特許第6557209号(P6557209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許65572093D構造物、構造部品、ならびに構造的な電子、電磁、および電気機械部品/装置において層間導体および構成要素を接続するための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557209
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】3D構造物、構造部品、ならびに構造的な電子、電磁、および電気機械部品/装置において層間導体および構成要素を接続するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/10 20060101AFI20190729BHJP
   B29C 67/00 20170101ALI20190729BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20190729BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20190729BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20190729BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20190729BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   H05K3/10 A
   B29C67/00
   B33Y10/00
   B33Y30/00
   H05K3/10 E
   H05K3/00 A
   H05K9/00 F
   H01Q1/38
【請求項の数】38
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2016-502733(P2016-502733)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公表番号】特表2016-519846(P2016-519846A)
(43)【公表日】2016年7月7日
(86)【国際出願番号】US2014028206
(87)【国際公開番号】WO2014152911
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年2月23日
(31)【優先権主張番号】13/829,921
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム
(73)【特許権者】
【識別番号】515256578
【氏名又は名称】エスパリン デイビッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】エスパリン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ウィッカー ライアン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】メディナ フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド エリック
(72)【発明者】
【氏名】ミューズ ダニー ダブリュー.
【審査官】 ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−079944(JP,A)
【文献】 特開平02−082596(JP,A)
【文献】 特開2000−068614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/10
B29C 67/00
B33Y 10/00
B33Y 30/00
H01Q 1/38
H05K 3/00
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置において第1の構成要素または導体を第2の構成要素または導体へと接続する方法であって、以下の工程を含む方法:
前記第1の構成要素または導体が第1の層の上または内部に配置された基材材料の少なくとも第1の層を設ける工程;
第1の端部および第2の端部を有する細長い空洞を含む前記基材材料の第2の層を、前記第1の端部が前記第1の構成要素または導体の第1の露出部分の上方に配置されるように、前記第1の層上に堆積させる工程;
フィラメントの第1の端部を、前記細長い空洞の前記第1の端部を介して、前記第1の構成要素または導体の前記第1の露出部分へと取り付ける工程;
前記フィラメントの第2の端部を、前記フィラメントが前記細長い空洞内に配置されるように、前記細長い空洞の前記第2の端部内に配置する工程;
前記基材材料の第3の層を、前記細長い空洞の第1の端部の付近の前記細長い空洞の第1の部分が前記第3の層によって覆われ、かつ前記細長い空洞の第2の部分は露出されるように、前記第2の層上に堆積させる工程;
前記第2の構成要素または導体を、前記細長い空洞の前記第2の部分の付近の前記第3の層の上または内部に堆積させる工程;
前記基材材料の第4の層を、前記第2の構成要素または導体の第2の部分が露出され、かつ前記細長い空洞の前記第2の部分が露出されるように、前記第3の層上に堆積させる工程;および
前記フィラメントの前記第2の端部を前記細長い空洞の前記第2の部分から取り出し、かつ前記フィラメントの前記第2の端部を前記第2の構成要素または導体の前記露出部分へと取り付ける工程。
【請求項2】
前記細長い空洞の前記第2の端部は、前記細長い空洞の前記第1の端部よりも大きい、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記細長い空洞は、鍵穴形状の空洞またはらせん状の空洞または逃げを備える、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記フィラメントが前記細長い空洞内に配置された後に、前記細長い空洞の前記第1の端部を前記基材材料で覆う工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記細長い空洞は、前記基材材料の前記第2の層が前記第1の層上に堆積させられるときに形成される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記細長い空洞は、前記基材材料の一部分を取り除くことによって生成される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記基材材料の一部分は、マイクロ加工機、CNCマイクロ加工機、マイクロ放電加工機、電気化学加工機、直描(direct write)陽子マイクロ加工機、レーザアブレーション機、放射源、超音波切断機、ホットワイヤ切断機、ウォータージェット機、エッチング機、深堀り反応性イオンエッチング機、プラズマエッチング機、結晶配向依存エッチング機、湿式バルクマイクロ加工機、UVリソグラフィまたはX線リソグラフィ(LIGA)機、ホットエンボスリソグラフィ機、精密機械式のこぎり盤、化学補助イオンミリング機、サンドブラスト機、または切断機を使用して取り除かれる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
レーザマイクロ溶接プロセスを使用して、前記フィラメントの前記第1の端部は、前記第1の構成要素または導体へと取り付けられ、かつ前記フィラメントの前記第2の端部は、前記第2の構成要素または導体へと取り付けられる、請求項1記載の方法。
【請求項9】
ワイヤボンディング機、抵抗溶接機、超音波溶接機、またははんだ付け機を使用して、前記フィラメントの前記第1の端部は、前記第1の構成要素または導体へと取り付けられ、かつ前記フィラメントの前記第2の端部は、前記第2の構成要素または導体へと取り付けられる、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記基材材料を層ごとのプロセスにて前記第2の層上に堆積させることによって、三次元の基材の1つまたは複数の追加の層を生成する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記フィラメントが埋め込まれる前記第1の層の少なくとも一部分が、平坦でない、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記フィラメントは、導電性材料、非導電性材料、光ファイバ、またはメッシュを含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記導電性材料は、金属、金属合金、導電性ポリマー、またはワイヤを含み、
前記非導電性材料は、1つまたは複数の炭素繊維または1つまたは複数のケブラー繊維を含み、
前記メッシュは、導電性メッシュまたは非導電性メッシュを含み、
前記導電性メッシュは、金属、金属合金、導電性ポリマー、またはワイヤで作られたフィラメントの組を含み、
前記非導電性メッシュは、炭素繊維またはケブラー繊維の組を含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記メッシュは、ステンレス鋼メッシュ、アルミニウムメッシュ、銅メッシュ、真ちゅうメッシュ、鋼メッシュ、銅クロムメッシュ、または銅ニッケル合金メッシュを含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記メッシュは、幾何学的形状を含む、請求項12記載の方法。
【請求項16】
前記メッシュは、ヒートシンク、アンテナ、導電面、機械的な補強、または電磁シールドを構成する、請求項12記載の方法。
【請求項17】
前記メッシュは、前記第1の層へと埋め込まれてポリマー-メッシュ複合材料を形成する、請求項12記載の方法。
【請求項18】
前記メッシュは、多段階のプロセスを使用して一度に一部分ずつ前記第1の層へと埋め込まれる、請求項12記載の方法。
【請求項19】
前記メッシュは、単一のプロセス段階にて前記第1の層へと埋め込まれる、請求項12記載の方法。
【請求項20】
前記第1の層は、空洞を含み、かつ前記メッシュの一部分は、前記空洞内に配置される、請求項12記載の方法。
【請求項21】
前記メッシュは、前記第1の層、あるいは前記三次元の構造物、構造部品、または構造的な電子、電磁、もしくは電気機械部品/装置の物理的特性、熱的特性、または電気的特性を改善する、請求項12記載の方法。
【請求項22】
前記第1の層は、空洞を含み、かつ前記フィラメントの一部分は、前記空洞内に配置される、請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記フィラメントは、前記第1の層の物理的特性、熱的特性、または電気的特性を改善する、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記基材材料は、熱可塑性材料、あるいは機械、熱、絶縁、磁気、または電磁特性を向上させるために別のポリマー材料、セラミック材料、金属材料、鉱物材料、ガラスセラミック材料、半導体材料、ナノ材料、バイオ材料、有機材料、無機材料、またはこれらの任意の組み合わせが充てんされた熱可塑性材料を含む、請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記熱可塑性材料は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ABSi、ABSplus、ABS-M30、ABS-M30i、ABS-ESD7、ポリカーボネート(PC)、PC-ABS、PC-ISO、ポリフェニルスルホン(PPSF/PPSU)、ULTEM 9085、またはこれらの任意の組み合わせ、ならびに熱溶融積層法または他の押し出しにもとづく熱可塑性プラスチックの付加製造(additive manufacturing)プロセスにおいて商業的に使用される任意の現在または将来の材料を含み、前記材料は、ポリアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアリルエーテルケトン、またはこれらの任意の組み合わせ、ならびにレーザ焼結付加製造プロセスにおいて使用される任意の現在または将来の材料であってもよい、請求項24記載の方法。
【請求項26】
別のポリマー材料は、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリプロピレン、ポリオレフィン、LL-PE、HDPE、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ナイロン、ポリイミド、ポリケトン、ポリエーテルエチルケトン(PEEK)、ポリブタジエン、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー(LCP)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ZEONEX RS420、Eccostock HIK-TPO、先のものの共重合体およびブロック共重合体、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
1つまたは複数の層は、熱溶融積層(FDM)プロセスまたは他の押し出しにもとづく付加製造プロセス、選択的レーザ焼結(SLS)プロセスまたは他の粉末床溶融付加製造プロセス、薄膜積層(LOM)プロセスまたは熱可塑性シートを利用する他のシート積層付加製造プロセス、ステレオリソグラフィプロセスまたは光硬化性の熱可塑性プラスチックを利用する他の液槽光重合付加製造プロセス、光硬化性の熱可塑性プラスチックを利用する材料噴射プロセス(すなわち、Objet)、あるいは他の付加的な熱可塑性プラスチックにもとづく3D印刷プロセスを使用して堆積させられる、請求項1記載の方法。
【請求項28】
前記第1の構成要素または導体ならびに前記第2の構成要素または導体は、電子部品、静電部品、空気圧部品、電気音響部品、マイクロ電気機械システム(MEMS)、生物医学部品、電気化学部品、電気機械部品、電磁部品、機械部品、メタマテリアル部品、光学部品、フォトニック部品、熱部品、熱管理部品、メッシュ、埋め込み導体、ワイヤ、導電パッド、導電端子、導電トレース、他の層へのビア、またはコネクタを含む、請求項1記載の方法。
