特許第6557148号(P6557148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557148
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】測定スケール
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/347 20060101AFI20190729BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20190729BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   G01D5/347 110C
   G02B5/30
   G02B5/18
【請求項の数】42
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-553159(P2015-553159)
(86)(22)【出願日】2014年1月13日
(65)【公表番号】特表2016-507051(P2016-507051A)
(43)【公表日】2016年3月7日
(86)【国際出願番号】GB2014050081
(87)【国際公開番号】WO2014111697
(87)【国際公開日】20140724
【審査請求日】2017年1月13日
(31)【優先権主張番号】13250007.5
(32)【優先日】2013年1月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ドナルド キッド
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ジョン ウェストン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ レイノルズ ヘンショー
(72)【発明者】
【氏名】マーカス アードロン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ダーディス
(72)【発明者】
【氏名】ロバート トムソン
【審査官】 吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/146409(WO,A1)
【文献】 特開2000−147228(JP,A)
【文献】 特開2006−212646(JP,A)
【文献】 特開2012−204646(JP,A)
【文献】 特表2012−507028(JP,A)
【文献】 特表2011−518335(JP,A)
【文献】 特開2003−247864(JP,A)
【文献】 西内 俊平、 外5名,“フェムト秒レ−ザ−誘起ナノ周期構造による銅の固相接合性向上”,レ−ザ−研究,一般社団法人レ−ザ−学会,2010年 8月,Vol.38,No.8,p.614-619
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26−5/38
G02B 5/18、5/30
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのスケールマーキングを含む測定スケールデバイスであって、
前記各スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表す少なくとも1つの周期的ナノ構造を含み、
前記各周期的ナノ構造は、レーザ誘起周期的表面構造(LIPSS)を含み、
前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によって表される前記スケールデバイス情報は、(a)エラー情報、(b)スケール、もしくはスケール製造者識別子、及び(c)スケールマーキングの関連付けられた系列におけるエラーを表すエラーマップの少なくとも一つを含
ことを特徴とする測定スケールデバイス。
【請求項2】
少なくとも1つのスケールマーキングを含む測定スケールデバイスであって、
前記各スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表す少なくとも1つの周期的ナノ構造を含み、
前記各周期的ナノ構造は、レーザ誘起周期的表面構造(LIPSS)を含み、
前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によって表される前記スケールデバイス情報は、認証もしくはセキュリティデータを含
ことを特徴とする測定スケールデバイス。
【請求項3】
少なくとも1つのスケールマーキングを含む測定スケールデバイスであって、
前記各スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表す少なくとも1つの周期的ナノ構造を含み、
前記各周期的ナノ構造は、レーザ誘起周期的表面構造(LIPSS)を含み、
前記少なくとも一つのスケールマーキングは、スケールマーキングの第1の系列を形成する複数のスケールマーキングを含み、前記測定スケールデバイスは、スケールマーキングの第2の系列をさらに含み、
前記スケールマーキングの第1の系列の少なくとも1つには、前記スケールマーキングの第2の系列の少なくとも1つが重ねられる
ことを特徴とする測定スケールデバイス。
【請求項4】
前記各周期的ナノ構造は、複数の実質的に平行なラインを含む
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の測定スケールデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によって表される前記スケールデバイス情報は、位置情報、または前記測定スケールデバイスに関する非位置関係のデータを含む
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の測定スケールデバイス。
【請求項6】
前記各周期的ナノ構造は、前記周期的ナノ構造の配向、深さ、および周期のうちの少なくとも1つを使用して、前記スケールデバイス情報を表す
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の測定スケールデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも一つの周期的ナノ構造によって表された前記スケールデバイス情報は、(a)アブソリュート位置情報、及び(b)相対位置情報の少なくとも一つを含む
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の測定スケールデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によって表される前記スケールデバイス情報は、(a)境界の標識、(b)基準位置の標識、及び(c)方向情報の少なくとも一つを含む
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の測定スケールデバイス。
【請求項9】
前記スケールマーキングの第1の系列および前記スケールマーキングの第2の系列は、測定の共通軸を共有する
ことを特徴とする請求項に記載の測定スケールデバイス。
【請求項10】
前記スケールマーキングの第1の系列は、アブソリュートスケールマーキング、インクリメンタルスケールマーキング、または基準マークのうちの1つを含み、前記スケールマーキングの第2の系列は、アブソリュートスケールマーキング、インクリメンタルスケールマーキング、および基準マークのうちの別の1つを含む
ことを特徴とする請求項3又は9に記載の測定スケールデバイス。
【請求項11】
前記スケールマーキングの第1の系列は、前記スケールマーキングの第2の系列と交互配置される
ことを特徴とする請求項3、9、10のいずれか1項に記載の測定スケールデバイス。
【請求項12】
前記スケールマーキングの第1の系列によって表されるスケールデバイス情報は、前記スケールマーキングの第2の系列によって表されるスケールデバイス情報を読み取るのと独立して読取り可能である
ことを特徴とする請求項3、9乃至11のいずれか1項に記載の測定スケールデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つのスケールマーキングは、複数のスケールマーキングを含む
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の測定スケールデバイス。
【請求項14】
前記スケールマーキングは、実質的に同一である
ことを特徴とする請求項13に記載の測定スケールデバイス。
【請求項15】
前記スケールマーキングは、測定軸に沿って実質的に等しく離間されている
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の測定スケールデバイス。
【請求項16】
前記各周期的ナノ構造は、前記周期的ナノ構造の偏光特性を使用して前記スケールデバイス情報を表す
ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の測定スケールデバイス。
【請求項17】
各周期的ナノ構造の偏光の優先方向を含む
ことを特徴とする請求項16に記載の測定スケールデバイス。
【請求項18】
前記周期的ナノ構造または周期的ナノ構造の各々について、前記スケールデバイス情報を表す前記周期的ナノ構造の特性は、選択された個数の離散値の1つを有する
ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の測定スケールデバイス。
【請求項19】
前記周期的ナノ構造または周期的ナノ構造の各々について、前記スケールデバイス情報を表す前記周期的ナノ構造の特性は、前記測定スケールデバイスの測定軸に沿った変位とともに変化する
ことを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の測定スケールデバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つのスケールマーキングは、エンコーダ用の測定スケールを形成する
ことを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の測定スケールデバイス。
【請求項21】
前記少なくとも1つのスケールマーキングは、エンコーダ用の線形スケールを形成する
ことを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載の測定スケールデバイス。
【請求項22】
前記少なくとも1つのスケールマーキングは、エンコーダ用の回転スケールを形成する
ことを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記載の測定スケールデバイス。
【請求項23】
請求項1乃至22のいずれか1項に記載の測定スケールデバイスを備える
ことを特徴とするエンコーダ。
【請求項24】
表面上に少なくとも1つのスケールマーキングを形成するステップを有し、
前記スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表す周期的ナノ構造を含み、前記各周期的ナノ構造は、レーザ誘起周期的表面構造(LIPSS)を含み、
