特許第6557306号(P6557306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6557306サイズ排除クロマトグラフィーを行うための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557306
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】サイズ排除クロマトグラフィーを行うための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/281 20060101AFI20190729BHJP
   B01J 20/285 20060101ALI20190729BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20190729BHJP
   G01N 30/74 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   B01J20/281 X
   B01J20/281 G
   B01J20/281 Y
   B01J20/285
   G01N30/88 J
   G01N30/88 P
   G01N30/74 Z
【請求項の数】14
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2017-185787(P2017-185787)
(22)【出願日】2017年9月27日
(62)【分割の表示】特願2012-544765(P2012-544765)の分割
【原出願日】2010年12月15日
(65)【公開番号】特開2018-21929(P2018-21929A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2017年10月26日
(31)【優先権主張番号】61/286,582
(32)【優先日】2009年12月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/355,970
(32)【優先日】2010年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509131764
【氏名又は名称】ウオーターズ・テクノロジーズ・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エドアール・エス・ピー・ブービエ
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・デイー・ウインダム
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・エイチ・ウオルター
(72)【発明者】
【氏名】ウーベ・デー・ノイエ
【審査官】 磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−501509(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/126207(WO,A1)
【文献】 米国特許第06375846(US,B1)
【文献】 特表2009−540276(JP,A)
【文献】 特表2008−503716(JP,A)
【文献】 特開2003−279553(JP,A)
【文献】 WYNDHAM, K.D., et al.,Characterization and Evaluation of C18 HPLC Stationary Phases Based on Ethyl-Bridged Hybrid Organic/Inorganic Paricles,analytical chemistry,米国,2003年11月15日,Vol. 75, No. 24,pp. 6781-6788,URL,http://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/ac034767w
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 − 30/96
B01J 20/281− 20/292
CAplus(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイズ排除クロマトグラフィーを行うための装置であって、
入口および出口を有するチャンバを画成する少なくとも1つの壁を有するハウジング、
および
前記チャンバ内に保持されたコアおよび表面組成物を含む粒子を含む固定相材料
を含み、
前記固定相材料が、式1:
W−[X]−Q
式1
(式中、
Xは、シリカコア材料、または金属酸化物コア材料、またはこれらのブロックポリマーの一群を含む表面を有するコア組成物であり;
Wは、ヒドロキシルであり;および
Qは、−Si(OCH−(CH−O−CH−CH(OH)CHOH、又は−Si(OCH−(CH−O−CH−CH(OH)CHOHと−Si(OCH−(CH−O−CH−CHOCHとの混合物である。)
によって表され、
固定相材料の粒子が、0.4−3.0マイクロメートルの平均粒径分布を有する直径を有する、サイズ排除クロマトグラフィーを行うための装置。
【請求項2】
WおよびQが、コア組成物(X)のまたは前記コア組成物の表面の自由原子価を占有する、請求項1に記載のサイズ排除クロマトグラフィーを行うための装置。
【請求項3】
固定相材料の粒子が、1.0−3.0マイクロメートルの平均粒径分布を有する直径を有する、請求項1に記載のサイズ排除クロマトグラフィーを行うための装置。
【請求項4】
固定相材料の粒子が0.8から1.7cm/gの細孔容積を有する、請求項1に記載のサイズ排除クロマトグラフィーを行うための装置。
【請求項5】
チャンバが、6,895MPa(1,000psiより大きいカラム入口圧でサイズ排除クロマトグラフィーを行うことができる、請求項1に記載のサイズ排除クロマトグラフィーを行うための装置。
【請求項6】
Xが、シリカコア、酸化チタンコア、または酸化アルミニウムコアである、請求項1に記載のサイズ排除クロマトグラフィーを行うための装置。
【請求項7】
ハウジングが、固定相材料を収容するために1つ以上のフリットを装備している、請求項1に記載のサイズ排除クロマトグラフィーを行うための装置。
【請求項8】
ハウジングが、試料注入装置、検出器または両方と流体連通した状態に装置を配置することができる1つ以上の取付具を装備している、請求項1に記載のサイズ排除クロマトグラフィーを行うための装置。
【請求項9】
サイズ排除クロマトグラフィーを行う方法であって、
A.)入口および出口を有するチャンバを画成する少なくとも1つの壁を有するハウジングと、前記チャンバ内に保持されたコアおよび表面組成物を含む粒子を含む固定相材料とを用意する段階であり、
前記固定相材料は、式1:
W−[X]−Q
式1
(式中、
Xは、シリカコア材料、または金属酸化物コア材料、またはこれらのブロックポリマーの一群を含む表面を有するコア組成物であり;
Wは、ヒドロキシルであり;および
Qは、−Si(OCH−(CH−O−CH−CH(OH)CHOH、又は−Si(OCH−(CH−O−CH−CH(OH)CHOHと−Si(OCH−(CH−O−CH−CHOCHとの混合物である。)
によって表され、固定相材料の粒子が、0.4−3.0マイクロメートルの平均粒径分布を有する直径を有する、段階;
B.)前記チャンバ内の前記固定相材料に試料を6,895MPa(1,000psiより大きいカラム入口圧で負荷し、および前記固定相媒体を通して前記試料を流す段階;および
C.)試料をサイズによって1つ以上の組成物に分離する段階
を含む方法。
【請求項10】
D.)1つ以上の組成物を単離する段階
をさらに含む、請求項のサイズ排除クロマトグラフィーを行う方法。
【請求項11】
E.)1つ以上の組成物を検出する段階
をさらに含む、請求項のサイズ排除クロマトグラフィーを行う方法。
【請求項12】
D.)1つ以上の組成物を単離する段階;および
E.)1つ以上の組成物を検出する段階
をさらに含む、請求項のサイズ排除クロマトグラフィーを行う方法。
【請求項13】
試料がバイオポリマーである、請求項のサイズ排除クロマトグラフィーを行う方法。
【請求項14】
試料が合成有機ポリマーである、請求項のサイズ排除クロマトグラフィーを行う方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年12月15日に出願された米国特許仮出願第61/286,582号、および2009年6月17日に出願された同第61/355,970号の優先権を主張するものであり、これらの仮出願の全開示をこの参照により本明細書に組み込む。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、サイズ排除クロマトグラフィーを行うための装置および方法に関する。本発明の実施形態は、通常の高速液体クロマトグラフィーまたは超高速液体クロマトグラフィー圧でのサイズ排除クロマトグラフィーのための装置および方法、とりわけ小粒子を使用する上記装置および方法を特徴とする。
【背景技術】
【0003】
本出願では以下の用語を使用する。用語は、該用語が出現する本文の文脈が別の意味を必要としない限り下で定義するとおりである。
【0004】
クロマトグラフィーは、混合物中に見出される1つ以上の化合物を濃縮または単離するための分離方法である。化合物は、通常、試料中に存在する。本文書では、個人が分析することを望む任意の混合物を表すために広く「試料」という用語を用いる。用語「混合物」は、1つ以上の溶解した化合物を含有する流体という意味で用いる。この流体は、水ならびに/または他の液体およびガスを含み得る。対象となる化合物を分析物と称する。
【0005】
クロマトグラフィーは、示差泳動法である。混合物中の化合物は、クロマトグラフカラムを異なる速度で通り抜け、この結果、これらの化合物が分離されることとなる。この泳動は、粒子の充填層または多孔質モノリス構造(固定相と呼ばれる。)に関連して、流体相(移動相と称される。)の対流により発生する。一部のクロマトグラフィーモードでは、固定相および移動相と分析物の親和性の差によって示差泳動が発生する。
【0006】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、混合物中の分析物を流体力学的半径に基づいて分離または単離するタイプのクロマトグラフィーである。SECでは、多孔質固定相媒体の容積を探索する分析物の能力の差のため、分離が発生する。例えば、A.M.Striegel et.al.Modern Size−Exclusion Chromatography:Practice of Gel Permeation and Gel Filtration Chromatography,2nd Edition,Wiley,NJ,2009を参照のこと。SECは、一般的に大分子または分子複合体の分離に用いられる。例えば、限定ではないが、生物起源の多くの大分子、例えばデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、タンパク質、多糖類ならびにこれらの断片および複合体がSECによって分析される。合成ポリマー、プラスチックおよびこれらに類するものもSECによって分析される。
【0007】
SECは、粒子の充填層を有するカラムを使用して通常は行われる。粒子の充填層は、移動相が貫流することとなる分離媒体または固定相である。カラムは、ポンプおよび試料インジェクタと流体連通した状態に配置される。試料混合物は、試料インジェクタにより加圧しながらカラムに負荷され、ポンプによって混合物および移動相がカラムに通される。混合物中の化合物はカラムから脱離または溶出し、最も大きい化合物が最初に出て最も小さい分子が最後に離れる。
【0008】
カラムは、溶液がカラムから出るにつれて溶液の性質の変化を検出することができる検出器と流体連通した状態に配置される。検出器は、これらの変化をクロマトグラムと称されるプロットとして登録および記録することとなり、このクロマトグラムを用いて分析物の存在または不在を判定する。分析物がカラムを離れる時間が、この分子のサイズの指標である。分子の分子量は、標準検量線を用いて概算することができる。サイズ排除クロマトグラフィーに使用される検出器の例は、限定ではないが、屈折率検出器、UV検出器、光散乱検出器および質量分析計である。
【0009】
