(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557250
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】輸液ポンプのためのドア取付け安定化システム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
A61M5/142 500
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-558548(P2016-558548)
(86)(22)【出願日】2014年12月16日
(65)【公表番号】特表2016-540623(P2016-540623A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】US2014070641
(87)【国際公開番号】WO2015095213
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年12月4日
(31)【優先権主張番号】61/916,463
(32)【優先日】2013年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/917,239
(32)【優先日】2013年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/571,559
(32)【優先日】2014年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508004797
【氏名又は名称】アイシーユー・メディカル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴラド アール. バルタニュ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ディー. ジョンソン
【審査官】
田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0271226(US,A1)
【文献】
米国特許第06110410(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0130341(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面機構プレートを有する輸液ポンプと、
前記輸液ポンプに枢動可能に接続され、液投与セットを受け入れるように形成されたドアと、
前記前面機構プレートから外方向に延び、かつ前記ドアの前面にある開口部と位置合わせされてその内部に受け入れられる複数の取付けピンと
を備えるドア取付けシステムであって、
第1のピンおよび第2のピンは、前記前面機構プレートのプランジャ開口部の上方に配置され、第3のピンは、前記プランジャ開口部の下方に配置されており、
前記第3のピンが、前記プランジャ開口部の中心線を通って延びる垂直線上に位置しており、
前記第1のピンおよび前記第2のピンは、前記垂直線の両側に配置されている、ドア取付けシステム。
【請求項2】
3つの取付けピンが存在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ドアの剛性は、0.1ml/hと2000ml/hの間の流量範囲に維持される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ポンプのアクチュエータ力の、前記ドアのポンプ室反力に対する比は、1対5である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記輸液ポンプは、ステッピングモータに動作可能に接続されるボールねじに接続されたプランジャを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のピンおよび第2のピンが、前記プランジャ開口部の中心線から、前記中心線と前記プランジャ開口部の上方に離間された水平線とを含む垂直面から反対方向に、等しい距離に位置する、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドア取付け安定化システムを対象とし、より詳細には、輸液ポンプのためのドア取付け安定化システムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
輸液ポンプのためのドア取付けシステムが当技術分野で知られている。流量、および正確さを求める要求が増加するにつれて、ドア取付けシステムに関する問題が生じている。より具体的には、ポンプアクチュエータ力が増加すると、ポンプ室作動力は、アクチュエータ力に対抗するには不十分となり、プランジャを用いたポンプ送り中にカセット本体の動きを生ずる。カセット本体が動いたとき、流れ効率が低下し、流体出力容積が変化し、かつポンプ流量に関する限界、および低い流れの連続性が生ずる。したがって、これらの欠陥に対処するシステムが、当技術分野で求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、ポンプシステム全体の剛性を高めるドア取付けシステムを提供することである。
【0004】
本発明の他の目的は、より高いポンプアクチュエータ力に対処するために、十分なポンプ室剛性を提供するドア取付けシステムを提供することである。