【請求項29】
前記電子部品は、集積回路、抵抗器、コンデンサ、インダクタ、トランジスタ、サーミスタ、サイリスタ、センサ、プロセッサ、メモリ、インターフェイス装置、表示装置、電源、エネルギ変換装置、またはアンテナを含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記電子部品は、手作業でまたは構成要素配置機器を使用して配置され、該構成要素配置機器は、ピックアンドプレース(pick and place)機器、ロボットプロセス、または他の自動化された構成要素配置技術を含む、請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記第1の構成要素または導体あるいは前記第2の構成要素または導体は、埋め込み導体を含む、請求項1記載の方法。
【請求項32】
前記埋め込み導体は、
ワイヤ送りおよび切断システムと、
以下を含む群から選択される、前記フィラメントまたはフィラメントメッシュを埋め込むための少なくとも1つのエネルギ源と
を使用して配置される、請求項31記載の方法:
前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分と前記基材材料との間に摩擦熱を生じさせるための超音波ホーンまたはソノトロード、
前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分の内部に渦電流、したがってジュール熱を誘導するための誘導加熱コイル、
熱を発生させ、前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分へと伝導によって伝達するための1つまたは複数の抵抗加熱素子、
前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分に電流を通すことによって前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの内部にジュール熱を生じさせるための電極、
強制対流加熱によって前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分へと熱を伝える空気加熱および循環装置またはシステム、ならびに
前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分へと放射によって熱を伝えるための放射赤外熱源。
【請求項33】
(a)第1の構成要素または導体が第1の層の上または内部に配置された基材材料の少なくとも第1の層を設ける工程、(b)第1の端部および第2の端部を有する細長い空洞を含む前記基材材料の第2の層を、前記第1の端部が前記第1の構成要素または導体の第1の露出部分の上方に配置されるように、前記第1の層上に堆積させる工程、(c)フィラメントの第1の端部を前記細長い空洞の前記第1の端部を介して前記第1の構成要素または導体の前記第1の露出部分へと取り付ける工程、(d)前記フィラメントの第2の端部を、前記フィラメントが前記細長い空洞内に配置されるように、前記細長い空洞の前記第2の端部内に配置する工程、(e)前記基材材料の第3の層を、前記細長い空洞の前記第1の端部の付近の前記細長い空洞の第1の部分が前記第3の層によって覆われ、かつ前記細長い空洞の第2の部分は露出されるように、前記第2の層上に堆積させる工程、(f)第2の構成要素または導体を、前記細長い空洞の前記第2の部分の付近の前記第3の層の上または内部に堆積させる工程、(g)前記基材材料の第4の層を、前記第2の構成要素または導体の第2の部分が露出され、かつ前記細長い空洞の前記第2の部分が露出されるように、前記第3の層上に堆積させる工程、および(h)前記フィラメントの前記第2の端部を前記細長い空洞の前記第2の部分から取り出し、かつ前記フィラメントの前記第2の端部を前記第2の構成要素または導体の前記露出部分へと取り付ける工程を含む方法によって製作された、三次元の構造物、構造部品、あるいは構造的な電子、電磁、または電気機械部品/装置。
【請求項34】
三次元の構造物、構造部品、あるいは構造的な電子、電磁、または電気機械部品/装置を製作するためのシステムであって、
三次元印刷装置と、
第1の機器と、
第2の機器と
を備えており、かつ
(a)前記三次元印刷装置は、基材材料の第1の層を生成し、(b)前記第1の機器は、前記第1の層の上または内部に第1の構成要素または導体を配置し、(b)前記三次元印刷装置は、第1の端部および第2の端部を有する細長い空洞を含む前記基材材料の第2の層を、前記第1の端部が前記第1の構成要素または導体の第1の露出部分の上方に配置させるように、前記第1の層上に堆積させ、(c)前記第1の機器は、フィラメントの第1の端部を、前記細長い空洞の前記第1の端部を介して、前記第1の構成要素または導体の前記第1の露出部分へと取り付け、(d)前記第2の機器は、前記フィラメントの第2の端部を、前記フィラメントが前記細長い空洞内に配置させるように、前記細長い空洞の前記第2の端部内に配置し、(e)前記三次元印刷装置は、前記基材材料の第3の層を、前記細長い空洞の前記第1の端部の付近の前記細長い空洞の第1の部分が前記第3の層によって覆われ、かつ前記細長い空洞の第2の部分が露出されるように、前記第2の層上に堆積させ、(f)前記第2の機器は、第2の構成要素または導体を、前記細長い空洞の前記第2の端部の付近の前記第3の層の上または内部に配置し、(g)前記三次元印刷装置は、前記基材材料の第4の層を、前記第2の構成要素または導体の第2の部分が露出され、かつ前記細長い空洞の前記第2の部分が露出されるように、前記第3の層上に堆積させ、(h)前記第2の機器は、前記フィラメントの前記第2の端部を前記細長い空洞の前記第2の部分から取り出し、かつ前記フィラメントの前記第2の端部を前記第2の構成要素または導体の前記露出部分の付近に配置し、かつ(i)前記第1の機器は、前記フィラメントの前記第2の端部を前記第2の構成要素または導体の前記露出部分へと取り付ける、システム。
【請求項35】
前記三次元印刷装置は、熱溶融積層(FDM)機器または他の押し出しにもとづく付加製造機器、選択的レーザ焼結(SLS)機器または他の粉末床溶融付加製造プロセス、薄膜積層(LOM)機器または熱可塑性シートを利用する他のシート積層付加製造プロセス、ステレオリソグラフィ機器または光硬化性の熱可塑性プラスチックを利用する他の液槽光重合付加製造プロセス、光硬化性の熱可塑性プラスチックを利用する材料噴射プロセス、または他の付加的な熱可塑性プラスチックにもとづく3D印刷機器を含み、かつ
前記第1の機器は、レーザマイクロ溶接機、抵抗溶接機、超音波溶接機、ワイヤボンディング機、またははんだ付け機を含
請求項34記載のシステム。
【請求項36】
前記第1の構成要素または導体あるいは前記第2の構成要素または導体は、埋め込み導体を含む、請求項34記載のシステム。
【請求項37】
前記埋め込み導体は、
ワイヤ送りおよび切断システムと、
以下を含む群から選択される、前記フィラメントまたはフィラメントメッシュを埋め込むための少なくとも1つのエネルギ源と
を使用して配置される、請求項36記載のシステム:
前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分と前記基材材料との間に摩擦熱を生じさせるための超音波ホーンまたはソノトロード、
前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分の内部に渦電流、したがってジュール熱を誘導するための誘導加熱コイル、
熱を発生させ、前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分へと伝導によって伝達するための1つまたは複数の抵抗加熱素子、
前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分に電流を通すことによって前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの内部にジュール熱を生じさせるための電極、
強制対流加熱によって前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分へと熱を伝える空気加熱および循環装置またはシステム、ならびに
前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分へと放射によって熱を伝えるための放射赤外熱源。
【請求項38】
三次元の基材を各々の機器へと運ぶスライダ、コンベア、またはロボット装置をさらに備える、請求項34記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、広くには、3D構造物ならびに3D構造の電子、電磁、および電気機械部品および装置の製造に関し、より詳しくは、三次元の構造物、構造部品、ならびに三次元構造の電子、電磁、および電気機械部品/装置において層間導体および構成要素を接続するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の範囲を限定するものではないが、本発明の背景が、3D物体、構造物、ならびに3D構造の電子、電磁、および電気機械部品および装置を製造するための方法に関して説明される。
【0003】
3D電子機器への付加製造(additive manufacturing)の適用は、依然として揺籃期にある。大規模な採用は、現状の低温硬化の導電インクにもとづく技術の低い信頼性、低い性能、および高いコストによって制約されている[16]。結果として、伝統的なプリント基板(PCB)技術が、電子産業を依然として支配している。3D電子技術の進歩は、主として全世界における少数の研究者に限られ、その大多数が導電性インクの技術を追い求めている。これに対する例外が、レーザダイレクトストラクチャリング(LDS:laser direct structuring)として知られる選択的なレーザエッチング処理と、その後の無電解めっきとが施された射出成形部品を含む成形回路装置(MID:Molded Interconnect Device)である。これらの装置は、或る程度の3Dの自由を呈し、自動車およびパーソナル通信の市場において広く使用されているが、めっき処理からもたらされる導電トレースが、エッチングレーザをアクセスさせることができる成形部品の外面に限定され、したがって本発明の埋め込み型の多層構造の可能性を提供できないため、本発明と比較して応用が限られる。さらに、これらの無電解めっき処理は、製造される導体に限られた断面積しか持たせることができず、したがって大電流の能力が制限される。
【0004】
付加製造(AM)プロセスを使用して(ASTM 2792-12aに記載および定義されたプロセスで)3D構造の電子機器を生成するためのこれまでの努力は、構成要素間の電気的な相互接続をもたらすために直接印刷(DP)(直描(DW)としても知られる)または他のプロセスにて送出される導電インクの使用を中心としている。それぞれ2010年2月および2012年8月の日付の米国特許第7,658,603号および第8,252,223号が、3D回路を生成するための流体送出技術のステレオリソグラフィおよび他のAMプロセスとの統合を詳しく記載している。これらの低温硬化インクは、導電性および耐久性の両方において弱点を有している[17]ため、AMによって製作される3D構造の電子機器の応用は、機械的な衝撃、振動、大きな電流または電力密度、極端な温度、または高い信頼性を必要とする用途に曝されることがない単純な装置に限られている。
【0005】
2003年9月に発行された米国特許第6,626,364号が、運動制御システムに取り付けられた超音波ホーンを用い、ホーンを通ってワーク表面へとアンテナ線を供給するための機構を使用して、薄い熱可塑性スマートカードへとアンテナ線を素早く埋め込む方法を記載している。アンテナ線は、平坦、平滑、かつ中実なプラスチックシートに超音波によって埋め込まれる。
【0006】
しかしながら、埋め込みの電子機器、センサ、およびアクチュエータを有する幾何学的に複雑かつ入り組んだ3D構造物の製造時に、熱可塑性装置にフィラメント(例えば、ワイヤ、メッシュ、など)を埋め込むための方法およびシステムが必要とされている。さらに、周知の材料押し出しAMプロセスである熱溶解積層法(FDM:fused deposition modeling)を使用して製造されたアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)製の試験部品の最終引張強度が同じ材料の射出成形部品(26MPaというUTS)の約10〜73%であったとAhnら[18]によって述べられているように、AMによって製造される3D部品の機械的性能を改善する必要も存在する。AMによって製造された部品と射出成形による部品との間の機械的特性のこの乖離は、パスした引張特性を衝撃、曲げ、圧縮、クリープ、および披露特性を含むように広げ、これらが相俟ってAMによって製造される部品の応用をプロトタイプに限定している。
【発明の概要】
【0007】
発明の開示
本発明は、幾何学的に複雑かつ入り組んでいる可能性がある3D構造物、構造部品、あるいは埋め込みの電子機器、センサ、およびアクチュエータを有する構造物の製造時に、熱可塑性の基材にフィラメント(例えば、ワイヤ、メッシュ、など)を埋め込むための方法およびシステムを提供する。さらに、フィラメントを、熱可塑性装置の複数の層に埋め込むことができる。本発明は、伝統的なプリント基板(PCB)技術と同等の導電率および耐久性を有する電気相互接続を提供する。
【0008】
本発明を使用して層または層をまたぐ領域にフィラメントまたはメッシュを埋め込むことで、AMによって製造される部品の機械的強度を向上させる複合構造が生み出される。そのままのFDMによって生み出されたABS部品と比べたとき、1つの簡素な鋼ワイヤメッシュが埋め込まれているFDMによって生み出されたABS部品について37%の改善が、本発明の一態様を使用して観察されている。さらなる改善が、機械的に丈夫な材料(すなわち、ステンレス鋼、銅クロム合金)から作られたメッシュおよび同じポリマー部品における複数のメッシュの使用によって期待される。さらに、熱可塑性プラスチック内に熱伝導性のフィラメントを埋め込むことで、熱を生じ、放熱を必要とする装置について、受動的な熱管理が可能になる。