分析時間を早めるために5,000psiより大きい圧力および速い流速で動作することができる、SEC技術で使用するためのカラムを有することが望まれる。追加のまたは増加された効率および分解能;低減された溶剤使用量;ならびに先進の検出器との向上した互換性を有することも望まれる。高度に再現性のある結果を生じさせるために明確な細孔構造および粒径を有する固定相を備えたカラムを有することが望まれる。最後に、生物学的ポリマーと相溶性である表面修飾が施されている固定相を備えたカラムを有することが望まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】A.M.Striegel et.al.Modern Size−Exclusion Chromatography:Practice of Gel Permeation and Gel Filtration Chromatography,2nd Edition,Wiley,NJ,2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の実施形態は、SECを行うための装置および方法に関する。本発明の実施形態は、分析時間を早めるために、約1,000psiから約10,000psi以上にわたる通常の高速液体クロマトグラフィー圧(HPLC)および超高速液体クロマトグラフィー圧(UHPLC)ならびに速い流速で動作する。本発明の実施形態は、高度に再現性のある結果を生じさせるために明確な細孔構造および粒径を有する固定相を特徴とする。また、本発明の実施形態は、生物学的ポリマーと相溶性である表面修飾が施されている固定相を特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1つの態様において、本発明は、サイズ排除クロマトグラフィーを行うための装置を提供し、この装置は、
入口および出口を有するチャンバを画成する少なくとも1つの壁を有するハウジングと、
前記チャンバ内に保持されたコアおよび表面組成物を含む固定相材料と
を含み、前記固定相材料は、式1:
W−[X]−Q
式1
によって表される粒子またはモノリスを含み
式中、
Xは、シリカコア材料、金属酸化物コア材料、有機−無機ハイブリッドコア材料またはこれらのブロックポリマーの一群を含む表面を有するコア組成物であり;
Wは、水素またはヒドロキシルであり;および
Qは、不在であり、または分析物との静電相互作用、ファンデルワールス相互作用、水素結合性相互作用もしくは他の相互作用を最小にする官能基である。
【0013】
本発明によるサイズ排除クロマトグラフィーを行うための装置の一定の実施形態において、WおよびQは、コア組成物(X)のまたはコア組成物の表面の自由原子価を占有する。
【0014】
本発明の装置の他の実施形態において、WおよびQは、表面組成物を形成するために選択される。他の実施形態において、Xは、ブロックポリマーまたはブロックポリマー群を形成するために選択される。
【0015】
さらに他の実施形態において、固定相材料は、粒子を含む。固定相が粒子を含む本発明の装置の実施形態において、粒状固定相材料の粒子は、0.4−3.0マイクロメートル;0.5−3.0;0.6−3.0;0.7−3.0;0.9−3.0または1.0−3.0マイクロメートルの平均粒径分布を有する直径を有し得る。
【0016】
本発明の装置の他の実施形態において、固定相材料はモノリスを含む。固定相材料が粒子を含む本発明の装置の実施形態において、固定相材料のモノリスは、0.4−3.0マイクロメートル;0.5−3.0;0.6−3.0;0.7−3.0;0.9−3.0または1.0−3.0マイクロメートルの平均粒径分布を有する粒子を充填した粒子層のクロマトグラフィー効率および透過率を示す。本発明の装置の他の実施形態において、固定相材料の粒子またはモノリスは、0.8から1.7cm/g;0.9から1.6cm/g;1.0から1.5cm/g;または1.1から1.5cm/gの細孔容積を有する。
【0017】
本発明の装置のさらに他の実施形態において、チャンバは、1,000psiより大きい;2,000psiより大きい;3,000psiより大きい;4,000psiより大きい;5,000psiより大きい;6,000psiより大きい;7,000psiより大きい;8,000psiより大きい;9,000psiより大きい;10,000psiより大きい;15,000psiより大きい;または20,000psiより大きいカラム入口圧でサイズ排除クロマトグラフィーを行うことができる。さらに他の実施形態において、カラム入口圧は、約1,000psiから約20,000psi;約5,000psiから約20,000psi;約7,000psiから約20,000psi;約10,000psiから約20,000psi;約1,000psiから約15,000psi;または約5,000psiから約15,000psiである。
【0018】
本発明の装置の一定の実施形態において、Xは、シリカコア、酸化チタンコア、酸化アルミニウムコア、有機−無機ハイブリッドコア、または脂肪族架橋シランを含む有機−無機ハイブリッドコアである。
【0019】
特定の実施形態において、Xは、脂肪族架橋シランを含む有機−無機ハイブリッドコアである。一定の他の特定の実施形態において、脂肪族架橋シランの脂肪族基はエチレンである。
【0020】
本発明の装置の他の実施形態において、Qは、親水性基、疎水性基または不在である。
【0021】
本発明の一部の実施形態において、Qが親水性基である場合、Qは脂肪族基である。他の実施形態において、前記脂肪族基は脂肪族ジオールである。
【0022】
さらに他の実施形態において、Qは、式2
【0023】
【化1】
によって表され、式中、
は、0−30の整数であり;
は、0−30の整数であり;
、R、RおよびRの各存在は、水素、フルオロ、低級アルキル、保護もしくは脱保護アルコール、双性イオンまたは基Zを独立して表し;
Zは、
a)固定相材料の表面と式3:
(B(R(RSi−
式3:
(式中、
xは、1−3の整数であり、
yは、0−2の整数であり、
zは、0−2の整数であり、および
x+y+z=3であり、
およびRの各存在は、メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソプロピル、テキシル、置換もしくは非置換アリール、環式アルキル、分岐アルキル、低級アルキル、保護もしくは脱保護アルコールまたは双性イオン基を独立して表し;
は、−OR、−NR7’7’’、−OSOCFまたは−Clを表し、この場合のR、R7’およびR7’’のそれぞれは、水素、メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソプロピル、テキシル、フェニル、分岐アルキルまたは低級アルキルを表す。);
の部分の間での共有もしくは非共有結合の形成により生成される表面連結基;
b)直接炭素−炭素結合形成による、またはヘテロ原子、エステル、エーテル、チオエーテル、アミン、アミド、イミド、尿素、カルボナート、カルバマート、複素環、トリアゾールもしくはウレタン結合によるXの表面ハイブリッド基への直接的連結;または
c)固定相材料の表面に共有結合で連結されていない吸着基;
d)Wが水素であるとき、反応により固定相材料の表面とビニルもしくはアルキニル基の間に共有結合を形成することによって生成される表面連結基
を表し;
Yは、直接結合;ヘテロ原子結合;エステル結合;エーテル結合;チオエーテル結合;アミン結合;アミド結合;イミド結合;尿素結合;チオ尿素結合;カルボナート結合;カルバマート結合;複素環結合;トリアゾール結合;ウレタン結合;ジオール結合;ポリオール結合;スチレン、エチレングリコールもしくはプロピレングリコールのオリゴマー;スチレン、エチレングリコールもしくはプロピレングリコールのポリマー;炭水化物基、多分岐型(multi−antennary)炭水化物、デンドリマーもしくはデンドリグラフ(dendrigraph)または双性イオン基を表し;および
Aは、
i.)親水性末端基;
ii.)水素、フルオロ、フルオロアルキル、低級アルキルもしくは基Z;または
iii.)官能化可能な基
を表す。
【0024】
本発明の装置の一定の実施形態において、Qが式2の脂肪族ジオールである場合、nは、2−18または2−6の整数である。本発明の装置の他の実施形態において、Qが式2の脂肪族ジオールである場合、nは、0−18または0−6の整数である。本発明の装置のさらに他の実施形態において、Qが式2の脂肪族ジオールである場合、nは2−18の整数であり、およびnは0−18の整数である;nは2−6の整数であり、およびこの場合のnは0−18の整数である;nは2−18の整数であり、およびnは0−6の整数である;またはnは2−6の整数であり、およびnは0−6の整数である。
【0025】
本発明の装置のさらに他の実施形態において、Qが式2の脂肪族ジオールである場合、Aは、i)親水性末端基を表し、および親水性末端基は、保護または脱保護形のアルコール、ジオール、グリシジルエーテル、エポキシ、トリオール、ポリオール、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールエトキシラート、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンポリグリコールエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、一価、二価もしくは多価炭水化物基、多分岐型炭水化物、デンドリマー含有末梢親水性基、デンドリグラフ含有末梢親水性基、または双性イオン基である。
【0026】
本発明の装置のさらに他の実施形態において、Qが式2の脂肪族ジオールである場合、Aは、ii.)水素、フルオロ、メチル、エチル、n−ブチル、t−ブチル、i−プロピル、低級アルキル、フルオロアルキルまたは基Zを表す。
【0027】
本発明の装置のさらに他の実施形態において、Qが式2のものである場合、Aは、iii.)官能化可能な基を表し、および官能化可能な基は、保護または脱保護形のアミン、アルコール、シラン、アルケン、チオオール、アジドまたはアルキンである。一部の実施形態において、前記官能化可能な基は、後続の反応段階において新たな表面基を生じさせることができ、反応段階は、カップリング、メタセシス、ラジカル付加、ヒドロシリル化、縮合、クリックまたは重合である。
【0028】
本発明の装置の一定の実施形態において、Zは、直接炭素−炭素結合形成による、またはヘテロ原子、エステル、エーテル、チオエーテル、アミン、アミド、イミド、尿素、カルボナート、カルバマート、複素環、トリアゾールもしくはウレタン結合による表面ハイブリッド基への直接的連結を表す。
【0029】
他の実施形態において、Zは、材料の表面に共有結合で連結されていない吸着された表面の基を表す。この表面基は、架橋ポリマーまたは他の吸着された表面基であり得る。例としては、アルコール、アミン、チオール、ポリアミン、デンドリマーまたはポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
本発明の装置の一部の実施形態において、ハウジングは、固定相材料を収容するために1つ以上のフリットを装備している。他の実施形態において、ハウジングは、試料注入装置、検出器または両方と流体連通した状態に装置を配置することができる1つ以上の取付具を装備している。
【0031】
もう1つの態様において、本発明は、サイズ排除クロマトグラフィーを行う方法を提供し、この方法は、
A.)入口および出口を有するチャンバを画成する少なくとも1つの壁を有するハウジングと、前記チャンバ内に保持されたコアおよび表面組成物を含む固定相材料とを用意する段階であり、
前記固定相材料は、式1:
W−[X]−Q
式1
によって表される、コア組成物と表面組成物とを有する、粒子を含み
式中、
Xは、シリカコア材料、金属酸化物コア材料、有機−無機ハイブリッドコア材料またはこれらのブロックポリマーの一群を含む表面を有するコア組成物であり;
Wは、水素またはヒドロキシルであり;および
Qは、不在であり、または分析物との静電相互作用、ファンデルワールス相互作用、水素結合性相互作用もしくは他の相互作用を最小にする官能基である
段階、
B.)前記チャンバに試料を1,000psiより大きいカラム入口圧で負荷して、固定相媒体を通して試料を流す段階;および
C.)前記試料をサイズによって1つ以上の組成物に分離する段階
を含む。
【0032】
本発明の方法の一定の実施形態において、カラム入口圧は、2,000psiより大きい;3,000psiより大きい;4,000psiより大きい;5,000psiより大きい;6,000psiより大きい;7,000psiより大きい;8,000psiより大きい;9,000psiより大きい;10,000psiより大きい;15,000psiより大きい;または20,000psiより。さらに他の実施形態において、カラム入口圧は、約1,000psiから約20,000psi;約5,000psiから約20,000psi;約7,000psiから約20,000psi;約10,000psiから約20,000psi;約1,000psiから約15,000psi;または約5,000psiから約15,000psiである。
【0033】
本発明の方法のもう1つの実施形態において、方法は、
D.)1つ以上の組成物を単離する段階
をさらに含む。
【0034】
本発明の方法のさらにもう1つの実施形態において、方法は、
E.)1つ以上の組成物を検出する段階
をさらに含む。
【0035】
本発明の方法のさらにもう1つの実施形態において、方法は、
