(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557303
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】手持ち式機器
(51)【国際特許分類】
H02K 5/00 20060101AFI20190729BHJP
A45D 1/00 20060101ALI20190729BHJP
H02K 5/24 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
H02K5/00 A
A45D1/00 501Z
A45D1/00 503C
A45D1/00 501D
A45D1/00 504Z
A45D1/00 505D
A45D1/00 507C
A45D1/00 502B
H02K5/24 Z
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-165611(P2017-165611)
(22)【出願日】2017年8月30日
(65)【公開番号】特開2018-38257(P2018-38257A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2017年8月30日
(31)【優先権主張番号】1614660.7
(32)【優先日】2016年8月30日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508032310
【氏名又は名称】ダイソン テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】ギャヴィン ジョン ギャリガン
【審査官】
三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−023798(JP,A)
【文献】
特開2004−262286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00
A45D 1/00
H02K 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁と内壁とを有するハンドルと、
前記内壁内のハウジング内に収容されたモータと、
を備えた手持ち式機器であって、
前記モータと前記ハウジングとの間に、モータ取付要素が設けられ、
前記モータ取付要素は、
前記モータの周りに延在する柔軟なスリーブと、
当該モータ取付要素の周方向周りに一列に配置されて前記ハウジングに向かって延在する複数の区分された突出部と、
当該モータ取付要素の周方向周りに延在する第2の一列の複数の区分された突出部と、
を有しており、
前記ハウジングは、
前記モータ取付要素を当該ハウジング内に支持するための2つの環状着座部と、
前記複数の区分された突出部を受容するために前記内壁の内面の周方向周りに延在する凹部と、
前記第2の一列の複数の区分された突出部を受容するために前記内壁の内面の周方向周りに延在する第2凹部と、
を有しており、
前記内壁は、円弧形状となっており、
前記内壁の前記内面は、前記凹部と前記第2凹部との間において前記モータ取付要素から径方向外側に凸状となっている
ことを特徴とする手持ち式機器。
【請求項2】
前記モータ取付要素は、当該モータ取付要素の外面の周方向周りに延在するリップシールを有している
ことを特徴とする請求項1に記載の手持ち式機器。
【請求項3】
前記リップシールは、前記モータ取付要素の軸方向の中心に位置している
ことを特徴とする請求項2に記載の手持ち式機器。
【請求項4】
前記円弧形状は、前記リップシールが前記内壁の前記内面と係合するような大きさとなっている
ことを特徴とする請求項2または3に記載の手持ち式機器。
【請求項5】
当該機器は、ヘアケア機器である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の手持ち式機器。
【請求項6】
前記ヘアケア機器は、ホットスタイリング機器である
ことを特徴とする請求項5に記載の手持ち式機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手持ち式機器に関しており、特には、ホットスタイリング装置のようなヘアケア機器に関している。
【背景技術】
【0002】