前記周期的ナノ構造によって表される前記スケールデバイス情報は、(a)エラー情報、(b)スケール、もしくはスケール製造者識別子、及び(c)スケールマーキングの関連付けられた系列におけるエラーを表すエラーマップの少なくとも一つを含
ことを特徴とする測定スケールを形成する方法。
【請求項25】
表面上に少なくとも1つのスケールマーキングを形成するステップを有し、
前記スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表す周期的ナノ構造を含み、前記各周期的ナノ構造は、レーザ誘起周期的表面構造(LIPSS)を含み、
前記周期的ナノ構造によって表される前記スケールデバイス情報は、認証もしくはセキュリティデータを含む
ことを特徴とする測定スケールを形成する方法。
【請求項26】
測定スケールを形成する方法であって、
表面上に少なくとも1つのスケールマーキングを形成するステップを有し、
前記スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表す周期的ナノ構造を含み、前記各周期的ナノ構造は、レーザ誘起周期的表面構造(LIPSS)を含み、
前記少なくとも一つのスケールマーキングは、スケールマーキングの第1の系列を形成する複数のスケールマーキングを含み、前記測定スケールは、スケールマーキングの第2の系列をさらに含み、
前記スケールマーキングの第1の系列の少なくとも1つには、前記スケールマーキングの第2の系列の少なくとも1つが重ねられる
ことを特徴とする測定スケールを形成する方法。
【請求項27】
直線偏光レーザ放射の少なくとも1つのパルスを表面の領域に照射して、少なくとも1つのスケールマーキングを形成する
ことを含むことを特徴とする請求項24乃至26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
直線偏光レーザ放射の少なくとも1つのパルスを表面に照射して、レーザ誘起周期的表面構造(LIPSS)の少なくとも1つの領域を形成することを含む
ことを特徴とする請求項24乃至27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
請求項1乃至22のいずれか1項に記載の測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法であって、前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によって反射または透過された電磁放射を検出することと、前記検出された電磁放射から前記周期的ナノ構造の前記少なくとも1つの特性を決定することと、前記少なくとも1つの特性からスケールデバイス情報を決定することとを含む
ことを特徴とする測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法。
【請求項30】
電磁放射を前記測定スケールデバイスに照射することをさらに含み、
照射された前記電磁放射は、前記周期的ナノ構造の周期より大きい波長で最大強度を有する
ことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも一つの特性を決定することは、少なくとも1つの偏光特性を決定することを含む
ことを特徴とする請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法は、前記測定スケールデバイスを撮像することと、前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によってもたらされる回折効果を検出することとの少なくとも一方を含む
ことを特徴とする請求項29乃至31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
請求項1乃至22のいずれか1項に記載の測定スケールデバイスのマーキングを読み取る装置であって、電磁放射の源と、前記測定スケールデバイスの少なくとも1つの周期的ナノ構造によって反射または透過された電磁放射を検出するための検出器と、前記検出された電磁放射から周期的ナノ構造の少なくとも1つの特性を決定するための手段と、少なくとも1つの特性から前記スケールデバイス情報を決定するための手段とを備える
ことを特徴とする測定スケールデバイスのマーキングを読み取る装置。
【請求項34】
少なくとも1つのスケールマーキングを含む測定スケールデバイスであって、前記各スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表す少なくとも1つの周期的ナノ構造を含み、
前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によって表される前記スケールデバイス情報は、(a)エラー情報、(b)スケール、スケールデバイスもしくはスケール製造者識別子、及び(c)スケールマーキングの関連付けられた系列におけるエラーを表すエラーマップの少なくとも一つを含む
ことを特徴とする測定スケールデバイス。
【請求項35】
少なくとも1つのスケールマーキングを含む測定スケールデバイスであって、前記各スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表す少なくとも1つの周期的ナノ構造を含み、
前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によって表される前記スケールデバイス情報は、認証もしくはセキュリティデータを含む
ことを特徴とする測定スケールデバイス。
【請求項36】
少なくとも1つのスケールマーキングを含む測定スケールデバイスであって、前記各スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表す少なくとも1つの周期的ナノ構造を含み、
前記少なくとも一つのスケールマーキングは、スケールマーキングの第1の系列を形成する複数のスケールマーキングを含み、前記測定スケールデバイスは、スケールマーキングの第2の系列をさらに含み、
前記スケールマーキングの第1の系列の少なくとも1つには、前記スケールマーキングの第2の系列の少なくとも1つが重ねられる
ことを特徴とする測定スケールデバイス。
【請求項37】
少なくとも1つのスケールマーキングを含む測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法であって、前記各スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表す少なくとも1つの周期的ナノ構造を含み、
前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によって反射または透過された電磁放射を検出することと、前記検出された電磁放射から前記周期的ナノ構造の前記少なくとも1つの特性を決定することと、前記少なくとも1つの特性からスケールデバイス情報を決定することとを含み、
前記少なくとも一つの特性を決定することは、少なくとも1つの偏光特性を決定することを含み、前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によって表される前記スケールデバイス情報は、(a)エラー情報、(b)スケール、もしくはスケール製造者識別子、及び(c)スケールマーキングの関連付けられた系列におけるエラーを表すエラーマップの少なくとも一つを含
ことを特徴とする測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法。
【請求項38】
少なくとも1つのスケールマーキングを含む測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法であって、前記各スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表す少なくとも1つの周期的ナノ構造を含み、
前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によって反射または透過された電磁放射を検出することと、前記検出された電磁放射から前記周期的ナノ構造の前記少なくとも1つの特性を決定することと、前記少なくとも1つの特性からスケールデバイス情報を決定することとを含み、
前記少なくとも一つの特性を決定することは、少なくとも1つの偏光特性を決定することを含み、前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によって表される前記スケールデバイス情報は、認証もしくはセキュリティデータを含む
ことを特徴とする測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法。
【請求項39】
少なくとも1つのスケールマーキングを含む測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法であって、前記各スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表す少なくとも1つの周期的ナノ構造を含み、
前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によって反射または透過された電磁放射を検出することと、前記検出された電磁放射から前記周期的ナノ構造の前記少なくとも1つの特性を決定することと、前記少なくとも1つの特性からスケールデバイス情報を決定することとを含み、
前記少なくとも一つの特性を決定することは、少なくとも1つの偏光特性を決定することを含み、前記少なくとも一つのスケールマーキングは、スケールマーキングの第1の系列を形成する複数のスケールマーキングを含み、前記測定スケールデバイスは、スケールマーキングの第2の系列をさらに含み、
前記スケールマーキングの第1の系列の少なくとも1つには、前記スケールマーキングの第2の系列の少なくとも1つが重ねられる
ことを特徴とする測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法。
【請求項40】
少なくとも1つのスケールマーキングを含む測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法であって、
前記各スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表す少なくとも1つの周期的ナノ構造を含み、
前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によって反射または透過された電磁放射を検出することと、前記検出された電磁放射から前記周期的ナノ構造の前記少なくとも1つの特性を決定することと、前記少なくとも1つの特性からスケールデバイス情報を決定することとを含み、
前記測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法は、前記測定スケールデバイスを撮像することと、前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によってもたらされる回折効果を検出することとの少なくとも一方を含み、前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によって表される前記スケールデバイス情報は、(a)エラー情報、(b)スケール、もしくはスケール製造者識別子、及び(c)スケールマーキングの関連付けられた系列におけるエラーを表すエラーマップの少なくとも一つを含