D.)1つ以上の組成物を単離する段階;および
E.)1つ以上の組成物を検出する段階
をさらに含む。
【0036】
本発明の方法の一定の実施形態において、この場合の試料はバイオポリマーである。試料がバイオポリマーである実施形態において、Qは親水性である。一部の実施形態において、Qは脂肪族基である。他の実施形態において、前記脂肪族基は脂肪族ジオールである。さらに他の実施形態において、Qは、式2
【0037】
【化2】
によって表され、式中、
は、0−30の整数であり;
は、0−30の整数であり;
、R、RおよびRの各存在は、水素、フルオロ、低級アルキル、保護もしくは脱保護アルコール、双性イオンまたは基Zを独立して表し;
Zは、
a)固定相材料の表面と式3:
(B(R(RSi−
式3:
(式中、
xは、1−3の整数であり、
yは、0−2の整数であり、
zは、0−2の整数であり、および
x+y+z=3であり、
およびRの各存在は、メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソプロピル、テキシル、置換もしくは非置換アリール、環式アルキル、分岐アルキル、低級アルキル、保護もしくは脱保護アルコールまたは双性イオン基を独立して表し;
は、−OR、−NR7’7’’、−OSOCFまたは−Clを表し、この場合のR、R7’およびR7’’のそれぞれは、水素、メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソプロピル、テキシル、フェニル、分岐アルキルまたは低級アルキルを表す。);
の部分の間での共有もしくは非共有結合の形成により生成される表面連結基;
b)直接炭素−炭素結合形成による、またはヘテロ原子、エステル、エーテル、チオエーテル、アミン、アミド、イミド、尿素、カルボナート、カルバマート、複素環、トリアゾールもしくはウレタン結合によるXの表面ハイブリッド基への直接的連結;または
c)固定相材料の表面に共有結合で連結されていない吸着基;
d)Wが水素であるとき、反応により固定相材料の表面とビニルもしくはアルキニル基の間に共有結合を形成することによって生成される表面連結基
を表し;
Yは、直接結合;ヘテロ原子結合;エステル結合;エーテル結合;チオエーテル結合;アミン結合;アミド結合;イミド結合;尿素結合;チオ尿素結合;カルボナート結合;カルバマート結合;複素環結合;トリアゾール結合;ウレタン結合;ジオール結合;ポリオール結合;スチレン、エチレングリコールもしくはプロピレングリコールのオリゴマー;スチレン、エチレングリコールもしくはプロピレングリコールのポリマー;炭水化物基、多分岐型炭水化物、デンドリマーもしくはデンドリグラフまたは双性イオン基を表し;および
Aは、
i.)親水性末端基;
ii.)水素、フルオロ、フルオロアルキル、低級アルキルもしくは基Z;または
iii.)官能化可能な基
を表す。
【0038】
本発明の他の実施形態において、試料は合成有機ポリマーである。試料が合成有機ポリマーである実施形態において、Qは疎水性部分であり得る。
【0039】
もう1つの態様において、本発明は、サイズ排除クロマトグラフィー排除クロマトグラフィー中に光散乱検出器によって得られるノイズの発生率を低減する方法を提供し、この方法は、
A.)入口および出口を有するチャンバを画成する少なくとも1つの壁を有するハウジングと、前記チャンバ内に保持されたコアおよび表面組成物を含む固定相材料とを用意する段階であり、
前記固定相材料は、式1:
W−[X]−Q
式1
によって表される粒子またはモノリスを含み
式中、
Xは、シリカコア材料、金属酸化物コア材料、有機−無機ハイブリッドコア材料またはこれらのブロックポリマーの一群を含む表面を有するコア組成物であり;
Wは、水素またはヒドロキシルであり;および
Qは、不在であり、または分析物との静電相互作用、ファンデルワールス相互作用、水素結合性相互作用もしくは他の相互作用を最小にする官能基である
段階、
B.)前記チャンバ内の前記固定相材料に試料を1,000psiより大きいカラム入口圧で負荷し、固定相媒体を通して試料を流す段階;
C.)試料をサイズによって1つ以上の組成物に分離する段階;および
D.)光散乱検出器を使用して1つ以上の組成物を検出する段階
を含む。
【0040】
さらにもう1つの態様において、本発明は、排除クロマトグラフィー中に光散乱検出器によって得られるゴーストピークの発生率を低減する方法を提供し、この方法は、
A.)入口および出口を有するチャンバを画成する少なくとも1つの壁を有するハウジングと、前記チャンバ内に保持されたコアおよび表面組成物を含む固定相材料とを用意する段階であり、
前記固定相材料は、式1:
W−[X]−Q
式1
によって表される粒子またはモノリスを含み
式中、
Xは、シリカコア材料、金属酸化物コア材料、有機−無機ハイブリッドコア材料またはこれらのブロックポリマーの一群を含む表面を有するコア組成物であり;
Wは、水素またはヒドロキシルであり;および
Qは、不在であり、または分析物との静電相互作用、ファンデルワールス相互作用、水素結合性相互作用もしくは他の相互作用を最小にする官能基である
段階、
B.)前記チャンバ内の前記固定相材料に試料を1,000psiより大きいカラム入口圧で負荷し、前記固定相媒体を通して試料を流す段階;
C.)試料をサイズによって1つ以上の組成物に分離する段階;および
D.)光散乱検出器を使用して1つ以上の組成物を検出する段階
を含む。
【0041】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、下に記載する図面を見ることおよび後続の詳細な説明を読むことにより、当業者にははっきりと理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明による装置を示す図である。
図2】本発明によるSECの結果を示す図である。
図3】本発明に従って製造したプロトタイプ「K」を充填したカラムについてのH−u曲線を示す図である。カラム寸法4.6×150mm。流速範囲0.1−0.7mL/分。
図4】プロトタイプ「D」のH−u曲線を示す図である。カラム寸法4.6×150mm。流速範囲0.1−0.7mL/分。
図5】表6に記載するとおりの材料を充填したカラムについての正規化検量線を示す図である。各曲線の線形領域から勾配を得た。
図6図5に示した各曲線について得られた比細孔容積に対する正規化勾配を示す図である。各曲線の線形範囲についての勾配を決定した。
図7】本発明に従って製造したプロトタイプ「K」を充填したカラム、4.6×150mmでのモノクローナル抗体単量体と二量体の分離に対する流速の効果を示す図である。
図8】比較カラム「L」、4.6×300mmでのモノクローナル抗体単量体と二量体の分離に対する流速の比較効果を示す図である。
図9】プロトタイプ「K」、4.6×150を充填したカラムでの段高さおよびモノクローナル抗体単量体と二量体の分離についての分解能に対する流速の効果を示す図である。
図10】比較カラム「L」、4.6×300での段高さおよびモノクローナル抗体単量体と二量体の分離についての分解能に対する流速の効果を示す図である。
図11】(1)サイログロブリン、(2)IgG1、(3)BSA、(4)ミオグロブリン、(5)ウラシルの分離に対する温度の効果を示す図である。上:プロトタイプ「K」、4.6×150mmを充填したカラム。下:比較カラム「L」、4.6×300mm。
図12】分析物の保持に対する塩タイプの効果を示す図である。移動相は、200mMの所与の塩を有する10mMリン酸ナトリウム、pH6.8から成った。リン酸塩の場合、塩濃度は100mMであった。
図13】分析物の保持に対する塩タイプの効果をさらに示す図である。移動相は、200mMの所与の塩を有する10mMリン酸ナトリウム、pH6.8から成った。リン酸塩の場合、塩濃度は100mMであった。
図14A】(a)本発明に従って製造したカラム;および(b)比較カラムを使用する塩基性タンパク質リゾチームの保持に対するイオン強度の効果を示す図である。
図14B】(a)本発明に従って製造したカラム;および(b)比較カラムを使用する塩基性タンパク質リゾチームの保持に対するイオン強度の効果を示す図である。
図15】プロトタイプ「K」を有するカラムを使用して0.2mL/分の流速で実行したBSAの分離からのクロマトグラムを示す図である。この図は、UV検出器と光散乱検出器両方からのトレースを示す。
図16】プロトタイプ「K」を有するカラムを使用して0.5mL/分の流速で実行したBSAの分離からのクロマトグラムを示す図である。この図は、UV検出器と光散乱検出器両方からのトレースを示す。
図17】比較カラムLを使用して0.3mL/分の流速で実行したBSAの分離からのクロマトグラムを示す図である。この図は、UV検出器と光散乱検出器両方からのトレースを示す。
図18】比較カラムMを使用して0.3mL/分の流速で実行したBSAの分離からのクロマトグラムを示す図である。この図は、UV検出器と光散乱検出器両方からのトレースを示す。
図19】比較カラムNを使用して0.3mL/分の流速で実行したBSAの分離からのクロマトグラムを示す図である。この図は、UV検出器と光散乱検出器両方からのトレースを示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
ここに、本発明の実施形態を、SECを行うための装置および方法として、このような装置および方法が好ましい装置および方法であるという了解のもとで詳細に説明する。このような装置および方法は、本発明者らが、本発明の最良の実施様式であると今考えているものである。このような装置および方法に修飾および改変が可能であることは当業者には理解されるであろう。
【0044】
ここで図1においては、本発明の特徴を具現する装置(番号11によって全体を示す。)が図示されている。SECを行うための装置11は、次の主要要素および成分を含む:ハウジング13および粒状固定相媒体15。
【0045】
ハウジング13は、チャンバ19を画成する少なくとも1つの壁17を有する。図示されているように、壁17は、内面21および外面23を有するシリンダーの形である。ここではカラムとして記載するが、ハウジング13、およびチャンバ19を画成する壁17には任意の形状が想定される。例えば、限定ではないが、ハウジング13は、中にチャンバ19が形成されている平面状チップ様構造であってもよい。
【0046】
図示されているように、少なくとも1つの壁17は、入口開口部25および出口開口部27を有するチャンバを画成する。入口開口部25は図1では見えにくいが、入口開口部25および出口開口部27は幾つかの特徴を共有する。入口開口部25および出口開口部27はフリットを有し、これらのうち出口開口部27に関するフリット29のみが示されている。図示されているように、フリット29は、カラム内の固定相を収容するが移動相の通過を可能ならしめる要素である。一定の実施形態において、このフリットは、焼成金属または同様の金属から成り得る。他の実施形態において、このフリットは、層を通る流体流を可能ならしめるほどに多孔質であるがこの層内に粒子を共に保持する、バインダーまたは接着剤から成り得る。さらに他の実施形態において、固定相材料はモノリスであり得る。このような実施形態では、フリット要素を必要としないことがある。
【0047】
少なくとも1つの壁17は、入口開口部25にまたは付近に第一接続手段、および出口開口部27にまたは付近に第二接続手段を有する。第一接続手段は、共働ねじ山[図示なし]により少なくとも1つの壁17に保持された取付用ナット37を含む。同様に、第二接続手段は、共働ねじ山41により少なくとも1つの壁17に保持された第二取付用ナット39を含む。第一および第二接続手段は、共働取付具、クランプ、係止溝およびこれらに類するもの[図示なし]を含むことがある。第一接続手段および第二接続手段は、はめ輪、シール、Oリングおよびこれらに類するもの[図示なし]も含むことがあり、これらは簡略化のために図から省いた。
【0048】
チャンバ17の入口開口部25は、流体および試料の供給源(番号43によりブロック略図形式で図示する。)と流体連通している。流体および試料の好ましい供給源は、約5,000psiの通常のHPLCまたはUPLC範囲の動作圧を有する。しかし、粒子および装置11には、1,000psiより大きい;2,000psiより大きい;3,000psiより大きい;4,000psiより大きい;5,000psiより大きい;6,000psiより大きい;7,000psiより大きい;8,000psiより大きい;9,000psiより大きい;または10,000psiより大きい動作圧が可能である。本発明の装置のさらに他の実施形態において、粒子および装置は、約1,000psiから約15,000psi;約5,000psiから約15,000psi;約7,000psiから約15,000psi;約10,000psiから約15,000;約1,000psiから約10,000psi;または約5,000psiから約10,000psiの圧力で動作することができる。