【0009】
本発明は、付加製造によって作られる熱可塑性プラスチックにもとづく3D電子機器システムにおいて電気的な相互接続を生成する信頼性の高い方法を可能にし、付加製造の技術にはるかに大きい市場での将来性を可能にする。本発明は、短期的には、商業的に存続できるマスカスタマイズ(mass-customized)な3D印刷による電子機器(例えば、スマート義肢、ウェアラブルな電子機器、特定任務UAVまたは衛星、など)をもたらし、電子機器の製造および流通に革命をもたらす。
【0010】
より具体的には、本発明は、第1の構成要素または導体が第1の層の上または内部に配置された基材材料の少なくとも第1の層を設けること、および前記基材材料の第2の層を前記第1の層上に堆積させることによって、三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置において第1の構成要素または導体を第2の構成要素または導体へと接続する方法を提供する。前記第2の層は、第1の端部および第2の端部を有する細長い空洞を含み、前記第1の端部は、前記第1の構成要素または導体の第1の露出部分の上方に配置される。フィラメントまたはワイヤの第1の端部が、前記細長い空洞の前記第1の端部を介して前記第1の構成要素または導体の前記第1の露出部分へと取り付けられる。取り付け方法は、レーザマイクロ溶接プロセス、抵抗溶接プロセス、超音波溶接プロセス、はんだ付けプロセス、ワイヤボンディングプロセス、または当業者にとって周知の任意の取り付けプロセスの取り付け方法であってよい。前記フィラメントの第2の端部が、前記フィラメントが前記細長い空洞内に配置されるように、前記細長い空洞の前記第2の端部内に配置される。前記基材材料の第3の層が、前記細長い空洞の前記第1の端部の付近の前記細長い空洞の第1の部分が前記第3の層によって覆われ、かつ前記細長い空洞の第2の部分は露出されるように、前記第2の層上に堆積させられる。前記第2の構成要素または導体が、前記細長い空洞の前記第2の部分の付近の前記第3の層の上または内部に配置される。前記基材材料の第4の層が、前記第2の構成要素または導体の第2の部分が露出され、かつ前記細長い空洞の前記第2の部分が露出されるように、前記第3の層上に堆積させられる。前記フィラメントの前記第2の端部が、前記細長い空洞の前記第2の部分から取り出され、前記フィラメントの前記第2の端部が、前記第2の構成要素または導体の前記露出部分へと取り付けられる。取り付け方法は、レーザマイクロ溶接プロセス、抵抗溶接プロセス、超音波溶接プロセス、はんだ付けプロセス、ワイヤボンディングプロセス、または当業者にとって周知の任意の取り付けプロセスの取り付け方法であってよい。この方法を、三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置を製作するために使用することができる。さらに、この方法を、1つまたは複数のコードセグメントを使用して前記段階を実行する非一時的コンピュータ可読媒体上に具現化されたコンピュータプログラムとして実現することができる。
【0011】
本発明の他の態様は、めっきビアを含むより伝統的な層間接続方法を利用すると考えられる。これらのめっきビアを、レーザダイレクトストラクチャリング(LDS)において用いられるような電気めっきまたは無電解めっきプロセスのいずれかによって作成することができる。本明細書において説明されるプロセスは、三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置内の複数の設計層の間の導体および(または)構成要素の接続に特有であるが、本発明が、同じ設計層内の複数の構成要素の相互接続ももたらすことを、理解すべきである。
【0012】
さらに、本発明は、三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置を製作するためのシステムであって、三次元印刷装置と、第1の機器と、第2の機器とを含むシステムを提供する。前記三次元印刷装置は、基材材料の第1の層を生成する。前記第1の機器は、前記第1の層の上または内部に第1の構成要素または導体を配置する。三次元印刷機器は、第1の端部および第2の端部を有する細長い空洞を含む前記基材材料の第2の層を、前記第1の端部が前記第1の構成要素または導体の第1の露出部分の上方に配置されるように、前記第1の層上に堆積させる。前記第1の機器は、フィラメントの第1の端部を、前記細長い空洞の前記第1の端部を介して、前記第1の構成要素または導体の前記第1の露出部分へと取り付ける。取り付け方法は、レーザ溶接プロセス、抵抗溶接プロセス、超音波溶接プロセス、はんだ付けプロセス、ワイヤボンディングプロセス、または当業者にとって周知の任意の取り付けプロセスの取り付け方法であってよい。前記第2の機器は、前記フィラメントの第2の端部を、前記フィラメントが前記細長い空洞内に配置されるように、前記細長い空洞の前記第2の端部内に配置する。前記三次元印刷装置は、前記基材材料の第3の層を、前記細長い空洞の前記第1の端部の付近の前記細長い空洞の第1の部分が前記第3の層によって覆われ、かつ前記細長い空洞の第2の部分は露出されるように、前記第2の層上に堆積させる。前記第2の機器は、第2の構成要素または導体を、前記細長い空洞の前記第2の部分の付近の前記第3の層の上または内部に配置する。前記三次元印刷装置は、前記基材材料の第4の層を、前記第2の構成要素または導体の第2の部分が露出され、かつ前記細長い空洞の前記第2の部分が露出されるように、前記第3の層上に堆積させる。前記第2の機器は、前記フィラメントの前記第2の端部を前記細長い空洞の前記第2の部分から取り出し、前記フィラメントの前記第2の端部を前記第2の構成要素または導体の前記露出部分の付近に配置する。前記第1の機器は、前記フィラメントの前記第2の端部を前記第2の構成要素または導体の前記露出部分へと取り付ける。取り付け方法は、レーザマイクロ溶接プロセス、抵抗溶接プロセス、超音波溶接プロセス、はんだ付けプロセス、ワイヤボンディングプロセス、または当業者にとって周知の任意の取り付けプロセスの取り付け方法であってよい。
【0013】
本発明の他の態様は、めっきビアを含むより伝統的な層間接続方法を利用すると考えられる。これらのめっきビアを、レーザダイレクトストラクチャリング(LDS)において用いられるような電気めっきまたは無電解めっきプロセスのいずれかによって作成することができる。本明細書において説明されるプロセスは、三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置内の複数の設計層の間の導体および(または)構成要素の接続に特有であるが、本発明が、同じ設計層内の複数の構成要素の相互接続ももたらすことを、理解すべきである。
[本発明1001]
三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置において第1の構成要素または導体を第2の構成要素または導体へと接続する方法であって、以下の工程を含む方法:
前記第1の構成要素または導体が第1の層の上または内部に配置された基材材料の少なくとも第1の層を設ける工程;
第1の端部および第2の端部を有する細長い空洞を含む前記基材材料の第2の層を、前記第1の端部が前記第1の構成要素または導体の第1の露出部分の上方に配置されるように、前記第1の層上に堆積させる工程;
フィラメントの第1の端部を、前記細長い空洞の前記第1の端部を介して、前記第1の構成要素または導体の前記第1の露出部分へと取り付ける工程;
前記フィラメントの第2の端部を、前記フィラメントが前記細長い空洞内に配置されるように、前記細長い空洞の前記第2の端部内に配置する工程;
前記基材材料の第3の層を、前記細長い空洞の第1の端部の付近の前記細長い空洞の第1の部分が前記第3の層によって覆われ、かつ前記細長い空洞の第2の部分は露出されるように、前記第2の層上に堆積させる工程;
前記第2の構成要素または導体を、前記細長い空洞の前記第2の部分の付近の前記第3の層の上または内部に堆積させる工程;
前記基材材料の第4の層を、前記第2の構成要素または導体の第2の部分が露出され、かつ前記細長い空洞の前記第2の部分が露出されるように、前記第3の層上に堆積させる工程;および
前記フィラメントの前記第2の端部を前記細長い空洞の前記第2の部分から取り出し、かつ前記フィラメントの前記第2の端部を前記第2の構成要素または導体の前記露出部分へと取り付ける工程。
[本発明1002]
前記細長い空洞の前記第2の端部は、前記細長い空洞の前記第1の端部よりも大きい、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記細長い空洞は、鍵穴形状の空洞またはらせん状の空洞または逃げを備える、本発明1001の方法。
[本発明1004]
前記フィラメントが前記細長い空洞内に配置された後に、前記細長い空洞の前記第1の端部を前記基材材料で覆う工程をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1005]
前記細長い空洞は、前記基材材料の前記第2の層が前記第1の層上に堆積させられるときに形成される、本発明1001の方法。
[本発明1006]
前記細長い空洞は、前記基材材料の一部分を取り除くことによって生成される、本発明1001の方法。
[本発明1007]
前記基材材料の一部分は、マイクロ加工機、CNCマイクロ加工機、マイクロ放電加工機、電気化学加工機、直描(direct write)陽子マイクロ加工機、レーザアブレーション機、放射源、超音波切断機、ホットワイヤ切断機、ウォータージェット機、エッチング機、深堀り反応性イオンエッチング機、プラズマエッチング機、結晶配向依存エッチング機、湿式バルクマイクロ加工機、UVリソグラフィまたはX線リソグラフィ(LIGA)機、ホットエンボスリソグラフィ機、精密機械式のこぎり盤、化学補助イオンミリング機、サンドブラスト機、または切断機を使用して取り除かれる、本発明1006の方法。
[本発明1008]
レーザマイクロ溶接プロセスを使用して、前記フィラメントの前記第1の端部は、前記第1の構成要素または導体へと取り付けられ、かつ前記フィラメントの前記第2の端部は、前記第2の構成要素または導体へと取り付けられる、本発明1001の方法。
[本発明1009]
ワイヤボンディング機、抵抗溶接機、超音波溶接機、またははんだ付け機を使用して、前記フィラメントの前記第1の端部は、前記第1の構成要素または導体へと取り付けられ、かつ前記フィラメントの前記第2の端部は、前記第2の構成要素または導体へと取り付けられる、本発明1001の方法。
[本発明1010]
前記基材材料を層ごとのプロセスにて前記第2の層上に堆積させることによって、三次元の基材の1つまたは複数の追加の層を生成する工程をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1011]
前記フィラメントが埋め込まれる前記第1の層の少なくとも一部分が、平坦でない、本発明1001の方法。
[本発明1012]
前記フィラメントは、導電性材料、非導電性材料、光ファイバ、またはメッシュを含む、本発明1001の方法。
[本発明1013]
前記導電性材料は、金属、金属合金、導電性ポリマー、またはワイヤを含み、
前記非導電性材料は、1つまたは複数の炭素繊維または1つまたは複数のケブラー繊維を含み、
前記メッシュは、導電性メッシュまたは非導電性メッシュを含み、
前記導電性メッシュは、金属、金属合金、導電性ポリマー、またはワイヤで作られたフィラメントの組を含み、
前記非導電性メッシュは、炭素繊維またはケブラー繊維の組を含む、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記メッシュは、ステンレス鋼メッシュ、アルミニウムメッシュ、銅メッシュ、真ちゅうメッシュ、鋼メッシュ、銅クロムメッシュ、または銅ニッケル合金メッシュを含む、本発明1012の方法。
[本発明1015]
前記メッシュは、幾何学的形状を含む、本発明1012の方法。
[本発明1016]
前記メッシュは、ヒートシンク、アンテナ、導電面、機械的な補強、または電磁シールドを構成する、本発明1012の方法。
[本発明1017]
前記メッシュは、前記第1の層へと埋め込まれてポリマー-メッシュ複合材料を形成する、本発明1012の方法。
[本発明1018]
前記メッシュは、多段階のプロセスを使用して一度に一部分ずつ前記第1の層へと埋め込まれる、本発明1012の方法。
[本発明1019]
前記メッシュは、単一のプロセス段階にて前記第1の層へと埋め込まれる、本発明1012の方法。
[本発明1020]
前記第1の層は、空洞を含み、かつ前記メッシュの一部分は、前記空洞内に配置される、本発明1012の方法。
[本発明1021]
前記メッシュは、前記第1の層、あるいは前記三次元の構造物、構造部品、または構造的な電子、電磁、もしくは電気機械部品/装置の物理的特性、熱的特性、または電気的特性を改善する、本発明1012の方法。
[本発明1022]
前記第1の層は、空洞を含み、かつ前記フィラメントの一部分は、前記空洞内に配置される、本発明1001の方法。
[本発明1023]
前記フィラメントは、前記第1の層の物理的特性、熱的特性、または電気的特性を改善する、本発明1001の方法。
[本発明1024]
前記基材材料は、熱可塑性材料、あるいは機械、熱、絶縁、磁気、または電磁特性を向上させるために別のポリマー材料、セラミック材料、金属材料、鉱物材料、ガラスセラミック材料、半導体材料、ナノ材料、バイオ材料、有機材料、無機材料、またはこれらの任意の組み合わせが充てんされた熱可塑性材料を含む、本発明1001の方法。
[本発明1025]
前記熱可塑性材料は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ABSi、ABSplus、ABS-M30、ABS-M30i、ABS-ESD7、ポリカーボネート(PC)、PC-ABS、PC-ISO、ポリフェニルスルホン(PPSF/PPSU)、ULTEM 9085、またはこれらの任意の組み合わせ、ならびに熱溶融積層法または他の押し出しにもとづく熱可塑性プラスチックの付加製造(additive manufacturing)プロセスにおいて商業的に使用される任意の現在または将来の材料を含み、前記材料は、ポリアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアリルエーテルケトン、またはこれらの任意の組み合わせ、ならびにレーザ焼結付加製造プロセスにおいて使用される任意の現在または将来の材料であってもよい、本発明1024の方法。