ことを特徴とする測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法。
【請求項41】
少なくとも1つのスケールマーキングを含む測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法であって、
前記各スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表す少なくとも1つの周期的ナノ構造を含み、
前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によって反射または透過された電磁放射を検出することと、前記検出された電磁放射から前記周期的ナノ構造の前記少なくとも1つの特性を決定することと、前記少なくとも1つの特性からスケールデバイス情報を決定することとを含み、
前記測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法は、前記測定スケールデバイスを撮像することと、前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によってもたらされる回折効果を検出することとの少なくとも一方を含み、前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によって表される前記スケールデバイス情報は、認証もしくはセキュリティデータを含む
ことを特徴とする測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法。
【請求項42】
少なくとも1つのスケールマーキングを含む測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法であって、
前記各スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表す少なくとも1つの周期的ナノ構造を含み、
前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によって反射または透過された電磁放射を検出することと、前記検出された電磁放射から前記周期的ナノ構造の前記少なくとも1つの特性を決定することと、前記少なくとも1つの特性からスケールデバイス情報を決定することとを含み、
前記測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法は、前記測定スケールデバイスを撮像することと、前記少なくとも1つの周期的ナノ構造によってもたらされる回折効果を検出することとの少なくとも一方を含み、前記少なくとも一つのスケールマーキングは、スケールマーキングの第1の系列を形成する複数のスケールマーキングを含み、前記測定スケールデバイスは、スケールマーキングの第2の系列をさらに含み、
前記スケールマーキングの第1の系列の少なくとも1つには、前記スケールマーキングの第2の系列の少なくとも1つが重ねられる
ことを特徴とする測定スケールデバイスのマーキングを読み取る方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定スケール、測定スケールを形成する方法、および測定スケールを使用して測定を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの物体の相対位置を決定するために測定スケールを使用することが知られている。1つの物体上に取り付けられた読取りヘッドが、他の物体上に取り付けられた測定スケールから情報を読み取る。光学的読取り測定スケールの場合、読取りヘッドは、光を反射または透過する測定スケール上に光を投射する。反射または透過された光は、次いで、読取りヘッドによって検出され、読取りヘッドは、検出された光を使用して、測定の1または複数の軸に沿ってスケールと読取りヘッドの相対位置を決定することができる。
【0003】
読取りヘッドと組み合わされたときに光学的に読み取られることが可能な測定スケールは、光学エンコーダと呼ばれることがある。2つの基本的タイプのエンコーダ、すなわち、インクリメンタルエンコーダ(incremental encoder)およびアブソリュートエンコーダ(absolute encoder)がある。
【0004】
インクリメンタルエンコーダの場合、測定スケールは通常、測定の軸に沿ってまたはそのまわりに一定間隔で配置された同一のマーキングの系列を含む。読取りヘッドは、スケール上に光を投射し、結果の透過または反射された光を検出するために使用される。位置を決定するために結果の検出信号を処理する様々な方法がある。たとえば、読取りヘッドがスケールに沿って移動するに伴って、反射または透過された光の変化から位相情報が決定され得る。読取りヘッドが測定の方向に沿って移動されるとき、それは、相対変位を計算するために循環的に変化する位相情報を使用する。加えて、位相情報は、周期的に反復するスケール位置の間を補間して、スケール周期の数分の一の誤差で精密な読取りを達成するために使用され得る。
【0005】
アブソリュート位置を決定するための追加的機構がない場合、インクリメンタルエンコーダは相対変位のみを決定するために使用され得る。したがって、インクリメンタルエンコーダの測定スケールは、(基準位置を示す)1または複数の基準マークの形態でスケールマーキングをさらに有してもよく、また、境界マーク(limit mark)(測定スケールの両端を示すマーク)も含まれてよい。
【0006】
アブソリュートエンコーダの場合、測定スケールは、一意のコードの系列、たとえば、各々のコードワードがスケールに沿って特定の位置に関連付けられているコードワードを形成するマーキングを有する。少なくとも1つの完全なコードワードを読み取ることができるように読取りヘッドを構成することが知られている。読取りヘッドは、一意のコードワードに基づいて、スケール上のアブソリュート位置を決定するためにルックアップテーブルまたはアルゴリズムを使用することができ、システムは、基準点に最初に移動する必要なしに、始動の際にその位置を一意に識別することができる。
【0007】
インクリメンタルエンコーダは、比較的単純である場合が多く、エンコーダフィードバックシステムの中核を形成する。しかしながら、アブソリュートエンコーダは、現在位置がスケールの長さ方向に沿うことができれば、スケールの現在位置を一位に識別することができる。アブソリュートエンコーダは、移動の必要性なしに電源オン(power-on)の際に位置を識別し、周期的信号の正確なカウントを維持する必要性を緩和することができる。アブソリュートエンコーダは、電源投入(power up)の際に参照が容易でない、安全でない、または可能ですらない状況において重要であり得る。また、電源の影響または喪失による過度な加速などの故障状態の後に、アブソリュートエンコーダは、スケールと読取りヘッドの間の相対的移動を必要とせずに、位置を一意に識別する。スケールは、位置を一意に識別するのに十分な情報を読取りヘッドに提示しなければならず、これは、同時に読み取られたときに一意のワードを形成する平行データライン、または直列データストリームの十分に長い部分、または飛行時間測定法のような物理的にアブソリュートな方法を用いて行われ得る。しかしながら、並んで配置されるいくつかの直列ストリームとして提示される平行データは、幅広であるという欠点があり、したがって、ヨーアライメント(yaw alignment)許容差に敏感である。飛行時間技法は、光路の特性がよく知られていることを要求するので、経路が真空にされない限り、温度および湿度の変動ならびに乱流が測定に影響することになる。
【0008】
通常、アブソリュートエンコーダは、有用な長さのスケールに沿って位置を一意に識別するのに必要とされる過剰に長いコードワードのため、インクリメンタルエンコーダを伴って、できる限り高い分解能を有することがなく、したがって、コードワードによって決定される位置の間を補間可能にするために、インクリメンタルマーキングをアブソリュートエンコーダに追加することが望ましい可能性がある。たとえば、インクリメンタルスケールマーキングが、平行トラック上でアブソリュートスケールマーキングに提供され得る。しかしながら、そのような平行トラックの使用は、システムを読取りヘッドおよびスケールのアライメントに対して敏感にする。読取りヘッドのヨーイングは、アブソリュート位置とインクリメンタル位置を組み合わせたときにエラーをもたらす可能性がある。
【0009】
アブソリュートスケールマーキングとインクリメンタルスケールマーキングの両方が単一のトラック上に形成される代替的手法は、特許文献1において本出願人の名義で説明されており、その内容は本明細書で参照により組み込まれる。トラックは、互いに平行に配置され、かつ測定方向でストリップ間に固定された間隔を有する複数の反射ストリップおよび無反射ストリップからなる振幅スケールを含む。線状のバーコードと同様の様式でデータを表すために、ストリップは反復パターンから省略される。スケール上のデータはワードに分割され、読取りヘッドは、スケールに沿った読取りヘッド位置に関係なく少なくとも1つの完全なワードを含むために十分なスケールを撮像する。位置は、読取りヘッドによって読み取られるワードから一意に識別され得る。データワードは、アブソリュートスケールを表し、反射ストリップおよび無反射ストリップの反復パターンは、インクリメンタルスケールを表す。この手法では、アブソリュートスケールは、インクリメンタルスケールの要素を除去することによって形成される。
【0010】
表面との超高速レーザパルス相互作用は、レーザ誘起周期的表面構造(Laser Induced Periodic Surface Structure:LIPSS)またはナノリップル(nanoripple)構造と一般に称される周期的表面構造の形成をもたらすことができることが知られている。非特許文献1には、ルビーレーザからの光によって損傷を受けた種々の半導体の表面上に出現する「平行直線の規則的システム(regular system of parallel straight lines)」の効果が開示されている。それ以降、これらの構造は、連続波からピコ秒のレーザのいずれかを使用して生成されているが、最も一般的にはフェムト秒レーザを使用する。
【0011】
非特許文献2および非特許文献3において、2つのグループのLIPSS、低空間周波数LIPSS(LSFL)および高空間周波数LIPSS(HSFL)が識別されていることが論じられている。
【0012】
たとえば、非特許文献2には、物体またはドキュメントの識別、追跡可能性、または認証のために、LIPSS構造を使用してデータを表すことが提案されている。この文献では、データはLIPSS構造の配向によって表され、配向は、構造を形成するために使用されるレーザ放射の偏光を制御することによって制御される。構造に光を照射し、構造から受け取られた結果の光の色を決定することによって、データが読み取られ、LIPSS構造から受け取られた光の色は、回折効果によるLIPSS構造の配向に依存する。カメラのような画像取込みデバイスが、LIPSS構造によりマーキングされた表面の画像を取り込むために使用されることができ、データが処理されて、現在の色、および色によって表されるデータ値を決定することができる。