【0049】
ある特定の実施形態において、流体および試料の供給源は、ACQUITY(登録商標)UPLC(登録商標)分離モジュール(米国マサチューセッツ州ミルフォードのWater Corporation)である。
【0050】
チャンバ17の出口開口部27は、検出器45と流体連通している。非常に多くの検出器を利用できるが、具体的な検出器は、ACQUITY(登録商標)UPLC(登録商標)Tunable UV Detector(米国マサチューセッツ州ミルフォードのWater Corporation)である。
【0051】
粒状固定相媒体15がチャンバ17内に保持される。この粒状媒固定相媒体15は粒子を含み、これらの粒子は図1に定尺で描かれていない。これらの粒子は一般に球形であるが、クロマトグラフィーに有用ないずれの形状であってもよい。これらの粒子は一般に粒径分布を有し、平均直径は1−3マイクロメートルである。
【0052】
定義
上で用いたような用語「脂肪族基」は、1個と22個の間の炭素原子を概して有する直鎖または分岐鎖を特徴とする有機化合物を含む。
【0053】
脂肪族基は、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基を含む。複雑な構造の場合、鎖は分岐または架橋していることがある。直鎖アルキル基および分岐鎖アルキル基を含めて、アルキル基は、1個以上の炭素原子を有する飽和炭化水素を含む。このような炭化水素部分は、1つ以上の炭素原子が例えばハロゲン、ヒドロキシル、チオール、アミノ、アルコキシ、アルキルカルボキシ、アルキルチオまたはニトロ基で置換されていることがある。炭素数に特に別の指定がない限り、本明細書で用いる場合の「低級脂肪族」は、1から6個の炭素原子を有することを除いて上で定義したとおりの脂肪族基(例えば、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル)を意味する。このような低級脂肪族基、例えば低級アルキル基の代表は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−クロロプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、2−アミノブチル、イソブチル、tert−ブチル、3−チオペンチルおよびこれらに類するものである。本明細書で用いる場合、用語「ニトロ」は、−NOを意味し;用語「ハロゲン」は、−F、−Cl、−Brまたは−Iを示し;用語「チオール」は、SHを意味し;および用語「ヒドロキシル」は、−OHを意味する。従って、本明細書で用いる場合の用語「アルキルアミノ」は、上で定義したとおりのアルキル基であって、基に連結されたアミノ基を有するものであるアルキル基を意味する。適するアルキルアミノ基としては、1から約12個の炭素原子または1から約6個の炭素原子を有する基が挙げられる。用語「アルキルチオ」は、上で定義したとおりのアルキル基であって、基に連結されたスルフヒドリル基を有するものであるアルキル基を意味する。適するアルキルチオ基としては、1から約12個の炭素原子または1から約6個の炭素原子を有する基が挙げられる。本明細書で用いる場合の用語「アルキルカルボキシル」は、上で定義したとおりのアルキル基であって、基に連結されたカルボキシル基を有するものであるアルキル基を意味する。本明細書で用いる場合の用語「アルコキシ」は、上で定義したとおりのアルキル基であって、基に連結された酸素原子を有するものであるアルキル基を意味する。代表的なアルコキシ基としては、1から約12個の炭素原子または1から約6個の炭素原子を有する基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシおよびこれらに類するものが挙げられる。用語「アルケニル」および「アルキニル」は、アルキルに類似しているが少なくとも1つの二重または三重結合をそれぞれ含有する不飽和脂肪族基を指す。適するアルケニルおよびアルキニル基としては、2から約12個の炭素原子または1から約6個の元素原子を有する基が挙げられる。
【0054】
用語「脂環式基」は、炭素原子3個以上の閉環構造を含む。脂環式基は、飽和環式炭化水素であるシクロパラフィンまたはナフテン、2つ以上の二重結合を伴う不飽和であるシクロオレフィン、および三重結合を有するシクロアセチレンを含む。これらは芳香族基を含まない。シクロパラフィンの例としては、シクロプロパン、シクロヘキサンおよびシクロペンタンが挙げられる。シクロオレフィンの例としては、シクロペンタジエンおよびシクロオクタジエンが挙げられる。脂環式基は、縮合環構造および置換脂環式基、例えばアルキル置換脂環式基も含む。脂環式化合物の場合、このような置換基は、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシ、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CNまたはこれらに類するものをさらに含むことがある。
【0055】
用語「複素環式基」は、環内の原子の1個以上が炭素以外の元素、例えば窒素、硫黄または酸素である閉環構造を含む。複素環式基は、飽和されているまたは不飽和であることがあり、ならびにピロールおよびフランなどの複素環式基を有し得る。これらは、縮合環構造、例えば、キノリンおよびイソキノリンを含む。複素環式基の他の例としては、ピリジンおよびプリンが挙げられる。複素環式基は、1個以上の構成原子が例えばハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CNまたはこれらに類するもので置換されていることもある。適するヘテロ芳香族およびヘテロ脂環式基は、1環につき3から約8の構成員を有するおよび1個以上のN、OまたS原子を有するものである、1から3個の別個のまたは縮合した環を一般に有するであろう(例えば、クマリニル、キノリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノおよびピロリジニル)。
【0056】
用語「芳香族基」は、1個以上の環を含有する不飽和環式炭化水素を含む。芳香族基は、0から4個のヘテロ原子を含むことがある5員および6員単環基、例えば、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンならびにこれらに類するものを含む。芳香族環は、1つ以上の環位置が例えばハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシ、−CF、−CNまたはこれらに類するもので置換されていることがある。
【0057】
用語「アルキル」は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基をはじめとする、飽和脂肪族基を含む。一定の実施形態において、直鎖または分岐鎖アルキルは、アルキルの主鎖に30個以下の炭素原子、例えば直鎖についてはC−C30または分岐鎖についてはC−C30を有する。一定の実施形態において、直鎖または分岐鎖アルキルは、アルキルの主鎖に20個以下の炭素原子、例えば直鎖についてはC−C20または分岐鎖についてはC−C20、および一部の実施形態では18個以下の炭素原子を有する。同様に、特定のシクロアルキルは、環構造内に4−10個の炭素原子を有し、一部の実施形態では環構造内に4−7個の炭素原子を有する。用語「低級アルキル」は、鎖内に1から6個の炭素原子を有するアルキル基、および環構造内に3から6個の炭素原子を有するシクロアルキルを指す。
【0058】
さらに、本明細書および請求項全体を通して用いる場合の用語「アルキル」(「低級アルキル」を含む。)は、「非置換アルキル」と「置換アルキル」の両方を含み、これらのうちの後者(置換アルキル)は、炭化水素主鎖の1個以上の炭素上の水素を置換している置換基を有するアルキル部分を指す。このような置換基としては、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシラート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシ、ホスファート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノおよびアルキルアリールアミノを含む。)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む。)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシラート、スルファート、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を挙げることができる。炭化水素鎖に対する置換部分自体が、適宜、置換されていることがあることは、当業者には理解されるであろう。シクロアルキルは、例えば上で説明した置換基でさらに置換されていることがある。「アラルキル」部分は、例えば1から3個の別個のまたは縮合した環と6から18個の炭素環原子とを有するアリールで置換されているアルキル、例えばフェニルメチル(ベンジル)である。
【0059】
用語「アリール」は、0から4個のヘテロ原子を含むことがある5員および6員単環芳香族基、例えば、非置換または置換ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンならびにこれらに類するものを含む。アリール基は、多環式縮合芳香族基、例えば、ナフチル、キノリル、インドリルおよびこれらに類するものも含む。この芳香族環は、1つ以上の環位置において、例えばアルキル基について上で説明したような置換基で、置換されていることがある。適するアリール基としては、非置換および置換フェニル基が挙げられる。本明細書で用いる場合の用語「アリールオキシ」は、上で定義したとおりのアリール基であって、基に連結された酸素原子を有するものであるアリール基を意味する。
【0060】
本明細書で用いる場合の用語「アラルコキシ」は、上で定義したとおりのアラルキル基であって、基に連結された酸素原子を有するものであるアラルキル基を意味する。適するアラルコキシ基は、1から3個の別個のまたは縮合した環および6から18個の炭素環原子を有する(例えばO−ベンジル)。
【0061】
本明細書で用いる場合の用語「アミノ」は、式−NRの非置換または置換部分を指し、この式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アリールもしくはヘテロシクリルであり、またはRおよびRは、これらが連結されている窒素原子と一緒になって、環内に3から8個の原子を有する環式部分を形成する。従って、用語「アミノ」は、別の言明がない限り、環式アミノ部分、例えばピペリジニルまたはピロリジニルを含む。「アミノ置換アミノ基」は、RおよびRの少なくとも一方がアミノ基でさらに置換されているアミノ基を指す。
【0062】
用語「保護基」は、本明細書で用いる場合、有機合成分野において周知である官能基の化学修飾を指す。例示的保護基は様々であり得、一般に、Protective Groups in Organic Synthesis[T.W.Green and P.G.M.Wuts,John Wiley & Sons,Inc,1999]に記載されている。
【0063】
「有機−無機ハイブリッド材料」を含めて、「ハイブリッド」は、有機官能基がハイブリッド材料表面ばかりでなく内部または「骨格」無機構造両方に不可欠である、無機ベースの構造を含む。ハイブリッド材料の無機部分は、例えば、アルミナ、シリカ、チタン、セリウムもしくはジルコニウムまたはこれらの酸化物、またはセラミック材料であり得る。「ハイブリッド」は、有機官能基がハイブリッド材料表面ばかりでなく内部または「骨格」無機構造両方に不可欠である、無機ベースの構造を含む。上で述べたような例示的ハイブリッド材料は、U.S.Patent Nos.4,017,528、6,528,167、6,686,035および7,175,913に示されている。
【0064】
用語「BEH」は、本明細書で用いる場合、エチレン架橋ハイブリッド材料である有機−無機ハイブリッド材料を指す。
【0065】
用語「吸着基」は、本明細書で用いる場合、コア材料に非共有結合で連結されている、架橋されているまたは架橋されていないモノマー、オリゴマーまたはポリマーを表す。本発明の一定の実施形態において、Zが吸着基を表す場合、この基は、コア材料(X)に吸着されていることがあり、コア材料(X)の表面に吸着されていることがあり、または固定相材料の表面に吸着されていることがある。例としては、アルコール、アミン、チオール、ポリアミン、デンドリマー(dedrimer)またはポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
用語「官能化基」または「官能化可能な基」は、一定のクロマトグラフィー官能性を固定相に付与する有機官能基を含む。
【0067】