多くの手持ち式機器は、ファン及びモータを有するファンユニットを備えている。電気モータは、次第に洗練されてきており、現在の設計では、より高い回転速度が可能となっている。電気モータのそのような1つの設計は、本件出願人によって手持ち式バキュームクリーナの分野で利用されているブラシレスDCモータである。それは、100Krpm程度の回転速度で駆動され得る。
【0003】
バキュームクリーナ、ファン、及び、エアケア機器のような流体移動機器における高速モータの利用は、技術的に魅力的である。なぜなら、物理的に小型のモータが装備されたファンユニットは、大変高い流体流量をもたらし得るからである。
【0004】
しかしながら、特に手持ち式機器の場合、モータは、機器の重量の有意な部分を形成し得る。従って、当該機器が落下する際、モータは、損傷と、そのハウジングからの分離と、から保護されなければならない。
【0005】
モータを保護する1つの態様は、モータの周りに保護スリーブを設けることである。しかしながら、この保護スリーブすなわちモータ取付要素とハウジングとの間の何らかの接触が、振動及びノイズのモータからハウジングへの伝達路を提供してしまう。従って、最小の接触を有することが有利であるが、最小の接触は、モータのハウジングからの分離を防ぐための十分な接触を提供しないかもしれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、最小の接触によるノイズ伝達の低減と、ハウジング内でのモータの十分な保持と、の間のバランスを見出すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外壁と内壁とを有するハンドルと、前記内壁内のハウジング内に収容されたモータと、を備えた手持ち式機器であって、前記モータと前記ハウジングとの間に、モータ取付要素が設けられ、前記モータ取付要素は、前記モータの周りに延在して、当該モータ取付要素の径方向周りに一列に配置されて前記ハウジングに向かって延在する複数の区分された突出部を有する、柔軟なスリーブを有し、前記ハウジングは、前記モータ取付要素を当該ハウジング内に支持するための2つの環状着座部を有しており、前記ハウジングは、前記複数の区分された突出部を受容するために前記内壁の内面の径方向周りに延在する凹部を有していることを特徴とする手持ち式機器を提供する。
【0008】
好適には、前記モータ取付要素は、当該モータ取付要素の径方向周りに延在する第2の一列の複数の区分された突出部を有しており、前記ハウジングは、前記第2の一列の複数の区分された突出部を受容するために前記内壁の内面の径方向周りに延在する第2凹部を有している。
【0009】
好適な実施形態では、前記凹部と前記第2凹部との間において、前記内壁は、円弧形状となっている。
【0010】
好適には、前記凹部と前記第2凹部との間において、前記内壁の前記内面は、凸状となっている。
【0011】
好適な実施形態では、前記凹部と前記第2凹部との間において、前記内壁の前記内面は、前記モータ取付要素から離れるように曲がっている。
【0012】
好適には、前記モータ取付要素は、当該モータ取付要素の外面の径方向周りに延在するリップシールを有している。
【0013】
好適な実施形態では、前記リップシールは、前記モータ取付要素の周りの略中心に位置している。
【0014】
好適には、前記円弧形状は、前記リップシールが前記内壁の前記内面と係合するような大きさとなっている。
【0015】
好適な実施形態では、当該機器は、ヘアケア機器であり、更に好適には、ホットスタイリング機器である。
【0016】
本発明は、添付の図面を参照して、例示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明によるユーザインタフェースが用いられ得る機器を示している。
【
図2】
図2は、本発明によるハンドルの縦断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び
図1を参照して、手持ち式機器10の一例が図示されている。機器は、ハンドル210と、ヘアスタイリングのためのアタッチメント20と、を備えている。ユーザが様々なスタイルを生成することを可能にするべく、また、機器に複数の機能性を与えるべく、アタッチメント20は取り外し可能であり、別のアタッチメントと交換され得る。また、アタッチメント20は、非使用時においても、機器のより容易な保管を許容するべく、取り外され得る。ハンドル210は、幾つかの異なる加熱設定及び流量設定の間でユーザが選択することを可能にする、幾つかの様々なユーザ作動ボタン38、138を含んでいる。ハンドル210は、PCB(印刷回路基板)90と、ファンとモータとを有するファンユニット70と、ヒータ80と、を有している。使用時、ファンユニット70は、流体入口部212を介して流体を引き入れ、流体はPCB90を通過して、ファンユニット70及びヒータ80を通され、アタッチメント20の流体出口部22から放出される。