[本発明1026]
別のポリマー材料は、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリプロピレン、ポリオレフィン、LL-PE、HDPE、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ナイロン、ポリイミド、ポリケトン、ポリエーテルエチルケトン(PEEK)、ポリブタジエン、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー(LCP)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ZEONEX RS420、Eccostock HIK-TPO、先のものの共重合体およびブロック共重合体、あるいはこれらの任意の組み合わせを含む、本発明1025の方法。
[本発明1027]
1つまたは複数の層は、熱溶融積層(FDM)プロセスまたは他の押し出しにもとづく付加製造プロセス、選択的レーザ焼結(SLS)プロセスまたは他の粉末床溶融付加製造プロセス、薄膜積層(LOM)プロセスまたは熱可塑性シートを利用する他のシート積層付加製造プロセス、ステレオリソグラフィプロセスまたは光硬化性の熱可塑性プラスチックを利用する他の液槽光重合付加製造プロセス、光硬化性の熱可塑性プラスチックを利用する材料噴射プロセス(すなわち、Objet)、あるいは他の付加的な熱可塑性プラスチックにもとづく3D印刷プロセスを使用して堆積させられる、本発明1001の方法。
[本発明1028]
前記第1の構成要素または導体ならびに前記第2の構成要素または導体は、電子部品、静電部品、空気圧部品、電気音響部品、マイクロ電気機械システム(MEMS)、生物医学部品、電気化学部品、電気機械部品、電磁部品、機械部品、メタマテリアル部品、光学部品、フォトニック部品、熱部品、熱管理部品、メッシュ、埋め込み導体、ワイヤ、導電パッド、導電端子、導電トレース、他の層へのビア、またはコネクタを含む、本発明1001の方法。
[本発明1029]
前記電子部品は、集積回路、抵抗器、コンデンサ、インダクタ、トランジスタ、サーミスタ、サイリスタ、センサ、プロセッサ、メモリ、インターフェイス装置、表示装置、電源、エネルギ変換装置、またはアンテナを含む、本発明1028の方法。
[本発明1030]
前記電子部品は、手作業でまたは構成要素配置機器を使用して配置され、該構成要素配置機器は、ピックアンドプレース(pick and place)機器、ロボットプロセス、または他の自動化された構成要素配置技術を含む、本発明1028の方法。
[本発明1031]
前記第1の構成要素または導体あるいは前記第2の構成要素または導体は、埋め込み導体を含む、本発明1001の方法。
[本発明1032]
前記埋め込み導体は、
ワイヤ送りおよび切断システムと、
以下を含む群から選択される、前記フィラメントまたはフィラメントメッシュを埋め込むための少なくとも1つのエネルギ源と
を使用して配置される、本発明1031の方法:
前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分と前記基材との間に摩擦熱を生じさせるための超音波ホーンまたはソノトロード、
前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分の内部に渦電流、したがってジュール熱を誘導するための誘導加熱コイル、
熱を発生させ、前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分へと伝導によって伝達するための1つまたは複数の抵抗加熱素子、
前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分に電流を通すことによって前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの内部にジュール熱を生じさせるための電極、
強制対流加熱によって前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分へと熱を伝える空気加熱および循環装置またはシステム、ならびに
前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分へと放射によって熱を伝えるための放射赤外熱源。
[本発明1033]
(a)第1の構成要素または導体が第1の層の上または内部に配置された基材材料の少なくとも第1の層を設ける工程、(b)第1の端部および第2の端部を有する細長い空洞を含む前記基材材料の第2の層を、前記第1の端部が前記第1の構成要素または導体の第1の露出部分の上方に配置されるように、前記第1の層上に堆積させる工程、(c)フィラメントの第1の端部を前記細長い空洞の前記第1の端部を介して前記第1の構成要素または導体の前記第1の露出部分へと取り付ける工程、(d)前記フィラメントの第2の端部を、前記フィラメントが前記細長い空洞内に配置されるように、前記細長い空洞の前記第2の端部内に配置する工程、(e)前記基材材料の第3の層を、前記細長い空洞の前記第1の端部の付近の前記細長い空洞の第1の部分が前記第3の層によって覆われ、かつ前記細長い空洞の第2の部分は露出されるように、前記第2の層上に堆積させる工程、(f)第2の構成要素または導体を、前記細長い空洞の前記第2の部分の付近の前記第3の層の上または内部に堆積させる工程、(g)前記基材材料の第4の層を、前記第2の構成要素または導体の第2の部分が露出され、かつ前記細長い空洞の前記第2の部分が露出されるように、前記第3の層上に堆積させる工程、および(h)前記フィラメントの前記第2の端部を前記細長い空洞の前記第2の部分から取り出し、かつ前記フィラメントの前記第2の端部を前記第2の構成要素または導体の前記露出部分へと取り付ける工程を含む方法によって製作された、三次元の構造物、構造部品、あるいは構造的な電子、電磁、または電気機械部品/装置。
[本発明1034]
三次元の構造物、構造部品、あるいは構造的な電子、電磁、または電気機械部品/装置を製作するためのシステムであって、
三次元印刷装置と、
第1の機器と、
第2の機器と
を備えており、かつ
(a)前記三次元印刷装置は、基材材料の第1の層を生成し、(b)前記第1の機器は、前記第1の層の上または内部に第1の構成要素または導体を配置し、(b)三次元印刷機器は、第1の端部および第2の端部を有する細長い空洞を含む前記基材材料の第2の層を、前記第1の端部が前記第1の構成要素または導体の第1の露出部分の上方に配置させるように、前記第1の層上に堆積させ、(c)前記第1の機器は、フィラメントの第1の端部を、前記細長い空洞の前記第1の端部を介して、前記第1の構成要素または導体の前記第1の露出部分へと取り付け、(d)前記第2の機器は、前記フィラメントの第2の端部を、前記フィラメントが前記細長い空洞内に配置させるように、前記細長い空洞の前記第2の端部内に配置し、(e)前記三次元印刷装置は、前記基材材料の第3の層を、前記細長い空洞の前記第1の端部の付近の前記細長い空洞の第1の部分が前記第3の層によって覆われ、かつ前記細長い空洞の第2の部分が露出されるように、前記第2の層上に堆積させ、(f)前記第2の機器は、第2の構成要素または導体を、前記細長い空洞の前記第2の端部の付近の前記第3の層の上または内部に配置し、(g)前記三次元印刷装置は、前記基材材料の第4の層を、前記第2の構成要素または導体の第2の部分が露出され、かつ前記細長い空洞の前記第2の部分が露出されるように、前記第3の層上に堆積させ、(h)前記第2の機器は、前記フィラメントの前記第2の端部を前記細長い空洞の前記第2の部分から取り出し、かつ前記フィラメントの前記第2の端部を前記第2の構成要素または導体の前記露出部分の付近に配置し、かつ(i)前記第1の機器は、前記フィラメントの前記第2の端部を前記第2の構成要素または導体の前記露出部分へと取り付ける、システム。
[本発明1035]
前記三次元印刷装置は、熱溶融積層(FDM)機器または他の押し出しにもとづく付加製造機器、選択的レーザ焼結(SLS)機器または他の粉末床溶融付加製造プロセス、薄膜積層(LOM)機器または熱可塑性シートを利用する他のシート積層付加製造プロセス、ステレオリソグラフィ機器または光硬化性の熱可塑性プラスチックを利用する他の液槽光重合付加製造プロセス、光硬化性の熱可塑性プラスチックを利用する材料噴射プロセス、または他の付加的な熱可塑性プラスチックにもとづく3D印刷機器を含み、
前記第2の機器は、レーザマイクロ溶接機、抵抗溶接機、超音波溶接機、ワイヤボンディング機、またははんだ付け機を含み、かつ
前記第3の機器は、構成要素配置機器を含む、本発明1034のシステム。
[本発明1036]
前記第1の構成要素または導体あるいは前記第2の構成要素または導体は、埋め込み導体を含む、本発明1034のシステム。
[本発明1037]
前記埋め込み導体は、
ワイヤ送りおよび切断システムと、
以下を含む群から選択される、前記フィラメントまたはフィラメントメッシュを埋め込むための少なくとも1つのエネルギ源と
を使用して配置される、本発明1036のシステム:
前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分と前記基材との間に摩擦熱を生じさせるための超音波ホーンまたはソノトロード、
前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分の内部に渦電流、したがってジュール熱を誘導するための誘導加熱コイル、
熱を発生させ、前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分へと伝導によって伝達するための1つまたは複数の抵抗加熱素子、
前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分に電流を通すことによって前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの内部にジュール熱を生じさせるための電極、
強制対流加熱によって前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分へと熱を伝える空気加熱および循環装置またはシステム、ならびに
前記フィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分へと放射によって熱を伝えるための放射赤外熱源。
[本発明1038]
三次元の基材を各々の機器へと運ぶスライダ、コンベア、またはロボット装置をさらに備える、本発明1034のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0014】
次に、本発明の特徴および利点のより完全な理解のために、本発明の詳細な説明を添付の図面と併せて参照する。
【0015】
図1】三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置にフィラメントを埋め込むための本発明の一態様による方法のフロー図である。
図2】本発明の一態様に従って基材にフィラメントを埋め込むために使用される種々の超音波ホーンを示す画像である。
図3】本発明の別の態様による回転超音波ホーンを示す画像である。
図4】本発明に従って基材に埋め込まれたフィラメントの断面を示す画像である。
図5】本発明の一態様に従って湾曲した表面を有する基材にフィラメントを埋め込む中空超音波ホーンを示す画像である。
図6】本発明の別の態様に従って基材内にメッシュを埋め込む回転超音波ホーンを示す画像である。
図7】本発明の別の態様に従って基材内に埋め込まれたメッシュを示す画像であり、メッシュの一部分が空洞内に配置され、レーザ溶接プロセス、抵抗溶接プロセス、超音波溶接プロセス、はんだ付けプロセス、ワイヤボンディングプロセス、または当業者にとって周知の任意の取り付けプロセスによって、先行のプロセス段階において配置された別のフィラメントまたはワイヤへと取り付けられている。
図8】本発明の別の態様による基材内へのメッシュの埋め込みの経過を示す画像である。
図9】本発明の別の態様による基材内への特定のパターンを有するメッシュの埋め込みの経過を示す画像である。
図10】フィラメントを三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置に埋め込むための本発明の一態様による方法のフロー図である。
図11】本発明の一態様に従って電子部品へとレーザマイクロ溶接された導電ワイヤの画像である。
図12】本発明の一態様に従って超音波ホーン(小さな作業面領域(〜130mm2)に集中した左側のホーン、およびより大きな表面領域(〜1450mm2)に集中した右側のホーン)を使用してFDMによって製作されたABS部品(ASTM D638規格のタイプI試験片)へと埋め込まれる簡素な鋼メッシュの画像である。
図13】FDMによって作られたABS部品(ASTM D638規格のタイプI試験片)における簡素な鋼メッシュの本発明の一態様による埋め込みの画像である。
図14】本発明の一態様に従ってポリマー-メッシュ複合材料を生成するためにFDM技術を使用して埋め込まれた簡素な鋼メッシュの上方に堆積させられるABS材料の画像である。
図15】本発明の一態様に従ってFDMによって作られたABS部品(ASTM D638規格のタイプI試験片)に埋め込まれた簡素な鋼メッシュの画像である。
図16】本発明の一態様に従ってFDMによって作られたABS部品(ASTM D638規格のタイプI試験片)(等角投影図および側面図)へと簡素な鋼メッシュを埋め込むことによって形成されたポリマー-メッシュ複合構造の画像である。
図17】本発明の一態様による超音波ワイヤ埋め込みプロセスの画像である。
図18】本発明の一態様に従ってシート積層付加製造プロセスを使用して作られたPVC部品(左側が全体図、右側が上面図)へと埋め込まれた簡素な鋼メッシュの画像である。
図19】本発明の別の態様によるレーザマイクロ溶接プロセス、抵抗溶接プロセス、超音波溶接プロセス、はんだ付けプロセス、ワイヤボンディングプロセス、または当業者にとって周知の任意の取り付けプロセスによる構成要素へのフィラメントの取り付けの経過を示す画像である。