【0013】
非特許文献4、非特許文献5、および非特許文献6において、LIPSS構造で表面をマーキングすることによる表面の色の制御はやはり説明されている。
【0014】
次いで、特許文献3には包装フィルム上に浮き出され得る、物体の表面上たとえば印刷ローラ上の数字、ロゴ、絵柄などを実現するためのナノリップル構造の使用が説明されている。この文献はまた、表面の物理的特性を変更する、たとえば、その接着特性または油保持特性を改善するためのナノリップル構造の使用に言及している。
【0015】
特許文献4には、室温またはその付近でのレーザ化学蒸着を使用して周期的サブ波長ナノ構造を作製するためのシステムおよび方法が説明されている。
【0016】
特許文献5には、透明または半透明誘電体内部の長範囲周期的ナノ構造を作る方法が説明されている。
【0017】
特許文献6には、基板、および基板にインプリントされた複数の光学的に検出可能なマークを有する光記憶媒体であって、マークがサブ波長幅を有する、光記憶媒体が説明されている。偏光光源がマークを読み取るために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】英国特許第2395005号明細書
【特許文献2】国際公開第2009/090324号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2007/012215号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/214885号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/219676号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2006/028962号明細書
【特許文献7】国際公開第2012/038707号パンフレット
【特許文献8】欧州特許第0207121号明細書
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】“Semiconductor surface damage produced by ruby lasers”, Birnbaum, Milton, Journal of Applied Physics, 1965, Vols. 36, 3688
【非特許文献2】A. Borowiec, H.K. Haugen, Applied Physics Letters, 2003, Vol. 82, No. 25, pp. 4462−4464
【非特許文献3】V.S. Mitko, G.R.B.E. Romer, A.J. Huis in ‘t Veld, J.S.P Skolski, J.V. Obona, V. Ocelik, J.T.M. De Hosson, Physics Procedia, 2011 , Vol. 12, pp. 99−104
【非特許文献4】Ahsan et al, Applied Surface Science, 257 (2011), 7771−7777, 2011
【非特許文献5】Dusser et al, Laser Applications in Microelectronics and Optoelectronic Manufacturing VII, Proc. of SPIE, Vol. 7201, 2009
【非特許文献6】Dusser et al, Optics Express 2913, Vol. 18, No. 3, 1 February 2010
【非特許文献7】“Spectral and polarization responses of femtosecond laser−induced period surface structures on metals”, A.Y. Vorobyev, Chunlei Guo, Journal of Applied Physics, 2008, Vol 103, 043513
【発明の概要】
【0020】
本発明の第1の態様では、少なくとも1つのスケールマーキングを含む測定スケールデバイスであって、そのまたは各スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表す少なくとも1つの周期的ナノ構造を含む、測定スケールデバイスが提供される。
【0021】
スケールデバイス情報を表すための周期的ナノ構造の使用は、測定スケールデバイス上のスケールデバイス情報の知られている表現に対する特に有用な代替形態を提供することができる。
【0022】
たとえば、周期的ナノ構造を使用してスケールデバイス情報を表すことによって、スケールマーキングが、他のタイプの他のスケールマーキングと同じスケールの領域で形成されることができるとともに、異なるスケールマーキングの近接にかかわらず、異なるスケールマーキングの実質的に独立した読取りを可能にすることが分かっている。周期的ナノ構造を含むマーキング、および他のタイプのスケールマーキングを独立して読み取る能力は、たとえば、異なるスケールマーキングが、ヨー効果を回避するように十分に接近してアライメントされることを可能にすることができる。
【0023】
そのまたは各周期的ナノ構造は、周期的ナノ構造の配向、深さ、および周期のうちの少なくとも1つを使用して、スケールデバイス情報を表すことができる。
【0024】
各周期的ナノ構造は、スケールの領域を含むことができ、それは領域に照射される電磁放射に対する偏光効果をもたらす。
【0025】
そのまたは各周期的ナノ構造は、レーザ誘起周期的表面構造(LIPSS)を含むことができる。
【0026】
LIPSS構造は、それらが、予め存在するスケールデバイスもしくはスケール上または新しく生成されたスケールデバイスもしくはスケール上で比較的単純かつロバストな様式で形成され得るので、スケールマーキングとして特に有用となり得ることが分かっている。さらに、LIPSS構造のスケールは、他のタイプの構造、たとえば、知られた位相スケールの段階的もしくは起伏ある構造、または振幅スケールの交互のより多くおよび少なく反射するストリップで形成されるスケールマーキングの読取りと大きく干渉しないようなものであり得る。
【0027】
そのまたは各周期的ナノ構造は、複数の実質的に平行なラインを含むことができる。
【0028】
複数の実質的に平行なラインは、ラインの伸びに対して直角な方向において、1m未満、任意選択により10nmから1μmの間隔で規則的に離間され得る。任意選択により、間隔は、200nmから800nmの範囲にあってよく、さらに任意選択により400nmから650nmの範囲にあってよい。ナノ構造の周期は、直接可視化または回折技法以外の用途でそれを読み取るために使用される光の波長より小さくされ得る。
【0029】
少なくとも1つの周期的ナノ構造によって表されるスケールデバイス情報は、位置情報、またはスケールまたはスケールデバイスに関する非位置関係のデータを含むことができる。
【0030】
スケールデバイス情報は、スケールまたはスケールデバイスの機能に関係する任意の情報を含むことができる。それは、位置情報であってよく、または、それは、位置を導き出すプロセスで、もしくはスケールの動作で使用され得る情報であってよい(たとえば、境界マークはスケールの端部を示すことができる)。
【0031】
少なくとも1つの周期的ナノ構造によって表されるスケールデバイス情報は、アブソリュート位置情報;相対位置情報;境界の標識;基準位置の標識;方向情報;エラー情報;スケール、スケールデバイスもしくはスケール製造者識別子;認証もしくはセキュリティデータ、のうちの少なくとも1つを含むことができる。スケールマーキングは、距離コード化マークを含んでよい。
【0032】
少なくとも1つの周期的ナノ構造によって表されるスケールデバイス情報は、スケールマーキングの関連付けられた系列におけるエラーを表すエラーマップを含むことができる。
【0033】
少なくとも1つのスケールマーキングは、スケールマーキングの系列の部分を形成するスケールマーキングを含んでよい。系列の他のスケールマーキングは、少なくとも1つのナノ構造を含んでも含まなくてもよい。
【0034】
少なくとも1つのスケールマーキングは、スケールマーキングの第1の系列を形成する複数のスケールマーキングを含んでよく、測定スケールは、スケールマーキングの第2の系列をさらに含んでよい。
【0035】
スケールマーキングの第1の系列およびスケールマーキングの第2の系列は、測定の共通軸を共有することができる。測定の共通軸を共有するスケールマーキングの第1の系列および第2の系列、たとえば、アブソリュートスケールマーキングの系列およびインクリメンタルスケールマーキングの系列を提供することにより、ヨーによる脱位相(de-phasing)が防止され得る。
【0036】
スケールマーキングの第1の系列は、アブソリュートスケールマーキング、インクリメンタルスケールマーキング、または基準マークのうちの1つを含むことができ、スケールマーキングの第2の系列は、アブソリュートスケールマーキング、インクリメンタルスケールマーキング、および基準マークのうちの別の1つを含むことができる。
【0037】
スケールマーキングの第1の系列は、アブソリュートスケールまたはインクリメンタルスケールのうちの一方を形成することができ、スケールマーキングの第2の系列は、アブソリュートスケールまたはインクリメンタルスケールのうちの他方を形成することができる。
【0038】
スケールマーキングの第1の系列の少なくとも1つには、スケールマーキングの第2の系列の少なくとも1つが重ねられ得る。スケールマーキングの第1の系列は、スケールマーキングの第2の系列と交互配置され得る。
【0039】
スケールマーキングの第1の系列によって表されるスケールデバイス情報は、スケールマーキングの第2の系列によって表されるスケールデバイス情報を読み取るのと独立して読取り可能であり得る。
【0040】
スケールデバイス情報は、光学パラメータ、磁気パラメータ、容量パラメータ(capacitive parameter)のうちの少なくとも1つによって、スケールマーキングの第2の系列において表現され得る。
【0041】
そのまたは各スケールマーキングは、複数の周期的ナノ構造を含むことができる。スケールデバイス情報は、組み合わされた複数の周期的ナノ構造の各々の特性を使用して表され得る。スケールマーキングの周期的ナノ構造の少なくとも1つは、そのスケールマーキングの周期的ナノ構造の別の1つの特性の値と異なる特性の値を有することができる。
【0042】
各周期的ナノ構造は、データビットを表すことができる。データビットは、2進数字を含んでよい。
【0043】
そのまたは各スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表すコードを表すことができる。少なくとも1つのスケールマーキングは、複数のスケールマーキングを含んでよく、各スケールマーキングは、コードを表し、各コードは、それぞれの異なる位置を表す。
【0044】
少なくとも1つのスケールマーキングは、複数のスケールマーキングを含んでよく、スケールマーキングは、実質的に同一であってよく、および/または測定軸に沿って実質的に等しく離間されてよい。
【0045】