【0019】
特に
図3を参照して、
モータは、モータ取付要素100に収容されており、モータ取付要素100は、
モータの周りに延在している。モータ取付要素100は、略円筒形状の柔軟なスリーブ112であり、第1開口端114と第2開口端116とを有している。第1開口端114と第2開口端116との両方の直径は、スリーブ112の直径と実質的に等しい。モータ取付要素100ないしスリーブ112は、ヘアドライヤ10のハンドル
210の長手方向軸X−Xと一致しているか、それと平行である長手方向軸Y−Yに沿って延びている。第1開口端114と第2開口端116とは、スリーブ112の長手方向軸Y−Yに垂直な面内に存在している。
【0020】
スリーブ112の形態が、チャンバ118を規定している。チャンバ118の中に、モータとインペラとを有するファンユニット70が受容されている。ファンユニット70は、スリーブ112の開口端114、116を介してチャンバ118の中に受容される。スリーブ112は、ポリマーのような柔軟材料で構成されており、ファンユニット70の外面上で引っ張られ得て、必要な場合、伸展され得る。これにより、スリーブ112の内面122は、靴下のように、ファンユニット70の周りに緊密な適合を形成する。一対の環状の内側フランジ124が、スリーブの内面122から径方向内側へと延在している。これらのフランジ124は、チャンバ118の範囲を規定して、ファンユニット70をスリーブ112に対する所定位置に保持するようになっている。内面122は、本実施形態では、ファンユニット70の円筒形の外形輪郭にぴったり倣うように、円滑である。
【0021】
ファンユニット70は、簡単のため、及び、モータ取付要素100の細部を難解にしないため、概略的に図示されている。ファンユニットは、本発明の概念にとって中心的でないので、詳細には説明されない。また、本実施形態では、ファンユニット70の全体がモータ取付要素100内に収容されているが、これも必須ではない。ファンは、モータ取付要素100の外部にあってもよい。
【0022】
モータ取付要素100の1つの目的は、フファンユニット70の周りに適合して、ファンユニット70の外部ケースと、当該ファンユニット70が設置される装置の内面と、の間で絶縁インタフェースとして作用することである、モータ取付要素100の当該絶縁特性を高めるために、スリーブ112には、ノイズ減衰手段が設けられている。本実施形態では、ノイズ減衰手段は、2列の突出要素132、134の形態をとっている。それらは、モータ取付要素100の外面130の径方向周りに間隔を空けて設けられている。
【0023】
各突出要素132、134は、直円錐として形成されたスタッドであり、その各々は鋭い先端を規定している。それは、頂部136としても言及され、スリーブ112から離れるように向いている。
【0024】
モータによるファンユニット70のインペラの回転は、振動を生成する。当該振動は、モータ取付要素100を介してハンドル210に向かって伝達される。機器の目的に依存して、モータ取付要素100とハウジング250との間に位置する少なくとも1つの環状シール260が、モータハウジングとファンユニット70との重量下で圧縮されて、シール係合面ないしフランジ262とシール係合状態になっている。環状シール260は、従って、ハウジング250の内面220aとモータ取付要素100の外面100aとの間に延びる経路に沿って主たる空気流が進行してしまうことを防ぐだけでなく、これら振動のフランジ262及びハンドル210への伝達を低減する。モータ取付要素100とハウジング250との間の突出要素134、136の存在が、モータ取付要素100であるスリーブ112を介してのケーシングの内壁220aへの振動伝達を抑制する。複数の要素134、136の柔軟性が、それらがハウジング250に対して軸方向にも径方向にも撓むことを許容する。これが、ファンユニットからの振動の伝達を低減させる。
【0025】