【0005】
本発明のさらに他の目的は、流れ効率を高め、出力容積を安定化させ、かつより大きいポンプ流量および連続性を可能にするドア取付けシステムを提供することである。
【0006】
これらの、および他の目的は、以下の記述、図面、および特許請求の範囲に基づいて、当業者には明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前面機構プレートを備える輸液ポンプを有するドア取付けシステム。ドアは、ポンプに対して枢動可能に接続される。ドアの前面にある開口部と位置合わせされ、かつその内部に受け入れられる複数の取付けピンが、前面機構プレートから外方向に延びている。
【0008】
ポンプは、ステッピングモータに動作可能に接続されたボールねじに接続された移動可能なプランジャを有する。取付けシステムは、増加したプランジャアクチュエータ力に対処するための十分な強度および安定性を提供して、ポンプ送り中にドア内で限られたカセットの動きを生ずるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ドア取付けシステムの部分的な側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図を参照すると、ドア取付け安定化システム10は、カセットまたは同様のものなど、液投与セット14を受け入れるように形成されたドア12を含む。ドア12は、枢動ピン18により輸液ポンプ16に枢動可能に取り付けられる。枢動ピン18は、輸液ポンプ16のベース24に固定される取付けブロック22の枢動ピン開口部20を通って延びる。ドア12は、液投与セット14の一部を受け入れる、ドアに形成された空洞部25を有する。
【0011】
輸液ポンプ16は、前面機構プレート26を有する。プランジャ開口部30と位置合わせされ、かつそれにより受け入れられる移動可能なプランジャ28が、前面機構プレート26から外方向に延びている。プランジャ開口部30は、空洞部25の中心線と一致する中心線31を有する。好ましくは、ポンプ16の流れ性能を改善するために、プランジャ28は、回転ナット36、アンギュラコンタクト軸受38、およびスペーサ40を通って、モータシャフト44をさらに受け入れる可撓性のある結合器42へと延びるボールねじ34を用いてステッピングモータ32に接続される。このような構成は、流れを層状に維持し、圧力差を最小に保ち、流体の剪断応力を最小化し、かつ流れプロフィル(flow profile)を滑らかにするために、流体を静かに、滑らかに作動させる。
【0012】
さらに第1の取付けピン46、第2の取付けピン48、および第3の取付けピン50が、前面機構プレート26から外方向に延びている。取付けピン46、48、および50は、ドア12の前面58上の第1のピン開口部52、第2のピン開口部54、および第3のピン開口部56と位置合わせされ、かつそれらにより受け入れられるように配置される。代替的には、ピンは、ドアの前面58から延びて、前面機構プレート26のピン開口部により受け入れられる。第1のピン46および第2のピン48は、プランジャ開口部30の上方に配置され、第3のピン50は、プランジャ開口部30の下方に位置することが好ましい。
【0013】
一実施形態では、第1のピン46および第2のピン48は、プランジャ開口部30および空洞部25の中心線31から等しい距離に位置するが、中心線31を含む垂直面から反対方向に離間される。第1のピン46および第2のピン48は、プランジャ開口部30の上方に離間された水平線上で、中心線31を通る垂直面から等距離に位置することが好ましい。
【0014】
他の実施形態では、第3のピン50は、プランジャ開口部30の中心線31を通って延びる垂直線上に位置する。第3のピン50は、プランジャ開口部30および空洞部25の中心線31から、第1のピン46および第2のピン48と同じ距離に位置することが好ましい。
【0015】
ドア12の前面58に対するピン開口部52、54、および56の深さは同一であり、またピン46、48、および50は、前面機構プレート26から、同じ距離または長さだけ外方向に延びることが好ましい。代替的には、ピン46、48、および50は、異なる長さのものとすることができ、対応する開口部52、54、および56は、完全な係合を行うために対応する深さで構成することもできる。
【0016】
3つのピン46、48、および50の自由端は、ピン開口部52、54、および56の底部に係合して、高められた剛性と、さらに負荷分散を提供し、ポンプ送りサイクル中にカセット14を支持する。剛性は、0.1ml/hと2000ml/hの間の流量範囲に維持される。大きなダイナミックレンジは、微細なモータ制御動作、および低下させた機械的コンプライアンスを用いることにより達成される。ダイナミックレンジを達成するために、ポンプ室反力は、ポンプアクチュエータ力に対して、5対1の比を必要とする。
【0017】
動作においては、枢動ピン18は、取付けブロック22の枢動ピン開口部20を通して、またドア12の底部の開口部60を通して挿入される。ドア12は、ピン46、48、および50が、開口部52、54、および56内に受け入れられるように閉じた位置へと枢動される。ドアロック62は、閉じた位置でドア12を維持するために係合される。ロックされると、モータ32が活動化されて、プランジャ28をカセット14に係合させ、流体が流れるようにする。
【0018】
このように、少なくとも、述べられた目的のすべてを満たすドア取付け安定化システムが開示された。