用語「末端基」は、本明細書で用いる場合、さらなる反応することができない基を表す。一定の実施形態において、末端基は親水性末端基である。親水性末端基としては、保護または脱保護形のアルコール、ジオール、グリシジルエーテル、エポキシ、トリオール、ポリオール、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールエトキシラート、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンポリグリコールエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、一価、二価もしくは多価炭水化物基、多分岐型炭水化物、デンドリマー含有末梢親水性基、デンドリグラフ含有末梢親水性基、または双性イオン基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
用語「表面連結基」は、本明細書で用いる場合、コア材料、コア材料の表面、または固定相材料の表面に共有結合、非共有結合、吸着または別様に連結するように反応させることができる基を表す。一定の実施形態において、表面連結基は、シロキサン結合によってコア材料の表面に連結される。
【0069】
本明細書で用いる場合の用語「ノイズの発生率を低減すること」は、検出器によって得られるノイズの量または感度の低下または減少を指す。このような低減を、通常の当業者は、Tosho TSKgel(R)SuperSW3000、4.6×300mm、P/N 18675などの従来のSECカラムを用いて同じ条件(温度、濃度、流速など)下で試料を比較することによって、容易に判定することができる。
【0070】
用語「ゴーストピークの発生率を低減すること」は、検出器によって得られるゴーストピークの量または感度の低下または減少を指す。このような低減を、通常の当業者は、Tosho TSKgel(R)SuperSW3000、4.6×300mm、P/N 18675などの従来のSECカラムを用いて同じ条件(温度、濃度、流速など)下で試料を比較することによって、容易に判定することができる。
【0071】
固定相材料
本発明の装置および方法は、固定相材料を利用する。このような材料は、モノリス、1個以上の粒子、1個以上の球形粒子、または1個以上の薄膜状粒子であり得る。
【0072】
一定の実施形態において、前記固定相材料は、式1:
W−[X]−Q
式1
によって表される、コア組成物と表面組成物とを有する粒子またはモノリスを含み、
式中、
Xは、シリカコア材料、金属酸化物コア材料、有機−無機ハイブリッドコア材料またはこれらのブロックポリマーの一群を含む表面を有するコア組成物であり;
Wは、水素またはヒドロキシルであり;および
Qは、不在であり、または分析物との静電相互作用、ファンデルワールス相互作用、水素結合性相互作用もしくは他の相互作用を最小にする官能基である。
【0073】
さらに、一定の実施形態において、WおよびQは、コア組成物(X)のまたはコア組成物の表面の自由原子価を占有する。本発明の装置の他の実施形態において、WおよびQは、表面組成物を形成するために選択される。他の実施形態では、ブロックポリマーまたはブロックポリマー群を形成するためにXを選択することができる。
【0074】
本発明の態様において、固定相が粒状であるとき、粒状固定相材料の粒子は、0.4−3.0マイクロメートル、0.5−3.0;0.6−3.0;0.7−3.0;0.9−3.0または1.0−3.0マイクロメートルの平均粒径分布を有する直径を有し得る。
【0075】
本発明の装置の他の実施形態において、固定相材料はモノリスを含む。固定相材料が粒子を含む本発明の装置の実施形態において、固定相材料のモノリスは、0.4−3.0マイクロメートル、0.5−3.0;0.6−3.0;0.7−3.0;0.9−3.0または1.0−3.0マイクロメートルの平均粒径分布を有する粒子を充填した粒子層のクロマトグラフィー効率および透過率を示す。
【0076】
本発明の装置の他の実施形態において、固定相材料は、0.8から1.7cm/g;0.9から1.6cm/g;1.0から1.5cm/g;または1.1から1.5cm/gの細孔容積を有する。
【0077】
固定相材料の一定の実施形態において、Xは、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、または脂肪族架橋シランを含む有機−無機ハイブリッドコアである。
【0078】
特定の実施形態において、Xは、脂肪族架橋シランを含む有機−無機ハイブリッドコアである。一定の他の特定の実施形態において、脂肪族架橋シランの脂肪族基はエチレンである。
【0079】
一定の他の実施形態において、コア材料(X)は、酸化セリウム、酸化ジルコニウムまたはセラミック材料である。一定の他の実施形態において、コア材料(X)は、クロマトグラフィー向上性細孔幾何形状(chromatographically enhancing pore geometry)(CEPG)を有し得る。CEPGは、例えば当技術分野における他のクロマトグラフ媒体とは区別されるような、材料のクロマトグラフ分離能力を向上させることが分かっている幾何形状を含む。例えば、形状を形成、選択または構築することができ、ならびに様々な特性および/または因子を用いて、材料のクロマトグラフ分離能力が例えば当技術分野において公知のまたは従来用いられている幾何形状と比較して「向上された」かどうかを判定することができる。これらの因子の例としては、(例えば低減された帯域拡張および良好なピーク形状によって、証明されるような)高い分離効率、より長いカラム寿命および高い物質移動特性が挙げられる。当技術分野において認知されている技術を用いて、これらの特性を測定または観察することができる。例えば、本多孔質無機/有機ハイブリッド粒子のクロマトグラフィー向上性細孔幾何形状は、「インクボトル」または「シェル形」細孔幾何形状または形態(これらは両方とも、例えば物質移動速度を低減して効率低下をもたらすため、望ましくない。)の不在によって先行技術粒子とは区別される。クロマトグラフィー向上性細孔幾何形状は、ミクロ細孔の小集団しか含有しないハイブリッド材料に見出される。ミクロ細孔の小集団は、ハイブリッド材料において約<34Åの直径の全細孔が材料の比表面積の約110m/g未満を占めるときに達成される。このような低いミクロ細孔表面積(MSA)を有するハイブリッド材料は、(例えば低減された帯域拡張および良好なピーク形状によって、証明されるような)高い分離効率および良好な物質移動特性をはじめとするクロマトグラフィー向上をもたらす。ミクロ細孔表面積(MSA)は、BJH法を用いて吸着等温線(absorption leg)から多点窒素吸着分析により判定して、34Å以下の直径を有する細孔における表面積と定義される。本明細書で用いる場合、頭字語「MSA」および「MPA」を、「ミクロ細孔表面積」を示すために同義で用いる。
【0080】
一定の実施形態において、コア材料(X)は、式Z(R’)Si−R’’(式中、Z=Cl、Br、I、C−Cアルコキシ、ジアルキルアミノまたはトリフルオロメタンスルホナート;aおよびbは、それぞれ、0から3の整数であるが、但しa+b=3であることを条件とし;R’は、C−C直鎖、環式または分岐アルキル基であり、ならびにR’’は、官能化基である。)を有する表面修飾剤で表面修飾され得る。
【0081】
もう1つの実施形態において、コア材料(X)は、ポリマーでコーティングすることにより表面修飾され得る。
【0082】
一定の実施形態において、表面修飾剤は、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルジメチルクロロシランおよびオクタデシルジメチルクロロシランから成る群から選択される。一部の実施形態において、表面修飾剤は、オクチルトリクロロシランおよびオクタデシルトリクロロシランから成る群から選択される。他の実施形態において、表面修飾剤は、イソシアナートまたは1,1’−カルボニルジイミダゾール(特に、ハイブリッド基が(CHOH基を含有するとき)から成る群から選択される。
【0083】
もう1つの実施形態において、材料は、有機基修飾とシラノール基修飾の併用により表面修飾されている。
【0084】
さらにもう1つの実施形態において、材料は、有機基修飾とポリマーでのコーティングの併用により表面修飾されている。さらなる実施形態において、前記有機基はキラル部分を含む。
【0085】
さらにもう1つの実施形態において、材料は、シラノール基修飾とポリマーでのコーティングの併用により表面修飾されている。
【0086】
他の実施形態において、材料は、材料上の有機基と修飾剤との間の有機共有結合の形成により表面修飾されている。
【0087】
さらに他の実施形態において、材料は、有機基修飾とシラノール基修飾とポリマーでのコーティングの併用により表面修飾されている。
【0088】
もう1つの実施形態において、材料は、シラノール基修飾により表面修飾されている。
【0089】
一定の実施形態において、表面修飾層は、多孔質であることがあり、または無孔であることがある。
【0090】
固定相材料の他の実施形態において、Qは、親水性基、疎水性基または不在である。
【0091】
固定相材料の一部の実施形態において、Qが親水性基である場合、Qは脂肪族基である。他の実施形態において、前記脂肪族基は脂肪族ジオールである。
【0092】
さらに他の実施形態において、Qは、式2
【0093】
【化3】
によって表され、式中、
は、0−30の整数であり;
は、0−30の整数であり;
、R、RおよびRの各存在は、水素、フルオロ、低級アルキル、保護もしくは脱保護アルコール、双性イオンまたは基Zを独立して表し;
Zは、
a)固定相材料の表面と式3:
(B(R(RSi−
式3:
(式中、
xは、1−3の整数であり、
yは、0−2の整数であり、
zは、0−2の整数であり、および
x+y+z=3であり、
およびRの各存在は、メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソプロピル、テキシル、置換もしくは非置換アリール、環式アルキル、分岐アルキル、低級アルキル、保護もしくは脱保護アルコールまたは双性イオン基を独立して表し;
は、−OR、−NR7’7’’、−OSOCFまたは−Clを表し、この場合のR、R7’およびR7’’のそれぞれは、水素、メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソプロピル、テキシル、フェニル、分岐アルキルまたは低級アルキルを表す。);
の部分の間での共有もしくは非共有結合の形成により生成される表面連結基
b)直接炭素−炭素結合形成による、またはヘテロ原子、エステル、エーテル、チオエーテル、アミン、アミド、イミド、尿素、カルボナート、カルバマート、複素環、トリアゾールもしくはウレタン結合によるXの表面ハイブリッド基への直接的連結;または
c)固定相材料の表面に共有結合で連結されていない吸着基;
d)Wが水素であるとき、反応により固定相材料の表面とビニルもしくはアルキニル基の間に共有結合を形成することによって生成される表面連結基
を表し;
Yは、直接結合;ヘテロ原子結合;エステル結合;エーテル結合;チオエーテル結合;アミン結合;アミド結合;イミド結合;尿素結合;チオ尿素結合;カルボナート結合;カルバマート結合;複素環結合;トリアゾール結合;ウレタン結合;ジオール結合;ポリオール結合;スチレン、エチレングリコールもしくはプロピレングリコールのオリゴマー;スチレン、エチレングリコールもしくはプロピレングリコールのポリマー;炭水化物基、多分岐型炭水化物、デンドリマーもしくはデンドリグラフまたは双性イオン基を表し;および
Aは、
i.)親水性末端基;
ii.)水素、フルオロ、フルオロアルキル、低級アルキルもしくは基Z;または
iii.)官能化可能な基
を表す。
【0094】
本発明の装置の一定の実施形態において、Qが式2の脂肪族ジオールである場合、nは、2−18または2−6の整数である。本発明の装置の他の実施形態において、Qが式2の脂肪族ジオールである場合、nは、0−18または0−6の整数である。本発明の装置のさらに他の実施形態において、Qが式2の脂肪族ジオールである場合、nは2−18の整数であり、およびnは0−18の整数である;nは2−6の整数であり、およびこの場合のnは0−18の整数である;nは2−18の整数であり、およびnは0−6の整数である;またはnは2−6の整数であり、およびnは0−6の整数である。
【0095】
本発明の固定相材料のさらに他の実施形態において、Qが式2の脂肪族ジオールである場合、Aは、i)親水性末端基を表し、および親水性末端基は、保護または脱保護形のアルコール、ジオール、グリシジルエーテル、エポキシ、トリオール、ポリオール、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールエトキシラート、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンポリグリコールエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、一価、二価もしくは多価炭水化物基、多分岐型炭水化物、デンドリマー含有末梢親水性基、デンドリグラフ含有末梢親水性基、または双性イオン基である。