図20】本発明の別の態様による3D装置の種々の層を示す画像である。
図21】本発明の一態様に従って三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置において第1の構成要素または導体を第2の構成要素または導体へと接続するための方法のフロー図である。
図22】本発明の別の態様による層間接続の生成の経過を示す画像である。
図23】本発明の別の態様による(複数の電源または接地接続によるような)ワイヤメッシュ平面を用いた層間接続の生成の別の経過を示す画像である。
図24】本発明の別の態様による層間接続の生成の別の経過を示す画像である。
図25】本発明の別の態様による層間接続の生成の別の経過を示す画像である。
図26】本発明の別の態様による層間接続の生成の別の経過を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の説明
本発明の種々の態様の製作および使用が以下で詳しく説明されるが、本発明が、幅広く様々な具体的背景において具現化できる多数の応用可能な発明概念を提供することを、理解すべきである。本明細書において説明される具体的な態様は、あくまでも本発明を製作および使用する具体的なやり方の例示にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語が下記に定義される。本明細書において定義される用語は、本発明に関する分野の当業者が一般的に理解するとおりの意味を有する。「a」、「an」、および「the」などの用語は、単数の存在物のみを指そうとするものではなく、具体例を説明のために用いることができる一般的な種類を含む。本明細書において専門用語は、本発明の具体的な態様を説明するために使用されるが、それらの使用は、請求項に記載されるとおりの限定を除き、本発明を限定するものではない。
【0018】
本発明は、3D構造部品、装置、またはシステムを形成し、あるいは3D構造の電子、電磁、または電気機械部品、装置、またはシステムを形成するために、フィラメントまたはフィラメントメッシュにおいて熱を生成し、フィラメントまたはフィラメントメッシュを付加的に製造される熱可塑性基材へと埋め込むことを可能にするための充分な圧力を生成するエネルギ源の適用を含む。さらに、本発明は、フィラメントまたはフィラメントメッシュを他のフィラメント、メッシュ、熱管理部品、機械部品、電子部品、または電気機械部品へと(あるいは、これらの間に)接続するための取り付け方法を含む。
【0019】
フィラメントまたはフィラメントメッシュの埋め込みに使用されるエネルギ源は、1)圧力のもとでフィラメントまたはフィラメントメッシュへと直接加えられ、フィラメントまたはメッシュと基材材料との間の摩擦熱をもたらす典型的な超音波溶接または超音波縫合設備において見られるような超音波の周波数範囲の音響エネルギ、2)誘導加熱または誘導溶融設備において見られるような激しい時間変化の磁界によって導電性のフィラメントまたはフィラメントメッシュに引き起こされるジュール加熱、3)抵抗はんだ付け設備において見られるような直接接触(伝導)による加熱、4)充分な電流が導電性のフィラメントを通過するときに生じうるようなジュール加熱、5)高温空気リフローはんだ付けシステムにおいて見られるような強制対流による加熱、6)赤外リフローはんだ付けシステムにおいて見られるような赤外放射加熱、7)当業者にとって周知の任意の他の直接的または間接的な加熱の方法、または8)これらの任意の組み合わせ、であってよい。メッシュの埋め込みに必要なエネルギの量を最小限にするために、基材ポリマーの層を、スライシング(slicing)ソフトウェアによってポリマー材料の空間的な堆積を変更することによって多孔性にすることができる。例えば、材料押し出しAM機器のためのビルドファイル(build file)を作成するソフトウェアを使用して、材料ビーズの間の距離を増やし、基材層の多孔性を高めることができる。多孔性の向上は、メッシュの埋め込みに必要なエネルギの量を少なくする役にたつだけでなく、表面よりも突出しかねないポリマー材料の量も少なくする。しかしながら、たとえ基材材料が中実であり、埋め込まれたフィラメントの体積に等しい量だけ基材材料が変位させられても、大部分のAM技術は、この変位に後続の層の堆積において対処することが可能であることに、注目すべきである。
【0020】
本発明の一態様においては、あつらえのツーリングおよび運動制御ハードウェア、ならびにレーザマイクロ溶接、抵抗溶接、超音波溶接、はんだ付け、ワイヤボンディング、または当業者にとって周知の任意の取り付けプロセスが、付加的に製造された熱可塑性基材における中実な導電ワイヤの堆積および取り付けに使用される。本発明は、工学的設計の用途ならびに3D構造の電子、電磁、および電気機械部品およびシステムに直接使用することができるより丈夫な部品を生み出すために、熱溶解積層法(FDM)または他の材料押し出し付加製造プロセス、選択的レーザ焼結(SLS:Selective Laser Sintering)または他の粉末床溶融付加製造プロセス、薄膜積層法(LOM:laminated object manufacturing)または熱可塑性シートを利用する他のシート積層付加製造プロセス、ステレオリソグラフィまたは光硬化性の熱可塑性プラスチックを使用する他の液槽光重合付加製造プロセス、光硬化性の熱可塑性プラスチックの材料噴射、またはこれから開発される他の付加的な熱可塑性プラスチックにもとづく技術など、付加製造プロセスを利用する。予備的な実験において、導電性の配線を熱可塑性の基材材料へと迅速に埋め込んで電気的な相互接続を形成するための超音波(音響)エネルギならびに熱エネルギの有効な使用が示されている。また、FDMによって製造されたABS部品の最終引張強度は、簡素な鋼線を本発明の一態様を使用して埋め込んだ場合に37%向上した。最後に、本明細書において記載される上記プロセスの各段階のうちの1つまたは複数を、自動的または手作業で実行して、本質的に同じ結果を達成することが可能である。
【0021】
構造内に導入されたワイヤまたはメッシュは、いずれも層ごとの付加製造(AM)の文脈において、1)電気的な相互接続、2)アンテナ、3)電源または接地面、4)電磁シールド、5)ヒートシンク、または6)製造される装置を機械的に補強するための補強材、として機能することができる。本発明の一態様は、フィラメントまたはフィラメントメッシュを埋め込み、所望であれば他のフィラメント、メッシュ、または構成要素へと取り付けることを可能にするためのAM形成プロセスの中断を含み、その後にAMプロセスを続けることができる。しかしながら、本発明が、付加的に製造される熱可塑性基材の内部へのフィラメントおよびメッシュの埋め込みに限られず、付加的に製造される熱可塑性基材の外面への埋め込みまで広がることに、注意すべきである。埋め込まれた配線またはメッシュの上方に後続の層を形成できるよう、表面およびワイヤの両方が、寸法適合的(dimensionally compliant)な状態(すなわち、同一平面)に保たれなければならず、すなわちワイヤが充分に埋め込まれなければならず、流動可能な状態(すなわち、粘弾性的挙動のゴム、ゴム状流動、または液体流動領域、など)にある基材材料の一部が、後続の層ごとの形成プロセスを妨げるほどには表面から突出しないように制御されなければならない。あるいは、プロセスが突起を検出して突起の上方に堆積させる層を変更することによって突起に対処できる場合には、必ずしもワイヤをあらゆる突起(ワイヤおよび/または基材材料)を防止するように充分に埋め込む必要はない。これらに限られるわけではないが熱溶解積層法(FDM)または他の材料押し出し付加製造プロセスならびに選択的レーザ焼結(SLS)または他の粉末床溶融付加製造プロセスなどの一部のAMプロセスからもたらされる凹凸のある(textured)表面が、流動可能な状態(すなわち、粘弾性的挙動のゴム、ゴム状流動、または液体流動領域、など)にある基材材料の一部がワイヤ埋め込みプロセスの間に変位させられ、ワーク表面から突き出すよりもむしろ(X-Y平面内を)側方に流れることができる点で、この適合性を維持するために有益である。さらに、AMの3D製造の自由度は、変位させられる材料の体積を減らす(平坦化の維持に役立つ)とともに、超音波溶接の表面積を増やして結合をさらに改善するために、積層AMプロセスによって合理的に近似できる範囲の円形、正方形または三角形、あるいは他の形状を有する断面を持つ幾何学的な余裕(すなわち、溝、チャネル、空洞、など)を可能にする。単一の設計層の幾何学的な余裕を形成するために、複数のプロセス層を堆積させなければならないかもしれないことに、注意すべきである。最後に、適切な運動制御によって、本発明は、構造体、構造部品、または3D構造の電子技術の用途において必要とされうるような非一様かつ湾曲した表面にワイヤまたはメッシュを埋め込むことを可能にする。
【0022】
ここで図1を参照すると、三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置にフィラメントを埋め込むための本発明の一態様による方法100のフロー図が示されている。基材材料の第1の層が、ブロック102においてもたらされる。1つまたは複数の層を、熱溶解積層法(FDM)または他の材料押し出し付加製造プロセス、選択的レーザ焼結(SLS)または他の粉末床溶融付加製造プロセス、薄膜積層法(LOM)または熱可塑性シートを利用する他のシート積層付加製造プロセス、ステレオリソグラフィまたは光硬化性の熱可塑性プラスチックを使用する他の液槽光重合付加製造プロセス、光硬化性の熱可塑性プラスチックの材料噴射、またはこれから開発される他の付加的な熱可塑性プラスチックにもとづく技術を使用して、堆積させることができる。第1の層が、必ずしも三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置を製作するために使用される基材材料の一番下の層、初期の層、またはまさに最初の層でなくてもよいことに、注意すべきである。さらに、単一の設計層は、複数のプロセス層を含むことができる(すなわち、所与の厚さの第1の設計層または後続の設計層を形成するために、基材材料の薄い層を堆積させる複数の工程が必要であってもよい)。
【0023】
本発明の好ましい態様においては、ブロック104において、フィラメントの一部分が第1の層の上面と実質的に同一平面になり、流動可能な状態(すなわち、粘弾性的挙動のゴム、ゴム状流動、または液体流動領域、など)にある基材材料の一部がフィラメントの一部分によって変位させられ、第1の層の上面よりも上方へと突出することが実質的にないように、フィラメントの少なくとも一部分が基材材料の第1の層内に超音波によって埋め込まれる。実質的に同一平面であることは、プロセスが突起を検出して突起の上方に堆積させる層を変更する(例えば、多孔性、厚さ、などを調節する)ことによって突起に対処できる場合には、フィラメントをあらゆる突起(ワイヤおよび/または基材材料)を防止するように充分に埋め込まなければならないことを意味しないことに、注意すべきである。そのような変更を、その場(in situ)での監視、試験、および/または品質管理プロセスによってソフトウェアにて行うことができる。フィラメントの一部分を、ワイヤ送りおよび切断システム、ならびに超音波(音響)、誘導加熱、抵抗加熱、ジュール加熱、強制対流加熱、放射赤外線加熱、または当業者にとって周知の他の加熱方法を含むいくつかの考えられるエネルギ源のうちの1つを使用して、第1の層内に埋め込むことができる。フィラメントは、導電性材料(例えば、金属、金属合金、導電性ポリマー、ワイヤ、など)、非導電性材料(例えば、1つまたは複数の炭素繊維、1つまたは複数のケブラー(Kevlar)繊維、など)、光ファイバ、導電性メッシュ(例えば、金属、金属合金、導電性ポリマー、ワイヤ、などで作られたフィラメントの組)、または非導電性メッシュ(例えば、炭素繊維、ケブラー繊維、などの組)であってよい。例えば、メッシュは、ステンレス鋼メッシュ、アルミニウムメッシュ、銅メッシュ、真ちゅうメッシュ、鋼メッシュ、銅クロムメッシュ、または銅-ニッケル合金メッシュであってよい。基材ポリマーの熱的損傷または焦げを軽減または防止するために、基材ポリマーと比べたときにより高い溶融温度またはガラス転移温度を呈する別のポリマーシートを、超音波ホーンとメッシュとの間に配置することができる。さらに、メッシュを、或る幾何学的形状へとあらかじめ切断することができる。結果として、メッシュを、多段階のプロセス(図6Aおよび6Bを参照)または単一のプロセス段階(図9A〜9Cを参照)を使用して、ヒートシンク、アンテナ、導電面、電磁シールド、または機械的な補強を形成するポリマー-メッシュ複合材料を形成するように埋め込むことができる。埋め込まれたメッシュなどのフィラメントを、第1の層もしくは三次元の構造物、構造部品、あるいは構造的な電子、電磁、または電気機械部品/装置の物理的特性、機械的特性、熱的特性、または電気的特性を改善するために使用することができる。
【0024】
この方法を、三次元の構造、電子、電磁、または電気機械部品/装置を製作するために使用することができる。さらに、この方法を、各段階が1つまたは複数のコードセグメントを使用して実行される非一時的コンピュータ可読媒体上に具現化されたコンピュータプログラムとして実現することができる。
【0025】