スケールデバイス情報を表す各周期的ナノ構造の特性は、偏光の優先方向を含むことができる。各周期的ナノ構造は、それが偏光の第2の方向で電磁放射を反射または透過するよりも強く偏光の第1の方向で電磁放射を反射または透過することができ、それにより、偏光の優先方向を確立する。電磁放射は、可視または近紫外範囲の光であってよい。
【0046】
周期的ナノ構造または周期的ナノ構造の各々について、スケールデバイス情報を表す周期的ナノ構造の特性は、選択された個数の離散値の1つを有することができる。任意の適切な個数の離散値が使用され得る。たとえば、選択された個数の離散値は、2、3、4、5、6、7、または8のうちの1つであってよい。選択された個数の離散値の各々は、それぞれのデータ値、たとえば、それぞれのデータビットを表すことができる。スケールデバイス情報は、データ値によって表され得る。
【0047】
周期的ナノ構造または周期的ナノ構造の各々について、スケールデバイス情報を表す周期的ナノ構造の特性は、スケールの測定軸に沿った変位とともに変化することができる。
【0048】
少なくとも1つの周期的ナノ構造は、複数の周期的ナノ構造を含んでよく、周期的ナノ構造は、実質的に連接してよく、および/または重なり合ってもよい。
【0049】
スケールの測定軸に沿った各周期的ナノ構造の横方向の伸びは、5μmから2000μmの範囲、任意選択で5μmから500μmの範囲、さらに任意選択で10μmから200μmの範囲であってよい。
【0050】
測定スケールおよび/または測定スケールデバイスは、金属、任意選択でステンレス鋼、金、クロム、ニッケルまたは銀、半導体材料、任意選択でSi、InP、GaPまたはGaAs、任意選択でSi、Ge、InP、GaAsなどの基板に基づく半導体材料または材料系、ガラス、任意選択で石英ガラス、のうちの少なくとも1つで形成されてよい。
【0051】
測定スケールデバイスは、測定の第1の軸上のスケールマーキングの第1の系列、および測定の第2の軸上のスケールマーキングの第2の系列を含むことができる。第1の軸と第2の軸は平行でなくてよい。第1の軸と第2の軸は実質的に直角であってよい。スケールデバイスは、2次元スケールを含むことができる。
【0052】
測定スケールデバイスは、エンコーダ用の測定スケールを形成することができる。
【0053】
エンコーダ用の測定スケールは、少なくとも1つのスケールマーキングによって形成され得る。
【0054】
エンコーダ用の線形スケールが、少なくとも1つのスケールマーキングによって形成されてよい。
【0055】
エンコーダ用の回転スケールが、少なくとも1つのスケールマーキングによって形成されてよい。
【0056】
本発明のさらなる態様では、本発明の第1の態様による測定スケールデバイスを備えるエンコーダが提供される。
【0057】
独立して提供され得る本発明のさらなる態様では、測定スケールを形成する方法であって、表面上に少なくとも1つのスケールマーキングを形成することを含み、スケールマーキングは、スケールデバイス情報を表す周期的ナノ構造を含む、方法が提供される。
【0058】
方法は、直線偏光レーザ放射の少なくとも1つのパルスを表面の領域に照射して、少なくとも1つのスケールマーキングを形成することを含むことができる。
【0059】
方法は、レーザ放射の少なくとも1つのパルスを表面に照射して、レーザ誘起周期的表面構造(LIPSS)の少なくとも1つの領域を形成することを含むことができる。
【0060】
方法は、複数のスケールマーキングを形成して、スケールマーキングの第1の系列を形成すること、およびスケールマーキングの第2の系列を形成することを含むことができる。
【0061】
方法は、スケールマーキングの第1の系列およびスケールマーキングの第2の系列を、スケールの共通測定軸上に形成することを含むことができる。
【0062】
方法は、スケールマーキングの第1の系列の少なくとも1つに、スケールマーキングの第2の系列の少なくとも1つを重ねることを含むことができる。方法は、スケールマーキングの第1の系列をスケールマーキングの第2の系列と交互配置することを含むことができる。
【0063】
スケールマーキングの第2の系列は、表面に沿ってピークおよび谷の系列、たとえば、段差の系列を含むことができる。方法は、各周期的ナノ構造を形成して、それぞれのデータビットを表すことを含むことができる。
【0064】
方法は、各スケールマーキングを形成してコードを表すことを含むことができる。
【0065】
方法は、各周期的ナノ構造を形成して、複数の離散値の選択された1つを有することを含むことができる。
【0066】
方法は、各周期的ナノ構造を形成して、その周期的ナノ構造についてのスケールデバイス情報を表す特性がスケールの測定軸に沿った変位とともに変化するようにすることを含むことができる。
【0067】
独立して提供され得る本発明のさらなる態様では、測定スケールを読み取る方法であって、少なくとも1つの周期的ナノ構造によって反射または透過された電磁放射を検出することと、検出された電磁放射から周期的ナノ構造の少なくとも1つの特性を決定することと、少なくとも1つの偏光特性からスケールデバイス情報を決定することとを含む方法が提供される。
【0068】
方法は、電磁放射をスケールに照射することをさらに含むことができ、照射された電磁放射は、周期的ナノ構造の周期より大きい波長で最大強度を有する。
【0069】
照射された電磁放射は、周期的ナノ構造の周期の少なくとも2倍、任意選択で周期的ナノ構造の周期の2倍と5倍の間の波長で最大強度を有することができる。
【0070】
少なくとも特性の決定することは、少なくとも1つの偏光特性を決定することを含むことができる。
【0071】
読み取る方法は、測定スケールを撮像することと、少なくとも1つの周期的ナノ構造によってもたらされる回折効果を検出することとの少なくとも一方を含むことができる。
【0072】
独立して提供され得る本発明のさらなる態様では、電磁放射の源と、スケールの少なくとも1つの周期的ナノ構造によって反射または透過された電磁放射を検出するための検出器と、検出された電磁放射から周期的ナノ構造の少なくとも1つの特性を決定するための手段と、少なくとも1つの特性からスケールデバイス情報を決定するための手段とを備える装置が提供される。
【0073】
また、添付の図面を参照して本明細書で説明されるような測定スケールおよび方法も実質的に提供される。
【0074】
本発明の一態様における任意の特徴は、任意の適切な組み合わせで本発明の他の態様に適用され得る。たとえば、装置の特徴が方法の特徴として適用されてよく、逆も同様である。
【0075】
次に、本発明の実施形態が非限定的例によって説明され、以下の図に示される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1】第1の実施形態の測定スケールデバイスの図である。
図2図1のデバイスのスケールの拡大された部分の図である。
図3】測定スケールを読み取るための装置の概略図である。
図4図3の装置のさらなる概略図である。
図5図3の装置のさらなる概略図である。
図6図1および図2の測定スケールの読取りを概略的に示すフローチャートである。
図7】測定スケールを形成するためのシステムの図である。
図8】2進スケールマーキングの系列を含む測定スケールの図である。
図9】スケールマーキングの系列を含むスケール、および基準マークのペアを含むスケールの図である。
図10】スケールマーキングの系列、および境界マークのペアの図である。
図11】ベース4にデータをエンコードするスケールマーキングの系列を含む測定スケールの図である。
図12】ナノ構造のラインの配向が位置とともに変化する周期的ナノ構造を含むマーキングの図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
図1は、複数のスケールマーキングを含むスケール4を備える、測定スケールデバイス2の第1の実施形態を示す。アブソリュートスケールマーキング6の系列は、測定の共通軸10に沿ってインクリメンタルスケールマーキング8の系列上に重ねられる。アブソリュートスケールマーキング6とインクリメンタルスケールマーキング8は、独立して読取り可能である。明瞭にするために、アブソリュートスケールマーキング6のみが図1に示されている。
【0078】
図2は、図1のスケール4の拡大された部分の図であり、アブソリュートスケールマーキング6とインクリメンタルスケールマーキング8の両方を示す。
【0079】
図1および図2の実施形態では、インクリメンタルスケールマーキング8の系列は、たとえば、参照により本明細書で組み込まれる本出願人の名義の特許文献7で説明されるように、スケールデバイスの表面のレーザ加熱によって形成される(反射の)稼働光の波長の約4分の1または(透過の)稼働光の波長の約半分の振幅のピークおよび谷の実質的に正弦波のプロファイルで構成される。デバイス2は、304ステンレス鋼から作製され、ピークおよび谷が304ステンレス鋼の表面上に形成される。ピークおよび谷は図2に示されているが、ピーク−谷の高さ(peak-to-trough height)は図面上で見ることができるように誇張されている。この実施形態では、ピーク−谷の高さは200nmであり、隣接ピーク間の間隔は8μmである。インクリメンタルスケールマーキングの各々は、周期的表面の完全なサイクルを含むものとされ得る。
【0080】
アブソリュートスケールマーキング6の系列は、インクリメンタルスケールマーキング8の系列上に書き込まれる。この場合、アブソリュートスケールマーキング6の各々が、複数の周期的ナノ構造、この場合、レーザ誘起周期的表面構造(LIPSS)を含み、これらは、ラインの伸びに直角の方向の周期的間隔を有し、スケール4を読み取るために使用される光の波長より任意選択で短い周期を有する複数の実質的に平行のラインを含む。LIPSSナノ構造の形成は以下により詳細に説明される。
【0081】
図1および図2では、LIPSSの各領域は、陰付けされたエリアとして描かれ、影付けの方向は、実質的に平行のラインの配向を示す。LIPSSの各領域は、別個の偏光フィーチャを提供する別個の周期的ナノ構造であるとされ得る。図1および図2の実施形態では、LIPSSの領域は、測定の軸に対して−45度または+45度のいずれかで配置される実質的に平行のラインを含む。この実施形態では、LIPSSの領域は連接する。あるいは、それらは、重なり合ってもよくまたは空間的に分離されてもよい。
【0082】
LIPSSの各領域は、2進数字を表すために使用される。LIPSS領域のラインの各配向(たとえば、+45度および−45度)は、2進状態の1つを表す。複数のLIPSS領域は、各アブソリュートスケールマーキングを形成するように配置される。各アブソリュートスケールマーキングは、測定の軸に沿って一意の位置をマーキングするために使用される離散2進コードワードである。
【0083】
たとえば、図2では、n−1、n、n+1、およびn+2としてラベル付けされた4つの周期的ナノ構造が全体または部分的に示されている。各周期的ナノ構造はビットを表し、この場合、それらのビットは0、1、0、および1の値を有することが分かる。それら4つのビットは、偏光フィーチャが配置されるスケールの部分を識別する単一コードワードの部分を構成する。
【0084】
LIPSSなどの周期的ナノ構造は、マイクロ構造に照射される偏光された光の反射または吸収に弁別的に影響する、または構造に照射される非偏光の光の反射または透過から生じる光の偏光を引き起こす。
【0085】