【0096】
本発明の固定相材料のさらに他の実施形態において、Qが式2の脂肪族ジオールである場合、Aは、ii.)水素、フルオロ、メチル、エチル、n−ブチル、t−ブチル、i−プロピル、低級アルキルまたは基Zを表す。
【0097】
本発明の固定相材料のさらに他の実施形態において、Qが式2の脂肪族ジオールである場合、Aは、iii.)官能化可能な基を表し、および官能化可能な基は、保護または脱保護形のアミン、アルコール、シラン、アルケン、チオオール、アジドまたはアルキンである。一部の実施形態において、前記官能化可能な基は、後続の反応段階において新たな表面基を生じさせることができ、反応段階は、カップリング、メタセシス、ラジカル付加、ヒドロシリル化、縮合、クリックまたは重合である。
【0098】
さらに他の実施形態において、基Qは表面修飾剤であり得る。これらの材料に利用することができる表面修飾剤の非限定的な例としては以下のものが挙げられる:
A.)親水性表面修飾を生じさせる結果となるシラン
【0099】
【化4】
【0100】
【表1】
ここでAは、次のものから選択される:
【0101】
【化5】
または
B.)疎水性表面修飾または親水性/疎水性混合型表面修飾を生じさせる結果となるシラン
【0102】
【化6】
【0103】
【表2】
ここでAは、次のものから選択される:H、フェニル、NHC(O)NHR、NHC(O)R、OC(O)NHR、OC(O)ORまたはトリアゾール−R(ここでのRは、オクタデシル、ドデシル、デシル、オクチル、ヘキシル、n−ブチル、t−ブチル、n−プロピル、i−プロピル、フェニル、ベンジル、フェネチル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ジフェニルエチル、ビフェニルである。)。
【0104】
本発明の装置の一定の実施形態において、Zは、表面有機官能性ハイブリッド基への直接炭素−炭素結合形成によるまたはヘテロ原子、エステル、エーテル、チオエーテル、アミン、アミド、イミド、尿素、カルボナート、カルバマート、複素環、トリアゾールもしくはウレア結合による連結を表す。
【0105】
他の実施形態において、Zは、材料の表面に共有結合で連結されていない吸着された表面基を表す。この表面基は、架橋ポリマーである場合があり、または他の吸着された表面基である場合がある。例としては、アルコール、アミン、チオール、ポリアミン、デンドリマー(dedrimers)またはポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
ハウジング、検出器および試料注入装置
本発明の装置の一部の実施形態において、ハウジングは、固定相材料を収容するために1つ以上のフリットを装備している。固定相材料がモノリスである実施形態では、1つ以上のフリットを含めずにハウジングを用いることができる。
【0107】
他の実施形態において、ハウジングは、装置を試料注入装置、検出器または両方と流体連通した状態に配置することができる1つ以上の取付具を装備している。
【0108】
サイズ排除クロマトグラフィーに使用される検出器の例は、限定ではないが、屈折率検出器、UV検出器、光散乱検出器および質量分析計である。
【0109】
注入装置の例としては、オン・カラム・インジェクタ、PTVインジェクタ、ガス採取弁、パージ・アンド・トラップ・システム、マルチインジェクタ、スプリットインジェクタ、スプリットレスインジェクタおよびスプリット/スプリットレスインジェクタが挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
サイズ排除クロマトグラフィーを行うための方法
もう1つの態様において、本発明は、サイズ排除クロマトグラフィーを行う方法を提供し、この方法は、
A.)入口および出口を有するチャンバを画成する少なくとも1つの壁を有するハウジングと、前記チャンバ内に保持されたコアおよび表面組成物を含む固定相材料とを用意する段階であり、
前記固定相材料は、式1:
W−[X]−Q
式1
によって表される、コア組成物と表面組成物とを有する、粒子を含み
式中、
Xは、シリカコア材料、金属酸化物コア材料、有機−無機ハイブリッドコア材料またはこれらのブロックポリマーの一群を含む表面を有するコア組成物であり;
Wは、水素またはヒドロキシルであり;および
Qは、不在であり、または分析物との静電相互作用、ファンデルワールス相互作用、水素結合性相互作用もしくは他の相互作用を最小にする官能基である
段階、
B.)前記チャンバに試料を1,000psiより大きいカラム入口圧で負荷して、固定相媒体を通して試料を流す段階;および
C.)試料をサイズによって1つ以上の組成物に分離する段階
を含む。
【0111】
本発明の方法の一定の実施形態において、カラム入口圧は、2,000psiより大きい;3,000psiより大きい;4,000psiより大きい;5,000psiより大きい;6,000psiより大きい;7,000psiより大きい;8,000psiより大きい;9,000psiより大きい;10,000psiより大きい;15,000psiより大きい;または20,000psiより。さらに他の実施形態において、カラム入口圧は、約1,000psiから約20,000psi;約5,000psiから約20,000psi;約7,000psiから約20,000psi;約10,000psiから約20,000psi;約1,000psiから約15,000psi;または約5,000psiから約15,000psiである。
【0112】
本発明の方法のもう1つの実施形態において、方法は、
D.)1つ以上の組成物を単離する段階
をさらに含む。
【0113】
本発明の方法のさらにもう1つの実施形態において、方法は、
E.)1つ以上の組成物を検出する段階
をさらに含む。
【0114】
本発明の方法のさらにもう1つの実施形態において、方法は、
D.)1つ以上の組成物を単離する段階;および
E.)1つ以上の組成物を検出する段階
をさらに含む。
【0115】
本発明の方法の一定の実施形態において、試料はバイオポリマーである。試料がバイオポリマーである実施形態において、Qは親水性である。一部の実施形態において、Qは脂肪族基である。他の実施形態において、前記脂肪族基は脂肪族ジオールである。さらに他の実施形態において、Qは、式2
【0116】
【化7】
によって表され、式中、
は、0−30の整数であり;
は、0−30の整数であり;
、R、RおよびRの各存在は、水素、フルオロ、低級アルキル、保護もしくは脱保護アルコール、双性イオンまたは基Zを独立して表し;
Zは、
a)固定相材料の表面と式3:
(B(R(RSi−
式3:
(式中、
xは、1−3の整数であり、
yは、0−2の整数であり、
zは、0−2の整数であり、および
x+y+z=3であり、
およびRの各存在は、メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソプロピル、テキシル、置換もしくは非置換アリール、環式アルキル、分岐アルキル、低級アルキル、保護もしくは脱保護アルコールまたは双性イオン基を独立して表し;
は、−OR、−NR7’7’’、−OSOCFまたは−Clを表し、この場合のR、R7’およびR7’’のそれぞれは、水素、メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソプロピル、テキシル、フェニル、分岐アルキルまたは低級アルキルを表す。);
の部分の間での共有もしくは非共有結合の形成により生成される表面連結基
b)直接炭素−炭素結合形成による、またはヘテロ原子、エステル、エーテル、チオエーテル、アミン、アミド、イミド、尿素、カルボナート、カルバマート、複素環、トリアゾールもしくはウレタン結合によるXの表面ハイブリッド基への直接的連結;または
c)固定相材料の表面に共有結合で連結されていない吸着基;
d)Wが水素であるとき、反応により固定相材料の表面とビニルもしくはアルキニル基の間に共有結合を形成することによって生成される表面連結基
を表し;
Yは、直接結合;ヘテロ原子結合;エステル結合;エーテル結合;チオエーテル結合;アミン結合;アミド結合;イミド結合;尿素結合;チオ尿素結合;カルボナート結合;カルバマート結合;複素環結合;トリアゾール結合;ウレタン結合;ジオール結合;ポリオール結合;スチレン、エチレングリコールもしくはプロピレングリコールのオリゴマー;スチレン、エチレングリコールもしくはプロピレングリコールのポリマー;炭水化物基、多分岐型炭水化物、デンドリマーもしくはデンドリグラフまたは双性イオン基を表し;および
Aは、
i.)親水性末端基;
ii.)水素、フルオロ、メチル、エチル、n−ブチル、t−ブチル、i−プロピル、低級アルキルもしくは基Z;または
iii.)官能化可能な基
を表す。
【0117】
本発明の他の実施形態において、試料は合成有機ポリマーである。試料が合成有機ポリマーである実施形態において、Qは疎水性部分であり得る。
【0118】
もう1つの態様において、本発明は、サイズ排除クロマトグラフィー排除クロマトグラフィー中に光散乱検出器によって得られるノイズの発生率を低減する方法を提供し、この方法は、
A.)入口および出口を有するチャンバを画成する少なくとも1つの壁を有するハウジングと、前記チャンバ内に保持されたコアおよび表面組成物を含む固定相材料とを用意する段階であり、
前記固定相材料は、式1:
W−[X]−Q
式1
によって表される粒子またはモノリスを含み
式中、
Xは、シリカコア材料、金属酸化物コア材料、有機−無機ハイブリッドコア材料またはこれらのブロックポリマーの一群を含む表面を有するコア組成物であり;
Wは、水素またはヒドロキシルであり;および
Qは、不在であり、または分析物との静電相互作用、ファンデルワールス相互作用、水素結合性相互作用もしくは他の相互作用を最小にする官能基である
段階、
B.)前記チャンバ内の前記固定相材料に試料を1,000psiより大きいカラム入口圧で負荷し、固定相媒体を通して試料を流す段階;
C.)試料をサイズによって1つ以上の組成物に分離する段階;および
D.)光散乱検出器を使用して1つ以上の組成物を検出する段階
を含む。
【0119】
さらにもう1つの態様において、本発明は、サイズ排除クロマトグラフィー排除クロマトグラフィー中に光散乱検出器によって得られるゴーストピークの発生率を低減する方法を提供し、この方法は、
A.)入口および出口を有するチャンバを画成する少なくとも1つの壁を有するハウジングと、前記チャンバ内に保持されたコアおよび表面組成物を含む固定相材料とを用意する段階であり、
前記固定相材料は、式1:
W−[X]−Q
式1
によって表される粒子またはモノリスを含み
式中、
Xは、シリカコア材料、金属酸化物コア材料、有機−無機ハイブリッドコア材料またはこれらのブロックポリマーの一群を含む表面を有するコア組成物であり;
Wは、水素またはヒドロキシルであり;および
Qは、不在であり、または分析物との静電相互作用、ファンデルワールス相互作用、水素結合性相互作用もしくは他の相互作用を最小にする官能基である
段階、
B.)前記チャンバ内の前記固定相材料に試料を1,000psiより大きいカラム入口圧で負荷し、固定相媒体を通して試料を流す段階;
C.)前記試料をサイズによって1つ以上の組成物に分離する段階;および
D.)光散乱検出器を使用して前記1つ以上の組成物を検出する段階
を含む。
【0120】
特定の実施形態において、ノイズまたはゴーストピークの低減は、標準的な従来のSECカラムを使用して測定される。他の実施形態において、ノイズまたはゴーストピークの低減は、標準的な従来のSECカラムを使用してカラムを予洗せずに測定される。いずれにせよ、ノイズまたはゴーストピークの低減は、通常の当業者に公知であるだろうように、実質的に等価の条件(温度、入口圧、カラム寸法など)下で共通の試料を使用して測定される。
【0121】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、下に記載する図面を見ることおよび後続の詳細な説明を読むことにより、当業者にははっきりと理解できるであろう。
【実施例】
【0122】
クロマトグラフィー装置および方法を説明する以下の非限定的実施例により、本発明をさらに例証することができる。
【0123】
材料
すべての試薬は、別の注記がない限り、受け取ったままで使用した。下記の供給物および供給業者と等価のものが存在することおよび従って下に列挙する供給業者を限定と解釈すべきでないことは、当業者には認識されよう。
【0124】
物性評価
下記の計器および供給業者と等価のものが存在することおよび従って下に列挙する計器を限定と解釈すべきでないことは、当業者には認識されよう。
【0125】