基材材料は、熱可塑性材料、あるいは機器、熱、絶縁、磁気、または電磁特性を向上させるために別のポリマー材料、セラミック材料、金属材料、鉱物材料、ガラスセラミック材料、半導体材料、ナノ材料、バイオ材料、有機材料、無機材料、またはこれらの任意の組み合わせが充てんされた熱可塑性材料であってよい。熱可塑性材料は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ABSi、ABSplus、ABS-M30、ABS-M30i、ABS-ESD7、ポリカーボネート(PC)、PC-ABS、PC-ISO、ポリフェニルスルホン(PPSF/PPSU)、ULTEM 9085、またはこれらの任意の組み合わせ、ならびに熱溶解積層法または他の材料押し出し付加製造プロセスにおいて商業的に使用される任意の現在または将来の材料であってよい。さらに、材料は、ポリアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアリルエーテルケトン、またはこれらの任意の組み合わせ、ならびにレーザ焼結または粉末床溶融付加製造プロセスにおいて使用される任意の現在または将来の材料であってもよい。他のポリマー材料は、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリオレフィン、LL-PE、HDPE、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイミド、ポリケトン、ポリエーテルエチルケトン(PEEK)、ポリブタジエン、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー(LCP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ZEONEX RS420、Eccostock HIK-TPO、以上の共重合体およびブロック共重合体、あるいはこれらの任意の組み合わせであってよい。
【0026】
流動可能な状態(すなわち、粘弾性的挙動のゴム、ゴム状流動、または液体流動領域、など)にある基材材料の一部を、小さな体積の材料が変位させられるときに材料を表面から突出させることなく流すことができるようにするボイドまたはすき間が、AMプロセスに固有である。さらに、フィラメントの一部分が埋め込まれる第1の層の上面の一部分が、不規則な形状の表面または湾曲した表面を備える。三次元の基材の1つまたは複数の追加の層を、基材材料を層ごとのプロセスにて第2の層の上に堆積させることによって生み出すことができる。
【0027】
本発明の好ましい態様において、ワイヤ、ワイヤメッシュ、または他のフィラメントを熱可塑性基材へと超音波によって埋め込むプロセスは、プラスチック包装および熱可塑性プラスチックを含む織物の接合の業界において幅広く使用されている超音波溶接技術の適用を含む。また、超音波溶接技術は、導電性の配線を含む金属材料の溶接にも使用されている。超音波溶接は、エネルギをホーン(ソノトロード(sonotrode)としても知られる)へと直接伝達し、あるいは最初に超音波振動の振幅を用途の要件に応じて増大(増幅)または減少(減衰)させるブースタを介して伝達する変換器(トランスデューサとも称される)を使用することによって、超音波の周波数範囲(典型的には、20kHz〜75kHz)の電気エネルギを振動エネルギへと変換することを含む。最終的に、振動エネルギは、溶接対象の材料への直接接触によってホーンまたはソノトロードから伝達される。このエネルギが、溶接または他のやり方で接合される熱可塑性材料に振動を生じさせる。振動が、接合されるべき領域において熱可塑性材料の急激な摩擦熱をもたらす。この熱により、熱可塑性の基材材料が、非晶質または半結晶性ポリマーのガラス転移温度に到達して上回り、流動可能な状態(すなわち、粘弾性的挙動のゴム、ゴム状流動、または液体流動領域、など)を通って、流動を可能にする軟化がもたらされ、全分子の並進運動(translation motion)および拡散が可能となり、熱可塑性プラスチックが変位されうる。結晶性ポリマーについては、この同じ挙動が、溶融温度を超えて達成される。流動可能な状態(すなわち、粘弾性的挙動のゴム、ゴム状流動、または液体流動領域、など)のこの基材材料が、ホーンへと加えられる圧力と相俟って、材料の接合を生じさせる。本発明に特有であるが、振動(音響)エネルギおよび圧力は、ワイヤ、ワイヤメッシュ、または他のフィラメント(いずれもエネルギ誘導器(energy director)として働く)へと直接加えられ、熱可塑性基材材料の流動可能な状態(すなわち、粘弾性的挙動のゴム、ゴム状流動、または液体流動領域、など)への局所的な摩擦熱を生じさせ、基材材料がもはや流動可能でない温度へと冷めるときに、圧力下でワイヤ、ワイヤメッシュ、または他のフィラメントが基材材料内の所定の場所に固定されることを可能にする。
【0028】
埋め込みプロセスのために摩擦による熱を生じさせるために超音波の周波数範囲の音響エネルギを使用することが、本発明の好ましい態様を代表する一方で、埋め込みプロセスの最中のフィラメントまたはフィラメントメッシュへの熱エネルギおよび圧力の印加も有効となることが示されており、したがって本発明の別の態様である。摩擦熱を利用する際と異なり、熱エネルギの手法は、基材材料を流動可能な状態(すなわち、粘弾性的挙動のゴム、ゴム状流動、または液体流動領域、など)に到達させるために必要な温度を上回る温度へとフィラメントまたはフィラメントメッシュを加熱することを必要とする。この熱は、誘導加熱または誘導溶融設備において見られるような激しい時間変化の磁界によって引き起こされるジュール加熱、抵抗はんだ付け設備において見られるような伝導加熱、フィラメントまたはフィラメントメッシュに充分な電流を通すことによって引き起こされるジュール加熱、高温空気リフローはんだ付けシステムにおいて見られるような強制対流による加熱、あるいは赤外リフローはんだ付けシステムにおいて見られるような放射赤外線加熱のいずれかによって生成される。次いで、熱は、フィラメントまたはフィラメントメッシュから基材材料へと伝えられ、基材材料を流動可能な状態(すなわち、粘弾性的挙動のゴム、ゴム状流動、または液体流動領域、など)へと迅速に到達させ、充分な埋め込みを達成すべく圧力が加えられたときに基材材料を変位させることで、基材材料がもはや流動可能ではない温度へと冷めるときにフィラメントまたはフィラメントメッシュを基材材料内に固定することを可能にする。メッシュの埋め込みに必要なエネルギの量を最小限にするために、基材材料の層を、スライシングソフトウェアによってポリマー材料の空間的な堆積を変えることによって多孔性にすることができる。例えば、材料押し出しAM機器のためのビルドファイルを作成するソフトウェアを使用して、材料ビーズの間の距離を増やし、基材層の多孔性を高めることができる。多孔性の向上は、メッシュの埋め込みに必要なエネルギの量を少なくする役にたつだけでなく、表面よりも突出しかねないポリマー材料の量も少なくする。
【0029】
これらの埋め込みプロセスは、3D構造物、構造部品、ならびに3D構造の電子、電磁、または電気機械システムまたは部品の生成のための熱溶解積層法(FDM)または他の材料押し出し付加製造プロセス、選択的レーザ焼結(SLS)または他の粉末床溶融付加製造プロセス、薄膜積層法(LOM)または熱可塑性シートを利用する他のシート積層付加製造プロセス、ステレオリソグラフィまたは光硬化性の熱可塑性プラスチックを使用する他の液槽光重合付加製造プロセス、光硬化性の熱可塑性プラスチックの材料噴射、またはこれから開発される他の付加的な熱可塑性プラスチックにもとづく技術などの熱可塑性の付加製造プロセスにおける適用を意図している。
【0030】
加えて、本発明は、三次元印刷装置と第1の機器とを含む三次元の構造物、構造部品、ならびに/あるいは3D構造の電子、電磁、または電気機械部品/装置を製作するためのシステムを提供する。三次元印刷装置は、基材材料を層ごとに堆積させることによって三次元の基材の1つまたは複数の層を生成する。三次元印刷装置は、熱溶解積層(FDM)機器または他の材料押し出し付加製造プロセス、選択的レーザ焼結(SLS)機器または他の粉末床溶融付加製造プロセス、薄膜積層(LOM)機器または熱可塑性シートを利用する他のシート積層付加製造プロセス、ステレオリソグラフィ機器または光硬化性の熱可塑性プラスチックを使用する他の液槽光重合付加製造プロセス、光硬化性の熱可塑性プラスチックを利用する材料噴射機器、またはこれから開発される他の付加的な熱可塑性プラスチックにもとづく3D印刷機器であってよい。第1の機器は、フィラメントの少なくとも一部分を、フィラメントの一部分が第1の層の上面と実質的に同一平面になり、流動可能な状態(すなわち、粘弾性的挙動のゴム、ゴム状流動、または液体流動領域、など)にある基材材料の一部がフィラメントの一部分によって変位させられ、かつ第1の層の上面から上方へと突出することが実質的にないように、基材材料の第1の層内に埋め込む。
【0031】
第1の機器は、ワイヤ送りおよび切断システム、および中空超音波ホーン、中実超音波ホーン、または回転超音波ホーン、あるいは他の適切な超音波ホーンまたはソノトロードの一つ、ならびに必要な電源およびプロセス制御設備であってよい。
【0032】
本発明の別の態様において、第1の機器は、ワイヤ送りおよび切断システム、および埋め込みプロセスの際にフィラメントまたはフィラメントメッシュへと圧力を加えることを可能にする装備を備えているフィラメントまたはフィラメントメッシュ加熱装置であってよく、フィラメントまたはフィラメントメッシュ加熱装置は、以下のうちのいずれかを含み、すなわち1)埋め込むべきフィラメントまたはフィラメントメッシュ内に電流、したがってジュール加熱を引き起こすための誘導コイル、2)熱を発生させて伝導によってフィラメントまたはフィラメントメッシュへと伝えるためのグラファイト、ニッケルクロム、または他の電気抵抗材料などの材料を含んでいる電気抵抗加熱素子、3)埋め込みプロセスに必要なジュール加熱を生じさせるために埋め込みされるフィラメントまたはフィラメントメッシュの少なくとも一部分へと電流を加えるための電極(電気接点)、4)埋め込みされるフィラメントまたはメッシュの少なくとも一部分を強制対流による加熱によって迅速に加熱する空気加熱および循環装置またはシステム、あるいは5)埋め込みされるフィラメントまたはメッシュの少なくとも一部分を迅速に加熱するための放射赤外加熱源、のうちのいずれかを含む。第1の機器は、必要な電源およびプロセス制御設備をさらに備えると考えられる。
【0033】
システムは、第1の層の上面に1つまたは複数の幾何学的な余裕(例えば、溝、チャネル、空洞、など)を生成する第2の機器をさらに含むことができ、ここで幾何学的な余裕は、流動可能な状態(すなわち、粘弾性的挙動のゴム、ゴム状流動、または液体流動領域、など)において変位させられる基材材料の体積を減らすとともに、フィラメントの埋め込みに先立ってフィラメントの一部分と接触する表面積を大きくする。ただ1つの設計層の幾何学的な余裕を形成するために、複数のプロセス層を堆積させることが必要となりうることに、注意すべきである。フィラメントの一部分は、1つまたは複数の幾何学的な余裕内に実質的に埋め込まれる。1つまたは複数の幾何学的な余裕は、1つまたは複数の溝、1つまたは複数のチャネル、または1つまたは複数の空洞であってよい。さらに、1つまたは複数の幾何学的な余裕は、円形、正方形、矩形、三角形、または任意の他の適切な形状を有することができる断面を、その形状を積層AMプロセスにて合理的に近似できる限りにおいて有することができる。第2の機器は、マイクロ加工機、CNCマイクロ加工機、CNCまたは伝統的な加工機、マイクロ放電加工機、電気化学加工機、直描(direct write)陽子マイクロ加工機、レーザアブレーション機、放射源、超音波切断機、ホットワイヤ切断機、ウォータージェット機、エッチング機、深堀り反応性イオンエッチング機、プラズマエッチング機、結晶配向依存エッチング機、湿式バルクマイクロ加工機、UVリソグラフまたはX線リソグラフィ機、ホットエンボスリソグラフィ機、精密機械式のこぎり盤、化学補助イオンミリング機、サンドブラスト機、または切断機であってよい。
【0034】
システムは、第1の層の表面または内部に少なくとも第1の構成要素を、導電性材料であるフィラメントの第1の端部が第1の構成要素に近接するように配置する構成要素配置機器と、フィラメントの第1の端部を第1の構成要素へと取り付ける第3の機器とをさらに備えることができる。第3の機器は、レーザマイクロ溶接機、抵抗溶接機、超音波溶接機、ワイヤボンディング機、はんだ付け機、または当業者にとって周知の任意の取り付け機器または装置であってよい。加えて、システムは、三次元の基材を各々の機器へと運ぶスライダ、コンベア、またはロボット装置を備えることができる。すべての機器を、単一の機器へと統合でき、あるいは別々のプロセスとして動作させてもよいことに、注意すべきである。
【0035】
その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/343,651号に記載のとおりのシステムを、本明細書の開示にもとづいて本発明を実行するように改良することができる。
【0036】
埋め込みを、いくつかのやり方で達成することができる。埋め込みの各方法は、1)ワイヤ、ワイヤメッシュ、または他のフィラメントを埋め込みのための所望の位置へと送る手段と、2)プロセスの種々の段階においてワイヤ、ワイヤメッシュ、または他のフィラメントを切断する手段と、3)ワイヤまたはメッシュを他の導体、熱部品、機械部品、電気部品、または電気機械部品へと接続する手段と、4)ワイヤまたはワイヤメッシュを3D電子機器内の層間で接続する手段とを必要とすると考えられる。ワイヤおよびフィラメントの取り扱いを、自動化されたワイヤ送りおよび切断システム(市販またはあつらえのハードウェア)によって達成することができる。ワイヤメッシュを、設計の要件にもとづいて特定のパターンへとあらかじめ切断することができ、あるいは所望の埋め込み位置にリボンの形態にて施すことができる。ガントリ、ステージ、空気またはリニアアクチュエータ、またはロボットアームなどの運動制御システムを、埋め込みプロセスの最中に超音波ホーン、フィラメントまたはフィラメントメッシュ加熱装置、ワイヤ取り扱いシステム、および熱可塑性基材を位置決めするために使用することができる。特定の場合には、ワイヤ、ワイヤメッシュ、または他のフィラメントを埋め込みに先立って手作業で配置することが必要であるかもしれない。
【0037】
単一のワイヤまたはフィラメントを埋め込むために、ワイヤまたはフィラメントの入り口点を有する中空の超音波ホーン(ソノトロード)を、プロセスに使用することができる。図2Aおよび2Bが、本発明の一態様に従って基材にフィラメントを埋め込むために使用される中空の超音波ホーン(ソノトロード)を示す画像である。あるいは、ワイヤ埋め込みプロセスを促進するように形状または外形付けられた中実の超音波ホーンを使用することができる。図2Cが、本発明の一態様に従って基材にフィラメントを埋め込むために使用される中実な超音波ホーン(ソノトロード)を示している。
【0038】