非特許文献7において提示された実験結果は、表面構造のラインに平行または直角にアライメントされた偏光された光が、どのように異なる反射率となるかを示す。800nm(光学エンコーダでしばしば使用される波長)でその図から数を挙げると、偏光されていない光は、処理されていない表面から95%の反射率となることを示す。これは、LIPSSの出現後は77%に低減される。表面構造のラインに平行にアライメントされた偏光された光の反射率は71%であり、これに対し、表面構造のラインに直角にアライメントされた光に関しては87%である。
【0086】
表面ナノ構造の異なる配向を有する領域の光反射率の差は、適切な検出器を使用して検出され得る。図1および図2の実施形態のアブソリュートスケールマーキングを読み取るために、+45度偏光フィーチャと−45度偏光フィーチャを区別する必要がある。これらのフィーチャは、それらが光の異なる偏光を異なるように反射することによって区別され得るが、これは強い効果でないことがある。したがって、差動ペアの検出器が使用されることがあり、両方の偏光からの信号が、信号の共通モード成分を除去するために組み合わされ得る。
【0087】
図1および図2の実施形態の測定スケールを読み取るための装置の概略図が図3に示されている。図3は、測定スケールデバイス2、および光源22を備える読取りヘッド20を示す。
【0088】
読取りヘッドはまた、マルチチャネルインクリメンタル検出器21aと光源21bとを備える位相スケール検出ユニットを含み、これは、従来の技法を使用してインクリメンタルスケールマーキングを読み取るように動作可能である。位相スケール検出ユニットは、読取りヘッド20によってアブソリュートスケールを読み取るのと独立して、インクリメンタルスケールを読み取ることができる。
【0089】
図4は、読取りヘッド20をより詳細に示す概略図である。読取りヘッドは、4つのLEDの形態の光源22、および2つの平行アレイの偏光検出器24a、24bを備える。検出器は、直交偏光を検出するための差動ペアとして配置される。図4では、第1の平行アレイの偏光検出器24aは、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8としてラベル付けされた16個の検出器を備える。第2の平行アレイの偏光検出器24bは、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7、a8、b1、b2、b3、b4、b5、b6、b7、b8としてラベル付けされたさらなる16個の検出器を備える。
【0090】
偏光感知可能な光検出器が、差動ペアとして配置されることができ、ペアの各一方がその相手に対する光の直交偏光に対して敏感である。この方法によって、共通モード信号の除去により偏光測定の小さい差を確実に測定することが可能である。ペアは、偏光の場またはストリームの検出のためにアレイに配置されてもよい。
【0091】
図4の実施形態では、検出器アレイ24aの各検出器は、検出器アレイ24bの対応する検出器とペアにされて検出器ペアを形成する。図4の実施形態では、検出器A1とa1、A2とa2、B1とb1、B1とb2などが検出器ペアを形成する。
【0092】
検出器の各ペアの各検出器(たとえば検出器A1およびa1)は、検出器上に置かれた偏向されたフィルム26a、26bによって、偏光された光に敏感にされる。ペアの第1の検出器(たとえばA1)は、第1の偏光方向(この場合、測定軸に対して+45度)に敏感にされ、ペアの第2の検出器(たとえばa1)は、第2の直交偏光方向(この場合、測定軸に対して−45度)に敏感にされる。
【0093】
図5は、デバイス2に隣接した読取り位置の読取りヘッドを側面から示す、さらなる簡略化された概略図である。読取りヘッドは、各検出器ペアのためのI−V変換器28a、28bのペアを含む。各I−V変換器28a、28bは、検出器ペアの検出器の対応する1つの出力に接続される。各I−V変換器28a、28bの出力は差動増幅器30に接続され、差動増幅器30はプロセッサ32に接続される。
【0094】
次に、図1および図2の測定スケールの読取りが、図6に示されるフローチャートを参照して説明される。
【0095】
プロセッサ50の第1の段で、光源22からの光がスケールへ照射され、スケールから反射される。この場合、スケールは、複数の周期的ナノ構造から光が反射されるように位置付けられ、各周期的ナノ構造は、データを表す偏光フィーチャを有し、周期的ナノ構造のそれぞれ1つからの光は、検出器ペアの対応する1つの検出器によって受け取られるようにされる。
【0096】
次の段52で、反射された光は、2つの検出器アレイ24a、24bの検出器によって検出される。アレイの一方24aの検出器は、測定の軸に対して+45度で偏光された光を選択的に検出し、検出器アレイの他方24bの検出器は、−45度で偏光された光を選択的に検出する。
【0097】
段54で、各検出器からの結果の信号は、それぞれのI−V変換器28a、28bによって電圧に変換される。次いで、各検出器ペアに関する2つの変換された信号は、そのペアに対する差動増幅器30に入力され、差動増幅器30は、検出器信号の(DC成分を含む)共通モード成分が除去されている差信号を出力する。結果の信号は、プロセッサ32によって受け取られ、プロセッサ32は、信号を処理して、その検出器ペアが反射された信号を受け取った偏光フィーチャが測定の軸に対して+45度または−45度で配向されたラインを有したかどうか、したがって、それが2進コードで0または1を表したかどうかを決定する。
【0098】
検出器アレイ24a、24bは、16個の検出器ペアを含み、各々が、それぞれの周期的ナノ構造から反射された光を検出し、プロセッサ32は、読取りヘッド20の所与の位置について、スケールの最大16個の周期的ナノ構造に関して、配向および結果として関連付けられた2進コード値を決定することができる。
【0099】
図3から図5の実施形態では、測定スケールに対する読取りヘッド20の位置に関わらず、それが、少なくとも1つの完全なコードワードを構成するために読取りヘッドの所与の位置において十分な偏光フィーチャを常に読み取ることができるように、読取りヘッド20のサイズおよび検出器の個数が選ばれる。
【0100】
段56で、プロセッサは、偏光フィーチャから決定された2進値によって表されるコードワードを決定し、たとえば、決定されたコードワードを、ルックアップテーブルに記憶されたコードワードと比較すること、またはアルゴリズムをコードワードに適用することによって、アブソリュート位置を決定する。
【0101】
アブソリュートスケールが読取りヘッド20によって読み取られている間、位相スケール検出ユニット21a、21bが、特許文献において知られている技法を使用してインクリメンタルスケールマーキング8を読み取る。動作に際して、位相スケール検出ユニット22の光源によって照射された偏光されていない光は、インクリメンタルスケールの複数のピークおよび谷から反射し、位相スケール検出ユニット22は、スケールに対する読取りヘッド20の位置に応じて、反射された光の建設的および相殺的干渉パターンに基づいて、知られている技法を使用して検出することができる。インクリメンタルスケールは、読取りヘッドによって読み取られる周期的領域の平均精度、およびノイズによってのみ制限される多数回にわたって補間され得る。
【0102】
次いで、アブソリュート位置マーキング間を補間するために、位相スケール検出ユニット22を使用してプロセッサ32によって決定されたインクリメンタルスケール情報とアブソリュート位置が組み合わされ得る。
【0103】
次いで、読取りヘッド20が新しい位置に移動され、段50から56が繰り返される。
【0104】
アブソリュートスケールマーキング6およびインクリメンタルスケールマーキング8は、図1および図2の実施形態において単一の測定軸上に重ねられて提供されるので、両方のセットのスケールマーキングは、同じ読取りヘッド20を使用して測定されることができ、ヨー効果によるエラーが低減または除去されることができる。
【0105】
インクリメンタルスケールマーキング8の谷およびピーク上に重ねられた偏光フィーチャ12の存在は、偏光されていない光についても、インクリメンタルスケールマーキングの反射率のいくらかの変動を引き起こし得る。(ナノ構造の±45°のアライメントを有する)示された対称的設計は、状態間の反射率差を最小限にする。ナノ構造は、全体的反射率を低減させ、全体的反射率を許容レベルに維持しながら、ロバストな検出(適切なSNR)のために状態間の十分な差異を可能にする深さで生成されなければならない。
【0106】
代替的実施形態では、スケールデバイス情報を表す周期的ナノ構造の特性は、偏光を決定するとともにまたはその代わりに、代替的技法を使用して読み取られ得る。たとえば、測定スケールは、適切な波長の光を使用して直接撮像されてよく、および/または、少なくとも1つの周期的ナノ構造によって生成された回折効果が検出されて、周期的ナノ構造の特性がそれらの回折効果から決定されてもよい。
【0107】
前述のように、図1および図2の測定スケールの周期的ナノ構造はLIPSS構造である。そのようなLIPSS構造は、測定スケール上のスケールデバイス情報を表すために特に有用であり、それらは、表面へのレーザパルスの照射によってロバストかつ精密な様式で形成され得ることが分かっている。LIPSSは、比較的大きなエリア(単体の検出器または複数(断片もしくは非断片)の検出器のエリア、たとえば、照射に適する幅たとえば3mmを有するビット発生方向において10μmより大きい)上で、レーザパルス、任意選択で超高速レーザパルスによって形成されてよく、配置分解能は、単一のインクリメンタル周期を識別するために十分なインクリメンタルとアライメントすることのみ必要であり、典型的には、そのようなアライメント精度は、インクリメンタル周期の1/2以下である。
【0108】
図7は、スケールマーキングがLIPSSの領域からなる図1および図2の測定スケールのような測定スケールを形成するためのシステムを示す。
【0109】
システムは、スケール4が形成されるべき基板材料2が実装される梁(beam)60を備える。図1および図2の測定スケールの場合、基板材料は、304ステンレス鋼である。システムはまた、書込みヘッド70を備えるキャリッジ66と、キャリッジ66の書込みヘッドに光路64によってリンクされたレーザユニット62と、コントローラ68とを備える。レーザユニット62は、LIPSS構造の形成のための超高速レーザを含む。
【0110】
動作に際して、レーザユニット62からのレーザ放射は、光路64を経由して書込みヘッドに供給され、書込みヘッド70は、レーザ放射を基板2上の位置へ向ける。コントローラ68は、梁60に対するキャリッジの位置を制御し、レーザユニットの動作を制御し、それにより、選択された特徴のレーザ放射を、基板2上の任意の選択された位置に照射する。
【0111】
図1および図2の測定スケール4は、2つの異なるレーザプロセスを使用して図7のシステムによって形成される。まず、インクリメンタルスケールマーキングが形成され、次いで、LIPSS偏光フィーチャを書き込むことによって、アブソリュートスケールマーキングが形成される。
【0112】