%C値は、燃焼分析(CE−440 Elemental Analyzer;マサチューセッツ州ノース・チェルムズフォードのExeter Analytical Inc.)によってまたはCoulometric Carbon Analyzer(モジュールCM5300、CM5014、イリノイ州ジョリエットのUIC Inc.)によって測定した。臭素および塩素含有量は、フラスコ燃焼、続いてのイオンクロマトグラフィー(ジョージア州ノルクロスのAtlantic Microlab)によって決定した。これらの材料の比表面積(SSA)、比細孔容積(SPV)および平均細孔直径(APD)は、多点N吸着法(Micromeritics ASAP2400;ジョージア州ノルクロスのMicromeritics Instruments Inc.)を用いて測定した。SSAはBET法を用いて算出し、SPVはP/P>0.98について決定した一点値であり、およびAPDは、BJH法を用いて脱着等温線から算出した。ミクロ細孔表面積(MSA)は、比表面積(SSA)から<34Åの細孔についての累積吸着細孔直径データを引いたものとして決定した。メジアンメソ細孔直径(MMPD)およびメソ細孔の細孔容積(MPV)はMercury Porosimetry(Micromeritics AutoPore II 9220またはAutoPore IV、ジョージア州ノルクロスのMicromeritics)によって測定した。骨格密度は、Micromeritics AccuPyc 1330 Helium Pycnometer(V2.04N、ジョージア州ノルクロス)を使用して測定した。粒径は、Beckman Coulter Multisizer 3分析器(30μm アパーチャ、70,000 カウント;フロリダ州マイアミ)を使用して測定した。粒子直径(dp50)は、容積に基づく粒径分布の50%累積直径として測定した。分布の幅は、90%累積容積直径を10%累積容積直径で割ったものとして測定した(90/10比を意味する。)。これらの材料についての粘度を、Brookfieldデジタル粘度計Model DV−II(マサチューセッツ州ミドルバラ)を使用して決定した。pHの測定は、Oakton pH100 Series meter(Cole−Palmer、イリノイ州ヴァーノン・ヒルズ)によって行い、使用直前に周囲温度でOrion(Thermo Electron、マサチューセッツ州ベヴァリー)pH緩衝標準物質を用いて較正した。滴定は、Metrohm 716 DMS Titrino自動滴定装置(スイス、HersauのMetrohm)を使用して実施した。1グラム当たりのミリ当量(mequiv/g)として報告する。多核(13C、29Si)CP−MAS NMRスペクトルは、Bruker Instruments Avance−300スペクトル分光計(7mm 二重広帯域プローブ)を使用して得た。スピン速度は、一般に、5.0−6.5kHzであり、待ち時間は5秒であり、交差分極接触時間は6ミリ秒であった。報告された13Cおよび29Si CP−MAS NMRスペクトルシフトは、外標準アダマンタン(13C CP−MAS NMR、□38.55)およびヘキサメチルシクロトリシロキサン(29Si CP−MAS NMR、□−9.62)を使用してテトラメチルシランと比べて記録した。異なるケイ素環境の集団を、DMFitソフトウェアを使用してスペクトルデコンボリューションにより評価した[Massiot,D.;Fayon,F.;Capron,M.;King,I.;Le Calve,S.;Alonso,B.;Durand,J.−O.;Bujoli,B.;Gan,Z.;Hoatson,G.Magn.Reson.Chem.2002,40,70−76]。
【0126】
実施例1
Triton(登録商標)X−100(X100、ミシガン州ミッドランドのDow Chemical)と脱イオン水とエタノール(EtOH;無水、ニュージャージー州フィリップスバーグのJ.T.Baker)の水性混合物を55℃で0.5時間加熱した。別のフラスコの中で、US 6,686,035 B2からの実施例1hに詳述されているとおりに調製したPOSを0.5時間、トルエン(Tol;HPLCグレード;ニュージャージー州フィリップスバーグのJ.T.Baker)と混合することにより、油相溶液を調製した。急速攪拌しながらこの油相溶液をEtOH/水/X100混合物に添加し、ロータ/スタータミキサー(モデル100L、ニューヨーク州ホーポージのCharles Ross & Son Co.)を使用して水性相に乳化させた。その後、このエマルジョンに30%水酸化アンモニウム(NHOH;ニュージャージー州フィリップスバーグのJ.T.Baker)を添加した。溶液に懸濁させて、ゲル化した生成物をフラスコに移し、55℃で18時間攪拌した。結果として生じた、式{(O1.5SiCHCHSiO1.5)(SiO}の球形多孔質ハイブリッド無機/有機粒子を、0.5μm濾紙で回収し、水およびメタノール(HPLCグレード;ニュージャージー州フィリップスバーグのJ.T.Baker)で順次洗浄した。その後、生成物を真空オーブンにおいて80℃で一晩乾燥させた。これらの生成物を調製するために使用した出発原料の具体的な量を表3に列挙する。これらの材料の%C値、非表面積(SSA)、比細孔容積(SPV)および平均細孔直径(APD)を表1に列挙する。このアプローチによって調製した生成物は、SEMにより確認したところ、高球形易流動性粒子であった。
【0127】
トルエン/POSの質量比の増加は、1.07から1.68cm/gへのSPVの増加を生じさせた。粒子多孔度増加の必要性は、SEC分離分野では周知である。
【0128】
【表3】
【0129】
実施例2
実施例1において調製した生成物の球形態およびSPVは多くの高品質SEC充填材料に匹敵するが、これらの生成物の大部分についてのAPDは、より大きな分子(例えば100−450Å)の分離のために設計された大部分の商用充填材料より小さい。より大きな分子のSECのためにより有用なSEC範囲内でAPDを増加させるために、この実施例ではこれらの材料に対する熱水処理の使用の開発を例証する。
【0130】
実施例1の多孔質粒子を分粒して、1.5−3.0マイクロメートルの粒径分布を生じさせた。任意の数の周知分粒技術を用いることができる。このような分粒技術は、例えば、W.Gerhartz,et al.(editors)Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th edition,Volume B2:Unit Operations I,VCH Verlagsgesellschait mbH,(Weinheim ,Fed.Rep.Germ.1988)に記載されている。これらの粒子をトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS;ウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrich)またはトリエチルアミン(TEA;ウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrich)のいずれかの水溶液と混合してスラリーを得た。スラリーのpHを必要に応じて希酢酸の添加により調整した。その後、得られた懸濁液をステンレス鋼オートクレーブに移し、20−41時間、120−155℃の間に加熱した。反応2aおよび2cはガラス器具で行った。オートクレーブが室温に冷却した後、生成物を0.5μm濾紙で単離し、水およびメタノール(HPLCグレード;ニュージャージー州フィリップスバーグのJ.T.Baker)を使用して繰り返し洗浄し、その後、80℃、真空下で20時間乾燥させた。具体的な熱水条件を表2に列挙する(塩基溶液mL/粒子グラム、最初の塩基溶液の濃度およびpH、反応温度ならびに反応保持時間)。これらの材料の比表面積(SSA)、比細孔容積(SPV)、平均細孔直径(APD)、ミクロ細孔表面積(MSA)および%Cを表2に列挙する。
【0131】
【表4】
【0132】
実施例3
実施例2に従って調製した多孔質粒子を20時間、98℃で1モルの塩酸溶液(ウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrich)に分散させた。酸処理が完了した後、粒子を水で洗浄して中性pHにし、その後、アセトン(HPLCグレード;ニュージャージー州フィリップスバーグのJ.T.Baker)で洗浄した。アセトンでの沈降分離により粒子をさらに処理してサブミクロンの微粉を除去した。その後、粒子を80℃、真空下で16時間乾燥させた。これらの材料についての具体的な特性付けデータを表3に列挙する。
【0133】
【表5】
【0134】
実施例4
実施例2に従って調製した多孔質粒子を、70℃で60分間予混した20mM酢酸緩衝液(pH5.5;酢酸および酢酸ナトリウム、J.T.Bakerを使用した調製したもの)中のグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO、ウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrich)の溶液に、分散させた。この混合物を70℃で20時間保持した。その後、反応物を冷却し、生成物を濾過し、水およびメタノール(J.T.Baker)で順次洗浄した。その後、生成物を80℃、減圧下で16時間乾燥させた。反応データを表4に列挙する。元素分析により測定した表面修飾前と後の粒子%Cの差によって5.72−6.09μmol/mの表面被覆率を決定した。13C CP−MAS NMR分光法によるこれらの材料の分析は、エポキシ基とジオール基の混合物がこれらの材料には存在することを示す。
【0135】
【表6】
【0136】
実施例5
実施例2に従って調製した多孔質粒子を、70℃で60分間予混した酢酸緩衝液(20mM、pH5.5、希釈度5mL/g;酢酸および酢酸ナトリウム、J.T.Bakerを使用した調製したもの)中のグリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO、ウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrich)の溶液に、分散させた。反応5eには60mM緩衝溶液を使用した。混合物を70℃で20時間保持した。その後、反応物を冷却し、生成物を濾過し、水およびメタノール(J.T.Baker)で順次洗浄した。その後、この材料を0.1M酢酸溶液(希釈度5mL/g;J.T.Baker)中、70℃で20時間、還流させた。生成物5q−5sは2時間、還流させた。その後、反応物を冷却し、生成物を濾過し、水およびメタノール(J.T.Baker)で順次洗浄した。その後、生成物を80℃、減圧下で16時間乾燥させた。反応データを表5に列挙する。元素分析により測定した表面修飾前と後の粒子%Cの差によって0.55−7.05μmol/mの表面被覆率を決定した。13C CP−MAS NMR分光法によるこれらの材料の分析は、生成物5a−5pには測定可能な量のエポキシ基は存在せず、これらの材料にはジオール基のみが存在したことを示す。生成物5q−5sには少量のエポキシ基が存在した。生成物5q−5sについては酢酸加水分解段階を繰り返し、20時間保持した。これらの反応の生成物は、同等の表面被覆率を有し、および13C CP−MAS NMR分光法により、残存する測定可能な量のエポキシ基を有さなかった。生成物5aには、100mMリン酸緩衝液(pH7.0、希釈度10mL/g)中、70℃で2時間加熱することによるさらなる処理を施した。得られた材料は、生成物5aと同等の表面被覆率を有した。
【0137】
【表7】
【0138】
実施例6
多孔質シリカまたはハイブリッド粒子をトルエン(175mL、ニュージャージー州フェアローンのFisher Scientific)中で1時間、還流させた。ディーン・スターク・トラップを使用して混合物から微量の水を除去した。冷却したら、イミダゾール(ウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrich)および1つ以上の修飾剤を添加した。その後、反応物を16−18時間、加熱して還流させた。その後、反応物を冷却し、生成物を濾過し、トルエン、水およびアセトン(すべてFisher Scientificからの溶剤)で順次洗浄した。この材料をアセトン/0.12M酢酸アンモニウム水溶液(ミズーリ州セントルイスのSigma Chemical Co.)中で2時間さらに還流させた。反応物を冷却し、生成物を水およびアセトン(すべてFisher Scientificからの溶剤)で順次洗浄した。生成物を70℃、減圧下で16時間乾燥させた。元素分析を用いて表面修飾前と後の粒子%Cの差により表面被覆率を決定した。生成物を同様の条件下でトリメチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリ−n−ブチルクロロシラン、トリ−i−プロピルクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシランまたはヘキサメチルジシラザンと反応させて、表面シラノール基をさらに反応させた。