織物業界において合成材料を含む布地の接合に広く使用されている回転ホーンまたはソノトロードも、ワイヤおよびフィラメントの超音波による埋め込みに適用することができる。図3Aおよび3Bが、本発明の別の態様に従って基材にフィラメントを埋め込むために使用される回転超音波ホーンを示す画像である。
【0039】
埋め込まれた配線の上方に後続の層を形成できるよう、表面およびワイヤの両方が、寸法適合的な状態(すなわち、同一平面)に保たれなければならず、すなわちワイヤが充分に埋め込まれなければならず、流動可能な状態(すなわち、粘弾性的挙動のゴム、ゴム状流動、または液体流動領域、など)にある基材材料の一部が、後続の層ごとの形成プロセスを妨げるほどには表面から突出しないように制御されなければならない。あるいは、プロセスが突起を検出して突起の上方に堆積させる層を変更することによって突起に対処できる場合には、必ずしもワイヤをあらゆる突起(ワイヤおよび/または基材材料)を防止するように充分に埋め込む必要はない。図4が、基材に埋め込まれたフィラメントの断面を示す画像であり、フィラメントが層の上面と実質的に同一平面にあり、流動可能な状態(すなわち、粘弾性的挙動のゴム、ゴム状流動、または液体流動領域、など)にある基材材料の一部が、フィラメントの一部分によって変位させられ、層の上面から実質的に突出していない。
【0040】
本発明は、図5に示されるように不規則な形状の表面または湾曲した表面にフィラメントを埋め込むことを可能にする。
【0041】
ワイヤメッシュの埋め込みは、他の3D電子機器製造プロセスにおいては見られない利点を提供する。本発明よりも前は、付加製造プロセスによって生み出される3D電子機器システムまたは構成部品は、完全な導電面および/または電磁シールドを欠くがゆえに用途が限られていた。結果として、そのようなシステムおよび構成部品は、電気ノイズおよび電磁妨害(EMI)の悪影響に曝された。さらに、導電面の欠如ゆえに、電源および接地を必要に応じて各々の電気部品へと接続するための追加の経路が必要になり、結果的に電気ノイズおよびクロストークの影響をさらに受けやすくなり、過度の設計作業および製造時間につながった。ワイヤメッシュの埋め込みは、これらの問題の各々への解決策を提供する。ワイヤメッシュは、シールドの用途に広く使用されており、10GHzという高い周波数において有効であることが示されており、本発明よりも前の付加製造によって製造された3D電子機器において可能であったよりもはるかに多数の無線周波数の用途を可能にする。ワイヤメッシュを3D電子機器部品、装置、またはシステムの積層プロセス内および外面に所望のとおりに埋め込むことができるため、シールドならびに電源および接地への接続のための導電面を必要に応じて利用可能にでき、より単純な設計およびより迅速な製造が可能になる。また、埋め込まれたワイヤメッシュが熱可塑性基材とのきわめて強力な結合を形成し、したがって付加的に製造される部品、装置、またはシステムを強化するためのポリマー-金属複合材料を生み出すために使用可能であることも、注目されている。AMによって製造される部品は、歴史的に、射出成形による部品と比べたときに機械的特性(すなわち、引張、圧縮、衝撃、曲げ、クリープ、および疲労)の不足を呈し、これがAMによって製造される部品の用途を試作品に限定している。Ahnらが、熱溶解積層法(FDM)を使用して製造されたABS部品が、射出成形による部品の10〜73%に等しい最終引張強度を示したと報告している。本発明を使用し、フィラメントおよびメッシュ(導電性または非導電性)を、層内または複数の層にまたがる領域を補強するために使用することができる。本発明が、簡素な鋼メッシュを使用して、FDMによって製造される部品の最終引張強度を37%向上させることができることが、予備段階の結果によって示されている。さらなる改善が、機械的に丈夫な材料(すなわち、ステンレス鋼、銅クロム合金)から作られたメッシュおよび同じポリマー部品における複数のメッシュの使用によって期待される。さらに、埋め込みに先立ってフィラメントまたはメッシュにあらかじめの荷重を加え、改善された機械的特性および予測可能/制御可能なたわみを有するプレストレストポリマー複合構造を生み出すような状態で埋め込むことができる。また、ケブラーなどの材料で作られた非導電性メッシュの埋め込みが、強度の改善をもたらすだけでなく、重量対強度比の改善ももたらすことができ、軽量な用途に利点をもたらすことに注目すべきである。
【0042】
ワイヤメッシュの超音波による埋め込みを、いくつかのやり方で達成することができる。回転ホーンが、図6Aおよび6Bに示されるように、平坦な基材および湾曲した基材におけるワイヤメッシュの埋め込みを可能にする。加えて、メッシュを、図7に示されるように、メッシュの一部分が空洞内に配置され、その後にレーザマイクロ溶接、抵抗溶接、超音波溶接、はんだ付け、ワイヤボンディング、または当業者にとって周知の任意の取り付けプロセスを使用して先行の層内の導体へと取り付けられるように、基材内に埋め込むことができる。
【0043】
図8A〜8Dが、熱溶解積層法(FDM)にて製造されるポリカーボネート基材に超音波によって埋め込まれるワイヤメッシュの進行を示す画像である。ここに示されるメッシュは、ステンレス鋼であるが、本プロセスは、これらに限られるわけではないが銅、アルミニウム、真ちゅう、鋼、銅クロム合金、および銅ニッケル合金など、他の材料にも適用可能である。本方法は、非導電性メッシュおよび繊維においても成功裏に使用されている。
【0044】
特定の電気的または機械的設計の要件ゆえに、あらかじめ切断されたワイヤメッシュのパターンを使用することが必要になるかもしれない。これらのメッシュパターンを、回転ホーンまたは中実ホーンで埋め込むことができる。図9A〜9Cが、正方形の中実ホーンを使用して平坦な基材へと埋め込まれるメッシュパターンの経過を示している。この場合、あらかじめ切断されたパターンが所望の場所に置かれ、超音波ホーンが作動させられてワイヤメッシュパターンの埋め込みを生じさせ、最後にホーンが表面から持ち上げられてプロセスが完了する。
【0045】
(導電性)メッシュの埋め込みの各々の例について、同等の結果を、超音波ホーンまたはソノトロードの代替として本明細書において記載のとおりの熱エネルギ源を適切な装備類/工具類とともに使用することによって得ることができ、それらが本発明のさらなる態様を呈することに注意すべきである。
【0046】
次に図10を参照すると、フィラメントを三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置に埋め込むための本発明の一態様による方法1000のフロー図が示されている。基材材料の第1の層が、ブロック102においてもたらされる。1つ上の幾何学的な余裕が、ブロック1002において第1の層の上面に生成される。幾何学的な余裕は、流動可能な状態(すなわち、粘弾性的挙動のゴム、ゴム状流動、または液体流動領域、など)の変位させられる基材材料の体積を減らすとともに、フィラメントの埋め込みに先立ってフィラメントの一部分と接触する表面積を大きくし、充分な埋め込みの達成に必要なエネルギを少なくすることで、フィラメントを基材内の所定の場所に確実に保持し、基材の上面と実質的に同一平面にする。あるいは、プロセスが突起を検出して突起の上方に堆積させる層を変更することによって突起に対処できる場合には、必ずしもワイヤをあらゆる突起(ワイヤおよび/または基材材料)を防止するように充分に埋め込む必要はない。1つまたは複数の幾何学的な余裕は、1つまたは複数の溝、1つまたは複数のチャネル、または1つまたは複数の空洞であってよい。単一の設計層の幾何学的な余裕を形成するために、複数のプロセス層を堆積させなければならないかもしれないことに、注意すべきである。さらに、1つまたは複数の幾何学的な余裕は、円形、正方形、矩形、三角形、または任意の他の適切な形状を有することができる断面を、その形状を積層AMプロセスにて合理的に近似できる限りにおいて有することができる。ブロック1004において、フィラメントの少なくとも一部分が、フィラメントの一部分が第1の層の上面と実質的に同一平面になり、流動可能な状態(すなわち、粘弾性的挙動のゴム、ゴム状流動、または液体流動領域、など)にある基材材料の一部がフィラメントの一部分によって変位させられ、第1の層の上面よりも上へと突出することが実質的にないように、基材材料の第1の層内の1つまたは複数の幾何学的な余裕に埋め込まれる。フィラメントの端部が、構成要素または導体に近接して配置され、フィラメントの端部が、ブロック1006において構成要素または導体へと取り付けられる。フィラメントの第1の端部は、レーザマイクロ溶接プロセス、抵抗溶接プロセス、超音波溶接プロセス、ワイヤボンディングプロセス、はんだ付けプロセス、または当業者にとって周知の任意の取り付けプロセスを使用して、第1の構成要素または導体へと取り付けられる。いくつかの態様において、第1の層は、第1の層の表面または内部に配置される少なくとも第2の構成要素または導体を、フィラメントの第2の端部が第2の構成要素または導体に近接するようにさらに含むことができる。次いで、フィラメントの第2の端部が、第2の構成要素または導体へと取り付けられる。ブロック1008において、基材材料の少なくとも第2の層が、フィラメントの一部分のすべてまたは一部が第2の層によって覆われるように第1の層上に堆積させられる。
【0047】
構成要素または導体は、電子部品、静電部品、空気圧部品、電気音響部品、マイクロ電気機械システム(MEMS)、生物医学部品、電気化学部品、電気機械部品、電磁部品、機械部品、メタマテリアル部品、光学部品、フォトニック部品、熱部品、熱管理部品、メッシュ、埋め込み導体、ワイヤ、導電パッド、導電端子、導電トレース、他の層へのビア、またはコネクタであってよい。電子部品は、集積回路、抵抗器、コンデンサ、インダクタ、トランジスタ、サーミスタ、サイリスタ、センサ、プロセッサ、メモリ、インターフェイス装置、表示装置、電源、エネルギ変換装置、またはアンテナであってよい。電子部品を、手作業または構成要素配置機器を使用して配置することができ、ここで構成要素配置機器は、ピックアンドプレース(pick and place)機器、ロボットプロセス、または他の自動化された構成要素配置技術を含むことができる。
【0048】
この方法を、三次元の構造物あるいは電子、電磁、または電気機械部品/装置を製作するために使用することができる。さらに、この方法を、各段階が1つまたは複数のコードセグメントを使用して実行される非一時的コンピュータ可読媒体上に具現化されたコンピュータプログラムとして実現することができる。
【0049】
多数の方法を、埋め込まれたワイヤおよびワイヤメッシュの互いの接続および電気部品への接続に使用することができるが、好ましい方法は、レーザマイクロ溶接による。技術水準の緑色レーザシステムは、或る範囲のワイヤサイズを効果的に溶接する能力を提供し、銅および金などの「赤色」金属の溶接にとくに効果的である。1つのそのようなシステムが、Miyachi Unitek Corporationによって提供されている。緑色レーザ技術は、電子機器を含む様々なマイクロ溶接用途に有効に使用できることが示されている。
【0050】
図11A〜11Dが、本発明の一態様に従って電子部品へとレーザマイクロ溶接された導電ワイヤの画像である。
【0051】
このレーザマイクロ溶接システムが、銅ワイヤを広い範囲の表面実装電気部品へと効果的に溶接できることが、実験によって示されている。実現可能性の検討の一部として、いくつかの構成部品を種々のゲージ(gauge)の銅ワイヤとレーザ溶接した。結果は、本システムを、入手できる電子部品の大多数への容認可能な電気的および機械的接続をもたらすように構成できることを示している。本方法は、はんだ、導電エポキシ、または導電インクなどの充てん材料を不要にする非接触の接合方法を提供する。さらに、本プロセスによれば、生じる熱影響領域が最小限であるため、繊細な電子部品およびセンサへの熱衝撃が実質的に存在しない。得られる溶接部が自己的である(すなわち、溶接される2つの金属部品のみで形成され、充てん材料がない)ため、溶接部が、本質的にはんだによる接続よりも強い。図19Aおよび19Bが、本発明の別の態様による構成部品へのフィラメントの取り付けの経過を示す画像である。
【0052】
図12A〜12Bが、超音波ホーン(小さな作業面領域(約130mm2)に集中した左側のホーン)およびより大きな表面領域(約1450mm2)に集中した右側のホーンを使用し、FDMによって製作されたABS部品(ASTM D638規格のタイプI試験片)へと本発明の一態様に従って埋め込まれる簡素な鋼メッシュの画像である。
【0053】
図13Aおよび13Bは、本発明の一態様に従ってFDMによって作られたABS部品(ASTM D638規格のタイプI試験片)に埋め込まれた簡素な鋼メッシュの画像である。
【0054】
図14は、本発明の一態様によるポリマー-メッシュ複合材料を生成するためのFDM技術を使用して埋め込まれた簡素な鋼メッシュの上方に堆積させられるABS材料の画像である。
【0055】
図15Aおよび15Bは、本発明の一態様に従ってFDMによって作られたABS部品(ASTM D638規格のタイプI試験片)に埋め込まれた簡素な鋼メッシュの画像である。ABSの1つの層が、鋼メッシュ上に堆積させられている(左側が全体図、右側が光学顕微鏡画像)。
【0056】
図16Aおよび16Bは、本発明の一態様に従ってFDMによって作られたABS部品(ASTM D638規格のタイプI試験片、等角投影図および側面図)へと簡素な鋼メッシュを埋め込むことによって形成されたポリマー-メッシュ複合構造の画像である。
【0057】
図17は、本発明の一態様による超音波ワイヤ埋め込みプロセスの画像である。
【0058】
図18Aおよび18Bは、本発明の一態様に従ってシート積層付加製造プロセスを使用して作られたPVC部品(左側が全体図、右側が上面図)へと埋め込まれた簡素な鋼メッシュの画像である。
【0059】
図20は、本発明の別の態様による3D装置の種々の層を示す画像である。
【0060】
3D電子機器に導電性のワイヤおよびワイヤメッシュを埋め込むためのシステムにおいては、付加製造プロセスにおいて層間の接続を生み出す方法が、必要になる。「鍵穴」ビアが、この問題への解決策として提案される。「鍵穴」という名称は、この方法において使用される形状に由来する。図22A〜22Kが、この層間接続の生成に関する各段階を示している。このやり方で形成される層間接続は、優れた接続強度ならびに現時点において導電エポキシまたはインクでは達成できないバルクの銅の導電率ゆえに、導電エポキシを使用するよりも好ましい。プロセスにおいて形成される自然のひずみ緩和ループが、機械的な衝撃および振動の際の接続の信頼性を保証する。鍵穴プロセスは、適合的(または、同一平面)な表面を維持し、基材材料の後続の層の適用および電子回路の完全な埋め込みを可能にする。