第1のプロセスにおいて、特許文献7で説明されるように基板の表面を溶融することによって、インクリメンタルスケールが形成される。数十ナノ秒の期間のレーザパルスが、書込みヘッド70を介してレーザユニット62によって照射される。レーザパルスは、レーザをキャリッジ66にリンクする光路64によって書込みのポイントへ送達され、あるいは、レーザ62がキャリッジ66とともに移動する。キャリッジ66は、梁の長さに沿った移動をすることができ、溶融された領域が所望される精度で正確に配置されることを確実にするために(コントローラ68を介して)精密な位置フィードバックを装備される。インクリメンタルスケールの形成は、スケールの長さに沿ってキャリッジ66の1または複数の移動を行うことがある。たとえば、たとえば4μmまたは8μmの周期、およびたとえば190nmまたは200nmのピークから谷の平均距離を有する滑らかに起伏する表面プロファイルが、数十ナノ秒の期間のレーザパルスによる溶融によって304ステンレス鋼上で作られ得る。
【0113】
第2のプロセスにおいて、アブソリュートスケールマーキングを構成するLIPSS構造が、次いで、インクリメンタルスケールマーキング上に書き込まれる。
【0114】
LIPSS構造を作成するために、材料表面が、適切なパルス長およびフルーエンスの偏光レーザパルス(典型的には、表面のアブレーション閾値に近いフルーエンスの超高速パルス)にさらされる。表面構造のラインは、レーザ光の偏光に直交するようにみえ、したがって、書込みレーザビームの偏光の回転が、スケール表面上の2進ビットの形成を促進する。ラインの周期は、表面材料、およびレーザの波長の特徴を示す。
【0115】
図7の実施形態では、超高速パルスレーザユニット62が、キャリッジ66の1または複数の移動の間に使用されて、測定の軸に対して+45度で配向されたLIPSSの領域を形成し、したがって、すべての正の2進状態を書き込む。キャリッジ66の次の移動において、超高速レーザの偏光が、−90度だけ(測定の軸に対して−45度に)回転され、スケール上に負のデータ領域を書き込む。
【0116】
図7の実施形態におけるLIPSS構造を作成するために使用されるレーザは、アブレーション閾値近く、単一パルス書込みのためのアブレーション閾値のすぐ上、マルチパルス書込みのためのすぐ上またはすぐ下のエネルギーを有する、超高速レーザである。パルスの連続が表面に照射される。各パルスは、4mm幅および10μm長を作り出すように成形され、基板は、レーザ繰返し率、影響される表面の幅、および要求されるパルスの数によって決定される速度で、レーザに対して移動される。あるいは、典型的にはφ10μmのレーザビームが、周期的ナノ構造の幅を与えるためにスキャンされるラスターであり得る。
【0117】
LIPSS構造が1または複数のレーザパルスによって形成されると、同じ領域に照射される同じ偏光の後続のパルスが、既存のパターンにロックされ、元の構造の周期性および位相を維持し、それにより、LIPSSの拡張された領域が複数のパルスから組み立てられることを可能にする。LIPSS形成のそのフィーチャは、スケールフィーチャとして使用される適切なサイズおよび均一性の偏光フィーチャが、簡単で信頼性のある様式で形成されることを可能にする。
【0118】
パルス化レーザプロセスは、任意の適切な表面上でLIPSSを形成するために使用され得る。図1および図2の実施形態では、LIPSS構造は、特許文献7で説明されたプロセスを使用して形成されたインクリメンタルスケールの表面上で形成される。しかしながら、代替的実施形態では、LIPSSスケールマーキングは、スケール上の単なるスケールマーキングとして形成され、または多種多様なスケールマーキングのいずれかに対して上書きされ得る。LIPSS構造は、任意の適切な既存のスケール上に書き込まれ得る。
【0119】
代替的実施形態では、スケールデバイス情報は、周期的ナノ構造の偏光特性以外の周期的ナノ構造の特性を使用して表される。たとえば、そのまたは各周期的ナノ構造は、周期的ナノ構造の配向、深さ、および周期のうちの少なくとも1つを使用して、スケールデバイス情報を表すように形成され得る。
【0120】
任意の代替的実施形態による測定スケールが図8に示される。図8は、インクリメンタルスケールマーキング8が測定の軸10に沿って配置された偏光フィーチャ12である、インクリメンタルスケールマーキングの系列を含む測定スケールの簡略化された図である。+45度および−45度の配向のLIPSSの領域は、交互の順序で使用され、隣接領域間の距離はインクリメンタル周期となっている。
【0121】
偏光特性を使用してスケールデバイス情報を表す偏光フィーチャを含むスケールマーキングは、アブソリュートスケールマーキングに限定されず、代わりに代替的実施形態では、任意の所望されるタイプのスケールマーキングを表す。
【0122】
種々の実施形態では、少なくとも1つのナノ構造を含むスケールマーキングが、位置情報、またはスケールに関する非位置関係のデータを表すことができる。いくつかの実施形態では、スケールマーキングは、たとえば、スケールのシリアル番号、製造者もしくは他の識別子、または認証もしくはセキュリティデータを表す。
【0123】
特定の実施形態では、スケールデバイス情報は、境界の標識である。境界マークは、スケールの端部を示すために使用される。特定の実施形態での境界マークは、偏光フィーチャ、たとえば、LIPSS構造を含み、スケールの端部をマーキングする。いくつかの実施形態では、どの境界が読み取られているかを示すために、異なる偏光の境界パターンがスケールの各端部で使用される。代替的実施形態では、境界が、(測定軸に直角の)スケールを横切って書き込まれた異なる偏光によって実装され、測定軸の第1の側に対する1つの偏光、第2の側に対する別の偏光を有し、2つの偏光がスケールの反対端で逆にされる。
【0124】
図10は、(偏光フィーチャを含むことも含まないこともある)スケールマーキング8の系列を含むスケール、ならびに境界マーク44aおよび44bのペアの簡略化された図を示す。第1の境界マーク44aは、測定の軸10に対して+45度で配向されたLIPSSの領域であり、第2の境界マーク44bは、測定の軸に対して−45度で配向されたLIPSSの領域である。したがって、スケールの端部は、マークの異なる配向を決定するために、偏光された光の差動検出によって区別され得る。
【0125】
他の実施形態では、偏光特性によって表されるスケールデバイス情報は、基準位置の標識である。インクリメンタルスケールにおいて、基準マークは、そのような知られている位置を参照して、インクリメンタル位置の決定を可能にする知られている位置を示すために使用される。実施形態による基準マークは、スケール上に書き込まれた直交偏光の2つの領域の間の遷移を含む。この場合、差動読取り器の分割ペアが、基準マークの検出のために、通常の方法で和および差信号を生成するために使用される。他の実施形態では、偏光フィーチャを含む基準マークがより複雑であり、いくつかの場合、発散自己相関パターンもしくは相互相関パターンを含み、またはコードワードを含み、および/または、基準マークの線形の伸びに沿って回転する偏光特性を有する。基準マークが偏光フィーチャを含む実施形態では、基準マークは、スケールマーキングの系列から分離していることが可能であり、または、スケールマーキングの系列上に重ねられる、スケールマーキングの系列と重なり合う、もしくはスケールマーキングの系列と交互配置されることが可能である。
【0126】
図9は、(偏光フィーチャを含むことも含まないこともある)スケールマーキング8の系列の簡略化された図を示す。基準マーク42aは、スケールの片側または両側に描かれる。基準マークは基準位置を示す。それは、ヨーアライメントの範囲にわたる精密な基準位置付けのためにスケールの反対側の別の基準マーク42bとペアにされ得る。基準マークは、+45度または−45度のナノ構造フィーチャのアライメントの角度を有する周期的ナノ構造にエンコードされた領域を含むが、代替的実施形態では、任意の他の適切な偏光特性、たとえば、漸進的に回転する偏光アライメントが使用され得る。または、周期的ナノ構造化された表面を読み取る他の方法。
【0127】
他の実施形態では、少なくとも1つのナノ構造を含むスケールマーキングが、方向マーカを表し、方向マーカは、スケールフィーチャに対する方向、たとえば、スケールの一端に対する方向、または位置マークもしくは基準マークに対する方向を示す。
【0128】
他の実施形態では、少なくとも1つの周期的ナノ構造を含むマークは、エラー情報、たとえば、エラーマップまたはエラーコードをエンコードするために使用される。特定の実施形態そのような実施形態では、マークは、インクリメンタルまたはアブソリュートスケールマーキングの既存の系列の上または近くに重ねられる。スケールマーキングのインクリメンタルまたはアブソリュート系列は、形成中のエラーによるいくつかの位置エラーを含み得る。エラーは、知られている技法に従って真空中で行われる干渉計測定によって決定される。次いで、少なくとも1つの周期的ナノ構造を含むエラーマークは、スケールに沿った位置の系列で書き込まれ、それらの位置の各々に関するインクリメンタルまたはアブソリュートスケールにおけるエラーを表す。いくつかのそのような実施形態では、エラーは、周期的ナノ構造の偏光角度または配向の角度によって表され、その角度は、角度の連続系列の任意の1つを取ることが可能にされる。したがって、エラーは、アナログ信号として読み取られることができ、そのため、処理要件を低減することができる。
【0129】
図1および図2の実施形態では、インクリメンタルスケールは、知られているプロセスを使用して形成され、次いで、アブソリュートスケールマーキングがインクリメンタルスケールマーキング上に重ねられる。実施形態はそのような配置に限定されず、LIPSSまたは他の技法が、任意の所望される配置において偏光フィーチャを含むスケールマークを形成するために使用され得る。たとえば、代替的実施形態では、アブソリュートスケールマーキングがインクリメンタルスケールマーキングに重なり合うように、またはアブソリュートスケールマーキングとインクリメンタルスケールマーキングが交互配置されるもしくは空間的に分離されるように、アブソリュートスケールマーキングが配置される。これらの場合のいずれでも、アブソリュートスケールマーキングとインクリメンタルスケールマーキングは、それらが測定の共通の軸を共有するように形成され得る。
【0130】
前述のように、代替的実施形態では、偏光フィーチャを含むスケールマーキングは、アブソリュートスケールマーキングでなく、インクリメンタルスケールマーキングまたは基準マークである。いくつかの実施形態では、スケールはまた、任意の所望されるタイプのスケールマーキングの第2の系列、たとえば、アブソリュートスケールマーキング、インクリメンタルスケールマーキング、または基準マークを含む。そのような実施形態では、スケールマーキングの第2の系列は、光学的に読み取られることに限定されない。スケールマーキングの第2の系列は、任意の適切な方法、たとえば、スケールマーキングの第1の系列に対して独立して読取り可能な任意の方法で、スケールデバイス情報を表すことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、スケールマーキングの第2の系列は、光学パラメータ、磁気パラメータ、または容量パラメータを有するスケールデバイス情報を表す。
【0131】
スケールフィーチャの第2の系列に使用され得るスケールマーキングのタイプの例は、エッチングされたガラス、エッチングされた金属、レーザーアブレーションされた金属、鍛造された金属、背面ミラー付きガラス上のクロムめっきされた領域、ガラスロンキ上のクロム(chrome on glass Ronchi)、磁気領域、容量(誘電率領域)を含む。これらのスケールの各々は、周期的ナノ構造たとえばLIPSS構造の追加によって選択的に修正され得る表面を有する。
