300リットル/時の流量で3時間通した。
【0293】
次に、第1のカラムおよび第2のカラムに精製水を並流方向に通した。精製水約1,000リットル後、水の導電率を試験した。導電率測定値が10μS/cm未満の場合、洗浄過程は完了したとみなされた。
【0294】
導電率測定値が10μS/cm超の場合、続いてさらなる洗浄手順を行った。まず、第1のカラムおよび第2のカラムから水を排出した。次に、第1のカラムおよび第2のカラムに精製水を向流方向に満たし、静置した。2時間後、カラムに精製水を向流方向に、第1のカラムにおいて約100リットル/時、第2のカラムにおいて約300リットル/時の流量で2時間通した。次に、第1のカラムおよび第2のカラムに精製水を並流方向に通した。精製水約1,000リットル後、水の導電率を試験した。導電率測定値が10μS/cm未満の場合、洗浄過程は完了したとみなされた。導電率測定値が10μS/cm超の場合、導電率測定値が10μS/cm未満になるまでこの段落の工程を繰り返した。
【0295】
結語
これらの実施例は本発明の可能な態様を例証するものである。本発明の各種態様を上記で説明してきたが、限定ではなく例としてのみそれらを提示したことを理解すべきである。本発明の精神および範囲を逸脱することなく、形態および詳細に各種の変化を加えることができることは、関連分野の当業者には明らかであろう。したがって、本発明の広さおよび範囲は、上記の例示的な態様のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびその等価物にのみ従って定義されるべきである。
【0296】
概要および要約書の項ではなく、詳細の説明の項が、特許請求の範囲を解釈するために使用されるよう意図されていることを認識すべきである。概要および要約書の項は、本発明者(ら)が想定する本発明の例示的な態様のすべてではなく1つまたは複数を開示できるものであり、したがって、本発明および添付の特許請求の範囲を限定するようには決して意図されていない。
【0297】
本明細書で記載された種々の局面、態様、およびオプションの全ては、任意の全ての変形型で組み合わせることができる。
【0298】
雑誌の文献もしくは要約、公開されたもしくは対応する米国もしくは外国の特許出願、認可されたもしくは外国の特許、または任意の文献を含む、本明細書で引用した全ての文献は、その全てのデータ、表、図面、および引用された文献中の文章が、それぞれ参照として本明細書に完全に組み込入れられる。