【0139】
この一般アプローチを様々な異なる多孔質材料に適用することができる。この様々な材料には、シリカまたはハイブリッド無機/有機材料である球形、顆粒および不規則材料が含まれる。球形、顆粒および不規則材料についての粒径は、0.4−3.0μm;または1−3μmと様々であり得る。これらの材料についてのAPDは、50から2,000Å;または90から1000Å;または120から450Åと様々であり得る。これらの材料についてのTPVは、0.5から1.7cm/g;または1.0から1.5cm/g;または1.1から1.4cm/gと様々であり得る。
【0140】
これらの反応に使用した表面修飾剤は、本明細書に記載するとおりの式2を有するシランを含む。
【0141】
実施例7a
実施例5における試験材料5gからの多孔質粒子の試料をタンパク質の混合物の分離に使用した。スラリー充填技術を用いて4.6×150mmクロマトグラフカラムに充填した。クロマトグラフシステムは、AQUITY UPLC(登録商標)SystemおよびAQUITY UPLC(登録商標)Tunable UV検出器から成った。Empower 2 Chromatgraphy Data Software(Build 2154)をデータ収集および分析に使用した。移動相条件は、100mM Na2HPO4/NaH2PO4、pH6.8;流速:0.30mL/分;温度:30℃;検出:280nm;分析物:サイログロブリン、IgG、ウシ血清アルブミン、ミオグロビンおよび尿素であった。結果を図2に示す。
【0142】
実施例7b
C18修飾表面の含有からの多孔質粒子の試料をポリスチレン標準物質の混合物の分離に使用した。スラリー充填技術を用いて4.6×150mmクロマトグラフカラムに充填した。クロマトグラフシステムは、AQUITY UPLC(登録商標)SystemおよびAQUITY UPLC(登録商標)Tunable UV検出器から成った。Empower 2 Chromatgraphy Data Software(Build 2154)をデータ収集および分析に使用した。移動相はテトラヒドロフランから成った。流速は0.30mL/分であった;温度:30℃;検出260nm;分析物:分子量が500Daから2,000,000Daの範囲にわたるポリスチレン標準物質。
【0143】
実施例8
本明細書に記載するクロマトグラフ媒体は、UPLC用途のための1.7マイクロメートル粒子について必要な機械的強度要件を維持することを示した。同様に、BEH粒子に関しての、従来のシリカと比較して低減されたシラノール酸性度は、荷電分析物についての二次的相互作用を減少させる結果となる。
【0144】
図14は、塩基性タンパク質リゾチームの保持に対するイオン強度の効果を示す。低塩の場合、固定相表面の負電荷を有するシラノールと正電荷を有するリゾチームとの間の静電相互作用は最大である。移動相のイオン強度を増加させると、分析物と固定相の間の静電相互作用は弱くなってくる。この図は、シリカから製造されたSECジオール材料の場合、BEHから製造された材料よりシラノール相互作用が有意に大きいことを示している。
【0145】
実施例9
この実施例では、クロマトグラフ分解能に対する粒径、細孔容積および細孔径分布の効果、ならびにSEC性能に対する温度の効果を考察する。モノクローナル抗体単量体の凝集体からの分離を含む、サイズに基づく分離の例を与える。
【0146】
材料の特性
異なる総細孔容積、平均細孔径、表面積および平均粒径を有する固定相粒子を合成した。低いタンパク質結合を示す安定した化学的表面を生じさせるためにすべての材料にジオールを結合させた。
【0147】
【表8】
【0148】
効率に対する粒径および細孔直径の効果
2マイクロメートル粒子および超高速液体クロマトグラフィー計器装備の導入は、逆相クロマトグラフィーについて従来のHPLC分離と比較してクロマトグラフィー効率および処理量の有意な向上をもたらした。しかし、今日まで、同様の利点はサイズ排除クロマトグラフィーなどの他のクロマトグラフィーモードについて実証されていない。Heldらによる最近の発表は、このような利点は2マイクロメートルより小さい粒子を充填したSEC用カラムでは達成できないと述べている。(D Held,G Reinhold and P Kilz,「U−GPC? Making GPC/SEC Faster」,The Column(April 6,2010)10−14)
【0149】
ある範囲の孔径および粒径の粒子を充填したカラムでの様々なタンパク質のクロマトグラフ分離に対する流速の効果を評価した。保持時間およびピーク幅データをシステム効果について先ず補正した。(50%ピーク高で測定した)隙間線速に対する段高さのプロットを図3および4に示す。結果は、2.6μm粒子と比較して1.7μm粒子を有するカラムについて有意に向上した性能を示す。タンパク質については、用いた流速が拡散限界領域より有意に高かったので、データは線形方程式、H=A+C・uに適合しなかった。理論では、AおよびC項が1/dおよび1/dにそれぞれ比例すると予測される。実験データは、この予想によく適合する。孔径が流速の関数としてクロマトグラフィー性能に対して制限された影響力を有することも観察された。
【0150】
【表9】
【0151】
【表10】
【0152】
選択性に対する細孔容積の効果
表6に示すように、総細孔容積が0.68−1.63cm/gと様々である材料A−Iを充填したカラムについてタンパク質の保持時間を判定した。log MWに対する保持容積のプロットを材料それぞれについてプロットした(図5)。各曲線の(代表線形領域における)勾配を各カラムについて決定した。図6は、勾配に対する細孔容積のプロットを示す。
【0153】
分かるように、良好な相関がこれら2因子間で観察される。
【0154】
Mab単量体/凝集体分離
モノクローナル抗体単量体と二量体の分解能に対する流速の効果を、プロトタイプ「K」を充填したカラム、4.6×150mmおよび比較カラム「L」、4.6×300mmカラムについて比較した。前のほうのカラム(プロトタイプ「K」充填カラム)のより短いカラム長にもかかわらず、同一の流速で動作したときに2つのカラムについて同等の分解能が見出された。プロトタイプ「K」を充填したカラム内のより小さい粒子は、必要な分解能を依然として達成しながら、より速い流速での動作を可能にすることによって、よりいっそう短い実行時間に備えたものであった。
【0155】
図7および8は、モノクローナル抗体単量体と二量体の分離に対する流速の効果を示す。
【0156】
図9および10は、段高さに対するおよびモノクローナル抗体単量体と二量体の分離についての分解能に対する流速の効果を示す。
【0157】
温度の影響
クロマトグラフ分離に対する温度の影響を式:
ln k=ΔH./RT−ΔS./R+ln(φ)
(式中、ΔH°およびΔS°は、それぞれの標準エンタルピーおよびエントロピーであり、Rはモル気体定数であり、Tは絶対温度であり、ならびにφはカラムの相比である。)によって熱力学的に決定する。
【0158】
吸着クロマトグラフィーでは、エントロピー項を通常は無視することができ、エンタルピー項に関しても無視できる。しかし、SECモードでは、逆が真である。従って、SECなどのエントロピー駆動型分離では、保持は、本来、温度から独立していなければならない。しかし、クロマトグラフィー材料は、表面にイオン性または他の官能基を有することがあり、これらの官能基は結合を誘導し得る。理想的には、固定相およびクロマトグラフィー条件を、吸着相互作用を防止するように最適化する。
【0159】
異なる温度での保持を調査することにより、吸着が発生するかどうかについての情報が得られる。保持の温度誘導変化、例えば配座の変化または水和層の変化に寄与し得る他の要因も考えられる。
【0160】
図11に示すクロマトグラムは、タンパク質試験ミックス(Protein Test Mix)の保持に対する温度の効果を示すものである。上のクロマトグラムは、プロトタイプ「K」を充填したカラムを使用して得たが、下のクロマトグラムは、比較カラム「L」からのものであった。後者(比較カラム「L」)の場合のほうが有意に大きい保持変化が観察された。この観察結果は、タンパク質と相互作用し得るおよびタンパク質を吸着し得る、固定相のシラノールのより大きい酸性度に帰する。
【0161】
両方の場合にウラシル保持が温度による影響を受けたことに留意すること。理論による制限を受けないが、このことはH結合相互作用のためであると考えられる。
【0162】
塩の影響
移動相への異なる塩添加物の効果を探査した。保持とピーク形状の両方が塩タイプによる影響を受けることが判明した。
【0163】
クロマトグラムを、アニオンおよびカチオンについてのホフマイスター系列の順序:
SO2−>PO2−>OCA>Cl>ClO
に従って、図12および13に示す。一般に、ホフマイスター系列に従って保持の減少が観察されたが、塩化ナトリウムは注目に値する例外であった。この場合、保持は他の分析物でより長かった。加えて、ピークが有意に広かった。
【0164】
実施例10
ノイズ低減、カラムブリードおよびゴーストピークに対する効果
SECカラムが使用中に粒子を放出することは公知である。MALS検出器は、これらの粒子に対して高感度である。この研究では、「カラムブリード」をベースラインノイズの発生率を増加させる結果となる粒子のランダムな放出と定義する。LCカラムへの注入を行ったときにも粒子放出が発生する場合がある。この結果が、排除マーカーの保持時間で溶出する広い「ゴーストピーク」である。ゴーストピークは、排除ウィンドウ付近で溶出する分析物の定量を妨げる。ゴーストピークの原因は、カラムを通り抜けて検出器に進む粒子のバンドを生じさせる、注入中に発生する圧力衝撃からの結果であると考えられる。カラム製造業者は、カラムブリードおよびゴーストピークを低減するために使用前にカラムを十分に洗浄することを提唱している。
【0165】
実験:
LCシステム:Waters ACQUITY UPLC(登録商標)H−Class Bio
移動相:100mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.8
温度:周囲温度
流速:0.2−0.5mL/分
試料:BSA 3mg/mL
注入容積:10μL
カラム平衡:0.2mL/分で20分
検出器1:Waters ACQUITY PDA、280nm
検出器2:Wyatt miniDAWN(商標)TREOS MALS Detector、入射から90°
MALSデータ収集速度:15Hz
プロトタイプ「K」を有する4.6×150mmカラムを、3つの4.6×300mmカラム(比較カラム「L」、「M」および「N」)と共に試験した。
【0166】
結果:
図15−19は、プロトタイプ「K」を有するカラムならびに比較カラム「L」、「M」および「N」を使用するBSAの分離からのクロマトグラムを示す。図15および16は、0.2および0.5mL/分の流速でそれぞれ実行したときのプロトタイプ「K」での結果を示す。図17、18および19は、0.3mL/分の流速で実行したときの比較カラムL、MおよびNからの結果を示す。これらの図は、UV検出器と光散乱検出器の両方からのトレースを示す。カラムブリードは、ノイズの頻度と大きさの両方によって測定したとき、3つの比較カラムと比較してプロトタイプ「K」カラムでのほうが相当少ないことが判明した。プロトタイプカラム「K」は、比較カラムと比較してRMSノイズのおよびランダムノイズ頻度の5倍を超える低減を示した。
【0167】
プロトタイプカラムKは、試験した条件下でゴーストピークを示さなかったが、先行技術カラムLおよびNは、ゴーストピークの形跡を示した。広いピークが図17と19の両方で観察され、保持時間はそれぞれ4.9および5.5分であった。
【0168】
等価物
幾つかの要素の機能を、代替実施形態では、より少ない要素によってまたは単一要素によって行うことができる。同様に、一部の実施形態では、任意の機能要素を、例証実施形態に関して説明したものより少ない、または例証実施形態に関して説明したものとは異なる、動作で行うことができる。また、例証のために別個のものとして示した機能要素(モジュール、コンピュータおよびこれらに類するもの)を、他の機能要素内に組み込むことができ、異なるハードウェアに分けることができ、または特定の実装の際に分配することができる。
【0169】
本発明による一定の実施形態を説明したが、本発明は、説明した実施形態だけに限定されない。説明した実施形態のいずれに対しても、本発明の精神および範囲を逸脱することなく様々な変更および/または修飾を施すことができる。また、説明した実施形態の要素、段階、特徴および/または態様の様々な組み合わせが可能であり、このような組み合わせが本明細書中ではっきりと特定されていなくても考えられる。
【0170】
参照による組み込み
本明細書に引用したすべての特許、公開特許出願および他の参考文献の全内容は、本宣言により、これら全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19