【0132】
一実施形態では、アブソリュートスケールマーキングを表すLIPSSまたは他の偏光フィーチャは、ガラスにエッチングされ金めっきされた矩形プロファイルスケール格子に追加される。既存のスケール設計、たとえば、レニショー(Renishaw)(登録商標)RG、スパー、リング、またはリボンスケールは、基準マークまたはアブソリュートデータを形成するために追加されるLIPSSまたは他の偏光フィーチャの領域を有することができる。
【0133】
図1から図2の実施形態では、各偏光フィーチャは、それが偏光の第2の方向で電磁放射を反射するよりも強く偏光の第1の方向で電磁放射を反射する。代替的実施形態では、偏光フィーチャ、たとえばLIPSSまたは他の周期的ナノ構造は、好ましい偏光方向で、照射された電磁放射を反射するのではなく透過する。いずれの場合も、偏光の優先方向が確立されることができ、この偏光の優先方向は、スケールデバイス情報を表すために使用される。特定の実施形態では、当該の電磁放射は、可視または近紫外線または近赤外線の範囲の光である。
【0134】
さらなる代替的実施形態では、スケールマーキングが、中間偏光および直交偏光でスケール上に書き込まれる。中間偏光を読み取る検出器が提供される。あるいは、プロセッサまたは関連付けられた回路が、検出器の差動ペアによって測定を補間し、それにより、ペアの検出器のいずれかの偏光と完全にはアライメントされていないスケールの領域によって反射または透過された光の偏光を測定する。このようにして、何らかのセンサとアライメントされているかどうかにかかわらず、スケールの領域の偏光を表すアナログ信号が生成され得る。そのような手段により、3つ以上の偏光が、スケール上でスケールデバイス情報をエンコードするために使用され得る。
【0135】
アブソリュートスケールマーキングの場合、先行の段落で説明されたような実施形態が、アブソリュート位置を2進コード化する代わりに、アブソリュート距離コードが3以上の基数で実装されることを可能にする。これは、コードのロバストネス、または利用可能な一意のコードの個数を増大させる利点があり、これは、所与の最大コード長について検査されるより長いスケール長またはより小さいスケールの部分をもたらし、ひいては、より小さい読取りヘッドを可能にすることができる。
【0136】
4つの異なる配向を有し、したがって基数4のデータのエンコードを可能にする、周期的ナノ構造を含むマーキングが、例として図11に概略的に示されている。0°、+45°、−45°、および90°のLIPSSの領域が、データをエンコードするために交代の順序で使用される。
【0137】
図1および図2の実施形態では、各偏光フィーチャは、すべての平行ラインが単一配向であるLIPSSの領域である。LIPSSのこの領域は、異なる配向のLIPSSの領域に連接して、それらの間の境界で不連続が発生したようにされてもよい。
【0138】
代替的実施形態では、偏光フィーチャは、ラインの配向が偏光フィーチャの横方向の伸びでの変位とともに変動するLIPSSの拡張された領域または他のナノ構造を含む。1つのそのような実施形態が、図12に概略的に示されている。このタイプの単一の偏光フィーチャは、たとえば基準マーカとして使用され得る。検出器は、偏光の優先方向を検出するように構成され得る。基準位置は、偏光の優先方向がLIPSSまたは他のナノ構造の拡張された領域の部分の配向と一致するポイントとして定義され得る。あるいは、検出器は、基準マークの長さに沿って偏光の変化に一致した偏光感度、偏光がエンコードされた領域全体が明確な相関出力を与えるようにアライメントするときの基準位置、偏光がエンコードされたデータのための自己相関器を有する。そのようなエンコードされた領域は、(修正されたバーカーコード(modified Barker code)のような)相関、またはフィーチャおよび一致された検出器に沿った距離とともに偏光の角度が連続的もしくは単調に増大する偏光の角度に特に適合されたエンコードされたワードであり得る。
【0139】
先行の段落で説明された実施形態の変形では、変化する偏光の偏光フィーチャの系列が連接して書き込まれて、拡張された領域を形成する。位置の系列が決定されることができ、各位置は、偏光の優先方向が平行なラインの配向と一致するときに決定され、したがって、等しく離間されたマークの配列を決定する。
【0140】
LIPSSが、周期的ナノ構造を含むスケールマーキングを作成するための有利な技法を提供することが分かっているが、代替的実施形態では、周期的ナノ構造を作成するための他の方法、たとえば、複製、電子ビームリソグラフィ、収束イオンビーム描画、エッチングたとえば(紫外線の)フォトエッチング、または半導体製造リソグラフィが使用され得る。たとえば、ナノ構造は、ロバストな基板に結合された薄い非ロバストなコーティングで複製され得る。
【0141】
測定スケールのいくつかの実施形態では、偏光フィーチャが連接する。他では、それらは分離しているまたは重なり合う。
【0142】
スケールマーキングの第1の系列の部分を形成する各偏光フィーチャの横方向の伸びが、特定の実施形態では、スケールマーキングの第2の系列のパラメータに応じて選択される。たとえば、スケールマーキングの第2の系列が振幅スケールである実施形態では、LIPSS構造の領域が、スケールマーキングの第2の系列が存在するエリア全体にわたって書き込まれ得る。それは、重ねられたLIPSS構造または他のナノ構造の存在または不在によって引き起こされる偏光されていない光に関するスケールの反射率の変動を低減させるために役立つことができる。
【0143】
スケールマーキングの第2の系列がインクリメンタルスケールである場合、偏光フィーチャの横方向の伸びは、特定の実施形態では、スケールマーキングの第2の系列のインクリメンタル周期に応じて選択される。たとえば、各偏光フィーチャの横方向の伸びは、いくつかの実施形態では、インクリメンタル周期の非整数倍、たとえば、インクリメンタル周期のサイズの1.5倍に選択される。または、さらには3.7倍のような基本倍数(prime multiple)が選択される。
【0144】
測定軸に沿った方向の各偏光フィーチャの横方向の伸びは、任意の適切な値、たとえば、1μmと100μmの間で選ばれ得る。複数のレーザパルスが、LIPSSの拡張されたエリアを構築するために使用され得る。
【0145】
LIPSSまたは他の偏光フィーチャを含むスケールマーキングは、多くの表面上に書き込まれることができ、表面は、第1の実施形態に関係して説明されたようなステンレス鋼に限定されない。銀およびステンレス鋼はいずれも、多くの他の材料と同様にLIPSSを形成するように示されている。LIPSSの最初の報告は、表面損傷が1または複数のルビーレーザパルスによって引き起こされた後、種々の半導体上に周期的構造を観察した。その報告以来、Si、Ge、InP、GaP、GaAs他の化合物半導体を含む半導体の多くの研究が存在する。LIPSSは溶融石英上に作られており、したがって、アブソリュートデータが、ガラスにエッチングされ金めっきされた高効率の矩形プロファイルスケール格子に追加され得る。しかしながら、LIPSSはまた、金属、誘電体、または半導体であるかにかかわらず、多種多様な他の材料から形成され得る。実際、LIPSSは、たとえば、材料のアブレーション閾値近くのレーザパルスからの強い電磁場のような強い電磁場への露出中に見られる条件の下で、表面プラズモンを形成することができる任意の材料上で形成され得る。
【0146】
通常の作製プロセス中の追加ステップとして、LIPSS領域が、スケールマーキングの系列を含む測定スケールに追加され得る。あるいは、LIPSSは、スケールマーキングの第2の系列が形成された後にいつでも追加され得る。LIPSS領域は、任意の適切な既存スケールに付加され得る。
【0147】
LIPSSは、連続波からピコ秒レーザの範囲のレーザを使用して作成されている。第1の実施形態が、アブレーション閾値のすぐ上のレーザ強度を使用して説明された。しかしながら、これは、他の形態を軽視するものではない。任意のレーザおよび適切な表面上にLIPSSを形成できる動作条件の関連付けられたセットが使用され得る。
【0148】
測定スケールは、単一の測定軸に沿った測定のための線形スケールに限定されない。代替的実施形態の測定スケールは、たとえば、回転スケールを含む。特定の実施形態におけるスケールは、2つの実質的に直交する測定の軸を有する2次元スケールであり、偏光フィーチャを含むスケールマーキングが、一方または両方の測定の軸に沿って配置される。
【0149】
任意の適切な方法が測定スケールを読み取るために使用され得る。たとえば、2つの偏光光源からの光が、交互の様式で偏光フィーチャに照射され得る。あるいは、単一の光源からの光が、2つの光の偏光を提供するために偏光ビームスプリッタを通過させられ得る。偏光されていない検出器が、第1の偏光の光によって照明され、次いで第2の偏光の光によって照明されたとき、反射された光を検出するために使用される。検出された信号は、前述のように差動様式で比較され得る。
【0150】
光の直交偏光に対して異なる感度を有する検出器が、任意の適切な方法によって、たとえば、ブルースター効果、ワイヤグリッド、または直接表面構造化を使用して偏光フィルタを適合させることによって作成され得る。2つの同一の読取りチップが、偏光ビームスプリッタの2つの面に取り付けられることができ、2つの読取りチップからの出力が比較されることができる。
【0151】
偏光フィルタは、偏光配向をブロックする際に光の良好な減衰をもたらすことができる一般的な廉価な部品であるが、プラスチックバージョンは感湿性を有する可能性があり、ガラスバージョンは切断するのが難しい可能性がある。検出器または検出器の前の光学要素を配向して、ブルースター効果を利用して1つの偏光配向の通路を支持することが可能である。これらの方法のすべては、エンコーダにおける光路への1または複数の要素の追加を必要とし、これが、サイズおよび複雑さの増大を引き起こす可能性がある。
【0152】
精巧な金属グリッドが、検出器表面に適用されたフォトレジストに書き込むために電子ビームを使用して検出器上に直接形成され得る。これらの格子は、周期で光の波長の何分の1かであり、したがって、電子ビームが、この空間分解能での書込みのために必要である。次いで、金属層の堆積および過剰レジストの除去が、偏光された光の特定の配向の透過を支持する精巧なグリッドまたは格子を形成することができる。この方法は、検出器製造で使用される半導体作製方法によく適合する。
【0153】
LIPSSそれら自体は、格子の表面上で使用されてよく、ワイヤグリッドのように無視できる厚さである。グリッドおよびLIPSSは、好まれない偏光配向の大きな減衰をもたらさず、したがって、高度な信号弁別のために差動検出が推奨される。
【0154】
特定の実施形態では、周期的構造が、検出器の表面上に直接形成されることができ、それにより、入射光の直交偏光の差動吸収を実現する。
【0155】
本発明は単に例として上記に説明されており、本発明の範囲内で細部の修正が行われ得ることは理解されよう。
【0156】
本明細書で開示された各特徴ならびに(適切な場合)特許請求の範囲および図面は、独立してまたは任意の適切な組み合わせで提供され得る。
図1
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