第2タイプの突出要素が、スリーブ112の周りに延在するリップシール140である。リップシール140は、比較的大きな面積でハウジングに接触するが、当該リップシール140は、ファンユニットとハウジングとの間にシールを生成することのみが意図されていて、ファンユニットの径方向振動を吸収することは意図されていない。結果的に、リップシールは、当該シールがファンユニットの径方向振動にとっての比較的適切でない(poor)伝達を提供するように構成されるかもしれない。特に、当該シールの径方向のコンプライアンス(compliance)は、突出要素のそれよりも大きいかもしれない。結果的に、ハウジングに対するファンユニットの径方向振動は、リップシール140ではなく、突出要素134、136によって対抗(抵抗)されることになる。
【0026】
本実施形態では、リップシール140は、スリーブ112の長さに沿った略中央に位置している。もっとも、リップシール140は、突出要素132、134の機能と干渉しない限りにおいて、スリーブ112の長さに沿った任意の場所に配置され得る。
【0027】
内壁220は、ハウジング250を含んでいる。そして、ハウジング250は、一対の環状着座部260を含んでいる。環状着座部260の各々は、内壁220の径方向内側に延在しており、ハウジング250内でのモータ取付要素100の位置を規定している。各環状着座部260は、モータ取付要素100の各端114、116に係合して、ハウジング250内にモータ取付要素100を保持している。各環状着座部260には、ハウジング250及び内壁220の径方向内側に延在するフランジ262が設けられていて、当該フランジ262は、モータ取付要素100の端部114、116と係合するようになっている。
【0028】
モータは、機器10において比較的重い構成要素であり、柔軟なモータ取付要素100の内部に、ノイズ低減のため最小の接触で収容されている。従って、機器が落下した場合、ハウジング250から離れるファンユニット70には多くの抵抗が存在しない。ファンユニット70をその正しい位置に保持することを助けるために、ハウジング250には、当該ハウジング250内の内壁220の内面220aの径方向周りに延在する一対の凹部270が設けられている。当該一対の凹部は、それぞれ、モータ取付要素100の外面130の径方向周りに間隔を空けて設けられた2列の突出要素132、134の一方を、受容するようになっている。
【0029】
一対の凹部270は、第1フランジ272及び第2フランジ274によって規定された内壁220の内面220a周りのチャネルである。第1フランジ272及び第2フランジ274の各々は、機器10の長手方向軸X−Xに直交している。通常、突出要素132、134は、第1フランジ272及び第2フランジ274の間の一対の凹部270のそれぞれの一方で保持される。
【0030】
一対の凹部270の間で、ハウジング250は、湾曲壁252を有している。その曲率は、凸状であり、モータ取付要素100及びモータ取付要素100の長手方向軸Y−Yに対して径方向外方である。湾曲壁252は、例えば機器が十分な高さから落下した場合のファンユニット70のハウジング250に対する動きによって突出要素132、134の1または複数が各凹部270から引き出されてしまった場合に、突出要素132、134を各凹部270内に再配置することをアシストする。
【0031】
湾曲壁252は、モータ取付要素100の外周の周りのリップシール140と係合する。リップシール140は、これを達成する十分な長さを有しているか、あるいは、円弧形状が、リップシールが内壁の内面と係合するようなサイズとなっている。
【0032】
本発明は、ホットスタイリング装置に関して詳細に説明されたが、流体を引き込んで当該機器からの当該流体の出力流を指向させる任意の機器に適用可能である。
【0033】
当該機器は、ヒータと共に用いられ得るし、ヒータ無しでも用いられ得る。高速での流体出力流の作用は、乾燥作用である。
【0034】
当該機器を通って流れる流体は、一般的には空気であるが、任意の単一の気体や気体の様々な組み合わせであり得るし、当該機器の性能や、当該機器が対象物(例えば、ヘア)上に有する衝撃や、当該ヘアのスタイリングを改善するための添加剤を含み得る。
【0035】
前述の実施形態では、スリーブは円筒形である。しかしながら、これは、本発明にとって必須ではない。スリーブは、代わりに、異なる断面輪郭を有し得る。ここで、当該輪郭は、モータケーシングの円筒形輪郭に適合する場合には、円筒形である。なぜなら、スリーブは、モータケーシングの外面に倣うべきだからである。従って、スリーブは、モータの外側ケーシングに適合するよう要求される輪郭を有し得る。もっとも、円筒形のモータケーシングが、最も一般的である。
【0036】
本発明は、前述の詳細な説明に限定されない。修正が、当業者に明らかである。