【0061】
次に図21を参照すると、本発明の一態様に従って三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置において第1の構成要素または導体を第2の構成要素または導体へと接続するための方法2100のフロー図が示されている。ブロック2102において、基材材料の少なくとも第1の層がもたらされ、この第1の層は、第1の層の表面または内部に配置された第1の構成要素または導体を有している。基材材料の第2の層が、ブロック2104において第1の層上に堆積させられる。第2の層は、第1の端部および第2の端部を有している細長い空洞を含み、第1の端部は、第1の構成要素または導体の第1の露出部分の上方に位置する。ブロック2106において、フィラメントの第1の端部が、細長い空洞の第1の端部を介して第1の構成要素または導体の第1の露出部分へと取り付けられる。取り付けは、レーザマイクロ溶接プロセス、抵抗溶接プロセス、超音波溶接プロセス、はんだ付けプロセス、ワイヤボンディングプロセス、または当業者にとって周知の任意の取り付けプロセスによって行われる。ブロック2108において、フィラメントの第2の端部が、フィラメントが細長い空洞内に配置されるように、細長い空洞の第2の端部内に配置される。ブロック2110において、基材材料の第3の層が、細長い空洞の第1の端部の付近の細長い空洞の第1の部分が第3の層によって覆われ、細長い空洞の第2の部分が露出されるように、第2の層上に堆積させられる。ブロック2112において、第2の構成要素または導体が、細長い空洞の第2の部分の付近の第3の層の表面または内部に配置される。ブロック2114において、基材材料の第4の層が、第2の構成要素または導体の第2の部分が露出され、細長い空洞の第2の部分が露出されるように、第3の層上に堆積させられる。ブロック2116において、フィラメントの第2の端部が、細長い空洞の第2の部分から取り出され、第2の構成要素または導体の露出部分へと取り付けられる。取り付けは、レーザマイクロ溶接プロセス、抵抗溶接プロセス、超音波溶接プロセス、はんだ付けプロセス、ワイヤボンディングプロセス、または当業者にとって周知の任意の取り付けプロセスによって行われる。なお、本明細書において説明されるプロセスは、三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置における複数の設計層の間の導体および(または)構成要素の接続に特有であるが、本発明が、同じ設計層内の複数の構成要素の相互接続も提供することを、理解すべきである。この方法を、三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置を製作するために使用することができる。さらに、この方法を、各段階が1つまたは複数のコードセグメントを使用して実行される非一時的コンピュータ可読媒体上に具現化されたコンピュータプログラムとして実現することができる。
【0062】
加えて、本発明は、三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置を製作するためのシステムであって、三次元印刷装置と、第1の機器と、第2の機器とを含むシステムを提供する。三次元印刷装置は、基材材料の第1の層を生成する。第1の機器は、第1の構成要素または導体を第1の層の表面または内部に配置する。三次元印刷機器は、第1の層上に基材材料の第2の層を堆積させ、ここで第2の層は、第1の端部および第2の端部を有している細長い空洞を含み、第1の端部は、第1の構成要素または導体の第1の露出部分の上方に位置する。第1の機器は、フィラメントの第1の端部を細長い空洞の第1の端部を介して第1の構成要素または導体の第1の露出部分へと取り付ける。取り付けは、レーザ溶接プロセス、抵抗溶接プロセス、超音波溶接プロセス、はんだ付けプロセス、ワイヤボンディングプロセス、または当業者にとって周知の任意の取り付けプロセスによる。第2の機器は、フィラメントが細長い空洞内に配置されるように、フィラメントの第2の端部を細長い空洞の第2の端部内に配置する。三次元印刷装置は、基材材料の第3の層を、細長い空洞の第1の端部の付近の細長い空洞の第1の部分が第3の層によって覆われ、細長い空洞の第2の部分が露出されるように、第2の層上に堆積させる。第2の機器は、第2の構成要素または導体を細長い空洞の第2の部分の付近の第3の層の表面または内部に配置する。三次元印刷装置は、基材材料の第4の層を、第2の構成要素または導体の第2の部分が露出され、細長い空洞の第2の部分が露出されるように、第3の層上に堆積させる。第2の機器は、フィラメントの第2の端部を細長い空洞の第2の部分から取り出し、第2の構成要素または導体の露出部分の付近にフィラメントの第2の端部を配置する。第1の機器は、フィラメントの第2の端部を第2の構成要素または導体の露出部分へと取り付ける。取り付けは、レーザマイクロ溶接プロセス、抵抗溶接プロセス、超音波溶接プロセス、はんだ付けプロセス、ワイヤボンディングプロセス、または当業者にとって周知の任意の取り付けプロセスによる。なお、本明細書において説明されるプロセスは、三次元の電子、電磁、または電気機械部品/装置における複数の設計層の間の導体および(または)構成要素の接続に特有であるが、本発明が、同じ設計層内の複数の構成要素の相互接続も提供することを、理解すべきである。
【0063】
図22A〜22Kは、本発明の別の態様による層間接続の生成の経過を示す画像である。
【0064】
図23A〜23Gは、本発明の別の態様による(複数の電源または接地接続によるような)ワイヤメッシュ平面を用いた層間接続の生成の別の経過を示す画像である。
【0065】
図24A〜24Gは、本発明の別の態様による層間接続の生成の別の経過を示す画像である。
【0066】
図25A〜25Hは、本発明の別の態様による層間接続の生成の別の経過を示す画像である。図25Aにおいて、第1の導体が基材に埋め込まれる。図25Bにおいて、らせん状の余裕(または、逃げ)を有するさらなる基材層が追加される。図25Cにおいて、第2の導体がらせん状の逃げに配置され、第1の導体へと取り付けられる。図25Dにおいて、さらなる基材層が追加される。図25Eにおいて、工具が逃げの上方の所定の位置に動かされ、図25Fにおいて、工具が逃げの中へと下げられる。図25Gにおいて、工具が第2の導体の自由端を逃げから引き出し、図25Hにおいて、第2の導体の自由端が基材の上部層に埋め込まれ、所望のとおりに取り付けられる。
【0067】
図26A〜26Dは、本発明の別の態様による層間接続の生成の別の経過を示す画像である。図26Aにおいて、第1の導体が埋め込まれ、そこには逃げが存在している。図26Bにおいて、基材のさらなる層が追加される。図26Cにおいて、第2の導体が上部基材層に埋め込まれ、第1の導体に接触するように逃げに配置される。図26Dにおいて、第2の導体が第1の導体に取り付けられる。
【0068】
本明細書において記載の技術の組み合わせは、不利な場の条件および環境において動作することができる信頼性が高くて機能的な電子、電磁、および電気機械システムを生み出す能力を提供する。さらに、埋め込まれたフィラメントまたはメッシュが、AMによって製造される部品、構造物、または構造部品の機械的特性の改善を可能にし、単なる試作品以外にも使用できるようにする複合材料を生み出す。熱可塑性プラスチックにもとづく付加製造プロセスに利用することができる材料は、宇宙および海洋の用途ならびに地上における厳しい用途に適合する。電子機器を基材材料に完全に埋め込むことができるため、水中用のシステムならびに爆発性または揮発性の化学品の環境における動作に必要な固有の安全性をもたらすことができる。この技術によって製造されることが期待される製品として、小型衛星システム、コンパクトな軍用ハードウェア、生体埋め込み装置、海洋センサ、無人機(UAV)、車両部品、などが挙げられる。
【0069】
すでに述べたように、本発明によって生成される部品は、これらに限られるわけではないが、1)センサ、通信手段、および電子機器を構造部品に埋め込んで有している空気力学的部品を提供するか、あるいは無人空中システム(UAS)および無人機(UAV)の上に直接製造することによる無人空中システム(UAS)および無人機(UAV)、2)特注され、特定任務の、おそらくは使い捨てである電子機器、3)通信を改善する真に3Dなアンテナおよび光素子、4)海軍艦艇、ならびに他の防衛、民間、および生物医学の用途における複数の電子システムのための置き換え部品、5)船員または軍人が身に着けるぴったりと作られた電子機器および通信システム、6)使い捨ての浮遊する深さに特有のセンサシステム、7)生物医学装置、および8)メタマテリアル構造物を含む種々の用途に使用されると考えられる。
【0070】
本明細書において記載の個々の態様が、あくまでも例示として示されており、本発明の限定として示されているのではないことを、理解できるであろう。本発明の主要な特徴を、本発明の技術的範囲から離れることなく、種々の態様において採用することが可能である。当業者であれば、ルーチンの実験以上の何ものも使用することなく、本明細書において記載の具体的な手順の多数の同等物を認識または確認できるであろう。そのような同等物は、本発明の技術的範囲に含まれると考えられ、特許請求の範囲に包含される。
【0071】
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、本発明が関係する技術分野の当業者の水準を表している。すべての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも各々の個別の刊行物、特許、または特許出願が参照により本明細書に組み入れられると具体的かつ個別に示されたのと同じように、参照により本明細書に組み入れられる。
【0072】
用語「a」または「an」の使用は、特許請求の範囲および/または本明細書において用語「を備える/を含む(comprising)」と一緒に使用されるとき、「1つ」を意味することができるが、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」、および「1つまたは2つ以上」という意味とも矛盾しない。特許請求の範囲における用語「または(or)」の使用は、いくつかの選択肢だけを指すことが明示的に示されている場合または選択肢が相互に排他的である場合を除き、「および/または(and/or)を意味して使用されているが、本明細書の開示は、選択肢および「および/または」だけに言及する定義を支持する。本出願の全体を通して、用語「約」は、値が装置または値の特定に使用される方法につきものの誤差のばらつきを含み、あるいは研究の主題の間に存在するばらつきを含むことを知らせるために用いられている。
【0073】
本明細書および特許請求の範囲において使用されるとき、用語「を備えている(comprising)」(および、「を備える(compriseおよびcomprises)」などの「を備えている(comprising)」の任意の形態)、「を有している(having)」(および、「を有する(haveおよびhas)」などの「を有している(having)」の任意の形態)、「を含んでいる(including)」(および、「を含む(includesおよびinclude)」などの「を含んでいる(including)」の任意の形態)、または「を含有している(containing)」(および、「を含有する(containsおよびcontain)」などの「を含有している(containing)」の任意の形態)は、包含的または非制限的(open-ended)であり、追加の言及されていない構成要素または方法の段階を排除するものではない。
【0074】
用語「またはこれらの組み合わせ」は、本明細書において使用されるとき、この用語に先行して列挙された事項のあらゆる順列組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、またはこれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABCのうちの少なくとも1つを含むように意図され、特定の背景において順序が重要である場合には、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCABも含むように意図される。さらにこの例において、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB、などの1つまたは複数の項目または条件の繰り返しを含む組み合わせも、明示的に含まれる。当業者であれば、典型的に、文脈からそのようでないことが明らかでない限り、あらゆる組み合わせにおいて項目または条件の数に制限がないことを、理解できるであろう。
【0075】
本明細書において開示および請求されるすべての構成物および/または方法は、本明細書の開示に照らして過度の実験を必要とせずに製作および実行することが可能である。本発明の構成物および方法を、好ましい態様に関して説明したが、本発明の考え方、技術的思想、および技術的範囲から離れることなく、本明細書において記載の構成物および/または方法ならびに方法の各段階または一連の段階に変種を適用できることは、当業者にとって明らかであろう。当業者にとって明らかなそのような類似の代用物および変更物はすべて、添付の特許請求の範囲によって定義されるとおりの本発明の技術的思想、技術的範囲、および考え方に包含されると見なされる。
【0076】
参考文献
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図22D
図22E
図22F
図22G
図22H
図22I
図22J
図22K
図23A
図23B
図23C
図23D
図23E
図23F
図23G
図24A
図24B
図24C
図24D
図24E
図24F
図24G
図25A
図25B
図25C
図25D
図25E
図25F
図25G
図25H
図26A
図26B
図26C
図26D